(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】圧潰可能なハウジングおよびトリガ作動を伴う安全デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 510V
A61M5/32 500
(21)【出願番号】P 2023084721
(22)【出願日】2023-05-23
(62)【分割の表示】P 2022003822の分割
【原出願日】2017-12-12
【審査請求日】2023-06-15
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ピー.ブロウカ
(72)【発明者】
【氏名】ローリー サンダース
(72)【発明者】
【氏名】イーライ ビー.ニコルス
(72)【発明者】
【氏名】フィル シー.マクニール
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ヘンソン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第94/000172(WO,A1)
【文献】米国特許第05295972(US,A)
【文献】特表2008-514346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達安全デバイスであって、
遠位先端を有するカニューレを含む針ハブと、
前記カニューレの遠位端部においてトリガハウジングを前記針ハブに接続する、前記
カニューレに隣接する少なくとも2つの可撓性アームであって、前記トリガハウジングは前記カニューレの前記遠位先端を露出させる開口を有する少なくとも2つの可撓性アームと、
前記トリガハウジングを前記可撓性アームに接続するばね、ならびに、前記トリガハウジングの遠位開口部に位置合わせされた開口部、前記可撓性アームに取外し可能に係合する第1のばね板、および前記トリガハウジングに係合する第2のばね板を含む2重板ばねロッククリップを備える、前記トリガハウジング内のトリガ機構であって、前記第2のばね板は、前記トリガハウジングおよび前記ロッククリップの前記開口からずらされて前記トリガハウジングの内側で前記
カニューレと接触している遠位針先端カバーを含むトリガ機構と
を備え、
前記トリガハウジングに印加される近位に向けられた力が、前記ばねを圧縮し、前記トリガハウジングを近位に移動させて、前記ロッククリップの前記第1のばね板を前記可撓性アームから係脱させ、
前記トリガハウジングに印加される前記近位の力のその後の減少が、前記ばねを復元させて、前記ロッククリップの前記第2のばね板の前記針先端カバーが前記
カニューレから係脱して前記カニューレの前記遠位先端を覆うように前記ロッククリップを遠位方向に移動させる薬物送達安全デバイス。
【請求項2】
前記針ハブを介してシリンジに取り付けられる請求項1に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも2つの可撓性アームは、2つの可撓性アームである請求項1または2に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項4】
前記ばねは、ばねコイルまたは板ばねである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも2つの可撓性アームを接続する端キャップをさらに備え、前記トリガハウジングは前記端キャップ上に嵌合する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項6】
前記ロッククリップの前記第1のばね板は、前記端キャップに取外し可能に係合する請求項5に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項7】
前記トリガハウジング上に嵌合して前記トリガ機構の始動を防ぐ取外し可能な始動防止
スリーブをさらに備え、前記
始動防止スリーブは、
前記ロッククリップの前記第1の
ばね板を押し下げ、前記可撓性アームからの前記第1のばね板の係脱を防ぐ内部リブを備える請求項1乃至6のいずれか一項に記載の薬物送達安全デバイス。
【請求項8】
前記トリガハウジング上に嵌合して前記トリガ機構の始動を防ぐ取外し可能な始動防止構成要素をさらに備え、前記始動防止構成要素は、前記ロッククリップの前記第1のばね板を押し下げ、前記可撓性アームからの前記第1のばね板の係脱を防ぐU字形状のブラケット
を備え
る請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の薬物送達安全デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、受動的トリガ作動システム(passive trigger activation system)、すなわち、薬物送達デバイスの使用に応じて係合されて使用者によるさらなる介入を伴わずに注射後針遮蔽を実現するトリガの作動のための構造を有する薬物送達安全デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの針による偶発的な針刺しは、病気を伝播する恐れがある。そのため、従来技術のほとんどの針組立体は、針シールドを有する。従来技術の一部の針シールドは、使用後に針カニューレにわたって手動で伸縮または回転される剛体スリーブを画定する。この手順は、医療従事者に一方の手でシリンジ筒を保持し他方の手でシールドを保持するように要求することが多い。いくつかの医療処置は、針が取り出された後で貫入部位に圧力を印加することを必要とするので、医療従事者は、針カニューレを遮蔽するために両手を使用することができないことが多い。これらの状況では、従事者は、使用済みの針をより都合の良いときに遮蔽するつもりで、使用済みの医療用器具を手近な表面上に置くであろう。しかし、針が遮蔽されるかまたは適切に処分されるまで、それは、他の人々を害する恐れがある。
【0003】
医療従事者へのさらなる危険性として、処置が片手を必要とするのか両手を必要とするのかにかかわらず、使用済みの針を手動で遮蔽するのに必要とされる追加的な注射後行動は、偶発的な針刺しの可能性を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、患者を治療するための針の使用に応じて自動的に始動されて、それにより使用済みの針の安全な遮蔽を達成するために医療従事者が追加のステップを行うかまたは医療用デバイスをさらに操作する必要をなくす、針遮蔽のシステムおよびデバイスが必要とされている。そのような自動的な遮蔽デバイスおよび機構は、しばしば受動的医療用安全デバイス(passive medical safety device)または受動的遮蔽システム(passive shielding system)と呼ばれる。具体的には、遮蔽機構を始動させるのに必要な力がより少ない受動的針安全デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様が、針ハブに取り付けられる本体を備える薬物送達安全デバイスに関する。本体は、本体の側壁を貫くスロット内に係合される回転カムを封入する。スロットは、3つのセグメント、すなわち、近位の傾斜リードランプ(angled lead ramp)と、回転カムを据えつけるための傾斜リードランプの遠位端部に位置するレッジと、レッジより遠位の軸方向スロット部分とを備える。針ハブは、可撓性ハウジングによって包囲される針カニューレを含む。可撓性ハウジングは、針カニューレが可撓性ハウジングによって実質的に覆われるがカニューレの遠位先端が露出されるように、本体を針カニューレの遠位端部の近くにあるロッククリップに接続する。受動的遮蔽システムは、回転カムをロッククリップに接続する第1のばねと、回転カムから針ハブに向かって近位に延在する本体内の第2のばねとを備えるトリガ機構によって作動される。第1のばねは、ロッククリップを遠位に付勢し、第2のばねは、回転カムを遠位に付勢する。第2のばねにより回転カムに印加される力は、回転カムをスロットのレッジに据えつけるのに十分であり、かつ、注射のためにカニューレを使用するのに先立ってその据えつけられた位置を維持するのに十分である。
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、第1のばねは、可撓性ハウジング内で針カニューレを包囲し得る。
【0007】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、可撓性ハウジングに取り付けられるキャップ内に収容される場合があり、キャップは、カニューレがそこを通過することを可能にする開口を含む。
【0008】
薬物送達安全デバイスがシリンジに取り付けられて注射のために使用されるときに、第2のばねの遠位に向けられた力よりも大きい近位に向けられた力が、ロッククリップに印加される。したがって、第1のばねは圧縮され、可撓性ハウジングは近位に収縮する。近位の力はまた、ロッククリップをカニューレの軸に沿って近位に移動させる。この近位の力は、典型的には、針カニューレの露出した先端が注射を打つための所望の深さまで患者の皮膚に挿入されるときに印加される。近位の力は、第2のばねの付勢力を克服し、回転カムを近位方向に移動させ、レッジから外れさせて、傾斜リードランプを下らせる。傾斜リードランプの傾斜した表面は、回転カムが傾斜リードランプの近位端部へ移動するときに、それを回転させる。近位の力がその後に減少されると(注射の完了後に針カニューレが患者の皮膚から取り出されるとき)、第1のばねは復元して、回転された回転カムに第2のばねが十分な遠位の力を再度印加してそれを軸方向スロット部分に沿って遠位に移動させることを可能にする。この力は、遠位先端を覆うために、ロッククリップを針カニューレの遠位先端を越えて遠位方向に移動させる。
【0009】
1つまたは複数の実施形態では、薬物送達安全デバイスの針ハブは、シリンジの筒に取り付けられ得る。
【0010】
1つまたは複数の実施形態では、可撓性ハウジングは、ばねコイル(spring coil)、バタフライばね(butterfly spring)、ジグザグコイル、または巻きシートコイル(rolled-sheet coil)とされ得る。1つまたは複数の実施形態では、可撓性ハウジングは、注射前の延長された位置にあるときに、注射後の可撓性ハウジングのさらなる延長を可能にしてロッククリップが針カニューレの遠位先端を覆うことを可能にする緩みを有し得る。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、第1のばねおよび第2のばねは、独立した2つのばねではなく、回転カムを通して供給される単一のばねで構成され得る。
【0012】
1つまたは複数の実施形態では、本体には少なくとも2つのスロットが存在する。1つまたは複数の実施形態では、本体には、本体の対向する側上に2つのスロットが存在する。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、遠位端部の近くで針カニューレの軸に接触しかつ針カニューレが患者の皮膚に挿入されて第1のばねが圧縮されるときにその長さに沿って近位に摺動する、フッククリップであり得る。処置のうちの受動的遮蔽部分中(患者の皮膚からの針カニューレの取出し後)、フッククリップは、フッククリップのフック部分が遠位先端を覆うように、針カニューレに沿って遠位に移動して、遠位先端を通り越える。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、針カニューレの各側に1つがありまたそれぞれが針カニューレ表面との接点を有する、2つの部品で構成され得る。このロッククリップは、2部品クリップが針カニューレの遠位先端を越えて遠位に移動するときに2つの部品が接近して遠位先端を覆うことを除けば、フッククリップに関して上述されたように受動的薬物送達安全デバイスにおいて機能する。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、薬物送達安全デバイスは、本体上に嵌合してトリガ機構の始動を防ぐ、取外し可能なスリーブをさらに備え得る。この特徴は、受動的遮蔽システムを作動させることなく注射に先立ってシリンジを充填するためにデバイスが使用されることを可能にする。取外し可能なスリーブは、受動的遮蔽システムが注射を打つために使用されるときに始動のために利用可能になるように、シリンジの充填後に取り外される。1つの実施形態では、始動防止スリーブは、本体上に嵌合し、かつ、スロットの軸方向スロット部分に係合しそれにより回転カムの移動および回転を防ぐ突出部(例えば、隆起部)を有する内部表面を含む。
【0016】
始動防止システムは、針カニューレの露出した先端を覆う取外し可能なフィルキャップであるキャップをさらに備え得る。充填する前は、始動防止キャップおよびフィルキャップの両方が、デバイス上に存在し得る。シリンジを充填するために、フィルキャップが取り外される。始動防止スリーブが存在することにより、受動的安全機構を始動させることなく、シリンジが複数回充填され得る。充填されたシリンジを輸送することまたは遅延注射が望まれている場合、フィルキャップは、任意に再取付けされ得る。注射を打つことが望まれている場合、始動防止スリーブは(存在するのであればフィルキャップとともに)取り外されて、回転カムの移動および回転を可能にする。
【0017】
第2の態様が、針ハブを針カニューレの遠位端部の近くにあるロッククリップに接続するトリガ機構を備える薬物送達安全デバイスに関する。可撓性ハウジングが、針カニューレを包囲し、かつ、針カニューレが可撓性ハウジングによって実質的に覆われるがカニューレの遠位先端が露出されるように針ハブをロッククリップに接続する。受動的遮蔽システムは、針ハブをロッククリップに接続するばねを備えるトリガ機構によって作動される。デバイスはまた、針ハブに係合する本体を含む。本体は、近位端部および遠位端部を含む内側空洞と、内側空洞内に配置されたYクリップとを有する。Yクリップの第1のアームおよび第2のアームは、内側空洞の遠位端部に位置する第1のポケットおよび第2のポケットとの係合により、また、第1のアームおよび第2のアームを「外に広がった」位置または「開いた」位置に付勢するばねによって及ぼされる遠位の力により、開いて保持される。Yクリップの第1のアームおよび第2のアームは、それらが互いに向かって(内向きに、または「閉じた」位置に向かって)移動されるときに軸性ベクトル力(axial vector force)が生成されるように、傾斜した表面を有する。1つまたは複数の実施形態では、Yクリップは、移動止めとして機能してYクリップが本体から離れるのを防止する少なくとも2つの突出部を含むことができ、それによりロッククリップの軸方向移動の距離を設定する。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、ばねは、可撓性ハウジング内で針カニューレを包囲し得る。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、可撓性ハウジングに取り付けられるキャップ内に収容される場合があり、キャップは、カニューレがそれを通過することを可能にする開口を含む。
【0020】
注射を打つために薬物送達安全デバイスが使用される場合、ロッククリップに印加される近位に向けられた力が、ばねを遠位に圧縮する。ばねの圧縮が、可撓性ハウジングを近位方向に収縮させ、また、ロッククリップを針カニューレに沿って近位に移動させて針カニューレの遠位端部をさらに露出させる。この近位の力は、典型的には、針カニューレの露出した先端が注射を打つための所望の深さまで患者の皮膚に挿入されるときに印加される。圧縮したばねの近位の力は、可撓性ハウジングに緩みを生じさせ、これが、Yクリップが本体内で近位に移動して第1アームおよび第2のアームを本体の第1のポケットおよび第2のポケットから解放することを可能し、かつ、第1のアームおよび第2のアームが互いに向かって内向きに移動して軸性ベクトル力を生成することを可能にする。近位の力がその後に減少されると(注射の完了後に針カニューレが患者の皮膚から取り出されるとき)、ばねは復元し、軸性ベクトル力は、遠位先端を覆うために、ロッククリップを針カニューレの遠位先端を越えて遠位方向に移動させる。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、薬物送達安全デバイスの針ハブは、シリンジの筒に取り付けられ得る。
【0022】
1つまたは複数の実施形態では、可撓性ハウジングは、ばねコイル、バタフライばね、ジグザグコイル、または巻きシートコイルとされ得る。1つまたは複数の実施形態では、可撓性ハウジングは、注射前の延長された位置にあるときに、注射後の可撓性ハウジングのさらなる延長を可能にしてロッククリップが針カニューレの遠位先端を覆うことを可能にする緩みを有し得る。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、遠位端部の近くで針カニューレに接触しかつ針カニューレが患者の皮膚に挿入されるときにその長さに沿って近位に摺動してばねを圧縮する、フッククリップであり得る。処置のうちの受動的遮蔽部分中(患者の皮膚からの針カニューレの取出し後)、フッククリップは、フックが遠位先端を覆うように、針カニューレに沿って遠位に移動して、遠位先端を通り越える。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップは、針カニューレの各側に1つがありまたそれぞれが針カニューレの軸との接点を有する、2つの部品で構成され得る。このロッククリップは、2部品クリップが針カニューレの遠位先端を越えて遠位に移動するときに2つの部品が接近して遠位先端を覆うことを除けば、フッククリップに関して上述されたように受動的薬物送達安全デバイスにおいて機能する。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、薬物送達安全デバイスは、本体上に嵌合してトリガ機構の始動を防ぐ、取外し可能な始動防止キャップをさらに備え得る。この特徴は、受動的遮蔽システムを作動させることなく注射に先立ってシリンジを充填するためにデバイスが使用されることを可能にする。取外し可能な始動防止キャップは、受動的遮蔽システムが注射を打つために使用されるときに始動のために利用可能になるように、シリンジの充填後に取り外される。1つの実施形態では、キャップは、本体の外部壁上に嵌合する外壁と、キャップが本体に被せられたときにYクリップの第1の脚と第2の脚との間に位置決めされる内部壁とを有し得る。第1のアームと第2のアームとの間での内部壁の位置は、ばねが圧縮されたときでも「外に広がった」または「開いた」アームを維持し、したがって、近位の力が印加されるときに第1のポケットおよび第2のポケットからの第1のアームおよび第2のアームの解放を防ぐ。
【0026】
始動防止システムは、針カニューレの露出した先端を覆う取外し可能なフィルキャップである第2のキャップをさらに備え得る。充填する前は、始動防止キャップおよびフィルキャップの両方が、デバイス上に存在する。シリンジを充填するために、フィルキャップが取り外される。始動防止キャップが存在することにより、受動的安全機構を始動させることなく、シリンジが複数回充填され得る。充填されたシリンジを輸送することまたは遅延注射が望まれている場合、フィルキャップは、任意に再取付けされ得る。注射を打つことが望まれている場合、始動防止キャップは(存在するのであればフィルキャップとともに)取り外されて、Yクリップのアームの移動を可能にする。
【0027】
第3の態様が、針カニューレを含む針ハブと、針カニューレに軸方向に隣接してトリガハウジングをカニューレの遠位端部の近くで針ハブに接続する少なくとも2つの可撓性アームとを備える薬物送達安全デバイスに関する。トリガハウジングは、針カニューレがそれを通過することを可能にする開口を遠位の壁に含む。トリガハウジング内部のトリガ機構は、トリガハウジングを可撓性アームに接続するばねと、2重板ばねロッククリップとで構成される。ロッククリップは、針カニューレの先端がロッククリップの開口を通して露出されるように、針カニューレの遠位端部の近くに位置決めされる。ロッククリップの第1のばね板が、可撓性アームに取外し可能に係合し、ロッククリップの第2のばね板が、トリガハウジングに係合する。ロッククリップの第2のばね板は、遠位針先端カバーを含み、これは、始動の前にはその遠位端部の近くで針カニューレと接触しており、それにより針先端カバーをトリガハウジングおよびロッククリップの開口とずらして保持している。注射を打つための使用に先立ち、ばねは、トリガハウジングおよびロッククリップを遠位方向に付勢して、針カニューレの軸に沿ったトリガハウジングおよびロッククリップの近位移動を防ぎ、かつ、ロッククリップの第1のばね板と可撓性アームとの係合を維持する。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、薬物送達安全デバイスの針ハブは、シリンジ筒のカラーへの針ハブの取付けにより、シリンジの筒に取り付けられ得る。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、ばねは、ばねコイルまたは板ばねであり得る。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、トリガハウジングは、少なくとも2つの可撓性アームを接続する端キャップ上に嵌合するように構成され得る。端キャップは、トリガハウジングおよびロッククリップの開口と位置合わせされた開口を含んで、針カニューレがそれを通過することを可能にする。1つまたは複数の実施形態では、端キャップは、少なくとも2つの可撓性アームと一体に成形され得る。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、ばねは、端キャップを包囲することができ、かつ、使用に先立ち、トリガハウジングの遠位内部壁に接触して付勢され、それによりトリガハウジングおよびロッククリップを、ロッククリップの第1のばね板と少なくとも2つの可撓性アームとの係合を遠位で強制的に維持し得る。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、ロッククリップの第1のばね板は、例えば端キャップ上の棚に係合する第1のばね板上の近位フックによる端キャップとの取外し可能な係合により、少なくとも2つのアームに取外し可能に係合し得る。
【0033】
注射を打つために薬物送達安全デバイスが使用されるときに、トリガハウジングに印加される遠位に向けられた力が、ばねを圧縮して、トリガハウジングおよびロッククリップを少なくとも2つの可撓性アームに向かって近位に移動させる。この移動は、ロッククリップの第1のばね板が端キャップから係脱することを可能にする。ロッククリップの第1のばね板から解放された張力が、それが無負荷状態に曲がることを可能にし、したがって、トリガハウジングの連続的な近位移動中に、係脱された位置を維持する。係脱の後、針は、少なくとも2つの可撓性アームが外方に曲がっている状態で所望の深さまで挿入され得る。注射後の皮膚からの針カニューレの除去に応じて、ばねは完全に復元し、トリガハウジングは、針カニューレの軸に沿って遠位に移動して遠位先端を越える。この時点で、ロッククリップの第2のばね板の針先端キャップは、針カニューレとの接触から解放されて、針先端カバー位置へと曲がる。典型的には、トリガハウジングを移動させてロッククリップの第1のばね板を解放するために必要とされる力は、受動的遮蔽機構が注射中に短い距離内で始動されるように、2つ以上の可撓性アームを曲げるための力よりも小さい。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、薬物安全送達デバイスは、注射を打つ前の受動的安全機構の始動を防ぐための構造をさらに備え得る。この特徴は、受動的遮蔽システムを作動させることなく注射に先立ってシリンジを充填するためにデバイスが使用されることを可能にする。始動防止構造は、注射中に受動的遮蔽システムが始動のために利用可能になるように、シリンジの充填後に取り外されるかまたは動作不能とされる。1つまたは複数の実施形態では、始動防止構造は、ロッククリップの第1のばね板を係合位置に保持しかつ充填中のトリガハウジングの近位運動を抑制するためのリブを含む、取外し可能なキャップまたはスリーブを備え得る。シリンジを充填した後、キャップは取り外されて、トリガハウジングの近位移動、および注射に応じた受動的遮蔽を可能にする。いくつかの実施形態では、始動防止構成要素は、シリンジの充填に先立って取外し可能なキャップまたはスリーブの遠位端部において露出された針カニューレを覆う取外し可能なフィルキャップを含む。
【0035】
代替的実施形態では、始動防止構成要素は、ブラケットまたはプルピンを含み得る。ブラケット(例えば、「U」ブラケット)は、トリガハウジングのどちらかの側で薬物送達安全デバイスに係合して、シリンジ充填過程中のトリガハウジングの移動を抑制する。プルピンは、それを側方に引っ張ることによりブラケットの取外しを容易にする。これは、注射に応じたトリガハウジングの近位移動および受動的遮蔽を可能にする。この実施形態はまた、取外し可能なフィルキャップを備えて、シリンジを充填するのに先立って露出した針カニューレを覆うことができる。フィルキャップは、側部プルピン上への嵌合に適合するためのスロットを含み得る。
【0036】
使用者は最初に、フィルキャップを取り外してシリンジを充填するが、シリンジの充填は、取外し可能なスリーブまたはキャップの始動防止抑制により、複数回行われ得る。使用者が注射を打つことを望む場合、始動防止機構の第2の構成要素(例えばスリーブ/キャップまたはブラケット/プルピン)が薬物送達安全デバイスから取り外されて、注射中の受動的安全機能の始動を可能にする。使用者が注射を打つための充填されたシリンジの使用を遅らせるつもりである場合、フィルキャップは、注射が望まれるときまで再び適用され得る。この場合、フィルキャップおよび第2の構成要素は、どちらも注射に先立って取り外されて、始動を可能にする。
【0037】
これら3つの態様のいずれにおいても、針先端がロッキング機構のハウジングの遠位端部を通して露出され得ること、または針先端がロッククリップの遠位端部を通して露出されるのであればハウジングは針先端を覆い得ることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】薬物安全送達デバイスの1つの実施形態の図である。
【
図2】薬物安全送達デバイスの本体および回転カム組立体の1つの実施形態の図である。
【
図3】薬物安全送達デバイスの1つの実施形態の図である。
【
図5】薬物安全送達デバイスの第2の実施形態の図である。
【
図6】薬物安全送達デバイスの第2の実施形態の図である。
【
図7】薬物安全送達デバイスのYクリップの1つの実施形態の図である。
【
図8】薬物安全送達デバイスとともに使用するための始動防止デバイスの1つの実施形態の図である。
【
図9】薬物安全送達デバイスの第3の実施形態の図である。
【
図10】薬物安全送達デバイスの第3の実施形態の図である。
【
図11A】薬物安全送達デバイスとの使用に適したトリガハウジングの1つの実施形態の図であって、注射の前のトリガハウジングの詳細を示す図である。
【
図11B】薬物安全送達デバイスとの使用に適したトリガハウジングの1つの実施形態の図であって、注射中の受動的安全機構の始動時のトリガハウジングの詳細を示す図である。
【
図11C】薬物安全送達デバイスとの使用に適したトリガハウジングの1つの実施形態の図であって、注射後の針保護ロック位置にあるトリガハウジングの詳細を示す図である。
【
図12】2重板ばねロッククリップの1つの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書において、薬物安全送達デバイスに関する「近位の」、「近位に向けられた」という用語および関連語は、薬物安全送達デバイスがシリンジに取り付けられたときの針ハブに向かう方向またはシリンジに向かう方向を意味する。
【0040】
本明細書において、薬物安全送達デバイスに関する「遠位の」、「遠位に向けられた」という用語および関連語は、デバイスが注射を打つために使用されているときの針先端に向かう方向または患者の皮膚に向かう方向を意味する。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は以下の説明に記載されている構造またはプロセスステップの詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、かつ、様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0042】
一般に、針カニューレが注射のために使用された後でその遠位先端を受動的に遮蔽するための安全デバイスが提供される。安全デバイスは、針カニューレの遠位端部に位置決めされたロッキングクリップに針ハブを直接的にまたは間接的に接続する、圧潰可能なまたは可撓性の構造を含む。最初に、使用に先立ち、ロッキングクリップから針先端が露出される。圧潰可能なまたは可撓性の構造は、針ハブとロッキングクリップとの間で長手方向に配向され、かつ、カニューレを包囲するかまたはカニューレに隣接して延びる。安全デバイスの使用に先立ち、安全デバイスには張力の形でエネルギーが蓄積されており、このエネルギーは、安全デバイスが始動するのを防ぎ、かつ、針先端を使用のために露出された状態に維持する。針先端が患者の皮膚内に挿入されるときに、システム内の蓄積エネルギーが解放されて、安全デバイスが作動または始動される。しかし、いったん作動が起きると、安全デバイスは、針が皮膚内に残っている限り、針を遮蔽することはない。これは、使用者が所望の深さまで針を挿入し続けることを可能にする。皮膚からの針の取出しが行われるのに応じてのみ、作動された安全デバイスが、針の先端を覆うようにロッキングクリップを自動的に前進させ、それにより注射が完了するやいなや自動的かつ受動的に針刺し事故を防ぐ。いくつかの実施形態では、安全デバイスは、注射に先立って受動的安全機構を始動させることなくシリンジの充填を可能にする追加の構成要素を含む。
【0043】
これらの特徴は、安全デバイスのいくつかの実施形態によって実現され得る。使用済みの針の自動的かつ即時の遮蔽の利点に加えて、これらのいくつかの実施形態は、受動的安全機構を始動させるために注射中に患者の皮膚に対して必要とされる力が少なくなるという利点を提供する。様々な態様および実施形態はまた、より短い行程距離にわたって注射中に作動する、針を遮蔽するための受動的な機構を提供する。
【0044】
回転力トリガ
図1に全体が示されている1つの実施形態は、本明細書では「回転力トリガ」と呼ばれる。回転力トリガ薬物送達安全デバイス10は、シリンジへの薬物送達安全デバイス10の取付けのための針ハブ12を備え、針ハブ12は、付属的な針カニューレ14を有する。針ハブ12に係合する本体16が、回転カム18を封入する。回転カム18は、本体16の側壁20にあるスロットを通じて本体16に係合する。
図2により詳細に示されるように、スロットは、3つのセグメント、すなわち、近位の傾斜リードランプ22と、回転カムを据えつけるための傾斜リードランプの遠位端部に位置するレッジ24と、レッジより遠位の軸方向スロット部分26とを備える。
【0045】
図3に示されるように、針カニューレ14は、針カニューレ14が可撓性ハウジングによって実質的に覆われるがカニューレの遠位先端32は露出されるように、回転カム18を針カニューレ14の遠位端部の近くにあるロッククリップ30に接続する可撓性ハウジング28によって包囲される。受動的遮蔽システムは、回転カム18をロッククリップ30に接続する第1のばね34と、回転カム18から針ハブ12に向かって近位に延在する本体16内の第2のばね36とを備えるトリガ機構を含む。第1のばね34は、ロッククリップ30を遠位に付勢し、第2のばね36は、回転カム18を遠位に付勢する。ロッククリップ30は、可撓性ハウジング28に取り付けられるキャップ38内に収容され得る。
【0046】
本体16内の互いに向かい合う2つのスロットと係合するように構成された回転カム18の実施形態が、
図4により詳細に示されている。タブ40が、本体16内のスロットに係合するように構成される。羽根42が、本体16の内部壁上のねじ山またはチャネルと係合して一方向のみへの滑らかな回転を促進するために、回転カム18の周辺上に存在し得る。羽根42は、撓んでいない状態から始まり、回転カム18が回転するにつれて、羽根42はハウジング16の内側表面上のリブを乗り越えることができる。リブおよび羽根42のヘッドは、歯止めが作り出されるように、付勢されたランプを有する。これは、タブ40が遠位移動中に本体16のレッジ24と再係合するのを防ぐ。タブ40は、傾斜リードランプ22との線接触領域を実現させるために円筒状であってもよく、または、それらは、接触領域を増大させて拘束および運動への抵抗を減少させるために、調和する螺旋を有してもよい。
【0047】
薬物送達安全デバイスとの使用に適した始動防止構成要素も、
図1に示されている。始動防止構成要素は、中空でありかつ本体16に係合するために薬物安全送達デバイス10上に嵌合するように構成された、取外し可能な始動防止スリーブ44である。始動防止構成スリーブ44の内部表面46は、スリーブ44が所定の位置にあるときに軸方向スロット部分26に係合して回転カム18の回転を防ぐように構成されたリブ48を含む。取外し可能なフィルキャップ50が、始動防止スリーブ44の遠位開口部を覆って、シリンジが充填されるべきときまで針カニューレ14へのアクセスを防ぎ、シリンジが充填されるべきときには、それが取り外され、軸方向スロット部分26内に係合されたスリーブ44のリブ48が、充填中の回転カム18の回転を防ぐ。シリンジが充填されて注射が打たれるときには、取外し可能な始動防止スリーブ44は、薬物送達安全デバイス10から取り外される。この始動防止構成はまた、トリガ防止リブが輸送および保管(shelf storage)中の始動を防ぐので、使用時に超低力トリガ(very low force trigger)を可能にする。
【0048】
直線距離トリガ
図5および6に全体が示された1つの実施形態は、本明細書では「直線距離トリガ」と呼ばれる。この薬物送達安全デバイス60は、針ハブ12を針カニューレ14の遠位端部の近くにあるロッククリップ30に接続するばね62を備える。針ハブ12は、シリンジ94への薬物送達安全デバイス60の取付けを実現する。可撓性ハウジング28が、針カニューレ14が可撓性ハウジング28によって実質的に覆われるがカニューレ14の遠位先端32が露出されるように、針カニューレ14を包囲しかつYクリップ72をロッククリップ30に接続する。
【0049】
本体64が、針ハブ12に適切に係合する。本体64は、近位端部68および遠位端部70を含む内側空洞66、ならびに内側空洞66内に配置されたYクリップ72を有する。Yクリップ72の第1のアーム74および第2のアーム76が、内側空洞の遠位端部に位置する第1のポケット78および第2のポケット80とのそれぞれの係合により、また、第1のアームおよび第2のアームを「外に広がった」位置または「開いた」位置に付勢するばね62の力により、開いて保持される。Yクリップ72の第1のアーム74および第2のアーム76は、
図7により詳細に示されるように、傾斜した表面73を有する。ロッククリップ30は、可撓性ハウジング28に取り付けられるキャップ86内に収容される。
【0050】
スリーブ82を含むYクリップ72は、
図7により詳細に示されており、スリーブ82は、針ハブ12に適切に係合し、かつ、針カニューレ14が通過することができる開口84を含む。移動止め85は、Yクリップの遠位移動を制限するために本体64の内側上のリップと係合する突出部材である。
【0051】
図8は、薬物送達安全デバイス60とともに使用するための始動防止構成要素を示す。取外し可能な始動防止キャップ86が、本体64の外側上に嵌合するように構成された外壁88を備える。始動防止キャップ86は、始動防止キャップ86が所定の位置にあるときにYクリップ72の第1のアーム74と第2のアーム76との間に位置する内部壁90をさらに備える。したがって、内部壁90は、第1のポケット78および第2のポケット80からの第1のアーム74および第2のアーム76の解放を防ぐ。取外し可能なフィルキャップ92が、シリンジ94が充填されるべきときまで針カニューレ14へのアクセスを防ぐために薬物送達安全デバイス60の遠位端部を覆い、シリンジ94が充填されるべきときには、それが取り外されて、Yクリップ72が、充填中の第1のアーム74および第2のアーム76の移動を防ぐ。シリンジ94が充填されて注射が打たれるときには、始動防止キャップ86は、薬物送達安全デバイス60から取り外される。
【0052】
前端部トリガ
図9に全体が示された1つの実施形態は、「前端部トリガ」と呼ばれる。この薬物送達安全デバイス100は、シリンジ94への取付けのための針カニューレ14を含む針ハブ12と、針カニューレ14に軸方向に隣接してトリガハウジング104を針ハブ12に接続する少なくとも2つの可撓性アーム102とを備える。
図10および
図11に示されるように、トリガハウジング104は、その遠位壁108内に開口106を含み、それを通してカニューレ14の遠位先端32が露出される。トリガハウジング104内部のトリガ機構は、トリガハウジング104を可撓性アーム102に接続するばね110(
図11に示される)で構成される。トリガ機構はまた、可撓性アーム102に取外し可能に係合する第1のばね板114と、トリガハウジング104に係合してロッククリップ112をトリガハウジング104内に保持する第2のばね板116とを有する、
図12に詳細に示された2重板ばねロッククリップ112を含む。第2のばね板116は、遠位針先端カバー118を含み、これは、始動に先立って(
図11A)針先端カバー118をトリガハウジング104の開口106およびロッククリップ112の開口120とずらして保持するために、針カニューレと接触している。
【0053】
端キャップ122が、2つの可撓性アームの遠位端部を接続する。トリガハウジング104は、端キャップ122上に嵌合する。
図11A~Cに示されるように、ばね110は、端キャップ122との係合を介してロッククリップ112を可撓性アーム102に間接的に接続する。端キャップは、トリガハウジング104の開口106およびロッククリップ112の開口120に位置合わせされた開口124を含む。
【0054】
図9はまた、薬物送達安全デバイス100とともに使用するための始動防止構成要素を示す。取外し可能な始動防止スリーブ126は、中空であり、かつ、針ハブ12に係合するために薬物安全送達デバイス100上に嵌合するように構成される。始動防止スリーブ126は、ロッククリップ112の第1のばね板114を押し下げるように構成されたリブを含む。取外し可能な始動防止スリーブ126は、所定の位置にあるときにトリガハウジング104の運動を抑制する。取外し可能なフィルキャップ128が、シリンジが充填されるべきときまで針カニューレ14へのアクセスを防ぐために始動防止スリーブ126の遠位開口部を覆い、シリンジが充填されるべきときには、それが取り外されて、始動防止スリーブ126のリブが、可撓性アーム102からの第1のばね板114の係脱を防ぐ。シリンジ94が充填されて注射が打たれるときには、取外し可能なスリーブ126は、薬物送達安全デバイス100から取り外される。
【0055】
本明細書を通して「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「様々な実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された具体的な特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所での「1つまたは複数の実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「様々な実施形態において」、「1つの実施形態において」、または「一実施形態において」などの用語の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態に言及するものではない。さらに、具体的な特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わせられ得る。
【0056】
本明細書において、本開示は、具体的な実施形態を参照して説明を提供したが、それらの実施形態は、本開示の原理および応用の例示になるものに過ぎないことが、理解されるべきである。その精神および範囲から逸脱することなく様々な修正および変更が本開示になされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は添付の特許請求の範囲に記載の範囲に含まれる修正および変更ならびにそれらの均等物を含むことが、意図されている。