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  • 特許-情報収集システム、及び情報収集方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】情報収集システム、及び情報収集方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241021BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022155433
(22)【出願日】2022-09-28
(65)【公開番号】P2024049146
(43)【公開日】2024-04-09
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 瑠維
(72)【発明者】
【氏名】梅原 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】野上 大樹
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055191(JP,A)
【文献】特開2009-116576(JP,A)
【文献】特開2021-083034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得部と、
前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御部と、
特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定部と、
前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出部と、
前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出部により抽出された前記車両に対して、前記通信制御部により送信する車両使用情報取得部と、
を備え、
前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、販売台数が多いほど低く設定された前記必要台数の割合である
情報収集システム。
【請求項2】
複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得部と、
前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御部と、
特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定部と、
前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出部と、
前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出部により抽出された前記車両に対して、前記通信制御部により送信する車両使用情報取得部と、
を備え、
前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、故障が検出された時点からの期間の経過に応じて次第に減少させて設定された前記必要台数の割合である
情報収集システム。
【請求項3】
前記車両使用情報には、前記車両の走行地域、前記車両が使用された時の気温、及び所定の測定期間における前記車両の平均走行距離のうちの少なくともいずれか1つが含まれる
請求項1又は請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記車両登録情報には、前記車両の総走行距離が含まれ、
前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、総走行距離が所定距離以上である前記車両を優先的に抽出する
請求項1又は請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記車両登録情報には、前記車両登録データベースに登録された前記車両の使用地域が含まれ、
前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、使用地域が所定地域である前記車両を優先的に抽出する
請求項1又は請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項6】
コンピュータにより実行される情報収集方法であって、
複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得ステップと、
前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御ステップと、
特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定ステップと、
前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出ステップと、
前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出ステップにより抽出された前記車両に対して、前記通信制御ステップにより送信する車両使用情報取得ステップと、
を含み、
前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、販売台数が多いほど低く設定された前記必要台数の割合である
情報収集方法。
【請求項7】
コンピュータにより実行される情報収集方法であって、
複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得ステップと、
前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御ステップと、
特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定ステップと、
前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出ステップと、
前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出ステップにより抽出された前記車両に対して、前記通信制御ステップにより送信する車両使用情報取得ステップと、
を含み、
前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、故障が検出された時点からの期間の経過に応じて次第に減少させて設定された前記必要台数の割合である
情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集システム、及び情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の車両を対象として、車両から送信される各種の情報を受信して収集するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、車両の制御装置で使用されるプログラムの異常の有無を判断して、判断結果が異常であるときは異常を示す診断結果をシステムに送信し、判断結果が正常であるときには何も送信しない構成として、情報の送信量を減少させる構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-91234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術のシステムでは、車両のプログラムの異常が生じたときにのみ、車両からシステムに情報が送信されるが、車両が正常に動作している状態における車両の情報も、車両を監視する上で有用な情報である。そのため、車両の異常が生じたときの情報のみを収集対象とした場合には、車両の動作検証や解析が不十分になるおそれがある。
本願は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、車両からの有用な情報の収集を、車両との通信量を抑制して効率良く収集することができる情報収集システム、及び情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得部と、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御部と、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定部と、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出部と、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出部により抽出された前記車両に対して、前記通信制御部により送信する車両使用情報取得部と、を備え、前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、販売台数が多いほど低く設定された前記必要台数の割合である情報収集システムが挙げられる。
【0006】
上記目的を達成するための第2態様として、複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得部と、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御部と、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定部と、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出部と、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出部により抽出された前記車両に対して、前記通信制御部により送信する車両使用情報取得部と、を備え、前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、故障が検出された時点からの期間の経過に応じて次第に減少させて設定された前記必要台数の割合である情報収集システムが挙げられる。
【0007】
上記情報収集システムにおいて、前記車両使用情報には、前記車両の走行地域、前記車両が使用された時の気温、及び所定の測定期間における前記車両の平均走行距離のうちの少なくともいずれか1つが含まれる、構成としてもよい。
【0008】
上記情報収集システムにおいて、前記車両登録情報には、前記車両の総走行距離が含まれ、前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、総走行距離が所定距離以上である前記車両を優先的に抽出する、構成としてもよい。
【0009】
上記情報収集システムにおいて、前記車両登録情報には、前記車両登録データベースに登録された前記車両の使用地域が含まれ、前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、使用地域が所定地域である前記車両を優先的に抽出する、構成としてもよい。
【0010】
上記目的を達成するための第態様として、コンピュータにより実行される情報収集方法であって、複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得ステップと、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御ステップと、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定ステップと、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出ステップと、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出ステップにより抽出された前記車両に対して、前記通信制御ステップにより送信する車両使用情報取得ステップと、を含み、前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、販売台数が多いほど低く設定された前記必要台数の割合である情報収集方法が挙げられる。
上記目的を達成するための第4態様として、コンピュータにより実行される情報収集方法であって、複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得ステップと、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御ステップと、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定ステップと、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出ステップと、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出ステップにより抽出された前記車両に対して、前記通信制御ステップにより送信する車両使用情報取得ステップと、を含み、前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する、故障が検出された時点からの期間の経過に応じて次第に減少させて設定された前記必要台数の割合である情報収集方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
上記情報収集システムによれば、車両からの有用な情報の収集を、車両との通信量を抑制して効率良く収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、情報収集システムの構成、及び情報収集システムによる車両からの情報収集の態様の説明図である。
図2図2は、車両登録データベースの説明図である。
図3図3は、車両使用情報の収集処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.情報収集システムによる車両からの情報収集の態様]
図1図2を参照して、本実施形態の情報収集システム1により実行される複数の車両50からの情報収集の態様について説明する。情報収集システム1は、通信ネットワーク200を介して、複数の車両50及び車両管理サーバー100との間で通信を行う。
【0014】
車両管理サーバー100には、各車両50が登録された車両登録DB(database,データベース)110が備えられている。図2に示したように、車両登録DB110には、各車両50について、車両コード(Cc-001,Cc-002,…)、車種・年式(Md-001,Md-002,…)、利用者情報(Ui-001,Ui-002,…)、及び車両メンテナンス情報(Cm-001,Cm-002,…)含む車両登録情報Criが記録されている。
【0015】
車両コードは、各車両50に対して固有に割り当てられた識別情報である。利用者情報には、利用者の登録ID(identification)、氏名、住所、連絡先情報(電話番号、携帯端末の通信アドレス等)等が含まれる。車両メンテナンス情報には、車両50の車検、定期点検、修理等によるメンテナンスの履歴と、メンテナンス時に確認された車両50の総走行距離等が含まれる。
【0016】
車両50には、車両50の作動を制御するECU(Electronic Control Unit)51、エアコン52、バッテリー53、各種センサ54、車両50の周囲を撮影するカメラ55、通信ユニット56、及びタッチパネル等の表示器57が備えられている。センサ54には、車両50の現在位置を検出するGSS(Global Navigation Satellite System)センサ、速度センサ、加速度センサ、外気温センサ、室内温度センサ、バッテリーセンサ等が含まれる。バッテリーセンサは、バッテリー53の電圧、電流、温度を検出する。
【0017】
ECU51は、通信ユニット56により、通信ネットワーク200を介して、情報収集システム1及び車両管理サーバー100との間で通信を行う。また、情報収集システム1及び車両管理サーバー100は、通信ネットワーク200を介して、車両50に乗車している利用者Uにより使用される利用者端末60(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)との間で通信を行う。
【0018】
情報収集システム1は、所定の情報取得条件に基づいて、車両50の使用状況を示す車両使用情報Cuiの取得対象とする特定車種の車両50の必要台数を設定する。車両使用情報Cuiには、車両50においてセンサ54により検出された、車両50が走行した地域、車両50が使用された時の気温、及び所定の測定期間(例えば、1か月)における車両50の平均走行距離が含まれる。
【0019】
情報収集システム1は、車両登録DB110を参照して、必要台数分の特定車種の車両50を抽出し、抽出した車両50に対して、車両使用情報Cuiの送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報Curを送信する。そして、情報収集システム1は、抽出した車両50から送信される車両使用情報Cuiを受信して取得する。
【0020】
このように、車両使用情報Cuiの取得対象とする車両50を、情報取得条件を満たす特定車種の必要台数の車両50に限定することにより、情報収集システム1と複数の車両50との通信量を減少させて、効率良く車両使用情報Cuiを収集することができる。
【0021】
また、車両使用情報Cuiには、ECU51やエアコン52等の車載機器の作動状況、センサ54により検出される速度、加速度等の情報が含まれる。そして、これらの車両50の使用状況に応じて刻々と変化する情報については、車両使用情報送信依頼情報Cuiにより指定される所定のサンプリング周期により、或いは所定のサンプリング周期で送信される車両使用情報送信依頼情報Cuiに応じて、車両50から情報収集システム1に対して継続的に繰り返し送信され、対象車種の各種の車両状態解析に活用される。
【0022】
[2.情報収集システムの構成]
図1を参照して、情報収集システム1の構成について説明する。情報収集システム1は、プロセッサ10、メモリ20、通信ユニット30等を備えたコンピュータシステムである。通信ユニット30は、通信ネットワーク200を介して、車両管理サーバー100、各車両50、及び利用者端末60との間で通信を行う。
【0023】
メモリ20には、情報収集システム1の制御用のプログラム21、及び車両50から取得された車両使用情報Cuiが記録される車両使用DB22が保存されている。プロセッサ10は、プログラム21を読み込んで実行することにより、車両登録情報取得部11、通信制御部12、必要台数設定部13、情報取得対象車両抽出部14、及び車両使用情報取得部15として機能する。
【0024】
車両登録情報取得部11により実行される処理は、本開示の情報収集方法における車両登録情報取得ステップに相当し、通信制御部12により実行される処理は、本開示の情報収集方法における通信制御ステップに相当する。必要台数設定部13により実行される処理は、本開示の必要台数設定ステップに相当し、情報取得対象車両抽出部14により実行される処理は、本開示の情報取得対象車両抽出ステップに相当する。車両使用情報取得部15により実行される処理は、本開示の車両使用情報取得ステップに相当する。
【0025】
車両登録情報取得部11は、通信ユニット30により、通信ネットワーク200を介して車両管理サーバー100にアクセスすることによって、車両登録DB110を参照して車両50の車両登録情報Criを取得する。通信制御部12は、車両登録情報Criから得られる識別コードにより特定される車両50との、通信ユニット30による通信ネットワーク200を介した通信を制御する。
【0026】
必要台数設定部13は、所定の情報取得条件に基づいて、車両使用情報Cuiの取得対象とする特定車種の必要台数を設定する。情報取得条件は、例えば、以下の状況の車種A、車種B、車種Cについて、以下のように、サンプリング台数に対する必要台数の割合によって設定される。
車種A…新型車種で、販売台数が少ない。
車種B…普及車種で、販売台数が多い。
車種C…普及車種で、一部の車両で故障が検出された。
【0027】
車種Aの情報取得条件…普及するまで、ある程度の台数の車両50から車両使用情報を取得したいとの要望があるため、データ取得割合が100%に設定される。例えば、販売台数10万台に対するサンプリング台数として500台が設定されている場合、必要台数設定部13は、500台×100%=500台を、必要台数として設定する。
【0028】
車種Bの情報取得条件…普及が進んで販売台数が多い状況となっており、車両使用情報の解析ニーズが低いため、データ取得割合が20%に設定される。例えば、販売台数10万台に対するサンプリング台数として500台が設定されている場合、必要台数設定部13は、500台×20%=100台を、必要台数として設定する。
【0029】
車種Cの情報取得条件…普及車種ではあるが、故障が検出されたため、車両使用情報の解析ニーズが高まったが、故障への対応が進むにつれて、車両使用情報の解析ニーズは次第に低くなる。そこで、データ取得割合が、100%→50%→20%と、期間の経過に応じて段階的に少なくなる設定とされる。例えば、販売台数10万台に対するサンプリング台数として500台が設定されている場合、必要台数設定部13は、期間の経過に応じて、500台×100%=00台→500台×50%=250台→500台×20%=100台、と必要台数を次第に減少させて設定する。
【0030】
情報取得対象車両抽出部14は、必要台数設定部13により設定された必要台数分の特定車種の車両50を、車両登録DB110を参照して抽出する。この場合、情報取得対象車両抽出部14は、以下の優先抽出条件1~3のいずれかを満たす車両50を、優先的に抽出するようにしてもよい。
【0031】
優先抽出条件1…車両50の総走行距離が所定距離以上である。車両50の総走行距離は、車両登録情報Criの車両メンテナンス情報(図2参照)から認識することができる。或いは、車両50から送信された直近の車両使用情報Cuiから認識することができる。
優先抽出条件2…車両50が使用されている地域が寒冷地である。車両50が使用されている地域は、車両登録情報Criの利用者情報(図2参照)から認識することができる。或いは、車両50から送信された過去の車両使用情報Cuiから認識することができる。
優先抽出条件3…車両50の走行頻度(使用頻度)が所定レベル以上である。車両50の走行頻度(使用頻度)は、車両登録情報Criの車両メンテナンス情報(図2参照)から認識される所定期間あたりの車両50の走行距離から認識することができる。或いは、車両50から送信された過去の車両使用情報Cuiから認識することができる。
【0032】
車両使用情報取得部15は、情報取得対象車両抽出部14により抽出された車両50(以下、対象車両50と称する)に対して、車両使用情報Cuiの送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報Curを、通信制御部12及び通信ユニット30により、通信ネットワーク200を介して送信する。
【0033】
車両使用情報取得部15は、車両使用情報送信依頼情報Curを受信した対象車両50から送信される車両使用情報Cuiを、通信制御部12及び通信ユニット30により、通信ネットワーク200を介して受信して取得し、取得した車両使用情報Cuiを車両使用DB22に記録する。車両使用DB22に記録された車両使用情報Cuiは、車種ごとの各種解析に使用される。
【0034】
[3.車両使用情報の収集処理]
図3に示したフローチャートに従って、情報収集システム1により実行される車両使用情報Cuiの収集処理の一連の手順について説明する。
【0035】
図3のステップS1で、必要台数設定部13は、上述した情報取得条件に基づいて、抽出する特定車種の車両50の必要台数を設定する。続くステップS2で、情報取得対象車両抽出部14は、車両管理サーバー100の車両登録DB110にアクセスして、上述した優先抽出条件1~3を考慮して、必要台数分の特定車種の車両50を抽出する。
【0036】
次のステップS3で、車両使用情報取得部15は、情報取得対象車両抽出部14により抽出された対象車両50に対して車両使用情報送信依頼情報Curを送信する。続くステップS4で、車両使用情報取得部15は、いずれかの対象車両50から車両使用情報Cuiを受信したときに、ステップS5に処理を進める。ステップS5で、車両使用情報取得部15は、受信した車両使用情報Cuiを車両使用DB22に保存する。
【0037】
次のステップS6で、車両使用情報取得部15は、全ての対象車両50から車両使用情報Cuiを受信したか否かを判断する。そして、車両使用情報取得部15は、全ての対象車両50から車両使用情報Cuiを受信したときにステップS7に処理を進めて、図3のフローチャートによる車両使用情報の収集処理を終了する。一方、未だ車両使用情報Cuiを受信していない対象車両50が残っているときには、車両使用情報取得部15は、ステップS4に処理を進める。
【0038】
図3のフローチャートによる車両使用情報の収集処理により、必要台数分の特定車種の車両50の車両使用情報Cuiが取得され、取得された車両使用情報Cuiを用いて特定車種についての解析をすることができる。
【0039】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、情報取得条件として、必要台数設定部13は、サンプリング台数に対する必要台数の割合を用いたが、他の情報取得条件を用いてもよい。例えば、以下の(1)~(3)による情報取得条件を用いて、車両使用情報Cuiの取得対象とする特定車種の必要台数を設定してもよい。
(1)必要台数設定部13は、車両登録DB110に登録されている車種ごとの台数のレンジによって、必要台数を以下のように設定する。
登録台数が100台以下…必要台数を登録されている全台数に設定。
登録台数が101~1,000台…必要台数を100台に設定。
登録台数が1,001~10,000台…必要台数を200台に設定。
登録台数が10,001~100,001万台…必要台数を400台に設定。
(2)車両登録DB110に登録されている車種ごとに、必要台数が設定されたテーブルを用意し、必要台数設定部13は、このテーブルを参照して必要台数を設定する。このテーブルの仕様は、取得した情報の解析を行う解析センター等の管理者によって更新することが可能である。
(3)車両登録DB110に登録されている車種ごとに、登録台数の入力に対して必要台数を出力する関数を用意し、必要台数設定部13は、この関数を用いて必要台数を設定する。
【0040】
上記実施形態では、情報取得対象車両抽出部14は、上記優先抽出条件1~3を満たす対象車両50を優先的に抽出したが、このような優先抽出条件を設定せずに、対象車両50を抽出してもよい。
【0041】
上記実施形態では、車両使用情報Cuiに、車両50の走行地域、車両50が使用された時の気温、及び所定の測定期間における車両50の平均走行距離が含まれる例を示した。他の実施形態として、車両使用情報Cuiに、車両50の走行地域、車両50が使用された時の気温、及び所定の測定期間における車両50の平均走行距離のうちのいずれか1つ又は2つが含まれるようにしてもよい。また、車両使用情報Cuiに、車両50が走行した道路の種別(一般道路、高速道路等)、今後の車両50の走行予定、車両50の走行速度、車両50の加減速度等の他の情報が含まれるようにしてもよい。
【0042】
上記実施形態では、車両管理DB110を車両管理サーバー100に備えた例を示したが、車両管理DB110を情報収集システム1のメモリ20に備えた構成としてもよい。
【0043】
なお、図1は、本開示の発明の理解を容易にするために、情報収集システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、情報収集システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図3に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0044】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0045】
(構成1)複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得部と、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御部と、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定部と、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出部と、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出部により抽出された前記車両に対して、前記通信制御部により送信する車両使用情報取得部と、を備える情報収集システム。
構成1の情報収集システムによれば、車両からの有用な情報の収集を、車両との通信量を抑制して効率良く収集することができる。
【0046】
(構成2)前記情報取得条件は、前記車両登録データベースに登録された前記車両の車種ごとに設定された、所定のサンプリング台数に対する前記必要台数の割合である、構成1に記載の情報収集システム。
構成2の情報収集システムによれば、車種ごとに異なる車両使用情報の必要数に基づいて、情報収集の対象とする車両の台数を容易に設定することができる。
【0047】
(構成3)前記車両使用情報には、前記車両の走行地域、前記車両が使用された時の気温、及び所定の測定期間における前記車両の平均走行距離のうちの少なくともいずれか1つが含まれる、構成1又は構成2に記載の情報収集システム。
構成3の情報収集システムによれば、車両の故障や劣化等の要因の解析に活用可能な車両の走行地域、車両が使用された時の気温、及び所定の測定期間における車両の平均走行距離を、通信量を抑制して取得することができる。
【0048】
(構成4)前記車両登録情報には、前記車両の総走行距離が含まれ、前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、総走行距離が所定距離以上である前記車両を優先的に抽出する、構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の情報収集システム。
構成4の情報収集システムによれば、総走行距離が所定距離以上であって、車両の劣化が進んで故障が発生する可能性が高いと推定される車両を優先的に抽出することにより、故障に関する情報を早期に収集することができる。
【0049】
(構成5)前記車両登録情報には、前記車両登録データベースに登録された前記車両の使用地域が含まれ、前記情報取得対象車両抽出部は、前記車両登録情報を参照して、使用地域が所定地域である前記車両を優先的に抽出する、構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の情報収集システム。
構成5の情報収集システムによれば、例えば、車両が寒冷地で使用されてエアコンの使用頻度が高い等の理由により、故障が発生する可能性が高いと推定される車両を優先的に抽出して、故障に関する情報を早期に収集することができる。
【0050】
(構成6)コンピュータにより実行される情報収集方法であって、複数の車両が登録された車両登録データベースにアクセスして、前記車両登録データベースに登録された前記車両の識別コードと車種を含む車両登録情報を取得する車両登録情報取得ステップと、前記識別コードにより特定される前記車両との間で通信を行う通信制御ステップと、特定車種の前記車両を対象として、前記車両の使用状況を示す車両使用情報を取得する際の必要台数を、所定の情報取得条件に基づいて設定する必要台数設定ステップと、前記車両登録データベースに登録された前記特定車種の前記車両の中から、前記必要台数の前記車両を抽出する情報取得対象車両抽出ステップと、前記車両使用情報の送信を依頼する車両使用情報送信依頼情報を、前記情報取得対象車両抽出ステップにより抽出された前記車両に対して、前記通信制御ステップにより送信する車両使用情報取得ステップと、を含む情報収集方法。
構成6の情報収集方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の情報収集システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…情報収集システム、10…プロセッサ、11…車両登録情報取得部、12…通信制御部、13…必要台数設定部、14…情報取得対象車両抽出部、15…車両使用情報取得部、20…メモリ、21…プログラム、22…車両使用DB、30…通信ユニット、50…車両、51…ECU、52…エアコン、53…バッテリー、54…センサ、55…カメラ、56…通信ユニット、57…表示器、60…利用者端末、100…車両管理サーバー、110…車両登録DB、200…通信ネットワーク、U…利用者。
図1
図2
図3