(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/021 20130101AFI20241021BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20241021BHJP
B60R 25/34 20130101ALI20241021BHJP
B60R 25/31 20130101ALI20241021BHJP
B60R 25/04 20130101ALI20241021BHJP
【FI】
B60R25/021
B60R25/24
B60R25/34
B60R25/31
B60R25/04
(21)【出願番号】P 2022208281
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 直人
(72)【発明者】
【氏名】猪股 孝幸
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321452(JP,A)
【文献】特開2022-132778(JP,A)
【文献】特開2018-122811(JP,A)
【文献】特開2018-140654(JP,A)
【文献】特開2011-163295(JP,A)
【文献】特開平07-117624(JP,A)
【文献】国際公開第2019/198599(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/021
B60R 25/04
B60R 25/24
B60R 25/34
B60R 25/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、
通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、
前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、
前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記走行開始操作認識部は、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作として、前記車両に備えられた運転操作部の操作を認識する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記走行開始操作認識部は、前記運転操作部の操作として、前記車両に備えられたシフトレバーの操作を認識する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車両に搭乗している利用者の動作を予測する利用者動作予測部を備え、
前記走行開始操作認識部は、前記利用者動作予測部による前記利用者の動作の予測結果に基づいて、前記運転操作部の操作を認識する
請求項2又は請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記利用者動作予測部は、前記車両に備えられたカメラによる前記車両の車室内の撮影画像、前記運転操作部に設けられた接触センサの検出状況、及び前記運転操作部がシフトレバーである場合に前記シフトレバーに設けられたシフトスイッチの操作状況のうちのいずれかに基づいて、前記利用者の動作を予測する
請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記待機モードにおいて、前記遠隔操作受付部により、前記通信端末による前記車両の自動走行指示が受け付けられたときに、前記ステアリングロック機構による前記ステアリングのロックを解除する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、
通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付ステップと、
前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識ステップと、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、
前記ステアリングロック認識ステップにより前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付ステップにより前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御ステップと、
を含む車両制御方法。
【請求項8】
ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、
通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、
前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、
前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には盗難防止用のステアリングロック機構が備えられており、車両が運転されているときにステアリングロック機構を解除(アンロック)状態とする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、車両のエンジンが始動されたときに、ステアリングがアンロックされていないと判定されたときには、シフトポジションをパーキングの位置に固定する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-063354号公報
【文献】特開2005-299468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、通信端末等による遠隔操作によって車両を始動させて、車両の空調装置の作動指示等を可能にする機能が普及している。このように、遠隔操作による車両の始動を可能にする場合には、車両の盗難防止の観点から、ステアリングロック機構によりステアリングをロックした状態で車両を起動することが有効である。しかしながら、ステアリングがロックされた状態で、利用者が車両の使用を開始することは、回避する必要がある。
そこで、ステアリングがロックされた状態で遠隔操作により車両が起動した場合に、車両に乗車した利用者による、ステアリングがロックされた状態での車両の使用を回避することが、本願の課題である。
本願は、上記課題の解決のために、安全性の向上を目的としたものある。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、を備える車両制御装置が挙げられる。
【0006】
上記車両制御装置において、前記走行開始操作認識部は、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作として、前記車両に備えられた運転操作部の操作を認識する構成としてもよい。
【0007】
上記車両制御装置において、前記走行開始操作認識部は、前記運転操作部の操作として、前記車両に備えられたシフトレバーの操作を認識する構成としてもよい。
【0008】
上記車両制御装置において、前記車両に搭乗している利用者の動作を予測する利用者動作予測部を備え、前記走行開始操作認識部は、前記利用者動作予測部による前記利用者の動作の予測結果に基づいて、前記運転操作部の操作を認識する構成としてもよい。
【0009】
上記車両制御装置において、前記利用者動作予測部は、前記車両に備えられたカメラによる前記車両の車室内の撮影画像、前記運転操作部に設けられた接触センサの検出状況、及び前記運転操作部がシフトレバーである場合に前記シフトレバーに設けられたシフトスイッチの操作状況のうちのいずれかに基づいて、前記利用者の動作を予測する構成としてもよい。
【0010】
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記待機モードにおいて、前記遠隔操作受付部により、前記通信端末による前記車両の自動走行指示が受け付けられたときに、前記ステアリングロック機構による前記ステアリングのロックを解除する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付ステップと、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識ステップと、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、前記ステアリングロック認識ステップにより前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付ステップにより前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御ステップと、を含む車両制御方法が挙げられる。
【0012】
上記目的を達成するための第3態様として、ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、して機能させるためのプログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
上記車両制御装置によれば、ステアリングがロックされた状態で遠隔操作により車両が起動した場合に、車両に乗車した利用者による、ステアリングがロックされた状態での車両の使用を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、車両制御装置、及び車両制御装置が搭載された車両の構成図である。
【
図2】
図2は、遠隔操作対応処理の第1のフローチャートである。
【
図3】
図3は、遠隔操作対応処理の第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.車両制御装置の構成]
図1を参照して、本実施形態の車両制御装置10の構成について説明する。車両制御装置10は、車両1に備えられた通信ユニット40、表示部41、車内カメラ42、SSスイッチ(スタート・ストップスイッチ)43、シフトスイッチ44a、シフトポジションセンサ44b、アクセルペダルセンサ45a、及びブレーキペダルセンサ46aと接続されている。
【0016】
表示部41は、例えばタッチパネルである。車内カメラ42は、車両1の車室を撮影する。SSスイッチ43は、車両1の起動(電源オン)と停止(電源オフ)を指示するための操作スイッチである。シフトスイッチ44aは、シフトレバー44のP(パーキング)からのポジション変更時等に操作される操作スイッチである。シフトポジションセンサ44bは、シフトレバー44のシフトポジションが、P、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)、及びB(ブレーキ)のいずれであるかを検出する。
【0017】
アクセルペダルセンサ45aは、車両1に備えられたアクセルペダル45の操作量を検出する。ブレーキペダルセンサ46aは、車両1に備えられたブレーキペダル46の操作量を検出する。車両制御装置10は、通信ユニット40により、利用者Uが携帯する通信端末90との間で無線による通信を行う。無線による通信は、例えばBluetooth(登録商標)の通信規格により実行される。
【0018】
通信端末90は、車両1の遠隔操作アプリ(アプリケーションプログラム)がインストールされたスマートフォン、携帯電話、若しくはタブレット端末、又は遠隔操作機能を有する携帯キー等である。車両制御装置10から出力される制御信号により、表示部41の表示画面が制御される。
【0019】
車両制御装置10には、車内カメラ42による撮影画像と、SSスイッチ43の操作信号SSs及びシフトスイッチ44aの操作信号SFsが入力される。また、車両制御装置10には、シフトポジションセンサ44bの検出信号SPs、アクセルペダルセンサ45aの検出信号APs、及びブレーキペダルセンサ46aの検出信号BPsが入力される。
【0020】
さらに、車両制御装置10は、駆動源50、空調装置51、ステアリングセンサ61、及びESL(Electrical Steering Lock)ユニット70と接続されている。駆動源50は、車両1がエンジン車両である場合はエンジンであり、車両1が電動車両である場合はバッテリである。また、車両1がハイブリッド車両である場合は、エンジンとバッテリである。空調装置51は、車両1の車室内の空調を行う。
【0021】
ESLユニット70は、電動モータ等のアクチュエータにより、ステアリング60の回動を規制してステアリング60の操作が不能なステアリングロック状態とするステアリングロック機構を有する。また、ESLユニット70は、ステアリングロック状態であることを検出するステアリングロックセンサ72と、ステアリングのロックが解除されてステアリング60の操作が可能なステアリングアンロック状態であることを検出するステアリングアンロックセンサ71とを有する。ステアリングセンサ61は、ステアリング60の操作量を検出する。
【0022】
車両制御装置10は、プロセッサ20、メモリ30、図示しないインターフェース回路等を備えた制御ユニットである。プロセッサ20は、本開示のコンピュータに相当する。メモリ30には、車両制御装置10の制御用のプログラム31が保存されている。プログラム31は、外部サーバーから車両1に送信されて、車両制御装置10によりメモリ30に保存されてもよい。或いは、非一過性の記録媒体(磁気ディスク、磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリ等)に保存されたプログラム31を、車両制御装置10が読み込んでメモリ30に保存するようにしてもよい。
【0023】
プロセッサ20は、プログラム31を読み込んで実行することにより、遠隔操作受付部21、ステアリングロック認識部22、利用者動作予測部23、走行開始操作認識部24、及び制御部25として機能する。遠隔操作受付部21により実行される処理は、本開示の車両制御方法における遠隔操作受付ステップに相当し、ステアリングロック認識部22により実行される処理は、本開示の車両制御方法におけるステアリングロック認識ステップに相当する。走行開始操作認識部24により実行される処理は、本開示の車両制御方法における走行開始操作認識ステップに相当し制御部25により実行される処理は、本開示の車両制御方法における制御ステップに相当する。
【0024】
遠隔操作受付部21は、通信端末90から送信される車両1に対する操作指示情報を、通信ユニット40により受信することによって、利用者Uによる車両1に対する遠隔操作を受付ける。利用者Uは、車両1の起動、空調装置51の作動、車両1の自動走行等の指示を遠隔操作により行うことができる。
【0025】
ステアリングロック認識部22は、ステアリングロックセンサ72の検出信号LKsに基づいて、ステアリングロック状態を認識する。利用者動作予測部23は、車内カメラ42による車室内の撮影画像、及びシフトスイッチ44aの操作信号SFsに基づいて、利用者Uの動作を予測する。
【0026】
すなわち、利用者動作予測部23は、車内カメラ42の撮影画像から、車両1に乗車した利用者Uの画像部分を抽出することにより、利用者Uによる操作部(シフトレバー44、アクセルペダル45、ブレーキペダル46、ステアリング60等)を操作しようとする挙動を予測する。また、利用者動作予測部23は、シフトスイッチ44aの操作信号SFsに基づいて、利用者Uによるシフトレバー44をP位置から変更しようとする操作を予測する。
【0027】
走行開始操作認識部24は、シフトポジションセンサ44bの検出信号SPs、アクセルペダルセンサ45aの検出信号APs、ブレーキペダルセンサ46aの検出信号BPs、及びステアリングセンサ61の検出信号STs、又は利用者動作予測部23による利用者Uの動作の予測状況に基づいて、利用者Uによる車両1の走行を開始するための操作部(シフトレバー44、アクセルペダル45、ブレーキペダル46、ステアリング60)の操作(走行開始操作)を認識する。
【0028】
制御部25は、遠隔操作受付部21により受け付けられる操作指示情報に基づいて、車両1の作動を制御する。制御部25は、遠隔操作受付部21により起動指示が受け付けられたときに、駆動源50を始動する。駆動源50がエンジンである場合、制御部25はエンジンを始動する。
【0029】
車両制御装置10は、遠隔操作により駆動源50が始動して、駆動源50が作動している状況で、利用者Uが車両1に乗車したときに、ステアリングロック状態で車両1の走行が開始されることを回避するための遠隔操作対応処理を実行する。
【0030】
[2.遠隔操作対応処理]
図2、
図3に示したフローチャートに従って、車両制御装置10により実行される遠隔操作対応処理について説明する。
図2のステップS1で、ステアリングロック認識部22によりステアリングロック状態であることが認識され、且つ、ステップS2で、遠隔操作受付部21により車両1の起動指示が受け付けられたときに、制御部25はステップS3に処理を進める。
【0031】
ステップS3は、駆動源50を始動(駆動源50がエンジンであるときはエンジンを始動)して、駆動源50が作動している待機モードとする。続くステップS4で、制御部25は、車両1に備えられたドアセンサ(図示しない)によるドア開の検出信号、或いは車内カメラ42の撮影画像等により、利用者Uが車両1に乗車したことを認識したときに、ステップS5に処理を進める。
【0032】
ステップS5で、利用者動作予測部23は車内カメラ42により車室内を撮影し、続くステップS6で、利用者動作予測部23は、車内カメラ42の撮影画像及びシフトスイッチ44aの操作信号SSsから、利用者Uによる走行開始操作の有無を予測する。走行開始操作認識部24は、利用者動作予測部23により利用者Uによる走行開始操作が予測されたときはステップS7に処理を進め、利用者動作予測部23により利用者Uによる走行開始操作が予測されなかったときにはステップS10に処理を進める。
【0033】
ステップS10で、走行開始操作認識部24は、シフトポジションセンサ44bの検出信号SPs、アクセルペダルセンサ45aの検出信号APs、ブレーキペダルセンサ46aの検出信号、及びステアリングセンサ61の検出信号STsから、利用者Uによる走行開始操作が認識されるか否かを判断する。そして、走行開始操作認識部25は、利用者Uによる走行開始操作が認識されたときはステップS7に処理を進め、利用者Uによる走行開始操作が認識されなかったときにはステップS11に処理を進める。ステップS11で、制御部25は、遠隔操作受付部21により、車両1の自動走行指示が受け付けられたか否かを判断する。そして、制御部25は、車両1の自動走行指示が受け付けられたときは
図3のステップS50に処理を進め、車両1の自動走行指示が受け付けられなかったときにはステップS5に処理を進める。
【0034】
ステップS7で、制御部25は、駆動源50を停止する。これにより、ステリングロック状態で、車両1の走行が開始されることが回避される。続くステップS8で、制御部25は、SSスイッチ43の操作による車両1の起動操作を促すガイダンス画面を、表示部41に表示する。制御部25は、SSスイッチ43の操作を認識したときに、駆動源50を始動すると共に、ESLユニット70によるステアリング60のロックを解除して、利用者Uによるステアリング60の操作を可能にする。
【0035】
図3のステップS50で、制御部25は、ESLユニット70によるステアリング60のロックを解除する。続くステップS51で、制御部25は、待機モードから自動走行モードに切り替えて、遠隔操作による自動走行指示情報に応じて、車両1の自動走行を実行する。自動走行には、例えば、車両1が駐車している位置から利用者Uの待機位置までの車両1の移動、車両1が待機している位置から駐車場までの移動等が含まれる。
【0036】
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、車両1の操作部として、シフトレバー44、アクセルペダル45、ブレーキペダル46、及びステアリング60を例示したが、利用者Uの指示音声を認識する操作部、或いは利用者Uによる指示ジェスチャーを認識する操作部等であってもよい。
【0037】
上記実施形態では、利用者動作予測部23は、車内カメラ42による撮影画像、及びシフトスイッチ44aの操作信号SFsに基づいて、利用者Uの行動を予測した。他の実施形態として、利用者Uが操作するシフトレバー44やステアリング60にタッチセンサを設け、タッチセンサにより利用者Uのタッチが検出されたときに、利用者動作予測部23が、利用者Uによる運転開始動作を予測するようにしてもよい。
【0038】
上記実施形態では、利用者動作予測部23を備えて、走行開始操作認識部24が、利用者動作予測部23による予測結果に基づいて利用者Uの走行開始操作を認識したが、利用者動作予測部23を省略した構成としてもよい。
【0039】
なお、
図1は、本願発明の理解を容易にするために、車両制御装置10の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両制御装置10を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図2、
図3に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0040】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0041】
(構成1)ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、を備える車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、ステアリングロック機構によりステアリングがロックされた状態で、車両が起動した場合に、車両に乗車した利用者による、ステアリングがロックされた状態での車両の使用を回避することができる。
【0042】
(構成2)前記走行開始操作認識部は、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作として、前記車両に備えられた運転操作部の操作を認識する構成1に記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、車両に備えられた運転操作部の操作を、車両における車両の走行を開始するための操作として認識することができる。
【0043】
(構成3)前記走行開始操作認識部は、前記運転操作部の操作として、前記車両に備えられたシフトレバーの操作を認識する構成2に記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、車両に備えられたシフトレバーの操作を運転操作部の操作として認識して、車両における車両の走行を開始するための操作を認識することができる。
【0044】
(構成4)前記車両に搭乗している利用者の動作を予測する利用者動作予測部を備え、前記走行開始操作認識部は、前記利用者動作予測部による前記利用者の動作の予測結果に基づいて、前記運転操作部の操作を認識する構成2又は構成3に記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、利用者の動作を推定することにより、利用者が実際に運転操作部を操作する前に駆動源を速やかに停止させて、ステアリングがロックされた状態での車両の使用を回避することができる。
【0045】
(構成5)前記利用者動作予測部は、前記車両に備えられたカメラによる前記車両の車室内の撮影画像、前記運転操作部に設けられた接触センサの検出状況、及び前記運転操作部がシフトレバーである場合に前記シフトレバーに設けられたシフトスイッチの操作状況のうちのいずれかに基づいて、前記利用者の動作を予測する構成4に記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、車両に備えられたカメラによる車室内の撮影画像、運転操作部に設けられた接触センサの検出状況、及びシフトレバーに設けられたシフトスイッチの操作状況のうちのいずれかに基づいて、利用者の動作を推定することができる。
【0046】
(構成6)前記制御部は、前記待機モードにおいて、前記遠隔操作受付部により、前記通信端末による前記車両の自動走行指示が受け付けられたときに、前記ステアリングロック機構による前記ステアリングのロックを解除する構成1から構成5のうちいずれか1つの構成に記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、利用者のステアリング操作に依らずに、車両を自動走行させる指示が受け付けられた場合に、ステアリングロックを解除して、車両の自動走行を可能とすることができる。
【0047】
(構成7)コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付ステップと、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識ステップと、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、前記ステアリングロック認識ステップにより前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付ステップにより前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御ステップと、を含む車両制御方法。
構成7の車両制御方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の車両制御装置と同様の作用効果を得ることができる。
(構成8)ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部と、前記ステアリングロック機構により前記車両のステアリングがロックされたステアリングロック状態を認識するステアリングロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記ステアリングロック認識部により前記ステアリングロック状態が認識されている状態で、前記遠隔操作受付部により前記通信端末による前記車両の起動指示が受け付けられたときに、前記車両の駆動源を始動して前記車両を所定の待機モードとし、前記待機モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記駆動源を停止させる制御部と、して機能させるためのプログラム。
構成8のプログラムを、ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータにより実行させることによって、構成1の車両制御装置の構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…車両、10…車両制御装置、20…プロセッサ、21…遠隔操作受付部、22…ステアリングロック認識部、23…利用者動作予測部、24…走行開始操作認識部、25…制御部、30…メモリ、31…プログラム、40…通信ユニット、41…表示部、42…車内カメラ、43…SSスイッチ、44…シフトレバー、44a…シフトスイッチ、44b…シフトポジションセンサ、45…アクセルペダル、45a…アクセルペダルセンサ、46…ブレーキペダル、46a…ブレーキペダルセンサ、50…駆動源、51…空調装置、60…ステアリング、61…ステアリングセンサ、70…ESLユニット、71…アンロックセンサ、72…ロックセンサ、90…通信端末、U…利用者。