(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】スリムなポップアウトカメラ、およびかかるカメラ用のレンズ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/04 20210101AFI20241021BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241021BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20241021BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241021BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241021BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241021BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20241021BHJP
【FI】
G03B17/04
G02B7/02 Z
G02B13/00
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/57
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2023110822
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2022125030の分割
【原出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-07-05
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515347201
【氏名又は名称】コアフォトニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シャブタイ,ガル
(72)【発明者】
【氏名】イェディッド,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ,エプライム
(72)【発明者】
【氏名】コーマン,タル
(72)【発明者】
【氏名】ラドニック,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,コビ
(72)【発明者】
【氏名】コワル,イフタ
(72)【発明者】
【氏名】ドロアー,ミチャ
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー,マイケル
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-522039(JP,A)
【文献】特開2022-163134(JP,A)
【文献】特開2007-212961(JP,A)
【文献】特開2019-028249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0253647(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052350(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108432215(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02 - 17/04
G02B 7/02 - 7/16
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G03B 30/00
H04N 23/50 - 23/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラであって、
物体側にあるL
1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L
1~L
Nを含むレンズアセンブリを備える光学素子モジュールと、
センサ対角線S
Dを有するイメージセンサと、
前記レンズアセンブリを動作ポップアウト状態および収縮状態へと作動させるように構成されたポップアウト機構と、
を備えるカメラであって、
前記レンズアセンブリ
は、後方焦点距離BF
Lを有し、
前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、
前記ポップアウト機構は、cTTL/EFL≦0.75となるようにBFLを制御するよう構成されて
おり、
前記動作ポップアウト状態において、前記BFLは、複数のレンズ素子間の任意のエアギャップよりも大きく、前記レンズアセンブリは、7mm~18mmの範囲内にある有効焦点距離EFLを有する、カメラ。
【請求項2】
N≧4は、N=4、5、6、または7を含む、請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
cTTL/EFL≦0.7である、請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
cTTL/EFL≦0.65である、請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
cTTL/EFL≦0.6である、請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
TTLは、6mm~18mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項7】
TTLは、5.9mm~13.5mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項8】
cTTLは、7mm~12mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項9】
cTTLは、5mm~11mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項10】
cTTLは、5mm~12mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項11】
前記EFLは、7mm~20mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項12】
前記EFLは、7mm~15.2mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項13】
前記S
Dは、5mmよりも大きい、請求項1に記載のカメラ。
【請求項14】
前記S
Dは、7mmよりも大きい、請求項1に記載のカメラ。
【請求項15】
前記S
Dは、8mmよりも大きい、請求項1に記載のカメラ。
【請求項16】
前記S
Dは、3.5mm~9mmの範囲内にある、請求項1に記載のカメラ。
【請求項17】
前記レンズアセンブリは、2.8以下のfナンバーf/♯を有する、請求項1に記載のカメラ。
【請求項18】
前記レンズアセンブリは、2.5未満のfナンバーf/♯を有する、請求項1に記載のカメラ。
【請求項19】
前記レンズアセンブリは、2.1未満のfナンバーf/♯を有する、請求項1に記載のカメラ。
【請求項20】
前記ポップアウト機構は、前記カメラを前記動作ポップアウト状態および前記収縮状態へと至らせるように前記イメージセンサに対して移動する単一の可動部品を含む、請求項1に記載のカメラ。
【請求項21】
前記ポップアウト機構は、前記光学素子モジュールと係合可能な窓フレームを含み、
前記窓フレームは、前記動作ポップアウト状態において前記光学素子モジュールに接触せず、
前記窓フレームは、前記光学素子モジュールを押して前記カメラを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である、請求項1に記載のカメラ。
【請求項22】
BFL/TTL>0.25である、請求項21に記載のカメラ。
【請求項23】
BFL/TTL>0.3である、請求項21に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月24日に出願された米国仮特許出願第62/904,913号、2020年5月18日に出願された米国仮特許出願第63/026,317号、および2020年6月11日に出願された米国仮特許出願第63/037,836号に関連し、かつ、それらからの優先権を主張するものであり、そのすべては参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概してデジタルカメラに関し、より詳細には、ポップアウト機構およびレンズを有するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0003】
コンパクトなマルチアパーチャデジタルカメラ(「マルチレンズカメラ」または「マルチカメラ」とも呼ばれる)、特にデュアルアパーチャデジタルカメラ(または「デュアルカメラ」)およびトリプルアパーチャデジタルカメラ(または「トリプルカメラ」)が知られている。小型化技術により、タブレットおよび携帯電話(以下、後者については総称して「スマートフォン」と呼ぶ)等のコンパクトなポータブル電子デバイス内に、かかるカメラを組み込むことが可能になっており、それらはズーム等の高度な撮像能力を提供する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、共同所有のPCT特許出願第PCT/IB2063/060356を参照)。典型的には、超広角(ultra-wide-angle)(または「ウルトラワイド(Ultra-Wide)」または「UW」)カメラ、広角(wide-angle)(または「ワイド(Wide)」)カメラ、および望遠(telephoto)(または「テレ(Tele)」)カメラを含む典型的なトリプルカメラシステム。
【0004】
デュアルアパーチャズームカメラの課題は、カメラの高さおよびイメージセンサのサイズ(「センサ対角線(Sensor Diagonal)」またはS
D)に関する。テレカメラおよびワイドカメラの高さ(および全トラック長(総トラック長:total track length)または「TTL」)には、大きな差がある。
図1Aは、TTL、有効焦点距離(effective focal length)(EFL)、後方焦点距離(back focal length)(BFL)等の種々の実体の定義を、概略的に示している。TTLは、第1のレンズ素子の物体側表面とカメラのイメージセンサ平面との間の最大距離として定義される。BFLは、最後のレンズ素子の像側表面とカメライメージセンサ平面との間の最小距離として定義される。以下において、「W」および「T」の下付き文字はそれぞれ、ワイドカメラおよびテレカメラを指す。EFLは、当技術分野において周知の意味を有する。ほとんどの小型レンズでは、
図1Aのように、TTLはEFLよりも大きい。
【0005】
図1Bは、視野(field of view)(FOV)、EFLおよびセンサ幅Sのイメージセンサとともにレンズを有する、典型的なカメラシステムを示す。(通常は長方形である)イメージセンサの幅/高さ比が一定の場合、センサ対角線はセンサの幅および高さに比例する。次のように、水平方向のFOVは、EFLおよびセンサ幅に関係している:
【数1】
これは、より大きなイメージセンサ幅(すなわち、より大きなセンサ対角線)を有し、かつFOVは同じであるようなカメラを実現するためには、より大きなEFLが必要である、ということを示している。
【0006】
モバイルデバイスでは、典型的なワイドカメラは、22mm~28mmの範囲内の35mm換算焦点距離(35mm equivalent focal length)(「35eqFL」)を有する。モバイルカメラ内に埋め込まれたイメージセンサはフルフレームセンサ(full frame sensor)よりも小さく、センササイズおよびFOVに応じて、ワイドカメラにおける実際の焦点距離(actual focal length)は3.2mm~7mmの範囲となる。かかるカメラ用に設計されたほとんどのレンズでは、TTL/EFL比は1.0よりも大きく、通常は1.0~1.3である。これらのレンズのもう1つの特徴は、それらのTTL対センサ対角線比TTL/SDが通常は0.6~0.7の範囲内にある、ということである。より大きなセンサをワイドカメラ内に埋め込むことが望ましい。しかし、同じFOVを維持するためにはより大きなEFLが必要となり、結果として、TTLがより大きいものとなるが、これは望ましいことではない。
【0007】
多くのモバイルデバイスには現在、テレカメラおよびワイドカメラの両方が含まれている。テレカメラは、光学ズーム、およびデジタルBokeh(digital Bokeh)等の他の計算写真機能を可能にする。ワイドカメラの特性と許容可能なモジュールの高さに応じて、モバイルデバイステレカメラの35eqFLは45mm~100mmの範囲になる。テレカメラ用に設計されたレンズのTTLは、かかるレンズのEFLよりも小さく、通常は0.7<TTL/EFL<1.0を満たす。典型的なテレEFL値は、垂直テレカメラ(vertical Tele camera)では6mm~10mmの範囲に(35mm換算変換を適用しない場合)、屈曲式テレカメラ(folded Tele camera)では10mm~30mmの範囲にある。より大きなEFLは、光学ズームの効果を高めるためには望ましいが、しかし、それは望ましくないより大きなTTLをもたらす。
【0008】
得られる像の質(画質)を改善するための継続的な試みにおいて、より大きなイメージセンサをワイドカメラおよびテレカメラへと組み込む必要がある。センサをより大きくすることで、微光における性能(low-light performance)の改善およびピクセル数の増加が可能となり、それゆえ空間分解能の改善もまた可能となる。ノイズ特性、ダイナミックレンジおよび色忠実度等の、その他の画質特性もまた、センササイズが増加するにつれて改善され得る。
【0009】
ワイドカメラのセンサが大きくなるにつれて、(同じ35mm換算焦点距離に対して)必要とされるEFLがより大きくなり、レンズのTTLが増大し、そしてカメラモジュールの高さがより大きくなる。結果として、許容されるモバイルデバイスの厚み、またはその他の産業上の設計制約を考慮した場合、許容されるセンササイズに制限が生じる。ほとんどのモバイルデバイスのワイドカメラでは、センサピクセルアレイサイズの全対角線は約4.5mm(通常は1/4”センサ(1/4" sensor)と呼ばれる)~16mm(通常は1”センサ(1" sensor)と呼ばれる)の範囲にある。
【0010】
大きなセンサ対角線(光学ズーム)用の大きなEFLをサポートする一方で、スリムな設計のための小さなTTLを依然として有するような、ワイドおよび/またはテレレンズの設計(デザイン)があれば有益であろう。後者は、例えば共同所有の米国仮特許出願第62/904,913号に提示されている。
【発明の概要】
【0011】
さまざまな実施例において、複数のデジタルカメラであって、物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを含むレンズアセンブリを備える光学素子モジュールと;5mm~20mmのセンサ対角線SDを有するイメージセンサと;複数のレンズ素子間またはレンズ素子と前記イメージセンサとの間の少なくとも1つのエアギャップを制御して、前記カメラを動作ポップアウト状態および収縮状態(collapsed state)へと至らせるように構成されたポップアウト機構と、を備える複数のデジタルカメラであって、前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、cTTL/SD<0.6である、複数のデジタルカメラが提供されている。
【0012】
簡単のために、以下の説明では、「レンズアセンブリ」の代わりに「レンズ」が使用されてもよい。
【0013】
以下では簡単のために、初めに「ポップアウト」部品として定義された場合、その部品は本明細書全体を通じてそのようなものである、という理解とともに、種々の部品の前に「ポップアウト」という用語を使用することが省略され得る。
【0014】
上記または下記のカメラの種々の例では、前記窓ポップアップ機構は、前記光学素子モジュールと係合可能な窓フレームを含み、前記窓フレームは、前記ポップアウト状態において前記光学素子モジュールに接触せず、かつ、前記窓フレームは、前記光学素子モジュールを押して前記カメラを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である。前記窓フレームは、前記レンズと直接の接触状態にはない窓を含む。
【0015】
いくつかの実施例では、最大のエアギャップdはLN-1とLNとの間にある。
【0016】
いくつかの実施例において、最大のエアギャップdはLN-2とLN-1との間、またはLN-1とLNとの間にあり、前記レンズアセンブリは、40mm~150mmの35mm換算焦点距離35eqFLを有する。かかる実施例では、dはTTL/5よりも大きなものであり得る。
【0017】
いくつかの実施例では、cTTL/SD<0.55である。
【0018】
いくつかの実施例では、SDは、10mm~15mmの範囲内にある。
【0019】
いくつかの実施例では、上記または下記のようなカメラは、0.9×TTL~1.1×TTLの範囲内にある第2の全トラック長TTL2を有する第2のカメラと一緒に、マルチカメラ内に含まれている。
【0020】
いくつかの実施例では、前記レンズアセンブリは、24mmよりも大きい35mm換算焦点距離35eqFLを有する。
【0021】
いくつかの実施例では、前記レンズアセンブリは有効焦点距離EFLを有し、比TTL/EFLは1.4より小さく、かつ1.0より大きい。
【0022】
さまざまな実施例において、複数のデジタルカメラであって、物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを含むレンズアセンブリを備える光学素子モジュールと;前記レンズアセンブリを動作ポップアウト状態および収縮状態へと作動させるように構成されたポップアウト機構と;センサ対角線SDを有するイメージセンサと、を備える複数のデジタルカメラであって、前記レンズアセンブリは、複数のレンズ素子間の任意のエアギャップよりも大きい後方焦点距離BFLと、7mm~18mmの範囲内にある有効焦点距離EFLと、を有し、前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、前記ポップアウト機構は、cTTL/EFL<0.55となるようにBFLを制御するよう構成されている、複数のデジタルカメラが提供されている。
【0023】
いくつかの実施例では、ポップアウト機構は、ピン‐溝アセンブリに基づく窓ポップアウト機構を含み、複数の前記ピンのうちの1つ以上は、複数の垂直方向向き溝内においてスライドし、1つ以上のピンは、前記垂直方向に対して20°~80°、30°~70°または40°~60°の角度を有する複数の斜め向き溝内においてスライドする。
【0024】
いくつかの実施例では、ポップアウト機構は、複数のスプリングと、案内および位置決め機構と、を備えるバレルポップアウト機構であって、前記動作ポップアウト状態における複数のレンズ素子間の十分なz‐ディセンタ精度およびxy‐ディセンタ精度を可能にし、かつ、動作状態と収縮状態との間の切替えにおける繰り返し精度(repeatability)を可能にしている前記バレルポップアウト機構を含み、前記十分なディセンタ精度は0.1mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度は0.05mmディセンタよりも小さい。他の実施例では、前記十分なディセンタ精度は0.8mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度は0.04mmディセンタよりも小さい。さらに他の実施例では、前記十分なディセンタ精度は0.6mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度は0.03mmディセンタよりも小さい。前記案内および位置決め機構は、ピンおよび溝アセンブリ、ストッパ、または運動学的結合機構(kinematic coupling mechanism)に基づいてもよい。いくつかの実施例では、案内機構はピン‐溝アセンブリに基づいており、かつ位置決め機構は磁力に基づいていてもよい。
【0025】
いくつかの実施例では、SDは、4.5mm~10mmの範囲内にあり、前記レンズアセンブリは、45mmより大きく180mmより小さい35eqFLを有する。
【0026】
いくつかの実施例では、SDは、10mm~20mmの範囲内にあり、前記レンズアセンブリは、40mmより大きく180mmより小さい35eqFLを有する。
【0027】
いくつかの実施例では、比TTL/EFLは1.0より小さく、0.7より大きい。
【0028】
いくつかの実施例では、BFLはTTL/3より大きく、TTL/1.5より小さい。
【0029】
上記または下記のようなカメラのいくつかの実施例では、前記レンズは最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティは、4mm、2mm、または1mmよりも小さい。
【0030】
さまざまな実施例において、複数のマルチカメラであって、第1の視野FOV1、および物体側にあるL1から開始してN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを有する第1のレンズアセンブリと、センサ対角線SD1を有する第1のイメージセンサと、2つの連続するレンズ素子間の最大のエアギャップdを制御して、第1のカメラを動作ポップアウト状態および収縮状態へと至らせるポップアウト機構と、を含む前記第1のカメラと、;FOV1より小さい第2の視野FOV2を有する第2のレンズアセンブリであって、物体側にあるL1から始まるM個(ただし、M≧4)のレンズ素子L1~LMを備える第2のレンズアセンブリと、第2のカメラを動作状態および収縮状態へと作動させるよう構成されたポップアウト機構と、を含みかつ7mm~18mmの第2のカメラ有効焦点距離EFL2を有する前記第2のカメラと、を備える複数のマルチカメラであって、前記第1のレンズアセンブリは、第1の35mm換算焦点距離35eqFL1、前記動作状態における全トラック長TTL1および前記収縮状態における収縮全トラック長cTTL1を有し、SD1は7mm~20mmの範囲内にあり、cTTL1/SD1<0.6であり、前記第2のレンズアセンブリは、第2の35mm換算焦点距離35eqFL2、前記動作状態における全トラック長TTL2および前記収縮状態における収縮全トラック長cTTL2を有し、cTTL/EFL<0.55である、複数のマルチカメラが提供されている。
【0031】
いくつかの例では、cTTL1=cTTL2±10%である。
【0032】
いくつかの例では、35eqFL2≧1.5×35eqFL1である。
【0033】
いくつかの例では、35eqFL1は24mmより大きい。
【0034】
いくつかの例では、35eqFL2は45mmより大きい。
【0035】
さまざまな実施例において、複数のマルチカメラであって、物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを備えるワイドレンズアセンブリを担持するレンズバレルと、ワイドセンサ対角線SDWを有するイメージセンサと、レンズ素子LNとLN-1との間のエアギャップdN-1を制御して、ワイドカメラを動作状態および収縮状態へと至らせる第1のポップアウト機構と、を備えるワイドカメラと;物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを備えるテレレンズアセンブリを担持するレンズバレルと、センサ対角線SDTを有するテレイメージセンサと、レンズ素子LNと前記テレイメージセンサとの間のエアギャップを制御して、テレカメラを動作状態および収縮状態へと至らせる第2のポップアウト機構と、を備えるテレカメラと、を備える複数のマルチカメラであって、前記ワイドレンズアセンブリは、視野FOVW、前記動作状態における全トラック長TTLWおよび前記収縮状態における収縮全トラック長cTTLWを有し、SDWが10mm~16mmの範囲内にある場合、cTTLW/SDW<0.6であり、前記テレレンズアセンブリは、FOVWよりも小さい視野FOVT、前記動作状態におけるTTLTおよび前記収縮状態におけるcTTLTを有し、cTTLW=cTTLT±10%であり、SDTが4.5mm~10mmの範囲内にある場合、cTTLT<EFLT<0.55である、複数のマルチカメラが提供されている。
【0036】
いくつかの実施例において、前記マルチカメラは、デバイス外面を有するデバイス内に埋め込まれており、動作状態にあっては、前記マルチカメラは前記デバイス外面を越えて2mm~7mmだけ延在し、非動作状態にあっては、前記マルチカメラは、前記デバイス外面を越えて2mm未満だけ延在している。
【0037】
いくつかの実施例では、7mm<TTLW<13mmであり、1.0<TTLW/EFLW<1.3であり、かつdN-1はTTL/4より大きい。
【0038】
いくつかの実施例において、カメラであって、物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを備えるレンズアセンブリと;7mm~20mmの範囲内にあるセンサ対角線SDを有する湾曲したイメージセンサと;LNと前記イメージセンサとの間のエアギャップdを制御して、前記カメラを動作ポップアウト状態および収縮状態へと至らせるポップアウト機構と、を備えるカメラであって、前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、cTTL/SD<0.6であり、前記レンズアセンブリは、18mmより小さい35mm換算焦点距離35eqFLを有する、カメラが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本明細書に開示される実施形態の非限定的な例は、この段落の後に示される、本明細書に添付の図面を参照しながら、以下に説明される。2つ以上の図に見られる同一の構造、要素、または部材は、それらが見られるすべての図において、概して同一の番号が付される。同一の要素が示されているが、1つの図のみに番号が付されている場合、それが見られるすべての図においてそれが同じ番号を有するものとされる。図面および説明は、本明細書に開示された実施形態を明らかにし、明確にするよう意図されており、決して限定するものとみなされるべきではない。
【
図1A】TTLおよびEFL等の種々の実体の定義を概略的に示す。
【
図1B】薄いレンズの近似またはその等価物に対する、FOV、EFL、およびSの定義を示す。
【
図2A】「ホスト」デバイスに組み込まれた、ポップアウト状態における本明細書に開示されたポップアウトカメラの実施例を、断面図において示す。
【
図2B】
図2Aのカメラのポップアウトフレームの断面図を示す。
【
図2D】収縮状態における
図2Bに示されたフレームの断面図を示す。
【
図3A】ポップアウト状態における
図2Aのカメラの斜視図を示す。
【
図4A】
図2Aのカメラにおけるレンズモジュールを断面図において示す。
【
図4C】本明細書で開示されるポップアウトカメラ内において使用され得る光学レンズ系の一例を示す。
【
図5A】収縮状態における
図2Aのカメラ内におけるレンズモジュールを、断面図において示す。
【
図6A】ポップアウト状態におけるレンズモジュールの別の実施例を断面図において示す。
【
図6B】収縮状態における
図6Aのポップアウトレンズモジュールを断面図において示す。
【
図6C】本明細書において開示されるポップアウトカメラ内において使用され得る光学レンズ系の別の実施例を示す。
【
図6D】光学素子モジュール600または600’において使用され得る、さらに別のレンズ系660の実施例を示す。
【
図9A】ポップアウト状態におけるポップアウト機構のアクチュエータの斜視図を示す。
【
図9B】収縮状態における
図9Aのアクチュエータの斜視図を示す。
【
図10】本明細書において開示されるポップアウトカメラ内において使用され得る光学レンズ系のさらに別の実施例を示す。
【
図11A】通常の屈曲式テレカメラと、直立ポップアウトワイドカメラとを含むデュアルカメラを有するスマートフォンの実施例を示す。
【
図11B】ポップアウト状態におけるワイドポップアウトカメラを有する
図11Aのカメラの詳細を示す。
【
図11C】収縮状態におけるワイドポップアウトカメラを有する
図11Aのスマートフォンを示す。
【
図11D】
図11Aのカメラの詳細を示しており、ワイドポップアウトカメラは収縮状態にある。
【
図12A】直立テレカメラと直立ワイドカメラとを備えるデュアルカメラを有するスマートフォンの別の実施例を示しており、両方のカメラがポップアウト状態にある。
【
図12B】ポップアウト状態における
図12A内のスマートフォンのカメラの詳細を示す図である。
【
図13】本明細書に開示されるポップアウトカメラ内に含まれ得る光学レンズ系のさらに別の実施例を示す。
【
図14A】ホストデバイス内に組み込まれ、かつポップアウト状態にある本明細書に開示のポップアウトカメラの、別の実施例を断面図において示す。
【
図16A】ポップアウト状態におけるポップアウト光学素子モジュールの別の例の断面図を示す。
【
図17A】ポップアウト状態における
図16Aのポップアウト光学素子モジュールを斜視図において示す。
【
図17B】収縮状態における
図16Aのポップアウト光学素子モジュールを斜視図において示す。
【
図18A】ポップアウト状態における
図16Aの光学素子モジュールにおける光学素子フレームの斜視図を示す。
【
図19A】ポップアウト状態における光学素子モジュールのさらに別の例の斜視図を示す。
【
図19C】ポップアウト状態における
図19Aの光学素子モジュールを断面図において示す。
【
図19E】
図19Aの光学素子モジュールのトップカバーおよび磁石を、斜視図において示す。
【
図19F】
図19Eの光学素子モジュールのトップカバーおよび磁石を、上面図において示す。
【
図20A】窓位置測定機構の磁石部分を側面図において示す。
【
図20C】収縮状態における
図20Aの窓位置測定機構の3つの磁石、およびホールセンサの側面図を示す。
【
図20D】ポップアウト状態における
図20Aの窓位置測定機構の3つの磁石、およびホールセンサの側面図を示す。
【
図20F】当該位置測定機構内に含まれ得る磁石構成の一例を示す。
【
図20G】位置測定機構内に含まれ得る別の磁石構成の別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図2Aは、「ホスト」デバイス250(例えば、スマートフォン、タブレット等)に組み込まれた、本明細書に開示されたポップアウトカメラの200と付番された実施例を、(
図3Aにおいて2A‐2Aと記された断面による)断面図によって示す。
図2Aでは、カメラ200は動作状態または「ポップアウト」状態において示されている(したがって、「ポップアウト状態におけるカメラ」と称される)。カメラ200はまた、
図2Cに示される収縮(「c」または「非動作」)状態を有する。この状態では、カメラはポップアウト状態におけるカメラとして動作しない。
図3Aは、ポップアウト状態におけるカメラ200を示し、
図3Bは、収縮状態におけるカメラ200を示すが、両者とも斜視図である。
【0041】
カメラ200は、総ポップアウト機構210およびポップアウト光学素子モジュール240を備える。光学素子モジュール240は、ポップアウトレンズアセンブリ206を有するポップアウトレンズバレル204を担持するレンズバレルホルダ202を備え、いくつかのケース(「実施例」)においては、さらにイメージセンサ208をも備える。いくつかの実施例では、イメージセンサは、光学素子モジュールとは別個であってもよい。レンズバレル204と窓216とは、例えば0.15~3mmのエアギャップ222によって隔てられている。エアギャップ222は、当技術分野において知られているように、レンズを移動させることによる光学的手振れ補正(optical image stabilization:OIS)およびオートフォーカス(auto-focus:AF)の実行のために、レンズバレルを0.1~3mmだけ移動させることを可能にする。光学素子モジュール240は、カバー232によって覆われている。いくつかの実施例では、ポップアウトレンズバレル(例えば、レンズバレル602)は、2つ以上の部分、例えば固定レンズバレル部および収縮可能バレル部へと分割されてもよい。
【0042】
総ポップアウト機構210は、(光学素子モジュールの外部にある)「窓」ポップアウト機構と、光学素子モジュールの外部にあるいくつかの部材と光学素子モジュールの内部にあるいくつかの部材とを有する「バレル」ポップアウト機構と、を備える。窓ポップアウト機構は、窓を昇降(上下)させる。バレルポップアウト機構は、ポップアウトレンズバレル状態および収縮レンズバレル状態を可能にする。
【0043】
窓ポップアウト機構は、例えば
図9A~
図9B、
図14B、
図14D、
図15A~
図15B、
図20A~
図20Fにおいて詳細に示される部材を含む。具体的には、窓ポップアウト機構は、212または212’のようなアクチュエータと、カメラの開口(アパーチャ)218を覆う窓216を担持する窓フレーム214を含むポップアウトフレーム220(例えば
図2B参照)と、外部モジュールシール224とを備える。外部モジュールシール224は、粒子および流体がカメラおよびホストデバイス250に入るのを防止する。いくつかの実施形態において(例えば、
図14A~
図14Dを参照して説明したフレーム220’において)、ポップアウトフレームは、例えばカムフォロア(例えば、
図14Aにおける1402)、サイドリミッタ(例えば、
図14Aにおける1406)および窓位置測定機構(例えば、
図14Bにおける1420)等の、追加の部材を含んでもよい。
【0044】
バレルポップアウト機構は、例えば
図4A、
図5A、
図6A~
図6B、
図14A、
図14C、
図16A、
図17A~
図17B、
図18A~
図18Fおよび
図19A~
図19Fに詳細に示される部材を含む。具体的には、バレルポップアウト機構は、1つ以上のスプリング230、ポップアウトレンズアセンブリ206を有するポップアウトレンズバレル204、1つ以上のスプリング230ならびに案内および位置決め機構を含んでもよい(例えば、
図19A~
図19Bおよび以下の説明を参照されたい)。1つ以上のスプリングは、光学素子モジュール240をフレーム220に向かって押す、つまり、フレーム220が収縮状態からポップアウト状態へと切り替わるために上方に移動するとき、光学素子モジュール内のさらなる作動機構は必要とされない。
【0045】
案内および位置決め機構は、レンズ群および光学部品を一定の距離および向きに位置決めする。一例では、案内および位置決め機構は、ピン242および溝244(
図2C、
図4Aおよび
図5A参照)を備える。いくつかの実施例では、案内および位置決め機構はストッパ618(
図6A~
図6B参照)、運動学的結合機構(
図18A~
図18D参照)、または磁石‐ヨークアセンブリ(
図19A~
図19F参照)を含んでもよい。いくつかの例では、案内および位置決め機構は、カメラ200等のカメラの光学素子モジュールと他の部品との間の相互作用によって作用する(例えば、
図6A~
図6Bおよび
図19A~
図19F参照)。ピン242および溝244は、ピン‐溝アセンブリの第1の実施例を提供している。溝244は、v字形溝または他の溝を備えてもよく、溝244は、例えば30°~150°の角度の脚部(legs)を有する。他のピン‐溝アセンブリについては、以下に説明する。いくつかの例では、案内および位置決め機構は、その全体が光学素子モジュールに含まれている(例えば、
図4Aおよび
図5Aおよび
図18A~
図18Dを参照)。
【0046】
ピン242および溝244を有するピン‐溝アセンブリは、図示の座標系のX‐Z平面およびY平面における、機械的安定性および繰り返し精度を提供する。ストッパ618は、Y平面における機械的安定性および繰り返し精度を提供する。いくつかの実施例では、例えばピン1206(
図12Bおよび
図12D参照)のような他のピンが、X‐Z平面における機械的安定性および繰り返し精度を提供するために使用されてもよい。
【0047】
レンズ、イメージセンサ、および(任意選択で)光学窓または「フィルタ」(例えば、IRフィルタ)234は、ポップアウト光学レンズ系260を形成する(例えば、
図4C参照)。イメージセンサは、3.5~30mmの範囲のセンサ対角線S
Dを有し得る。5mm~25mmのEFLを有するレンズの場合、これは通常、10~300mmの範囲の35eqFLを表す。センサ対角線S
Dは、S
D=√(W
2+H
2)を介してセンサ幅Wと高さHと関係している。他の実施例では、EFLは8mm~28mmであり得る。
【0048】
ポップアウト状態と収縮状態との間で切り替えるために、ポップアウト機構210は、フレーム220において、以下の移動(運動)を引き起こす(ここで、全ての移動は、ホストデバイスおよび図示の座標系に対して規定されている):カムフォロワの水平方向(すなわち、X‐Z平面内)の移動および窓フレームの垂直方向(すなわち、Y方向)の移動である。フレーム220内における移動は、光学素子モジュール240内の、(単一の群または「1G」レンズの場合には)レンズバレルの垂直方向(Y方向)の移動、または(2つの群または「2G」レンズの場合には)レンズバレルの収縮可能部の垂直方向(Y方向)の移動を引き起こす。イメージセンサとサイドリミッタは移動しない。重要なことだが、バレルポップアウト機構は、アクチュエータを含んでいない。
【0049】
図2Bに示すポップアウト状態では、カメラ200は、ホストデバイス250の外面228に対して際立った(significant)ポップアウトバンプ226を形成する。ここで、「際立った」とは、例えば1.5mm~8mmであり得る。ポップアウト状態において、カメラ200は、ホストデバイス250の高さを「ポップアウト状態における高さ」に増大させる。
【0050】
ポップアウトレンズは、例えば
図4C、
図10もしくは
図6Dに示すような、テレレンズであってもよく、または、
図6Cもしくは
図13に示すような、ワイドレンズであってもよい。レンズのタイプに応じて、ポップアウトカメラは、ポップアウトテレカメラとして、または、ポップアウトワイドカメラとして動作する。ポップアウトテレカメラは、20°~50°のFOV
Tを有し得る。ポップアウトワイドカメラは、50°~120°のFOV
Wを有し得る。レンズのTTLは、レンズにおける第1のレンズ素子の第1の表面からイメージセンサまで測定されるが、これは例えば6mm~18mmであり得る。
【0051】
図2Dは、収縮状態におけるフレーム220の断面図を示す。アクチュエータ212は、スプリングに逆らって仕事を行うことによって、カメラを収縮状態に至らせる。収縮状態では、スプリングは圧縮された状態にある(
図4Bも参照)。カメラ200を収縮状態に切り替えるために、アクチュエータ212は、窓フレーム214を移動させて、レンズバレル204に圧力を加える。これは、イメージセンサの方へのレンズバレル204の移動へと変換される。収縮状態では、TTLは収縮TTL(cTTL)であり、例えば5~12mmであり得る。cTTLは常に、像側のレンズ素子L
1の第1の表面(S2と記されている)と、S16と記されたイメージセンサの結像面との間で光軸に沿って測定される。cTTLとTTLとの間の差は、ポップアウト状態から変更されたBFLに由来する。カメラ200は、動作状態におけるBFLが大きいものとなるように設計される。この大きなBFLは、カメラを収縮状態に至らせるために収縮され得、その結果、スリムなカメラデザインが実現される。収縮状態では、カメラはデバイス外面228に対して、収縮バンプ(c‐バンプ)236を形成する。c‐バンプは、例えば0~3mmのサイズ(高さ)を有し得る。収縮状態において、ホストデバイス250の高さは、ポップアウト状態における高さよりもはるかに小さな「収縮状態における高さ」だが、しかしホストデバイスの高さよりもc‐バンプ236の分だけ依然として大きい。
【0052】
いくつかの実施例において、カメラ200は、X‐Z平面内における例えば±20μmのディセンタ(decenter:偏心)の精度公差およびY方向における例えば±10μmのディセンタの精度公差、ならびに、±0.5°のティルト(tilt )の精度公差をサポートするように、設計され得る。当該平面および当該方向は、図中に示されている座標系におけるもののようなものである。ディセンタの繰り返し精度公差は、X‐Z平面において例えば±10μm、Y方向において例えば±5μmであり得、ティルトの繰り返し精度公差は、±0.25°であり得る。他の実施例では、ディセンタの精度公差は、X‐Z平面において例えば±10μm、Y方向において例えば±5μmであり得、ティルトの精度公差は、例えば、±0.15°であり得る。また、ディセンタの繰り返し精度公差は、X‐Z平面において例えば±5μm、Y方向において例えば±2.5μmであり得、ティルトの繰り返し精度公差は、±0.08°であり得る。さらに別の例では、ディセンタの精度公差は、X‐Z平面において例えば±5μm、Y方向において例えば±2.5μmであり得、ティルトの精度公差は、例えば±0.1°であり得る。また、ディセンタの繰り返し精度公差は、X‐Z平面において例えば±1.5μm、Y方向において例えば±0.8μmであり、ティルトの繰り返し精度公差は、±0.05°であり得る。
【0053】
類似の精度公差および繰り返し精度公差は、光学素子フレーム1650(例えば、
図16A参照)および光学素子モジュール600”(例えば、
図19A参照)に対して当てはまる(適用される)。
【0054】
「精度公差(accuracy tolerance)」はここでは、光学素子間の距離および機械要素間の距離の最大変動幅(バリエーション)を指す。また、「繰り返し精度公差(repeatability tolerance)」はここでは、異なるポップアウトサイクルにおける、光学素子間の距離および機械要素間の距離の最大変動幅を指す、すなわち、1回または多くのポップアウト(または収縮)事象の後に、機械要素および光学素子が前にあった位置に戻る能力を指す。
【0055】
Y方向の公差は比較的重要ではない場合がある。Y方向の変動(バリエーション)(variations)は、オートフォーカスのための光学フィードバックおよびレンズの移動により、補正され得るからである。
【0056】
図4Aは、ポップアウト状態における光学素子モジュール240を、断面図において示す。
図4Bは、同じ状態における光学素子モジュール240を斜視図において示す。光学素子モジュールの全体を取り囲む最小円の直径は、光学素子モジュールの「最大直径」「d
module」を定義する。すなわち、「d
module」は(例えば、
図16Aのように)特に明記しない限り、光学素子モジュールの最大対角線を示す(例えば、
図7、
図17B、
図18A、
図18B、
図18E、および
図19A)。
【0057】
図4Cは、ポップアウト状態におけるカメラ200内で使用され得る、第1の例示的なレンズ系(レンズシステム)400の詳細を示す。レンズ系400は、物体側から像側に向かって順に、物体側表面S2および像側表面S3を有する第1のレンズ素子L1と、物体側表面S4およびS5と記された像側表面を有するを有する第2のレンズ素子L2と、物体側表面S6および像側表面S7を有する第3のレンズ素子L3と、S8と記された物体側表面およびS9と記された像側表面を有する第4のレンズ素子L4と、S10と記された物体側表面およびS11と記された像側表面を有する第5のレンズ素子L5と、S12と記された物体側表面およびS13と記された像側表面を有する第6のレンズ素子L6と、を含むレンズ420を備える。S1は、ストップ(stop)に記されている。レンズ系400はさらに、表面S13とイメージセンサ208との間に配置される光学窓234を備える。レンズおよびレンズ系の光軸に沿ったレンズ素子と他の素子との間の距離は、以下の表で与えられる。
【0058】
レンズ系400では、TTL=11.55mm、BFL=5.96mm、EFL=13mm、Fナンバー=2.20およびFOV=29.7°である。比TTL/EFL=0.89。レンズ420の光学的諸特性は、ポップアウト状態と収縮状態との間で切り替わるときに変化しない(すなわち、レンズ素子間のギャップは一定である)。
【0059】
収縮状態(
図5A参照)では、cTTLは5.64~8.09mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差は、ここでは収縮BFL、「c‐BFL」(
図5A参照)である変更されたBFLに由来する。c‐BFLは、0.051~2.5mmであり得る。レンズ素子L1~L6およびレンズ表面S2~S13の間の全ての距離は変わらないままである。
【0060】
レンズ系400の詳細な光学データは、表1に与えられる。非球面データは、表2および表3に与えられる。ここで、曲率半径(R)、光軸に沿ったレンズ素子の厚みおよび/または素子間の距離、ならびに直径の単位はmmで表される。「率」は屈折率である。非球面形状の式は次式で表される:
【数2】
ここで、{z、r}は標準円筒極座標、c=1/Rは表面の近軸曲率、kは円錐パラメータであり、r
normは一般に、表面のクリアアパーチャ(clear aperture)の2分の1である。Anは、レンズデータ表2および表3(ならびに、表5および表6、ならびに表10および表11)に示される多項式係数である。Z軸は、像の方向を正として定義される。また、表1(ならびに表4および表9)において、種々の素子(および/または表面)間の距離が素子の厚みを指し、光軸Z上において測定され、ストップはz=0にあることに留意されたい。各数は、直前の表面から計られる。このようにして、ストップから表面S2まで第1距離-1.197mmが測定される。基準波長は555.0nmである。単位はmmである(ただし、屈折率「率」およびアッベ数を除く)。例えばレンズ240等のレンズの最大レンズ直径d
Lは、例えばレンズ240等のレンズの全レンズ素子中に存在する最大の直径によって与えられる。
【表1】
【表2】
【0061】
【表3】
図5Aは、収縮状態におけるポップアウト光学素子モジュール240を断面図において示す。
図5Bは、同じものの斜視図を示す。
【0062】
図6Aは、ポップアウト状態におけるポップアウト光学素子モジュールの600と付番された別の例の、(
図7における6A‐6Aと記された断面による)断面図を示す。光学素子モジュール600は、例えば210(ここでは図示せず)等のポップアウト機構へと一体化され得る。光学素子モジュール600は、第1のレンズ群606を担持する収縮可能レンズバレル部(第1のバレル部)604と、第2のレンズ群610を担持する固定レンズバレル部(第2のバレル部)608と、を有するレンズバレル602を含む。2つのレンズ群は、物体側に第1のレンズ素子L1を、像側に最後のレンズ素子LNを有するように配置された、合計でN個のレンズ素子L1~LNを含むレンズ620を形成している。光学素子モジュール600は、カバー232によって覆われている。レンズ620、イメージセンサ208およびオプション(任意の選択肢)としての光学窓234は、レンズ系630を形成している。
【0063】
例示的に、かつ図示のように、レンズ620において、N=6である。一般に、N≧4である。他の実施例では、レンズバレルは、より多くのレンズ群をそれぞれ有する3つ以上のバレル部を備えてもよく、各バレル部がレンズ群を担持する例えば3、4、5個のレンズバレル部を備えてもよい。レンズバレル部は、固定バレル部と可動バレル部とに分けられてもよい。図示の例では、第1のレンズ群606は、レンズL1~L5を含み、第2のレンズ群610は、レンズL6を含む。レンズ群間には、それらの相対移動に応じてエアギャップが形成され得る。3つ以上のバレル部を有する実施例では、一部のバレル部または全てのバレル部が可動であってもよく、レンズ群間にそれぞれのエアギャップが形成される。レンズ群間の当該エアギャップは、非動作カメラ状態において収縮し得る。かかるエアギャップの総和は、1~8.5mmであり得る。2つの連続するレンズ素子間に存在する最大のエアギャップは、レンズ群を画定するために使用され得る。例えば、2つの連続するレンズ素子の間に存在する最大のエアギャップは、レンズを2つのレンズ群に分割するために使用されてもよく、2つの連続するレンズ素子間に存在する最大のエアギャップおよび2番目に大きなエアギャップは、3つのレンズ群を画定するために使用されてもよい、等々。この言明は、以下のすべてのレンズおよびカメラの実施例に対して成り立つ。ポップアウト状態では、エアギャップd
N-1は1~3.5mmであり得る。スプリング614は、第1のレンズバレル部604を、フレーム214のような窓フレームに向かって押す。動作状態では、ストッパ(stopper)618および別のストッパ618’が、レンズ群を一定の距離および向きに保つストッパ機構として機能し得る。いくつかの例では、本明細書で開示されるポップアウト状態におけるカメラは、X‐Z平面内における例えば±20μmのディセンタの公差およびY方向における例えば±10μmのディセンタの公差、ならびに、イメージセンサ208に対するレンズバレルの±0.2°のティルトの公差をサポートするように設計され得る。他の例では、ディセンタの公差は、X‐Z平面において例えば±3μm~10μm、Y方向において例えば±3μm~10μmであり得、イメージセンサYに対するレンズバレルのティルトの公差は例えば±0.05°~0.15°であり得る。さらに別の例では、ディセンタの公差は、X‐Z平面において1μmよりも小さく、例えば0.8μmであり得る。さらに別の例では、Y平面におけるディセンタの公差は、1μmよりも小さく、例えば0.8μmであり得る。その結果、特に例えばd
N-1(
図6C参照)またはd
1006(
図10参照)等のレンズ素子間のエアギャップについて、系630、650または1000のようなレンズ系の諸特性をサポートする。いくつかの実施例では、例えばピン1208(
図12Bおよび
図12D参照)等のピンが、X‐Z平面における機械的安定性および繰り返し精度を提供するために使用され得る。
【0064】
レンズのTTLは、L1の第1(物体側)の面からイメージセンサまで測定されるが、これは5~18mmであり得る。イメージセンサの対角線は、6mm<センサ対角線<30mmであり得る。35eqFLは、15mm<換算焦点距離<200mmであり得る。TTL/EFL比は、0.7<TTL/EFL<1.5の範囲において変動し得る。
【0065】
図6Bは、収縮状態における光学素子モジュール600の断面図を(
図8における6B‐6Bと記された断面により)示す。光学素子モジュール600を収縮状態に切り替えるために、アクチュエータ212は、LNの第1の表面とLN-1の第2の表面との間のエアギャップを、窓フレーム(ここでは図示せず)を移動させることによって減少させ、その結果、レンズバレルに圧力が加えられ、それが収縮可能レンズバレル部のイメージセンサの方への移動に変換される。収縮状態では、cTTLは5~12mmであり得、収縮エアギャップc-d
N-1は0.05~0.85mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差は、第1の収縮可能レンズバレル部604内の第1のレンズ群606と第2の固定レンズバレル部608内の第2のレンズ群610との間の、変更された距離に由来する。第1のレンズ群606とイメージセンサとの間の距離はポップアウト状態と比べて変化するが、第2のレンズ群610とイメージセンサとの間の距離は変化しない。レンズ620の光学的諸特性は、ポップアウト状態と収縮状態との間で切り替わるときに変化する。
【0066】
図6Cは、以下の光学素子モジュール600または別のポップアウト光学素子モジュール600’において使用され得る別のレンズ系650の例を示す。レンズ系650は、ポップアウト状態において示されている。設計データを表4~表6に示す。レンズ系650は、図示のように配置された7つのレンズ素子L1~L7を有するレンズ620’、光学窓234およびイメージセンサ208を含む。レンズ素子L1~L6は、第1のレンズ群606を形成し、レンズ素子L7は、第2のレンズ群610を形成する。TTLは8.49mmであり、BFLは1.01mmである。焦点距離はEFL=6.75mm、Fナンバー=1.80、FOV=80.6°である。エアギャップd
N-1は2.1mmである。
【0067】
【表4】
収縮状態(
図6Bまたは
図14Cを参照)では、cTTLは6.44~7.24mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差は、L6とL7との間の変更されたエアギャップに由来する。これは収縮エアギャップc‐d
N-1であり、0.05~0.85mmであり得る。BFLは、ポップアウト状態と比べて変化していない。
【0068】
レンズ620’の光学的諸特性は、ポップアウト状態と収縮状態との間での切り替えのときに変化する。ここで述べられる光学的諸特性は、「最大限の(maximal)」ポップアウト状態、すなわち、レンズが最大のTTLを有するときのレンズ素子についてのものである。
【表5】
【0069】
【表6】
図6Dは、光学素子モジュール600または600’において使用され得る、さらに別のレンズ系660の実施例を示す。レンズ系660’は、ポップアウト状態において示されている。設計データを表7~表9に示す。レンズ系660は、図示のように配置された6つのレンズ素子L1~L6を有するレンズ620”、光学窓234およびイメージセンサ208を含む。レンズ素子L1~L3は第1のレンズ群606を形成し、レンズ素子L4~L6は第2のレンズ群610を形成する。TTLは13.5mmであり、BFLは5.49mmである。焦点距離はEFL=15.15mm、Fナンバー=2.0、FOV=32.56°である。エアギャップd
607は1.78mmである。比TTL/EFL=0.89である。
【0070】
収縮状態(
図6B参照)では、cTTLは5~11mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差はL3とL4との間の変更されたエアギャップ(これは収縮エアギャップc‐d
607であり、0.05~1.0mmであり得る)、および変更されたBFL(これはc‐BFLであり、0.1~1.5mmであり得る。)に由来する。レンズ620”の光学的諸特性は、ポップアウト状態と収縮状態との間の切り替えのときに変化する。レンズ系660について、比TTL/EFLは0.89、すなわちEFL>TTLである。比cTTL/EFLは、0.35~0.75であり得る。
【表7】
【表8】
【0071】
【表9】
図7は、ポップアウト状態における光学素子モジュール600の斜視図を示す。
図8は、収縮状態における光学素子モジュール600の斜視図を示す。
【0072】
図9Aは、ポップアウト状態におけるアクチュエータ212の斜視図を示す。
図9Bは、収縮状態におけるアクチュエータ212の斜視図を示す。断面2B‐2Bおよび2D‐2Dは、それぞれ
図2Bおよび2Dに関する。アクチュエータ212は、作動のための可動部品を有するポップアウトアクチュエータ902を備える。スイッチ906を有するポップアウトアクチュエータ‐窓フレーム連結装置904は、ポップアウト作動を窓フレームの移動に変換する。スイッチ906は、アクチュエータ902を窓フレーム214と結合する。上に示したように、窓フレームの移動は、カメラを収縮状態に切り替えるために利用される。
図9Aにおいて、スイッチ906は「ダウン」であり、ポップアウト状態を提供する。
図9Bにおいて、スイッチ906は「アップ」であり、収縮状態を提供する。
【0073】
図10は、最大限のポップアウト状態におけるポップアウトテレカメラ内に含まれ得る、1000と番号付けられた別のレンズ系を示す。レンズ系1000は図示のような5つのレンズ素子を有するレンズ1020、光学窓234およびイメージセンサ208を含む。レンズ系1000を有するテレポップアウトカメラは、ホストデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット等、ここでは図示せず)内に組み込まれ得る。
図6Aおよび
図6Bに示されるものと同様に、レンズ系1000において、ポップアウト状態と収縮状態との間の切り替えは、第1のレンズ群1016と第2のレンズ群1018との間のエアギャップd1006を変更することによって得られる。
【0074】
レンズ系1000において、第1のレンズ群1016はレンズ素子1002、1004および1006を含み、第2のレンズ群1018はレンズ素子1008および1010を含む。ポップアウト状態では、レンズ素子1008の表面1008aと直前のレンズ素子1006の表面1006bとの間のエアギャップd1006は、2.020mmである(表10参照)。レンズ系のTTLは5.904mmである。第1のレンズ群および第2のレンズ群への分割は、2つの連続するレンズ素子間の最大のエアギャップに従って行われる。
【0075】
レンズ系1000は、25°~50°のFOV、EFL=6.9mm、Fナンバー=2.80、およびTTL=5.904mmを提供し得る。比TTL/EFLは0.86、すなわちEFL>TTLである。比cTTL/EFLは、0.58~0.69であり得る。エアギャップd1006=TTL/2.95の場合、d1006>TTL/3である。他の実施例では、レンズ素子を第1および第2のレンズ群に分割する最大のエアギャップに対して、当該エアギャップは、エアギャップ>TTL/5かつEFL>TTLを満たし得る。
【0076】
レンズ系1000の光学的諸特性は、収縮状態(図示せず)に切り替わるときに変化する。収縮状態では、cTTLは3.97~10mmであり得、収縮エアギャップc‐d1006は0.05~0.85mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差は、第1のレンズ群1016と第2のレンズ群1018との間の変更された距離に由来する。第1のレンズ群1016とイメージセンサ208との間の距離はポップアウト状態と比べて変化するが、第2のレンズ群1016とイメージセンサ1014との間の距離は変化しない。
【0077】
レンズ系1000では、全てのレンズ素子表面は非球面である。詳細な光学データは表10に与えられ、非球面データは表11に与えられている。ここで、曲率半径(R)、光軸に沿ったレンズ素子の厚みおよび/または素子間の距離、ならびに直径の単位はmmで表される。「Nd」は屈折率である。非球面形状の式は次式で表される:
【数3】
ここで、rは光軸からの(かつ光軸に垂直な)距離、kは円錐係数、c=1/R(ただし、Rは曲率半径)、αは表2に与えられる係数である。本明細書に開示されるレンズアセンブリの実施例に適用される上記の式において、係数α
1およびα
7はゼロである。rの最大値「maxr」=直径/2であることに留意されたい。また、表1において、種々の素子(および/または表面)間の距離は「Lmn」と記され(ここで、mはレンズ素子の番号を指し、n=1は素子の厚みを指し、n=2は次の素子に対するエアギャップを指す)、光軸z上において測定され、ストップはz=0にある。各数は、直前の表面から計られる。このようにして、ストップから表面1002aまで第1の距離-0.466mmが測定され、表面1002aから表面1002bまでの距離L11(すなわち、第1のレンズ素子1002の厚み)は0.894mm、表面1002bと表面1004aとの間のギャップL12は0.020mm、表面1004aと表面1004bとの間の距離L21(すなわち、第2のレンズ素子1004の厚みd
2)は0.246mm、等々。また、L21=d
2、L51=d
5。
【表10】
【0078】
【表11】
有利には、第1、第3および第5のレンズ素子のアッベ数は57.095である。有利には、レンズ素子1002とレンズ素子1004との間の第1のエアギャップ(表面1002bと表面1004aとの間のギャップ)は、厚みd
2(0.246mm)の10分の1未満の厚み(0.020mm)を有する。有利には、第2および第4のレンズ素子のアッベ数は23.91である。有利には、レンズ素子1006とレンズ素子1008との間の第3のエアギャップは、TTL/5(5.904/5mm)よりも大きな厚み(2.020mm)を有する。有利には、レンズ素子108とレンズ素子110との間の第4のエアギャップは、d
5/2(0.293/2mm)よりも小さな厚み(0.068mm)を有する。
【0079】
レンズ系1000における各レンズ素子の焦点距離(mm)は、以下の通りである:f1=2.645、f2=-5.578、f3=-8.784、f4=9.550、f5=-5.290。条件1.2×|f3|>|f2|<1.5×f1は、例えば1.2×8.787>5.578>1.5×2.645のように、明らかに満たされる。f1はまた、例えば2.645<2.952のように、条件f1<TTL/2を満たす。
【0080】
図11Aは、通常の(非ポップアップの)屈曲式テレカメラ1102と、ワイドポップアウトカメラ1104と、を備えるデュアルカメラを有するスマートフォン等のホストデバイス1100の一例を示す。ワイドカメラ1104は動作ポップアウト状態にあり、デバイスの外面228を延長している。バンプ226が見えている。例えば208(ここでは見ることができない)のような大きなイメージセンサと、収縮カメラ状態とポップアウトカメラ状態との間の切り替えに必要な、例えばフレーム220(ここでは十分には見えない)のようなポップアウトフレームとが、デバイスの外面228のポップアウトカメラにより覆われる(X‐Zにおける)最小の面積(領域)を定める。最小のポップアウトカメラ面積は、屈曲式テレカメラの面積、または、普通はデバイス内に含まれる通常の(すなわち、非ポップアウトの)直立(upright)ワイドカメラの面積よりも、大きいものであり得る。
【0081】
図11Bは、ポップアウト状態における屈曲式テレカメラ1102および直立ワイドカメラ1104の詳細を示す。屈曲式テレカメラは、プリズム1108と、屈曲式テレレンズと、センサモジュール1112と、を備える。
図11Aおよび
図11Bでは、プリズム1108のみ見えている。
【0082】
図11Cは、c‐バンプの小さな高さを例示する、収縮状態におけるワイドカメラ1104を有するホストデバイス1100を示す。
【0083】
図11Dは、屈曲式テレカメラおよび収縮状態における直立ワイドカメラの詳細を示す。
【0084】
図12Aは、本明細書に開示されるテレポップアウトカメラ1202と、動作ポップアウト状態におけるワイドポップアウトカメラ1204と、を備えるデュアルカメラを有する例えばスマートフォン等のホストデバイス1200の別の例を示す。ポップアウトバンプ226を見ることができる。ポップアウト機構カバー1206は、テレカメラとワイドカメラとの両方を覆っている。220のようなフレーム(図示せず)は、テレカメラとワイドカメラとを、ポップアウト状態と収縮状態との間で、一緒にかつ同時に切り替える。ピン1208は、X‐Z平面内における機械的安定性および繰り返し精度を提供し得る。いくつかの実施例では、2つのピンが含まれ得る。他の実施例では、3つ以上のピンが使用され得る。
【0085】
図12Bは、両方のカメラがポップアウト状態にある、直立テレカメラ1202および直立ワイドカメラ1204の詳細を示す。
【0086】
図12Cは、収縮状態におけるカメラを有するホストデバイス1200を示す。c‐バンプ236が示されている。
図12Eは、直立テレカメラ1202および直立ワイドカメラ1204の詳細を示しており、両方のカメラが収縮状態にある。
【0087】
図13は、7つのレンズ素子L1~L7を含むレンズ1320、イメージセンサ208、および任意選択的に光学窓234を備える、番号1300が付されたレンズ系のさらに別の実施例を示す。ここで、イメージセンサ208は湾曲したイメージセンサ(curved image sensor)であり、その集光面が曲率半径R=-19.026mmの曲面であることを意味している。ここで、「-」符号は、イメージセンサの物体側に中心を有する曲率であることを指している。湾曲したイメージセンサの使用は、例えば像面湾曲およびセンサの端の方へのシェーディング(shading)等の望ましくない効果(影響)が平坦なイメージセンサ(planar image sensor)の場合よりも小さいものであり得るために、有益であり得る。レンズ系1300は、ポップアウト状態におけるカメラ200等のカメラにおいて使用され得る。設計データを表12~表14に示す。
【0088】
レンズ系1300では、TTL=8.28mm、BFL=3.24mm、EFL=6.95mm、Fナンバー=1.85、FOV=80.52°。
【0089】
収縮状態(
図2C参照)では、cTTLは6.54~10mmであり得る。cTTLとTTLとの間の差は、収縮「c‐BFL」(
図5A参照)である変更されたBFLに由来する。c‐BFLは1.494~2.5mmであり得る。レンズ1320の光学的諸特性は、ポップアウト状態と収縮状態との間における切り替えのときに変化しない(すなわち、レンズ素子L1~L7およびレンズ表面S2~S15の間の全ての距離は変化しない)。
【表12】
【表13】
【0090】
【表14】
他の実施例では、光学窓234は湾曲していてもよい。光学窓の曲率半径R
Wは、湾曲したイメージセンサ208の曲率半径Rと同符号(すなわち光学窓の物体側に中心を有する)であり得、かつ同じように湾曲し得るから、R
Wは、例えば-15~-25mmであり得る。別の実施形態では、R
W=Rであり得る(Rは湾曲したイメージセンサの曲率半径)。これは、より小さいcTTLを可能にし得る。cTTLは5.64~7.54mm、c‐BFLは0.594~2.5mmであり得る。
【0091】
図14Aは、「ホスト」デバイス250(例えば、スマートフォン、タブレット等)に組み込まれ、かつポップアウト状態にある本明細書に開示のポップアウトカメラの、別の例1400を断面図において示す。カメラ1400は、ポップアウトフレーム220’と、レンズ620を含む光学素子モジュール600’と、を備える。
図14Bに示されるように、フレーム220’は、窓フレーム214’、カムフォロア1402およびサイドリミッタ1406を備える。カムフォロア1402は、スプリング1408を介して、ポップアウトアクチュエータ1408に結合されている。光学素子モジュール600’は、第1のレンズ群606を担持する収縮可能レンズバレル部(第1のバレル部)604と、第2のレンズ群610を担持する固定レンズバレル部(第2のバレル部)608と、を有するレンズバレル602を含む。2つのレンズ群は、物体側に第1のレンズ素子L1を、像側に最後のレンズ素子LNを有するように配置された、合計でN個のレンズ素子L1~LNを含むレンズ620を形成している。レンズ620、イメージセンサ208およびオプションとしての光学窓234は、レンズ系630を形成している。
【0092】
カメラ1400は、外部モジュールシール224と、内部モジュールシール1404と、を備える。外部シール224は、粒子および流体がデバイス250に入るのを防止する。シール224は、IP68等級のデバイス250をサポートし得る。内部シール1404は、粒子が光学素子モジュール600’に入るのを防止する。
【0093】
「外部」および「内部」は、シール224がホストデバイスの外部からのカメラの汚染を防ぎ、他方、シール1404がホストデバイスの内部からのカメラの汚染を防ぐ、という事実を指す。
【0094】
光学素子モジュール600’および窓フレーム214はレンズバレルと窓216との間にエアギャップ222’を形成するが、これは例えば0.1mm~3mmであり得る。エアギャップ222’は、当技術分野において知られているように、センサ208または光学素子モジュール600’またはレンズ620の部分またはレンズ620を移動させることによる光学的手振れ補正(OIS)およびオートフォーカス(AF)の実行のために、レンズバレルを0.1~3mmだけ移動させることを可能にする。
【0095】
カメラ1400は、デバイス250の外面228に対して際立ったポップアウトバンプ226を形成する。ここで、「際立った」とは、例えば1.5mm~12mmであり得る。ポップアウト状態において、カメラ1400は、ホストデバイス250の高さをポップアウト状態における高さまで増大させる。
【0096】
レンズ620はN≧4個のレンズ素子を有し得、言及したように、2つのレンズバレル部を有するバレルを備える。他の実施例では、レンズバレルは、より多くのレンズ群を有する3つ以上のバレル部を備えてもよく、各バレル部がレンズ群を担持する例えば3、4、5個のレンズバレル部を備えてもよい。レンズバレル部は、固定バレル部と可動バレル部とに分けられてもよい。図示の例では、第1のレンズ群606は、レンズL1~LN-1を含み、第2のレンズ群610は、レンズLNを含む(
図14参照)。レンズ群間には、それらの相対移動に応じてエアギャップが形成され得る。3つ以上のバレル部を有する実施例では、一部のバレル部または全てのバレル部が可動であってもよく、レンズ群間にそれぞれのエアギャップが形成される。レンズ群間の当該エアギャップは、非動作カメラ状態において収縮し得る。かかるエアギャップの総和は、1~12mmであり得る。ポップアウト状態では、エアギャップd
N-1は1~5.5mmである。3つのスプリング614(ここではすべて見えているわけではない)は、第1のレンズバレル部604を機械的ストップ(mechanical stop)に向かって押す。機械的ストップは、
図18A~
図18Bおよび
図19A~
図19Bに示されるような運動学的結合機構によって提供されてもよい。他の実施例においては、
図20Cに示されるように、機械的ストップはトップカバー1606’によって提供されてもよい。いくつかの例では、ポップアウト状態におけるカメラは、X‐Z平面内における例えば±20μmのディセンタの公差およびY方向における例えば±10μmのディセンタの公差、ならびに、イメージセンサ208に対するレンズバレルの±0.2°のティルトの公差をサポートするように設計され得る。他の例では、ディセンタの公差は、X‐Z平面において例えば±2μm~10μm、Y方向において例えば±2μm~10μmであり得、イメージセンサYに対するレンズバレルのティルトの公差は例えば±0.05°~0.15°であり得る。
【0097】
レンズのTTLは、5~22mmであり得る。イメージセンサの対角線は、6mm<センサ対角線<30mmであり得る。35eqFLは、15mm<換算焦点距離<200mmであり得る。TTL/EFL比は、0.7<TTL/EFL<1.5の範囲において変動し得る。
【0098】
図14Bに示される窓位置測定機構1420は、
図20C~
図20Eに示される1つ以上の磁石および1つ以上のホールセンサを備える。磁石はカムフォロア1402に固定的に結合されており、(1つ以上の)ホールセンサはサイドリミッタ1406に固定的に結合されている。機構1420は、サイドリミッタ1406およびホストデバイス250に対するカムフォロアの位置を感知する。カメラはホストデバイスに機械的に結合されており、サイドリミッタはカメラに機械的に結合されている。
【0099】
図14Bは、ポップアウト状態におけるフレーム220’の斜視図を示す。例えば1400等のポップアウトカメラは、光学素子モジュール600’がフレーム220’へと挿入されたときに形成される。窓フレーム214’、カムフォロア1402およびサイドリミッタ1406は、互いに対して移動する。窓フレーム214’およびカムフォロア1402はホストデバイス250に対して移動する。だが、サイドリミッタ1406はホストデバイス250に対して移動しない。カメラ1400は、ホストデバイス250およびサイドリミッタ1406に対して窓フレーム214’を正のX方向に移動させることによって、ポップアウト状態から収縮状態に切り替えられる。窓フレーム214’は、カムフォロア1402を介してアクチュエータ212’によって移動される。カムフォロア1402の移動はX軸に対して実質的に平行であり、この移動はY軸に対して実質的に平行な窓フレーム214’の移動に変換される。X方向における移動およびY方向における移動のこの変換は、
図15A~
図15Bに記載されている。Yに沿った移動に関しては、窓フレーム214’がレンズバレルに圧力を加え、それが収縮可能レンズバレル部のイメージセンサの方への移動に変換される。カムフォロア1402は、スプリング1408を介してポップアウトアクチュエータ1412に結合されている。アクチュエータ1412は、例えばスクリューステッパモータ(screw stepper motor)または別の作動方法を介して、カムフォロア1402を移動させる。該移動は、スプリング1408によって媒介されている。スプリング1408は、カメラ1400のための緩衝装置として機能し得る。例えばホストデバイス250が落下し、別の物体にぶつかったとき、大きな力が窓フレーム214’に作用し得る。スプリング1408によって、この大きな力はポップアウトカメラの収縮に変換され得、それにより、その大きな力のうちの大部分を媒介し得る。内部モジュールシール1404は、付加的な緩衝装置として作用し得る。
【0100】
図14Cは、収縮(「c」)状態または非動作状態における、カメラ1400の断面図を示す。
図14Dは、収縮状態における、フレーム220’の斜視図を示す。光学素子モジュール600’を収縮状態に切り替えるために、アクチュエータ212’は、エアギャップd
N-1を、窓フレーム214’を移動させることによって減少させ、その結果、レンズバレルに圧力が加えられ、それが収縮可能レンズバレル部のイメージセンサの方への移動に変換される。収縮状態では、cTTLは5~12mmであり得、収縮エアギャップc-d
N-1は0.05~1.5mmであり得る。
【0101】
図15Aは、実施例1400のフレーム220’を、ポップアウト状態において、X‐Y平面による断面図として示す。切替えピン1502および切替えピン1504は、カムフォロア1402に堅固に(rigidly)結合されている。サイドリミッタピン1512は、サイドリミッタ1406に固定的に(fixedly)結合されており、垂直方向向きリミッタ溝1514内でスライドする。切替えピン1502および1504は、切替え溝1506および1508内をスライドする。切替えピン1502および1504は、ピンと窓フレーム214’との間に作用する接触応力を最小化するため、大きな曲率半径を有する湾曲(湾曲面)が重ねられた(superposed)ダイヤモンド(菱形)形状を有する。サイドリミッタピン1512は、接触応力を最小にするため、大きな曲率半径を有する湾曲(湾曲面)が重ねられた矩形形状を有する。
【0102】
カムフォロア1402が負のX方向に移動されたとき、切替え溝1506および1508の傾き(inclination)は、窓フレーム214’の下方への(負のY方向における)移動をもたらす。この下方への移動は、カメラを収縮状態に切り替えるために使用される。下方への移動は、サイドリミッタピン1512によって制限され、案内される。切替え溝1506および1508の傾きは、垂直のY軸に対して例えば20°~80°であり得る。
【0103】
図15Bは、収縮状態における
図15Aのフレーム220’を示す。カメラを収縮状態からポップアウト状態に切り替えるために、カムフォロア1402は正のX方向に移動され、切替え溝1506および1508の傾きは窓フレーム214’の上方への(正のY方向における)移動をもたらす。
【0104】
図16Aはポップアウト状態における光学素子モジュール600’の断面図を示し、
図16Bはポップアウト状態における光学素子モジュール600’の斜視図を示す。モジュール600’は、光学素子フレーム1650、第1の収縮可能レンズバレル部604(レンズ素子はここでは示されていない)、第2の固定レンズバレル部608、3つのスプリング614(ここでは全てが見えるわけではない)、サイドカバー1604、トップカバー1606、および3つのストッパ1608(ここでは全てが見えるわけではない)を備える。各スプリングは、3つのスプリングホルダ1612(ここでは全てが見えるわけではない)のうちの1つに着座している。光学素子フレーム1650は、第1および第2のレンズバレル部内に含まれるレンズ素子を除き、光学素子モジュール600’のすべての部品を保持している。ストッパ1608はトップカバー1606に堅固に結合されており、収縮可能レンズバレル部(604)が窓フレーム214と直接接触しないことを確実にしている。
【0105】
光学素子モジュールの直径に関する「ペナルティ(penalty)」pは、光学素子モジュールの直径と、光学素子モジュール内に含まれるレンズの最大直径との間の差として定義される。光学素子モジュール600’の場合、dmoduleは、LNの直径により表されるレンズ620の最大直径よりもわずかに大きい。したがって、光学素子モジュール600’の場合、ペナルティpはp=p1+p2であり、0.5mm~8mmであり得る。
【0106】
図17Aは収縮状態における光学素子モジュール600’の断面図を示し、
図17Bは収縮状態における光学素子モジュール600’の斜視図を示す。収縮状態では、スプリング614は圧縮されている。
【0107】
図18A~
図18Fは、種々の位置における光学素子フレーム1650、およびその複数の部品の種々の詳細を示す光学素子フレーム1650を示す。
図18Aはポップアウト状態における光学素子フレーム1650を示し、
図18Bは収縮状態における光学素子フレーム1650を示すが、両者とも斜視図である。収縮可能レンズバレル部604は、「マクスウェル運動学的結合(Maxwell kinematic coupling)」機構を介して、光学素子フレーム1650に結合されている。マクスウェル運動学的結合機構は、案内および位置決め機構として機能する3つのv溝/ピン対1810を備える。3つのv溝/ピン対1810は、例えばイメージセンサ208等の他の光学素子に対して、収縮可能レンズバレル部604が高い精度で一定の位置に保たれることを確実にする。各v溝/ピン対1810は同一であり、半球形ピン1812およびv溝1814を含む。v溝/ピン対1810のさらなる詳細は、
図18C(ポップアウト状態の場合)および
図18D(収縮状態の場合)に与えられている。別の実施例では、ピンは円形またはダイヤモンド形状またはカヌー形状であってもよい。
図18A~
図18Dに示されるv溝は、約90°の角度を有する。別の実施例では、v溝の角度は30°~150°の間で変動し得る。
【0108】
対1810は、互いに等しい距離で分布している。3つのv溝/ピン対1810によって、光学素子フレーム1650はティルトの、狭い精度公差および繰り返し精度公差、ならびに、X‐ZおよびYにおけるディセンタの、狭い精度公差および繰り返し精度公差をサポートする。ここで、ならびに、
図19Aおよび
図19Bの説明において、「公差」は、収縮可能レンズバレル部604と固定レンズバレル部608との間の公差を指す。
【0109】
光学素子フレーム1650および下にある光学素子モジュール600”は、カメラ200の公差のようなディセンタの精度公差、および信頼性公差をサポートするように設計され得る。
【0110】
図18Eは、上面図において光学素子フレーム1650を示す。
図18Fは、1650がそれから組み立てられ得るところの複数の単一部品を示す分解図において、光学素子フレーム1650を示す。3つのスプリングホルダ1612は、3つのスプリング614のそれぞれを一定の位置に保つ。光学素子フレーム1650は、底の方から頂の方へと組み立てられ得る。L
Nを固定レンズバレル部608に挿入することで組み立て工程が開始され、次にスプリングホルダ1612にスプリング614が挿入され、次にトップカバー1606が置かれ、次にサイドカバー1604が置かれ、次に収縮可能レンズバレル604が一番上に挿入され得る。
図2A~
図2Dおよび
図4A~
図4B等に示されるようないくつかの実施例において、レンズ420等のレンズが1650等の光学素子フレーム内に含まれていてもよい。レンズ420は単一のレンズ素子群のみを含み、604等の収縮可能レンズバレル内に完全に含まれていてもよい。いくつかの実施例では、収縮可能レンズバレル604およびトップカバー1606は、1つの単一のユニットであってもよい。
【0111】
図19Aおよび
図19Bは、(それぞれ、斜視図および断面図において)600”と付番された別の光学素子モジュールを示す。光学素子モジュール600”は、収縮可能レンズバレル部604を高精度で一定の位置に保つための案内および位置決め機構を備える。案内および位置決め機構は、ヨーク‐磁石対に基づいている。ヨーク2002はトップカバー1606’に固定的に結合されており、永久磁石2004はサイドカバー1604’に固定的に結合されている。ヨーク2002および磁石2004の使用を通じて、トップカバー1606およびサイドカバー1604は、互いに一定の距離および向きを保ちながら、互いに引き付けられている。このようにして、光学素子モジュール1650’は、X‐ZおよびYにおけるディセンタ、およびティルトに対して、狭い繰り返し精度公差および精度公差をサポートする。
【0112】
図19Cは、ポップアウト状態における光学素子モジュール600”を、断面図において示す。サイドカバー1604’はまた、第2のレンズ素子群を担持する第2の固定レンズバレル部としても機能している。すなわち、第2のレンズバレル部として機能するいかなる追加の部品も必要ではない。
図19Dは、収縮状態における光学素子モジュール600”を、断面図において示す。
【0113】
図19Eは、トップカバー1606´および磁石2004の斜視図を示し、
図19Fは、トップカバー1606´および磁石2004の上面図を示す。
【0114】
図20Aは収縮状態における窓位置測定機構1420の磁石部分の側面図を示し、
図20Bは、収縮状態における窓位置測定機構1420の磁石部分の斜視図を示す。2つのサイド磁石2102aおよび2102bは、内側(補助)磁石2104の両側に位置している。すべての磁石は、カムフォロア1402に固定的に結合されている。磁石2102a、2102bおよび2104は、ホールセンサ2106によって感知される磁場を生成している。ホールセンサ2106は、サイドリミッタ1406(ここには図示されず)に固定的に結合されている。ホールセンサ2106によって感知される磁場は、カムフォロア1402およびサイドリミッタ1406の相対的な位置に依存している。すなわち、機構1420は、1~10mmの範囲であり得るストロークに沿って連続的に、カムフォロア1402およびサイドリミッタ1406の相対的な位置の感知を可能にしている。
【0115】
図20Cは、カメラ1400が収縮状態にある、磁石2102a、2102b、2104およびホールセンサ2106の側面図を示す。
図20Dは、カメラ1400がポップアウト状態にある、磁石2102a、2102b、2104およびホールセンサ2106の側面図を示す。ストロークは、ここに図示された最も端にある位置の間、すなわち収縮状態とポップアウト状態との間にわたっている。いくつかの実施例では、機構1420は、全ストロークに沿って同一の精度で、1402および1406の相対的な位置を測定してもよい。別の実施例では、有益には、機構1420は、ここに図示された最も端にある位置の近くにあってはより高い精度で、かつその他の位置にあってはより低い精度で、1402および1406の相対的な位置を測定してもよい。
【0116】
図20Eは、磁石2102a、2102bおよび2104の磁化(magnetization)が示された、機構1420の(a)設計(デザイン)および(b)磁場の一例を示す。
【0117】
図20Fは、1420等の位置測定機構内に含まれ得る、磁石構成2110の一例を示す。(a)には、磁石2102a、2102bおよび2104の構成が示されており、(b)には、(a)の磁石構成によって作り出された、位置Xに対する磁束密度が示されている。大きくかつ実質的に同一の傾きΔB/ΔXが、線形範囲に沿って達され得る。2110の線形範囲は、1~10mmにわたり得る。
【0118】
図20Gは、1420等の位置測定機構内に含まれ得る、磁石構成2120の別の例を示す。(a)には、磁石2102a、2102bおよび2104の構成が示されており、(b)には、(a)の磁石構成によって作り出された、位置Xに対する磁束密度が示されている。線形範囲は、3つのサブ範囲A1、B、およびA2に分割されている。サブ範囲A1およびA2において、傾きΔB/ΔXはサブ範囲Bにおける傾きよりも大きい。例えば、サブ範囲A1およびA2における傾きΔB/ΔX(A)は、サブ範囲Bにおける傾きΔB/ΔX(B)よりも5倍、10倍、または25倍大きくてもよい。例えば、ΔB/ΔX(A)~500mT/mmかつΔB/ΔX(B)~50mT/mm、そうすると、比[ΔB/ΔX(A)]/[ΔB/ΔX(B)]=10。異なる傾きを有するサブ範囲への線形範囲の分割は、1420等の位置測定機構にとって有益であり得る。ポップアウト状態における位置および収縮状態における位置の近くにある最も端の領域において、より高い精度が要求され得るからである。
【0119】
要約すれば、本明細書に開示されているのは、大きなEFL、かつ、大きなイメージセンササイズ、かつ、収縮モードにおけるカメラの小さな高さを可能にする、ポップアウト機構を有するデジタルカメラである。
【0120】
本開示にはまた、以下の番号付けされた条項が含まれる。
【0121】
1.
カメラであって、
物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを含むレンズアセンブリを備える光学素子モジュールと、
5mm~30mmのセンサ対角線SDを有するイメージセンサと、
複数のレンズ素子間またはレンズ素子と前記イメージセンサとの間の少なくとも1つのエアギャップを制御して、前記カメラを動作ポップアウト状態および収縮状態へと至らせるように構成されたポップアウト機構と、を備え、
前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、cTTL/SD<0.6である、カメラ。
【0122】
2.
前記ポップアウト機構が、前記光学素子モジュールと係合可能な窓フレームを含み、
前記窓フレームが、前記動作ポップアウト状態において前記光学素子モジュールに接触せず、かつ、前記窓フレームが、前記光学素子モジュールを押して前記カメラを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である、条項1に記載のカメラ。
【0123】
3.
前記少なくとも1つのエアギャップが、LN-1とLNとの間に最大のエアギャップdを含む、条項1または2に記載のカメラ。
【0124】
4.
前記少なくとも1つのエアギャップが、LN-2とLN-1との間、またはLN-1とLNとの間に、最大のエアギャップdを含み、
前記レンズアセンブリが、40mm~150mmの35mm換算焦点距離35eqFLを有する、条項1または2に記載のカメラ。
【0125】
5.
dが、TTL/5より大きい、条項4に記載のカメラ。
【0126】
6.
cTTL/SD<0.55である、条項1に記載のカメラ。
【0127】
7.
SDが、10mm~15mmの範囲内にある、条項1に記載のカメラ。
【0128】
8.
前記カメラが、0.9×TTL~1.1×TTLの範囲内にある全トラック長TTL2を有するそれぞれの追加のカメラレンズアセンブリを有する追加のカメラと一緒に、マルチカメラ内に含まれている、条項1に記載のカメラ。
【0129】
9.
前記レンズアセンブリが、24mmよりも大きい35mm換算焦点距離35eqFLを有する、条項1に記載のカメラ。
【0130】
10.
前記レンズアセンブリが、有効焦点距離EFLを有し、
比TTL/EFLが、1.4より小さく、かつ1.0より大きい、条項1に記載のカメラ。
【0131】
11.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、4mmよりも小さい、条項1に記載のカメラ。
【0132】
12.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、2mmよりも小さい、条項1に記載のカメラ。
【0133】
13.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、1mmよりも小さい、条項1に記載のカメラ。
【0134】
14.
前記窓フレームが、前記レンズ素子と直接の接触状態にはない窓を含む、条項2に記載のカメラ。
【0135】
15.
前記ポップアウト機構が、ピン‐溝アセンブリに基づく窓ポップアウト機構を含み、
複数の前記ピンのうちの1つ以上が、複数の垂直方向向き溝内においてスライドし、
1つ以上のピンが、前記垂直方向に対して20°~80°の角度を有する複数の斜め向き溝内においてスライドする、条項1に記載のカメラ。
【0136】
16.
前記複数の斜め向き溝が、前記垂直方向に対して30°~70°の角度を有する、条項15に記載のカメラ。
【0137】
17.
前記複数の斜め向き溝が、前記垂直方向に対して40°~60°の角度を有する、条項15に記載のカメラ。
【0138】
18.
前記ポップアウト機構が、少なくとも1つのエアギャップを制御するように構成されているバレルポップアウト機構であって、複数のスプリングと、案内および位置決め機構と、を備える前記バレルポップアウト機構を含む、条項1に記載のカメラ。
【0139】
19.
前記バレルポップアウト機構が、前記動作ポップアウト状態における複数のレンズ素子間の十分なz‐ディセンタ精度およびxy‐ディセンタ精度を可能にし、かつ、動作状態と収縮状態との間の切替えにおける繰り返し精度を可能にしており、
前記十分なディセンタ精度が0.1mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.05mmディセンタよりも小さい、条項18に記載のカメラ。
【0140】
20.
前記十分なディセンタ精度が0.8mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.04mmディセンタよりも小さい、条項19に記載のカメラ。
【0141】
21.
前記十分なディセンタ精度が0.6mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.03mmディセンタよりも小さい、条項19に記載のカメラ。
【0142】
22.
前記ポップアウト機構が、1つ以上のスプリングを含む、条項1に記載のカメラ。
【0143】
23.
前記1つ以上のスプリングが、1つのスプリングを含む、条項22に記載のカメラ。
【0144】
24.
前記1つ以上のスプリングが、3つのスプリングを含む、条項22に記載のカメラ。
【0145】
25.
前記ポップアウト機構が、ピンおよび溝アセンブリに基づく案内および位置決め機構を備えるバレルポップアウト機構である、条項1に記載のカメラ。
【0146】
26.
前記ポップアウト機構が、ストッパに基づく案内および位置決め機構を備える、条項1に記載のカメラ。
【0147】
27.
前記ポップアウト機構が、運動学的結合機構に基づく案内および位置決め機構を備えるバレルポップアウト機構である、条項1に記載のカメラ。
【0148】
28.
前記運動学的結合機構が、ピン‐溝アセンブリに基づくものである、条項27に記載のカメラ。
【0149】
29.
前記ポップアウト機構が、ピン‐溝アセンブリに基づく案内機構および磁力に基づく位置決め機構を備えるバレルポップアウト機構である、条項1に記載のカメラ。
【0150】
30.
カメラであって、
物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを含むレンズアセンブリを備える光学素子モジュールと、
前記レンズアセンブリを動作ポップアウト状態および収縮状態へと作動させるように構成されたポップアウト機構と、
センサ対角線SDを有するイメージセンサと、を備えるカメラであって、
前記レンズアセンブリは、複数のレンズ素子間の任意のエアギャップよりも大きい後方焦点距離BFLと、7mm~18mmの範囲内にある有効焦点距離EFLと、を有し、
前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、
前記ポップアウト機構は、cTTL/EFL<0.55となるようにBFLを制御するよう構成されている、カメラ。
【0151】
31.
前記ポップアウト機構が、前記光学素子モジュールと係合可能な窓フレームを含み、
前記窓フレームが、前記動作ポップアウト状態において前記光学素子モジュールに接触せず、かつ、前記窓フレームが、前記光学素子モジュールを押して前記カメラを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である、条項30に記載のカメラ。
【0152】
32.
SDが4.5mm~10mmの範囲内にあり、
前記レンズアセンブリが、45mmより大きく180mmより小さい35mm換算焦点距離35eqFLを有する、条項30または31に記載のカメラ。
【0153】
33.
SDが10mm~20mmの範囲内にあり、
前記レンズアセンブリが、40mmより大きく180mmより小さい35mm換算焦点距離35eqFLを有する、条項30に記載のカメラ。
【0154】
34.
比TTL/EFLが1.0より小さく、0.7より大きい、条項30または31に記載のカメラ。
【0155】
35.
BFLがTTL/3より大きく、TTL/1.5より小さい、条項30に記載のカメラ。
【0156】
36.
前記ポップアウト機構が、スプリングを備える、条項30に記載のカメラ。
【0157】
37.
前記ポップアウト機構が、複数のレンズ素子間の少なくとも1つのエアギャップを制御するようさらに構成されている、条項30に記載のカメラ。
【0158】
38.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、4mmよりも小さい、条項30に記載のカメラ。
【0159】
39.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、2mmよりも小さい、条項30に記載のカメラ。
【0160】
40.
前記レンズアセンブリが、最大レンズ直径dLを有するレンズ素子を有し、
前記光学素子モジュールの最大直径dmoduleと前記最大レンズ直径dLとの間のペナルティが、1mmよりも小さい、条項30に記載のカメラ。
【0161】
41.
前記窓フレームが、前記レンズアセンブリと直接の接触状態にはない窓を担持している、条項31に記載のカメラ。
【0162】
42.
前記ポップアウト機構が、複数のスプリングと、案内および位置決め機構と、を備え、
前記案内および位置決め機構が、前記動作ポップアウト状態における複数のレンズ素子間の十分なz‐ディセンタ精度およびxy‐ディセンタ精度を可能にし、かつ、動作状態と収縮状態との間の切替えにおける繰り返し精度を可能にしており、
前記十分なディセンタ精度が0.1mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.05mmディセンタよりも小さい、条項30に記載のカメラ。
【0163】
43.
前記十分なディセンタ精度が0.8mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.04mmディセンタよりも小さい、条項42に記載のカメラ。
【0164】
44.
前記十分なディセンタ精度が0.6mmディセンタよりも小さく、前記繰り返し精度が0.03mmディセンタよりも小さい、条項42に記載のカメラ。
【0165】
45.
前記ポップアウト機構が、前記光学素子モジュールと係合可能な1つ以上のスプリングを含む、条項30に記載のカメラ。
【0166】
46.
前記1つ以上のスプリングが、1つのスプリングを含む、条項45に記載のカメラ。
【0167】
47.
前記1つ以上のスプリングが、3つのスプリングを含む、条項45に記載のカメラ。
【0168】
48.
前記ポップアウト機構が、ピンおよび溝アセンブリに基づく案内および位置決め機構を備える、条項30に記載のカメラ。
【0169】
49.
前記ポップアウト機構が、ストッパに基づく案内および位置決め機構を備える、条項30に記載のカメラ。
【0170】
50.
前記ポップアウト機構が、運動学的結合機構に基づく案内および位置決め機構を備える、条項30に記載のカメラ。
【0171】
51.
前記運動学的結合機構が、ピン‐溝アセンブリに基づくものである、条項50に記載のカメラ。
【0172】
52.
前記ポップアウト機構が、ピン‐溝アセンブリに基づく案内機構および磁力に基づく位置決め機構を備える、条項30に記載のカメラ。
【0173】
53.
マルチカメラであって、
第1の視野FOV1、および物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを有する第1のレンズアセンブリと、
センサ対角線SD1を有する第1のイメージセンサと、
2つの連続するレンズ素子間の最大のエアギャップdを制御して、第1のカメラを動作ポップアウト状態および収縮状態へと至らせる第1のポップアウト機構と、
を含む前記第1のカメラと、
FOV1より小さい第2の視野FOV2を有する第2のレンズアセンブリであって、物体側にあるL1から始まるM個(ただし、M≧4)のレンズ素子L1~LMを備える第2のレンズアセンブリと、
第2のカメラを動作状態および収縮状態へと作動させるよう構成された第2のポップアウト機構と、
を含みかつ7mm~18mmの第2のカメラ有効焦点距離EFL2を有する前記第2のカメラと、を備えるマルチカメラであって、
前記第1のレンズアセンブリは、第1の35mm換算焦点距離35eqFL1、前記動作状態における全トラック長TTL1および前記収縮状態における収縮全トラック長cTTL1を有し、SD1は7mm~20mmの範囲内にあり、cTTL1/SD1<0.6であり、
前記第2のレンズアセンブリは、第2の35mm換算焦点距離35eqFL2、前記動作状態における全トラック長TTL2および前記収縮状態における収縮全トラック長cTTL2を有し、cTTL/EFL<0.55である、マルチカメラ。
【0174】
54.
前記第1および前記第2のポップアウト機構が、それぞれの第1および第2の前記レンズアセンブリと係合可能なそれぞれの第1および第2の窓フレームを含み、
各窓フレームが、前記動作ポップアウト状態においてそれぞれの前記レンズアセンブリと接触せず、かつ、各窓フレームが、それぞれの前記レンズアセンブリを押して前記第1のカメラまたは前記第2のカメラのそれぞれを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である、条項53に記載のマルチカメラ。
【0175】
55.
cTTL1=cTTL2±10%である、条項53または54に記載のマルチカメラ。
【0176】
56.
35eqFL2≧1.5×35eqFL1である、条項53または54に記載のマルチカメラ。
【0177】
57.
35eqFL1が24mmより大きい、条項53または54に記載のマルチカメラ。
【0178】
58.
35eqFL2が45mmより大きい、条項53または54に記載のマルチカメラ。
【0179】
59.
マルチカメラであって、
物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを備えるワイドレンズアセンブリを担持する第1のレンズバレルと、
ワイドセンサ対角線SDWを有するイメージセンサと、
レンズ素子LNとLN-1との間のエアギャップdN-1を制御して、ワイドカメラを動作状態および収縮状態へと至らせる第1のポップアウト機構と、
を備えるワイドカメラと、
物体側にあるL1から始まるM個(ただし、M≧4)のレンズ素子L1~LMを備えるテレレンズアセンブリを担持する第2のレンズバレルと、
センサ対角線SDTを有するテレイメージセンサと、
レンズ素子LMと前記テレイメージセンサとの間のエアギャップを制御して、テレカメラを動作状態および収縮状態へと至らせる第2のポップアウト機構と、
を備えるテレカメラと、を備えるマルチカメラであって、
前記ワイドレンズアセンブリは、視野FOVW、前記動作状態における全トラック長TTLWおよび前記収縮状態における収縮全トラック長cTTLWを有し、SDWが10mm~16mmの範囲内にある場合、cTTLW/SDW<0.6であり、
前記テレレンズアセンブリは、FOVWよりも小さい視野FOVT、前記動作状態におけるTTLTおよび前記収縮状態におけるcTTLTを有し、cTTLW=cTTLT±10%であり、SDTが4.5mm~10mmの範囲内にある場合、cTTLT<EFLT<0.55である、マルチカメラ。
【0180】
60.
前記第1および前記第2のポップアウト機構が、それぞれの第1および第2の前記レンズバレルと係合可能なそれぞれの第1および第2の窓フレームを含み、
各窓フレームが、前記動作状態においてそれぞれの前記レンズバレルと接触せず、かつ、各窓フレームが、それぞれの前記光学素子モジュールを押して前記ワイドカメラまたは前記テレカメラのそれぞれを前記収縮状態へと至らせるよう動作可能である、条項59に記載のマルチカメラ。
【0181】
61.
デバイス外面を有するデバイス内に埋め込まれており、動作状態にあっては、前記マルチカメラが前記デバイス外面を越えて2mm~10mm延在し、非動作状態にあっては、前記マルチカメラが、前記デバイス外面を越えて2mm未満延在している、条項59または60に記載のマルチカメラ。
【0182】
62.
7mm<TTLW<13mmであり、1.0<TTLW/EFLW<1.3であり、かつdN-1がTTL/4より大きい、条項59に記載のマルチカメラ。
【0183】
63.
カメラであって、
物体側にあるL1から始まるN個(ただし、N≧4)のレンズ素子L1~LNを備えるレンズアセンブリと、
7mm~20mmの範囲内にあるセンサ対角線SDを有する湾曲したイメージセンサと、
LNと前記イメージセンサとの間のエアギャップdを制御して、前記カメラを動作ポップアウト状態および収縮状態へと至らせるポップアウト機構と、を備え、
前記レンズアセンブリは、前記動作ポップアウト状態にあっては全トラック長TTLを有し、前記収縮状態にあっては収縮全トラック長cTTLを有し、cTTL/SD<0.6であり、前記レンズアセンブリは、18mmより小さい35mm換算焦点距離35eqFLを有する、カメラ。
【0184】
本開示は特定の実施例、および一般的に関連する方法によって説明されてきたが、当該実施例および当該方法の変更および置き換え(並べ替え)は、当業者には明らかだろう。本開示は、本明細書中に記載の具体的な実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとして理解されるべきである。
【0185】
明確さのため別個の実施例の文脈中において説明された、本明細書で開示された主題の特定の特徴は、単一の実施例中で組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔さのため単一の実施例の文脈中において説明された、本明細書で開示された主題の種々の特徴は、別々に、または任意の適切な組み合わせにより、提供されてもよい。
【0186】
さらに、明確さのため、用語「実質的に」は、許容可能な範囲内の値の変動(バリエーション)の可能性を含意するために、本明細書中において使用されている。一例によれば、本明細書中において使用される用語「実質的に」は、任意の特定の値の最大10%上または最大10%下の変動の可能性を含意するものと解釈されるべきである。別の例によれば、本明細書中において使用される用語「実質的に」は、任意の特定の値の最大5%上または最大5%下の変動の可能性を含意するものと解釈されるべきである。さらに別の例によれば、本明細書中において使用される用語「実質的に」は、任意の特定の値の最大2.5%上または最大2.5%下の変動の可能性を含意するものと解釈されるべきである。
【0187】
特に明記しない限り、列挙された選択肢のうちの最後の二者間における表現「および/または」の使用は、当該列挙された選択肢のうちの1つ以上の選択肢を選択することが適切であり、かつ行われ得ることを示す。
【0188】
特許請求の範囲または明細書が冠詞「a」または「an」の付く要素に言及する場合、かかる言及は、その要素のうちの1つのみが存在しているものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0189】
この明細書において言及される全ての特許および特許出願は、あたかも個々の特許および特許出願の各々が参照により本明細書に組み込まれるよう具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願におけるいかなる参考文献の引用または同定も、かかる参考文献が本開示に対する先行技術として利用可能であることを容認するものとして解釈されるべきではない。