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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ゴム栓供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/24 20060101AFI20241021BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20241021BHJP
   B07C 5/02 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
B65G47/24 H
B65G47/14 M
B07C5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023510950
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012399
(87)【国際公開番号】W WO2022209979
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2021058078
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】清水 希
(72)【発明者】
【氏名】久野 勝
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/029176(WO,A1)
【文献】特開2004-025188(JP,A)
【文献】実開昭60-159725(JP,U)
【文献】実開平2-34516(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/20
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム栓を供給する供給装置と、
前記供給装置に設けられ、供給される前記ゴム栓の向きが第1の向きか前記第1の向きと逆向きの第2の向きかを検出するセンサと、
前記供給装置から供給された前記ゴム栓をそれぞれ収容可能な第1収容部および第2収容部と、回転軸と、を備えた回転体と、
前記回転体を前記回転軸周りに回転させる駆動装置と、
前記第1収容部または前記第2収容部に収容された前記ゴム栓を送出する送出装置と、
前記供給装置、前記センサ、前記駆動装置、および前記送出装置に接続された制御装置と、を備え、
前記第1収容部は、
前記回転体が前記回転軸周りの第1回転位置に位置しているときに前記供給装置に接続されるゴム栓供給口と、
前記回転体が前記回転軸周りの第2回転位置に位置しているときに前記送出装置に接続されるゴム栓送出口と、
前記ゴム栓が通過可能に構成され、前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口とを繋ぐゴム栓通路と、を備え、
前記第2収容部は、前記回転体が前記第1回転位置に位置しているときに前記送出装置に接続され、前記第2回転位置に位置しているときに前記供給装置に接続されるゴム栓給排口を備え、
前記制御装置は、
供給される前記ゴム栓の向きが前記第1の向きであることが前記センサにより検出された場合には前記回転体を前記第1回転位置に配置し、前記第2の向きであることが検出された場合には前記回転体を前記第2回転位置に配置する第1回転制御部と、
前記第1回転制御部によって前記回転体が前記第1回転位置または前記第2回転位置に配置された後に、前記第1収容部または前記第2収容部に前記ゴム栓を供給する供給制御部と、
前記第1収容部または前記第2収容部に前記ゴム栓が供給された後に、前記回転体を前記第2回転位置または前記第1回転位置に移動する第2回転制御部と、
前記第2回転制御部によって前記回転体が移動された後に、前記第1収容部に収容された前記ゴム栓を前記ゴム栓送出口から送出するか、または、前記第2収容部に収容された前記ゴム栓を前記ゴム栓給排口から送出する送出制御部と、を備えている、
ゴム栓供給装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、
伸縮するロッドを備えたアクチュエータと、
前記ロッドが前記回転体に対して回転自在なように前記ロッドと前記回転体とを連結する連結部材と、
前記ロッドの伸縮に応じて揺動または移動可能なように前記アクチュエータを支持する支持部材と、を備えている、
請求項1に記載のゴム栓供給装置。
【請求項3】
前記回転体は、前記ロッドが一方のストロークエンドに位置しているときに前記第1回転位置に位置し、前記ロッドが他方のストロークエンドに位置しているときに前記第2回転位置に位置する、
請求項2に記載のゴム栓供給装置。
【請求項4】
前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度以下である、
請求項1~3のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【請求項5】
前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度であり、
前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓給排口との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度であり、
前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口との間の前記回転軸周りの角度のずれは、180度である、
請求項4に記載のゴム栓供給装置。
【請求項6】
前記送出装置は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されているときに前記第2収容部の前記ゴム栓給排口に接続され、前記回転体が前記第2回転位置に配置されているときに前記第1収容部の前記ゴム栓送出口に接続される送出管を備えている、
請求項5に記載のゴム栓供給装置。
【請求項7】
前記送出装置は、圧縮エアを噴射するエア噴射口をさらに備え、
前記第1収容部の前記ゴム栓供給口は、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに前記エア噴射口に接続され、
前記回転体は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに前記エア噴射口に接続される第1端部と、前記第2収容部に接続された第2端部と、を備え、前記第1収容部の前記ゴム栓通路を避けるように設けられたエア流路を有する、
請求項1~6のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【請求項8】
前記送出装置は、それぞれ圧縮エアを噴射するように構成された第1噴射口および第2噴射口を備え、
前記第1噴射口は、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに、前記第1収容部の前記ゴム栓供給口に接続され、
前記回転体は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに前記第2噴射口に接続される第1端部と、前記第2収容部に接続された第2端部と、を備えたエア流路を有する、
請求項1~6のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【請求項9】
前記送出装置は、圧縮エアを噴射するように構成されたエア噴射口を備え、
前記回転体は、
一端が前記第1収容部に接続され、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに他端が前記エア噴射口に接続される第1エア流路と、
一端が前記第2収容部に接続され、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに他端が前記エア噴射口に接続される第2エア流路と、を備えている、
請求項1~6のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【請求項10】
前記送出装置は、
前記回転体が前記第2回転位置に配置されているときに前記第1収容部の前記ゴム栓送出口に接続され、前記第1収容部から送出された前記ゴム栓が通る送出管と、
前記送出管の内部を減圧する減圧装置と、を備え、
前記送出制御部は、前記第1収容部に収容された前記ゴム栓を前記第1収容部から送出する際には、前記減圧装置を駆動する、
請求項1~9のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【請求項11】
前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口とは、前記回転軸周りの回転位置に関し、前記ゴム栓給排口を基準として対称的に設けられている、
請求項1~10のいずれか一つに記載のゴム栓供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム栓供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線に挿入される防水用のゴム栓をゴム栓挿入装置等に供給するゴム栓供給装置が知られている。図2は、ゴム栓の一例を示す斜視図である。図3は、ゴム栓の使用態様の一例を示す図である。図3に示すように、ゴム栓5は、例えば、先端に圧着端子7が圧着された被覆電線6に装着される。図2に示すように、ゴム栓には、上下非対称な円筒状の形状を有するものが含まれる。
【0003】
例えば図2に示すゴム栓をゴム栓挿入装置に供給する場合には、ゴム栓の向きを揃えて供給する必要がある。ゴム栓の向きを揃えて他の装置に供給するゴム栓供給装置も、従来から知られている。例えば、特許文献1には、ゴム栓の収容孔が設けられた回転体と、収容孔に収容されたゴム栓の向きを検出するセンサと、収容されたゴム栓を収容孔から送出する送出装置と、を備えたゴム栓供給装置が開示されている。上記ゴム栓供給装置では、収容孔にゴム栓を挿入可能な第3回転位置に回転体が位置しているときに収容孔にゴム栓が挿入される。その後、収容孔内のゴム栓の向きが検出され、ゴム栓の向きの検出結果に基づいて回転体を回転させる。回転体は、ゴム栓の向きに応じて、互いに180度離れた第1回転位置または第2回転位置に移動する。これにより、収容孔に収容されたゴム栓の向きが揃う。向きが揃えられたゴム栓は、送出装置により収容孔から送出される。これにより、向きを揃えた状態のゴム栓を他の装置に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2021/029176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたゴム栓供給装置においては、回転体は3つの回転位置の間を移動される。回転体の3位置制御は、回転角度を計測できるアクチュエータを使用するか、または、複数のアクチュエータを組み合わせて複雑な動きをさせないと実現が難しい。特許文献1では、回転体を回転させるアクチュエータとしてロータリーアクチュエータが例示されている。しかし、回転角度を計測できるアクチュエータ、例えば、ロータリーアクチュエータやサーボモータは高価である。複数のアクチュエータの組み合わせは、制御や構成が複雑である。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易かつ安価な構成でゴム栓の向きを揃えることができるゴム栓供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゴム栓供給装置は、ゴム栓を供給する供給装置と、前記供給装置に設けられ供給される前記ゴム栓の向きが第1の向きか前記第1の向きと逆向きの第2の向きかを検出するセンサと、前記供給装置から供給された前記ゴム栓をそれぞれ収容可能な第1収容部および第2収容部と回転軸とを備えた回転体と、前記回転体を前記回転軸周りに回転させる駆動装置と、前記第1収容部または前記第2収容部に収容された前記ゴム栓を送出する送出装置と、前記供給装置、前記センサ、前記駆動装置、および前記送出装置に接続された制御装置と、を備える。前記第1収容部は、ゴム栓供給口と、ゴム栓送出口と、ゴム栓通路と、を備えている。前記ゴム栓供給口は、前記回転体が前記回転軸周りの第1回転位置に位置しているときに前記供給装置に接続される。前記ゴム栓送出口は、前記回転体が前記回転軸周りの第2回転位置に位置しているときに前記送出装置に接続される。前記ゴム栓通路は、前記ゴム栓が通過可能に構成され、前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口とを繋いでいる。前記第2収容部は、前記回転体が前記第1回転位置に位置しているときに前記送出装置に接続され、前記第2回転位置に位置しているときに前記供給装置に接続されるゴム栓給排口を備えている。前記制御装置は、第1回転制御部と、供給制御部と、第2回転制御部と、送出制御部と、を備えている。前記第1回転制御部は、供給される前記ゴム栓の向きが前記第1の向きであることが前記センサにより検出された場合には前記回転体を前記第1回転位置に配置し、前記第2の向きであることが検出された場合には前記回転体を前記第2回転位置に配置する。前記供給制御部は、前記第1回転制御部によって前記回転体が前記第1回転位置または前記第2回転位置に配置された後に、前記第1収容部または前記第2収容部に前記ゴム栓を供給する。前記第2回転制御部は、前記第1収容部または前記第2収容部に前記ゴム栓が供給された後に、前記回転体を前記第2回転位置または前記第1回転位置に移動する。前記送出制御部は、前記第2回転制御部によって前記回転体が移動された後に、前記第1収容部に収容された前記ゴム栓を前記ゴム栓送出口から送出するか、または、前記第2収容部に収容された前記ゴム栓を前記ゴム栓給排口から送出する。
【0008】
上記ゴム栓供給装置によれば、ゴム栓の向きは、ゴム栓が回転体に収容される前に、センサによって検出される。ゴム栓は、検出された向きに応じて回転体の第1収容部または第2収容部に収容される。第1の向きのゴム栓は、回転体が第1回転位置にあるときに第1収容部に収容され、回転体が第2回転位置に移動された後、ゴム栓通路およびゴム栓送出口を経由して送出される。回転体の第2位置では、第1収容部のゴム栓送出口は、送出装置に接続される。第1の向きのゴム栓は、このとき、回転体に供給された向きと同じ向きで送出される。一方、第2の向きのゴム栓は、回転体が第2回転位置にあるときに第2収容部に収容され、回転体が第1回転位置に移動された後、ゴム栓給排口の方に戻されながら送出される。回転体の第1位置では、第2収容部のゴム栓給排口は、送出装置に接続される。よって、第2の向きのゴム栓は、回転体に供給された向きとは逆向きで送出される。
【0009】
このように、上記ゴム栓供給装置の回転体は、ゴム栓の送出方向が異なる2つの収容部を備えている。また、ゴム栓は、回転体に収容される前に向きが検出され、検出された向きに応じて2つの収容部のいずれかに供給される。さらに、上記ゴム栓供給装置によれば、第1回転位置は、第1収容部にとってのゴム栓の供給位置であり、第2収容部にとってのゴム栓の送出位置である。第2回転位置は、第1収容部にとってのゴム栓の送出位置であり、第2収容部にとってのゴム栓の供給位置である。従って、かかる構成によれば、回転体を第1回転位置、第2回転位置の2位置の間で移動させることによってゴム栓の向きを揃えることが可能である。回転体の2位置制御は、例えば1つの単動アクチュエータの両ストロークエンドや、ストッパ等によって簡易かつ安価に実現できる。よって、上記ゴム栓供給装置によれば、簡易かつ安価な構成でゴム栓の向きを揃えることができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記駆動装置は、伸縮するロッドを備えたアクチュエータと、前記ロッドが前記回転体に対して回転自在なように前記ロッドと前記回転体とを連結する連結部材と、前記ロッドの伸縮に応じて揺動または移動可能なように前記アクチュエータを支持する支持部材と、を備えている。
【0011】
かかる態様によれば、伸縮するロッドを備える比較的単純なアクチュエータによって回転体を回転させることができる。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、前記回転体は、前記ロッドが一方のストロークエンドに位置しているときに前記第1回転位置に位置し、前記ロッドが他方のストロークエンドに位置しているときに前記第2回転位置に位置する。
【0013】
かかる態様によれば、アクチュエータのロッドのストロークエンドを利用して回転体の第1回転位置および第2回転位置を決めることができるため、駆動装置の構成をさらに簡易なものとすることができる。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度以下である。
【0015】
かかる態様によれば、回転体を90度以下の角度しか回転させることなく、ゴム栓の向きを揃えることができる。例えば特許文献1に開示されたゴム栓供給装置では、ゴム栓の向きを揃えるために、いずれかの回転方向に回転体を90度回転させることが必要であったが、必要な回転角が小さい方がゴム栓の向きを揃えるためのサイクルタイムを短くできる。詳しくは後述するが、本発明の好ましい一態様によれば、回転軸周りの第1回転位置と第2回転位置との角度のずれを90度以下とすることが可能である。よって、ゴム栓の向きを揃えるためのサイクルタイムを短縮することができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度である。前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓給排口との間の前記回転軸周りの角度のずれは、90度である。前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口との間の前記回転軸周りの角度のずれは、180度である。
【0017】
かかる態様によれば、回転体が第2回転位置にあるときのゴム栓送出口の位置と、回転体が第1回転位置にあるときのゴム栓給排口の位置とが一致する。そのため、送出装置のゴム栓経路が1つでよい。かかる態様のうちの好ましい一態様によれば、送出装置は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されているときに前記第2収容部の前記ゴム栓給排口に接続され、前記回転体が前記第2回転位置に配置されているときに前記第1収容部の前記ゴム栓送出口に接続される送出管を備えている。この態様によれば、送出装置は、ゴム栓経路として送出管を備え、ゴム栓は送出管以外のゴム栓経路を通らずに送出される。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、前記送出装置は、圧縮エアを噴射するエア噴射口をさらに備えている。前記第1収容部の前記ゴム栓供給口は、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに前記エア噴射口に接続される。前記回転体は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに前記エア噴射口に接続される第1端部と、前記第2収容部に接続された第2端部と、を備え、前記第1収容部の前記ゴム栓通路を避けるように設けられたエア流路を有している。
【0019】
かかる態様によれば、第1収容部とエア流路とが繋がっていないため、第1収容部とエア流路とのうちの一方に圧縮エアが供給された場合に、他方には圧縮エアが流れていかない。そのため、圧縮エアの送出能力が低下することを抑制し、無駄になる圧縮エアの量を削減することができる。
【0020】
本発明の好ましい一態様によれば、前記送出装置は、それぞれ圧縮エアを噴射するように構成された第1噴射口および第2噴射口を備えている。前記第1噴射口は、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに、前記第1収容部の前記ゴム栓供給口に接続される。前記回転体は、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに前記第2噴射口に接続される第1端部と、前記第2収容部に接続された第2端部と、を備えたエア流路を有している。
【0021】
かかる態様によれば、第1収容部には第1噴射口から圧縮エアが供給され、第2収容部には第2噴射口からエア流路経由で圧縮エアが供給される。このように第1収容部と第2収容部とに別の系統から圧縮エアが供給されるため、かかる態様によれば、エア流路の構造を単純化できる。例えば、圧縮エアの系統を1つにし、第1収容部のゴム栓通路を避けるようにエア流路を設けようとすると、エア流路の構造が複雑になりやすいが、第2収容部に圧縮エアを供給する系統を第1収容部に圧縮エアを供給する系統と分けると、第1収容部のゴム栓通路を避けるための特段の構成をエア流路に設ける必要がなくなる。そのため、回転体の構造の複雑化を避けることができる。
【0022】
本発明の好ましい一態様によれば、前記送出装置は、圧縮エアを噴射するように構成されたエア噴射口を備えている。前記回転体は、第1エア流路と、第2エア流路と、を備えている。前記第1エア流路は、一端が前記第1収容部に接続されており、前記回転体が前記第2回転位置に配置されたときに他端が前記エア噴射口に接続される。前記第2エア流路は、一端が前記第2収容部に接続されており、前記回転体が前記第1回転位置に配置されたときに他端が前記エア噴射口に接続される。
【0023】
かかる態様によれば、圧縮エアがゴム栓供給口から第1収容部に供給される態様と異なり、圧縮エアの入口である第1エア流路の他端を比較的自由に配置できる。そのため、第2エア流路の構成が簡単になるように第1エア流路の他端を配置することが可能である。そのため、回転体の構造の複雑化を避け、かつ、圧縮エアの供給系統を1系統にすることができる。
【0024】
本発明の好ましい一態様によれば、前記送出装置は、前記回転体が前記第2回転位置に配置されているときに前記第1収容部の前記ゴム栓送出口に接続され前記第1収容部から送出された前記ゴム栓が通る送出管と、前記送出管の内部を減圧する減圧装置と、を備えている。前記送出制御部は、前記第1収容部に収容された前記ゴム栓を前記第1収容部から送出する際には、前記減圧装置を駆動する。
【0025】
かかる態様によれば、第1収容部からのゴム栓の搬出時間を短縮することができる。第1収容部は、回転体を貫通しているため長さが長くなりやすい。そのため、第1収容部とゴム栓との間の摩擦により、ゴム栓の第1収容部からの搬出に要する時間が長くなりやすい。かかる態様によれば、減圧装置の駆動により、送出管の方にゴム栓を移動させるような負圧が送出管内に発生する。これにより、第1収容部からのゴム栓の搬出が補助され、搬出時間を短縮することができる。
【0026】
本発明の好ましい一態様によれば、前記ゴム栓供給口と前記ゴム栓送出口とは、前記回転軸周りの回転位置に関し、前記ゴム栓給排口を基準として対称的に設けられている。
【0027】
かかる態様によれば、回転体が第2回転位置にあるときのゴム栓送出口の位置と、回転体が第1回転位置にあるときのゴム栓給排口の位置とが一致する。そのため、送出装置のゴム栓経路が1つの送出管だけでよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るゴム栓供給装置によれば、簡易かつ安価な構成でゴム栓の向きを揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態に係るゴム栓供給装置の模式的な断面図である。
図2】ゴム栓の斜視図である。
図3】ゴム栓の使用態様の一例を示す図である。
図4】第1回転位置における方向調整装置の一部破断正面図である。
図5】回転体を水平方向に切断した断面図である。
図6】第2回転位置における方向調整装置の一部破断正面図である。
図7】ゴム栓供給装置のブロック図である。
図8】ゴム栓の供給プロセスの一例を示すフローチャートである。
図9】方向調整装置および送出装置の一部破断正面図であって、ゴム栓が第2収容部に供給された時点の状態を示す図である。
図10】方向調整装置および送出装置の一部破断正面図であって、回転体が第1回転位置に移動した後の状態を示す図である。
図11A】第1の変形例に係る回転体および送出装置の断面図であって、回転体が第1回転位置にある状態を示す図である。
図11B】第1の変形例に係る回転体および送出装置の断面図であって、回転体が第2回転位置にある状態を示す図である。
図12A】第2の変形例に係る回転体および送出装置の断面図であって、回転体が第1回転位置にある状態を示す図である。
図12B】第2の変形例に係る回転体および送出装置の断面図であって、回転体が第2回転位置にある状態を示す図である。
図13A】第3の変形例に係る回転体および送出装置の正面図であって、回転体が第1回転位置にある状態を示す図である。
図13B】第3の変形例に係る回転体および送出装置の正面図であって、回転体が第2回転位置にある状態を示す図である。
図14A】第4の変形例に係る回転体および送出装置の正面図であって、回転体が第1回転位置にある状態を示す図である。
図14B】第4の変形例に係る回転体および送出装置の正面図であって、回転体が第2回転位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[ゴム栓供給装置の構成]
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、一実施形態に係るゴム栓供給装置10の模式的な断面図である。ゴム栓供給装置10は、ゴム栓5を他の装置、例えば、ゴム栓挿入装置(図示せず)に1つずつ供給する。以下の説明では、特に断らない限り、図1の紙面表側をゴム栓供給装置10の前方側と呼ぶこととする。左、右、上、下とは、ゴム栓供給装置10を前方側から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、特に断らない限り、説明中の回転方向は、ゴム栓供給装置10の前方から見た回転方向を言うものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、ゴム栓供給装置10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0031】
図2に示すように、本実施形態に係るゴム栓5は、軸線方向に関して非対称な円筒状の形状を有している。ゴム栓5は、小径部5cと大径部5dとを有している。大径部5dの直径は、小径部5cの直径よりも大きい。小径部5cの先端には、小径部5cよりもわずかに直径の大きいリング部5eが形成されている。大径部5dのうち小径部5cとの接続部付近には、大径部5dよりもわずかに直径の大きいリング部5fが2つ形成されている。以下では適宜、ゴム栓5の小径部5c側の端部をゴム栓5の前端5aと呼ぶ。また、以下では適宜、ゴム栓5の大径部5d側の端部をゴム栓5の後端5bと呼ぶ。前端5aは、ゴム栓供給装置10によって他装置に送出される際に送出方向前方を向く端部である。後端5bは、ゴム栓供給装置10によって他装置に送出される際に送出方向後方を向く端部である。ゴム栓5は、前端5aから後端5bまで貫通する貫通孔5gを備えている。ただし、ここに示したゴム栓5の形状は一例に過ぎず、ゴム栓5の形状は限定されない。
【0032】
図3に示すように、ゴム栓5は、例えば、被覆電線6(以下、電線6)に装着される。電線6の先端は、ゴム栓5の貫通孔5gに挿通される。電線6は、後端5bの開口から貫通孔5gに挿入され、前端5aの開口から取り出される。その後、電線6の先端部の被覆が剥ぎ取られ、先端部に圧着端子7が圧着される。このとき、圧着端子7の圧着によりゴム栓5も電線6に固定される。さらに、電線6、ゴム栓5、および圧着端子7のアッセンブリは、専用のハウジング8に挿入される。図3に示すように、ゴム栓5のリング部5fは、ハウジング8の内周部に接触し、ハウジング8内に水分が侵入することを防止する。ゴム栓5は、防水用のゴム栓である。ただし、ここに示したゴム栓5の使用態様は一例に過ぎず、ゴム栓5の使用態様は限定されない。
【0033】
ゴム栓供給装置10は、前端5aが送出方向前方にくるように向きを揃えてゴム栓5を他の装置に送出する。ゴム栓供給装置10は、ランダムな向きで提供されたゴム栓5の向きを揃える機能を有している。図1に示すように、ゴム栓供給装置10は、供給装置20と、方向調整装置30と、送出装置60と、それらの動作を制御する制御装置100(図7参照)と、を備えている。供給装置20は、ゴム栓5を方向調整装置30に供給する。供給装置20には、ゴム栓5の向きを検出するセンサ25も設けられている。方向調整装置30は、センサ25によって検出されたゴム栓5の向きに基づいて、ゴム栓5の向きを揃える。送出装置60は、方向調整装置30によって向きが揃えられたゴム栓5を他装置に向かって送出する。
【0034】
図1に示すように、供給装置20は、供給槽21と、供給管22と、ゴム栓5を方向調整装置30の上方まで搬送する移動プレート23と、センサ25と、ゴム栓5を方向調整装置30の回転体40に押し込む挿入ピン26と、を備えている。供給槽21は、多数のゴム栓5が収容される箱状の部材である。多数のゴム栓5は、例えば、ビニール袋等の容器に入れられて納入される。多数のゴム栓5は、この容器から供給槽21に移し替えられる。このとき、供給槽21内の多数のゴム栓5の向きは一定していない。供給槽21の底面は、中心側に集まるように傾斜している。供給槽21の底面の中央部には、供給管22が接続されている。供給槽21の底面の傾斜により底面中央部に集まったゴム栓5は、供給管22内に落下する。供給管22は、円筒状に構成され、上下方向に延びている。供給管22の内径は、ゴム栓5の外径よりも僅かに大きく設定されている。供給管22は、ゴム栓5が前端5aおよび後端5bのいずれか一方の端部を進行方向前方に向けて通過できる太さに形成されている。ゴム栓5は、供給管22を通ることにより、1つずつ下流側に供給される。また、ゴム栓5の向きは、供給管22を通ることにより、前端5aまたは後端5bが進行方向前方に向く向きに修正される。
【0035】
移動プレート23は、供給管22の下方に設けられている。移動プレート23は、プレートアクチュエータ24(図7参照)により、左右方向に移動される。プレートアクチュエータ24は、例えば、エアシリンダである。ただし、プレートアクチュエータ24の種類は、特に限定されない。図1には、左方のエンド位置にある状態の移動プレート23が図示されている。移動プレート23は、左方のエンド位置において供給管22の下方に位置する保持孔23aを備えている。保持孔23aは、移動プレート23を上下方向に貫通している。移動プレート23が左方のエンド位置にある状態において、ゴム栓5は、保持孔23aに収容される。ゴム栓5は、例えば、圧縮エアによって供給管22内を加圧することにより、保持孔23a内に押し込まれる。
【0036】
保持孔23aの前後には、ゴム栓5の向きを検出するセンサ25が設けられている。センサ25は、ここでは、保持孔23aに収容された状態のゴム栓5の向きを検出する。ただし、センサ25は、ゴム栓5が方向調整装置30に収容される前にゴム栓5の向きを検出すればよく、検出タイミングはそれ以上限定されない。センサ25は、ここでは、到達確認センサ25Aおよび方向検出センサ25Bからなっている。到達確認センサ25Aおよび方向検出センサ25Bは、ここでは、いずれも光学式のセンサである。到達確認センサ25Aおよび方向検出センサ25Bは、それぞれ投光器と受光器とを備えている。到達確認センサ25Aの投光器は、水平方向に光軸Laを持つ光を照射する。到達確認センサ25Aの受光器は、投光器が照射する光を受けるように構成されている。保持孔23aにゴム栓5が収容されると、到達確認センサ25Aの投光器が照射する光はゴム栓5に遮られ、受光器に到達しない。これにより、ゴム栓5が保持孔23aに収容されたことが検出される。
【0037】
方向検出センサ25Bの投光器は、水平方向に光軸Lbを持つ光を照射する。方向検出センサ25Bの受光器は、投光器が照射する光を受けるように構成されている。前端5aが下方を向くように保持孔23aにゴム栓5が収容されている場合(以下、このゴム栓5の向きを正方向とも称する)、方向検出センサ25Bの投光器が照射する光は、小径部5cの側方を通過し、受光器に到達する。一方、図示は省略するが、前端5aが上方を向くように保持孔23aにゴム栓5が収容されている場合(以下、このゴム栓5の向きを逆方向とも称する)、方向検出センサ25Bの投光器が照射する光は、大径部5dに遮られ、受光器に到達しない。センサ25は、到達確認センサ25Aおよび方向検出センサ25Bの受光の有無により、ゴム栓5の向きが正方向か、正方向とは逆向きの逆方向かを検出するように構成されている。詳しくは、センサ25は、到達確認センサ25Aが受光せず、方向検出センサ25Bが受光している場合に、ゴム栓5の向きが正方向であることを検出する。センサ25は、到達確認センサ25Aおよび方向検出センサ25Bがともに受光していない場合に、ゴム栓5の向きが逆方向であることを検出する。ただし、センサ25によるゴム栓5の向きの検出方式は特に限定されない。
【0038】
図4には、右方のエンド位置に位置付けた状態の移動プレート23と、挿入ピン26とが示されている。移動プレート23は、保持孔23aに保持したゴム栓5を挿入ピン26の下方まで搬送する。挿入ピン26は、上下方向に移動可能に構成されている。挿入ピン26は、平面視において、移動プレート23が右方のエンド位置にあるときの保持孔23aと重なる位置に設けられている。供給装置20は、挿入ピン26を上下方向に移動させる挿入アクチュエータ27(図7参照)を備えている。挿入アクチュエータ27は、例えば、エアシリンダである。ただし、挿入アクチュエータ27の種類は、特に限定されない。挿入アクチュエータ27を駆動して挿入ピン26を下方に移動することにより、保持孔23a内のゴム栓5が方向調整装置30の回転体40内に押し込まれる。この動きの詳細については後述する。
【0039】
図4は、方向調整装置30の一部破断正面図である。図4は、回転体40が第1回転位置R1(詳しくは後述)にあるときの方向調整装置30の図である。図4に示すように、方向調整装置30は、回転体40と、回転体40を回転させる駆動装置50と、を備えている。
【0040】
図5は、回転体40を水平方向に切断した断面図である。図5に示すように、回転体40は、ホルダ40Aと、ロータリーシャフト40Bと、回転軸40Cと、を備えている。ホルダ40Aは、供給装置20から供給されたゴム栓5をそれぞれ収容可能な第1収容部41と第2収容部42とが設けられた回転体40の本体部である。ホルダ40Aの後方には、ホルダ40Aを支持するロータリーシャフト40Bが設けられている。回転軸40Cは、ロータリーシャフト40Bを回転可能に支持している。図5に示すように、回転軸40Cは、前後方向に延びている。ホルダ40Aは、ロータリーシャフト40Bとともに、回転軸40C周りに回転する。
【0041】
図4に示すように、ホルダ40Aは、回転軸40Cの軸線方向(ここでは前後方向)視において円形の円板状に構成されている。ホルダ40Aの中心は、回転軸40Cと一致している。ホルダ40Aには、ゴム栓5を収容する第1収容部41と第2収容部42とが形成されている。第1収容部41は、ホルダ40Aを径方向に貫通する貫通孔である。第1収容部41は、ここでは、1つの軸線Ax1に沿って延びるストレート孔である。第1収容部41は、前後方向視において、ホルダ40Aの中心(回転軸40C上でもあり、よってホルダ40Aの回転中心でもある)を通っている。第1収容部41の両端部41a、41bは、それぞれ、回転軸方向視におけるホルダ40Aの外周部に開口している。図5に示すように、第1収容部41は、円形の断面を有している。第1収容部41の直径は、ゴム栓5の最も径が大きい部分(ここでは、リング部5f)の直径に対応している。
【0042】
図4に示すように、第1収容部41の軸線Ax1は、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、上下方向を向いている。このとき、第1収容部41の一方の端部41aは、上方を向いており、移動プレート23の下方に位置している。第1収容部41の端部41aは、ゴム栓5が第1収容部41に収容される際に、ゴム栓5が入ってくる開口部である。以下、第1収容部41の端部41aのことをゴム栓供給口41aとも呼ぶ。ゴム栓供給口41aは、回転体40が回転軸40C周りの第1回転位置R1に位置し、移動プレート23が右方のエンド位置に位置しているとき、供給装置20の保持孔23aに接続される。第1収容部41の他方の端部41bは、ゴム栓5が第1収容部41から送出される際に、ゴム栓5が通る開口部である。以下、第1収容部41の他方の端部41bのことをゴム栓送出口41bとも呼ぶ。回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、ゴム栓送出口41bは下方を向いている。回転軸40C周りのゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとの角度のずれは180度である。第1収容部41のゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとの間の部分は、ゴム栓5の送出においてゴム栓5が通るゴム栓通路41cを構成している。ゴム栓通路41cは、ゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとを繋ぐ通路であり、ゴム栓5が通過可能なように構成されている。
【0043】
第2収容部42は、回転軸方向視におけるホルダ40Aの外周部に開口する開口部42aを有する不貫通の凹部である。第2収容部42は、開口部42aからホルダ40Aの径方向に凹むように形成されている。ホルダ40Aの外周部からの第2収容部42の深さは、ゴム栓5の軸線方向の長さよりも少し長い。第2収容部42は、第1収容部41とは交差しないような深さに形成されている。第2収容部42も、円形の断面を有している。第2収容部42の直径も、ゴム栓5の最も径が大きい部分の直径に対応している。図4に示すように、第2収容部42の軸線Ax2は、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、左右方向を向いている。第2収容部42の軸線Ax2は、第1収容部41の軸線Ax1と直交している。第2収容部42の外周部に開口する開口部42aは、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、右方を向いている。回転軸40C周りの端部42aとゴム栓供給口41aとの角度のずれ、および、端部42aとゴム栓送出口41bとの角度のずれは、いずれも90度である。この開口部42aは、ゴム栓5が第2収容部42に収容される際および第2収容部42から送出される際に、ゴム栓5が通る開口部である。以下、第2収容部42の端部42aのことをゴム栓給排口42aとも呼ぶ。
【0044】
ホルダ40Aには、第2収容部42に連通し、圧縮エアが通るエア流路APの一部が形成されている。図5に示すように、ホルダ40Aには、エア流路APの一部として、上流側流路43と下流側流路44とが設けられている。上流側流路43は、ホルダ40Aの外周部からホルダ40Aの径方向に向かって形成され、その後、後方(ロータリーシャフト40Bの側)に向かって屈折している。上流側流路43のホルダ40Aの外周部に開口した端部43a(以下、エア流入口43aとも呼ぶ)には、送出装置60から圧縮エアが供給される。エア流入口43aは、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、左方を向いている。上流側流路43のもう1つの端部43bは、ホルダ40Aの背面に開口している。下流側流路44は、第2収容部42とホルダ40Aの背面側とを連通させている。下流側流路44は、ホルダ40Aの背面に開口した端部44aから前方に向かって延び、第2収容部42に達している。以下、第2収容部42に接続された下流側流路44の端部をエア流出口44bとも呼ぶ。
【0045】
ロータリーシャフト40Bは、ホルダ40Aの背面に接している。ロータリーシャフト40Bにも、エア流路APの一部が設けられている。ロータリーシャフト40Bには、エア流路APの一部として、迂回流路45が形成されている。迂回流路45は、ロータリーシャフト40Bの前面に設けられた溝であり、上流側流路43の背面側の端部43bおよび下流側流路44の背面側の端部44aと前後方向視において重なっている。迂回流路45は、上流側流路43の背面側の端部43bと、下流側流路44の背面側の端部44aとに接続され、両者を連通させている。迂回流路45により、エア流路APのエア流入口43aと第2収容部42とが連通する。図5に示すように、エア流路APは、第1収容部41のゴム栓通路41cを避けるように形成されている。
【0046】
駆動装置50は、回転体40を回転軸40C周りに回転させる機構である。図4に示すように、駆動装置50は、アクチュエータ51と、アクチュエータ51と回転体40とを連結する連結部材52と、アクチュエータ51を支持する支持部材53と、を備えている。アクチュエータ51は、ここでは、伸縮するロッド51aを備えたエアシリンダである。ただし、アクチュエータ51はエアシリンダに限定されるわけではない。アクチュエータ51は、伸縮するロッドを備えた電磁式のシリンダであってもよい。
【0047】
連結部材52は、アクチュエータ51のロッド51aが回転体40に対して回転自在なようにロッド51aと回転体40とを連結している。連結部材52は、回転体40に対しては回転不能に固定され、ロッド51aに対しては回転可能に連結されている。連結部材52は、先端部、すなわち、回転体40とともに回転する際の外周部に回転軸52aを有している。ロッド51aの先端部は、回転軸52aに回転可能に連結されている。支持部材53は、ロッド51aの伸縮に応じて揺動可能なようにアクチュエータ51を支持している。支持部材53は、アクチュエータ51のロッド51aが設けられた側とは逆側の端部を揺動可能に支持する。支持部材53は、その周りにアクチュエータ51が揺動する揺動軸53aを備えている。アクチュエータ51は、揺動軸53a周りの揺動、いわゆる首振りが可能である。そのため、アクチュエータ51のロッド51aが伸縮することにより、回転体40が回転する。なお、支持部材53は、アクチュエータ51を揺動自在にではなく、移動自在に(例えば、スライド可能なように)支持していてもよい。
【0048】
回転体40は、駆動装置50の駆動により、図4に示す第1回転位置R1と図6に示す第2回転位置R2との間を移動する。図6は、第2回転位置R2における方向調整装置30の一部破断正面図である。図4および図6に示すように、回転体40は、アクチュエータ51のロッド51aが縮む側のストロークエンドに位置しているときに第1回転位置R1に位置し、ロッド51aが伸びる側のストロークエンドに位置しているときに第2回転位置R2に位置する。ただし、回転体40の第1回転位置R1および第2回転位置R2は、アクチュエータ51のロッド51aの両ストロークエンドに対応していなくてもよい。回転体40の第1回転位置R1および第2回転位置R2は、例えば、回転体40がストッパに突き当たることにより定まってもよい。
【0049】
図4および図6に示すように、本実施形態では、回転軸40C周りの第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは90度である。第2回転位置R2は、図6に示すように、第1収容部41のゴム栓供給口41aが左方に、ゴム栓送出口41bが右方に向く回転位置である。回転体40が第2回転位置R2に位置しているとき、第2収容部42のゴム栓給排口42aは上方を向いており、移動プレート23が右方のエンド位置にある状態の保持孔23aに接続される。第2回転位置R2は、回転体40を前方から見て反時計回りに90度回転させた回転位置である。後述するが、ここでは、送出装置60のエア噴射口61aは回転体40の左方に配置され、送出装置60の送出管62は回転体40の右方に配置されている。そのため、第1回転位置R1から第2回転位置R2に移動するときの回転体40の回転方向は、第1収容部41のゴム栓供給口41aがエア噴射口61aに近づき、ゴム栓送出口41bが送出管62に近づく回転方向である。第1回転位置R1から第2回転位置R2に移動するときの回転体40の回転方向は、第2収容部42のゴム栓給排口42aが送出管62から離れ、供給装置20の保持孔23aに近づく回転方向でもある。
【0050】
送出装置60は、第1収容部41または第2収容部42に収容されたゴム栓5を第1収容部41または第2収容部42から次の装置へと送出する。図4に示すように、送出装置60は、回転体40の左方に配置されたエア供給部61と、回転体40の右方に配置された送出管62と、送出管62に接続されたエジェクタ63と、を備えている。エア供給部61は、ゴム栓5を送出するための圧縮エアを回転体40の第1収容部41または第2収容部42に送る。エア供給部61は、圧縮エアを噴射するエア噴射口61aと、圧縮エアの供給および停止を制御するバルブ61b(図7参照)と、を備えている。エア噴射口61aは、回転体40の左方に回転体40と隣接して設けられ、右方に向かって圧縮エアを噴射する。図4に示すように、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、エア噴射口61aには、エア流路APのエア流入口43aが接続される。この状態でエア噴射口61aから圧縮エアが噴射されると、圧縮エアは、エア流路APを経由して、エア流路APのエア流出口44bから第2収容部42内に噴射される。図6に示すように、回転体40が第2回転位置R2に配置されているとき、エア噴射口61aには、第1収容部41のゴム栓供給口41aが接続される。この状態でエア噴射口61aから圧縮エアが噴射されると、圧縮エアは第1収容部41内をゴム栓送出口41bの方に(ここでは右方に)向かって流れる。バルブ61bは、例えば電磁バルブであり、制御装置100によって制御されている。ただし、バルブ61bの種類は限定されない。
【0051】
送出管62は、回転体40の右方に回転体40と隣接して設けられている。送出管62は、第1収容部41および第2収容部42から送出されたゴム栓5が通る管である。送出管62の左端は開放され、回転体40に隣接している。図4に示すように、送出管62は、回転体40が第1回転位置R1に配置されているときには、第2収容部42のゴム栓給排口42aに接続される。この状態でエア噴射口61aから圧縮エアが噴射されると、ゴム栓5は、圧縮エアの圧力によって第2収容部42から送出管62内に送出される(図10も参照)。ゴム栓5は、さらに送出管62内を移動し、次の装置に供給される。図6に示すように、送出管62は、回転体40が第2回転位置R2に配置されているときには、第1収容部41のゴム栓送出口41bに接続される。この状態でエア噴射口61aから圧縮エアが噴射されると、ゴム栓5は、圧縮エアの圧力によって第1収容部41から送出管62内に送出される。
【0052】
上記をまとめると、回転体40が第1回転位置R1に配置されているとき、供給装置20には第1収容部41のゴム栓供給口41aが接続され、送出装置60の送出管62には第2収容部42のゴム栓給排口42aが接続され、送出装置60のエア噴射口61aには、第2収容部42に連通したエア流路APが接続される。回転体40が第2回転位置R2に配置されているときには、供給装置20には第2収容部42のゴム栓給排口42aが接続され、送出装置60の送出管62には第1収容部41のゴム栓送出口41bが接続され、送出装置60のエア噴射口61aには第1収容部41のゴム栓供給口41aが接続される。なお、本実施形態および変形例において、2つの部材が「接続」されるとは、例えば、ゴム栓5の受け渡しが可能となったり、圧縮エアの供給が可能となったりするような機能的な接続を意味し、必ずしも2つの部材が接触することを意味しない。
【0053】
エジェクタ63は、送出管62の内部を減圧する減圧装置である。エジェクタ63は、ここでは、送出管62に接続された減圧ポンプである。回転体40が第1回転位置R1に位置し、ゴム栓5が第2収容部42に収容された状態でエジェクタ63を駆動させると、ゴム栓5は、送出管62内の負圧により送出管62の方に向かって引っ張られる。回転体40が第2回転位置R2に位置し、ゴム栓5が第1収容部41に収容された状態でエジェクタ63を駆動させると、ゴム栓5は、送出管62内の負圧により送出管62の方に向かって引っ張られる。
【0054】
図7は、本実施形態に係るゴム栓供給装置10のブロック図である。図7に示すように、制御装置100には、供給装置20のプレートアクチュエータ24、到達確認センサ25A、方向検出センサ25B、および挿入アクチュエータ27と、駆動装置50のアクチュエータ51と、送出装置60のバルブ61bおよびエジェクタ63と、が接続されている。制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えば、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置100の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。制御装置100は、例えば、プログラマブルコントローラやコンピュータなどであってもよい。
【0055】
図7に示すように、制御装置100は、方向判定部101と、回転制御部102と、供給制御部103と、送出制御部104と、を備えている。方向判定部101は、方向調整装置30に供給されるゴム栓5の向きが正方向か逆方向かをセンサ25の検出に基づいて判定する。方向判定部101による判定は、方向調整装置30にゴム栓5が供給される前に行われる。
【0056】
回転制御部102は、第1回転制御部102Aと、第2回転制御部102Bと、を備えている。第1回転制御部102Aは、供給されるゴム栓5の向きが正方向であることがセンサ25により検出された場合には、駆動装置50を制御して回転体40を第1回転位置R1に配置し、ゴム栓5の向きが逆方向であることがセンサ25により検出された場合には、回転体40を第2回転位置R2に配置する。回転制御部102による回転体40の回転または不回転(回転体40が既に目的の回転位置にある場合)の制御は、ゴム栓5が第1収容部41または第2収容部42に収容される前に行われる。第2回転制御部102Bは、供給制御部103によって第1収容部41または第2収容部42にゴム栓5が供給された後に、駆動装置50を駆動して、回転体40を第1回転位置R1から第2回転位置R2に、または第2回転位置R2から第1回転位置R1に移動する。
【0057】
供給制御部103は、移動制御部103Aと、挿入制御部103Bと、を備えている。移動制御部103Aは、プレートアクチュエータ24を制御して、移動プレート23を左右方向に移動させる。挿入制御部103Bは、挿入アクチュエータ27を制御して、挿入ピン26を上下方向に移動させる。供給制御部103は、第1回転制御部102Aによって回転体40が第1回転位置R1または第2回転位置R2に配置された後に、供給装置20の挿入アクチュエータ27を制御して、第1収容部41または第2収容部42にゴム栓5を供給させる。移動プレート23を右方のエンド位置に移動させる制御は、第1回転制御部102Aによって回転体40が第1回転位置R1または第2回転位置R2に配置される前に行われてもよく、後に行われてもよい。
【0058】
送出制御部104は、エア制御部104Aと、減圧制御部104Bと、を備えている。エア制御部104Aは、バルブ61bを制御してエア噴射口61aから圧縮エアを噴射させ、または噴射を停止させる。減圧制御部104Bは、エジェクタ63を制御して送出管62内を減圧し、または減圧を停止する。送出制御部104は、第2回転制御部102Bによって回転体40が移動された後に、送出装置60を制御して、第1収容部41に収容されたゴム栓5をゴム栓送出口41bから送出するか、または、第2収容部42に収容されたゴム栓5をゴム栓給排口42aから送出する。詳しくは、送出制御部104は、第2回転制御部102Bによって回転体40が移動された後に、送出装置60のバルブ61bを制御して、第1収容部41または第2収容部42内に圧縮エアを供給する。さらに、送出制御部104は、第1収容部41または第2収容部42に収容されたゴム栓5を第1収容部41または第2収容部42から送出する際に、エジェクタ63を駆動して送出管62内を減圧する。
【0059】
[供給プロセス]
以下では、ゴム栓供給装置10によるゴム栓5の供給プロセスについて説明する。図8は、ゴム栓5の供給プロセスの一例を示すフローチャートである。図8に示すように、ゴム栓5の供給では、まず、供給槽21から落下して保持孔23aに収容されたゴム栓5の向きの判定がステップS01において行われる。ゴム栓5の向きが正方向(前端5aが進行方向前方、ここでは下方を向いた向き)であった場合(ステップS01の結果がYESの場合)、ステップS02Aにおいて回転体40が第1回転位置R1に位置付けられる。ゴム栓5の向きが逆方向(後端5bが進行方向前方を向いた向き)であった場合(ステップS01の結果がNOの場合)、ステップS02Bにおいて回転体40が第2回転位置R2に位置付けられる。ステップS03では、移動プレート23が右方のエンド位置に移動される。ステップS03は、ステップS02AまたはS02Bよりも先に行われてもよく、ステップS02AまたはS02Bと同時に行われてもよい。
【0060】
ステップS04では、挿入ピン26を下降させて、ゴム栓5を第1収容部41または第2収容部42内に押し込む。ゴム栓5の向きが正方向であった場合(ステップS01の結果がYESの場合)には、ゴム栓5は第1収容部41に収容される。この状態は、図4に示されている。ゴム栓5の向きが逆方向であった場合(ステップS01の結果がNOの場合)には、ゴム栓5は第2収容部42に収容される。この状態を図9に示す。図9は、方向調整装置30および送出装置60の一部破断正面図であって、ゴム栓5が第2収容部42に供給された時点の状態を示す図である。ステップS05では、挿入ピン26が上昇され、第1収容部41または第2収容部42内から抜かれる。これにより、再び回転体40が回転可能な状態となる。
【0061】
続くステップS06では、第1回転位置R1から第2回転位置R2へ、または、第2回転位置R2から第1回転位置R1へと回転体40が回転される。第1回転位置R1から第2回転位置R2へと回転される場合、回転体40は、前方から見て反時計回りに90度回転される。この状態は、図6に示されている。第2回転位置R2から第1回転位置R1へと回転される場合、回転体40は、前方から見て時計回りに90度回転される。この状態を図10に示す。図10は、方向調整装置30および送出装置60の一部破断正面図であって、回転体40が第1回転位置R1に移動した後の状態を示す図である。
【0062】
続くステップS07では、バルブ61bが開放されて送出装置60のエア噴射口61aから圧縮エアが噴射されるとともに、エジェクタ63が駆動される。これにより、図6の場合には、ゴム栓5は、ゴム栓送出口41bから第1収容部41の外部へと搬送され、送出管62内に移動する。これによりゴム栓5が回転体40から離脱する。このとき、図6に示すように、ゴム栓5は、前端5aを送出方向前方に向けている。図10の場合には、ゴム栓5は、ゴム栓給排口42aから第2収容部42の外部へと搬送され、送出管62内に移動する。このときにも、図10に示すように、ゴム栓5は、前端5aを送出方向前方に向けている。すなわち、ステップS07では、向きが正方向に揃った状態でゴム栓5が送出される。
【0063】
ステップS08では、エジェクタ63が停止され、送出管62内の負圧が解除される。ステップS09では、移動プレート23が左方のエンド位置に戻される。ステップS09は、ステップS06~S08の間のどこかのタイミングで行われればよい。ゴム栓5が回転体40の外部に出た後は回転体40を回転させても差し支えないため、その後には、次のゴム栓5に対してステップS01~S05が行われる(図示は省略)。次のゴム栓5に対するステップS02AまたはS02Bによって回転体40の回転位置が変わっても、エア噴射口61aから噴射された圧縮エアは送出管62内を流れるため、ゴム栓5は引き続き送出管62内を搬送される。ステップS10では、圧縮エアの噴射が停止される。ただし、圧縮エアが噴射されていても供給装置20による回転体40へのゴム栓5の供給には影響がないため、圧縮エアは、プロセス中、常時噴射されていてもよい。
【0064】
[第1実施形態の作用効果]
以上が本実施形態に係るゴム栓供給装置10およびゴム栓5の供給方法についての説明である。次に、本実施形態に係るゴム栓供給装置10によりもたらされる作用効果について説明する。
【0065】
本実施形態に係るゴム栓供給装置10によれば、ゴム栓5の向きは、ゴム栓5が回転体40に収容される前に検出される。ゴム栓5は、検出された向きに応じて回転体40の第1収容部41または第2収容部42に収容されるが、第1収容部41と第2収容部42とは、ゴム栓5の送出方向が異なっている。第1収容部41は、供給されたときの向きを変えずにゴム栓5を送出できるように、回転体40を貫通している。さらに、本実施形態では、第1回転位置R1は、第1収容部41にとってのゴム栓5の供給位置であり、第2収容部42にとってのゴム栓5の送出位置である。第2回転位置R2は、第1収容部41にとってのゴム栓5の送出位置であり、第2収容部42にとってのゴム栓5の供給位置である。従って、かかる構成によれば、回転体40を第1回転位置R1、第2回転位置R2の2位置の間で移動させることによってゴム栓5の向きを揃えることが可能である。
【0066】
前述したように、従来のゴム栓供給装置は、回転体に供給されるときのゴム栓の向きによってゴム栓の収容部を変えるようには構成されていなかった。そのため、従来のゴム栓供給装置は、回転体は、180度ずれた第1の送出位置および第2の送出位置と、それ以外の供給位置との3位置をとることができるように構成されていなければならなかった。回転体の3位置制御は回転角度を計測できるアクチュエータを使用するか、または、複数のアクチュエータを組み合わせて複雑な動きをさせないと実現が難しい。回転角度を計測できるアクチュエータ、例えば、ロータリーアクチュエータやサーボモータは高価である。複数のアクチュエータの組み合わせは、制御や構成が複雑である。それに対して、回転体の2位置制御は、例えば1つの単動アクチュエータの両ストロークエンドや、ストッパ等によって簡易かつ安価に実現できる。よって、かかる構成によれば、簡易かつ安価な構成でゴム栓5の向きを揃えることが可能となる。
【0067】
本実施形態では、駆動装置50は、伸縮するロッド51aを備えたアクチュエータ51と、ロッド51aが回転体40に対して回転自在なようにロッド51aと回転体40とを連結する連結部材52と、ロッド51aの伸縮に応じて揺動可能なようにアクチュエータ51を支持する支持部材53と、を備えている。かかる態様によれば、伸縮するロッド51aを備える単純なアクチュエータ51によって回転体40を回転させることができる。伸縮するロッド51aを備える単純なアクチュエータ51を使用すれば、例えばロータリーアクチュエータやサーボモータを使用するよりも、かなり駆動装置50のコストを削減できる。
【0068】
本実施形態では、回転体40は、アクチュエータ51のロッド51aが一方のストロークエンドに位置しているときに第1回転位置R1に位置し、ロッド51aが他方のストロークエンドに位置しているときに第2回転位置R2に位置する。かかる構成によれば、アクチュエータ51のロッド51aのストロークエンドを利用して回転体40の第1回転位置R1および第2回転位置R2を決めることができるため、駆動装置50の構成をさらに簡易なものとすることができる。
【0069】
本実施形態では、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは、90度である。第1収容部41のゴム栓供給口41aと第2収容部42のゴム栓給排口42aとの角度のずれも、90度である。そのため、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓供給口41aの位置と、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓給排口42aの位置とが一致する。供給装置20は、常に同じ位置で回転体40にゴム栓5を受け渡せばよい。よって、供給装置20の構成が簡易である。さらに、本実施形態では、第1収容部41のゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとの角度のずれは、180度である。そのため、図6および図10に示されているように、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓送出口41bの位置と、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓給排口42aの位置も一致する。従って、送出装置60のゴム栓経路が1つの送出管62だけで済む。なお、送出管を2つ備える態様は、本実施形態の変形例で説明する。
【0070】
本実施形態では、回転体40は、回転体40が第1回転位置R1に配置されたときにエア噴射口61aに接続されるエア流入口43aと、第2収容部42に接続されたエア流出口44bと、を備え、第1収容部41のゴム栓通路41cを避けるように設けられたエア流路APを有している。かかるエア流路APによれば、ゴム栓5を送出するための圧縮エアを第2収容部42に供給することができる。さらに、第1収容部41とエア流路APとが繋がっていないため、第1収容部41とエア流路APとのうちの一方に圧縮エアが供給された場合に、他方には圧縮エアが流れていかない。そのため、圧縮エアの送出能力が低下することを抑制し、無駄になる圧縮エアの量を削減することができる。本実施形態では、図5に示すように、エア流路APを3回屈折させることにより、エア流路APが第1収容部41のゴム栓通路41cと重なることを避けている。
【0071】
本実施形態では、送出装置60は送出管62の内部を減圧するエジェクタ63を備えている。ゴム栓供給装置10は、ゴム栓5を第1収容部41または第2収容部42から送出する際には、エジェクタ63を駆動する。かかる構成によれば、第1収容部41または第2収容部42からのゴム栓5の搬出時間を短縮することができる。特に、第1収容部41は、回転体40を貫通しているため長さが長い。そのため、ゴム栓5の第1収容部41からの搬出に要する時間は、第1収容部41とゴム栓5との間の摩擦により長くなる。本実施形態では、エジェクタ63を駆動することにより、送出管62内に負圧が発生する。この負圧によりゴム栓5の送出がサポートされ、第1収容部41からのゴム栓5の搬出時間を短縮することができる。なお、第2収容部42からのゴム栓5の搬出時間も、同様に短縮することができる。
【0072】
[他の実施形態]
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、上記実施形態は一例に過ぎず、他にも様々な実施形態が可能である。以下では、いくつかの変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明では、上記した実施形態と同じ機能を奏する部材には同じ符号を使用する。また、重複する説明は、適宜、省略または簡略化する。
【0073】
[第1の変形例]
第1の変形例では、送出装置60は、2つのエア噴射口を備えている。図11Aおよび図11Bは、第1の変形例に係る回転体40および送出装置60の模式的な断面図である。そのうち図11Aは、回転体40が第1回転位置R1に位置した状態を示している。図11Bは、回転体40が第2回転位置R2に位置した状態を示している。図11Aおよび図11Bに示すように、本変形例では、送出装置60は、それぞれ圧縮エアを噴射するように構成された第1噴射口64および第2噴射口65を備えている。図11Bに示すように、第1噴射口64は、回転体40が第2回転位置R2に配置されたときに、第1収容部41のゴム栓供給口41aに接続される。図11Aに示すように、第2噴射口65は、回転体40が第1回転位置R1に配置されたときに、エア流路APのエア流入口46aに接続される。エア流路APは、回転体40が第1回転位置R1に配置されたときに第2噴射口65に接続されるエア流入口46aと、第2収容部42に接続されたエア流出口46bと、を備えている。
【0074】
かかる構成によれば、第1収容部41と第2収容部42とに別の系統から圧縮エアが供給されるため、エア流路APの構造を単純化できる。例えば、最初の実施形態のように圧縮エアの系統を1つにし、第1収容部41のゴム栓通路41cを避けるようにエア流路APを設けようとすると、エア流路APの構造が複雑になりやすい。図5に示すように、最初の実施形態では、エア流路APは、ホルダ40Aとロータリーシャフト40Bにわたって形成され、3回屈折していた。しかし、本変形例のように第2収容部42に圧縮エアを供給する系統を第1収容部41に圧縮エアを供給する系統と分けると、第1収容部41のゴム栓通路41cを避けるための特段の構成をエア流路APに設ける必要がなくなる。そのため、回転体40の構造の複雑化を避けることができる。本変形例では、エア流路APは、エア流出口46bの直前で1回だけ曲げられた概ね真っ直ぐな流路である。なお、エア流路APを真っ直ぐに構成することも可能である。
【0075】
[第2の変形例]
図12Aおよび図12Bは、第2の変形例に係る回転体40および送出装置60の模式的な断面図である。そのうち図12Aは、回転体40が第1回転位置R1に位置した状態を示している。図12Bは、回転体40が第2回転位置R2に位置した状態を示している。図12Aおよび図12Bに示すように、本変形例では、回転体40は、第1収容部41に圧縮エアを供給するための第1エア流路AP1と、第2収容部42に圧縮エアを供給するための第2エア流路AP2と、を備えている。第1エア流路AP1の一端47aは、第1収容部41に接続されている。第1エア流路AP1の他端47bは、回転体40の外周部に開口している。第1エア流路AP1の他端47bは、図12Bに示すように、回転体40が第2回転位置R2に配置されたときにエア噴射口61aに接続される。第1エア流路AP1は、第1収容部41の軸線Ax1に直交するように設けられた真っ直ぐな流路である。第2エア流路AP2の一端48aは、第2収容部42に接続されている。第2エア流路AP2の他端48bは、回転体40の外周部に開口している。第2エア流路AP2の他端48bは、図12Aに示すように、回転体40が第1回転位置R1に配置されたときにエア噴射口61aに接続される。第2エア流路AP2は、第1収容部41の軸線Ax1に略平行に設けられた概ね真っ直ぐな流路(最も第2収容部42に近い一部のみ第1収容部41の軸線Ax1と直交している)である。第1エア流路AP1は、回転体40が第2回転位置R2に位置しているときの第1エア流路AP1の端部47bの位置と回転体40が第1回転位置R1に位置しているときの第2エア流路AP2の端部48bの位置とが一致するように設けられる。
【0076】
かかる構成によれば、最初の実施形態のようにゴム栓供給口41aから第1収容部41に圧縮エアが供給される構成と異なり、圧縮エアの入口である第1エア流路AP1の端部47bを比較的自由に配置できる。そのため、第2エア流路AP2の構成が簡単になるように第1エア流路AP1の端部47bを配置することが可能である。そのため、回転体40の構造の複雑化を避け、かつ、圧縮エアの供給系統を1系統にすることができる。本変形例では、第2エア流路AP2が概ね真っ直ぐな流路となるように、第1エア流路AP1の端部47bの位置が決められている。
【0077】
[第3の変形例]
図13Aおよび図13Bは、第3の変形例に係る回転体40および送出装置60の正面図である。そのうち図13Aは、回転体40が第1回転位置R1に位置した状態を示している。図13Bは、回転体40が第2回転位置R2に位置した状態を示している。図13Aおよび図13Bに示すように、本変形例では、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは、90度よりも小さい。第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは、例えば45度である。ただし、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは45度に限定されるわけではない。本変形例では、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓送出口41bの位置と、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓給排口42aの位置とが一致しない。それに対応するように、送出装置60は、2つの送出管62Aおよび62Bを備えている。図13Bに示すように、第1の送出管62Aは、回転体40が第2回転位置R2にあるときに、第1収容部41のゴム栓送出口41bと接続される。図13Aに示すように、第2の送出管62Bは、回転体40が第1回転位置R1にあるときに、第2収容部42のゴム栓給排口42aと接続される。このように送出装置60は、2つの送出管62Aおよび62Bによってそれぞれ、第1収容部41のゴム栓送出口41bおよび第2収容部42のゴム栓給排口42aと接続されるのでもよい。かかる構成によれば、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれが90度よりも小さいため、回転体40を回転させる角度が小さくなる。そのため、ゴム栓5の向きを揃えるためのサイクルタイムを短縮することができる。
【0078】
なお、上記した変形例では、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓送出口41bの位置と、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓給排口42aの位置とが一致しなかったが、一致していてもよい。その場合、送出管62は1つでもよい。ただし、このような変形例では、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓供給口41aの位置と、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓給排口42aの位置とが一致しない。例えばこのような場合、移動プレート23(図1参照)は、ゴム栓5の向きに応じて、第1収容部41にゴム栓5を供給する位置または第2収容部42にゴム栓5を供給する位置に移動されてもよい。
【0079】
[第4の変形例]
第4の変形例では、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは90度よりも小さく、かつ、供給装置20によるゴム栓5の供給位置および送出管62は1つずつである。図14Aおよび図14Bは、第4の変形例に係る回転体40および送出装置60の正面図である。そのうち図14Aは、回転体40が第1回転位置R1に位置した状態を示している。図14Bは、回転体40が第2回転位置R2に位置した状態を示している。この変形例の説明では、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれが60度の場合を説明する。ただし、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは、60度には限定されない。
【0080】
図14Aおよび図14Bに示すように、本変形例では、第1収容部41は、回転体40の中心(回転軸40Cと一致)を通らないように構成されている。図14Aに示すように、回転体40が第1回転位置R1にあるとき、第1収容部41のゴム栓供給口41aは、上方(0時の方向)を向いている。このとき、第1収容部41のゴム栓送出口41bは、4時の方向を向いている。ここでは、回転軸40C周りのゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとの間の角度のずれは180度ではなく、120度である。また、回転体40が第1回転位置R1にあるとき、第2収容部42のゴム栓給排口42aは、2時の方向を向いている。回転軸40C周りのゴム栓供給口41aとゴム栓給排口42aとの間の角度のずれは、ここでは、90度ではなく、60度である。第2収容部42のゴム栓給排口42aは、回転軸40C周りの回転角度に関して、第1収容部41のゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとの中央に位置している。第1収容部41のゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとは、回転軸40C周りの回転位置に関し、第2収容部42のゴム栓給排口42aを基準として対称的に設けられている。
【0081】
図14Aに示すように、回転体40が第1回転位置R1にあるとき、第2収容部42のゴム栓給排口42aには、送出管62が接続される。送出管62は、回転体40の2時の方向に設けられている。本変形例では、エア噴射口61aは、回転体40の10時の方向に設けられている。エア噴射口61aは回転体40の0時の方向から反時計回りに60度ずれて設けられ、送出管62は回転体40の0時の方向から時計回りに60度ずれて設けられている。第2収容部42に連通するエア流路APは、回転体40が第1回転位置R1にあるときにエア噴射口61aに接続されるように設けられている。よって、図14Aの状態では、第2収容部42内のゴム栓5(図示せず)を送出管62に送出することが可能である。また、ゴム栓5をゴム栓供給口41aから第1収容部41内に挿入することが可能である。
【0082】
図14Bに示すように、回転体40を反時計回りに60度回転させて第2回転位置R2に移動させると、第2収容部42のゴム栓給排口42aは、回転軸40C周りの反時計回りに60度移動し、回転体40の0時の方向に移動する。これにより、ゴム栓5をゴム栓給排口42aから第2収容部42内に挿入することが可能となる。同時に、第1収容部41のゴム栓送出口41bも、回転軸40C周りの反時計回りに60度移動し、回転体40が第1回転位置R1に位置していたときに第2収容部42のゴム栓給排口42aが位置していた位置(回転体40の2時の位置)に移動する。これにより、送出管62がゴム栓送出口41bに接続される。さらに、第1収容部41のゴム栓供給口41aも、回転軸40C周りの反時計回りに60度移動し、回転体40が第1回転位置R1に位置していたときにエア流路APの端部が位置していた位置(回転体40の10時の位置)に移動する。これにより、エア噴射口61aがゴム栓供給口41aに接続される。よって、回転体40を第2回転位置R2に移動させると、第1収容部41内のゴム栓5(図示せず)を送出管62に送出することが可能となる。
【0083】
このように、第1収容部41のゴム栓供給口41aとゴム栓送出口41bとをゴム栓給排口42aを基準として対称的に設けることにより、第1回転位置R1と第2回転位置R2とのずれがどのような角度であっても、回転体40が第2回転位置R2にあるときのゴム栓送出口41bの位置と、回転体40が第1回転位置R1にあるときのゴム栓給排口42aの位置とを一致させることができる。そのため、送出装置60のゴム栓経路が1つの送出管62だけでよくなる。なお、本変形例では、図14Bに示すように、エア噴射口61aおよび送出管62は、回転体40が第2回転位置R2にあるときの第1収容部41と真っ直ぐに接続されるように設けられていたが、そうでなくてもよい。エア噴射口61aおよび送出管62は、第1収容部41内のゴム栓5、第2収容部42内のゴム栓5をいずれも送出しやすいような角度で設けられていてもよい。その場合、第1収容部41はストレート孔でなくてもよく、エア噴射口61aおよび送出管62に滑らかに接続されるように曲げられていてもよい。
【0084】
好適な一実施形態およびいくつかの変形例について上記に説明した。しかし、上記した実施形態の他にも様々な実施形態が可能である。例えば上記した実施形態では、第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは90度または90度未満であったが、90度より大きくてもよい。第1回転位置R1と第2回転位置R2との角度のずれは、例えば、90度より大きく、180度より小さくてもよい。
【0085】
上記した実施形態では、送出装置60は圧縮エアや送出管62内の減圧によってゴム栓5を送出したが、ゴム栓5の送出方法は特に限定されない。ゴム栓5は、例えば、ピン等による押圧や、重力の作用によって送出されてもよい。回転体40へのゴム栓5の供給方法も、同様に限定されない。
【0086】
上記した実施形態では、ゴム栓5が供給されたが、供給対象物はゴム栓でなくてもよい。供給対象物は、柱状または筒状の部品であればよい。好ましくは、供給対象物は、軸線方向の一方の端部側の形状と他方の端部側の形状とが非対称な部品であるとよい。
【符号の説明】
【0087】
5 ゴム栓
10 ゴム栓供給装置
20 供給装置
25 センサ
40 回転体
40C 回転軸
41 第1収容部
41a ゴム栓供給口
41b ゴム栓送出口
41c ゴム栓通路
42 第2収容部
42a ゴム栓給排口
43a エア流入口(第1端部)
44b エア流出口(第2端部)
50 駆動装置
51 アクチュエータ
51a ロッド
52 連結部材
53 支持部材
60 送出装置
61a エア噴射口
62 送出管
63 エジェクタ(減圧装置)
100 制御装置
102A 第1回転制御部
102B 第2回転制御部
103 供給制御部
104 送出制御部
AP エア流路
R1 第1回転位置
R2 第2回転位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B