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特許7574316CMP-Neu5ACの調製のための酵素的方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】CMP-Neu5ACの調製のための酵素的方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/30 20060101AFI20241021BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20241021BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20241021BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20241021BHJP
   C12N 11/00 20060101ALI20241021BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20241021BHJP
   C12N 9/90 20060101ALN20241021BHJP
   C12N 15/61 20060101ALN20241021BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
C12P19/30 ZNA
C12N9/16 B
C12N9/12
C12N15/55
C12N11/00
C12N9/10
C12N9/90
C12N15/61
C12N15/54
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022561598
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2021059101
(87)【国際公開番号】W WO2021204898
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】20168848.8
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501497655
【氏名又は名称】マックス プランク ゲゼルシャフト ツゥアー フェデルゥン デル ヴィッセンシャフテン エー フォー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レクサー トーマス エフ.テー.
(72)【発明者】
【氏名】マホウア レザ
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2004/009830(JP,A1)
【文献】特表2016-519952(JP,A)
【文献】特開2002-085087(JP,A)
【文献】Carbogydrate Research,1998年,Vol.306,p.575-578
【文献】Applied Microbiology and Biotechnology,2009年08月26日,Vol.85, No.5,p.1383-1391
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry,2004年,Vol.12, No.24,p.6427-6435
【文献】Marine Drugs,2003年,Vol.1, No.1,p.34-45
【文献】Applied Microbiology and Biotechnology,2000年,Vol.53, No.1,p.257-261
【文献】J. Am. Chem. Soc.,1988年,Vol.110, No.21,p.7159-7163
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/30
C12N 9/16
C12N 9/12
C12N 15/55
C12N 11/00
C12N 9/10
C12N 9/90
C12N 15/61
C12N 15/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法であって、
【化1】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE、EC5.1.3.8)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL、EC4.1.3.3)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS、EC2.7.7.43)、ウリジンキナーゼ(UDK、EC2.7.1.48)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6、EC2.7.4.22)、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3、EC2.7.4.1)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで
前記ウリジンキナーゼ (UDK)は、前記シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、
生成方法。
【請求項2】
前記酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA、EC3.6.1.1)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵素のセットは、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2、EC2.7.4.1)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2、EC2.7.4.1)を更に含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結果的に得られた溶液は、7.0~9.0の範囲のpH値を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから5000mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから5000mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、0.1mMから2000mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから100mMの範囲である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記N-アセチル-D-グルコサミンと前記シチジンとの比率は、1:1から100:1の範囲であり、および/または前記結果的に得られた溶液は、0.1mMから200mMの範囲の濃度を有するMg2+を更に含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素のそれぞれは、以下のアミノ酸配列を有する:
前記N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるに示されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
前記1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含む、
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:50の範囲であり、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から100:1の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:100の範囲であり、および
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:200の範囲であり、および/または
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の濃度は、20~3000mMの範囲であり、
ピルベートの濃度は、20mMから3000mMの範囲であり、
シチジンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001から10mMの範囲であり、および
ポリホスフェートの濃度は、1mMから30mMの範囲である、
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素のセットは、細胞溶解物または細胞ホモジネートから固体支持体上に直接共固定化される、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体支持体は、エポキシド官能基、アミノエポキシド官能基、エチレンジアミン官能基、アミノC2官能基、アミノC6官能基、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基、を有するポリマーを含むビーズまたは樹脂から構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップA)において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ(EC3.5.1.33)の存在下でD-グルコサミン(GlcN)およびアセテートから別々に、またはインサイチュ(in situ)で生成される、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
Neu5アシル化生体分子の生成方法であって、
i)CMP-Neu5Acを得るために、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られた前記CMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、前記生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って前記生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する、
方法。
【請求項13】
前記生体分子は、末端基としてガラクトシド(Gal)、ガラクトサミニド(GalN)、N-アセチルガラクトサミニド(GalNAc)、ノイラミニド(Neu)、N-アセチルノイラミニド(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミニド、3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、およびN-アセチルラコサミニド(Gal-β-1-3-GlcNAc)の部分のいずれかを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
N-アシル-グルコサミン2-エピメラーゼ(AGE、EC5.1.3.8)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL、EC4.1.3.3)、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS、EC2.7.7.43)、ウリジンキナーゼ(UDK、EC2.7.1.48)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6、EC2.7.4.22)、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3、EC2.7.4.1)を含む酵素のセットを含む酵素のセットであって、ここで、前記酵素のセットは、共有結合によってポリマー上に共固定化される、酵素のセット。
【請求項15】
無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2、EC2.7.4.1)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2、EC2.7.4.1)を更に含み、および/またはN-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ(EC3.5.1.33)を更に含む、請求項14に記載の酵素のセット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットを用いて単一反応混合物で、低コストの基質N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、ピルベート、シチジン、およびポリホスフェートから、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac、1)を生成する方法に関する。さらに、前記工程は、Neu5アシル化、すなわちシアリル化された生体分子、並びにサッカリド、ペプチド、タンパク質、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、抗体、複合糖質、特に、抗体薬物複合体、および炭水化物複合体ワクチン、またはフラボノイドを含む生体分子、を生成するように適合され得る。
【0002】
[発明の背景]
N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)は、シアル酸であり、並びに細胞の表面および可溶性タンパク質に付着された糖鎖の末端に自然に存在する9-炭素(C-9)の酸性モノサッカリドである。人体において、N-アセチルノイラミン酸の最高濃度は、脳において起こり、脳でN-アセチルノイラミン酸は、シナプス形成および神経伝達におけるガングリオシド構造の不可欠な部分として関与する。母乳は、遊離オリゴサッカリド、特にガラクトシルセラミドの末端に結合されたシアル酸を高濃度で含む。特定の病状において、例えば神経外胚葉性由来の浸潤性腫瘍などにおいて、Neu5Acは、細胞表面で過剰発現する。
【0003】
特定の細菌株は、細菌の莢膜ポリサッカリドに大量のN-アセチルノイラミン酸を含む。例えば、髄膜炎菌血清群B莢膜ポリサッカリドは、α(2-8)-結合N-アセチルノイラミン酸の約200個の反復単位からなるシアル酸の線形ホモポリマーである(Bhattacharjee A.K.et al.,J.Biol.Chem.1975,250,pp.1926-1932)。このホモポリマーは、新生児に髄膜炎を引き起こす病原体である大腸菌(Escherichia coli)K1の莢膜において、重要な獣医病原体であるパスツレラ ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)A2において、および、さらに、鼻グレーブス(graves)における一般的な非-病原性微生物であるモラクセラ ノン-リクエファシエンス(Moraxella non-liquefaciens)においても存在するため、髄膜炎菌血清群Bに限定されない。
【0004】
N-アセチルノイラミン酸は、遊離して天然に存在することはまれである。N-アセチルノイラミン酸は、ムチン、糖タンパク質、および糖脂質のオリゴサッカリドの構成要素として、より一般的に存在する。N-アセチルノイラミン酸は、通常、主にガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、および他のシアル酸部分の様々な連結における、外膜および内膜表面上の複雑な炭水化物のオリゴサッカリド鎖の末端の非還元位置を占め、そこでN-アセチルノイラミン酸は非常に露出され、機能的に重要である。
【0005】
高等動物および様々な微生物からの細胞は、グルコースから始まる長い経路においてシアル酸を生成する。シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-D-ノイロサミン酸(CMP-Neu5Ac)は、多数の生物工学的応用のために重要な基質である。
【0006】
CMP-Neu5Acは、ポリシアル酸、糖脂質、および糖タンパク質を含む様々な生体高分子において受容体ヒドロキシル基にシアル酸を結合するシアリルトランスフェラーゼの供与体基質である(Tsuji,1996)。
【0007】
哺乳類の外細胞表面に存在するシアリル化オリゴサッカリドは、細胞相互作用において重要な役割を果たしており、いくつかの細菌は、宿主の免疫系を回避するために、これらの構造を模倣することができる。シアリル化の経路を詳細に理解して、阻害剤および模倣物の設計および生産を可能にすることは、感染症、および自己免疫疾患、および癌の研究に大きな利益をもたらすだろう。シアリル化は、2つの段階で起こり、第一は、シアル酸を活性化すること、および第二は、活性化されたシアル酸を標的分子に転移することである。活性化ステップは、酵素CMP-Neu5Acシンセターゼ(CSS、またはCNS)によって触媒される。
【0008】
CMP-Neu5Acは、不安定であり、比較的高価であるので、CMP-Neu5Acシンセターゼは、シアリル化オリゴサッカリドの予備(preparative)酵素合成に重要である。CMP-Neu5Acシンセターゼは、対応するシアロオリゴサッカリド類似体を合成するために、シアル酸類似体を荷電するためにも使用されることができる。シアル酸活性化は、Kean(1991)によって見直されており、CMP-Neu5Acシンセターゼは、様々な真核性の、および原核性の供給源から単離されている。いくつかの細菌性病原体は、重要な病原性因子としてシアリル化された莢膜およびリポポリサッカリドを有することが示されており、このことは、シアル酸の生合成の、およびこれらの生物への取り込みの研究の動機になっている。髄膜炎菌は、WarrenおよびBlacklow(1962)によって、CMP-Neu5Acシンセターゼの優れた供給源であることが示されたが、非病原性の組換え株は、この酵素の生産のスケールアップ、およびシアリル化されたオリゴサッカリドの予備合成における当該適用のために好ましいだろう。CMP-Neu5Acシンセターゼをコードする細菌遺伝子は、大腸菌(Vann et al.,1987)、髄膜炎菌(Edwards and Frosch,1992,Ganguli et al.,1994)、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)(Haftet al.,1996)およびヘモフィルス デュクレイ(Haemophilus ducreyi)(Tullius et al.,1996)からクローン化されている。
【0009】
CMP-Neu5Acは、炭水化物ワクチンの生成に、および個別化医療の成長分野、すなわち、薬物送達のための糖ナノ材料の調製に必要である。さらに、インビトロ(in vitro)でモノクローナル抗体および他の組換えタンパク質のコア構造を構築するために、CMP-Neu5Acは、広範囲に必要とされている。
【0010】
したがって、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化生体分子を含むことへの高い需要がある。しかしながら、CMP-Neu5Acの高い需要(年あたりトンのオーダーで)にもかかわらず、CMP-Neu5Acの入手可能性は、研究者にとっても非常に制限される。
【0011】
アデノシン5’-モノホスフェート(AMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)は、10mMの濃度で特定のN-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)の活性を、60%以上阻害することが知られている。既知の方法において、高濃度の例えば、CMP、CDP、またはCTPなどのシチジルヌクレオチドは、CMP-Neu5Acの酵素合成に直接的に提供される。しかしながら、例えば、CMP、CDP、およびCTPなどのリン酸化シチジンは、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)の阻害剤として知られており、CSSの第2のシチジル結合部位へ結合することを介してCSSがシチジンヌクレオチドによって阻害される(Ignacio G.BRAVO et.al.,Biochem.J,2001,258,pp568-598.)。
【0012】
非常に低濃度のシチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびシチジン5’-ジホスフェート(CDP)は、特定のN-アセチル-ノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)の活性を強力に阻害することが報告される。例えば、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)からのCSSの活性は、0.3mMのCMPによって57%、およびCDPによって45%阻害される。ペロフィルス エシューレナッツ(Pelophyls eschulenuts)からのCSSの活性は、1.0mMのCMPによって43%、1mMのCDPによって49%阻害される。さらに、高濃度(5mMを超える)のCTPは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)およびドブネズミ(Rattus norvegicus)からのCCSの活性を阻害する。
【0013】
したがって、高濃度のCMP、CDP、および/またはCTPを直接提供することは、CMP-Neu5Acの酵素的生成にとって技術的に不利であることは明らかである。
【0014】
逆に、シチジンは、高濃度(60mMを超える)でCSSの活性を阻害しない。さらに、ATPはCCSの活性化剤として使用することができる(Ignacio G.BRAVO et.al.,Biochem.J.2001,258,pp568-598.)。
【0015】
文献に記載されるCMP-Neu5Ac合成の前述の欠点にもかかわらず、CMP-Neu5Acの一般的な反応における更なる欠点は、出発材料、特にシチジン-5’-モノホスフェート(CMP)およびシチジン-5’-トリホスフェート(CTP)それぞれは、非常に高価であるので、合成経路は、CMP-Neu5Acのコストの大きい合成を結果的にもたらす、という事実に基づく。すでに上述されたように、当技術分野において、低コストで容易に入手可能な出発物質からCMP-Neu5Acを調製するための費用効率が高く、効率的な方法を提供する必要がある。
【0016】
CMP-Neu5Acの調製のために費用効果が高く、効率的な方法を提供するために、例えば、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、ピルベート、シチジン、およびポリホスフェートなどの低コストの基質は、図1Aに示されるように、多酵素カスケード反応におけるCMP-Neu5Acの生産に適した出発材料として特定される。
【0017】
本発明の反応カスケードは、(a)N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、(b)ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸の形成、(c)シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェートからのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、(d)CMPおよびATPからのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、(e)CDPおよびポリホスフェート(ポリP)からのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、および(f)Neu5AcとCTPでCMP-Neu5Acにする反応、を含む。任意に、ADPのATPへの変換を助けるために1D-PPK2を添加することによってカスケードを拡張することができる。さらに、AMPのADPへのリン酸化を活性化するために、2D-PPK2を追加することによって、カスケードを拡張することができる。さらに、アデノシンホスフェートの頻繁な加水分解を阻害するために、1D-PPK2および2DPPK2を添加することにより、カスケードを拡張することができる。
【0018】
CMP-Neu5Acを、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、ピルベート、シチジン、およびポリホスフェートから、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)の存在下で、直接的に生成することができることが予想された。
【0019】
とりわけ、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)の触媒活性を強く阻害するCMPおよびCDPの濃度を制御するために、CMPは、ウリジンキナーゼ(UDK)の存在下でシチジンからインサイチュ(in situ)で生成され、CDPも、ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼによってCMPからインサイチュ(in situ)で継続的に生成される。
【0020】
驚くべきことに、本発明者らは、ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒されるシチジンのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)へのインサイチュ(in situ)変換が、リン酸化シチジンヌクレオチド、特にN-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)の触媒活性を阻害するCMP、およびCDPの濃度を制御することを明らかにしている。さらに、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットが、固体支持体上に共固定化される場合、多酵素カスケード反応の効率を高める。
【0021】
低コストおよび容易に入手可能な基質から出発して費用効果が高い方法においてCMP-Neu5Acを生成する効率的な多酵素法に対する長年の必要性がある。
【0022】
したがって、本発明の目的は、CMP-Neu5Acの調製のための費用効果が高い、および効率的な多酵素法を提供することである。
本発明の目的は、独立請求項の教示によって解決される。本発明の更なる有利な特徴、態様、および詳細は、本出願の従属請求項、明細書、図面、および実施例から明らかである。
【0023】
[発明の説明]
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0024】
【化1】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、
を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジン5’-モノホスフェート(CMP)に変える。
【0025】
本発明の好ましい実施形態は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0026】
【化2】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、
を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、酵素のセット、または酵素のセットの少なくとも三つは、固体支持体上に共固定化され、およびウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジン5’-モノホスフェート(CMP)に変える。
【0027】
別の方法として、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートから別々に、またはインサイチュ(in situ)で生成される。したがって、いくつかの場合において、追加のステップA1)を、以下の通りにステップA)の前に別々に行ってもよい:
A1)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミンを生成する。
【0028】
他の場合において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからインサイチュ(in situ)で生成される。
【0029】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0030】
【化3】
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ、N-アシル-グルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、
を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジン5’-モノホスフェート(CMP)に変える。
【0031】
好ましくは、酵素のセットは固体支持体上に共固定化され、より好ましくは酵素のセットは再利用可能な、機械的に安定な固体支持体上に共固定化されることにより各酵素の活性を増加させる、または各酵素の活性の大部分を保持する。
【0032】
任意に、酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)を更に含む。さらに、酵素のセットは、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を更に含む。無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、好ましくは、同じ固体支持体上で上記の酵素と共に共固定化もされる。
【0033】
好ましくは、本発明の方法において、ステップB)において結果的に得られる溶液は、5.0~10.0、好ましくは5.5~9.5、より好ましくは6.0~9.0、さらにより好ましくは6.5~9.0、最も好ましくは7.0~9.0、の範囲のpH値を有する。
【0034】
好ましくは、本発明の方法において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の濃度は、10mMから3500mM、好ましくは20mMから3000mM、より好ましくは15mMから2500mM、さらにより好ましくは20mMから2000mMの範囲であり、最も好ましくは20mMから1000mMの範囲であり、
および/またはピルベートの濃度は、10mMから3500mM、好ましくは20mMから3000mM、より好ましくは15mMから2500mM、さらにより好ましくは20mMから2000mMの範囲であり、最も好ましくは、20mMから1000mMの範囲であり、
および/またはシチジンの濃度は、1mMから50mM、好ましくは1mMから40mM、より好ましくは1mMから30mM、さらにより好ましくは10mMから20mMの範囲であり、最も好ましくは1mMから15mMの範囲であり、
および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから10mM、好ましくは0.005mMから10mM、より好ましくは0.01mMから10mM、さらにより好ましくは0.05mMから10mMの範囲であり、最も好ましくは、0.1mMから10mMの範囲であり、
および/またはポリホスフェートの濃度は、1mMから30mM、好ましくは1mMから25mM、より好ましくは1mMから20mM、さらにより好ましくは1mMから15mMの範囲であり、最も好ましくは、1mMから10mMの範囲である。
【0035】
好ましくは、本発明の方法において、N-アセチル-D-グルコサミンとシチジンとの比率は、1:1から100:1の範囲である。
好ましくは、本発明の方法において、結果的に得られる溶液は、0.1mMから500mM、好ましくは0.1mMから200mM、より好ましくは1mMから100mM、さらにより好ましくは10mMから100mM、最も好ましくは20mMから50mMの範囲の濃度で、Mg2+を更に含む。
【0036】
好ましくは、本発明の方法において、各酵素は、以下のアミノ酸配列を有する:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるに示されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0037】
特に、固体支持体は、エポキシド官能基、アミノエポキシド官能基、エチレンジアミン官能基、アミノC2官能基、アミノC6官能基、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基、を有するポリマーを含むビーズまたは樹脂から構成される。固体支持体は、ナノ粒子を含む多孔性もしくは非多孔性粒子、または0.1Åから100000Åの細孔径を有する多孔性ビーズである。
【0038】
好ましくは、酵素のセットは、細胞溶解物または細胞ホモジネートから固体支持体上に直接共固定化される。
本発明はまた、Neu5アシル化された、すなわちシアリル化された生体分子を生成するための方法を指し、
i)CMP-Neu5Acを得るために上記の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下でCMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基とO-グリコシド結合を形成する。
【0039】
好ましくは、シアリルトランスフェラーゼは、ベータ-ガラクトサミドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.1)、アルファ-N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.3)、ベータ-ガラクトシドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.4)、N-アセチルラクトサミニドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)、アルファ-N-アセチル-ノイラミニドアルファ-2,8-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.8);およびラクトシルセラミドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.9)から選択される。これらの酵素は、グリコシル供与体としてCMP-Neu5Acを使用する。
【0040】
シアリルトランスフェラーゼは、配列Neu5Ac-α-2,3-Gal-β-1,3-GalNAc-の合成に関与してもよく、配列Neu5Ac-α-2,3-Gal-β-1,3-GalNAc-は、ThrまたはSerにO-結合した糖鎖上で発見され、特定のガングリオシドの末端配列としても発見される。これらの酵素は、グリコシル化中にシアリル転移反応を触媒し、II型膜タンパク質である。
【0041】
したがって、好ましくは、生体分子は、末端基としてガラクトシド(Gal)、ガラクトサミニド(GalN)、N-アセチルガラクトサミニド(GalNAc)、ノイラミニド(Neu)、N-アセチルノイラミニド(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミニド、3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、およびN-アセチルラコサミニド(Gal-β-1-3-GlcNAc)から選択されるいずれか一つの部分を含む。
【0042】
より好ましくは、生体分子は、T-抗原(Gal-β-1-3-GalNAc-α-1-O-)またはTn-抗原(GalNAc-α-1-O-)を含む糖ペプチド、糖タンパク質、または抗腫瘍ワクチン;またはGal-β-1-4-GlcNAc-β-1-O-を含む糖脂質、である。
【0043】
本発明はまた、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットを対象にし、ここで、酵素のセットは、共有結合を介してポリマー上に固定化または共固定化される。
【0044】
好ましくは、酵素のセットは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチル-ノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含み、ここで、酵素のセットは、好ましくは、エポキシ基で官能基化されたポリマー上に共固定化される。
【0045】
好ましくは、本発明の酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を更に含む。
【0046】
[発明の詳細な説明]
定義
本明細書で使用される用語「N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(GlcNAc2-エピメラーゼ、ACE)」は、以下の通り、N-アシル-D-グルコサミンのN-アシル-D-マンノサミンへのエピマー化を触媒する活性ドメインを有する酵素を指す:
【0047】
【化4】
【0048】
したがって、この酵素は、1つの基質、N-アシル-D-グルコサミン、および1つの生成物、N-アシル-D-マンノサミンを有する。この酵素はイソメラーゼのファミリーに属し、具体的には炭水化物および誘導体に作用するラセマーゼやエピメラーゼのファミリーに属する。
【0049】
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼは、ECクラス5.1.3.8に属する。N-アシル-グルコサミン2-エピメラーゼは、次の同義語も有する:N-アシル-D-グルコサミン2-エピメラーゼ、アシルグルコサミン2-エピメラーゼ、およびN-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ。この酵素は、アミノ糖代謝に関与している。この酵素は、1つの補因子、ATPを用いる。
【0050】
本明細書で使用される用語「N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ」は、以下の反応を触媒する活性ドメインを有する酵素を指す:
【0051】
【化5】
【0052】
この酵素反応は可逆的であり、したがって本発明において、N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼは、GlcNAcの生成に対して平衡を移動することによって、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)を生成するために使用される。したがって、本発明において、この酵素は、N-アセチル-D-グルコサミンを生成するために、D-グルコサミンおよびアセテートの2つの基質を使用する。
【0053】
この酵素は加水分解酵素のファミリーに属し、ペプチド結合以外の炭素-窒素結合、特に線形アミドに作用する。N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼは、ECクラスEC3.5.1.33 に属する。N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼには、次の同義語も有する:N-アセチル-D-グルコサミンアミド加水分解酵素、アセチルアミノデオキシグルコースアセチル加水分解酵素、およびN-アセチル-D-グルコサミニルN-デアセチラーゼ。
【0054】
本明細書で使用される用語「N-アセチルノイラミン酸リアーゼ(NAL)」は、以下の反応を触媒する活性ドメインを有するポリペプチドを指す:
【0055】
【化6】
【0056】
この酵素反応は可逆的であり、したがって、本発明において、N-アセチルノイラミナーゼリアーゼを、Neu5Acの生成に対して平衡を移動することによってCMP-Neu5Acを生成するために使用する。したがって、本発明において、この酵素は、N-アセチルノイラミネートを生成するために、N-アセチル-D-マンノサミンおよびピルベートの2つの基質を使用する。
【0057】
この酵素は、リアーゼ、特に炭素-炭素結合を切断するオキソ-酸-リアーゼのファミリーに属する。N-アセチルノイラミネートリアーゼは、ECクラスEC4.1.3.3に属する。N-アセチルノイラミネートリアーゼは、次の同義語も有する:N-アセチルノイラミネートピルベート-リアーゼ(N-アセチル-D-マンノサミン形成)。一般的な使用において他の名前は、N-アセチルノイラミン酸アルドラーゼ、アセチルノイラミネートリアーゼ、シアルアルドラーゼ、シアル酸アルドラーゼ、シアレートリアーゼ、N-アセチルノイラミンアルドラーゼ、ノイラミンアルドラーゼ、N-アセチルノイラミネートアルドラーゼ、ノイラミン酸アルドラーゼ、N-アセチルノイラミン酸アルドラーゼ、ノイラミネートアルドラーゼ、N-アセチルノイラミンリアーゼ、N-アセチルノイラミン酸リアーゼ、NPL、NALase、NANAリアーゼ、アセチルノイラミネートピルベートリアーゼ、およびN-アセチルノイラミネートピルベートリアーゼ、を含む。この酵素は、アミノ糖代謝に関与する。
【0058】
本明細書において使用される用語「N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)」は、シチジン5’-トリホスフェート(CTP)とN-アセチル-D-ノイラミン酸との反応を触媒し、CMP-N-アセチル-D-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成する活性ドメインを有するポリペプチドを指す。
【0059】
N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼは、次の同義語も有する:CMP-シアレートピロホスホリラーゼ、CMP-シアレートシンターゼ、シチジン5’-モノホスホシアル酸シンテターゼ、CMP-Neu5Acシンテターゼ(CNS)、CMP-NeuAcシンテターゼ、アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ、CMP-N-アセチルノイラミネートシンテターゼ、CMP-N-アセチルノイラミネートシンターゼ、CMP-N-アセチルノイラミン酸シンターゼ、CMP-NANAシンテターゼ、CMP-シアレートシンテターゼ、CMP-シアルシンテターゼ、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸シンテターゼ、シチジン5-モノホスフェートN-アセチルノイラミン酸シンテターゼ、シチジンモノホスホシアル酸シンテターゼ、シチジンモノホスホアセチルノイラミンシンテターゼ、シチジンモノホスホシアレートピロホスホリラーゼ、シチジンモノホスホシアレートシンテターゼ、およびアセチルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ。
【0060】
N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼは、ECクラス2.7.7.43に属する。N-アシルノイラミン酸シチジルトランスフェラーゼは、次の反応を触媒する:
【0061】
【化7】
【0062】
N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼは、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)、大腸菌(Escherichia coli)、ヘモフィルス デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘモフィルス インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ハンガテイクロストリジウム サーモセラム(Hungateiclostridium thermocellum)、マンヘイミア ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、パスツレラ ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)A2、ペロフィラックス エスクレンタス(Pelophylax esculentus)、フォトバクテリウム レイオグナシー(Photobacterium leiognathi)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、およびイノシシ(Sus scrofa)を含む微生物、マウス、ラット、子牛、およびニジマス(rainbow trout)から得られる。
【0063】
髄膜炎菌CSSの突然変異体は、次の変異:Q104A、R165A、Q166A、N175A、Y179A、F192A、F193Aの少なくとも一つを有する。
【0064】
キナーゼは、ホスホトランスフェラーゼのファミリーの一部を形成する酵素である。キナーゼは、高エネルギーのホスフェート供与分子から特定の基質へリン酸基の転移を触媒する酵素である。この工程は、リン酸化として知られており、この工程で基質はリン酸基を獲得し、および高エネルギーのヌクレオチド分子、例えば、アデノシントリホスフェート(ATP)は、リン酸基を供与する。このエステル交換は、リン酸化基質およびADPを生成する。
【0065】
本明細書で使用される用語「ウリジンキナーゼ」は、以下の通り、アデノシン三リン酸(ATP)の存在下でウリジンのウリジン5’-モノホスフェートへの反応を触媒する活性ドメインを有するポリペプチドを指す:
【0066】
【化8】
【0067】
したがって、この酵素の二つの基質は、ATPおよびウリジンであり、一方で、その二つの生成物は、ADPおよびUMPである。
さらに、ウリジンキナーゼは、以下の通り、アデノシントリホスフェートの存在下で、シチジンのシチジン5’-モノホスフェートへの反応を触媒することができることが明らかになった。
【0068】
【化9】
【0069】
この酵素は、トランスフェラーゼのファミリーに属し、具体的には、受容体としてアルコール基を用いてリン含有基を転移する酵素(ホスホトランスフェラーゼ)である。ウリジンキナーゼは、ECクラス2.7.1.48に属する。一般的な使用において他の名前は、ピリミジンリボヌクレオシドキナーゼ、ウリジン-シチジンキナーゼ、ウリジンキナーゼ(リン酸化)、およびウリジンホスホキナーゼを含む。この酵素はピリミジン代謝に関与する。
【0070】
本明細書で使用される用語「ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼ」は、アデノシントリホスフェートの存在下でウリジン5’-モノホスフェートのウリジン5’-ジホスフェートへの反応を触媒する活性ドメインを有するポリペプチドを指す。ウリジンモノホスフェートキナーゼは、ECクラス2.7.4.22に属する。ウリジンモノホスフェートキナーゼは、以下の反応を触媒する:
【0071】
【化10】
【0072】
さらに、ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼは、以下の通り、アデノシントリホスフェートの存在下で、シチジンモノホスフェートのシチジン5’-ジホスフェートへの反応を触媒することができることを明らかにした。
【0073】
【化11】
【0074】
この酵素は、トランスフェラーゼのファミリーに属し、具体的には、受容体としてリン酸基を用いてリン含有基を転移する酵素(ホスホトランスフェラーゼ)である。一般的な使用において他の名前は、ウリジレートキナーゼ、UMPK、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、PyrH、UMP-キナーゼ、およびSmbAを含む。この酵素は、ピリミジン代謝に関与する。
【0075】
本明細書において使用される用語「ポリホスフェート」は、六つ以上のホスフェート(PO)四面体のコーナー共有によって生成されるいくつかのP-O-P結合を含む任意の塩を指し、長鎖の形成につながる。用語「ポリP」は同義的に使用され、ここでnは、リン酸残基の数の平均鎖長を表し、例えば、ポリP25は、約25個のリン酸残基を有するポリホスフェートを指し、およびポリP14は、約14個のリン酸残基を有するポリホスフェートを指す。
【0076】
本明細書において使用される用語「ポリホスフェートキナーゼ」は、ポリホスフェートキナーゼ活性を有するポリペプチドを指し、すなわち、ポリホスフェートキナーゼは、以下の反応を触媒し:
【0077】
【化12】
【0078】
ここで、Nは、例えば、グアノシン、アデノシン、ウリジンなどのヌクレオチドであり、およびNMPはヌクレオシドモノホスフェートであり、NDPはヌクレオシドジホスフェートであり、およびNTPはヌクレオシドトリホスフェートである。
【0079】
ウリジンの場合、ポリホスフェートキナーゼは以下の反応を触媒する:
【0080】
【化13】
【0081】
ポリホスフェートキナーゼは、ECクラス2.7.4.1に属する。本明細書において記載の本発明の方法で使用されるポリホスフェートキナーゼ酵素の代表例は、ポリホスフェートキナーゼ1(PPK1)、ポリホスフェートキナーゼ2(PPK2)、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)、および1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書において使用される用語「ピロホスファターゼ」は、ピロホスファターゼ活性を有するポリペプチド、すなわち、以下の反応を触媒するポリペプチドを指し:
【0083】
【化14】
【0084】
ここで、PPiは、ピロホスフェートを指し、Piは、ホスフェートを指す。
ピロホスファターゼは、ECクラス3.6.1.1に属する。この文脈において、用語「ジホスファターゼ」は、ジホスフェートからホスフェートへの加水分解を触媒するピロホスファターゼポリペプチドを指す。
【0085】
本明細書において使用される用語「シアリルトランスフェラーゼ」は、オリゴサッカリドおよび複合糖質を含むNeu5Acの生合成において不可欠な役割を果たすGTファミリーの酵素である。一般に、STによって触媒されるグリコシル化反応において、糖ヌクレオチド供与体は、シチジン5’-モノホスフェートNeu5Ac(CMP-Neu5Ac)であり、受容体は、ガラクトース(Gal)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、または他のNeu5Ac残基によって終結されたオリゴサッカリド、または複合糖質である。STは、Neu5Acが転移されるグリコシルアクセプターの位置に基づいて分類される。ヒトにおいて、ST3、ST6、およびST8があり、それらは、Neu5AcのC2原子とアクセプターの3’-、6’-、または8’-ヒドロキシル基それぞれとの間にα-グリコシド結合を形成する。好ましくは、「シアリルトランスフェラーゼ」は、ベータ-ガラクトサミドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.1)、アルファ-N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.3)、ベータ-ガラクトシドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.4)、N-アセチルラクトサミニドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)、アルファ-N-アセチル-ノイラミニドアルファ-2,8-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.8);およびラクトシルセラミドα-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.9)から選択される。これらの酵素は、グリコシル供与体としてCMP-Neu5Acを使用する。
【0086】
本明細書において使用される用語「サッカリド」は、モノサッカリド、ジサッカリド、トリサッカリド、テトラサッカリド、ペンタサッカリド、ヘキササッカリド、ヘプタサッカリド、オクタサッカリド、オリゴサッカリド、グリカンおよびポリサッカリドを指すが、これらに限定されない。
【0087】
サッカリドを、好ましくは、
D-アラビノース、D-リキソース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノース、L-リキソース、L-リボース、L-キシロース、D-リブロース、D-キシルロース、L-リブロース、L-キシルロース、D-デオキシリボース、L-デオキシリボース、D-エリスロース、D-トレオース、L-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース、D-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース、D-アロース、D-アルトロース、D-グルコース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-ガラクトース、D-タロース、D-プシコース、D-フラクトース、D-ソルボース、D-タガトース、6-デオキシ-L-アルトロース、6-デオキシ-D-タロース、D-フコース、L-フコース、D-ラムノース、L-ラムノース、D-キノボース、オリボース、チベロス、アスカリロース、アベクオース、パラトース、ジギトキソース、コリトース、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、D-マンノサミン、D-アロサミン、l-アルトロサミン、D-グロサミン、L-イドサミン、D-タロサミン、N-アセチル-d-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、N-アセチル-D-マンノサミン、N-アセチル-D-アロサミン、N-アセチル-L-アルトロサミン、N-アセチル-D-グロサミン、N-アセチル-L-イドサミン、N-アセチル-D-タロサミン、N-アセチル-D-フコサミン、N-アセチル-L-フコサミン、N-アセチル-L-ラムノサミン、N-アセチル-D-キノボサミン、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-マンヌロン酸、D-アルロン酸、L-アルトルロン酸、D-グルロン酸、L-グルロン酸、L-イズロン酸、D-タルロン酸、ノイラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコリルノイラミン酸、3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソン酸(KDO)、3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、アピオース、バシロサミン、テベトース、アコフリオース、シマロース、ムラミン酸、N-アセチルムラミン酸、N-グリコリルムラミン酸、3-デオキシ-リキソ-ヘプツロサリン酸、ケトデオキシオクトン酸、およびケトデオキシノノン酸、
から選択される少なくとも一つのモノサッカリド単位を含む。好ましくは、モノサッカリドまたはモノサッカリド単位は、α-、およびβ-D/L-炭水化物の以下の群に属する:
α-D-リボピラノース、α-D-アラビノピラノース、α-D-キシロピラノース、α-D-リキソピラノース、α-D-アロピラノース、α-D-アルトロピラノース、α-D-グルコピラノース、α-D-マンノピラノース、α-D-グルコピラノース、α-D-イドピラノース、α-D-ガラクトピラノース、α-D-タロピラノース、α-D-プシコピラノース、α-D-フルクトピラノース、α-D-ソルボピラノース、α-D-タガトピラノース、α-D-リボフラノース、α-D-アラビノフラノース、α-D-キシロフラノース、α-D-リキソフラノース、α-D-アロフラノース、α-D-アルトロフラノース、α-D-グルコフラノース、α-D-マンノフラノース、α-D-グロフラノース、α-D-イドフラノース、α-D-ガラクトフラノース、α-D-タロフラノース、α-D-プシコフラノース、α-D-フラクトフラノース、α-D-ソルボフラノース、α-D-タガトフラノース、α-D-キシルロフラノース、α-D-リブロフラノース、α-D-トレオフラノース、α-D-ラムノピラノース、
α-D-エリスロフラノース、α-D-グルコサミン、α-D-N-アセチル-グルコサミン、α-D-グルコピラヌロン酸、α-D-ガラクトサミン、α-D-N-アセチル-ガラクトサミン、α-D-マンノサミン、α-D-N-アセチル-マンノサミン、α-D-ノイラミン酸、α-D-N-アセチルノイラミン酸、α-D-N-グリコリルノイラミン酸、α-3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソン酸(KDO)、α-3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、
β-D-リボピラノース、β-D-アラビノピラノース、β-D-キシロピラノース、β-D-リキソピラノース、β-D-アロピラノース、β-D-アルトロピラノース、β-D-グルコピラノース、β-D-マンノピラノース、β-D-グルコピラノース、β-D-イドピラノース、β-D-ガラクトピラノース、β-D-タロピラノース、β-D-プシコピラノース、β-D-フルクトピラノース、β-D-ソルボピラノース、β-D-タガトピラノース、β-D-リボフラノース、β-D-アラビノフラノース、β-D-キシロフラノース、β-D-リキソフラノース、β-D-ラムノピラノース、β-D-アロフラノース、β-D-アルトロフラノース、β-D-グルコフラノース、β-D-マンノフラノース、β-D-グロフラノース、β-D-イドフラノース、β-D-ガラクトフラノース、β-D-タロフラノース、β-D-プシコフラノース、β-D-フルクトフラノース、β-D-ソルボフラノース、β-D-タガトフラノース、β-D-キシルロフラノース、β-D-リブロフラノース、β-D-トレオフラノース、β-D-エリスロフラノース、β-D-グルコサミン、β-D-N-アセチル-グルコサミン、β-D-グルコピラヌロン酸、β-D-ガラクトサミン、β-D-N-アセチル-ガラクトサミン、β-D-マンノサミン、β-D-N-アセチル-マンノサミン、β-D-ノイラミン酸、β-D-N-アセチルノイラミン酸、β-D-N-グリコリルノイラミン酸、β-3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソン酸(KDO)、β-3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、
α-L-リボピラノース、α-L-アラビノピラノース、α-L-キシロピラノース、α-L-リキソピラノース、α-L-アロピラノース、α-L-アルトロピラノース、α-L-グルコピラノース、α-L-マンピラノース、α-L-グルコピラノース、α-L-イドピラノース、α-L-ガラクトピラノース、α-L-タロピラノース、α-L-プシコピラノース、α-L-フルクトピラノース、α-L-ソルボピラノース、α-L-タガトピラノース、α-L-ラムノピラノース、α-L-リボフラノース、α-L-アラビノフラノース、α-L-キシロフラノース、α-L-リキソフラノース、α-L-アロフラノース、α-L-アルトロフラノース、α-L-グルコフラノース、α-L-マンノフラノース、α-L-グロフラノース、α-L-イドフラノース、α-L-ガラクトフラノース、α-L-タロフラノース、α-L-プシコフラノース、α-L-フルクトフラノース、α-L-ソルボフラノース、α-L-タガトフラノース、α-L-キシルロフラノース、α-L-リブロフラノース、α-L-トレオフラノース、α-L-エリスロフラノース、α-L-グルコサミン、α-L-グルコピラヌロン酸、
β-L-リボピラノース、β-L-アラビノピラノース、β-L-キシロピラノース、β-L-リキソピラノース、β-L-アロピラノース、β-L-アルトロピラノース、β-L-グルコピラノース、β-L-マンピラノース、β-L-グルコピラノース、β-L-イドピラノース、β-L-ガラクトピラノース、β-L-タロピラノース、β-L-プシコピラノース、β-L-フルクトピラノース、β-L-ソルボピラノース、β-L-タガトピラノース、β-L-リボフラノース、β-L-アラビノフラノース、β-L-キシロフラノース、β-L-リキソフラノース、β-L-アロフラノース、β-L-アルトロフラノース、β-L-キシロフラノース、β-L-リキソフラノース、β-L-アロフラノース、β-L-アルトロフラノース、β-L-グルコフラノース、β-L-マンノフラノース、β-L-グロフラノース、β-L-イドフラノース、β-L-ガラクトフラノース、β-L-タロフラノース、β-L-プシコフラノース、β-L-フラクトフラノース、β-L-ソルボフラノース、β-L-タガトフラノース、β-L-キシルロフラノース、β-L-リブロフラノース、β-L-トレオフラノース、β-L-エリスロフラノース、β-L-グルコサミン、β-L-グルコピラヌロン酸、およびβ-L-ラムノピラノース、を含む、またはからなるα-、およびβ-D/L-炭水化物。
【0088】
サッカリドは、アミド、カルボネート、カルバメート、カルボニル、チオカルボニル、カルボキシ、チオカルボキシ、エステル、チオエステル、エーテル、エポキシ、ヒドロキシアルキル、アルキレニル、フェニレン、アルケニル、イミノ、イミド、イソ尿素、チオカルバメート、チオ尿素および/または尿素部分、を有するために更に任意に修飾される。
【0089】
好ましくは、「サッカリド」は、ラクトース、N-アセチル-ラクトサミン、ラクト-N-ビオース、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース(3-FL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ジフコシルラクトース(DiFL)、ラクト-N-トリオースII(LNT-II)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFPI)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFPIII)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFPV)、を含む母乳オリゴサッカリドである。
【0090】
本明細書で使用される用語「糖ペプチド」は、ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含むペプチドを指す。炭水化物部分は、側鎖を形成し、およびセリンまたはスレオニン残基のヒドロキシ基へのO-グリコシド結合、またはアスパラギン残基のアミド窒素へのN-グリコシド結合、のいずれかである。
【0091】
本明細書において使用される用語「糖タンパク質」は、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合された炭水化物部分を含むポリペプチドを指す。炭水化物部分は側鎖を形成し、およびセリンまたはスレオニン残基のヒドロキシ基へのO-グリコシド結合、またはアスパラギン残基のアミド窒素へのN-グリコシド結合、のいずれかである。
【0092】
本明細書において使用される用語、「糖脂質」、グリコシド結合によって疎水性部分に結合された一つ以上のモノサッカリド部分を含む化合物を指す。糖脂質は、モノグリコシルジアシルグリセロール(MGDG)、ジグリコシルジアシルグリセロール(DGDG)、トリメチル-ベータ-アラニンジアシルグリセロール、およびスルファキノボシルジアシル-グリセロール、からなる。例えば、アシルグリセロール、スフィンゴイド、セラミド(N-アシルスフィンゴイド)、ステロールなど、様々な可能な骨格分子構造を有する様々な糖脂質クラスが存在する。
【0093】
特に、ガングリオシドは、糖鎖上に一つ以上のN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)結合されたスフィンゴ糖脂質(セラミドおよびオリゴサッカリド)から構成される分子である。ガングリオシドの種類は、一つのN-アセチルノイラミン酸を含むLM1、GM1、GM1b、およびGM2;二つのN-アセチルノイラミン酸を含むGD1a、GalNAc-GD1a、GD1b、GD2、およびGD3;三つのN-アセチルノイラミン酸を含むGT1a、およびGT3;四つのN-アセチルノイラミン酸を含むGQ1b、を含む。
【0094】
本明細書において使用される用語「タンパク質」は、非グリコシル化(aglycosylated)タンパク質およびグリコシル化タンパク質を含むポリペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合した炭水化物部分を含む、または欠くポリペプチドを指す。
【0095】
本明細書において使用される用語「ペプチド」は、ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖に共有結合した炭水化物部分を含む、または欠くペプチドを指し、非グリコシル化(aglycosylated)ペプチドおよびグリコシル化ペプチドを含む。
【0096】
本明細書において使用される用語「バイオコンジュゲート」は、互いに共有結合した少なくとも二つの分子からなる分子構築物を指し、そのうちの少なくとも一つの分子は生体分子、すなわち、一つ以上の典型的な生物学的工程に不可欠である生物に存在する分子である。例示的なバイオコンジュゲートは、担体タンパク質に共有結合した炭水化物抗原、および抗体薬物複合体からなる炭水化物複合体ワクチン、である。
【0097】
本明細書で使用される用語「炭水化物複合体ワクチン」は、免疫原性担体に共有結合した炭水化物抗原を含む複合体を指す。炭水化物抗原は、細菌莢膜サッカリド、ウイルス糖タンパク質のサッカリド、胞子虫または寄生虫のサッカリド抗原、病原菌のサッカリド抗原、または癌細胞に特異的なサッカリド抗原であることができるが、これらに限定されない。免疫原性担体は、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、交差反応物質197(CRM197)、分類不可能なH.インフルエンザのタンパク質D、髄膜炎菌莢膜群Bの外膜タンパク質複合体(OMPC)、緑膿菌の外毒素A(EPA)、C.ディフィシレ(difficile)毒素A(CDTA)、肺炎球菌タンパク質、例えば、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)など、肺炎球菌ヒスチジントライアド(triad)D(PhtD)、解毒ニューモリシン(pneumolysi)(dPly)、およびspr96/2021、黄色ブドウ球菌α毒素および志賀毒素1bを含む、毒素から選択される担体タンパク質であることができるが、これらに限定されない。
【0098】
本明細書において使用される用語「固体支持体」は、酵素または他の試薬が、直接的に、または固着基を有するリンカーを介して結合または固定化され得る、不溶性の官能基化された材料を指し、酵素が、過剰な試薬、可溶性反応生成物、副生成物、または溶媒から(洗浄、濾過、遠心分離などによって)容易に分離されることを可能にする。固体支持体は、有機ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドなど、並びにそれらの共重合体およびグラフトから構成されることができる。固体支持体はまた、無機物、例えば、ガラス、シリカ、制御細孔ガラス(CPG)、逆相シリカ、または金属、金もしくは白金などであることができる。固体支持体は、磁性粒子から構成することもできる。酵素固定化に適した支持材料の概要については、Zdarta et al.を参照する。Catalysts 2018,8,92,およびDatta et al.Biotech2013 3:1-9。
【0099】
固体支持体の構成は、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜、または表面の形態であることができる。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であることができる。固体支持体は、多孔性または非多孔性であることができ、膨潤または非膨潤特性を有することができる。固体支持体を、ウェル、くぼみ、または他の容器(container)、容器(vessel)、特徴、もしくは位置の形態で構成することができる。
【0100】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0101】
【化15】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0102】
好ましい実施形態において、酵素のセットは、本明細書に開示される固体支持体上に共固定化される。
言い換えると、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0103】
【化16】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた混合物を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0104】
本発明の方法において、CMP、CDP、およびCTPは、インサイチュ(in situ)でシチジンから形成される(以下参照)。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0105】
代替表現において、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0106】
【化17】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた混合物を反応させること、
を含み、
ここで、ステップB)において、CMP、CDP、およびCTPは、インサイチュ(in situ)で形成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0107】
好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。驚くべきことに、酵素のセットの共固定化は、固定化されていない酵素を用いる工程、および異なる固体支持体上に個別に固定化された酵素を用いる工程と比較して、酵素カスケード反応の効率を強力に向上させる。
【0108】
好ましくは、酵素のセットは、再利用可能な、機械的に安定な固体支持体上に共固定化されることにより、各酵素の活性を増加させる、または各酵素の活性の大部分を保持する。
【0109】
ステップB)において、結果的に得られた溶液の反応中に、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットの存在下で、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、以下のカスケード反応を行う:
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェートからのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成。
【0110】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を指し、
【0111】
【化18】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェートからのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、ステップ(c)においてシチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0112】
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)による触媒されるN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応において、ピロホスフェート(PPi)が副生成物として形成される。しかし、ピロホスフェートは、水溶液中で不安定であり、無機ホスフェート(Pi)にゆっくりと加水分解するのみである。高濃度のピロホスフェートは、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の生成に関与するN-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)の活性を阻害することが知られている。
【0113】
したがって、本発明の一実施形態において、酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)を更に含み、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0114】
【化19】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0115】
ステップB)において、結果的に得られた溶液の反応中に、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスフェート(PPA)、を含む酵素のセットの存在下で、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、以下のカスケード反応を行う:
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によってシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、および
(g)無機ジホスファターゼ(PPA)によって触媒される、ステップ(f)において生成されたピロホスフェートのホスフェートへの変換。
【0116】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0117】
【化20】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼ(UMP)によって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、および
(g)無機ジホスファターゼ(PPA)によって触媒される、ステップ(f)において生成されたピロホスフェートのホスフェートへの変換、
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、ステップ(c)において、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0118】
ATPを、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)の活性化剤として使用することができることが知られており(Ignacio G.BRAVO et.al.,Biochem.J,2001,258,pp568-598.)、逆に、AMPおよびADPは、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)の活性を阻害する。
【0119】
本発明の方法において、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)は、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートから再生される。
【0120】
したがって、更に、酵素のセットは、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)をさらに含む。
【0121】
さらに、AMPからADPへ、およびADPからATPへのリン酸化を活性化するために、1D-PPK2および/または2D-PPK2を添加することにより、カスケードを拡張することができる。さらに、アデノシンホスフェートの頻繁な加水分解を阻害するために、1D-PPK2および2DPPK2を添加することにより、カスケードを拡張することができる。
【0122】
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)も、好ましくは、同じ固体支持体上に上記酵素と共に共固定化される。
【0123】
本明細書に記載される本発明の方法において、ATPはADPおよびポリホスフェートから連続的に再生されるため、CMP-Neu5NAcの生成は、触媒量のATPを用いて行うことができる。
【0124】
したがって、本発明の一実施形態において、酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)をさらに含み、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象とする。
【0125】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法であって、
【0126】
【化21】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで
ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0127】
言い換えると、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0128】
【化22】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼ(UMP)によって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、および
(g)無機ジホスファターゼ(PPA)によって触媒される、ステップ(f)において生成されたピロホスフェートのホスフェートへの変換、
(h)1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)によって触媒される、AMPのADPへのリン酸化、およびADPのATPへのリン酸化
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、ステップ(c)において、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0129】
ポリホスフェートは、本明細書に記載される本発明の方法における唯一のエネルギー担体として機能し、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を使用するADPからのATPの再生においてホスフェート源として使用される。本発明の方法の酵素カスケードに、ADPからATPへのリン酸化も触媒する1-ドメインポリホスフェートキナーゼ(1D-PPK)、好ましくは1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)を添加することによってATPの再生を高めることができる。さらに、ADPなどのヌクレオシドホスフェートは、水性媒体中で不安定であり、急速に加水分解する傾向がある。AMPへの加水分解によるADPの損失を回避するために、AMPのADPへのリン酸化を触媒する2-ドメインポリホスフェートキナーゼ(2D-PPK)、好ましくは2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を、1D-PPKと共に、または単独で本発明の酵素カスケードに添加することができる。
【0130】
ポリホスフェートは、最初に水性媒体に溶解された金属イオン(例えば、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Fe2+/3+、など)と、安定な水溶性錯体を形成することができる。特定のポリホスフェートが特定の金属イオンを隔離する能力は、ポリホスフェートの鎖長を増加することに伴って低下するため、本発明において長鎖ポリホスフェートが好ましい。より好ましくは、少なくとも14個のホスフェート残基を有するポリホスフェートである。最も好ましくは、少なくとも25個のホスフェート残基を有するポリホスフェートである。
【0131】
上述のように、本発明の方法におけるカスケードは、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)を別々に、またはインサイチュ(in situ)で生成するために、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼを添加することによって拡張することができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、ステップA)において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートから別々に、またはインサイチュ(in situ)で生成される。
【0133】
ステップA)において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートから別々に、またはインサイチュ(in situ)で生成される。
【0134】
したがって、いくつかの場合において、追加のステップA1)を、以下の通りにステップA)の前に別々に行ってもよい:
A1)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミンを生成すること。
【0135】
したがって、CMP-Neu5Acを生成するための上述の本発明の方法のいずれかは、ステップA)の前に追加のステップA1)を含み、ステップA)およびステップB)が続いて行われる。
【0136】
他の場合において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼの存在下で、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからインサイチュ(in situ)で生成される。
【0137】
したがって、CMP-Neu5Acを生成するための上述の本発明の方法のいずれかは、代替ステップA’)およびステップB’)を含む。とりわけ、ステップB’)において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)は、以下の通り、インサイチュ(in situ)で形成されるだろう:
(a’)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼによって触媒されるD-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成。
【0138】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0139】
【化23】
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで
ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0140】
好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、より好ましくは、酵素のセットは、再利用可能な、機械的に安定な固体支持体上に共固定化されることにより、各酵素の活性を増加させる、または各酵素の活性の大部分を保持する。
【0141】
ステップB’)において、結果的に得られた溶液の反応中に、N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットの存在下で、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、以下のカスケード反応を行う:
(a’)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼによって触媒される、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからのN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成、
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェートからのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成。
【0142】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を指し、
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)
(a’)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼによって触媒される、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成、
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼ(UMP)によって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によってシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、ステップ(c)において、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットを固体支持体上に共固定化する。
【0143】
好ましくは、酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)を更に含み、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジン5’-モノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットを固体支持体上に共固定化する。
【0144】
言い換えると、
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)
(a’)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼによって触媒される、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成、
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェートキナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、
(g)無機ジホスファターゼ(PPA)によって触媒される、ステップ(f)において生成されたピロホスフェートのホスフェートへの変換、
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、および結果的に得られた溶液を反応させること、
を含む、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法。
【0145】
更に、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットを固体支持体上に共固定化する。
【0146】
言い換えると:
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)
(a’)N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼによって触媒される、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成、
(a)N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)によって触媒される、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、
(b)N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)によって触媒される、ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、
(c)ウリジンキナーゼ(UDK)によって触媒される、シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、
(d)ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼによって触媒される、シチジン5’-モノホスフェート(CMP)およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、
(e)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、シチジン5’-ジホスフェート(CDP)およびポリホスフェートからのシチジン5’-トリホスフェート(CTP)の形成、
(e’)ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)によって触媒される、ステップ(c)およびステップ(d)において生成されたアデノシン5’-ジホスフェート(ADP)およびポリホスフェートからのアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の再生、および
(f)N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)によって触媒される、N-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)とシチジン5’-トリホスフェート(CTP)との反応によるシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の形成、および
(g)無機ジホスファターゼ(PPA)によって触媒される、ステップ(f)において生成されたピロホスフェートのホスフェートへの変換、
(h)1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)によって触媒される、AMPのADPへのリン酸化、およびADPのATPへのリン酸化
によって、
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、および結果的に得られた溶液を反応させること、
を含む、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、ステップ(c)において、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットを固体支持体上に共固定化する。
【0147】
いくつかの実施形態において、ステップB)で結果的に得られた溶液は、5.0~10.0、好ましくは5.5~9.5、より好ましくは6.0~9.0、更により好ましくは6.5~9.0、最も好ましくは7.0~9.0の範囲のpH値を有する。
【0148】
好ましくは、結果的に得られた溶液は、5.0~10.0、好ましくは5.5~9.5、より好ましくは6.0~9.0、更により好ましくは6.5~9.0、最も好ましくは7.0~9.0の範囲のpH値を有する緩衝溶液である。
【0149】
緩衝溶液は、少なくとも一つの酸、および少なくとも一つの塩基を含む。好ましくは、少なくとも一つのスルホン酸、クエン酸、[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸(TAPS)、2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(ビシン)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(トリシン)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸(PIPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、からなる群から選択される。
【0150】
好ましくは少なくとも一つの塩基は、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、金属リン酸塩、金属重リン酸塩;より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カルシウム、リン酸一カリウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カルシウム、およびリン酸カリウム、からなる群から選択される。
【0151】
補因子として適切な濃度のMg2+は、ウリジンモノホスフェート(UMP)キナーゼの完全な活性化に寄与する。
いくつかの実施形態において、本発明の方法において結果的に得られる溶液は、0.1mMから500mM、0.1mMから200mM、好ましくは10mMから100mM、より好ましくは50mMから100mM、最も好ましくは20mMから50mMの範囲の濃度でMg2+を更に含む。好ましくは、Mg2+の供給源は、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、およびそれらの水和物である。
【0152】
任意に、結果的に得られる溶液は、例えば、2-メルカプトエタノールおよびジチオスレイトール(DTT)などの還元剤を更に含む。
反応溶液の反応温度は、酵素カスケード反応の効率に影響を与える。したがって、本発明の方法において、ステップB)における最適な反応温度は、20℃から65℃、好ましくは25℃から60℃、さらに好ましくは25℃から55℃、より好ましくは30℃から55℃、さらにより好ましくは35℃から55℃、および最も好ましくは34℃から50℃の範囲である。
【0153】
本発明において、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから5000mM、好ましくは1mMから4000mM、より好ましくは2mMから4500mM、更により好ましくは5mMから3000mM、最も好ましくは10mMから2000mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから5000mM、好ましくは2mMから4000mM、より好ましくは5mMから3000mM、更により好ましくは10mMから3000mM、最も好ましくは20mMから2000mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、0.1mMから2000mM、好ましくは1mMから1000mM、より好ましくは1mMから500mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから100mM、好ましくは0.01mMから100mM、より好ましくは0.1mMから500mM、更により好ましくは0.1mMから100mM、最も好ましくは0.1mMから40mMの範囲である:
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0154】
【化24】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え;
ここで、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから5000mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから5000mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、0.1mMから2000mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから100mMの範囲である。好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから2000mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから2000mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、0.1mMから2000mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.01mMから100mMの範囲である。より好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから2000mMの範囲であり、ピルベートの濃度は、1mMから2000mMの範囲であり、シチジンの濃度は、0.1mMから2000mMの範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.01mMから100mMの範囲である。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0155】
本発明の方法におけるいくつかの実施形態において、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、2mMから40mMの範囲である。
【0156】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0157】
【化25】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはピルベートの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはシチジンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、および/またはアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、2mMから40mMの範囲である。好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、ピルベートの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、シチジンの濃度は、1mMから500mMの範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、2mMから40mMの範囲である。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0158】
好ましくは、本発明の方法において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:10000、1:1から1:5000、1:1から1:2000、1:1から1:1000、または1:1から1:100の範囲である。ピルベートは、ピルビン酸ナトリウムを指し、または代替としてピルビン酸が適用される。
【0159】
より好ましくは、本発明の方法において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:20、好ましくは1:1から1:15、より好ましくは1:1から1:10、更により好ましくは1:1から1:5、最も好ましくは1:1から1:2の範囲である。ピルベートは、ピルビン酸ナトリウムを指し、または代替としてピルビン酸が適用される。
【0160】
好ましくは、本発明の方法において、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から100:1、好ましくは1:1から50:1、より好ましくは1:1から30:1、更により好ましくは1:1から20:1、最も好ましくは1:1から15:1の範囲である。
【0161】
好ましくは、本発明の方法において、D-グルコサミン(GlcN)とアセテートとの比率は、1:1から1:10000、1:1から1:5000、1:1から1:2000、1:1から1:1000、または1:1から1:100の範囲である。アセテートは、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムを指し、または代替として酢酸が適用される。
【0162】
好ましくは、本発明の方法において、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:2000、好ましくは1:2から1:1000、より好ましくは1:4から1:1000、最も好ましくは1:10から1:500の範囲である。
【0163】
本発明の方法における好ましい実施形態において、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は 、1:1から1:50の範囲であり、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から100:1の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:100の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:200の範囲であり、および/または
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の濃度は、20mMから3000mMの範囲であり、
ピルベートの濃度は、20mMから3000mMの範囲であり、
シチジンの濃度は、1mMから50mMの範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから10mMの範囲であり、
ポリホスフェートの濃度は、1mMから30mMの範囲である。
【0164】
本明細書に開示される方法における他の好ましい実施形態において、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は 、1:1から1:20の範囲であり、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から30:1の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:20の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:50の範囲であり、および/または
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の濃度は、20mMから2000mMの範囲であり、
ピルベートの濃度は、20mMから2000mMの範囲であり、
シチジンの濃度は、1mMから20mMの範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.001mMから10mMの範囲であり、
ポリホスフェートの濃度は、1mMから20mMの範囲である。
【0165】
本明細書に開示される方法における他の好ましい実施形態において、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:2の範囲であり、
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から15:1の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:10の範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:5の範囲であり;および/または
N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の濃度は、20mMから1000mMの範囲であり、
ピルベートの濃度は、20mMから1000mMの範囲であり、
シチジンの濃度は、1mMから15mMの範囲であり、
アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)の濃度は、0.1mMから10mMの範囲であり、
ポリホスフェートの濃度は、1mMから10mMの範囲である。
【0166】
本発明における一態様において、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0167】
【化26】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:50の範囲であり、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から100:1の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:100の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:200の範囲である。好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:20の範囲であり、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から30:1の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:20の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:50の範囲である。より好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルベートとの比率は、1:1から1:2の範囲であり、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とシチジンとの比率は、1:1から15:1の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とシチジンとの比率は、1:1から1:10の範囲であり、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)とポリホスフェートとの比率は、1:1から1:5の範囲である。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0168】
本発明において、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0169】
N-アセチルノイラミン酸リアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0170】
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)、大腸菌(Escherichia coli)、ヘモフィルス デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘモフィルス インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ハンガテイクロストリジウム サーモセラム(Hungateiclostridium thermocellum)、マンヘイミア ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、ペロフィラックス エスクレンタス(Pelophylax esculentus)、フォトバクテリウム レイオグナシー(Photobacterium leiognathi)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、およびイノシシ(Sus scrofa)を含む微生物、マウス、およびニジマス(rainbow trout)から得られる。好ましくは、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)CSSに由来する。任意に、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)CSSは、少なくとも一つの以下の変異を有する:Q104A、R165A、Q166A、N175A、Y179A、F192A、およびF193A。
【0171】
したがって、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0172】
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0173】
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0174】
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0175】
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0176】
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0177】
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、更に好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%を含む。最も好ましくは、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるのと同じアミノ酸配列を含む。
【0178】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0179】
【化27】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
好ましくは、
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
更に好ましくは、
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
より好ましくは、
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
更により好ましくは、
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含む。
【0180】
一実施形態において、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0181】
【化28】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ (UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0182】
無機ジホスファターゼ(PPA)が更に適用される場合、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0183】
【化29】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0184】
本発明の方法における酵素カスケードに、ADPのATPへのリン酸化も触媒する1-ドメインポリホスフェートキナーゼ(1D-PPK)、好ましくは、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)を添加することによってATPの再生を高めることができる。さらに、ヌクレオシドホスフェート、例えばADPなどは、水性媒体中で不安定であり、急速に加水分解する傾向がある。AMPへの加水分解によるADPの喪失を避けるために、AMPのADPへのリン酸化を触媒する2-ドメインポリホスフェートキナーゼ(2D-PPK)、好ましくは、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を、1D-PPKと共に、または単独で本発明の酵素カスケードに添加することができる。
【0185】
無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)が更に適用される場合、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0186】
【化30】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変え、
ここで、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0187】
好ましくは、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法における反応時間は、0.1時間から48時間、好ましくは0.2時間から35時間、より好ましくは0.5時間から30時間、最も好ましくは1時間から24時間の範囲である。
【0188】
好ましくは、シチジン5'-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を実施する間に、結果的に得られた反応溶液を、10rpmから5000rpm、好ましくは50rpmから2000rpm、より好ましくは100rpmから1000rpm、最も好ましくは200rpmから500rpmの範囲で攪拌する。
【0189】
好ましくは、酵素のセットは、再利用可能な、機械的に安定な固体支持体上に共固定化されることによって、各酵素の活性を増加させる、または各酵素の活性の大部分を保持する。したがって、本発明の方法において、酵素セットを、好ましくは再利用する。
【0190】
任意に、本明細書に記載の方法を行った後、酵素のセットを、還元剤、例えばDTTまたは2-メルカプトエタノールなどを用いて処理して、各酵素の活性を保持する。
【0191】
本発明の更なる態様において、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸の生成方法は、追加のステップC):
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーまたはナノろ過によって単離すること、
を含む。
【0192】
好ましくは、イオン交換クロマトグラフィーを、ダウエックス(Dowex)1×8などの陰イオン交換樹脂のホルメート形態を使用することによって行う。カラムを、重炭酸アンモニウムなどの水性重炭酸塩の勾配を用いて溶出した。重炭酸アンモニウムの使用は、非常に酸に不安定なCMP-Neu5Acの加水分解を防止し、アンモニウム塩として重炭酸アンモニウムを提供した。過剰な重炭酸アンモニウムを、バイオーゲル(Bio-Gel)P-2などのゲルろ過カラムに通すことによって容易に除去した。
【0193】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0194】
【化31】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0195】
任意に、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸の生成方法は、追加のステップC’):
C’)ステップC)の後に得られた単離されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、凍結乾燥によって乾燥すること、
を含む。
【0196】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法に関し、
【0197】
【化32】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること;
C’)ステップC)の後に得られた単離されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、凍結乾燥によって乾燥すること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0198】
過剰量の出発材料は、ステップC)においても単離され、次の反応サイクルにおいて反応のために直接的に再利用される。好ましくは、N-アセチル-D-グルコサミン、および/またはシチジンは単離されてもよく、次の反応サイクルにおいて再利用されてもよい。
【0199】
あるいは、N-アセチル-グルコサミンを、基質D-グルコサミン、アセテートからインサイチュ(in situ)で形成することができる。この場合において、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0200】
【化33】
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB’)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること;
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0201】
任意に、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸を生成する方法は、
A’)D-グルコサミン、アセテート、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼ、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アセチルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B’)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB’)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること;
C’)ステップC)の後に得られた単離されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、凍結乾燥によって乾燥すること、
を含み、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0202】
シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)を生成するための本発明の方法は、共固定化された酵素のセットを用いて好ましくは行われる。したがって、本発明はまた、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットを対象にし、ここで、酵素のセットは、好ましくは固体支持体上に、より好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0203】
好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0204】
より好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0205】
任意に、本発明の酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)を更に含む。いくつかの実施形態において、酵素のセットは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含み、ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0206】
好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0207】
好ましくは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0208】
更に好ましくは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0209】
より好ましくは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0210】
更により好ましくは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0211】
より好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0212】
任意に、本発明の酵素のセットは、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)を更に含む。いくつかの実施形態において、酵素のセットは、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含み、ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0213】
好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0214】
好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも85%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0215】
更に好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも90%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0216】
より好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも95%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0217】
更により好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列の少なくとも98%を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0218】
最も好ましくは、前記酵素のセットは以下を含む:
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)は、SEQ ID NO:1に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)は、SEQ ID NO:2に記載されるアミノ酸配列を含み、
N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)は、SEQ ID NO:3に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンキナーゼ(UDK)は、SEQ ID NO:4に記載されるアミノ酸配列を含み、
ウリジンモノホスフェートキナーゼ(URA6)は、SEQ ID NO:5に記載されるアミノ酸配列を含み、
ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)は、SEQ ID NO:6に記載されるアミノ酸配列を含み、
無機ジホスファターゼ(PPA)は、SEQ ID NO:7に記載されるアミノ酸配列を含み、
2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)は、SEQ ID NO:8に記載されるアミノ酸配列を含み、
1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)は、SEQ ID NO:9に記載されるアミノ酸配列を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に、好ましくは、エポキシ基を用いて官能基化されたポリマーに、共固定化される。
【0219】
任意に、上述される酵素の任意のセットは、N-アセチル-グルコサミンデアセチラーゼを更に含む。
酵素は、酵素の活性、基質特異性、立体選択性および/または他の特性を保持するように固体支持体上に固定化される。適切な固体支持体は、例えば、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜、表面、または他の固相材料などである。
【0220】
驚くべきことに、酵素のセットの共固定化は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の生産において、非固定化または個別に固定化された酵素と比較して、高い生産性をもたらすことを明らかにしている。したがって、好ましくは、本明細書に記載される本発明の方法において使用される酵素は、固体支持体上に共固定化される。
【0221】
酵素固定化の方法は、当該技術分野においてよく知られている。酵素は、非共有結合、または共有結合、例えば、吸着、共有結合、イオン結合、金属結合、架橋または結晶化など、で結合されることができる。固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)への酵素の共役および固定化のための様々な方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Yi et al.,Process Biochemistry 2007,42,895;Martin et al.,Applied Microbiology and Biotechnology 2007,76,843;Koszelewski et al.,Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic,2010,63,39;Truppo et al.,Org.Process Res.Dev.,2011,15,1033;Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,第2版,Academic Press(2008);Mateo et al.,Biotechnology Progress,2002,18,629;および生体共役反応プロトコル:戦略および方法、分子生物学における方法において、C.M.Niemeyer ed.,Humana Press(2004)、に記載される。
【0222】
本明細書において記載される本発明の方法で使用される酵素、すなわち、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼおよびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)、およびピロホスファターゼは、当業者に周知であり、当業者に周知の任意の方法によって得られることができる。
【0223】
特に、酵素を、大腸菌(E.coli)などの細菌培養物、ウイルスおよびファージ培養物、および真核細胞培養物、を含む微生物培養物から過剰発現、単離、または組換え法によって調製することができる。本明細書に記載の本発明の方法は、実験節に記載の供給源からの酵素に限定されない。したがって、本発明の方法は、一般的なタンパク質発現または単離技術を使用して様々な供給源から得られた上記に挙げた酵素を用いて行うことができる。さらに、酵素の調製を、方法が使用される特定の適用に適合させることは、当業者に周知である。例えば、上記に挙げた酵素を、非動物起源の細菌増殖培地、例えば、大豆由来のトリプトンを含むルリア-ベルターニ(Luria-Bertani)ブロスなど、を使用することによって大腸菌で発現させることができる。
【0224】
細胞均質化または細胞溶解から得られた酵素含有溶液は、通常、細胞残屑を除去するために遠心分離および濾過され、固体支持体上に酵素を固定化するために直接的に使用されることができる。したがって、更なる精製ステップまたは単離ステップは必要なく、酵素が酵素の活性、基質特異性、立体選択性および/または他の特性を保持するように、粗細胞溶解物または細胞ホモジネートを、固体支持体上に酵素を固定化するために使用することができる。
【0225】
本発明の方法において使用される酵素を固定化するために有用な固体支持体は、ビーズ、モノリス、球体、粒子、粒子床、繊維マット、顆粒、ゲル、膜、中空繊維膜、混合マトリックス膜または表面、を含むが、これらに限定されない。好ましくは、固体支持体はビーズの形態を有する。
【0226】
具体的には、固体支持体は、エポキシド官能基、アミノエポキシド官能基、エチレンジアミン官能基、アミノC2官能基、アミノC6官能基、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基、を有するポリマーを含むビーズまたは樹脂から構成される。好ましくは、固体支持体は、0.1Åから100000Åの孔径を有する多孔性ビーズから構成される。
【0227】
特に好ましくは、エポキシド官能基を用いて官能化された固体支持体である。更に好ましい固体支持体は、エチレンジアミン官能基、エポキシ官能基を、および更に疎水性基、例えば、ブチル、オクチル、メチル、フェニルなどを用いて官能化された、例えばエポキシド官能基およびブチル官能基、アミノC2スペーサー官能基、アミノC6スペーサー官能基、または他のアミノスペーサー、例えば、アミノC3スペーサー、アミノC4スペーサー、アミノC5スペーサー、アミノC7スペーサーなど、エポキシ官能基、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基、アニオン性/第三級アミン官能基、アニオン性/第四級アミン官能基、カチオン性/スルホン官能基、カルボン酸エステル官能基、フェニル官能基、オクタデシル官能基、スチレン/メチル官能基を有する固体支持体、マクロ多孔性樹脂、またはビーズを含むが、これらに限定されない。固体支持体は、ポリマー材料、非ポリマー材料、例えば、シリカゲルなどからなってもよい。固体支持体は、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸、アクリルポリマー、ポリスチレン、スチレン、スチレン/メタクリレートおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されないポリマー材料からなってもよい。
【0228】
本発明の方法において使用される酵素を固定化するために有用な固体支持体の例は、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エチレンジアミン官能基を有するポリメタクリレート、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、および更に、疎水性基、例えば、ブチル、オクチル、メチル、フェニルなどを用いて官能基化された、例えば、エポキシド官能基およびブチル官能基を有するポリメタクリレート、アミノC2スペーサー官能基を有するポリメタクリレート、アミノC6スペーサー官能基を有するポリメタクリレート、エポキシ官能基を有するポリアクリル酸、エポキシ官能基を有するアクリルポリマー、アニオン性/アミノC6スペーサー官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/第三級アミン官能基を有するポリアクリル酸、アニオン性/第四級アミン官能基を有するポリスチレン、カチオン性/スルホン官能基を有するポリスチレン基、カルボン酸エステル官能基を有するポリアクリル酸、フェニル官能基を有するポリスチレン、オクタデシル官能基を有するポリメタクリレート、スチレン/メチル官能基を有するポリスチレン、Ni-NTA官能基を有する磁性シリカ粒子、または磁鉄鉱のコアを有する磁性ナノ粒子およびNi-NTA官能基を有するデキストランシェルを含むビーズまたは樹脂、マクロ多孔性スチレンもしくはスチレン/メタクリレートのマクロ多孔性樹脂またはビーズ、を含むが、これらに限定されない。原則として、当該技術分野において既知の任意の適切な固体支持体を、本発明の方法において使用することができるが、NiアガロースビーズまたはNi NTAアガロース樹脂は、上記の理由から好ましくない。本発明の方法において使用される酵素を固定化するために有用な例示的な固体支持体は、セパビーズ/レリザイム(Sepabeads/ReliZyme)(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP/SおよびEC-EP/Mを含むEC-EP、EP403/M、EP403/S HFA403M、HFA403S、HG403、EP400/SS EC-HG、EC-HFA、EC-EA/M、EA403/S、およびEC-HA/SおよびEC-HA/Mを含むEC-HA;イムモビーズ(Immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))Imm150P、IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-ANI2、IB-ANI3、IB-ANI4、IB-CAT1、IB-ADS1、IB-ADS2、IB-ADS3、およびIB-ADS4、IB-CAT-1、IB-ANI-1、IB-ANI-2、IB-ANI-3、IB-ANI-4;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、および磁性粒子(マイクロモッド社(micromod GmbH))、ナノ-マグ(Nano-mag)、シキャスター(Sicastar)-6およびシキャスター(Sicastar)-1.5、酵素固定化樹脂ライフテック(Lifetech)(商標)(ピュロライト社(Purolite))、エポキシメタクリレート、ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8206、ECR8206F、ECR8206M、ECR8204、ECR8204F、ECR8204M、ECR8209、ECR8209F、ECR8209M、ECR8285、ECR8285F、ECR8285M、アミノC2またはC6メタクリレート:ECR8305、ECR8305F、ECR8305M、ECR8309、ECR8309F、ECR8309M、ECR8315、ECR8315F、ECR8315M、ECR8404、ECR8404F、ECR8404M、ECT8409、ECT8409F、ECT8409M、ECR8415、ECR8415F、ECR8415M、マクロ多孔性樹脂 ECR1090、ECR1091、ECR1091M、ECR1061、ECR1030、ECR1030F、ECR8806F、イオン樹脂ECR1504、ECR1508、ECR1604、ECR1640、および磁性粒子(マイクロモッド社(micromod GmbH))、ナノ-マグ-D(Nano-mag-D)およびシキャスター(Sicastar)-M-CT、を含むが、これらに限定されない。
【0229】
酵素が固定化された機械的に安定なビーズまたは樹脂をもたらす固体支持体材料は、CMP-Neu5Acの生成のためのビーズまたは樹脂の再使用および/または再利用に関して好ましく、CMP-Neu5Acの生成のための方法における連続工程に関してより好ましい。機械的に安定な固体支持体は、摩耗、機械的応力に対する耐性で特徴付けられ、多数のサイクル、例えば、少なくとも10サイクル、より好ましくは少なくとも12サイクル、より好ましくは少なくとも14サイクル、より好ましくは少なくとも16サイクル、より好ましくは少なくとも18サイクル、および最も好ましくは少なくとも20サイクルなどに適している。固体支持体への共有結合を介する酵素の固定化は、機械的に安定なビーズまたは樹脂を提供することを示すことが可能であり、そのことは、CMP-Neu5Acの生成のために固定化された酵素を有する樹脂またはビーズの再使用および/または再利用に特に適していることを示している。
【0230】
驚くべきことに、例えば、エポキシド官能基を有するポリメタクリレート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレート、エチレンジアミン官能基を有するポリメタクリレート、エポキシド官能基およびブチル官能基を有するポリメタクリレート、エポキシ官能基を有するポリアクリル酸、エポキシ官能基を有するアクリルポリマー、などに限定されない、エポキシド官能基を有するポリマーを含むビーズまたは樹脂を有することで、固定化される酵素の共有結合を可能にし、機械的に頑丈な樹脂またはビーズが得られ得ることを明らかにしている。
【0231】
したがって、固定化された酵素を有するビーズまたは樹脂の形態の再使用可能な、機械的に安定な固体支持体は、粗細胞溶解物または粗細胞ホモジネートからの酵素セットの同時固定化に関して、および共固定化された全ての酵素の活性の大部分を保持する、または共固定化された全ての酵素の活性を増加させることに関して、およびCMP-Neu5Acの生成のためのビーズまたは樹脂の再使用、および/または再利用に関して、およびCMP-Neu5Acの生成のための方法における連続工程に関して、好ましい。固体支持体は、とりわけ、摩耗、機械的応力に対する耐性で特徴付けられ、多数のサイクル、例えば、少なくとも10サイクル、より好ましくは少なくとも12サイクル、より好ましくは少なくとも14サイクル、より好ましくは少なくとも16サイクル、より好ましくは少なくとも18サイクル、最も好ましくは少なくとも20サイクルなどに適している。固体支持体への共有結合を介する酵素の固定化は、機械的に頑丈なビーズまたは樹脂を提供することを示すことが可能であり、そのことは、CMP-Neu5Acの生成のために固定化された酵素を有する樹脂またはビーズの再使用および/または再利用に特に適していることを示している。驚くべきことに、エポキシド官能基、アミノエポキシド官能基、エチレンジアミン官能基、またはエポキシド官能基および疎水性基、例えば、ブチル、オクチル、メチル、フェニル、ブチル官能基、を含むビーズまたは樹脂を有することで、固定化される酵素の共有結合を可能にし、頑丈な固体樹脂またはビーズが得られ得ることを明らかになった。
【0232】
エポキシ活性化樹脂またはビーズは、酵素と樹脂またはビーズとの間の多点共有結合を可能にする。好ましくは、樹脂骨格は、0.01nmから10000nmまたは0.1Åから100000Åの多孔性を有するメタクリレートから構成される。好ましい実施形態において、エポキシ官能基化樹脂またはビーズ、例えばエポキシメタクリレート樹脂またはビーズの多孔性は、30nmから60nmであってもよい。好ましい実施形態において、エポキシメタクリレート樹脂またはビーズの多孔性は、40nmから60nmであってもよい。好ましい実施形態において、エポキシ官能基化樹脂またはビーズ、例えばエポキシメタクリレート樹脂またはビーズの多孔性は、50nmから60nmであってもよい。好ましい実施形態において、エポキシ官能基化樹脂またはビーズ、例えばエポキシメタクリレート樹脂またはビーズの多孔性は、60nmから120nmであってもよい。好ましい実施形態において、エポキシ官能基化樹脂またはビーズ、例えばエポキシメタクリレート樹脂またはビーズの多孔性は、120nmから180nmであってもよい。エポキシ官能基化樹脂またはビーズ、例えばエポキシメタクリレート樹脂またはビーズは、異なるタンパク質基、例えば、アミノ、チオール、フェノールなどと、好ましくは非常に穏やかなpHおよび温度条件下で、非常に安定な共有結合を形成してもよい。樹脂は、好ましくは機械的に安定であり、固定化された酵素を有する樹脂は、攪拌タンクまたはカラム反応器で好ましくは使用され得る。
【0233】
アミノ樹脂、例えば、アミノC2官能基化樹脂、またはアミノC6官能基化樹脂、またはアミノC3、アミノC4、アミノC5、アミノC7などの他のアミノ樹脂は、例えばアミノC2メタクリレート樹脂またはアミノC6メタクリレート樹脂などであるが、これらに限定されず、例えばグルタルアルデヒドによって事前に活性化されてもよく、その後、酵素の共有結合固定化に使用されてもよい。アルデヒド基と酵素のアミノ基との反応は、多点共有結合をもたらすシッフ塩基を形成する。結合は、ホウ化水素を用いる還元によって達成されてもよい。したがって、可逆的固定化は、架橋ステップによって不可逆的になり得、酵素は、担体上に吸着され、その後、例えばグルタルアルデヒドなどを使用することによって架橋され得る。架橋酵素または架橋酵素は、網のように担体を覆ってもよい。アミノ官能基化樹脂、例えば、アミノC2メタクリレート樹脂またはアミノC6メタクリレート樹脂などは、好ましくは、30nmから180nm、または300Åから1800Åの範囲の多孔性を有する。好ましい実施形態において、アミノ官能基化樹脂、例えば、アミノC2メタクリレート樹脂もしくはビーズ、またはアミノC6メタクリレート樹脂もしくはビーズなどの多孔性は、30nmから60nmであり得る。好ましい実施形態において、アミノ官能基化樹脂、例えば、アミノC2メタクリレート樹脂もしくはビーズ、またはアミノC6メタクリレート樹脂もしくはビーズなどの多孔性は、60nmから120nmであり得る。好ましい実施形態において、アミノ官能基化樹脂、例えば、アミノC2メタクリレート樹脂もしくはビーズ、またはアミノC6メタクリレート樹脂もしくはビーズなどの多孔性は、120nmから180nmであり得る。
【0234】
不可逆的な固定化の他の方法は、例えば1,2-ジオール官能基化樹脂またはビーズなどのヒドロキシル官能基の活性化である。
したがって、特に好ましくは、エポキシド官能基を有するポリメタクリレートおよびアミノエポキシド官能基を有するポリメタクリレートを含むビーズまたは樹脂である。好ましくは、エポキシド官能基を有するポリメタクリレートを含むビーズまたは樹脂は親水性である。共有結合性酵素固定化が特に好ましい。好ましい実施形態において、ビーズまたは樹脂は、ブチル基またはオクタデシル基などの非極性基を用いて官能基化されない。好ましい実施形態において、樹脂またはビーズは親水性である。
【0235】
好ましくは、メタクリレートポリマーは、ビーズの形態を有する。好ましくは、ビーズは150μm~300μmの範囲の粒径を有する。好ましくは、メタクリレートポリマーは、600Å~1200Åの孔径を有する多孔性である。一実施形態において、メタクリレートポリマーは、300Å~600Åの間の孔径を有する低多孔性のものである。一実施形態において、メタクリレートポリマーは、450Å~650Åの間の孔径を有する低多孔性である。一実施形態において、メタクリレートポリマーは、1200Å~1800Åの間の孔径を有する高多孔性である。一実施形態において、メタクリレートポリマーは、ブチル基を用いて更に官能基化される。一実施形態において、メタクリレートポリマーは、疎水性基、例えば、ブチル、メチル、フェニル、オクチルなどを用いて更に官能基化される。
【0236】
好ましくは、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403/M、EP403/S、HFA403、EA403、HA403、EC-EA/MおよびEC-HA;イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV1、IB-COV2、IB-COV3、IB-ANI1、IB-ANI1、IB-CAT1;ユーパージット(Eupergit)(登録商標)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、酵素固定化樹脂(ピュロライト社(Purolite)):エポキシメタクリレート:ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8206、ECR8206F、ECR8206M、ECR8204、ECR8204F、ECR8204M、ECR8209、ECR8209F、ECR8209M、ECR8285、ECR8285F、ECR8285M、アミノC2またはC6メタクリレート:ECR8305、ECR8305F、ECR8305M、ECR8309、ECR8309F、ECR8309M、ECR8315、ECR8315F、ECR8315M、ECR8404 ECR8404F、ECR8404M、ECT8409、ECT8409F、ECT8409M、ECR8415、ECR8415F、ECR8415M、から選択される樹脂またはビーズから構成される。
【0237】
好ましくは、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(登録商標)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成される。
【0238】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を対象にし、
【0239】
【化34】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(登録商標)、から選択される樹脂またはビーズから構成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0240】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を更に対象にし、
【0241】
【化35】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、および無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0242】
したがって、本発明は、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)の生成方法を更に対象にし、
【0243】
【化36】
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、ポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
を含み、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA 403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成され、およびウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0244】
好ましくは、酵素は、反応器で複数回の実行(run)またはサイクルで使用され得るエポキシ基を用いて官能基化されたポリマー上に共固定化される。好ましくは、固体支持体上に共固定化された酵素は、少なくとも3サイクル、より好ましくは少なくとも4サイクル、より好ましくは少なくとも5サイクル、より好ましくは少なくとも6サイクル、より好ましくは少なくとも7サイクル、より好ましくは少なくとも8サイクル、より好ましくは少なくとも9サイクル、より好ましくは少なくとも10サイクル、より好ましくは少なくとも12サイクル、より好ましくは少なくとも14サイクル、より好ましくは少なくとも16サイクル、より好ましくは少なくとも18サイクル、より好ましくは少なくとも20サイクル、より好ましくは少なくとも25サイクル、より好ましくは少なくとも25サイクル、より好ましくは少なくとも30サイクル、最も好ましくは少なくとも50サイクルで使用され得る。好ましくは、酵素は、固体支持体に共固定化され、少なくとも3~10回、好ましくは5~12回、より好ましくは7~14回、より好ましくは9~16回、更により好ましくは少なくとも10~20回の実行(run)またはサイクルで使用されてもよい。
【0245】
好ましい実施形態において、共固定化された酵素のセットを有するエポキシビーズまたは樹脂は、一般に、3サイクル以上、好ましくは5サイクル以上、好ましくは10サイクル以上、更に好ましくは20サイクル以上、CMP-Neu5Ac合成を可能にする。このような多数のサイクルにおけるCMP-Neu5Acの合成は、工程の有意な改善であり、先行技術においてこれまで報告されていない。
【0246】
本発明の更なる態様は、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセットを対象にし、
ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0247】
本発明の更なる態様は、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)を含む酵素のセットも対象にし、ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0248】
本発明の更なる態様は、N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)、無機ジホスファターゼ(PPA)、1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1DPPK2)、および/または2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2DPPK2)を含む酵素のセットも対象にし、ここで、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化され、固体支持体は、セパビーズ(レジンディオン社(Resindion)):EC-EP、EP403、EP403/M、EP403/S、EC-HFA、HFA403、HFA403/M、HFA403/S、イムモビーズ(immobeads)(キラルビジョン社(ChiralVision))IB-COV2、IB-COV3、(ピュロライト社(purolite))ECR8215、ECR8215F、ECR8215M、ECR8204F、ECR8204M、ECR8204、ECR8209F、ECR8209M、ECR8209;ユーパージット(Eupergit)(ローム社(Rohm GmbH&Co.KG))、から選択される樹脂またはビーズから構成され、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える。
【0249】
本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法を指し、
i)CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する。
【0250】
シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99)は、多くの既知の活性を有する酵素を含むグリコシルトランスフェラーゼファミリー29(CAZY GT_29)に属する。約20個の異なるシアリルトランスフェラーゼあり、それらが作用する受容体構造、およびそれらが形成する糖結合の型に基づいて区別することができる。例えば、シアリルトランスフェラーゼのグループは、アルファ-2,3結合によりシアル酸をガラクトースに付加し、一方、他のシアリルトランスフェラーゼは、アルファ-2,6結合によりシアル酸をガラクトース(Gal)またはN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)に付加する。特異な型のシアリルトランスフェラーゼは、α-2,8結合によりシアル酸を他のシアル酸単位に付加し、ポリシアル酸と呼ばれる構造を形成する。他のグリコシルトランスフェラーゼに関して起こるように、シアリルトランスフェラーゼの発現は、細胞分化および悪性形質転換中に、深刻な修飾を受け、いくつかの場合において、そのような変化は表現型の変化を誘発する。
【0251】
好ましくは、シアリルトランスフェラーゼは、ベータ-ガラクトサミドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.1)、アルファ-N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.3)、ベータ-ガラクトシドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.4)、N-アセチルラクトサミニドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)、アルファ-N-アセチル-ノイラミニドアルファ-2,8-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.8)、およびラクトシルセラミドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.9)、から選択される。これらの酵素は、グリコシル供与体としてCMP-Neu5Acを使用する。
【0252】
したがって、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法を指し、
i)CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成し、シアリルトランスフェラーゼは、ベータ-ガラクトサミドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.1)、アルファ-N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.3)、ベータ-ガラクトシドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.4)、N-アセチルラクトサミニドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)、アルファ-N-アセチル-ノイラミニドアルファ-2,8-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.8)、およびラクトシルセラミドアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.9)、からなる群から選択される。
【0253】
さらに、いくつかの実施形態において、生体分子は、末端基としてガラクトシド(Gal)、ガラクトサミニド(GalN)、N-アセチルガラクトサミニド(GalNAc)、ノイラミニド(Neu)、N-アセチルノイラミニド(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミニド、3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、およびN-アセチルラコサミニド(Gal-β-1-3-GlcNAc)部分のいずれかを含む。
【0254】
より好ましくは、生体分子は、T-抗原(Gal-β-1-3-GalNAc-α-1-O-)またはTn-抗原(GalNAc-α-1-O-)を含む糖ペプチド、糖タンパク質、または抗腫瘍ワクチン、またはGal-β-1-4-GlcNAc-β-1-O-を含む糖脂質、である。
【0255】
したがって、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法を指し、
i)CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成し、生体分子は、末端基としてガラクトシド(Gal)、ガラクトサミニド(GalN)、N-アセチルガラクトサミニド(GalNAc)、ノイラミニド(Neu)、N-アセチルノイラミニド(Neu5Ac)、N-グリコリルノイラミニド、3-デオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-2-ノヌロソン酸(KDN)、およびN-アセチルラコサミニド(Gal-β-1-3-GlcNAc)部分のいずれかを含む。
【0256】
ステップi)CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うことは、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac,1)を生成する上記の方法の全てを指す
【0257】
【化37】
【0258】
したがって、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法を指し、
i)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する。
【0259】
好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
したがって、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法に関し、
ii)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
iii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する。
【0260】
好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
好ましくは、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法に関し、
i)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、ウイルス、ウイルス様粒子、ウイルスワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する。
【0261】
好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
好ましくは、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法に関し、
i)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること、
C’)ステップC)の後に得られた単離されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、凍結乾燥によって乾燥すること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、サッカリド、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリカン、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体薬物複合体、炭水化物複合体ワクチン、またはフラボノイドであり、シアリルトランスフェラーゼの存在下で、CMP基の除去を伴って生体分子のヒドロキシル基と共にO-グリコシド結合を形成する。好ましくは、酵素のセットは、固体支持体上に共固定化される。
【0262】
好ましくは、「サッカリド」は、ラクトース、N-アセチル-ラクトサミン、ラクト-N-ビオース、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース(3-FL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ジフコシルラクトース(DiFL)、ラクト-N-トリオースII(LNT-II)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFPI)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFPIII)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFPV)、を含む母乳オリゴサッカリドである。
【0263】
したがって、本発明は、Neu5アシル化された生体分子の生成方法に関し、
i)CMP-Neu5Acを得るために、上記の方法を行うこと、
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、ラクトース、N-アセチル-ラクトサミン、ラクト-N-ビオース、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース(3-FL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ジフコシルラクトース(DiFL)、ラクト-N-トリオースII(LNT-II)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFPI)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFPIII)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFPV)、を含む母乳オリゴサッカリドである。
【0264】
好ましくは、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法に関し、
i)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、ラクトース、N-アセチル-ラクトサミン、ラクト-N-ビオース、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース(3-FL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ジフコシルラクトース(DiFL)、ラクト-N-トリオースII(LNT-II)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFPI)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFPIII)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFPV)、を含む母乳オリゴサッカリドである。
【0265】
好ましくは、本発明は更に、Neu5アシル化、すなわち、シアリル化された生体分子の生成方法に関し、
i)以下を含む、CMP-Neu5Acを得るために上記の方法を行うこと:
A)N-アセチル-D-グルコサミン、ピルベート、ポリホスフェート、シチジン、およびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)を含む溶液、並びに
N-アシルグルコサミン2-エピメラーゼ(AGE)、N-アセチルノイラミネートリアーゼ(NAL)、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)、ウリジンキナーゼ(UDK)、ウリジンモノホスフェートキナーゼ、およびポリホスフェートキナーゼ3(PPK3)を含む酵素のセット、を提供すること;
B)シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を生成するために、前記溶液および前記酵素のセットを混合し、結果的に得られた溶液を反応させること、
C)ステップB)の後に生成されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、イオン交換クロマトグラフィーによって単離すること、
C’)ステップC)の後に得られた単離されたシチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)を、凍結乾燥によって乾燥すること、
ここで、ウリジンキナーゼ(UDK)は、シチジンをインサイチュ(in situ)でシチジンモノホスフェート(CMP)に変える、および
ii)ステップi)の後に得られたCMP-Neu5Acを生体分子と反応させること、
を含み、
ここで、生体分子は、ラクトース、N-アセチル-ラクトサミン、ラクト-N-ビオース、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース(3-FL)、ラクト-N-テトラオース(LNT)、ラクト-N-ネオテトラオース(LNnT)、ジフコシルラクトース(DiFL)、ラクト-N-トリオースII(LNT-II)、ラクト-N-フコペンタオースI(LNFPI)、ラクト-N-フコペンタオースIII(LNFPIII)、ラクト-N-フコペンタオースV(LNFPV)、を含む母乳オリゴサッカリドである。
【0266】
好ましくは、炭水化物複合体ワクチンは、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bサッカリド、パスツレラ ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)A2サッカリド、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)サッカリド、およびヘモフィルス デュクレイ(Haemophilus ducreyi)サッカリドから選択されるサッカリドを含む。
【0267】
好ましくは、糖脂質は、ガラクトシルセラミド部分を含むスフィンゴ糖脂質である。特に、Neu5アセチル化糖脂質は、糖鎖上に結合された一つ以上のN-アセチルノイラミン酸、Neu5Acを有するガングリオシドである。ガングリオシドの型は、1つのN-アセチル-ノイラミン酸を含むLM1、GM1、GM1b、およびGM2;2つのN-アセチルノイラミン酸を含むGD1a、GalNAc-GD1a、GD1b、GD2、およびGD3;3つのN-アセチル-ノイラミン酸を含むGT1a、およびGT3;および4つのN-アセチルノイラミン酸を含むGQ1b、を含む。
【0268】
好ましくは、治療用タンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質である。好ましくは、免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質は抗体である。好ましくは、抗体は、二重特異性モノクローナル抗体および抗体に基づく薬物を含むモノクローナル抗体である。好ましくは、抗体は、完全にNeu5Aアシル化されていない。好ましくは、治療用タンパク質は:
3F8、8H9、アルシツモマブ(Arcitumomab)、アスクリンバクマブ(Ascrinvacumab)、アセリズマブ(Aselizumab)、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アチドルトクスマブ(Atidortoxumab)、アチヌマ(Atinuma)、アトロリムマブ(Atorolimumab)、アベルマブ(Avelumab)、アジンツキシズマブ ベドチン(Azintuxizumab vedotin)、バピヌズマブ(Bapineuzumab)、バシリキシマブ(Basiliximab)、バビツキシマブ(Bavituximab)、BCD-100、ベクツモマブ(Bectumomab)、ベゲロマブ(Begelomab)、ベランタマブ マフォドチン(Belantamab mafodotin)、ベリムマブ(Belimumab)、ベマリツズマ(Bemarituzuma)、ベンラリズマブ(Benralizumab)、ベルリマトクスマブ(Berlimatoxumab)、ベルメキマブ(Bermekimab)、ベルサンリマブ(Bersanlimab)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、ベシレソマブ(Besilesomab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、ベズロトクスマブ(Bezlotoxumab)、ビシロマブ(Biciromab)、ビマグルマブ(Bimagrumab)、ビメキズマブ(Bimekizumab)、ビルタミマブ(Birtamimab)、ビバツズマブ メルタンシン(Bivatuzumab mertansine)、ブレセルマブ(Bleselumab)、ブリナツモマブ(Blinatumomab)、ブロンツベトマブ(Blontuvetmab)、ブロソズマブ(Blosozumab)、ボコシズマブ(Bococizumab)、ブラジクマブ(Brazikumab)、ブレンツクシマブ ベドチイン(Brentuximab vedotin)、ブリアキヌマブ(Briakinumab)、ブロダルマブ(Brodalumab)、ブロルシズマブ(Brolucizumab)、ブロンチクツズマブ(Brontictuzumab)、ブロスマブ(Burosumab)、カビラリズマブ(Cabiralizumab)、カミダンルマブ テシリン(Camidanlumab tesirine)、カムレリズマブ(Camrelizumab)、カナキヌマブ(Canakinumab)、カンツズマブ メルタンシン(Cantuzumab mertansine)、カンツズマブ ラブタンシン(Cantuzumab ravtansine)、カプラシズマブ(Caplacizumab)、カプロマブ ペンデチド(Capromab pendetide)、カールマブ(Carlumab)、カロツキシマブ(Carotuximab)、カツマキソマブ(Catumaxomab)、cBR96-ドキソルビシン免疫抱合体、セデリズマブ(Cedelizumab)、セミプリマブ(Cemiplimab)、セルグツズマブ アムナロイキン(Cergutuzumab amunaleukin)、セルトリズマブ ペゴール(Certolizumab pegol)、セトレリマブ(Cetrelimab)、セツキシマブ(Cetuximab)、シビサタマブ(Cibisatamab)、シルムツズマブ(Cirmtuzumab)、シタツズマブ ボガトックス(Citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ(Cixutumumab)、クラザキズマブ(Clazakizumab)、クレノリキシマブ(Clenoliximab)、クリバツズマブ テトラキセタン(Clivatuzumab tetraxetan)、コドリツズマブ(Codrituzumab)、コフェツズマブ ペリドチン(Cofetuzumab pelidotin)、コルツキシマブ ラヴタンシン(Coltuximab ravtansine)、コナツムマブ(Conatumumab)、コンシズマブ(Concizumab)、コスフロヴィキシマブ(Cosfroviximab)、CR6261、クレネズマブ(Crenezumab)、クリザンリズマブ(Crizanlizumab)、クロテドゥマブ(Crotedumab)、クサツズマブ(Cusatuzumab)、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、ダロツズマブ(Dalotuzumab)、ダピロリズマブ ペゴール(Dapirolizumab pegol)、ダラツムマブ(Daratumumab)、デクトレクマブ(Dectrekumab)、デムシズマブ(Demcizumab)、デニンツズマブ マフォドチン(Denintuzumab mafodotin)、デノスマブ(Denosumab)、デパツキシズマブ マフォドチン(Depatuxizumab mafodotin)、デルロツキシマブ ビオチン(Derlotuximab biotin)、デツモマブ(Detumomab)、デザミズマブ(Dezamizumab)、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、ディリダブマブ(Diridavumab)、ドマグロズマブ(Domagrozumab)、ドルリモマブ アリトックス(Dorlimomab aritox)、ドスターリマ(Dostarlima)、ドロジツマブ(Drozitumab)、DS-8201、デュリゴツズマブ(Duligotuzumab)、デュピルマブ(Dupilumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、デュシギツマブ(Dusigitumab)、デュボルツキシマブ(Duvortuxizumab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ(Eculizumab)、エドバコマブ(Edobacomab)、エドレコロマブ(Edrecolomab)、エファリズマブ(Efalizumab)、エファングマブ(Efungumab)、エルデルマブ(Eldelumab)、エレザヌマブ(Elezanumab)、エルゲムツマブ(Elgemtumab)、エロツズマブ(Elotuzumab)、エルシリモマブ(Elsilimomab)、エマクツズマブ(Emactuzumab)、エマパルマブ(Emapalumab)、エミベツズマブ(Emibetuzumab)、エミシズマブ(Emicizumab)、エナポタマブ ベドチン(Enapotamab vedotin)、エナバツズマブ(Enavatuzumab)、エンフォルツマブ ベドチン(Enfortumab vedotin)、エンリモマブ ペゴール(Enlimomab pegol)、エノブリツズマブ(Enoblituzumab)、エノキズマブ(Enokizumab)、エノチクマブ(Enoticumab)、エンシツキジマブ(Ensituximab)、エピツモマブ シツキセタン(Epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ(Epratuzumab)、エプチネズマブ(Eptinezumab)、エレヌマブ(Erenumab)、エルリズマブ(Erlizumab)、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、エタラシズマブ(Etaracizumab)、エチギリマブ(Etigilimab)、エトロリズマブ(Etrolizumab)、エビナクマブ(Evinacumab)、エボロクマブ(Evolocumab)、エクスビヴィルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ(Fanolesomab)、ファラリモマブ(Faralimomab)、ファリシマブ(Faricimab)、ファルレツズマブ(Farletuzumab)、ファシヌマブ(Fasinumab)、FBTA05、フェルヴィズマブ(Felvizumab)、フェザキヌマブ(Fezakinumab)、フィバツズマブ(Fibatuzumab)、フィクラツズマブ(Ficlatuzumab)、フィギツムマブ(Figitumumab)、フィリブマブ(Firivumab)、フランボツマブ(Flanvotumab)、フレチクマブ(Fletikumab)、フロテツズマブ(Flotetuzumab)、フォントリズマブ(Fontolizumab)、フォラルマブ(Foralumab)、フォラビルマブ(Foravirumab)、フレマネズマブ(Fremanezumab)、フレソリムマブ(Fresolimumab)、フロボシマブ(Frovocimab)、フルネベトマブ(Frunevetmab)、フルラヌマブ(Fulranumab)、フツキシマブ(Futuximab)、ガルカネズマブ(Galcanezumab)、ガリキシマブ(Galiximab)、ガンコタマ(Gancotama)、ガニツマブ(Ganitumab)、ガンテネルマブ(Gantenerumab)、ガチポツズマブ(Gatipotuzumab)、ガビリモマブ(Gavilimomab)、ゲジブマブ(Gedivumab)、ゲムツズマブ オゾガミシン(Gemtuzumab ozogamicin)、ゲヴォキズマブ(Gevokizumab)、ギルヴェトマブ(Gilvetmab)、ギムシルマブ(Gimsilumab)、ギレンツキシマブ(Girentuximab)、グレムバツムマブ ベドチン(Glembatumumab vedotin)、ゴリムマブ(Golimumab)、ゴミリキシマブ(Gomiliximab)、ゴスラネマブ(Gosuranemab)、グセルクマブ(Guselkumab)、イアナルマブ(Ianalumab)、イバリズマブ(Ibalizumab)、IBI308、イブリツモマブ チウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)、イクルクマブ(Icrucumab)、イダルシズマブ(Idarucizumab)、イファボツズマブ(Ifabotuzumab)、イゴボマブ(Igovomab)、イラダツズマブ ベドチン(Iladatuzumab vedotin)、IMAB362、イマルマブ(Imalumab)、イマプレリマブ(Imaprelimab)、イムチロマブ(Imciromab)、イムガツズマブ(Imgatuzumab)、インクラクマブ(Inclacumab)、インダツキシマブ ラブタンシン(Indatuximab ravtansine)、インダサツマブ ベドチン(Indusatumab vedotin)、イネビリズマブ(Inebilizumab)、インフリキシマブ(Infliximab)、イノリモマブ(Inolimomab)、イノツズマブ オゾガミシン(Inotuzumab ozogamicin)、インテツムマブ(Intetumumab)、イオマブ(Iomab)-B、イピリムマブ(Ipilimumab)、イラツムマブ(Iratumumab)、イサツキシマブ(Isatuximab)、イスカリマブ(Iscalimab)、イスチラツマブ(Istiratumab)、イトリズマブ(Itolizumab)、イキセキズマブ(Ixekizumab)、ケリキシマブ(Keliximab)、ラベツズマブ(Labetuzumab)、ラクノツズマブ(Lacnotuzumab)、ラジラツズマブ ベドチン(Ladiratuzumab vedotin)、ラムパリズマブ(Lampalizumab)、ラナデルマブ(Lanadelumab)、ランドグロズマブ(Landogrozumab)、ラプリツキシマブ エマタンシン(Laprituximab emtansine)、ラルカビキシマブ(Larcaviximab)、レブリキズマブ(Lebrikizumab)、レマレソマブ(Lemalesomab)、レンダリズマブ(Lendalizumab)、レンベルビマブ(Lenvervimab)、レンジルマブ(Lenzilumab)、レルデリムマブ(Lerdelimumab)、レロンリマブ(Leronlimab)、レソファブマブ(Lesofavumab)、レトリズマブ(Letolizumab)、レキサツムマブ(Lexatumumab)、リビビルマブ(Libiviruma
b)、リファスツズマブ ベドチン(Lifastuzumab vedotin)、リゲリズマブ(Ligelizumab)、リロトマブ サテトラキセタン(Lilotomab satetraxetan)、リンツズマブ(Lintuzumab)、リリルマブ(Lirilumab)、ロデルシズマブ(Lodelcizumab)、ロキベトマブ(Lokivetmab)、ロンカスツキシマブ テシリン(Loncastuximab tesirine)、ロルボツズマブ メルタンシン(Lorvotuzumab mertansine)、ロサツキシズマブ ベドチン(Losatuxizumab vedotin)、ルカツムマブ(Lucatumumab)、ルリズマブ ペゴール(Lulizumab pegol)、ルミリキシマブLumiliximab)、ルムレツズマブ(Lumretuzumab)、ルパルツマブ アマドチン(Lupartumab amadotin)、ルチキズマブ(Lutikizumab)、マパツムマブ(Mapatumumab)、マルゲツキシマブ(Margetuximab)、マルスタチマ(Marstacima)、マスリモマブ(Maslimomab)、マツズマブ(Matuzumab)、マブリリムマブ(Mavrilimumab)、メポリズマブ(Mepolizumab)、メテリムマブ(Metelimumab)、ミラツズマブ(Milatuzumab)、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミリキズマブ(Mirikizumab)、ミルベツキシマブ ソラブタンシン(Mirvetuximab soravtansine)、ミツモマブ(Mitumomab)、モドツキシマブ(Modotuximab)、モガムリズマブ(Mogamulizumab)、モナリズマブ(Monalizumab)、モロリムマブ(Morolimumab)、モスネツズマブ(Mosunetuzumab)、モタビズマブ(Motavizumab)、モキセツモマブ パスドトックス(Moxetumomab pasudotox)、ムロモナブ(Muromonab)-CD3、ナコロマブ タフェナトックス(Nacolomab tafenatox)、ナミルマブ(Namilumab)、ナプツモマブ エスタフェナトックス(Naptumomab estafenatox)、ナラツキシマブ エマタンシン(Naratuximab emtansine)、ナルナツマブ(Narnatumab)、ナタリズマブ(Natalizumab)、ナビシキシズマブ(Navicixizumab)、ナビブマブ(Navivumab)、ナキシタマブ(Naxitamab)、ネバクマブ(Nebacumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ネモリズマブ(Nemolizumab)、NEOD001、ネレリモマブ(Nerelimomab)、ネスバクマブ(Nesvacumab)、ネタキマブ(Netakimab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ニルセビマブ(Nirsevimab)、ニボルマブ(Nivolumab)、ノフェツモマブ メルペンタン(Nofetumomab merpentan)、Obiltoxaximab(オビルトキサキシマブ)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)、オカラツズマブ(Ocaratuzumab)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、オヅリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、オララツマブ(Olaratumab)、オレクルマブ(Oleclumab)、オレンダリズマブ(Olendalizumab)、オロキズマブ(Olokizumab)、オマリズマブ(Omalizumab)、オムブルタマブ(Omburtamab)、OMS721、オナルツズマブ(Onartuzumab)、オンツキシズマブ(Ontuxizumab)、オンバチリマブ(Onvatilimab)、オピシヌマブ(Opicinumab)、オポルツズマブ モナトックス(Oportuzumab monatox)、オレゴボマブ(Oregovomab)、オルチクマブ(Orticumab)、オテリキシズマブ(Otelixizumab)、オチリマブ(Otilimab)、オトレルツズマブ(Otlertuzumab)、オキセルマブ(Oxelumab)、オザネズマブ(Ozanezumab)、オゾラリズマブ(Ozoralizumab)、パジバキシマブ(Pagibaximab)、パリビズマブ(Palivizumab)、パムレブルマブ(Pamrevlumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、パンコマブ(Pankomab)、パノバクマブ(Panobacumab)、パルサツズマブ(Parsatuzumab)、パスコリズマブ(Pascolizumab)、パソツキシズマブ(Pasotuxizumab)、パテクリズマブ(Pateclizumab)、パトリツマブ(Patritumab)、PDR001、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、ペムツモマブ(Pemtumomab)、ペラキズマブ(Perakizumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ペキセリズマブ(Pexelizumab)、ピジリズマブ(Pidilizumab)、ピナツズマブ ベドチン(Pinatuzumab vedotin)、ピンツモマブ(Pintumomab)、プラクルマブ(Placulumab)、プロザリズマブ(Plozalizumab)、ポガリズマブ(Pogalizumab)、ポラツズマブ ベドチン(Polatuzumab vedotin)、ポネズマブ(Ponezumab)、ポルガビキシマブ(Porgaviximab)、プラシネズマブ(Prasinezumab)、プレザリズマブ(Prezalizumab)、プリリキシマブ(Priliximab)、プリトキサキシマブ(Pritoxaximab)、プリツムマブ(Pritumumab)、PRO140、キリズマブ(Quilizumab)、ラコツモマブ(Racotumomab)、ラドレツマブ(Radretumab)、ラフィビルマブ(Rafivirumab)、ラルパンシズマブ(Ralpancizumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、ラネベトマブ(Ranevetmab)、ラニビズマブ(Ranibizumab)、ラバガリマブ(Ravagalimab)、ラブリズマブ(Ravulizumab)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ラファネズマブ(Refanezumab)、レガビルマブ(Regavirumab)、レラトリマブ(Relatlimab)、レムトルマブ(Remtolumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、リロツムマブ(Rilotumumab)、リヌクマブ(Rinucumab)、リサンキズマブ(Risankizumab)、リツキシマブ(Rituximab)、リババズマブ ペゴール(Rivabazumab pegol)、Rmab、ロバツムマブ(Robatumumab)、ロレヅマブ(Roledumab)、ロミルキマブ(Romilkimab)、ロモソズマブ(Romosozumab)、ロンタリズマブ(Rontalizumab)、ロスマンツズマブ(Rosmantuzumab)、ロバルピツズマブ テシリン(Rovalpituzumab tesirine)、ロベリズマブ(Rovelizumab)、ロザノリキシズマブ(Rozanolixizumab)、ルプリズマブ(Ruplizumab)、SA237、サチツズマブ ゴビテカン(Sacituzumab govitecan)、サマリズマブ(Samalizumab)、サムロタマブ ベドチン(Samrotamab vedotin)、サリルマブ(Sarilumab)、サトラリズマブ(Satralizumab)、サツモマブ ペンデチド(Satumomab pendetide)、セクキヌマブ(Secukinumab)、セリクレルマブ(Selicrelumab)、セリバンツマブ(Seribantumab)、セトキサキシマブ(Setoxaximab)、セトルスマブ(Setrusumab)、セビルマブ(Sevirumab)、SGN-CD19A、SHP647、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、シファリムマブ(Sifalimumab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、シムツズマブ(Simtuzumab)、シプリズマブ(Siplizumab)、シルトラツマブ ベドチン(Sirtratumab vedotin)、シルクマブ(Sirukumab)、ソフィツズマブ ベドチン(Sofituzumab vedotin)、ソラネズマブ(Solanezumab)、ソリトマブ(Solitomab)、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スパルタリズマブ(Spartalizumab)、スタムルマブ(Stamulumab)、スレソマブ(Sulesomab)、スプタブマブ(Suptavumab)、スチムリマブ(Sutimlimab)、スビズマブ(Suvizumab)、スブラトクスマブ(Suvratoxumab)、タバルマブ(Tabalumab)、タカツズマブ テトラキセタン(Tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(Tadocizumab)、タラコツズマブ(Talacotuzumab)、タリズマブ(Talizumab)、タムツベトマブ(Tamtuvetmab)、タネズマブ(Tanezumab)、タプリツモマブ パプトックス(Taplitumomab paptox)、タレクスツマブ(Tarextumab)、タボリマブ(Tavolimab)、テフィバズマブ(Tefibazumab)、テリモマブ アリトックス(Telimomab aritox)、テリソツズマブ ベドチン(Telisotuzumab vedotin)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ(Teneliximab)、テプリズマブ(Teplizumab)、テポジタマブ(Tepoditamab)、テプロツムマブ(Teprotumumab)、テシドルマブ(Tesidolumab)、テツロマブ(Tetulomab)、テゼペルマブ(Tezepelumab)、TGN1412、チブリズマブ(Tibulizumab)、チガツズマブ(Tigatuzumab)、チルドラキズマブ(Tildrakizumab)、チミグツズマブ(Timigutuzumab)、チモルマブ(Timolumab)、チラゴツマブ(Tiragotumab)、チスレリズマブ(Tislelizumab)、チソツマブ ベドチン(Tisotumab vedotin)、TNX-650、トシリズマブ(Tocilizumab)、トムゾツキシマブ(Tomuzotuximab)、トラリズマブ(Toralizumab)、トサトクスマブ(Tosatoxumab)、トシツモマブ(Tositumomab)、トベツマブ(Tovetumab)、トラロキヌマブ(Tralokinumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、トラスツズマブ エムタンシン(Trastuzumab emtansine)、TRBS07、トレガリズマブ(Tregalizumab)、トレメリムマブ(Tremelimumab)、トレボグルマブ(Trevogrumab)、ツコツズマブ セルモロイキン(Tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ(Tuvirumab)、ウブリツキシマブ(Ublituximab)、ウロクプルマブ(Ulocuplumab)、ウレルマブ(Urelumab)、ウルトキサズマブ(Urtoxazumab)、ウステキヌマブ(Ustekinumab)、ウトミルマブ(Utomilumab)、バダスツキシマブ タリリン(Vadastuximab talirine)、バナリマブ(Vanalimab)、バンドルツズマブ ベドチン(Vandortuzumab vedotin)、バンチク
ツマブ(Vantictumab)、バヌシヅマブ(Vanucizumab)、バパリキシマブ(Vapaliximab)、バリサクマブ(Varisacumab)、バルリルマブ(Varlilumab)、バテリズマブ(Vatelizumab)、ベドリズマブ(Vedolizumab)、ベルツズマブ(Veltuzumab)、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ベセンクマブ(Vesencumab)、ビシリズマブ(Visilizumab)、ボバリリズマブ(Vobarilizumab)、ボロシキシマブ(Volociximab)、ボンレロリズマブ(Vonlerolizumab)、ボプラテリマブ(Vopratelimab)、ボルセツズマブ マフォドチン(Vorsetuzumab mafodotin)、ボツムマブ(Votumumab)、ブナキズマブ(Vunakizumab)、キセンツズマブ(Xentuzumab)、XMAB-5574、ザルツムマブ(Zalutumumab)、ザノリムマブ(Zanolimumab)、ザツキシマブ(Zatuximab)、ゼノクツズマブ(Zenocutuzumab)、ジラリムマブ(Ziralimumab)、ゾルベツキシマブ(Zolbetuximab)(=IMAB36、クラウジキシマブ(Claudiximab))、およびゾリモマブ アリトックス(Zolimomab aritox)、
からなる群から選択される。
【0269】
好ましくは、フラボノイドは、フラボン、ファルボノール、バルバノン、ファラバノノール、フラバン、フラバノール、フラバンジオール、およびイソフラボン、イソフラバン、イソフラバンジオール、イソフラベン、およびクメスタン、およびプテロカルパンを含み、より好ましくは、前記フラボノイドは、O-グリコシル化される。
【0270】
Neu5Acは、潜在的に、ウイルス、並びに以下のウイルスに関連するウイルス様粒子、およびワクチンに移行されることができる。
【0271】
【表1-1】
【0272】
【表1-2】
【0273】
【表1-3】
【0274】
【表1-4】
【0275】
【表1-5】
【0276】
【表1-6】
【0277】
【表1-7】
【0278】
【表1-8】
【0279】
【表1-9】
【0280】
【表1-10】
[図面の説明:]
【図面の簡単な説明】
【0281】
図1】(A)CMP-Neu5Acが、低コストの基質N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、ピルベート、ポリホスフェート、およびシチジンから酵素的に合成される多酵素カスケードを示す。反応カスケードは、(a)N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)からのN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の形成、(b)ManNAcおよびピルベートからのN-アセチル-D-ノイラミン酸(Neu5Ac)の形成、(c)シチジンおよびアデノシン5’-トリホスフェート(ATP)からのシチジン5’-モノホスフェート(CMP)の形成、(d)CMPおよびATPからのシチジン5’-ジホスフェート(CDP)の形成、(e)CDPおよびポリホスフェート(ポリPn)からのシチジン5’-トリホスフェートの形成、および(f)Neu5AcとCTPとを反応させてCMP-Neu5Acにすること、を含む。任意に、ADPのATPへの変換を助けるために、1D-PPK2を添加することによって、カスケードを拡張することができる。さらに、AMPのADPへのリン酸化を活性化するために、2D-PPK2を添加することによって、カスケードを拡張することができる。さらに、アデノシンホスフェートの頻繁な加水分解を阻害するために、1D-PPK2および2D-PPK2を添加することによって、カスケードを拡張することができる。(B)CMP-Neu5Acが基質D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートから酵素的に合成されるマルチ酵素カスケードを示す。このカスケードにおいて、ステップ(a’)が、更に追加される。(a’)N-アセチルグルコサミンデアセチラーゼによって触媒される、D-グルコサミン(GlcN)およびアセテートからのN-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)の形成。
図2】CMP-Neu5Acが低コストの基質N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)、ピルベート、ポリホスフェート、およびシチジンから酵素的に合成される多酵素カスケードを示す。任意に、N-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS)の活性を阻害するピロホスフェートPPを加水分解するために、無機ジホスファターゼ(PPA)を添加することによってカスケードを拡張することができる。
図3A】HPAEC-UVクロマトグラムを用いたCMP-Neu5Acの定量化を示す。A)CMP-Neu5Acの定量化におけるHPAEC-UVクロマトグラムを示す。CMP-Neu5Acの濃度曲線は、30時間後に飽和を示す。B)4分の反応時間後のCMP-Neu5Ac(および他の反応物)の定量化のHPAEC-UVクロマトグラムを示す。
図3B】HPAEC-UVクロマトグラムを用いたCMP-Neu5Acの定量化を示す。C)30時間の反応時間後のCMP-Neu5Ac(および他の反応物)の定量化のHPAEC-UVクロマトグラムを示す。
図4A】酵素の配列リストを示す。(A)トリコルムス バリアビリス(Trichormus variabilis)由来のAGEファミリーエピメラーゼ/イソメラーゼ;(B)パスツレラ ムルトシダ(Pasteurella multocida)(株Pm70)由来のN-アセチルノイラミネートリアーゼ(NANA);(C)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B(株MC58)由来のN-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ(CSS);(D)大腸菌(株K12)由来のウリジンキナーゼ(UDK)。
図4B】酵素の配列リストを示す。(E)シロイヌナズナ由来のUMP-CMPキナーゼ3(URA6);(F)ポリホスフェート:ルエゲリア ポメロイ(Ruegeria pomeroyi)(株ATCC 700808/DSM15171/DSS-3)由来のNDPホスホトランスフェラーゼ3(PPK3);(G)パスツレラ ムルトシダ(Pasteurella multocida)(株Pm70)由来の無機ピロホスファターゼ(PPA);(H)2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(2D-PPK2)=ポリホスフェート:緑膿菌(株ATCC15692/DSM22644/CIP104116/JCM14847/LMG12228/1C/PRS101/PAO1)由来のAMPホスホトランスフェラーゼ。
図4C】酵素の配列リストを示す。(I)1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2(1D-PPK2)=ポリホスフェート:緑膿菌(株ATCC15692/DSM22644/CIP104116/JCM14847/LMG12228/1C/PRS101/PAO1);ユニプロット(Uniprot)-ID:Q9I154由来のADPホスホトランスフェラーゼ。
図5】過剰発現した酵素を含むバイオマスを混合することから始まり、固体支持体上でのCMP-Neu5Acの合成反応を実行するまでの、完全なCMP-Neu5Acカスケードのワークフロースキームを示す。ワークフローは、酵素固定化のための様々な固体支持体をスクリーニングすることにも適している。
図6】一晩インキュベーション後に測定された、反応D1のクロマトグラムを示す。
図7】一晩のインキュベーション後に測定された、反応D2のクロマトグラムを示す。
図8】反応E:CMP-Neu5Acの合成のクロマトグラムを示す。CTPによるAGEの強力な阻害を示す。
図9】40時間のインキュベーション後の反応F1~F4のクロマトグラムを示す。反応F1~F4における反応物の初期濃度を、表12に記載する。
図10】実験Gにおける経時的な濃度を示す。シチジン、GlcNAc、およびピルベートからのCMP-Neu5Acの酵素的合成を示す。
図11】EC-EP樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図12】IBCOV-1樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図13】IBCOV-2樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図14】IBCOV-3樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図15】EP403/M樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図16】、ユーパージット(Eupergit)樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図17】ECR8215F樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図18】ECR8285F樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図19】HFA403/M樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図20】ECR8209F樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図21】ECR8204F樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図22】HFA403/S樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図23】HFA/S樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図24】403/S樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図25】EP400/SS樹脂を固体支持体として使用した場合の、複数のサイクルにおいて共固定化酵素(NmCSS、PPK3、およびURA6)を使用する実験AでのCMP-Neu5Acの生成を示す。
図26】CMP、Neu5Ac、ポリPn、および触媒量のATPからのCMP-Neu5Acの100mLスケール合成における6.6時間後のHPAEC-UVクロマトグラムを示す。
図27】Neu5Aアシル化生成物LSTcおよびDSLNnTの質量スペクトルを示す。
図28】6’-SLの合成:反応終点での反応のA.クロマトグラム、およびB.MSスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0282】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって発見された技術を表し、したがって、実施のための好ましい様式を構成するとみなすことができることを当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、多くの変更を、開示された特定の実施形態において行うことができ、更に本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様、または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0283】
本発明の様々な態様における更なる修正および代替実施形態は、この明細書を考慮して当業者には明らかであるだろう。したがって、この明細書は、単に例示として解釈されるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示され、記載される本発明の形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。全ては、本発明のこの明細書における利益を得た後に、当業者に明らかになるように、要素および材料を、本明細書において示され、記載されたものと置き換えてもよく、部分および工程を逆にしてもよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してもよい。以下の特許請求の範囲に記載されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を行ってもよい。
【0284】
[実施例]
略語および頭字語
AGE N-アセチル-D-グルコサミンエピメラーゼ/イソメラーゼ
ADP アデノシン5’-ジホスフェート
AMP アデノシン5’-モノホスフェート
ATP アデノシン5’-トリホスフェート
dHO 脱イオン化水
CMP シチジン5’-モノホスフェート
CDP シチジン5’-ジホスフェート
CTP シチジン5’-トリホスフェート
CSS N-アシルノイラミネートシチジリルトランスフェラーゼ
NmCSS 髄膜炎菌血清群B(株MC58)のN-アシルノイラミネートシチジルトランスフェラーゼ
NAL N-アセチルノイラミネートリアーゼ、またはN-アセチルノイラミネートピルベートリアーゼ
GlcN D-グルコサミン
GlcNAc N-アセチル-D-グルコサミン
ManNAc N-アセチル-D-マンノサミン
Neu5Ac N-アセチル-D-ノイラミン酸、または5-(アセチルアミノ)-3,5-ジデオキシ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-非-2-ウロピラノソン酸
CMP-Neu5Ac シチジン5’-モノホスフェートN-アセチル-D-ノイラミン酸
PolyP ポリホスフェート
PPi ピロホスフェート
Pi ホスフェート
PPK2 ポリホスフェートキナーゼ2
PPK3 ポリホスフェートキナーゼ3
1D-PPK2 1-ドメインポリホスフェートキナーゼ2、ポリホスフェート:ADP ホスホトランスフェラーゼ
2D-PPK2 2-ドメインポリホスフェートキナーゼ2、ポリホスフェート:AMP ホスホトランスフェラーゼ
URA6 ウリジンモノホスフェートキナーゼ
PPA 無機ピロホスファターゼ
PmPpA パスツレラムルトシダ(Pasteurella multocida)無機ピロホスファターゼ
【0285】
化学物質および試薬
特に明記しない限り、全ての化学物質および試薬は、シグマ-アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)およびカルボシンス社(CarboSynth)から得て、入手可能な最高純度のものであった。固体支持体を、レジンディオン社(Resindion)、キラルビジョン社(ChiralVision)、ローム社(Rohm GmbH&Co.KG)、およびマイクロモッド社(micromod GmbH)から得た。
【0286】
実施例1:酵素の調製
各プラスミドを、大腸菌BL21に個別に形質転換し、続いて、選択マーカーを有するLB寒天プレートで培養した。各酵素発現に関して、次のプロトコルに従った。
【0287】
寒天プレートからの単一コロニーを、選択マーカーを有するLB培地中で、37℃で、一晩インキュベーションした。一晩培養物から播種係数100を適用し、1mMのMgSOおよび選択マーカーを有するTB培地で、37℃で、最大OD6000.8までインキュベーションすることにより、主培養物を調製した。遺伝子発現を、0.4mMのIPTGの添加、および16℃で~20時間の培養によって誘導した。7,000×gで30分間遠心分離することによって細胞を採取した。その後、細胞ペレットを、溶解緩衝液に再懸濁した。細胞溶解を、高圧均質化(800~1000psi)によって行った。細胞溶解物を、7,000xgで30分間遠心分離し、0.8μmフィルターに通してろ過した。酵素を、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーによって精製した(以下のスライドを参照)。
【0288】
【表2-1】
【0289】
【表2-2】
【0290】
酵素精製
透明な細胞溶解物を、AKTAシステムのNi-NTAアフィニティーカラムにロードした。カラムを20%の溶出緩衝液を用いて洗浄した。酵素を、溶出緩衝液を用いて溶出した。酵素溶液を濃縮し、3kDaアミコン(Amicon)フィルターを用いて(イミダゾールを除去するために)透析し、その後、-20℃で保存緩衝液に保存した。
【0291】
溶解/結合緩衝液(A)、溶出緩衝液(B)、保存緩衝液(C)の緩衝液組成
【0292】
【表3】
【0293】
【表4】
【0294】
【表5】
【0295】
プラスミドおよび貯蔵培養物
遺伝子配列を有するプラスミド(カナマイシン耐性を有するpET28a)を保持する全ての大腸菌培養物の貯蔵溶液は、以前の研究から入手可能であった[1,2]。貯蔵溶液は、50%グリセロールを含み、-20℃に保持された。
【0296】
遺伝子および対応するタンパク質配列を、ユニプロット(UniProt)データベースから得た:AGE(WP_011320279.1)、NAL(Q9CKB0)、CSS(P0A0Z7)、UDK(P0A8F4)、URA6(O04905)、PPA(P57918)、PPK3(Q5LSN8)、2DPPK2(Q9HYF1)、および1DPPK2(Q92SA6)。プラスミドを、商業用供給業者(バイオキャット社(BioCat GmbH))から注文した。
【0297】
【表6】
【0298】
PPA(PmPpA;C末端ヘキサヒスチジン-タグ(His-タグ)を有する酵素)、PPK3、およびURA6(N末端Hisタグ用)。プラスミドを大腸菌に形質転換後、DNAを単離し、構築物の精度を遺伝子シーケンシングによって検査した(ユーロフィン ジェノミクス社(Eurofins Genomics)、エーバースバーグ(Ebersberg)、ドイツ)。
1.Mahour,R.,et al.,ウリジンジホスフェートN-アセチルグルコサミンの合成のための5酵素無細胞カスケードの確立(Establishment of a five-enzyme cell-free cascade for the synthesis of uridine diphosphate N-acetylglucosamine).Journal of Biotechnology,2018.283:p.120-129。
2.Rexer,T.F.T.,et al.,脂質結合オリゴサッカリドの酵素的連結のための多酵素カスケードによるGDP-マンノースのワンポット合成(One pot synthesis of GDP-mannose by a multi-enzyme cascade for enzymatic assembly of lipid-linked oligosaccharides).Biotechnology and Bioengineering,2018.115(1):p.192-205.
【0299】
ワンポットカスケード反応
固定化された酵素は、しばしば、溶液から分離され、再利用されることができる。さらに、固定化された酵素は、より高い活性を示し得、幅広い工程、例えば、充填床反応器での連続合成など、に使用されることができる。さまざまな市販の固体支持体を、CMP-Neu5Ac多酵素カスケードの共固定化に関して試験した。
【0300】
反応
カスケード反応を、1.5mLのセーフロックエッペンドルフバイアル中で150μLの容量で、35℃、サーモミキサーで、450rpmの振とうで行った。
・全ての酵素は、1つのバイアルに混合された
・反応を、酵素、緩衝液、および反応物を混合することによって開始した
・反応の経時変化をプロファイリングするために、各時点で3μLの試料を分注し、297μLの冷(4℃)dH2Oを加えることによってクエンチし、陰イオン交換クロマトグラフィーによって遅延なく測定した。
【0301】
測定
UV(260nm)およびパルスアンペロメトリック検出(PAD)を備える高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)を、反応物の濃度を測定するために利用した。分析物の分離および定量化のために、ステップグラジエント溶出法が開発され、実証されたクロマトグラフィー分離を、非多孔性ペリキュラーカラムカルボパック(CarboPac)PA200(250×2mm)を使用して0.5mL/分のシステム流量で行った。HPAECシステム(ICS5000)並びに全てのカラム、構成要素、およびソフトウェアは、サーモサイエンティフィック社(Thermo Scientific(ウォルサム,USA)から購入した。
【0302】
酵素固定化
最適な固体支持体を予測するための酵素の固定化に関する知識が不十分であるため、最適な固体支持体を見つけることは、常に実験的な試行錯誤することになっていることに注意すべきである。
【0303】
驚くべき発見は、広範囲のエポキシ支持体に共固定化された場合に多酵素カスケードは活性を示したことであった。試験され、活性を示したエポキシ支持体は、支持体マトリックス、粒径、孔径、およびオキシラン含有量において異なった。酵素が疎水性吸着、イオン性相互作用、またはグルタルアルデヒドとの共有結合架橋によって固定化されている他の固体支持体は、ほとんど、またはまったく活性を示さず、このことは、5つの主要な酵素のうち少なくとも一つが、ほとんど活性がないか不活性であることを意味する。さらに、多酵素カスケードは、使用される固体支持体に対するタンパク質における広範囲の異なる比率が使用される場合、エポキシ支持体上で活性であった。CMP-Neu5Acの合成に関して、酵素をロードされたエポキシ支持体の多くは、支持体に酵素を再固定することなく、20回を超える反応サイクルで使用されることができる。試験されたエポキシ支持体を、表7に要約する。
【0304】
【表7】
【0305】
実験A
CMP-Neu5Ac合成(図1参照)において使用される酵素、NmCSS、PPK3、およびURA6の共固定化に関して、広範囲の市販の固体支持体(表7参照)を試験し、CMP-Neu5Acの合成に対する固体支持体の影響を評価した。
【0306】
様々な酵素をロードされたビーズで多酵素カスケードを試験するために、所定の質量(表1参照)の各樹脂を追加した。
100μLの反応緩衝液(下記参照)を、ビーズに加え、30℃、および550rpmで20時間インキュベーションした。その後、上清をCMP-Neu5Acに関して分析した。その後、CMP-Neu5Ac濃度を、HPAEC-UV/PADによって測定した。
【0307】
結果:
驚くべきことに、酵素のセットの共固定化は、酵素の非固定化または酵素の個別に固定化と比較して、シチジン5’-モノホスホ-N-アセチル-ノイラミン酸(CMP-Neu5Ac)の生産性において、より高い生産性をもたらすことが明らかになっている。したがって、好ましくは、本明細書に記載の本発明の方法において使用される酵素は、固体支持体上に共固定化される。驚くべきことに、酵素を有するビーズを、11サイクルより多く使用することができる(図11図25参照)。
【0308】
【表8】
【0309】
実験C-概念の証明
設計された経路を用いてCMP-Neu5Acをワンポット反応で生成することができるかどうかを確認するため、以下の表で詳しく述べられる濃度を用いて反応を行った。反応物の濃度を、経時的に測定した(以下の4分後および30時間後のクロマトグラムを参照)。以下のクロマトグラムに示されるように、CMP-Neu5Acを生成した。CMP-Neu5Acの濃度経時変化を、以下に示す。
【0310】
【表9】
【0311】
結果
酵素のセットを用いると、CMP-Neu5Acを、GlcNAc、ピルベート、およびシチジンからうまく生成することができることが示された。
【0312】
実験D-増加した基質濃度
実験Dにおいて、2つのカスケード反応(PPAを有するD1、およびPPAを有さないD2)を、より高い基質濃度を用いて実施した(初期濃度に関して以下を参照)。一晩インキュベーション後、反応物濃度を、HPAEC-UV検出によって測定した。
【0313】
CMP-Neu5Acを、カスケードを介してうまく合成した。しかしながら、かなりの濃度のCMP、CDP、およびCTPが検出され、低収率を示唆した。
【0314】
【表10】
【0315】
【表11】
【0316】
実験E-CTPによるAGEの阻害
文献から分かるように、CTPはAGEを阻害する。我々は、GlcNAcおよびCTPからCMP-Neu5Acの合成を開始する反応において、このことを独自に実証した(下記参照)。基質および酵素の初期濃度を以下の表に示す。
【0317】
一晩の反応において、CMP-Neu5Acはほとんど検出されず、CTPによるAGEの阻害が実証された(以下のクロマトグラムを参照)。
【0318】
【化38】
【0319】
【表12】
【0320】
実験F-収率の増加
CTPはAGEを阻害し、ATPはAGEを活性化するということが知られている。しかしながら、初期基質濃度および酵素濃度を調整することによって、収率および生成物濃度を最適化することができる。シチジンを減少させることは、収率を増加させるが、CMP-Neu5Acの最終濃度を減少させる。実験Dにおいて、シチジン濃度を増加させる間にシチジン-ATP-ポリPの比率を、一定に保持した1-0.3-0.8)(初期濃度については以下を参照)。
【0321】
図9に示されるように、40時間のインキュベーション後、反応F1およびF2は、シチジンのCMP-Neu5Acへのほぼ完全な変換をもたらした。
【0322】
【表13】
【0323】
実験G
追加の反応を、経時的に濃度を測定して行った(初期濃度については以下を参照)。反応は、シチジン、GlcNAc、およびピルベートのCMP-Neu5Acへの変換を示し、シチジンに対して約75%の収率、および約25mM(16g/L)のCMP-Neu5Ac力価を有した。
【0324】
【表14】
【0325】
実施例H:100mLスケールでのCMP-Neu5Ac合成用酵素の同時生成
CMP、Neu5Ac、ポリP、および触媒量のATPからのCMP-Neu5Acの生成のために、3つの酵素すべてが同時に過剰発現する株から1つの単一株を生成した。この研究において使用される遺伝子およびベクターは以下に示される:
【0326】
【表15】
【0327】
200mLの培養物からのバイオマスを、高圧ホモジナイザーによって、25mMトリス(Tris)-HCl(pH7.1)、400NaCl、および5%グリセロールを含む40mLの溶解緩衝液で溶解した。遠心分離後、過剰発現した酵素を含む上清を、合成反応を開始するために使用した。100mLスケールの反応を、スピナーフラスコで行った。反応マトリックスは、150mMトリス(Tris)-HCl(pH8.5)、75mMのMgCl、50mMのCMP、51mMのNeu5Ac、5mMのATP、16mMのポリPを含んだ。37℃、および50rpmで6.6時間インキュベーション後、CMP-Neu5Acを最終濃度45.3mM(27.8g/L)、収率約90%で生成した。生産性は4.2g/(Lh)であった。反応終了時の反応混合物のクロマトグラムを、図26に示す。
【0328】
実施例3:カスケードの連結
カスケードは、CMP-Neu5Acをアクセプター分子に移行するためにシアリルトランスフェラーゼと連結することができる。アクセプター分子は、例えばモノクローナル抗体であることができる。連結のために、可溶性シアリルトランスフェラーゼを添加することができ、シアリルトランスフェラーゼを同じ支持体上に共固定化することができ、および/またはシアリルトランスフェラーゼを追加の支持体に固定化し、その後、反応に添加することができる。
【0329】
実施例4:Neu5アシル化生体分子の生成
Neu5アシル化生体分子の合成は、最初にワンポット多酵素カスケード反応においてCMP-Neu5Acを生成し、その後、CMP-Neu5AcからNeu5Acを基質に転移するために、CMP-Neu5Acを生体分子基質およびシアリルトランスフェラーゼと混合することによって促進される。以下の実施例において、生体分子は、ヒト乳オリゴ糖(HMO)である。
【0330】
方法
全ての実験を、1.5mLエッペンドルフセーフロックチューブで、37℃で振とうしながら(550rpm)行った。化合物の同定ために、パルスアンペロメトリック検出(PAD)を備える高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)を使用した。HPAECシステムは、ダイオネクス(Dionex)(商標)、カルボパック(CarboPac)(商標)PA200ガードおよび分析カラム(順番に、サーモサイエンティフィック社(Thermo Scientifc)、米国)が装備された。様々な濃度の水酸化ナトリウムおよび酢酸ナトリウムを有する水溶液を溶離液として使用した。
【0331】
質量分析のための試料調製:
試料における質量分析(MS)を実行する前に、綿の親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)を、溶液から塩を除去するために行った。要するに、15μLの試料を、85μLの100%アセトニトリル(ACN)と混合した。200μLピペットチップの約5分の1を綿で満たした。その後、綿を、水を用いて洗浄し、汚染物質を除去した。85%ACNを用いて平衡化後、試料を、ピペッティングによって上下にロードし、続いて、85%ACNおよび1%トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて洗浄ステップ(5回)を行った。オリゴサッカリドを、3つのステップで50μLの水を用いて綿マトリックスから溶出した(最終容量:150μL)。
【0332】
質量分析:
ウルトラフレックストレーム(UltraFlextreme)マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)-MS(ブルカーダルトニクス社(Bruker Daltonics)、ドイツ)を、HMOおよび糖ヌクレオチドの分析に使用した。HMOの分析のために、10mg/mLのTA30(0.1%TFAを添加された70%のHO、および30%ACNからなる溶液中の2mMのNaCl)と混合された「スーパー(super)-DHB」(メルク社(Merck)、ドイツ)を、マトリックスとして使用した。簡潔に、1μLのマトリックスを、アンカーチップ(AnchorChip)384BC MALDI標的プレート(ブルカーダルトニクス社(Bruker Daltonics))にスポットし、自然乾燥させた。その後、1μLの試料アリコートを、スポットに加えた。乾燥後、スポットあたり0.2μLのエタノールを加えて、迅速な、および均一な再結晶化を可能にした。HMOおよび糖ヌクレオチド分析は、陽イオンおよび陰イオン反射モードでそれぞれ測定された。陽イオンモードの較正は、デキストランラダーを用いて行った。
【0333】
酵素調製:
遺伝子、遺伝子の由来、および使用されたベクターを、表15に記載する。LOBSTR大腸菌(ケラファスト社(Kerafast)、米国)株を、発現宿主として使用した。プラスミドを含む細胞を、1.5mMのMgSOおよび選択マーカーを添加されたテリフィックブロス培地で、37℃で培養した。0.8~1のODで、0.4mMのIPTGを添加することによって、続いて16℃(α-2,6-シアリルトランスフェラーゼの場合は15℃)で、20時間~24時間インキュベーションすることによって、遺伝子発現を誘導した。
【0334】
【表16】
【0335】
培養の最後に、細胞を遠心分離(7000xg、30分)によって沈殿させ、および高圧ホモジナイゼーション(800~1000psgで3~5回通過)によって溶解した。その後、細胞残屑を遠心分離(7000xg、45分間)によって除去し、0.45μmの酢酸セルロースフィルターに通して上清をろ過した。酵素の精製のために、一般的なHis-tag精製法を使用した。結合(溶解)緩衝液は、50mM MOPS(pH7.5)、10mM MgCl、300mM NaCl、5%グリセロール、および10mMイミダゾールであった。溶出緩衝液は、50mM MOPS(pH7.5)、10mM MgCl、300mM NaCl、5%グリセロール、および250mMイミダゾールであった。
【0336】
溶出後、目的の酵素を含む画分を一緒にプールした。緩衝液交換および酵素濃縮を、3kDaアミコンフィルターユニットを使用して行った。酵素を、グリセロールと1:1で混合し、-20℃で保存した。
【0337】
実施例4-1:シアリルラクト-N-ネオテトラオースc(LSTc)およびジシアリルラクト-N-ネオテトラオース(DSLNnT)の生成
CMP-Neu5Acを、前述のカスケードを使用してワンポット多酵素反応で生成した(反応条件については表16を参照)。その後、後者のアリコート(70μL)を、LNnT、アルカリホスファターゼ(30ユニット)およびα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ(α-2、6-ST)を含む緩衝(トリス-HCl)溶液と混合した。LSTcおよびDSLNnTの生成を、MALDI-TOF-MSによって確認した(図27参照)。
【0338】
【化39】
【0339】
【表17】
【0340】
実施例4-2:6’-シアリルラクトース(6’-SL)の生成
ラクトースおよびCMP-Neu5Acからの6’-SLの合成のために、生成物としてCMP-Neu5Acを含む以前に詳述されたワンポット反応混合物(表16参照)の70μLを、ラクトース(20mM)、MnCl(20mM)、トリス(Tris)-HCl(150mM-pH8)、および0.3μg/μLのα-2,6-STと混合し、200μLの最終容量にした。6’-SLの成功した生成を、反応終点での反応混合物におけるHPAECクロマトグラムおよびMS/MSスペクトルによって確認する(図28参照)。
【0341】
【化40】
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【配列表】
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