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特許7574418事故要因検知システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】事故要因検知システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241021BHJP
   G06V 20/52 20220101ALI20241021BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20241021BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241021BHJP
【FI】
B65G1/00 511A
G06V20/52
G06V10/70
G06T7/60 180B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023516004
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016450
(87)【国際公開番号】W WO2022224442
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 諭
(72)【発明者】
【氏名】木村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高志
(72)【発明者】
【氏名】吉村 栄二
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018410(JP,A)
【文献】特表2018-511125(JP,A)
【文献】特開2009-227366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G06V 20/52
G06V 10/70
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因検知システムであって、
所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データに基づき前記作業者を検出する人物検出部と、
前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部と、
前記作業者が、前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う警告部と、
を備えることを特徴とする事故要因検知システム。
【請求項2】
前記事故要因検出部は、
前記作業用具の少なくとも一部が前記場所から出た状態が、所定時間継続した場合に、事故要因と判定することを特徴とする請求項1記載の事故要因検知システム。
【請求項3】
前記人物検出部は、前記作業者を特定するための認証機能を備え、
前記警告部は、前記認証機能により特定された作業者が事故を起こすと予測された場合、当該特定された作業者本人に対し警告を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の事故要因検知システム。
【請求項4】
前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、
前記警告部は、当該作業者と前記作業用具との間隔が所定距離以下になったときに、警告を行うことを特徴とする請求項3記載の事故要因検知システム。
【請求項5】
前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、
前記警告部は、前記作業用具と当該作業者との相対速度から、所定時間内に接触が予測される場合に、警告を行うことを特徴とする請求項3記載の事故要因検知システム。
【請求項6】
前記事故要因検出部は、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードのいずれかであることを特定することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の事故要因検知システム。
【請求項7】
前記警告を受信可能な前記作業者が所持する携帯端末、
を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の事故要因検知システム。
【請求項8】
前記警告部は、前記携帯端末に、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードのいずれかであることを送信することを特徴とする請求項7記載の事故要因検知システム。
【請求項9】
前記事故要因検出部は、前記作業用具の位置情報を取得し、
前記警告部は、前記携帯端末に、前記取得した事故要因の位置情報を送信することを特徴とする請求項7又は8記載の事故要因検知システム。
【請求項10】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因検知システムが実行する方法であって、
所定の範囲の画像データを取得するステップと、
前記画像データに基づき前記作業者を検出するステップと、
前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出するステップと、
前記作業者が、前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行うステップと、
を備えることを特徴とする事故要因検知方法。
【請求項11】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因検知システムを、
所定の範囲の画像データを取得する画像取得部、
前記画像データに基づき前記作業者を検出する人物検出部、
前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部、
前記作業者が、前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う警告部、
として機能させる事故要因検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫等に置かれる作業用具を適切に管理することで、作業者の安全の確保を図る事故要因検知システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業界では、荷物の適切な管理と作業者の安全確保を目的として、作業者が所定の場所に荷物を移動させて保管する管理方法が採られている。ここで、所定の場所とは、例えば、保管棚があり、倉庫等に搬入された荷物はこの保管棚に置かれ、出荷時期になると取り出されて倉庫から搬出される。
【0003】
ところで、所定の場所に保管された荷物は、天災等の事情によりそれらの場所から脱することがある。このような場合、棚から落下するなどして荷物が損傷したり、荷物が通路を塞いだりすることで、作業者の安全が確保できなくなることがある。
【0004】
このような問題について、特許文献1は、カメラを搭載したドローンを倉庫内で飛行させ、保管棚から脱落した荷物を検出する技術を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-55672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、倉庫等に置かれる物には、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの作業用具もあり、一般的に、これらは保管棚には置かれることはないため、上述した特許文献1の技術では、作業者の安全確保を図ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、パレット等の作業用具を適切に配置管理することを前提に、作業者の安全を確保することができる事故要因検知システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
本発明は、作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因検知システムであって、所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、前記画像データに基づき前記作業者を検出する人物検出部と、前記画像データに基づき所定の場所から前記作業用具の少なくとも一部が出た状態を検出する事故要因検出部と、前記作業者が、前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う警告部と、を備える事故要因検知システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記事故要因検出部は、前記作業用具の少なくとも一部が前記場所から出た状態が、所定時間継続した場合に、事故要因と判定する事故要因検知システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記人物検出部は、前記作業者を特定するための認証機能を備え、前記警告部は、前記認証機能により特定された作業者が事故を起こすと予測された場合、当該特定された作業者本人に対し警告を行う事故要因検知システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、前記警告部は、当該作業者と前記作業用具との間隔が所定距離以下になったときに、警告を行う事故要因検知システムを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、前記警告部は、前記作業用具と当該作業者との相対速度から、所定時間内に接触が予測される場合に、警告を行う事故要因検知システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記事故要因検出部は、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードのいずれかであることを特定する事故要因検知システムを提供する。
【0015】
また、本発明は、前記警告を受信可能な前記作業者が所持する携帯端末、を備える事故要因検知システムを提供する。
【0016】
また、本発明は、前記警告部は、前記携帯端末に、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードのいずれかであることを送信する事故要因検知システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、前記事故要因検出部は、前記作業用具の位置情報を取得し、前記警告部は、前記携帯端末に、前記取得した事故要因の位置情報を送信する事故要因検知システムを提供する。
【0018】
また、本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業用具を適切に配置管理することを前提に、作業者の安全を確保することができるシステム、方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る事故要因検知システムの全体構成及び機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る事故要因検知処理フローを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るカメラ画像の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るカメラ画像の他の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るカメラ画像の他の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0022】
<基本概念/基本構成>
図1は、本発明の実施形態に係る事故要因検知システムの全体構成及び機能構成を示す図である。事故要因検知システム1は、倉庫内等に固定されたカメラ30と、カメラ30に接続され、事故要因を検知する事故要因検知装置100と、事故要因検知装置100にネットワーク3を介して接続され、事故要因検知装置100により事故が予測された場合に行われる警告を受ける管理者端末50及び作業者端末60と、を含む。カメラ30は、実施例では固定カメラで説明を行うが、倉庫内等を移動するドローン等に搭載された移動式であってもよい。
【0023】
事故要因検知システム1において、カメラ30は、本実施形態は、図示しない倉庫内の所定の場所に固定設置されている。倉庫内には、作業者20の事故要因となりえるパレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの作業用具10が所定の位置に置かれている。
【0024】
管理者端末50は、本実施形態では、スマートフォンであるが、タブレット端末や他のネットワーク接続可能な端末であってもよい。同様に、作業者端末60も、本実施形態では、スマートフォンであるが、スマートウォッチなど他のネットワーク接続可能な端末であってもよい。
【0025】
事故要因検知装置100は、本実施形態では、クラウドサーバであり、例えば、倉庫の管理者(物流会社等)に管理される。
【0026】
なお、本実施形態においては、倉庫内における事故要因検出に本発明を適用する場合を例に挙げて説明している。倉庫には、所定の作業用具(パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなど)10が所定の位置に置かれ、荷物の搬送等に用いられるが、整理整頓の不徹底などの理由により所定の位置から動いてしまい、作業者20の安全を確保できないおそれがある。本発明は、このような点を鑑み、作業用具10を適切に管理することで、作業者20の安全を確保するものである。なお、本実施形態では、倉庫内を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、屋外の所定の場所において適用することも当然に可能である。
【0027】
事故要因検知システム1は、所定の範囲を撮影して画像データをカメラ30から取得する。所定の範囲を撮影する画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、カメラ30は、倉庫内の必要な場所をカバーするように、倉庫内に複数固定設置されてもよい。
【0028】
次に、事故要因検知システム1は、取得した画像データに基づき、作業者20を検出する。作業者20の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。また、検出した作業者20の顔画像を取得して、後述する登録データベース105と照合し、人物(例えば作業者20等)を特定して、動きを監視する。
【0029】
また、事故要因検知システム1は、取得した画像データに基づき、所定の場所から作業用具10の少なくとも一部が出た状態を検出する。作業用具10の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。このとき、予め登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。
【0030】
次に、事故要因検知システム1は、前記作業者20が前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う。警告は、作業者10が所持する作業者端末60に警告を送信して、警告音を出力したり、画面に警告内容を表示したり、あるいは、作業者端末60を振動させることで伝えてもよい。管理者端末50に同様の警告を送信してもよい。また、これらの形態に限定されるものではなく、事故要因の近くに設置されているスピーカから警告を発するようにしてもよい。
【0031】
<機能構成>
次に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る事故要因検知システム1の機能構成を説明する。事故要因検知システム1は、倉庫内に固定設置されたカメラ30と、カメラ30と接続された事故要因検知装置100と、事故要因検知装置100とネットワーク3を介して接続された管理者端末50と、事故要因検知装置100とネットワーク3を介して接続された作業者端末60と、を備える。
【0032】
なお、本実施形態では、事故要因検知装置100と、管理者端末50と、作業者端末60とは別の装置として説明するが、管理者端末50を省略し、後述する管理者端末50の機能を、事故要因検知装置100が備えてもよい。また、これとは逆に、事故要因検知装置100を省略し、後述する事故要因検知装置100の機能を、管理者端末50が備えるようにしてもよく、その場合には、カメラ30は、管理者端末50に接続される。
【0033】
(事故要因検知装置の機能構成)
事故要因検知装置100は、画像取得部101と、人物検出部102と、事故要因検出部103と、警告部104と、登録データベース105と、を備える。
【0034】
画像取得部101は、倉庫内の所定の位置の画像を取得する。詳細には、画像取得部101は、倉庫内の所定の位置に固定されたカメラ30で撮影された画像を取得する。画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、カメラ30と画像取得部101は、直接接続されてもよいし、リモート接続であってもよい。
【0035】
人物検出部102は、前記取得した画像データに基づき、作業者20を検出する。具体的には、作業者20の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。また、検出した作業者の顔画像を取得して、後述する登録データベース105と照合し、人物を特定して、動きを監視する。なお、登録データベース105に登録される人物は、作業者のほか、取引や見学を目的として訪れる訪問者が含まれる。
【0036】
事故要因検出部103は、取得した画像データに基づき、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所から出た状態を検出する。作業用具10の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。このとき、予め登録データベース105に登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。
【0037】
警告部104は、前記作業者20が前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う。警告は、作業者20が所持する作業者端末60に警告を送信して行う。作業者端末60は、送信された警告に応じて、警告音を出力したり、画面に警告内容を表示したりする。あるいは、作業者端末60を振動させることで伝えてもよいし、管理者端末50に同様に警告を送信してもよい。むろん、他の形態による警告を行うことを妨げるものではない。
【0038】
登録データベース105は、予め登録した複数の人物の画像が保存されたものであり、前記人物検出部102により、登録された顔を画像照合する際に利用される。
また、登録データベース105は、予め作業用具10の大きさや形状を登録した画像データが保存されており、事故要因検出部103が作業用具を特定する際に照合される。
【0039】
(管理者端末の機能構成)
管理者端末50は、それぞれの管理者に操作される、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、それぞれ、事故要因検知装置100とネットワーク3を介して情報を送受信可能に接続され、端末制御部51と、入出力部52と、通信部53と、を備える。
【0040】
端末制御部51は、事故要因検知装置100の警告部104によって、事故要因により作業者20が事故を起こすと予測された場合の警告等を、通信部53を介して受信する。入出力部52は、例えば、タッチパネルで構成され、管理者の操作を受け付けるとともに、端末制御部51の制御により、事故要因検知装置100からネットワーク3を介して受信した警告部104による警告を表示又は出力する。また、作業用具の種類や場所を表示してもよいし、現状の是正の要否を表示してもよい。
【0041】
(作業者端末の機能構成)
作業者端末60は、それぞれの作業者20が所持・装着するものであり、例えば、スマートフォンやスマートウォッチ等で構成され、それぞれ、事故要因検知装置100とネットワーク3を介して情報を送受信可能に接続され、端末制御部61と、入出力部62と、通信部63と、振動部64と、を備える。
【0042】
端末制御部61は、事故要因検知装置100の警告部104によって、事故要因により作業者20が事故を起こすと予測された場合の警告等を、通信部63を介して受信する。入出力部62は、例えば、タッチパネルで構成され、作業者20の操作を受け付けるとともに、端末制御部61の制御により、例えば、事故要因検知装置100からネットワーク3を介して受信した警告部104による警告を表示又は出力する。例えば、作業用具10の種類や場所を表示してもよいし、振動部64により作業者端末60を振動させ、振動により警告を伝えるようにしてもよい。
【0043】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0044】
<処理フロー>
図2は、本発明の実施形態に係る事故要因検知システムが実行する事故要因検知処理フローを示す図である。事故要因検知処理は、本実施形態では、事故要因検知装置100と、管理者端末50と、作業者端末60が実行する。
【0045】
ステップS10において、事故要因検知装置100の画像取得部101は、カメラ30が撮影した映像を取得する。
【0046】
ステップS12において、事故要因検知装置100の人物検出部102は、画像取得部101によって取得したカメラ映像から、画像解析により人物を検出する。
【0047】
また、事故要因検出部103は、画像取得部101によって取得したカメラ映像から、画像解析により作業用具を検出する。作業用具10の検出は、登録データベース105に予め登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。
【0048】
ステップS14において、人物検知部102は、検出した人物の顔画像を取得し、登録データベース105と照合して、人物を特定する。そして、人物検知部102は、特定された作業者20の動きを監視する。
【0049】
次に、ステップS16において、事故要因検出部103は、前記取得した画像データに基づき、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所から出た状態で所定時間が経過したか否かを判断する。
【0050】
図3は、作業用具10(図示例ではパレット)が、所定の場所40内にあり、事故要因になりえない場合のカメラ画像32が示されている。なお、所定の場所40は、カメラ30の画像からピクセルで予め指定されているが、他の手法により指定することを妨げない。
【0051】
作業用具10が、図3に示すように、所定の場所40の内側にある場合、ステップS16がNOとなり、処理フローは終了へ進む。また、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出た状態で所定時間経過していない場合もステップ16がNOとなり、処理フローは終了へ進む。
【0052】
一方、作業用具10の少なくとも一部が、図4に示すように、所定の場所から出た状態で所定時間が経過している場合、ステップS16がYESとなり、事故要因検出部103は、作業用具10の少なくとも一部が、所定の場所40から出た状態を検出し、ステップS18へ進む。
【0053】
なお、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出たかどうかの判断は、例えば、図4に示すように、作業用具10を画像認識して、認識した枠の中心位置Cから、所定の場所40までの最短距離D1を計測して閾値以上であれば、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出たと判断する。また、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出たかどうかの判断は、作業用具10を画像認識して、その底面の形状を認識し、形状が所定の場所40に収まっていない場合、作業用具10の少なくとも一部が出たと判断してもよい。作業用具10の底面の形状は、S12において、作業用具を検出したとき、登録データベース105に予め登録された形状を適用してもよい。また、画像のピクセルを基に形状を定義してもよい。
【0054】
次に、ステップS18で、警告部104は、所定の場所40から少なくとも一部が出た作業用具10と作業者20の間隔が所定距離以下で所定時間経過したかどうか判断する。具体的には、図5に示すように、前記人物検出部102は、前記特定された作業者20の監視を行い、作業者20と作業用具10との距離D2が、所定値以下になると危険ありと判定し、時間を計測する。
【0055】
ステップS18で所定の場所40内から少なくとも一部が出た作業用具10と作業者20の距離が所定値以下であり、かつ、所定時間経過したと判断された場合、ステップS18がYESとなり、ステップ20へ進む。ステップ20で、警告部104は、ネットワーク3を介して作業者端末60へ警告を通知する。
【0056】
作業者端末60では、警告部104が通知した警告に応じて、警告音を出力したり、画面に警告内容を表示したりする。警告は、作業用具10の種類や場所を入出力部62に表示してもよいし、振動部64により作業者端末60を振動させて警告を伝えるようにしてもよい。また図6の上段には、作業者端末60の入出力部62に表示される表示例が示されている。この図6に示すように「接近を検知」という文字を表示させてもよいし、振動で通知してもよい。さらに、警告は、これら表示と振動を組み合わせて通知してもよい。
【0057】
また、ステップ22において、警告部104は、必要に応じて警告を管理者端末へ通知してもよい。管理者端末50への警告は、管理者端末50に警告を送信して、警告音を出力したり、画面に警告内容を表示したり、あるいは、管理者端末50を振動させたり、これらの複数種類の警告を組み合わせてもよい。
【0058】
また、警告とともに、検出された事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボード等のいずれかであることを合わせて送信してもよいし、検出した作業用具10の位置情報を送信してもよい。
【0059】
図6の中段には、管理者端末50の入出力部52に表示される表示例が示されている。例えば、是正が必要な警告の場合には、入出力部52に「空パレット放置 場所:xx」のように文字を表示するとともに、検知時に振動で通知してもよい。
【0060】
また、図6の下段には、管理者端末50の入出力部52に表示される表示例のうち、是正が不要な場合が示されている。入出力部52に「接近検知 場所:xx」のように文字を表示するとともに、検知時に振動で通知してもよい。
【0061】
ステップS18に戻り、所定の場所40内から少なくとも一部が出た作業用具10と作業者20の距離が所定値以下で所定時間が経過していない場合、ステップS18がNOとなり、処理を終了する。
【0062】
なお、上述したステップS18において、前記人物検出部102は、前記特定された作業者20の監視を行い、前記警告部104は、前記作業用具10への当該作業者20の相対速度から、所定時間内に接触が予測される場合に、前記特定された作業者20へ警告を行うようにしてもよい。
【0063】
<効果>
このような事故要因検知システム1によれば、倉庫等において作業用具10の少なくとも一部が、所定の場所40から出た状態であるかどうかを判断し、所定の場所40に配置されていることを適切に管理することで、作業者20の安全を確保することができる。
【0064】
また、事故要因検出システム1によれば、前記事故要因検出部103は、前記作業用具10の少なくとも一部が前記所定の場所から出た状態が、所定時間継続した場合に、事故要因と判定する。これにより、不要な通知をなくすことができる。
【0065】
また、事故要因検出システム1によれば、前記人物検出部102は、前記作業者20を特定するための認証機能を備え、前記警告部104は、前記事故が予測された場合、前記認証機能により特定された作業者20へ警告を行う。これにより作業者20への注意を促し、事故を防止することができる。
【0066】
また、事故要因検出システム1によれば、前記人物検出部102は、前記特定された作業者20の監視を行い、前記警告部104は、当該作業者20と前記作業用具10との間隔が所定距離以下になったときに、前記特定された作業者20へ警告を行う。これにより、作業者20への注意を促し、事故を防止することができる。
【0067】
また、事故要因検出システム1によれば、前記人物検出部102は、前記特定された作業者20の監視を行い、前記警告部104は、前記作業用具10と当該作業者20との相対速度から、所定時間内に接触が予測される場合に、前記特定された作業者20へ警告を行う。これにより、作業者20への注意を促し、事故を防止することができる。
【0068】
また、事故要因検出システム1によれば、前記事故要因検出部103は、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボード等のいずれかであることを特定する。
【0069】
また、事故要因検出システム1によれば、前記警告を受信可能な前記作業者が所持する作業者端末60、を備える。これにより、作業者20へ直接警告をして注意を促すことができる。
【0070】
また、事故要因検出システム1によれば、前記警告部104は、前記作業者端末60に、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボード等のいずれかであることを送信する。
【0071】
また、事故要因検出システム1によれば、前記事故要因検出部103は、作業用具10の位置情報を取得し、前記警告部104は、前記作業者端末60に、前記取得した事故要因の位置情報を送信する。これにより、作業者20へ注意を促し、転倒等の事故を防止することができる。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、事故要因検知システムについて説明したが、本発明において事故要因検知システムが実行する方法や、事故要因検知システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。また、本発明が適用可能な検知は、倉庫内のみならず、屋外の所定の場所など、作業用具の適切な管理が必要な場所全般を含む。
【0073】
また、本発明の事故要因検出システムは、以下のような構成とすることができる。
(1)作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因検知システムであって、所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、前記画像データに基づき前記作業者を検出する人物検出部と、前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部と、前記作業者が、前記事故要因により事故を起こすと予測された場合、警告を行う警告部と、を備える構成。
【0074】
(2)前記事故要因検出部は、前記作業用具が前記場所から少なくとも一部が出た状態が、所定時間継続した場合に、事故要因と判定する構成。
【0075】
(3)前記人物検出部は、前記作業者を特定するための認証機能を備え、前記警告部は、前記認証機能により特定された作業者が事故を起こすと予測された場合、当該特定された作業者本人に対し警告を行う構成。
【0076】
(4)前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、前記警告部は、当該作業者と前記作業用具との間隔が所定距離以下になったときに、警告を行う構成。
【0077】
(5)前記人物検出部は、前記特定された作業者の監視を行い、前記警告部は、前記作業用具と当該作業者との相対速度から、所定時間内に接触が予測される場合に、警告を行う構成。
【0078】
(6)前記事故要因検出部は、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボード等のいずれかであることを特定する構成。
【0079】
(7)前記警告を受信可能な前記作業者が所持する作業者端末、を備える構成。
【0080】
(8)前記警告部は、前記携帯端末に、前記事故要因が、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボード等のいずれかであることを送信する構成。
【0081】
(9)前記事故要因検出部は、前記作業用具の位置情報を取得し、前記警告部は、前記携帯端末に、前記取得した事故要因の位置情報を送信する構成。
【符号の説明】
【0082】
1 事故要因検知システム
3 ネットワーク
10 作業用具
20 作業者
30 カメラ
32 カメラ画像
40 所定の場所
50 管理者端末
51 端末制御部
52 入出力部
53 通信部
60 作業者端末
61 端末制御部
62 入出力部
63 通信部
64 振動部
100 事故要因検知装置
101 画像取得部
102 人物検出部
103 事故要因検出部
104 警告部
105 登録データベース


図1
図2
図3
図4
図5
図6