(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241021BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G05D1/43
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2023134870
(22)【出願日】2023-08-22
(62)【分割の表示】P 2019103975の分割
【原出願日】2019-06-03
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平中 貴士
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-296229(JP,A)
【文献】特開2015-138418(JP,A)
【文献】特開2001-126189(JP,A)
【文献】特開2000-137522(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人ダンプトラックと有人ダンプトラックとが混在して稼働する作業現場において前記有人ダンプトラックによる排土位置を特定する特定部と、
前記有人ダンプトラックによる前記排土位置に基づいて、前記排土位置を避けるように前記無人ダンプトラックの走行を制御する動作制御部と、を備え
、
前記有人ダンプトラックは、前記有人ダンプトラックの位置を検出する位置センサと、前記有人ダンプトラックのダンプボディに積荷が積載されているか否かを検出する積荷センサと、を有し、
前記特定部は、前記位置センサの検出データと前記積荷センサの検出データとに基づいて、前記排土位置を特定する、
作業現場の管理システム。
【請求項2】
前記無人ダンプトラック又は前記有人ダンプトラックが有する障害物センサの検出データに基づいて、前記排土位置を補正する補正部を備え、
前記動作制御部は、前記補正部により補正された前記排土位置に基づいて、前記無人ダンプトラックの走行を制御する、
請求項
1に記載の作業現場の管理システム。
【請求項3】
無人ダンプトラックと有人ダンプトラックとが混在して稼働する作業現場において前記有人ダンプトラックによる排土位置を特定することと、
前記有人ダンプトラックによる前記排土位置に基づいて、前記排土位置を避けるように前記無人ダンプトラックの走行を制御することと、を含
み、
前記有人ダンプトラックに設けられ前記有人ダンプトラックの位置を検出する位置センサの検出データと、前記有人ダンプトラックに設けられ前記有人ダンプトラックのダンプボディに積荷が積載されているか否かを検出する積荷センサの検出データとに基づいて、前記排土位置を特定する、
作業現場の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山のような広域の作業現場において、無人車両が稼働する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場において、無人車両と一緒に有人車両が稼働する場合がある。有人車両が積荷を運搬する運搬車両である場合、有人車両の積荷は、有人車両の運転者により任意の位置に排出される可能性がある。有人車両から積荷が排出された排土位置と無人車両が走行しようとするコースとが重なると、無人車両の円滑な動作が妨げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に従えば、無人車両と有人車両とが混在して稼働する作業現場において前記有人車両による排土位置を特定する特定部と、前記排土位置に基づいて、前記無人車両の動作を制御する動作制御部と、を備える、作業現場の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の態様によれば、無人車両は円滑に動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る管理システム、無人車両、及び有人車両の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る作業現場の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る排土位置の特定方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る走行コースデータの変更方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る管理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
<管理システム>
図1は、本実施形態に係る管理システム1、無人車両2、及び有人車両9の一例を模式的に示す図である。作業現場において、無人車両2と有人車両9とが混在して稼働する。本実施形態において、作業現場は、鉱山又は採石場である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。
【0010】
無人車両2とは、運転者による運転操作によらずに無人で稼動する車両をいう。有人車両9とは、運転者の運転操作により稼働する車両をいう。
【0011】
無人車両2及び有人車両9は、作業現場を走行して積荷を運搬する運搬車両の一種であるダンプトラックである。無人車両2及び有人車両9に運搬される積荷として、鉱山又は採石場において掘削された鉱石又は土砂が例示される。
【0012】
管理システム1は、管理装置3と、通信システム4と、無人車両2と、有人車両9とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含み、例えば作業現場の管制施設5に設置される。通信システム4は、管理装置3と無人車両2と有人車両9との間で通信する。管理装置3に無線通信機6が接続される。通信システム4は、無線通信機6を含む。管理装置3と無人車両2と有人車両9とは、通信システム4を介して無線通信する。
【0013】
<無人車両>
無人車両2は、管理装置3から送信された走行コースデータに基づいて、作業現場を走行する。無人車両2は、走行装置21と、走行装置21に支持される車両本体22と、車両本体22に支持されるダンプボディ23と、制御装置30とを備える。
【0014】
走行装置21は、走行装置21を駆動する駆動装置24と、走行装置21を制動するブレーキ装置25と、走行方向を調整する操舵装置26と、車輪27とを有する。
【0015】
車輪27が回転することにより、無人車両2は自走する。車輪27は、前輪27Fと後輪27Rとを含む。車輪27にタイヤが装着される。
【0016】
駆動装置24は、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24は、ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。なお、駆動装置24は、電動機を含んでもよい。駆動装置24で発生した動力が後輪27Rに伝達される。ブレーキ装置25は、無人車両2を減速又は停止させるための制動力を発生する。操舵装置26は、無人車両2の走行方向を調整可能である。無人車両2の走行方向は、車両本体22の前部の向きを含む。操舵装置26は、前輪27Fを操舵することによって、無人車両2の走行方向を調整する。
【0017】
ダンプボディ23は、積荷が積載される部材である。ダンプボディ23は、ホイストシリンダの駆動により昇降する。ダンプボディ23が上昇することにより、ダンプボディ23から積荷が排出されるダンプ動作が実行される。
【0018】
制御装置30は、無人車両2の外部に存在する管理装置3と通信可能である。制御装置30は、駆動装置24を作動するためのアクセル指令、ブレーキ装置25を作動するためのブレーキ指令、及び操舵装置26を作動するためのステアリング指令を出力する。駆動装置24は、制御装置30から出力されたアクセル指令に基づいて、無人車両2を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24の出力が調整されることにより、無人車両2の走行速度が調整される。ブレーキ装置25は、制御装置30から出力されたブレーキ指令に基づいて、無人車両2を減速させるための制動力を発生する。操舵装置26は、制御装置30から出力されたステアリング指令に基づいて、無人車両2を直進又は旋回させるために前輪27Fの向きを変えるための力を発生する。
【0019】
また、無人車両2は、無人車両2の位置を検出する位置センサ28を備える。無人車両2の位置が、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定される無人車両2の絶対位置を検出する。全地球航法衛星システムにより、グローバル座標系において規定される無人車両2の位置が検出される。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置センサ28は、GNSS受信機を含み、無人車両2の絶対位置(座標)を検出する。
【0020】
また、無人車両2は、無線通信機29を備える。通信システム4は、無線通信機29を含む。無線通信機29は、管理装置3と無線通信可能である。
【0021】
また、無人車両2は、積荷センサ11と、障害物センサ12と、速度センサ13とを備える。
【0022】
積荷センサ11は、積荷が積載されるダンプボディ23の状態を検出する。積荷センサ11は、ダンプボディ23に積荷が積載されているか否かを検出する。積荷センサ11は、ダンプボディ23の重量を検出する重量センサを含む。重量センサの検出データに基づいて、ダンプボディ23の重量が規定値以上であると判定された場合、ダンプボディ23に積荷が積載されていると判定される。重量センサの検出データに基づいて、ダンプボディ23の重量が規定値未満であると判定された場合、ダンプボディ23に積荷が積載されていないと判定される。なお、積荷センサ11は、ダンプボディ23の昇降状態を検出する昇降センサを含んでもよい。昇降センサの検出データに基づいて、ダンプボディ23が下降していると判定された場合、ダンプボディ23に積荷が積載されていると判定される。昇降センサの検出データに基づいて、ダンプボディ23が上昇していると判定された場合、ダンプボディ23に積荷が積載されていないと判定される。
【0023】
障害物センサ12は、無人車両2の前方の障害物を検出する。障害物センサ12は、障害物を非接触で検出する。障害物センサ12は、無人車両2と障害物との相対位置を検出する。障害物センサ12として、障害物を電波で走査して、無人車両2と障害物との相対位置を検出可能なレーダセンサが例示される。なお、障害物センサ12は、障害物をレーザ光で走査して、無人車両2と障害物との相対位置を検出可能なレーザセンサを含んでもよい。無人車両2に設けられる障害物センサ12は、1つでもよいし複数でもよい。また、無人車両2の後方の障害物を検出する障害物センサ12が無人車両2に設けられる。
【0024】
速度センサ13は、無人車両2の走行速度を検出する。
【0025】
<有人車両>
有人車両9は、有人車両9の運転室に搭乗した運転者の運転操作に基づいて、作業現場を走行する。有人車両9は、走行装置21と、車両本体22と、ダンプボディ23と、位置センサ28と、無線通信機29と、積荷センサ11と、障害物センサ12と、制御装置40とを備える。走行装置21は、駆動装置24と、ブレーキ装置25と、操舵装置26と、前輪27F及び後輪27Rを含む車輪27とを含む。
【0026】
有人車両9の位置センサ28は、有人車両9の位置を検出する。有人車両9の無線通信機29は、管理装置3と無線通信可能である。
【0027】
有人車両9の積荷センサ11は、有人車両9のダンプボディ23の状態を検出する。有人車両9の積荷センサ11は、無人車両2の積荷センサ11と同様である。すなわち、有人車両9の積荷センサ11は、ダンプボディ23に積荷が積載されているか否かを検出する。有人車両9の積荷センサ11は、例えばダンプボディ23の重量を検出する重量センサでもよいし、ダンプボディ23の昇降状態を検出する昇降センサでもよい。
【0028】
有人車両9の障害物センサ12は、有人車両9の前方の障害物を検出する。有人車両9の障害物センサ12は、無人車両2の障害物センサ12と同様である。すなわち、有人車両9の障害物センサ12は、障害物を非接触で検出する。障害物センサ12は、レーダセンサでもよいし、レーザセンサでもよい。有人車両9に設けられる障害物センサ12は、1つでもよいし複数でもよい。また、有人車両9の後方の障害物を検出する障害物センサ12が有人車両9に設けられる。
【0029】
有人車両9の速度センサ13は、有人車両9の走行速度を検出する。
【0030】
制御装置40は、有人車両9の外部に存在する管理装置3と通信可能である。駆動装置24を作動するためのアクセルペダル、ブレーキ装置25を作動するためのブレーキペダル、及び操舵装置26を作動するためのステアリングホイールが運転室に配置される。アクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイールは、運転者に操作される。駆動装置24は、アクセルペダルの操作量に基づいて、有人車両9を加速させるための駆動力を発生する。駆動装置24の出力が調整されることにより、有人車両9の走行速度が調整される。ブレーキ装置25は、ブレーキペダルの操作量に基づいて、有人車両9を減速させるための制動力を発生する。操舵装置26は、ステアリングホイールの操作量に基づいて、有人車両9を直進又は旋回させるために前輪27Fの向きを変えるための力を発生する。
【0031】
<作業現場>
図2は、実施形態に係る作業現場の一例を模式的に示す図である。無人車両2及び有人車両9は、鉱山の作業場PA及び作業場PAに通じる走行路HLの少なくとも一部を走行する。作業場PAは、積込場LPA及び排土場DPAの少なくとも一方を含む。走行路HLは、交差点ISを含む。
【0032】
積込場LPAとは、無人車両2及び有人車両9に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアをいう。積込場LPAにおいて、積込機7が稼働する。積込機7は、作業機を有する油圧ショベルである。排土場DPAとは、無人車両2及び有人車両9から積荷が排出される排土作業が実施されるエリアをいう。
【0033】
無人車両2は、無人車両2の走行条件を示す走行コースデータに基づいて、作業現場を走行する。
図2に示すように、走行コースデータは、間隔をあけて設定された複数のコース点CPを含む。コース点CPは、無人車両2の目標位置を規定する。複数のコース点CPのそれぞれに、無人車両2の目標走行速度及び目標走行方位が設定される。また、走行コースデータは、無人車両2の目標走行経路を示す走行コースCRを含む。走行コースCRは、複数のコース点CPを結ぶ線によって規定される。
【0034】
走行コースCRは、走行路HL及び作業場PAに設定される。無人車両2は、走行コースCRに従って、走行路HLを走行する。
【0035】
走行コースデータは、管理装置3において生成される。管理装置3は、生成した走行コースデータを、通信システム4を介して無人車両2の制御装置30に送信する。制御装置30は、走行コースデータに基づいて、無人車両2が走行コースCRに従って走行し、複数のコース点CPのそれぞれに設定されている目標走行速度及び目標走行方位に従って走行するように、走行装置21を制御する。
【0036】
本実施形態においては、走行路HL及び作業場PAにおいて、無人車両2と有人車両9とが混在して稼働する。例えば、運搬車両として有人車両9のみが稼働する作業現場から無人車両2のみが稼働する作業現場に移行させる場合、移行期間において、無人車両2及び有人車両9の両方が作業現場において稼働する。
【0037】
<管理装置及び制御装置>
図3は、本実施形態に係る管理システム1の一例を示す機能ブロック図である。管理システム1は、管理装置3と、制御装置30と、制御装置40とを含む。
【0038】
管理装置3は、走行コースデータ生成部3Aと、特定部3Bと、走行コースデータ変更部3Cと、補正部3Dと、出力部3Eとを有する。
【0039】
走行コースデータ生成部3Aは、無人車両2の走行コースデータを生成する。走行コースデータ生成部3Aにより生成された走行コースデータは、出力部3Eを介して無人車両2に出力される。走行コースデータは、出力部3Eから無人車両2の制御装置30に送信される。
【0040】
特定部3Bは、作業現場において有人車両9による排土位置Mを特定する。排土位置Mとは、作業現場において有人車両9から積荷が排出される位置をいう。本実施形態において、排土位置Mは、有人車両9から排出された積荷の位置、及び積荷を排出するときの有人車両9の位置の一方又は両方を含む概念である。また、排土位置Mは、積荷を排出するときの有人車両9の位置を含む所定エリアでもよい。排土位置Mは、例えば、積荷を排出するときの有人車両9の位置を中心とする半径5mのサークルの範囲でもよい。
【0041】
特定部3Bは、有人車両9が有する積荷センサ11の検出データと、有人車両9が有する位置センサ28の検出データとに基づいて、排土位置Mを特定する。積荷センサ11の検出データ、及び位置センサ28の検出データは、通信システム4を介して管理装置3に送信される。
【0042】
図4は、本実施形態に係る排土位置Mの特定方法を説明するための図である。有人車両9の運転者は、排土場DPAの任意の位置に積荷を排出することができる。有人車両9から積荷が排出されるとき、有人車両9の走行は停止される。有人車両9の走行が停止した状態で、ダンプボディ23が上昇することにより、
図4に示すように、排土場DPAの任意の位置に積荷が排出される。有人車両9から積荷が排出されるときの有人車両9の位置は、位置センサ28により検出される。ダンプボディ23から積荷が排出されたことは、積荷センサ11により検出される。したがって、特定部3Bは、有人車両9が有する積荷センサ11の検出データと、有人車両9が有する位置センサ28の検出データとに基づいて、有人車両9による排土位置Mを特定することができる。
【0043】
なお、有人車両9に位置センサ28が複数設けられている場合、特定部3Bは、複数の位置センサ28のそれぞれの検出データに基づいて、有人車両9が積荷を排出するときの有人車両9の方位を特定することができる。したがって、特定部3Bは、積荷を排出するときの有人車両9の位置と、有人車両9の方位とに基づいて、有人車両9から排出された積荷の位置を特定することができる。
【0044】
なお、特定部3Bは、有人車両9が有する積荷センサ11の検出データと、有人車両9が有する位置センサ28の検出データと、速度センサ13の検出データとに基づいて、排土位置Mを特定してもよい。有人車両9から積荷が排出されるとき、有人車両9の走行は停止される。そのため、積荷センサ11の検出データ及び位置センサ28の検出データのみならず、速度センサ13の検出データも考慮されることにより、特定部3Bは、排土位置Mを高精度に特定することができる。
【0045】
また、特定部3Bは、有人車両9が有する位置センサ28の検出データと、速度センサ13の検出データとに基づいて、排土位置Mを特定してもよい。排土場DPAにおいて有人車両9から積荷が排出されるとき、有人車両9は一定時間停車する。そのため、特定部3Bは、位置センサ28の検出データに基づいて、有人車両9が排土場DPAにおいて一定時間停車後に、排土場DPAから退出したと判定した場合、有人車両9が一定時間停車した位置を排土位置Mとして特定してもよい。
【0046】
また、位置センサ28により有人車両9の方位が検出され、位置センサ28の検出データが有人車両9の方位を含む場合、排土位置Mの特定において有人車両9の方位も考慮されることにより、特定部3Bは排土位置Mを高精度に特定することができる。
【0047】
走行コースデータ変更部3Cは、特定部3Bにより特定された排土位置Mに基づいて、無人車両2の走行コースデータを変更する。
【0048】
図5は、本実施形態に係る走行コースデータの変更方法を説明するための図である。無人車両2は、走行コースデータに従って走行する。走行コースデータは、走行コースCRを含む。
図5に示すように、有人車両9は、走行コースCR上に積荷を排出してしまう可能性がある。走行コースCR上に積荷が排出された場合、走行コースデータ変更部3Cは、特定部3Bにより特定された排土位置Mに基づいて、排土位置Mを避けるように、走行コースCRを変更する。これにより、無人車両2が有人車両9から排出された積荷に向かって走行することが抑制される。無人車両2は円滑に走行することができる。
【0049】
補正部3Dは、無人車両2が有する障害物センサ12の検出データに基づいて、特定部3Bにより特定された排土位置Mを補正する。障害物センサ12は、無人車両2と排土位置Mに存在する積荷との相対位置を検出することができる。また、障害物センサ12は、排土位置Mに存在する積荷の大きさを検出することができる。無人車両2の位置は、無人車両2が有する位置センサ28により検出される。補正部3Dは、位置センサ28の検出データと障害物センサ12の検出データとに基づいて、排土位置Mに存在する積荷の位置を算出する。位置センサ28の検出データと障害物センサ12の検出データとに基づいて算出される積荷の位置は、有人車両9が有する積荷センサ11の検出データと有人車両9が有する位置センサ28の検出データとに基づいて特定される排土位置Mよりも高い信頼性を有する可能性が高い。また、障害物センサ12により、排土位置Mに存在する積荷の大きさ(積荷が存在する範囲)が特定される。無人車両2が有する障害物センサ12の検出データに基づいて、特定部3Bにより特定された排土位置Mが補正されることにより、排土位置Mの信頼性は向上する。
【0050】
なお、補正部3Dは、有人車両9が有する障害物センサ12の検出データに基づいて、特定部3Bにより特定された排土位置Mを補正してもよい。
【0051】
出力部3Eは、特定部3Bにより特定された排土位置Mを無人車両2に出力する。走行コースデータ変更部3Cにより走行コースデータが変更された場合、出力部3Eは、走行コースデータ変更部3Cにより変更された走行コースデータを無人車両2に出力する。補正部3Dにより排土位置Mが補正された場合、出力部3Eは、補正部3Dにより補正された排土位置Mを無人車両2に出力する。
【0052】
制御装置30は、無人車両2の動作を制御する動作制御部30Aを有する。動作制御部30Aは、出力部3Eから出力された走行コースデータを取得して、無人車両2の走行を制御する。動作制御部30Aは、走行コースデータに従って走行するように無人車両2の走行装置21を制御する。また、動作制御部30Aは、有人車両9による排土位置Mに基づいて、無人車両2の動作を制御する。
図4を参照して説明したように、排土位置Mに基づいて走行コースデータが変更された場合、動作制御部30Aは、走行コースデータ変更部3Cにより変更された後の走行コースデータに基づいて走行するように、無人車両2の走行装置21を制御する。また、補正部3Dにより排土位置Mが補正された場合、動作制御部30Aは、補正部3Dにより補正された排土位置Mに基づいて、無人車両2の動作を制御する。
【0053】
<管理方法>
図6は、本実施形態に係る管理方法の一例を示すフローチャートである。特定部3Bは、有人車両9が有する積荷センサ11の検出データ及び有人車両9が有する位置センサ28の検出データを取得する(ステップS1)。
【0054】
特定部3Bは、積荷センサ11の検出データと位置センサ28の検出データとに基づいて、排土位置Mを特定する(ステップS2)。
【0055】
補正部3Dは、無人車両2又は有人車両9が有する障害物センサ12の検出データを取得する。補正部3Dは、有人車両9から排出された積荷が障害物センサ12により検出されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0056】
ステップS3において、有人車両9から排出された積荷が障害物センサ12により検出されたと判定した場合(ステップS3:Yes)、補正部3Dは、障害物センサ12の検出データに基づいて、ステップS2において特定された排土位置Mを補正する(ステップS4)。
【0057】
ステップS3において、有人車両9から排出された積荷が障害物センサ12により検出されていないと判定した場合(ステップS3:No)、補正部3Dは、排土位置Mの補正を実行しない。
【0058】
走行コースデータ変更部3Cは、ステップS2又はステップS4において導出された排土位置Mが走行コースCR上に存在するか否かを判定する(ステップS5)。
【0059】
ステップS5において、排土位置Mが走行コースCR上に存在すると判定した場合(ステップS5:Yes)、走行コースデータ変更部3Cは、排土位置Mに基づいて、排土位置Mを避けるように、走行コースデータを変更する(ステップS6)。
【0060】
ステップS5において、排土位置Mが走行コースCR上に存在しないと判定した場合(ステップS5:No)、走行コースデータ変更部3Cは、走行コースデータの変更を実行しない。
【0061】
出力部3Eは、ステップS5において走行コースデータが変更された場合、走行コースデータ変更部3Cにより変更された走行コースデータを無人車両2に出力する。出力部3Eは、ステップS5において走行コースデータが変更されていない場合、走行コースデータ生成部3Aにより生成された走行コースデータを無人車両2に出力する(ステップS7)。
【0062】
無人車両2の動作制御部30Aは、出力部3Eから出力された走行コースデータに基づいて、無人車両2の動作を制御する。
【0063】
<コンピュータシステム>
図7は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の管理装置3、制御装置30、及び制御装置40のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3、制御装置30、及び制御装置40のそれぞれの機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0064】
コンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、無人車両2と有人車両9とが混在して稼働する作業現場において有人車両9による排土位置Mを特定することと、排土位置Mに基づいて、無人車両2の動作を制御することと、を実行することができる。
【0065】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、無人車両2と有人車両9とが混在して稼働する作業現場において、特定部3Bは、有人車両9が積荷を排出した排土位置Mを特定する。これにより、特定された排土位置Mに基づいて、無人車両2が排土位置Mに向かって走行しないように、無人車両2の走行が制御される。無人車両2は、排土位置Mを避けながら走行することができるので、無人車両2が円滑に動作することができる。
【0066】
<その他の実施形態>
上述の実施形態においては、排土位置Mに基づいて、走行コースデータが変更されることとした。排土位置Mに基づいて、走行コースデータが変更されなくてもよい。出力部3Eから無人車両2に排土位置Mが出力されることにより、無人車両2の制御装置30は、排土位置Mを避けるように、無人車両2の走行を制御することができる。
【0067】
上述の実施形態においては、排土位置Mに基づいて、走行コースデータが変更されることとした。有人車両9による排土位置Mに基づいて、無人車両2による排土位置及び走行コースデータが変更されてもよい。例えば、無人車両2による積荷の排出が予定されている排土位置に、有人車両9が先に積荷を排出してしまう可能性がある。無人車両2による積荷の排出が予定されている排土位置に、有人車両9が先に積荷を排出してしまった場合、走行コースデータ変更部3Cは、有人車両9による排土位置Mに基づいて、無人車両2による排土位置及び走行コースデータを変更する。なお、無人車両2による排土位置及び走行コースデータは、例えば管制施設5の管理者により変更されてもよい。動作制御部30Aは、変更された後の無人車両2による排土位置及び走行コースデータに基づいて、無人車両2の動作を制御する。動作制御部30Aは、変更された後の無人車両2による排土位置に向かって無人車両2を走行させる。
【0068】
上述の実施形態においては、特定部3Bは、無人車両2又は有人車両9の前方の障害物を検出する障害物センサ12の検出データを用いて、排土位置Mを特定することとした。上述ように、無人車両2及び有人車両9は、後方の障害物を検出する障害物センサ12を有する。特定部3Bは、無人車両2又は有人車両9の後方の障害物を検出する障害物センサ12の検出データを用いて、排土位置Mを特定してもよい。例えば、無人車両2又は有人車両9が後進する場合において、無人車両2又は有人車両9の後方の障害物が障害物センサ12により検出される場合、特定部3Bは、無人車両2又は有人車両9の後方の障害物を検出する障害物センサ12の検出データを用いて、排土位置Mを特定することができる。
【0069】
上述の実施形態においては、有人車両9に係る検出データに基づいて排土位置Mが特定され(ステップS2)、無人車両2が有する障害物センサ12の検出データに基づいて排土位置Mが補正され(ステップS4),補正後の排土位置Mに基づいて無人車両2の走行コースデータが変更(ステップS6)されることとした。ステップS2の処理が省略されてもよい。すなわち、無人車両2により排土位置Mが特定された後(ステップS4)、特定された排土位置Mに基づいて、無人車両2の走行コースデータが変更(ステップS6)されてもよい。この場合、無人車両2の障害物センサ12によって無人車両2と有人車両9による排土位置Mとの相対位置が検出され、排土位置Mが特定される。
【0070】
また、上述の実施形態において、ステップS4の処理が省略されてもよい。すなわち、有人車両9により排土位置Mが特定された後(ステップS2),特定された排土位置Mに基づいて、無人車両2の走行コースデータが変更(ステップS6)されてもよい。
【0071】
上述の実施形態において、排土位置Mに基づいて、無人車両2の進入を禁止する進入禁止エリアが設定されてもよい。排土位置Mを含むように進入禁止エリアが設定されることにより、無人車両2が排土位置Mを走行することが抑制される。
【0072】
上述の実施形態においては、有人車両9は排土場DPAにおいて積荷を排出し、特定部3Bは排土場DPAにおける排土位置Mを特定することとした。排土位置Mは、排土場DPAに限定されない。有人車両9は、例えば走行路HLの傍らに積荷を排出してもよい。特定部3Bは、走行路HLにおける排土位置Mを特定することができる。また、有人車両9が積込場LPAに積荷を排出したり、交差点に積荷を排出したりする可能性がある。特定部3Bは、積込場LPAにおける排土位置M及び交差点における排土位置Mを特定することができる。すなわち、特定部3Bは、鉱山のような作業現場における排土位置Mを特定することができる。
【0073】
上述の実施形態において、制御装置30の機能、及び制御装置40の機能の少なくとも一部が管理装置3に設けられてもよいし、管理装置3の機能の少なくとも一部が、制御装置30、及び制御装置40に設けられてもよい。例えば、特定部3Bの機能が有人車両9の制御装置40又は無人車両2の制御装置30に設けられてもよい。
【0074】
なお、上述の実施形態においては、走行コースデータが管理装置3において生成され、無人車両2は管理装置3から送信された走行コースデータに従って走行することとした。無人車両2の制御装置30が走行コースデータを生成してもよい。すなわち、制御装置30が走行コースデータ生成部3Aを有してもよい。また、管理装置3及び制御装置30のそれぞれが走行コースデータ生成部3Aを有してもよい。
【0075】
例えば、無人車両2は、管理装置3から走行コースデータを取得せずに、有人車両9による排土位置Mを特定し、特定された排土位置Mに基づいて走行してもよい。
【0076】
なお、上述の実施形態においては、無人車両2及び有人車両9が運搬車両の一種であるダンプトラックであることとした。無人車両2及び有人車両9は、例えば油圧ショベル又はブルドーザのような作業機を備える作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…管理システム、2…無人車両、3…管理装置、3A…走行コースデータ生成部、3B…特定部、3C…走行コースデータ変更部、3D…補正部、3E…出力部、4…通信システム、5…管制施設、6…無線通信機、7…積込機、9…有人車両、11…積荷センサ、12…障害物センサ、13…速度センサ、21…走行装置、22…車両本体、23…ダンプボディ、24…駆動装置、25…ブレーキ装置、26…操舵装置、27…車輪、27F…前輪、27R…後輪、28…位置センサ、29…無線通信機、30…制御装置、30A…動作制御部、40…制御装置、CP…コース点、CR…走行コース、PA…作業場、DPA…排土場、M…排土位置、HL…走行路、IS…交差点。