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特許7574419事故要因管理システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】事故要因管理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241021BHJP
   G06V 20/52 20220101ALI20241021BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20241021BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241021BHJP
【FI】
B65G1/00 511A
G06V20/52
G06V10/70
G06T7/60 180B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023516005
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016451
(87)【国際公開番号】W WO2022224443
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 諭
(72)【発明者】
【氏名】木村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高志
(72)【発明者】
【氏名】吉村 栄二
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018410(JP,A)
【文献】特表2018-511125(JP,A)
【文献】特開2009-227366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G06V 20/52
G06V 10/70
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因管理システムであって、
所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部と、
前記作業用具が検出されたとき、前記作業用具の情報を管理者へ通知する通知部と、
を備えることを特徴とする事故要因管理システム。
【請求項2】
前記事故要因検出部が、前記作業用具が所定の状態であることを検出した場合には、
前記通知部は、前記通知を実行しないことを特徴とする請求項1に記載の事故要因管理システム。
【請求項3】
前記所定の状態とは、前記作業用具が移動している状態であることを特徴とする請求項2に記載の事故要因管理システム。
【請求項4】
前記所定の状態とは、前記作業用具が静止してから所定時間経過する前の状態であることを特徴とする請求項2に記載の事故要因管理システム。
【請求項5】
前記通知は、前記作業用具の種類及び場所を送信することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の事故要因管理システム。
【請求項6】
前記通知は、管理者が所持する携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の事故要因管理システム。
【請求項7】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因管理システムが実行する方法であって、
所定の範囲の画像データを取得するステップと、
前記画像データに基づき所定の場所から出た前記作業用具を検出するステップと、
前記作業用具が検出されたとき、前記作業用具の情報を管理者へ通知するステップと、
を備えることを特徴とする事故要因管理方法。
【請求項8】
作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因管理システムを、
所定の範囲の画像データを取得する画像取得部、
前記画像データに基づき所定の場所から出た前記作業用具を検出する事故要因検出部、
前記作業用具が検出されたとき、前記作業用具の情報を管理者へ通知する通知部、
として機能させる事故要因管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫等に置かれる作業用具を適切に管理することで、作業者の安全の確保を図る事故要因管理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業界では、荷物の適切な管理と作業者の安全確保を目的として、作業者が所定の場所に荷物を移動させて保管する管理方法が採られている。ここで、所定の場所とは、例えば、保管棚があり、倉庫等に搬入された荷物はこの保管棚に置かれ、出荷時期になると取り出されて倉庫から搬出される。
【0003】
ところで、所定の場所に保管された荷物は、天災等の事情によりそれらの場所から脱することがある。このような場合、棚から落下するなどして荷物が損傷したり、荷物が通路を塞いだりすることで、作業者の安全が確保できなくなることがある。
【0004】
このような問題について、特許文献1は、カメラを搭載したドローンを倉庫内で飛行させ、保管棚から脱落した荷物を検出する技術を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-55672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、倉庫等に置かれる物には、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの作業用具もあり、一般的に、これらは保管棚には置かれることはないため、上述した特許文献1の技術では、作業者の安全確保を図ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、作業用具を適切に管理することで、作業者の安全を確保することができる事故要因管理システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
本発明は、作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因管理システムであって、所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部と、前記作業用具が検出されたとき、前記作業用具の情報を管理者へ通知する通知部と、を備える事故要因管理システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記事故要因検出部が、前記作業用具が所定の状態であることを検出した場合には、前記通知部は、前記通知を実行しない事故要因管理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記所定の状態とは、前記作業用具が移動している状態である事故要因管理システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記所定の状態とは、前記作業用具が静止してから所定時間経過する前の状態である事故要因管理システムを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記通知は、前記作業用具の種類及び場所を送信する事故要因管理システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記通知は、管理者が所持する携帯端末へ送信する事故要因管理システムを提供する。
【0015】
また、本発明は、システムのカテゴリであるが、方法及びプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業用具を適切に管理することで、作業者の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る事故要因管理システムの全体構成及び機能構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る事故要因管理処理フローを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るカメラ画像の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るカメラ画像の他の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0019】
<基本概念/基本構成>
図1は、本発明の実施形態に係る事故要因管理システムの全体構成及び機能構成を示す図である。事故要因管理システム1は、倉庫内等に固定されたカメラ30と、カメラ30に接続され、事故要因を検知する事故要因管理装置100と、事故要因管理装置100にネットワーク3を介して接続され、事故要因管理装置100により所定の場所から少なくとも一部が出た作業用具10が検出されたときに、前記作業用具10の情報の通知を受ける管理者端末50と、を含む。カメラ30は、実施例では固定カメラで説明を行うが、倉庫内等を移動するドローン等に搭載された移動式であってもよい。
【0020】
事故要因管理システム1において、カメラ30は、本実施形態は、図示しない倉庫内の所定の場所に固定設置されている。倉庫内には、作業者の事故要因となりえるパレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの作業用具10が所定の位置に置かれている。
【0021】
管理者端末50は、本実施形態では、スマートフォンであるが、スマートウォッチ、タブレット端末、ノートPCなど、他のネットワーク接続可能な端末であってもよい。
【0022】
事故要因管理装置100は、本実施形態では、クラウドサーバであり、例えば、倉庫の管理者(物流会社等)に管理される。
【0023】
なお、本実施形態においては、倉庫内における事故要因管理に本発明を適用する場合を例に挙げて説明している。倉庫には、所定の作業用具(パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなど)10が所定の位置に置かれ、荷物の搬送等に用いられるが、整理整頓の不徹底などの理由により、所定の位置から動いてしまい、作業者20の安全を確保できないおそれがある。本発明は、このような点に鑑み、作業用具10を適切に管理することで、作業者の安全を確保するものである。なお、本実施形態では、倉庫内を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、屋外の所定の場所において適用することも当然に可能である。
【0024】
事故要因管理システム1は、所定の範囲を撮影して画像データをカメラ30から取得する。所定の範囲を撮影する画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、カメラ30は、倉庫内の必要な場所をカバーするように、倉庫内に複数固定設置されていてもよい。
【0025】
次に、事故要因管理システム1は、取得した画像データに基づき、所定の場所から少なくとも一部が出た作業用具10を検出する。作業用具10の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。このとき、予め登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。なお、予め登録された大きさ、形状の作業用具データは、AIを活用して蓄積されてもよい。具体的には、例えば、作業用具の画像データを複数用意し、これを教師データとしてAIに学習させて照合用のデータとして蓄積してもよい。この様にすると、教師データが増えるほど、判定精度を向上させることができる。
【0026】
次に、事故要因管理システム1は、前記作業用具10の少なくとも一部が前記所定の場所から出た状態が検出された場合、前記作業用具10の情報を管理者へ通知する。通知は、管理者が所持する管理者端末50に通知を送信して、警告音を出力したり、画面に通知内容を表示したりする。あるいは、管理者端末50を振動させることで管理者へ伝えてもよい。また、これらの形態に限定されるものではなく、事故要因の近くに設置されているスピーカから警告を発するようにしてもよい。
【0027】
<機能構成>
次に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る事故要因管理システム1の機能構成を説明する。事故要因管理システム1は、倉庫内に固定設置されたカメラ30と、カメラ30と接続された事故要因管理装置100と、事故要因管理装置100とネットワーク3を介して接続された管理者端末50と、を備える。
【0028】
なお、本実施形態では、事故要因管理装置100と、管理者端末50とは別の装置として説明するが、管理者端末50を省略し、後述する管理者端末50の機能を、事故要因管理装置100が備えてもよい。また、それとは逆に、事故要因管理装置100を省略し、後述する事故要因管理装置100の機能を、管理者端末50が備えるようにしてもよく、その場合には、カメラ30は、管理者端末50に接続される。
【0029】
(事故要因管理装置の機能構成)
事故要因管理装置100は、画像取得部101と、事故要因検出部102と、通知部103と、登録データベース104と、を備える。
【0030】
画像取得部101は、倉庫内の所定の位置の画像を取得する。詳細には、画像取得部101は、倉庫内の所定の位置に固定されたカメラ30で撮影された画像を取得する。画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、画像取得部101とカメラ30とは、直接接続されていてもよいし、リモート接続であってもよい。
【0031】
事故要因検出部102は、取得した画像データに基づき、所定の場所から少なくとも一部が出た作業用具10を検出する。作業用具10の検出は、取得した画像データの画像解析により行う。このとき、予め登録データベース104に登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。
【0032】
通知部103は、前記作業用具10の少なくとも一部が前記所定の場所から出た状態が検出されたときに、前記作業用具10の情報を管理者へ通知する。通知は、管理者が所持する管理者端末(スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末、ノートPCなど)50に通知を送信して、警告音を出力したり、画面に通知内容を表示したり、あるいは、管理者端末50を振動させることで伝えてもよい。むろん、他の形態による通知を行うことを妨げるものではない。
【0033】
登録データベース104は、予め作業用具10の大きさや形状を登録したデータが保存されており、事故要因検出部102が作業用具10を検出し、特定する際に照合される。
【0034】
(管理者端末の機能構成)
管理者端末50は、それぞれの管理者に操作される、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末、ノートPC等で構成され、それぞれ、事故要因管理装置100とネットワーク3を介して情報を送受信可能に接続され、端末制御部51と、入出力部52と、通信部53と、振動部54と、を備える。
【0035】
端末制御部51は、事故要因管理装置100の通知部103によって、作業用具10の少なくとも一部が前記所定の場所から出た状態が検出されたときに、前記作業用具10の情報を、通信部53を介して受信する。入出力部52は、例えば、タッチパネルで構成され、管理者の操作を受け付けるとともに、端末制御部51の制御により、例えば、事故要因管理装置100からネットワーク3を介して受信した通知部103による通知を表示又は出力する。例えば、作業用具10の種類や場所を表示してもよいし、現状の是正の要否を表示してもよい。また、振動部54は、管理者端末50を振動させることで、通知を伝えるようにしてもよい。
【0036】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロックを分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。
【0037】
<処理フロー>
図2は、本発明の実施形態に係る事故要因管理システムが実行する事故要因管理処理フローを示す図である。事故要因管理処理は、本実施形態では、事故要因管理装置100と、管理者端末50とが実行する。
【0038】
ステップS10において、事故要因管理装置100の画像取得部101は、カメラ30が撮影した画像を取得する。
【0039】
ステップS12において、事故要因管理装置100の事故要因検出部102は、画像取得部101によって取得したカメラ画像から、画像解析により作業用具10を検出する。作業用具10の検出は、登録データベース104に予め登録された大きさ、形状の作業用具データと照合し、パレット、台車、ハンドポーター、フォークリフト、段ボール、カゴ車、ホワイトボードなどの種類を特定する。
【0040】
ステップS14において、事故要因検出部102は、前記取得した画像データに基づき、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所から出たかどうか判断する。
【0041】
図3には、作業用具10(図示の例ではパレット)が、所定の場所40内にあり、事故要因になりえない場合のカメラ画像32が示されている。なお、所定の場所40は、カメラ30の画像からピクセルで予め指定されているが、他の手法により指定することを妨げない。
【0042】
作業用具10が、図3に示すように、所定の場所40内にある場合、すなわち、ステップS14でYESの場合、処理フローは終了へ進む。
【0043】
一方、作業用具10の少なくとも一部が、図4に示すように、所定の場所40から出た状態である場合、ステップS14がNOとなりステップS16へ進む。
【0044】
なお、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出た状態かどうかの判断は、例えば、図4に示すように、作業用具10を画像認識して、認識した枠の中心位置Cから、所定の場所40までの最短距離D1を計測して閾値以上であれば、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40を出た状態と判断する。また、作業用具10の少なくとも一部が所定の場所40から出た状態かどうかの判断は、作業用具10を画像認識して、その底面の形状を認識し、形状が所定の場所40に収まっていない場合、少なくとも一部が出た状態と判断してもよい。作業用具10の底面の形状は、S12において、作業用具を検出したとき、登録データベース105に予め登録された形状を適用してもよい。また、画像のピクセルを基に形状を定義してもよい。
【0045】
次に、ステップS16で、事故要因検出部102は、前記作業用具10が所定の条件を満たすか判断する。ここで、所定の条件を満たす場合、ステップS16がYESとなり、管理者端末50への通知はせずに終了する。
【0046】
事故要因検出部102が検出する所定の状態とは、作業用具10が移動している状態である場合が挙げられる。例えば、倉庫の場合、フォークリフト等で移動させている可能性が高く、作業者の管理下に置かれているため通知しない。
【0047】
また、事故要因検出部102が検出する所定の状態とは、作業用具10が静止してから所定時間経過する前の状態である。この場合、静止直後は再度移動する可能性があり、直ちに通知すると誤報となるおそれがあるため通知しない。
【0048】
一方、前記ステップS16で、所定の条件を満たさないと判断された場合、ステップS16がNOとなり、ステップS18へ進む。ステップS18で、通知部103は、作業用具10の少なくとも一部が出た状態が検出されたとして、前記作業用具10の情報を管理者へ通知する。
【0049】
ステップS20で、管理者端末50への通知は、作業用具10が所定の場所に戻るまで維持する。図5には、管理者端末50の入出力部52に表示される表示例が示されている。例えば、是正が必要な警告の場合には、入出力部52に「空パレット放置 場所:xx」のように文字を表示するとともに、検知時に振動で通知してもよい。xxは、具体的な場所又は場所に対応付けられた符号であってもよい。
【0050】
前記ステップS20で管理者への通知を維持している間に、管理者が管理者端末50から是正された旨を入力すると、通知が解除される。具体的には、管理者が自ら作業用具10を所定の場所に戻すか、作業者が戻したことを確認した場合、管理者が管理者端末50に表示された入力ボタンを押して、通知を解除する。
【0051】
以上により事故要因が所定の場所に戻るまで通知が維持されて、事故要因管理処理フローを終了する。
【0052】
<効果>
このような事故要因管理システム1によれば、倉庫等において作業用具10を適切に管理することで、作業者の安全を確保することができる。
【0053】
また、事故要因管理システム1によれば、前記事故要因検出部102が、前記作業用具10が所定の状態であると検出した場合には、前記通知部は、前記通知を実行しない。これにより、不要な通知をせずにすむ。
【0054】
また、事故要因管理システム1によれば、前記所定の状態とは、前記作業用具10が移動している状態である。例えば倉庫の場合、フォークリフト等で移動させている可能性が高く、作業者の管理下に置かれているため不要な通知をせずにすむ。
【0055】
また、事故要因管理システム1によれば、前記所定の状態とは、前記作業用具10が静止してから所定時間経過する前の状態である。静止直後は作業者が再度移動させる可能性があり、直ちに通知すると誤報となるおそれがある。そこで、所定時間が経過した後通知することにより誤報を防止できる。
【0056】
また、事故要因管理システム1によれば、前記通知は、前記作業用具10の種類及び場所を送信する。これにより、種類、場所を通知することで、事故要因を発見しやすくなる。
【0057】
また、事故要因管理システム1によれば、前記通知は、管理者が所持する携帯端末(スマートウォッチ、タブレット端末、ノートPC等)へ送信する。これにより、管理者の位置によらず、通知が可能となり、事故要因の早期対応に資する。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、事故要因管理システムについて説明したが、本発明において事故要因管理システムが実行する方法や、事故要因管理システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。また、本発明が適用可能な管理は、倉庫内のみならず、屋外の所定の場所など、作業用具の適切な管理が必要な場所全般を含む。
【0059】
また、本発明の事故要因管理システムは、以下のような構成とすることができる。
(1)作業者が作業用具により事故を起こすことを防止する事故要因管理システムであって、所定の範囲の画像データを取得する画像取得部と、前記画像データに基づき所定の場所から少なくとも一部が出た前記作業用具を検出する事故要因検出部と、前記作業用具が検出されたとき、前記作業用具の情報を管理者へ通知する通知部と、を備える構成。
【0060】
(2)前記事故要因検出部が、前記作業用具が所定の状態であることを検出した場合には、前記通知部は、前記通知を実行しない構成。
【0061】
(3)前記所定の状態とは、前記作業用具が移動している状態である構成。
【0062】
(4)前記所定の状態とは、前記作業用具が静止してから所定時間経過する前の状態である構成。
【0063】
(6)前記通知は、前記作業用具の種類及び場所を送信する構成。
【0064】
(7)前記通知は、管理者が所持する携帯端末(スマートウォッチ、タブレット、ノートPC等)へ送信する構成。
【符号の説明】
【0065】
1 事故要因管理システム
3 ネットワーク
10 作業用具
30 カメラ
32 カメラ画像
40 所定の場所
50 管理者端末
51 端末制御部
52 入出力部
53 通信部
54 振動部
100 事故要因管理装置
101 画像取得部
102 事故要因検出部
103 通知部
104 登録データベース
図1
図2
図3
図4
図5