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特許7574284容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/00 20060101AFI20241021BHJP
   G01G 17/04 20060101ALI20241021BHJP
   H05F 3/04 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
G01G23/00 Z
G01G17/04 C
H05F3/04 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022515840
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 IT2020050211
(87)【国際公開番号】W WO2021048883
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】102019000016091
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500361593
【氏名又は名称】イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】チアヌーラ マッティア
(72)【発明者】
【氏名】マネラ セルジオ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119951(JP,A)
【文献】特開2017-019047(JP,A)
【文献】特開2006-177961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194059(US,A1)
【文献】国際公開第2019/160528(WO,A2)
【文献】特開2012-201493(JP,A)
【文献】特開2009-030987(JP,A)
【文献】特開2007-255930(JP,A)
【文献】特開平06-286884(JP,A)
【文献】特開昭64-059128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-9/00,13/00-23/48
G01F 11/00-13/00
G01N 33/00-37/00
H05F 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(100;100’)及び/又は前記容器(100;100’)が配置されるネスト(200;300)の表面に存在する静電気を中和するための装置であって、
前記容器(100)の長手方向の延長の主軸に沿って延在する本体部を各前記容器(100;100’)が有する容器(100;100’)の整列グループと
位置決めマトリクス(M1)に従って配置された複数の座部(212;312)を有するネスト(200;300)と、
前記ネスト(200;300)内に収容された前記容器(100;100’)の整列グループの少なくとも一部に係合するように構成された取出部材(15)と、
少なくとも1つのイオン化デバイス(19)と、を備え、
各前記座部(212;312)は、前記容器(100;100’)の整列グループの各前記容器をその上に載置させて収容するように構成されるとともに、対称軸(X)に沿って延在するように構成され、
前記対称軸(X)は、略鉛直方向に沿っており、かつ、前記座部(212;312)に収容された前記容器(100;100’)の前記主軸に平行であり
前記複数の座部(212;312)の前記対称軸(X)は、相互に平行であり、
前記取出部材(15)は、
前記ネスト(200;300)に対する相対持ち上げ移動を行い、すでに係合している前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を、前記ネスト(200;300)のそれぞれの前記座部(212;312)から少なくとも部分的に取り出し、
前記容器によってそれまで占有されていた前記ネスト(200;300)の前記座部(212;312)が少なくとも部分的に空くように、それぞれの前記座部(212;312)から取り出された前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を持ち上げられた状態に維持するよう構成され、
前記少なくとも1つのイオン化デバイス(19)は、取り出された前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部が前記持ち上げられた状態にある時、かつ、前記ネスト(200;300)の前記座部がそれぞれの前記容器(100;100’)が取り出されたことで少なくとも部分的に空いた時に、取り出された前記容器(100;100’)の近傍及び/又は前記ネスト(200;300)の近傍に延在する経路に沿って、取り出された前記容器に対し及び/又は前記ネスト(200;300)に対し相対移動可能に構成され、これにより、周囲空間をイオン化するとともに、前記持ち上げられた状態の前記容器(100;100’)の前記表面、及び/又は、前記座部においてそれぞれの前記容器(100;100’)が取り出されたことで前記座部が少なくとも部分的に空いている前記ネスト(200;300)の前記表面に存在する静電気を中和するよう構成され、
前記取出部材(15)には、互いに平行であって、少なくとも1つの把持ループ(29)を画定する、間隔を空けて配置された複数のアーム(16)の1つが設けられており、
前記少なくとも1つの把持ループ(29)は、前記容器(100;100’)を収容するよう構成され、
前記取出部材(15)は、前記相対持ち上げ移動の前に、前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を収容するために前記ネスト(200;300)に対する少なくとも1回の相対係合移動を行って、前記少なくとも1つの把持ループ(29)を、前記座部(212;312)における前記位置決めマトリクス(M1)の少なくとも1つの行と横方向において整列させ、前記少なくとも1つの把持ループ(29)を、前記座部(212;312)の前記対称軸(X)を横断する方向である係合方向に移動させて、前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を前記少なくとも1つの把持ループ(29)内に収容して保持するよう構成されている、装置。
【請求項2】
前記取出部材(15)は、前記容器(100;100’)の整列グループの少なくとも一部を取り出し、これを、前記ネスト(200;300)の前記座部(212;312)から完全に取り出された持ち上げられた状態にして、取り出された前記容器(100;100’)と前記ネスト(200;300)との間に自由な間隙(18)を作り出すように構成され、
前記少なくとも1つのイオン化デバイス(19)は、前記間隙(18)内に延在する経路に沿って、前記持ち上げられた状態の前記容器に対して及び/又は前記ネスト(200;300)に対して相対移動可能に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マニピュレータを備え、
前記マニピュレータは、前記少なくとも1つのイオン化デバイス(19)を保持し、これを、前記持ち上げられた状態の前記容器(100;100’)の近傍及び/又は前記ネスト(200;300)の近傍に延在する前記経路に沿って移動させるように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記取出部材(15)が前記係合移動を行う前に、載置状態で前記容器(100)の整列グループを載せるための載置面(13)が設けられた下側支持ベース(11)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
記載置面(13)には、前記位置決めマトリクス(M1)に対応する支持マトリクス(M2)に従って配置された複数のキャビティ(12)が設けられており、
各前記キャビティ(12)は、前記容器(100;100’)の前記本体部に設けられた閉口基端部(112)であって前記本体部の開口ヘッド端部(111)とは反対の側にある閉口基端部(112)の形状と、実質的に一致する形状を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ネスト(200)を前記下側支持ベース(11)から所定の距離(L)で載置させて維持するように構成された支持部材(14)を備え、
前記所定の距離(L)は、前記容器(100)の整列グループが前記載置面(13)上において前記載置された状態にあり、かつ、前記ネスト(200)が前記支持部材(14)に載置されているときに、前記容器(100)の整列グループが前記ネスト(200)から持ち上げられた状態となるように、選択される、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記支持部材(14)が、前記下側支持ベース(11)から離れる方向及び前記下側支持ベース(11)に近づく方向に移動可能に構成されているか、あるいは、前記下側支持ベース(11)が、前記支持部材(14)から離れる方向及び前記支持部材(14)に近づく方向に移動可能に構成されているか、あるいは、前記支持部材(14)と前記下側支持ベース(11)との両方が、互いに離れる方向及び近づく方向に相互に移動可能に構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの追加のイオン化デバイス(27)をさらに備え、
前記少なくとも1つの追加のイオン化デバイス(27)は、取り出された前記容器(100;100’)が前記持ち上げられた状態にあるとき、前記ネスト(200;300)と前記下側支持ベース(11)との間の追加の自由な間隙(23)内に延在する経路に沿って、前記持ち上げられた状態の前記容器に対して及び/又は前記ネスト(200;300)に対して相対移動可能に構成されている、請求項4~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのイオン化デバイス(19)は、曲線又は直線の軌道に沿って移動可能に構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記各把持ループ(29)は、2つの隣接する前記アーム(16)の間に画定され、略U字形状を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
各前記把持ループ(29)は、前記位置決めマトリクス(M1)に対応するように配置された前記容器(100;100’)のための保持座部(17)のアレイを備え、
各前記保持座部(17)は、それぞれの前記容器(100;100’)を支持する形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
各前記保持座部(17)は、それぞれの支持部分(32)を備え、
前記支持部分(32)は、同じ前記把持ループ(29)における対向側から互いに向き合っており、
前記支持部分(32)は、前記支持部分の上にそれぞれの前記容器(100;100’)を載置させて受けるために、それぞれの前記アーム(16)上において凹部として設けられている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各前記座部(212)は、円筒状壁(215)を有し、
前記円筒状壁(215)は、対称軸(X)の周囲に延在するとともに、前記対称軸(X)に平行な長手方向に延びる延長(E)を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
容器(100;100’)及び/又は前記容器(100;100’)が配置されるネスト(200;300)の表面に存在する静電気を中和するための方法であって、
前記容器(100;100’)の長手方向の延長の主軸に沿って延在する本体部を各前記容器(100;100’)が有する容器(100;100’)の整列グループを準備するステップと
位置決めマトリクス(M1)に従って配置された複数の座部(212;312)を有するネスト(200;300)であって、各前記座部(212;312)が前記容器(100;100’)の整列グループの各前記容器を載置させて収容するよう構成され、各前記座部(212;312)が、前記座部(212;312)に収容された前記容器(100;100’)の前記主軸に平行な対称軸(X)であって略鉛直方向の対称軸(X)に沿って延在するよう構成され、そして、前記複数の座部(212;312)の前記対称軸(X)が相互に平行であるネスト(200;300)を準備するステップと、
前記ネスト(200;300)内に収容された前記容器(100;100’)の整列グループの少なくとも一部に係合して、これを移動させるように構成された取出部材(15)を準備するステップと、
前記容器(100;100’)に対して及び/又は前記ネスト(200;300)に対して相対移動可能に構成された少なくとも1つのイオン化デバイス(19)を準備するステップと、
前記取出部材(15)を前記ネスト(200;300)に対して相対持ち上げ移動で移動させて、前記ネスト(200;300)のそれぞれの前記座部(212;312)から、前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を少なくとも部分的に取り出すことによって、それぞれの前記座部(212;312)に載置された前記容器(100;100’)によって占有された前記ネスト(200;300)のそれぞれの前記座部(212;312)から、前記容器(100;100’)の整列グループの少なくとも一部を取り出すステップと、
前記容器によってそれまで占有されていた前記ネスト(200;300)の前記座部(212;312)が少なくとも部分的に空くように、それぞれの前記座部(212;312)から取り出された前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部が定位置に静止して維持された状態である持ち上げられた状態に達するステップと、
取り出された前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部が前記持ち上げられた状態にある時、かつ、前記ネスト(200;300)の前記座部が、それぞれの前記容器(100;100’)が取り出されたことで少なくとも部分的に空いている時に、前記持ち上げられた状態の前記容器(100;100’)の近傍及び/又は前記ネスト(200;300)の近傍に延在する経路に沿った、取り出された前記容器に対する及び/又は前記ネスト(200;300)に対する前記イオン化デバイス(19)の相対移動を操作することで、周囲空間をイオン化するとともに、前記持ち上げられた状態の前記容器(100;100’)の前記表面、及び/又は、それぞれの前記容器(100;100’)が取り出されたことで前記座部が少なくとも部分的に空いている前記ネスト(200;300)の前記表面に存在する静電気を中和することによって、前記少なくとも1つのイオン化デバイス(19)を用いて前記持ち上げられた状態の前記容器(100;100’)の表面及び/又は前記ネスト(200;300)の表面に存在する静電気を中和するステップと、を有し、
前記取出部材(15)には、互いに平行であって、少なくとも1つの把持ループ(29)を画定する、間隔を空けて配置されたアーム(16)が複数設けられており、
前記少なくとも1つの把持ループ(29)は、前記容器(100;100’)を収容するよう構成され、
前記方法は、前記取り出すステップの前に、前記容器(100;100’)の前記少なくとも一部と係合するステップを有し、当該係合するステップにおいて、前記取出部材(15)を前記ネスト(200;300)に向かって相対移動させることで、前記少なくとも1つの把持ループ(29)を、前記座部(212;312)の前記位置決めマトリクス(M1)の少なくとも1つの行と横方向において整列させ、前記少なくとも1つの把持ループ(29)を、前記座部(212;312)の前記対称軸(X)を横断する方向である係合方向に移動させて、前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部をそれぞれの前記把持ループ(29)内に収容して保持し、
前記係合するステップの後に、前記少なくとも1つの把持ループ(29)に収容され保持された前記容器(100;100’)の整列グループの前記少なくとも一部を取り出すステップを実行する、方法。
【請求項15】
前記ネスト(200;300)を準備するステップにおいて、
前記複数の座部(212;312)の各座部(212)は、円筒状壁(215)を有し、
前記円筒状壁(215)は、前記対称軸(X)の周囲に延在し、前記対称軸(X)に平行な長手方向に延びる延長(E)を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に容器が空である場合と少なくとも1つの製品又は物質で満たされている場合との両方において、容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和するための装置及び方法に関する。製品又は物質という用語は、液体、半固体、ゼラチン状又は固体組成物を意味し、固体組成物の場合は、粉末又は粒子であってもよく、植物及び/又は動物及び/又は化学由来のものであってもよい。計量される容器は、「ネスト(nests)」又は容器保持トレイの中に、あるいは同様の及び/又は同等の支持手段の中に、マトリクス状の収容座部の所定の位置に一時的に収容することができる。非限定的な例として、本発明による装置及び方法は、医薬品、化粧品、健康、化学物質及び食品の分野で使用することができる。
【背景技術】
【0002】
医薬品、健康、化学又は工業分野、あるいはより一般的には科学技術分野において、適切な計量ステーション内に、正確な量の特定の製品で予め充填された容器を計量する必要があることが知られている。従来知られているいくつかの解決策の例は、特許文献EP3327409及びWO2018/177800に記載されている。
【0003】
計量される容器は、数ミリリットルの容量を有する試験管から薬用の小さなアンプル、又はシリンジ、又はcarpules(登録商標)、即ち、シリンジに挿入される薬液を含有するアンプル又はカートリッジから、より容量の高い容器、例えば、流体製品、特に液体又は固体や粉末又はゲル製品を含有することができる1リットルを超える容量を有するボトル、フラスコ又はその他の容器まで、異なる形状及びサイズを有することができる。
【0004】
特に、化学、医薬品及びヘルスケアのセクタでは、多くの場合において予め既定された投薬量にしたがって上記の容器に製品を充填する必要性があり、これにより、導入される製品の性質及びこの製品による意図される機能のために、既定のフィールドに収容されるものについてばらつきを低減することができる。
【0005】
非常に多くの場合、計量される製品は少量で容器内に投入される。その結果、実重量値に関して測定された重量値のわずかな偏差でさえ、特にこの製品が医薬品及びヘルスケア分野で適用される場合、消費者又は患者に危険な結果をもたらし得る重大なエラーを生じさせる可能性がある。
【0006】
従来技術において知られている一部の用途では、容器は、この特定のセクタでは一般に「ネスト」と呼ばれる容器保持トレイ内の適切な座部に配置することができる。
【0007】
容器の充填は、処理された製品の種類に関して正確な量の製品を容器内に供給するのに適した充填ノズルを備えた充填機によって、充填システム内で行われる。
【0008】
上で述べたように、目的は期待される用量に相当する量の製品を導入することであるので、各容器に導入された製品の質量の検証は基本的なことである。
【0009】
この目的のために、重量検出器又はロードセルを使用する、上記のような充填システムと関連付けられた又は関連付けられていない計量システムを使用することが知られており、これは、容器が空(風袋)である場合と、容器が充填された場合(総重量)と、の両方の場合において容器の重量を検出するのに適している。
【0010】
第1のアプローチでは、容器は座部から1つずつ取り外されて、個々に充填及び/又は計量ステップに供される。
【0011】
本出願人によって開発された別のアプローチでは、容器を充填及び/又は計量するステップを、容器をラックから取り外すことなく行うことができる。この場合、ラックは、ラックを位置付けることを可能にする移動手段によって操作され、特に、容器は、充填ノズル及び/又は計量デバイスに対応して充填及び/又は計量される。
【0012】
このタイプの計量システムは、例えば本出願人による文献WO2018/019985に記載されている。
【0013】
特に、WO2018/019985には、操作アームによってロードセルに向かって移動可能なラック内に配置された適切な収容座部内に位置決めされた容器のための計量システムが記載されている。
【0014】
充填前と充填後におけるロードセル上への1つの容器の位置決めは、風袋及び総重量を検出するために容器をラックから及び収容座部から移動させずに行われる。
【0015】
計量システムはまた、計量デバイスを備え、計量デバイスは、ロードセルを含むとともに、少なくとも計量作業に必要な時間、1つの容器又はその一部を収容するのに適している。WO2018/019985に記載された計量デバイスには、計量作業に関与する容器の少なくとも一部を収容するための適切な形状の座部が設けられている。
【0016】
これに関連して、通常、充填された容器のための計量ステーションの前に、例えば、空容器のための貯蔵ステーション、場合によっては各空容器のための1つ以上の計量ステーション、容器の充填のためのステーション、その他のステーションなどの複数の処理ステーションを設けることができることに留意されたい。
【0017】
あるステーションから別のステーションへの容器の移動は、通常、機械式及びモータ式の搬送デバイス又は装置を用いて行われ、この装置は、例えば、コンベヤベルト、ターンテーブル若しくはカルーセル、ギア、チェーン、スライダ、リフタ、場合によってはロボット式の機械式アーム及び他の機械式部材を含む。
【0018】
この点に関し、本出願人は、一般に、あるステーションから別のステーションへの移動の間に、静電荷が容器の表面及び/又は容器保持トレイ上に蓄積される場合があること、そして、その原因が、両方について、例えば計量システムが組み込まれた機械部品の表面(金属又は非金属)に対する相互の擦れ又は擦れの現象によるもの、また、移動装置によって生じる摩擦の現象によるものであることを見出した。
【0019】
容器及び/又は容器保持トレイは、製造ステップ中及び/又は容器保持トレイ内の容器の位置決め中にも静電荷を帯びることがある。
【0020】
容器及び/又は容器保持トレイ上における静電荷の蓄積の欠点の1つは、計量作業中に、静電荷の存在が重量の測定に影響を及ぼす可能性があることであり、実際、電荷間の静電引力によって、重力(weight force)に加えられるか又はそれから差し引かれる垂直成分が生成される。その結果、計量デバイスによって検出される測定はエラーを含むものとなり、正しくない重量値をもたらし、したがって、質量の不正確な測定値をもたらす。
【0021】
この問題は、特に、例えば本出願人によるWO2018/019985に記載されるように、上述の容器保持トレイから容器が取り出されることなく一緒に又はグループで計量される場合、非常に深刻である。実際、動作中に発生する引力/斥力の静電気力が存在すると、測定のエラーが生じ、測定安定化時間が長くなり、測定の再現性がなくなる可能性がある。静電気による引力/斥力は、容器とネストの間、又は容器自体の間、又は容器と機械の部品の間、又はネストと機械の部品の間にも発生することが見出された。さらに、静電荷は、機械又は容器又は容器保持トレイの部品と空気中に存在する粒子との間の引力の現象を引き起こす。この現象は、特に食品及び製薬セクタにおいて通常望ましくない。
【0022】
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することができる、容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和するための装置を提供する必要性がある。
【0023】
特に、本発明の1つの目的は、容器及び/又は容器保持トレイに存在する及び/又は蓄積された静電荷の排除を、それらを計量する作業の前に行うことを可能にする装置を提供することである。
【0024】
別の目的は、上記の装置を使用する容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和する方法を完璧にすることである。
【0025】
本出願人は、従来技術の欠点を克服し、上記の及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具体化した。
【発明の概要】
【0026】
本発明は、独立請求項において記載され特徴付けられている。従属請求項は、本発明の他の特徴又は主な発明的思想に対する変形を記載する。
【0027】
上記の目的に従い、本発明は、容器の表面、及び/又は、容器の整列グループが配置される容器保持トレイ若しくはネストの表面に存在する静電気を中和するための装置に関する。問題の容器は、容器の長手方向延在部(development)の主軸に沿って延在する本体部を有し、本体部は、閉口基端部と、反対側の開口ヘッド端部と、を含む。
【0028】
装置は上に記載した容器保持トレイ又はネストを備え、容器保持トレイ又はネストは、整列マトリクス(ordered matrix)に従って配置された複数の座部を有し、各座部は、容器の整列グループ(ordered group)の各容器を載置させて収容するよう構成されるとともに、対称軸に沿って延在するよう構成され、この対称軸は、略鉛直方向に沿っており、かつ、座部に収容された容器の主軸に平行であり、好ましくは当該主軸に一致しており、複数の座部の対称軸は相互に平行である。
【0029】
上記装置は、上記容器保持トレイに収容された容器の整列グループの少なくとも一部に係合するように構成された取出手段を含む。取出手段は、容器保持トレイに対して少なくとも1回の相対持ち上げ移動を行うように構成され、容器保持トレイのそれぞれの座部から、すでに係合している容器の整列グループの少なくとも一部を少なくとも部分的に取り出すように構成される。また、取出手段は、それぞれの座部から取り出された容器の整列グループの上記一部を持ち上げられた状態に維持するように構成され、その結果、これまで容器によって占有されていた容器保持トレイの座部が少なくとも部分的に空いた状態となる。
【0030】
本発明の一態様によれば、取出手段は、複数の間隔を空けたアームの1つを含む取出部材として構成され、複数の間隔を空けたアームは互いに平行であり、容器を収容するように構成された少なくとも1つの把持ループを画定する。取出部材は、上記相対持ち上げ移動の前に、上記容器の整列グループの少なくとも一部を収容するために容器保持トレイに対する少なくとも1回の相対係合移動を行うよう構成され、少なくとも1つの把持ループを、座部の整列マトリクスの少なくとも1つの行と横方向において整列させ、少なくとも1つの把持ループを、上記の座部の対称軸を横断する方向である係合方向に移動させて、容器の整列グループの少なくとも一部を、少なくとも1つの把持ループ内に収容して保持する。
【0031】
「横断」との用語は、係合方向が、把持ループの横方向における整列と一貫して、座部の対称軸に対して入射する方向を意味する。考え得る実施形態では、係合方向は、少なくとも1つの鉛直移動成分を含む、例えば上方又は下方からの傾斜した準線に従って座部の対称軸に対して入射する方向である。別の代替の実施形態では、係合方向は、いかなる鉛直移動成分も含まず、したがって座部の対称軸に対して垂直である。
【0032】
また、上記装置は少なくとも1つのイオン化デバイスを備え、少なくとも1つのイオン化デバイスは、取り出された容器の整列グループの少なくとも一部が持ち上げられた状態にある時、かつ、容器保持トレイの座部が、それぞれの容器が取り出されたことで少なくとも部分的に空いた時に、取り出された容器の近傍及び/又は容器保持トレイ若しくはネストの近傍に延在する経路に沿って、取り出された容器に対し及び/又は容器保持トレイに対し相対移動可能であり、これにより、周囲空間をイオン化するとともに、持ち上げられた状態の容器の表面、及び/又は、座部にそれぞれの容器がないことで座部が少なくとも部分的に空いている容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和するよう構成されている。
【0033】
本明細書において「近傍」との表現は、静電気がイオン化されるべき容器又はネストにイオン化デバイスによって放出されたイオンが達できるように上記経路が延在することを意味する。具体的には、イオン化デバイスの経路は、容器又はネストからある一定の距離であって少なくとも部分的に連接可能であることは当業者には明らかであり、但し、この距離は、静電的に中和されるべき物体とイオン化デバイスによって放出されるイオンとの間の効果的な静電相互作用を可能にするようなものとされる。
【0034】
また、本発明のいくつかの実施形態は、容器の表面、及び/又は、容器が配置される容器保持トレイ若しくはネストの表面に存在する静電気を中和する方法に関する。この方法は、以下のステップを有する。
・ 容器の整列グループを準備するステップ。各容器は、容器の長手方向の延長の主軸に沿って延在する本体部を有し、当該本体部は、閉口基端部と、反対側の開口ヘッド端部と、を含む。
整列マトリクスに従って配置された複数の座部を有する容器保持トレイ又はネストを準備するステップ。各座部は容器の整列グループの各容器を載置させて収容するよう構成され、各座部は、座部に収容された容器の主軸に平行な、好ましくは当該主軸に一致する、対称軸であって略鉛直方向の対称軸に沿って延在するよう構成され、そして、複数の座部の対称軸は相互に平行である。
・ 上記のネスト内に収容された容器の整列グループの少なくとも一部に係合してこれを移動させるように構成された取出手段を準備するステップ。
・ 容器に対して及び/又はネストに対して相対移動可能に構成された少なくとも1つのイオン化デバイスを準備するステップ。
・ 取出手段をネストに対して相対持ち上げ移動で移動させて、ネストのそれぞれの座部から、容器の整列グループの少なくとも一部を少なくとも部分的に取り出すことによって、それぞれの座部に載置されていた容器によって占有されていたネストのそれぞれの座部から、上記容器の整列グループの少なくとも一部を取り出すステップ。
・ 容器によってそれまで占有されていた容器保持トレイのそれぞれの座部が少なくとも部分的に空くように、それぞれの座部から取り出された容器の整列グループの少なくとも一部が定位置に静止して維持された状態である持ち上げられた状態に達するステップ。
・ 少なくとも1つのイオン化デバイスを用いて、持ち上げられた状態の容器の表面及び/又は容器保持トレイ若しくはネストの表面に存在する静電気を中和するステップ。当該ステップにおいて、取り出された容器の整列グループの少なくとも一部が持ち上げられた状態にある時、かつ、ネストの座部が、それぞれの容器が取り出されることで少なくとも部分的に空いている時に、持ち上げられた状態の容器の近傍及び/又は容器保持トレイ若しくはネストの近傍に延在する経路に沿った、取り出された容器に対する及び/又はネストに対するイオン化デバイスの相対移動を操作することで、周囲空間をイオン化するとともに、持ち上げられた状態の容器の表面、及び/又は、それぞれの容器が取り出されたことで座部が少なくとも部分的に空いている容器保持トレイ若しくはネストの表面に存在する静電気を中和する。
【0035】
一態様によれば、本発明の方法は、取り出すステップの前に、取出部材をネストに向かって相対移動させることで、容器の少なくとも一部と係合するステップを実行することを含む。当該係合するステップにおいて、少なくとも1つの把持ループを、座部の整列マトリクスの少なくとも1つの行と横方向において整列させ、少なくとも1つの把持ループを、座部の対称軸を横断する方向である係合方向に移動させて、容器の整列グループの少なくとも一部をそれぞれの把持ループ内に収容して保持する。その後、少なくとも1つの把持ループに収容され保持された容器の整列グループの少なくとも一部を取り出すステップを実行する。
【0036】
本発明の上記の及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられるいくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0037】
理解を容易にするために、場合によっては図面中の同一の共通要素は同じ参照番号を使用して識別している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる明確化なしに他の実施形態に適宜組み込むことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】いくつかの実施形態による、容器及び/又は容器保持トレイの表面に存在する静電気を中和するための装置の斜視図である。
図2図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図3図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図4図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図5図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図6図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図7図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを全体的に表す。
図8図1の装置の側面図であり、他の実施可能な変形例に係る動作ステップを表す。
図9図1の装置の側面図であり、他の実施可能な変形例に係る動作ステップを表す。
図10】複数の容器を支持する取出部材の上面図を例として示す。
図11図10の線XI-XIに沿った断面図である。
図12図10の線XII-XIIに沿った断面図である。
図13図10の拡大詳細図を示す。
図14図8図9に示す動作ステップの変形例を示し、この変形例では考え得るイオン化経路を実行するイオン化デバイスが1つのみ存在している。
図15図1の装置の機能の考え得る別の動作シーケンスの動作ステップの側面図を示す。このステップにおいて、容器は、容器保持トレイ又はネストからほぼ完全に取り出され、即ち、容器は容器保持トレイ又はネスト内に部分的にのみ残っている。
図16図1の装置の概略上面図を示し、保持用把持部のための移動デバイスと、少なくとも1つのイオン化デバイスを移動させるマニピュレータとを示す。
図17図1に示す装置に使用することができる容器保持トレイの変形例の下方から斜めに見た部分断面図を示す。
図18図17の容器保持トレイを備える静電気を中和する装置の変形例の概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の様々な実施形態を詳細に参照するが、そのうちの1つ以上の実施例が添付の図面に示されている。各実施例は、本発明を例示するために提供されるものであり、限定するものとして理解されるものではない。例えば、1つの実施形態の一部であるように示された又は記載された特徴は、別の実施形態を作り上げるために、他の実施形態に又は他の実施形態と関連して採用することができる。本発明はそのようなすべての変更及び変形を含むものであることが理解される。
【0040】
実施形態を説明する前に、添付の図面を使用して以下の説明に記載されるような構成要素の構成及び配置の詳細に、本説明がその適用において限定されないことを明らかにしなければならない。本説明は、他の実施形態を提供することができ、様々な他の方法で取得又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語が説明のみを目的とするものであり、限定するものと考慮することはできないことを明らかにしなければならない。
【0041】
添付の図面を使用して説明される実施形態は、容器10の表面、及び/又は、ネストとも呼ばれる容器保持トレイ200の表面に存在する静電気を中和するための装置であって、添付の図面において全体として参照符号10で示す装置に関する。
【0042】
容器100及び/又は容器保持トレイ200の表面に存在する静電気又は静電荷を中和する作業は、以降、容器100及び/又は容器保持トレイ200の帯電防止処理作業、あるいはより簡単に帯電防止処理と呼ばれる場合がある。
【0043】
この中和は、有利には、前記容器保持トレイ200内に配置された前記容器100の後続の計量作業のための準備であり、容器保持トレイ200内に容器100を維持したまま行われる。
【0044】
特に、静電荷の中和は、容器100及び/又はこれに収容されている物質の質量の正確な測定を、この重量測定が静電気力の影響を受けることなく行われることを保証するのに有利である。
【0045】
いくつかの実施形態では、装置10は、特に、予め物質で充填された容器100であって、位置決めマトリクスM1に従って容器保持トレイ200内で容器100の整列グループを形成するように予め位置決めされた容器100の表面上に存在する静電気又は静電荷を中和するために使用することができる。位置決めマトリクスM1は、例えば、容器保持トレイ200内の容器100の行及び列を有するパターンによる配置によって定められる。このパターンは、1つの行の容器100が2つの隣接する行の容器に対してオフセットされたものであり、空間的配置を最適化し、容器保持トレイ200が最大限可能数の容器100を収容可能であることを保証する。このセクタにおいて典型的である容器のこの空間的配置は、専門用語で「五点形(quincunx)」配置とも呼ばれる。
【0046】
装置10はまた、上記の容器保持トレイ又はネスト200に存在する静電気を中和するために使用することができる。
【0047】
以下により詳細に説明するように、各容器は、容器保持トレイ200内に設けられた、チャネル211を有する各座部212に載置されてその中に保持される。
【0048】
以下に図1図16を参照して説明する実施形態では、座部はカラー212として構成され、以下により詳細に説明されるように、各カラー212には容器が挿入されるそれぞれのチャネル211が設けられている。
【0049】
各カラー212は支持縁214を備え、支持縁214は、各容器100に設けられたカラー111を載置させて受けるように構成されている。
【0050】
図8図9及び図14図15に最もよく見られるように、各カラー212は、対称軸Xの周りに延在する円筒状壁215を有する。この場合、各チャネル211は略円形の断面を有する。円筒状壁215は、容器100のサイズに相関する対称軸Xに平行な長手方向に延びる延長Eを有する。特定の例示的な実施形態では、カラー212は、少なくとも容器が持ち上げられた状態(後述する)にあるときに、容器の長手方向の延長の一部を覆うように延在するようなサイズである。
【0051】
装置10は、容器100の整列グループの少なくとも一部に係合するように構成された取出手段を含む。
【0052】
添付の図面を特に参照する以下に説明するいくつかの実施形態では、取出手段は、間隔を空けて配されたアーム16を複数備える取出部材15として構成され、間隔を空けて配されたアーム16は、互いに平行であり、把持ループ29を画定する。
【0053】
各把持ループ29は、上記容器100の整列グループの少なくとも一部を収容するように構成される。
【0054】
本明細書に記載され添付の図面に示される実施形態と完全に等価であるいくつかの変形例では、取出手段は、ネスト200から容器を取り出すことができる、従来知られている不図示の他の部材又はシステムを含むことができることが理解される。非限定的な例として、他の部材又はシステムは、機械的又は空気圧システムを含むことができる。一実施形態では、取出手段は、例えば、上方から容器を持ち上げるよう構成された、容器保持トレイ200内に収容されいる容器100の数に等しい数の複数の吸引カップを含むことができ、吸引カップは容器保持トレイ200に対して鉛直方向に移動可能である。
【0055】
取出部材15は、容器保持トレイ200のカラー212内に配置された容器100のグループの少なくとも一部と係合して把持ループ29に係合された容器100を保持するために、容器保持トレイ200に対して少なくとも第1の相対係合移動を行うように構成される。
【0056】
また、取出部材15は、把持ループ29に保持された容器100を容器保持トレイ200から取り出すために、容器保持トレイ200に対して少なくとも第2の相対持ち上げ移動を行うようにも構成される。
【0057】
取出部材15は、取り出された容器100を持ち上げられた状態に維持するように構成されており、ここで、取り出された容器100によってそれまで占有されていた容器保持トレイ200のカラー212は、それぞれの容器100が取り出されたことで少なくとも部分的に空くこととなる。
【0058】
取出部材15は、取出部材15を係合され保持されるべき容器100に対して相対移動させることを可能にする移動デバイス31によって移動されてもよい。
【0059】
考え得る実施形態では、移動デバイス31は、自動移動デバイス、ロボット式移動デバイス、磁気式移動デバイス又は他の知られている装置を含むグループから選択することができる。
【0060】
図16に示す例では、移動デバイス31は、上記の第1の係合移動及び第2の持ち上げ移動をもたらすために少なくとも2つの自由度で移動可能な自動ロボットアームとして表されている。自動アームの一端には、取出部材15を保持して適切に方向付ける把持部33が設けられている。
【0061】
いくつかの実施形態では、少なくとも上記係合移動において、取出部材15は、位置決めマトリクスM1の行(又は列)に対して操作可能に整列されるように構成され、これにより、図10に示すように、把持ループ29が、把持ループ29に挿入された容器100のそれぞれの行を少なくとも部分的に収容する。
【0062】
また、装置10は、少なくとも1つのイオン化デバイス19を備え、少なくとも1つのイオン化デバイス19は、取り出された容器100のグループが持ち上げられた状態にあるときに、取り出された容器100の近傍及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の近傍に延在する経路に沿って、取り出された容器及び/又は容器保持トレイ200に対して相対移動可能に構成されており、これにより、周囲空間をイオン化し、持ち上げられた状態の容器100及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の表面に存在する静電気を中和するよう構成されている。
【0063】
図1図9に示すいくつかの実施形態では、取出部材15は、把持ループ29内に保持された容器100の整列グループの少なくとも一部を取り出して、これを容器保持トレイ200のカラー212から完全に取り出された持ち上げられた状態にし、これにより、取り出された容器100と容器保持トレイ200との間に自由な間隙(free interspace)18を作り出すよう構成されている。
【0064】
少なくとも1つのイオン化デバイス19は、間隙18内に少なくとも部分的に延在する経路に沿って、持ち上げられた状態の容器100に対して及び/又は容器保持トレイ200に対して相対移動可能に構成されている。
【0065】
図15に示す他の実施形態では、取出部材15は、把持ループ29内に保持された容器100の整列グループの少なくとも一部を取り出して、これらを容器保持トレイ200のカラー212から少なくとも部分的に取り出された持ち上げられた状態にするように構成される。この状態において、容器100は、カラー212のそれぞれのチャネル211の内側に少なくとも部分的にとどまることができるが、容器の少なくとも一部は、カラー212の外側に露出されて、少なくとも1つのイオン化デバイス19の作用によって中和されることが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、取出部材15の各把持ループ29は、位置決めマトリクスM1に対応して配置される容器100のための保持座部17のアレイを備え、各保持座部17は、それぞれの容器100を支持するような形状を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、取出部材15は横断方向支持部24を有し、横断方向支持部24から、横断方向支持部24に略直交する方向に、一方側においてアーム16が枝分かれし、反対側において把持部分又はグリップ(25)が延在し、この把持部分に関して、取出部材15を、例えば自動化された、場合によってはロボット化された移動デバイスによって操作することができ、これにより、少なくとも、容器100に係合する第1の移動と、容器100を持ち上げる第2の移動と、を行うことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、各把持ループ29は、2つの隣接するアーム16の間に画定され、略U字形状を有することができる。
【0069】
各把持ループ29の幅、即ち隣接するアーム16間の距離は、保持座部17内への容器の挿入を可能にするために、容器100の側壁110の外径よりも大きい。また、把持ループ29の幾何学的形状は、取り出された容器100を既定の固定位置に維持することができるようなものであり、後続のネスト200内への容器の再挿入(図5)を容易にするようなものであることに留意されたい。これは、図4に示す状態に従って取出部材15によって容器100をネスト200から完全に取り出すことが意図される場合に特に有用である。
【0070】
いくつかの実施形態では、少なくとも前記第1の係合移動において、取出部材15は、位置決めマトリクスM1の行に対して操作可能に整列され、これにより、保持座部17を備える把持ループ29が容器100の行と整列され、ここで、容器100は、載置状態で適切に配置されており、その一部へのアクセスが可能となっていることでそれぞれの容器100のカラー111を支持する形状のそれぞれの保持座部17内に挿入されるよう構成されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、保持座部17は、共通の保持平面P3上に位置し、少なくとも前記第1の係合移動において、保持平面P3は、好ましくは容器保持トレイ又はネスト200の上側平面P2に平行である。
【0072】
また、保持平面P3は、好ましくは、上側平面P2と容器100の支持縁又はカラー111が横たわる平面とに平行であり、かつ、これらの間に介在し、当該横たわる平面は、少なくとも第2の持ち上げ移動において保持平面P3と一致する。
【0073】
代替的な実施形態では、取出部材15は、保持平面P3が上側平面P2に対して傾斜しかつ上側平面P2と交差するように、傾斜した向きで配置されるので、上記の移動を行うことができる。
【0074】
図8図9に示すいくつかの実施形態では、取出部材15は、容器100の整列グループを持ち上げられた状態にするための持ち上げ移動において、保持平面P3と容器保持トレイ又はネスト200の上側平面P2との間の高さHを画定し、これにより、容器100が容器保持トレイ又はネスト200から完全に取り出され、少なくとも1つのイオン化デバイス19を受け入れるのに十分な間隙18が画定されるようにする。
【0075】
容器100が容器保持トレイ200からほぼ完全に取り出された状態の図15に示すさらなる実施形態では、取出部材15は、容器100の整列グループを持ち上げられた状態にするための持ち上げ移動において、保持平面P3と容器保持トレイ又はネスト200の上側平面P2との間の高さKを画定し、このとき、容器保持トレイ又はネスト200のそれぞれのチャネル211の内側に各容器の一部を残して容器100が容器保持トレイ又はネスト200からほぼ完全に取り出されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、各アーム16はフレア状の係合端26を有し、これにより、把持ループ29に対して、載置状態にある容器100のアライメント及びセンタリングが容易となる。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、前記載置状態にある容器100は、遊びを有する機械的連結でアーム16によって保持される。
【0077】
図13に示すいくつかの実施形態では、各保持座部17はそれぞれの支持部分32を備え、支持部分32は同じ把持ループ29の対向側から互いに向き合っており、支持部分32は、それぞれのアーム16上に凹部として形成され、これらにそれぞれの容器100が載置されて受け入れられる。
【0078】
各支持部分32は、円のセグメントの形状を有することができ、あるいは、多角形、例えば八角形、六角形、正方形又は他の多角形の一部の形状を有することができ、あるいは、曲面によって範囲を定められた表面によって画定することができる。
【0079】
図11及び図12に示すいくつかの実施形態では、支持部分32は、それぞれの容器100、特にその支持縁又はカラー111との係合を容易にするために、フレア状のプロファイルを有することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、装置10は、取出部材15が第1の係合移動をする前に容器100の整列グループと相互作用するための底面又は載置面13が設けられた下側支持ベース11を含む。いくつかの実施形態では、載置面13は容器100の整列グループを載置状態で受けるように構成される。
【0081】
いくつかの実施形態では、装置10はまた、下側支持ベース11に対して所定の距離Lで配置された支持部材14を含み、支持部材14は、容器保持トレイ200をその上に載置させて維持するように構成される。所定の距離Lは、容器100の整列グループが上記の状態で載置面13に載置され、容器保持トレイ200が支持部材14に載置されているときに、容器100のグループが容器保持トレイ200から持ち上げられるように選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、載置面13は不図示の平坦面であってもよく、あるいは、有利には、容器100の整列グループを載置させて受け入れるのに適した形状の表面とすることができる。
【0083】
図1図9に示すいくつかの実施形態では、載置面13は、位置決めマトリクスM1に対応する支持マトリクスM2に従って配置された複数のキャビティ12を有する形状である。
【0084】
支持マトリクスM2は、例えば、下側支持ベース11内のキャビティ12の行及び列を有するパターンに従う配置によって定められる。特に、支持マトリクスM2のキャビティ12の行及び列の数は、それぞれの容器保持トレイ200内に存在する容器100の位置決めマトリクスM1の行及び列の数に等しい。
【0085】
各キャビティ12は、容器100のカラー111の反対側にあるそれぞれの容器100の基端部112の形状と実質的に一致する形状を有する。
【0086】
各キャビティ12には、底壁30と、底壁30を載置面13に接続する側面35と、が設けられている。各キャビティ12は、容器保持トレイ200内に存在する容器100の整列グループのそれぞれの容器100を載置状態で受け入れるように構成される。各キャビティ12は、容器100が底壁30上に公平に載置されるように、あるいは、底壁30と接触していない場合には側壁35上に載置されるように適合されることに留意されたい。
【0087】
図2及び図8図9に示すいくつかの実施形態では、各キャビティ12は、載置面13を画定する上側平面P1からの深さDにて底壁30を有する。この深さDは、支持部材14と下側支持ベース11との間の所定の距離Lと調整され、つまり、上記したように容器100のグループが載置状態でキャビティ12内に受け入れられ、容器保持トレイ又はネスト200が支持部材14によって周縁にて支持されたときに、容器100のカラー111を平面P2に対して持ち上げるための追加移動分(extra travel)Pを定めるよう調整され、これにより、各容器100をそれぞれの保持座部17内に挿入するための取出部材15による各容器100の一部へのアクセスが可能となる。
【0088】
いくつかの実施形態では、各キャビティ12は、底壁30で終端する、フレア状のプロファイルを有する止まり穴によって画定することができ、この止まり穴は、容器100が容器保持トレイ又はネスト200と鉛直方向に完全に整列していない場合であっても容器100の進入を容易にするための取り込み又はセンタリング面として主に機能する。
【0089】
いくつかの実施形態では、キャビティ12及び底壁30は略円形の形状を有し、1つのキャビティ12の直径は、上述のように容器100の進入を容易にするのに必要なフレア状を定めるようそれぞれの底壁30の直径よりも大きい。換言すれば、各キャビティ12は、先端がわずかに切断された錐体の形状の断面を有してもよい。
【0090】
不図示の考え得る実施形態では、各キャビティ12は、底壁30で終端するフレア状のプロファイルを有する止まり穴が設けられた突出部分によって画定することができる。
【0091】
キャビティ12、特に底壁30は、容器100を完全に支持するような深さを有していなくても、持ち上げ追加移動分Pに対応する量だけ容器100が容器保持トレイ又はネスト200から持ち上げられることを可能にするのに必要な支持を保証するよう、構成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、支持部材14は、下側支持ベース11から離れる方向及び下側支持ベース11に近づく方向に移動可能に構成されているか、あるいは、下側支持ベース11は、支持部材14から離れる方向及び支持部材14に近づく方向に移動可能に構成されているか、あるいは、これら両方が、互いに離れる方向及び近づく方向に相互に移動可能に構成されている。
【0093】
考え得る実施形態では、支持部材14は、下側支持ベース11から固定距離あけて位置決めされてもよい。このようにするために、支持部材14を下側支持ベース11に安定して取り付けてもよい。
【0094】
支持部材14及び下側支持ベース11は、都度ごと、下側支持ベース11から所定の距離Lに位置決めすることができ、これにより、かなり異なる高さを有する容器100であっても下側支持ベース11に載置させることが可能となる。
【0095】
いくつかの実施形態では、支持部材14は、容器保持トレイ又はネスト200をその周縁で支持するためにフレーム20のような形状を有し、各容器100をその下のキャビティ12に挿入するよう容器100の整列グループを通過させるための中央開口部21を画定する。
【0096】
フレーム20は、中央開口部21の範囲を定める外周連結縁22を備え、外周連結縁22は、挿入チャネル211のない容器保持トレイ又はネスト200の外周帯部213と一致する形状を有する。外周連結縁22は、容器保持トレイ又はネスト200の外周帯部213をその上に載置させて受けて、これを安定位置で支持された状態に維持するように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、支持部材14は、下側支持ベース11のキャビティ12が開口部21内に入るように、下側支持ベース11と鉛直方向に整列される。
【0098】
いくつかの実施形態では、容器保持トレイ又はネスト200は、これらが支持しなければならない容器100のタイプに応じて異なる形状及び容量を有することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、容器保持トレイ又はネスト200は、複数の挿入チャネル211(図4)が設けられた平坦支持部210を含み、各挿入チャネル211は、例えば対応する容器100を収容して、これを支持するためにこれと協働するように構成されている。
【0100】
チャネル211は、全体又は一部が、位置決めマトリクスM1に従って前記平坦支持部210上にわたって形成され、例えば、これらは、例えば各チャネル211の公称サイズの半分に対応するピッチで、ある行とこれと隣接する行とで交互にオフセットされた行の上に一定間隔で規則的に分布されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、平坦支持部210は、容器100の振動を制限するように構成された、平坦支持部210に対して鉛直方向に突出するカラー212(図9)を備え、このカラーは、容器保持トレイ又はネスト200の移動中に容器100を部分的に包囲する。各カラー212は、その上端の1つに対応して、各チャネル211が設けられている。この場合、チャネル211は全て、平坦支持部210に対して平行かつ距離をおいた共通の横たわる平面上に配置されてもよい。
【0102】
チャネル211は、平坦支持部210の中央ゾーンに配置されてもよく、したがって、チャネル211がない平坦支持部210の外周帯部213を画定する。外周帯部213は、例えば、容器保持トレイ又はネスト200を支持し、把持し、取り扱い、及び移動させるために使用することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、少なくとも上記載置状態において、容器保持トレイ若しくはネスト200と、支持部材14と、下側支持ベース11とは鉛直方向に整列される。
【0104】
考え得る実施形態(不図示)では、装置10は、自動化された、有利にはロボット式であってもよい移動デバイスであって、容器保持トレイ又はネスト200を装置10内で移動させて、特に容器保持トレイ又はネスト200を支持部材14に対応した位置に配置して、容器100の載置状態を定めるのに適した移動デバイスを備えてもよい。
【0105】
考え得る実施形態では、容器100は、数ミリリットルの容量を有する医薬品用の小さなバイアル、又はシリンジ、又はcarpules(登録商標)から、流体製品、特に液体又は固体及び粉末製品を含有することができる、1リットルを超える容量を有するより大きな容器まで、異なる形状及びサイズを有することができる。
【0106】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、非限定的な例として、例えば図11図12に示す容器100のタイプを参照し、この容器100は小さい容量及び細長い形状を有するシリンジとして構成される。しかしながら、容易に理解できるように、本明細書に記載される実施形態は、異なるサイズ、形状及び特性の容器100にも関連することができ、したがって、トレイ又はネスト200の形状は、異なるサイズ、幾何学的形状及び特性を有することができる。
【0107】
容器100は、1つ又は複数の物質を収容するのに適したチャンバ110aを内側に画定し、そして、上方に開口してチャンバ110aの充填を可能にする側壁又はスリーブ110を備える(図12)。
【0108】
容器100は、チャネル211の周囲に設けられたゾーンに対応して容器保持トレイ又はネスト200に載置される形状を有するカラー111を備え、したがって、容器100は、容器保持トレイ又はネスト200から鉛直方向に吊り下げられた安定した状態で位置決めされる。
【0109】
好ましくは、容器100は、横断方向サイズ、即ち側壁110の外径が、チャネル211のサイズに相関する。特に、側壁110は、チャネル211内に受け入れられるように、その直径が、チャネル211の直径よりも小さく、さらに、存在する場合にはカラー212の直径よりも小さく、但し、容器保持トレイ又はネスト200の移動中に容器100が振動するのを防止するために、チャネル211のサイズに近い直径である。カラー111の直径は、遊びを有する機械的結合で容器100を容器保持トレイ又はネスト200に受け入れて保持するために、側壁110の直径よりもわずかに大きいことが好ましい。
【0110】
いくつかの実施形態では、容器100は、カラー111とは反対の側に配置され、下側支持ベース11の載置面13に載置されように構成された基端部112を含むことができる。特に、各容器100の端部112は、下側支持ベース11の側面35に置かれるまで、下側支持ベース11のそれぞれのキャビティ12の中に入る。キャビティ12のサイズ及び形状は、容器100の基端部112の形状と一致することは明らかである。
【0111】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのイオン化デバイス19は、曲線軌道又は直線軌道に沿って、移動平面上で移動可能であるように構成される。
【0112】
考え得る実施形態では、少なくとも1つのイオン化デバイス19は、円周の弧、放物線、楕円の弧、又は間隙18内のポイントの軌道によって一般に画定される任意の他の曲線を含むグループから選択される、直線又は曲線によって画定される経路に沿って移動可能である。いずれの場合でも、有利には、少なくとも1つのイオン化デバイス19の移動を画定する経路は、容器100の下方であって、容器保持トレイ又はネスト200を一時的に支持する支持部材14の上方の領域の全体又は略全体を通過する。
【0113】
図1図9に示すいくつかの実施形態では、少なくとも2つのイオン化デバイス19は、鉛直方向にオフセットされて配置され、かつ、各々、間隙18内において、持ち上げられた状態の容器100のグループに向かって及び支持部材14によって静的に支持された容器保持トレイ若しくはネスト200に向かって配置される。
【0114】
いくつかの実施形態では、各イオン化デバイス19はエミッタ28を備え、エミッタ28は、容器100の表面及び容器保持トレイ若しくはネスト200に存在する電荷を中和するために、正及び負のイオンを生成及び放出するように構成される。特に、容器100に最も近いイオン化デバイス19のエミッタ28は容器100に面し、容器保持トレイ又はネスト200を一時的に支持する支持部材14に最も近いイオン化デバイス19のエミッタ28は容器保持トレイ又はネスト200に面する。
【0115】
図16に示すいくつかの実施形態では、装置10はマニピュレータ34を備え、マニピュレータ34は、少なくとも1つのイオン化デバイス19を保持し、これを、持ち上げられた状態の容器100及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の近傍に延在する経路に沿って移動させるように構成される。
【0116】
マニピュレータ34は、容器保持トレイ若しくはネスト200の保持平面P3及び/又は平面P2に対して、少なくとも2つの自由度で、例えば水平方向及び鉛直方向に少なくとも1つのイオン化デバイス19を移動させるように構成され、これにより、イオン化デバイス19が容器100の下方及び上方の領域の両方と、さらに、容器保持トレイ若しくはネスト200の上方及び下方の領域の両方を通過することを可能にする。いくつかの実施形態では、マニピュレータ34は第3の自由度を備えるように構成され、これにより、少なくとも1つのイオン化デバイス19を基準軸の周りで回転させ、例えば図14に示すように適切に逆さまにするように構成される。
【0117】
いくつかの実施形態では、装置10は少なくとも1つの他のイオン化デバイス27を備え、当該他のイオン化デバイス27は、取り出された容器100が持ち上げられた状態にあるときに、持ち上げられた状態にある容器に対して及び/又は容器保持トレイ200に対して、容器保持トレイ200と下側支持ベース11との間の別の自由な間隙23内に延在する経路に沿って相対移動可能に構成される。
【0118】
図14に例示するように1つのイオン化デバイス19のみで十分であることから、複数のイオン化デバイス19,27の存在は厳密には必要ではないが、複数のイオン化デバイス19,27の存在は、静電荷の中和時間を減少させることができ、したがって、装置10の全体的な生産性を向上することができる点で有利である。さらに、図14図15に示すように、イオン化デバイス19の移動中、電荷を適切な方向に向けるために、エミッタ28を、場合によっては電荷を中和するための多数のパスも含む正しい向きにする必要がある。
【0119】
いくつかの実施形態では、容器100の表面及び/又は容器100の整列グループが配置された容器保持トレイ若しくはネスト200の表面に存在する静電気を中和するための方法が提供され、各容器は、例えば、チャネル211が設けられたカラーとして構成される座部212に収容され、容器100の整列グループは位置決めマトリクスM1に従ってカラー212を占有する。本方法は、以下のステップを含む。
・ 容器保持トレイ又はネスト200によって支持されている容器100の整列グループの少なくとも一部を、容器保持トレイ又はネスト200に対して部分的に持ち上げて、部分的に持ち上げられた容器100の各々の把持部分へのアクセスを可能にするステップ。
・ 取出部材15を部分的に持ち上げられた容器100の間に挿入し、各容器100の把持部分と係合させて、容器100が取出部材15によって保持されるようにするステップ。
・ 取出部材15によって保持された容器100を容器保持トレイ又はネスト200から取り出すステップ。
・ 取出部材15によって取り出された容器によってそれまで占有されていた容器保持トレイ200の座部212が少なくとも部分的に空くように、取出部材15によって取り出された容器100が定位置に静的に維持される状態である持ち上げられた状態に達するステップ。
・ 上記持ち上げられた状態の容器100に対する及び/又は容器保持トレイ200に対する、持ち上げられた状態の容器100の近傍及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の近傍に延在する経路に沿ったイオン化デバイス19の相対移動を操作することによって、持ち上げられた状態の容器100及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の表面に存在する静電気を中和することで、少なくとも1つのイオン化デバイス19を用いて、持ち上げられた状態の容器100及び/又は容器保持トレイ若しくはネスト200の表面に存在する静電気を中和するステップ。
【0120】
次に、図1図7を参照して、図1の装置の機能の考え得る動作シーケンスを説明する。
【0121】
計量作業の前に容器100とそれぞれの容器保持トレイ又はネスト200とに存在する静電荷の中和が必要とされる場合、容器100の整列グループを一時的に支持する容器保持トレイ又はネスト200が、例えば、自動化された、有利にはロボット化された移動デバイスを用いて、支持の作動位置(図1)から、容器保持トレイ又はネスト200が支持部材14上に静的に載置されるインアクティブ又は載置位置(図2)まで、鉛直方向に移動される。
【0122】
容器保持トレイ又はネスト200が支持部材14によって一時的に支持されるインアクティブ位置にあり、同時に、容器100がそれぞれのキャビティ12に載置されている時(特に、その側面35及び/又はその底壁30によって支持されている時)に、容器100は、結果的に、容器保持トレイ又はネスト200の平面P2と平行であるがカラー212の上側ベース表面を通る平面に対して、上記した持ち上がりオーバーランPと等しい高さの分、持ち上げられ、これにより、取出部材15の保持座部17への挿入のための容器100へのアクセスが可能となる。
【0123】
同時に、例えば、下側支持ベース11、支持部材14及び容器保持トレイ若しくはネスト200に対して横の位置に配置されている取出部材15は、予め把持され得るよう配された容器100の位置決めマトリクスM1の行又は列と位置合わせされるか又は整列される(図2)。
【0124】
続いて、取出部材15は、容器100を保持座部17内に係合させるための第1の移動を実行して容器100の行に近づくように移動し、当該容器100の行の間にアーム16を徐々に位置付ける。このステップでは、各容器100のカラー111が、取出部材15の保持座部17に対応して位置付けられる(図3)。
【0125】
容器100の支持縁又はカラー111と取出部材15の保持座部17とが対応付けられると、容器100が保持座部17によって実際に保持され、したがって、取出部材15は、鉛直方向に、第1の移動に直交する第2の移動を行い、容器100を容器保持トレイ200から完全に持ち上げてこれらを持ち上げられた位置に位置付けて、容器100と容器保持トレイ200との間の自由な間隙18を画定する(図4)。
【0126】
間隙18が画定されると、イオン化デバイス19及び場合によっては他のイオン化デバイス27が、曲線又は直線セグメントによって定められる経路に沿って移動し、容器100の下方の領域と、容器保持トレイ又はネスト200を一時的に支持する支持部材14の上方とおそらく下方との領域と、の全体又は略全体を通過する(図4)。特に、電荷の完全な中和を保証するために、イオン化デバイス19及び場合によっては他のイオン化デバイス27が上記の領域を1回だけ通過することで十分である場合がある。この場合、イオン化デバイス19,27の移動速度は、電荷の中和を行うのに十分な時間を有するよう、よりゆっくり移動するように適切に設定されなければならない。
【0127】
静電荷を中和するステップが完了すると、取出部材15は、上記の第2の移動と同様であるが反対方向の第3の移動を行い、これにより、依然として支持部材14に一時的に載置されている容器保持トレイ又はネスト200内の容器100を再位置決めする(図5)。したがって、このステップでは、容器100の基端部112がそれぞれのキャビティ12内に再挿入される。
【0128】
続いて、取出部材15が、上記の第1の移動と反対の移動で横の位置に戻され(図6)、そして、容器保持トレイ又はネスト200が、後続の作業に進むためにインアクティブ位置から作動又は支持位置まで鉛直方向に持ち上げられる(図7)。
【0129】
図15に示す実施形態では、図1の装置の機能の別の考え得る動作シーケンスが記載される。
【0130】
特に、この場合、取出部材15は、鉛直方向に、第1の移動に直交する第2の移動を実行すると、容器100を容器保持トレイ200からほぼ完全に持ち上げて、各容器の端部、例えば基端部112が容器保持トレイ又はネスト200のそれぞれのチャネル211の内側に残る位置である持ち上げられた位置に、容器100を配置する。続いて、少なくとも1つのイオン化デバイス19又は1つ以上のイオン化デバイス19,27が、保持用把持部15によって持ち上げられた位置に保持された容器100の上方の領域と、支持部材14に一時的に載置されて配置された容器保持トレイ又はネスト200の下方の領域とを通過する(図15)。
【0131】
図17及び図18を参照すると、本発明による静電気を中和するための装置10の1つの変形例が示されており、この変形例は、参照符号300が付された容器保持トレイ又はネストの別の実施形態を備える。
【0132】
容器保持トレイ300は、図17図18に示すタイプの容器100’を受け入れるように形作られ及び構成され、当該容器はボトルの典型的な形状を有するボトルとして構成される。
【0133】
容器100’には、1つ又は複数の物質を含むのに適しかつ充填できるよう上方に開口するチャンバ110a’の内側を画定する側壁又はスリーブ110’が設けられている。
【0134】
容器100’には、取出部材15上に形成された把持ループ29の保持座部17内に載置されるように形作られたカラー111’が設けられている。この場合、容器100がシリンジとして構成される上記の図1図16を参照して示した実施形態とは異なり、容器100’(ボトル)は、図17及び図18に明確に示されるように、容器保持トレイ又はネスト300においてそのカラー111’を介して吊り下げられて維持されるのではなく、底部が載置されて維持される。また、容器100’は、カラー111’とは反対の側に配置された基端部112’を含む。
【0135】
また、これらの実施形態では、予め物質で充填され予め配置された容器100’は、上で定義したものと同じ位置決めマトリクスM1に従って容器保持トレイ300内に容器100’の整列グループを形成する。
【0136】
各容器100’は、容器保持トレイ300に設けられたそれぞれの座部312に収容される。座部312は、容器100’が配置される一種の貫通チャネルとして定義される。
【0137】
各座部312は支持縁314を備え、支持縁314は各容器100’に設けられた基端部112’を載置させて受けるように構成されている。
【0138】
好ましくは、容器100’は、横断方向サイズ、即ち側壁110’の外径が、座部312のサイズに相関する。
【0139】
各座部312の支持縁314は少なくとも1つの突出部分によって画定され、当該突出部分は、容器100’をそれぞれの支持ゾーン内において支持するために容器100’に向かって突出してその基端部に係合するよう構成され、容器100’を適切に支持することを保証するために所定の円周の弧の分だけ互いに離隔している。いくつかの例示的な実施形態では、支持縁314は、2つ又は3つの突出部分によって画定することができ、当該突出部分は、それぞれ、例えば、約180°及び約120°の角度によって範囲を定められた円周の弧の分だけ互いに離隔してもよい。
【0140】
したがって、支持縁314は、下方からアクセス可能な基端部112’を維持するように孔315を画定するように構成され、これは、以下に説明するように機能の動作シーケンスで機能する。
【0141】
図18を参照すると、取出部材15が第1の係合移動を行う前に容器100の整列グループと相互作用するための載置面13が下側支持ベース11に設けられているのを見ることができる。
【0142】
この変形例によれば、載置面13には、位置決めマトリクスM1に対応する上で定義された支持マトリクスM2に従って配置された複数の細長いペグ12’が設けられている。細長いペグ12’の機能は前述のキャビティ12の機能と完全に類似していることに留意されたい。
【0143】
使用中、下側支持ベース11と容器保持トレイ300との間の相対移動により、各細長いペグ12’がそれぞれの孔315を貫通して基端部112’に上方に突き入れられて、容器100’がそれぞれの座部312から部分的に取り出される。この状態で、容器100’が図18の点線の位置に取り出され、この位置において容器100’はそれぞれの座部312に常に載置された状態で維持され、座部312内には容器100’を正しく保持することを保証するのに十分な延長を有する容器の一部が残る。
【0144】
続いて、部分的に取り出された容器100’が図中に概略的に示す取出部材15によってピックアップされ、カラー111’が把持ループ29の保持座部17内に進入する。この時点で、上述の静電気を中和するための方法の全てのステップが実行され、これは、図17及び図18を参照して本明細書に記載される上記実施形態にも適用することができ、これは、キャビティ12の代わりに細長いペグ12’が存在することによる当業者に明らかな最小限の改編で適用することができる。
【0145】
不図示の別の実施形態では、この変形例は下側支持ベース11がなくてもよく、何故なら、図18から分かるように、容器100’がそれぞれの座部312に収容されている場合であっても取出部材15が容器100’のカラー111’にアクセス可能であり、取出部材15は容器100’が座部から取り出されていなくてもカラー111’に係合できるからである。
【0146】
以上説明した容器及び/又は容器保持トレイの表面上に存在する静電気を中和するための装置10及び方法に、本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、変更及び/又は部品若しくはステップの追加を行うことができることは明らかである。
【0147】
また、いくつかの具体例を参照して本発明を説明したが、当業者は、特許請求の範囲に記載される特徴を有し、したがってすべてが特許請求の範囲に規定される保護の分野内に入る、容器及び/又は容器保持トレイの表面上に存在する静電気を中和するための多くの他の同等の形態の装置及び方法を達成することができるであろうことは明らかである。
【0148】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、読解を容易にする目的のためだけ与えられており、これらは、特定の請求項において記載されている保護の分野を限定するものとみなしてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18