(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20241021BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023114091
(22)【出願日】2023-07-11
(62)【分割の表示】P 2020193679の分割
【原出願日】2017-01-05
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】牛居 智史
(72)【発明者】
【氏名】大山 茂人
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/010084(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/118995(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/037099(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/188520(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/019412(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を搬送する搬送経路に沿って配列した、前記回路基板に部品を実装する複数の部品実装機と、
前記複数の部品実装機の配列方向に前記部品実装機と並んで配置され、前記複数の部品実装機に対して交換可能な交換用のユニットを保管する保管庫と、
前記保管庫から離れた作業場所と前記保管庫との間を
自動走行し、前記交換用のユニットを積載して、前記保管庫まで運搬するとともに、前記複数の部品実装機から前記保管庫に回収されている交換済みのユニットを載せて前記作業場所に戻るユニット運搬装置と、
前記保管庫の前に移動して、前記保管庫から交換用のユニットを
取り出した後、自動交換しようとする部品実装機
の前へ移動し、当該部品実装機の自動交換が必要になったユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収する自動交換装置と
を備え、
前記ユニットは、カセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットであり、
前記ユニット運搬装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を運搬可能であり、
前記自動交換装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を交換可能である、部品実装システム。
【請求項2】
回路基板を搬送する搬送経路に沿って配列した、前記回路基板に部品を実装する複数の部品実装機と、
前記複数の部品実装機に対して交換可能な交換用のユニットを保管する保管庫と、
を備えた部品実装ラインが複数設けられた部品実装システムにおいて、
前記複数の部品実装ラインの前記保管庫に回収した交換済みのユニットのメンテナンスや修理を行うために前記複数の部品実装ラインの前記保管庫から離れた場所に位置する共通の作業場所と前記保管庫との間を
自動走行し、前記交換用のユニットを積載して、前記複数の部品実装ラインの前記保管庫まで運搬するとともに、前記複数の部品実装ラインの前記保管庫に回収されている前記交換済みのユニットを載せて前記作業場所に戻るユニット運搬装置と、
前記保管庫の前に移動して、前記保管庫から交換用のユニットを
取り出した後、自動交換しようとする部品実装機
の前へ移動し、当該部品実装機の自動交換が必要になったユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収する自動交換装置と
を備え、
前記ユニットは、カセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットであり、
前記ユニット運搬装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を運搬可能であり、
前記自動交換装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を交換可能である、部品実装システム。
【請求項3】
前記保管庫は、前記複数の部品実装機の配列方向において部品実装機に隣接して配置されている、請求項1又は2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットは、ノズル交換口を開閉するシャッタ機構を備え、
前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットと部品実装機との間で吸着ノズルを交換する際に、前記シャッタ機構により前記ノズル交換口を開放する、請求項1
乃至3のいずれかに記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、複数台の部品実装機を配列して構成した部品実装システムに関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品実装ラインは、回路基板を搬送する搬送経路に複数台の部品実装機を配列して構成され、各部品実装機で、フィーダから供給される部品を吸着ノズルで吸着して回路基板に実装して部品実装基板を生産する。生産中に、いずれかの部品実装機のフィーダが故障したり、吸着ノズルが破損や孔詰りすると、部品吸着ミス等の異常が発生するため、その異常を検出したときに当該部品実装機の稼働を停止して、作業者がフィーダや吸着ノズルを交換する作業を行った後に、当該部品実装機の稼働を再開するようにしている。また、フィーダや吸着ノズルも使用期間が長くなるに従って故障しやすくなるため、その故障を予防するために、定期的にフィーダや吸着ノズルを交換してメンテナンスする必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1(特開2002-190700号公報)の部品実装機では、生産中にフィーダ毎又は吸着ノズル毎に、部品吸着率、装着率、部品吸着位置ずれ量、装着位置ずれ量等を算出してメンテナンスが必要になったか否かを監視し、いずれかのフィーダや吸着ノズルのメンテナンスが必要になったときに、そのフィーダや吸着ノズルを表示部に表示して生産を停止し、作業者にフィーダや吸着ノズルのメンテナンスを行わせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メンテナンスが必要になったフィーダや吸着ノズルが表示部に表示されたときに、速やかに作業者が手作業で当該フィーダや吸着ノズルを部品実装機から取り外して交換用のフィーダや吸着ノズルを取り付けて生産を再開する必要があり、その作業が面倒である。しかも、メンテナンスが必要になったフィーダや吸着ノズルが表示部に表示されたときに、作業者が別の作業を行っている場合は、メンテナンスが必要になったフィーダや吸着ノズルをすぐに取り替えることができず、生産停止時間が長くなって、稼働率(生産性)が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の部品実装システムは、回路基板を搬送する搬送経路に沿って配列した、前記回路基板に部品を実装する複数の部品実装機と、前記複数の部品実装機の配列方向に前記部品実装機と並んで配置され、前記複数の部品実装機に対して交換可能な交換用のユニットを保管する保管庫と、前記保管庫から離れた作業場所と前記保管庫との間を自動走行し、前記交換用のユニットを積載して、前記保管庫まで運搬するとともに、前記複数の部品実装機から前記保管庫に回収されている交換済みのユニットを載せて前記作業場所に戻るユニット運搬装置と、前記保管庫の前に移動して、前記保管庫から交換用のユニットを取り出した後、自動交換しようとする部品実装機の前へ移動し、当該部品実装機の自動交換が必要になったユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収する自動交換装置とを備え、前記ユニットは、カセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットであり、前記ユニット運搬装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を運搬可能であり、前記自動交換装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を交換可能であることを特徴とするものである。
【0007】
この構成では、保管庫から離れた作業場所と前記保管庫との間を自動走行するユニット運搬装置が、交換用のユニットであるカセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットを積載して前記保管庫まで運搬するとともに、前記保管庫に回収されている交換済みのユニットであるカセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットを載せて前記作業場所に戻るようにしているため、作業場所と保管庫との間で交換用のユニットの補給及び交換済みのユニットの回収を能率良く行うことができる。しかも、自動交換装置が前記保管庫の前に移動して、保管庫から交換用のユニットを取り出した後、自動交換しようとする部品実装機の前へ移動し、当該部品実装機の自動交換が必要になったユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収するようにしているため、保管庫と各部品実装機との間で、交換用のユニットと交換済みのユニットとの入れ替えを能率良く行うことができ、各部品実装機から取り外した交換済みのユニットを能率良く回収することができる。
【0008】
請求項2に記載の部品実装システムは、回路基板を搬送する搬送経路に沿って配列した、前記回路基板に部品を実装する複数の部品実装機と、前記複数の部品実装機に対して交換可能な交換用のユニットを保管する保管庫と、を備えた部品実装ラインが複数設けられた部品実装システムにおいて、前記複数の部品実装ラインの前記保管庫に回収した交換済みのユニットのメンテナンスや修理を行うために前記複数の部品実装ラインの前記保管庫から離れた場所に位置する共通の作業場所と前記保管庫との間を自動走行し、前記交換用のユニットを積載して、前記複数の部品実装ラインの前記保管庫まで運搬するとともに、前記複数の部品実装ラインの前記保管庫に回収されている前記交換済みのユニットを載せて前記作業場所に戻るユニット運搬装置と、前記保管庫の前に移動して、前記保管庫から交換用のユニットを取り出した後、自動交換しようとする部品実装機の前へ移動し、当該部品実装機の自動交換が必要になったユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収する自動交換装置とを備え、前記ユニットは、カセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットであり、前記ユニット運搬装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を運搬可能であり、前記自動交換装置は、前記カセット式のフィーダ及び前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットの両方を交換可能であることを特徴とするものである。
【0009】
この構成では、作業場所とユニット運搬装置を、複数の部品実装ラインで共用するようにしたので、複数の部品実装ラインの保管庫への交換用のユニットの補給と、複数の部品実装ラインの保管庫に回収した交換済みのユニットであるカセット式のフィーダ及びカセット式の吸着ノズル交換ユニットのメンテナンスや修理を、共通の作業場所で同じ作業者が行うことが可能となり、各部品実装ライン毎に作業場所やユニット運搬装置を設ける必要がなく、その分、工場内に複数の部品実装ラインをコンパクトに設置できると共に、複数の部品実装ラインの管理に従事する作業者の人数を削減することができて、一層の省力化が可能となる利点がある。
【0010】
請求項3に記載の部品実装システムは、前記保管庫を、前記複数の部品実装機の配列方向において部品実装機に隣接して配置したことを特徴としている。
請求項4に記載の部品実装システムは、前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットは、ノズル交換口を開閉するシャッタ機構を備え、前記カセット式の吸着ノズル交換ユニットと部品実装機との間で吸着ノズルを交換する際に、前記シャッタ機構により前記ノズル交換口を開放することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の一実施例の部品実装ライン全体の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は自動交換装置と部品実装機の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は自動交換装置付きの部品実装ラインの管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4はカセット式のフィーダを示す斜視図である。
【
図5】
図5はカセット式の吸着ノズル交換ユニットを示す斜視図である。
【
図6】
図6はカセット式の吸着ノズル交換ユニットから回転型ノズルステーションを取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施例を説明する。
まず、
図1乃至
図6に基づいて部品実装ライン10の構成を説明する。
部品実装ライン10は、回路基板11の搬送方向(X方向)に沿って複数台の部品実装機12を配列して構成され、該部品実装ライン10の基板搬入側には、回路基板11に半田を印刷する半田印刷機(図示せず)や、カセット式のフィーダ14(
図4参照)とカセット式の吸着ノズル交換ユニット81(
図5及び
図6参照)を保管する保管庫19等が設置されている。本実施例では、カセット式のフィーダ14とカセット式の吸着ノズル交換ユニット81が自動交換可能なユニットとなっている。
【0014】
図2に示すように、各部品実装機12には、回路基板11を搬送する2本のコンベア13と、カセット式のフィーダ14から供給される部品を吸着して回路基板11に実装する吸着ノズル(図示せず)を交換可能に保持する実装ヘッド15と、この実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるヘッド移動装置16と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置23等が設けられている。
【0015】
部品実装ライン10の各部品実装機12は、上流側の部品実装機12から搬送されてくる回路基板11をコンベア13によって所定位置まで搬送してクランプ機構(図示せず)で該回路基板11をクランプして、カセット式のフィーダ14から供給される部品を、実装ヘッド15の吸着ノズルで吸着して、その吸着位置から撮像位置へ移動させて、該部品をその下面側から部品撮像用カメラ(図示せず)で撮像して該部品の吸着位置ずれ量等を判定した後、その吸着位置ずれ量を補正して該部品をコンベア13上の回路基板11に実装して部品実装基板を生産する。
【0016】
次に、
図4を用いてカセット式のフィーダ14の構成を説明する。
カセット式のフィーダ14のカセットケース32は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース32内には、部品供給テープ33が巻回されたテープリール34を着脱可能(交換可能)に装填するテープ装填部35が設けられている。テープ装填部35の中心には、テープリール34を回転可能に保持するリール保持軸36が設けられている。
【0017】
カセットケース32内には、テープリール34から引き出した部品供給テープ33を部品吸着位置へ送るテープ送り機構38と、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33からトップフィルム40(カバーテープとも呼ばれる)を剥離して該部品供給テープ33内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構39とが設けられている。
【0018】
テープ送り機構38は、部品吸着位置の下方付近に設けられたスプロケット42と、このスプロケット42を回転駆動するモータ43等から構成され、部品供給テープ33の片方の側縁に所定ピッチで形成されたテープ送り穴にスプロケット42の歯を噛み合わせて該スプロケット42を回転させることで、部品供給テープ33を部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0019】
トップフィルム剥離機構39は、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33を押さえて該部品供給テープ33の上面からトップフィルム40を剥離するためのテープ押え45と、該テープ押え45で剥離したトップフィルム40をテープ送り方向とは逆方向に引っ張ってカセットケース32の上部のトップフィルム回収部46内へ送り込むトップフィルム送りギア機構47と、該トップフィルム送りギア機構47を駆動するモータ48等から構成されている。
【0020】
カセットケース32のうちのテープ送り方向側の端縁部には、部品吸着位置を通過して部品が取り出された廃棄テープ33a(本実施例1ではトップフィルム40が剥離されたキャリアテープのみ)を下方に案内して排出する廃棄テープ排出通路50が下方に延びるように設けられ、該廃棄テープ排出通路50の出口50aがカセットケース32のテープ送り方向側の端面の中央より下側の位置に設けられている。
【0021】
カセットケース32内には、テープ送り機構38のモータ43やトップフィルム剥離機構39のモータ48を制御する制御装置52が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース32には、部品実装機12側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。
【0022】
次に、
図5及び
図6を用いてカセット式の吸着ノズル交換ユニット81の構成を説明する。
カセット式の吸着ノズル交換ユニット81のカセットケース83は、カセット式のフィーダ14と同様に、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース83内には、円盤状の回転型ノズルステーション84を着脱可能(交換可能)に装填する円形凹部形状のノズルステーション装填部85が設けられ、該ノズルステーション装填部85の中心に駆動軸86(
図6参照)がカセットケース83の幅方向内側に向けて設けられ、該駆動軸86に、回転型ノズルステーション84の中心部が回転伝達可能且つ着脱可能に連結されるようになっている。回転型ノズルステーション84の外周部には、部品実装機12の実装ヘッド15の吸着ノズルと交換するための複数の吸着ノズル87を所定ピッチで放射状に配列して着脱可能に保持するように構成されている。
【0023】
一方、カセットケース83内には、回転型ノズルステーション84を回転させる回転駆動装置88が設けられている。この回転駆動装置88は、駆動源となるモータ89と、このモータ89の回転を駆動軸86に伝達するギア機構90とから構成されている。
【0024】
カセットケース83の上端面のうちの回転型ノズルステーション84の最上端(回転型ノズルステーション84の中心の真上方向)に対応する位置には、ノズル交換口91が形成され、該ノズル交換口91を通して回転型ノズルステーション84と部品実装機12の実装ヘッド15との間で吸着ノズル87の交換を行うようになっている。カセットケース83には、ノズル交換口91を開閉するシャッタ機構92が設けられている。シャッタ機構92は、ノズル交換口91に沿ってスライド移動するシャッタ板93と、駆動源となるモータ94と、このモータ94の回転を直線運動に変換する送りギア95と、この送りギア95とシャッタ板93との間を連結するリンク部材96とから構成されている。
【0025】
部品実装機12のフィーダセット部24にセットしたカセット式の吸着ノズル交換ユニット81内の吸着ノズル87を部品実装機12の実装ヘッド15に保持させる場合は、該実装ヘッド15を吸着ノズル交換ユニット81のノズル交換口91の上方へ移動させると共に、シャッタ機構92のシャッタ板93を開放動作させてノズル交換口91を開放する。そして、吸着ノズル交換ユニット81内の回転型ノズルステーション84を適宜回転させて、今回の交換対象となる吸着ノズル87をノズル交換口91に位置させた後、該実装ヘッド15のノズルホルダ(図示せず)を下降させて該ノズル交換口33を通して該実装ヘッド15のノズルホルダに該吸着ノズル87を保持させてから、該実装ヘッド15のノズルホルダを上昇させて該吸着ノズル87を回転型ノズルステーション84から取り出す。
【0026】
尚、実装ヘッド15のノズルホルダに保持した吸着ノズルを吸着ノズル交換ユニット81内の回転型ノズルステーション84の空きスロットに戻す場合は、回転型ノズルステーション84を適宜回転させて、回転型ノズルステーション84の空きスロットをノズル交換口33に位置させると共に、該実装ヘッド15のノズルホルダを下降させて、該実装ヘッド15のノズルホルダに保持した吸着ノズルを回転型ノズルステーション84の空きスロットに戻すようにすれば良い。
【0027】
カセットケース83内には、回転駆動装置88のモータ89とシャッタ機構92のモータ94を制御する制御装置97が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース83には、部品実装機12側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。
【0028】
図1に示すように、部品実装ライン10の前面側には、各部品実装機12のフィーダセット部24へのカセット式のフィーダ14のセット及び取り外しを行う自動交換装置26が設置されている。この自動交換装置26は、各部品実装機12のフィーダセット部24へのカセット式の吸着ノズル交換ユニット81のセット及び取り外しも行う。
【0029】
各部品実装機12のフィーダセット部24の下方に、当該フィーダセット部24にセットする交換用の複数のフィーダ14及び吸着ノズル交換ユニット81を一時的に収納するストック部71が設けられている。自動交換装置26は、各部品実装機12のフィーダセット部24から交換対象のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を取り出してストック部71に回収すると共に、ストック部71から生産ジョブ(生産プログラム)で指定されたフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を取り出して各部品実装機12のフィーダセット部24にセットする。この際、部品実装機12のストック部71に交換用のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81が収納されていない場合は、後述するように、自動交換装置26は、保管庫19から交換用のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を受け取って当該部品実装機12へ移動して当該交換用のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を自動交換する。
【0030】
部品実装ライン10の前面側には、部品実装機12の配列に沿って自動交換装置26を左右方向(X方向)に移動させるガイドレール74が部品実装ライン10全体にX方向に延びるように設けられ、自動交換装置26が部品実装ライン10の最上流の保管庫19と最下流の部品実装機12との間を移動するようになっている。自動交換装置26は、保管庫19から生産ジョブで指定されたフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を取り出して、指定された部品実装機12のストック部71へ搬送したり、使用済みのフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81をストック部71から取り出して保管庫19内に回収する。
【0031】
図3に示すように、部品実装ライン10の各部品実装機12の制御装置20と自動交換装置26の制御装置27は、部品実装ライン10全体を管理する生産管理用コンピュータ70(管理装置)と有線LAN又は無線LAN等のネットワーク28を介して相互に通信可能に接続され、該生産管理用コンピュータ70によって部品実装ライン10の各部品実装機12の動作と自動交換装置26の動作が管理される。
【0032】
更に、本実施例の部品実装ライン10は、作業者が作業する作業場所と保管庫19との間を自動走行するユニット運搬装置76(
図1参照)を備え、前記作業場所で作業者がユニット運搬装置76に交換用のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を積載してユニット運搬装置76が保管庫19まで運搬し、ユニット運搬装置76が交換用のフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を保管庫19に積み替えると共に、保管庫19に回収されている交換済みのフィーダ14や交換済みの吸着ノズル交換ユニット81をユニット運搬装置76に載せて前記作業場所に戻る。尚、ユニット運搬装置76には、保管庫19との間でフィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81を載せ替えるユニット載替え機構(図示せず)が搭載されている。
【0033】
生産管理用コンピュータ70は、無線LAN等でユニット運搬装置76と通信して、該ユニット運搬装置76の動作も管理する。本実施例では、作業者が作業する作業場所とユニット運搬装置76は、複数本の部品実装ライン10で共用するようにしている。
【0034】
各部品実装機12の制御装置20は、各部品実装機12の自動交換可能なユニットである、フィーダ14と吸着ノズル交換ユニット81の動作状況を監視して当該自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを監視する動作監視装置としても機能する。以下の説明において、「自動交換可能なユニット」とは、「フィーダ14」と「吸着ノズル交換ユニット81」のどちらかを意味する。
【0035】
具体的には、各部品実装機12の制御装置20は、自動交換可能なユニットである、フィーダ14のテープの送り時間、吸着ノズルの流量、ノズル長さ、実装ヘッド15の軸動作時間、バルブ動作時間を監視して、それらが所定の閾値を超えか否かで当該自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを監視する。或は、自動交換可能なユニットの動作状況から、故障の有無、積算動作時間、動作回数、エラー発生率(例えば部品吸着不良の発生率、吸着ノズル交換ユニット81の動作不良による吸着ノズル交換ミス等の発生率)、エラー発生回数のうちの少なくとも1つを監視して当該自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを監視するようにしても良い。例えば、積算動作時間、動作回数、エラー発生率、エラー発生回数が各々に設定された所定の閾値(判断基準)を超えた時点で、自動交換可能なユニットの交換が必要になったと判断して、その情報を生産管理用コンピュータ70へ送信する。これにより、生産管理用コンピュータ70は、ユニット交換が必要になった部品実装機12へ自動交換装置26を移動させて当該部品実装機12の自動交換可能なユニットを自動交換装置26によって交換用のユニットと自動交換させる。
【0036】
更に、本実施例では、各部品実装機12の制御装置20が自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを判断する判断基準を、作業者が変更する判断基準変更部(図示せず)が設けられている。このようにすれば、例えば、作業者がメンテナンスによる交換回数が多すぎると思えば、メンテナンスによる交換回数を減らすように判断基準を変更し、故障による交換回数が多すぎると思えば、メンテナンスによる交換回数を増やすように判断基準を変更することが可能となる。これにより、メンテナンスによる交換回数と故障による交換回数が両方とも少なくなるように作業者が判断基準を変更することが可能となる。尚、判断基準変更部は、部品実装機12の制御装置20に接続されたキーボード、マウス、タッチパネル等の入力操作装置(図示せず)を用いて構成すれば良い。
【0037】
また、各部品実装機12の制御装置20は、自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になる時期を予想できた場合には、当該自動交換可能なユニットの交換に関する情報を事前に生産管理用コンピュータ70へ送信する。そして、生産管理用コンピュータ70は、部品実装機12の制御装置20から事前に当該部品実装機12の自動交換可能なユニットの交換に関する情報を受信したときに、当該自動交換可能なユニットの交換の準備のために、自動交換装置26を当該部品実装機12又はその近くまで移動させて待機させるようにしている。このようにすれば、各部品実装機の自動交換可能なユニットの交換を短時間で行うことができ、交換による生産停止時間を減らして稼働率(生産性)を向上させることができる。
【0038】
更に、生産管理用コンピュータ70は、各部品実装機12の自動交換可能なユニットの交換の準備のために、自動交換装置26が自動交換可能なユニットの自動交換を行わない期間を利用して、自動交換装置26を各部品実装機12へ移動させてストック部71に交換用のユニットを収容すると共に、ストック部71から交換済みのユニットを回収するようにしている。このようにしても、各部品実装機12の自動交換可能なユニットの交換を能率良く行うことができる。
【0039】
以上説明した本実施例によれば、各部品実装機12の制御装置20が自動交換可能なユニットの動作状況を監視して当該自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを監視し、いずれかの部品実装機12の自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったと判断したときに、生産管理用コンピュータ70が当該部品実装機12へ自動交換装置26を移動させて当該部品実装機12の自動交換可能なユニットを自動交換装置26によって交換用のユニットと自動交換させるようにしたので、いずれかの部品実装機12の自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったときに、作業者が当該部品実装機12の自動交換可能なユニットを交換する作業を行わずに済み、作業者の作業量を軽減できる。しかも、部品実装機12の自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったときに、当該自動交換可能なユニットを自動交換装置26によって速やかに自動交換することができて、生産を早期に再開することができ、稼働率(生産性)をさほど低下させずに済む利点もある。
【0040】
しかも、部品実装ライン10には、複数台の部品実装機12の自動交換可能なユニットと交換する交換用のユニットを保管する保管庫19を設け、自動交換装置26は、生産管理用コンピュータ70からの指示に従って、保管庫19から交換用のユニットを受け取って、自動交換しようとする部品実装機12へ移動して当該部品実装機12の自動交換可能なユニットを前記交換用のユニットと自動交換し、回収した交換済みのユニットを保管庫19に載せ替えるようにしたので、保管庫19と各部品実装機12との間で、交換用のユニットと交換済みのユニットとの入れ替えを能率良く行うことができ、各部品実装機12から取り外した交換済みのユニットを能率良く回収することができる。
【0041】
更に、作業者が作業する作業場所と保管庫19との間を移動するユニット運搬装置76を備え、前記作業場所で作業者がユニット運搬装置76に交換用のユニットを積載してユニット運搬装置76が保管庫19まで運搬し、そのユニット運搬装置76が前記交換用のユニットを保管庫19に積み替えると共に、この保管庫19に回収されている交換済みのユニットをユニット運搬装置76に載せて前記作業場所に戻るようにしたので、保管庫19から離れた作業場所で、作業者が交換用のユニットの補給と、回収した交換済みのユニットのメンテナンスや修理を能率良く行うことができる。但し、本発明は、ユニット運搬装置76を省略して、保管庫19への交換用のユニットの補給と保管庫19からの交換済みのユニットの回収を作業者が手作業で行うようにしても良い。
【0042】
また、本実施例では、作業場所とユニット運搬装置76を、複数本の部品実装ライン10で共用するようにしたので、複数本の部品実装ライン10の保管庫19への交換用のユニットの補給と、複数本の部品実装ライン10から回収した交換済みのユニットのメンテナンスや修理を、共通の作業場所で同じ作業者が行うことが可能となり、各部品実装ライン10毎に作業場所やユニット運搬装置76を設ける必要がなく、その分、工場内に複数本の部品実装ライン10をコンパクトに設置できると共に、複数本の部品実装ライン10の管理に従事する作業者の人数を削減することができて、一層の省力化が可能となる。但し、本発明は、各部品実装ライン10毎に別の作業場所とユニット運搬装置76を設けるようにしても良い。
【0043】
尚、本実施例では、各部品実装機12の制御装置20が自動交換可能なユニットの動作状況を監視して当該自動交換可能なユニットのメンテナンス又は故障による交換が必要になったか否かを監視する動作監視装置として機能するように構成したが、生産管理用コンピュータ70等の外部のコンピュータを動作監視装置として用いて、複数台の部品実装機12の自動交換可能なユニットの動作状況を集中的に監視するようにしても良い。
【0044】
また、各部品実装機12の自動交換可能なユニットは、フィーダ14と吸着ノズル交換ユニット81に限定されず、例えば、部品実装機12に実装ヘッド15が自動交換可能に保持されている場合は、実装ヘッド15も自動交換可能なユニットとしても良く、また、実装ヘッド15に、部品を把持するチャックが吸着ノズルと交換可能に保持されている場合は、チャックも自動交換可能なユニットとしても良い。
【0045】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、部品実装ライン10の構成を変更したり、自動交換装置26やユニット運搬装置76の構成を変更したり、フィーダ14や吸着ノズル交換ユニット81の構成を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10…部品実装ライン、11…回路基板、12…部品実装機、14…カセット式のフィーダ、15…実装ヘッド、16…ヘッド移動装置、19…保管庫、20…部品実装機の制御装置(動作監視装置)、24…フィーダセット部、26…自動交換装置、70…生産管理用コンピュータ(管理装置)、71…ストック部、76…ユニット運搬装置、81…カセット式の吸着ノズル交換ユニット、87…吸着ノズル