(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/48 20060101AFI20241021BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241021BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P37/08
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2021566106
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 US2020032179
(87)【国際公開番号】W WO2020231843
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】バーチウッド, クリスティーン
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/089978(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/159609(WO,A1)
【文献】特表2014-509606(JP,A)
【文献】THE LANCET,2014年,Vol.383,pp.1297-1304
【文献】Annals of Allergy, Asthma & Immunology,2012年,Vol.109, No.5,pp.348-352.e2
【文献】Allergy,2018年,Vol.73,pp.560-568
【文献】Allergy,2014年,Vol.69,pp.834-844
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活の質質問票(QoLQ)によって評価される、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する
方法に使用するためのピーナツ組成物であって、
前記方法が経口免疫療法スケジュールに従って
前記ピーナツ組成物を前記患者に投与
する工程を含み、
前記ピーナツ組成物が、ピーナツタンパク質を含み、
前記経口免疫療法スケジュールが、用量増加期間と維持期間とを含み、
前記用量増加期間が、3mgと初期維持期間用量との間の2つ以上の異なる用量のピーナツタンパク質を前記患者に投与することを含み、
前記用量増加期間が、3か月~2年間の時間長さであり、
前記ピーナツ組成物が、前記経口免疫療法スケジュールの維持期間中に、300mgのピーナツタンパク質の用量で前記患者に投与され、
前記維持期間が、少なくとも3か月である、ピーナツ組成物。
【請求項2】
前記患者が、前記ピーナツ組成物が投与されることを通知される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記患者が、
(a)前記経口免疫療法スケジュールの開始前に前記ピーナツ組成物が前記患者に投与されることを通知されるか、
(b)前記経口免疫療法スケジュールの開始時に前記ピーナツ組成物が前記患者に投与されることを通知されるか、
(c)前記経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中に前記ピーナツ組成物が前記患者に投与されることを通知されるか、又は、
(d)前記経口免疫療法スケジュールの維持期間中に前記ピーナツ組成物が前記患者に投与されることを通知される
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記QoLQが、1つ以上のスコアリングされた測定ドメインを含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記QoLQが、
(a)食物アレルギーのQoL質問票(Food Allergy Quality of Life Questionnaire、FAQLQ)であるか、
(b)FAQLQ-子供フォーム(FAQLQ-CF)、FAQLQ-若者フォーム(FAQLQ-TF)、FAQLQ-成人フォーム(FAQLQ-AF)、又はFAQLQ-親フォーム(FAQLQ-PF)であるか、
(c)食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)であるか、
(d)食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)であり、前記FAIMが、FAIM-子供フォーム(FAIM-CF)、FAIM-若者フォーム(FAIM-TF)、FAIM-成人フォーム(FAIM-AF)、又はFAIM-親フォーム(FAIM-PF)であるか、又は、
(e)小児用QoL調査票(PedsQL)である
請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
前記生活の質が、少なくとも6か月間改善される、又は、少なくとも12か月間改善される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記QoLQの前記1つ以上のスコアリングされたドメインが、それぞれ1~7のスケールでスコアリングされる、又はそれぞれ第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、前記第2スコアは、生活の質の低下を示す、請求項
4又は5に記載の組成物。
【請求項8】
前記患者の生活の質の改善が、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、前記経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、前記QoLQの1つ以上のドメインで少なくとも0.5である、請求項
4又は5に記載の組成物。
【請求項9】
前記患者の生活の質の改善が、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、前記経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの合計スコアで少なくとも0.5であり、
前記合計スコアは、各ドメインスコアの平均である、請求項
4又は
5に記載の組成物。
【請求項10】
(a)前記第1時点と前記第2時点との間の前記経口免疫療法の期間が、前記経口免疫療法スケジュールの用量増加期間であるか、又は、
(b)前記第1時点と前記第2時点との間の前記経口免疫療法の期間が、前記経口免疫療法スケジュールの維持療法の少なくとも1か月である、
請求項
8又は請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記生活の質が、6か月間の前記経口免疫療法スケジュールの後に改善される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記経口免疫療法スケジュールが、初期漸増期間を更に含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(a)前記患者が、約4歳以上であるか
(b)前記患者が、約4歳~約17歳の間であるか、又は
(c)前記患者が、約8歳~約17歳の間である
請求項1~
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(a)前記経口免疫療法スケジュールに従って前記ピーナツ組成物が前記患者に投与される前に前記生活の質が測定される、又は
(b)前記経口免疫療法スケジュールに従って前記ピーナツ組成物が前記患者に投与された後に前記生活の質が測定される、
請求項1~
13のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年5月10日に出願された米国特許仮出願第62/846,481号、2019年5月31日に出願された米国特許仮出願第62/855,384号、及び2020年1月30日に出願された米国特許仮出願第62/967,948号の優先権の利益を主張し、その開示はそれぞれ、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本明細書に記載されるのは、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善するための方法である。
【背景技術】
【0003】
[0003]ピーナツアレルギーは、ピーナツタンパク質に対する免疫系のアレルギー性過敏症反応である。ピーナツアレルギーは小児期に発症することが多く、通常は効果的な治療がない苦難が生涯にわたる。ピーナツに対するアレルギー反応は、重度且つ生命を脅かす可能性があり、重度の食物アナフィラキシーの主な原因である。
【0004】
[0004]ピーナツアレルギーは、患者とその介護者/家族にかなりの負担をかける。ピーナツアレルギーの管理は、継続的な医療的ケア、経済的なコスト、及びピーナツの慎重な回避又は他の医療アドバイスの順守を含む。これらの負担は、不安や抑うつ症状など、様々な形で現れる可能性がある。アレルギーイベントのリスクに関する不安は、ピーナツアレルギーの子供たちを社会的イベントなどから排除することにつながる可能性がある。例えば、Bollinger et al.,The impact of food allergy on the daily activities of children and their families,Ann.Allergy Asthma Immunol.96:415-21(2006)を参照されたい。まとめると、これらの負担は、患者の生活の質(QoL)に影響を与える可能性があり、介護者や家族の生活の質にも影響を与える可能性がある。例えば、King et al.,Impact of peanut allergy on quality of life,stress and anxiety in the family,Allergy,64(3):461-8(2009)を参照されたい。ピーナツアレルギー患者が経験する負担は、1型糖尿病を含む他の深刻な慢性疾患患者が経験する負担よりも大きい可能性がある。例えば、Avery et al.,Assessment of quality of life in children with peanut allergy,Ped.Allergy Immunol.14:378-82(2003)を参照されたい。
【0005】
[0005]ピーナツアレルギーを治療するための標準治療は、一般に、食事でのピーナツの排除と回避、アナフィラキシーの兆候に関する教育、及びピーナツタンパク質への食事曝露による重度のアレルギー反応に応じた注射可能なエピネフリンの投与を含む。しかしながら、食品ラベルを読み取ることが困難であること、及びラベル表示のない食品中に説明のない成分が存在することから、ピーナツの偶発的な摂取はよくあることである。経口免疫療法(OIT)は、ピーナツアレルギーの有望な新しい治療法である。例えば、Bird et al.,Efficacy and Safety of AR101 in Oral Immunotherapy for Peanut Allergy:Results of ARC001、a randomized Double-Blind,Placebo-Controlled Phase 2 Clinical Trial,J.Clin.Immunol.Pract.,6(2):476-485(2018)を参照されたい。ピーナツOITは、用量を漸増させたピーナツタンパク質に患者を曝露して脱感作を誘発することを含み、この誘発は、ピーナツへの偶発的曝露時の重篤反応のリスクを低減することを意図するものである。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書に記載されるのは、経口免疫療法スケジュールに従った経口免疫療法によってピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する方法である。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する方法は、経口免疫療法スケジュールに従って患者にピーナツ組成物を投与する工程を含む。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、患者は、ピーナツ組成物が投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの開始時にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、この方法は、ピーナツ組成物が患者に投与されていることを患者に通知する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの開始前にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、生活の質質問票(QoLQ)を使用して測定される。いくつかの実施形態では、QoLQは、1つ以上のスコアリングされた測定ドメインを含む。いくつかの実施形態では、QoLQは、食物アレルギーQoL質問票(Food Allergy Quality of Life Questionnaire、FAQLQ)である。いくつかの実施形態では、FAQLQは、FAQLQ子供フォーム(FAQLQ-CF)、FAQLQ-若者フォーム(FAQLQ-TF)、FAQLQ-成人フォーム(FAQLQ-AF)、又はFAQLQ親フォーム(FAQLQ-PF)である。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、生活の質質問票(QoLQ)によって評価されるように、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する方法は、経口免疫療法スケジュールに従って患者にピーナツ組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、患者は、ピーナツ組成物が投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの開始時にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、患者は、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、この方法は、ピーナツ組成物が患者に投与されていることを患者に通知する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、この方法は更に、ピーナツ組成物が患者に投与されることを患者に通知する工程を含み、患者は、経口免疫療法スケジュールの開始前にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、この方法は、ピーナツ組成物が患者に投与されることを患者に通知する工程を更に含み、患者は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、この方法は、ピーナツ組成物が患者に投与されることを患者に通知する工程を更に含み、患者は、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される。いくつかの実施形態では、QoLQは、1つ以上のスコアリングされた測定ドメインを含む。いくつかの実施形態では、QoLQは、食物アレルギーQoL質問票(FAQLQ)である。いくつかの実施形態では、FAQLQは、FAQLQ子供フォーム(FAQLQ-CF)、FAQLQ-若者フォーム(FAQLQ-TF)、FAQLQ-成人フォーム(FAQLQ-AF)、又はFAQLQ親フォーム(FAQLQ-PF)である。いくつかの実施形態では、QoLQは、食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)である。いくつかの実施形態では、FAIMは、FAIM-子供フォーム(FAIM-CF)、FAIM-若者フォーム(FAIM-TF)、FAIM-成人フォーム(FAIM-AF)、又はFAIM-親フォーム(FAIM-PF)である。いくつかの実施形態では、QoLQは、小児用QoL調査票(PedsQL)である。
【0012】
[0012]前述の方法のいくつかの実施形態では、生活の質は、少なくとも6か月間改善される。いくつかの実施形態では、生活の質は、少なくとも12か月間改善される。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、QoLQの1つ以上のスコアリングされたドメインは、それぞれ1~7のスケールでスコアリングされる、又はそれぞれ第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、第2スコアは、生活の質の低下を示す。いくつかの実施形態では、患者の生活の質の改善は、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、その経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの1つ以上のドメインで少なくとも0.5点である。いくつかの実施形態では、患者の生活の質の改善は、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、その経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの合計スコアで少なくとも0.5点であり、合計スコアは、各ドメインスコアの平均である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの維持療法の少なくとも1か月である。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、生活の質質問票(QoLQ)を使用して測定される。いくつかの実施形態では、QoLQは、食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)である。いくつかの実施形態では、FAIMは、FAIM-子供フォーム(FAIM-CF)、FAIM-若者フォーム(FAIM-TF)、FAIM-成人フォーム(FAIM-AF)、又はFAIM-親フォーム(FAIM-PF)である。いくつかの実施形態では、患者の生活の質の改善は、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、その経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの合計スコアで少なくとも0.5点であり、合計スコアは、各ドメインスコアの平均である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの維持療法の少なくとも1か月である。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、生活の質は、6か月間の経口免疫療法スケジュールの後に改善する。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールは、用量増加期間と維持期間とを含む。いくつかの実施形態では、ピーナツ組成物は、維持期間中に毎日患者に投与される。いくつかの実施形態では、維持期間は少なくとも3か月である。いくつかの実施形態では、ピーナツ組成物は、経口免疫療法スケジュールの維持期間中に、約300mg以上のピーナツタンパク質の用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、用量増加期間は、約3mgと初期維持期間用量の用量近辺との間の2つ以上の異なる用量を患者に投与することを含む。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールは、約3か月~約2年間の時間長さの用量増加期間を含む。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールは、初期漸増期間を更に含む。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、患者は約4歳以上である。いくつかの実施形態では、患者は約4歳~約17歳の間である。いくつかの実施形態では、患者は約8歳~約17歳の間である。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、この方法は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与する前に生活の質を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与した後に生活の質を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ピーナツ組成物が投与されていることを患者に通知した後に生活の質を測定する工程を含む。いくつかの実施形態では、患者の生活の質は、生活の質質問票(QoLQ)によって決定されるように改善される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】3つの時点での食物アレルギーQoL質問票(FAQLQ、例えば、FAQLQ-CF又はFAQLQ-TF)及び食物アレルギー非依存性尺度(FAIM、例えば、FAIM-CF又はFAIM-TF)によって測定された、2つのピーナツOIT臨床試験(PALISADE及びPALISADE試験の非盲検延長)に参加した対象(8~17歳)の自己報告による生活の質の結果を示す(左:FAQLQ、右:FAIM)。第1時点は、第1臨床試験(PALISADE)のスクリーニング中とした。第2時点(T2)は、PALISADE終了時に実施された二重盲検プラセボ対照食品負荷試験(DBPCFC)の完了後、非盲検延長の開始前とした。第3時点(T3)は、非盲検延長の終了時とした。
図1の左パネルは、FAQLQ合計スコア、並びにアレルゲン回避と食事制限、偶発的な曝露のリスク、及び情緒的影響のドメインの平均スコア(95%信頼区間が示される)を示す。
図1の右パネルは、FAIMの合計スコア、並びに結果の期待、製品の回避、及び社会的影響の質問の平均スコア(95%信頼区間が示される)を示す。両方の合計スコアの結果と6つのドメイン/質問スコアの結果のうち4つとは、PALISADEスクリーニングとT3との間で臨床的に重要な変化の最小量(MCID)の閾値である0.5を超えた。これは棒グラフの上の星印で示される。
【
図2】3つの時点での食物アレルギーQoL質問票(FAQLQ、例えば、FAQLQ-PF)及び食物アレルギー非依存性尺度(FAIM、例えば、FAIM-PF)によって測定された、2つのピーナツOIT臨床試験(PALISADE及びPALISADEの非盲検延長)に参加した対象(4~17歳)に関する代理報告による生活の質の結果を示す(左:FAQLQ、右:FAIM)。第1時点は、第1臨床試験(PALISADE)のスクリーニング中とした。第2時点(T2)は、PALISADE終了時に実施された二重盲検プラセボ対照食品負荷試験(DBPCFC)の完了後、非盲検延長の開始前とした。第3時点(T3)は、非盲検延長の終了時とした。
図2の左パネルは、FAQLQの合計スコア、並びに情緒的影響、食物不安、社会的及び食事制限のドメインの平均スコア(95%信頼区間が示される)を示す。
図2の右パネルは、FAIMの子供の結果の期待(代理人による)及び親/介護者の結果の期待の平均スコア(95%信頼区間が示される)を示す。子供の結果の期待(代理人による)については、13~17歳の子供の親又は介護者にはこの質問についての試験を行わなかった。親/介護者の結果の期待の質問は、PALISADEスクリーニングとT3との間で臨床的に重要な変化の最小量(MCID)を超えた。これは棒グラフの上に星印で示される。
【
図3】第1ピーナツOIT臨床試験(PALISADE)のスクリーニングから、PALISADEと非盲検延長との間の時点を含むPALISADEの非盲検延長の終了までの様々な対象の生活の質の変化を示す。円形の点は、自己報告(FAQLQ-CFやFAQLQ-TFなど)又は代理報告(例えば、FAQLQ-PF)による食物アレルギーQoL質問票(FAQLQ)の合計スコアの平均(95%信頼区間が示される)変化を示す。三角形の点は、自己報告(FAIM-CF又はFAIM-TFなど)又は代理報告(例えば、FAIM-PF)のいずれかによる食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)合計スコアの平均(95%信頼区間が示される)変化を示す。実線と破線は、二重盲検プラセボ対照食品負荷試験で測定された2つの臨床試験の間の時点(即ち、PALISADE終了)で、特定の対象が少なくとも600mgのピーナツタンパク質を許容したかどうか、対象が第1臨床試験(PALISADE)又は非盲検延長のいずれかで全身性アレルギー反応を経験したかどうか、及び対象が第1臨床試験(PALISADE)又は非盲検延長中にアドレナリンを使用したことを報告したかどうかに関して、それぞれ「はい」と「いいえ」を示す。縦の破線(+/-0.5スコアの変化)は、QoL手段ごとの臨床的に重要な変化の最小量(MCID)を示す。
【
図4】活性剤群スクリーニング(各合計スコア又はドメインスコアの第1の線)、活性剤群終了(各合計スコア又はドメインスコアの第2の線)、プラセボ群スクリーニング(各合計スコア又はドメインスコアの第3の線)、及びプラセボ群終了(各合計スコア又はドメインスコアの第4の線)の、AR101の欧州臨床試験から8~12歳の参加者によって報告されたFAQLQ及びFAIMの合計スコアとドメインスコアを示す。
【
図5】活性剤群スクリーニング(各合計スコア又はドメインスコアの第1の線)、活性剤群終了(各合計スコア又はドメインスコアの第2の線)、プラセボ群スクリーニング(各合計スコア又はドメインスコアの第3の線)、及びプラセボ群終了(各合計スコア又はドメインスコアの第4の線)の、AR101の欧州臨床試験から13~17歳の参加者によって報告されたFAQLQ及びFAIMの合計スコアとドメインスコアを示す。
【
図6】活性剤群スクリーニング(各ドメインの第1の線)、活性剤群終了(各ドメインの第2の線)、プラセボスクリーニング(各ドメインの第3の線)、及びプラセボ終了(各ドメインの第4の線)の、AR101の欧州臨床試験から4~12歳の参加者の介護者によって報告されたドメイン全体の代理報告FAIMスコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0027]本明細書に記載されるのは、ピーナツアレルギーの患者の生活の質を改善する方法である。この方法は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与する工程を含み得る。ピーナツアレルギーの結果として生活の質が低下した対象は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物で治療することにより、生活の質が改善され得ることが見出された。経口免疫療法における治験中のピーナツタンパク質経口生物学的薬剤AR101の有効性を試験する複数の大規模臨床試験全体において、初期脱感作と維持療法の期間後、対象報告及び代理報告の生活の質の有意な改善が、各投与群全体で観察された。群全体でのこれらの実質的な改善は、本明細書に記載の治療を受ける個人が生活の質を改善する可能性が高いことを示す。
【0023】
[0028]ピーナツアレルギーの治療のための経口免疫療法スケジュールに従って、ピーナツ組成物を投与される予定であること又は投与されていることを対象に通知することにより、対象の生活の質を改善し得る。治療であることを知らされない盲検試験で組成物を投与するのとは対照的に、活性治療剤(即ち、ピーナツ組成物)による治療であることを知らされていることは、生活の質の改善をもたらす可能性がある。経口免疫療法は、偶発的な食事曝露が発生するのと同じ経路で(即ち、経口摂取)ピーナツタンパク質を投与する工程を含む。したがって、脱感作が達成されると、経口免疫療法は、皮膚曝露又は注射に基づく方法などの他の免疫療法方法と比較して、患者がピーナツタンパク質への偶発的な曝露から保護されるという追加の確実性を患者及び/又はその介護者に提供し得る。この効果は、実際の脱感作とは無関係であり得る。ピーナツ組成物が投与されていることを患者に通知した後、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツタンパク質を投与するたびに、偶発的な曝露に対して脱感作されているという患者の自信が高まり、時間の経過と共に患者の生活の質が向上する可能性がある。したがって、本明細書に記載の患者の生活の質を改善する方法は、治療されていることを知っている患者にピーナツ組成物を投与する工程を含み得る(即ち、彼らがプラセボではなくピーナツ組成物を受けていることを通知する)。患者は、経口免疫療法スケジュールの開始前又は経口免疫療法スケジュール中(経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中又は維持期間中など)に活性剤治療について通知され得る。いくつかの実施形態では、この方法は、患者に活性剤治療であること(即ち、ピーナツ組成物が患者に投与されていること)を通知する工程を含む。
【0024】
[0029]経口免疫療法((OIT))は、増加する用量のアレルゲンに対象を定期的に曝露することによって、対象にアレルゲンに対する脱感作を誘発する方法である。ピーナツアレルギーの場合、OITのプロトコルは、典型的には用量増加期間(ビルドアップ期間とも呼ばれる)及び維持期間を伴う。OITは、初期漸増期間を更に含み得るが、この期間は任意的であり、治療には必要ではない。初期漸増期間は、患者のピーナツタンパク質感受性を評価するための、臨床管理下での低用量のピーナツタンパク質への曝露を伴う。この初期漸増期間は、一般に、数時間(例えば、3時間以上)~2日間にわたってとられる。これらの小用量は、対象が初期漸増期間の目標用量又は最大耐量に達するまで増加される。次に、対象は通常、初期漸増期間で投与される最大耐量又はわずかにそれよりも低い用量で始まり、用量増加期間中に一連の用量を介して漸増する、用量増加期間を開始する。更に、ピーナツOITは、ある期間にわたるピーナツタンパク質の継続投与を伴う維持期間を含む。経口免疫療法の1つの目標は、脱感作状態を確立することであり、該状態では、治療される対象が、ピーナツタンパク質に偶発的に曝露したときに、重度又は生命を脅かすアレルギー反応を受ける可能性がより低い。
【0025】
[0030]ピーナツアレルギー患者は、生活の質の低下を被る可能性があり、それらの生活の質は、本明細書に記載の方法によって改善され得る。
【0026】
定義
[0031]本明細書で使用するとき、単数形「1つの」(「a」、「an」及び「the」)には、別段の明確な指示がない限り、複数の参照物も含まれる。
【0027】
[0032]本明細書の「約」を伴う値又はパラメーターの参照は、その値又はパラメーターそれ自体のバリエーションを含む(及び記載する)。例えば、「約X」を参照する記載は、「X」の記載を含む。
【0028】
[0033]用語「脱感作された」は、本明細書において、食物アレルゲンに対する経口免疫療法の結果としての、食物アレルゲンに対する対象の反応閾値の上昇を指して使用される。食物アレルゲンに対する脱感作は、経口食物負荷などの当該技術分野において公知の方法を使用して試験することができる。脱感作は部分的であってもよく、対象は、治療前と比較して多量(increased amount)の食物アレルゲンに耐容するが、高用量の食物アレルゲンには依然として反応し、又は、脱感作は完全なものであってもよく、その場合、患者は、その食物アレルゲンに関する全ての試験用量に耐容を示す。
【0029】
[0034]本明細書で使用される用語「生活の質(quality of life)」は、「疾患に関連する生活の質(disease-related quality of life)」及び「健康に関連する生活の質(health-related quality of life)」と同義であり、食物アレルギーの影響を受けた、及び/又はその治療の影響を受けた対象の生活の一部を指す。
【0030】
[0035]用語「有効な」、「効力」又は「有効性」は、本明細書において、別途記載のない限り、ある治療が脱感作などの免疫調節を誘導する能力、又は所望の免疫状態、例えば、感作状態を維持する能力を指して使用される。
【0031】
[0036]本明細書で使用するとき、「維持期間」とは、患者へのピーナツタンパク質(すなわち、維持用量)の投与を含み、且つ用量増加期間の完了後に開始する、ピーナツタンパク質の経口免疫療法の期間を指す。
【0032】
[0037]本明細書で使用するとき、「軽度のアレルギー性有害事象」とは、一時的な不快感を伴って観察された又は経験されたOIT治療関連アレルギー性有害事象であって、但し入院又はエピネフリンなどの即時の医療介入を必要とせず、かつ毎日の活動を実質的に妨害しない有害事象を指す。
【0033】
[0038]本明細書で使用するとき、「中等度のアレルギー性有害事象」とは、毎日の活動を妨害するのに十分な程度の不快感に関連し、医療介入及び/又は更なる観察を促し得る、観察された又は経験されたOIT治療関連アレルギー性有害事象を指す。
【0034】
[0039]本明細書で使用するとき、「毎日」の投与は、連続する暦日のそれぞれで用量を投与することを意味する。この用量は、暦日に単一部分として投与されてもよく、又は同じ暦日内に投与される複数の部分に更に分割されてもよい。
【0035】
[0040]本明細書で使用するとき、「重篤なアレルギー性有害事象」という句は、入院及び/若しくはエピネフリンの投与又はその他の救命医療措置を必要とするアナフィラキシーにつながる、観察された又は経験されたOIT治療関連のアレルギー性有害事象を指す。
【0036】
[0041]用語「対象(subject)」又は「患者(patient)」は、本明細書では同義かつ交換可能に使用され、任意の年齢のヒトについて述べる。
【0037】
[0042]ある用量が対象に投与され、中等度又は重度のアレルギー性有害事象を伴わないとき、対象は該用量に「耐容する」。軽度のアレルギー性有害事象が観察又は経験された場合であっても、対象は用量に耐容するとみなされる。
【0038】
[0043]用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、及び「治療(treatment)」という用語は、少なくとも1つの症状の軽減、阻害、抑制、又は排除を通じた条件の改善、疾患の進行の遅延、疾患の再発の遅延、疾患の阻害、又はアレルゲンに対する応答若しくは反応を部分的に又は完全に低減することと、を含む、疾患状態又は条件に罹患した対象に利益を提供する任意の作用を指すために本明細書において同義的に使用される。
【0039】
[0044]「用量増加期間」とは、経口免疫療法中に患者に投与される最大用量よりも低い用量の食物アレルゲンの投与から開始し、経口免疫療法中に患者に投与される最大用量が達成されたときに終了する、一連の食物アレルゲン用量の増加を特徴とする経口免疫療法の期間を指す。
【0040】
[0045]本明細書に記載される本発明の態様及び変形例は、態様及び変形例「を含む」及び/又は「から本質的になる」ものを含むと理解される。
【0041】
[0046]値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値、及び言及された範囲内の任意の他の言及された値又は介在する値は、本開示の範囲内に包含されると理解されるべきである。言及された範囲が上限値又は下限値を含む場合、その含まれる限界値のいずれかを除外した範囲もまた、本開示に含まれる。
【0042】
[0047]本明細書で使用するセクションの見出しは、構成上の目的のために過ぎず、記載する対象を限定すると解釈されるべきではない。本記載は、当業者が本発明を作製及び使用することを可能にするために提示され、特許出願及びその要件に照らして提供される。記載される実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書の一般原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載される原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。
【0043】
[0048]本明細書で参照される全ての刊行物、特許、及び特許出願の開示は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用される。参照により組み込まれた任意の参照が本開示と矛盾する場合、本開示が優先されるものとする。
【0044】
生活の質を改善する方法
[0049]ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従って患者にピーナツ組成物を投与することによって改善され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与されていること、又は投与される予定であることを患者に通知することによって改善され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を投与されていること、又は投与される予定であることを患者に通知するように患者の介護者に指示することによって改善され得る。
【0045】
[0050]経口免疫療法の前又は最中の任意の時点で、対象は、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知され得、或いは、対象の介護者は、経口免疫療法スケジュールに従って、対象がピーナツ組成物を投与される予定であること、又は投与されることを通知され得る。いくつかの実施形態では、経口免疫療法のスケジュールの開始前に、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間の開始前に、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中に、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間の後に、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールの維持期間中に、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。いくつかの実施形態では、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも6か月、及び少なくとも12か月の経口免疫療法の維持療法の後など、少なくとも1か月の経口免疫療法スケジュールの維持療法の後、対象は通知される、又は対象の介護者は対象に通知するように指示される。
【0046】
[0051]経口免疫療法の前、最中、又は後に、対象は生活の質の評価を受け得る。ピーナツアレルギーは、ピーナツタンパク質に対するアレルギー反応を通じて生活の質に影響を与える。しかし、アレルギー反応がなくても、ピーナツアレルギー患者は、アレルギー反応の恐れ、アレルギーの経済的負担、アレルギーの社会的制限など、生活の質の低下に苦しむ。対象とその介護者は、食品のラベルを読んだり、ラベルのない食品の成分を調べたり、相互汚染の可能性のある環境で調理された食品を避けたりするなどして、食品の選択を精査し検証することにかなりの時間を費やす必要がある。対象とその介護者は、これらの負担に対する不安を経験し得、それは更に抑うつ症状として現れ得る。対象は、急速に発症するアレルギー反応を恐れて、一人暮らしや一人での食事を避ける場合がある。これらの影響は、合わせて、対象の生活の質を低下させる。
【0047】
[0052]ピーナツアレルギーなどの食物アレルギー患者の生活の質を測定するために、OITの前、最中、又は後に、疾患関連のQoLなどの生活の質を測定する方法が開発及び検証されてきており、開発及び検証されるであろう。生活の質を評価する最も一般的な方法では、ピーナツアレルギーなどの食物アレルギーによって課せられる負担の、それぞれ1つ以上の問題にわたって、1つ以上のドメインを定性的及び/又は定量的な面で評価するように設計された質問票を使用する。例示的な質問票は一般に、(1)測定される生活の質の部分が食物アレルギーに関連しているという意味で有効であり、(2)同様の条件下で行われた質問票は同等であり、食物アレルギーの負担又は治療の負担に変化がない限り、一般に同様の結果が得られ得るという意味で再現性があり、(3)食物アレルギーの負担及び/又は治療の負担の変化が検出される及び/又は検出可能であるという意味で応答性があり、並びに(4)質問票の臨床的に重要な変化の最小量(MCID)によって決定されるように、スコア化された変化が臨床的に意義があるという意味で解釈可能である。
【0048】
[0053]対象の生活の質の改善は、少なくとも2つの時点の間の変化を含む。更に、改善は、特定の手段(特定の生活の質質問票又は他のQoL評価など)に関して理解される。例えば、対象の生活の質が生活の質質問票によって評価される場合、改善とは、特定のドメインでの改善又は前記質問票の合計スコアの改善など、同じ生活の質質問票のスコアの改善である。いくつかの実施形態では、改善は、質問票の臨床的に重要な変化の最小量(MCID)以上であるなど、臨床的に意義がある。いくつかの実施形態では、改善は、ベースライン測定などのある時点から第2時点までの間の生活の質質問票のドメインスコア又は合計スコアの変化である。
【0049】
[0054]いくつかの実施形態では、医師、看護師、アレルギー専門医、又はアレルギー治療の分野で訓練を受けた他の専門家などの熟練した医療提供者は、ピーナツアレルギーなどの食物アレルギーに対する経口免疫療法によって治療される、又は治療されている対象に適切なQoL評価手段を選択し得る。好ましくは、QoL評価手段は、年齢に適し、対象の特定の年齢範囲に対して検証される。若い対象の場合、例えば12歳未満の対象では、代理報告(ピーナツアレルギーのある対象に関して対象の介護者が記入するものなど)が必要になる場合、又は自己報告を補完する場合がある。6歳、7歳、又は8歳以上の対象の場合、常にではないが、自己報告だけで十分な場合もある。いくつかの実施形態では、評価手段は、対象の母語(自己報告の場合)及び/又は対象の介護者の母語(代理報告の場合)について検証され得る。いくつかの実施形態では、評価手段は、文化的に検証され得、例えば、対象(自己報告の場合)及び/又は対象の介護者(代理報告の場合)が居住する国又は地域で検証され得る。
【0050】
[0055]いくつかの実施形態では、生活の質は、食物アレルギー特異的QoLQなどの生活の質質問票(QoLQ)によって評価され得る。いくつかの実施形態では、食物アレルギー特異的QoLQは、ピーナツアレルギー特異的QoLQである。QoLQは典型的に、1つ以上のドメインに分割され、各ドメインは身体的、精神的、情緒的、或いは社会的機能又は幸福のカテゴリに関連する。QoLQのドメインは、1つ以上の問題を含み得る。QoLQは、1つ以上のドメイン及び/又は1つ以上の問題を個別に、及び/又は全体としてスコアリングし得る。対象となる例示的なドメイン及び/又は問題は、いじめ、からかい、家族、家族のイベント、学校、学校のイベント、社交、社交イベント、遠足、パーティー、お泊まり会、友人の家での遊び、食事の準備に費やした時間、身体的状態、精神的状態、情緒的状態、結果の期待、知覚されるリスク、親の不安、親の苦痛、心理社会的影響、親の対処、家族の支援、社会的予防策、食物アレルゲンの同定、情緒的影響、食品関連の不安、社会的制限、アレルゲン回避、食事制限、偶発的な曝露のリスク、恐怖、知覚、独立、及び/又はアドレナリンを持つ負担を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、QoLQによって測定されるドメイン及び/又は問題は、食物アレルギーを患うことの負担及び/又は食物アレルギーの治療に関連することが検証された任意のドメイン及び/又は問題を含む。いくつかの実施形態では、QoLQによって測定されたドメイン及び/又は問題は、ピーナツアレルギーである食物アレルギーの負担及び/又はピーナツアレルギーである食物アレルギーの治療に関連することが検証されたドメイン及び/又は問題を含む。
【0051】
[0056]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、ピーナツアレルギー患者に1つ以上のQoLQを実施して、前記対象の生活の質を測定することによって評価され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、対象の介護者に1つ以上のQoLQを実施して、前記対象の生活の質を測定することにより、代理人によって評価され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、ピーナツアレルギー患者に1つ以上のQoLQを実施し、及び対象の介護者に1つ以上のQoLQを実施して、前記対象の生活の質を測定することによって評価され得る。いくつかの実施形態では、対象の介護者は、前記対象に対するピーナツアレルギーの生理学的、情緒的、経済的、及び/又は身体的負担を認識する任意の個人である。いくつかの実施形態では、対象の介護者は、家族の一員(親、祖父母、兄弟、叔母、叔父、いとこなど)又は他の保護者(法的に任命された保護者など)である。
【0052】
[0057]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上複数のQoLQを実施して、対象の生活の質を測定することによって評価され得る。いくつかの実施形態では、対象の生活の質を測定するための1つ以上のQoLQは、食物アレルギーのQoL-親の負担に関する質問票(FAQL-PB)、食物アレルギー影響スケール(FAIS)、食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)、食物アレルギー非依存性尺度子供フォーム(FAIM-CF)、食物アレルギー非依存性尺度若者フォーム(FAIM-TF)、食物アレルギー非依存性尺度成人フォーム(FAIM-AF)、食物アレルギー非依存性尺度親フォーム(FAIM-PF)、食物アレルギー親質問票(FAPQ)、子供の健康に関する質問票の親フォーム(CHQ-PF)、親のための食物アレルギー自己有効性スケール(FASE-P)、小児アレルギー性疾患QoL質問票(PADQLQ)、食物アレルギーのQoL質問票-親フォーム(FAQLQ-PF)、食物アレルギーのQoL質問票-子供フォーム(FAQLQ-CF)、食物アレルギーのQoL質問票-若者フォーム(FAQLQ-TF)、若者向けの食物アレルギーのQoL評価ツール(FAQL-teen)、あなたとあなたの食物アレルギーに関する質問票、食物アレルギーのQoL質問票-成人フォーム(FAQLQ-AF)、36項目のショートフォーム健康調査(SF-36)、EuroQol 5D Youth(EQ-5D-Y)又は5-level EQ-5D(EQ-5D-5L)などのEuroQol EQ-5D、病院不安抑うつスケール(HADS)、ピーナツアレルギーが情緒と生活に影響を与える(APPEAL)調査、及び小児用QoL調査票(PedsQL)から選択される1つ以上のQoLQを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のQoLQは、FAQLQ-CF、FAQLQ-TF、FAQLQ-AF、又はFAQLQ-PFなどのFAQLQを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のQoLQは、自己報告によるFAQLQ-CF、FAQLQ-TF、又はFAQLQ-AFを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のQoLQは、代理報告によるFAQLQ-PFを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のQoLQは、自己報告によるFAQLQ-CF、FAQLQ-TF、FAQLQ-AF、及び代理報告によるFAQLQ-PFを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のQoLQは、FAIM-CF、FAIM-TF、FAIM-AF、又はFAIM-PFなどのFAIMを含む。
【0053】
[0058]QoLQは典型的に、1つ以上のスコアリングされたドメインを含み、各ドメインは対象の生活の質に関連する態様又はカテゴリを反映する。いくつかの実施形態では、QoLQは、スケールに沿って各ドメインに数値スコアを割り当てる。スコアは任意のスケールであり得、第1スコアは生活の質の向上に関連し、第2スコアは生活の質の低下に関連する。例えば、スケールは1~5の間、1~6の間、1~7の間、又は他の選択された値であってよい。いくつかのスケールによれば、より高いスコアは、生活の質の低下を示すために使用され得る。合計スコア、総スコア、及び/又は複数のドメインのスコアもまた、QoLQの複数のドメインの平均スコアに基づいて評価され得る。いくつかの実施形態では、QoLQのドメイン及び/又は合計スコアは、1~7の間のスコアなどの共通のスケールに変換され得、この場合、7は生活の質の低下に関連し、又は第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され得、この場合は、第2スコアは、生活の質の低下に関連する。
【0054】
[0059]実施されるQoLQは、対象及び/又はその介護者に適している必要がある。いくつかの実施形態では、実施される1つ以上のQoLQは、対象及び/又はその介護者によって理解される言語に翻訳される。いくつかの実施形態では、実施される1つ以上のQoLQは、対象及び/又はその介護者に対する言語的及び文化的適切性を保証するために検証される。
【0055】
[0060]いくつかの実施形態では、対象の生活の質は、対象に関するQoLQを対象の介護者に対して実施することによって、代理人によって少なくとも部分的に評価される。いくつかの実施形態では、対象のQoLを評価するために対象の介護者に実施されるQoLQは、ピーナツアレルギーなどの食物アレルギー患者の代理人評価のために設計されたQoLQである。非限定的な例示的な実施形態では、代理人によって対象のQoLを評価するために対象の介護者に実施されるQoLQは、FAQLQ-PFである。
【0056】
[0061]ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従って対象にピーナツ組成物を投与すること、及び/又は経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を投与される予定であること、又は投与されていることを対象に通知することによって改善され得る。対象の生活の質の前記改善は、対象が経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を引き続き投与される(及び/又はそれらが引き続き投与されることを認識する)ので、改善後の期間(更なる改善の継続を含む)持続し得る。ピーナツタンパク質に対する対象の生理学的感受性が更に改善しない場合であっても、改善の継続を含み、改善が持続し得る。したがって、いくつかの実施形態では、対象の生活の質は、少なくとも約1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、18か月、24か月、36か月、48か月、又は60か月のいずれかにわたって改善される。いくつかの実施形態では、対象が経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を投与され続ける間、対象の生活の質は、少なくとも約1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、18か月、24か月、36か月、48か月、又は60か月のいずれかにわたって改善される。いくつかの実施形態では、対象がピーナツタンパク質に対する脱感作のピークを達成した後(経口食品負荷試験によって測定されるなど)、対象の生活の質は、少なくとも約1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、18か月、24か月、36か月、48か月、又は60か月のいずれかにわたって改善される。
【0057】
[0062]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従って対象にピーナツ組成物を投与されること、及び/又は経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されていることを対象に通知することによって改善される。いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、1つ以上のQoLQの1つ以上のドメインの改善によって決定され、各ドメインはスコアリングされる。いくつかの実施形態では、各ドメインのスコアは、第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、ここで第2スコアは、生活の質の低下を示す。いくつかの実施形態では、生活の質は、第1時点及び第2時点で評価される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の対象の生活の質の改善は、少なくとも臨床的に重要な変化の最小量である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間中である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の維持期間中である。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点の前に、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点で、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0058】
[0063]いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、1つ以上のQoLQの1つ以上のドメインの改善によって決定され、各ドメインがスコアリングされる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは不安の尺度である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、アレルギーを患うことの情緒的影響及び/又はアレルギーの治療の情緒的影響などの情緒的影響の尺度である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、社会的相互作用及び/又は参加の制限などの社会的影響の尺度である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、カロリー摂取量、食事の多様性、及び/又は食事の排除などの食事への影響の尺度である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのドメインは、治療の成功の期待及び/又はアレルギー反応の将来の発生率に関する期待及び/又は病状の改善に関する期待などの期待の尺度である。いくつかの実施形態では、各ドメインのスコアは、第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、ここで第2スコアは、生活の質の低下を示す。いくつかの実施形態では、生活の質は、第1時点及び第2時点で評価される。いくつかの実施形態では、第1時点でのスコアは、スケールの中間点以上である。例えば、例示的な実施形態では、各ドメインは1~7のスケールでスコア付けされ、ここで7は生活の質の低下を示し、第1時点での1つ以上のドメインのスコアは、スケールの中間点である4以上である。いくつかの実施形態では、第2時点での1つ以上のドメインのスコアは、スケールの中間点よりも小さい。例えば、例示的な実施形態では、各ドメインは1~7のスケールでスコア付けされ、ここで7は生活の質の低下を示し、第2時点での1つ以上のドメインのスコアは、スケールの中間点である4未満である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間中である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の維持期間中である。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点の前に経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与され予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点で経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法などの、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0059】
[0064]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法スケジュールに従って対象にピーナツ組成物を投与されること、及び/又は経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される、又は投与されていることを対象に通知することによって改善される。いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、1つ以上のQoLQの合計スコアの改善によって決定され、ここで、合計スコアは、QoLQの1つ以上のドメインの平均である。いくつかの実施形態では、合計スコアは、第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、第2スコアは、生活の質の低下を示す。いくつかの実施形態では、生活の質は、第1時点及び第2時点で評価される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の対象の生活の質の改善は、少なくとも臨床的に意義のある最小変化量である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間中である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の維持期間中である。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点の前に経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与されるべきであることを通知される。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点で経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与されることになっていることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0060】
[0065]いくつかの実施形態では、生活の質の改善は、1つ以上のQoLQの合計スコアの改善によって決定され、ここで、合計スコアは、QoLQの1つ以上のドメインの平均である。いくつかの実施形態では、合計スコアは、第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、第2スコアは、生活の質の低下を示す。いくつかの実施形態では、生活の質は、第1時点及び第2時点で評価される。いくつかの実施形態では、第1時点でのスコアは、スケールの中間点以上である。例えば、例示的な実施形態では、合計スコアは1~7のスケールでスコアリングされ、ここで7は生活の質の低下を示し、第1時点での合計スコアは、スケールの中間点である4以上である。いくつかの実施形態では、第2時点での合計スコアは、スケールの中間点よりも小さい。例えば、例示的な実施形態では、各ドメインは1~7のスケールでスコア付けされ、ここで7は生活の質の低下を示し、第2時点での1つ以上のドメインのスコアは、スケールの中間点である4未満である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間の前である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の用量増加期間中である。いくつかの実施形態では、第1時点は、経口免疫療法の維持期間中である。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点の前に経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、対象は、第1時点で経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0061】
[0066]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-CFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前、又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアは4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の前、又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの1つ以上のドメインのスコアが4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点の後でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアは、経口免疫療法の期間前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアは、経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後に第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFのドメインのスコアは、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、対象は、経口免疫療法前にピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0062】
[0067]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-CFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアは4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアは、通知される前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-CFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-CFのドメインのスコアは、通知される前の時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも1か月の治療である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法である。
【0063】
[0068]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-TFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは、経口免疫療法の期間前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは、経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFのドメインのスコアは、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、対象は、経口免疫療法前にピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0064】
[0069]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-TFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの1つ以上のドメインのスコアは4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは、通知される前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること、又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFのドメインのスコアは、通知される前の第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも1か月の経口免疫療法である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0065】
[0070]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-AFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、食物アレルギー関連健康ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアは、経口免疫療法の期間前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアは、経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後に第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFのドメインのスコアは、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中に第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、食物アレルギー関連健康ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、対象は、経口免疫療法前にピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法である。
【0066】
[0071]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAQLQ-AFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-TFの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで4以上のスコア、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、食物アレルギー関連健康ドメインで4以上のスコア、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアは、通知される前の第1時点で前記対象に実施されるFAQLQ-AFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAQLQ-AFのドメインのスコアは、通知される前の第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、アレルゲン回避及び食事制限ドメインで少なくとも0.5点、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、食物アレルギー関連健康ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は偶発的な曝露のリスクドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも1か月の治療を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法である。
【0067】
[0072]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、対象の介護者に実施される代理人報告によるFAQLQ-PFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、食品関連不安ドメインで4以上のスコア、及び/又は食事及び社会的制限ドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアは、経口免疫療法の期間前の第1時点で前記対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアは、経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で前記対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後に第2時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFのドメインのスコアは、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中に第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、食品関連不安ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は食事及び社会的制限ドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、対象は、経口免疫療法前にピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法である。
【0068】
[0073]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、対象の介護者に実施される代理人報告によるFAQLQ-PFである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されていることを対象に通知する前の第1時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されていることを対象に通知される前の第1時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの1つ以上のドメインのスコアは、4以上であり、例えば、情緒的影響ドメインで4以上のスコア、食品関連不安ドメインで4以上のスコア、及び/又は食事及び社会的制限ドメインで4以上のスコアなどである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されていることを対象に通知した後、期間後の第2時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアは、対象に通知される前の第1時点で前記対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されていることを対象に通知した後の第2時点で対象の介護者に実施されるFAQLQ-PFのドメインのスコアは、通知される前の第1時点での各ドメインのスコアと比較すると、情緒的影響ドメインで少なくとも0.5点、食品関連不安ドメインで少なくとも0.5点、及び/又は食事及び社会的制限ドメインで少なくとも0.5点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも1か月の経口免疫療法である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0069】
[0074]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAIMである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法前又は経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAIMの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点の後でピーナツアレルギー患者に実施されるFAIMの合計スコアは、経口免疫療法の期間前の第1時点で前記対象に実施されるFAIMの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の期間後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAIMの合計スコアは、経口免疫療法の用量増加期間中の第1時点で前記対象に実施されるFAIMの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、対象は、経口免疫療法前にピーナツ組成物が投与される予定であることを通知される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法を含む。
【0070】
[0075]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、1つ以上のQoLQによって決定され、ここで、少なくとも1つのQoLQは、FAIMである。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知される前の第1時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAIMの合計スコアは、4以上である。いくつかの実施形態では、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物が投与される予定であること又は投与されることを通知された後の第2時点でピーナツアレルギー患者に実施されるFAIMの合計スコアは、通知される前の第1時点で前記対象に実施されるFAIMの合計スコアと比較すると、少なくとも1点、少なくとも2点、少なくとも3点、又は少なくとも4点など、少なくとも0.5点改善される。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも1か月の治療である。いくつかの実施形態では、第1時点と第2時点との間の期間は、経口免疫療法の用量増加期間を含む。いくつかの実施形態では、第1時点と第2点との間の経口免疫療法の期間は、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、又は少なくとも12か月の維持療法など、少なくとも1か月の維持療法である。
【0071】
ピーナツに対する経口免疫療法
[0076]いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法の全過程で、投与スケジュールに従ってピーナツタンパク質組成物の一連の用量を対象に投与することによって改善され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法の全過程で、投与スケジュールに従ってピーナツタンパク質組成物の一連の用量を対象に投与する予定であること、又は投与していることを対象に通知することによって改善され得る。いくつかの実施形態では、ピーナツアレルギー患者の生活の質は、経口免疫療法の全過程で、投与スケジュールに従ってピーナツタンパク質組成物の一連の用量を対象に投与する予定であること、又は投与していることを対象に通知するように対象の介護者に指示することによって改善され得る。
【0072】
[0077]経口免疫療法の全長、例えば、用量増加期間の持続時間の全長は、とりわけ、年齢、健康状態、ピーナツアレルギーの性質及び種類、同時介入、及び/又は複雑化指標(complicating indication)に応じて、対象間で異なり得る。療法は、一般的に多期間であり、少なくとも用量増加期間と維持期間とを含む。いくつかの実施形態では、経口免疫療法は、用量増加期間に先行する初期漸増期間を更に含んでもよい。用量増加期間及び維持期間に投与されるピーナツタンパク質組成物の用量は、増加、減少、又は維持するように周期的に調節又はスケジュールすることができる。用量増加期間及び維持期間に投与されるピーナツタンパク質組成物の用量のサイズは、対象の医療介護者の判断及び/又は対象に関する必要に基づいて、適宜調節することができる。
【0073】
[0078]ピーナツアレルギーの診断方法は、当該技術分野において公知であり、免疫学的アッセイ(ピーナツ特異的IgEなど)、皮膚プリックテスト、食物負荷試験、及び試験的除去食などがある。ピーナツアレルギーを食物負荷試験により診断する場合、対象は、用量を漸増させてピーナツタンパク質を受ける。食物負荷試験の間に観察されたピーナツタンパク質に対するアレルギー反応は、対象がピーナツアレルギーを有すること、及びピーナツに対する経口免疫療法の候補者であることを示す。対象が食物負荷試験中に特定の用量に反応するかどうかの判断は、試験基準に依存し、該基準は変更され得る。食物負荷試験における反応は、症状の重症度(例えば、軽度、中等度、若しくは重度)、及び/又は症状の可観測性(例えば、症状が患者によって主観的に報告されるか、医療介護者によって客観的に観察されるか)によって判断することができる。
【0074】
[0079]対象の生活の質を改善するために本明細書に記載されるようにピーナツOITを受ける対象は、既知の又は疑わしいピーナツアレルギーを患う。いくつかの実施形態では、対象は、ピーナツタンパク質OITを以前に試みている、又は完了している。いくつかの実施形態では、以前のピーナツタンパク質OITは、効果がなかった(例えば、許容できる脱感作を誘発できない、許容できないアレルギー性副作用を引き起こす、ピーナツタンパク質への偶発的な曝露から適切な保護を与えることができない、又は対象の生活の質を改善できないなどによって)、不快感、不便性(例えば、毎日の投与又は頻繁な臨床通院のため)、若しくは必要性(例えば、ピーナツタンパク質の用量に対する反応及び/又はOITの途中でのアレルギー性有害イベントのため)のために患者によって終了された、又は患者の医療提供者によって終了された(例えば、ピーナツタンパク質の用量に対するアレルギー性副作用及び/又はOITの途中でのアレルギー性有害イベントのため)。
【0075】
[0080]対象の生活の質を改善するために本明細書に記載されるようにピーナツOITを受ける対象は、生活の質の改善のためのピーナツOITを一度も受けたことがない治療未経験者であってもよい。食物負荷試験などのピーナツタンパク質への診断曝露によってピーナツアレルギーと診断されているが、ピーナツタンパク質への臨床曝露歴が他にない対象は、本出願の目的とする診断のための曝露後、なおも治療未経験とみなされる。
【0076】
[0081]生活の質を改善するために経口免疫療法治療を受ける対象は、ヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象の月齢は、約12か月~約48か月などの約12か月以上(例えば、約12か月~約24か月、約24か月~約36か月、又は約36か月~約48か月)である。いくつかの実施形態では、対象は、約4歳以上である。いくつかの実施形態では、対象は、4歳~18歳未満である。いくつかの実施形態では、対象は、18歳以上である。
【0077】
[0082]用量増加期間は、維持期間に先行するものであり、経口免疫療法の過程中に対象に投与される最大用量に達するように、一連の漸増用量を投与することを含む。用量増加期間の長さは、個々の患者による必要性に従って調整できるが、一般に約22週間~約40週間で完了する。一部の患者では、用量増加期間は、2年以上継続してもよい。用量増加期間は、例えば、患者がより高い用量で一連の服用を開始した後にアレルギー性有害事象を経験した場合、延長され得る。
【0078】
[0083]ピーナツOITの用量増加期間は、典型的には、投与するピーナツタンパク質の用量を、ある期間後(例えば、約1週~4週毎)に徐々に増加させることを伴う。上記一連の漸増用量内の特定の用量は、その一連に含まれる次の用量に進むまで、患者に繰り返し(例えば、毎日)投与される。一連の用量の内の特定の用量に対象が耐容しない場合、又は対象が1つ以上のアレルギー性有害事象を経験した場合などのいくつかの場合には、用量を低減する、又は一連の用量の内の当該用量を、一連の用量内の次の用量に進む前に一定期間繰り返す。増量の速度(例えば、一連の用量内の個々の用量が投与される期間の長さ、又は一連の用量内の用量と用量との間の用量増分の大きさ)は、観察された1つ以上のアレルギー性有害事象に基づいて調整されてもよい。
【0079】
[0084]任意で、経口免疫療法は、用量増加期間の前に初期漸増期間を含み、該期間において、対象は、一連の漸増用量を1日又は2日にわたって投与される。初期漸増期間は、用量増加期間よりも用量の範囲が低く、用量漸増の間隔が短く、典型的には対象の医療介護者によるモニタリングがより綿密であることで、用量増加期間と区別される。例えば、2日間の初期漸増は、約0.5mg~約6mgのピーナツタンパク質である一連の用量、例えば、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約3mg、及び約6mgのピーナツタンパク質の個別用量などを含んでもよい。初期漸増期間の最大耐用量、又は初期漸増期間における最大耐用量よりも少ない用量が、用量増加期間の初回用量であってもよい。対象が初期漸増期間において少なくとも特定の用量に耐容しない場合、対象は、経口免疫療法から除外され得る。例えば、対象が、0.5mg、1mg、又は1.5mgのピーナツタンパク質用量の投与後に重篤なアレルギー性有害事象を生じた場合、対象は、用量増加期間に進むことが許されない場合がある。初期漸増期間の目的としては、用量増加期間の用量(例えば、用量増加期間の初回用量)を調整すること、及び用量増加期間を安全に進めるために対象の適性(suitability)を確認することが挙げられる。
【0080】
[0085]経口免疫療法の前、最中、又は後(用量増加期間の前、最中、又は後、或いは維持期間の前、最中、又は後など)、ピーナツアレルギー患者、及び/又は対象の介護者は、生活の質の評価を受けることができる。
【0081】
維持期間の投与スケジュール
[0086]ピーナツに対する経口免疫療法の維持期間は、用量増加期間の最大用量が達成された後に始まる。維持期間は約24週間以上であり、患者の生涯にわたって行われる可能性がある。例えば、維持期間の時間長さは、約28週間を超え、約32週間を超え、約36週間を超え、約40週間を超え、約44週間を超え、又は約48週間を超えることができる。いくつかの実施形態では、維持期間は、約24週間超~約28週間、約28週間~約32週間、約32週間~約36週間、約36週間~約40週間、約40週間~約44週間、約44週間~約48週間、約48週間~約52週間、約52週間~約60週間、約60週間~約72週間、約72週間~約80週間、又は約80週間超、例えば、対象の生涯にわたって、などである。いくつかの実施形態では、維持期間の時間長さは最大約108週間である。
【0082】
[0087]いくつかの実施形態において、維持期間の用量は、維持期間の少なくとも一部の間、対象に毎日投与される。いくつかの実施形態では、維持期間の用量は、維持期間中に、約6か月~約2年間、例えば、約6か月、約6か月~約12か月、約12か月~約18か月、又は約18か月~約2年間など、対象に毎日投与される。
【0083】
[0088]維持期間中に対象に投与されるピーナツタンパク質の用量は、約200mg~約1,000mgのピーナツタンパク質である。例えば、いくつかの実施形態では、維持期間中の用量は、約200mg~約300mgのピーナツタンパク質、約300mg~約500mgのピーナツタンパク質、約500mg~約1,000mgのピーナツタンパク質、又はこれらの間の値及び範囲である。例示的実施形態では、維持期間中に対象に投与される維持期間用量は、約300mgのピーナツタンパク質である。
【0084】
用量増加期間
[0089]経口免疫療法の用量増加期間は、経口免疫療法の最大用量よりも低い用量で始まり、経口免疫療法の最大用量で終わる、一連の漸増用量を患者に投与することを含む。一連の用量の各用量は、毎日など、定期的に投与される。一連の各用量は、約1週間~約4週間、例えば約2週間などのある期間にわたる、ピーナツタンパク質組成物の毎日の投与を含むことができる。一連の用量内の特定の用量についての期間が完了した後、治療を、一連の用量内のより高用量へと進めることができる。いくつかの実施形態では、治療の用量増加期間は、一連の2通り~10通りの異なる用量レベルを含む。対象が用量増加期間中にある期間にわたって特定の用量レベルに耐容する場合、対象は、一連の用量増加期間内の次の用量レベルに進むことができる。対象が用量増加期間中にある期間にわたって特定の用量レベルに耐容しない場合、患者は、一連の用量の内の実施中の用量レベルを繰り返してもよい。或いは、対象が用量増加期間中にある期間にわたって特定の用量レベルに耐容しない場合、対象は、一連の用量の内の、より早期の用量レベルに戻ってもよい。したがって、用量増加期間の継続は、対象の特異的な応答に依存する。対象は、一連の用量を必要に応じた回数繰り返して、一連の用量における最大用量を達成してもよい。用量増加期間は、最大用量が2週間にわたって耐容されたときに終了する。
【0085】
[0090]用量増加期間中に投与される用量のピーナツタンパク質の医薬組成物は、約0.5mg~約5,000mgのピーナツタンパク質、例えば約0.5mg~約10mgのピーナツタンパク質、約10mg~約100mgのピーナツタンパク質、約100mg~約300mgのピーナツタンパク質、約300mg~約500mgのピーナツタンパク質、約500mg~約1,000mgのピーナツタンパク質、約1,000mg~約2,000mgのピーナツタンパク質、又は約2,000mg~約5,000mgのピーナツタンパク質、並びにこれらの間の値及び範囲を含む。非限定的な例示的実施形態では、用量増加期間の用量は、初期漸増期間の最大耐用量(例えば、3mg又は6mgのピーナツタンパク質)、続いて約12mgのピーナツタンパク質、約20mgのピーナツタンパク質、約40mgのピーナツタンパク質、約80mgのピーナツタンパク質、約120mgのピーナツタンパク質、約160mgのピーナツタンパク質、約200mgのピーナツタンパク質、約240mgのピーナツタンパク質、及び約300mgのピーナツタンパク質という一連の用量の毎日投与であり、ここで各用量レベルは、一連の用量内の次の用量に進む前に、約1週間~約4週間(約2週間など)にわたって投与される。別の例示的実施形態では、用量増加期間の用量は、初期漸増期間の最大耐用量(例えば、3mg又は6mgのピーナツタンパク質)、続いて、対象の医療介護者によって指示される一連の漸増する1日用量であり、ここで各1日用量は、0.5mgのピーナツタンパク質カプセル、1mgのピーナツタンパク質カプセル、10mgのピーナツタンパク質カプセル、20mgのピーナツタンパク質カプセル、100mgのピーナツタンパク質カプセル、又は300mgのピーナツタンパク質サッシェを含み、各用量レベルは、一連の用量の内の次の用量に進む前に、約1週間~約4週間(約2週間など)にわたって投与される。
【0086】
[0091]用量増加期間の一連の用量は、投与される用量の調節によって区別される。用量増加期間中の一連の用量における用量のサイズは、1週間に1回及び6週間に1回など、定期的に調節される。いくつかの実施形態では、用量増加期間は、1週間に1回の用量調節、2週間に1回の用量調節、3週間に1回の用量調節、4週間に1回の用量調節、5週間に1回の用量調節、6週間に1回の用量調節、又は対象の医療介護者の判断に基づく必要に応じた調節を含む。用量は、一連の用量内の次に予定された用量まで増加されてもよく、アレルギー性有害事象に対応して、一連の用量内の以前の用量まで低減されてもよく、一連の用量内の実施中の用量で追加の間隔で維持されてもよく、対象の医療介護者の判断に基づいて一連の用量内のより高い用量まで増加されてもよく、又は対象の医療介護者の判断に基づいて、一連の用量内のより低い用量まで低減されてもよい。いくつかの実施形態では、用量増加期間は、対象が一連の用量内の実施中の用量に耐容しなかったという医療介護者の判断に基づいて、任意の時点で調節される。
【0087】
[0092]用量増加期間は、対象が、一連の用量増加で最終用量を達成するまで進行する。いくつかの実施形態では、用量増加期間は、約1か月~約6か月、例えば、約1か月~約3か月、又は約3か月~約6か月である。いくつかの実施形態では、用量増加期間は、約6か月~約2年、例えば、約6か月~約1年、約1年~約18か月、又は約18か月~約2年である。非限定的な例示的実施形態では、用量増加期間は、用量の低減及び再増加並びに用量レベルの繰り返しの数に応じて、22週間~2年間継続し、12mgのピーナツタンパク質、20mgのピーナツタンパク質、40mgのピーナツタンパク質、80mgのピーナツタンパク質、120mgのピーナツタンパク質、160mgのピーナツタンパク質、200mgのピーナツタンパク質、240mgのピーナツタンパク質の用量を経て、300mgのピーナツタンパク質で終了する。記載された実施形態のいずれかにおいて、用量増加期間は、対象が、用量増加期間の一連の用量内の最終用量として予定された用量に2週間にわたって耐容したときに終了し、それによって維持期間を開始する。
【0088】
[0093]用量増加期間の一連の各用量は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、又はそれらの間の期間及び範囲で継続するように予定されてもよい。アレルギー性有害事象の観察に基づいて、対象の介護者は、対象の実施中の用量を一連の用量増加で繰り返すことができる。特定の用量を用いる特定の部分は、対象がその用量に充分に脱感作する(対象が食物アレルゲンへの偶発的な(又は意図的な)曝露時に中等度又は重篤なアレルギー性有害事象を経験しないときなど)ために必要な回数、例えば、1回、2回、3回、又は4回以上、繰り返されてもよい。
【0089】
初期漸増期間
[0094]任意で、経口免疫療法は、用量増加期間に先行する初期漸増期間を含む。初期漸増期間は、特定の対象に対する経口免疫療法の安全性及び適性を確保することができる。初期漸増期間は、診療所又はアレルギークリニックなどの適切な医療施設で、1日又は2日などの短期間にわたって投与される。対象は、通常、医療介護者によって注意深くモニタリングされ、該医療介護者は、介入を必要とするアレルギー性有害反応が発生した場合、エピネフリン、アルブテロール、及びジフェンヒドラミンなどの介入を提供することができる。経口免疫療法の初期漸増期間は、存在する場合、複数の低用量のピーナツタンパク質組成物の対象への投与を含む。低用量は、約10分~約60分などの時間間隔をあけることができ、1つ、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの用量、又はそれ以上の用量を含むことができる。
【0090】
[0095]初期漸増期間は、約0.5mg~約6mgのピーナツタンパク質、例えば、約0.5mg~約1.5mgのピーナツタンパク質、約1.5mg~約3mgのピーナツタンパク質、又は約3mg~約6mgのピーナツタンパク質の用量を含んでもよい。非限定的な例では、初期漸増期間は、1日に約0.5mgのピーナツタンパク質から最大約6mgのピーナツタンパク質まで1日かけて漸増することを含み、1回の用量は約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約3mg、及び約6mgのピーナツタンパク質であって、3mg又は6mgのピーナツタンパク質用量に耐容することは、対象を経口免疫療法の用量増加期間へと安全に進めることができることを示す。
【0091】
経口免疫療法のための組成物
[0096]ピーナツアレルギーを治療するための例示的な組成物は、その内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2014/0271721号に詳細に記載されている。ピーナツタンパク質製剤を調製するための例示的な方法は、その内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2014/0271836号に詳細に記載されている。
【0092】
[0097]ピーナツアレルギー患者の生活の質は、ピーナツタンパク質経口免疫療法の全過程で対象に一連の用量のピーナツタンパク質組成物を投与することによって改善され得る。ピーナツタンパク質組成物は、好ましくは、ピーナツアレルギーを治療するための1種以上のピーナツアレルゲンタンパク質を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、ピーナツタンパク質はピーナツ粉から単離されてもよく、任意で、1種以上の希釈剤、1種以上の流動促進剤、及び1種以上の滑沢剤を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、ピーナツタンパク質の医薬組成物は、約0.05%~約100%(重量/重量)のピーナツタンパク質を含む。
【0093】
[0098]いくつかの実施形態では、ピーナツタンパク質の医薬組成物は、特性評価されたピーナツタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、特性評価されたピーナツタンパク質は、特性評価されたピーナツアレルゲンタンパク質Ara h1、Ara h2、及び/又はAra h6を含む。一実施形態では、ピーナツアレルギーを治療するための最終製剤は、特性評価されたピーナツアレルゲンタンパク質Ara h1、Ara h2及びAra h6を含むピーナツ粉を含み、希釈剤、流動促進剤及び滑沢剤と共に、経口免疫療法の用量増加期間、維持期間、及び/又は初期漸増期間における投与のための約0.5~約5,000mgのピーナツタンパク質を含有するカプセル剤を含む段階用量で製剤化される。
【0094】
[0099]本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、経口免疫療法の維持期間に投与するためのピーナツタンパク質の医薬組成物は、約200mg~約1,000mgのピーナツタンパク質、例えば、約200mg~約250mgのピーナツタンパク質、約250mg~約300mgのピーナツタンパク質、約300mg~約500mgのピーナツタンパク質、及び約500mg~約1,000mgのピーナツタンパク質の用量を含み得る。非限定的な好ましい実施形態では、経口免疫療法の維持期間に投与するためのピーナツタンパク質の用量は、約300mgのピーナツタンパク質である。
【0095】
[0100]いくつかの実施形態では、経口免疫療法の用量増加期間に投与するためのピーナツタンパク質の医薬組成物は、約0.5mg~約5,000mgのピーナツタンパク質、例えば、約3mg、約6mg、約10mg、約12mg、約20mg、約40mg、約80mg、約100mg、約120mg、約160mg、約200mg、約240mg、及び約300mgのピーナツタンパク質の一連の用量のうちの個々の用量を含む。非限定的な例示的実施形態では、経口免疫療法の用量増加期間に投与するためのピーナツタンパク質の用量は、初期漸増期の最大耐用量(例えば、約3mgのピーナツタンパク質又は約6mgのピーナツタンパク質)の毎日の投与、続いて対象の医療介護者によって指示される一連の漸増1日用量であり、ここで各1日用量は、約0.5mgのピーナツタンパク質カプセル、約1mgのピーナツタンパク質カプセル、約10mgのピーナツタンパク質カプセル、約20mgのピーナツタンパク質カプセル、約100mgのピーナツタンパク質カプセル、又は約300mgのピーナツタンパク質サッシェからなる群から選択される1つ以上のカプセル又はサッシェを含み、各用量レベルは、次の用量に進む前に約1週間~約4週間(例えば、約2週間)にわたって投与される。
【0096】
[0101]本明細書に記載される方法では、経口免疫療法は、任意で初期漸増期間を含んでもよい。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の初期漸増期間に投与するためのピーナツタンパク質の医薬組成物は、約0.5mg~約6mgのピーナツタンパク質、例えば約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約3mg、及び約6mgのピーナツタンパク質の個別の用量を含む。いくつかの実施形態では、経口免疫療法の初期漸増期間に投与するためのピーナツタンパク質の医薬組成物は、約0.5mg~約6mgのピーナツタンパク質、例えば約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約3mg、約6mg、及び約12mgのピーナツタンパク質の個別の用量を含む。
【0097】
例示的な実施形態
[0102]本発明は、以下の例示的な実施形態を参照することによってよりよく理解され得る。しかし、例示的な実施形態は、本明細書に記載の本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0098】
[0103]実施形態1経口免疫療法スケジュールに従って患者にピーナツ組成物を投与する工程を含む、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する方法。
【0099】
[0104]実施形態2患者が、ピーナツ組成物が投与されることを通知される、実施形態1に記載の方法。
【0100】
[0105]実施形態3患者が、経口免疫療法スケジュールの開始時にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態2に記載の方法。
【0101】
[0106]実施形態4患者が、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態2に記載の方法。
【0102】
[0107]実施形態5患者が、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態2に記載の方法。
【0103】
[0108]実施形態6ピーナツ組成物が患者に投与されていることを患者に通知する工程を更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0104】
[0109]実施形態7患者が、経口免疫療法スケジュールの開始前にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態6に記載の方法。
【0105】
[0110]実施形態8患者が、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態6に記載の方法。
【0106】
[0111]実施形態9患者が、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態6に記載の方法。
【0107】
[0112]実施形態10生活の質の改善が、生活の質質問票(QoLQ)を使用して測定される、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0108】
[0113]実施形態11QoLQが、1つ以上のスコアリングされた測定ドメインを含む、実施形態10に記載の方法。
【0109】
[0114]実施形態12QoLQが、食物アレルギーのQoL質問票(FAQLQ)である、実施形態11に記載の方法。
【0110】
[0115]実施形態13FAQLQが、FAQLQ-子供フォーム(FAQLQ-CF)、FAQLQ-若者フォーム(FAQLQ-TF)、FAQLQ-成人フォーム(FAQLQ-AF)、又はFAQLQ-親フォーム(FAQLQ-PF)である、実施形態12に記載の方法。
【0111】
[0116]実施形態14QoLQが、食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)である、実施形態10に記載の方法。
【0112】
[0117]実施形態15FAIMが、FAIM-子供フォーム(FAIM-CF)、FAIM-若者フォーム(FAIM-TF)、FAIM-成人フォーム(FAIM-AF)、又はFAIM-親フォーム(FAIM-PF)である、実施形態14に記載の方法。
【0113】
[0118]実施形態16生活の質質問票(QoLQ)によって評価されるように、ピーナツアレルギー患者の生活の質を改善する方法であって、経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与する工程を含む、方法。
【0114】
[0119]実施形態17患者が、ピーナツ組成物が投与されることを通知される、実施形態16に記載の方法。
【0115】
[0120]実施形態18患者が、経口免疫療法スケジュールの開始時にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態17に記載の方法。
【0116】
[0121]実施形態19患者が、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態17に記載の方法。
【0117】
[0122]実施形態20患者が、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態17に記載の方法。
【0118】
[0123]実施形態21ピーナツ組成物が患者に投与されていることを患者に通知する工程を更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0119】
[0124]実施形態22患者が、経口免疫療法スケジュールの開始前にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態21に記載の方法。
【0120】
[0125]実施形態23患者が、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態21に記載の方法。
【0121】
[0126]実施形態24患者が、経口免疫療法スケジュールの維持期間中にピーナツ組成物が患者に投与されることを通知される、実施形態21に記載の方法。
【0122】
[0127]実施形態25QoLQが、1つ以上のスコアリングされた測定ドメインを含む、実施形態16~24のいずれか一つに記載の方法。
【0123】
[0128]実施形態26QoLQが、食物アレルギーのQoL質問票(FAQLQ)である、実施形態25に記載の方法。
【0124】
[0129]実施形態27FAQLQが、FAQLQ-子供フォーム(FAQLQ-CF)、FAQLQ-若者フォーム(FAQLQ-TF)、FAQLQ-成人フォーム(FAQLQ-AF)、又はFAQLQ-親フォーム(FAQLQ-PF)である、実施形態26に記載の方法。
【0125】
[0130]実施形態28QoLQが、食物アレルギー非依存性尺度(FAIM)である、実施形態25に記載の方法。
【0126】
[0131]実施形態29FAIMが、FAIM-子供フォーム(FAIM-CF)、FAIM-若者フォーム(FAIM-TF)、FAIM-成人フォーム(FAIM-AF)、又はFAIM-親フォーム(FAIM-PF)である、実施形態28に記載の方法。
【0127】
[0132]実施形態30QoLQが、小児用QoL調査票(PedsQL)である、実施形態25に記載の方法。
【0128】
[0133]実施形態31生活の質が、少なくとも6か月間改善される、実施形態1~30のいずれか一つに記載の方法。
【0129】
[0134]実施形態32生活の質が、少なくとも12か月間改善される、実施形態1~31のいずれか一つに記載の方法。
【0130】
[0135]実施形態33QoLQの1つ以上のスコアリングされたドメインが、それぞれ1~7のスケールでスコアリングされる、又はそれぞれが第1スコアと第2スコアとの間のスコアに変換され、第2スコアは、生活の質の低下を示す、実施形態11~13又は25~27のいずれか一つに記載の方法。
【0131】
[0136]実施形態34患者の生活の質の改善が、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、その経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの1つ以上のドメインで少なくとも0.5である、実施形態11~13又は25~27のいずれか一つに記載の方法。
【0132】
[0137]実施形態35患者の生活の質の改善が、ある経口免疫療法の期間後の第2時点において、その経口免疫療法の期間前の第1時点での評価と比較して、QoLQの合計スコアで少なくとも0.5であり、合計スコアは、各ドメインスコアの平均である、実施形態11~17又は25~34のいずれか一つに記載の方法。
【0133】
[0138]実施形態36第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間が、経口免疫療法スケジュールの用量増加期間である、実施形態34又は実施形態35に記載の方法。
【0134】
[0139]実施形態37第1時点と第2時点との間の経口免疫療法の期間が、経口免疫療法スケジュールの維持療法の少なくとも1か月である、実施形態34又は35に記載の方法。
【0135】
[0140]実施形態38生活の質が、6ヶ月間の経口免疫療法スケジュールの後に改善される、実施形態1~37のいずれか一つに記載の方法。
【0136】
[0141]実施形態39経口免疫療法スケジュールが、用量増加期間と維持期間とを含む、実施形態1~38のいずれか一つに記載の方法。
【0137】
[0142]実施形態40ピーナツ組成物が、維持期間中に毎日、患者に投与される、実施形態39に記載の方法。
【0138】
[0143]実施形態41維持期間が、少なくとも3か月である、実施形態39又は実施形態40に記載の方法。
【0139】
[0144]実施形態42ピーナツ組成物が、経口免疫療法スケジュールの維持期間中に、約300mg以上のピーナツタンパク質の用量で患者に投与される、実施形態39~41のいずれか一つに記載の方法。
【0140】
[0145]実施形態43用量増加期間が、約3mgと初期維持期間用量の用量近辺との間の2つ以上の異なる用量を患者に投与することを含む、実施形態39~42のいずれか一つに記載の方法。
【0141】
[0146]実施形態44経口免疫療法スケジュールが、約3か月~約2年間の時間長さの用量増加期間を含む、実施形態1~43のいずれか一つに記載の方法。
【0142】
[0147]実施形態45経口免疫療法スケジュールが、初期漸増期間を更に含む、実施形態1~44のいずれか一つに記載の方法。
【0143】
[0148]実施形態46患者が、約4歳以上である、実施形態1~45のいずれか一つに記載の方法。
【0144】
[0149]実施形態47患者が、約4歳~約17歳の間である、実施形態1~46のいずれか一つに記載の方法。
【0145】
[0150]実施形態48患者が、約8歳~約17歳の間である、実施形態1~47のいずれか一つに記載の方法。
【0146】
[0151]実施形態49経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与する前に生活の質を測定する工程を含む、実施形態1~48のいずれか一つに記載の方法。
【0147】
[0152]実施形態50経口免疫療法スケジュールに従ってピーナツ組成物を患者に投与した後に生活の質を測定する工程を含む、実施形態1~49のいずれか一つに記載の方法。
【0148】
[0153]実施形態51ピーナツ組成物が投与されていることを患者に通知した後に生活の質を測定する工程を含む、実施形態2~15又は17~50のいずれか一つに記載の方法。
【0149】
[0154]実施形態52患者の生活の質が、生活の質質問票(QoLQ)によって決定されるように改善される、実施形態1~51のいずれか一つに記載の方法。
【実施例】
【0150】
[0155]本願は、以下の非限定的な実施例を参照することでよりよく理解され得、この実施例は、本願の例示的な実施形態として提供される。以下の実施例は、実施形態を更に十分に説明するために提示されるが、決して本願の広範な範囲を限定するものと解釈すべきでない。本願のある特定の実施形態を本明細書中に示し説明してきたが、このような実施形態は例示のためにのみ提供されたことが明らかである。多くの変形形態、変更、及び置き換えは、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって想起し得る。本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替が、本明細書に記載の方法を実施するために利用できることは理解されるべきである。
【0151】
例1-ピーナツアレルギーが生活の質に及ぼす影響
[0156]米国の患者と介護者に対するピーナツアレルギーの実際の負担を評価するための研究を行った。
【0152】
[0157]研究の一部では、自己報告があり、医療提供者診断によるピーナツアレルギーがある13~17歳の青年及び13~17歳の青年の介護者が、検証済みの年齢に適した食物アレルギーのQoL質問票を完了した(自己報告の場合はFAQLQ-TFで、代理人報告の場合はFAQLQ-PFであり、ここで各回答について、1=問題なし、7=極端な問題、である)。群間分析を実施した(カイ二乗、t検定)。青年(n=102)と青年の介護者(n=94)が調査を完了した。青年の間で、主要な人口統計学的変数と病歴変数(自己報告と代理人報告)は類似していた。ピーナツアレルギーを患う生活が日常生活に課せられた制限、情緒的幸福に影響を与える反応の恐れ、及びピーナツとの直接の接触を避けるためのより大きな注意に関して、青年は介護者と比較して著しく大きな負担を報告した。青年は、介護者の評価と比較し、FAQLQ情緒スケールでより高いスコア(即ち、生活の質の低下)を示した(平均5.07対4.21、p<0.001)。青年と介護者はまた、PAの最も懸念される側面で有意に異なり、青年は、青年の介護者と比較して、反応中の身体的症状と家族に対するピーナツアレルギーの影響に関してより強い懸念を表した。全体で、青年は、介護者の場合よりも、生活の質の低下(日常生活への影響、情緒的幸福、及びFAQLQの情緒スケール)、反応の身体的症状と家族への影響に関するより強い懸念、及びピーナツへの曝露を避けるためのより大きな注意を報告した。
【0153】
[0158]FAQLQ-TFを完了した自己報告の青年のうち、いくつかの変数は、FAQLQ-TF合計スコアと統計的に有意な相関関係があり、心理社会的変数は、反応に対する恐れが情緒幸福に及ぼす影響(p<0.001)、日常生活の制限(p<0.001)、エピネフリン自動注射器へのアクセスに関する心配(p<0.001)、反応を管理する自信(p=0.025)、生涯における高度な介入(ER、病院、IVエピネフリン、又は挿管)の使用総数(p=0.003)、及び最も重度の反応の重症度(p=0.006)を含む。年齢、性別、他の食物アレルギーの数、及び他の健康状態、最近の反応からの時間と最も重度の反応からの時間、中等度/重度の反応の生涯の数、並びに昨年の反応の数とには、統計的に有意な相関関係はなかった。これらのデータは、心理社会的変数と回避を実践するために日常の活動を変更する必要性、及び曝露による高度な治療を求める必要性の前歴が、疾患固有の生活の質の低下と関連することを示唆する。
【0154】
[0159]研究の別の部分では、自己報告、医療提供者診断によるピーナツアレルギーの13~17歳の青年が、小児用QoL調査票(PedsQL、スコアは0~100、スコアが高いほど生活の質が高くなる)を完了した。群間分析を実施した(カイ二乗、t検定)。ピーナツアレルギーを患う青年(n=102)の平均PedsQL合計スコアは48.8である。平均下位スケールスコアは、身体(53.6)、情緒(43.0)、社会(48.2)、学校(46.0)、及び心理社会(44.5)であった。これらのスコアは、8~16歳の一般集団(n>5900、範囲78.2~87.0)のスケールスコアを大幅に下回り、臨床的に重要な変化の最小量(4.36~9.12点)を超えた。過去1年間に1つ以上のピーナツアレルギー関連反応を経験した青年は、過去1年間に1つ以上のピーナツアレルギー反応に対して臨床医の介入を受けた人(p<0.001)、ピーナツアレルギー反応予防への現在のアプローチに「全く満足しない」から「ある程度満足する」までの人(p=0.012)、ピーナツアレルギーが彼らの日常生活を「ある程度」から「完全に」に制限していると言う人(p=0.013)、又は反応に効果的に対処できない可能性が「大きい」から「100%」と報告した人と同様に、PedsQL合計スコアが有意に低かった(p=0.008)。したがって、ピーナツアレルギーの青年は、同様の年齢の個人の一般的な人口よりも実質的に低いPedsQLスコアを持つ。PedsQLの合計スコアは、最近のアレルギー反応/臨床医の介入の必要性、反応予防の満足度、日常生活の制限の認識、及び反応に対処する能力に関する懸念によって定めた亜群間で有意に異なっていた。
【0155】
例2-ピーナツ経口免疫療法の臨床試験
[0160]A)二重盲検臨床試験。4~49歳のピーナツアレルギー患者を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照第3相臨床試験(PALISADE)を実施した。対象は、初期漸増、続いてピーナツタンパク質の1日あたり300mgの目標用量への用量増加期間、続いて1日あたり300mgのピーナツタンパク質の投与を含む約6か月の維持期間を受けた。Jones et al.,Efficacy and Safety of AR101 in Peanut Allergy:Results from a Phase 3,Randomized,Double-Blind,Placebo-Controlled Trial (PALISADE),J.Allergy Clin.Immunol.141(2),suppl.AB400(2018);及びVickery et al.,AR101 Oral Immunotherapy for Peanut Allergy,New England J.Medicine,vol.379,no.21,pp.1991-2001(2018)を参照されたい。
【0156】
[0161]ベースラインスクリーニング時及びPALISADEの終了時に、対象(自己報告)及びその親又は保護者/介護者(代理人報告)は、年齢に適した食物アレルギーのQoL質問票(FAQLQ、例えば、FAQLQ-CF、FAQLQ-TF、又はFAQLQ-PF)を完了した。8歳以上の対象と4~17歳の対象の親/介護者とにおけるドメインスコアと合計スコアを計算した。臨床試験全体の結果を報告するために、自己報告のFAQLQスコアを、共通の項目(即ち、質問)を使用した単一の子供、若者、及び成人フォーム(FAQLQ-CTAFと呼ばれる)にまとめた。スケール範囲は1~6又は1~7であり、スコアが高いほどQoLが悪いことを示す。人口統計学的及び病歴変数との関係も評価した。367人のピーナツアレルギーの対象と442人の親/介護者がベースライン評価を完了した。結果は、ピーナツアレルギーが対象の生活の質に重大な影響を与えることを示した。自己報告の場合、情緒的影響が最も高いスコア(4.80)であり、次にアレルゲン回避と食事制限(4.40)、及び偶発的な曝露のリスク(4.20)となった。親/介護者の場合、食品不安が最も高いスコア(4.23)であり、次に社会的と食事制限(4.17)及び情緒的影響(3.82)となった。Wang et al.,Impact of Peanut Allergy on Quality of Life:Baseline Results from PALISADE,a Phase 3,Double-Blind,Placebo-Controlled Trial for AR101 Oral Immunotherapy,J.Allergy Clin.Immunol.143(2)(2019)を参照されたい。
【0157】
[0162]ベースラインスクリーニング時及びPALISADEの終了時に、対象(自己報告)及びその親又は保護者(代理人報告)は、年齢に適した食物アレルギー非依存性尺度(FAIM、例えば、FAIM-CF又はFAIM-PF)を完了した。FAIM質問票は、結果の期待及び疾患の重症度の質問を含む。各FAIMの質問のスコアは1~7であり、スコアが高いほどQoLが悪いことを示す(例えば、重症度の認識が最も高い、又は結果の期待が悪い)。
【0158】
[0163]B)非盲検延長。活性製剤(即ち、非プラセボ)で治療された一部のPALISADE完了者は、非盲検延長(OLE)継続臨床試験に参加するように選ばれ、ここで、対象は、活性剤治療を受け続けることを通知された。OLEを開始する前に(PALISADE終了で)、対象(自己報告)及び/又はその親或いは介護者/保護者(代理人報告)は、年齢に適したFAQLQ(例えば、FAQLQ-CF、FAQLQ-TF又はFAQLQ-PF)或いはFAIM(例えば、FAIM-CF又はFAIM-PF)を完了した。上記のように、試験全体の結果を報告するために、自己報告によるFAQLQスコアを、共通の項目を使用してまとめた。OLEに参加する対象は、300mgのピーナツタンパク質の毎日の投与を含む追加の約6か月(即ち、約28週間)の維持療法を受けた。OLE維持療法の追加の約6か月の終了時(即ち、毎日合計300mgのピーナツタンパク質維持療法の約52週間後)、対象は、終了時二重盲検プラセボ対照食品負荷試験(DBPCFC)を受けた。対象及び/又はその親/介護者は、年齢に適した終了時FAQLQ(例えば、FAQLQ-CF、FAQLQ-TF、又はFAQLQ-PF)及びFAIM(例えば、FAIM-CF又はFAIM-PF)を完了した。
【0159】
[0164]C)結果。110人のピーナツアレルギーの対象がOLEに参加し、103人が追加の6か月の毎日の維持療法を完了した。OLE試験に登録した人のうち、62.7%は4歳~11歳であり、残りの37.2%は12歳~17歳であった。
【0160】
[0165]OLEの最後にFAQLQ自己評価を完了した8歳~17歳の68人の患者の中で、
図1で報告されるように、FAQLQ PALISADEベースライン評価と比較して、開発者が報告した臨床的に重要な変化の最小量(MCID)を超える統計的に有意な改善が、全ての個々のスケール(アレルギー回避と食事制限、偶発的な曝露のリスク、及び情緒的影響)及び合計スコア(全てp<0.01)で見られた。OLEの終了時にFAIM自己評価を完了した8~17歳の72人の患者の中で、開発者報告によるMCIDを超える統計的に有意な改善が、結果の期待に関する質問と合計スコアで見られた。製品の回避と社会的影響の質問では、MCIDを下回る減少が観察された。対象は、PALISADEスクリーニングからPALISADE終了(盲検期間)及びPALISADE終了からOLE終了(非盲検期間)の両方でQoLの改善を報告した。FAQLQ自己報告の場合、これらの変化は同様の大きさである。
【0161】
[0166]
図2に報告されるように、OLEに参加した93人のピーナツアレルギーの対象に関して親/保護者によって完了されたFAQLQ-PFの3つのドメインのうちの2つでも、統計的に有意な改善が観察され(社会的及び食事制限:p<0.01、食物不安:p<0.05、情緒的影響:p=0.07)、合計スコアも、ベースラインのFAQLQ-PFベースライン評価と比較して有意であった(p<0.01)。しかし、代理人報告によるFAQLQスコアはいずれも、開発者報告によるMIDを示す閾値を超えなかった。FAIM質問票では、子供の結果の期待(代理人による)は、13歳未満の子供の親/介護者からのみ収集した。OLEを完了したピーナツアレルギーの子供たちのこれら62人の親/介護者のうち、子供の結果の期待(代理人による)ドメインでの統計的に有意な減少が観察されたが、この減少は、開発者報告によるMCIDを超えなかった。OLEを完了したピーナツアレルギーの子供たちの91人の親/介護者のうち、親/介護者の結果の期待ドメインは、OLEの終了時にドメインスコアの統計的に有意な減少を示した。この減少は、開発者報告によるMIDを上回った。自己報告によるQoL測定とは対照的に、代理人報告によるQoLの改善の大部分は、ピーナツアレルギーの対象がピーナツタンパク質組成物を受けていることを通知された後、つまり非盲検期間の後であった。
【0162】
[0167]これらのFAQLQ及びFAIMデータは、食物負荷試験の結果、有害イベント、及びアドレナリン使用の変数によっても分析した。
図3に示すように、OLEを完了した対象を、OLE終了時二重盲検プラセボ対照食品負荷試験での600mgのピーナツタンパク質用量の許容、PALISADE又はOLE臨床試験のいずれかでの全身性アレルギー反応の発生、及びPALISADE又はOLE臨床試験のいずれかの途中でのアドレナリンの使用。に基づいて分割した。
図3では、代理人報告によるFAIMは、4~12歳の対象の子供の結果の期待スコアに限定される。ピーナツタンパク質のOITは、自己評価によるQoLの改善と一貫して相関した。OITの有効性(経口食品負荷試験、全身性アレルギー反応の存在、及びアドレナリンの使用によって測定される)は、改善の低下を伴ったが、それでも、ベースラインと比較して改善された。驚いたことに、代理人報告によるQoLの改善は、自己評価よりも一貫して大きくなく、親/介護者が子供のQoLの改善を過小評価したことを示唆している。600mgのピーナツタンパク質の用量を許容した子供と比較した、経口食品負荷試験で600mgのピーナツタンパク質の用量を許容しなかった子供の親/介護者による代理人報告によるQoLの違いも、自己評価よりも顕著であった。
【0163】
[0168]D)追加の治療群。上記の患者の群(非盲検延長の「群1」と呼ばれる)に加えて、別の患者の群(「群3a」と呼ばれる)が非盲検延長に参加した。群1の対象と同様に、群3aの対象は、活性製剤(即ち、非プラセボ)で治療され、非盲検延長の継続臨床試験に参加するように選ばれたPALISADE完了者であり、ここで彼らは活性剤治療を受け続けることを通知された。OLEを開始する前に(PALISADE終了時)、群3aの対象(自己報告)及び/又はその親或いは介護者/保護者(代理人報告)は、上記の群1の対象と同様に、年齢に適したFAQLQ又はFAIMを完了した。群3aの対象は、300mgのピーナツタンパク質の毎日の投与を含む追加の約56週間の維持療法を受けた。維持療法の追加の約56週間の終了時(即ち、毎日300mgのピーナツタンパク質維持療法の合計約82週間後)、対象は、終了時二重盲検プラセボ対照食品負荷試験を受けた。群3aの対象及び/又はその親/介護者は、年齢に適した終了時FAQLQ及びFAIMを完了した。
【0164】
[0169]31人の対象が群3aに割り当てられ、そのうち16人が終了時FAQLQを完了し、17人が終了時FAIM評価を完了した。群1と同様に、群3aの対象のFAQLQスコアは、開発者報告による合計スコアのMIDであり-0.5を超えた(平均変化-0.63、範囲-1.36、0.11)。群1では、全てのサブドメインがMIDを超えたが、群3aでは、情緒的影響のみがMIDを超えて改善した。両方の群で、FAIM合計スコアはMIDを超えた(群1の場合、n=72、平均変化-0.60、範囲-0.83~-0.36;群3aの場合、n=17、平均変化-0.83、範囲-1.39~-0.37)。FAIMの場合、対象の結果の期待スコアのみがMIDを超えたが、群3aの対象の場合、全てのサブドメインFAIMスコアが、MIDを超えて改善した。これらの結果は、対象が活性剤療法を受けることを通知された後の生活の質の全体的な改善が、より長い維持療法にわたって維持されることを示す。
【0165】
[0170]総合すると、これらの結果は、ピーナツOITが測定ドメイン全体で患者報告によるQoLを大幅に改善し得ることを示唆する。これらの改善は、患者の親/介護者の期待を超える可能性がある。初期スクリーニングと初期終了測定との間で改善が見られ、第1試験の非盲検化の直後、及び初期脱感作と維持期間の後に初期終了測定を行った。しかし、盲検試験中に有意な脱感作が達成されたとしても、非盲検非盲検延長試験中に生活の質の改善が現れ続け、集団全体で更に実質的な改善につながる。
【0166】
例3-欧州のピーナツ経口免疫療法の臨床試験
[0171]A)試験設計。欧州の第3相試験(ARTEMIS)は、エントリー二重盲検プラセボ対照食品負荷試験(DBPCFC)中に、300mg以下のピーナツタンパク質(約1ピーナツカーネル)で用量制限症状を経験したピーナツアレルギーの子供を対象に実施した。この試験は、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、英国の7つの欧州諸国の18の施設で実施された無作為化プラセボ対照多施設共同試験であった。
【0167】
[0172]ピーナツアレルギーの病歴があり、陰性対照と比較した平均ピーナツ皮膚プリックテスト(SPT)膨疹直径≧3mm及び/又は血清ピーナツ特異的免疫グロブリンE(psIgE)レベル≧0.35kUA/L(ImmunoCAP(登録商標)によって決定される)であり、並びにエントリーDBPCFC中に、300mg以下のピーナツタンパク質で用量制限症状を経験した4~17歳の子供が登録に適格であった。主な除外基準には、DBPCFCのスクリーニングから60日以内のアナフィラキシーの重度若しくは生命を脅かすエピソード、重度若しくは制御不能な喘息、好酸球性食道炎の病歴、又は診断されない病因の慢性、再発、若しくは重度の胃腸(GI)症状を含めた。
【0168】
[0173]適格な対象は、1日の初期用量漸増期間に、活性剤(AR101、ピーナツタンパク質を含む治験生物学的薬剤)又はプラセボに対して3:1の比率で無作為化され、試験施設での監督下、0.5mg~6mgの連続投与用量を受けた。20~40週間の用量増加期間では、対象はピーナツタンパク質(AR101)又はプラセボを1日1回投与された。用量は、300mgの用量に達するまで隔週で増加させ、3か月維持した(最初の3mgから最後の300mg)。維持期間の間、対象は自宅で300mgのピーナツタンパク質を12週間毎日受けた。許容される場合、追加の600mg及び1,000mgのピーナツタンパク質負荷試験用量で、試験終了来院時に終了時DBPCFCを実施した。主要評価項目は、既存のDBPCFCで用量制限症状を起こすことなく、1,000mgのピーナツタンパク質(約3~4個のピーナツカーネル)の単一用量を摂取できた参加者の割合とした。追加の評価項目は、有害イベント(AE)の頻度と重症度、及び食物アレルギー関連の生活の質(QoL)の変化を含めた。
【0169】
[0174]QoLは、FAQLQ及びFAIM尺度を使用して評価される。FAQLQとFAIMの年齢に適したバージョンは、8~12歳と13~17歳の参加者、及び全ての介護者によって、試験中の2つの時点(DBPCFCのスクリーニング前と、試験終了来院時の、終了時DBPCFC及び盲検解除の直後と)で完了された。両方の手段共に、1が最小の障害を示し、7が最大の障害を示す7点スケールを利用し、0.5以上の変化が、開発者の参照した重要な変化の最小量(MID)を超えたとみなされる。
【0170】
[0175]B)結果。全ての主要評価項目と副次的評価項目が満たされた。活性剤治療を受けた参加者132人のうち77人(58.3%)が、プラセボの1人(2.3%)と比較して、1,000mgのピーナツタンパク質終了時負荷試験用量に耐えた(治療差:56.0%、95%CI:44.1、65.2、p<0.0001)。
【0171】
[0176]AR101を受けた参加者では、自己報告及び介護者の代理人報告による生活の質の評価に有意な改善が見られた。改善されたQoLは、全てのFAQLQドメインにわたって、活性剤群の8~12歳の参加者で自己報告された。改善は、合計スコア、並びに「アレルゲン回避と食事制限」及び「偶発的な曝露のリスク」のドメインで統計的に有意であった(それぞれ、LS平均差 活性剤-プラセボ[95%CI]:-1.09[-1.95,-0.22]、-1.18[-2.06,-0.30]、-1.20[-2.26,-0.15]、全てp<0.05)。
【0172】
[0177]自己報告及び代理人報告によるQoLの改善は、全てのFAIMドメインで様々な程度で観察された。プラセボ群と比較して、「重度の反応の可能性」及び「偶発的なアレルゲン曝露により死亡する可能性」のドメインでMIDを超える改善されたスコアが、活性剤群の参加者及び介護者によってそれぞれ自己報告及び代理人報告された。改善されたスコアは、「偶発的な曝露時に効果的に治療する/治療される」というドメインについて、介護者によって代理人報告及び自己報告された(LS平均治療差 活性剤-プラセボ[95%CI]4~12歳の介護者の自己報告:0.85[-0.17,1.88]p>0.05、4~12歳の介護者の代理人報告:0.67[-0.43,1.77]p>0.05、13~17歳の介護者の自己報告:0.98[0.03,1.94]p=0.04)。FAQLQ及びFAIMの結果を、
図4~6にまとめて示す。
【0173】
[0178]アレルゲン物質への曝露により、活性剤群の参加者は、予想通り、プラセボ群と比較して治療に関連する有害イベントの増加を経験し、これは生活の質を低下させた可能性がある。この予想に反して、MIDに達したQoLの低下は、プラセボ群と比較して、活性剤群のFAQLQ又はFAIMドメインのいずれにおいても観察されなかった。