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特許7574408トーテムポールブリッジレス力率補正回路及びパワーエレクトロニクス装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】トーテムポールブリッジレス力率補正回路及びパワーエレクトロニクス装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241021BHJP
【FI】
H02M7/12 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023509650
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2020108735
(87)【国際公開番号】W WO2022032537
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チン,ケン
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,ジシアン
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,ユアンジュン
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0062504(US,A1)
【文献】特表2008-543252(JP,A)
【文献】特開平05-064425(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076257(WO,A1)
【文献】特開2017-055481(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110165883(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動回路、整流器ブリッジ、インダクタ、及び電流検出回路を有するトーテムポールブリッジレス力率補正回路であって、前記整流器ブリッジは、第1ブリッジアーム内に置かれた第1金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ及び第1抵抗と、第2ブリッジアーム内に置かれた第1ダイオードとを有し、前記第1MOSトランジスタの第1ポートが前記第1抵抗及び前記インダクタを介して交流電源の第1出力ポートに接続され、前記第1MOSトランジスタの第2ポートが前記第1ダイオードのカソードに接続され、前記第1ダイオードのアノードが前記交流電源の第2出力ポートに接続され、前記電流検出回路の入力ポートが前記第1抵抗と前記インダクタとの間に接続され、前記電流検出回路の出力ポートが前記第1駆動回路の第2入力ポートに接続され、前記第1駆動回路の出力ポートが前記第1MOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1駆動回路の入力ポートが第1パルス幅変調(PWM)信号を入力するように構成され、前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、
前記交流電源の前記第2出力ポートの電圧が正電圧であるとき、前記交流電源が前記第1MOSトランジスタを用いて前記インダクタを充電することを可能にすべく、前記第1駆動回路は、前記第1PWM信号に基づいて前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートをターンオンさせるように駆動するよう構成され、
前記第1抵抗は、前記第1MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第1電圧信号に変換するように構成され、
前記電流検出回路は、前記第1電圧信号が第1基準電圧を超えるときに、前記出力ポートを用いて過電流信号を前記第1駆動回路に出力するように構成され、
前記第1駆動回路は更に、前記過電流信号を受信したとき、前記第1MOSトランジスタをターンオフさせるように駆動するよう構成され、
前記第1駆動回路は、第1のORゲート及び第1トリガを有し、前記第1のORゲートは、前記第1PWM信号の位相反転信号と前記過電流信号とを入力するように構成され、前記第1のORゲートの出力ポートが前記第1トリガのリセットポートに接続され、前記第1トリガのデータ入力ポートが前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記第1トリガのデータ出力ポートが前記第1MOSトランジスタの前記ゲートに接続され、
前記第1駆動回路は更に、第1ワンショット、第2ワンショット、NOTゲート、及び第1増幅器を有し、
前記第1ワンショットの入力ポート及び前記NOTゲートの入力ポートが前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記第1ワンショットの出力ポートが前記第1トリガの前記データ入力ポートに接続され、前記NOTゲートの出力ポートが前記第2ワンショットの入力ポートに接続され、前記NOTゲートの前記出力ポートは前記第1PWM信号の位相反転信号を出力するように構成され、前記第2ワンショットの出力ポートが前記第1のORゲートの第1入力ポートに接続され、前記第1のORゲートの第2入力ポートが前記過電流信号を入力するように構成され、前記第1トリガの前記データ出力ポートが前記第1増幅器の入力ポートに接続され、前記第1増幅器の出力ポートが前記第1MOSトランジスタの前記ゲートに接続される、
トーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項2】
前記電流検出回路は第1比較器を有し、該第1比較器の非反転入力が前記第1電圧信号を入力するように構成され、前記第1比較器の反転入力が前記第1基準電圧を入力するように構成され、前記第1電圧信号が前記第1基準電圧より高いときに、前記第1比較器が前記過電流信号を前記第1駆動回路に出力する、請求項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項3】
前記電流検出回路は更に第6ワンショットを有し、
前記第1比較器の出力ポートが前記第6ワンショットの入力ポートに接続され、前記第1比較器は前記第6ワンショットの出力ポートを用いて前記過電流信号を出力する、請求項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項4】
第1駆動回路、整流器ブリッジ、インダクタ、及び電流検出回路を有するトーテムポールブリッジレス力率補正回路であって、前記整流器ブリッジは、第1ブリッジアーム内に置かれた第1金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ及び第1抵抗と、第2ブリッジアーム内に置かれた第1ダイオードとを有し、前記第1MOSトランジスタの第1ポートが前記第1抵抗及び前記インダクタを介して交流電源の第1出力ポートに接続され、前記第1MOSトランジスタの第2ポートが前記第1ダイオードのカソードに接続され、前記第1ダイオードのアノードが前記交流電源の第2出力ポートに接続され、前記電流検出回路の入力ポートが前記第1抵抗と前記インダクタとの間に接続され、前記電流検出回路の出力ポートが前記第1駆動回路の第2入力ポートに接続され、前記第1駆動回路の出力ポートが前記第1MOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1駆動回路の入力ポートが第1パルス幅変調(PWM)信号を入力するように構成され、前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、
前記交流電源の前記第2出力ポートの電圧が正電圧であるとき、前記交流電源が前記第1MOSトランジスタを用いて前記インダクタを充電することを可能にすべく、前記第1駆動回路は、前記第1PWM信号に基づいて前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートをターンオンさせるように駆動するよう構成され、
前記第1抵抗は、前記第1MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第1電圧信号に変換するように構成され、
前記電流検出回路は、前記第1電圧信号が第1基準電圧を超えるときに、前記出力ポートを用いて過電流信号を前記第1駆動回路に出力するように構成され、
前記第1駆動回路は更に、前記過電流信号を受信したとき、前記第1MOSトランジスタをターンオフさせるように駆動するよう構成され、
当該トーテムポールブリッジレス力率補正回路は更に、PWM信号発生回路、過電流状態検出回路、及び第2抵抗を有し、前記整流器ブリッジは更に、第3ブリッジアーム内に置かれた第2MOSトランジスタと、第4ブリッジアーム内に置かれた第2ダイオードとを有し、前記第2MOSトランジスタの第1ポートが前記第1抵抗と前記インダクタとの間に接続され、前記第2MOSトランジスタの第2ポートが前記第2ダイオードのアノードに接続され、前記第2ダイオードのカソードが前記交流電源の前記第2出力ポートに接続され、前記第2MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、前記過電流状態検出回路の第1入力ポートが前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記過電流状態検出回路の第2入力ポートが前記第2抵抗を介して前記第2MOSトランジスタの前記第2ポートと前記第2ダイオードの前記アノードとの間に接続され、前記過電流状態検出回路の出力ポートが前記PWM信号発生回路の入力ポートに接続され、前記PWM信号発生回路が前記第1PWM信号を発生するように構成され、
前記過電流信号によって前記第1MOSトランジスタがターンオフされる場合、前記インダクタは前記第2MOSトランジスタを用いて放電し、
前記第2抵抗が、前記第2MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第2電圧信号に変換するように構成され、
前記過電流状態検出回路は、前記第2電圧信号が第2基準電圧より高いときに、前記出力ポートを用いて過電流状態信号を前記PWM信号発生回路に出力するように構成され、
前記PWM信号発生回路は、前記過電流状態信号を受信したとき、前記第1PWM信号を出力するのを止めるように構成される、
ーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項5】
第1駆動回路、整流器ブリッジ、インダクタ、及び電流検出回路を有するトーテムポールブリッジレス力率補正回路であって、前記整流器ブリッジは、第1ブリッジアーム内に置かれた第1金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ及び第1抵抗と、第2ブリッジアーム内に置かれた第1ダイオードとを有し、前記第1MOSトランジスタの第1ポートが前記第1抵抗及び前記インダクタを介して交流電源の第1出力ポートに接続され、前記第1MOSトランジスタの第2ポートが前記第1ダイオードのカソードに接続され、前記第1ダイオードのアノードが前記交流電源の第2出力ポートに接続され、前記電流検出回路の入力ポートが前記第1抵抗と前記インダクタとの間に接続され、前記電流検出回路の出力ポートが前記第1駆動回路の第2入力ポートに接続され、前記第1駆動回路の出力ポートが前記第1MOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1駆動回路の入力ポートが第1パルス幅変調(PWM)信号を入力するように構成され、前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、
前記交流電源の前記第2出力ポートの電圧が正電圧であるとき、前記交流電源が前記第1MOSトランジスタを用いて前記インダクタを充電することを可能にすべく、前記第1駆動回路は、前記第1PWM信号に基づいて前記第1MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートをターンオンさせるように駆動するよう構成され、
前記第1抵抗は、前記第1MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第1電圧信号に変換するように構成され、
前記電流検出回路は、前記第1電圧信号が第1基準電圧を超えるときに、前記出力ポートを用いて過電流信号を前記第1駆動回路に出力するように構成され、
前記第1駆動回路は更に、前記過電流信号を受信したとき、前記第1MOSトランジスタをターンオフさせるように駆動するよう構成され、
当該トーテムポールブリッジレス力率補正回路は更に、PWM信号発生回路、過電流状態検出回路、及び第2抵抗を有し、前記整流器ブリッジは更に、第3ブリッジアーム内に置かれた第2MOSトランジスタと、第4ブリッジアーム内に置かれた第2ダイオードとを有し、前記第2MOSトランジスタの第1ポートが前記第1抵抗と前記インダクタとの間に接続され、前記第2MOSトランジスタの第2ポートが前記第2抵抗を介して前記第2ダイオードのアノードに接続され、前記第2ダイオードのカソードが前記交流電源の前記第2出力ポートに接続され、前記第2MOSトランジスタの前記第1ポート及び前記第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、前記過電流状態検出回路の第1入力ポートが前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記過電流状態検出回路の第2入力ポートが前記第2MOSトランジスタの前記第2ポートと前記第2抵抗との間に接続され、前記過電流状態検出回路の出力ポートが前記PWM信号発生回路の入力ポートに接続され、前記PWM信号発生回路が前記第1PWM信号を発生するように構成され、
前記過電流信号によって前記第1MOSトランジスタがターンオフされる場合、前記インダクタは前記第2MOSトランジスタを用いて放電し、
前記第2抵抗が、前記第2MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第3電圧信号に変換するように構成され、
前記過電流状態検出回路は、前記第3電圧信号が第3基準電圧より低いときに、前記出力ポートを用いて過電流状態信号を前記PWM信号発生回路に出力するように構成され、
前記PWM信号発生回路は、前記過電流状態信号を受信したとき、前記第1PWM信号を出力するのを止めるように構成される、
ーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項6】
前記過電流状態検出回路は、第2比較器及びANDゲートを有し、前記第2比較器の非反転入力が前記第2電圧信号を入力するように構成され、前記第2比較器の反転入力が前記第2基準電圧を入力するように構成され、前記第2比較器の出力ポートが前記ANDゲートに接続され、前記ANDゲートは更に、前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記第2電圧信号が前記第2基準電圧より高いときに、前記ANDゲートが前記過電流状態信号を出力する、請求項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項7】
前記過電流状態検出回路は、第2比較器及びANDゲートを有し、前記第2比較器の非反転入力が前記第3基準電圧を入力するように構成され、前記第2比較器の反転入力が前記第3電圧信号を入力するように構成され、前記第2比較器の出力ポートが前記ANDゲートに接続され、前記ANDゲートは更に、前記第1PWM信号を入力するように構成され、前記第3電圧信号が前記第3基準電圧より低いときに、前記ANDゲートが前記過電流状態信号を出力する、請求項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項8】
前記過電流状態検出回路は更に第7ワンショットを有し、前記ANDゲートの出力ポートが前記第7ワンショットの入力ポートに接続され、前記ANDゲートは前記第7ワンショットの出力ポートを用いて前記過電流状態信号を出力する、請求項又はに記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項9】
前記PWM信号発生回路は、第2のORゲート及び第3トリガを有し、前記第2のORゲートは、前記第1PWM信号のリセット信号及び前記過電流状態信号を入力するように構成され、前記第2のORゲートの出力ポートが前記第3トリガのリセットポートに接続され、前記第3トリガのデータ入力ポートが前記第1PWM信号のセット信号を入力するように構成され、前記第3トリガの出力ポートが前記第1PWM信号を出力するように構成される、請求項乃至のいずれか一項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路と動作回路とを有するパワーエレクトロニクス装置であって、前記トーテムポールブリッジレス力率補正回路が前記動作回路に直流を出力するように構成されている、パワーエレクトロニクス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、トーテムポールブリッジレスの力率補正(power factor correction、PFC)回路及びパワーエレクトロニクス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流送電網の高調波汚染を抑制するために、PFC回路がパワーエレクトロニクス技術の分野で広く使用されている。トーテムポールブリッジレスPFC回路は高い伝送効率を提供することができ、ますます広く使用されるようになっている。
【0003】
トーテムポール(Totem-Pole)ブリッジレスPFC回路では、インダクタの充放電を制御し、それにより送電網の力率を補正するために、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)信号を用いて2つの金属酸化膜半導体(metal oxide semiconductor、MOS)トランジスタを制御して順次にターンオン及びオフさせる。しかしながら、MOSトランジスタがターンオンされる時に、電流が過度に大きい(すなわち、過電流が発生する)と、MOSトランジスタがダメージを受け得る。
【0004】
過電流がMOSトランジスタにダメージを与えることを防ぐ1つのソリューションは、トーテムポールブリッジレスPFC回路内のインダクタの放電電流を測定し、放電電流が閾値を超えている場合に、次のPWM期間におけるMOSトランジスタの導通時間を短くすることで、過電流がMOSトランジスタにダメージを与えることを防ぐものである。しかし、このソリューションは過渡的な過電流には対処することができず、その期間内に間に合うようにMOSトランジスタをターンオフさせることができない。従って、依然としてMOSトランジスタがダメージを受けてしまう恐れがある。
【発明の概要】
【0005】
この出願の実施形態は、過電流が発生したときにMOSトランジスタを迅速にターンオフさせ、それによりMOSトランジスタへのダメージを防止するように構成された、トーテムポールブリッジレスPFC回路及びパワーエレクトロニクス装置を提供する。
【0006】
上述の目的を達成するために、この出願の実施形態では以下の技術的ソリューションを使用する。
【0007】
第1態様によれば、第1駆動回路、整流器ブリッジ、インダクタ、及び電流検出回路を含むトーテムポールブリッジレス力率補正回路が提供され、整流器ブリッジは、第1ブリッジアーム内に置かれた第1金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ及び第1抵抗と、第2ブリッジアーム内に置かれた第1ダイオードとを含み、第1MOSトランジスタの第1ポートが第1抵抗及びインダクタを介して交流電源の第1出力ポートに接続され、第1MOSトランジスタの第2ポートが第1ダイオードのカソードに接続され、第1ダイオードのアノードが交流電源の第2出力ポートに接続され、電流検出回路の入力ポートが第1抵抗とインダクタとの間に接続され、電流検出回路の出力ポートが第1駆動回路の第2入力ポートに接続され、第1駆動回路の出力ポートが第1MOSトランジスタのゲートに接続され、第1駆動回路の入力ポートが第1パルス幅変調(PWM)信号を入力するように構成され、第1MOSトランジスタの第1ポート及び第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、交流電源の第2出力ポートの電圧が正電圧であるとき、交流電源が第1MOSトランジスタを用いてインダクタを充電することを可能にすべく、第1駆動回路は、第1PWM信号に基づいて第1MOSトランジスタの第1ポート及び第2ポートをターンオンさせるように駆動するよう構成され、第1抵抗は、第1MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第1電圧信号に変換するように構成され、電流検出回路は、第1電圧信号が第1基準電圧を超えるときに、出力ポートを用いて過電流信号を第1駆動回路に出力するように構成され、第1駆動回路は更に、過電流信号を受信したとき、第1MOSトランジスタをターンオフさせるように駆動するよう構成される。
【0008】
この出願の一実施形態で提供されるトーテムポールブリッジレス力率補正回路によれば、第1MOSトランジスタを流れる電流に対応する第1電圧信号が第1基準電圧より高いとき、すなわち、第1MOSトランジスタを流れる電流が閾値より大きいとき、第1比較器が過電流信号を第1駆動回路に出力することで、第1トリガをトリガしてリセットし、それにより第1MOSトランジスタをターンオフさせる。従って、過電流が発生したときにMOSトランジスタが迅速にターンオフされ、それによりMOSトランジスタへのダメージを防ぐ。
【0009】
取り得る一実装において、第1駆動回路は、第1のORゲート及び第1トリガを含み、第1のORゲートは、第1PWM信号の位相反転信号と過電流信号とを入力するように構成され、第1のORゲートの出力ポートが第1トリガのリセットポートに接続され、第1トリガのデータ入力ポートが第1PWM信号を入力するように構成され、第1トリガのデータ出力ポートが第1MOSトランジスタのゲートに接続される。この実装は、第1駆動回路の取り得る一構成を提供する。
【0010】
取り得る一実装において、第1駆動回路は更に、第1ワンショット、第2ワンショット、NOTゲート、及び第1増幅器を含み、第1ワンショットの入力ポート及びNOTゲートの入力ポートが第1PWM信号を入力するように構成され、第1ワンショットの出力ポートが第1トリガのデータ入力ポートに接続され、NOTゲートの出力ポートが第2ワンショットの入力ポートに接続され、NOTゲートの出力ポートは第1PWM信号の位相反転信号を出力するように構成され、第2ワンショットの出力ポートが第1のORゲートの第1入力ポートに接続され、第1のORゲートの第2入力ポートが過電流信号を入力するように構成され、第1トリガのデータ出力ポートが第1増幅器の入力ポートに接続され、第1増幅器の出力ポートが第1MOSトランジスタのゲートに接続される。この実装は、第1駆動回路の取り得る他の一構成を提供する。
【0011】
取り得る一実装において、電流検出回路は第1比較器を含み、第1比較器の非反転入力が第1電圧信号を入力するように構成され、第1比較器の反転入力が第1基準電圧を入力するように構成され、第1電圧信号が第1基準電圧より高いときに、第1比較器が過電流信号を第1駆動回路に出力する。この実装は、電流検出回路の取り得る一構成を提供する。
【0012】
取り得る一実装において、電流検出回路は更に第6ワンショットを含み、第1比較器の出力ポートが第6ワンショットの入力ポートに接続され、第1比較器は第6ワンショットの出力ポートを用いて過電流信号を出力する。この実装は、電流検出回路の取り得る他の一構成を提供する。
【0013】
取り得る一実装において、当該トーテムポールブリッジレス力率補正回路は更に、PWM信号発生回路、過電流状態検出回路、及び第2抵抗を含み、整流器ブリッジは更に、第3ブリッジアーム内に置かれた第2MOSトランジスタと、第4ブリッジアーム内に置かれた第2ダイオードとを含み、第2MOSトランジスタの第1ポートが第1抵抗とインダクタとの間に接続され、第2MOSトランジスタの第2ポートが第2ダイオードのアノードに接続され、第2ダイオードのカソードが交流電源の第2出力ポートに接続され、第2MOSトランジスタの第1ポート及び第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、過電流状態検出回路の第1入力ポートが第1PWM信号を入力するように構成され、過電流状態検出回路の第2入力ポートが第2抵抗を介して第2MOSトランジスタの第2ポートと第2ダイオードのアノードとの間に接続され、過電流状態検出回路の出力ポートがPWM信号発生回路の入力ポートに接続され、PWM信号発生回路が第1PWM信号を発生するように構成され、過電流信号によって第1MOSトランジスタがターンオフされる場合、インダクタは第2MOSトランジスタを用いて放電し、第2抵抗が、第2MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第2電圧信号に変換するように構成され、過電流状態検出回路は、第2電圧信号が第2基準電圧より高いときに、出力ポートを用いて過電流状態信号をPWM信号発生回路に出力するように構成され、PWM信号発生回路は、過電流状態信号を受信したとき、第1PWM信号を出力するのを止めるように構成される。この実装では、インダクタが放電して過電流を発生させるときに、第1MOSトランジスタを制御するPWM信号を更にリセットすることができる。
【0014】
取り得る一実装において、当該トーテムポールブリッジレス力率補正回路は更に、PWM信号発生回路、過電流状態検出回路、及び第2抵抗を含み、整流器ブリッジは更に、第3ブリッジアーム内に置かれた第2MOSトランジスタと、第4ブリッジアーム内に置かれた第2ダイオードとを含み、第2MOSトランジスタの第1ポートが第1抵抗とインダクタとの間に接続され、第2MOSトランジスタの第2ポートが第2抵抗を介して第2ダイオードのアノードに接続され、第2ダイオードのカソードが交流電源の第2出力ポートに接続され、第2MOSトランジスタの第1ポート及び第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースであり、過電流状態検出回路の第1入力ポートが第1PWM信号を入力するように構成され、過電流状態検出回路の第2入力ポートが第2MOSトランジスタの第2ポートと第2抵抗との間に接続され、過電流状態検出回路の出力ポートがPWM信号発生回路の入力ポートに接続され、PWM信号発生回路が第1PWM信号を発生するように構成され、過電流信号によって第1MOSトランジスタがターンオフされる場合、インダクタは第2MOSトランジスタを用いて放電し、第2抵抗が、第2MOSトランジスタを流れる電流を、対応する第3電圧信号に変換するように構成され、過電流状態検出回路は、第3電圧信号が第3基準電圧より低いときに、出力ポートを用いて過電流状態信号をPWM信号発生回路に出力するように構成され、PWM信号発生回路は、過電流状態信号を受信したとき、第1PWM信号を出力するのを止めるように構成される。この実装では、インダクタが放電して過電流を発生させるときに、第1MOSトランジスタを制御するPWM信号を更にリセットすることができる。
【0015】
取り得る一実装において、過電流状態検出回路は、第2比較器及びANDゲートを含み、第2比較器の非反転入力が第2電圧信号を入力するように構成され、第2比較器の反転入力が第2基準電圧を入力するように構成され、第2比較器の出力ポートがANDゲートに接続され、ANDゲートは更に、第1PWM信号を入力するように構成され、第2電圧信号が第2基準電圧より高いときに、ANDゲートが過電流状態信号を出力する。この実装は、過電流状態検出回路の取り得る一構成を提供する。
【0016】
取り得る一実装において、過電流状態検出回路は、第2比較器及びANDゲートを含み、第2比較器の非反転入力が第3基準電圧を入力するように構成され、第2比較器の反転入力が第3電圧信号を入力するように構成され、第2比較器の出力ポートがANDゲートに接続され、ANDゲートは更に、第1PWM信号を入力するように構成され、第3電圧信号が第3基準電圧より低いときに、ANDゲートが過電流状態信号を出力する。この実装は、過電流状態検出回路の取り得る他の一構成を提供する。
【0017】
取り得る一実装において、過電流状態検出回路は更に第7ワンショットを含み、ANDゲートの出力ポートが第7ワンショットの入力ポートに接続され、ANDゲートは第7ワンショットの出力ポートを用いて過電流状態信号を出力する、請求項8又は9に記載のトーテムポールブリッジレス力率補正回路。この実装は、過電流状態検出回路の取り得る更なる他の一構成を提供する。
【0018】
取り得る一実装において、PWM信号発生回路は、第2のORゲート及び第3トリガを含み、第2のORゲートは、第1PWM信号のリセット信号及び過電流状態信号を入力するように構成され、第2のORゲートの出力ポートが第3トリガのリセットポートに接続され、第3トリガのデータ入力ポートが第1PWM信号のセット信号を入力するように構成され、第3トリガの出力ポートが第1PWM信号を出力するように構成される。この実装は、PWM信号発生回路の取り得る一構成を提供する。
【0019】
第2の態様によれば、第1の態様及びその実装のうちのいずれか一に従ったトーテムポールブリッジレス力率補正回路と動作回路とを含むパワーエレクトロニクス装置が提供され、トーテムポールブリッジレス力率補正回路が動作回路に直流を出力するように構成される。当該パワーエレクトロニクス装置の技術的効果については、第1の態様及びその実装のうちのいずれか一の内容を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この出願の一実施形態に従ったパワーエレクトロニクス装置の概略図である。
図2】この出願の一実施形態に従ったトーテムポールブリッジレスPFC回路の構成の概略図である。
図3】この出願の一実施形態に従ったレベルシフト回路及び第1駆動回路の構成の概略図である。
図4】この出願の一実施形態に従った第2駆動回路の構成の概略図である。
図5】この出願の一実施形態に従ったゼロ電流検出回路の構成の概略図である。
図6】この出願の一実施形態に従った他のトーテムポールブリッジレスPFC回路の構成の概略図である。
図7】この出願の一実施形態に従った更なる他のトーテムポールブリッジレスPFC回路の構成の概略図である。
図8】この出願の一実施形態に従った電流検出回路及び第1駆動回路の構成の概略図である。
図9】この出願の一実施形態に従った過電流状態検出回路の構成の概略図である。
図10】この出願の一実施形態に従った他の過電流状態検出回路の構成の概略図である。
図11】この出願の一実施形態に従ったPWM発生回路の構成の概略図である。
図12】この出願の一実施形態に従った各信号の時間シーケンスの概略図である。
図13】この出願の一実施形態に従った各信号の時間シーケンスの他の概略図である。
図14】この出願の一実施形態に従った各信号の時間シーケンスの更なる他の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、この出願の一実施形態は、トーテムポールブリッジレスPFC回路10と動作回路20とを含むパワーエレクトロニクス装置を提供する。交流電源Vacによって出力される交流が、活線(live line)及び中性線(neutral line)を介してトーテムポールブリッジレスPFC回路10に入力される。トーテムポールブリッジレスPFC回路10は、交流に対してPFCを行った後に、出力ポートVoから直流を出力して、動作回路20に電力を供給する。交流電源Vacは交流電力網とし得る。
【0022】
以下、トーテムポールブリッジレスPFC回路の取り得る構成を説明する。
【0023】
図2に示すように、この出願の一実施形態は、制御回路11、レベルシフト(level shift)回路12、第1駆動回路13、第2駆動回路14、ゼロ電流検出回路15、整流器ブリッジ、インダクタL、抵抗Rcs、及びキャパシタCを含むトーテムポールブリッジレスPFC回路を提供する。整流器ブリッジは、第1ブリッジアーム内に置かれた第1MOSトランジスタQ1と、第2ブリッジアーム内に置かれた第1ダイオードD1と、第3ブリッジアーム内に置かれた第2MOSトランジスタQ2と、第4ブリッジアーム内に置かれた第2ダイオードD2とを含む。
【0024】
整流器ブリッジの第1交流入力ポートがインダクタLを用いて交流電源Vacの第1出力ポートに接続され、整流器ブリッジの第2交流入力ポートが交流電源Vacの第2出力ポートに接続される。整流器ブリッジの直流出力ポートが直流Voを出力するように構成される。
【0025】
例えば、第1MOSトランジスタQ1の第1ポート及び第2MOSトランジスタQ2の第2ポートがインダクタLの一端に接続され、インダクタLの他端が交流電源Vacの第1出力ポート(例えば、活線)に接続され、交流電源の第2出力ポート(例えば、中性線)が第1ダイオードD1のアノード及び第2ダイオードD2のカソードに接続され、第1MOSトランジスタQ1の第2電極と、第1ダイオードD1のカソードと、キャパシタCの正電極とが接続され、第2MOSトランジスタQ2の第1ポートと、第2ダイオードD2のアノードと、抵抗Rcsの第1ポートとが接続され、抵抗Rcsの第2ポートがキャパシタCの陰極に接続される、抵抗Rcsは、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流を電圧CSに変換するように構成される。前述のMOSトランジスタの第1ポート及び第2ポートのうち一方はドレインであり、他方はソースである。この図では、例えば、第1ポートがドレインであり、第2ポートがソースであるが、これに限定されることを意図するものではない。
【0026】
制御回路11の第1PWM信号出力ポートがレベルシフト回路12及び第1駆動回路13を介して第1MOSトランジスタQ1の制御ポート(ゲート)に接続され、制御回路11の第2PWM信号出力ポートが第2駆動回路14を介して第2MOSトランジスタQ2の制御ポート(ゲート)に接続される。抵抗Rcsの第2ポート及びキャパシタCの負電極は更に、ゼロ電流検出回路15を介して制御回路11の第1入力ポートに接続される。
【0027】
制御回路11は、インダクタLの充放電を制御するために、PWM信号(矩形波信号)を出力することによって、第1MOSトランジスタQ1及び第2MOSトランジスタQ2を順にターンオン及びオフされるように制御し、それにより、交流電源Vacが出力する交流に対して力率補正を行って、安定した出力電圧Voを得る。
【0028】
図3に示すように、レベルシフト回路12は、MOSトランジスタMOS1、MOSトランジスタMOS2、MOSトランジスタMOS3、MOSトランジスタMOS4、及びNOTゲートNOT1を含む。MOSトランジスタMOS1のソースがMOSトランジスタMOS2のソースに接続され、MOSトランジスタMOS1のドレインと、MOSトランジスタMOS2のゲートと、MOSトランジスタMOS3のドレインとが接続され、MOSトランジスタMOS2のドレインと、MOSトランジスタMOS1のゲートと、MOSトランジスタMOS4のドレインとが接続され、MOSトランジスタMOS3のソース及びMOSトランジスタMOS4のソースが接地され、MOSトランジスタMOS3のゲートが、NOTゲートNOT1によって反転された後にMOSトランジスタMOS4のゲートに接続される。MOSトランジスタMOS3のゲートは、制御回路11が出力する第1PWM信号PWM1を受けとるように構成され、MOSトランジスタMOS2のドレイン及びMOSトランジスタMOS4のドレインが、第1PWM信号PWM1が昇圧された後に得られるPWM信号PWM1_Hを出力するように構成される。
【0029】
図3に示すように、第1駆動回路13は、第1ワンショットOS1、第2ワンショットOS2、NOTゲートNOT2、第1トリガTR1、及び第1増幅器AMP1を含む。第1ワンショット(one shot)OS1の入力ポート及びNOTゲートNOT2の入力ポートがPWM信号PWM1_Hを入力するように構成され、第1ワンショットOS1の出力ポートが第1トリガTR1のデータ入力ポートSに接続され、NOTゲートNOT2の出力ポートが第2ワンショットOS2の入力ポートに接続され、第2ワンショットOS2の出力ポートが第1トリガTR1のリセットポートRに接続され、第1トリガTR1のデータ出力ポートQが第1増幅器AMP1の入力ポートに接続され、そして、第1増幅器AMP1の出力ポートが第1MOSトランジスタQ1のゲートに接続されて、第1MOSトランジスタQ1の駆動信号GT1を出力するように構成される。
【0030】
図4に示すように、第2駆動回路14は、第3ワンショットOS3、第4ワンショットOS4、NOTゲートNOT3、第2トリガTR2、及び第2増幅器AMP2を含む。第3ワンショットOS3の入力ポート及びNOTゲートNOT3の入力ポートが、制御回路11によって出力される第2PWM信号PWM2を入力するように構成され、第3ワンショットOS3の出力ポートが第2トリガTR2のデータ入力ポートSに接続され、NOTゲートNOT3の出力ポートが第4ワンショットOS4の入力ポートに接続され、第4ワンショットOS4の出力ポートが第2トリガTR2のリセットポートRに接続され、第2トリガTR2のデータ出力ポートQが第2増幅器AMP2の入力ポートに接続され、そして、第2増幅器AMP2の出力ポートが第2MOSトランジスタQ2のゲートに接続されて、第2MOSトランジスタQ2の駆動信号GT2を出力するように構成される。
【0031】
図5に示すように、ゼロ電流検出回路15は、第1比較器CMP1及び第5ワンショットOS5を含む。第1比較器CMP1の非反転入力+が、インダクタLの放電電流(すなわち、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流)に対応する電圧CS(抵抗Rcsにより電流を変換することによって得られる)を入力し、第1比較器CMP1の反転入力-が0Vの基準電圧を入力し、第1比較器CMP1の出力ポートが検出信号ZEROを出力するように構成される。
【0032】
トーテムポールブリッジレスPFC回路の動作原理は以下のとおりである。交流電源Vacの中性線の電圧が正電圧であるとき、制御回路11によって出力された第1PWM信号PWM1がレベルシフト回路12によって昇圧された後に得られるPWM信号PWM1_Hはハイレベルであり、第1駆動回路13が第1MOSトランジスタQ1をターンオンさせるように駆動し、交流電源Vacが第1MOSトランジスタQ1を用いてインダクタLを充電する。第1MOSトランジスタQ1の導通時間が指定値に達すると、制御回路11によって出力された第1PWM信号PWM1がレベルシフト回路12によって昇圧された後にローレベルにあり、レベルシフト回路12及び第1駆動回路13が第1MOSトランジスタQ1をターンオフさせるように駆動する。さらに、制御回路11によって出力された第2PWM信号PWM2はハイレベルであり、第2駆動回路14が第2MOSトランジスタQ2をターンオンさせるように駆動し、インダクタLが第2MOSトランジスタQ2を用いて放電する。ゼロ電流検出回路15が、抵抗Rcsを用いることにより、インダクタLの放電電流に対応する電圧を検出する。インダクタLの放電電流(つまりは、抵抗Rcsの電圧)がゼロ近くに達すると、ゼロ電流検出回路15が検出信号ZEROを出力する。制御回路が検出信号ZEROを受信した後、出力される第2PWM信号PWM2がローレベルにあり、第2MOSトランジスタQ2がターンオフされているとき、及び出力される第1PWM信号PWM1がハイレベルにあるとき、第1MOSトランジスタQ1がターンオンされる。
【0033】
しかし、中性線の電圧が正電圧であり、且つ第1MOSトランジスタQ1がターンオンされてインダクタLが充電されることを可能にするとき、第1MOSトランジスタQ1の電流は前述の回路では検出されない。過電流が発生すると、第1MOSトランジスタQ1がダメージを受ける。
【0034】
考え得る一実装では、変流器(current transformer、CT)を用いて第1MOSトランジスタQ1の過電流が検出され、そして、抵抗とダイオードを用いて電流信号が電圧信号に変換されてMOSトランジスタの非導通をトリガする。しかしながら、このソリューションでは、大きい面積を占めるCTを使用する必要があり、これは製品小型化設計及び電力密度向上に資するものではない。
【0035】
考え得る他の一実装では、インダクタLに補助巻線が追加され、補助巻線の電圧信号がRC回路、クランプチューブ、整流器チューブを通り抜けることで近似的な電流信号を得てMOSトランジスタの非導通をトリガする。しかしながら、このソリューションの回路コストは、補助巻線及び複数の整流器コンポーネントが必要なために高い。さらに、インダクタ異常を利用することができず、具体的には、短絡するとインダクタは動作することができず、その結果、過電流保護を遂行することができない。
【0036】
考え得る更なる他の一実装では、誘導電流の放電ピーク信号の追加検出が行われる。インダクタ放電ピークが閾値を超えると、過電流を防ぐためにMOSトランジスタの導通時間が徐々に短縮される。しかしながら、このソリューションは過渡的な過電流には適用されることができず、MOSトランジスタを時間内にターンオフさせることはできず、次の周期中の導通時間を短縮できるのみである。従って、依然としてダメージの恐れがある。
【0037】
この出願のこの実施形態で提供されるトーテムポールブリッジレスPFC回路は、システムコスト及びトーテムポールPFC電源の体積を削減するために、及び誘導電流が閾値を超えたときに迅速にMOSトランジスタをターンオフさせ、それにより安全な過電流保護機能を実装するために、集積回路(integrated circuit、IC)チップに集積され得る。
【0038】
具体的には、図6及び図7に示すように、この出願の一実施形態は他のトーテムポールブリッジレスPFC回路を提供する。図2に示したPFC回路と比較して、当該PFC回路は更に、電流検出回路21、過電流状態検出回路22、第1ブリッジアーム内に置かれる第1抵抗Rcshを含み、制御回路11が更にPWM信号発生回路23を含む。
【0039】
また、図2と比較して、図7では、第1MOSトランジスタQ1の第1ポートが第1抵抗RcshとインダクタLを介して交流電源Vacの第1出力ポートに接続され、第2MOSトランジスタQ2の第1ポートが第1抵抗RcshとインダクタLとの間に接続され、第2抵抗Rcsの第1ポートが第2MOSトランジスタQ2のドレインに接続され、抵抗Rcsの第2ポートが第2ダイオードD2のアノード及びキャパシタCの陰極に接続され、抵抗Rcsの第1ポートがゼロ電流検出回路15を介して制御回路11の第1入力ポートに接続される。電流検出回路21の入力ポートが第1抵抗RcshとインダクタLとの間に接続され、電流検出回路21の出力ポートが第1駆動回路13の第2入力ポートに接続され、第1駆動回路13の第1入力ポートが第1PWM信号PWM1を入力するように構成され、第1駆動回路13の出力ポートが第1MOSトランジスタQ1の制御ポート(ゲート)に接続される。過電流状態検出回路22の第1入力ポートが第1PWM信号PWM1を入力するように構成される。図6に示すように、過電流状態検出回路22の第2入力ポートが第2抵抗Rcsを介して第2MOSトランジスタQ2の第2ポートと第2ダイオードD2のアノードとの間に接続される。あるいは、図7に示すように、過電流状態検出回路22の第2入力ポートは、第2MOSトランジスタQ2の第2ポートと第2抵抗Rcsとの間に接続される。
【0040】
交流電源Vacの第2出力ポート(例えば、中性線)の電圧が正電圧であり、且つ第1駆動回路が、第1PWM信号PWM1に基づいて、第1MOSトランジスタQ1の第1ポート及び第2ポートをターンオンさせるように駆動するとき、交流電源Vacが第1MOSトランジスタQ1を用いてインダクタLを充電することが可能になる。第1抵抗Rcshは、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流を、対応する第1電圧信号CSHに変換するように構成される。第1電圧信号CSHが第1基準電圧ref_oc1を超えると、電流検出回路21が出力ポートを用いて過電流信号を第1駆動回路13に出力する。第1駆動回路13が過電流信号を受信すると、第1MOSトランジスタQ1がターンオフするように駆動される。
【0041】
図6に示すように、過電流信号によって第1MOSトランジスタQ1がターンオフされる場合、インダクタLは第2MOSトランジスタQ2を用いて放電する。第2抵抗Rcsが、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流を、対応する第2電圧信号CS2に変換するように構成される。第2電圧信号CS2が第2基準電圧ref_oc2より高いとき、過電流状態検出回路22が出力ポートを用いて過電流状態信号OCSをPWM信号発生回路23に出力する。PWM信号発生回路23は、過電流状態信号OCSを受信すると、第1PWM信号PWM1を出力するのを止め、すなわち、第1PWM信号PWM1をリセットする又はローレベルにある第1PWM信号PWM1を出力する。
【0042】
あるいは、図7に示すように、過電流信号によって第1MOSトランジスタQ1がターンオフされる場合、インダクタLは第2MOSトランジスタQ2を用いて放電する。第2抵抗Rcsが、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流を、対応する第3電圧信号CS3に変換するように構成される。第3電圧信号CS3が第3基準電圧ref_oc3より高いとき、過電流状態検出回路22が出力ポートを用いて過電流状態信号OCSをPWM信号発生回路23に出力する。PWM信号発生回路23は、過電流状態信号OCSを受信すると、第1PWM信号PWM1を出力するのを止め、すなわち、第1PWM信号PWM1をリセットする又はローレベルにある第1PWM信号PWM1を出力する。
【0043】
以下にて各回路の取り得る構成を説明する。
【0044】
取り得る一実装において、図8に示すように、電流検出回路21は第1比較器CMP1を含み、オプションで更に第6ワンショットOS6を含む。第1比較器CMP1の非反転入力+が、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する第1電圧信号CSHを入力し、第1比較器CMP1の反転入力-が、第1閾値に対応する第1基準電圧ref_oc1を入力する。第1電圧信号CSHが第1基準電圧ref_oc1より高いとき、第1比較器CMP1が過電流信号を第1駆動回路13に出力する。オプションで、第1比較器CMP1の出力ポートは第6ワンショットOS6の入力ポートに接続され、第1比較器CMP1は第6ワンショットOS6の出力ポートを用いて過電流信号OCを出力する。
【0045】
取り得る一実装において、図8に示すように、第1駆動回路13は、第1のORゲートOR1及び第1トリガTR1を含み、オプションで更に、第1ワンショットOS1、第2ワンショットOS2、NOTゲートNOT2、及び第1増幅器AMP1を含む。第1のORゲートOR1が、第1PWM信号の反転信号及び過電流信号OCを入力するように構成され、第1のORゲートOR1の出力ポートが第1トリガTR1のリセットポートRに接続され、第1トリガTR1のデータ入力ポートSが第1PWM信号を入力するように構成され、第1トリガTR1のデータ出力ポートが第1MOSトランジスタQ1のゲートに接続されるように構成される。
【0046】
具体的には、第1ワンショットOS1の入力ポート及びNOTゲートNOT2の入力ポートが、第1PWM信号が昇圧された後に得られるPWM信号PWM1_Hを入力するように構成され、第1ワンショットOS1の出力ポートが第1トリガTR1のデータ入力ポートSに接続され、NOTゲートNOT2の出力ポートが第2ワンショットOS2の入力ポートに接続され、第2ワンショットOS2の出力ポートが第1のORゲートOR1の第1入力ポートに接続され、第1のORゲートOR1の第2入力ポートが過電流信号OCを入力するように構成され、第1トリガTR1のデータ出力ポートQが第1増幅器AMP1の入力ポートに接続され、第1増幅器AMP1の出力ポートが、第1MOSトランジスタQ1のゲートに接続され、第1MOSトランジスタQ1の駆動信号GT1を増幅する。
【0047】
取り得る一実装において、図9に示すように、過電流状態検出回路22は、第2比較器CMP2及びANDゲートANDを含み、オプションで更に第7ワンショットOS7を含む。第2比較器CMP2の非反転入力+が、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流に対応する第2電圧信号CS2を入力するように構成され、第2比較器CMP2の反転入力-が、第2閾値に対応する第2基準電圧ref_oc2を入力するように構成され、第2比較器CMP2の出力ポートがANDゲートANDの第1入力ポートに接続され、ANDゲートANDの第2入力ポートが第1PWM信号PWM1を入力するように構成され、ANDゲートANDの出力ポートが第7のワンショットOS7の入力ポートに接続される。第2電圧信号CS2が第2基準電圧ref_oc2より高いとき、ANDゲートANDが過電流状態信号OCSを出力する。オプションで、ANDゲートANDは第7ワンショットOS7の出力ポートを用いて過電流状態信号OCSを出力する。当該過電流状態検出回路22は、図6に示したトーテムポールブリッジレスPFC回路に適用され得る。
【0048】
取り得る他の一実装において、図10に示すように、図9からの違いは第2比較器CMP2の非反転入力+が、第2閾値に対応する第3基準電圧ref_oc3を入力するように構成されるとともに、第2比較器CMP2の反転入力-が、第2MOSトランジスタを流れる電流に対応する第3電圧信号CS3を入力するように構成されることにある。第3電圧信号CS3が第3基準電圧ref_oc3より低いとき、ANDゲートANDが過電流状態信号OCSを出力する。オプションで、ANDゲートANDは第7ワンショットOS7の出力ポートを用いて過電流状態信号OCSを出力する。当該過電流状態検出回路22は、図7に示したトーテムポールブリッジレスPFC回路に適用され得る。
【0049】
取り得る一実装において、図11に示すように、PWM信号発生回路23は、第2のORゲートOR2及び第3トリガTR3を含む。第2のORゲートOR2の第1入力ポートが第1PWM信号PWM1のリセット信号reset_drvを入力するように構成され、第2のORゲートOR2の第2入力ポートが過電流状態信号OCSを入力するように構成され、第2のORゲートOR2の出力ポートが第3トリガTR3のリセットポートRに接続され、第3トリガTR3のデータ入力ポートSが第1PWM信号PWM1のセット信号set_drvを入力するように構成され、第1トリガTR3の出力ポートが第1PWM信号PWM1を出力するように構成される。
【0050】
図6及び図7に示したPFC回路の動作原理は以下のとおりである。
【0051】
図8図11、及び図12に示すように、当該PFC回路が通常動作するとき、第1PWM信号PWM1のセット信号set_drvがハイレベルになる。この場合、第3トリガTR3が第1PWM信号PWM1を出力するようにトリガされ、レベルシフト回路12がレベルシフトを行った後に得られるPWM信号PWM1_Hはハイレベルになる。第1PWM信号PWM1のリセット信号reset_drvがハイレベルになると、第3トリガTR3がリセットするようにトリガされ、レベルシフト回路12が第1PWM信号PWM1に対してレベルシフトを行った後に得られるPWM信号PWM1_Hがローレベルになる。
【0052】
交流電源Vacの中性線の電圧が正電圧にあるとき、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する電圧CSHは、第1閾値に対応する第1基準電圧ref_oc1より低く、第1比較器CMP1の出力電圧が第6ワンショットOS6を通り抜けた後に得られる信号OCはローレベルにある。例えば、第1基準電圧ref_oc1は0.3Vである。
【0053】
第1PWM信号PWM1がレベルシフト回路12によって昇圧された後に得られるPWM信号PWM1_Hがハイレベルにある場合、該PWM信号PWM1_Hは、第1駆動回路13内のインバータNOT2によって反転された後にローレベルにある。第1のORゲートOR1の2つの入力ポートがローレベルにあるので、PWM信号PWM1_Hはローレベルで出力され、これは第1トリガTR1をリセットするようにはトリガしない。PWM信号PWM1_Hがハイレベルになると、第1トリガTR1の出力信号がハイレベルになり、第1増幅器AMP1によって電流が増幅された後に得られる信号GT1もハイレベルになる。この場合、第1MOSトランジスタQ1がターンオンされるように駆動され、交流電源Vacが第1MOSトランジスタQ1を用いてインダクタLを充電し、インダクタLの電流iLが徐々に増加する。
【0054】
第1PWM信号PWM1がレベルシフト回路12によって昇圧された後に得られるPWM信号PWM1_Hがローレベルにある場合には、該PWM信号PWM1_Hは、第1駆動回路13内のインバータNOT2によって反転された後にハイレベルにあり、第1のORゲートOR1によってハイレベルで出力され、これが第1トリガTR1をリセットするようにトリガする。第1トリガTR1の出力信号がローレベルになると、第1増幅器AMP1によって出力される信号GT1もローレベルになり、第1MOSトランジスタQ1をターンオフさせるように駆動する。インダクタLの電流は急には変化しないので、インダクタLが第2MOSトランジスタQ2を用いて放電するとき、インダクタLの電流iLは徐々に減少する。第2MOSトランジスタQ2のドレインはグランド等価容量を持ち、値が小さいので、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する電圧CSHは急激に減少し、第2MOSトランジスタを流れる電流に対応する電圧CSは急激に増加した後にゆっくり減少する。
【0055】
インダクタLの充電プロセスにおいて、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する電圧CSHが第1閾値(すなわち、過電流が発生する)より高いとき、図8及び図13に示すように、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する電圧CSHは第1閾値に対応する第1基準電圧ref_oc1より高くなり、第1比較器CMP1の出力電圧が第6ワンショットOS6を通り抜けた後に得られる信号OCはハイレベルになり、第1のORゲートOR1によってハイレベルで出力され、これが第1トリガTR1をリセットするようにトリガする。第1トリガTR1の出力信号がローレベルになると、第1増幅器AMP1によって出力される信号GT1もローレベルになり、これが第1MOSトランジスタQ1をターンオフさせるように駆動する。従って、センスLの電流iLが徐々に減少し、第1MOSトランジスタQ1を流れる電流に対応する電圧CSHが急激に減少し、第2MOSトランジスタを流れる電流に対応する電圧CSは急激に増加した後にゆっくり減少し、それにより第1MOSトランジスタQ1を保護する。
【0056】
第1MOSトランジスタQ1はターンオフされるが、制御回路11が出力する第1PWM信号PWM1は依然としてハイレベルにある。第2MOSトランジスタQ2にて、ボディダイオードにより還流(freewheeling)を実現できる。従って、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流はなおも急激に増加し、これは、図6における電圧CSの急激な増加及び図7における電圧CSの急激な減少に相当する。
【0057】
第2MOSトランジスタQ2を流れる電流が第2閾値を超える場合、図6に示したトーテムポールブリッジレスPFC回路では電圧CSが正になる。図9に示すように、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流に対応する電圧CSが、第2閾値に対応する第2基準電圧ref_oc2より高くなり、図7に示したトーテムポールブリッジレスPFC回路では電圧CSは負になる。図10に示すように、第2MOSトランジスタQ2を流れる電流に対応する電圧CSは、第2閾値に対応する第3基準電圧ref_oc3より低い。
【0058】
例えば、図9及び図14に示すように、第2比較器CMP2がハイレベルを出力し、ANDゲートANDがハイレベルを出力し、第7ワンショットOS7によって出力される過電流状態信号OCSがハイレベルになる。図11及び図14に示すように、第2のORゲートOR2がハイレベルを出力し、これが第3トリガTR3をリセットするようにトリガし、第3トリガTR3によって出力する第1PWM信号PWM1がローレベルに変化する。従って、PWM信号の高速リセットが実現される。
【0059】
この出願の実施形態で提供されるトーテムポールブリッジレス力率補正回路及びパワーエレクトロニクス装置によれば、第1MOSトランジスタを流れる電流に対応する第1電圧信号が第1基準電圧より高いとき、すなわち、第1MOSトランジスタを流れる電流が閾値より大きいとき、第1比較器が過電流信号を第1駆動回路に出力することで、第1トリガをトリガしてリセットし、それにより第1MOSトランジスタをターンオフさせる。従って、過電流が発生したときにMOSトランジスタが迅速にターンオフされ、それによりMOSトランジスタへのダメージを防ぐ。
【0060】
また、前述の第1MOSトランジスタQ1の過電流保護と同様に、第2MOSトランジスタQ2についても電流検出回路、過電流状態検出回路、及びPWM信号発生回路を配置することで、Vacの活線(live line)の電圧が正電圧にあるときに第2MOSトランジスタQ2に対する過電流保護を行ってもよい。
【0061】
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。この出願に開示された技術的範囲内で当業者が容易に考え付く如何なる変形又は置換もこの出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
図1
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