(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】官能化ポリ(アリールエーテルスルホン)コポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 65/40 20060101AFI20241021BHJP
C08G 65/48 20060101ALI20241021BHJP
C08G 75/23 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
C08G65/40
C08G65/48
C08G75/23
(21)【出願番号】P 2021556544
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2020056633
(87)【国際公開番号】W WO2020187684
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナイル, カムレシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, デーヴィッド ビー.
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/174546(WO,A1)
【文献】特開昭61-180762(JP,A)
【文献】特開2018-035246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203969(US,A1)
【文献】Juanjuan Han et al.,Effect of Micromorphology on Alkaline Polymer Electrolyte Stability,ACS APPLIED MATERIALS & INTERFACES,2018年12月10日,Pages A-I
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G65/00-67/04
C08G75/00-75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(M):
の繰り返し単位(R
P1)、
- 式(N):
の繰り返し単位(R*
P1)
[式中、
- 各R
1は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- 各iは、0~4から独立して選択され;
- Tは、結合、-CH
2-;-O-;-SO
2-;-S-;-C(O)-;-C(CH
3)
2-;-C(CF
3)
2-;-C(=CCl
2)-;-C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)-;-N=N-;-R
aC=CR
b-(ここで、各R
a及びR
bは、互いに独立して、水素又はC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、又はC6~C18アリール基である);-(CH
2)
m-及び-(CF
2)
m-(mは、1~6の整数である);6個以下の炭素原子の、線状若しくは分岐の、脂肪族二価基;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され;
- G
Nは、次式:
の少なくとも1つからなる群から選択され;
- 各kは、0~4から独立して選択され;
- 各jは、3~7から独立して選択され;
- 各R
2は、
-(CH
2)u-COOH(uは、1~5から選択される)、
-(CH
2)k-OH(kは、1~5から選択される)、
-(CH
2)p-NR
aR
b(pは、1~5から選択され、a及びbは、独立して、C1~C6アルキル又はHであり、但し、R
a及びR
bは、両方ともCH
3であることができないことを条件とする)、
-(CH
2)q-SO
3Na(qは、1~5から選択される)、
-(CH
2)a-COCH
3(aは、0~10から選択される)、
-(CH
2)r-Si(OCH
3)
3(rは、1~5から選択される)、
-(CH
2)s-(CF
2)t-CF
3(sは、1~5から選択され、tは、1~10から選択される)、
-CO-R
c(R
cは、C1~C6アルキル又は
Hである)、
-(CH
2)v-CH
3(vは、5~30から選択される)、及び
-(CH
2)w-Ar(wは、1~10から選択され、Arは
、1つ又は2つの芳香族又はヘテロ芳香族環を含む)
からなる群から独立して選択される]
を含むコポリマー(P1)。
【請求項2】
繰り返し単位(R
P1)中のTは、結合、-SO
2-及び-C(CH
3)
2-からなる群から選択される、請求項1に記載のコポリマー(P1)。
【請求項3】
iは、繰り返し単位(R
P1)及び繰り返し単位(R*
P1)の各R
1についてゼロである、請求項1~2のいずれか一項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項4】
繰り返し単位(R*
P1)においてkは0であり、jは3である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項5】
繰り返し単位(R
P1)/繰り返し単位(R*
P1)のモル比は、0.01/100~100/0.0
1の間で変わる、請求項1~4のいずれか1項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項6】
繰り返し単位(R
P1)は、式(M1):
に従う、請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項7】
式(G
N1)、(G
N2)、(G
N3)、(G
N4)、(G
N5)又は(G
N6)中のR
2は、
-CH
2-COOH、
-(CH
2)
2-OH、
-(CH
2)
2-NH
2、
-(CH
2)
3-SO
3Na、
-(CH
2)
3-Si(OCH
3)
3、
-(CH
2)
2-(CF
2)
7-CF
3、
-C=O-H、
-(CH
2)
9-CH
3、
-CH
2-Ph(Phは、ベンゼンである)
からなる群から独立して選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項8】
前記コポリマー(P1)中の総モル数を基準として、合計で少なくとも50モル%の繰り返し単位(R
P1)及び(R*
P1)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコポリマー(P1)。
【請求項9】
溶媒中で:
- 式(M):
の繰り返し単位(R
P0)、
- 式(P):
の繰り返し単位(R*
P0)
[式中、
- 各R
1は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- 各iは、0~4から独立して選択され;
- Tは、結合、-CH
2-;-O-;-SO
2-;-S-;-C(O)-;-C(CH
3)
2-;-C(CF
3)
2-;-C(=CCl
2)-;-C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)-;-N=N-;-R
aC=CR
b-(ここで、各R
a及びR
bは、互いに独立して、水素又はC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、又はC6~C18アリール基である);-(CH
2)
m-及び-(CF
2)
m-(mは、1~6の整数である);6個以下の炭素原子の、線状若しくは分岐の、脂肪族二価基;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され、
- G
Pは、次式:
の少なくとも1つからなる群から選択され、
- 各kは、0~4から独立して選択される]
を含むコポリマー(P0)を、式(I):R
2-SH
[式中、R
2は、
-(CH
2)u-COOH(uは、1~5から選択される)、
-(CH
2)k-OH(kは、1~5から選択される)、
-(CH
2)p-NR
aR
b(pは、1~5から選択され、a及びbは、独立してC1~C6アルキル又はHであり、但し、R
a及びR
bは、両方ともCH
3であることができないことを条件とする)、
-(CH
2)q-SO
3Na(qは、1~5から選択される)、
-(CH
2)a-COCH
3(aは、0~10から選択される)
-(CH
2)r-Si(OCH
3)
3(rは、1~5から選択される)、
-(CH
2)s-(CF
2)t-CF
3(sは、1~5から選択され、tは、1~10から選択される)、
-CO-R
c(R
cは、C1~C6アルキル又はHである)、
-(CH
2)v-CH
3(vは、5~30から選択される)、並びに
-(CH
2)w-Ar(wは、1~10から選択され、Arは
、1つ又は2つの芳香族又はヘテロ芳香族環を含
む)からなる群から選択される]
の化合物と、10℃~300℃の範囲の温度で反応させる工程を含むコポリマー(P1)の調製方法であって、化合物(I)/ポリマー(P0)のモル比が0.01/100~100/0.01の間で変わる方法。
【請求項10】
N-メチルピロリドン(NMP)、N-ブチルピロリドン(NBP)、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロベンゼン、アニソール、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)及びスルホランからなる群から選択される溶媒中で実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
下記:
- 少なくとも1種のフリーラジカル開始
剤並びに/又は
- 少なくとも1種の触媒
の存在下で実施される、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
塩基の存在下で実施される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
300nm~600n
mの範囲
の波長のUV光に露光することによって実施される、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
官能化PAESコポリマー(P0)は、前記コポリマー(P0)中の総モル数を基準として、合計で少なくとも50モル%の繰り返し単位(R
P0)及び(R*
P0)を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
官能化PAESコポリマー(P0)は、少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシモノマー(a1)と、少なくとも2個のハロゲン置換基を有する少なくとも1種の芳香族スルホンモノマー(a2)及び少なくとも1種のアリル置換芳香族ジヒドロキシモノマー(a3)との縮合によって調製される、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
膜、複合材料又はコーティングの調製での、請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月18日出願の米国仮特許出願第62/820141号に対する及び2019年6月6日出願の欧州特許出願第19178801.7号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、側鎖官能化コポリマー(P1)に、及び側鎖官能化コポリマー(P1)の調製方法に関する。本発明は、また、機能性膜、すなわち、疎水性の、親水性の、生体標識される、蛍光タグ付きの膜を調製するためのコポリマー(P1)の使用、複合材料、3D印刷用途でのコポリマー(P1)の使用、及び機能性コーティングでのコポリマー(P1)の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)ポリマーは、高性能熱可塑性プラスチックのグループに属しており、高い熱変形耐性、良好な機械的特性、優れた耐加水分解性及び固有の難燃性で特徴付けられる。多目的な及び有用なPAESポリマーは、エレクトロニクス、電気産業、医薬、一般エンジニアリング、食品加工及び3D印刷において多くの用途を有する。
【0004】
PAESポリマーは、多くの利点、及び良好な物理的特性を有するが、特定の用途における性能を改善するためにこれらの特性を調整することが望まれる場合がある。例えば、膜濾過では、流量などの重要な膜性能属性を改善するために、PAESの親水性を改善することが望ましい場合がある。親水性を含むがそれに限定されない、基本的な特性の変更は、多くの場合、2種のホモポリマーを組み合わせて各個々のホモポリマーの固有の特性の組み合わせを有するブロックコポリマーを製造することによって達成される。例えば、膜用途において、PAESホモポリマーを親水性ホモポリマーに共有結合させて、PAES成分の機械的に頑強な及び非晶質の細孔構造を保持しながら、親水性成分に起因する向上した流れのおかげで優れた膜性能を有する新規なPAES-親水性ブロックコポリマーを合成することができる。
【0005】
Y.Yangらの論文(Journal of Membrane Science 561,2018:69-78)は、PAESとスルホベタインアリーレンエーテルスルホンとの両性コポリマー(PAES-コ-SBAES)であって、膜を調製するためにポリスルホンとブレンドすることができる両性コポリマーの調製方法を記載している。同コポリマーは、逐次重合及び重合後変性によって調製される。
【0006】
本発明は、側鎖官能化コポリマー及びそのようなコポリマーの調製方法を提供する。これらの官能化コポリマーは、多くの異なる用途に、とりわけ膜、複合材料及びコーティングを調製するために有用な複雑なポリマー構造である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の態様は、側鎖官能化ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)コポリマー(P1)を指向する。このコポリマー(P1)は、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)繰り返し単位(RP1)、並びにペンダント基を持ったPAES繰り返し単位(R*P1)、より正確には、側鎖基で官能化されたPAES繰り返し単位を含む。
【0008】
本発明は、また、反応性が高く、それ故、コポリマーを効率的に変性するために使用することができる側鎖アリル/不飽和炭素炭素二重結合官能基で官能化されたコポリマー(P0)からのこれらのコポリマー(P1)の調製方法に関する。それ故、本発明はPAESポリマーにおいて官能基を導入する方法を提供し、次いで、結果として生じるコポリマーは、様々な用途に、例えば膜を調製するためにさらに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願では:
- いずれの記載も、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本開示の他の実施形態に適用可能であり、且つ、他の実施形態と交換可能であり;
- 要素若しくは成分が、列挙された要素若しくは成分のリストに含まれる及び/又はリストから選択されると言われる場合、本出願で明確に企図される関連実施形態では、要素若しくは成分は、また、個別の列挙された要素若しくは成分のいずれか1つであることができるか、又は、また、明確にリストアップされた要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群から選択することができ;要素若しくは成分のリストに列挙されたいかなる要素若しくは成分も、そのようなリストから省略され得ることが理解されるべきであり;
- 端点による数値範囲の本明細書でのいかなる列挙も、列挙された範囲内に包含される全ての数並びに範囲の端点及び同等物を含む。
【0010】
コポリマー(P1)
本発明は、側鎖官能化コポリマー(P1)に関する。このコポリマー(P1)は、少なくとも2つのタイプの繰り返し単位、すなわち、以下に記載される、式(M)の繰り返し単位(RP1)と式(N)の繰り返し単位(R*P1)とを含む。繰り返し単位(R*P1)は、
-(CH2)j-S-R2(式中、jは、3~7の間で変わる)及び/又は
-(CH2)k-CH((CH2)-CH3)-S-R2(式中、kは、0~4の間で変わる)
であることができる官能基で官能化され、
そして、R2は、
-(CH2)u-COOH(uは、1~5から選択され、好ましくは、uは、1又は2である)、
-(CH2)k-OH(kは、1~5から選択され、好ましくは、kは、1又は2である)、
-(CH2)p-NRaRb(pは、1~5から選択され、a及びbは、独立してC1~C6アルキル又はHであり、但し、Ra及びRbは、両方ともCH3であることができるわけでないことを条件とし;好ましくは-NRaRbは、-NH2であり、好ましくは、pは、1又は2である)、
-(CH2)q-SO3Na(qは、1~5から選択され、好ましくは、qは、1、2又は3である)、
-(CH2)a-COCH3(aは、0~10から選択される)、
-(CH2)r-Si(OCH3)3(rは、1~5から選択され、好ましくは、rは、1、2又は3である)、
-(CH2)s-(CF2)t-CF3(sは、1~5、好ましくは1又は2から選択され、tは、1~10、好ましくは5~9から選択される)、
-CO-Rc(Rcは、C1~C6アルキル又はH、好ましくはHである)、
-(CH2)v-CH3(vは、5~30から選択され、好ましくは、vは、8~20から選択される)、並びに
-(CH2)w-Ar(wは、1~10から選択され、Arは、1つ又は2つの芳香族又はヘテロ芳香族環、例えば1つ又は2つのベンゼン環を含む)
からなる群から独立して選択される。
【0011】
コポリマー(P1)の官能基は、コポリマー主鎖内の、内部官能化である。内部官能化は、反応混合物中のアリル-置換モノマーの含有量を変えることによって官能基の含有量を調節することができるので、有利にもシステムを多目的なものにする、アリル-置換モノマーの存在下での、逐次重合に由来する。アリル-置換モノマーは、本発明によれば3~7個の炭素原子をそれぞれ含む2つのペンタントアリル基側鎖を含む。
【0012】
本発明のコポリマー(P1)は、
- 式(M):
の繰り返し単位(R
P1)、
- 式(N):
の繰り返し単位(R*
P1)
[式中、
- 各R
1は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- 各iは、0~4から独立して選択され;
- Tは、結合、-CH
2-;-O-;-SO
2-;-S-;-C(O)-;-C(CH
3)
2-;-C(CF
3)
2-;-C(=CCl
2)-;-C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)-;-N=N-;-R
aC=CR
b-(ここで、各R
a及びR
bは、互いに独立して、水素又はC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、又はC6~C18アリール基である);-(CH
2)
m-及び-(CF
2)
m-(mは、1~6の整数である);6個以下の炭素原子の、線状若しくは分岐の、脂肪族二価基;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され;
- G
Nは、次式:
の少なくとも1つからなる群から選択され;
- 各kは、0~4から独立して選択され;
- 各jは、3~7から独立して選択され;
- 各R
2は、
-(CH
2)u-COOH(uは、1~5から選択される)、
-(CH
2)k-OH(kは、1~5から選択される)、
-(CH
2)p-NR
aR
b(pは、1~5から選択され、a及びbは、独立して、C1~C6アルキル又はHであり、但し、R
a及びR
bは、両方ともCH
3であることができないことを条件とする)、
-(CH
2)q-SO
3Na(qは、1~5から選択される)、
-(CH
2)a-COCH
3(aは、0~10から選択される)、
-(CH
2)r-Si(OCH
3)
3(rは、1~5から選択される)、
-(CH
2)s-(CF
2)t-CF
3(sは、1~5から選択され、tは、1~10から選択される)、
-CO-R
c(R
cは、C1~C6アルキル又はH、好ましくはHである)、
-(CH
2)v-CH
3(vは、5~30から選択される)、並びに
-(CH
2)w-Ar(wは、1~10から選択され、Arは
、1つ又は2つの芳香族又はヘテロ芳香族環、例えば1つ又は2つのベンゼン環を含む)
からなる群から独立して選択される]
を含む。
【0013】
本発明のコポリマー(P1)は、ラセミ化合物生成物の形態にある。重合中の塩基の存在及び高温のために、アリル-置換モノマーは、通常、二重結合の位置が側鎖に沿って変化し得るように重合中にラセミ化する。これは、二重結合が側鎖の末端に又は側鎖の末端の1つ前の炭素にあり得るという事実によって互いに異なる分子の形成をもたらす。ラセミ化の量は、反応時間及び温度に依存する。
【0014】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、それが、
- 繰り返し単位(R*P1)[ここで、基GNは、式(GN1)に従い、繰り返し単位(R*P1)の好ましくは少なくとも25モル%、より好ましくは少なくとも30モル%、さらにいっそう好ましくは35モル%は、基GNが式(GN1)に従うようなものである];
- 繰り返し単位(R*P1)[ここで、基GNは、式(GN1)及び(GN6)に従い、繰り返し単位(R*P1)の好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも40モル%、さらにいっそう好ましくは45モル%は、基GNが、式(GN1)及び(GN6)に従うようなものである];又は
- 少なくとも繰り返し単位(R*P1)[ここで、基GNは、式(GN1)、(GN4)及び(GN6)に従い、繰り返し単位(R*P1)の好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、さらにいっそう好ましくは70モル%、80モル%若しくは90モル%は、基GNが、式(GN1)及び(GN6)に従うようなものである]
を含むようなものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(RP1)中のTが、結合、-SO2-、-C(CH3)2-及びそれらからの混合物からなる群から選択されるようなものである。本発明のコポリマー(P1)は、例えば、Tが-C(CH3)2-である繰り返し単位(RP1)と、Tが-SO2-である繰り返し単位(RP1)とを含み得る。
【0016】
繰り返し単位(RP1)中のTは、好ましくは-C(CH3)2-である。
【0017】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、各R1が、1つ又は2つ以上のヘテロ原子;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基を任意選択的に含むC1~C12部分からなる群から独立して選択されるようなものである。
【0018】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(RP1)及び繰り返し単位(R*P1)の各R1についてiがゼロであるようなものである。
【0019】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(R*P1)においてkがゼロであり、jが3であるようなものである。
【0020】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(RP1)/(R*P1)のモル比が、0.01/100~100/0.01、好ましくは1/100~100/1、より好ましくは1/1~12/1、さらにいっそう好ましくは4/1~10/1の間で変わるようなものである。
【0021】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(R
P1)が式(M1):
に従うようなものである。
【0022】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、繰り返し単位(R*P1)中のR2が、
-CH2-COOH、
-(CH2)2-OH、
-(CH2)2-NH2、
-(CH2)3-SO3Na、
-(CH2)3-Si(OCH3)3、
-(CH2)2-(CF2)7-CF3、
-C=O-H、
-(CH2)9-CH3、及び
-CH2-Ph(Phは、ベンゼンである)からなる群から独立して選択されるようなものである。
【0023】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)は、コポリマー(P1)中の総モル数を基準として、合計で少なくとも50モル%の繰り返し単位(RP1)及び(R*P1)を含む。コポリマー(P1)は、コポリマー(P1)中の総モル数を基準として、例えば、合計で少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも約99モル%の、繰り返し単位(RP1)及び(R*P1)を含む。コポリマー(P1)は、好ましくは、繰り返し単位(RP1)及び(R*P1)に本質的に存し得る。
【0024】
ある実施形態によれば、本発明のコポリマー(P1)は、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されるように、120~250℃、好ましくは170~240℃、より好ましくは180~230℃の範囲のTgを有する。
【0025】
繰り返し単位(R*P1)に含有されるチオ-エーテル結合-S-R2は、幾つかの利点を有する。第一に、それは、とりわけ医学的応用向けの、膜での応用にとって重要である安定した非加水分解性結合である。さらに、それは、高度に生体適合性及び生体安定性結合であり、それ故、血液透析応用向けに使用することができ;多くの生物学的な活性分子、例えば、ビオチンは、チオ-エーテル結合を含有する。その上、この結合は、過酸化水素のような好適な酸化剤での処理時に酸化してスルホキシド及びスルホン結合を形成することができる。さらに、チオ-エーテルは、ハロゲン化アルキルで容易にアルキル化してスルホニウム塩を形成することができ;次いで、高分子スルホニウム塩は、エポキシ化などの化学変換のために使用することができる。加えて、チオ-エーテルは、重金属に配位する又は結合することができ、それ故、本発明のコポリマーは、金属除去用の高分子配位子としての機能を果たすことができる。
【0026】
コポリマー(P1)の調製方法
コポリマー(P1)は、様々な化学的方法によって、とりわけフリーラジカル-熱反応によって、フリーラジカル-UV反応によって、塩基-触媒反応によって又は求核触媒反応によって調製することができる。
【0027】
コポリマー(P1)の調製方法は、アリル/ビニレン-官能化コポリマー(P0)を化合物R2-SHと反応させる工程を含み、ここで、R2は、
-(CH2)u-COOH(uは、1~5から選択され、好ましくは、uは、1又は2である)、
-(CH2)k-OH(kは、1~5から選択され、好ましくは、kは、1又は2である)、
-(CH2)p-NRaRb、(pは、1~5から選択され、a及びbは、独立して、C1~C6アルキル又はHであり、但し、Ra及びRbは、両方ともCH3であることができないことを条件とし;pは、好ましくは1又は2であり、Ra及びRbは、好ましくはCH3又はHである)、
-(CH2)q-SO3Na(qは、1~5から選択され、好ましくは、qは、1、2又は3である)、
-(CH2)a-COCH3(aは、0~10から選択される)、
-(CH2)r-Si(OCH3)3(rは、1~5から選択され、好ましくは、rは、1、2又は3である)、
-(CH2)s-(CF2)t-CF3(sは、1~5、好ましくは1又は2から選択され、tは、1~10、好ましくは5~9から選択される)、
-CO-Rc(Rcは、C1~C6アルキル又はH、好ましくはHである)、
-(CH2)v-CH3(vは、5~30から選択され、好ましくは、vは、8~20から選択される)、並びに
-(CH2)w-Ar(wは、1~10から選択され、Arは、1つ又は2つの芳香族又はヘテロ芳香族環、例えば1つ又は2つのベンゼン環を含む)
からなる群から独立して選択される。
【0028】
本発明の方法において使用される、コポリマー(P0)は、とりわけ、化合物R
2-SHと反応する、2つのペンタントアリル/ビニレン側鎖を持った繰り返し単位(R*
P0)を含む。コポリマー(P0)は、より正確には、
- 式(M):
の繰り返し単位(R
P0)
- 式(P):
の繰り返し単位(R*
P0)
[式中、
- 各R
1は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- 各iは、0~4から独立して選択され;
- Tは、結合、-CH
2-;-O-;-SO
2-;-S-;-C(O)-;-C(CH
3)
2-;-C(CF
3)
2-;-C(=CCl
2)-;-C(CH
3)(CH
2CH
2COOH)-;-N=N-;-R
aC=CR
b(ここで、各R
a及びR
bは、互いに独立して、水素又はC1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、又はC6~C18アリール基である);-(CH
2)
m-及び-(CF
2)
m-(mは、1~6の整数である);6個以下の炭素原子の、線状若しくは分岐の、脂肪族二価基;並びにそれらの組み合わせからなる群から選択され;
- G
Pは、次式:
の少なくとも1つからなる群から選択され;
- 各kは、0~4から独立して選択される]
を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、kが繰り返し単位(R*P0)においてゼロであるようなものである。
【0030】
コポリマー(P1)を調製するための反応は、好ましくは、溶媒中で実施される。コポリマー(P1)を調製するための反応が溶媒中で実施される場合、溶媒は、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、N-ブチルピロリドン(NBP)、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロベンゼン、アニソール及びスルホランからなる群から選択される極性非プロトン性溶媒である。溶媒は、また、クロロホルム又はジクロロメタン(DCM)であり得る。コポリマー(P1)を調製するための反応は、好ましくはスルホラン又はNMP中で実施される。
【0031】
化合物(I)/ポリマー(P0)のモル比は、0.01/100~100/0.01、好ましくは1/100~100/1、より好ましくは1/1~10/1の間で変わる。
【0032】
コポリマー(P1)を調製するための反応の温度は、10℃~300℃、好ましくは室温~200℃、又はより好ましくは35℃~100℃の間で変わる。
【0033】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、繰り返し単位(RP0)中のTが、結合、-SO2-、-C(CH3)2-及びそれらからの混合物からなる群から選択されるようなものである。コポリマー(P0)は、例えば、Tが-C(CH3)2-である繰り返し単位(RP0)と、Tが-SO2-である繰り返し単位(RP1)とを含み得る。
【0034】
繰り返し単位(RP0)中のTは、好ましくは-C(CH3)2-である。
【0035】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、各R1が、1つ若しくは2つ以上のヘテロ原子;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基を任意選択的に含むC1~C12部分からなる群から独立して選択されるようなものである。
【0036】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、繰り返し単位(RP0)及び繰り返し単位(R*P0)の各R1についてiがゼロであるようなものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、繰り返し単位(RP0)においてjが2であるようなものである。
【0038】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、繰り返し単位(RP0)/繰り返し単位(R*P0)のモル比が、0.01/100~100/0.01、より好ましくは1/100~100/1の間で変わるようなものである。
【0039】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、繰り返し単位(R
P0)が式(M1):
に従うようなものである。
【0040】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)は、コポリマー(P0)中の総モル数を基準として、合計で少なくとも50モル%の繰り返し単位(RP0)及び(R*P0)を含む。コポリマー(P0)は、コポリマー(P0)中の総モル数を基準として、例えば、合計で少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、少なくとも約90モル%、少なくとも約95モル%、少なくとも約99モル%の繰り返し単位(RP0)及び(R*P0)を含む。コポリマー(P0)は、好ましくは、繰り返し単位(RP0)及び(R*P0)に本質的に存し得る。
【0041】
ある実施形態によれば、本発明のコポリマー(P0)は、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されるように、120~250℃、好ましくは170~240℃、より好ましくは180~230℃の範囲のTgを有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P0)を反応させるために使用される化合物R2-SHは、繰り返し単位(R*P1)中のR2が、
-CH2-COOH、
-(CH2)2-OH、
-(CH2)2-NH2、
-(CH2)3-SO3Na、
-(CH2)3-Si(OCH3)3、
-(CH2)2-(CF2)7-CF3、
-C=O-H、
-(CH2)9-CH3、及び
-CH2-Ph(Phは、ベンゼンである)、からなる群から独立して選択されるようなものである。
【0043】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)を調製するための反応は、炭酸カリウム(K2CO3)、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)及びナトリウムtert-ブトキシドからなる群から例えば選択される、塩基の存在下で実施され得る。塩基は、また、N-エチル-N-(プロパン-2-イル)プロパン-2-アミン(ヒューニッヒ塩基)、トリエチルアミン(TEA)及びピリジンからなる群から選択され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、コポリマー(P1)を調製するための反応は、
- 少なくとも1種のフリーラジカル開始剤、好ましくは2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、並びに/又は
- 過酸化物及びヒドロペルオキシドから好ましくは選択される、少なくとも1種の触媒
の存在下で実施され得る。
【0045】
ある実施形態によれば、反応の終了時のコポリマー(P1)の量は、コポリマー(P0)と溶媒との総重量を基準として少なくとも10重量%、例えば少なくとも15重量%、少なくとも20重量%又は少なくとも30重量%である。
【0046】
反応の終わりに、コポリマー(P1)は、溶液を得るために他の成分(塩、塩基、…)から分離される。コポリマー(P1)を他の成分から分離するために濾過を例えば用いることができる。次いで、溶液は、コポリマー(P1)を他の化合物と反応させるためにそのままで使用することができるか、又は或いは、コポリマー(P1)は、例えば凝固又は溶媒の揮発分除去によって、溶媒から回収することができる。
【0047】
コポリマー(P0)の調製方法
いくつかの実施形態では、本発明の方法において使用されるアリル/ビニレン-官能化コポリマー(P0)は、少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシモノマー(a1)と、少なくとも2つのハロゲン置換基を含む少なくとも1種の芳香族スルホンモノマー(a2)及び少なくとも1種のアリル置換芳香族ジヒドロキシモノマー(a3)との縮合によって調製されている。
【0048】
コポリマー(P0)を調製するための縮合は、好ましくは、溶媒中で実施される。コポリマー(P0)を調製するための縮合が溶媒中で実施される場合、溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、N-ブチルピロリドン(NBP)、N,Nジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロベンゼン及びスルホランからなる群から例えば選択される極性非プロトン性溶媒である。コポリマー(P0)を調製するための縮合は、好ましくは、スルホラン又はNMP中で実施される。
【0049】
コポリマー(P0)を調製するための縮合は、例えば、炭酸カリウム(K2CO3)、カリウムtert-ブトキシド、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)及びナトリウムtert-ブトキシドからなる群から選択される、塩基の存在下で実施され得る。塩基は、縮合反応中に成分(a1)及び(a3)を脱プロトン化するために機能する。
【0050】
モル比(a1)+(a3)/(a2)は、0.9~1.1、例えば0.92~1.08又は0.95~1.05であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、モノマー(a2)は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)又は4,4’-ジフルオロジフェニルスルホン(DFDPS)、好ましくはDCDPSのうちの少なくとも1つを含む4,4-ジハロスルホンである。
【0052】
いくつかの実施形態では、モノマー(a1)は、モノマー(a1)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の4,4’-ジヒドロキシビフェニル(ビフェノール)、少なくとも50重量%の2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)又は少なくとも50重量%の4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、モノマー(a3)は、モノマー(a1)の総重量を基準として、少なくとも50重量%の2,2’-ジアリルビスフェノールA(DABA)を含む。
【0054】
コポリマー(P0)を調製するための縮合によれば、反応混合物のモノマーは、一般に、同時に反応させられる。反応は、好ましくは、一段階で行われる。これは、モノマー(a1)及び(a3)の脱プロトン化並びにモノマー(a1)/(a3)と(a2)との間の縮合反応が中間生成物の単離なしに単一反応段階で行われることを意味する。
【0055】
ある実施形態によれば、縮合は、極性非プロトン性溶媒と、水と共沸混合物を形成する溶媒との混合物中で実施される。水と共沸混合物を形成する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン等などの芳香族炭化水素が挙げられる。それは、好ましくは、トルエン又はクロロベンゼンである。共沸混合物形成溶媒及び極性非プロトン性溶媒は、典型的には、約1:10~約1:1、好ましくは約1:5~約1:1の重量比で使用される。水は、共沸混合物形成溶媒と共に共沸混合物として反応マスから連続的に除去され、その結果実質的に無水の状態が重合中に維持される。共沸混合物形成溶媒、例えば、クロロベンゼンは、反応で形成された水が除去された後に、典型的には蒸留によって、反応混合物から除去され、極性非プロトン性溶媒中に溶解したコポリマー(P0)を残す。
【0056】
コポリマー(P0)を調製するための反応混合物の温度は、約1~15時間約150℃~約350℃、好ましくは約210℃~約300℃に保たれる。
【0057】
無機構成成分、例えば、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム又は過剰の塩基は、コポリマー(P0)の単離の前又は後に、溶解及び濾過、ふるい分け、又は抽出などの好適な方法によって除去することができる。
【0058】
ある実施形態によれば、縮合の終了時のコポリマー(P0)の量は、コポリマー(P0)と極性非プロトン性溶媒との総重量を基準として少なくとも30重量%、例えば少なくとも35重量%又は少なくとも又は少なくとも37重量%又は少なくとも40重量%である。
【0059】
反応の終わりに、コポリマー(P0)は、溶液を得るために他の成分(塩、塩基、…)から分離される。コポリマー(P0)を他の成分から分離するために濾過を例えば用いることができる。次いで、溶液は、コポリマー(P0)を本発明の方法において化合物R2-SHと反応させるためにそのまま使用することができるか、又は或いは、コポリマー(P0)は、例えば凝固又は溶媒の揮発分除去によって、溶媒から回収することができる。
【0060】
用途
本発明のコポリマー(P1)は、機能性膜の調製に使用され得る。例えば、これらの膜は、疎水性の、親水性の、生体標識される、例えば蛍光タグ付きの膜であり得る。
【0061】
本発明のコポリマー(P1)は、また、複合材料の調製にも使用され得る。この用途において、機能性は、強化繊維への樹脂の接着性を向上させ、それによって性能を向上させる。
【0062】
本発明のコポリマー(P1)は、また、機能性コーティングの調製にも使用され得る。コーティングの表面上の化学的部分は、コーティングを、疎水性、親水性、生体認識性、抗菌性、防汚性及び/又はUV硬化性にするために選択することができる。
【0063】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0064】
本発明は、これから以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、実施例の目的は、例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0065】
原材料
Solvay Speciality Polymersから入手可能な、DCDPS(4,4’-ジクロロジフェニルスルホン)
Covestro,U.S.A.から入手可能な、BPA(ビスフェノールA)
BP(ビフェノール)、本州化学、日本から入手可能なポリマーグレード
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、daBPA(2,2’-ジアリルビスフェノール)
Armand productsから入手可能な、K2CO3(炭酸カリウム)
Solvay S.A.,Franceから入手可能な、NaHCO3(重炭酸ナトリウム)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、NMP(2-メチルピロリドン)、
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、MCB(メチルクロロベンゼン)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、DMSO(ジメチルスルホキシド)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、DCM(ジクロロメタン)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、メルカプトエタノール(HSCH2CH2OH)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、チオグリコール酸(HS-CH2-COOH)
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、ベンジルメルカプタン、1-デカンチオール、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-デカンチオール及びシステアミン塩酸塩
Hunstmanから入手可能な、Jeffamine(登録商標)M-2095
Sigma-Aldrich,U.S.A.から入手可能な、DPA、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン
【0066】
試験方法
GPC-分子量(Mn、Mw)
分子量は、移動相として塩化メチレンを使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。Agilent Technologies製のガードカラム付きの2本の5μ混合Dカラムを分離のために使用した。クロマトグラムを得るために254nmの紫外線検出器を用いた。1.5ml/分の流量及び移動相中の0.2w/v%溶液の20μLの注入量を選択した。較正は、12の狭い分子量のポリスチレン標準(ピーク分子量範囲:371,000~580g/mol)を使って行った。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、より高い平均分子量Mzを報告した。
【0067】
熱重量分析(TGA)
TGA実験は、TA Instrument TGA Q500を用いて実施した。TGA測定値は、窒素下でサンプルを10℃/分の加熱速度で20℃から800℃まで加熱することによって得た。
【0068】
1H NMR
1H NMRスペクトルは、重水素化溶媒としてTCE又はDMSOを使って400MHz Bruker分光計を用いて測定した。全てのスペクトルは、溶媒中の残存プロトンを基準とする。
【0069】
DSC
存在する場合-ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を測定するためにDSCを用いた。DSC実験は、TA Instrument Q100を用いて実施した。DSC曲線は、20℃/分の加熱及び冷却速度で25℃~320℃間でサンプルを加熱する、冷却する、再加熱する、及び次いで再冷却することによって記録した。全てのDSC測定値は、窒素パージ下で取った。報告されるTg及びTm値は、特に明記しない限り2回目の加熱曲線を使用して規定した。
【0070】
接触角
フィルムの接触角は、ASTM D5946-09に従ってKRUESS EASYDROP機器を用いて測定した。
【0071】
I.アリル/ビニレン変性PSUコポリマー(P0-A)の調製
官能化PPSUポリマー(P0-A)をスキーム1に従って調製した。
【0072】
共重合は、オーバーヘッド攪拌機、窒素注入口及びオーバーヘッド蒸留セットアップを備えたガラス反応器(1L)中で行う。モノマー4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(143.58g)、ビスフェノールA(102.73g)及び2,2’-ジアリルビスフェノール(15.42g)を先ず容器に添加し、これに炭酸カリウム(78.29g)、NMP(690g)及び共沸蒸留溶媒としてのMCB(170g)の添加が続く。
【0073】
反応混合物を、1℃/分の加熱ランプを用いて室温から190℃まで加熱する。反応混合物の温度を、溶液の粘度に応じて、6~8時間維持する。加熱を停止することによって反応を終わらせる。反応混合物を濾過し、メタノール中で凝固させ、110℃で乾燥させる。
【0074】
コポリマー(P0-A)は、ラセミ化合物生成物の形態にある。重合中の塩基の存在及び高温のために、2,2’-ジアリルビスフェノールモノマーは、二重結合の位置が側鎖に沿って変化するようにラセミ化する。これは、上で示されたように、二重結合が側鎖の末端に又は側鎖の末端の1つ前の炭素にあり得るという事実によって互いに異なる分子の形成をもたらす。
【0075】
アリル/ビニレン-変性PSUコポリマー(P0-A)の特性評価
GPC:Mn=10,948g/mol、Mw=37,123g/mol、PDI=3.39
TGA:474℃
DSC:175℃
1H NMR:不飽和基の存在は、ポリマー中の2,2’-ジアリルBPAモノマーの組み込みを示す6.1~6.4ppmの多重項の出現によって確認された。
【0076】
II.アリル/ビニレン-変性PPSUコポリマー(P0-B)の調製
官能化PPSUポリマー(P0-B)をスキーム2に従って調製した。
【0077】
共重合は、オーバーヘッド攪拌機、窒素注入口、熱電対ディーン-スタークトラップを備えたケトル型反応器(1L)中で行う。モノマー4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(143.58g)、ビフェノール(88.45g)及び2,2’-ジアリルビスフェノール(7.71g)を先ず容器に添加し、窒素で30分間パージする。次いで、スルホラン(470g)を容器に、並びに炭酸カリウム(78g)を添加する。
【0078】
次いで、反応混合物を210℃に加熱する。反応混合物がこの温度に達したときに、反応を6~8時間維持する。この時間後に、加熱を停止し、反応混合物を室温まで冷却させる。及び反応混合物を濾過し、メタノール中で凝固させ、熱脱イオン水で洗浄する。
【0079】
コポリマー(P0-B)は、ラセミ化合物生成物の形態にある。
【0080】
アリル/ビニレン-変性PPSUコポリマー(P0-B)の特性評価
GPC:Mn=26430g/mol、Mw=126547g/mol、PDI=4.78
TGA:493℃
DSC:199℃
1H NMR:
不飽和基の存在は、ポリマー中の2,2’-ジアリルBPAモノマーの組み込みを示す6.2~6.4ppmの多重項の出現によって確認された。
【0081】
III.アリル/ビニレン-変性PESコポリマー(P0-C)の調製
官能化PESポリマー(P0-C)をスキーム3に従って調製した。
【0082】
共重合は、オーバーヘッド攪拌機、窒素注入口、熱電対及びディーン-スタークトラップを備えたケトル型反応器(1L)中で行う。モノマー4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(146.45g)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(112.37g)及び2,2’-ジアリルビスフェノール(15.72g)を先ず容器に添加し、窒素で30分間パージする。次いで、NMP(283g)を容器に、並びに炭酸カリウム(69.8g)を添加する。
【0083】
次いで、反応混合物を190℃に加熱する。反応混合物がこの温度に達したときに、反応を6~8時間維持する。この時間後に、加熱を停止し、反応混合物を室温まで冷却させる。及び反応混合物を濾過し、メタノール中で凝固させ、熱脱イオン水で洗浄する。
【0084】
コポリマー(P0-C)は、ラセミ化合物生成物の形態にある。
【0085】
アリル/ビニレン-変性PESコポリマー(P0-C)の特性評価
GPC:Mw=29,997g/mol、Mn=12,042g/mol、PDI=2.49
TGA:415℃
DSC:Tg=214℃
1H NMR:不飽和基の存在は、ポリマー中の2,2’-ジアリルBPAモノマーの組み込みを示す6.1~6.4ppmの多重項の出現によって確認された。
【0086】
IV.フリーラジカル反応による官能化PSUコポリマー(P1)の調製
一般手順:
上記のI.(スキーム1)に従って調製された50gのアリル/ビニレン-変性コポリマー(P0-A)を、60~70℃の温度で200gのNMPに溶解させる。次いで、式(I)の化合物を反応容器に添加し、撹拌する。次いで、フリーラジカル開始剤を反応容器に添加し、N2下で6~12時間撹拌する。温度を6~12時間70℃に維持する。次いで、反応混合物をメタノール中で凝固させ、110℃で乾燥させる。
【0087】
実施例1.OH-官能化PSUコポリマー(P1-A)の調製
官能化PSUポリマー(P1-A)を、スキーム4に従い、35.34gのメルカプトエタノール(HSCH2CH2OH)及び2.45gのAIBNを使って上記の一般的な手順に従って調製した。
特性評価
GPC:Mw=121,318g/mol、Mn=18,756g/mol、PDI=6.47
DSC:Tg=160℃
TGA:376℃(この単一ピークは、遊離メルカプトエタノールの不在を示す)。
1H NMR:ヒドロキシル官能化は、6.2ppmのオレフィンプロトンシグナルの完全な不在と、-CH2CH2OH基の存在を示す3.5ppm及び2.6ppmの2つの三重項の出現によって検出された。
ヒドロキシル官能化の定量は、ヒドロキシル基を滴定することによって分析した。ヒドロキシル含有量:750ueq/g。
【0088】
実施例2.COOH-官能化PSUコポリマー(P1-B)の調製
官能化PSUポリマー(P1-B)を、スキーム5に従い、41.67gのチオグリコール酸(HS-CH2-COOH)及び2.45gのAIBNを使って一般的な手順に従って調製した。
【0089】
特性評価
DSC:Tg=156℃
TGA:371℃
1H NMR:カルボキシル官能化は、6.2ppmのオレフィンプロトンシグナルの完全な不在と、約3ppmの新しい一重項の出現とによって検出された。
カルボン酸官能化の定量は、酸基を滴定することによって分析した。
カルボン酸含有量:971ueq/g
【0090】
次いで、官能化PSUコポリマー(P1-B)を、スキーム6コポリマー(P1-B’)に従って、CDIカップリング剤を使用してJeffamine(登録商標)M-2095に結合した。
【0091】
より正確には、4gのコポリマー(P1-B)を70℃で25gのNMPに溶解させ、次いで30分間N2下に撹拌しながら200mgのカルボジイミダゾールを溶液に添加した。次いで、8.22gのJeffamine(登録商標)M-2095を別の25gのNMPに溶解させ、次いで反応混合物に一度に添加した。反応を70℃で12時間維持した。次いで、溶液をメタノール中で沈澱させ、真空下で乾燥させた。
【0092】
1H NMR:-CH2CH2-O-基の存在は、3.67ppmの大きいシグナルで特定された。
カルボン酸含有量:133ueq/g
【0093】
実施例3.アミン-官能化PSUコポリマー(P1-C)の調製
官能化PSUポリマー(P1-C)を、スキーム7に従い、100gのDMSO中の51.39gのシステアミン塩酸塩(HSCH2CH2NH2・HCl)、38gの重炭酸ナトリウムと2.45gのAIBNとを使って一般的な手順に従って調製した。
【0094】
特性評価
GPC:Mw=49,116g/mol、Mn=8506g/mol、PDI=5.77DSC:175℃
TGA:427℃
1H NMR:アミノ官能化は、6.2ppmのオレフィンプロトンシグナルの完全な不在と、コポリマーP0-Aに存在しない2.18ppmの三重項の出現とによって検出された。
アミン官能化の定量は、アミン基を滴定することによって分析した。
アミン含有量:1180ueq/g
【0095】
次いで、スキーム8-コポリマー(P1-C’)に従って、前工程において得られた70℃の溶液を通して塩化メチルをバブリングすることによって官能化PSUコポリマー(P1-C)をさらに変性した。塩化メチルレクチャーボトルを通して塩化メチルを大過剰にバブルさせた。
【0096】
特性評価
1H NMR:テトラメチルアンモニウム基に対応する2.85ppmの大きい単一ピークが観察された。
GPC:Mw:26474g/mol、Mn:11367g/mol、PDI:2.33.
FTIR:出発ポリマーに不在であり、第四級アンモニウム側鎖に帰することできる強い単一シグナル約1684cm-1が見られる。
DSC:Tg=140℃
【0097】
実施例4.スルホネート-官能化PSUコポリマー(P1-D)の調製
官能化PSUポリマー(P1-D)を、スキーム9に従い、40.27gのナトリウムチオプロパンスルホネート、80gのDMSO及び1.5gのAIBNを使って一般的な手順に従って調製した。
【0098】
特性評価
GPC:Mw=55,134g/mol、Mn=27,484g/mol、PDI=2.01
DSC:161.95℃
1H NMR:官能化は、6.2ppmのオレフィンプロトンシグナルの完全な不在と、-CH2CH2CH2SO3Na基の存在を示す1.6ppmのひずんだ六重項の出現とによって検出された。
結果として生じたコポリマーは、水溶性ではない親コポリマーP0-Aへの高極性ナトリウムスルホネート側基の共有結合を示す、水溶性であった。
【0099】
実施例5.脂肪族-官能化ポリマーPSUコポリマー(P1-E)の調製
官能化PSUポリマー(P1-E)を、以下の手順に従って調製した:上記のI.に従って調製された10gのアリル/ビニレン-変性コポリマー(P0-A)を、70℃の温度で40gのNMPに溶解させる。次いで、13gのデカンチオールを反応容器に添加し、撹拌する。次いで、100mgのフリーラジカル開始剤を反応容器に添加し、N2下で6~12時間撹拌する。温度を6~12時間70℃に維持する。次いで、反応混合物をメタノール中で凝固させ、110℃で乾燥させる。スキーム10。
【0100】
特性評価
TGA:373℃
DSC:106℃
GPC:Mw:100,652g/mol、Mn:1,8902g/mol、PDI:5.3
1H NMR:0.9ppmのひずんだ三重項及び1.3ppmの大きいアルキルシグナル、並び親コポリマーに存在するアルケンシグナルの完全な消失。
【0101】
実施例6.フルオロ-官能化PSUコポリマー(P1-F)の調製
官能化PSUコポリマー(P1-F)を、以下の手順に従って調製した:上記のI.に従って調製された48gのアリル/ビニレン-変性コポリマー(P0-A、濾過されていない)を、70℃の温度で50gのDMAccに溶解させる。次いで、25gの1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-デカンチオールを反応容器に添加し、撹拌する。次いで、1.64gのフリーラジカル開始剤(AIBN)を反応容器に添加し、N2下で6~12時間撹拌する。温度を6~12時間70℃に維持する。次いで、反応混合物をメタノール中で凝固させ、溶媒で繰り返し洗浄して過剰のチオールを除去し、110℃で乾燥させる。
【0102】
特性評価
DSC:このコポリマーのDSCは、2つの異なった熱転移-たぶんフッ素化側鎖に帰することができる77℃の1つ及び主鎖ポリスルホン骨格に帰せられる140℃の他のものでユニークであった。
FTIR:1204cm-1の強いバンドは、親ポリマーに不在であるフルオロカーボンの証拠である。
次いで、コポリマーをフィルムへキャストし、表面接触角を測定した。コポリマー(P1-F)についての接触角は、Θ=125.5°に等しく、その一方で、コポリマー(P0-A)についての接触角はΘ=81°に等しく等しい、フッ素化側鎖の存在がポリマーの表面特性に影響を及ぼすことを示した。
【0103】
実施例7.アリール-官能化PSUコポリマー(P1-G)の調製
官能化PSUポリマー(P1-F)を、以下の手順に従って調製した:上記のI.に従って調製された8.3gのアリル/ビニレン-変性コポリマー(P0-A)を、70℃の温度で41.7gのNMPに溶解させる。次いで、9gのベンジルメルカプタンを反応容器に添加し、撹拌する。次いで、0.4gのフリーラジカル開始剤を反応容器に添加し、N2下で6~12時間撹拌する。温度を6~12時間70℃に維持する。次いで、反応混合物をメタノール中で凝固させ、110℃で乾燥させる。
【0104】
特性評価
GPC:Mw=142,528g/mol、Mn=20,868g/mol、PDI:6.83
DSC:106.4℃
H NMR:NMRスペクトルは、3.66ppmにベンジルメルカプタン残基の大きい一重項-CH2-Sと、親コポリマーに存在するアルケンプロトンシグナルの完全な消失とを示した。
【0105】
IV.UV放射線による官能化PSUコポリマー(P1)の調製
官能化PSUポリマー(P1-A)を、スキーム11に従って、一段階で調製した。
【0106】
4gのコポリマーP0-Aを6gのNMP又はDCMに溶解させた。次いで、0.56gのメルカプトエタノール、並びに230mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンを添加した。反応容器を室温で10時間、UV放射線365nm(100ワット、UVP Blak-Ray B-100AP)に露光した。次いで、反応液をメタノール中で沈澱させ、沈澱物をメタノールで数回洗浄し、次いで乾燥させた。得られたポリマーを、滴定によってヒドロキシル基の存在について試験した。
【0107】
特性評価
NMP中
GPC:Mw:40247g/mol、Mn:8,101g/mol、PDI:4.97.
ヒドロキシル末端基:291±40ueg/g
【0108】
DCM中
GPC:Mw:8956g/mol、Mn:5,261g/mol、PDI:5.88.
ヒドロキシル末端基:683ueq/g
【0109】
V.塩基触媒反応による官能化PSUコポリマー(P1)の調製
OH-官能化PSUコポリマー(P1-A)の調製
官能化PSUポリマー(P1-A)を、スキーム12に従い、35.34gのメルカプトエタノール(HSCH2CH2OH)及び2.45gのジイソプロピルアミンを使って一般的な手順に従って調製した。
【0110】
上記のI.に従って調製された50gのアリル/ビニレン-変性コポリマー(P0-A)を、65℃の温度で200gのNMPに溶解させる。次いで、35.34gのメルカプトエタノールを反応容器に添加し、撹拌した。次いで、2.45gのジイソプロピルアミンを添加し、N2下で72時間攪拌した。次いで、反応混合物をメタノール中で凝固させ、110℃で乾燥させた。得られたポリマーを、滴定によってヒドロキシル基の存在について試験した。
【0111】
特性評価
GPC:Mw:69,667g/mol、Mn=14,774g/mol、PDI=4.72.
脂肪族ヒドロキシ:108ueq/g