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  • 特許-一対気筒を有する内燃機関 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】一対気筒を有する内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 75/18 20060101AFI20241021BHJP
   F02B 75/02 20060101ALI20241021BHJP
   F02D 19/12 20060101ALI20241021BHJP
   F02M 25/03 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
F02B75/18 P
F02B75/02 B
F02B75/18 C
F02D19/12 A
F02M25/03
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022513139
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 BG2020000032
(87)【国際公開番号】W WO2021035316
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】112989
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BG
(73)【特許権者】
【識別番号】522072390
【氏名又は名称】リゾフ,ペタル・アセノフ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リゾフ,ペタル・アセノフ
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-180788(JP,A)
【文献】特開2018-087522(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101235744(CN,A)
【文献】英国特許出願公開第02455500(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 75/00
F02D 19/12
F02M 25/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクケース(37)を含む、一対気筒を有する内燃機関であって、
前記クランクケース(37)は、クランクピン(4)および(35)を有するクランクシャフト(3)と、一方が一次気筒(34)である2つの気筒を有する気筒ブロック(8)であって、ガス分配要素を有する前記気筒の上側に取り付けられる気筒ヘッド、および空気燃料混合物供給のためのシステムを有する、気筒ブロック(8)と、を有し、
前記一次気筒(34)の上側に取り付けられる気筒ヘッド
吸気ガス分配カムシャフト(26)のカムと直接接触して取り付けられ、吸気マニホールド(27)を介してターボチャージャ圧縮機(24)と接続される吸気バルブ(30)と、
排気ガス分配カムシャフト(20)のカムに直接接触して取り付けられる前記一次気筒(34)の排気バルブ(28)と、
燃料力ポンプ(19)にパイプによって接続される燃料噴霧ノズルと
を収容し、
クランクシャフト(3)のクランクピン(4)および(35)が、互いに対して180°に配置され、
二次気筒(6)の容積が、一次気筒(34)の容積の2倍であり、二次気筒(6)の上側にはヘッド(9)が取り付けられ、その中に噴霧ノズル(10)が、水力ポンプ(17)を有するパイプライン(16)を介して取り付けられ、接続され、
二次気筒(6)の二次吸気バルブ(13)が、中間マニホールド(18)を介して一次気筒(34)の排気バルブ(28)に接続され、
二次気筒(6)の二次排気バルブ(12)が、ターボチャージャ(22)のタービン(21)を有する排気マニホールド(11)を介して接続され、
前記ターボチャージャ(22)の出口が、ガス出口マニホールド(33)を介してコンデンサ(36)の入口に接続され、前記コンデンサ(36)の最下部には、水ポンプ(39)が取り付けられ、パイプライン(1)を介して容器(2)に接続され、ガスパイプライン(38)が、コンデンサ(36)の出口に設置される、
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
水力ポンプ(17)が、燃料力ポンプ(19)に結合される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械工学の分野であり、一対気筒を有する4ストローク内燃ピストン機関の構築に関する。その機関は、機械的動力によって駆動される任意の輸送手段及び機械に用途を見出すことができ、有用な作用の係数が増加し、設計が単純化され、環境に優しく、様々な種類の燃料で動作し得る。
【背景技術】
【0002】
外部混合又は内部混合を有する機関[1]が知られている。これは、第1及び第2のピストンの対が取り付けられ、クランクシャフト及び反対側のクランクシャフトが取り付けられたハウジング内で、気筒ブロック内の2つの気筒からなり、気筒内の容積が吸気プロセスの終了時に増加し、プロセスの終了時に膨張を達成する。2つのガス分配要素が設けられ、その第1のガス分配要素は、供給ベントと、逆止バルブを介して吸引パイプラインに接続されたオーバーフロー流路との間に位置する。第2の要素は、排気口と、端部排気口が接続される排気管との間に位置する。
【0003】
4ストローク内燃ピストン機関は、燃料の燃焼中に放出される熱エネルギーを機械的な仕事に変換する熱機関であり、それは、それが生成する動力と比較して比較的小さい寸法であり、マニホールド33%を排気するためのガソリン機関における有用な作用の係数が低いなどの欠点がある、輸送ニーズのための主な機関の1つであり、ディーゼル機関の場合、最大40%で、高い比燃料消費率(ガソリン機関の場合、最大215g/kWh、ディーゼル機関の場合、最大280g/kWh)である。
【0004】
排気ガスは、燃焼プロセスの生成物である二酸化炭素、煤、微細ダスト粒子及び有害な元素を含む[2]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、構造変化により、比出力の増加、比燃料消費率の減少、排気ガスの減少、及び有害な元素の排出の減少を達成し得る内燃機関を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、2つのクランクピンを有するクランクシャフトを有するクランクケースと、2つの気筒、すなわち一次気筒及び二次気筒を有する気筒ブロックと、を含む、一対気筒を有する内燃機関の設計によって実行される。
【0007】
クランクシャフトの2つのクランクピンは、互いに対して180°に位置する。二次気筒の容積は、一次気筒の容積の2倍である。気筒の上側には、ガス分配要素及び空気燃料混合物供給システムを有する気筒頭部が取り付けられる。
【0008】
気筒頭部は、吸気バルブを収容する一次気筒の上部に取り付けられ、吸気ガス分配カムシャフトのカムに直接接触して取り付けられ、吸気マニホールドを介してターボチャージャ圧縮機に接続される。一次気筒排気バルブは、一次気筒頭部に配置され、排気ガス分配カムシャフトのカムに直接接触して取り付けられる。一次気筒の吸気バルブと排気バルブとの間には、燃料噴霧ノズルが取り付けられており、燃料噴霧ノズルは、パイプラインを介して燃料力ポンプに接続される。
【0009】
二次気筒の気筒頭部には、パイプラインによって水力ポンプ、吸気バルブ及び排気バルブに接続される噴霧ノズルが取り付けられる。二次気筒の吸気バルブは、二次吸気ガス分配カムシャフトのカムに直接接触して取り付けられ、中間マニホールドを介して一次気筒排気バルブに接続される。二次気筒の排気バルブは、二次排気ガス分配カムシャフトのカムに直接接触して取り付けられ、排気マニホールドを介してターボチャージャのタービンに接続され、その出口は、排気マニホールドを介してコンデンサに接続される。
【0010】
水ポンプが、コンデンサの最下部に取り付けられ、パイプラインによって容器に接続され、ガスラインがコンデンサに取り付けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の利点は、設計革新の結果として、新規の機関が、比出力が増加し、比燃料消費率が減少し、排気ガス、煤、微細ダスト粒子及び他の有害な元素の容積が減少すると予想することであり、機関は、熱が除去される二次気筒内の水蒸発モードへの切替えに起因して良好に熱的にバランスされると予想され、その結果、熱損失が減少し、有用な作用の係数が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一対気筒を有する4ストローク内燃機関の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態を、限定することなく図1に示す。一対気筒を有する内燃機関は、クランクケース37と、気筒ブロック8と、を備える。
【0014】
クランクケース37には、クランクシャフト3が取り付けられ、2つのクランクピン4及び35が互いに対して180°反対に向けられている。気筒ブロック8には、1つの一次気筒34と、一次気筒34の容積の2倍の容積を有する1つの二次気筒6とが取り付けられる。
【0015】
一次気筒34には、ピストンロッド23が取り付けられたピストン32が取り付けられ、その他方側は、クランクシャフト3のクランクピン35に取り付けられる。一次気筒34の上側には、一次吸気ガス分配カムシャフト26のカムに直接接触して取り付けられ、吸気マニホールド27を介してターボチャージャ22の圧縮機24に接続される吸気バルブ30と、一次排気ガス分配カムシャフト20のカムに直接接触して取り付けられ、中間マニホールド18を介して二次気筒6の気筒頭部9に接続される排気バルブ28と、を収容する気筒頭部31が取り付けられる。気筒頭部31において、吸気マニホールド27と中間マニホールド18との間には、燃料噴霧ノズル30が取り付けられ、燃料噴霧ノズル30は、パイプライン25を介して燃料力ポンプ19に接続されている。
【0016】
二次気筒6内には、ピストンロッド5が取り付けられたピストン7が取り付けられ、ピストン7の他方側は、クランクシャフト3のクランクピン4に取り付けられる。二次気筒6の上側には、気筒頭部9が取り付けられ、その上には、二次吸気ガス分配カムシャフト15のカムに直接接触して取り付けられ、中間マニホールド18を介して一次気筒34の排気バルブ28に接続される二次吸気バルブ13と、二次排気ガス分配カムシャフト14のカムに直接接触して取り付けられる二次排気バルブ12とが取り付けられる。
【0017】
二次気筒頭部9の排気マニホールド11と中間マニホールド18との間には、水噴霧ノズル10が取り付けられ、パイプライン16を介して水力ポンプ17に接続される。一次気筒34の排気バルブ28は、中間マニホールド18を介して、二次気筒6の吸気バルブ13に接続される。二次排気バルブ12は、排気マニホールド11を介してターボチャージャ22のタービン21の入口に接続され、その出口は、ガス排気マニホールド33を介してコンデンサ36の入口に接続され、その最下部には水ポンプ39が取り付けられ、燃焼プロセスの生成物として有害な元素が堆積される凝縮物を堆積させるための容器2とパイプライン1を介して接続され、ガスパイプライン38は、コンデンサ36の出口に設置され、騒音低減ポットに接続され、その出口は、大気への出口パイプラインで終端する。
【0018】
本発明の別の実施形態では、燃料力ポンプ19は、水力ポンプ17に結合される。
【0019】
本発明の産業上の用途
機関は次のように動作する。
【0020】
機関は、クランクシャフト3が回転することで作動する。一次気筒34の「吸気」ストロークは、ターボチャージャ22の圧縮機24が吸気マニホールド27を介して空気又は燃料混合物を供給することで開始する。その瞬間、一次気筒34の吸気バルブ30が開く。一次気筒34の排気バルブ28は閉じられている。一次気筒34のピストン32は、上死点から下死点に移動する。それに到達してその動きを反転させると、吸気バルブ30は閉じ、吸気ガス分配カムシャフト26のカムから解放される。
【0021】
「圧縮」プロセスは、一次気筒34内で行われる。一次気筒34のピストン32は、下死点から上死点に移動する。一次気筒34の吸気バルブ30は、閉じられている。一次気筒34の排気バルブ28も閉じられている。
【0022】
一次気筒34のピストン32が上死点に達すると、「燃焼」ストロークが始まり、燃料が点火される。一次気筒34のピストン32は、燃料の燃焼中にガスの体積の増加によって、生成された温度及び圧力の増加によって押され、上死点から下死点に移動する。一次気筒34の吸気バルブ30は、閉じられている。一次気筒34の排気バルブ28も閉じられている。
【0023】
サイクルは、一次気筒34からの排気ガスの「排気」ストロークで終了する。これにより、二次気筒6の「吸気」ストロークが開始する。フライホイールの運動量によって押されたピストン32は、下死点から上死点に移動し、二次気筒6のピストン7は、上死点から下死点に移動する。この瞬間、一次気筒34の吸気バルブ30は閉じられ、一次吸気ガス分配カムシャフト26のカムから解放される。同時に、一次気筒34の排気バルブ28は、排気ガス分配カムシャフト20のカムによって押されて開く。二次気筒6の吸気バルブ13も、吸気ガス分配カムシャフト15のカムによって押されて開く。これにより、一次気筒34内の排気ガスは、中間マニホールド18を通過して二次気筒6に移送される。
【0024】
二次気筒6では、「圧縮」ストロークが続く。吸気の二次バルブ13は閉じられ、二次吸気ガス分配カムシャフト15のカムから解放される。二次気筒6の排気二次バルブ12も閉じられ、排気ガス分配カムシャフト14のカムから解放される。同時に、ピストン7が下死点から上死点に移動し、ストロークの終わりに、上死点に達する直前に、水噴霧ノズル10が二次気筒6内に水を噴霧し、これが「燃焼」ストロークを開始する。
【0025】
分散した水は、圧縮された高温ガスの蒸発を引き起こし、水蒸気の体積は1700倍に増加する[2]。ピストン上方の空間内の圧力が上昇し、ピストン7を上死点から下死点に押し込み、これによって燃焼ストロークが完了し、2倍の機械的な仕事が実施される。ピストン7が下死点に到達すると、排気ガス分配カムシャフト14のカムに押圧された二次気筒6の排気バルブ12が、排気マニホールド11を開く。ピストン7は、その運動を逆転させ、フライホイール上の運動量によって押されて下死点から上死点に移動する。したがって、水蒸気と均一に混合され、水の蒸発によって冷却された排気ガスは、排気マニホールド11を通って排出される。これにより、ターボチャージャ22のタービン21が回転し、空気燃料混合物が一次気筒34に押し込まれる。
【0026】
次いで、排気ガスは、排気マニホールド33を通ってコンデンサ36に導かれ、そこで冷却され、凝縮され、煤、微細ダスト粒子及び他の有害な元素を巻き込む。次いで、凝縮物は、水ポンプ39を通ってコンデンサ36の底部に至り、後処理パイプライン1を通って容器2に圧送される。残留排気ガス及び非凝縮水蒸気は、コンデンサ36の出口を通って、騒音低減ポットを備えたパイプライン38を通って、大気に排出される。
【0027】
一対気筒を有する4ストローク内燃機関の二次気筒6の動作効率は、排気ガスの加熱の程度に依存する。ディーゼル機関では、燃料力ポンプ19に結合されて同期される水力ポンプ17が使用される。
【0028】
文献:
1.BG特許第62787号明細書
2.自動トラクタ機関の装置、K.Hadjiev及びS.Iliev、RTU「Angel Kanchev」
3.Technical thermodynamics、1978年Zhivko Krastev編集
図1