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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】バッテリー装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241021BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241021BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241021BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20241021BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20241021BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/6568
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023515358
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 KR2021015101
(87)【国際公開番号】W WO2022092764
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140221
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ユン・クン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・チュル・チェ
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0134469(US,A1)
【文献】特開2013-134993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151930(US,A1)
【文献】特表2017-509757(JP,A)
【文献】特表2018-535528(JP,A)
【文献】特開2017-157542(JP,A)
【文献】特開2019-170546(JP,A)
【文献】特開2018-106982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルを収めるハウジングと、
冷媒流路が備えられて前記ハウジングの内部のバッテリーセルを冷却させるヒートシンクと、
前記ヒートシンクと隣設されて水分を吸い込む吸湿材と、
を備えるバッテリー装置であって、
前記複数のバッテリーセルと、前記ハウジングと、前記ヒートシンクと、を備えるバッテリーパックが少なくとも二つ以上連結されており、隣り合う前記バッテリーパックと前記バッテリーパックの間に前記吸湿材が設けられているバッテリー装置
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記ハウジングと接触されて設けられた請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、前記冷媒流路に冷媒を流れ込ませる冷媒入口及び前記冷媒流路から前記冷媒を排出する冷媒出口を備える請求項1又は2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記吸湿材は、前記ヒートシンクの前記冷媒が流れる少なくとも一領域に設けられた請求項3に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記吸湿材は、前記冷媒入口の連結部位、前記冷媒出口の連結部位、前記冷媒入口と冷媒供給パイプとの連結部位、前記冷媒出口と冷媒排出パイプとの連結部位、及び前記ヒートシンクの屈曲部のうちの少なくとも一つに設けられた請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
少なくとも二つ以上の請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリー装置が水平方向に隣り合うように構成され、
各バッテリー装置における隣り合うヒートシンクの冷媒入口及び冷媒出口がそれぞれ連結されて形成されたバッテリー装置。
【請求項7】
前記吸湿材は、前記隣り合うヒートシンクの間に設けられた請求項6に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記吸湿材は、前記隣り合う二つのヒートシンクが連結された前記冷媒入口及び前記冷媒出口の連結部位に設けられた請求項7に記載のバッテリー装置。
【請求項9】
前記吸湿材は、水分を吸い込み、吸い込まれた水分を保持できる物質からなる請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリー装置。
【請求項10】
前記吸湿材は、高吸収性樹脂を用いて形成された請求項9に記載のバッテリー装置。
【請求項11】
前記吸湿材は、高吸収性樹脂及び水酸化アルミニウムを含む請求項10に記載のバッテリー装置。
【請求項12】
前記水酸化アルミニウムは、高吸収性樹脂の100重量部に対して0.5~5重量部の含量にて含まれている請求項11に記載のバッテリー装置。
【請求項13】
前記吸湿材は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ゼラチン、ポリサッカライド、セルロース系、キトサンのうちのいずれか一種以上の樹脂から構成された請求項9に記載のバッテリー装置。
【請求項14】
前記吸湿材は、シリカゲルまたは塩化カルシウムと、これを覆うように形成された樹脂と、を含む請求項9に記載のバッテリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー装置に係り、特に、ヒートシンク付きバッテリー装置の冷媒の流出によるバッテリーセルの損傷を防ぐことのできるバッテリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な二次電池、すなわち、バッテリー(battery)は、スマートフォンなどのモバイル機器のエネルギー源として広く用いられている。のみならず、バッテリーは、化石燃料を用いるガソリン車両、ディーゼル車両などによる大気汚染などを解決するための方案として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても用いられている。
【0003】
バッテリーを用いるアプリケーションの種類は、バッテリーのメリットにより多様化が格段に進んでおり、今後からは、これよりは多くの分野と製品にバッテリーが適用されることが見込まれる。
【0004】
バッテリーは、高出力を得るために複数の単位セル(cell)を備える多数のバッテリーモジュールを直列および/または並列に接続した構造を有している。なお、単位セルは、正極及び負極集電体、セパレーター、活物質、電解液などを備えて、構成要素同士の間の電気化学的な反応によって充放電を繰り返し行うことが可能である。
【0005】
一方、中大型のバッテリーは、多数のバッテリーモジュールが狭い空間に密集するような形態に製造されるため、各バッテリーセルから発せられた熱を放出することが非常に肝要である。また、バッテリーの充電または放電の過程は、電気化学的な反応によって行われるため、バッテリーは、周りの環境温度条件に影響を受けてしまう。例えば、最適な温度が保たれない極低温または極高温などの温度悪条件に晒された状態で充放電過程が行われると、バッテリーの充放電効率が下がってしまい、これにより、正常駆動に対する性能の保証が行われ難いという不都合が生じることが懸念される。特に、リチウムイオン二次電池は、高温の環境に長時間にわたって晒される場合に発火もしくは爆発が起こる虞があるため、関連業界においては、高出力・大容量でありながらも、冷却効率に優れた中大型のバッテリーパックの開発に焦点を合わせている。
【0006】
従って、バッテリーモジュールから発せられた熱を放出することを余儀なくされるが、このための多種多様な方法の一つとして、内部に冷媒が流れるヒートシンクを用いてバッテリーモジュールを冷却させる方法が挙げられる。このようなバッテリーモジュールは、例えば、多数のバッテリーセルと、多数のバッテリーセルが収納されるハウジングと、ハウジングの一側に設けられて冷媒が流動するヒートシンクと、から構成されてもよい。
【0007】
ところが、ヒートシンクに流動する冷媒が流出される場合、冷媒がバッテリーモジュールの内部、すなわち、ハウジングの内側に浸透する虞がある。これを防ぐために、ハウジングの内部に樹脂(resin)を充填するが、これにより、ハウジングの内部のバッテリーセルが樹脂に包み込まれることになる。すなわち、ハウジングの内部に樹脂が充填されてバッテリーセルが樹脂によって浸漬されるような構造を有することになる。
【0008】
しかしながら、このような従来の方式は、バッテリーモジュールの全体に樹脂を充填することを余儀なくされるが故に、樹脂の充填によるコスト高騰、均一に揃った厚さに樹脂を充填しなければならないなどといった工程上の難点を生じさせる。
【0009】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国特許公開第10-2014-0077272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ヒートシンク付きバッテリー装置の冷媒の流出によるバッテリーセルの損傷を防ぐことのできるバッテリー装置を提供する。
【0012】
本発明は、ヒートシンクから漏れ出る冷媒を吸い込んで冷媒の流れ込みによるバッテリーセルの損傷を防ぐことのできるバッテリー装置を提供する
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係るバッテリー装置は、複数のバッテリーセルと、前記複数のバッテリーセルを収めるハウジングと、冷媒流路が備えられて前記ハウジングの内部のバッテリーセルを冷却させるヒートシンクと、前記ヒートシンクと隣設されて水分を吸い込む吸湿材と、を備える。
【0014】
前記ヒートシンクは、前記ハウジングと接触されて設けられる。
【0015】
前記ヒートシンクは、前記冷媒流路に冷媒を流れ込ませる冷媒入口及び前記冷媒流路から前記冷媒を排出する冷媒出口を備える。
【0016】
前記吸湿材は、前記ヒートシンクの前記冷媒が流れる少なくとも一領域に設けられる。
【0017】
前記吸湿材は、前記冷媒入口の連結部位、前記冷媒出口の連結部位、前記冷媒入口と冷媒供給パイプとの連結部位、前記冷媒出口と冷媒排出パイプとの連結部位、及び前記ヒートシンクの屈曲部のうちの少なくとも一つに設けられる。
【0018】
少なくとも二つのハウジングが水平方向に隣り合い、隣り合うヒートシンクの入口及び出口が連結される。
【0019】
前記吸湿材は、隣り合う二つのヒートシンクの間に設けられる。
【0020】
前記吸湿材は、隣り合う二つのヒートシンクの連結部位に設けられる。
【0021】
前記吸湿材は、水分を吸い込み、吸い込まれた水分を保持できる物質からなる。
【0022】
前記吸湿材は、高吸収性樹脂を用いて形成される。
【0023】
前記吸湿材は、高吸収性樹脂及び水酸化アルミニウムを含む。
【0024】
前記水酸化アルミニウムは、高吸収性樹脂の100重量部に対して0.5~5重量部の含量にて含まれる。
【0025】
前記吸湿材は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ゼラチン、ポリサッカライド、セルロース系、キトサンのうちのいずれか一種以上の樹脂から構成される。
【0026】
前記吸湿材は、シリカゲルまたは塩化カルシウムと、これを覆うように形成された樹脂と、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、少なくとも二つ以上のバッテリーモジュールの結合部位に吸湿材が設けられることが可能になる。すなわち、ヒートシンクの冷媒入口及び出口の結合部位、冷媒パイプとの結合部位、屈曲部位などヒートシンクの冷媒が流れる少なくとも一部分に吸湿材が設けられることが可能になる。このとき、吸湿材は、高吸収性樹脂をはじめとして、ヒートシンクから流出される冷媒を吸い込んで保持できる物質からなることが好ましい。
【0028】
このように、本発明のバッテリー装置は、吸湿材が設けられることから、ヒートシンクから流出される冷媒を吸い込むことができ、それにより、冷媒がハウジングの内部に流れ込むことを防いで、バッテリーセルの損傷を防ぐことができる。なお、従来のハウジングの内部を樹脂を用いて充填しなくても済むことから、それに伴う生産コストの高騰などの不都合を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置のある一つのバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図。
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリー装置のある一つのバッテリーモジュールの構成を概略的に示す分解斜視図。
図3】本発明の少なくとも二つのバッテリーモジュールが結合されたバッテリー装置の斜視図。
図4】本発明の少なくとも二つのバッテリーモジュールが結合されたバッテリー装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。図中、色々な層及び各領域を明確に表わすために厚さを拡大して示しており、図中の同じ符号は、同じ構成要素を指し示すようにしている。
【0031】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュールを概略的に示す断面図及び斜視図である。また、図3及び図4は、本発明の一実施形態に係る二つ以上のバッテリーモジュールが結合されたバッテリー装置を概略的に示す斜視図及び断面図である。
【0032】
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル100と、複数のバッテリーセル100を収納できる収容空間を与えるハウジング200と、冷媒流路が備えられてハウジング200の内部に収められたバッテリーセル100を冷却させるヒートシンク300と、ハウジング200を覆うように設けられてハウジング200の内部に収容空間が設けられるようにするカバー400と、を備えていてもよい。なお、本発明の一実施形態に係るバッテリー装置は、二つ以上のバッテリーモジュール10が結合され、ヒートシンク300から流出され得る冷媒による水分が吸い込み可能な吸湿材500を備えていてもよい。
【0033】
複数のバッテリーセル100は、缶型バッテリーセルであってもよい。ここで、缶型バッテリーセル100は、電極組立体が金属缶に組み込まれている二次電池であって、金属缶の形状に応じて、円筒状バッテリーセルと角型バッテリーセルを含むことができる。本実施形態は、円筒状バッテリーセル100から構成されてもよい。しかしながら、本発明は、円筒状バッテリーセルに何ら限定されるものではなく、角型バッテリーセルなど種々の形状が採用可能である。一方、図示はしないが、円筒状バッテリーセルは、円筒状缶、缶の内部に収められるジェリーロール状の電極組立体、缶の上部に結合されるキャップ組立体を備えていてもよい。ここで、円筒状缶は、アルミニウム、ステンレス鋼またはこれらの合金などの軽量の伝導性金属材質から形成されてもよい。缶型バッテリーセル100は、バッテリーモジュール10に求められる出力及び容量に応じて、直列および/または並列に接続されてもよい。図示はしないが、缶型バッテリーセル100は、銅板から作製されたバスバーによって互いに電気的に接続されてもよい。
【0034】
ハウジング200は、複数のバッテリーセル100を収納可能な収容空間を与える構造物であってもよい。ハウジング200は、概ねフラットな底面を有し、複数のバッテリーセル100を収められるように底面から所定の高さの側面が設けられてもよい。このとき、ハウジング200の高さ、すなわち、側面の高さは、バッテリーセル100の高さに等しいかあるいはそれよりも低く設けられてもよい。すなわち、ハウジング200は、その上側を覆うように設けられたカバー400と結合されて内部に収容空間が設けられ、収容空間内のバッテリーセル100の上面がカバー400の内面から所定の間隔だけ離れていてもよい。したがって、ハウジング200の高さは、ハウジング200の形状及びカバー400の形状に応じて様々であってもよいが、バッテリーセル100の高さよりも低くてもよい。また、ハウジング200は、バッテリーセル100の熱が吸い込み可能なように熱伝導性に優れた金属材質から形成されてもよい。一方、図示はしないが、ハウジング200の上端は折り曲げられて地面に対して水平に設けられてもよい。ハウジング200は、折り曲げられた上端面に対面する下端面を有するカバー400と結合されてもよく、このとき、ハウジング200の上端面とカバー400の下端面とが溶接されて貼り合わせられてもよい。他の実施形態によれば、ハウジング200の上端面とカバー400の下端面にOリング(O-ring)を配置した後、ボルト結合してもよい。複数のバッテリーセル100は、ハウジング200とカバー400との結合により内部空間が遮蔽されて外部から保護されることが可能になる。
【0035】
ヒートシンク300は、内部の流路に冷媒を通過させて熱接触によりハウジング200から熱を吸い込み、それにより、複数のバッテリーセル100を間接的に冷却させてもよい。このようなヒートシンク300は、ハウジング200の底面と接触されて設けられてもよい。また、ヒートシンク300は、内部に所定の空間が設けられ、内部空間には冷媒が流れる流路が形成されてもよい。すなわち、ヒートシンク300は、内部空間を有する概ね六面体の形状に設けられ、ヒートシンク300の長さ及び幅は、ハウジング200の長さ及び幅に等しくてもよい。いうまでもなく、ヒートシンク300の長さ及び幅は、ハウジング200の長さ及び幅よりも大きいか、あるいは、小さくてもよい。しかしながら、バッテリーモジュール10の結合などを考慮して、ヒートシンク300の長さ及び幅は、ハウジング200の長さ及び幅に等しいことが好ましい。また、ヒートシンク300の高さは、ハウジング200の高さよりも低くてもよい。一方、ヒートシンク300の内部の流路は、図示はしないが、複数の屈曲された形状を有する所定の管状に設けられてもよい。このようなヒートシンク300の内部の流路には、外部から流れ込む冷媒が流れ、ヒートシンク300を流れた冷媒は外部に排出されてもよい。すなわち、ヒートシンク300は、外部から冷媒が流れ込んで流路に沿って流れ、冷媒が流路に沿って流れながら熱を吸い込んだ後、外部に排出されてもよい。ヒートシンク300の流路に流れる冷媒としては、流路に沿って流れ易く、かつ、冷却性に優れた流体を用いてもよい。例えば、潜熱が高くて冷却効率性を極大化させられる水であってもよい。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、不凍液、ガス冷媒、空気など流路に沿って流れが生じるものであれば、種々のものが採用可能である。ヒートシンク300は、熱伝導性が高いアルミニウムまたはアルミニウム合金を素材として作製されてもよい。いうまでもなく、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、ヒートシンク300は、銅、金、銀などの金属または窒化アルミニウム、炭化ケイ素などのセラミック物質から作製されてもよい。また、ヒートシンク300は、冷媒を外部から流れ込ませる入口320と、流路を流れた冷媒を外部に排出する出口340とがそれぞれ少なくとも一つ設けられてもよい。入口320及び出口340は、隣り合う他のバッテリーモジュール10のヒートシンク300の入口320及び出口340とそれぞれ連結されてもよく、最外側のバッテリーモジュール10の場合、ヒートシンク300の入口320及び出口340が外部装置、すなわち、外部の冷媒供給パイプ及び冷媒排出パイプとそれぞれ連結されてもよい。一方、本発明は、ヒートシンク300がハウジング200の下側に設けられる場合を例にとって図示しかつ説明しているが、ヒートシンク300は、ハウジング200の少なくとも一方の側面に設けられてもよく、ハウジング200を包み込むように設けられてもよい。すなわち、ヒートシンク300は、ハウジング200の下面、両側面のうちの少なくとも一方、カバー400に接して設けられてもよく、ハウジング200の下面、両側面及びカバー400を包み込むように設けられてもよい。
【0036】
複数のバッテリーセル100、ハウジング200及びヒートシンク300を備えるバッテリーパック10は、図3に示すように、少なくとも二つ以上が連結されてもよい。このとき、少なくとも二つ以上のバッテリーパック10は、ヒートシンク300の入口320及び出口340が連結されてもよい。例えば、バッテリーパック10は、ヒートシンク300の一側の入口320及び出口340が突設され(以下、突出部)、他側の入口320及び出口340は、突出部が嵌入するように嵌入部が形成されてもよい。すなわち、ある一つのバッテリーパック10のヒートシンク300の突出部が他のバッテリーパック10のヒートシンク300の嵌入部に嵌入してもよい。このように、突出部が嵌入部に嵌入することにより、二つ以上のバッテリーパック10がヒートシンク300を介して水平方向に連結されることが可能になる。いうまでもなく、隣り合う二つ以上のバッテリーパック10が突出部及び嵌入部以外の様々な形状に結合されて連結されてもよい。例えば、バッテリーパック10の一側及び他側に入口320及び出口340がそれぞれ突出して設けられ、突出した部分同士が連結されてバッテリーパック10が連結されてもよい。
【0037】
ところが、ヒートシンク300の連結部位、すなわち、入口320及び出口340の連結部位から冷媒が流出され、流出された冷媒がハウジング200の内側に収められたバッテリーセル100に流れ込んでバッテリーセル100が電気分解され、水素が生じるという不都合が生じることが懸念される。このようなヒートシンク300の連結部位から流出される冷媒を吸い込むために、冷媒の流出部位、すなわち、ヒートシンク300の連結部位に吸湿材500が設けられてもよい。すなわち、図3に示すように、隣り合う二つのヒートシンク300の連結部位、すなわち、隣り合う二つのヒートシンク300の入口320及び出口340が連結される部位に所定の高さに吸湿材500が設けられてもよい。本発明の実施形態においては、隣り合う二つのバッテリーパック10の間に吸湿材500が設けられてもよい。このとき、吸湿材500が位置する領域に所定の空間が設けられてもよい。例えば、少なくとも二つのバッテリーモジュール10が対面するように結合されるバッテリーモジュール10の長手方向にバッテリーモジュール10の側面から所定の長さに収容部(図示せず)が形成され、収容部の内部に吸湿材500が設けられてもよい。収容部は、バッテリーモジュール10の底面と両側面から隣り合うバッテリーモジュール10の向きに所定の長さに形成されてもよい。すなわち、収容部は、ヒートシンク300の底面から長手方向に延び、そこから上側に所定の高さに側面が形成されてもよい。したがって、収容部は、底面と所定の高さの側面を有し、上面が晒された形状を有していてもよい。このとき、収容部の長さは、隣り合う二つのヒートシンク300の連結部位、すなわち、入口320及び出口340の連結部の長さを有し、連結部の高さよりも高い高さを有していてもよい。したがって、吸湿材500が形成されることにより、ヒートシンク300の連結部位が吸湿材500により埋め込まれることが可能になる。一方、吸湿材500は、少なくともヒートシンク300の連結部位が覆われる高さに形成されてもよい。例えば、吸湿材500の高さは、ヒートシンク300の高さに形成されてもよい。このような吸湿材500の高さは、収容部の高さに応じて決められてもよい。すなわち、隣り合う二つのバッテリーモジュール10の間の収容部の高さは、形成しようとする吸湿材500の高さを有していてもよい。
【0038】
本発明に係る吸湿材500は、水分を吸い込み、吸い込まれた水分を保持できる物質からなることが好ましい。このような物質としての吸湿材500は、高吸収性樹脂(Super Absorbent Polymer;SAP)を用いて形成してもよい。高吸収性樹脂は、自体重さの約5百倍~約1千倍の水分が吸い込み可能な機能を有する合成高分子物質である。高吸収性樹脂は、初期の吸収性に優れており、長時間が経ってからも加圧状態で水分がほとんど染み出ないことから、吸い込み能に優れている。高吸収性樹脂は、様々な方法により製造可能であるが、高吸収性樹脂の製造方法の例が本発明の出願人の特許として大韓民国登録特許第10-1719352号公報に開示されており、簡略に説明すれば、下記の通りである。まず、アクリル酸、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート、苛性ソーダ(NaOH)及び水を適量混合してモノマー水溶液の組成物比を有するように製造する。次いで、モノマー水溶液をアスコルビン酸溶液及び過硫酸ナトリウム溶液と混合し、過酸化水素溶液とともに連続して重合を行って、含水ゲル重合体を形成する。次いで、前記含水ゲル重合体に対して乾燥を行い、乾燥の行われた含水ゲル重合体を粉砕する。しかる後、篩(sieve)を用いて粒度(平均粒径)が150μm未満である重合体と粒度が150μm~850μmである重合体を分級してベースポリマーを得ることができる。
【0039】
また、吸湿材500は、高吸収性樹脂及び水酸化アルミニウムを含み、水酸化アルミニウムは、高吸収性樹脂の表面に付着してもよい。水酸化アルミニウムが高吸収性樹脂の表面に付着したということは、高吸収性樹脂組成物に含まれている水酸化アルミニウム粒子の約70重量%以上または約90重量%以上が高吸収性樹脂粒子の表面に固定されて組成物内において高吸収性樹脂粒子と物理的に分離された状態で存在しないことを指し示すこともある。高吸収性樹脂の表面に水酸化アルミニウムを付着させるために、前記ベースポリマーに8μmの水酸化アルミニウム0.5重量%をドライ混合した後、1,3-プロパンジオールを含む表面処理溶液を噴射して高吸収性樹脂の表面を処理する。なお、表面を処理する過程において、分級された含水ゲル状の重合体を一つの表面架橋反応器に供給し、180℃以上の温度において40分間含水ゲル重合体の表面架橋反応を行う。
【0040】
水酸化アルミニウムは、不溶性といった特徴を有し、高吸収性樹脂の表面に分散されて固着されているため、高吸収性樹脂が互いに凝集し合うことを防いで通液性を向上させることができ、平均粒度が大きいため、表面をコーティングする度合いが相対的に小さめであるため、加圧下で吸い込み能の低下が極力抑えられることが可能になる。水酸化アルミニウムの平均粒径は、2μm~50μm、好ましくは、5μm~40μm、さらに好ましくは、7μm~20μmであってもよい。水酸化アルミニウム粒子は、加圧吸い込み能(AUP)の低下を極力抑える面からみて、5μm以上の平均粒径を有していてもよい。また、水酸化アルミニウム粒子は、高吸収性の表面に上手く固着させて微粉含量の増加効果を与えるために50μm以下の平均粒径を有していてもよい。水酸化アルミニウムはまた、高吸収性樹脂の100重量部に対して0.5~5重量部の含量にて含まれていてもよい。
【0041】
さらに、吸湿材500は、水分を吸い込み易い樹脂から構成されてもよい。より具体的に、吸湿材500は、水分を吸い込んで保持できる材質から構成される。吸湿材500は、水分を急速に吸い込い可能なタイプの樹脂であれば、いかなるタイプに構成されてもよい。例えば、吸湿材500は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ゼラチン、ポリサッカライド、セルロース系、キトサンのうちのいずれか一種以上の樹脂から構成されてもよい。前記ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニールアルコール、ゼラチン、ポリサッカライド、セルロース系、キトサンから構成される樹脂は、水分子との結合力に非常に優れた特性を有する親水性樹脂であるといえる。
【0042】
さらにまた、吸湿材500は、内部に複数の気孔が形成されてもよい。すなわち、吸湿材500は、多孔性を有する素材からなることが好ましい。多孔質の吸湿材500は、様々な方法により形成可能であるが、例えば、多孔性を有する素材を発泡成形する方法などが利用可能である。したがって、多孔質の吸湿材500は、表面及び内部に微細な大きさに形成される気孔を有することができる。このとき、吸湿材500の気孔は、1%~95%の気孔率を有するように形成されてもよい。気孔は、1μm~1000μmの大きさに形成されてもよい。ここで、気孔の大きさは、最も短い直径または最も長い直径であってもよく、平均直径であってもよい。中でも、最も短い直径が1μm~50μmであってもよい。例えば、気孔は、1μm~1000μmの大きさに形成されてもよく、1μm~500μmの大きさに形成されてもよく、1μm~100μmの大きさに形成されてもよい。すなわち、気孔の大きさは、吸湿材500の厚さ及び幅などに応じて種々に変更可能である。また、気孔は、互いに同一の大きさまたは互いに異なる大きさに形成されてもよい。例えば、1μm~300μmの平均大きさを有する第1の気孔と、300μm~600μmの平均大きさを有する第2の気孔と、600μm~1000μmの平均大きさを有する第3の気孔とが混合されて吸水剤を形成してもよい。このとき、第1乃至第3の気孔もまた、複数の大きさを有していてもよい。すなわち、第1乃至第3の気孔は、それぞれの平均大きさを有し、それぞれの平均大きさ内において複数の大きさを有していてもよい。このように、複数の大きさを有する気孔を用いることにより、大きな気孔の間に小さな気孔が形成されることが可能になり、それにより、気孔率をさらに向上させることができる。
【0043】
一方、吸湿材500は、シリカゲルをはじめとする高分子化合物または塩化カルシウムなどを含んでいてもよい。シリカゲル、塩化カルシウムなどは、所定の樹脂に混合されて吸湿材500として形成されてもよい。このとき、シリカゲル、塩化カルシウムなどは、樹脂に一様に混合されて吸湿材500内に一様に分布してもよい。しかしながら、シリカゲル、塩化カルシウムなどは吸湿材500の下側に位置し、これを覆うように樹脂が形成されてもよい。すなわち、冷媒が流出され得るヒートシンク300の連結部位の高さまたはそれよりも高い高さにシリカゲルなどを分布させ、シリカゲルなどを覆うように樹脂を形成してもよい。このとき、樹脂としては、バッテリーモジュール10の結合力を向上させるために接着性を有する物質を用いてもよい。例えば、接着力を有するエポキシ樹脂またはシリコン樹脂などを用いてもよい。
【0044】
一方、上記の実施形態においては、吸湿材500がヒートシンク300の連結部位に形成され、連結部位は隣り合う二つのバッテリーモジュール10の入口320及び出口340であることを例にとって説明した。しかしながら、吸湿材500は、入口320と冷媒供給パイプとの連結部位、出口340と冷媒排出パイプとの連結部位に形成されてもよい。のみならず、吸湿材500は、屈曲部位にも形成されてもよい。すなわち、ヒートシンク300の入口320及び出口340の連結部位、冷却パイプとの連結部位、屈曲部位などヒートシンク300の冷媒が流れる少なくとも一部分に吸湿材500が設けられてもよい。
【0045】
前述したように、本発明は、少なくとも二つ以上のバッテリーモジュール10の結合部位に吸湿材500が設けられることが可能になる。すなわち、ヒートシンク300の入口320及び出口340の結合部位、屈曲部位などヒートシンク300の冷媒が流れる少なくとも一部分に吸湿材500が設けられることが可能になる。このとき、吸湿材500は、入口320及び出口340の結合部位を覆うように少なくともヒートシンク300の高さに形成されてもよい。いうまでもなく、吸湿材500は、結合部位を包み込むように形成されてもよい。このような吸湿材500は、高吸収性樹脂をはじめとして、ヒートシンク300から流出される冷媒を吸い込んで保持できる物質からなることが好ましい。このようにして吸湿材500が設けられるので、ヒートシンク300から流出される冷媒を吸い込むことができ、それにより、冷媒がハウジング200の内部に流れ込むことを防いでバッテリーセル100の損傷を防ぐことができる。なお、従来のハウジング200の内部に樹脂を充填しなくても済むことから、それに伴う生産コストの高騰などの不都合を解決することができる。
【0046】
前述したような本発明の技術的思想は、上記の実施形態に基づいて具体的に記述されたが、上記の実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0047】
100:バッテリーセル
200:ハウジング
300:ヒートシンク
400:カバー
500:吸湿材
図1
図2
図3
図4