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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ガードケーブル緊張装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/06 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
E01F15/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022183222
(22)【出願日】2022-11-16
(65)【公開番号】P2023078088
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2021191081
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509185446
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】曽根 直人
(72)【発明者】
【氏名】武山 浩二
(72)【発明者】
【氏名】高谷 宏一
(72)【発明者】
【氏名】上村 太一
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-065719(JP,U)
【文献】実開昭63-050917(JP,U)
【文献】特開平06-264421(JP,A)
【文献】特開昭62-055307(JP,A)
【文献】特開2000-120304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードケーブルの端部に設けられ支柱に貫通状態で配設されているボルト軸を引動することで当該ガードケーブルを緊張させるためのガードケーブル緊張装置であって、前記支柱の側周面に当接する当接部が設けられた装置本体と、前記ボルト軸に連結するボルト軸連結部と、前記装置本体に設けられ前記当接部を前記支柱に当接させた状態において前記ボルト軸に連結された前記ボルト軸連結部を前記支柱に対し離反する方向に引動する引動手段と、前記ボルト軸に一端部が連結され前記ボルト軸連結部に他端部が連結されるエクステンションバーを備え、また、前記当接部は、前記装置本体に着脱自在に設けられ断面円形の支柱の湾曲状側周面に嵌合当接する凹形状の第一当接部と、前記第一当接部を取り外すことで露出し断面角形の支柱の平坦状側周面に面当接する平坦状の第二当接部とで構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項2】
請求項1記載のガードケーブル緊張装置において、前記ボルト軸連結部は、前記ボルト軸に螺着する雌ネジ孔部材で構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記引動手段は、前記装置本体に設けられる流体圧駆動本体部と、この流体圧駆動本体部に進退動自在に設けられ先端部に前記ボルト軸連結部が設けられる駆動軸部とを備えたものであることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項4】
請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体は、前記当接部の後方対向位置に前記引動手段が分離可能に設けられる引動手段配置部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項5】
請求項3記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体は、前記当接部の後方対向位置に前記引動手段が分離可能に設けられる引動手段配置部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項6】
請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体には、前記装置本体を前記支柱に挟持固定する挟持固定部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項7】
請求項3記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体には、前記装置本体を前記支柱に挟持固定する挟持固定部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項8】
請求項4記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体には、前記装置本体を前記支柱に挟持固定する挟持固定部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項9】
請求項5記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体には、前記装置本体を前記支柱に挟持固定する挟持固定部が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項10】
請求項6記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部は、前記当接部の前方部位に左右一対の挟持部材を接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項11】
請求項7記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部は、前記当接部の前方部位に左右一対の挟持部材を接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項12】
請求項8記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部は、前記当接部の前方部位に左右一対の挟持部材を接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【請求項13】
請求項9記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部は、前記当接部の前方部位に左右一対の挟持部材を接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガードケーブル緊張装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば車道の側方や中央分離帯に設けられる防護柵として、図20に図示したように車両衝突時の衝撃をガードケーブル50の撓みを利用して吸収する構造の防護柵Xが提案されている。
【0003】
具体的には、この防護柵Xは、間隔を介して立設される支柱60と、この支柱60同士間に架設されるガードケーブル50とから成り、防護柵Xの最も端部に位置する支柱60に設けられる孔に対し、ガードケーブル50の端部に設けられるボルト軸51を貫通させ、ガードケーブル50を緊張させた状態でこのボルト軸51(雄ネジ部51a)に螺着されるナット52で抜け止め止着して構成されている。尚、一般的にガードケーブル50は上下方向に3~5段で架設される。
【0004】
ところで、前述したように防護柵Xを構築する際、ガードケーブル50は緊張した状態で抜け止め状態としているが、夏場の太陽光による熱や経年によりガードケーブル50が伸びて緩んでしまう場合があり、その場合、ガードケーブル50の緊張作業が行われる。
【0005】
このガードケーブル50の緊張作業は、従来においては、例えば図21に図示したようなチェーンブロック55を用いてガードケーブル50を引動し、この状態でボルト軸51に螺着されるナット52を支柱60に当接するまで螺動させることで行われるが、このガードケーブル50を強い人力を要するハンドル55aの操作で引動するのが大変であり、よって、このガードケーブル50の緊張作業が簡易且つ迅速に良好に行える手段の提案が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みなされたもので、従来にない非常に実用的なガードケーブル緊張装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
ガードケーブル50の端部に設けられ支柱60に貫通状態で配設されているボルト軸51を引動することで当該ガードケーブル50を緊張させるためのガードケーブル緊張装置であって、前記支柱60の側周面60aに当接する当接部2が設けられた装置本体1と、前記ボルト軸51に連結するボルト軸連結部3と、前記装置本体1に設けられ前記当接部2を前記支柱60に当接させた状態において前記ボルト軸51に連結された前記ボルト軸連結部3を前記支柱60に対し離反する方向に引動する引動手段4と、前記ボルト軸51に一端部が連結され前記ボルト軸連結部3に他端部が連結されるエクステンションバー8を備え、また、前記当接部2は、前記装置本体1に着脱自在に設けられ断面円形の支柱60’の湾曲状側周面60a’に嵌合当接する凹形状の第一当接部2Aと、前記第一当接部2Aを取り外すことで露出し断面角形の支柱60の平坦状側周面60aに面当接する平坦状の第二当接部2Bとで構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載のガードケーブル緊張装置において、前記ボルト軸連結部3は、前記ボルト軸51に螺着する雌ネジ孔部材3aで構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記引動手段4は、前記装置本体1に設けられる流体圧駆動本体部4Aと、この流体圧駆動本体部4Aに進退動自在に設けられ先端部に前記ボルト軸連結部3が設けられる駆動軸部4Bとを備えたものであることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1は、前記当接部2の後方対向位置に前記引動手段4が分離可能に設けられる引動手段配置部5が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0012】
また、請求項3記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1は、前記当接部2の後方対向位置に前記引動手段4が分離可能に設けられる引動手段配置部5が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1には、前記装置本体1を前記支柱60に挟持固定する挟持固定部6が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0014】
また、請求項3記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1には、前記装置本体1を前記支柱60に挟持固定する挟持固定部6が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0015】
また、請求項4記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1には、前記装置本体1を前記支柱60に挟持固定する挟持固定部6が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0016】
また、請求項5記載のガードケーブル緊張装置において、前記装置本体1には、前記装置本体1を前記支柱60に挟持固定する挟持固定部6が設けられていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0017】
また、請求項6記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部6は、前記当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0018】
また、請求項7記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部6は、前記当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0019】
また、請求項8記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部6は、前記当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【0020】
また、請求項9記載のガードケーブル緊張装置において、前記挟持固定部6は、前記当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されていることを特徴とするガードケーブル緊張装置に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したから、ガードケーブルの緊張作業が簡易且つ迅速に行われるなど、従来にない非常に実用的なガードケーブル緊張装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1を示す斜視図である。
図2】実施例1を示す分解斜視図である。
図3】実施例1の要部を説明する断面図である。
図4】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図5】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図6】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図7】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図8】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図9】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図10】実施例1を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図11】エクステンションバー8を示す斜視図である。
図12】実施例1でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図13】実施例1でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図14】実施例1でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図15】実施例1でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図16】実施例1でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
図17】実施例2を示す斜視図である。
図18】実施例2を示す分解斜視図である。
図19】実施例2の使用状態説明図である。
図20】支柱60とガードケーブル50とから成る防護柵の説明図である。
図21】従来から行われているチェーンブロック55を用いたガードケーブル50の緊張作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0024】
装置本体1に設けられた当接部2を支柱60の側周面60aに当接するとともに、支柱60に貫通状態で配設されているボルト軸51の貫通部位にボルト軸連結部3を連結し、この状態でボルト軸連結部3を引動手段4により支柱60に対し離反する方向に引動すると、ガードケーブル50は緊張状態となる。
【0025】
従って、ガードケーブル50の引動が人力に頼るものではないから、ガードケーブル50の緊張作業が簡易且つ迅速に行われる。
【実施例
【0026】
<実施例1>
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、ガードケーブル50の端部に設けられ支柱60に貫通状態で配設されているボルト軸51を引動することで当該ガードケーブル50を緊張させるためのガードケーブル緊張装置であって、支柱60の側周面60aに当接する当接部2が設けられた装置本体1と、ボルト軸51に連結するボルト軸連結部3と、装置本体1に設けられ当接部2を支柱60に当接させた状態においてボルト軸51に連結されたボルト軸連結部3を支柱60に対し離反する方向に引動する引動手段4とを備えたものである。
【0028】
尚、本実施例を用いてガードケーブル50の緊張作業が行われる防護柵Xは、前述した既存構造のものであり、図11に示すように間隔を介して立設される支柱60と、この支柱60同士間に架設されるガードケーブル50(上下に四本)とから成り、防護柵Xの最も端部に位置する支柱60に設けられる孔に対し、ガードケーブル50の端部に設けられるボルト軸51を貫通させ、ガードケーブル50を緊張させた状態でこの支柱60を貫通状態としたボルト軸51(雄ネジ部51a)に螺着されるナット52で抜け止め止着して構成されている。符号53はガードケーブル50とボルト軸51とを連結するための連結部材、61は補強支柱である。
【0029】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0030】
装置本体1は、図1,2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したフレーム構造体であり、前後対向位置に配される前部材1a及び後部材1bと、この前部材1a及び後部材夫々の上下端部同士間に架設される上下一対の架設部材1cとで構成されている。
【0031】
この装置本体1を構成する前部材1aは、適宜な面積を有する正面視方形状の垂直板状体であり、前方に向けて凹形状に設けられており、支柱60の側周面60aに篏合状態(包持状態)で当接する当接部2として構成されている。
【0032】
また、この当接部2(前部材1a)の中央部位には貫通孔1a’が設けられている。
【0033】
この貫通孔1a’は、当接部2を支柱60の側周面に当接させた状態で該支柱60に貫通状態に配設されているボルト軸51を挿通するための部位である。
【0034】
従って、支柱60の側周面60aに当接部2を当接させた際に貫通孔1a’を貫挿したボルト軸51は装置本体1内に配されることになる。
【0035】
装置本体1を構成する後部材1bは、適宜な面積を有する正面視方形状の垂直板状体であり、この後部材1bの中央部位には貫通孔1b’が設けられている。
【0036】
この貫通孔1b’は、後述する引動手段4(駆動軸部4B)を貫挿させた状態で流体圧駆動本体部4Aの先端部(係止突部4a)を係止するための係合凹部であり、後部材1bは引動手段4を分離可能に配置する引動手段配置部5として構成されている。
【0037】
装置本体1を構成する上下の架設部材1cは、適宜な長さを有する平面視長方形状の水平板状体であり、各架設部材1cの内面には前部材1a及び後部材1b同士間に架設状態となる補強板1c’が突設されている。尚、装置本体1は、当接部2と引動手段配置部5との対向間隔が可変可能となる構成(架設部材1cが伸縮する構成)でも良い。
【0038】
また、装置本体1の先端部(上側の架設部材1cの先端部)には、支柱60に対して挟持固定する挟持固定部6が設けられている。
【0039】
この挟持固定部6は、図1,2に図示したように当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されている。
【0040】
具体的には、本実施例では、装置本体1の先端部に設けられる平面視コ字状のフレーム部材6bの左右端部夫々に挟持部材6aを設けており、この左右の挟持部材6aのうち、一方の挟持部材6aをフレーム部材6bの端部に往復動自在に螺着する可動部材6cに設けている。この可動部材6c(挟持部材6a)の移動方向は装置本体1の長手方向と直交する方向に設定されている。
【0041】
従って、挟持固定部6は、一方の挟持部材6aが他方の挟持部材6aに対して接離自在に設けられており、支柱60の側周面60aに当接部2を当接させた状態で挟持固定部6で支柱60を挟持することができ、この挟持固定部6を介して装置本体1は支柱60に対して固定されることになる。
【0042】
また、各架設部材1c夫々の外面には把手部7が設けられている。
【0043】
ボルト軸連結部3は、図1~3に図示したようにボルト軸51に螺着する雌ネジ孔部材3aで構成されており、後述する引動手段4の駆動軸部4Bの先端部に軸回動自在に設けられている。
【0044】
従って、ボルト軸連結部3は、装置本体1内に配されたボルト軸51(雄ネジ部51a)に被篏した状態で螺着連結することができる。
【0045】
引動手段4は、図1,2に図示したように装置本体1に設けられるシリンダー構造の流体圧駆動本体部4A(シリンダチューブ)とこの流体圧駆動本体部4Aに進退動自在に設けられ先端部にボルト軸連結部3が設けられる駆動軸部4B(ピストンロッド)を備えた単動タイプの流体圧シリンダー装置S1(油圧シリンダー)と、この流体圧シリンダー装置S1に対して作動流体(油)を圧送する流体圧ポンプ装置S2(油圧ポンプ)とで構成されている。
【0046】
従って、流体圧ポンプ装置S2を操作(ハンドル4Cの起伏回動操作)すると、作動流体が流体圧シリンダー装置S1(流体圧駆動本体部4A)に導入することで駆動軸部4Bは縮動し、反対に駆動軸部4Bを伸動させる場合には、作動流体の高圧状態を解除することで、流体圧駆動本体部4Aに設けられた図示省略の付勢機構を介して駆動軸部4Bは戻り動(伸動)することになる。
【0047】
また、流体圧駆動本体部4Aの先端部には、装置本体1の引動手段配置部5(貫通孔1b’)に篏合係止する係止突部4aが設けられている。
【0048】
尚、本実施例では、駆動軸部4Bを進退動させる流体圧として油圧を採用したが空圧でも良い。
【0049】
以上の構成から成る本実施例に係るガードケーブル緊張装置を用いたガードケーブル50の緊張作業について説明する。
【0050】
先ず、防護柵Xの支柱60に装置本体1を挟持固定部6を介して固定する(図4,5参照)。
【0051】
具体的には、作業対象となるガードケーブル50の端部に設けられ支柱60の側周面60aから突出するボルト軸51(雄ネジ部51a)が装置本体1内に配されるように、このボルト軸51(雄ネジ部51a)を貫通孔1a’に対して貫挿させて当接部2を支柱60の側周面60aに当接させ、この状態で挟持固定部6の一方の挟持部材6aを他方の挟持部材6aに対して接近移動させることで支柱60に挟持固定する。
【0052】
続いて、装置本体1に引動手段4を設けると共に、ボルト軸連結部3をボルト軸51に連結する(図6,7参照)。
【0053】
具体的には、装置本体1の引動手段配置部5(貫通孔1b’)から引動手段4の駆動軸部4Bを貫挿させ、この状態でボルト軸連結部3を軸回動させてボルト軸51に螺着連結する。この際、ボルト軸51(雄ネジ部51a)に螺着されたナット52をボルト軸連結部3に当接する位置まで螺動させ、ダブルナット効果によりボルト軸51からボルト軸連結部3が外れるのを防止する。
【0054】
続いて、引動手段4を作動させてボルト軸連結部3を支柱60に対し離反する方向に引動することでボルト軸51を引動すると、流体圧駆動本体部4Aの先端部(係止突部4a)が貫通孔1b’に篏合係止した後、更にボルト軸51が引動されることでガードケーブル50は緊張状態となる(図8参照)。尚、本実施例で言うガードケーブル50の緊張状態とは、引動されたガードケーブル50全体が支柱60同士間で弛みの無い状態(水平状態)になることを意味する。
【0055】
続いて、工具等を用いてナット52を支柱60の側周面60aに当接する位置まで螺動させてガードケーブル50の緊張状態を保持する(図9参照)。
【0056】
続いて、ボルト軸51からボルト軸連結部3を外して緊張作業は完了する(図10参照)。
【0057】
その後、同様にしてその他のガードケーブル50に対しても緊張作業を行う。
【0058】
ところで、本実施例では、ボルト軸51に一端部が連結されボルト軸連結部3に他端部が連結されるエクステンションバー8を備えている。
【0059】
具体的には、このエクステンションバー8は、図11の(a),(b)に図示したように適宜な金属製の部材で形成された丸棒状体であり、先端部にはボルト軸51に被嵌した状態で螺着する第一連結部8a(雌ネジ)が設けられ、基端部にはボルト軸連結部3が被篏した状態で螺着連結する第二連結部8b(雄ネジ部)が設けられており、本実施例では2種類の長さのものが用意されている。
【0060】
前述した支柱60の側周面60aから突出するボルト軸51(雄ネジ部51a)の突出量は、常に一定とはならず、ガードケーブル50夫々の弛み度合いによって異なり、また、駆動軸部4B(ピストンロッド)のストローク量に制限がある中、例えば、長さの異なる装置本体1を複数用意してその突出量に合った装置本体1を選択して作業を行うことも可能であるが、その都度、複数の装置本体1を持ち運ぶのは嵩張って厄介である。
【0061】
この点、本実施例は、前述したように長さの異なるエクステンションバー8を複数設けておくことで、ボルト軸51の突出量に対応できるのは勿論、コンパクトで持ち運びが楽に行え、しかも、作業性が良好となる。
【0062】
以下、本実施例に係るガードケーブル緊張装置でエクステンションバー8を用いたガードケーブル50の緊張作業について説明する。
【0063】
図12に図示したように支柱60の側周面60aから突出するボルト軸51(雄ネジ部51a)の突出量に合ったエクステンションバー8を選択し、このエクステンションバー8(第一連結部8a)をボルト軸51に連結する(図13参照)。この際、ボルト軸51(雄ネジ部51a)に螺着されたナット52との間に隙間があった場合には、ナット52をエクステンションバー8の端部に当接する位置まで螺動させ、ダブルナット効果によりボルト軸51からエクステンションバー8が外れるのを防止する。
【0064】
続いて、装置本体1の引動手段配置部5(貫通孔1b’)から引動手段4の駆動軸部4Bを貫挿させ、この状態でボルト軸連結部3を軸回動させてエクステンションバー8(第二連結部8b)に螺着連結する(図13,14参照)。
【0065】
続いて、引動手段4を作動させてボルト軸連結部3を支柱60に対し離反する方向に引動することでボルト軸51を引動すると、流体圧駆動本体部4Aの先端部(係止突部4a)が貫通孔1b’に篏合係止した後、更にボルト軸51が引動されることでガードケーブル50は緊張状態となる(図15参照)。
【0066】
続いて、工具等を用いてナット52を支柱60の側周面60aに当接する位置まで螺動させてガードケーブル50の緊張状態を保持し、ボルト軸51からエクステンションバー8を外して緊張作業は完了する(図16参照)。
【0067】
本実施例は上述のように構成したから、ガードケーブル50の引動が人力に頼るものではないから、ガードケーブル50の緊張作業が簡易且つ迅速に行われ、しかも、大掛かりな構造ではなく簡易構造故にコスト安にして量産性に優れることになる。
【0068】
また、本実施例は、ボルト軸連結部3は、ボルト軸51に螺着する雌ネジ孔部材3aで構成されているから、引動手段4におけるボルト軸51への堅固な連結が簡易且つ迅速に行えることになる。
【0069】
また、本実施例は、引動手段4は、装置本体1に設けられる流体圧駆動本体部4Aと、この流体圧駆動本体部4Aに進退動自在に設けられ先端部にボルト軸連結部3が設けられる駆動軸部4Bとを備えたものであるから、流体圧を利用した構造故にガードケーブル50の緊張作業が楽に行えることになる。
【0070】
また、本実施例は、装置本体1は、当接部2の後方対向位置に引動手段4が分離可能に設けられる引動手段配置部5が設けられているから、支柱60に対する取り付け及び取り外しが簡易且つ迅速に、しかも、コンパクトな状態とすることができ、持ち運びや不使用時の保管に便利である。
【0071】
また、本実施例は、装置本体1には、支柱60に対して挟持固定する挟持固定部6が設けられているから、この点においてもガードケーブル50の緊張作業が簡易且つ迅速に行えることになる。
【0072】
また、本実施例は、挟持固定部6は、当接部2の前方部位に左右一対の挟持部材6aを接離自在に設けて構成されているから、前述した作用効果を確実に奏することができる。
【0073】
また、本実施例は、ボルト軸51に一端部が連結されボルト軸連結部3に他端部が連結されるエクステンションバー8を備えているから、ボルト軸51の突出量に対応できるのは勿論、コンパクトで持ち運びが楽に行え、しかも、作業性が良好となる。
【0074】
<実施例2>
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0075】
本実施例は、装置本体1の前端部に別構造の当接部2を設けた場合である。
【0076】
具体的には、この当接部2は、装置本体1の前端部に着脱自在に設けられる第一当接部2Aと、この第一当接部2Aを取り外した際に露出する前端部の前面で構成される第二当接部2Bとで構成されている。
【0077】
第一当接部2Aは、図17,18に図示したように適宜な金属製の部材で形成された板状体10で構成され、この板状体10は前方に向けて凹形状に設けられ、また、板状体10の上端部及び下端部には後方に向けて突出して装置本体1の上面及び下面に重合する連結片10aが設けられ、この連結片10aを止着部材11(ネジ部材)を介して装置本体1の前端部に着脱自在に設けて構成されている。
【0078】
この第一当接部2Aは、断面円形の支柱60(主に路肩の支柱)の湾曲状となる側周面60aに嵌合状態(包持状態)で当接させる当接部2として使用される。
【0079】
第二当接部2Bは、図18に図示したように装置本体1の前端部の前面を平坦状に設けて構成されている。
【0080】
この第二当接部2Bは、断面角形の支柱60’(主に中央分離帯の支柱)の平坦状となる側周面60a’に面当接させる当接部2として使用される(図19参照)。
【0081】
また、この当接部2(第二当接部2Bの前部材1a及び第一当接部2Aの板状体10)の中央部位には貫通孔1a’,10a’が設けられている。
【0082】
この貫通孔1a’,10a’は、当接部2を支柱60,60’の側周面60a,60a’に当接させた状態で該支柱60,60’に貫通状態に配設されているボルト軸51を挿通するための部位である。
【0083】
従って、支柱60,60’の側周面60a,60a’に当接部2を当接させた際に貫通孔1a’,10a’を貫挿したボルト軸51は装置本体1内に配されることになる。
【0084】
その余は実施例1と同様である。
【0085】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0086】
1 装置本体
2 当接部
2A 第一当接部
2B 第二当接部
3 ボルト軸連結部
3a 雌ネジ孔部材
4 引動手段
4A 流体圧駆動本体部
4B 駆動軸部
5 引動手段配置部
6 挟持固定部
6a 挟持部材
8 エクステンションバー
50 ガードケーブル
51 ボルト軸
60 支柱
60’ 支柱
60a’ 湾曲状側周面
60a 側周面・平坦状側周面
図1
図2
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