IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クレハの特許一覧

特許7574328植物生長調整剤または植物の生長促進方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】植物生長調整剤または植物の生長促進方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 63/32 20200101AFI20241021BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20241021BHJP
   A01N 43/50 20060101ALI20241021BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
A01N63/32
A01G7/06 A
A01N43/50 N
A01P21/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022574069
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2022000190
(87)【国際公開番号】W WO2022149593
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2021002440
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】越山 竜行
(72)【発明者】
【氏名】金子 睦
(72)【発明者】
【氏名】東山 幸弘
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3696154(EP,A1)
【文献】特開2018-130091(JP,A)
【文献】特公昭43-20716(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A01G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CABA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を有効成分として含み、
前記微生物がアピオトリカム属に属する微生物、ディルクメイア属に属する微生物、パピリオトレマ属に属する微生物、シュードザイマ属に属する微生物およびロドスポリジオボラス属に属する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物であり、
前記抽出物はエルゴチオネインを含む、植物生長調整剤。
【請求項2】
前記エルゴチオネインを生産する微生物が、アピオトリカム・ポロサム、ディルクメイア・チュラシマエンシス、パピリオトレマ・フラベセンス、シュードザイマ・シアメンシス、ロドスポリジオボラス・アゾリカスからなる群から選択される少なくとも1種の微生物である、請求項に記載の植物生長調整剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の植物生長調整剤で植物を処理する工程を含む、植物の生長促進方法。
【請求項4】
前記植物生長調整剤が種子収穫量増強剤である、請求項1または2に記載の植物生長調整剤。
【請求項5】
前記植物生長調整剤が草丈増強剤である、請求項1または2に記載の植物生長調整剤。
【請求項6】
前記植物生長調整剤が花数増強剤である、請求項1または2に記載の植物生長調整剤。
【請求項7】
前記植物生長調整剤が地上部重量増強剤である、請求項1または2に記載の植物生長調整剤。
【請求項8】
前記植物生長調整剤が地下部重量増強剤である、請求項1または2に記載の植物生長調整剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生長調整剤およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、広範な植物に対して高い生長促進効果を示す薬剤が求められている。このような薬剤として、例えば、含硫アミノ酸の一種であるエルゴチオネインが知られている。
【0003】
特許文献1には、エルゴチオネインまたはエルゴチオネインを生合成可能な微生物の培養物を含む肥料が開示されている。
【0004】
特許文献2および3には、エルゴチオネインである2-メルカプトヒスチジンベタインを植物に適用することが開示されている。そして、当該適用によって、植物のストレスおよび当該ストレスに関連する状態を制御し、植物の生長を促進させることが開示されている。
【0005】
特許文献4には、エルゴチオネインを含む微生物抽出物を肥料として適用することが開示されている。そして、当該適用によって、ニトロゲナーゼ活性が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-130091号公報
【文献】国際公開第96/14749号
【文献】国際公開第96/23413号
【文献】欧州特許出願公開第3696154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存の薬剤においては、その生長促進効果は十分とは言えず、優れた生長促進効果を示す植物生長調整剤の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、植物の生長促進効果に優れた植物生長調整剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、意外にも、エルゴチオネイン産生菌の抽出物が、エルゴチオネイン単独よりも、優れた植物生長促進作用を発揮することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を有効成分として含み、前記抽出物はエルゴチオネインを含む、植物生長調整剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、植物の生長促進効果に優れた植物生長調整剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔植物生長調整剤〕
本実施形態に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を有効成分として含む。
【0013】
(エルゴチオネインを生産する微生物)
エルゴチオネインを生産する微生物として、例えば、エルゴチオネインを生産する微生物として公知の微生物を使用することができるが、これに限定されない。当該微生物は自然環境から単離されたものであってもよい。エルゴチオネインを生産する能力を有していれば、突然変異または遺伝子組換えなどの処理された微生物であってもよい。
【0014】
エルゴチオネインを生産する微生物として、例えば、アピオトリカム・ポロサム(Apiotrichum porosum)などのアピオトリカム属に属する微生物;ディルクメイア・チュラシマエンシス(Dirkmeia churashimaensis)などのディルクメイア属に属する微生物;パピリオトレマ・フラベセンス(Papiliotrema flavescens)などのパピリオトレマ属に属する微生物;シュードザイマ・シアメンシス(Pseudozyma siamensis)、シュードザイマ・アンタクティカ(Pseudozyma antarctica)、シュードザイマ・ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)、シュードザイマ・フベイエンシス(Pseudozyma hubeiensis)、シュードザイマ・シャンキシエンシス(Pseudozyma shanxiensis)、シュードザイマ・ルグローサ(Pseudozyma rugulosa)、シュードザイマ・クラッサ(Pseudozyma crassa)、シュードザイマ・アルボアメニアカ(Pseudozyma alboarmeniaca)、シュードザイマ・グラミニコーラ(Pseudozyma graminicola)、シュードザイマ・フシフォルマタ(Pseudozyma fusiformata)、シュードザイマ・パラアンタクティカ(Pseudozyma parantarctica)、シュードザイマ・フロキュロッサ(Pseudozyma flocculosa)およびシュードザイマ・チュラシマエンシス(Pseudozyma churashimaensis)などのシュードザイマ属に属する微生物;ウスチラゴ・メイディス(Ustilago maydis)などのウスチラゴ属に属する微生物;メチロバクテリウム・アクアチカム(Methylobacterium aquaticum)などのメチロバクテリウム属に属する微生物;アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、アウレオバシジウム・メラノゲナム(Acetobacter melanogenum)、アウレオバシジウム・ナミビアエ(Aureobasidium namibiae)およびアウレオバシジウム・サブグラシアル(Aureobasidium subglaciale)などのアウレオバシジウム属に属する微生物;ロドトルラ・ムシラギノサ(Rhodotorula mucilaginosa)およびロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・パルディゲナ(Rhodotorula paludigena)などのロドトルラ属に属する微生物;ロドスポリジオボラス・アゾリカス(Rhodosporidiobolus azoricus)などのロドスポリジオボラス属に属する微生物;ワンリヤ属(Vanrija)に属する微生物;プルーロタス・シトリノピレタス(Pleurotus citrinopileatus)などのプルーロタス属に属する微生物;アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびアスベルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)などのアスペルギルス属に属する微生物;ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・アヴェルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・アルバス(Streptomyces albus)およびストレプトマイセス・アルブルス(Streptomyces albulus)などのストレプトマイセス属に属する微生物;アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)、アクチノマイセス・オドントリティカス(Actinomyces odontolyticus)およびアクチノマイセス・オリス(Actinomyces oris)などのアクチノマイセス属に属する微生物;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)およびマイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)などのマイコバクテリウム(Mycobacterium)属に属する微生物;コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、コリネバクテリウム・アルカノリティカム(Corynebacterium alkanolyticum)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)およびコリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)などのコリネバクテリウム属に属する微生物;エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などのエシェリヒア属に属する微生物;エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)およびエンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)などのエンテロバクター属に属する微生物;パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・スチューアルティ(Pantoea stewartii)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)およびパントエア・シトレア(Pantoea citrea)などのパントエア属に属する微生物;クレブシエラ・プランティコーラ(Klebsiella planticola)などのクレブシエラ属に属する微生物;サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)などのサルモネラ属に属する微生物;シゾサッカロマイセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)などのシゾサッカロマイセスに属する微生物;サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロマイセス属に属する微生物;クロロビウム・リミコラ(Chlorobium limicola)などのクロロビウム属に属する微生物;キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)などのキャンディダ属に属する微生物;ペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)などのペニシリウム属に属する微生物;アカパンカビ(Neurospora crassa)などのノイロスポラ属に属する微生物;麦角菌(Claviceps purpurea)などのクラビセプス属に属する微生物;モニリエラ・ポリニス(Moniliella pollinis)およびモニリエラ・メガチリエンシス(Moniliella megachiliensis)などのモニリエラ属に属する微生物;クリプトコッカス・フラベセンス(Cryptococcus flavescens)、クリプトコッカス・フェノリカス(Cryptococcus phenolicus)およびクリプトコッカス・テレウス(Cryptococcus terreus)などのクリプトコッカス属に属する微生物;ヒイロタケ(Pycnoporus coccineus)およびシュタケ(Pycnoporus cinnabarinus)などのシュタケ属に属する微生物;ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、タモギタケ(Pleurotus cornucopiae var.citrinopileatus)、ウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius)およびエリンギ(Pleurotus eryngii)などのヒラタケ属に属する微生物;エノキタケ(Flammulina velutipes)などのエノキタケ属に属する微生物;オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus)などのオオイチョウタケ属に属する微生物;メシマコブ(Phellinus linteus)などのキコブタケ属に属する微生物;キシメジ(Tricholoma equestre)およびマツタケ(Tricholoma matsutake)などのキシメジ属に属する微生物;ササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus)などのササクレヒトヨタケ属に属する微生物;ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)などのサンゴハリタケ属に属する微生物;ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)およびハタケシメジ(Lyophyllum decastes)などのシメジ属に属する微生物;ショウゲンジ(Rozites caperata)などのショウゲンジ属に属する微生物;ナメコ(Pholiota nameko)などのスギタケ属に属する微生物;ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitchisonii)などのブナハリタケ属に属する微生物;ヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)などのフミヅキタケ属に属する微生物;マイタケ(Grifola frondosa)およびアンニンコウ(Grifola gargal)などのマイタケ属に属する微生物;ツクリタケ(Agaricus bisporus)およびハラタケ(Agaricus campestris)などのハラタケ属に属する微生物;などが挙げられる。
【0015】
(エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物)
エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネインを生産する微生物または当該微生物の培養物を抽出処理することによって得られる。培養物には、培養上清、培養沈殿、培地、培養菌体、培養菌体破砕物、培養菌体の凍結乾燥物などの培養菌体処理物、などが含まれる。
【0016】
エルゴチオネインを生産する微生物の培養方法は、微生物に対して行われる一般的な培養方法に準じて行えばよい。培養形態は、固体培地を用いた培養、液体培地を用いた回分培養、流加培養または連続培養であってもよく、通気撹拌してもよい。培地としては、微生物が資化可能な炭素源、窒素源、または無機塩類などの必要な栄養源を含有する培地を使用してもよい。培養pH、培養温度および培養時間などの培養条件は、培養する微生物の種類および培養スケールなどに応じて適宜選択することができる。
【0017】
抽出処理として、熱水抽出;有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、ペンタン、ヘキサン、トルエンなど)などによる溶媒抽出;オートクレーブなどによる加圧抽出;酵素および界面活性剤などによる化学的抽出;超音波抽出;アルカリ抽出(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウムなど);酸抽出(例えば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸など);浸透圧(例えば、塩化ナトリウム、スクロースなど)による抽出;粉砕による抽出;摩砕(すり潰し)による抽出;凍結融解による抽出;液体窒素による抽出;高速撹拌による抽出;などが挙げられる。優れた植物生長効果を発揮する点などで、抽出処理は熱水抽出であることが好ましい。抽出処理は1種類であってもよいし、2種類以上の抽出処理を行ってもよい。
【0018】
熱水抽出は、熱水に抽出対象物を一定時間接触または浸漬させる抽出である。熱水抽出に用いる水の温度は、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。
【0019】
エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物にはエルゴチオネインが含まれる。当該抽出物に含まれるエルゴチオネインの濃度の下限は、0.1ppm以上であってもよく、1ppm以上であってもよい。また、当該抽出物に含まれるエルゴチオネインの濃度の上限は、10質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。
【0020】
本実施形態に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を有効成分として含むことにより、これにより処理した植物において、優れた生長促進効果を呈する。本明細書における「生長促進効果に優れる」とは、植物の生長の指標の少なくとも1つが従来の植物生長調整剤に比べて優れていることを指す。ここで、「植物の生長の指標」とは、例えば、植物の草丈、地上部重量、地下部重量、分げつ数、根収穫量、茎収穫量、葉数、葉収穫量、花数、果実数、果実収穫量、種子数および種子収穫量などが挙げられる。ここで、「地上部」とは、地面または水面より上の部分を示し、「地下部」とは、地面または水面より下の部分を示す。
【0021】
本実施形態に係る植物生長調整剤は、種子収穫量増強剤、草丈増強(伸長)剤、花数増強剤、地上部重量増強剤、または、地下部重量増強剤として機能する。
【0022】
(適用対象)
本実施形態に係る植物生長調整剤は、一般的に全ての植物に対する生長促進効果を呈するが、適用植物の例として以下を挙げることができる。イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ(トリチケール)、エンバク、トリチケール、トウモロコシ、モロコシ(ソルガム)、サトウキビ、シバ、ベントグラス、バミューダグラス、フェスクおよびライグラスなどのイネ科類;ダイズ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウ、アズキおよびアルファルファなどのマメ科類;サツマイモなどのヒルガオ科類;トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、ジャガイモ;およびタバコなどのナス科類;ソバなどのタデ科類;ヒマワリなどのキク科類;チョウセンニンジンなどのウコギ科類;シロイヌナズナ、ナタネ、ハクサイ、カブ、キャベツおよびダイコン、ハツカダイコンなどのアブラナ科類;テンサイなどのアカザ科類;ワタなどのアオイ科類;コーヒーノキなどのアカネ科類;カカオなどのアオギリ科類;チャなどのツバキ科類;スイカ、メロン、キュウリおよびカボチャなどのウリ科類;タマネギ、ネギおよびニンニクなどのユリ科類;イチゴ、リンゴ、アーモンド、アンズ、ウメ、オウトウ、スモモ、モモおよびナシなどのバラ科類;ニンジンなどのセリ科類;サトイモなどのサトイモ科類;マンゴーなどのウルシ科類;パイナップルなどのパイナップル科類;パパイアなどのパパイア科類;カキなどのカキノキ科類;ブルーベリーなどのツツジ科類;ペカンなどのクルミ科類;バナナなどのバショウ科類;オリーブなどのモクセイ科類;ココヤシおよびナツメヤシなどのヤシ科類;みかん、オレンジ、グレープフルーツおよびレモンなどのミカン科類;ブドウなどのブドウ科類;草花(Flowers and ornamental plants);果樹以外の樹;ならびに、その他の観賞用植物。
【0023】
また、野生植物、植物栽培品種、異種交配および原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物および植物栽培品種、ならびに、遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物および植物栽培品種を適用植物として挙げることができる。遺伝子組み換え植物および植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、および収量向上作物などを挙げることができる。各国で認可を受けた遺伝子組み換え植物栽培品種としては、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータベースに蓄積されているものを挙げることができる。具体的には、AgriSure、AgriSure 3000GT、AgriSure 3122 E-Z Refuge、AgriSure 3122 Refuge Renew、AgriSure Artesian 3030A、AgriSure Artesian 3011A、AgriSure Duracade、AgriSure Duracade 5222 E-Z Refuge、AgriSure GT、AgriSure GT/CB/LL、AgriSure RW、AgriSure Viptera 3110、AgriSure Viptera 3111、AgriSure Viptera 3220 E-Z Refuge、AgriSure Viptera 3220 Refuge Renew、BiteGard、Bollgard、Bollgard II、Bollgard II/Roundup Ready、Bollgard 3 XtendFlex Cotton、Bollgard Cotton、Bollgard/Roundup Ready Cotton、B.t.、B.t/BXN Cotton、B.t. Maize、BtXtra、BXN、BXN Canola、BXN Cotton、Clearfield、DroughtGard、Enlist、Enlist Cotton、Enlist WideStrike 3 Cotton、Genuity、Genuity Bollgard II XtendFlex、Genuity Intacta RR2 Pro、Genuity SmartStax、Genuity SmartStax RIB Complete、Genuity VT Double Pro、Genuity VT Double Pro RIB Complete、Genuity VT Triple Pro、Genuity VT Triple Pro RIB Complete、GlyTol、GlyTol Cotton、Herculex、Herculex 1、Herculex RW、Herculex XTRA、IMI、IMI Canola、InVigor、KnockOut、Liberty Link、Liberty Link Conola、Liberty Link cotton、NatureGard、Newleaf、Nucotn、Optimum、Optimum AcreMax、Optimum AcreMax I、Optimum AcreMax-R、Optimum AcreMax RW、Optimum AcreMax RW-R、Optimum AcreMax Xtra-R、Optimum AcreMax Xtreme-R、Optimum AcreMax Xtreme、Optimum Intrasect、Optimum Intrasect Xtra、Optimum Intrasect Xtreme、Optimum Leptra、Optimum TRIsect、Poast Compatible、Powercore、Powercore Corn、Powercore Corn Refuge Advanced、Protecta、Roundup Ready、Roundup Ready 2、Roundup Ready Conola、Roundup Ready Cotton、Roundup Ready Xtend、Roundup Ready/YieldGard、RR Flex/Bollgard II、SCS、SmartStax、SmartStax Refuge Advanced、StarLink、Twinlink、VipCot、VipCot Cotton、WideStrike、WideStrike 3、YieldGard、YieldGard Corn Borner、YieldGard Rootworm、YieldGard PlusおよびYieldGard VT Tripleなどの登録商標を含むものを挙げることができる。
【0024】
(植物生長調整剤のその他の成分および剤形)
本実施形態に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物をそのまま植物生長調整剤として用いてもよい。また、当該抽出物を濃縮または精製して植物生長調整剤として用いてもよい。また、本実施形態に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を担体(希釈剤)、界面活性剤およびその他の製剤補助剤などと混合して粉剤、粒剤、粉粒剤、水和剤、水溶剤、乳剤、液剤、油剤、エアゾル、マイクロカプセル剤、ペースト剤、塗布剤、くん煙剤、くん蒸剤および微量散布剤などの種々の形態に製剤して使用してもよい。
【0025】
製剤補助剤として使用する担体としては、固体担体および液体担体などが挙げられる。固体担体としては、粉末担体および粒状担体などとして用いられ、例えば、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト(沸石)、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、カオリン、パイロフィライト、ろう石、酸性白土、活性白土、アタパルジャイト、アタパルガスクレー、石灰石、方解石、大理石、バーミキュライト、パーライト、軽石、珪石、珪砂、絹雲母(セリサイト)および陶石などの鉱物;尿素などの合成有機物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、消石灰および重曹などの塩類;非晶質シリカ(ホワイトカーボン、ヒュームドシリカなど)および二酸化チタンなどの合成無機物;木質粉、トウモロコシ茎(穂軸)、クルミ殻(堅果外皮)、果実核、モミガラ、ヤシガラ、オガクズ、ふすま、大豆粉、粉末セルロース、デンプン、デキストリンおよび糖類(乳糖、ショ糖など)などの植物性担体;架橋リグニン、カチオンゲル、加熱又は多価金属塩でゲル化するゼラチン、水溶性高分子ゲル(寒天など)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体および尿素/アルデビド樹脂などの種々の高分子担体などを挙げることができる。
【0026】
液体担体としては、例えば、パラフィン類(ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテン)などの脂肪族溶剤;キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンおよびソルベントナフサなどの芳香族溶剤;灯油(ケロシン)などの混合溶剤;精製高沸点脂肪族炭化水素などのマシン油;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類;プロピレン系グリコールエーテルなどの多価アルコール誘導体類;アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびγ-ブチロラクトンなどのケトン類;脂肪酸メチルエステル(ヤシ油脂肪酸メチルエステル)、乳酸エチルヘキシル、炭酸プロピレンおよび二塩基酸メチルエステル(コハク酸ジメチルエステル、グルタミン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル)などのエステル類;N-アルキルピロリドン類およびアセトニトリルなどの含窒素溶剤;ジメチルスルホキシドなどの含硫黄溶剤;ヤシ油、大豆油および菜種油などの油脂類;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド、5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソ-吉草酸メチルエステルおよびN-アシルモルホリン系溶剤(CAS No.887947-29-7など)などのアミド系溶剤;水などを挙げることができる。
【0027】
製剤補助剤として使用する界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤およびバイオサーファクタントなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニル(又はフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニル(又はフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびアルキルグリコシドなどを挙げられる。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンベンジル(又はスチリル)フェニル(又はフェニルフェニル)エーテルサルフェートおよびポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェートなどのサルフェート類;パラフィン(アルカン)スルホネート、α-オレフィンスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホネート、モノ又はジアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、リグニンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネートおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステルなどのスルホネート類;脂肪酸、樹脂酸、ポリカルボン酸、アルキルエーテルカルボキシレート、アルケニルコハク酸、N-アシルアミノ酸およびナフテン酸などのカルボキシラート類;ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンモノ又はジアルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーホスフェートおよびアルキルホスフェートなどのホスフェール類などが挙げられる。
【0029】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミンおよびアルキルペンタメチルプロピレンジアミンなどのアミン類の塩;アルキルトリメチルアンモニウム、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウム、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウム、アルキルピリジニウム、モノ又はジアルキルメチル化アンモニウム、アルキルジメチルベンザルコニウムおよびベンゼトニウム(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム)などのアンモニウム類の塩類などが挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤としては、例えば、ジアルキルジアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインおよびレシチン(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンなど)などが挙げられる。
【0031】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トリシロキサンエトキシレートなどが挙げられる。
【0032】
フッ素界面活性剤としては、例えば、ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩およびペルフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩など挙げられる。
【0033】
バイオサーファクタントとしては、例えば、ソホロリピッド、ラムノリピッド、トレハロースリピッド、マンノシルアルジトールリピッド、セロビオースリピッド、グルコースリピッド、オリゴ糖脂肪酸エステル、スピクルスポール酸、コリノミコール酸、アガリチン酸、サーファクチン、セラウエッチン、ビスコシン、ライケンシン、アルスロファクチン、エマルザンおよびアラサンなどを挙げることができる。
【0034】
その他の製剤用補助剤としては、pH調節剤として用いられる無機塩類(ナトリウム、カリウムなど)など;食塩などの水溶性の塩類;増粘剤として用いられるキサタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体、水溶性高分子(多糖類など)、アルギン酸およびその塩など;崩壊分散剤として用いられるステアリン酸金属塩、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダなど;防腐剤として用いられる安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、プロピオン酸およびその塩、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、1,2-ベンツチアゾリン-3-オンなど;補足剤として用いられるポリリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸/グルコヘプタン酸ナトリウム、エチレンジアミンン四酢酸およびそのジナトリウム塩またはアンモニウム塩など;着色剤として用いられる顔料、染料など;消泡剤として用いられるフッ素系消泡剤、シリコーン系消泡剤、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体など;酸化防止剤として用いられるフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤など;紫外線吸収剤として用いられるサルチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤など;乾燥剤として用いられる生石灰、酸化マグネシウムなど;その他、展着剤および薬害軽減剤などが挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る植物生長調整剤中の有効成分の含有量は、0.1ppm以上であってもよく、また、1ppm以上であってもよい。また、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物の使用量は、畑、田、果樹園および温室などの農園芸地1haあたり、0.0001kg以上であってもよく、0.001kg以上であってもよい。有効成分の濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象植物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0036】
(他の有効成分)
本実施形態に係る植物生長調整剤は、既知の他の有効成分と組み合わせ、植物生長調整剤としての性能を高めて使用することもできる。既知の他の有効成分としては、既知の植物生長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤および除草剤に含まれる有効成分を挙げることができる。
【0037】
既知の植物生長調整剤の有効成分としては、例えば、酸化型グルタチオン、L-グルタミン酸、L-プロリン、アミノエトキシビニルグリシン、クロルメコート、クロルプロファム、シクラニリド、ジケグラック、ダミノジット、エテホン、フルルプリミドール、フルメトラリン、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン、マレイン酸ヒドラジド塩、メピコートクロリド、メチルシクロプロペン、ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン、チジアズロン、トリブチルホスホロトリチオエート、トリネキサパックエチル、ウニコナゾール、1-ナフタレン酢酸ナトリウム、1-ナフチルアセトアミド、1-メチルシクロプロペン、4-CPA(4-クロロフェノキシ酢酸)、MCPB(2-メチル-4-クロロフェノキシ酪酸エチル)、イソプロチオラン、イタコン酸、インドール酪酸、エチクロゼート、ギ酸カルシウム、クロルメコート、コリン、シアナミド、ジクロルプロップ、ジベレリン、ダミノジッド、デシルアルコール、トリオレイン酸ソルビタン、ニコスルフロン、ピラフルフェンエチル、ブトルアリン、プロヒドロジャスモン、アニシフルプリンおよびペンディメタリンなどが挙げられる。
【0038】
殺菌剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、核酸合成代謝阻害剤、細胞骨格とモータータンパク質に作用する殺菌剤、呼吸阻害剤、アミノ酸・タンパク質生合成阻害剤、シグナル伝達阻害剤、脂質生合成又は輸送/細胞膜の構造又は機能阻害剤、細胞膜のステロール生合成阻害剤、細胞壁生合成阻害剤、メラニン生合成阻害剤、宿主植物の抵抗性誘導剤、多作用点殺菌剤および複数の作用機構を有する生物農薬/生物由来の農薬などが挙げられる。
【0039】
具体的には、核酸合成代謝阻害剤としては、ベナラキシル、ベナラキシルMまたはキララキシル、フララキシル、メタラキシル、メタラキシルMまたはメフェノキサム、オフラセ、オキサジキシル、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール、ヒドロキシイソキサゾール、オクチリノンおよびオキソリニック酸などが挙げられる。
【0040】
また、細胞骨格とモータータンパク質に作用する殺菌剤としては、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチル、ジエトフェンカルブ、エタボキサム、ペンシクロン、ゾキサミド、フルオピコリド、フルオピモミド、フェナマクリル、メトラフェノンおよびピリオフェノンなどが挙げられる。
【0041】
また、呼吸阻害剤としては、ジフルメトリム、フェナザキン、トルフェンピラド、ベノダニル、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラン、フルベネテラム、フルインダピル、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、インピルフルキサム、イソフェタミド、イソフルシプラム、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピジフルメトフェン、ピラプロポイン、ピラジフルミド、セダキサン、チフルザミド、アゾキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、エノキサストロビン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナミンストロビン、フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、マンデストロビン、メトミノストロビン、メチルテトラプロール、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリベンカルブ、トリクロピリカルブ、トリフロキシストロビン、アミスルブロム、シアゾファミド、フェンピコキサミド、フロリルピコキサミド、メタリルピコキサミド、ビナパクリル、ジノカップ、フルアジナム、メプチルジノカップ、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、シルチオファムおよびアメトクトラジンなどが挙げられる。
【0042】
また、アミノ酸およびタンパク質生合成阻害剤としては、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ストレプトマイシンおよびオキシテトラサイクリンなどが挙げられる。
【0043】
また、シグナル伝達阻害剤としては、プロキナジド、キノキシフェン、フルジオキソニル、クロゾリネート、ジメタクロン、フェンピクロニル、イプロジオン、プロシミドンおよびビンクロゾリンなどが挙げられる。
【0044】
また、脂質生合成又は輸送/細胞膜の構造又は機能阻害剤としては、エジフェンホス(EDDP)、イプロベンホス(IBP)、イソプロチオラン、ピラゾホス、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン(CNA)、エトリジアゾール、キントゼン(PCNB)、テクナゼン(TCNB)、トルクロホスメチル、ヨードカルブ、プロパモカルブ、プロチオカルブ、ゴセイカユプテ(ティーツリー)の抽出物、植物油類混合物(オイゲノール、ゲラニオール、チモール)、ナタマイシン(ピマリシン)、フルオキサピプロリンおよびオキサチアピプロリンなどが挙げられる。
【0045】
細胞膜のステロール生合成阻害剤としては、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルオキシチオコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、メフェントリフルコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、フェナリモル、ヌアリモール、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、トリホリン、メチル (2RS)-2-[2-クロロ-4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパノアート、1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロベンジル)-2-(クロロメチル)-2-メチルシクロペンタン-1-オール、メチル 2-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-3-(4-クロロベンジル)-2-ヒドロキシ-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキシレート、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、ピペラリン、スピロキサミン、フェンヘキサミド、フェンピラザミン、ピリブチカルブ、ナフチフィンおよびテルビナフィンなどが挙げられる。
【0046】
細胞壁生合成阻害剤としては、ポリオキシン、ベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブイソプロピル)、ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、ピリモルフおよびバリフェナレートなどが挙げられる。
【0047】
メラニン生合成阻害剤としては、フサライド、ピロキロン、トリシクラゾール、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニルおよびトルプロカルブなどが挙げられる。
【0048】
宿主植物の抵抗性誘導剤としては、アシベンゾラルSメチル、プロベナゾール、チアジニル、イソチアニル、ラミナリン、オオイタドリ抽出液、バチルス・マイコイデス分離株J、サッカロミセス・セレビシアLAS117株の細胞壁、ホセチル(ホセチル‐アルミニウム、ホセチルカリウム、ホセチルナトリウム)、リン酸、リン酸塩およびジクロベンチアゾクスなどが挙げられる。
【0049】
多作用点殺菌剤としては、ファーバム、マンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チウラム、チアゾール亜鉛、ジネブ、ジラム、アンバム、アニラジン、ジチアノン、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、グアザチン、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、銅または種々の銅塩(例えば塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、硫酸銅、有機銅(オキシン銅)、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDCなど)、硫黄、キャプタン、カプタホール、ホルペット、TPN(クロロタロニル)、キノキサリン系(キノメチオナート)、フルオルイミドおよびメタスルホカルブなどが挙げられる。
【0050】
複数の作用機構を有する生物農薬/生物由来の農薬として、バチルス・ズブチリスAFS032321株、バチルス・アミロリクエファシエンスQST713株、バチルス・アミロリクエファシエンスFZB24株、バチルス・アミロリクエファシエンスMBI600株、バチルス・アミロリクエファシエンスD747株、バチルス・アミロリクエファシエンスF727株、クロノスタキス・ロゼアCR-7株、グリオクラディウム・カテナラタムJ1446株、シュードモナス・クロロファフィスAFS009株、ストレプトミセス・グリセオビリデスK61株、ストレプトミセス・リディクスWYEC108株、トリコデルマ・アトロビリデI-1237株、トリコデルマ・アトロビリデLU132株、トリコデルマ・アトロビリデSC1株、トリコデルマ・アスペレルムT34株、スウェイングレア・グルティノーサからの抽出物およびハウチワマメ苗木の子葉からの抽出物などが挙げられる。
【0051】
その他の殺菌剤用途の化合物として、クロロインコナジド、セボクチルアミン、フルメチルスルホリム、フルフェノキサジアザム、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロメジン、ジピメチトロン、ドジン、フェニトロパン、フェリムゾン、フルスルファミド、フルチアニル、ハルピン、無機塩類(炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、炭酸カリウム)、イプフルフェノキン、キノプロール、天然物起源、マシン油、有機油、ピカルブトラゾクス、ピリダクロメチル、キノフメリン、テブフロキン、テクロフタラム(殺細菌剤)、トリアゾキシド、バリダマイシン、アミノピリフェンおよびシイタケ菌糸体抽出物などが挙げられる。
【0052】
殺虫剤、殺ダニ剤および殺線虫剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、GABA作動性塩化物イオンチャネルブロッカー、ナトリウムチャネルモジュレーター、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーター、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)アロステリックモジュレーター、グルタミン酸作動性塩素イオンチャネル(GluCl)アロステリックモジュレーター、幼若ホルモン類似剤、その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤、弦音器官TRPVチャネルモジュレーター、CHS1に作用するダニ類成長阻害剤、微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤、ミトコンドリアATP合成酵素阻害剤、プロトン勾配を攪乱する酸化的リン酸化脱共役剤、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)チャネルブロッカー、CHS1に作用するキチン生合成阻害剤、キチン生合成阻害剤(タイプ1)、脱皮阻害剤(ハエ目昆虫)、脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト、オクトパミン受容体アゴニスト、ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤、ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤(METI)、電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、ミトコンドリア電子伝達系複合体IV阻害剤、ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤、リアノジン受容体モジュレーター、弦音器官モジュレーター、GABA作動性塩化物イオンチャネルアロステリックモジュレーターおよびバキュロウイルスなどが挙げられる。
【0053】
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤としては、アラニカルブ、アルジカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、NAC(カルバリル)、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、BPMC(フェノブカルブ)、フェノチオカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、MIPC(イソプロカルブ)、メチオカルブ、メソミル、MTMC(メトルカルブ)、オキサミル、ピリミカーブ、PHC(プロポキスル)、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、MPMC(キシリルカルブ)、アセフェート、アザメチホス、アジンホスエチル、アジンホスメチル、カズサホス、クロレトキシホス、CVP(クロルフェンビンホス)、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クマホス、CYAP(シアノホス)、ジメトン-S-メチル、ダイアジノン、DDVP(ジクロルボス)、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、エチルチオメトン(ジスルホトン)、EPN、エチオン、エトプロホス、ファンフル、フェナミホス、MEP(フェニトロチオン)、MPP(フェンチオン)、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソプロピル O-(メトキシアミノチオホスホリル)サリチラート、イソキサチオン、マラソン(マラチオン)、メカルバム、メタミドホス、DMTP(メチダチオン)、メビンホス、モノクロトホス、BRP(ナレッド)、オメトエート、オキシジメトンメチル、パラチオン、メチルパラチオン(パラチオンメチル)、PAP(フェントエート)、ホレート、ホサロン、PMP(ホスメット)、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロペタムホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリムホス、テメホス、テルブホス、CVMP(テトラクロルビンホス)、チオメトン、トリアゾホス、DEP(トリクロルホン)およびバミドチオンなどが挙げられる。
【0054】
GABA作動性塩化物イオンチャネルブロッカーとしては、クロルデン、ベンゾエピン(エンドスルファン)、ジエノクロル、エチプロール、フィプロニル、ピリプロ―ルおよびニコフルプロールなどが挙げられる。
【0055】
ナトリウムチャネルモジュレーターとしては、アクリナトリン、アレスリン(アレスリン、d-シス-トランス-、d-トランス-異性体)、ビフェントリン、ビオアレスリン(ビオアレスリン、S-シクロペンテニル-異性体)、ビオレスメトリン、クロロプラレスリン、クロルフェンソン、シクロプロトリン、シフルトリン(シフルトリン、β-異性体)、シハロトリン(シハロトリン、λ-、γ-異性体)、シペルメトリン(シペルメトリン、α-、β-、θ-、ζ-異性体)、シフェノトリン[(1R)-トランス異性体]、デルタメトリン、ジメフルトリン、エンペントリン[(EZ)-(1R)-異性体]、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルブロシトリネート、フルシトリネート、フルメトリン、フルバリネート(τ-フルバリネート)、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、カデスリン、メトフルトリン、モンフルオロトリン、イプシロンメトフルトリン、イプシロンモンフルオロトリン、ペルメトリン、フェノトリン[(1R)-トランス異性体]、プラレトリン、プロフルトリン、ピレトリン、レスメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、フタルスリン(テトラメスリン)、テトラメスリン[(1R)-異性体]、トラロメトリン、トランスフルトリン、DDT、メトキシクロル、アルドリン、ディルドリンおよびリンダン(リンデン)などが挙げられる。
【0056】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーターとしては、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、硫酸ニコチン(ニコチン)、スルホキサフロル、フルピラジフロン、ジクロロメゾチアズ、フェンメゾジチアズおよびトリフルメゾピリムなどが挙げられる。
【0057】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)アロステリックモジュレーターとしては、スピネトラム、スピノサド、フルピリミンおよびGS-オメガ/カッパHXTX-Hv1aペプチドなどが挙げられる。
【0058】
グルタミン酸作動性塩素イオンチャネル(GluCl)アロステリックモジュレーターとしては、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチンおよびミルベメクチンなどが挙げられる。
【0059】
幼若ホルモン類似剤としては、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブおよびピリプロキシフェンなどが挙げられる。
【0060】
その他の非特異的(マルチサイト)阻害剤としては、臭化メチル(メチルブロマイド)、その他のハロゲン化アルキル類、クロルピクリン、弗化アルミニウムナトリウム、フッ化スルフリル、ホウ砂、ホウ酸、オクタホウ酸ニナトリウム塩、メタホウ酸ナトリウム塩、吐酒石、ダゾメット、カーバム(メタムアンモニウム塩)、メタムナトリウム塩(カーバムナトリウム塩)およびメチルイソチオシアネート(イソチオシアン酸メチル)などが挙げられる。
【0061】
弦音器官TRPVチャネルモジュレーターとしては、ピメトロジン、ピリフルキナゾンおよびアフィドピロペンなどが挙げられる。
【0062】
CHS1に作用するダニ類成長阻害剤としては、クロフェンテジン、ジフロビダジン、ヘキシチアゾクスおよびエトキサゾールなどが挙げられる。
【0063】
微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤としては、Bacillus thuringiensis subsp. israelensis、Bacillus thuringiensis subsp. aizawai、Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki、Bacillus thuringiensis subsp. tenebrionis、B.t.作物に含まれるタンパク質(Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Fa、Cry1A.105、Cry2Ab、Vip3A、mCry3A、Cry3Bb、Cry34Ab1/Cry35Ab1)およびBacillus sphaericusなどが挙げられる。
【0064】
ミトコンドリアATP合成酵素阻害剤としては、ジアフェンチウロン、アゾシクロチン、水酸化トリシクロヘキシルスズ(シヘキサチン)、酸化フェンブタスズ、BPPS(プロパルギット)およびテトラジホンなどが挙げられる。
【0065】
プロトン勾配を攪乱する酸化的リン酸化脱共役剤としては、クロルフェナピル、DNOCおよびスルフルラミドなどが挙げられる。
【0066】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)チャネルブロッカーとしては、ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、チオスルタップナトリウム塩およびモノスルタップなどが挙げられる。
【0067】
CHS1に作用するキチン生合成阻害剤としては、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロンおよびトリフルムロンなどが挙げられる。
【0068】
キチン生合成阻害剤(タイプ1)としては、ブプロフェジンなどが挙げられる。
【0069】
脱皮阻害剤(ハエ目昆虫)としては、シロマジンなどが挙げられる。
【0070】
脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニストとしては、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジドおよびテブフェノジドなどが挙げられる。
【0071】
オクトパミン受容体アゴニストとしては、アミトラズなどが挙げられる。
【0072】
ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤としては、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリムおよびビフェナゼートなどが挙げられる。
【0073】
ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤(METI)としては、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリミジフェン、テブフェンピラド、トルフェンピラドおよびデリス(ロテノン)などが挙げられる。
【0074】
電位依存性ナトリウムチャネルブロッカーとしては、インドキサカルブおよびメタフルミゾンなどが挙げられる。
【0075】
アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤としては、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロピジオン、スピドキサマトおよびスピロテトラマトなどが挙げられる。
【0076】
ミトコンドリア電子伝達系複合IV阻害剤としては、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、リン化水素、リン化亜鉛、青酸(シアン化カルシウム・シアン化ナトリウム)およびシアン化カリウムなどが挙げられる。
【0077】
ミトコンドリア電子伝達系複合II阻害剤としては、シエノピラフェン、シエトピラフェン、シフルメトフェン、ピフルブミドおよびシクロブトリフルラムなどが挙げられる。
【0078】
リアノジン受容体モジュレーターとしては、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シクラニリプロール、フルベンジアミド、テトラニリプロール、フルクロルジニリプロール、テトラクロラントラニリプロール、シハロジアミドおよびシプロフラニリドなどが挙げられる。
【0079】
弦音器官モジュレーターとしては、フロニカミドなどが挙げられる。
【0080】
GABA作動性塩化物イオンチャネルアロステリックモジュレーターとしては、ブロフラニリド、フルキサメタミドおよびイソシクロセラムなどが挙げられる。
【0081】
バキュロウイルスとしては、コドリンガCydia pomonella GV、コドリンガモドキThaumatotibia leucotreta GV、ビロードマメケムシAnticarsis gemmatalis MNPVおよびオオタバコガHelicoverpa armigera NPVなどが挙げられる。
【0082】
その他の殺虫剤、殺ダニ剤および殺線虫剤としては、アザジラクチン、ベンゾメート(ベンゾキシメート)、フェニソブロモレート(ブロモプロピレート)、キノキサリン系(キノメチオナート)、ケルセン(ジコホル)、石灰硫黄合剤、マンゼブ、ピリダリル、硫黄、アシノナピル、アミドフルメト、ベンズピリモキサン、フルアザインドリジン、フルエンスルホン、フルヘキサホン、フルペンチオフェノックス、フロメトキン、メタアルデヒド、チクロピラゾフロル、ジンプロピリダズ、トリフルエンフロネート、インダザピロキサメット、バークホルデリア属菌、ボルバキア・ピピエンティス(Zap)、アリタソウ抽出物、グリセリンまたはプロパンジオールを持った脂肪酸モノエステル、ニームオイル、マシン油、ナタネ油、調合油、デンプン、還元澱粉糖化物、オレイン酸ナトリウム、リン酸第二鉄、ネマデクチン、ボーベリア・バシアーナ株、メタリジウム・アニソプリア株(F52)、ペシロマイセス・フモソロセウス・アポプカ株(97)、珪藻土、DCIP(ジクロロジイソプロピルエーテル)、D-D(1,3ジクロロプロペン)、塩酸レバミゾール、酒石酸モランテルおよびチオキサザフェンなどが挙げられる。
【0083】
除草剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、アセト乳酸合成(ALS)阻害剤化合物、アミノ酸系化合物、シクロヘキサンジオン系化合物、アセトアミド系化合物、ビピリジリウム系化合物、アリルオキシフェノキシプロピオン酸系化合物、カーバメート系化合物、ピリジン系化合物、ウレア系化合物、ジニトロアニリン系化合物、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害化合物、フェノキシ酢酸系化合物、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(HPPD)阻害化合物およびトリアジン系化合物などが挙げられる。
【0084】
アセト乳酸合成(ALS)阻害剤化合物としては、イマザメタベンズおよびイマザメタベンズメチル、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロンおよびベンスルフロンメチル、クロリムロンおよびクロリムロンメチル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロンおよびエタメトスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、フルピルスルフロンメチルおよびその塩、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、ハロスルフロンメチル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロンおよびその塩、ヨードスルフロンメチルおよびその塩、メソスルフロン、メソスルフロンメチル、メタゾスルフロン、メトスルフロン、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プリミスルフロンメチル、プロピリスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホメツロンメチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、チフェンスルフロンメチル、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロンおよびその塩、トリフルスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリトスルフロン、イミザメタベンズメチル、ビスピリバックナトリウム、クロランスラム、クロランスラムメチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾンおよびその塩、フルメトスラム、メトスラム、オルトスルファムロン、ペノキススラム、ピロクススラム、プロポキシカルバゾンおよびその塩、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピリミスルファン、ピリチオバックおよびその塩、ピロキシスラム、チエンカルバゾン、チエンカルバゾンメチルおよびトリアファモンなどが挙げられる。
【0085】
アミノ酸系化合物としては、ビアラホスおよびその塩、グルホシネートおよびその塩、グルホシネートPおよびその塩ならびにグリホサートおよびその塩などが挙げられる。
【0086】
シクロヘキサンジオン系化合物としては、アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジムおよびトラルコキシジムなどが挙げられる。
【0087】
アセトアミド系化合物としては、ナプロパミド、ジメタクロール、ペトキサミド、アセトクロール、アラクロール、アリドクロル(CDAA)、ブテナクロール、デラクロール、ジエタチルエチル、プロピソクロール、ピリナクロール、ブタクロール、ジメテナミド、ジメテナミドP、メタザクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、プレチラクロール、プロパクロール、テニルクロール、フルフェナセットおよびメフェナセットなどが挙げられる。
【0088】
ビピリジリウム系化合物としては、シペルコート、モルファムコート、ジクワットおよびパラコートなどが挙げられる。
【0089】
アリルオキシフェノキシプロピオン酸系化合物としては、クロジナホップ、クロジナホッププロパルギル、クロホップ、シハロホップブチル、ジクロホップ、ジクロホップメチル、ジクロホップPメチル、フェノキサプロップ、フェノキサプロップエチル、フェノキサプロップPエチル、フルアジホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップPブチル、ハロキシホップ、ハロキシホップメチル、ハロキシホップPメチル、イソキサピリポップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップエチル、キザロホップPエチルおよびキザロホップPテフリルなどが挙げられる。
【0090】
カーバメート系化合物としては、アシュラム、カルベタミド、デスメディファム、クロルプロカルブ、フェニソファム、シクロエート、ジメピペレート、ベブレート、チオカルバジル、バーナレート、バルバン、クロルブファム、クロルプロファム、プロファム、スエップ、フェンメディファム、ブチレート、EPTC、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカルブ(ベンチオカーブ)およびトリアレートなどが挙げられる。
【0091】
ピリジン系化合物としては、アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ハロウキシフェン、フロルピラウキシフェン、ピクロラムおよびその塩、ピコリナフェン、チアゾピルならびにトリクロピルおよびその塩などが挙げられる。
【0092】
ウレア系化合物としては、ベンズチアゾロン、ブロムロン、ブツロン、クロルブロムロン、クロロクスロン、ジフェノキスロン、ジメフロン、エチジムロン、フェニュロン、フルオチウロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトキスロン、モノリニュロン、モニュロン(CUM)、ネブロン、パラフルロン、シデュロン、チアザフルロン、クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン(DCMU)、フルオメツロン、イソプロツロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン、クミルロン、カルブチレートおよびイソウロンなどが挙げられる。
【0093】
ジニトロアニリン系化合物としては、ベンフルラリン(ベスロジン)、ブトルアリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、ニトラリン、プロフルラリン、オリザリン、ペンディメタリン、プロジアミンおよびトリフルラリンなどが挙げられる。
【0094】
プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害化合物としては、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アザフェニジン、ビフェノックス、クロメトキシニル、エトキシフェン、エトキシフェンエチル、ホメサフェン、フルアゾレート、フルオログリコフェン、フルオログリコフェンエチル、ハロサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン、ブタフェナシル、エピリフェナシル、クロルニトロフェン(CNP)、フルオロジフェン、フルオロニトロフェン(CFNP)、ニトロフェン(NIP)、オキシフローフェン、クロルフタリム、フルミプロピン、カルフェントラゾン、カルフェントラゾンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、フルチアセット、フルチアセットメチル、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ペントキサゾン、ピラクロニル、ピラフルフェン、ピラフルフェンエチル、サフルフェナシル、スルフェントラゾン、チジアジミン、ベンズフェンジゾン、プロフルアゾールならびにフルフェンピルエチルなどが挙げられる。
【0095】
フェノキシ酢酸系化合物としては、2,4,5-T、2,4-Dおよびその塩、2,4-DBおよびその塩、クロメプロップ、ジクロルプロップ、フェノプロップ、MCPAおよびその塩、MCPBおよびその塩、メコプロップ(MCPP)およびその塩ならびにメコプロップPおよびその塩などが挙げられる。
【0096】
ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(HPPD)阻害化合物としては、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ビシクロピロン、イソキサフルトール、メソトリオン、ピラスルホトール、ピラゾリネート(ピラゾレート)、ピラゾキシフェン、スルコトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン、トプラメゾン、フェンキノトリオンおよびトルピラレートなどが挙げられる。
【0097】
トリアジン系化合物としては、アトラトン、アジプロトリン、クロラジン、シプラジン、デスメトリン、ジプロペトリン、エグリナジンエチル、イパジン、メトプロトリン、プロシアジン、プログリナジン、プロメトン、プロパジン、セブチラジン、セクブメトン、テルブメトン、トリエタジン、アメトリン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、ヘキサジノン、インダジフラム、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シマジン(CAT)、シメトリン、テルブチラジン、テルブトリンおよびトリアジフラムなどが挙げられる。
【0098】
また、その他の除草剤用途の化合物として、アミカルバゾン、エチオジン、イソメチオジン、アミノシクロピラクロル、アミノトリアゾール、アニロホス、ピペロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンフレセート、ベンタゾン、ブロマシル、イソシル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブタミホス、DMPA、TCTP(クロルタールジメチル)、カフェンストロール、クロリダゾン(PAC)、ブロムピラゾン、クロルタール、クロマゾン、ビキスゾロン、クミルロン、ジカンバ(MDBA)およびその塩、クロランベン、TCBA(2,3,8-TBA)、ベナゾリンエチル、クロフェナック、クロルフェンプロップ、ジクロベニル(DBN)、クロルチアミド(DCBN)、シンメチリン、メチオゾリン、アミトロール、フランプロップM、ホサミン、メチルダイムロン、モナリッド、MSMA、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、エンドタールおよびその塩、エトフメセート、エトベンザニド、フェノキサスルホン、フェントラザミド、フルポキサム、フルオロクロリドン、フルルタモン、インダノファン、トリジファン、アイオキシニル、イプフェンカルバゾン、イソキサベン、トリアジフラン、レナシル、メチルアルソン酸、ナプタラム、フルロクロリドン、ノルフルラゾン、オキサジクロメホン、ピノキサデン、クロラノクリル=ジクリル、ペンタノクロール(CMMP)、プロパニル、プロピザミド、ピリデート、ピロキサスルホン、プロマシル、キンクロラック、キンメラック、キノクラミン、ターバシル、シクロピリモレート、フロルピローキシフェンベンジル(Florpyrauxifen-benzyl)、ランコトリオン(Lancotrione)およびその塩、シクロピラニル、ビクスロゾン、テトフルピロリメット、ジメスルファゼット、ジノサム、ジノセブ(DNBP)、DNOC、ジノテルブ、エチノフェン、メジノテルブ、DSMA、オレイン酸、ペラルゴン酸、カコジル酸、ジフェナミド、ナプロアニリド、テブタム、ベンスリド、ダラポン、TCA、メフルイジド、ペフルイドン、CAMA、チアフェナシル、トリフルジモキサジン、リミソキサフェン、フェンピラゾン、ジオキソピリトリオン、シピラフルオン、ビピラゾン、ベンキトリオン、テトラピオン(フルプロパネート)およびその塩ならびにd-リモネンなどが挙げられる。
【0099】
〔植物の生長促進方法〕
本実施形態に係る植物生長調整剤は、例えば、畑、水田、芝生、および果樹園などの農耕地または非農耕地において使用することができる。また、本実施形態に係る植物生長調整剤は、あらゆる施肥法によって使用することができ、例えば、茎葉散布、給水への混入、土壌への散布、注入機を用いた下層土までの注入、球根および塊茎などへの処理を含む種子処理、ならびに植物への直接施肥などの方法で使用できる。したがって、本実施形態に係る植物生長促進方法は、上述の植物生長調整剤を用いて施肥を行う手順を含む。
【0100】
給水への混入による施用では、例えば、作物への給水または水田の田面水に粒剤などを投与することによって行う。一例において、給水中の有効成分の濃度は、0.1mg/L以上であり、好ましくは1mg/L以上である。また、田面水に投与する場合の有効成分の使用量は、水田10aあたり例えば0.1g以上であり、好ましくは1g以上である。
【0101】
茎葉散布または土壌への散布による施用では、例えば、苗の移植時などに植穴またはその周辺に粒剤などを処理したり、種子、植物体または植物体の周囲の土壌に粒剤および水和剤などを処理したりすることによって行う。また、土壌への散布の後、土と撹拌することが好ましい場合がある。茎葉散布または土壌表面へ散布する場合の有効成分の使用量は、農園芸地1mあたり例えば0.1mg以上であり、好ましくは1mg以上である。
【0102】
種子処理による施用では、水和剤および粉剤などを種子と混合し攪拌することにより、あるいは希釈した水和剤などに種子を浸漬することにより、薬剤を種子に付着させる。また、種子処理には、種子コーティング処理も含まれる。種子処理の場合の有効成分の使用量は、種子100kgに対して例えば0.005g以上であり、好ましくは0.05g以上である。農園芸用薬剤で処理した種子については、通常の種子と同様に利用すればよい。
【0103】
なお、使用濃度および使用量は、剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0104】
〔植物生長調整剤の利用〕
本実施形態に係る植物生長調整剤は、上述の通り、処理した植物において、優れた生長促進効果を呈する。そのため、本実施形態に係る植物生長調整剤は、例えば、バイオスティミュラントとして利用することができる。また、肥料、土壌改良剤および農薬などに混合して利用してもよい。
【0105】
本明細書において、「バイオスティミュラント」の機能は、作物の活力、収量および品質などの改善を目的として、植物に対して、肥料とは異なる経路を通じて植物生理に作用するものを主に意図しており、「肥料」の機能とは異なるものを指している。「肥料」とは、「植物に養分を与えるために、土耕栽培または水耕栽培などに施す物質」であり、植物が必要とする栄養分を補う物質である。植物が栄養不足の場合には、肥料の供給によって植物の栄養状態を改善できる効果があるが、ある程度植物の栄養が十分な場合、当該効果は見込めないものである。
【0106】
〔まとめ〕
本実施形態に係る植物生長調整剤は、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物を有効成分として含み、前記抽出物はエルゴチオネインを含む。
【0107】
本実施形態に係る植物生長調整剤において、前記抽出物が熱水抽出物であってもよい。
【0108】
本実施形態に係る植物生長調整剤において、前記エルゴチオネインを生産する微生物が、アピオトリカム属に属する微生物、ディルクメイア属に属する微生物、パピリオトレマ属に属する微生物、シュードザイマ属に属する微生物、ウスチラゴ属に属する微生物、メチロバクテリウム属に属する微生物、アウレオバシジウム属に属する微生物、ロドトルラ属に属する微生物、ロドスポリジオボラス属に属する微生物、ワンリヤ属に属する微生物、プルーロタス属に属する微生物、アスペルギルス属に属する微生物、ストレプトマイセス属に属する微生物、アクチノマイセス属に属する微生物、マイコバクテリウム属に属する微生物、コリネバクテリウム属に属する微生物、エシェリヒア属に属する微生物、エンテロバクター属に属する微生物、パントエア属に属する微生物、クレブシエラ属に属する微生物、サルモネラ属に属する微生物、シゾサッカロマイセスに属する微生物、サッカロマイセス属に属する微生物、クロロビウム属に属する微生物、キャンディダ属に属する微生物、ペニシリウム属に属する微生物、ノイロスポラ属に属する微生物、クラビセプス属に属する微生物、モニリエラ属に属する微生物、クリプトコッカス属に属する微生物、シュタケ属に属する微生物、ヒラタケ属に属する微生物、エノキタケ属に属する微生物、オオイチョウタケ属に属する微生物、キコブタケ属に属する微生物、キシメジ属に属する微生物、ササクレヒトヨタケ属に属する微生物、サンゴハリタケ属に属する微生物、シメジ属に属する微生物、ショウゲンジ属に属する微生物、スギタケ属に属する微生物、ブナハリタケ属に属する微生物、フミヅキタケ属に属する微生物、マイタケ属に属する微生物およびハラタケ属に属する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物であってもよい。
【0109】
本実施形態に係る植物生長調整剤において、前記エルゴチオネインを生産する微生物が、アピオトリカム・ポロサム、ディルクメイア・チュラシマエンシス、パピリオトレマ・フラベセンス、および、シュードザイマ・シアメンシスからなる群から選択される少なくとも1種の微生物であってもよい。
【0110】
本実施形態に係る植物の生長促進方法は、前記植物生長調整剤で植物を処理する工程を含む。
【0111】
本実施形態に係る植物生長調整剤は、種子収穫量増強剤、草丈増強剤、花数増強剤、花数増強剤、地上部重量増強剤、または、地下部重量増強剤であってもよい。
【0112】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明の以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
【実施例
【0113】
以下の実施例中、特に記載がない限り、%は質量%を表す。
【0114】
〔製造例1〕エルゴチオネインを生産する微生物の熱水抽出物の調製
(1)前培養
YM培地にエルゴチオネインを生産する微生物を植菌し、200rpmにおいて、2~3日間25℃にて培養した。当該培養は試験管を使用した。エルゴチオネインを生産する微生物として、パピリオトレマ・フラベセンス、シュードザイマ・シアメンシス、アピオトリカム・ポロサム、ディルクメイア・チュラシマエンシスまたはロドスポリジオボラス・アゾリカスを使用した。
【0115】
得られた培養液0.5mLを、50mLのYM培地に植菌し、200rpmにおいて2日間25℃にて培養した。当該培養は300mLのフラスコを使用した。
【0116】
(2)本培養
前培養で得られた培養液100mLを、2LのYM培地に植菌し、400rpmにおいて5日間25℃にて培養した。当該培養は5Lのジャーファーメンターを使用した。また、通気量は2L/min(1vvm)で行った。
【0117】
(3)菌体回収
本培養で得られた培養液を、6000~9000rpmにおいて10~60分間4℃にて遠心分離して、上清を除去した。そして、菌体ペレットを回収して純水で洗浄後、遠心分離に供して上清を除去した。上清を除去後、菌体ペレットを回収して凍結乾燥させた。
【0118】
(4)熱水抽出
凍結乾燥させた菌体を純水20mLに懸濁した。そして、懸濁液を96℃で15分間加熱した。室温に冷却後、6000~9000rpm、5~10分間、4℃で遠心分離して上清を回収した。分離後の沈殿に純水10mLを加えてボルテックスミキサーで懸濁させ、加熱および遠心分離をして上清を得た。この工程を2~4回繰り返し、回収した上清を熱水抽出物とした。
【0119】
〔評価例1〕シロイヌナズナの種子収穫量の比較
直径60mm、高さ55mmのプラスチックポットに、1ポットあたり1個体のシロイヌナズナ(Col-0)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、6ポット設置した。土壌として、バーミキュライト45mL、粒状培土(くみあい園芸培土)22.5mL、およびバーミキュライト22.5mLをこの順にポットに入れた。
【0120】
室温22℃に設定した恒温室内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯(日本医科器械製、植物育成用LED蛍光灯 プラントレック 40W型電球色)を用いて、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後2週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後8日目、10日目、12日目および14日目では、給水に替えて、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0121】
植物生長調整剤として、製造例1で調製した熱水抽出物を使用した。また、比較対象として、1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0122】
播種後89日目に種子を収穫し、種子収穫量を評価した。評価結果を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
表1中、「C-EGT-PFL」は、パピリオトレマ・フラベセンスの熱水抽出物である。「C-EGT-PSI」は、シュードザイマ・シアメンシスの熱水抽出物である。「EGT」はエルゴチオネインであり、試薬として市販されているものを使用した。「無処理」は、純水のみである。
【0125】
表1に示す通り、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも種子収穫量が多く、植物生長促進効果が優れていた。
【0126】
〔評価例2〕シロイヌナズナの種子収穫量の比較
直径60mm、高さ55mmのプラスチックポットに、1ポットあたり1個体のシロイヌナズナ(Col-0)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、6ポット設置した。土壌として、バーミキュライト45mL、粒状培土(くみあい園芸培土)22.5mL、およびバーミキュライト22.5mLをこの順にポットに入れた。
【0127】
室温22℃に設定した人工気象器内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後2週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後8日目、10日目、12日目および14日目では、給水に替えて、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0128】
植物生長調整剤として、製造例1で調製したディルクメイア・チュラシマエンシスの熱水抽出物(C-EGT-DCH)を使用した。また、比較対象として、0.1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0129】
播種後87日目に種子を収穫し、種子収穫量を評価した。評価結果を表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
表2に示す通り、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも種子収穫量が多く、植物生長促進効果が優れていた。
【0132】
〔評価例3〕各サンプルをコムギ、ナタネに処理した際の草丈比較
ろ紙を敷いた9cmのシャーレに植物生長調整剤10mLを添加した。1シャーレあたり10粒のコムギまたはナタネの種子を播種し、室温25℃に設定した恒温室内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯(日本医科器械製、植物育成用LED蛍光灯 プラントレック 40W型電球色)を用いて、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。
【0133】
植物生長調整剤として、製造例1で調製した熱水抽出物を使用した。また、比較対象として、1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0134】
播種後7日目のコムギまたはナタネの草丈を評価した。評価結果を表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】
表3中、「C-EGT-DCH」は、ディルクメイア・チュラシマエンシスの熱水抽出物である。「C-EGT-PFL」は、パピリオトレマ・フラベセンスの熱水抽出物である。「C-EGT-APO」は、アピオトリカム・ポロサムの熱水抽出物である。「C-EGT-RAZ」は、ロドスポリジオボラス・アゾリカスの熱水抽出物である。「C-EGT-SCE」は、エルゴチオネイン非生産酵母であるサッカロミケス・セレビシエの熱水抽出物である。「EGT」はエルゴチオネインであり、試薬として市販されているものを使用した。「無処理」は、純水のみである。
【0137】
表3に示す通り、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理、エルゴチオネイン非生産菌の抽出物および無処理よりもコムギおよびナタネの草丈が大きく、植物生長促進効果が優れていた。
【0138】
〔評価例4〕トマトの花数の比較
長さ120mm角、高さ100mmのプラスチックポットに粒状培土(くみあい園芸培土)1Lを入れ、1ポットあたり1個体のトマト(マイクロトム)を播種した。
【0139】
室温25℃に設定した恒温室内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯(日本医科器械製、植物育成用LED蛍光灯 プラントレック 40W型電球色)を用いて、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後4週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後25日目、27日目、29日目、31日目、33日目、35日目および37日目では、給水に替えて、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0140】
植物生長調整剤として、製造例1で調製したシュードザイマ・シアメンシスの熱水抽出物(C-EGT-PSI)を使用した。また、比較対象として、0.1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0141】
播種後64日目に花数を評価した。評価結果を表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】
表4に示す通り、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも花数が多く、植物生長促進効果が優れていた。
【0144】
〔評価例5〕ハツカダイコンの地下部重量の比較
直径100mm、高さ135mmのプラスチックポットに粒状培土(くみあい園芸培土)600mLを入れ、1ポットあたり1個体のハツカダイコン(赤丸はつか)を播種した。
【0145】
室温25℃に設定した温室内で管理した。播種後2週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後10日目、12日目、14日目および16日目に、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0146】
植物生長調整剤として、製造例1で調製したシュードザイマ・シアメンシスの熱水抽出物(C-EGT-PSI)を使用した。また、比較対象として、0.1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0147】
播種後28日目に地下部重量を評価した。評価結果を表5に示す。
【0148】
【表5】
【0149】
表5に示す通り、エルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも地下部重量が大きく、植物生長促進効果が優れていた。
【0150】
〔製造例2〕エルゴチオネインを生産する微生物の各種抽出方法による抽出物の調製
(メタノール抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を50%のメタノール水溶液20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清をメタノール抽出物とした。
【0151】
(アセトン抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を50%のアセトン水溶液20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清をアセトン抽出物とした。
【0152】
(酸抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を0.1Mの硫酸20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清を酸抽出物とした。
【0153】
(アルカリ抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清をアルカリ抽出物とした。
【0154】
(界面活性剤抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を1%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清を界面活性剤抽出物とした。
【0155】
(凍結融解抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を純水20mLに懸濁した。そして、懸濁液を-20℃で凍結した後、融解させ、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清を凍結融解抽出物とした。
【0156】
(摩砕抽出)
製造例1の(3)菌体回収で凍結乾燥させた菌体を乳鉢ですりつぶした後、純水20mLに懸濁した。そして、懸濁液を室温で1時間振とうした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清を摩砕抽出物とした。
【0157】
(オートクレーブ抽出)
製造例1の(2)本培養で得られた培養液を、オートクレーブ処理(温度:121℃、圧力:2気圧、処理時間:20分間)をした後、6000rpm、5分間で遠心分離して回収した上清をオートクレーブ抽出物とした。
【0158】
〔評価例6〕各種抽出方法により得られた微生物の抽出物をシロイヌナズナに処理した際の種子収穫量
直径60mm、高さ55mmのプラスチックポットに、1ポットあたり1個体のシロイヌナズナ(Col-0)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、6ポット設置した。土壌として、バーミキュライト45mL、粒状培土(くみあい園芸培土)22.5mL、およびバーミキュライト22.5mLをこの順にポットに入れた。
【0159】
室温22℃に設定した人工気象器内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後2週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後8日目、10日目、12日目および14日目では、給水に替えて、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0160】
植物生長調整剤として、製造例2で得られたシュードザイマ・シアメンシスの各種抽出物を使用した。また、比較対象として、0.1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0161】
播種後95日目に種子を収穫し、種子収穫量を評価した。評価結果を表6に示す。
【0162】
【表6】
【0163】
表6に示す通り、いずれの抽出方法においてもエルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも草丈が大きく、種子収穫量が多く、植物生長促進効果が優れていた。
【0164】
〔評価例7〕各種抽出方法により得られた微生物の抽出物をシロイヌナズナに処理した際の効果
直径60mm、高さ55mmのプラスチックポットに、1ポットあたり1個体のシロイヌナズナ(Col-0)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、6ポット設置した。土壌として、バーミキュライト45mL、粒状培土(くみあい園芸培土)22.5mL、およびバーミキュライト22.5mLをこの順にポットに入れた。
【0165】
室温22℃に設定した人工気象器内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後2週目から薬剤処理を開始した。より具体的には、播種後8日目、10日目、12日目および14日目では、給水に替えて、植物生長調整剤50mLを添加した。
【0166】
植物生長調整剤として、製造例2で得られたシュードザイマ・シアメンシスの各種抽出物を使用した。また、比較対象として、0.1mMのエルゴチオネイン水溶液からなる植物生長調整剤を使用した。
【0167】
播種後93日目に草丈、地上部重量、種子収穫量を評価した。評価結果を表7に示す。
【0168】
【表7】
【0169】
表7に示す通り、いずれの抽出方法においてもエルゴチオネインを生産する微生物の抽出物は、エルゴチオネイン単独処理および無処理よりも草丈や地上部重量が大きく、種子収穫量が多く、植物生長促進効果が優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明は、優れた植物生長促進を有し、農業および園芸などの分野において利用可能である。