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特許7574212ステッチ形成要素及びステッチ形成繊維機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ステッチ形成要素及びステッチ形成繊維機械
(51)【国際特許分類】
   D04B 35/32 20060101AFI20241021BHJP
   D04B 15/06 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
D04B35/32
D04B15/06 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021558928
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020059304
(87)【国際公開番号】W WO2020201380
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】19166731.0
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500564448
【氏名又は名称】グロツ-ベッケルト カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スティンゲル,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】サウテル,ヨーグ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01559819(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 35/32
D04B 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッチ形成繊維機械のためのステッチ形成要素であって、前記繊維機械は、少なくとも1つのステッチ形成要素をガイドするための少なくとも1つのガイドチャネルを備えるステッチ形成要素キャリアを有し、前記ステッチ形成要素は、長手方向軸及び垂直軸と、ステッチ形成のための下方エッジ、上方エッジ、開いた第1の端部及び閉じた第2の端部を有する第1の凹部とを有し、前記ステッチ形成要素は、下方エッジ、上方エッジ、開いた第1の端部及び閉じた第2の端部を備える第2の凹部を有し、前記少なくとも1つのガイドチャネルをクリーニングするための前記第2の凹部の前記下方エッジは、前記長手方向軸に対してある角度で配置され、前記第2の凹部の前記閉じた第2の端部は、前記垂直軸において前記ステッチ形成要素のヘッドセクションの半より下に配置される、
ステッチ形成要素。
【請求項2】
前記第2の凹部は、開き角α>5°を有する、
請求項1に記載のステッチ形成要素。
【請求項3】
長手方向における前記第2の凹部の第2の端部は、前記第1の凹部の前記第2の端部の上流に、ヘッドセクション側に配置される、
請求項1又は2に記載のステッチ形成要素。
【請求項4】
前記第2の凹部の前記第1の端部における前記下方エッジ及び/又は前記上方エッジは、一方が他方の上にある、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステッチ形成要素。
【請求項5】
前記第1の凹部は、前記第2の端部において、前記第2の凹部の前記第2の端部の半径に対して小さい半径を備える弧状に閉じ、前記第2の凹部は、前記第2の端部において、前記第1の凹部の前記第2の端部の半径に対して大きい半径を備える弧状に閉じる、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のステッチ形成要素。
【請求項6】
前記第2の凹部は、前記ステッチ形成要素のヘッドセクションの下半分に配置される、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステッチ形成要素。
【請求項7】
少なくとも1つのガイドチャネルを備えるステッチ形成要素キャリアを有するステッチ形成繊維機械であって、前記繊維機械は、少なくとも1つの請求項1乃至6のいずれか1項に記載のステッチ形成要素を有し、前記少なくとも1つのステッチ形成要素は、前記少なくとも1つのガイドチャネル内の前記第2の凹部でガイドされる、ステッチ形成繊維機械。
【請求項8】
前記少なくとも1つのステッチ形成要素は、長手方向において前記少なくとも1つのガイドチャネル内で、延長された第1の端部位置と引っ込んだ第2の端部位置との間でガイドされ、前記第2の端部位置における前記第2の凹部は、前記少なくとも1つのガイドチャネルへのアクセスを可能にする、
請求項7に記載の繊維機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッチ形成繊維機械用のステッチ形成要素に関し、ステッチ形成繊維機械は、少なくとも1つのステッチ形成要素をガイドするための少なくとも1つのガイドチャネルを持つステッチ形成要素キャリアを有し、ステッチ形成要素は、長手方向軸及び垂直軸と、ステッチ形成のための下方エッジ、上方エッジ、開いた第1の端部及び閉じた第2の端部を備える第1の凹部とを有し、ステッチ形成要素は、下方エッジ、上方エッジ、開いた第1の端部及び閉じた第2の端部を備える第2の凹部を有する。加えて、本発明は、少なくとも1つのガイドチャネルを持つステッチ形成要素キャリアを有するステッチ形成繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
シンカーの垂直移動を制限するための交換可能なコンポーネントを備える円形編み機が、特許文献1文献から知られている。円形編み機は、プレストレスト制限コンポーネントを有するシリンダ配置を有する。プレストレスト制限コンポーネントは、複合受けチャネル内に配置され、シンカーが係合する軸受状表面を提供し、従って、シンカーの望ましくない垂直移動を制限するように機能する。シンカーは、それぞれ、上面、底面及び前縁を有する下部ノーズを有する。シンカーはまた、それぞれ、上面、底面及び前縁を有する上部ノーズを有する。下部ノーズの上面と上部ノーズの底面は、ギャップの境界を定める。シンカーは、また、押さえ突起を有する。
【0003】
特許文献2から、編み機又は縦編み機用の押さえシンカーが知られており、これは、長手方向に変位可能な方法でガイドするための少なくとも1つのステッチノックオーバーエッジを有する前部と係合し、シンカーロックによるシンカーキャリアを制御するための制御フットを備え、このシンカーキャリアでは、溝内の下面の接触する領域は、鋭いエッジを有するステップによって両側で境界が画定され、シンカーのストロークよりも短い長さを有し、1つのステップは、中央領域の制御フットまで延びるエッジ凹部に属し、シンカーの上部側にエッジ凹部が割り当てられ、エッジ凹部は、中央領域の制御フットから前部シンカー部分の内端まで延び、2つのエッジ凹部の間には、中央領域の制御フットに長手方向の弾性を与えるシンカーの狭いウェブがある。
【0004】
特許文献2による押さえシンカーでは、押さえシンカー接触領域は、鋭いエッジで境界を定められ、押さえシンカーの長手方向の調整運動中に2つの境界を定めるステップの調整経路が重複するように寸法決めされ、従って、ステッチ形成プロセス中に針と相互作用する前部のガイドチャネル内では汚れが沈降することはなく、鋭いエッジを有するステップによって溝の一方の端又は他方の端に向かって押し出されることが保証される。
【0005】
特許文献3文献から、編み機は、編み具を受け入れるためのいくつかのチャネルを有するニードルベッドを備えることが知られており、いくつかの編み具は、ニードルベッドのチャネルに長手方向に移動可能に配置され、作業部を有し、編みカムボックスが、編み具を駆動するように設定され、ニードルベッドに隣接して配置され、少なくとも1つの空気誘導スペースが、ニードルベッドと編みカムボックスとの間に画定されるようされ、空気コンベア装置が、それを通して作業部への空気の流れを導くために、空気誘導スペースに接続される。
【0006】
特許文献4は、円形編み機用ノックオーバーシンカーに関する。押さえシンカーは、2つのフックと2つのノックオーバーエッジを有するヘッドを有する。フックとノックオーバーエッジは第1の凹部を形成し、フックとノックオーバーエッジは第2の凹部を形成する。ノックオーバーシンカーがコームリングのガイドチャネルに配置されるとき、両方のカットアウトが、コームリングの上に位置する。
【0007】
特許文献5は、斜めに立ち上がる下縁とノーズと斜めに立ち上がる上縁を前部に有する円形編み機のシンカーを示している。ノーズの下方では、下縁は出口半径によって継続される。シンカーは、シンカーリングに取り付けられているが、シンカーリングは図示されておらず、詳細も説明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第6176107号
【文献】独国特許出願公開第3325103号
【文献】欧州特許出願公開第1793023号
【文献】英国特許出願公開第2177125号
【文献】英国特許出願公開第2066861号
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、構造的及び/又は機能的に上述のステッチ形成を改良することである。さらに、本発明の目的は、上述のステッチ形成繊維機械を構造的及び/又は機能的に改良することである。
【0010】
前記目的は、請求項1に記載の特徴を有するステッチ形成要素を用いて達成される。さらに、前記目的は、請求項8に記載の特徴を有するステッチ形成繊維機械によって達成される。有利な設計及び/又は更なる発展が従属請求項の主題である。
【0011】
ステッチ形成要素は、プレート状の形状を有することができる。ステッチ形成要素は、長手方向軸に対して直角に少なくともほぼ長方形の断面を有することができる。長手方向軸と垂直軸は互いに直角に配置されることができる。ステッチ形成要素は、長手方向軸及び垂直軸に対して配置された横軸を有することができる。ステッチ形成要素は、長手方向軸の延長方向の長さを有することができる。長手方向軸の延長方向はまた、長手方向として指定することもできる。ステッチ形成要素は、垂直軸の延長方向の高さを有することができる。垂直軸の延長方向はまた垂直方向として指定することもできる。ステッチ形成要素は、横軸の延長方向に幅を有することができる。横軸の延長方向はまた横方向として指定することもできる。ステッチ形成要素の高さは、その幅の倍数を有することができる。ステッチ形成要素の長さは、その高さの倍数を有することができる。
【0012】
ステッチ形成要素は、少なくとも1つのガイドチャネル内でガイドされる及び/又は変位することができる。ステッチ形成要素は、長手方向にガイドされる及び/又は変位することができる。ステッチ形成要素は、駆動可能であることができる。ステッチ形成要素は、長手方向に駆動されることができる。
【0013】
ステッチ形成要素は、ヘッドセクション、第1のシャフトセクション、第2のシャフトセクション、及び/又はフットセクションを有することができる。ステッチ形成要素は、ヤーンガイドセクションを有することができる。ヤーンガイドセクションは、突起状形状を有することができる。ヤーンガイドセクションは、ヤーンガイドエッジを有することができる。ヤーンガイドセクションはヘッドセクションに割り当てられることができる。ヤーンガイドセクションは、ガイドチャネルの上に突出するように配置されることができる。ステッチ形成要素は、そのシャフトセクション及び/又はそのフットセクションを介して駆動可能であることができる。
【0014】
ステッチ形成要素は、第1のガイドセクションを有することができる。第1ガイドセクションはヘッドセクションに割り当てられることができる。第1のガイドセクションは、ステッチ形成要素がステッチ形成要素キャリア上で使用するように配置されるときに、ステッチ形成要素キャリアの少なくとも1つのガイドチャネル内にガイドされるステッチ形成要素の当該セクションを越えて(over)垂直方向に延びることができる。ステッチ形成要素は、第1のガイドセクションに隣接して及び/又は第1のガイドセクションから距離を置いて、長手方向に少なくとも1つの更なるガイドセクションを有することができる。少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、シャフトセクション及び/又はフットセクションに割り当てられることができる。
【0015】
第1の凹部は、ステッチを形成するために糸を把持及び/又はガイドする役割を果たすことができる。第1の凹部はまた、ステッチ形成凹部として指定されることもできる。第1の凹部は、スリット状形状を有することができる。第1の凹部は、その短い側に開いた細長い穴のように設計することができる。第1の凹部は、Uのような方法で区切られることができる。第1の凹部は、水平Uに対応して又は同様に区切られることができる。第1の凹部の第1の端部及び第2の端部は、長手方向に互いに離間することができる。第1の凹部の第1の端部は、ヘッド側に配置することができる。第1の凹部の第2の端部は、シャフトセクション及び/又はフットセクションに向かって配置することができる。用語「下方エッジ」及び「上方エッジ」は、ステッチ形成要素キャリア上で使用するためのステッチ形成要素の配置を指すことができる。下方エッジはまた、第1のエッジと呼ぶことができる。上方エッジはまた、第2のエッジとして指定することができる。第1の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、長手方向軸に対して少なくともほぼ平行に配置することができる。第1の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、垂直方向に互いに離間することができる。第1の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、互いに少なくともほぼ平行に配置することができる。ステッチ形成要素は、複数の第1の凹部を有することができる。
【0016】
第2の凹部は、少なくとも1つのガイドチャネルから、摩耗した繊維などの汚れを除去するように働くことができる。第2の凹部はまた、クリーニング凹部として指定することができる。第2の凹部は、スリット状形状を有することができる。第2の凹部は、その短い側に開いた細長い穴のように設計することができる。第2の凹部は、Uのような方法で区切られることができる。第2の凹部は、水平Uに対応して又は同様に区切られることができ。第2の凹部の第1の端部及び第2の端部は、長手方向に互いに離間することができる。第2の凹部の第1の端部は、ヘッド側に配置することができる。第2の凹部の第2の端部は、シャフトセクション及び/又はフットセクションに向かって配置することができる。第2の凹部の第2の端部は、第1の端部の方向に長手方向にヤーンガイドセクションの上流に位置決めされることができる。第2の凹部の第2の端部は、長手方向に少なくともほぼヤーンガイドセクションの領域に配置することができる。
【0017】
用語「下方エッジ」及び「上方エッジ」は、ステッチ形成要素キャリア上で使用するためのステッチ形成要素の配置を指すことができる。下方エッジはまた、第1のエッジと呼ぶことができる。上方エッジはまた、第2のエッジとして指定することができる。第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、垂直方向に互いに離間することができる。第1の端部では、第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、第2の端部よりも互いに大きい間隔を有する。第2の端部では、第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、第1の端部よりも互いに小さい間隔を有することができる。第2の凹部は、第2の端部から第1の端部に向かって広げられることができる。第2の凹部は、第2の端部から第1の端部に向かって連続的に広げられることができる。
【0018】
ステッチ形成要素は、システム部分であることができる。ステッチ形成要素は、編み具であることができる。ステッチ形成要素は、縦編み具であることができる。ステッチ形成要素はシンカーであることができる。ステッチ形成要素は、押さえ及びノックオーバーシンカーであることができる。ステッチ形成要素は、転写部分であることができる。ステッチ形成要素は、選択部分であることができる。ステッチ形成要素は、結合部分であることができる。ステッチ形成要素は、押さえ部を有するシステム部分であることができる。
【0019】
第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、互いに対してある角度に配置することができる。第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、互いに対して鋭角に配置することができる。第2の凹部の下方エッジ及び上方エッジは、それらの延長において交差することができる。第2の凹部の下方エッジと上方エッジとの間に形成された角度は、第1の端に向かって開くことができる。第2の凹部は、開き角α>5°、特にα>10°、特にα=約12°を有することができる。
【0020】
2の凹部の上方エッジは、長手方向軸に対して少なくともほぼ平行に配置することができる。第2の凹部の下方エッジは、長手方向軸に対して少なくともほぼ平行に配置することができる。第2の凹部の上方エッジは、長手方向軸に対してある角度に配置することができる。
【0021】
第2の凹部の第2の端部は、ヘッドセクション側の第1の凹部の第2の端部の長手方向上流に配置することができる。下方エッジ及び上方エッジは、第2の凹部の第1の端部において、少なくともほぼ一方が他方の上で終わることができる。下方エッジ及び上方エッジは、第2の凹部の第1の端部で垂直方向に互いに少なくともほぼ一方が他方の上で終わることができる。下方エッジ及び上方エッジは、第2の凹部の第1の端部で長手方向に少なくともほぼ同じ場所で終わることができる。
【0022】
下方エッジは、少なくともセクションにおいて直線状であることができる。上方エッジは、少なくともセクションにおいて直線状であることができる。下方エッジは、少なくともセクションにおいて湾曲することができる。上方エッジは、少なくともセクションにおいて湾曲することができる。下方エッジは、少なくともセクションにおいて、ステップを用いて設計することができる。上方エッジは、少なくともセクションにおいて、ステップを用いて設計することができる。
【0023】
第1の凹部は、第2の端部で小さい半径の弧形状で閉じることができ、第2の凹部は、第2の端部で大きい半径の弧形状で閉じることができる。第1の凹部の第2の端部の半径は、第2の凹部の第2の端部の半径に対して小さくすることができる。第2の凹部の第2の端部の半径は、第1の凹部の第2の端部の半径に対して大きくすることができる。第2の凹部の第2の端部の半径は、第1の凹部の第2の端部の半径の約1.5倍から約3倍、特に約2倍であることができる。第1の凹部及び第2の凹部は、各々、第2の端部において円弧で閉じることができる。第1の凹部及び第2の凹部は、各々、下方エッジと上方エッジとの間の第2の端部において移行部で閉じることができる。第1の凹部及び第2の凹部は、各々、下方エッジと上方エッジとの間の第2の端部において、エッジを伴わない移行部で閉じることができる。
【0024】
第2の凹部は、ステッチ形成要素のヘッドセクションの下半分に配置することができる。第2の凹部は、ステッチ形成要素のヘッドセクションをほぼ3つに分割することができる。
【0025】
ステッチ形成要素は、第1のガイドセクションに隣接する及び/又は第1のガイドセクションから垂直方向に離間した、少なくとも1つのさらなるガイドセクションを有することができる。少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、第1のガイドセクションの下に垂直方向に配置することができる。第1のガイドセクション及び/又は少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、脚部のように設計することができる。少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、ステッチ形成要素キャリアの環状溝に割り当てることができる。少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、ステッチ形成要素を押さえるために環状溝に係合するように働くことができる。少なくとも1つのさらなるガイドセクションは、ステッチ形成要素がステッチ形成要素キャリア上で使用するために配置されるときに、ステッチ形成要素キャリアの少なくとも1つのガイドチャネル内にガイドされるステッチ形成要素のそのセクションの下に垂直方向に延びることができる。
【0026】
ステッチ形成繊維機械は、編み機であることができる。ステッチ形成繊維機械は、円形編み機であることができる。ステッチ形成繊維機械は横編み機であることができる。ステッチ形成繊維機械は、たて編み機であることができる。ステッチ形成繊維機械は、円形編み機であることができる。ステッチ形成繊維機械は、フラットたて編み機であることができる。
【0027】
ステッチ形成要素キャリアは、ステッチ形成要素キャリアの長手方向軸を有する環状又は中空の円筒形基本形状を有することができる。ステッチ形成要素キャリアは、コームリングを有することができる。ステッチ形成要素キャリアは、シンカーリングを有することができる。ステッチ形成要素キャリアは、ニードルキャリアを有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ステッチ形成要素キャリアの端面に配置することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ステッチ形成要素キャリアの長手方向軸に対して半径方向に伸びる(run radially)ことができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ステッチ形成要素キャリア上で外側に半径方向に配置することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ステッチ形成要素キャリアの長手方向軸に平行に伸びる(run)ことができる。ステッチ形成要素キャリアは、環状溝を有することができる。環状溝は、ステッチ形成要素キャリア上の外側に半径方向に配置することができる。環状溝は、ステッチ形成要素キャリアの長手方向軸に対して周方向に同心円状に伸びることができる。環状溝は、ステッチ形成要素を押さえ、ステッチ形成要素キャリアの周方向にそれをガイドするように働くことができる。
【0028】
少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの長手方向軸を有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの長手方向軸に対して直角に少なくともほぼ長方形の断面を有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの垂直軸を有することができる。ガイドチャネルの長手方向軸とガイドチャネルの垂直軸は、互いに直角に配置することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの長手方向軸及びガイドチャネルの垂直軸に対して配置されたガイドチャネル横軸を有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの長手方向軸の延長方向にガイドチャネル長さを有することができる。ガイドチャネルの長手方向軸の延長方向はまた、チャネルの長手方向として指定することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネルの垂直軸の延長方向にガイドチャネル高さを有することができる。ガイドチャネルの垂直軸の延長方向はまた、チャネル垂直方向として指定することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、ガイドチャネル横軸の延長方向にガイドチャネル幅を有することができる。ガイドチャネル横軸の延長方向はまた、チャネル横方向として指定することができる。ガイドチャネル高さは、ガイドチャネル幅の倍数とすることができる。ガイドチャネル長さは、ガイドチャネル高さの倍数とすることができる。
【0029】
ステッチ形成要素の長手方向軸とガイドチャネルの長手方向軸は互いに対応することができる。ステッチ形成要素のガイドセクションの高さとガイドチャネル高さは、少なくとも互いにほぼ対応することができる。ガイドチャネルの長さは、少なくとも、ステッチ形成要素のガイドセクションの長さに、ステッチ形成要素の延長された第1の端部位置と、引っ込んだ第2の端部位置との間の距離を加えたものにほぼ対応することができる。ステッチ形成要素は、少なくとも1つのガイドチャネル内で長手方向に変位されることができ、できるだけ遊びを少なくして横方向にガイドされることができる。
【0030】
少なくとも1つのガイドチャネルは、底部セクションを有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、2つの壁セクションを有することができる。少なくとも1つのガイドチャネルは、底部セクションに向かって開くことができる。
【0031】
少なくとも1つのステッチ形成要素は、少なくとも1つのガイドチャネル内で長手方向にガイドされる及び/又は移動可能であることができる。少なくとも1つのステッチ形成要素は、延長された第1の端部位置と引っ込んだ第2の端部位置との間でガイドされる及び/又は移動可能であることができる。第2の端部位置において、第2の凹部は、その第1の端部がガイドチャネルを越えて(over)長手方向に突出することができる。第2の凹部はまた、第2の端部位置において少なくとも1つのガイドチャネルへのアクセスを提供することができる。第2の凹部の第2の端部はまた、長手方向においてガイドチャネルの前の第2の端部位置に配置することができる。
【0032】
本発明は、セルフクリーニングを可能にする。汚れが取り除かれる。正常に作動しない動作が減らされる又は回避される。摩耗を低減する。メンテナンス間隔を長くすることができる。時間消費、メンテナンス、クリーニング及び/又はコストなどの支出が削減される。生産性及び/又は製品品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の例示的な実施形態は、概略的にかつ例として示す図面を参照して、以下により詳細に説明される:
【0034】
図1】クリーニング凹部を備えるステッチ形成要素を示す。
図2】ステッチ形成要素のクリーニング凹部における汚れの蓄積を示す。
図3】ステッチ形成要素が延長された第1の端部位置の方向に変位したときに、ステッチ形成要素のクリーニング凹部を用いて汚れを搬送することを示す。
図4】引っ込んだ第2の端部位置方向にステッチ形成要素が変位したときのステッチ形成要素のクリーニング凹部からの汚れの排出を示す。
図5】ステッチ形成要素が外側から見て第1の端部位置に変位している状態のガイドチャネルからの吹き出しを示す。
図6】ステッチ形成要素が内側から見て第1の端部位置に変位している状態のガイドチャネルからの吹き出しを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、押さえ及びノックオーバーシンカーとして設計されたステッチ形成要素100を示す。ステッチ形成要素100は、編み機として設計されたステッチ形成繊維機械に使用され、ガイドチャネル内でガイドされ且つ変位することができる。
【0036】
ステッチ形成要素100は、長手方向軸102及び垂直軸104、第1のヘッドセクション106、第2のヘッドセクション107、第1のシャフトセクション108、並びに第2のシャフトセクション110を有する。ステッチ形成要素100は、第1のヘッドセクション106及びシャフトセクション108、110よりも第2のヘッドセクション107の幅が小さい。ステッチ形成要素100は、駆動セクション112と、駆動エッジ113と、ノックオフエッジ115と、ヤーンガイドエッジ117を備える突出ヤーンガイドセクション114と、ガイドセクション116とを有する。駆動セクション112及び駆動エッジ113は、ステッチ形成要素100を長手方向に変位させるために駆動力を導入する働きをする。駆動エッジ113は、高さ方向においてヘッドセクション106と第1のシャフトセクション108との間に延びている。駆動セクション112は、第1のシャフトセクション108と第2のシャフトセクション110との間に配置されている。ヤーンガイドエッジ117を備えるヤーンガイドセクション114は、ヤーンを押さえる働きをし、ヘッドセクション106に割り当てられる。ガイドセクション116は、ガイドチャネル内で長手方向に変位することができるようにステッチ形成要素100をガイドする役割を果たし、ヘッドセクション106に割り当てられる。
【0037】
ステッチ形成要素100は、ステッチ形成凹部144を有する。ステッチ形成凹部144は、ステッチを形成するために、糸を把持及び/又はガイドする働きをする。ステッチ形成凹部144は、ガイドセクション116の垂直上方に配置され、長手方向において開いた第1の端部120及び閉じた第2の端部122を有し、垂直方向において下方エッジ115及び上方エッジ117を有する。下方エッジ115と上方エッジ117は、それぞれ直線状であり、互いに対して及び長手方向軸102に対して平行に配置されている。ステッチ形成凹部144は、比較的小さい半径を備える円弧で第2の端部122において閉じられている。
【0038】
ステッチ形成要素100は、クリーニング凹部118を有する。クリーニング凹部118は、繊維機械の動作中にガイドチャネルから、摩耗した繊維などの汚れを除去するように働く。クリーニング凹部118は、ガイドセクション116上に配置され、長手方向において開いた第1の端部120及び閉じた第2の端部122を有し、垂直方向において下方エッジ124及び上方エッジ126を有する。
【0039】
下方エッジ124と上方エッジ126は、それぞれ直線状であり、第1の端部120において垂直方向に互いからより長い距離を有し、第2の端部122において互いからより短い距離を有し、第1の端部120に向かって開き角α=約12°で互いに向かって開くように配置され、その結果、クリーニング凹部118は、第2の端部122から第1の端部まで連続的に広がる。クリーニング凹部118は、比較的大きい半径を備える円弧で第2の端部122において閉じられている。下方エッジ124は、長手方向軸102に対してある角度で配置され、上方エッジ126は、長手方向軸102に対して平行に配置される。第2の端部122は、第1の端部120の方向の長手方向102においてヤーンガイドセクション114の上流にある。
【0040】
図2は、ステッチ形成要素キャリア130を備える編み機として設計されたステッチ形成繊維機械128におけるステッチ形成要素100を示す。ステッチ形成要素キャリア130は、132のような、ガイドチャネルを備えるコームリングを有する。ステッチ形成要素100は、ガイドチャネル内で長手方向102に変位可能にガイドされる。ガイドチャネル132は、前方のコームリングの頂部に配置され、ステッチ形成要素キャリア130の長手方向軸に対して放射状に伸びる。
【0041】
ガイドチャネル132は、各々、底部セクション及び2つの壁セクションを有し、底部セクションの上部に向かって開いている。ステッチ形成要素100は、底部セクション上且つガイドチャネルの壁セクションの間のそのガイドセクション116でガイドされる。ステッチ形成要素100の長手方向軸102と長手方向ガイドチャネル軸は、互いに対応する。ステッチ形成要素100のガイドセクション116の高さとガイドチャネルの高さは、互いに対応する。ノックオーバーエッジ115及びヤーンガイドエッジ117を備えるヤーンガイドセクション114は、垂直方向104においてガイドチャネル132の上に突出し、下方エッジ124及び上方エッジ126を備えるクリーニング凹部118は、ガイドチャネル132の内側に配置される。
【0042】
ステッチ形成要素100は、動作中に延長された第1の端部位置と引っ込んだ第2の端部位置との間で変位する。図2に示すように、摩耗した繊維などの汚れ134は、クリーニング凹部118に集まる。さらに、特に図1及び関連する説明を参照する。
【0043】
第1の端部位置では、クリーニング凹部118は、第1の端部120が長手方向102にガイドチャネル132を越えて内方に突出する。図3から分かるように、ステッチ形成要素100が矢印136の方向に延長された第1の端部位置に変位するとき、汚れ134はクリーニング凹部118によって内側に搬送され、ステッチ形成要素100が矢印138の方向に第2の端部位置の方向に変位するとき、図4に示すように、クリーニング凹部118から排出される。下方エッジ124の角度配置は、下方への排出を補助する。また、特に図1図2及び関連する説明を参照する。
【0044】
クリーニング凹部118の第2の端部122は、ガイドチャネル132の前に長手方向102の第2の端部位置に配置され、その結果、ステッチ形成要素100の第2の端部位置のクリーニング凹部118は、ガイドチャネル132へのアクセスを可能にする。このようにして、ステッチ形成要素100の第2の端部位置のガイドチャネル132は、例えば、クリーニング空気140によって作用され、クリーニングされることができる。図5は、外側から見たステッチ形成要素100が第2の端部位置に変位した状態でのガイドチャネル132の吹き出しを示し、図6は、内側から見たステッチ形成要素100が第2の端部位置に変位した状態でのガイドチャネル132の吹き出しを示す。図5及び図6はまた、第1の端部位置に変位しているステッチ形成要素142を示す。加えて、特に、図1図4及び関連する説明を参照する。
【0045】
「~し得る、~してよい(may)」という用語は、特に、本発明のオプションの特徴を指す。従って、追加的に又は代替的に、それぞれの特徴又はそれぞれの特徴(複数)を有する本発明のさらなる発展及び/又は例示的実施形態も存在する。
【0046】
必要に応じて、分離された特徴はまた、本事例で開示された特徴の組み合わせから選択することもでき、特徴間に存在し得る構造的及び/又は機能的関係を解決しながら、請求項の主題を区別するために他の特徴と組み合わせて使用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
100 ステッチ形成要素
102 長手方向軸、長手方向
104 垂直軸、垂直方向
106 第1のヘッドセクション
107 第2のヘッドセクション
108 第1のシャフトセクション
110 第2のシャフトセクション
112 駆動セクション
113 駆動エッジ
114 ヤーンガイドセクション
115 下方エッジ、ノックオーバーエッジ
116 ガイドセクション
117 上方エッジ、糸ガイドエッジ
118 第2の凹部、クリーニング凹部
120 第1の端部
122 第2の端部
124 下方エッジ
126 上方エッジ
128 繊維機械
130 ステッチ形成要素キャリア
132 ガイドチャネル
134 汚れ
136 矢印の方向
138 矢印の方向
140 クリーニング空気
142 ステッチ形成要素
144 第1の凹部、ステッチ形成凹部
146 第1の端部
148 第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6