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特許7574332ガス注入を使用して燃料電池内の圧力差を再平衡させるためのシステムおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ガス注入を使用して燃料電池内の圧力差を再平衡させるためのシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20241021BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241021BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20241021BHJP
   H01M 8/04791 20160101ALI20241021BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04 J
H01M8/0438
H01M8/04791
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022579092
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021038197
(87)【国際公開番号】W WO2021262574
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】63/042,355
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502197161
【氏名又は名称】フュエルセル エナジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FUELCELL ENERGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーニアー, ロバート エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイテック, トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デイリー, ジョセフ エム.
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/039353(WO,A1)
【文献】特開昭59-123168(JP,A)
【文献】特開昭59-73854(JP,A)
【文献】特開平4-10360(JP,A)
【文献】特開2008-91286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
燃料電池モジュールであって、
アノード供給ガスを受容するように構成されたアノード入口と、アノード排気をアノード排気導管内に出力するように構成されたアノード出口と、を有する、アノードと、
カソード供給ガスを受容するように構成されたカソード入口と、カソード出口と、を有する、カソードと、を備える、燃料電池モジュールと、
前記アノード排気導管に流体結合されたアノード排気処理システムと、
前記アノード出口の下流及び前記アノード排気処理システムの上流に配設されたガス注入システムであって、前記ガス注入システムは、ガス供給源に流体連通している第1のタンクを含み、前記第1のタンクは、前記ガス供給源から受容したガスを収容するように構成され、前記第1のタンクは、前記アノード排気導管へのガスの流れを提供するように構造化され、前記第1のタンクは、少なくとも1つの制御弁に流体結合され、前記少なくとも1つの制御弁は、前記第1のタンク内の圧力を所定の設定点に維持するように構成されている、ガス注入システムと、を備え、
前記ガス注入システムは、前記アノードの現在又は予測される加圧不足条件の検出時に、前記アノード排気導管内に前記ガスを注入するように構成され
前記燃料電池システムは、前記アノード排気処理システムの下流に流体結合されたアノード排気再循環システムを更に備え、前記アノード排気再循環システムは、前記アノードの現在の加圧不足条件に基づき、かつ、前記第1のタンク内の低圧条件に基づき許容される、前記アノード排気処理システムから前記アノード排気導管へのアノード排気を再循環させるように構成されている、燃料電池システム。
【請求項2】
第2のタンクを更に含み、前記第のタンクは、前記ガス供給源に直接結合されており、前記第のタンクは、前記第のタンクから前記ガスを受容するように構成されており、前記第のタンクから前記第のタンクへの前記ガスの流れは、前記少なくとも1つの制御弁によって計量される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記第のタンク内の前記圧力が、前記燃料電池システムの運転条件に基づいて、前記所定の設定点に維持される、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記ガス注入システムは、前記アノード出口と前記カソード入口との圧力差が所定の閾値を超えているという判定に応答して、前記ガスを注入するように構成されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記ガス注入システムは、前記燃料電池モジュールに関連付けられた動作パラメータに基づいて、前記ガスを注入するように構成され、前記動作パラメータは、予測されるアノード加圧不足条件を示す、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記アノード排気再循環システムは、前記ガス注入システムと協働して動作するように構成されており、前記アノード排気再循環システムは、前記ガス注入システムと直列に動作するように構成されている、請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記アノード排気再循環システムと前記ガス注入システムとの間に流体結合された第1の経路内に配設された第1のポペット弁を更に備える、請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記第1のポペット弁は、少なくとも1つの他の弁に直列に流体結合されており、前記少なくとも1つの他の弁は、前記アノード排気再循環システムを通る流れを可能にするように構成されている、請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他の弁は、ソレノイド弁である、請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記アノード排気再循環システムと前記ガス注入システムとの間に流体結合された第2の流体経路内に配設された第2の弁を更に備え、前記第1のポペット弁又は前記第2の弁のうちの少なくとも1つは、圧力トランスミッタに直列に流体結合されており、前記圧力トランスミッタからの出力が、前記少なくとも1つの制御弁又は前記第2の弁のうちの少なくとも1つがフェールオープンしていることを示す、請求項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記燃料電池モジュールに流体連通し、かつ、前記アノードの過加圧条件を防止するように構成されたウォーターシールシステムを更に備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
燃料電池システム内の圧力を再平衡させる方法であって、
レシーバタンクにおいて、供給源から不活性ガスを受容することと、
圧力差トランスミッタによって、アノード出口とカソード入口との間の圧力差を判定することであって、前記アノード出口及び前記カソード入口は、燃料電池モジュール内に含まれる、判定することと、
前記燃料電池システムの前記アノード出口に流体連通しているガス注入システムによって、注入経路を介して前記レシーバタンクからアノード排気導管内に前記不活性ガスを注入することと、を含み、
前記アノード排気導管が、前記アノード出口及びアノード排気処理システムに流体結合されており、前記注入経路は、前記アノード出口の下流及び前記アノード排気処理システムの上流に配設されており、
前記アノード排気導管内に前記不活性ガスを注入することは、前記アノード出口と前記カソード入口との間の圧力再平衡を引き起こし、
アノード排気再循環システムによって、アノードの現在の加圧不足条件に基づき、かつ、前記レシーバタンク内の低圧条件に基づき許容される、前記アノード排気処理システムから前記アノード排気導管へのアノード排気を再循環させることを含む、方法。
【請求項13】
前記アノード排気導管内に前記不活性ガスを注入することは、前記燃料電池モジュール内の潜在的な圧力変化を予測したものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記供給源から前記レシーバタンクへの前記不活性ガスのピーク流れが、前記供給源に対するピーク需要を制限するように制限される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ノード排気を再循環させることは、前記注入経路から前記不活性ガスを注入した後に起こるように遅延される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
燃料電池システム内の圧力を再平衡させる方法であって、
レシーバタンクにおいて、供給源から不活性ガスを受容することと、
第1の圧力センサによって、燃料電池モジュールのアノード出口に流体結合されたアノード出口導管内の第1の圧力を検知することであって、前記第1の圧力センサは、差圧レギュレータと通信する、検知することと、
第2の圧力センサによって、前記燃料電池モジュール内に含まれるカソード入口において第2の圧力を検知することであって、前記第2の圧力センサは、前記差圧レギュレータと通信する、検知することと、
前記差圧レギュレータによって、前記第1の圧力及び前記第2の圧力に基づいて、前記不活性ガスが前記レシーバタンクから前記差圧レギュレータを通って注入経路内に流入することを可能にすることであって、前記ガスは、前記注入経路内に流入し、前記アノード出口導管に入る、可能にすることと、を含み、
前記ガスが前記アノード出口導管に入ることは、前記アノード出口とカソード入口との間の圧力再平衡を引き起こし、
アノード排気再循環システムによって、アノードの現在の加圧不足条件に基づき、かつ、前記レシーバタンク内の低圧条件に基づき許容される、前記アノード出口導管に流体結合されたアノード排気処理システムから前記アノード出口導管へのアノード排気を再循環させることを含む、方法。
【請求項17】
前記アノード出口導管に流体結合された前記アノード排気処理システムによって、前記アノード出口導管からのアノード排気を処理し、処理されたアノード排気を生成することと、
前記アノード出口導管に流体連通している前記アノード排気再循環システムによって、アノード排気処理システムから前記アノード出口導管へ処理されたアノード排気を再循環させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アノード排気を処理することは、ガスシフトリアクションを行うことを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月22日に出願された米国特許出願第63/042,355号の利益及び優先権を主張するものであり、その開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、一般に、燃料電池システムの分野に関し、より具体的には、燃料電池内の圧力差を平衡させるためのシステムに関する。
【0003】
一般に、燃料電池は、アノード(負極)及びカソード(正極)を含み、これらは、これらの間のイオン交換を促進する導電性電解質によって分離されている。燃料電池は、アノード及びカソードにそれぞれ燃料及び酸化剤が供給されると、電力を生成する。燃料及び酸化剤の供給は、アノード及びカソードの各々に隣接するガス流れ場によって促進される。生成される電力を増加させるために、個々の燃料電池を直列にスタックすることができ、導電性セパレータは、各燃料電池とその隣接する燃料電池との間に配設される。運転中、燃料電池スタックのアノード側のガス圧力は、燃料電池スタックのカソード側のガス圧力近くに維持する必要がある。燃料電池システムでは、アノード圧力をカソード圧力近くに維持するために、アノード排気流内の可変周波数駆動及び速度コントローラを有するブロワが一般的に使用される。このことは、特に、アノード排気流の処理を行う燃料電池システムにおいて当てはまる。そのようなアノード排気処理は、水回収、化学シフトリアクタ、及び/又は、外部システムへのアノード排気送出を含み得る。
【0004】
圧力平衡は、アノード圧力が、数水柱インチ差以内でカソード圧力とほぼ同じであることを意味する。システムの運転中の不調時に、例えば、燃料電池が電力出力を急速に降下又は急速に増加させるとき、燃料電池アノード排気の体積流量の瞬時的な低下又は増加から圧力不平衡が結果として生じる。しかしながら、アノードブロワは、一般に、アノード排気のこの低下又は増加を補償するために、速度を低下させるか、又は上昇させるのに数秒を要する。この遅延中、アノードブロワに供給されているアノード排気の流量は、アノードブロワ内に引き込まれている流量に対して、電力低下ケースでは不十分であるし、電力増加ケースでは大きすぎる。流量の急激な差は、カソードにおける圧力と比較してアノードにおける圧力の減少又は増加をもたらす(すなわち、アノード加圧不足又はアノード過加圧)。アノード加圧不足又は過加圧は、典型的には燃料電池マニホールド及び/又は燃料電池マニホールドシールを損傷させることによって、燃料電池に損傷を引き起こすほどに重大であり得る。
【0005】
いくつかの燃料電池マニホールド設計では、アノードとカソードとの間の圧力の差として測定される、-7水柱インチの圧力(iwc)よりも大きい(すなわち、より負の)アノード加圧不足は、燃料電池に潜在的に損傷を与えると考えられる。-10iwcよりも大きい加圧不足は、燃料電池の損傷を引き起こす可能性が高いと考えられ、-15iwcよりも大きいと、燃料電池の損傷を引き起こす可能性が非常に高い。燃料電池の損傷は、燃料電池マニホールド及びマニホールドシールの損傷に限定され得る。アノード加圧不足の場合、マニホールドが崩壊することによって、燃料電池の追加の構成要素(例えば、内部燃料送達システム、又は、電池への電気的短絡を含む電池への影響)に機械的損傷を引き起こす、より重大な損傷が結果として生じる可能性がある。加圧不足に起因する損傷を修復することは、非常に費用がかかり、費用は、燃料電池自体の価値を超える場合がある。
【0006】
したがって、アノードとカソードとの間の過度の圧力差を緩和又は回避し、かつ、燃料電池への損傷リスクを低減するために、燃料電池内の圧力差を再平衡させるためのシステムを提供することが有利であろう。本明細書で論じられる例示的な実施形態に記載されるシステム及び方法は、燃料電池内の圧力差の変化に応答して、アノード排気配管内の加圧ガスの注入を通じてアノード加圧不足を低減又は排除するように構成されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、燃料電池システムに関する。燃料電池システムは、アノード供給ガスを受容するように構成されたアノード入口と、アノード排気をアノード排気導管内に出力するように構成されたアノード出口と、を有する、アノードを含む、燃料電池モジュールを含む。燃料電池モジュールはまた、カソード供給ガスを受容するように構成されたカソード入口と、カソード出口と、を有する、カソードを含む。燃料電池システムは、アノード排気導管に流体結合されたアノード排気処理システムと、アノード出口の下流及びアノード排気処理システムの上流に配設されたガス注入システムと、を更に含み、ガス注入システムは、アノード排気導管内にガスを注入して、アノードの加圧不足条件を防止するように構成されている。
【0008】
様々な実施形態では、ガス注入システムは、ガス供給源に流体連通している少なくとも1つのタンクを含み、少なくとも1つのタンクは、アノード排気導管内にガスの流入を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのタンクは、第1のタンク及び第2のタンクを含み、第1のタンクは、ガス供給源に直接結合されており、第2のタンクは、第1のタンクからガスを受容するように構成されており、第1のタンクから第2のタンクへの前記ガスの流れは、第1の弁によって計量される。他の実施形態では、少なくとも1つのタンク内の圧力は、燃料電池システムの運転条件に基づいて、所定の設定点に維持される。様々な実施形態では、ガス注入システムは、圧力差が所定の閾値を超えているという判定に応答して、ガスを注入するように構成されている。いくつかの実施形態では、ガス注入システムは、燃料電池モジュールに関連付けられた動作パラメータに基づいて、ガスを注入するように構成されている。
【0009】
様々な実施形態では、燃料電池システムは、アノード排気処理システムの下流に流体結合されたアノード排気再循環システムを更に含み、アノード排気再循環システムは、アノード排気処理システムからアノード排気導管へアノード排気を再循環させるように構成されている。いくつかの実施形態では、アノード排気再循環システムは、ガス注入システムと協働して動作するように構成されており、アノード排気再循環システムは、ガス注入システムと直列に動作するように構成されている。更に他の実施形態では、燃料電池システムは、アノード排気再循環システムとガス注入システムとの間に流体結合された第1の経路内に配設された第1のポペット弁を含む。様々な実施形態では、第1のポペット弁は、少なくとも1つの他の弁と直列に流体結合されており、少なくとも1つの他の弁は、アノード排気再循環システムを通る流れを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、燃料電池システムは、アノード排気再循環システムとガス注入システムとの間に流体結合された第2の流体経路内に配設された第2の弁を更に含み、第1の弁又は第2の弁のうちの少なくとも1つは、圧力トランスミッタに直列に流体結合されており、圧力トランスミッタからの出力は、第1の弁又は第2の弁のうちの少なくとも1つがフェールオープンしていることを示す。他の実施形態では、燃料電池システムは、燃料電池モジュールと流体連通し、かつ、アノードの過加圧条件を防止するように構成されたウォーターシールシステムを含む。様々な実施形態では、少なくとも1つの他の弁は、ソレノイド弁である。
【0010】
本開示の別の態様は、燃料電池システム内の圧力を再平衡させる方法に関する。この方法は、圧力差トランスミッタによって、アノード出口とカソード入口との間の圧力差を判定することであって、アノード出口及びカソード入口は、燃料電池モジュール内に含まれる、判定することと、燃料電池システムのアノード出口に流体連通しているガス注入システムによって、注入経路からアノード排気導管内にガスを注入することと、を含む。アノード排気導管は、アノード出口に、及び、アノード排気処理システムに流体結合されており、注入経路は、アノード出口の下流に、及び、アノード排気処理システムの上流に配設されており、アノード排気導管内にガスを注入することは、アノード出口とカソード入口との間の圧力再平衡を引き起こす。
【0011】
様々な実施形態では、アノード排気導管内にガスを注入することは、燃料電池モジュール内の潜在的な圧力変化を予測したものである。いくつかの実施形態では、アノード排気導管内にガスを注入することは、レシーバタンクにおいて、供給源から不活性ガスを受容することを含み、供給源からレシーバタンクへのガスのピーク流れは、供給源に対するピーク需要を制限するように制限される。他の実施形態では、この方法はまた、アノード排気再循環システムによって、アノード排気処理システムからアノード排気導管へアノード排気を再循環させることを含む。いくつかの実施形態では、注入経路からガスを注入することに続くように、アノード排気を再循環させることが遅延される。
【0012】
本開示の更に別の態様は、燃料電池システム内の圧力を再平衡させる方法に関し、この方法は、第1の圧力センサによって、燃料電池モジュールのアノード出口に流体結合されたアノード出口導管内の第1の圧力を検知することを含み、第1の圧力センサは、圧力差レギュレータと通信する。この方法は、第2の圧力センサによって、燃料電池モジュール内に含まれるカソード入口において第2の圧力を検知することであって、第2の圧力センサは、圧力差レギュレータと通信する、検知することと、圧力差レギュレータによって、ガスが圧力差レギュレータを通って注入経路に流入することを可能にすることであって、ガスは、注入経路内に流入し、アノード排気導管に入る、可能にすることと、を更に含む。ガスがアノード排気導管に入ることは、アノード出口とカソード入口との間の圧力再平衡を引き起こす。
【0013】
様々な実施形態では、この方法は、アノード出口導管に流体連通しているアノード排気再循環システムによって、アノード排気処理システムからアノード排気導管へアノード排気を再循環させることを更に含む。いくつかの実施形態では、ガスは、不活性ガスである。
【0014】
この概要は、例示的であるにすぎず、限定的と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示を構成する利点及び特徴、並びに、本開示とともに提供される典型的な機構の構成及び動作の明確な概念は、いくつかの図において同様の参照番号が同じ要素を指定する、本明細書の一部に伴い及びこれを形成する図面に例示される、例示的な、したがって非限定的な実施形態を参照することによってより容易に明らかになるであろう。
【0016】
図1】例示的な実施形態による、アクティブ制御弁を有するガス注入システムを含む燃料電池システムの概略表現である。
【0017】
図2】例示的な実施形態による、パッシブ制御弁を有するガス注入システムを含む燃料電池システムの概略表現である。
【0018】
図3】例示的な実施形態による、ガス注入システムを含み、かつ、任意選択のアノード再循環及びレベル調整ウォーターシールのシステムを更に有する燃料電池システムの概略表現である。
【0019】
図4】例示的な実施形態による、アノードガス再循環システムと連携して使用されるアクティブ制御弁を有するガス注入システムの概略表現であり、アノードガス再循環は、ガス注入システムと同時に作動することをパッシブに防止される。
【0020】
図5】別の例示的な実施形態による、アノードガス再循環システムと連携して使用されるアクティブ制御弁を有するガス注入システムの概略表現であり、アノードガス再循環は、ガス注入システムと同時に作動することをパッシブに防止される。
【0021】
図6】別の例示的な実施形態による、アクティブ制御弁を有するガス注入システムの概略表現である。
【0022】
本開示の前述の特徴及び他の特徴は、添付の図面と併せた以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを描示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解し、本開示を、添付の図面の使用を通じた追加の特異性及び詳細とともに記載する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の様々な実施形態は、燃料電池のアノード内のアノード排気配管に流体連通している、加圧ガスを収容しているガス注入タンクを含むガス注入システムに関する。ガス注入タンクは、アノード排気配管から分離され、可制御弁を介して計量されてもよく、可制御弁は、燃料電池内の圧力差の変化(例えば、アノード室とカソード室との間の圧力差の変化)に応答して作動させることができる。様々な実施形態によれば、可制御弁は、変動速度及び/又は変動持続時間で作動され、ガス注入タンクからアノード排気配管内に注入されるガスを計量し得る。
【0024】
様々な実施形態では、ガス注入システムは、燃料電池システム内のパッシブな圧力制御システムの一部として構成されてもよく、ガス注入システムの作動は、燃料電池システム内の差圧に応答してパッシブに作動される。
【0025】
様々な実施形態では、加圧ガスとして、窒素、二酸化炭素、及び/又は、他の不活性ガス若しくは還元ガスが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0026】
様々な実施形態では、アノードとカソードとの間の圧力差の変化を緩和することは、注入ガスの体積及び/又は流量に基づいてもよく、注入ガスの体積及び/又は流量は、ガス注入タンクの体積、ガス注入タンク内の圧力、ガス注入管内の損失、弁流れ面積、及び/又は、弁開放速度に更に依存してもよい。
【0027】
様々な実施形態では、ガス注入タンクは、タンク充填パイプラインを介して主ガス供給部に流体連通しており、ガス注入タンク圧力を維持することを容易にするための可制御タンク充填弁を含む。様々な実施形態では、タンク充填パイプラインは、1つ以上のレシーバタンクに流体連通してもよく、このことは、ガス注入タンクの急速再充填を可能にし、主ガス供給部に対する需要を低減する。
【0028】
様々な実施形態では、ガス注入タンクは、可制御ブリードダウン弁を有するブリードダウンラインに流体連通しており、このことは、ガス注入タンクからのガスの除去(例えば、大気への放出)を容易にし得る。様々な実施形態では、ガス注入タンク内の圧力を、タンク充填弁及び/又はブリードダウン弁の制御を介して、圧力設定点に調節及び維持することができる。様々な実施形態では、圧力設定点は、燃料電池システムを収容している燃料電池発電所の1つ以上の運転条件に基づいて調整される。
【0029】
様々な実施形態では、ガス注入システムは、ウォーターシールに加えて、燃料電池システムに流体連通してもよく、ガス注入システムは、アノード圧力不足を緩和するように構成されており、ウォーターシールは、アノード過圧を緩和するように構成されている。
【0030】
様々な実施形態では、ガス注入システムは、1つ以上のアノード再循環弁に加えて、燃料電池システムに流体連通してもよく、1つ以上のアノード再循環弁の各々は、ガス注入システムと連携してアノード加圧不足を緩和することを支援するように構成されている。
【0031】
様々な実施形態では、ガス注入システムが1つ以上のアノード再循環弁と連携して使用されるとき、ポペット弁システムは、ガス注入システムがガス注入を実質的に完了するまで、アノード再循環弁が作動するのをパッシブに防止するように構成されている。
【0032】
図を全体的に参照すると、燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池(アノード及びカソードを有する)及び流体結合されたアノード排気処理システムを含み、燃料電池によって出力されたアノード排気は、燃料電池システム内のいずれか他の場所に送出するか、又は、そこで使用するために処理及び/又は変換される。様々な実施形態では、アノード排気処理システムは、アノード排気からの1つ以上の成分(例えば、副産物)を冷却し、反応させ、及び/又は、単離し得る。燃料電池システムは、処理されたアノード排気(例えば、アノード排気処理システムからの処理された流れ)を受容するアノード排気ブロワを含んでもよく、カソード圧力と同等の範囲内にアノード圧力を維持するように構成されてもよい。アノード排気ブロワは、コントローラ及び/又は圧力センサに通信可能に結合されてもよく、圧力センサ及びコントローラのうちの少なくとも1つは、アノード圧力とカソード圧力との間の差を測定し、かつ、これに応答して、所定及び/又は所望の圧力差を維持するようにアノード排気ブロワの速度調整を引き起こすように構成されている。燃料電池システムは、所定及び/又は所望の圧力差よりも大きくなり得るか、又は、小さくなり得るアノードとカソードとの間の圧力差を最小化、緩和、又は、排除し、その結果として、燃料電池システム内(例えば、燃料電池自体、燃料電池マニホールド、及び/又は、燃料電池マニホールドガスケット)の潜在的な損傷を防止するための、1つ以上の圧力再平衡システムを含み得る。様々な実施形態では、圧力差は、燃料電池出力の急激な減少又は増加、アノード排気ブロワの障害、及び/又は、アノード排気処理システムの不調に起因して、所定及び/又は所望の圧力差よりも大きくなり得るか、又は、小さくなり得る。
【0033】
様々な実施形態では、燃料電池システムは、燃料電池システム内のアノード圧力不足を最小化又は排除するために使用され得るガス注入システムを含み得る。ガス注入システムは、燃料電池のアノードコンパートメント内のアノード排気配管に流体連通している、加圧ガスを収容しているガス注入タンクを含む。ガス注入タンクは、可制御弁によってアノード排気配管から分離されており、可制御弁は、アノード室とカソード室との間の圧力差の変化などの、燃料電池内の圧力差の変化に応答して作動させることができる。可制御弁は、変動速度で及び変動持続時間にわたって作動されて、ガス注入タンクからアノード排気配管内に注入されるガスを計量し得る。アノードとカソードとの間の圧力差の変化を緩和することは、注入ガスの体積及び/又は流量に基づき、注入ガスの体積及び/又は流量は、ガス注入タンクの体積、ガス注入タンク内の圧力、ガス注入管内の損失、弁流れ面積、及び/又は、弁開放速度に更に依存する。ガス注入タンク内の圧力は、典型的には、アノードに関連付けられた圧力よりも著しく高い圧力に維持され、燃料電池運転に基づいて前もって容易に制御及び設定され得る。ガス注入タンクに関連付けられたオリフィス及び/又は弁を通した注入ガスの流量、流量の時間減衰、及び、総量は、高度に予測可能であり、それによって、燃料電池システム内の圧力再平衡動作の全体的な制御を改善する。
【0034】
様々な実施形態では、ガス注入タンクは、タンク充填パイプラインを介して主ガス供給源に流体連通することができ、このことは、ガス注入タンクを充填又は再充填することを容易にする。ガス注入タンクを充填することを、可制御タンク充填弁によって容易にすることができる。様々な実施形態では、タンク充填パイプラインは、1つ以上のレシーバタンクに流体連通してもよく、このことは、ガス注入タンクの急速再充填を可能にし、主ガス供給部に対するピーク(例えば、瞬時)需要を低減する。様々な実施形態では、ガス注入タンクは、ブリードダウンラインに流体連通しており、それによって、ガスを排出し、大気中に放出することができる。ブリードダウンラインを通るガス流れを、ブリードダウン弁によって制御することができる。ガス注入タンク内の圧力を、タンク充填弁及び/又はブリードダウン弁の制御を介して、圧力設定点に調節及び維持することができる。この圧力制御スキームは、タンク充填弁によって圧力が制御されるとする場合よりも速い再充填速度を提供する。様々な実施形態では、圧力設定点は、燃料電池システムを収容している燃料電池発電所の1つ以上の運転条件に基づいて調整される。
【0035】
ここで図1を参照すると、例示的な実施形態による、圧力差を再平衡させるためのシステムを組み込んだ燃料電池システム10が示されている。示されるように、燃料電池システム10は、アノード排気処理システム105の各々に流体連通している燃料電池モジュール100と、コントローラ113によって制御されるアノード排気ブロワ110と、圧力差を再平衡させることを促進するように構成されたアクティブ制御されるガス注入システム115と、を含み、流体連通は、アノード排気管120(例えば、導管)によって促進される。様々な非限定的な実施形態では、燃料電池モジュール100は、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)であってもよく、およそ550~650℃で動作し得る。他の実施形態では、燃料電池モジュール100は、他の高温、中温、又は、低温燃料電池モジュールを含む、当該技術分野において知られている任意のタイプの1つ以上の燃料電池を含み得る。様々な実施形態では、燃料電池モジュールは、スタックで配置された1つ以上の燃料電池を備えてもよく、スタックは、並列及び/又は直列に構成され得る。
【0036】
アノード排気管120は、(例えば、アノード出口121に結合されたアノード排気マニホールドにおける)アノード出口121を介して、燃料電池モジュール100からのアノード排気が出ることを可能にする。燃料電池モジュール100は、少なくとも1つの燃料電池を含み、(例えば、アノード入口122に結合されたアノード入口マニホールドにおける)アノード入口122を介して、燃料ガスを受容する。燃料電池モジュール100はまた、(例えば、カソード供給ガスを受容するためにカソード入口123に結合されたカソード入口マニホールドにおける)カソード入口123と、カソード出口124と、を含む。アノード入口122は、アノード入口圧力P1を有することができ、P1は、アノード入口122におけるアノード燃料ガスの圧力として定義され得る。カソード入口123は、同様に、カソード入口圧力P2を有することができ、P2は、カソード入口123におけるカソード供給ガス(「入口ガス」)の圧力として定義され得る。アノード出口121は、アノード出口圧力P3を有することができ、P3は、アノード出口121におけるアノード排気の圧力として定義され得る。
【0037】
圧力差トランスミッタ(PDT)125によって、P1とP2との間又はP3とP2との間のいずれか一方で判定され得る圧力差が判定され得る。図1に示されるように、PDT125は、それぞれ、ガス圧力検知ライン135及び130を介して、アノード出口121(P3)とカソード入口123(P2)との間の圧力差を測定するように構成され得る。様々な実施形態では、PDT125は、P1とP2との間、及び/又は、P3とP2との間の圧力差を測定するように構成され得る。前述したように、燃料電池モジュール100内の高い圧力差は、燃料電池システム10内に損傷を引き起こす可能性がある。カソードに関連付けられた圧力(例えば、P2及び/又は他の流体接続点)が、アノードに関連付けられた圧力(例えば、P1、P3、及び/又は、他の流体接続点における圧力)と比較して大きい場合、アノードは、加圧不足のリスクにさらされ得る。逆に、アノードに関連付けられた圧力(例えば、P1、P3、及び/又は、他の流体接続点における圧力)が、カソードに関連付けられた圧力(例えば、P2及び/又は他の流体接続点)と比較して大きい場合、アノードは、過加圧のリスクにさらされ得る。
【0038】
図1に示されるように、燃料電池システム10は、アノード排気処理システム105から(アノード排気管120を介して)アノード排気を受容するように構成されているアノード排気ブロワ110を含む。アノード排気処理システム105は、燃料電池モジュール100のアノード出口121から出力されたアノード排気ガスを処理するように構成されている。アノード排気ブロワ110(例えば、処理された流れ)によって受容されたアノード排気は、続いて、燃料電池システム10からの更なる処理、収集、又は、送出のために出力され得る。アノード排気ブロワ110の動作速度は、通信可能に結合されたコントローラ113(「速度コントローラ」)によって制御される。コントローラ113は、通信経路127を介して通信可能に結合されているPDT125によって測定された圧力差に基づいて、アノード排気ブロワ110の速度を維持及び/又は調整するように構成されている。様々な実施形態では、PDT125は、有線通信及び/又は無線通信を介してコントローラ113と通信し得る。
【0039】
燃料電池システム10は、アノード出口121とアノード排気処理システム105との間に配設されている、圧力再平衡を促進するように構成されたアクティブ制御されるガス注入システム115を含む。前述したように、アノード排気ブロワ110の速度が、アノード入口流、アノード出口流、又は、カソード入口流の流れ変動又は圧力変動に従って(PDT125によって測定された圧力差に基づいて)、コントローラ113によって適時に調整されない場合、アノード圧力不足が生じ得る。アノード加圧不足(すなわち、加圧不足条件)を防止するために、ガス注入システム115は、アノード入口122及びアノード出口121(例えば、アノード排気管120)のうちの少なくとも1つに流体連通している導管内に不活性ガス及び/又は還元ガスを注入する。図1に示されるように、ガス注入システム115は、アノード出口121の下流及びアノード排気処理システム105の上流に配設されたアノード排気管120内に、注入経路165を介してガスを注入するように構成されている。
【0040】
ガス注入システム115は、燃料電池システム10内への注入のための加圧ガスを収容しているガス注入タンク170を含む。様々な実施形態では、供給されるガスは、窒素、二酸化炭素、及び/又は、別の不活性ガス若しくは還元性ガスであり得る。ガス注入タンク170内からのガスの注入は、注入経路165内へのガス流入を制御可能に有効にするか又は禁止する1つ以上の高速開放弁180によって促進される。様々な実施形態では、注入タンク170内からのガスの注入は、ガス注入システム115に通信可能に結合されたコントローラによって受信された作動信号に応答して実行される。様々な実施形態では、作動信号は、圧力差が所定の閾値を超えているという判定(例えば、PDT125と通信する1つ以上の追加のコントローラによる)に基づいて、コントローラに送信され得る。ガス注入タンク170はまた、圧力制御弁185を介してガス注入タンク170からのガスの放出を可能にするように構成されているブリードダウンライン183に流体連通している。ガス注入タンク170は、レシーバタンク190からガスを受容することができ、レシーバタンク190からガス注入タンク170への流れは、弁195によって計量される。レシーバタンク190は、ガス供給源197からガスを相応に受容することができ、ガス供給源197からレシーバタンク190への流れは、弁199によって計量される。レシーバタンク190は、(例えば、ガス供給源197からの)ガスのピーク流量を制限し、その結果として、ガス供給源197に対するピーク需要を制限するように構成され得る。ガス注入タンク170内の圧力は、弁195及び/又は185を制御することによって維持される。様々な実施形態では、ガス注入タンク170は、ガスがガス供給源197からガス注入タンク170内に直接流入し得るように、ガス供給源197に直接流体連通し得る。様々な他の実施形態では、ガス注入システム115は、各々が注入タンク170内への最終的な流入のためにガス供給源197からガスを受容するように構成されている、レシーバタンク190と同様又は同等の複数のレシーバタンクを含み得る。
【0041】
様々な実施形態では、ガス注入タンク170は、目標圧力又は圧力設定点に維持されてもよく、目標圧力及び/又は圧力設定点は、燃料電池システム10及び/又は燃料電池システム10を収容している発電所の運転条件に基づき得る。ガス注入タンク170内の圧力の調整可能性は、燃料電池モジュール内(例えば、P1とP2との間、又は、P3とP2との間)の圧力差に対するガス注入の作用の精密制御を可能にする。様々な実施形態では、ガス注入タンク170は、潜在的に繰り返されるアノード圧力不足事象に対する準備を確実にするために急速再充填するように構成され得る。これらの実施形態では、ガス注入タンク170の急速再充填は、所定の目標圧力及び/又は圧力設定点を超え得る。ガス注入タンク170内の圧力が、急速再充填中に所定の目標圧力及び/又は圧力設定値を超えると、圧力制御弁185が、ガス注入タンク170内から(例えば、ブリードダウンライン183を介して)のガスのベントを促進し、続いて、ガス注入タンク170内の所定の所望の圧力への復帰を可能にし得る。
【0042】
運転中、圧力変化が検出されると(例えば、PDT125、又は、燃料電池モジュール100内の及び/又は燃料電池モジュール100に隣接する1つ以上の圧力センサによって)、具体的には、ガス注入システム115は、燃料電池モジュール100内のアノードに関連付けられた圧力(例えば、P1及び/又はP3)が、燃料電池モジュール内のカソードに関連付けられた圧力(例えば、P2)に対して低いか又は降下すると、ガス注入タンク170からアノード排気管120(及び/又はアノード入口122)内にガスを注入するように構成されている。様々な実施形態では、燃料電池モジュール100、ガス注入システム115、及び/又は、PDT125は、1つ以上のコントローラに通信可能に結合されてもよく、1つ以上のコントローラは、圧力差が所定の圧力閾値を超えていることをPDT125が検出したという判定に応答して、ガス注入システムに、ガスを注入させ得る。注入されたガスは、続いて、燃料電池モジュール内の、その結果として燃料電池システム10内の圧力平衡を復元する。様々な実施形態では、ガス注入システム115は、燃料電池システム10に関連付けられた1つ以上の動作パラメータに基づいて、ガス注入タンクからアノード入口122及び/又はアノード排気管120へガスを注入するように構成され得る。様々な実施形態では、ガス注入システム115は、燃料電池モジュール100内の潜在的な圧力変化を予測して動作するように構成されてもよく、このことは、PDT125において測定された圧力差に基づく応動式のガス注入動作と比較して、より迅速な圧力再平衡を可能にし得る。様々な実施形態では、ガス注入システム115からのガス注入の速度及び/又は体積は、燃料電池システム10に関連付けられた1つ以上の動作パラメータに基づき得る。
【0043】
図2は、例示的な実施形態による、パッシブ制御されるガス注入システム115を組み込んだ燃料電池システム10の概略表現を示す。示されるように、燃料電池システム10は、アノード排気処理システム105の各々に流体連通している燃料電池モジュール100と、コントローラ113によって制御されるアノード排気ブロワ110と、圧力差を再平衡させることを促進するように構成されたパッシブ制御されるガス注入システム115と、を含み、流体連通は、アノード排気管120(例えば、導管)によって促進される。
【0044】
図2に示されるように、PDT125は、それぞれ、ガス圧力検知ライン135及び130を介して、アノード出口121(P3)とカソード入口123(P2)との間の圧力差を測定するように構成され得る。様々な実施形態では、PDT125は、P1とP2との間、又は、P3とP2との間の圧力差を測定するように構成され得る。前述したように、燃料電池システム10は、アノード排気ブロワ110を含み、アノード排気ブロワ110は、アノード排気処理システム105から(アノード排気管120を介して)アノード排気を受容するように構成されており、通信可能に結合されたコントローラ113(「速度コントローラ」)によって制御される。コントローラ113は、通信経路127を介して通信可能に結合されているPDT125によって測定された圧力差に基づいて、アノード排気ブロワ110の速度を維持及び/又は調整するように構成されている。
【0045】
燃料電池システム10は、アノード出口121とアノード排気処理システム105との間に配設されている、圧力再平衡を促進するように構成されたパッシブ制御されるガス注入システム115を含む。前述したように、アノード排気ブロワ110の速度が、(PDT125によって測定された圧力差に基づいて)コントローラ113によって適時に調整されない場合、アノード圧力不足が生じ得る。アノード加圧不足を防止するために、ガス注入システム115は、アノード入口122及びアノード出口121(例えば、アノード排気管120)のうちの少なくとも1つに流体連通している導管内に不活性ガス及び/又は還元ガスを注入する。図2に示されるように、ガス注入システム115は、アノード出口121の下流及びアノード排気処理システム105の上流に配設されたアノード排気管120内に、注入経路165を介してガスを注入するように構成されている。
【0046】
ガス注入システム115は、燃料電池システム10内への注入のためのガスを収容しているレシーバタンク190を含む。レシーバタンク190は、ガス供給源197からガスを受容することができ、ガス供給源197からレシーバタンク190への流れは、弁199によって計量される。様々な実施形態では、供給されるガスは、窒素、二酸化炭素、及び/又は、別の不活性ガス若しくは還元性ガスであり得る。レシーバタンク190内からのガスの注入は、注入経路165内へのガス流入をパッシブ制御する1つ以上の差圧レギュレータ200によって促進される。示されるように、差圧レギュレータ200は、それぞれ、ガス圧力検知ライン307及び309を介してアノード出口121(例えば、P3)及びカソード入口123(例えば、P2)に関連付けられた圧力によって作動され得る。様々な実施形態では、レシーバタンク190内からのガスの注入は、アノード出口121(例えば、P3)における圧力が、カソード入口123(例えば、P2)における圧力未満の閾値量である場合に実行され、このことは、差圧レギュレータ200を開放させ、差圧レギュレータ200を通した注入経路165内へのガス流入を可能にすることができ、ガスは、続いて、アノード排気管120に入る。圧力再平衡が達成されると(例えば、ガス圧力感知ライン307及び309から判定されるように)、続いて、差圧レギュレータ200は閉鎖され、更なるガス流れを差し止め得る。様々な実施形態では、差圧レギュレータ200は、ガス供給源197から差圧レギュレータ200にガスが直接流れ得るように、ガス供給源197に直接流体連通し得る。様々な他の実施形態では、ガス注入システム115は、各々が燃料電池システム10内への最終的な流入のためにガス供給源197からガスを受容するように構成されている、レシーバタンク190と同様又は同等の複数のレシーバタンクを含み得る。様々な実施形態では、パッシブ制御されるガス注入システム115はまた、レシーバタンク190に流体連通している圧力制御される注入タンク(例えば、タンク170と同様又は同等)を含んでもよい。
【0047】
様々な実施形態では、ガス注入システム115は、燃料電池システム(例えば、燃料電池システム10)内に含まれるアノード排気再循環システムと協働して動作して、燃料電池システム内の圧力を再平衡させるように構成され得る。様々な例示的な実施形態では、燃料電池システム10は、図3に示されるように、アノード排気再循環システム205を含んでもよく、アノード排気再循環システム205は、ガス注入システム115と協働して動作して、圧力再平衡を提供し、かつ、アノード加圧不足を防止するように構成されている。様々な実施形態では、排気再循環システム205は、処理されたアノード排気(例えば、処理された流れ)がアノード排気ブロワ110の上流の低圧側ガス経路に戻る流れを促進して、アノード加圧不足を低減又は排除するように構成されている。排気再循環システム205は、経路213を介して、アノード排気管120に流体結合されてもよく、処理されたアノード排気のアノード排気管120内への流入を促進するように構成されてもよい。
【0048】
図4は、例示的な実施形態による、燃料電池システム10内の排気再循環システム205と直列に動作するように構成されたアクティブ制御されるガス注入システム115の概略表現を示す。様々な実施形態では、アノード過圧を引き起こし得る、ガス注入システム115及び排気再循環システム205の所望の直列動作ではなく同時動作を防止するために、排気再循環システム205は、ガス注入タンク170内の圧力が閾値圧力よりも減少した後にのみ動作するように構成され得る。注入タンク170の圧力が閾値圧力を下回るまで排気再循環システム205の動作を遅延させることは、アノード入口122(例えば、P1)及び/又はアノード出口121(例えば、P3)内の過剰なガス圧力のリスクを低減し、その結果としてアノード過圧のリスクを低減する。様々な実施形態では、排気再循環システム205は、レシーバタンク190内の圧力に基づいて動作するように構成され得る。
【0049】
示されるように、ガス注入システム115は、流体連通経路215を介して排気再循環システム205に流体連通している。ガス注入システム115は、注入タンク170から流れ経路165内へのガスの注入を促進する高速開放弁180を含み、流れ経路165は、アノード入口122及び/又はアノード出口121に流体連通している。図4は、アノード排気管120に流体連通している流れ経路165を示す。流体連通経路215は、圧力閾値に基づいてガス注入システム115及び排気再循環システム205の動作を協調させるように構成されているポペット弁223を含む。ポペット弁223は、ソレノイド弁220に直列に配設されており、ソレノイド弁220は、ポペット弁223と同時に開放する場合、弁210を介して排気再循環システム205を通るガス流れを可能にする。様々な実施形態では、圧力閾値は、レシーバタンク190に関連付けられた圧力及び/又はソレノイド弁225のベント圧力に基づいている。様々な実施形態では、ソレノイド弁225内のベント圧力は、排気再循環システム205内の作動ガス230の圧力に対応する。様々な実施形態では、ソレノイド弁225は、コントローラによって制御され得る。
【0050】
様々な実施形態では、ポペット弁223は、ソレノイド弁225のベント圧力が、注入タンク170に関連付けられた圧力よりも大きい閾値圧力を満たすときに開放するように構成されている。いくつかの実施形態では、ポペット弁223は、ソレノイド弁225のベント圧力が、注入タンク170内の圧力の少なくともおよそ10倍大きいときに開放するように構成されている。いくつかの実施形態では、ソレノイド弁225のベント圧力がガス注入タンク170内の圧力の少なくともおよそ10倍大きいことは、ガス注入タンク170がガス注入タンク170に収容されている加圧ガスの大部分を放出することを示し得る。例えば、ソレノイド弁225のベント圧力と注入タンク170内の圧力との比が10:1であれば、ソレノイド弁225が開放して、およそ100psiの対応する圧力を有する作動ガス230が注入タンク170を通って流れることを可能にする前に、注入タンク170内の圧力がおよそ10psiを下回ることを必要とするであろう。したがって、ガス注入システム115内の圧力に基づいてポペット弁223を介して排気再循環システム205の動作を制御することは、排気再循環システム205の不用意な動作を防止して、アノード入口122(例えば、P1)及び/又はアノード出口121(例えば、P3)内の過剰なガス圧力のリスクを相応に低減し、その結果としてアノード過圧を防止する。
【0051】
図5は、燃料電池システム10内のアノード排気再循環システム205を示しており、これは、アクティブ制御されるガス注入システム115と協働して動作して、圧力再平衡を提供し、アノード加圧不足を防止するように構成されている。排気再循環システム205は、経路213を通るガスの流れを制御し、かつ、処理されたアノード排気(例えば、処理された流れ)のアノード排気管120内への注入を促進するように構成されている1つ以上の高速排気弁210を含む。ガス注入システム115及び排気再循環システム205は、アノード圧力不足を防止するために、燃料電池モジュール110に関連付けられた圧力の検出された変化に応答して、協働して動作して、燃料電池システム10内の圧力平衡を復元するように構成され得る。ガス注入システム115及び排気再循環システム205は、流体連通経路215を介して流体連通している。流体連通経路215は、圧力閾値に基づいてガス注入システム115及び排気再循環システム205の動作を協調させるように構成されているポペット弁223を含む。ポペット弁223は、ソレノイド弁225に直列に配設されており、ソレノイド弁225は、ポペット弁223と同時に開放する場合、排気再循環弁210を開放させ、弁210を介して排気再循環システム205を通って流れる。様々な実施形態では、ガス注入タンク170内の圧力が閾値量未満である場合、ポペット弁223が開放し、ソレノイド弁225が(例えば、コントローラを介して)作動されている場合、作動ガス230からのガスがソレノイド弁225を通って流れることを可能にし得る。様々な実施形態では、ソレノイド弁225は、(例えば、PDT125によって)燃料電池モジュール100内で検出された圧力差に基づいて作動され得る。様々な実施形態では、ポペット弁223は、ソレノイド弁225が作動障害(例えば、間違った時間における、又は、長期間の開放)を起こした場合に、ガスが排気再循環システム205を通って流れないことを保証するためのフェイルセーフとして構成されている。
【0052】
示されるように、排気再循環システム205とガス注入システム115との間に、第2の流体連通経路235が流体結合され得る。様々な実施形態では、第2の流体連通経路235を通るガス流れは、冗長なポペット弁250が開放構成にあるときに可能になる。第2の流体連通経路235は、(流れオリフィス245を介した)作動ガス240からのガス流れを可能にして、ポペット弁223及び冗長なポペット弁250の両方が(流れオリフィス245を通る作動ガス240の流れによって連通経路235を満たすのに十分な時間の後に)全作動圧力を受けることを保証し、次いで、ポペット弁223がフェールクローズした場合にアノード排気管120内にガスを提供することによって、再循環弁210が確実に開放して、燃料電池システム10内の圧力再平衡を可能にするように、ガス注入タンク170内の圧力が作動圧力のおよそ1/10の圧力であるときにポペット弁223及び/又は250が開放することになることを確実にするように構成されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポペット弁223がフェールオープンした場合、ソレノイド弁225は、ガス注入タンク170内の圧力(及び/又は燃料電池モジュール100に関連付けられた圧力)とは無関係に(例えば、通信可能に結合されたコントローラからの信号に基づいて)、ソレノイド弁225を通るガス流れを許容する場合があり、このことは、アノード過圧につながる可能性がある。2つのポペット弁223及び/又は250のいずれもフェールオープンしていないことを確認するために、ライン235内の圧力が、ソレノイド弁225とポペット弁223及び250との間に配設された流体連通経路235内の圧力トランスミッタ255によって測定されてもよく、冗長な流体連通経路235内の作動ガス240によって提供されたガスから結果として生じる高い圧力を確認するように構成されてもよい。圧力トランスミッタ255における維持された圧力は、ポペット弁235及び250が完全に閉鎖していることを確実にする。様々な実施形態では、ガス注入タンク170は、圧力トランスミッタ260を介して同様に監視されてもよく、圧力トランスミッタ260は、ガス注入タンク170内の圧力を検出及び監視するように構成されている。様々な実施形態では、(圧力トランスミッタ260によって検出される)ガス注入タンク170内の圧力が所定の閾値を下回ると、ソレノイド弁225が、(例えば、コントローラを介して)作動され得る。
【0054】
図6は、別の例示的な実施形態による、燃料電池システム10内の排気再循環システム205に流体連通しているアクティブ制御されるガス注入システム115の代替構成の概略表現を示す。示されるように、ガス注入システム115は、流体連通経路215を介して排気再循環システム205に流体連通している。前述したように、ガス注入システム115及び排気再循環システム205は、圧力(例えば、P1、P2、及び/又は、P3)の検出された変化及び/又は(例えば、PDT125によって検出される)燃料電池モジュール100に関連付けられた圧力差に応答して、燃料電池システム10内の圧力平衡を復元するように協働して動作するように構成され得る。様々な実施形態では、ガス注入タンク170内の圧力が閾値量未満である場合、ポペット弁223が開放し、ソレノイド弁225が(例えば、コントローラを介して)作動されている場合、作動ガス230からのガスがソレノイド弁225を通って流れることを可能にし得る。様々な実施形態では、ソレノイド弁225は、(例えば、PDT125によって)燃料電池モジュール100内で検出された圧力差に基づいて作動され得る。様々な実施形態では、ポペット弁223は、ソレノイド弁225が作動障害(例えば、間違った時間における、又は、長期間の開放)を起こした場合に、ガス注入タンク圧力260が特定の閾値を下回るまで、排気再循環システム205を通ってガスが流れないことを保証するためのフェイルセーフとして構成されている。
【0055】
示されるように、第2の流体連通経路235は、ガス注入システム115と排気再循環システム205との間に配設されている。第2の流体連通経路235は、圧力トランスミッタ255と、流れオリフィス265及び270と、を含む。様々な実施形態では、第2の流体連通経路235を通るガス流れは、ポペット弁223又は冗長なポペット弁250のいずれか一方が開放構成にあるときに可能になる。流れオリフィス265及び270は、圧力トランスミッタ255によって測定される圧力が、ソレノイド弁225が作動していない(すなわち、閉鎖している)ときの(圧力トランスミッタ260によって測定される)ガス注入タンク圧力におよそ等しくなって、及び、ソレノイド弁225が作動している(すなわち、開放している)ときのアクチュエータ給気230圧力にほぼ等しくなって、燃料電池システム10の運転中のポペット弁223若しくは250及び/又はソレノイド弁225のいずれか一方の障害(すなわち、間違った位置)の判定を可能にするように、流体連通経路215と第2の流体連通経路235との間のガス流れを可能にするように構成されている。これらは、ガス注入システム115と同時に再循環システム205が流さないことを確実にするための冗長安全システム(例えば、第2の流体経路235、流れオリフィス265及び270、冗長なポペット弁250)であるため、冗長な弁(例えば、弁223、250)のいずれかの検出された障害は、燃料電池モジュール100をアノード過加圧からの損傷のリスクにさらす可能性がある燃料電池システム10の運転の前に、潜在的な交換又は修理を通知及び許可し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポペット弁223がフェールオープンした場合、(例えば、通信可能に結合されたコントローラによって受信された作動信号に応答して)ソレノイド弁225は、ガス注入タンク170内の圧力及び/又は燃料電池モジュール100に関連付けられた圧力差とは無関係に、ソレノイド弁225を通るガス流れを許容する場合があり、このことは、同様にフェールオープンした冗長なポペット弁250とは無関係に、アノード過圧につながる可能性がある。ポペット弁223及び250がフェールオープンしていないことを保証するために、流れオリフィス265及び/又は270を通るガス流れは、冗長なポペット弁250を通るガス流れを可能にすることによって、冗長なポペット弁250の上流の圧力を提供し得る。したがって、第2の流体連通経路235は、ソレノイド弁225と冗長なポペット弁250との間に配設された圧力トランスミッタ255を含んでもよく、この圧力トランスミッタ255は、流れオリフィス265及び/又は270によって促進された第2の流体連通経路235内のガス流れから結果として生じる圧力を確認するように構成され得る。圧力トランスミッタ255における維持された圧力は、ポペット弁223及び250が完全に閉鎖していることを確実にする。様々な実施形態では、ガス注入タンク170は、圧力トランスミッタ260を介して同様に監視されてもよく、圧力トランスミッタ260は、ガス注入タンク170内の圧力を検出及び監視するように構成されている。様々な実施形態では、(圧力トランスミッタ260によって検出される)ガス注入タンク170内の圧力が所定の閾値を下回ると、ソレノイド弁225が、(例えば、コントローラを介して)作動され得る。
【0057】
様々な実施形態では、燃料電池システム10は、ウォーターシールなどのガス注入システム115に直列又は並列に同時に実装され得る追加の過圧保護及び/又は圧力不足保護を含み得る。例えば、燃料電池システム10は、アノード過圧(例えば、過加圧条件)を防止するために(例えば、アノード排気管120及び/又は連通経路410を介して)燃料電池モジュールに流体連通しているウォーターシールシステム405(図3に示される)を含み得る。
【0058】
様々な実施形態では、ガス注入システム115は、燃料電池システム10内の単独の圧力再平衡システムとして実装されてもよいし、ガス注入システム115は、1つ以上の追加の圧力緩和システム(例えば、排気再循環システム205、ウォーターシールシステム405)と協働して動作して、燃料電池システム10内の過度の圧力差の最小化、防止、又は、排除を促進してもよい。様々な先行する実施形態のいずれかで、(アクティブ制御又はパッシブ制御される)ガス注入システム115は、圧力差が短い持続時間のアノード圧力不足事象を引き起こすときに動作するように構成されてもよい。様々な実施形態では、排気再循環システム205は、圧力差がより長い持続時間のアノード圧力不足事象を引き起こすときに動作するように構成され得る。様々な実施形態では、短い持続時間の事象は、およそ0.5秒~5秒続く事象として分類され得る。様々な実施形態では、より長い持続時間の事象は、およそ2秒~20秒続く事象として分類され得る。
【0059】
様々な実施形態では、排気再循環システムがガス注入システムと連携して使用されるとき、パッシブなシステムを用いて、排気再循環システムがガス注入システムの後でのみ作動することを保証し得る。様々な実施形態では、排気再循環システム205内のソレノイド弁225は、ガス注入システム115が閾値レベル未満で注入タンク内のガス圧力を放出した後にのみ開放し得る。様々な実施形態では、排気再循環システム205内のソレノイド弁225は、ガス注入システム115を所定の期間動作させた(例えば、弁180又はレギュレータ200が開放構成にあるとき)後にのみ開放し得る。いくつかの実施形態では、所定の期間は、より長い持続時間の事象(例えば、少なくとも2秒)に対応し得る。
【0060】
様々な実施形態では、ガス注入システム115は、1つ以上のアラーム条件の間に、又は、1つ以上のアラーム条件に直接応答して動作し得る。様々な実施形態では、1つ以上のアラーム条件は、アノード圧力不足、及び/又は、所定の閾値変化を超える燃料電池システム10内の圧力差の変化に相関し得る。様々な実施形態では、ガス注入システム115は、1つ以上のアラーム条件の間に、又は、1つ以上のアラーム条件に直接応答して、排気再循環システム205と協働して動作してもよく、ガス注入システム115は、より低い重大度に関連付けられたアラーム条件の間に、又は、より低い重大度に関連付けられたアラーム条件に応答して動作してもよく(例えば、弁180又はレギュレータ200が開放してもよく)、再循環システム205は、より高い重大度を有するアラーム条件の間に、又は、より高い重大度を有するアラーム条件に応答して動作してもよい(例えば、ソレノイド弁225が開放してもよい)。様々な実施形態では、アラーム条件は、燃料電池モジュール100に関連付けられた差圧に対応し得る。例えば、ガス注入システム115は、差圧が-1水柱インチ(iwc)に達したときに動作してもよい(例えば、弁180又はレギュレータ200が開放してもよい)のに対して、排気再循環システム205は、差圧が-4iwcに達したときに動作してもよい(例えば、弁210が開放してもよい)。
【0061】
図1図6の上述した実施形態に関わらず、それらの実施形態に対する様々な修正及び包含は、本開示の範囲内で企図及び考慮される。
【0062】
代表的な実施形態に示されるシステム及び方法の要素の構成及び配置が例示的であるにすぎないことも理解されたい。本開示の僅かな実施形態のみが詳細に記載されているが、本開示を検討する当業者は、開示される主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能であることを容易に認知するであろう(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、配向などの変形例)。
【0063】
したがって、全てのそのような修正が、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。任意のミーンズプラスファンクション条項は、列挙された機能を実行するとして本明細書に記載される構造と、構造的均等物だけでなく均等な構造と、にも及ぶことが意図されている。他の置換、修正、変更、及び、省略が、本開示の範囲からも、添付の特許請求の範囲からも逸脱することなく、好ましい実施形態及び他の例示的な実施形態の設計、動作条件、及び、配置において行われてもよい。
【0064】
更に、上述した機能及び手順は、特定の機能及び手順を実行するように設計された特殊機器によって実行され得る。機能はまた、機能及び手順に関するコマンドを実行する汎用機器によって実行されてもよいし、各機能及び手順は、制御装置として機能する1つの機器を備えた又は別個の制御デバイスを備えた、異なる機器によって実行されてもよい。
【0065】
本明細書に記載される主題は、異なる他の構成要素内に含まれるか又は異なる他の構成要素と接続された、異なる構成要素を例示することがある。そのような描示されたアーキテクチャは、単に例示的であり、実際に、同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。概念的な意味で、同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付けられる」。それゆえ、特定の機能性を達成するために本明細書で組み合わせられる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるように互いに「関連付けられている」と見なされ得る。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素を、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に接続されている」又は「動作可能に結合されている」と見ることもでき、そのように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素を、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に結合可能である」と見ることもできる。動作可能に結合可能なものの具体例としては、物理的に嵌合可能な及び/又は物理的に相互作用する構成要素、及び/又は、無線で相互作用可能な及び/又は無線で相互作用する構成要素、及び/又は、論理的に相互作用する及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書における実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切であるように、複数から単数に、及び/又は、単数から複数に解釈することができる。様々な単数/複数の置換は、明確性のために本明細書に明示的に示され得る。
【0067】
一般に、本明細書で、特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に、「オープン」用語(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである、など)として意図されていることが当業者によって理解されるであろう。特定の数の導入された請求項列挙が意図される場合、そのような意図が請求項において明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項列挙を導入するために、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入語句の使用を含み得る。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項列挙の導入が、そのような導入された請求項列挙を含む任意の特定の請求項列挙を、1つのそのような列挙のみを含む開示に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じ請求項が「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入語句並びに「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)、請求項列挙を導入するために使用される定冠詞の使用についても同様である。加えて、導入された請求項列挙の特定の数が明示的に記載されていても、当業者であれば、そのような列挙は、典型的には、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語句がない、「2つの列挙」からなる単なる列挙は、典型的には、少なくとも2つの列挙、又は、2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及び、Cなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される事例では、一般に、そのような構文は、当業者であれば慣例を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、及び、Cのうちの少なくとも1つを有するシステム」であれば、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又は、A、B及びCともになどを有するシステムを含むがそれらに限定されない)。「A、B、又は、Cなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用される事例では、一般に、そのような構文は、当業者であれば慣例を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、又は、Cのうちの少なくとも1つを有するシステム」であれば、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又は、A、B及びCともになどを有するシステムを含むがそれらに限定されない)。本明細書、特許請求の範囲、又は、図面であるかどうかに関わらず、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の選言的な語及び/又は語句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか一方、又は、両方の用語を含む可能性を考慮するように理解されるべきであることが当業者によって更に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。更に、別段の断りがない限り、「およそ」、「約」、「大体」、「実質的に」などという語の使用は、プラス又はマイナス10%を意味する。
【0068】
その上、図は、方法動作の特定の順序を示しているが、動作の順序は、描示されるものとは異なってもよい。加えて、2つ以上の動作が、同時に、又は、部分的に同時に実行されてもよい。そのような変形例は、選択されたハードウェアシステム及び設計者の選択に依存するであろう。全てのそのような変形例は、本開示の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6