IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エプコス アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図1
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図2
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図3
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図4
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図5
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図6
  • 特許-音響変換器及びその動作方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】音響変換器及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
H04R17/00 330K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023020061
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2021521329の分割
【原出願日】2019-10-22
(65)【公開番号】P2023053263
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】102018126387.2
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲバート, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ルカン, ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クレン, ミヒャエル
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-023598(JP,A)
【文献】国際公開第2008/016075(WO,A1)
【文献】特開2007-183185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00- 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響変換器であって、
電気信号から音響信号を生成するか又は音響信号から電気信号を生成する第1の外部電極(14、15)を有する第1の圧電素子(3)と、
少なくとも1つの第2の外部電極(16、17)と、を含み、
前記音響変換器(1)の電気音響特性を設定するために、前記第2の外部電極(16、17)は、前記第1の外部電極(14、15)とは別個に制御することができ、
前記第2の外部電極(16、17)が配置された第2の圧電素子(6)を有し、
音響信号を生成および/または受信するための振動板(2)を備え、前記振動板(2)はキャリア本体(11)に振動可能に取り付けられており、前記第1の圧電素子(3)は、電気信号を前記振動板(2)の変形に変換するか、またはその逆に変換するように設計されており、
前記第2の圧電素子(6)は、
前記第1の圧電素子(3)と積層配置を形成しており、前記積層配置は、前記振動板(2)の一方側に固定されているか、
前記振動板(2)のエッジに位置する支持領域のみに接続されるか、又は
前記キャリア本体(11)に固定されるか又は前記キャリア本体(11)に統合されるか又は前記キャリア本体(11)を形成する音響変換器。
【請求項2】
第1及び第2の圧電素子(3、6)が、圧電セラミックを含むか又はそれにより構成される請求項1に記載の音響変換器。
【請求項3】
前記第2の圧電素子(6)は、電圧が印加されるとき、半径方向に拡張又は収縮するように設計され、前記振動板の剛性が変化するように、変形が振動板に伝達される請求項1または2に記載の音響変換器。
【請求項4】
前記第2の外部電極(16、17)が、前記音響変換器の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数を設定するように設計されている請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器。
【請求項5】
前記第1の圧電素子(3)は、前記振動板(2)にのみ配置され、前記キャリア本体(11)に配置されていない請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器。
【請求項6】
前記第2の圧電素子(6)は、結合素子(9)を介して前記振動板に結合されている請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器。
【請求項7】
前記振動板(2)は、前記キャリア本体(11)と一体に形成されている請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器。
【請求項8】
前記第1の圧電素子(3)と前記第2の圧電素子(6)とは電気的に直列に接続されるか、または、前記第1の圧電素子(3)と前記第2の圧電素子(6)との接続は電気並列回路に対応する請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法であって、前記第2の外部電極(16、17)を、前記音響変換器(1)の電気音響特性が特定の方法で設定されるように制御する音響変換器の動作方法。
【請求項10】
前記音響変換器(1)の共振周波数及び/又はQ係数の環境関連の又は経年に関係する変化を、前記第2の外部電極(16、17)を制御することにより補償する請求項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項11】
前記第1の外部電極(14、15)を、前記音響変換器(1)の共振周波数で音響信号を生成するように同時に制御する請求項又は10に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項12】
前記音響変換器(1)の共振周波数を、前記第2の外部電極(16、17)を制御することにより所望の値にシフトする請求項11のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項13】
音響信号を発信した後に、前記音響変換器(1)の反共振周波数を、前記第2の外部電極(16、17)を制御することにより変更する請求項12のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項14】
前記第2の外部電極(16、17)の制御が、低抵抗終端、高抵抗終端、電気DC電圧の印加又は電気AC電圧の印加から選択される請求項13のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項15】
前記第2の圧電素子(6)は、前記音響変換器を長距離または短距離での動作に最適化するように制御される請求項14のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項16】
第2の圧電素子(6)は、 電圧がかけられたときに半径方向に拡張するように制御され、前記振動板(2)の剛性、したがって前記振動板(2)の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数が変化するように、変形は前記振動板(2)に伝達される請求項15のいずれか一項に記載の音響変換器の動作方法。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか一項に記載の複数の音響変換器の配置であって、前記音響変換器(110、120、130、140)の前記第2の外部電極(16、17)を、互いに異なるように制御することができる複数の音響変換器の配置。
【請求項18】
自動車用駐車支援装置の形態である請求項17に記載の複数の音響変換器の配置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の複数の音響変換器の配置の動作方法であって、少なくとも1つの前記第2の外部電極(16、17)を、別の前記第2の外部電極(16、17)とは異なるように制御する複数の音響変換器の配置の動作方法。
【請求項20】
前記異なる制御により、前記音響変換器(110、120、130、140)により発信された前記音響信号を確実に区別することができる請求項19に記載の複数の音響変換器の配置の動作方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気信号から音響信号を生成及び/又は音響信号から電気信号を生成するような部品が設計されている。それは、特に、音響信号が人間の可聴範囲よりも高い周波数を有する超音波であるような調音波変換器であり得る。このような音響変換器は、現在、多くの測定作業、特に距離測定に使用されている。既知の応用例の1つは、現在、主にリアフェンダの超音波変換器を用いた通過時間測定により実行される自動車駐車支援装置である。空気中でのこのような応用の典型的な周波数範囲は、約30kHz~100kHzである。
【0003】
音響変換器は、通常、最低の共振周波数で動作する共振部品である。通常使用されている通過時間距離測定では、音響変換器は、例えば回路内のASICの電気的制御下で、音響変換器の動作周波数で短い音響バーストを発信する。音響信号は物体で反射されて音響変換器に戻り、音響変換器は、反射された音響信号を受信し、そこから電気受信信号を生成して、通過時間を評価するために、評価ユニット、例えばASICに供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、改良された音響変換器及びこのような音響変換器の動作方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る音響変換器は、第1の圧電素子を有する。第1の圧電素子は、電気信号を変形に変換するか又はその逆に変換するように設計されている。第1の圧電素子は、第1の外部電極を有する。特に、第1の外部電極は、音響変換器の動作周波数で制御でき、この場合、第1の圧電素子は変形する。この圧電素子は、振動板に結合され得るか又はそれ自体が振動板形状であり得る。第1の圧電素子の変形が振動板の振動を引き起こすことにより、音響信号を生成することができる。音響信号は、例えば反射されて戻り、第1の圧電素子の変形をもたらすことにより、電気受信信号を生成する。動作周波数、つまり第1の圧電素子に印加された電圧の周波数は、通常、音響変換器の音響共振周波数に対応する。
【0006】
一実施形態では、音響変換器は振動板を有し、この振動板には、第1の圧電素子が、適切な方法で電気的に制御されたときに振動板を振動させるように接続されている。これにより、音響信号が生成される。振動板は、特に振動可能に取り付けられ、例えば、エッジ領域に恒久的に取り付けられ、かつ中央領域で移動可能である。第1の圧電素子は、例えば、振動板の下側に固定されている。第1の圧電素子は、例えば、振動板上にのみ配置され、特に固定されているが、キャリア本体上には配置されていない。特に、第1の圧電素子は、振動板よりも横方向の広がりが短い。
【0007】
振動可能な振動板と圧電素子を分離することの利点は、振動板をその材料及び構造に関して様々な方法で製造することができ、そして振動板を環境から独立して制御することできることである。例えば、振動板は、キャリア本体と一体に形成されてよい。その後、圧電素子を振動板に固定することができる。
【0008】
更なる実施形態では、第1の圧電素子自体は、振動板形状である。圧電素子は、特に振動可能に取り付けられ、例えば、エッジ領域に恒久的に取り付けられ、かつ中央領域で垂直に移動可能である。
【0009】
2つの実施形態を組み合わせてよく、その結果、圧電素子は振動可能に取り付けられ、さらに振動板により覆われる。
【0010】
第1の外部電極に加えて、音響変換器は、少なくとも1つの第2の外部電極を有する。第2の外部電極は、例えば、音響変換器の第2の圧電素子上に配置される。第2の外部電極を第1の圧電素子上に配置してもよい。少なくとも1つの第2の外部電極は、特定の方法で音響変換器の電気音響特性を設定するために使用される。例えば、第2の外部電極は、音響変換器の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数を設定するために使用される。第2の外部電極は、第1の外部電極とは別個に制御することができる。
【0011】
例えば、第2の圧電素子は別の第2のコントローラに接続される。第2のコントローラは、第1の圧電素子とは異なる電気信号又は異なる終端を第2の圧電素子に印加するために使用することができる。例えば、2つの第2の外部電極が、第1の外部電極とは別個に存在する。追加の第2の外部電極は、1つのみであってもよい。
【0012】
第2の圧電素子は、例えば、第1の圧電素子と積層配置を形成する。例えば、第2の圧電素子は、第1の圧電素子の、超音波変換器の内部を指す側に配置される。別個の振動板の場合、例えば、振動板は第1の圧電素子の第1の側に配置され、第2の圧電素子は第1の圧電素子の反対側の第2の側に配置される。
【0013】
第2の圧電素子は、別体であってもよく、第1の圧電素子と一体的に形成されてもよい。例えば、一体的に形成された場合、第1の圧電素子は、電気信号から音響信号を生成するか又はその逆に生成する第1の外部電極を有し、また電気音響特性を設定する少なくとも1つの第2の外部電極も有する。外部電極に割り当てられた領域は、外部電極の異なる配置により、音響変換器のポーリング中に該領域で分極され得る。動作中、該領域は、電気信号又は音響信号を生成するため、又は電気音響特性を設定するために使用される。第1及び第2の圧電素子を有する音響変換器について本明細書において説明される全ての特性は、第2の圧電素子と第1の圧電素子が一体的に形成された音響変換器にも適用される。
【0014】
例えば、第1の外部電極は、生成された音響信号の周波数に対応する動作周波数で制御されるように設計される。第2の外部電極の制御は、所望の電気音響特性に応じて選択される。
【0015】
第2の外部電極は、例えば、圧電変形を生成し、これにより振動板に引張力又は圧縮力が働くように設計される。特に、第1又は第2の圧電素子は、電圧が印加されると半径方向に拡張又は収縮することができる。例えば、第2の圧電素子は、変形が振動板に伝達されるように、振動可能な振動板に結合されている。その結果、振動板の剛性、したがって振動板の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数を変更することができる。
【0016】
一実施形態では、第2の圧電素子は、振動板の一部、例えば、振動板のエッジ領域のみに接続される。この領域は振動板の支持領域であり得る。第2の圧電素子の変形を振動板に伝達する結合素子を介して接続を確立することもできる。第2の圧電素子はまた、例えば接着接合により、振動板に直接接続することができる。
【0017】
更なる実施形態では、第2の圧電素子は、振動板、例えば振動板の下側に直接固定される。第2の圧電素子は、例えば、全表面積にわたって振動板に固定されてよい。したがって、振動板が第1の圧電素子によって形成される場合、第2の圧電素子は第1の圧電素子に固定される。
【0018】
第2の圧電素子は、例えば、小さい板状である。第2の圧電素子は、音響変換器のキャリア本体に統合されるか又は上記キャリア本体を形成してもよい。例えば、第2の圧電素子は、中空円筒形状である。更なる実施形態では、第1の圧電素子を代替的又は追加的にキャリア本体に統合することができる。
【0019】
音響変換器の電気音響特性は、第2の圧電素子を電気的に制御することにより特定の方法で適合させることができる。例えば、電気的制御の種類を音響変換器の製造中に決定するか又は制御の種類を動作中に動的に適合させる。
【0020】
例えば、電気音響特性を設定するために、第2の圧電素子は、低抵抗で終端され、高抵抗で終端され、それに印加された電気DC電圧を有するか又はそれに印加された電気AC電圧を有する。例えば、電気AC電圧を第1の圧電素子に印加し、位相角がシフトされた電気AC電圧を第2の圧電素子に印加する。
【0021】
例えば、動作温度などの環境条件又は接着接合点又は制振材の経年劣化などの耐用年数による音響変換器の特性の変化は、第2の圧電素子により補償できる。これにより、ほぼ一定の測定結果を得ることができる。さらに、製造公差は、第2の圧電素子を特別に制御することにより補償できる。例えば、共振周波数は、制御の種類により、元の共振周波数の値に、又は所望の共振周波数へシフトされる。例えば、所望のシフトに必要とされる第2の圧電素子の制御は、較正方法で決定される。
【0022】
さらに、第2の圧電素子により、特定の動作モードに合わせて音響変換器を最適化することができる。例えば、音響変換器は、第2の圧電素子を制御することにより、長距離での動作に最適化できる。この場合、例えば、音響変換器が高いQ係数、長い時定数及び/又は高い音圧振幅を有するように、制御を選択する。音響変換器は、第2の圧電素子の制御方法を変更することにより、短距離での動作に最適化することができる。この場合、例えば、音響変換器が低いQ係数、短い時定数及び/又は低い音圧振幅を有するように、制御を選択する。これにより、音響変換器の送信モードと受信モードの間の必要な遅延時間を短縮することができる。制御の種類は、例えば、恒久的に定義してもよいし、動作中に動的に変更してもよい。
【0023】
さらに、第2の圧電素子の制御を変更することにより、信号の送受信中に音響変換器の特性を変更することができる。例えば、送信モード及び受信モードに基づいて共振周波数及び/又は反共振周波数を適合させることができる。
【0024】
第2の圧電素子を特別に制御することにより、音響信号に識別子を提供することもできる。特に、構造的に同一の複数の音響変換器を同じ空間領域で使用することができ、異なる識別子により音響信号を互いに区別することができる。例えば、音響変換器の共振周波数は、制御の種類に関して異なる可能性があり、その結果、音響変換器は異なる動作周波数で動作できる。識別子は、音響信号の周波数変調により生成されてもよい。
【0025】
本発明の更なる態様は、音響変換器の動作方法を特定する。音響変換器は、特に上述した音響変換器である。音響変換器は、複数の音響変換器の配置の一部であり得る。この方法では、第2の外部電極を、音響変換器の電気音響特性が特定の方法で設定されるように制御する。特に、音響変換器の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数は、制御により設定することができる。
【0026】
これにより、例えば、音響変換器の共振周波数の環境関連の、又は経年に関係するシフトを補償することができる。
【0027】
例えば、現在存在する共振周波数は、音響変換器の恒久的に設定された動作周波数に対応する。したがって、第1の外部電極が同時に制御された場合、動作周波数はその時点で音響変換器の共振周波数になる。
【0028】
更なる実施形態では、第2の外部電極を、反共振周波数が所望の値にシフトするように制御する。例えば、音響信号が発信された後、反共振周波数は、発信中に存在する共鳴周波数の値へシフトすることができる。これにより、反射されて戻った信号の受信を最適化することができる。
【0029】
上述した動作の変形例を互いに組み合わせてもよい。
【0030】
本発明の更なる態様に係る配置は、上述した複数の音響変換器を有する。この配置は、特に自動車用駐車支援装置の形態であってよい。この場合、音響変換器はそれぞれ同じ設計を有してもよい。音響変換器の第2の外部電極は、互いに異なるように制御することができる。
【0031】
このように、音響変換器の電気音響特性は、第2の圧電素子の選択された制御に応じて異なってよい。したがって、音響信号は、独自の識別子を受信し、これにより互いに区別することができる。例えば、音響変換器は、第2の圧電素子の異なる制御により、共振周波数が異なる。この場合、音響変換器は、それらの共振周波数に対応する異なる動作周波数で動作でき、その結果、音響信号も異なる周波数を有する。これにより、同じ空間領域で構造的に同一の複数の音響変換器を効率的に使用することができる。
【0032】
本発明の更なる態様は、複数の音響変換器を有する配置の動作方法を特定する。この場合、少なくとも1つの第2の圧電素子を、別の第2の圧電素子とは異なるように制御する。したがって、少なくとも2つの音響変換器、特に構造的に同一の音響変換器は、異なる電気音響特性、例えば、異なる共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数を有する。これにより、例えば、音響変換器のそれぞれの共振周波数に対応する異なる動作周波数で音響変換器を動作させることできる。この場合も、全ての第2の圧電素子を異なるように制御でき、その結果、全ての音響変換器は個別の識別子を有する。第2の圧電素子の制御の種類は、例えば、上述したように選択することができる。
【0033】
本明細書において記載されている主題の説明は、個々の特定の実施形態に限定されない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に有用である場合、互いに組み合わせることができる。
【0034】
本明細書において説明される主題を、概略的な例示的な実施形態に基づいて、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】音響変換器の一実施形態の分解図を示す。
図2図1の音響変換器の断面図を示す。
図3】音響変換器の更なる実施形態の断面図を示す。
図4】音響変換器の更なる実施形態の断面図を示す。
図5】音響変換器用の2つの圧電素子を有する測定構成の断面図を示す。
図6】音響変換器の動作モードのフローチャートの概略図を示す。
図7】複数の音響変換器の配置の概略図を示す。
【0036】
以下の図面における同一の参照記号は、好ましくは、異なる実施形態の機能的又は構造的に対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、音響変換器1の一実施形態の分解図を示している。図2は、この音響変換器1の長手方向断面を示している。
【0038】
音響変換器1は、電気入力信号から音波を生成するように設計されている。特に、これらの音波は、特に超音波範囲において人間の可聴範囲を超える音波であってよい。音響変換器1は、例えば、自動車の駐車支援装置のために、距離を測定するために使用され得る。この目的のために、音響変換器は、物体で反射されて戻る短い音響信号を発信し、反射された信号を受信し、それを電気信号に変換する。そこから音響信号の通過時間、つまり反射物体までの距離を決定することができる。
【0039】
音響変換器1は、振動板2を有し、この振動板はその振動から音波を生成する。振動板は、例えば、アルジュールを材料とし得る。振動板2は振動可能に取り付けられている。振動板2の振動は、例えば、電気入力信号を機械的変形に変換して振動板2の動きを生じさせる第1の圧電素子3により生成することができる。
【0040】
第1の圧電素子3は、例えば、圧電セラミックを有するか又は圧電セラミックで構成される。第1の圧電素子3は、円盤状であってよい。第1の圧電素子3は、例えば、振動板2にしっかりと固定され、例えば、振動板2の内側に接着接合される。
【0041】
第1の圧電素子3は、電気コントローラ4、5を介して、特に、例えばワイヤ形状の電気接触素子を介して制御される。正味質量が小さく、圧電素子3の機械的振動に実質的に影響を与えたり機械的振動を伝えたりしない細いワイヤを使用して、例えば、外部からアクセス可能な接続部にさらに接触させる。
【0042】
音響信号を発信するために、第1の圧電素子3は、電圧、例えばバースト的なAC電圧により、実質的に半径方向に振動するように励起される。これにより、空間変形、特に振動板2の曲率、及びプロセスにおける振動が発生する。振動板2のこの動きは、例えば超音波周波数範囲において、発信された空気伝播音を生成する。
【0043】
音響変換器1は、音響変換器の特性を変化させる第2の圧電素子6を有する。第2の圧電素子6は、例えば、圧電セラミックを有するか又は圧電セラミックで構成される。第2の圧電素子6は、第1の圧電素子3と同じ材料であり得る。
【0044】
第2の圧電素子6は、例えば、動作中に電気的制御電圧を印加するために使用されるワイヤ形状の2つの接触素子を介して、第2のコントローラ7、8を有する。特に、音響変換器1の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数は、第2の圧電素子6に印加される電気的制御電圧及び/又は終端により、第2の圧電素子6による動作中に変化することができる。
【0045】
第2の圧電素子6は、例えば、小さい板状である。第2の圧電素子は、振動板2の振動が中断されないようにするために、中央開口部を有していてもよい。
【0046】
第2の圧電素子6は、振動板2の特性を変更するために、振動板2に結合される。特に、第2の圧電素子6は、振動板2の機械的剛性を変化させるように設計され得る。例えば、振動板2は、第2の圧電素子6にしっかりと結合され、例えば、第2の圧電素子6に直接固定される。この目的のために、振動板2は、そのエッジ領域において、接着接合により第2の圧電素子6に固定されてよい。振動板2は、結合素子9を介して、例えば、ここでリングの形で示されている結合要素9を介して、第2の圧電素子2に任意選択的に結合されてよい。したがって、第2の圧電素子6の動きは結合素子9を介して振動板2に伝達される。例えば、振動板2は結合要素9に固定され、結合素子9は例えば接着接合により第2の圧電素子6に固定されている。結合素子9はまた、ここで振動板2の支持面を形成する。
【0047】
より大きな変形を達成するために、例えば、第2の圧電素子の変形が振動板2に機械的に伝達されるように、結合素子9を形成してよい。結合素子は、例えばレバー機能を有する。
【0048】
第2の圧電素子6は、第2の圧電素子6に印加される電圧により半径方向に拡張又は収縮することができる。これにより、振動板2に引張力が働き、この引張力は、印加される電圧に応じて強弱があり得る。引張力のレベルは、振動板2の共振周波数に影響を与える。したがって、第2の圧電素子6の電気的制御の種類を用いて音響変換器の共振周波数を変更することができる。
【0049】
音響変換器1はまた、例えば断面が長方形又は円形のキャリア本体11を有するキャリア10を有する。キャリア本体11は、例えば中空円筒形である。キャリア10は、ベース12、特にキャリア本体11に接続されたベースプレートを有し得る。ベース12は、例えば、接着接合により、例えばキャリア本体11にしっかりと接続される。
【0050】
第2の圧電素子6は、例えばキャリア10に固定されている。固定は、例えば柔軟な弾性接続であり、その結果、第2の圧電素子6の変形はキャリア10に伝達されない。
【0051】
音響変換器1は、所望の指向特性を形成する音響吸収体13を有し得る。吸収体13は、例えば、音響変換器1の空洞を充填する。吸収体13は、例えば、多くの小さな空洞により音の反射を生成して吸収体13を通る音の伝播を低減する発泡体の形態である。
【0052】
さらに、音響変換器1はまた、異なる共振器を有してよく、その結果、振動板の固有周波数に加えて、更なる共振周波数が生じる。例えば、振動板の下に適切な空洞、例えばキャリア本体11内に充填されていない空洞が形成された結果として、空洞共振器が存在してよい。このように、音響変換器1は、例えば、使用される振動板共振に近い第2の共振を有し得る。インピーダンスのフラットプロファイルは、2つの共振周波数間の特定の帯域幅にわたって実現することができる。これにより、例えば、短い時定数と組み合わされた高い音圧振幅など、応用に有用な特性をもたらすことができる。
【0053】
本体10の特定の設計により振動モードを変更することもできる。例えば、振動板及び本体10の2つの厚い側面に適切な材料を分布させることで、音叉と同様の振動を実現することができる。
【0054】
図3は、音響変換器1の更なる実施形態の長手方向断面を示している。図1の実施形態とは異なり、ここでは第1の圧電素子3は、振動板2の機能を担っている。
【0055】
この場合、第1の圧電素子3は、キャリア本体11のエッジ領域にあり、その結果、第1の圧電素子3は、水平方向に振動を形成し、音波を生成することができる。したがって、第1の圧電素子3は、電極表面を有し、かつ第1のコントローラ4、5を介して制御される。
【0056】
振動板第1の圧電素子3、特に音響変換器1の外側に、さらにコーティング又は振動板を適用することができる。コーティング又は振動板は、圧電素子3を外部の影響から保護するため、及び/又は環境を圧電素子3の電極材料から保護するために使用され得る。この場合、コーティング又は振動板は、第1の圧電素子3の振動を極力阻止するように設計されるべきである。
【0057】
第2の圧電素子6は、第1の圧電素子3に接続され、その結果、第2の圧電素子6を電気的に制御することにより、第1の圧電素子3の変形を生じさせることができる。これにより、特定の方法で第1の圧電素子3の共振周波数を変化させることができる。例えば、第2の圧電素子6は、接着接合により第1の圧電素子3に固定されている。接合又は他の接続技術により、第2の圧電素子6を第1の圧電素子3に固定してもよい。第2の圧電素子6はまた、接合焼結により第2の圧電素子3に接続されてもよい。ここには、一体型本体も含まれ得る。
【0058】
本実施形態では、第2の圧電素子6は、第1の圧電素子3の横方向中央領域のみに延在し、キャリア本体11上に載置されていない。代替的な実施形態では、第2の圧電素子6は、第1の圧電素子3全体に横方向に延在してよく、キャリア本体11に載置されてよい。この場合、第1の圧電素子3と第2の圧電素子6は、接合振動を実行する。第2の圧電素子6はまた、第1の圧電素子3上に載置されてよい。別個の振動板はまた、キャリア本体11上に載置されてよく、圧電素子3、6の両方は、振動板に固定され、後者に載置されてよい。
【0059】
様々な種類の制御が可能である。音響変換器の特性は、選択された制御の種類に応じて特定の方法で制御することができる。
【0060】
第1の変形例によれば、電気DC電圧が第2のコントローラ7、8を介して第2の圧電素子6に印加され、その結果、第2の圧電素子6が拡張又は収縮する。これにより、第1の圧電素子3に対応する機械的応力が働き、この配置の固有共振周波数及び/又はQ係数を変化させる。例えば、電気的インピーダンスの測定では、電圧を印加すると、電気共振周波数をわずかにシフトすることができ、Q係数を下げることができることが示されている。
【0061】
第2の変形例によれば、第2の圧電素子6は、高抵抗で電気的に終端される一方、第1の圧電素子3は、AC電圧で制御される。この場合、第2の圧電素子6を制御しても振動は変化しない。第2の圧電素子6で生成された電圧は、ここで測定及び制御の目的に使用することができる。
【0062】
第3の変形例によれば、第2の圧電素子6は、低抵抗で電気的に終端される。この場合、第2の圧電素子6の弾性特性、ひいては第1の圧電素子3の弾性特性も変化する。特に、高抵抗の終端と比較して、低抵抗の終端により共振周波数を相当シフトすることができる。
【0063】
第4の変形例によれば、第1の圧電素子3に印加されたAC電圧と比較して、位相角がシフトされたAC電圧が、音響変換器1の動作中に、第2の圧電素子6に印加される。例えば、位相角は180°シフトされる。例えば、印加されたAC電圧の周波数は同じである。このような制御の場合、圧電素子3、6の一方は収縮し、圧電素子3、6の他方は拡張する。例えば、圧電素子3、6は電気的に直列に接続される。
【0064】
第2の変形例(高抵抗の終端)と比較して、このような制御により、振幅が高くなるか又は制御電圧振幅が低くなり、振動板2の特定の偏向を生成するのに十分である。2つの圧電素子3、6の電気的負荷容量は、個々の圧電素子の容量と比較して減少し、例えば半減することが判明している。さらに、ここでは共振周波数をより低い値にシフトすることができる。
【0065】
第5の変形例によれば、第2の圧電素子6は、音響変換器1の動作中、第1の圧電素子3と同じ位相角のAC電圧で動作する。例えば、周波数も同じであり、その結果、接続部は電気並列回路に対応する。このようにして、共振点を減少又は消滅させることができる。
【0066】
図4は、音響変換器1の更なる実施形態の長手方向断面を示している。
【0067】
振動板2は、ここではキャリア10と一体に形成されている。キャリア10のキャリア本体11は、中空体、特に円筒形の中空体の形である。振動板2は、キャリア本体11用のカバーを形成する。キャリア本体11及び振動板2は、例えば、アルジュールを材料とし得るか又はアルジュールで構成される。キャリア本体11は、例えば、押し出し又はフライス加工により振動板2と共に製造される。キャリア10は、ベース12を有し得る。音響吸収体13は、キャリア10内に存在し得る。
【0068】
振動板2は、例えば、キャリア本体11よりも薄く、その結果、振動板2が振動する能力が保証される。
【0069】
第1の圧電素子3は、振動板2の下側に固定され、第2の圧電素子6は、第1の圧電素の下に固定されている。この場合、第1の圧電素子3は、特に振動板2の振動を励起又は受けるために使用される。第2の圧電素子6は、音響変換器の電気音響特性を設定するために使用される。第1の圧電素子3は、第1のコントローラ4、5を介して制御され、第2の圧電素子6は、第2のコントローラ7、8を介して制御され、特に電圧が印加される。
【0070】
図5は、配置の電気的特性を測定するための測定構成を示しており、図中、第2の圧電素子6は、接着剤18により第1の圧電素子3に固定されている。圧電素子3、6は、いずれもPZTを材料としている。2つの圧電素子3、6の配置の直径は7.2mmであり、厚さは0.4mmである。この場合、圧電素子3、6の横方向の広がりは同じである。
【0071】
測定構成に存在する配置は、示されている構造及び寸法で、自動車の音響変換器で使用することができる。例えば、対応する構成は、図3又は図4の音響変換器に存在し得る。
【0072】
この構成は、例えば、音響信号を生成及び/又は受信するための追加の振動板が存在する実施形態に適している。この場合、配置の直径は、例えば振動板よりも小さく、その結果、振動板のみがそのエッジ領域においてキャリア本体に取り付けられ、配置は振動板のみに固定される。
【0073】
さらに、この構成は、少なくとも1つの圧電素子が音響信号を生成及び/又は受信する振動板を形成する実施形態でも使用され得る。この場合、第2の圧電素子6の直径は、例えば第1の圧電素子3よりも小さく、その結果、第1の圧電素子3は、キャリア本体のエッジ領域に振動可能に取り付けられ、第2の圧電素子6は、第1の圧電素子3のみに固定され、キャリア本体には取り付けられない。圧電素子3、6は、いずれもキャリア本体に振動可能に取り付けられてもよい。例えば、この場合、圧電素子3、6の両方は同じ直径を有する。
【0074】
第1の圧電素子3は、第1のコントローラ4、5を介して電圧が印加された2つの外部電極14、15を有する。さらに、電気的インピーダンス、ひいては電気的共振及び反共振が、第1のコントローラ4、5を介して測定される。第2の圧電素子6も同様に2つの外部電極16、17を有しており、第2のコントローラ7、8を介して電気的に接触している。また、共通の接触要素を介して中央の外部電極15、16と接触させることもでき、例えば、これらの外部電極は接地してよい。
【0075】
電気的測定では、スイッチ19の「開」から「閉」への位置に対応して、第2の圧電素子6の終端が高抵抗から低抵抗に変更された場合、50kHzの共振周波数を数kHz下げることができることが見出されており、この場合、電気的Q係数は同じ値に維持される。
【0076】
図6は、上述した図面からの音響変換器の可能な動作モードのフローチャートを示している。ここで送信及び/又は受信モード中の制御、又は音響変換器を較正するモード中の制御が含まれ得る。
【0077】
第1のステップAでは、音響変換器は共振周波数fRを有する。例えば、音響変換器は、動作周波数fBで動作するように設計される。動作周波数fBは、共振周波数fRに対応してよく、共振周波数fRと異なってもよい。第2の圧電素子を高抵抗で、例えば、現在の共振周波数fRで終端する。第2の圧電素子6を異なる方法で制御してもよい。送信モードでは、ステップBにおいて、第1の圧電素子3を動作周波数fBで動作させることができる。較正中に、例えば共振周波数fRを測定し、所望の共振周波数からの偏差を決定する。
【0078】
次のステップBでは、第2の圧電素子6の制御Sを変更し、例えば、上記素子を低抵抗で終端するか又は別の方式で制御する。第2の圧電素子を制御することにより、音響変換器の共振周波数fRを値fR'にシフトする。例えば、共振周波数を動作周波数fBへシフトする。さらに又はその代わりに、反共振周波数fARを値fAR'にシフトしてもよい。例えば、反共振周波数を動作周波数fBへシフトする。音響変換器1は、ステップBにおいて、例えば動作周波数fBで、送信モードで動作するか、又は受信モードで音響信号を受信するように準備される。
【0079】
以下、様々なシナリオについて詳しく説明する。
【0080】
例えば、音響変換器の共振周波数及び/又はQ係数は、例えば、高温又は低温などの環境条件により変化する可能性がある。この場合、共振周波数及び/又はQ係数は、予め設定された動作周波数fBと一致しなくなる(ステップA)。第2の圧電素子を適切に制御することにより、共振周波数及び/又はQ係数を再び元の値に戻すことができる(ステップB)。したがって、共振周波数及び/又はQ係数の変化を補償することができる。これにより、エコーを受信したときの音響変換器の感度及び測定可能な距離範囲を所望の値に保つことができる。したがって、システム性能を最適な値に確実に保持し、それに応じて特定することができる。
【0081】
追加的又は代替的に、このような構成の場合、音を発信するときと音を受信するときの両方で、音響変換器1の効率を最適化することができる。最も好ましい動作点は、ここでは共振周波数と反共振周波数にあるため、わずかに異なる周波数である。例えば、60kHzの動作範囲において、周波数は1.5kHzだけ異なり得る。信号を発信した後(ステップA)、第2の圧電素子6を適切に制御することにより反共振周波数を共振周波数にシフトしてよく(ステップB)、その結果、信号を発信するときと信号を受信するときの両方で効率を最適化する。代替的に、共振周波数を反共振周波数にシフトしてもよい。
【0082】
追加的又は代替的に、音響変換器1の共振周波数及び/又は反共振周波数をシフトすることにより、信号を発信してからエコーを受信するまでの間に、音響変換器1の受信準備ができていない時間を短縮することもできる。エコーの発信と受信の間の待ち時間は、通常、動作周波数範囲において高いQ係数を有する音響変換器1に基づいており、その結果、電気送信信号をオンにした後、完全な音響振幅に達する前に、数回の振動サイクルが経過することになる。電気送信信号がオフにされると、今度は振動板の振動が減衰し、音響変換器1がエコーを受信する準備ができるまでに時間がかかる。しかしながら、電気音響変換には高いQ係数が有利であり、望ましい。
【0083】
説明された音響変換器1では、信号バーストを発信した後、共振周波数をシフトするように、第2の圧電素子6を制御する(ステップA)ことにより発信と受信準備との間の時間を短縮することができる。したがって、送信された信号の減衰振動の周波数がシフトされ、その結果、この周波数は着信エコーの周波数と異なる。例えば、反共振周波数が共振周波数にある状況を達成するために、上述した制御の種類に応じて、共振周波数及び反共振周波数をより低い周波数へシフトする。フィルタの追加使用により、例えば、送信周波数を選択的に送信することができ、その結果、測定は信号の減衰により中断されず、受信までの待ち時間が短縮される。これにより、測定可能な最小距離を短縮することもできる。また、音響変換器のQ係数を下げずに受信準備までの時間を短縮することができる。
【0084】
追加的又は代替的に、このような構成では、第2の圧電素子6を適切に制御することにより、製造に関係する共振周波数の変動を補償することができる。この場合、例えば、ステップAで音響変換器1を製造し、共振周波数を所望の目標値へシフトする第2の圧電素子6の制御の種類を決定する。動作中(ステップB)、第2の圧電素子6の選択された種類の制御によって、音響変換器1を動作させる。これにより、製造のために所望の共振周波数を有さない音響変換器を高価に選別する必要がなくなる。
【0085】
したがって、音響変換器の共振周波数、反共振周波数及び/又はQ係数を、終端の種類、例えば高抵抗又は低抵抗により制御又は迅速に切り替えることができる。
【0086】
例えば、同じ設計の空間的に隣接する複数の音響変換器の配置の場合、出力信号に識別子を付与してよく、その結果、信号を区別することができる。例えば、空間的に隣接する複数の音響変換器の配置の場合、音響変換器の1つは、第2の変形例(高抵抗終端)に従って制御され、音響変換器の1つは、第3の変形例(低抵抗終端)に従って制御され得る。制御動作はまた、全ての変形例の間で変えてよく、或いは音響変換器が複数ある場合は、音響変換器によって異なる種類の制御を使用することができる。
【0087】
図7は、複数の音響変換器101~104を有する配置100の概略図を示している。配置100はまた、図示される4つの音響変換器101~104よりも多くの又は少ない音響変換器を有してもよい。音響変換器101~104は、同じ空間領域で動作する。
【0088】
例えば、自動車の駐車支援装置が関連している。音響変換器101~104は、例えばリアフェンダの異なる位置に配置されている。音響変換器101~104はそれぞれ、例えば図1~4に記載されたような構成であってよい。特に、音響変換器101~104のそれぞれは、第1の圧電素子113~143及び第2の圧電素子116~146を有する。特に、音響変換器101~104は同じ構造を有し得る。
【0089】
第2の圧電素子116~146の制御により、音響変換器101~104は、相互干渉が発生せずに同じ周波数で動作することができる。特に、全ての音響変換器101~104の各々の第1の圧電素子113~143は、同じ周波数で制御することができる。各々の第2の圧電素子116~146は、例えば、上述した様々な制御変形例に従って異なるように制御される。
【0090】
このように、音響変換器により発信された音波は、各々の第2の圧電素子116~146の動作モードに応じて識別子が付与される。具体的には、例えば音響変換器の共振周波数にある各々の第1の圧電素子113~143の動作周波数が変更される。これにより、同じように構成された音響変換器101~104を、例えば各々の共振周波数に対応する異なる動作周波数で動作させることができ、したがって、信号を区別可能に保つことができる。したがって、配置100において異なる構造種類の音響変換器101~104を使用する必要はない。
【0091】
代替的に、音響変換器101~104は、同じ動作周波数で動作することができ、この場合、発信された信号と受信された信号を、それらのQ係数、振幅又は他の特性に基づいて区別することができる。音響変換器の特性の制御可能性により、第1の圧電素子を信号バースト中に一定の動作周波数で制御することができるだけでなく、信号バースト中に動作周波数を変更することもできる。例えば、音響変換器では、周波数を高から低へ、低から高へ、又は高から低へ、再び高へと変化させることができる。したがって、第2の圧電素子は、可変制御することができる。受信中、信号処理により個々の信号を個別に評価することができる。
【0092】
例えば、このような構成により、少なくとも第2の圧電素子の制御からの異なる識別子の数が使い果たされるまで、音響変換器の数を増やしながら、繰り返し率、すなわち個々の音響変換器から発信された信号のバースト率を常に高く保つことができる。同一構造種類の音響変換器のこのような配置は、通常、時分割多重化を使用して動作させる必要があり、その場合、第1の音響変換器のみが信号を発信し、プロセスは、最大測定距離のエコー通過時間を待機し、第2の音響変換器は信号などを発信する。この場合、可能なサンプリングレートは音響変換器の数と共に低くなる。
【符号の説明】
【0093】
1 音響変換器
2 振動板
3 第1の圧電素子
4、5 第1のコントローラ
6 第2の圧電素子
7、8 第2のコントローラ
9 結合素子
10 キャリア
11 キャリア本体
12 ベース
13 吸収体
14 第1の外部電極
15 第1の外部電極
16 第2の外部電極
17 第2の外部電極
18 接着剤
19 スイッチ
20 側面
100 配置
110、120、130、140 音響変換器
113、123、133、143 第1の圧電素子
116、126、136、146 第2の圧電素子
R 共振周波数
R' 変更された共振周波数
AR 反共振周波数
AR' 変更された反共振周波数
B 動作周波数
S 第2の圧電素子の制御の種類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7