(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】レリーフ前駆体の露光装置および露光方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241021BHJP
B41C 1/00 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
G03F7/20 511
G03F7/20 501
B41C1/00
(21)【出願番号】P 2022500911
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020069837
(87)【国際公開番号】W WO2021013627
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-12
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レンセン, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ドフール, フレデリック
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533081(JP,A)
【文献】特表2016-524172(JP,A)
【文献】特開2015-111265(JP,A)
【文献】特開2005-208559(JP,A)
【文献】特開2018-101042(JP,A)
【文献】特開2007-284594(JP,A)
【文献】特表2017-528763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0129533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
9/00-9/02
B41C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの感光層を備えたレリーフ前駆体の露光装置であって、前記装置は、
レリーフ前駆体を担持する担持構造体(10)と、
前記担持構造体によって担持された前記レリーフ前駆体の感光層を照明するように構成されたLEDアレイ(20)であって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを備え、各サブセットは、個別に制御可能である、LEDアレイと、
前記LEDアレイによって照明された所定の表面領域の複数の
場所(L1、L2、L3)において照射強度を表す値を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ(50)と、
前記少なくとも1つのセンサで測定された値に基づいて、前記複数のサブセットを個別に制御する制御ユニット(40)と、
前記複数の場所で測定を行うために、前記少なくとも1つのセンサを移動させるように構成された移動手段と、
LEDアレイを含む裏面露光手段を備えた下部ハウジング部分(130)と、前面露光手段(120)を備えた上部ハウジング部分(110)とを有するハウジング(100)であって、前記少なくとも1つのセンサは、前記上部ハウジング部分(110)上に置かれ、前記担持構造体(10)は、前記上部ハウジング部分(110)および前記下部ハウジング部分(130)の間に置かれる、ハウジングと、
を備え、
前記担持構造体(10)は、前記LEDアレイによって発生される光に対して少なくとも部分的に透過性である支持構造体を備える、露光装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記担持構造体によって担持された前記レリーフ前駆体に平行な面内で前記少なくとも1つのセンサを移動させるように構成された駆動装置を備える、請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサが装着されたセンサ支持板を担持する支持構造体(51)を更に備え、前記支持構造体(51)は、前記LEDアレイ(20)の平面に対して平行なX方向およびY方向に移動可能である、請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記支持構造体(51)は、前記X方向に移動可能な前記前面露光手段(120)に移動可能に取り付けられ、前記支持構造体(51)は、前記前面露光手段(120)に対して前記Y方向に移動可能である、請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記複数の場所における前記照射強度の差が所定の範囲内となるように、前記複数の場所における前記少なくとも1つのセンサによる測定値に基づいて前記LEDを制御するように構成されている、請求項
1~4のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項6】
前記複数の場所の数は、前記複数のサブセットの数以上である、請求項
1~5のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項7】
前記担持構造体と前記LEDアレイとの間の距離(d)を調整するように構成された距離調整手段を更に備える、請求項
1~6のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項8】
前記LEDアレイの前記LEDは、200~2000nmの区域の波長を有する電磁放射線を放出するように構成される、請求項
1~7のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項9】
前記所定の表面領域において前記LEDによって送出される前記照射強度は、裏面露光の場合には5~50mW/cm
2、前面露光の場合には30~500mW/cm
2である、請求項
1~8のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項10】
前記所定の表面領域(S)と前記LEDアレイ(20)との間の距離(ds)は、少なくとも35mmである、請求項
1~9のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項11】
前記制御ユニットは、第1の距離(d1)と第2の距離(d2)との間のLEDアレイの距離
(ds)にある任意の所定の表面領域(S)において、所定の表面領域(S)における照射強度の変動は、所定の範囲内であり、前記第2の距離と前記第1の距離との差
(d2-d1)は、少なくとも1mmである
ように構成される、請求項
1~4のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項12】
前記LEDアレイの個々のLED間の距離は、少なくとも5mmである、請求項
1~11のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項13】
前記LEDアレイを冷却するように構成された冷却手段(60)を更に備える、請求項
1~12のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項14】
前記LEDアレイを駆動するように構成された駆動手段を更に備える、請求項
1~13のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項15】
前記担持構造体は、ガラス版、ポリマ版、メッシュ、一組のローラ、ドラム、前記レリーフ前駆体を吊り下げるように構成された構造体、前記レリーフ前駆体に張力をかけるように構成された構造体のいずれか一つである、請求項
1~14のいずれか一項に記載の
露光装置。
【請求項16】
透過性基板層および少なくとも1つの感光層を備えたレリーフ前駆体の露光の為の方法において、
少なくとも900cm
2の感光層の所定の表面領域が同時に放射されるように、前記レリーフ前駆体の感光層に放射線を放出するために、請求項1~
4のいずれか一項に記載の
露光装置を使用するステップであって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを含み、各サブセットは個別に制御可能である、ステップと、
前記所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内となるように、前記複数のサブセットを個別に制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の露光装置を較正するための較正方法であって、前記方法は、
前記LEDアレイを使用して、所定の表面領域で放射線を放出するステップであって、前記LEDアレイは、前記一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを備え、各サブセットが個別に制御可能である、ステップと、
前記所定の表面領域の複数の場所で照射強度を表す値を測定するステップ
であってと、
複数の場所における前記測定は、少なくとも1つのセンサが前記複数の場所で測定を実行するように、少なくとも1つのセンサを移動させることによって行われる、ステップと、
測定値に基づいて前記複数のサブセットを制御する制御方式を決定
するステップであってし、前記所定の表面領域における所望の照射パターンを得るステップと、
を含む、較正方法。
【請求項18】
所望の照射パターンは実質的に均一な照射パターンである、請求項
17に記載の較正方法。
【請求項19】
前記測定ステップ及び
決定ステップは、
LEDアレイの前記平面に平行な平面内の第1の位置に少なくとも1つのセンサを位置決めする工程であって、前記第1の位置は、前記LEDアレイの一つ又は複数の第1の隣接するLEDと関連付けられている、工程と、
前記少なくとも1つのセンサの前記第1の位置に関連付けられた第1の場所における前記照射強度を測定する工程と、
前記平面内の別の位置に前記少なくとも1つのセンサを位置決めする工程であって、前記別の位置は、前記LEDアレイの一つ又は複数の別の隣接するLEDと関連付けられる、工程と、
前記少なくとも1つのセンサの前記別の位置に関連付けられた更なる場所で前記照射強度を測定する工程と、
前記第1の場所および前記別の場所における照射強度の差が小さくなるように、前記第1の隣接するLEDおよび/または前記別の隣接するLEDのうちの一つ又は複数の照射強度を調整する工程と、
を含
む、請求項
17~18のいずれか一項に記載の較正方法。
【請求項20】
基板層及び少なくとも1つの感光層を備えたレリーフ前駆体の露光方法であって、請求項
17~19のいずれか一項に記載の較正方法と、得られた所望の照射パターンをレリーフ前駆体の感光層に照射するステップと、を含む、レリーフ前駆体の露光方法。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の露光装置を較正する為の較正方法において、前記方法は、
前記LEDアレイを用いて、前記レリーフ前駆体の感光層の所定の領域に放射線を放出し、前記所定の領域が硬化するようにするステップであって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを備え、各サブセットが個別に制御可能である、ステップと、
前記レリーフ前駆体の未硬化部分を除去するステップと、
硬化領域の厚さの変動を測定するステップと、
測定された厚さの変動に基づいて複数のサブセットを制御する為の制御スキームを決定して、所定の領域内の所望の照射パターンを得るステップと、
を含む、
較正方法。
【請求項22】
基板層及び少なくとも1つの感光層を備えたレリーフ前駆体の露光の為の方法であって、
請求項
21に記載の較正方法と、
得られた所望の照射パターンを別のレリーフ前駆体の感光層に照射するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記レリーフ前駆体が、フレキソ印刷版、レリーフ印刷版、レタープレス版、凹版、(可撓性)印刷回路基板、電子素子、マイクロ流体素子、マイクロ流体工学素子、マイクロリアクタ、光電池、フォトニック結晶および光学素子、フレネルレンズを含む群から選択される要素の前駆体である、請求項
16~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、レリーフ前駆体、特に印刷版前駆体を露光するため、さらに特に印刷版前駆体の裏側露光のための装置および方法に関する。
【0002】
【背景】
【0003】
レリーフ構造体は、画像情報を画像形成可能な層上に転写し、画像形成可能な層の一部を除去することによって作製することができる。次いで、形成されたレリーフを使用して、印刷ステップにおける情報を基板上に転写することができる。レリーフ前駆体の一例は印刷版前駆体である。デジタル画像形成可能な可撓性印刷版前駆体は既知であり、典型的には少なくとも寸法が安定した支持層、光重合性層およびデジタル画像形成可能な層を備える。デジタル画像形成可能な層は、例えば、レーザー除去可能な(laser-ablatable)層であってよい。従来の印刷版前駆体の場合、デジタル画像形成可能な層は、光重合性層に取り付けられたマスクによって置き換えられる。
【0004】
印刷版レリーフ前駆体から印刷版を生成するために、既存の方法によれば、まず、印刷される画像データに基づいて、マスクがデジタル画像形成可能な層に書き込まれる。マスクの書き込みに続いて、光重合性層がマスクで覆われていない領域で重合するように、版がマスクを通して放射線で露光される。露光後、マスクおよび非重合部分の残留物を除去しなければならない。これは、洗浄装置内で一つ又は複数の液体を用いて行うことができる。
【0005】
印刷版前駆体用の露光装置が知られている。露光装置は、前面露光用の照射手段と、裏面露光用の照射手段とを備えてもよい。裏面露光は、典型的には一組のUV光管を用いて行われる。裏面露光は、レリーフ構造体が生成される固定層(床)を作成する。前面露光は、一組のUV光管を使用して行うこともできるし、移動可能なレーザまたはLEDバーなどの移動可能なUV光源を使用して行うこともできる。露光装置によっては、要求に応じて、前面露光のみを行うものや、裏面露光のみを行うものがある。一部の場合、露光装置は両側から露光することができ、その場合、版が裏返しにされるか、または片側が透過性支持体を通して露光される。UV管を使用すると、前駆体全体が同時に露光され、これはしばしばフラッド露光と呼ばれる。この形式の露光の重要な特徴は、全露光領域にわたる光出力の均一性である。UV管の強度出力は、その軸に沿ってむしろ均一であり、管の密なパッキングによって、均一性は印刷版を生成するのに十分である。
【0006】
LEDは、高エネルギ出力、狭い発光スペクトルおよび低エネルギ消費のために使用される。LEDの強度が高いため、既存の解決策において、LEDは、印刷版の幅にまたがる、いわゆるLEDバー内に直線状に装着される。次いで、バーは、版を横切って移動され、それによって、移動は、走査方向における光出力の均一化をもたらした。フラッド露光にLEDを使用する試みは、これまでのところ、単一のLEDの異なる強度出力のために失敗している。均一性を増大させるために、LEDアレイと基板との間の相対運動が適用されるか(例えば、WO2016160301A1参照)、または強度分布が光学および/またはミラーによって変更されていた(例えば、WO2017192499A1参照)。これらの方法は複雑で、誤りがちであり、コストがかかる。
【0007】
米国特許第2018/0210345 A1号明細書には、主要な側(最上部)からの所定の放射線濃度および裏側(底部)からの所定の放射線濃度で感光性印刷版を露光する方法および装置が開示されている。この方法は、裏面露光の後に時間遅れで主露光を実行することを含む。裏面露光と主露光との間の時間遅延は、処理後の感光性印刷版上に、より小さな安定した単一ドット要素および印刷基板上に印刷される、より小さな単一要素ドットサイズを作成するように最適化される。版の床は、時間遅延を伴う組合せ裏側および主露光を実行する前に、裏面側のみの露光を実行することによって調整されてもよい。
【0008】
【概要】
【0009】
本発明の実施形態の目的は、LEDを使用するときに露光される領域の制御を改善することを可能にするレリーフ前駆体の露光のための装置および方法を提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、基板層と少なくとも1つの感光層とを含むレリーフ前駆体(P)の露光装置が提供される。この装置は、レリーフ前駆体を担持するための担持構造体、LEDアレイ、および制御ユニットを備える。LEDアレイは、好ましくはレリーフ前駆体の基板層を介して、担持構造体によって担持されたレリーフ前駆体の感光層を照明するように構成される。LEDアレイは、少なくとも900cm2、好ましくは少なくとも1000cm2、より好ましくは少なくとも2000cm2、最も好ましくは少なくとも5000cm2の所定の表面領域を同時に照明するように構成される。LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを備え、各サブセットは、個別に制御可能である。制御ユニットは、複数のサブセットを個別に制御し、所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内となるように構成される。
【0011】
個々に制御可能なLEDのサブセットを有するLEDアレイを使用することによって、サブセットの照射強度を調整して、照射される表面領域の多かれ少なかれ均一な照射を得ることができる。このようにして、実質的に一定の厚さを有する床を達成することができる。さらに、LEDが故障した場合、サブセットを個別に制御するように構成された制御ユニットを有することによって、サブセットは、故障したLEDを補償するように制御されてもよく、その結果、均一性は、有意に影響されないが、故障したLEDは、交換される必要がない場合がある。
【0012】
また、広い領域をカバーするLEDアレイを有することによって、装置は、レリーフ前駆体が、LEDアレイを活性化することによって単一のステップで裏面または前面の露光を受けられるように設計されてもよい。装置は、最大のレリーフ前駆体のために設計されてもよく、より小さいレリーフ前駆体が露光されなければならない場合(例えば、裏面露光されなければならない場合)、LEDアレイのLEDの一部のみが活性化されてもよいことに留意されたい。装置は、レリーフ前駆体の透過性基板層を通して裏面露光することを意図することが好ましいが、本発明の実施形態は、、光がレリーフ前駆体および担持構造体を通過することなく、LEDアレイが直接前面露光に使用される装置も対象とする。
【0013】
所定の表面領域における照射強度の変動が、一定の範囲内となるように制御することにより、床の厚さ変動を正確に制御することができる。
【0014】
さらに、例えばUV光管を使用する裏面露光のための既存の解決策と比較して、本発明の実施形態のエネルギ消費およびコストは、LEDアレイを使用することによって低くすることができる。また、UV光管の場合のように予備加熱を必要としないので、処理をより速くすることができる。また、LEDアレイのサブセットは、レリーフ前駆体のサイズの関数として個別に活性化することができるので、より小さい版のエネルギ消費は、サイズに関係なく全てのUV光管が活性化される既存の解決策と比較して、より小さい。
【0015】
所定の表面領域の一点における照射強度は、この点において一時的に測定され、W/cm2で表される光強度であってもよい。好ましくは、照射強度は、例えば、以下に説明するようなセンサを用いて、所定の波長範囲で測定されるUV光強度である。所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内であれば、所定の表面領域の任意の2点間の差が所定の範囲内であることを意味する。
【0016】
所定の表面領域は、LEDアレイの平面に平行な、LEDアレイの距離における表面領域である。好ましくは、LEDアレイと所定の表面領域との間の距離は、少なくとも35mmである。所定の表面領域の寸法は、LEDアレイとほぼ同じ寸法である。しかしながら、LEDアレイのLEDの一部のみが使用される場合、所定の表面領域の形状および寸法は、使用されるLEDアレイの部分の形状および寸法にほぼ一致する。露光されるレリーフ前駆体は、所定の表面領域がレリーフ前駆体、特に少なくとも1つの感光層に置かれるように配置されてもよいが、照射強度の変動は、LEDアレイの特定の距離範囲内の多数の平行な表面領域に対して多かれ少なかれ同じであるため、所定の表面領域は、レリーフ前駆体の小さな距離に置かれてもよい。
【0017】
好ましくは、所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内であるという条件は、LEDアレイの平面に平行な任意の表面領域に対して有効であり、これは、第1の距離(d1)と第2の距離(d2)との間のLEDアレイの距離にあり、第2の距離と第1の距離との差(d2-d1)が少なくとも1mmであり、より好ましくは少なくとも2mmであり、さらに好ましくは少なくとも5mmであり、最も好ましくは7mmである。
【0018】
好ましくは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットの各サブセットは、少なくとも4つのLEDを含み、より好ましくは、少なくとも2つの行および少なくとも2つの列のLEDアレイである。好ましくは、各サブセットは、17個未満のLED、より好ましくは13個未満のLED、さらに好ましくはそのときのLEDよりも少ないLEDを含む。たとえば、各サブセットは、直列に接続された2×2個のLEDのアレイを含むことができ、その結果、4個のLEDによって一緒に送出される強度が制御される。サブセットを相対的に小さく維持し、LEDのアレイを使用することによって、良好な均一性を得ることができる。可能な実施形態において、同じサブセットの2つの隣接するLED間の距離は、異なるサブセットからの2つの隣接するLED間の距離よりも小さい。
【0019】
好ましくは、制御ユニットは、所定の表面領域における照射強度の差が公称値から10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満となるように、複数のサブセットを制御するように構成される。
【0020】
所定の表面領域における照射強度差が10%未満となるように制御することにより、露光及び現像されたレリーフ前駆体の床の厚さ変動を、平均床厚さの10%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満とすることができる。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの感光層を含むレリーフ前駆体の露光装置が提供される。装置は、レリーフ前駆体を担持するための担持構造体と、LEDアレイと、少なくとも1つのセンサと、制御ユニットとを備える。LEDアレイは、担持構造体によって担持されたレリーフ前駆体の感光層を照明するように構成される。LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを含み、各サブセットは、個別に制御可能である。少なくとも1つのセンサは、LEDアレイによって照射される表面領域の複数の場所において、照射強度を表す値を測定するように構成される。制御ユニットは、少なくとも1つのセンサによって測定された値に基づいて、複数のサブセットを個別に制御するように構成される。
【0022】
照射強度を測定するために一つ又は複数のセンサを使用することによって、サブセットは、所定の照射パターン、典型的には均一な照射パターンを得るように改良された方法で制御することができる。たとえば、少なくとも1つのセンサは、LEDの1つが故障していることを検出した場合、隣接するLEDの駆動を制御して、故障したLEDを補償することができる。また、たとえば、LEDは異なる方式でエージングしてもよく、このエージングの差は、少なくとも1つのセンサによって測定された値に基づいて補償されてもよい。
【0023】
少なくとも1つのセンサは、照射強度を表す値として測定するように構成される。この値は、例えば、所定の露光期間中の、UV光強度(単位mW/cm2)および/またはUV放射線の総量、即ち、放射線量(単位mJ/cm2)でもよい。任意選択的に、少なくとも1つのセンサは、複数の平行な所定の表面領域をカバーする3D分布を測定するように構成されてもよい。追加的または代替的に、少なくとも1つのセンサは、LEDアレイと少なくとも1つのセンサとの間の距離が調整可能であるように装着されてもよい。
【0024】
好ましい実施形態において、レリーフ前駆体がLEDアレイによる露光中にLEDアレイに対して移動しないように、LEDアレイおよび担持構造体が固定される。
【0025】
好ましい実施形態において、各サブセットは、1個、2個、3個、4個、または5個のLEDからなる。サブセットを十分に小さく保つことにより、均一性の正確な制御を達成することができる。サブセットの一つ又は複数のLEDは、同じであっても異なっていてもよい。
【0026】
好ましい実施形態において、LEDアレイは、レリーフ前駆体をその基板層を通して露光させるように構成される。しかしながら、他の実施形態において、光がレリーフ前駆体または担持構造体を通過することなく、装置を直接前面露光に使用することができる。
【0027】
好ましくは、装置は、複数の場所で測定を行うために、少なくとも1つのセンサを移動させるように構成された移動手段を更に備える。移動手段は、たとえば、ベルト、レール、親ねじ、クリープダイブ、リニアモータ等を含むことができる。
【0028】
好ましくは、移動手段は、担持構造体によって担持されたレリーフ前駆体に平行な面内で少なくとも1つのセンサを移動させるように構成された駆動装置を含む。
【0029】
好ましくは、制御ユニットは、複数の場所における照射強度の差が所定の範囲内となるように、複数の場所における少なくとも1つのセンサによる測定値に基づいてこれらのLEDを制御するように構成される。
【0030】
複数の場所は、LEDの位置とは独立に選択可能なグリッドに沿って配置されてもよい。あるいは、LEDの位置と複数の場所との間に相関関係が存在してもよい。好ましくは、複数の場所の数は、複数のサブセットの数以上である。たとえば、各サブセットは、1つのLEDを備えてもよく、センサ測定は、各LEDに対して行われてもよい。しかしながら、LEDが配置されるパターンに応じて、場所の数は、複数のサブセットの数よりも少なくてもよい。
【0031】
例示的な実施形態によれば、制御ユニットは、一つ又は複数のLEDを複数の場所の場所に関連付けるように構成される。典型的には、測定場所の近傍にある一つ又は複数のLEDが、測定された照射強度に影響を与え、制御ユニットは、複数の場所とLEDアレイのLEDとの間の関連を使用して、所望の照明を達成するために調整を必要とするLEDの照射強度を調整することができる。たとえば、3つ以上のLEDは、複数の場所の場所に最も近いものであってもよく、これら3つ以上のLEDは、その場所に関連付けられてもよい。コントローラは、第1の場所の近傍のLEDの照射強度を、別の場所で測定された照射強度に類似するように調整することができる。また、コントローラは、複数の場所における照射強度が第1の場所で測定された値に類似するように、LEDの照射強度を調整することができる。
【0032】
例示的な実施形態によれば、コントローラは、複数の場所の間の照射強度差が10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満となるように、サブセットを制御するように構成される。
【0033】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、カメラ、光センサ、温度に敏感なセンサ、またはそれらの組み合わせを含む。そのようなセンサは、たとえば、アバランシェフォトダイオードを含むフォトダイオード、フォトトランジスタ、光導電性検出器、線形センサアレイ、CCD検出器、CMOS光検出器(CMOSアレイ検出器を含む)、光電子増倍管、および光電子増倍管アレイを含むことができる。特定の実施形態によれば、フォトダイオードまたは光電子増倍管などのセンサは、追加の信号調整または処理電子機器を含んでもよい。たとえば、センサは、少なくとも1つの前置増幅器、電子フィルタ、または積分回路を含むことができる。適切な前置増幅器は、積分、トランスインピーダンス、および電流ゲイン(カレントミラー)前置増幅器を含む。
【0034】
好ましくは、装置は、担持構造体とLEDアレイとの間の距離を調整するように構成された距離調整手段を更に備える。LEDアレイは移動可能であり、および/または担持構造体であってもよいことに留意されたい。このような調整手段を用いることにより、所望の平面における照明の均一性を更に向上させることができる。たとえば、レリーフ前駆体の透過性層の厚さに応じて、担持構造体とLEDアレイとの間の距離を調整することができる。
【0035】
好ましくは、LEDアレイのLEDは、200~2000nm、より好ましくは250~500nm、更により好ましくは300~450nm、最も好ましくは270~410nm、例えば主に365nmの領域の波長を有する電磁放射線を放射するように構成される。次いで、少なくとも1つのセンサは、対応する波長領域(例えば、200nm~2000nm)を感知し得る。
【0036】
好ましくは、所定の表面領域のLEDによって送出される照射強度は、0,1~2000mW/cm2の範囲内である。裏面露光の場合、好ましくは、所定の表面領域内のLEDによって送出される照射強度は、5~100mW/cm2、より好ましくは8~60mW/cm2、最も好ましくは10~50mW/cm2である。前面露光の場合、好ましくは、所定の表面領域内のLEDによって送出される照射強度は、30~500mW/cm2、より好ましくは50~450mW/cm2、最も好ましくは100mW/cm2を超える。好ましくは、LEDアレイと所定の表面領域との間の距離は、少なくとも35mmである。所定の表面領域は、担持構造体上/内部に装着されたときのレリーフ前駆体の表面領域であってもよいし、レリーフ前駆体から少し離れた距離に装着されたときのレリーフ前駆体の表面領域であってもよい。
【0037】
好ましくは、所定の表面領域のLEDによって送出される放射線の線量は、0.01~200J/cm2の範囲内である。裏面露光の場合、所定の表面領域内のLEDによって送出される線量は、0.1~100J/cm2、より好ましくは0.5~50J/cm2、最も好ましくは0.5~30J/cm2の範囲であるのが好ましい。前面露光の場合、好ましくは、所定の表面領域内のLEDによって送出される線量は、10J/cm2よりも高く、より好ましくは、20J/cm2よりも高い。
【0038】
LEDアレイは、PCBなどの一つ又は複数のキャリア上に配置されてもよい。たとえば、LEDアレイは、同じ平面内で互いに隣接して配置された複数のLED用PCB上に配置されたより小さなアレイのセットから作られてもよい。LEDアレイを駆動するためのドライバ回路は、一つ又は複数の別個のドライバ用PCB上に配置されてもよい。一つ又は複数のドライバ用PCBは、複数のLED用PCBが配置される平面に平行な平面内に、かつ、その平面から離れた位置に配置されてもよい。レリーフ前駆体が複数のLED用PCBの第1の側に面している場合、一つ又は複数のドライバ用PCBは、複数のLED用PCBの他の側に面してもよい。
【0039】
好ましくは、LEDアレイの個々のLED間の距離は、少なくとも5mmであり、より好ましくは少なくとも7mmであり、好ましくは100mmより小さく、より好ましくは30mmより小さい。このような距離により、LEDアレイが配置される面に平行な所定の平面において、十分に均一な照射強度を得ることができる。
【0040】
装置は、LEDアレイを冷却するように構成された冷却手段を更に備えることが好ましい。冷却手段は、例えば、ガス流、典型的には空気流を発生するように構成された冷却手段とすることができる。追加的または代替的に、液体冷却剤による冷却手段を使用してもよい。
【0041】
装置は、好ましくはパルス幅変調(PWM)信号によってLEDアレイを駆動するように構成された駆動手段を更に備えることが好ましい。上述したように、駆動手段は、一つ又は複数の別個のドライバ用PCB上に配置されたドライバ回路を備えてもよく、一つ又は複数のドライバ用PCBは、複数のLED用PCBが配置される平面に平行な平面内に、かつその平面から離れた位置に配置されてもよい。より具体的には、制御ユニットは、一つ又は複数のLEDのサブセットを発生させる照射強度を変化させるために、PWM信号のデューティサイクルを変化させるように構成することができる。駆動手段は、電流または電圧を使用してサブセットを駆動することができる。
【0042】
好ましくは、担持構造体は、レリーフ前駆体を支持することができる支持構造体を備え、支持構造体は、LEDアレイによって発生される光に対して少なくとも部分的に透過性がある。好ましくは、担持構造体は、以下のいずれか1つを備える。
【0043】
ガラス版、ポリマー版、メッシュ、一組のローラ、ドラム、レリーフ前駆体を吊り下げるように構成された構造体、レリーフ前駆体に張力をかけるように構成された構造体。
【0044】
例示的な実施形態において、装置は入口および出口を有するハウジングを含むことができ、任意選択的に、レリーフ前駆体は、入口を通って担持構造体上の位置に自動的に送られ、照射され、次に出口を通って装置から除去されてもよい。換言すれば、本発明の実施形態は、完全に自動化されたインラインシステムを構築することを可能にする。入口と出口は、同じ側にあってもよいし、反対側にあってもよい。入口および出口は、他のユニットに接続されるように構成されてもよい。この装置は、装置を通してレリーフ前駆体を自動的に搬送するための搬送システムを含むことができる。搬送システムは、無端ベルト、一対のチェーンまたはベルト(プッシュブロック付き)、一対の親ねじ、クリープドライブ、摩擦駆動、およびこれらの組合せからなる群から選択される搬送手段を備えることができる。搬送システムは、レリーフ前駆体を搬送手段に取り付けるための少なくとも1つの取付け手段を更に備えてもよい。取付け手段は、レリーフ前駆体の端部を通って延びる複数のピンを有する移送バーであってよい。あるいは、レリーフ前駆体をクランプするためのクランプ手段を使用してもよい。搬送バーは、レリーフ前駆体の前縁に結合されるように構成することができ、ここで、搬送システムは、結合されたレリーフ前駆体で搬送バーをハウジングを通して引っ張るように構成される。搬送システムが2つの親ねじを備える場合、搬送バーの端部分には、親ねじに結合されるように適合された窪みが設けられてもよい。
【0045】
追加の構成要素は、装置の一部であってもよい。このような追加の構成要素は、電源、前面露光用の追加の光源、追加の搬送手段、モータ、センサ、およびそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。追加の光源は、LED、蛍光ランプ、フラッシュランプ、直線状に配置された一組の光管、(走査)レーザ、LCDスクリーン、(例えば可動ミラーを有する)投影システム、レーザ、およびそれらの組み合わせ(これらは、固定および/または可動でもよい)を含む群から選択されてもよい。可能な実施形態において、追加の光源は、更なるLEDアレイであってもよく、好ましくは、上に定義された更なるLEDアレイである。換言すれば、本発明は、上記で定義されたLEDアレイが裏面露光に使用される実施形態、上記で定義されたLEDアレイが前面露光に使用される実施形態、および上記で定義された第1のLEDアレイが裏面露光に使用され、上記で定義された第2のLEDアレイが前面露光に使用される実施形態を包含する。
【0046】
好ましい実施形態において、裏面露光は前面露光と同時に行われる。たとえば、裏面露光は、上に開示された実施形態のいずれか1つに従うLEDアレイを用いて行うことができ、前面露光は、裏面露光と同時にLEDアレイまたは他の適切な光源を用いて実施することができ、すなわち、レリーフ前駆体の同じスポットを裏面および前面の両方から露光することができる。
【0047】
任意選択的に、制御ユニットは、プロセスチェーン内の他のユニットの構成要素と同様に、装置の構成要素を制御する。このようにして、レリーフ前駆体に対して行われる必要がある様々な動作を、単一の制御ユニットによって調整することができる。なお、制御ユニットは、独立した制御を行う複数の制御モジュールを有する分散制御手段であってもよい。
【0048】
また、制御ユニットは、上記に開示された実施形態のいずれか1つに従うLEDアレイを使用して裏面露光が行われるように、前面露光および裏面露光のタイミングを制御するように構成されてもよく、また、裏面露光と同時にLEDアレイまたは他の適切な光源を使用して前面露光が行われ、すなわち、レリーフ前駆体の同じスポットが裏面および前面の両方から露光されてもよい。
【0049】
例示的な実施形態によれば、照射された表面領域は、異なる照射強度で照射される少なくとも2つの領域に分割され、各領域内の異なる位置における照射強度の差は、好ましくは10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満である。ここで、露光され現像されたレリーフ前駆体の床の厚さの差は、床の厚さの10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満である。照射された表面領域を少なくとも2つの領域に分割することにより、それらの領域において異なる照射強度を用いて、異なる厚さの少なくとも2つの床を得ることができる。
【0050】
本発明の別の態様によれば、基板層、好ましくは透過性基板層、および少なくとも1つの感光層を含むレリーフ前駆体の露光方法が提供される。この方法は、以下のステップ、すなわち、少なくとも900cm2の感光層の所定の表面領域が同時に放射されるように、好ましくは前記レリーフ前駆体の前記基板層を介して、レリーフ前駆体の感光層に放射線を放出するために、LEDアレイ、任意で先の実施形態のいずれかの装置のLEDアレイを使用するステップであって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを含み、各サブセットは個別に制御可能である、ステップ、好ましくは、照射強度の差が、10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満となるように、所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内となるように、複数のサブセットを個別に制御するステップ、を含む。
【0051】
本発明の別の態様によれば、LEDアレイを含む露光装置を較正するための較正方法、例えば、上記実施形態のいずれかによる露光装置が提供される。この方法は、以下のステップを含む。LEDアレイを使用して、所定の表面領域で放射線を放射するステップであって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを備え、各サブセットが個別に制御可能である、ステップと、所定の表面領域の複数の場所で照射強度を表す値を測定するステップと、所定の表面領域における所望の照射パターンを得るために、少なくとも1つのセンサによって測定された値に基づいて、複数のサブセットを制御する制御スキームを決定するステップと。
【0052】
較正方法は、時々繰り返されてもよく、LEDアレイの劣化または故障したLEDを補償することができる。好ましくは、個々のLEDに対する照射強度設定は保存され、および/または、更なるレリーフ前駆体の露光のために適用され、好ましくは、較正手順を再び行う前に、多数のレリーフ前駆体が露光される。
【0053】
好ましくは、所望の照射パターンは、実質的に均一な照射パターンである。
【0054】
好ましくは、複数の場所における測定は、少なくとも1つのセンサが複数の場所において測定を行うように、少なくとも1つのセンサを移動させることによって行われる。複数の場所は、本発明の別の態様に関連して上述したように選択することができる。
【0055】
例示的な実施形態において、測定および制御は、以下のステップを含む。
1.前記LEDアレイの平面に平行な平面内の第1の位置に少なくとも1つのセンサを位置決めするステップであって、前記第1の位置は、LEDアレイの一つ又は複数の第1の隣接するLEDと関連付けられている、ステップ。
2.少なくとも1つのセンサの第1の位置に関連付けられた第1の場所での照射を測定するステップ。
3.前記平面内の更なる位置に少なくとも1つのセンサを位置決めするステップであって、前記更なる位置は、LEDアレイの一つ又は複数の更なる隣接するLEDと関連付けられる、ステップ。
4.少なくとも1つのセンサの更なる位置に関連付けられた更なる場所で照射強度を測定するステップ。
5.第1の場所と更なる場所における照射強度の差が小さくなるように、第1および/または更なる隣接するLEDのうちの一つ又は複数の照射を調整するステップ。
6.ここで、任意選択的に、上記のステップは、同じ場所および/または他の場所について繰り返される。
【0056】
任意選択的に、グリッド線の距離がLEDアレイのLED間の最小距離以上であり、少なくとも1つのセンサがグリッド線の交点に位置決めされるグリッドで、照射領域を覆うことができる。
【0057】
好ましくは、少なくとも1つのセンサの第1の位置および更なる位置は、第1の位置の少なくとも1つの隣接するLEDが更なる位置の隣接するLEDであるように選択される。
【0058】
例示的な実施形態によれば、複数の場所における測定された放射値が収集されて記憶され、異なる場所間の差が第1の位置における照射強度の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満となるように、アルゴリズムを使用して、個々のLEDの強度を目標値に調整する。
【0059】
さらに、本発明は、基板層と少なくとも1つの感光層とを備えたレリーフ前駆体の露光方法に関し、前記方法は、上述の実施形態のいずれかの較正方法と、決定された制御スキームを用いてレリーフ前駆体の感光層に所望の照射パターンを照射するステップと、を含む。
【0060】
本発明の別の態様によれば、LEDアレイを含む露光装置を較正するための較正方法、例えば、上記実施形態のいずれかの露光装置が提供される。この方法は、以下のステップを含む。LEDアレイを用いて、レリーフ前駆体の感光層の所定の領域に放射線を放射し、前記所定の領域が硬化するようにするステップであって、前記LEDアレイは、一つ又は複数のLEDの複数のサブセットを含み、各サブセットが個別に制御可能である、ステップ。レリーフ前駆体の未硬化部分を除去するステップ。硬化領域の厚さの変動を測定するステップ。測定された厚さの変動に基づいて複数のサブセットを制御する制御スキームを決定して、所定の領域内の所望の照射パターンを得るステップ。
【0061】
較正手順は、時々繰り返されてもよく、LEDアレイの劣化または故障したLEDを補償することができる。好ましくは、個々のLEDに対する照射強度設定は保存され、かつ/または更なるレリーフ前駆体の露光のために適用される。
【0062】
レリーフ前駆体の未硬化部分の除去は、溶媒または熱現像によって行うことができる。
【0063】
任意選択的に、グリッド線の距離がLED間の最小距離以上であるグリッドを照射領域に重ね合わせてもよく、グリッド線の交点で厚さを測定してもよい。厚さ測定の位置は、第1の位置に関連付けられた少なくとも1つの隣接するLEDが、更なる位置の隣接するLEDでもあるように選択されてもよい。
【0064】
例示的な実施形態によれば、測定された厚さの値が収集されて保存され、アルゴリズムが使用されて、個々のLEDの強度を目標値に調節し、その結果、将来のレリーフ前駆体において、異なる厚さ間の差が、第1の位置における厚さの10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、最も好ましくは1.5%未満となる。
【0065】
さらに、本発明は、基板層および少なくとも1つの感光層を備えたレリーフ前駆体を露光するための方法に関し、前記方法は、上記実施形態のいずれかの較正方法と、決定された制御スキームを用いて、更なるレリーフ前駆体の感光層に所望の照射パターンを照射するステップとを含む。
【0066】
本発明の更なる態様によれば、以下のステップを含む、レリーフ前駆体を露光するための方法が提供される。
a)上述の実施形態のいずれかに従う装置を提供するステップ。
b)上記の実施形態のいずれかに従って較正手順を行うステップ。
c)基板層と少なくとも1つの感光層とを備えたレリーフ前駆体を提供するステップ。
d)任意選択的に、追加の光源で予備露光を行うステップ。
e)少なくとも部分的に透過性の支持体上のレリーフ前駆体を任意選択的に位置決めするステップ。
f)ステップb)で得られた強度設定でレリーフ前駆体の露光を行うステップ。
g)追加の光源を用いて任意に露光を行うステップ。
h)任意の追加ステップ。
【0067】
ステップb)は、ステップc)、ステップd)、またはステップe)の後に行うことができる。
【0068】
ステップf)は、レリーフ前駆体の基板層を介して行うことができる。ステップf)およびステップg)は、同時にまたは連続して行うことができる。ステップf)は裏面露光であってもよく、ステップg)は前面露光であってもよく、またはその逆でもよい。
【0069】
ステップd)の予備露光は、LED、蛍光ランプ、フラッシュランプ、直線状に配置された一組の光管、(走査)レーザ、LCDスクリーン、(例えば可動ミラーを有する)光投影システム、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される光源を使用して行うことができる。前露光ステップの間、レリーフ前駆体の層の透過は、(アブレーションおよび透過変化を含む)画像形成方式で変化する。
【0070】
ステップh)の任意の更なる工程は、未硬化材料の除去、洗浄、乾燥、加熱、後露光、粉砕、およびそれらの組み合わせの群から選択することができる。
【0071】
本発明の更なる態様によれば、以下のステップを含むレリーフ前駆体を露光するための方法が提供される。
a)基板層および少なくとも1つの感光層を有するレリーフ前駆体を提供するステップ。
b)レリーフ前駆体を、基板層を通してLEDのアレイによって放射される均一な放射線で露光するステップ。
c)任意の追加ステップであって、ステップb)では、マスクなし又は画像化手段が使用され、レリーフ前駆体の異なる場所における照射強度の差が10%未満である、ステップ。
【0072】
上記の特徴のいずれかを、可能な場合には、この方法と組み合わせることができる。好ましくは、均一化された照射強度は、0.1~2000mW/cm2の範囲である。好ましくは、ステップb)で送出される放射線量は、0.01~200J/cm2の範囲内である。
【0073】
任意選択的に、ステップb)の前に、LED、蛍光ランプ、フラッシュランプ、直線状に配置された一組の光管、(走査)レーザ、LCDスクリーン、光投影システム(例えば可動ミラーを有する)、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される光源を使用して予備露光を行ってもよい。任意選択的に、更なる工程、例えば、未硬化材料の除去、未硬化材料の除去、洗浄、乾燥、加熱、後露光、粉砕、およびそれらの組み合わせの群から選択されるステップを行ってもよい。
【0074】
レリーフ前駆体は、以下を含む群から選択される要素の前駆体であってもよい。
【0075】
フレキソ印刷版、レリーフ印刷版、レタープレス版、凹版(intaglio plate)、(可撓性)印刷回路基板、電子素子、マイクロ流体素子、マイクロ流体工学素子、マイクロリアクタ、光電池、フォトニック結晶および光学素子、フレネルレンズ。
【図面の簡単な説明】
【0076】
添付の図面は、本発明の装置および方法の現在好ましい非限定的な例示的実施形態を示すために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、より明らかになり、本発明は、添付の図面と併せて読むとき、以下の詳細な説明からよりよく理解される。
【
図1】
図1は、レリーフ前駆体を露光するための装置の例示的実施形態の概略斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、LEDアレイの一定距離における所定の表面領域の位置を示すLEDアレイの図である。
【
図2A】
図2Aは、LEDアレイの例示的な実施形態の上面図である。
【
図2B】
図2Bは、LEDアレイの別の例示的実施形態の上面図である。
【
図3】
図3は、レリーフ前駆体を露光するための装置の例示的実施形態の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の例示的実施形態のセンサ手段の詳細な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の例示的実施形態のLEDおよびドライバ用PCBの詳細な斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の更に例示的な実施形態を概略的な断面図で示す。
【
図7B】
図7Bは、本発明の更に例示的な実施形態を概略的な断面図で示す。
【実施形態の詳細な説明】
【0077】
図1は、レリーフ前駆体Pを露光するための装置を概略的に示す。レリーフ前駆体Pは、
図1Aの横断面図に示されており、基板層Ls、ここではLEDの照射に対して透過性の基板層(さらに参照)および少なくとも1つの感光層Lpを備える。装置は、レリーフ前駆体Pを担持する担持構造体10と、LEDアレイ20と、LEDアレイ20を駆動する駆動手段30と、駆動手段30を制御する制御ユニット40と、少なくとも1つのセンサ50とを備えている。LEDアレイ20は、搬担持構造体10によって担持されるレリーフ前駆体Pの感光層Lpを照明するように構成される。
【0078】
担持構造体10は、レリーフ前駆体の水平支持を提供し、例えば透過性の版であってもよい。しかしながら、他の実施形態において、担持構造体10は、傾斜支持体を提供するために、またはレリーフ前駆体を垂直に吊り下げるために、またはレリーフ前駆体に張力をかけるために、レリーフ前駆体が平面内に延びるように構成することができる。担持構造体10は、担持構造体によって担持されるレリーフ前駆体が、LEDアレイ20が配置される平面と実質的に平行に延びるように配置される。
【0079】
LEDアレイ20は、少なくとも900cm
2の所定の表面領域Sを同時に照明するように構成される(
図1Bも参照)。LEDアレイ20は、一つ又は複数のLED21の複数のサブセット25を含み、各サブセット25は、第1のサブセット25によって送出される照射強度が、別のサブセット25の強度とは独立して制御できるという意味で、個別に制御可能である。
図1および
図2Aの例示的な実施形態において、各サブセット25は、個別に制御可能な1つのLED21を備える。しかしながら、
図2Bに図示するように、多数のLED21、例えば直列に接続された多数のLED21をサブセット25にグループ化することができ、サブセット25は個別に制御可能である。
図2Bの実施例においては、各サブセット25は4つのLED21を備え、4つのLEDによって一緒に送出される強度を制御することができる。
【0080】
LEDアレイ20は、レリーフ前駆体Pの基板層Lsを介してレリーフ前駆体Pの感光層Lpを照明するように配置され、すなわち、裏面露光を目的とする。しかしながら、
図7Aの概略図に示すように、前面露光のためにLED21’を有するLEDアレイ20’を実施すること、または
図7Bに示すように、前面露光および裏面露光のために2つのLEDアレイ20、20’を実施することも可能である。LED21は、一つ又は複数のLED用PCB上に配置されてもよい。
【0081】
制御ユニット40は、複数のサブセット25を個別に制御し、所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内となるように構成されている。所定の表面領域は、例えば、レリーフ前駆体の支持平面、または前記支持平面から僅かに上方の平面に一致してもよい。理想的には、所定の表面領域は、照射される感光層Lpが置かれる平面に一致する。
【0082】
LED21の個別に制御可能なサブセット25を有するLEDアレイ20は、サブセット21の照射強度を調整して、制御された照射、特に、照射される所定の表面領域Sのほぼ均一な照射を得ることを可能にする。このようにして、制御された厚さを有する床、特に実質的に一定の厚さを有する床を達成することができる。さらに、LED21が故障した場合、サブセット21を個別に制御するように構成された制御ユニット40を有することによって、サブセット21は、均一性に大きな影響を与えないように、故障したLEDを補償するように制御されてもよい。
【0083】
図1Bに図示するように、所定の表面領域Sは、LEDアレイの平面に平行な、LEDアレイ20の距離における表面領域である。好ましくは、LEDアレイ20と所定の表面領域Sとの間の距離dsは、少なくとも35mmである。所定の表面領域Sの寸法は、LEDアレイ20とほぼ同じ寸法である。しかしながら、LEDアレイ20のLED21の一部分のみが使用される場合、所定の表面領域Sの形状および寸法は、使用されるLEDアレイ20の部分の形状および寸法にほぼ一致する。露光されるレリーフ前駆体Pは、所定の表面領域Sがレリーフ前駆体P内、特に少なくとも1つの感光層Lp内に置かれるように配置されてもよいが、照射強度の変動は、LEDアレイの特定の距離範囲内の幾つかの平行な表面領域に対して多かれ少なかれ同じであるため、所定の表面領域は、再生前駆体の小さな距離に位置してもよい。好ましくは、所定の表面領域Sにおける照射強度の変動が所定の範囲内にあるという条件は、LEDアレイ20の平面に平行な、第1の距離d1と第2の距離d2との間のLEDアレイの距離にある任意の表面領域に対して有効であり、ここで、第2の距離と第1の距離との差
(d2-d1)は、少なくとも1mm、より好ましくは少なくとも2mm、さらに好ましくは少なくとも5mm、最も好ましくは7mmである。これは
図1Bに示されており、S1とS2の間のすべての表面領域Sについて、条件は有効である。これにより、硬化される層Lp全体としての条件を容易に満たすことができる。
【0084】
少なくとも1つのセンサ50は、LEDアレイ20によって照射される表面領域の複数の場所L1、L2、L3、L1’、L2’、L3’など(
図2A参照)において、前記複数の場所L1、L2、L3、L1’、L2’、L3’における照射強度を表す値を測定するように構成される。この表面領域は、上述の所定の表面領域と同じであってもよいし、LEDアレイ20の平面に平行な別の平面に置いてもよい。次いで、制御ユニット40は、少なくとも1つのセンサによって測定された値に基づいて、複数のサブセット25を個別に制御するように構成されてもよい。複数の場所は、
図2Aに示すように、複数のLED21の上方の位置と一致してもよいが、測定は、
図2Bに示すように、他の場所L1、L2、L3でも行うことができる。より一般的には、関連する表面領域における照射の代表的な画像を得ることを可能にする任意の場所のパターンを使用することができる。この装置は、複数の場所で測定を行うために、少なくとも1つのセンサ50をLEDアレイ20に平行な平面内でX方向およびY方向に移動させるように構成された移動手段(図示せず)を備える。移動手段は、少なくとも1つのセンサ50を、担持構造体10によって担持されるレリーフ前駆体Pに平行な平面内で移動させるように構成された駆動装置を備えてもよい。少なくとも1つのセンサ50が移動する平面は、レリーフ前駆体Pの平面、前記レリーフ前駆体Pの上方の距離にある平面、または前記レリーフ前駆体Pの下方の距離にある平面とすることができる。任意選択的に、少なくとも1つのセンサ50は、S1とS2との間の複数の平行な所定の表面領域Sをカバーする3D分布を測定するように構成されてもよい。追加的または代替的に、少なくとも1つのセンサ50は、LEDアレイ20と少なくとも1つのセンサ50との間のZ方向の距離が調整できるように装着されてもよい。
【0085】
制御ユニット40は、重合感光層Lpの実質的に均一な照射を得て、実質的に一定の層厚を得ることが望ましい場合には、複数の場所における照射強度の差が所定の範囲内となるように、複数の場所における少なくとも1つのセンサ50による測定値に基づいて、LED21を制御するように構成されてもよい。
【0086】
任意選択的に、装置は、担持構造体10とLEDアレイ20との間の距離dを調整するように構成された距離調整手段(図示せず)を更に備える。このようにして、距離dは、露光される領域において照射が最大となるように最適化できる。
【0087】
好ましくは、LEDアレイ20のLED21は、270~410nmの範囲の波長を有する電磁放射線を放射するように構成される。好ましくは、LED21はUV光を放射する。好ましくは、所定の表面領域のLEDによって送出される照射強度は、1~200mW/cm
2の範囲であり、かつ/またはLED21によって送出される放射線の線量は、1~100J/cm
2である。LEDアレイ20の個々のLED21間の距離dl(
図2Aを参照)は、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも7mm、好ましくは100mm未満でもよい。
【0088】
装置は、LEDアレイ20を冷却するように構成された冷却手段60を更に備える。冷却手段60は、LEDアレイ20の下、特にLED21が装着されている1つ以上のLED用PCBの下に空気流を送るように構成することができる。
【0089】
駆動手段30は、好ましくはパルス幅変調信号によってLEDアレイ20を駆動するように構成されている。駆動手段30は、ドライバ用回路が実装される一つ又は複数のドライバ用PCBを備えることができる。ドライバ用PCBは、LED用PCBの下に、LED用PCBに平行な平面内に位置されてもよい。
【0090】
個々に制御可能なLEDのサブセットを有するLEDアレイを使用することによって、サブセットの照射強度を調整して、照射される表面領域の多かれ少なかれ均一な照射を得ることができる。このようにして、実質的に一定の厚さを有する床を達成することができる。さらに、LEDが故障した場合、サブセットを個別に制御するように構成された制御ユニットを有することによって、サブセットは、故障したLEDを補償するように制御されてもよく、その結果、均一性は、有意に影響されないが、故障したLEDは、交換される必要がない場合がある。また、広い領域をカバーするLEDアレイを有することによって、装置は、レリーフ前駆体が、LEDアレイを活性化することによって単一のステップで裏面露光に供され得るように設計可能である。装置は、最大のレリーフ前駆体のために設計することができ、より小さいレリーフ前駆体を露光、例えば裏面露光しなければならない場合、LEDアレイの(より小さい版のサイズを覆うのに十分な)LEDの一部のみを活性化することができることに留意されたい。装置は、レリーフ前駆体の透過性基板層を介する裏面露光を意図することが好ましいが、本発明の実施形態は、LEDアレイが前面露光に使用される装置も対象とする。
【0091】
所定の表面領域における照射強度の変動がある範囲内となるように制御を行うことにより、床の厚さ変動を正確に制御することが達成可能である。
【0092】
さらに、例えばUV光管を使用する裏面露光のための既存の解決策と比較して、本発明の実施形態のエネルギ消費およびコストは、LEDアレイを使用することによって低くすることができる。また、UV光管の場合のように予備加熱を必要としないので、処理をより速くすることができる。また、LEDアレイのサブセットは、レリーフ前駆体のサイズの関数として個別に活性化することができるので、より小さい版のエネルギ消費は、サイズに関係なく全てのUV光管が活性化される既存の溶液と比較して、より小さい。
【0093】
例示的な実施形態によれば、
図1の装置を以下のように使用することができる。LEDアレイ20は、レリーフ前駆体Pの感光層に対して、レリーフ前駆体の基板層を介して、所定の表面領域が同時に照射され、複数のサブセットが個別に制御されるように、また、所定の表面領域における照射強度の変動が所定の範囲内となるように、放射線の放出が制御される。
【0094】
装置を使用する前に、以下のいずれかの方法を用いて装置を較正することができる。第1の可能な実施形態によれば、較正方法は、LEDアレイ20を使用して、所定の表面領域内で放射線を放出するステップと、所定の表面領域の複数の場所L1、L2、L3等において、少なくとも1つのセンサ50を用いて照射強度を表す値を測定するステップと、測定値に基づいて複数のサブセット21を制御する制御方式を決定し、所定の表面領域における所望の照射パターンを得るステップと、を含む。所望の照射パターンは、実質的に一定の厚さを有する床を得るために実質的に均一な照射パターンであってもよいが、異なる床の厚さを得るために異なる照射ゾーンを有するパターンであってもよい。
【0095】
複数の場所L1、L2、L3等における測定は、少なくとも1つのセンサが複数の場所において測定を行うように、少なくとも1つのセンサ50を移動させることによって行われてもよい。たとえば、測定および制御ステップは、
-少なくとも1つのセンサ50を、LEDアレイの平面に平行な平面内の第1の位置に位置決めするステップであって、前記第1の位置は、LEDアレイの一つ又は複数の第1の隣接するLEDと関連付けられる工程と、
-少なくとも1つのセンサ50の第1の位置に関連付けられた第1の場所L1における照射強度を測定する工程と、
-前記平面内の更なる位置に少なくとも1つのセンサ50を位置決めするステップであって、前記更なる位置は、LEDアレイの一つ又は複数の更なる隣接するLEDと関連付けられる工程と、
-少なくとも1つのセンサの更なる位置に関連付けられた更なる場所L2における照射強度を測定する工程と、
-第1の場所L1と更なる場所L2との照射強度の差が小さくなるように、第1および/または更なる隣接するLEDのうちの一つ又は複数の照射強度を調整する工程と、
を含むことができる。
【0096】
上記のステップは、所望の照射パターンが達成されるまで、同じ場所L1、L2、および/または他の場所L3などに対して繰り返されてもよい。
【0097】
別の可能な実施形態によれば、較正方法は、
-LEDアレイ20を使用して、レリーフ前駆体の感光層の所定の領域に放射線を放出し、前記所定の領域が硬化するようにするステップと、
-レリーフ前駆体の未硬化部分を除去するステップと、
-硬化領域の厚さの変動を測定するステップと、
-測定された厚さの変動に基づいて複数のサブセットを制御する制御スキームを決定して、所定の領域内の所望の照射パターンを得るステップと、
を含む。
【0098】
図3~
図6は、
図1の実施形態と同じ主要な構成要素を使用する例示的な実施形態を詳細に示しているが、これらの構成要素については再び説明しない。この装置は、裏面露光手段を備えた下部ハウジング部分130と、前面露光手段を備えた上部ハウジング部分110とを有するハウジング100を備える。レリーフ前駆体Pは、下部ハウジング部分130内の裏面露光手段と上部ハウジング部分110内の前面露光手段との間に置かれるように、手動または自動的に担持構造体10上にもたらされてもよい。任意選択的に、装置は、可動LEDバーを備えた追加の前面露光手段120を備えてもよい。可動LEDバー構造体120は、右から左および後方に移動可能である。
【0099】
図4は、下部ハウジング部分130を通る横断面を図示する。LEDアレイ20は、下部ハウジング部分130内に配置され、複数のLED用PCB22を備え、ここで、3×6個のLED用PCB22は、レリーフ前駆体Pを支持するガラス版10に平行な平面内で互いに隣接して配置される。
図4および
図6は、さらに、ドライバ回路を担持する複数のドライバ用PCB32を備えた駆動手段30を示す。ドライバ用PCB32は、LED用PCB22の下の平面内に配置される。複数のケーブル31は、ドライバ用PCB32上のドライバ回路を上記のLED用PCB22上のコネクタに接続して、LED用PCB22上に配置されたLED21を接続する。LED用PCB22およびドライバ用PCB32は、好ましくは熱伝導性材料からなる支持構造体65の両側に装着される。冷却手段(図示せず)は、LED用PCB22および関連付けられたLED21を冷却するために、支持構造体65のチャネル61を通る空気の流れを発生するように構成されてもよい。
【0100】
上部ハウジング部分130は、当業者に公知の方法でレリーフ前駆体Pを前面露光するための複数のメインUV管112を収容する。
【0101】
図5は、センサ手段50を詳細に示す。センサ手段50は、複数のセンサ、典型的にはUVセンサ、例えばダイオードが装着されたセンサ支持版52を担持する可動支持構造体51を備える(センサがセンサ支持版52の下側に装着されているので、
図5では見えない)。支持構造体51は、LEDアレイ20の平面に平行な平面内で、X方向およびY方向に移動可能である。任意選択的に、支持構造体51は、X方向に移動可能な前面露光手段120に移動可能に取り付けられてもよく、支持構造体は、前面露光手段120に対してY方向に移動可能である。
【0102】
先の実施形態に関連して上述した方法は、
図3-
図6の装置を用いて行うこともできる。
【0103】
図示されていない実施形態において、後処理を施して、レリーフ前駆体に後処理、例えば、洗浄、乾燥、後処理露光、加熱、冷却、材料の除去などを行うことができる。さらに、図示されていない実施形態において、前処理を施して、レリーフ前駆体に前処理を行うことができるが、前処理は、切断、アブレーション、電磁放射への曝露、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0104】
レリーフ前駆体は、一般に、支持層および少なくとも1つの感光層を備える。支持層は、可撓性金属、天然または人工ポリマー、紙、またはそれらの組合せであってよい。好ましくは、支持層は可撓性の金属またはポリマーのフィルムまたはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄膜、ふるい(sieve)様構造、メッシュ様構造、織布または不織布構造、またはそれらの組み合わせを備えることができる。鋼、銅、ニッケルまたはアルミニウムシートが好ましく、約50~1000μmの厚さであってよい。ポリマーフィルムの場合、フィルムは寸法的に安定であるが屈曲可能であり、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート、織られた繊維、不織の繊維または層状の繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマー、またはこれらの組合せから作ることができる。好ましくはポリエチレンおよびポリエステルの箔が使用され、それらの厚さは約100~300μm、好ましくは100~200μmの範囲でもよい。
【0105】
感光性層および支持層に加えて、レリーフ前駆体は、一つ又は複数の更なるる追加の層を備えてもよい。たとえば、更なる追加の層は、以下のいずれか1つでもよい。
【0106】
(例えば、レーザーによる)直接的な彫刻可能な層、溶媒または水現像可能な層、熱現像可能な層、マスク層、カバー層、バリア層など。上述の異なる層の間には、異なる層の適切な接着を保証する一つ又は複数の接着層を置いてもよい。
【0107】
本発明の原理は、特定の実施形態に関連して上述したが、この説明は単に例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてなされたものではないことが理解されるべきである。