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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】組立式パネルタンク
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/10 20060101AFI20241021BHJP
   B65D 90/04 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
B65D88/10 A
B65D90/04 B
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022527068
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 SG2020050677
(87)【国際公開番号】W WO2021101448
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10201910976U
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】PI2019007789
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(31)【優先権主張番号】201911414932.X
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201922481683.8
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011070
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522182091
【氏名又は名称】ポリ-ライン ピーティーイー エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】POLY-LINE PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】ロー,チン キアット
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02427239(GB,A)
【文献】特表2008-518849(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1863865(KR,B1)
【文献】特開昭62-158692(JP,A)
【文献】特開平11-035090(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1175288(KR,B1)
【文献】特開2000-213073(JP,A)
【文献】実公昭49-037504(JP,Y1)
【文献】特開2019-157181(JP,A)
【文献】特開2011-143684(JP,A)
【文献】特開2001-173033(JP,A)
【文献】特開昭62-037470(JP,A)
【文献】特表2012-518579(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0450085(KR,Y1)
【文献】実開昭48-077351(JP,U)
【文献】実開平03-011697(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/10
B65D 90/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立式パネルタンクであって、
前記組立式パネルタンクを形成する際に他の側壁と連結される少なくとも1つの側壁を備え、
前記少なくとも1つの側壁は、第1のユニットパネルと、前記第1のユニットパネルに隣接する第2のユニットパネルとを備え、
前記第1のユニットパネルは、
前記第1のユニットパネルの縁部に、該第1のユニットパネルを支持するための第1の拡張部であって、前記組立式パネルタンクの内側から外側に向かって折り曲げられて形成された第1のフランジを有する第1の拡張部と、
前記第1のユニットパネルにおける、前記組立式パネルタンクの前記内側を構成する第1の表面に取り付けられ、前記第1のユニットパネルの腐食を防止する、熱可塑性材料で形成された第1のライニングと、とを有し、
前記第2のユニットパネルは、
前記第2のユニットパネルの縁部に、該第2のユニットパネルを支持するための第2の拡張部であって、前記組立式パネルタンクの前記内側から前記外側に向かって折り曲げられて形成された第2のフランジを有する第2の拡張部と、
前記第2のユニットパネルにおける、前記組立式パネルタンクの前記内側を構成する第2の表面に取り付けられ、前記第2のユニットパネルの腐食を防止する、熱可塑性材料で形成された第2のライニングと、を有し、
前記第1のユニットパネル及び前記第2のユニットパネルは、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジにおいて、少なくとも1つの締結具によって連続して連結されており、
前記組立式パネルタンクの前記内側における、前記連結された前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルとの継ぎ目に設けられ、かつ、熱可塑性材料を含む連結材であって、前記第1のユニットパネルの前記第1のライニングと、前記第2のユニットパネルの前記第2のライニングと間の空隙を架橋して、前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルの前記内側が、固体、液体又は気体を透過しない連続した表面を形成するよう設けられた連結材を備える、
組立式パネルタンク。
【請求項2】
請求項1に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1のライニングは、前記第1のユニットパネルの前記第1の拡張部における前記第1の表面に連続する第3の表面に、更に取り付けられ、
前記第2のライニングは、前記第2のユニットパネルの前記第2の拡張部における前記第2の表面に連続する第4の表面であって、前記第1の拡張部の前記第3の表面に対向する第4の表面に、更に取り付けられている、
組立式パネルタンク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記連結材は、機械的溶接、熱溶接、電磁溶接および化学溶接からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性溶接により形成される、
組立式パネルタンク。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記連結材は、熱溶接または溶媒溶接により形成される、
組立式パネルタンク。
【請求項5】
請求項1に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記少なくとも1つのライニングは、前記少なくとも1つのライニングを前記第1のユニットパネルに確実に固定するための接着層を含む組立式パネルタンク。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記少なくとも1つのライニングは、第1の色の第1の層と、第2の色の第2の層とを含む組立式パネルタンク。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1のユニットパネルの外側は、実質的に反射性を有するように処理されている組立式パネルタンク。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1のユニットパネルは、不浸透性を有し、耐食性を有し及び/又は構造的に堅牢な材料から形成されている組立式パネルタンク。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1のユニットパネル、前記第2のユニットパネル、又はその両方に接続され、前記組立式パネルタンクの構造的完全性を維持するフレームワークを更に備える組立式パネルタンク。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記組立式パネルタンクの運転状況を監視するための少なくとも1つのセンサ、通信モジュール又はこれらの組み合わせを更に備える組立式パネルタンク。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記組立式パネルタンクから排液するための排液孔を有する排液パネルを更に備える組立式パネルタンク。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
隣接するユニットパネルのコーナを連結するように構成されたクロスコネクタを更に備える組立式パネルタンク。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
底部拡張部を有する底部であって、前記底部と前記少なくとも1つの側壁とが前記底部拡張部において直接連結されている底部と、
前記底部拡張部と前記少なくとも1つの側壁の間の底部継ぎ目に適用される底部連結材とを更に備える組立式パネルタンク。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1の拡張部と前記第2の拡張部とを一緒に固定する固定手段を更に備える組立式パネルタンク。
【請求項15】
請求項14に記載の組立式パネルタンクにおいて、
第1の前記固定手段と第2の前記固定手段とは、それぞれ第1のコーティングと第2のコーティングとを含み、
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングは、漏れを回避するためのライニングと適合する組立式パネルタンク。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクにおいて、
前記第1の拡張部と前記第2の拡張部とを連結するための固定具を更に備える組立式パネルタンク。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の組立式パネルタンクを構成するためのプレハブ式ユニットパネルにおいて、
拡張部を有する構造パネルと、
前記構造パネルの内側に事前形成され、前記構造パネルを覆うライニングシートとを備えるプレハブ式ユニットパネル。
【請求項18】
請求項17に記載のプレハブ式ユニットパネルにおいて、
前記ライニングシートは、熱可塑性材料を含むプレハブ式ユニットパネル。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載のプレハブ式ユニットパネルにおいて、
前記ライニングシートは、第1の色の第1の層と第2の色の第2の層とを含むプレハブ式ユニットパネル。
【請求項20】
請求項17から請求項19のいずれか一項に記載のプレハブ式ユニットパネルにおいて、
前記拡張部は、固定手段を受け入れるための係合孔を含むプレハブ式ユニットパネル。
【請求項21】
請求項20のいずれか一項に記載のプレハブ式ユニットパネルにおいて、
前記ライニングシートは、前記係合孔に対応する貫通孔を有するプレハブ式ユニットパネル。
【請求項22】
組立式パネルタンクの側壁を製造する方法であって、
第1のユニットパネルであって、
前記第1のユニットパネルの縁部に、該第1のユニットパネルを支持するための第1の拡張部であって、前記組立式パネルタンクの内側から外側に向かって折り曲げられて形成された第1のフランジを有する第1の拡張部と、
前記第1のユニットパネルにおいて、前記組立式パネルタンクの前記内側を構成する第1の表面に取り付けられ、前記第1のユニットパネルの腐食を防止する、熱可塑性材料で形成された第1のライニングと、を有する、第1のユニットパネルを準備することと、
第2のユニットパネルであって、
前記第2のユニットパネルの縁部に、該第2のユニットパネルを支持するための第2の拡張部であって、前記組立式パネルタンクの前記内側から前記外側に向かって折り曲げられて形成された第2のフランジを有する第2の拡張部と、
前記第2のユニットパネルにおいて、前記組立式パネルタンクの前記内側を構成する第2の表面に取り付けられ、前記第2のユニットパネルの腐食を防止する、熱可塑性材料で形成された第2のライニングと、を有する、第2のユニットパネルを準備することと、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジにおいて、少なくとも1つの締結具によって、前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルとを直接連結することと、
前記組立式パネルタンクの前記内側における、前記直接連結された前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルとの継ぎ目に、熱可塑性溶接プロセスにより連結材を設け、前記第1のユニットパネルの前記第1のライニングと、前記第2のユニットパネルの前記第2のライニングとの間の空隙を架橋して、前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルの前記内側が、固体、液体又は気体を透過しない連続した表面を形成すること、
とを有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記第1のライニングおよび/または前記第2のライニングの取り付けは、熱成形プロセスを含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前記熱可塑性溶接プロセスは、機械的溶接手段、熱溶接手段、電磁溶接手段、化学溶接手段又はこれらの組み合わせによって行われる方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、
前記第1の拡張部に対応する第1の部分を有する第1の構造パネルを準備することと、
前記第1の構造パネルよりも実質的に大きい第1のライニングシートを準備することと、
前記第1の構造パネルの内側に前記第1のライニングシートを取り付けることとを含み、
前記第1のライニングシートが、前記第1の構造パネルの前記第1の部分を実質的に覆うことにより、前記第1のユニットパネルを準備する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記第2の拡張部に対応する第2の部分を有する第2の構造パネルを準備することと、
前記第2の構造パネルよりも実質的に大きい第2のライニングシートを準備することと、
前記第2の構造パネルの内側に前記第2のライニングシートを取り付けることとを含み、
前記第2のライニングシートが、前記第2の構造パネルの前記第2の部分を実質的に覆うことにより、前記第2のユニットパネルを準備し、
前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に、前記第1のライニングおよび前記第2のライニングを挟むように、前記第1のユニットパネルと前記第2のユニットパネルとを連結する、方法。
【請求項27】
請求項25または請求項26に記載の方法において、
前記第1の構造パネルの外側に、温度変動を低減するための断熱層を取り付けることを更に含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記取り付けは、前記第1のライニングシートと前記第1の構造パネルとを一体の構成要素として強固に接着する熱成形プロセスを含む方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記熱成形プロセスは、真空成形プロセスを含む方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記真空成形プロセスは、
前記第1のライニングシートを前記第1の構造パネルの前記内側に位置合わせすることと、
前記第1のライニングシートを加熱して変形可能に柔軟することと、
負圧によって、前記第1のライニングシートと前記第1の構造パネルとを接着し、前記内側に前記第1のライニングを形成することとを有する方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、
前記第1のライニングシートと前記第1の構造パネルの前記内側との間に断熱層を設けることを更に含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月21日に出願された先のシンガポール特許出願番号第10201910976U号の優先権を主張する。本出願は、更に、2019年12月31日に出願された先の中国実用新案出願第201922481683.8号の優先権を主張する。本出願は、更に、2019年12月31日に出願された先の中国発明特許出願第201911414932.X号の優先権を主張する。本出願は、更に、2020年1月30日に出願された先の韓国発明特許出願番号10-2020-0011070号の優先権を主張する。本出願は、更に、2019年12月26日に出願された先のマレーシア特許出願番号第PI2019 007789号の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、主に、液体(水及び化学溶液等)、固体、ガス及び汚泥を貯蔵するための組立式パネルタンク(sectional panel tank)に関する。更に、本出願は、組立式パネルタンクの製造方法に関する。更に、本出願は、組立式パネルタンクを組み立てるためのプレハブ式ユニットパネル(prefabricated unit panel)及びプレハブ式ユニットパネルの製造方法に関する。
【0003】
現在使用されている腐食性化学物質(aggressive chemicals)及び有害廃棄物用のタンクは、工場でプレハブ化(prefabricated)され、完成品として又は現場で組み立てられる半完成部品として輸送される。しかしながら、タンクを製造する既存の技術は、時間がかかり、機械/労働集約的であり、用途が限定的である(汎用性がない)といった問題がある。
【0004】
一方で、水用の組立式パネルタンクは、これらの経済性、拡張可能性及び可搬性といった利点のため、需要が高い。しかしながら、既存の技術は、パネルを連結するエラストマガスケット又はシールの弱点のために、水密性に劣っている。このように、従来から知られている組立式パネルタンクは、パネル自体の寿命が遥かに長いにも関わらず、使用できる期間が短い。また、既知の組立式パネルタンクは、ガラス繊維、強化ポリマ、溶融亜鉛めっき及びステンレス鋼等のパネル材料の生物学的及び化学的耐性が低いという制約がある。更に、従来の組立式パネルタンクは、地震等の自然災害に耐えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本出願は、液体(水及び化学溶液等)、固体、ガス、スラリー及び/又は汚泥を確実かつ高い信頼度で貯蔵又は輸送するための、耐久性及び拡張性がより高い1つ以上の組立式パネルタンクを提供することを目的とする。換言すれば、本出願は、組立式パネルタンクの新たな目的を提供することを目的とする。更に、本出願の組立式パネルタンクは、生物学的及び化学的危険物質及び地震に耐えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様として、本出願は、組立式パネルタンク(すなわち、パネルタンク、パネル組立タンク又は密閉コンテナ)を開示する。組立式パネルタンクは、組立式パネルタンクを形成する際に互いに連結される1つ以上の側壁(すなわち、サイドウォール)を含む。側壁は、第1のユニットパネルであって、その第1の縁部に第1の拡張部を有する第1のユニットパネルと、第2のユニットパネルであって、その第2の縁部に第2の拡張部を有する第2のユニットパネルとを備える。拡張部(例えば、第1の拡張部、第2の拡張部)は、フランジとも呼ばれ、ユニットパネルの縁部でそれぞれ(例えば、約90度に)屈曲又は折り曲げられている。第1の拡張部及び第2の拡張部は、これらの接触領域においてガスケットが不要となるように、締結具(例えば、ボルト及びナット)によって連続して(contiguously)互いに連結されることが好ましい。したがって、第2のユニットパネルは、第1のユニットパネルに接続又は取り付けられ、側壁の連続面が形成される。第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルは、全体として、側壁又は組立式パネルタンクを構造的に支持する。第1のユニットパネル又は第2のユニットパネルの形状及び寸法は、様々に設計できる。幾つかの具体例では、第1又は第2のユニットパネルサイズは、1メートル(m)×1メートル(m)の典型的なサイズ及び20ミリメートル(mm)の典型的な厚さを有する。ユニットパネルの厚さは、その材料によっても異なることは、当業者にとって明らかである。例えば、ガラス繊維強化ポリマ(fiberglass reinforced polymers:FRP)からなるユニットパネルは、典型的には、5~10ミリメートル(mm)の厚さを有し、ステンレス鋼製のユニットパネル(SUS規格)は、組立式タンクの高さによって、2~4ミリメートル(mm)の厚さを有する。
【0007】
第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルは、オプションとして、不浸透性、耐食性又は耐性を有し、構造的に堅牢な材料から形成される。例えば、ユニットパネル又は組立式パネルタンクの側壁は、ホットプレス金属又は金属合金シート、例えば、ステンレス鋼(SUS304又はSUS316)、軟鋼(溶融亜鉛めっき(hot dipped galvanized:HDG)又はエポキシコーティング等)、銅、青銅、真鍮又は亜鉛めっき鋼等;ポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック;及びゴム、EPDM及びゴムとプラスチックの混合物を含む、ガラス繊維強化ポリマ(fiberglass reinforced polymers:FRP)(FRP/SUS又はHDG/SUS)又はガラス強化プラスチック(glass reinforced plastics:GRP)等の複合材から形成してもよい。プラスチック又は複合材から形成されたユニットパネルは、特に、タンク又は容器等の化学設備に適している。例えば、1m未満から200mの範囲の大きさの化学設備は、FRPユニットパネルによって構築される。更に、第1のユニットパネル及び/又は第2のユニットパネルには、機能を付加するために任意のコーティングを施してもよく、例えば、水封用の不浸透性コーティング(フルオロポリマ、エポキシ、フェノール、リン酸塩(phosphate)、PTFE及びFEP等)を施してもよく、耐水性のための撥水コーティング(シリコーン、ポリウレタン、及び亜鉛等)を施してもよく、腐食を防止するための耐食又は耐薬品性コーティング(PE、PP、PVDF、及びECTFE等)を施してもよい。特に、FRPユニットパネルには、紫外線(UV)によるダメージを防止しつつ、表面を滑らかにするために、紫外線(UV)ラミネートやゲルコーティングが施される。
【0008】
第1のユニットパネルと第2のユニットパネルは、大量生産及び規格化のために、実質的に同等又は同一の形状(例えば、正方形、長方形、六角形)、外形、寸法、構造、材料及び/又は機械的強度を有する。更に、第1のユニットパネル、第2のユニットパネル、側壁、又はこれらのいずれかの組み合わせ(セグメント、パネル、壁)の表面又は輪郭は、湾曲していても(例えば、3D幾何形状又は2D幾何形状であっても)、平坦であってもよい。例えば、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとは、実質的に90度、120度、150度より大きい角度(例えば、側壁を平坦にする場合は約180度)で位置合わせされる。
【0009】
第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルは、着脱可能に又は永続的に、互いに、連結、固定又は締結される。特に、これらは、中間材料を用いることなく、第1の拡張部及び第2の拡張部において及び/又は第1の拡張部及び第2の拡張部によって、直接的な表面接触により、連続的に、直接的に、又は直に連結され、例えば、ガスケットなしで、第1の拡張部及び第2の拡張部上の少なくとも1つの締結具によって機械的にシールされる。換言すれば、第1及び第2のユニットパネルの拡張部又はフランジは、中間材料を用いることなく互いに直接接触しており、これにより、拡張部又はフランジを強く締め付けることができる。したがって、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルは、継ぎ目連結箇所(seam joint)とも呼べる分割線を露出させている。
【0010】
第1の拡張部及び第2の拡張部は、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルをそれぞれ構造的に支持する任意の形状に適合させることができる。具体的には、第1の拡張部及び第2の拡張部は、その接触面の間に異物を介在させることなく互いに直接接触させることで強固かつ柔軟性のない状態で連結され、固定された構造で(in a rigid form)側壁を形成する。
【0011】
幾つかの具体例では、第1の拡張部は、第1のユニットパネルの縁部に1つ以上の第1のフランジ(又は取り付けのための任意の他の第1の外側又は内側のリッジ又はリム)を有する。フランジは、第1の拡張部又は第2の拡張部の一例であり、フランジは、第1のユニットパネル、第2のユニットパネル、又は他のパネルの外側又は内側のリッジであり、追加的なリム又はリップとして機能し、鉄梁、I梁又はT梁のフランジのように、強度を高める構造的支持を提供し、あるいはパイプ、蒸気シリンダ等の端部のフランジのように他の部材への取り付けに使用され、若しくは鉄道車両又は路面電車のホイールのフランジのように機能する。第1のフランジは、第1のユニットパネル又は組立式パネルタンクの内側から外側に向かって折り曲げられる。外側とは、組立式パネルタンクに内容物を充填したときに空気又は周囲に曝される側のことである。同様に、第2の拡張部は、第2のユニットパネルの縁部に1つ以上の第2のフランジ(又は取り付けのための他の第2の外側又は内側のリッジ又はリム)を有する。第2のフランジも、第2のユニットパネル又は組立式パネルタンクの内側から外側に向かって折り曲げられる。上述したように、第1のフランジと第2のフランジとは、その接触面の間に異物(ガスケット等)が介在することなく、互いに直接接触することによって強固かつ柔軟性のない状態で連結される。
【0012】
幾つかの具体例では、第1の拡張部は、第1のユニットパネルの縁部における第1のマージン(すなわち、フランジ)を含み、第2の拡張部は、第2のユニットパネルの縁部における第2のマージン(すなわち、フランジ)を含む。第1のマージン又は第2のマージンは、固定手段(例えば、締結具)を受け入れるための係合孔(すなわち、貫通穴、穿孔)を有することが好ましい。第1のマージンと第2のマージンとを互いに直接締結して(例えば、重ねて)、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとを一体にして、組立式パネルタンクの側壁を形成する。具体的には、第1のマージン及び第2のマージンは、それぞれ実質的に同様又は同一の材料及び/又は厚さを有するので、第1のマージン及び第2のマージンは、それぞれ、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルと共に形成できる。第1のマージン又は第2のマージンは、フランジとも呼ばれる。
【0013】
組立式パネルタンクは、オプションとして、組立式パネルタンクの第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルの内側の継ぎ目に適用されるポリマ溶接連結材等の連結材(jointer)(漆喰(plaster)、ペースト、又は固化プラスチック材料とも呼ばれる)を含む。すなわち、連結材は、隣接するユニットパネル間の空隙を架橋し、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルの内側又は表面が、固体、液体又は気体を透過しない連続した表面を形成するようにする。組立式タンクの内側は、不透過性材料(例えば、ポリマ)の連続的なシート又は表面によって覆われるので、この組立式パネルでは、フランジ又はユニットパネル間をガスケットで封止することを省略できる。例えば、組立式パネルタンクのユニットパネルの内側をポリマシートで覆っている場合、内側と同様又は同一のポリマを採用して、ポリマ溶接を行うことによって連結材を設けることができる。具体的には、連結材は、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルと同じ材料(SUSパネルの場合のステンレス溶接、均質PPパネルの場合のPP溶接)によって形成される。連結材を適用することによって、組立式パネルタンク内の液体又はガスが継ぎ目から漏れることが防止される。連結材は、連結材の特定の材料に応じて、任意の適切な方法で形成できる。例えば、連結材が1つ以上の熱可塑性材料を含む場合、熱可塑性溶接が採用される。したがって、連結材としては、採用される関連する材料又は方法に応じて、溶接連結材、溶接材、シート状連結材、表面連結材、ライナ連結材、ポリマ連結材又はポリマ溶接連結材、突合せ溶接連結材、ホットガス溶接連結材、電子融合溶接連結材、押出溶接連結材、赤外線溶接連結材、超音波溶接連結材、レーザ溶接連結材等とも呼ばれる。
【0014】
幾つかの具体例では、内側が熱可塑性材料を有する場合、連結材は、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルの内側の継ぎ目に適用される導電性ストリップを有する。導電性ストリップは、導電性材料(炭素粒子、カーボンナノチューブ又はグラフェン、金属粒子等)を有し、これらの導電性材料は、熱可塑性基材(HDPE等)の内部に埋め込まれ、連続した導電経路を形成する。導電性ストリップが電磁石及び電子発振器を有する誘導加熱器に曝されると、電磁石を通る高周波交流電流(AC)が導電性材料を加熱(すなわち、誘導加熱)し、更に、熱可塑性基材が溶融して、第1及び第2のユニットパネル間の継ぎ目が封止される。好ましくは、熱可塑性基材は、継ぎ目を通して浸透し、外部から目視検査される。第1及び第2のユニットパネルの外側から見て、継ぎ目において熱可塑性基材が連続経路を形成していれば、第1及び第2のユニットパネルは、確実に連結されている。
【0015】
第1のユニットパネルは、オプションとして、構造パネル(structural panel)を備え、構造パネルは、第1のユニットパネルの第1の縁部に設けられた第1の拡張部(例えば、第1のフランジ)の間に延在し、組立式パネルタンク内の荷重の圧力及び重量に抵抗する。構造パネルは、圧力(例えば、水圧)及び種々の環境条件(温度、紫外線、腐食、風、雨等)下で高い強度及び良好な耐久性を有する任意の構成要素を含むことができる。また、構造パネルは、圧力に更に抵抗するためのエンボス(構造パネルの中央にある十字エンボス等)を有してもよい。構造パネルは、約1.2メートル(約4.0フィート)又は1.0メートルの長さの辺を有する正方形の形状等、様々な形状及びサイズを有することができる。他の例として、構造パネルは、長さ2.0メートル、幅1.0メートルの長方形であってもよい。他の例として、構造パネルは、円筒状の組立式パネルタンクを組み立てるために湾曲形状を有していてもよい。
【0016】
構造パネルは、種々の構造を有することができる。例えば、構造パネルは、ステンレス鋼又はガラス繊維強化ポリマ(fiberglass reinforced polymers:FRP)からなる単層構造であってもよい。例えば、構造パネルは、ステンレス鋼で作られた内層と、ガラス繊維強化ポリマ(FRP)で作られた外層とを有していてもよい。前者の場合、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとは、金属溶接によって連結され、後者の場合には、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとは、溶剤溶接により連結される。あるいは、構造パネルは、ガラス繊維強化ポリマ(FRP)からなる内層と、ステンレス鋼からなる外層とを有していてもよい。この場合も、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとは、金属溶接により連結される。
【0017】
組立式パネルタンクは、オプションとして、側壁の内側、外側、又は両方に連結、取り付け、貼り付け、接着又は固定された1つ以上のライニング(特に、ユニットパネルの両面が貯蔵内容物に露出しているタンク自体内の仕切ユニットパネルの場合は、ユニットパネルを封入(カプセル化)するライニング)を有していてもよく、これにより、生物学的及び化学的腐食が防止され、この結果、組立式パネルタンク内に貯蔵されている流体、固体、ガス又は汚泥の漏出が防止される。ライニングは、組立式パネルタンクの内側領域を覆うのに十分な大きさを有することができる。また、ライニングは、複数のライニングシートから構成してもよい。ライニングシートは、第1のユニットパネル又は第2のユニットパネルを覆うための同一の又は様々な寸法を有することができる。例えば、1枚のライニングシートを用いて第1のユニットパネルを覆ってもよい。これに代えて、複数のライニングシートを連結して第2のユニットパネルを覆ってもよい。また、オプションとして、継目においてライニングを連結材に接続することによって、連結材を更に強化することもできる。幾つかの具体例では、ライニングは、0.5ミリメートル(mm)から6ミリメートル(mm)の範囲、例えば、好ましくは、2~4mm(すなわち、2ミリメートルから4ミリメートル)、又は好ましくは、1~5mm(すなわち、1ミリメートルから5ミリメートル)の厚さを有する。1つ又は複数のライニングは、伸長可能であり及び/又は可撓性を有する。したがって、1つ又は複数のライニングにより、組立式パネルタンクのユニットパネルが破損又は破断しても、組立式パネルタンク内に水を保持できる。液体内容物(例えば、水や有害な化学溶液)を保持する固有の能力は、組立式パネルタンクが地震、衝突及び/又は振動を経験した場合であっても、組立式パネルタンクの完全性を維持するために有益であり、望ましく及び/又は重要である。また、ユニットパネルの同一面に2層のライニングを形成した「二重封じ込め方式(double containment system)」も検討すべき点であり、このような設計では、内部からの破損があっても、組立式パネルタンク内の内容物が外部に露出するリスクがない。更に、2つのライニングの間に漏れセンサを組み込んで、このような破損を検出し、適時修理を行うようにしてもよい。漏れ検出は、特に、組立式パネルタンク内に有害化学物質や廃棄物を保管する場合に重要である。
【0018】
ライニングは、熱可塑性材料、熱硬化性材料、又はその両方を含むことができる。熱可塑性材料は、熱可塑性プラスチック及び熱可塑性エラストマを含む。熱可塑性プラスチックとしては、パーフルオロアルコキシ(PerFluoroAlkoxy:PFA)、ポリフルオロエチレン(PolyFluoroEth)、ポリエチレン(Polyethylene:PE)(例えば、低密度PE(low density PE:LDPE)、架橋PE(Cross Link PE:XLPE)、高密度PE(High Density PE:HDPE)、超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene:UHMWPE)等)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)(例えば、PPランダム(PP Random:PPR))、ポリテトラフルオロエチレン(PolyTetraFluoroEthylene:PTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(EthyleneChloroTrifFluoroEthylene:ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PolyVinyliDeneFluoride:PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated Ethylene Propylene:FEP)及びパーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes:PFA)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。熱硬化性材料としては、エチレンビニルアルコール(EthyleneVinylalcOHol:EVOH)、ポリ塩化ビニル(PolyVinylChoride:PVC)、ポリスチレン(PolyStyrene:PS)、ポリカーボネート(PolyCarbonate:PC)、ポリメチルメタクリレート(PolyMethylMethAcrylate:PMMA)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene:ABS)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。したがって、ライニングは、第1のユニットパネルが金属又は金属合金(ステンレス鋼板等)で構成されている場合には、ハイブリッド連結法によって、第1のユニットパネルがプラスチック又は複合材で構成されている場合には、プラスチック連結法によって、側壁の内側に連結又は固定される。特に、ハイブリッド連結法は、接着剤及び溶剤接着(例えば、溶銑接着)、並びに溶接(例えば、熱溶接)を含む。ハイブリッド連結法は、オプションとして、適切な機械的結合(ガスケット等)又は連結法(クリンチング又はプレス連結等)の組み合わせによって実行してもよい。オプションとして、複数の力/伸張コースを有する剥離試験及び/又は剪断試験によって、第1のユニットパネルに対するライニングの接着強度を検査又は試験してもよい。
【0019】
ライニングは、オプションとして、第1のユニットパネルの第1の拡張部(フランジ等)を含めて、内側、外側、又は両側に任意に事前形成(例えば、コーティング、成形、接着、取り付け、又は鋳造)してもよい。事前形成プロセスは、組立式パネルタンクの性質に応じて、任意の適切な方法によって実施できる。例えば、組立式パネルタンクが金属(例えば、ステンレス鋼)から形成される場合、事前形成プロセスは、機械的な締結、接着、溶接、成形、又はこれらの技術の組合せによって行われる。
【0020】
機械的締結法では、多くの場合、クランプ部品又は締結部品(ナット、ボルト、ネジ、リベット等)、若しくは統合された設計要素(スナップフィットやプレスフィット等)が使用される。更に、機械的締結は、穴の開設又はネジ山の形成等の機械的加工を必要とすることもある。機械的締結法は、簡便で、信頼度が高く、検査修理が容易である等の利点を有する。
【0021】
これに代えて、接着剤による接着法では、オプションとして、ライニングと第1のユニットパネルとの間に接着剤(例えば、感熱接着剤又は感圧接着剤)を塗布する。接着剤は、ライニング(ポリエステル、ガラス繊維、フェルト、ジオテキスタイル、繊維裏打ちライナ(fabric backed liner:FBL)等)と第1のユニットパネルとの界面で分子間力を形成する化学的及び/又は物理的反応を生じさせることによって、ライニングと第1のユニットパネルとを接着する。接着剤による接着法は、特に、ライニングと第1のユニットパネルとの間に中間層(例えば、繊維材料)を組み込む場合に、ライニングと第1のユニットパネルの両方に内部応力を均一に分布させるという大きな利点を有する。
【0022】
あるいは、コーティング法を適用して、構造パネルをライニングによってコーティングしてもよい。例えば、コーティング法では、コーティングプロセスの前に内面を洗浄及び粗面化した構造パネルに、ライニング材を溶射することによってコーティングを行う。溶射コーティング法は、金属合金、酸化物及び非酸化物セラミックス、プラスチック、サーメット、並びに金属、セラミックス及びプラスチックからなる複合構造体を含む様々な材料に適している。溶射コーティングは、典型的には2.5マイクロメートル(μm)から6.5マイクロメートル(mm)の様々な厚さのライニングを生成できる。更に、溶射コーティング法は、堆積速度が速く、処理コストが低い。更に、溶射コーティングは、高温を必要としないので、処理中に構造パネルに有害な劣化を生じさせない。
【0023】
ライニング及びユニットパネルが金属材料である場合に行うことができる溶接法は、シールド金属アーク溶接(shielded metal arc welding:SMAW)、ガスタングステンアーク溶接(gas tungsten arc welding:GTAW)、ガス金属アーク溶接(gas metal arc welding:GMAW)、サブマージドアーク溶接(submerged arc welding:SAW)、超音波溶接、レーザ溶接、摩擦攪拌溶接又は摩擦スポット溶接を含む。例えば、ライニング材は、チタンであり、パネル材は、ステンレス鋼である。具体的な溶接方法は、ライニング材及びパネル材の化学的及び物理的性質に応じて選択される。具体的な溶接方法は、ライニング材及びパネル材の化学的及び物理的性質に応じて選択される。
【0024】
成形法は、まず、熱可塑性ライニング、粒状体又はペレットを軟化状態に予備加熱し、次に、軟化したライニングをパネル上に直接塗布することによって行われる。成形法は、更に、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、回転成形、押出成形及び熱成形を含む。一方、ユニットパネルがポリマ又はポリマ複合体(ガラス繊維強化ポリマ(FRP)等)で形成されている場合、事前形成プロセスは、ポリマ連結法によって行われる。このように、事前形成プロセスは、機械的な締結、接着、溶接、溶剤接着、又はこれらの技術の任意の組み合わせによって行われる。機械的締結法及び接着剤による接着法は、上述した金属製の組立式パネルタンクの場合と概ね同様である。事前形成プロセスは、基本的にユニット(基板)パネルの材料とは無関係に、FRPや金属(例えば、ステンレス鋼)に適用できる。
【0025】
ポリマ又はポリマ材料の溶接方法は、ホットガス溶接、ホットウェッジ溶接、押出溶接、ホットプレート溶接、赤外線(IR)溶接及びレーザ溶接を含む外部加熱法、並びに内部加熱法を含む。内部加熱法は、更に、スピン溶接、撹拌溶接、振動溶接(すなわち、摩擦溶接)及び超音波溶接を含む機械的手法、並びに抵抗溶接(インプラント溶接又は電気融着とも呼ばれる)、誘導溶接、誘電体溶接及びマイクロ波溶接を含む電磁的手法を含む。更に、溶射技術は、電気的手段(プラズマ又はアーク等)又は化学的手段(燃焼炎)を含むポリマ又はポリマ材料の溶接にも適している。特に、プラズマ溶射又はプラズマコーティングは、ポリマ又はポリマ材料の薄層を溶接するために採用される。
【0026】
溶剤接着法は、ユニットパネルが熱硬化性ポリマの層を有する場合に、ユニットパネル上にライニングを事前形成するのに特に適している。具体的には、ポリマ又はポリマ材料は、非晶質(例えば、ポリ塩化ビニル(PolyVinylChoride:PVC)、アクリル(AK)及びポリスチレン(PolyStyrene:PS)、ポリカーボネート(PolyCarbonate:PC)、ポリメチルメタクリレート(PolyMethylMethAcrylate:PMMA)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene:ABS)等)である。ポリマ又はポリマ材料の表面を可塑化するために、2つのユニットパネルの界面に溶媒を塗布する。
【0027】
ライニングは、オプションとして、ライニングの片面又は両面に接着層を含む。例えば、接着層は、任意の繊維材料(フェルト、ポリエステル等)の薄い層を有する繊維裏打ちライナ(FBL)を含み、接着剤のための荒い又は粗い表面を提供する。他の例として、接着層は、複数のアンカ、表面組織、拡張部、脚部、スタッドを有する機械的固定要素の薄い均質層を含む。特に、特定の目的のために、スタッド間の空隙内に種々の充填材を埋め込むことができる。充填材が多孔質材(エアロゲル、硬質ポリウレタン(rigid polyurethane:PUR)、ポリイソシアヌレート(polyisocyanurate:PIR)、ミネラルウール等)の場合、ライニングは、断熱機能、耐火機能、騒音低減機能、機械的クッション機能を提供する。断熱機能により、組み立て式パネルタンクを、特殊な地域(冬季の高緯度国等)や特殊な用途(温泉等)で使用することが可能となる。機械的クッション機能により、組立式パネルタンク内に溜まった水の圧力でライニングがユニットパネルに強く押しつけられる。更に、ライニングは、水と接触したときに機能的な粒状体を失うことなく、ライニング内の様々な機能的特定物質を強固に保持するためのマトリックスとして機能できる。例えば、ライニングは、自己洗浄表面から何らかの破片又は堆積物を自動的に除去するための自己洗浄特定物質(self-cleaning particular substance)(例えば、二酸化チタン(TiO))を保持できる。自己洗浄特定物質は、オプションとして、超疎水性、超親水性又は光触媒性の物質であってもよい。更に、ライニングは、水中の微生物を死滅させるための抗菌性特定物質(銀ナノ粒子等)を保持できる。
【0028】
ライニングは、オプションとして、前層(又は第1の層)及び基層(又は第2の層)を含む。具体的には、前層及び基層は、製造時に共押出しされて、均質接着ライナを形成する。典型的には、前層及び基層は、それぞれ前色及び基色を有する。基色と前色とは、人間の目にとって明確に異なる色であることが好ましく、これにより、2つの層のうち露出している前層の浸食、摩耗又は破壊によって、2つの層の下層である基層が露出するので、視覚検査が容易になる。組立式パネルタンクの内側で基色が観察された場合、必ず、修理又は交換を行う。
【0029】
両方の層は、共押出しによって連結され、及び/又は基層及び前層は、オプションとして、均質の連結箇所に対して同じ又は類似の材料で作成される。幾つかの具体例では、全体の厚さは、1.0~6.0ミリメートル(mm)の範囲である。基層及び前層は、それぞれ基層厚及び前層厚を有する。前層厚は、通常、全体の厚さの50%以下(例えば、10%又は30%)である。
【0030】
組立式パネルタンクは、更に、組立式パネルタンク内の流体の温度変動を低減するための断熱層を含むことができる。断熱層は、特に、第1のユニットパネルの厚み方向において、伝導又は対流による熱伝達を遅らせる断熱材から形成される。断熱材は、グラスファイバー、ミネラルウール、セルロース、ポリウレタンフォーム、ポリスチレン、エアロゲル、パイロゲル、天然繊維(麻、羊毛、綿、わら等)及びポリイソシアヌレート(PIR)フォームを含む。更に、ミネラルウール(鉱物綿)は、グラスウール、ロックウール及びスラグウールを含む。また、ポリスチレンは、発泡ポリスチレン(expanded polystyrene:EPS)及び押出ポリスチレン(extruded polystyrene:XEPS)を含む。特に、断熱材料は、グラスファイバー等、疎水性又は非吸水性を有することが好ましい。
【0031】
断熱層は、オプションとして、ユニットパネルとライニングとの間に挟んでもよい。断熱層は、軽量であるため、更なる補助なしで適所に保持され得る。特に、断熱層は、ユニットパネル及びライニングによって完全に封入され、これにより、断熱層は、一方では、外部衝撃から保護され、他方では、組立式パネルタンク内に貯蔵された液体、固体、ガス又は汚泥と接触しないようにされる。
【0032】
断熱層に代えて、第1のユニットパネルの外側が光、熱、赤外線又は他の種類の照射を実質的に反射するように加工又は処理してもよい。特に、ステンレス鋼(INOX鋼又はINOXとも呼ばれる)は、太陽光照射及び熱照射に対して反射性を有するので、ステンレス鋼から形成された第1のユニットパネルは、加工なしで同じ又は類似の反射効果を達成できる。これに加えて、ステンレス鋼の反射効果は、入射光の波長を変換しないことによって更に高められる。すなわち、入射光によって運ばれた太陽エネルギは、実質的に大気吸収なしに空間に直接送り返され、外部環境からの再放射が効果的に防止される。
【0033】
また、組立式パネルタンクは、断熱層に加えて、組立式パネルタンク内の流体の温度変動をより抑制するための放射障壁層を備えていてもよい。放射障壁層は、熱放射(可視光又は赤外線波等)に対する反射性を有し、これにより、熱伝達を低減する。放射障壁層は、オプションとして、非常に薄い鏡面状のアルミニウム箔を含む。あるいは、外側の第1のユニットパネルは、酸化クロム及びイリオテック顔料等の低伝熱材料で処理してもよい。断熱は、熱反射及び熱分散層のみに限定されるものではないことは、当業者にとって明らかであり、夜間及び/又は冬期中に組立式パネルタンクを保温するために、外部、内部、又は外部及び内部の両方に熱吸収コーティングを施してもよい。更に、必要に応じて、光起電力コーティング及び/又は積層体をエネルギとして利用することもできる。
【0034】
組立式パネルタンクは、オプションとして、断熱層及び耐火層を保護するためのシールド層を更に含むことができる。シールド層は、荷重や衝撃に耐える構造材料から形成される。構造材料は、鉄、コンクリート、アルミニウム(Al)、複合材、石工、木材、日干しレンガ、合金、竹、炭素繊維、繊維強化プラスチック及び泥レンガ等を含む。鉄は、更に、鍛鉄、鋳鉄、鋼、ステンレス鋼を含む。コンクリートは、更に、鉄筋コンクリートとプレストレストコンクリートとを含む。シールド層は、オプションとして、断熱層及び耐火層の外側に配置される。
【0035】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、カバー、アクセスホール(例えば、マンホール)、梯子、又はこれらの組み合わせを備える。カバーは、異物の混入を防止するために、組立式パネルタンクを部分的又は完全に覆うために使用される。カバーは、オプションとして、複数のカバーユニットパネルを含み、複数のカバーユニットパネルは、組み立てられ及び/又は連結されて、統合された一体のカバーとなる。あるいは、カバーは、予め製造された部品であって、その全体を組立式パネルタンクの側壁に装着してもよい。アクセスホールは、検査、保守、又は改造(アップグレード等)のために、作業者又は技術者が組立式パネルタンクの内部空間にアクセスするための開口として形成される。アクセスホールは、アクセスを容易にするために、カバーの組立式パネルタンクの周縁近くに位置することが好ましい。梯子は、地面又は地面の近くの下端と、カバーの位置又はカバーより少し高い位置にある上端とを有する。特に、上端がアクセスホールに近接しているので、作業者は、上端まで梯子を上ることにより、アクセスホールに容易に到達できる。
【0036】
組立式パネルタンクは、オプションとして、組立式パネルタンクの構造的完全性を維持するために、第1のユニットパネル、第2のユニットパネル、又はその両方に着脱可能に又は恒久的に接続されたフレームワーク(例えば、構造ブレース)を更に備える。例えば、構造ブレースは、内部ブレース及び/又は外部ブレースを含むことができる。内部ブレース及び外部ブレースは、多くの場合、設計圧力を抑えることができる、鋼(例えば、鋼棒)又はポリマから形成される。フレームワークは、オプションとして、木材、人工木材、コンクリート、構造用鋼、又はこれらのいずれかの組み合わせから形成してもよい。また、フレームワークは、組立式パネルタンクの側壁に着脱可能に連結されるサイドフレームを含む。サイドフレームは、更に、鋼梁構造、ポータルフレーム構造(ゴールポスト構造とも呼ばれる)、又はボックスフレーム構造(額縁構造とも呼ばれる)、又はケージフレーム構造を含むことができる。ボックスフレーム構造は、複数の水平バーと複数の垂直ポールとを組み合わせてボックスフレーム構造を形成できるので、特に好適である。更に、フレームワークは、カバーの形状を維持するために、組立式パネルタンクのカバーに着脱可能に接続される屋根梁を含んでもよい。フレームワークは、2つの対向するユニットパネルの内側又は外側を接続する1つ以上のロッドを含む。
【0037】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、フレームワークを支持するための外部基礎(又は構造とも呼ばれる)を含む。例えば、組立式パネルタンクは、フレームワークを含む組立式パネルタンクを支持するための外部基礎として、コンクリート基礎(例えば、コンクリート平板基礎又は一定空隙で配置された台座)を含む。外部基礎はまた、I形(ダブルT)基礎、スラブオングラウンド(slab-on-ground)基礎又は霜保護(frost protected)基礎を含むことができる。外部基礎には、1つ又は複数のコーナブレース(例えば、アングル材)が適用され、これらが基礎を構造的に支持する。コーナブレースは、特定の基礎に適合する形状及びサイズを有する。
【0038】
フレームワークは、オプションとして、2つの対向するユニットパネルの内側を連結又は固定する少なくとも1つのロッド、シャフト又は他の内部ブレースを含む。組立式パネルタンクの外側に着脱自在に連結されるサイドフレームに対して、ロッドは、組立式パネルタンクの対向する側の2枚の第1のユニットパネル(すなわち、対向する第1のユニットパネル)の内側に連結されることによって、組立式パネルタンク内に固定される。更に、幾つかの内部ブレースは、ユニットパネルに対して斜めに取り付けられる。
【0039】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、組立式パネルタンクの運転状況(水位等)を監視するために、1つ以上のセンサ、通信モジュール(例えば、モノのインターネット(Internet-of-Things:IoT)デバイス)又はこれらの組み合わせを備える。例えば、ライニングの背後に漏水センサを埋め込み、ライニングの漏れを検出する。組立式パネルタンク内の貯水がライニングから漏れ出た場合、漏水センサに水が触れると漏水センサが作動する。更に、組立式パネルタンクは、センサ及び/又は通信モジュールに接続された警告デバイスを備えていてもよく、これにより、組立式パネルタンクのオペレータのための警告信号(音又は光等)を生成してもよい。更に、組立式パネルタンクは、電力を生成してセンサ及び通信モジュール等の他の構成要素に供給するためのソーラーパネルを備えていてもよい。
【0040】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、組立式パネルタンクから流体を排出するための排液孔、オリフィス又はバルブを有する排液パネルを備える。ある具体例では、排液孔は、重力によって流体を自動的に排出するために、組立式パネル水タンクの底部又は側壁に配置される。更に、組立式パネルタンクは、組立式パネルタンクに液体を充填するための注入口と、組立式パネルタンクから液体を放散するためのオーバーフローパイプと、組立式パネルタンクが動作時に密閉されている場合、換気又は圧力逃がしのための通気口とを備えてもよい。
【0041】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、隣接するユニットパネルの4つのコーナを互いに連結するように構成されたクロスコネクタ(例えば、外部ブラケット)を備える。クロスコネクタは、ユニットパネルを連結し、したがって、組立式パネルタンクを一体の貯蔵デバイスとするための付加的な機械的力を提供する。
【0042】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、組立式パネルタンクの内側部分を提供するために、ライニングに完全に封入された内側仕切又はボードを含むことができる。これにより、組立式パネルタンクは、同じ液体又は異なる液体を貯蔵するための複数のより小さな独立したセルに分割される。したがって、各セルは、他のセルからの干渉なしで構築、維持、検査及び修復できる。これに加えて、個々のセルからの液体の連通を防止するために、内側仕切にライニングを連結又は取り付けてもよい。
【0043】
組立式パネルタンクは、更に、オプションとして、建築現場(地面、屋上等)で組立式パネルタンクを保持するためのベースフレームを備える。ベースフレームは、組立式パネルタンクの底部に着脱可能に又は恒久的に取り付けられる。更に、ベースフレームは、オプションとして、外部基礎及び又は組立式パネルタンクのフレームワークに接続される。
【0044】
組立式パネルタンクは、側壁に加えて、底部拡張部を有する底部を更に備えていてもよい。底部及び側壁は、底部拡張部と側壁とにおいて直接連結される。例えば、第1のユニットパネルは、底部の底部拡張部(底部フランジ等)に適合する側部拡張部(側部フランジ等)を更に備える。側部拡張部と底部拡張部とを共に固定することによって、底部と第1のユニットパネルとが直接又は連続して連結される。
【0045】
組立式パネルタンクを地面から持ち上げる場合、底部拡張部と側部拡張部との間の底部継ぎ目は、プラスチック溶接(ポリマ溶接)のみで連結できる。また、組立式パネルタンクは、底部拡張部と側壁との間の底部継ぎ目(底部空隙又は底部連結箇所とも呼ばれる)に適用される底部連結材又は底部プロテクタを更に備える。底部連結材は、第1のユニットパネルの内側及び底部の内側の底部拡張部と側部拡張部との間の底部継目にそれぞれ適用される。底部連結材は、第1の拡張部と第2の拡張部との間の継ぎ目における連結材と同様のものである。底部連結材は、底部継ぎ目に漏れが生じないように、更なる被覆を提供するために使用される。底部連結材は、プラスチック溶接が標準品質に達しない状況下で特に重要である。
【0046】
底部連結材は、底部連結材の特定の材料に応じた任意の適切な方法によって形成される。例えば、底部連結材は、熱可塑性溶接法により形成してもよい。熱可塑性溶接法は、機械的溶接手段、熱的溶接手段、電磁的溶接手段、又は化学的溶接手段(溶媒溶接とも呼ばれる)によって行われる。機械的手段は、超音波溶接(20~40kHz)、攪拌溶接(1~100Hz)、振動溶接(100~250Hz)及びスピン溶接(1~100Hz)を含むが、これらに限定されるわけではない。電磁溶接手段は、誘導溶接(5~25MHz)、マイクロ波溶接(1~100GHz)、誘電体溶接(1~100MHz)及び抵抗、注入又は電気融合を含むが、これらに限定されるわけではない。熱溶接手段は、熱ガス溶接(タック溶接及びロッド溶接等)、押出溶接、赤外線溶接、レーザ溶接、ホットウェッジ溶接、ホットプレート溶接又は突合せ溶接を含むが、これらに限定されるわけではない。溶接の品質を検査するための種々の方法を用いて、熱可塑性溶接を検査した。これらの方法には、クリープ試験(クリープ破断試験及び引張クリープ試験等)、衝撃試験、剪断試験、剥離試験(BS EN12814-4)、曲げ試験(DVS)、引張試験(DVS)及び静水圧試験(ASTM)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。例えば、熱可塑性溶接は、底部の溶接品質を確保するために非破壊試験(non-destructive test:NDT)によって検査される。非破壊試験には、塗り残しスパーク試験(holiday spark test)、超音波試験、漏れ止め試験(eak-tightness test)、X線撮影及び目視試験(DVS)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。特に、非破壊試験は、ピンホール、塗り残し(holidays)、ベアスポット又は薄い点等の許容できない不連続性を識別する塗り残しスパーク試験を含む。
【0047】
また、組立式パネルタンクに対して、ガスが組立式パネルタンク内に溜まっているか否かを調べる漏洩試験及び真空試験を行ってもよい。漏洩試験及び真空試験は、DVSドイツ溶接協会によって定められている規格等の既知の規格を参考にできることは、当業者にとって明らかである。
【0048】
組立式パネルタンクの底部は、任意の荷重支持材料(コンクリート、金属、圧縮土板等)の単一の構成要素から形成してもよく、ここにライニングを取り付けて、ユニット壁パネルとの間の界面としてもよい。底部の単一の構成要素は、平坦な底部を提供するためのステンレス鋼板、排水溜め及び圧縮土板等の1つ以上の重量支持部品を含むことができる。更に、平坦な底面を完全に覆うライニングが施され、このライニングと平坦な底面の上に組立式パネルタンクが直接構築される。この技術は、特に石油貯蔵タンクや化学廃棄物タンクに適している。あるいは、組立式パネルタンクの底部は、第1のユニットパネル又は第2のユニットパネルと同様の第3のユニットパネル及び第4のユニットパネルを含んでもよい。第3及び第4のユニットパネルは、連続的に連結されて底部を形成する。例えば、底部拡張部は、第3のユニットパネル及び第4のユニットパネルの周縁部にそれぞれ第3の拡張部(例えば、第3のフランジ)及び第4の拡張部(例えば、第4のフランジ)を有する。第3の拡張部と第4の拡張部とを連結して底部を形成する。幾つかの具体例では、ユニットパネルで形成された底部は、台座又は他の重い基礎によって地上に支持される。なお、ユニット壁パネルは、正方形の形状に限定されず、容器(例えば、円筒容器)を構成するのに適した他の形状であってもよいことは当然である。
【0049】
同様に、組立式パネルタンクは、更に、屋根を備えていてもよい。特に、屋根は、塩素ガス又は塩素基を含む他の腐食性化学物質(ガス状態又は液体状態)に対して化学的に耐性を有する材料から形成される。組立式パネルタンクの底部と同様に、屋根は、単一の構成要素(モノリシックカバー)から形成してもよく、上部拡張部を有する複数のユニットパネル(すなわち、頂部ユニットパネル)から組み立てられてもよい。上部拡張部を同様に連結することによって屋根が形成される。上部拡張部は、内側(すなわち、上部拡張部が組立式パネルタンクの内側に伸び又は向いている)又は外側(すなわち、上部拡張部が組立式パネルタンクの外側から伸び又は突出している)で、上部連結箇所において、ナット又はボルトによって連結できる。前者の場合、人又は検査機械が屋根上を移動することが多いため、屋根の下側に1つ以上の支持構造(例えば、鋼棒)を設けて上部連結材を支持する。後者の場合には、人又は検査機械が屋根の上を移動しやすくするために、屋根の上に、上部ユニットパネルと、上部連結箇所とを覆うように、平坦で強固な構造体を載置してもよい。更に、屋根を支持するために、上部拡張部に1つ以上の支持構造(例えば、鋼棒)が設けられる。一方、屋根と側壁は、上部拡張部と側壁とにおいて直接連結される。例えば、第1のユニットパネルは、屋根の上部拡張部(上部フランジ等)に適合する側部拡張部(側部フランジ等)を更に備える。屋根と第1のユニットパネルとは、側部拡張部と上部拡張部とを固定することによって、直接連結される。幾つかの具体例では、側部拡張部は、水平方向に折り曲げられ、したがって屋根に平行である。幾つかの具体例では、上部拡張部は、垂直方向に折り曲げられ、したがって第1のユニットパネルに平行である。なお、上述した底部と側壁とを連結する技術(プラスチック溶接等)は、いずれも屋根と側壁との連結に適用できる。
【0050】
組立式パネルタンクは、オプションとして、側壁の第1の拡張部及び第2の拡張部を固定する固定手段を備える。例えば、第1の拡張部及び第2の拡張部は、それぞれ第1の係合孔及び第2の係合孔を有する。第1の係合孔と第2の係合孔とは、大きさ及び位置が一致する。固定手段は、係合ネジ及び係合ナットを含む。係合ネジは、第1の拡張部から第1及び第2の係合孔に挿入され、係合ネジのスロット付き頭部が第1の拡張部に当接する。そして、第2の拡張部から突出する係合ネジのネジ山に係合ナットを固定して、第1の固定手段を固定する。固定手段は、係合ネジのスロット付き頭部と第1の拡張部との間に配置され、第1の拡張部の損傷を回避するための補強プレートを更に備えていてもよい。組立式パネルタンクは、底部の第3の拡張部及び第4の拡張部を同様に固定するための他の固定手段を備える。
【0051】
第1の固定手段及び第2の固定手段(例えば、締結具)は、それぞれ、第1及び第2の拡張部からの漏れを防止するための第1のコーティング及び第2のコーティングを含むことができる。第1のコーティング及び第2のコーティングは、オプションとして、ライニングによって被覆されたとき、ライニングとの適合性を有し、この適合性には、化学的適合性を含む材料適合性が含まれる。例えば、第1のコーティング及び第2のコーティングは、PE、PP、PVDF及びECTFE等の熱可塑性材料から形成される。特に、第1のコーティング又は第2のコーティングは、上述のいずれかの方法(共押出し等)によって、第1のライニング又は第2のライニングと統合され、一体の構成要素を形成する。
【0052】
組立式パネルタンクは、オプションとして、側部拡張部と底部拡張部とを互いに連結、締結又は固定するための固定具を含む。固定具は、PE、PP、PVDF及びECTFEを含む熱可塑性材料等、ライニングと適合性のある固定コーティングを同様に含んでいてもよい。具体的には、固定コーティングも、上述した任意の方法(共押出し等)によって、ライニングと統合されて一体の構成要素を形成する。
【0053】
底部連結材を含む連結材は、連結材とライニングの材料に応じた適切な方法、例えば、熱可塑性材料のための熱可塑性溶接により、連結箇所においてライニングと強固に連結される。幾つかの具体例では、連結材とライニングは、一体構造になるほど強く組み合わされる。換言すれば、連結箇所は、ライニング自体よりも強い機械的特性を有するため、一体構造が連結箇所から先に破断することはない。更に、熱可塑性材料から形成した場合、一体構造は、容易に破壊されることなく、圧力下で実質的に均一に膨張する。この均一な膨張により、一体構造に弱い部分がないことを保証でき、これにより、一体構造は、かなり大きな力に抵抗できる。膨張の程度は、ライニングシートの特定の熱可塑性材料と、ある圧力下での厚さとによって決まる。例えば、一体構造は、3~9倍、特に4~7倍に膨張する。このため、組立式パネルタンクのユニットパネルの1枚が破損又は劣化しても、組立式パネルタンク内に貯蔵された水は、一体構造によって保持され、組立式パネルタンク外部に漏出しない。貯蔵水の圧力下では、一体構造は、均一に膨張し、容易には破れない。この結果、連結材とライニングによって形成される一体構造は、ユニットパネルに加えて、組立式パネルタンクに追加の保護を提供する。
【0054】
また、第2の態様として、本出願は、第1の態様の組立式パネルタンク用のプレハブ式ユニットパネルを開示する。プレハブ式ユニットパネルは、拡張部を有する構造パネルと、構造パネルの内側に事前形成され、拡張部を含めて構造パネルを実質的に又は完全に覆うライニングシートとを備える。ライニングシートは、オプションとして、熱可塑性材料(PE、PP、PVDF、ECTFE等)から形成され、構造パネルは、オプションとして、金属又は金属合金(ステンレス鋼、銅、青銅、真鍮、亜鉛メッキ鋼等)、プラスチック(ポリエチレン又はポリプロピレン等)、複合材(ガラス繊維強化プラスチック(fiberglass reinforced plastic:FRP)又はガラス強化プラスチック(glass reinforced plastic:GRP)等)から形成される。
【0055】
第1の態様のライニングと同様に、ライニングシートは、第1の色の基層(信号層とも呼ばれる)と、第2の色の前層とを有し、一方の層(例えば、前層)が浸食されると、他方の層(基層等)が露出され、これにより、目視検査によって摩耗又は損傷を早期に発見することができる。第1の色の基層(すなわち、第1の層)と第2の色の前層(すなわち、第2の層)とは、連続して連結される。
【0056】
ライニングシートは、オプションとして、構造パネルの内側に事前形成してもよく、ライニングシートは、構造パネルを実質的に又は完全に覆い、覆われる構造パネルには、拡張部を含ませることもできる。
【0057】
第1の態様の固定手段と同様に、拡張部は、オプションとして、係合ネジ及び係合ナット等の固定手段のための係合孔を有する。したがって、ライニングシートは、固定手段のための寸法及び位置に関して、拡張部の係合孔と整合する(例えば、サイズ又は直径が同様又は同一の)貫通孔を備えることができる。したがって、一方のプレハブ式ユニットパネルの拡張部及びライニングシートと、他方のプレハブ式ユニットパネルの拡張部及びライニングシートとは、固定手段によって固定される。
【0058】
ライニングシートは、オプションとして、構造パネルの内側に密着して一体構造を形成するための接着層を含む。構造パネルは、真空成形プロセスによってライニングシートを構造パネルにより確実に連結するために、ライニングシートに面する滑らかな表面を有することが好ましい。例えば、接着層は、接触面積を増加させるための任意の繊維材料(フェルト、ポリエステル等)の薄層を有する繊維裏打ちライナ(FBL)を含む。他の例として、接着層は、接触面積を増加させるための複数のアンカ、表面組織、拡張部、脚部、スタッドを有する機械的固定要素の薄い均質層を含む。
【0059】
構造パネルの内側は、一体構造を形成するためにライニングシートを強固に結合するための粗面を提供する。幾つかの具体例では、内側は、構造パネルとライニングシートとの間の接触面積を増加させるための複数の突起を有する。突起は、ライニングシートと構造パネルとを強固に接着して一体の構成要素とすることを妨げない限り、任意の形状及びサイズを有することができる。ライニングシートは、拡張部を含む構造パネルを実質的に完全に覆い、構造パネルとライニングシートとの間の接触面積が最大化される。拡張部からはみ出る余分なライニング材料は、熱成形プロセス後に完全に除去される。あるいは、ライニング材料の過剰な小部分は、2つの隣接するプレハブ式ユニットパネルを連結するための熱可塑性溶接のために残される。この結果、構造ユニットパネルの内側は、ライニングシートで完全に覆われ、組立式パネルタンクに貯留された水と接触しなくなる。熱可塑性材料は、化学的に安定であり、ほとんど全ての有害廃棄物(生物学的又は化学的溶液等)に耐性を有するため、プレハブ式ユニットパネルによって組み立てられた組立式パネルタンクは、水に加えて化学的溶液の貯蔵にも適する。
【0060】
プレハブ式ユニットパネルは、オプションとして、構造ユニットパネルとライニングシートとの間に挟まれた断熱層を更に含む。この断熱により、特殊な地域(冬季の高緯度国等)や特殊な用途(温泉等)でも組立式パネルタンクを使用することができる。断熱層は、構造パネルを通過する方向の熱伝導を効果的に防止できる任意の断熱材料から形成できる。断熱層は、繊維状断熱材(シリカ、ガラス繊維、ロックウール、鉱物ウール、スラグウール、アルミナシリカ繊維等)、セル状断熱材(クローズドセルポリスチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリオレフィン及びエラストマ等)、粒状断熱材(ケイ酸カルシウム、拡張バーミキュライト(expanded vermiculite)、パーライト、セルロース、珪藻土、発泡ポリスチレン等)及び上記材料の任意の組合せであってもよい。
【0061】
特に、断熱層は、エアロゲルから形成してもよく、エアロゲルは、一方では、細孔サイズが非常に小さく、ガス伝導が低減されるため、典型的なR値が約20である優れた断熱性を有し、他方では、密度が0.001~0.5グラム/立方メートル(g/cm3)と極めて低いため、プレハブ式ユニットパネル全体の重量を軽くできる。断熱層は、断熱層の一定の厚さを維持するためにエアロゲルを保持するためのスペースを有する。例えば、スペースは、エアロゲルを充填するための複数の孔を有する多孔質材料を含む。すなわち、エアロゲルを採用する場合、このスペースは、断熱層のバックボーンとして機能する。
【0062】
幾つかの具体例では、ライニングシート、構造パネル及び第2の断熱層は、熱成形プロセスによって一体構造に形成される。熱成形プロセスは、ライニングシートが主として熱可塑性材料を含むので、プラスチック熱成形プロセスとも呼ばれる。例示的な熱可塑性材料としては、ペルフルオロアルコキシ(PerFluoroAlkoxy:PFA)、ポリフルオロエチレン(PolyFluoroEth)、ポリエチレン(Polyethylene:PE)(低密度PE(low density PE:LDPE)、架橋PE(Cross Link PE:XLPE)、高密度PE(High Density PE:HDPE)、超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene:UHMWPE)等)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)(例えば、PPランダム(PP Random:PPR))、ポリテトラフルオロエチレン(PolyTetraFluoroEthylene:PTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(EthyleneChloroTrifFluoroEthylene:ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PolyVinyliDeneFluoride:PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(Fluorinated Ethylene Propylene:FEP)及びペルフルオロアルコキシアルカン(Perfluoroalkoxy Alkanes:PFA)が挙げられる。熱硬化性材料としては、エチレンビニルアルコール(EthyleneVinylalcOHol:EVOH)、ポリ塩化ビニル(PolyVinylChoride:PVC)、ポリスチレン(PolyStyrene:PS)、ポリカーボネート(PolyCarbonate:PC)、ポリメチルメタクリレート(PolyMethylMethAcrylate:PMMA)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene:ABS)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0063】
熱成形プロセスとは、ライニングシートを加熱して軟化させ、次いで、負圧又は正圧のいずれかの条件下で、内側から構造パネルの凹形又は雌形の輪郭に適合させ、最終的にライニングシートが環境温度まで冷却して凹形又は雌形の輪郭に固定する任意のプロセスを指す。また、内側からの凹形又は雌形の輪郭に加えて、外側から構造パネルの凸形又は雄形の輪郭に熱成形プロセスを適用し、他のライニングシート又は同様の熱可塑性シートを外側に強固に取り付けてもよい。
【0064】
熱成形プロセスは、ライニングシートを構造パネルの内側、外側又は両方に引っ張る負圧下で輪郭を形成する真空成形プロセスを含むことができる。真空成形プロセスは、比較的大きな構造パネル(1メートル×1メートルサイズ等)に適し、ランニングコストも低い。あるいは、熱成形プロセスは、正圧下での圧力成形プロセスを含む。圧力成形プロセスでは、ライニングシートが輪郭に対して厳しい公差でより均一に形成されるため、これは、複雑な形状及び輪郭に微細な部分を有する構造パネルに適している。複雑な形状及び輪郭に微細な部分を有する比較的大きな構造パネルのために、熱成形プロセスは、オプションとして、真空成形プロセス及び圧力成形プロセスの組み合わせを含んでいてもよいことは明らかである。
【0065】
幾つかの具体例では、ライニングシート及び第2の断熱層は、成形プロセスによって成形構造に形成される。成形構造は、次に、真空成形プロセス、圧力成形プロセス、又はこれらの組み合わせによって、構造パネルと共に一体構造に熱成形される。この結果、第1の断熱層と第2の断熱層は、プレハブ式ユニットパネルによって組み立てられた組立式パネルタンクに二重の断熱機能を提供し、また、第1のライニングシートと第2のライニングシートは、組立式パネルタンク内に貯留された水又は化学溶液の漏洩を防止する二重の保護機能を提供する。
【0066】
また、第3の態様として、本出願は、第1の態様の組立式パネルタンクの側壁を製造する方法を開示する。この製造方法は、第1のユニットパネルであって、その縁部に、第1の拡張部を有する第1のユニットパネルを準備する工程と、第2のユニットパネルであって、その縁部に、第2の拡張部を有する第2のユニットパネルを準備する工程と、第1の拡張部と第2の拡張部とにおいて、固定手段を固定することによって第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとを直接連結する工程と、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとの内側の第1の拡張部と第2の拡張部との間の継ぎ目に連結材を設ける工程とを有する。連結材は、第1の態様で説明した任意の適切な方法によって形成できる。ガラス繊維強化プラスチック(fiberglass reinforced plastic:FRP)から形成される場合、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルは、シート成形コンパウンド(圧縮成形等)、ハンドレイ(hand laid)、バルク成形コンパウンド(射出成形、トランスファー成形、圧縮成形等)及び圧縮成形を含む任意の適切な方法によって準備される。特に、連結材を設ける工程は、熱可塑性溶接プロセスを含むことができる。熱可塑性溶接プロセスは、オプションとして、機械的溶接手段、熱溶接手段、電磁溶接手段又は化学的溶接手段によって行われる。
【0067】
この製造方法は、オプションとして、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルの内側にライニングを別々に又は一括して連結又は取り付ける工程を含む。ライニングは、第1の態様で説明した全ての特徴を有する。ライニングは、射出成形、引抜き成形、回転成形、圧縮成形、押出成形、熱成形又は真空成形、カレンダー成形及びブロー成形を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって準備される。特に、連結工程は、オプションとして、熱成形プロセスを含む。この製造方法は、オプションとして、非破壊試験によって連結材を検査する工程を更に含む。非破壊試験は、塗り残しスパーク試験又は真空試験を含む。
【0068】
この製造方法は、オプションとして、所定のホストに対する耐食性を有するライニングを選択する工程を含む。例えば、所定のホストとして酸性溶液や塩基性溶液を組立式パネルタンクに貯留する場合、段階成長ポリマ(ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート等)以外からライニングを選択する。更に、この製造方法は、オプションとして、所定のホストの漏洩を回避するために固定手段をコーティングする工程を含む。好ましくは、コーティングは、コーティングとライニングとを容易かつ強固に連結するために、ライニングと同一又は類似の材料から形成される。幾つかの具体例では、コーティング及びライニングは、一体の構成要素として統合された後にユニットパネルに連結される。
【0069】
連結工程は、更に、前層及び基層を提供する第1の工程と、前層と基層とを共押出して均一な接着層を形成する第2の工程と、第1のユニットパネルの内側に均一な接着層を取り付ける第3の工程とを含んでいてもよい。上述のように、前層は、前色を有し、基層は、目視検査しやすいように前色とは異なる基色を有する。特に、連結工程は、第1の拡張部と第2の拡張部とにライニングを取り付け、第1のユニットパネルと第2のユニットパネルとを直接連結する工程を含む。これにより、この製造方法は、第1の拡張部と第2の拡張部との間にガスケットを挿入する必要がない。これにより、漏れや腐食等のガスケットの既存の問題が克服され、第1の拡張部及び第2の拡張部において、第1のユニットパネル及び第2のユニットパネルがより緊密且つ強固に連結される。
【0070】
第4の態様として、本出願は、PVC、ABS、PMMA(アクリル)等の熱硬化性ライニングの場合に、2つの部分を有する個々のライニングされた組立式パネルタンクを連結する方法も開示する。この連結方法は、2つの部分を押圧する工程と、2つの部分間の継ぎ目に連結材を適用する工程とを有する。組立式パネルタンクの2つの部分は、継ぎ目の寸法が0.5ミリメートル(mm)未満となって毛管効果を生じさせるように、互いに強く押圧される。連結材は、液体状態であり、毛管効果により継ぎ目に入る。連結材は、最終的に連結箇所で固定され、継ぎ目を完全に覆って漏れを防止する。例えば、溶解又は懸濁された樹脂を含む溶液が毛管効果により継ぎ目に入り、溶剤溶接によって樹脂が継ぎ目の内側及び近傍で固定される。
【0071】
第5の態様として、本出願は、第2の態様に記載した組立式パネルタンク用のプレハブ式ユニットパネルの製造方法も開示する。プレハブ式ユニットパネルの製造方法は、拡張部を有する構造パネルを準備する工程と、構造パネルよりも大きいライニングシートを準備する工程と、構造パネルの内側にライニングシートを取り付ける工程とを有する。特に、ライニングシートは、構造パネルの拡張部を完全に覆う。
【0072】
ライニングは、オプションとして、熱可塑性材料を含む。したがって、熱可塑性材料に適した熱成形法によって取り付け工程を実行できる。
【0073】
ライニングは、オプションとして、前層厚を有する前層と、基層厚を有する基層とを含む。幾つかの具体例では、前層厚は、150~200μmの範囲等、全体の厚さの約50%を占める。
【0074】
構造パネルは、不浸透性を有し、耐食性を有し、及び構造的に堅牢な材料、例えば、金属又は金属合金(ステンレス鋼、銅、青銅、真鍮、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、チタン等)、プラスチック(ポリエチレン又はポリプロピレン等)、複合材(ガラス繊維強化プラスチック(FRP)又はガラス強化プラスチック(GRP)炭素繊維等)から形成される。
【0075】
プレハブ式ユニットパネルの製造方法は、オプションとして、温度変動を低減するために、構造パネルとライニングとの間に挟まれる断熱層を取り付ける工程を含む。
【0076】
ライニングシートが熱可塑性材料から形成されている場合、この取り付け工程は、オプションとして、ライニングシートと構造パネルとを一体の構成要素として強固に統合するための熱成形プロセスを含む。一体の構成要素は、追加の処理や変更を行うことなく、プレハブ式ユニットパネルとして直接使用できる。一体の構成要素とは、プレハブ式ユニットパネルの通常の使用時に、ライニングシートが構造パネルから完全に分離又は除去されないことを意味する。
【0077】
熱成形プロセスは、オプションとして、ライニングシートと構造パネルとを一体の構成要素に連結する真空成形プロセスを含む。真空成形プロセスは、ライニングシートを構造パネルの内側に位置合わせする工程と、ライニングシートを加熱して変形可能に柔軟する工程と、負圧又は実質的に真空によって、ライニングシートと構造パネルとを接着し、内側にライニングを形成する工程とを含む。加熱工程では、ライニングシートは、ライニングシートの材料である熱可塑性材料がゴム状状態になる温度より十分に低い温度であるが、ガラス転移温度(Tg)又はこれを僅かに超える温度に達するように制御される。更に、ライニングシートの異なる位置を、構造パネルの輪郭の異なる特徴に適した異なる温度に加熱してもよい。特定の位置においてライニングシートを変形可能に柔軟にするために、特定の位置では、凹状又は凸状であるほど、温度を高くする必要がある。
【0078】
成形工程は、所定の位置において構造パネルをライニングシートに向かって上方に移動させる手順と、ライニングシートを構造パネルに真空成形して、真空によって構造パネルの内面の輪郭をライニングシートに転写する手順と、ライニングシートを冷却して輪郭をライニングシートに結晶化させる手順とを含む。また、成形工程は、更に、オプションとして、構造パネルをライニングシートに向かって移動させる工程を容易にするために、ライニングシートを構造パネルに向かって下方に引っ張る工程を含む。
【0079】
熱成形プロセスは、オプションとして、圧力成形プロセスを含む。真空成形プロセスとは異なり、圧力成形プロセスでは、ライニングシートを加熱して変形可能に柔軟にした後、ライニングシートをライニングシートに向かって下方に押し下げることにより、ライニングシートと構造パネルとを接着するための正圧を発生させる。また、熱成形プロセスは、ライニングシートの下方からライニングシートを下方に引く負圧と、ライニングシートの上方からライニングシートを下方に押す正圧とをそれぞれ発生させることにより、真空成形プロセスと圧力成形プロセスを組み合わせて行ってもよい。
【0080】
プレハブ式ユニットパネルの製造方法は、更に、ライニングシートと構造パネルの内側との間に接着層を設ける工程を含んでいてもよい。接着層は、ライニングシートと構造パネルとを結合する追加的な力を提供する。
【0081】
プレハブ式ユニットパネルの製造方法は、更に、ライニングシートと構造パネルの内側との間に断熱層を設ける工程を含んでいてもよい。上述のように、断熱層は、ライニングシートと構造パネルとの間に挟まれて一体構造となる低密度材料(例えば、エアロゲル)から形成される。
【0082】
添付の図(Fig)は、実施形態を例示し及びここに開示する実施形態の原理を説明するためのものである。但し、これらの図は、例示のみを目的として示されており、関連する出願の限界を画定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】外部基礎を有する第1の組立式パネルタンクの部分分解図である。
図2図1の第1の組立式パネルタンクの変形例の部分分解図である。
図3】外部基礎なしの第1の組立式パネルタンクの部分分解図である。
図4図3の第1の組立式パネルタンクの変形例の部分分解図である。
図5】第1のユニットパネルの内部視点からの等角図(a)及び断面図(b)である。
図6】第1のユニットパネルの外部視点からの等角図(a)及び断面図(b)である。
図7図5(b)に示す第1のユニットパネルの変形例の断面図である。
図8図5(b)に示す第1のユニットパネルの他の変形例の断面図である。
図9図5(b)に示す第1のユニットパネルの他の変形例の断面図である。
図10図5(b)に示す第1のユニットパネルの他の変形例の断面図である。
図11図8の第1のユニットパネルにスタッドを組み込んだ変更例の断面図である。
図12図9の変形例にスタッドを組み込んだ変更例の断面図である。
図13図5(b)の第1のユニットパネルに接着層を組み込んだ他の変更例の断面図である。
図14】連結箇所において垂直に連結された2つの同一の図5(b)のユニットパネルの断面図(a)及び連結箇所の拡大断面図(b)である。
図15】連結箇所において垂直に連結された2つの同一の図8のユニットパネルの変形例の断面図(a)及び連結箇所の拡大断面図(b)である。
図16】外部視点からの湾曲ユニットパネルの等角図(a)及び断面図(b)である。
図17】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの断面図である。
図18】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの変形例の断面図である。
図19】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの他の変形例の断面図である。
図20】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの他の変形例の断面図である。
図21】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの変更例の断面図である。
図22】互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの他の変更例の上面から見た平面図である。
図23】互いに連結された図5(b)の3つのユニットパネルの上面から見た平面図である。
図24】互いに連結された図5(b)の複数のユニットパネルの上面から見た平面図である。
図25】互いに直交して連結された図5(b)のユニットパネル及び平面ユニットパネルの断面図である。
図26】ライニングシートを有さない他のユニットパネルの断面図である。
図27】互いに垂直に連結された2つの図26のユニットパネルの断面図である。
図28】ライニングシートの拡大断面図である。
図29】外部基礎を有する第2の組立式パネルタンクの部分分解図である。
図30図29に示す第2の組立式パネルタンクの変形例の部分分解図である。
図31】外部基礎なしの第2の組立式パネルタンクの部分分解図である。
図32図31の第2の組立式パネルタンクの変形例の部分分解図である。
図33】第3の組立式パネルタンクの断面図である。
図34】第3の組立式パネルタンクの変形例の拡大断面図である。
図35】第4の組立式パネルタンクの部分分解図である。
図36】第4の組立式パネルタンクの上面図である。
図37】湾曲ユニットパネルの断面図である。
図38】互いに連結された2つの図37のユニットパネルの断面図である。
図39図3のユニットパネルを用いた仕切タンクの断面図である。
図40図10のユニットパネルを用いた他の仕切タンクの断面図である。
図41】真空成形プロセスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、外部基礎130を有する第1の組立式パネルタンク100の部分分解図である。第1の組立式パネルタンク100は、底部102と、屋根又はカバー104と、前壁106、後壁108(図示せず)、左壁110(図示せず)、右壁112からなる4つの側壁とを有する直方体の形状を有する。このため、第1の組立式パネルタンク100には、12個の辺138が形成されている。底部102、カバー104及び側壁106、108、110、112は、互いに連結された複数のユニットパネル114によって組み立てられる。第1の組立式パネルタンク100は、更に、カバー104のコーナに設けられたアクセスホール又はマンホール116と、右壁112に固定された梯子118と、排液管122に接続された排液孔120と、前壁106の上部及び下部にそれぞれ設けられた注入口124及び排出口126とを備える。注入口124及び排出口126は、通常、液体を適切に循環させて沈滞を回避するように、互いに最も離れて設けられることは、当業者にとって明らかである。また、梯子118の上端128は、アクセスホール116の近傍に位置している。更に、外部基礎130は、第1の組立式タンク100を支持するために地面に敷設され、第1の組立式パネルタンク100の構造的一体性を維持するために複数のユニットパネルに接続された外部フレームワーク132を備える。第1の組立式パネルタンク100は、底部102、カバー104及び四方の側壁106、108、110、112によって画定される空間内に液体134(図示せず)を貯留するために使用される。液体134は、注入口124を介して空間に充填され、排出口126を介して空間から排出される。また、液体134は、排液管122及び排液孔120を介して空間から迅速に排出させることができる。堆積物が供給ラインに入らないようにするため、排出口126は、通常、排液孔120よりも高い位置に設けられることは、当業者にとって明らかである。排液孔120は、通常、堆積物を排出できる第1の組立式パネルタンク100の最下点に設けられる。
【0085】
図2は、図1の第1の組立式パネルタンク100の変形例150の部分分解図である。変形例150は、第1の組立式パネルタンク100と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例150の特徴は、図1に示す第1の組立式パネルタンク100を参照するものとする。梯子118に加えて、変形例150は、アクセスホール116を介して変形例150の底部102に容易にアクセスできるように、変形例150内に第2の梯子152を有する。更に、変形例150は、仕切154を有し、この仕切154は、変形例150を2つの小タンク、すなわち、前壁106、後壁108、左壁110及び仕切154によって囲まれた第1のタンク156と、前壁106、後壁108、右壁112及び仕切154によって囲まれた第2のタンク158とに仕切っている。
【0086】
図3は、外部基礎130のない第1の組立式パネルタンク100の部分分解図である。第1の組立式パネルタンク100の全ての特徴は、底部102が必要でないことを除いて、図1の特徴と同じである。地面を圧縮して形成された平坦な圧縮土板(図示せず)を準備して、この平坦な圧縮土板の上に一片のライニング136が広げられる。第1の組立式パネルタンク100は、ライニング136の上に直接、側壁106、108、110、112を立ち上げ、これらの側壁106、108、110、112にカバー104を連結することによって構築される。図3に示すこの第1の組立式パネルタンク100は、特に、油貯蔵及び化学廃棄物処理に使用される。また、ここでの第1の組立式パネルタンク100は、飲料水にも適していることが理解される。
【0087】
図4は、図3の第1の組立式パネルタンクの変形例170の部分分解図である。変形例170は、第1の組立式パネルタンク100と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例150の特徴は、図3に示す第1の組立式パネルタンク100を参照するものとする。梯子118に加えて、変形例170は、アクセスホール116を介して変形例170のライニング136に容易にアクセスできるように、変形例170の内部に第2の梯子172を有する。更に、変形例170は、仕切174を有し、この仕切174は、変形例170を2つの小タンク、すなわち、前壁106、後壁108、左壁110及び仕切174によって囲まれた第1のタンク176と、前壁106、後壁108、右壁112及び仕切174によって囲まれた第2のタンク178とに仕切っている。
【0088】
図5は、第1のユニットパネル200の内部視点からの等角図(図5(a))及び断面図(図5(b))であり、図6は、図5の第1のユニットパネルの外部視点からの等角図(図6(a))及び断面図(図6(b))である。第1のユニットパネル200は、第1の構造パネル202と、第1のライニングシート204と、第1の拡張部208とを備える。第1の拡張部208は、更に、第1のユニットパネル200の4つの周縁部でそれぞれ実質的に90度に折り曲げられた4つのフランジ、すなわち、第1の前縁部212で折り曲げられた第1の前フランジ210と、第1の後縁部216で折り曲げられた第1の後フランジ214と、第1の左縁部220で折り曲げられた第1の左フランジ218と、第1の右縁部224で折り曲げられた第1の右フランジ222とを有する。したがって、第1の構造パネル202は、4つのフランジ210、214、218、222の間に延びている。第1の構造パネル202は、不浸透性であり、耐食性有し、流体134の圧力に耐えるために機械的に堅牢であるステンレス鋼から形成されている。4つのフランジ210、214、218、222は、4つの縁部212、216、220、224をそれぞれ略90度折り曲げて形成されている。換言すれば、4つのフランジ210、214、218、222は、4つの縁部212、216、220、224に対してそれぞれほぼ垂直に位置している。具体的には、第1の構造パネル202は、4平方メートル未満のサイズ及び約2ミリメートル(mm)の厚さを有し、一方、第1のライニングシート204は、約2ミリメートル(mm)の厚さを有する。したがって、第1のユニットパネル200の総厚は、約4ミリメートル(mm)である。
【0089】
図5(b)に示すように、第1のライニングシート204は、2つの平坦な面、すなわち、第1の面242及び第2の面244を有する。第1の面242は、第1のユニットパネル200を形成するための第1の構造パネル202の内面226に熱成形法によって連結される。具体的には、第1のライニングシート204は、第1の構造パネル202及び第1の拡張部208を含む内面226を完全に覆う。第1のライニングシート204は、PE、PP、PVDF、ECTFE等の熱可塑性材料から形成されている。第1のライニングシート204は、液体134と直接接触するため、耐水性、並びに水及び殆ど全ての化学溶液に対する耐食性が要求される。更に、第1のユニットパネル200は、第1の構造パネル202の機械的特性を更に強化するために、第1の構造パネル202上に第1のエンボス230を有する。
【0090】
図7は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200の変形例2000の断面図である。変形例2000は、第1のユニットパネル200と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例2000の特徴は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200を参照するものとする。第1のライニングシート204は、内面226及び第1の拡張部208を覆うのみでなく、第1の構造パネル202の外面228も覆っている。換言すれば、第1のライニングシート204は、第1の構造パネル202及び第1の拡張部208を完全に封入している。変形例2000は、図2及び図4に示すような仕切パネルに特に適している。
【0091】
図8は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200の他の変形例2100の断面図である。変形例2100は、第1のユニットパネル200と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例2100の特徴は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200を参照するものとする。また、変形例2100は、流体134の温度変動を低減するために、第1の構造ユニットパネル202の外面228に形成された第1の断熱層206備えている。第1の断熱層206は、軽量であると共に疎水性を有するガラス繊維から形成されている。なお、第1の断熱層206は、第1のエンボス230を含む第1のユニットパネル200の中央部分を覆っている。
【0092】
図9は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200の他の変形例2200の断面図である。変形例2200は、変形例2100と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例2200の特徴は、図8に示す変形例2100を参照するものとする。ここでは、第1の断熱層206は、第1の構造パネル202と第1のライニングシート204との間に挟まれている。換言すれば、第1の断熱層206は、第1の構造パネル202の内面226と第1のライニングシート204の第1の面242との間に取り付けられている。したがって、変形例2200の第1の断熱層206は、内部断熱層とも呼ばれる。また、第1の断熱層206は、第1の構造パネル202を完全に覆うが、第1の拡張部208を覆うようには延びていない。
【0093】
図10は、図5(b)に示す第1のユニットパネル200の他の変形例2300の断面図である。変形例2300は、変形例2200と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例2300の特徴は、図9に示す変形例2200を参照するものとする。第1の断熱層206は、同様に第1の構造パネル202と第1のライニングシート204との間に挟まれているが、第1の断熱層206は、図7の変形例2000と同様に、第1のライニングシート204が第1の構造パネル202を完全に封入することによって、第1の構造パネル202の外面228に取り付けられている。したがって、変形例2300の第1の断熱層206は、外部断熱層とも呼ばれる。一方、第1のライニングシート204は、第1の構造パネル202の内面226に直接接触している。
【0094】
図11は、スタッド240を組み込んだ図8の変形例2100に対する変更例2400の断面図である。スタッド240は、第1のライニングシート204の第1の面242又は第1の構造パネル202の内面226に取り付けられる。第1の面242は、第1の構造パネル202側を向くように組み立てられ、第2の面244は、第1のユニットパネルタンク100に貯留された水と直接接触する。これにより、第1の構造パネル202と第1のライニングシート204の第1の面242との間に連続する空隙246が形成される。空隙246の内部には、断熱用の第1の断熱層206として多孔質充填材248(エアロゲル等)が充填されている。この断熱により、第1の組立式パネルタンク100は、冬季の高緯度国又は特別な用途(温泉等)でも使用できることが保証される。更に、多孔質充填材248は、外部衝撃に対するクッション機能も提供できる。このクッション機能により、第1の組立式パネルタンク100内に貯留された水の圧力によって、第1のライニングシート204が第1の構造パネル202に確実に強固に押し付けられる。特に、第1の面242と第1の構造パネル202とを強固且つ確実に連結するために、フランジ210、214、218、222には、スタッド240が存在しない。
【0095】
図12は、スタッド240を有する図9の変形例2200に対する変更例2500の断面図である。図11の変更例2400と同様に、変更例2500は、第1の断熱層206として空隙246内に充填材248が充填されている。フランジ210、214、218、222においては、第1のライニングシート204は、スタッド240なしで第1の構造パネル202と直接接触している。
【0096】
図13は、図5(b)の第1のユニットパネル200に対する他の変更例2600の断面図であり、ここでは、第1のライニングシート204が繊維裏打ちライナ(fabric backed liner:FBL)を有し、変更例2600は、接着層2610を有している。接着層2610は、繊維裏打ちライナ(FBL)を第1の構造パネル202の内面226に接着する。
【0097】
第1のユニットパネル200に第2のユニットパネル250を連結して、第1の組立式パネルタンク100を形成する。第2のユニットパネル250は、図5に示す第1のユニットパネル200と同一である。換言すれば、第2のユニットパネル200は、第1の構造パネル202、第1のライニングシート204及び第1の拡張部208にそれぞれ類似する第2の構造パネル252、第2のライニングシート254及び第2の拡張部258を備えている。第2の拡張部258は、更に、第2の前縁部262で折り曲げられた第2の前フランジ260と、第2の後縁部266で折り曲げられた第2の後フランジ264と、第2の左縁部270で折り曲げられた第2の左フランジ268と、第2の右縁部274で折り曲げられた第2の右フランジ272とを有する。また、第2のユニットパネル250の内面276及び外面278には、第2のライニングシート254が形成されている。また、第2のユニットパネル250は、第2の構造パネル252の機械的特性を更に強化するための第2のエンボス280を有する。
【0098】
図14(a)は、連結箇所290において互いに垂直に連結された上側の第1のユニットパネル200及び下側の第2のユニットパネル250の断面図である。ユニットパネル200、250は、連結され、図1図4の第1の組立式パネルタンク100の側壁106、108、110、112を形成する。第1のユニットパネル200及び第2のユニットパネル250は、第1の後フランジ214と第2の前フランジ260との間の連結箇所290において、熱可塑性溶接法により連結されている。更に、第1の後フランジ214及び第2の前フランジ260は、連結箇所209において、締結具235(ネジ(ナット及びボルト)等)によっても結合されている。
【0099】
図14(b)は、図14(a)に示す連結箇所290の拡大断面図である。ここには、第1の後フランジ214と第2の前フランジ260とが連結箇所290において連結されていることが明らかに示されている。具体的には、第1のライニングシート204と第2のライニングシート254とは、連結箇所290において直接圧接されている。第1のライニングシート204と第2のライニングシート254とが密着して押し付けられても、連結箇所290は、継ぎ目292を有する。熱可塑性溶接により、第1のライニングシート204と第2のライニングシート254とを連結するための連結材(jointer)294が形成される。連結材294は、非常に強力で信頼性が高いため、連結箇所290は、その通常動作中、第1の組立式パネルタンク100内の液体134を密封できる。従来の技術とは異なり、連結箇所290からの漏れを防止するためのガスケットは不要である。
【0100】
図15(a)は、連結箇所290で互いに垂直に連結された2つの同一の図8の変形例2100、すなわち、上側の変形例2100及び下側の他の変形例2150の断面図を示し、これらのそれぞれは、図8の変形例2100の全ての特徴を有する。変形例2100、2150は、連結されて図1図4の第1の組立式パネルタンク100の側壁106、108、110、112を形成する。また、上述の例と同様に、変形例2100、2150は、第1の後フランジ214と第2の前フランジ260との間の連結箇所290において、熱可塑性溶接法により連結される。更に、第1の後フランジ214と第2の前フランジ260とを連結箇所290で結合するために、締結具235も使用される。また、第2の変形例2150は、第2の断熱層256を有する。
【0101】
図15(b)は、連結箇所290の拡大断面図である。第1の後フランジ214と第2の前フランジ260とは、連結箇所290において熱可塑性溶接によって互いに連結されており、これにより、継ぎ目292を密封するための連結材294が形成されていることが明らかに示されている。図14(b)と同様に、連結箇所290からの漏れを防止するためのガスケットは不要である。また、第1の断熱層206、第1のエンボス230、第2の断熱層256及び第2のエンボス280は、連結箇所290の外側で終端している。
【0102】
図16は、外部視点からの湾曲ユニットパネル3000の等角図(a)及び断面図(b)である。図5(b)のユニットパネル200と同様に、湾曲ユニットパネル3000は、湾曲構造パネル3002を有し、湾曲構造パネル3002は、更に拡張部3020を有する。拡張部3020は、前縁部3012で折り曲げられた前フランジ3022と、後縁部3014で折り曲げられた後フランジ3024と、左縁部3016で折り曲げられた左フランジ3026と、右縁部3018で折り曲げられた右フランジ3028とを有する。更に、湾曲ユニットパネル3000は、拡張部3020(すなわち、フランジ3022、3024、3026、3028)を含む湾曲構造パネル3002の内面3008を封入する湾曲ライニングシート3004を有する。
【0103】
図17は、互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネル、すなわち、第1の湾曲ユニットパネル3040及び第2の湾曲ユニットパネル3050の断面図を示し、これらは、図16の湾曲ユニットパネル3000と同じ構造を有する。換言すれば、第2の湾曲ユニットパネル3050は、第2の構造パネル3052を有し、第2の構造パネル3052は、更に第2の拡張部3070を有する。第2の拡張部3070は、第2の前縁部3062で折り曲げられた第2の前フランジ3072と、第2の後縁部3064で折り曲げられた第2の後フランジ3074と、第2の左縁部3066(図示せず)で折り曲げられた第2の左フランジ3076(図示せず)と、第2の右縁部3068(図示せず)で折り曲げられた第2の右フランジ3078(図示せず)とを有する。また、第2の湾曲ユニットパネル3050は、第2のライニングシート3054を有する。図14の連結ユニットパネル200、250と同様に、第1及び第2の湾曲ユニットパネル3040、3050は、連結箇所3090で連結されている。具体的には、湾曲ライニングシート3004と第2のライニングシート3054とは、連結箇所3090において直接圧接されている。湾曲ライニングシート3004と第2のライニングシート3054とが密着して押し付けられても、連結箇所3090は、継ぎ目3092を有する。熱可塑性溶接により、湾曲ライニングシート3004と第2のライニングシート3054とを連結するための連結材3094が形成される。また、後フランジ3024と第2の前縁部3062とを連結箇所3009で結合するために締結具3096(例えば、ネジ)も使用される。従来の技術とは異なり、連結箇所3090からの漏れを防止するためのガスケットは不要である。
【0104】
図18は、互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの変形例、すなわち、第1の変形例3100及び第2の変形例3150の断面図である。変形例3100、3150は、湾曲ユニットパネル3040、3050と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例3100、3150の特徴は、図17に示す湾曲ユニットパネル3040、3050を参照するものとする。湾曲ユニットパネル3040、3050とは異なり、湾曲ライニングシート3004は、湾曲構造パネル3002の内面3008及び外面3010を含めて湾曲構造パネル3002全体を封入している。同様に、第2のライニングシート3054は、第2の構造パネル3052の第2の内面3058及び第2の外面3060を含めて、第2の構造パネル3052全体を封入している。図18の実施形態は、より大きな円筒形組立式タンク内に、より小さな円筒形組立式パネルタンクが設けられ、それぞれが異なる物質(異なる液体等)を収容している場合に適している。
【0105】
図19は、互いに連結された他の2つの同一の湾曲ユニットパネルの変形例、すなわち、第1の変形例3200及び第2の変形例3250の断面図である。変形例3200、3250は、湾曲ユニットパネル3040、3050と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例3200、3250の特徴は、図17に示す湾曲ユニットパネル3040、3050を参照するものとする。湾曲ユニットパネル3000、3050とは異なり、変形例3200、3250は、それぞれ湾曲断熱層3006と第2の断熱層3056とを有する。湾曲断熱層3006は、湾曲ライニングシート3004と内面3008との間に挟まれており、第2の断熱層3056は、第2のライニングシート3054と第2の内面3058との間に挟まれている。
【0106】
図20は、互いに連結された他の2つの同一の湾曲ユニットパネルの変形例、すなわち、第1の変形例3200及び第2の変形例3250の断面図である。変形例3200、3250は、変形例3100、3150と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例3200、3250の特徴は、図19に示す湾曲ユニットパネル3100、3150を参照するものとする。ここでは、湾曲断熱層3006は、湾曲ライニングシート3004と外面3010との間に挟まれており、第2の断熱層3056は、第2のライニングシート3054と第2の外面3060との間に挟まれている。
【0107】
図21は、互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの変更例、すなわち、第1の変更例3300及び第2の変更例3350の断面図である。変更例3300、3350は、湾曲ユニットパネル3040、3050と同様の構造を有し、したがって、ここでの変更例3300、3350の特徴は、図17に示す湾曲ユニットパネル3040、3050を参照するものとする。更に、第1の変更例3300は、内面3008と湾曲ライニングシート3004との間に挟まれて第1の空隙3320を形成する第1のスタッド3310を有し、第2の変更例3350は、第2の内面3508と第2のライニングシート3504との間に挟まれて第2の空隙3370を形成する第2のスタッド3360を有する。第1の空隙3320及び第2の空隙3370には、それぞれ第1の充填材3330及び第2の充填材3380が充填されている。充填材3330、3380は、図11及び図12の充填材248と同様に、断熱を提供するための断熱層3306、3356として機能できる。これに代えて、充填材3330、3380は、外部衝撃に対するクッション機能を提供してもよい。第1の充填材3330と第2の充填材3380は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0108】
図22は、互いに連結された2つの同一の湾曲ユニットパネルの他の変更例、すなわち、第1の変更例3400及び第2の変更例3450の断面図である。変更例3300、3350は、湾曲ユニットパネル3040、3050と同様の構造を有し、したがって、ここでの変更例3300、3350の特徴は、図17に示す湾曲ユニットパネル3040、3050を参照するものとする。変更例3300、3350は、ライニングシート3304、3354が繊維裏打ちライナ(FBL)を有する場合、それぞれ第1の接着層3340及び第2の接着層3390を有する。接着層3340、3390は、それぞれ、繊維裏打ちライナ(FBL)を内面3308、3358に接着する。
【0109】
図23は、互いに連結された3つの図5(b)のユニットパネル、すなわち、連結箇所290及び連結箇所2710において順に垂直に連結され、それぞれ右壁112及び前壁106を形成する、第1のユニットパネル200、第2のユニットパネル250及び第3のユニットパネル2700の断面図である。連結箇所2710は、締結具235と同様の他の締結具2730を使用して、更に固定されている。
【0110】
図24は、互いに連結され、第1の組立式ユニットパネル100の変形例150を形成する複数の図5(b)のユニットパネルの上面図である。具体的には、第1のユニットパネル200及び第2のユニットパネル250が連結され、前壁106、後壁108、左壁110、右壁112、仕切154がそれぞれ形成されている。
【0111】
図25は、互いに直交して連結された図5(b)の第1のユニットパネル200及び平面ユニットパネル2800の断面図である。平面ユニットパネル2800は、平面構造パネル2810と、平面ライニングシート2820とが一体に形成されている。第1のユニットパネル200と平面ユニットパネル2800とは、第1の後フランジ214と平面ユニットパネル2800の左端2830との連結箇所2840で連結されている。また、連結箇所2840は、締結具2850を使用して、更に固定されている。
【0112】
図26は、他のユニットパネル、すなわち、第3のユニットパネル300の断面図である。第3のユニットパネル300は、第1のユニットパネル200又は第2のユニットパネル250と同様に、第3の構造パネル302と、第3の断熱層306と、第3の拡張部308とを備えている。第3の拡張部308は、更に、第3の前縁部312で折り曲げられた第3の前フランジ310と、第3の後縁部316で折り曲げられた第3の後フランジ314と、第3の左縁部320(図示せず)で折り曲げられた第3の左フランジ318(図示せず)と、第3の右縁部324(図示せず)で折り曲げられた第3の右フランジ322(図示せず)とを有する。但し、第3のユニットパネル300は、第1のライニングシート204や第2のライニングシート254と同様のライニングシートを有していない。
【0113】
第3のユニットパネル300に加えて、第3のユニットパネル300に連結される第4のユニットパネル350も準備されている。第4のパネル350は、図26に示す第3のユニットパネル300と同一である。すなわち、第4のユニットパネル300は、第4の構造パネル352と、第4の断熱層356と、第4の拡張部358とを備えている。第4の拡張部358は、更に、第4の前縁部362で折り曲げられた第4の前フランジ360と、第4の後縁部366で折り曲げられた第4の後フランジ364と、第4の左縁部370で折り曲げられた第4の左フランジ368と、第4の右縁部374で折り曲げられた第4の右フランジ372とを有する。
【0114】
図27(a)は、垂直に連結され、図1図4の第1の組立式パネルタンク100の側壁106、108、110、112を形成する2つのユニットパネル300、350の断面図である。第3のユニットパネル300及び第4のユニットパネル350は、第3の後フランジ314と第4の前フランジ360との連結箇所390で金属溶接法により連結されている。第3の後フランジ314と第4の前フランジ360とが密着して押し付けられても、連結箇所390は、継ぎ目392を有する。金属溶接により、第3の後フランジ314と第4の前フランジ360とを連結するための連結材394が形成される。従来の技術とは異なり、連結箇所390からの漏れを防止するためのガスケットは不要である。第1の組立式パネルタンク100の寿命を更に延ばすために、2枚のライニングシート204、254を連結する代わりに、単一の連続したライニング340を用いて、第3のユニットパネル300の内面326、第4のユニットパネル350の内面376及び連結箇所390を覆い、漏れを防止している。同様に、ユニットパネル300、350が水平に連結され、第1の組立式パネルタンク100の底部102及び/又はカバー104を形成する。更に、ライニング340を取り付ける前に、第3の構造パネル302及び第4の構造パネル352に接着剤330を塗布して、ライニングを適所に固定する。
【0115】
図27(b)は、連結箇所390の拡大断面図である。第3の後フランジ314及び第4の前フランジ360は、ライニングシート又は公知のガスケットを介在させることなく、互いに押し付けられている。連結箇所390は、継ぎ目392を有し、継ぎ目392は、溶剤溶接法によって、連結材394により封止されている。次に、内面326、376から連結箇所390にライニング340が取り付けられ、連結箇所390からの漏れが更に防止されている。
【0116】
図28は、ライニングシート204、254の拡大断面図である。ライニングシート204、254は、ユニットパネル200、250の内面226、276に取り付けられた第1の層296と、この第1の層296に取り付けられた第2の層298とを有する。これにより、第2の層298は、第1の組立式パネルタンク100内に貯留された液体134と接触する。第1の層296は、200μmの第1の厚さ297を有し、第2の層298は、1.8mmの第2の厚さ299を有する。第1の層296及び第2の層298は、いずれも、取り付けが容易で信頼性が高いPE、PP、PVDF、ECTFE等の同じ熱可塑性材料から形成されている。したがって、ライニングシート204、254は、第1の層296及び第2の層298の両方が防水性であるため、液体漏れに対する二重の保護を有する。特に、第1の層296は、青色であり、第2の層298は、黒色である。第2の層298が侵食又は破壊されると、第1の層296が露出するため、視覚検査が容易である。ライニングシート204、254の内面226、276に第1の色が観察された場合、第2の層298は、既に腐食又は破壊されているので、交換又は修復する必要がある。同様に、ユニットパネル200、250が水平に連結され、第1の組立式パネルタンク100の底部102及び/又はカバー104を形成する。
【0117】
図29は、外部基礎530を有する第2の組立式パネルタンク500の部分分解図である。第2の組立式パネルタンクは、第1の組立式パネルタンク100と同様に、底部502と、カバー504と、前壁506と、後壁508(図示せず)と、左壁510(図示せず)と、右壁512とを有し、これらは、複数のユニットパネル514によって構成されている。また、第2の組立式パネル500は、アクセスホール516と、梯子518と、排液孔520と、排液管522と、注入口524と、排出口526と、外部基礎530とを備えている。第2の組立式パネルタンク500内には、液体534が貯留されている。
【0118】
組立式パネルタンク500は、外部フレームワーク132に代えて内部フレームワーク532を備えている。内部フレームワーク532は、対向する2つのユニットパネル514の内側を接続する1つ以上のロッド536を含む。ロッド536は、対向する側壁506、508、510、512の内側を接続するように構成された1つ以上の梁538と、底部502の内側とカバー504とを接続するように構成された1つ以上の柱540とを更に含む。構造パネル202、252、302、352と同様に、ロッド536は、オプションとして、金属又は金属合金(ステンレス鋼、銅、青銅、真鍮、亜鉛メッキ鋼等)、プラスチック(ポリエチレン又はポリプロピレン等)、複合材(ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、又はガラス強化プラスチック(GRP)等)を含む。更に、ロッド536は、液体534による腐食を防止するためにライニング542によって完全に封入される。したがって、ライニング542は、事前形成してもよく、後に現場で取り付けてもよい。梁538及び柱540は、側壁506、508、510、512及びカバー504にそれぞれ垂直に配置されて支持されている。
【0119】
図30は、図29に示す第2の組立式パネルタンク500の変形例550の部分分解図である。変形例550は、第2の組立式パネルタンク500と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例550の特徴は、図29に示す第2の組立式パネルタンク500を参照するものとする。梯子518に加えて、変形例550は、アクセスホール516を介して変形例550の底部502に容易にアクセスできるように、変形例550内に第2の梯子552を有する。更に、変形例550は、仕切554を有し、この仕切554は、変形例550を2つの小タンク、すなわち、前壁506、後壁508、左壁510及び仕切554によって囲まれた第1のタンク556と、前壁506、後壁508、右壁510及び仕切554によって囲まれた第2のタンク558とに仕切っている。
【0120】
図31は、外部基礎530のない第2の組立式パネルタンク500の部分分解図である。第2の組立式パネルタンク500の全ての特徴は、底部502が必要でないことを除いて、図29の特徴と同一である。地面を圧縮して平坦な圧縮土板544(図示せず)を準備して、この平坦な圧縮土板の上に一片のライニング542が広げられる。第2の組立式パネルタンク500は、ライニング542の上に直接、側壁506、508、510、512を立ち上げ、これらの側壁506、508、510、512にカバー504を連結することによって構築される。図31に示すこの第2の組立式パネルタンク500は、特に、油貯蔵及び化学廃棄物処理に使用される。
【0121】
図32は、図30に示す第2の組立式パネルタンク550の変形例570の部分分解図である。変形例570は、第2の組立式パネルタンク500と同様の構造を有し、したがって、ここでの変形例570の特徴は、図31に示す第2の組立式パネルタンク500を参照するものとする。梯子518に加えて、変形例570は、アクセスホール516を介して変形例570のライニング536に容易にアクセスできるように、変形例570の内部に第2の梯子572を有する。更に、変形例570は、仕切574を有し、仕切574は、変形例570を2つの小タンク、すなわち、前壁506、後壁508、左壁510及び仕切574によって囲まれた第1のタンク576と、前壁506、後壁508、右壁510及び仕切574によって囲まれた第2のタンク578とに仕切っている。
【0122】
図33は、第3の組立式パネルタンク600の断面図である。第3の組立式パネルタンク600は、第1の組立式パネルタンク100の幾つかの特徴を共有し、基本的に、底部602、カバー604(図示せず)、前壁606(図示せず)、後壁608(図示せず)、左壁610及び右壁612を備え、これらは、複数のユニットパネル614によって構築される。但し、組立式パネルタンク600は、これ自体で自立する独立した装置ではなく、底部602及び4つの側壁606、608、610、612は、施設636によって囲まれて支持されている。図33に示すように、施設636は、地面640に掘られた穴638を含む。地面640が底部602及び4つの側壁606、608、610、612を機械的に支持するため、第3の組立式パネルタンク600内に貯蔵された液体634(図示せず)からの圧力によってユニットパネル614に加わる負荷が軽減されている。したがって、第3の組立式パネルタンク600は、外部基礎130、530、外部フレームワーク132又は内部フレームワーク532及びエンボス230、280等の特徴を追加する必要がない。したがって、第3の組立式パネルタンク600は、より安価に製造及び維持できる。
【0123】
図34は、第3の組立式パネルタンク600の変形例650の拡大断面図である。変形例650は、複数の第1のユニットパネル200によって構築される。第3の組立式パネルタンク600とは異なり、第1のユニットパネル200は、締結具654によって、底部ライニング652を介して地面640に固定されている。
【0124】
図35は、第4の組立式パネルタンク700の部分分解図である。組立式パネルタンク100、500、600が直方体であるのに対し、第4の組立式パネルタンク700は、円筒形である。第4の組立式パネルタンク700は、図15図20に示す複数の湾曲ユニットパネル714によって組み立てられる底部702(図示せず)、カバー704及び側壁706を含む。また、第4の組立式パネルタンク700は、アクセスホール716と、梯子718と、排液孔720と、排液管722(図示せず)と、注入口724と、排出口726と、外部基礎730とを備えている。第4の組立式パネルタンク700内には、液体734(図示せず)が貯留される。
【0125】
図36は、第4の組立式パネルタンク700の上面図である。ここには、複数の湾曲ユニットパネル714を連結することによって第4の組立式パネルタンク700が構成されていることが明らかに示されている。
【0126】
図37は、湾曲ユニットパネル714の斜視図および断面図である。湾曲ユニットパネル714は、更に、構造パネル752と、断熱層756と、拡張部758とを含む。拡張部208、258、308、358とは異なり、拡張部758は、湾曲ユニットパネル714の4つの周縁部にそれぞれ4つのマージン、すなわち、前縁部762にある前マージン760(図示せず)、後縁部766にある後マージン764(図示せず)、左縁部770にある左マージン768及び右縁部774にある右マージン772を含む。具体的には、4つのマージン760、764、768、772は、それぞれ縁部762、768、770、774に対してある角度(例えば、90度)で折り曲げられていない。したがって、構造パネル752は、4つのマージン760、764、768、772の間に延在する。
【0127】
2つの湾曲ユニットパネル714は、互いに連結される。同様に、より多くの湾曲ユニットパネル714を互いに連結することにより第4の組立式パネルタンク700が形成される。あるいは、単一の湾曲ユニットパネル714自体を連結して、円筒状部品を形成することができ、複数の円筒状部品を垂直方向に連結して第4の組立式パネルタンク700を形成してもよい。図38は、互いに連結される2つの湾曲ユニットパネル714、すなわち、第5のユニットパネル750及び第6のユニットパネル751の断面図である。第5のユニットパネル750の右マージン772と第6のユニットパネル752の左マージン768とが重ね合わされ、連結される。そして、第5のユニットパネル750及び第6のユニットパネル751の内面には、単一の連続的ライニング754が取り付けられる。
【0128】
図39は、上述した組立式パネルタンク801、すなわち、組立式パネルタンク100、500、600、700のいずれかに基づく仕切タンク800の断面図である。仕切タンク800は、仕切部802により第1のサブタンク804と第2のサブタンク806とに完全に分離されている。第1のサブタンク804及び第2のサブタンクは、それぞれ第1の流体808(図示せず)及び第2の流体810(図示せず)を格納する。特に、第1の流体808と第2の流体810とは、仕切部802を介して連通していない。仕切部802は、第1の流体808及び第2の流体810にそれぞれ接触する第1の面812及び第2の面814を有する。
【0129】
仕切部802は、第1のライニングシート204と第2のライニングシート254との間の連結箇所290で第1のユニットパネル200と第2のユニットパネル250とを連結することにより、第2の面814から先に組み立てられる。更に、第1及び第2のユニットパネル200、250は、仕切部800の第1の面812でも連結箇所290において連結される。仕切部800には、最後に、第1の面812、特に連結箇所290を覆う追加的ライニングシート816が取り付けられる。このように、連結箇所290は、追加的ライニングシート816によって第1の面812から保護され、第1及び第2のライニングシート204、254によって第2の面814から保護される。換言すれば、仕切部802は、第1の面812において事前形成された(pre-formed)ライニングシート204、254によって第1の流体808から保護され、仕切部800が第1の面812から組み立てられた後、後形成された(post-formed)追加的ライニングシート816によって第2の流体810から保護される。
【0130】
図40は、図27で説明した第3のユニットパネル300及び第4のユニットパネル350を用いた他の仕切タンク850の断面図である。仕切部800と同様に、仕切部852を組み立てることにより、仕切タンク850は、第1の流体858及び第2の流体860をそれぞれ収容する第1のサブタンク854及び第2のサブタンク856に完全に分離される。仕切部802とは異なり、仕切部852は、仕切部852の第1の面862と第2の面864の両方から、第3のユニットパネル300と第4のユニットパネル350とを連結箇所390で連結して組み立てる。仕切部852は、更に、第1の面862及び第2の面864をそれぞれ覆う第1の追加的ライニングシート866及び第2の追加的ライニングシート868を備える。特に、連結箇所390は、第1のライニングシート866によって第1の面862から保護され、第2のライニングシート868によって第2の面864から保護されている。換言すれば、仕切部852は、仕切部850を組み立てた後、第1及び第2の追加的ライニングシート866、868を追加的に取り付けることにより、第1の流体858及び第2の流体860から保護される。
【0131】
図41は、プレハブ式ユニットパネル900を製造するための真空成形プロセスS10の断面図であり、プレハブ式ユニットパネル900は、上述した任意のユニットパネルを含むが、これらに限定されるわけではない。ここでは、プレハブ式ユニットパネル900を処理する例示的な真空成形プロセスS10が示されている。真空成形プロセスS10の前に、構造パネル910を真空チャンバ950内に配置する。真空成形プロセスS10は、構造パネル910上にライニングシート920を位置合わせする第1の工程S100(図41(a))と、ライニングシート920が変形可能に柔軟になるようにこれを加熱する第2の工程S200(図41(b))と、ライニングシート920を構造パネル910の内面912に形成して、ライニングシート920と構造パネル910とを負圧で連結する第3の工程S300(図41(c))とを有する。負圧は、真空チャンバ950から外部環境に空気を送り出す真空ポンプ等の既知の装置又は方法によって発生させることができる。真空チャンバ950内には、構造パネル910を固定すると共にライニングシート920に向かって上方に移動させるための駆動プレート960が配置されている。具体的には、駆動プレート960は、駆動プレート960を空気が通過するための複数のオリフィス970を有する。図41(b)の直線矢印980で示すように、オリフィス970を通って熱風が上昇してライニングシート920に到達し、ライニングシート920を所定の温度に加熱する。熱風は、オリフィス970を通って均一に広がり、ライニングシート920をより均一に加熱する。そして、図41(c)の曲線矢印990に示すように、真空チャンバ950内の空気を外部に排出し、真空成形プロセスに必要な負圧を形成する。
【0132】
具体的には、第3の工程S300は、構造パネル910をライニングシート920に向かって上方に移動させる第1の手順S310と、ライニングシート920を構造パネル910に真空成形して構造パネル910の内面912の輪郭をライニングシート920に転写する第2の手順S320と、ライニングシート920を冷却してライニングシート920に輪郭を結晶化させ、構造パネル910とライニングシート920とを連結する第3の手順S330とを有する。
【0133】
本出願において、別段の指定がない限り、用語「備える」、「有する」、「含む」及びこれらの文法的活用形は、「オープンな」又は「包括的」言及を表すことを意図しており、すなわち、これらの表現は、列挙された要素を含むが、追加の、明示的に記載していない要素の包含も許容する。
【0134】
本明細書で使用する「約」という用語は、組成物の成分の濃度の文脈においては、典型的には、記載値の+/-5%、より典型的には、記載値の+/-4%、より典型的には、記載値の+/-3%、より典型的には、記載値の+/-2%、更に典型的には、記載値の+/-1%、更に典型的には、記載値の+/-0.5%を意味する。
【0135】
本開示を通じて、特定の実施形態を範囲指定形式で開示することがある。範囲指定形式の記載は、単に便宜上及び簡潔性を目的とするものであり、開示された範囲の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。したがって、ある範囲の記述は、その範囲内の個々の数値のみでなく、可能な全ての部分的範囲を具体的に開示しているとみなされる。例えば、1~6といった範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分的範囲の特別な開示とも解釈でき、また、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5及び6の開示とも解釈される。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0136】
本出願の種々の他の変更例及び適応例は、本出願の思想及び範囲から逸脱することなく、前述の開示から当業者にとって明らかであり、そのような変更例及び適応例は、全て、特許請求の範囲の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0137】
100 第1の組立式パネルタンク
102 底部
104 カバー
106 前壁
108 後壁(図示せず)
110 左壁(図示せず)
112 右壁
114 ユニットパネル
116 アクセスホール
118 梯子
120 排液孔
122 排液管
124 注入口
126 排出口
128 梯子の上端
130 外部基礎
132 外部フレームワーク
134 液体(図示せず)
136 ライニング
138 組立式パネルタンクの辺
150 第1の組立式パネルタンクの変形例
152 第2の梯子
154 仕切
156 第1のタンク
158 第2のタンク
170 第1の組立式パネルタンクの変形例
172 第2の梯子
174 仕切
176 第1のタンク
178 第2のタンク
200 第1のユニットパネル
202 第1の構造パネル
204 第1のライニングシート
206 第1の断熱層
208 第1の拡張部
210 第1の前フランジ
212 第1の前縁部
214 第1の後フランジ
216 第1の後縁部
218 第1の左フランジ
220 第1の左縁部
222 第1の右フランジ
224 第1の右縁部
226 (第1の構造パネルの)内面
228 (第1の構造パネルの)外面
230 第1のエンボス
235 締結具
240 スタッド
242 (第1のライニングシートの)第1の面
244 (第1のライニングシートの)第2の面
246 空隙
248 充填材
250 第2のユニットパネル
252 第2の構造パネル
254 第2のライニングシート
256 第2の断熱層
258 第2の拡張部
260 第2の前フランジ
262 第2の前縁部
264 第2の後フランジ
266 第2の後縁部
268 第2の左フランジ
270 第2の左縁部
272 第2の右フランジ
274 第2の右縁部
276 (第2のユニットパネルの)内面
278 (第2のユニットパネルの)外面
280 第2のエンボス
290 連結箇所
292 継ぎ目
294 連結材
296 (ライニングシートの)第1の層
297 第1の厚さ
298 ライニングシートの第2の層
299 第2の厚さ
2000 第1のユニットパネルの変形例
2100 第1のユニットパネルの変形例
2150 第1のユニットパネルの第2の変形例
2200 第1のユニットパネルの変形例
2300 第1のユニットパネルの変形例
2400 変形例2100の変更例
2500 変形例2200の変更例
2600 第1のユニットパネルの変更例
2610 接着層
2700 第3のユニットパネル
2710 連結箇所
2730 締結具
2800 平面ユニットパネル
2810 平面構造パネル
2820 平面ライニングシート
2830 左端
2840 連結箇所
2850 締結具
3000 湾曲ユニットパネル
3002 湾曲構造パネル
3004 湾曲ライニングシート
3006 湾曲断熱層
3008 (湾曲構造パネルの)内面
3010 (湾曲構造パネルの)外面
3012 前縁部
3014 後縁部
3016 左縁部
3018 右縁部
3020 拡張部
3022 前フランジ
3024 後フランジ
3026 左フランジ
3028 右フランジ
3040 第1の湾曲ユニットパネル
3050 第2の湾曲ユニットパネル
3052 第2の構造パネル
3054 第2のライニングシート
3056 第2の断熱層
3058 (第2の構造パネルの)第2の内面
3060 (第2の構造パネルの)第2の外面
3062 第2の前縁部
3064 第2の後縁部
3066 第2の左縁部(図示せず)
3068 第2の右縁部(図示せず)
3070 第2の拡張部
3072 第2の前フランジ
3074 第2の後フランジ
3076 第2の左フランジ(図示せず)
3078 第2の右フランジ(図示せず)
3090 連結箇所
3092 継ぎ目
3094 連結材
3096 締結具
3100 湾曲構造パネルの第1の変形例
3150 湾曲構造パネルの第2の変形例
3200 湾曲構造パネルの第1の変形例
3250 湾曲構造パネルの第2の変形例
3300 湾曲構造パネルの第1の変更例
3310 第1のスタッド
3320 第1の空隙
3330 第1の充填材
3340 第1の接着層
3350 湾曲構造パネルの第2の変更例
3360 第2のスタッド
3370 第2の空隙
3380 第2の充填材
3390 第2の接着層
3400 湾曲構造パネルの第1の変更例
3450 湾曲構造パネルの第2の変更例
300 第3のユニットパネル
302 第3の構造パネル
306 第3の断熱層
308 第3の拡張部
310 第3の前フランジ
312 第3の前縁部
314 第3の後フランジ
316 第3の後縁部
318 第3の左フランジ
320 第3の左縁部
322 第3の右フランジ
324 第3の右縁部
326 第3のユニットパネルの内面
330 接着剤
340 ライニング
350 第4のユニットパネル
352 第4の構造パネル
354 第4のライニングシート
356 第4の断熱層
358 第4の拡張部
360 第4の前フランジ
362 第4の前縁部
364 第4の後フランジ
366 第4の後縁部
368 第4の左フランジ
370 第4の左縁部
372 第4の右フランジ
374 第4右縁部
376 第4のユニットパネルの内面
390 連結箇所
392 継ぎ目
394 溶接はんだ
396 ライニングの第1の層
398 ライニングの第2の層
400 折り曲げられたユニットパネル
402 折り曲げ部分
404 第1の部分
406 第2の部分
500 第2の組立式パネルタンク
502 底部
504 カバー
506 前壁
508 後壁(図示せず)
510 左壁(図示せず)
512 右壁
514 ユニットパネル
516 アクセスホール
518 梯子
520 排液孔
522 排液管
524 注入口
526 排出口
528 梯子の上端
530 外部基礎
532 内部フレームワーク
534 液体(図示せず)
536 ロッド
538 梁
540 柱
542 ライニング
544 土台
550 第2の組立式パネルタンクの変形例
552 第2の梯子
554 仕切
556 第1のタンク
558 第2のタンク
570 第1の組立式パネルタンクの変形例
572 第2の梯子
574 仕切
576 第1のタンク
578 第2のタンク
600 第3の組立式パネルタンク
602 底部
604 カバー
606 前壁
608 後壁
610 左壁
612 右壁
614 ユニットパネル
634 液体
636 施設
638 穴
640 地面
650 第3の組立式パネルタンクの変形例
652 底部ライニング
654 締結具
700 第4の組立式パネルタンク
702 底部
704 カバー
706 側壁
714 湾曲ユニットパネル
716 アクセスホール
718 梯子
720 排液孔
722 排液管
724 注入口
726 排出口
728 梯子の上端
730 外部基礎
734 液体
750 第5のユニットパネル
751 第6のユニットパネル
752 構造パネル
754 ライニング
756 断熱層
758 拡張部
760 前マージン
762 前縁部
764 後マージン
766 後縁部
768 左マージン
772 右マージン
774 右縁部
800 仕切タンク
801 組立式パネルタンク
802 仕切部
804 第1のサブタンク
806 第2のサブタンク
808 第1の流体
810 第2の流体
812 仕切部の第1の面
814 仕切部の第2の面
816 追加的ライニングシート
850 仕切タンク
852 仕切部
854 第1のサブタンク
856 第2のサブタンク
858 第1の流体
860 第2の流体
862 第1の面
864 第2の面
866 第1の追加的ライニングシート
868 第2の追加的ライニングシート
900 プレハブ式ユニットパネル
910 構造パネル
912 プレハブ式ユニットパネルの内面
920 ライニングシート
950 真空チャンバ
960 駆動プレート
970 オリフィス
980 直線矢印
990 曲線矢印
S10 真空成形プロセス
S100 第1の工程
S200 第2の工程
S300 第3の工程
S310 第1の手順
S320 第2の手順
S330 第3の手順
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】
図16(a)】
図16(b)】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27(a)】
図27(b)】
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41(a)】
図41(b)】
図41(c)】