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特許7574431ウェハ整合設計方法、ウェハ接合構造およびチップ接合構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ウェハ整合設計方法、ウェハ接合構造およびチップ接合構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241021BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20241021BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241021BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/08 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023519281
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020124162
(87)【国際公開番号】W WO2022062045
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】202011042851.4
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523050379
【氏名又は名称】ウーハン シンシン セミコンダクター マニュファクチュアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン ベイベイ
(72)【発明者】
【氏名】フー シェン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ティエンシェン
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103985648(CN,A)
【文献】特開2015-173179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0115057(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0084595(US,A1)
【文献】特開2010-225701(JP,A)
【文献】特開2013-102222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを整合するための設計方法であって、
第1のウェハを提供するステップであって、前記第1のウェハは少なくとも1つの単位配列を含み、各前記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、ステップと、
第2のウェハを提供するステップであって、前記第2のウェハは少なくとも1つの第2のダイを含み、各前記第2のダイは前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)内にある前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップと、
を含み、
前記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、前記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、前記第1の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応
前記第1のウェハが複数の相等しい第1の露光単位を含み、各前記第1の露光単位は前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを含み、前記第2のウェハが複数の相等しい第2の露光単位を含み、各前記第2の露光単位は前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを含み、
前記第1の位置合わせマークは、第1の重ね合わせマークを含み、前記第2の位置合わせマークは、第2の重ね合わせマークを含み、前記第1の露光単位は、前記第2の露光単位とは異なるサイズであり、複数の前記第2の露光単位における前記第2の重ね合わせマークの一部は、複数の前記第1の露光単位における前記第1の重ね合わせマークの一部に周期的又は一定の間隔で対応する方法。
【請求項2】
前記第1の位置合わせマークが第1の接合マークをさらに含み、前記第2の位置合わせマークが第2の接合マークをさらに含み、前記第1のウェハ上に前記第1の位置合わせマークの少なくとも2つが設けられ、前記第2のウェハ上に前記第2の位置合わせマークの少なくとも2つが設けられ、前記第2の接合マークの少なくとも2つが前記第1の接合マークの2つに対応する、請求項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項3】
奇数番目の前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークが、その奇数番目の前記第2の露光単位に覆われる前記第1のウェハの領域内にある前記第1の重ね合わせマークに対応する、請求項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項4】
偶数番目の前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークが、その偶数番目の前記第2の露光単位に覆われる前記第1のウェハの領域内にある前記第1の重ね合わせマークに対応する、請求項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項5】
各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)とが接合されて、1つの接合単位を構成する、請求項1~のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項6】
前記接合単位における、前記第2のダイと前記単位配列(1つまたは複数)との電気的接続が、前記第2のダイの接合面上の金属層を前記単位配列(1つまたは複数)の接合面上の金属層と接合することによって、あるいは、前記第2のダイと前記単位配列(1つまたは複数)に、それらの厚さ方向に延びるシリコン貫通ビアを形成し、前記シリコン貫通ビア内に配線層を充填することによって、行われる、請求項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項7】
各前記第2の露光単位内で、各前記第2のダイ(1つまたは複数)がN個の前記第1のダイを覆い、Nは2以上の整数である、請求項のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項8】
各前記第2のダイが制御ダイであり、前記第1のダイがメモリダイである、請求項1~のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項9】
各前記第2のダイにテストブロックが設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項10】
第3のウェハを提供するステップであって、前記第3のウェハは少なくとも1つの第3のダイを含み、前記第1のウェハ、前記第2のウェハおよび前記第3のウェハがこの順序で接合され、各前記第2のダイは前記第3のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第3のダイと、前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つおよび/または前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップをさらに含み、
前記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、前記第3の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応する、
請求項1~のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項11】
第3のウェハを提供するステップであって、前記第3のウェハは少なくとも1つの第3のダイを含み、前記第2のウェハ、前記第1のウェハおよび前記第3のウェハがこの順序で接合され、各前記第1のダイは前記第3のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第3のダイと、前記第1のダイの少なくとも1つおよび/または前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップをさらに含み、
前記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、前記第3の位置合わせマークは前記第1の位置合わせマークに対応する、
請求項1~のいずれか一項に記載のウェハを整合するための設計方法。
【請求項12】
ウェハ接合構造であって、
第1のウェハであって、少なくとも1つの単位配列を含み、各前記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、第1のウェハと、
第2のウェハであって、少なくとも1つの第2のダイを含み、各前記第2のダイは前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)内にある前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、第2のウェハと、
を備え、
前記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、前記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、前記第1の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応し、
前記第2のウェハが前記第1のウェハに接合
前記第1のウェハが複数の相等しい第1の露光単位を含み、各前記第1の露光単位は前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを含み、前記第2のウェハが複数の相等しい第2の露光単位を含み、各前記第2の露光単位は前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを含み、
前記第1の位置合わせマークは、第1の重ね合わせマークを含み、前記第2の位置合わせマークは、第2の重ね合わせマークを含み、前記第1の露光単位は、前記第2の露光単位とは異なるサイズであり、複数の前記第2の露光単位における前記第2の重ね合わせマークの一部は、複数の前記第1の露光単位における前記第1の重ね合わせマークの一部に周期的又は一定の間隔で対応するウェハ接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路製造技術の分野に関し、特に、ウェハを整合するための設計方法、ウェハ接合構造、およびチップ接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの高集積化が求められる中、半導体技術はダイの集積度を高める方向に発展している。3次元IC技術に基づいたウェハレベルの積層は、より安価で高速かつ高密度のダイの集積を可能にする。
【0003】
従来の3次元IC技術では、上下に接合する2つのウェハに含まれるダイまたは露光単位は一般に、1対1で対応している必要があった。加えて、接合するダイの製造コストと歩留まりを考慮すると、一般に、上下ウェハの互いに対応するダイはサイズが整合している必要もあった(例えば、面積差は最大10%まで)。面積差が大きくなると、ウェハの有効面積に大きな無駄が生じる。
【0004】
現在、2つ以上のウェハをそのような1対1の対応で接合する場合、複数のウェハの間で互いにダイの面積と形状が制約し合うことになる。このような制約があると、低消費電力化、高性能化などに向けた3次元IC技術の発展が妨げられるだけでなく、ウェハの有効面積にも無駄が生じる。
【0005】
また、一般に、接合する2つのウェハを、演算速度や記憶容量などの面で完全に整合させることは難しいため、通常は設計時にウェハの性能とダイ面積との間で折り合いをつける必要があり、接合後のウェハの性能や面積は妥協したものになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ウェハを整合するための設計方法、ウェハ接合構造、およびチップ接合構造を提供することである。それによって、ダイの形状または面積がそれぞれ大きく異なる2つ以上のウェハを、互いに整合するように設計し、互いの接合に適したものにすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウェハを整合するための設計方法であって、
第1のウェハを提供するステップであって、前記第1のウェハは少なくとも1つの単位配列を含み、各前記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、ステップと、
第2のウェハを提供するステップであって、前記第2のウェハは少なくとも1つの第2のダイを含み、各前記第2のダイは前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)内にある前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップと、
を含み、
前記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、前記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、前記第1の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応する、
方法を提供する。
【0008】
さらに、前記第1のウェハは複数の相等しい第1の露光単位を含むことができ、各前記第1の露光単位は前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを含み、前記第2のウェハは複数の相等しい第2の露光単位を含み、各前記第2の露光単位は前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを含む。
【0009】
さらに、前記第1の位置合わせマークは第1の重ね合わせマークおよび第1の接合マークを含むことができ、前記第2の位置合わせマークは第2の重ね合わせマークおよび第2の接合マークを含み、前記第1のウェハ上に前記第1の位置合わせマークの少なくとも2つが設けられ、前記第2のウェハ上に前記第2の位置合わせマークの少なくとも2つが設けられ、前記第2の接合マークの少なくとも2つが前記第1の接合マークの2つに対応する。
【0010】
さらに、前記第1の露光単位が前記第2の露光単位と同じサイズであり得る。
【0011】
さらに、各前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークが、その特定の第2の露光単位に覆われる前記第1の露光単位の1つ内にある前記第1の重ね合わせマークに対応し得る。
【0012】
さらに、前記第1の露光単位が前記第2の露光単位とはサイズが異なり得る。
【0013】
さらに、複数の前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークのうちの幾つかが、複数の前記第1の露光単位内にある前記第1の重ね合わせマークのうちの幾つかに周期的にまたは一定の間隔で対応し得る。
【0014】
さらに、奇数番目の前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークが、その奇数番目の前記第2の露光単位に覆われる前記第1のウェハの領域内にある前記第1の重ね合わせマークに対応し得る。
【0015】
あるいは、偶数番目の前記第2の露光単位内にある前記第2の重ね合わせマークが、その偶数番目の前記第2の露光単位に覆われる前記第1のウェハの領域内にある前記第1の重ね合わせマークに対応し得る。
【0016】
さらに、各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)とが接合されて、1つの接合単位を構成し得る。
【0017】
さらに、前記接合単位における、前記第2のダイと前記単位配列(1つまたは複数)との電気的接続が、前記第2のダイの接合面上の金属層を前記単位配列(1つまたは複数)の接合面上の金属層と接合することによって、あるいは、前記第2のダイと前記単位配列(1つまたは複数)に、それらの厚さ方向に延びるシリコン貫通ビアを形成し、前記シリコン貫通ビア内に配線層を充填することによって、行われ得る。
【0018】
さらに、各前記第2の露光単位内で、各前記第2のダイ(1つまたは複数)がN個の前記第1のダイを覆うことができ、Nは2以上の整数である。
【0019】
さらに、各前記第2のダイが制御ダイであってよく、前記第1のダイがメモリダイとして実装される。
【0020】
さらに、各前記第2のダイにテストブロックが設けられ得る。
【0021】
さらに、前記方法は、
第3のウェハを提供するステップであって、前記第3のウェハは少なくとも1つの第3のダイを含み、前記第1のウェハ、前記第2のウェハおよび前記第3のウェハがこの順序で接合され、各前記第2のダイは前記第3のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第3のダイと、前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つおよび/または前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップをさらに含むことができ、
前記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、前記第3の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応する。
【0022】
あるいは、前記方法は、
第3のウェハを提供するステップであって、前記第3のウェハは少なくとも1つの第3のダイを含み、前記第2のウェハ、第1のウェハおよび第3のウェハがこの順序で接合され、各前記第1のダイは前記第3のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第3のダイと、前記第1のダイの少なくとも1つおよび/または前記第2のダイ(1つまたは複数)の少なくとも1つとが、性能面で整合している、ステップをさらに含むことができ、
前記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、前記第3の位置合わせマークは前記第1の位置合わせマークに対応する。
【0023】
本発明はまた、ウェハ接合構造であって、
第1のウェハであって、前記第1のウェハは少なくとも1つの単位配列を含み、各前記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、第1のウェハと、
第2のウェハであって、前記第2のウェハは少なくとも1つの第2のダイを含み、各前記第2のダイは前記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆い、各前記第2のダイと、その第2のダイに覆われる前記単位配列(1つまたは複数)内にある前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合している、第2のウェハと、
を備え、
前記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、前記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、前記第1の位置合わせマークは前記第2の位置合わせマークに対応し、
前記第2のウェハが前記第1のウェハに接合される、
ウェハ接合構造を提供する。
【0024】
本発明はまた、チップ接合構造であって、
少なくとも1つの単位配列であって、少なくとも2つの第1のダイを含む少なくとも1つの単位配列と、
少なくとも1つの第2のダイであって、前記少なくとも1つの単位配列を覆う少なくとも1つの第2のダイと、
を備え、
前記少なくとも1つの第2のダイと、その少なくとも1つの第2のダイに覆われる前記少なくとも1つの単位配列内にある前記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合しており、
前記少なくとも1つの第2のダイが、その少なくとも1つの第2のダイに覆われる前記少なくとも1つの単位配列に接合される、
チップ接合構造を提供する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を提供する。すなわち、本発明のウェハ整合設計方法、ウェハ接合構造およびチップ接合構造では、第1のウェハが単位配列(1つまたは複数)を含み、各上記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含み、第2のウェハが第2のダイ(1つまたは複数)を含み、各上記第2のダイは上記単位配列(1つまたは複数)の少なくとも1つを覆う。さらに、各上記第2のダイと、その第2のダイに覆われる上記単位配列(1つまたは複数)内にある上記第1のダイとが、性能面で整合しており、上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。本発明によると、ダイの形状または面積がそれぞれ大きく異なる2つ以上のウェハを、互いに整合するように設計し、互いの接合に適したものにすることができる。これにより、第1および第2のダイの面積の有効活用が可能になり、第1および第2のダイ間の面積や性能の整合性が向上し、新製品の開発期間が大幅に短縮され、製品設計の多様性と自由度が大幅に高まる。
【0026】
さらに、第2のダイは制御ダイとして実装されてもよく、第1のダイはメモリダイとして実装されてもよい。各制御ダイと複数(≧2)のメモリダイを整合させるこの設計により、制御ダイの演算速度とメモリダイの記憶容量の整合が可能になり、記憶と演算の一体化が容易になり、記憶容量が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の各実施形態による、ウェハを整合するための設計方法を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態による、第1のウェハ上の第1の露光単位の概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態による、第2のウェハ上の第2の露光単位の概略図である。
図4】本発明の第1の実施形態による、互いに位置合わせされた第1のウェハと第2のウェハの概略図である。
図5】本発明の第2の実施形態による、第1のウェハ上の第1の露光単位の概略図である。
図6】本発明の第2の実施形態による、第2のウェハ上の第2の露光単位の概略図である。
図7】本発明の第2の実施形態による、互いに位置合わせされた第1のウェハと第2のウェハの概略図である。
図8図7の概略部分拡大図である。
図9図6の概略部分拡大図である。
図10】本発明の一実施形態による、3つのウェハを整合している第1の実施例を示す概略図である。
図11】本発明の一実施形態による、3つのウェハを整合している第2の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
前述の説明を考慮して、本発明の各実施形態は、ウェハを整合するための設計方法、ウェハ接合構造、およびチップ接合構造を提供する。以下に、特定の実施形態および添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。以下の説明から、本発明の利点および特徴が一層明らかになるであろう。尚、図面については、縮尺は必ずしも正確ではなく、各実施形態を簡単かつ明確に説明し易くすることのみを目的として、非常に簡略化された形で提供されている。
【0029】
本発明の一実施形態では、ウェハを整合するための設計方法が提供され、上記方法は、図1に示されているように、
第1のウェハを提供するステップであって、上記第1のウェハは単位配列を含み、各上記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、ステップと、
第2のウェハを提供するステップであって、上記第2のウェハは第2のダイを含み、各上記第2のダイは上記単位配列の少なくとも1つを覆い、各上記第2のダイと、その第2のダイに覆われる上記単位配列内にある上記第1のダイとが、性能面で整合している、ステップと、
を含み、
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。
【0030】
各第2のダイと、そのダイに覆われる上記単位配列内にある第1のダイとが、性能面で整合している。例えば、ある状況では、第2のダイと、そのダイに覆われる各第1のダイとが、性能面で整合し、電気的に接続される。これは、各第2のダイと、そのダイに覆われる第1のダイとの間の、1対複数の並列接続に類似している。実際のニーズに応じて、各第2のダイに覆われる個々の第1のダイは、互いに独立し、互いに電気的に接続されていなくてもよく、あるいは、互いに依存関係にあり、互いに電気的に接続されていてもよい。
【0031】
あるいは別の状況では、各第2のダイが、そのダイに覆われる第1のダイのうちの1つのみと性能面で整合し、電気的に接続されてもよい。各第2のダイに覆われる個々の第1のダイは、性能面で互いに依存関係にあり、互いに電気的に接続される。すなわち、各第2のダイに覆われる全ての第1のダイの性能の統合が済んでから、そのうちの1つだけが選択されて第2のダイと性能面で整合され、電気的に接続される。これは、各第2のダイと、そのダイに覆われる第1のダイの間の直列接続に類似している。
【0032】
実際のニーズに応じて、他の状況では、各第2のダイが、そのダイに覆われる第1のダイのうちの幾つか(1つよりも多く、合計数未満)と性能面で整合し、電気的に接続されてもよい。
【0033】
次に、図2図4を参照して、同じサイズの露光単位を含んでいる2つのウェハに本発明を適用した第1の実施形態について説明する。図2は、第1の実施形態における、第1のウェハ上の第1の露光単位の概略図である。図3は、第1の実施形態における、第2のウェハ上の第2の露光単位の概略図である。図4は、第1の実施形態における、互いに位置合わせされた第1のウェハと第2のウェハを示す概略図である。
【0034】
図2に示されているように、第1のウェハが提供され、この第1のウェハは複数の相等しい第1の露光単位10を含む。各第1の露光単位10は少なくとも1つの単位配列11を含み、各単位配列11は少なくとも2つの第1のダイ11aを含む。
【0035】
図2図4に示されているように、第2のウェハが提供され、この第2のウェハは複数の相等しい第2の露光単位20を含む。各第2の露光単位20は、少なくとも1つの第2のダイ21を含み、各第2のダイ21は、少なくとも1つの単位配列11を覆う。第1の露光単位10は、第2の露光単位20と同じサイズである。各第2のダイ21がN個の第1のダイ11aを覆い、Nは2以上の整数である。例えば、Nは2、3、4、8、16、24、36、40、および48のいずれかにでき、Nの値は実際のニーズに応じてそれよりも大きくてもよく、本発明は特定のN値に限定されない。
【0036】
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、この第1の位置合わせマークは第1の重ね合わせマーク13および第1の接合マーク12を含む。上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、この第2の位置合わせマークは第2の重ね合わせマーク23および第2の接合マーク22を含む。第2の接合マーク22の少なくとも2つは、2つのそれぞれの第1の接合マーク12に対応する。各第1の重ね合わせマーク13は、それぞれの第2の重ね合わせマーク23に対応する。例えば、第1の重ね合わせマーク13は、第1の露光単位10の四隅の周辺にあるダイシングレーン上に配置される。第1の重ね合わせマーク13は例えば、各第1の露光単位10に4つあり、環状に配置される。さらに、第2の重ね合わせマーク23は、第2の露光単位20の四隅の周辺にあるダイシングレーン上に配置される。第2の重ね合わせマーク23は例えば、各第2の露光単位20に4つあり、環状に配置される。
【0037】
第1の重ね合わせマーク13と第2の重ね合わせマーク23は、第1のウェハと第2のウェハの重ね合わせ時の位置合わせを可能にする目的で設けられる。第1の重ね合わせマーク13は、例えば、四角形または十字形である。第2の重ね合わせマーク23は、第1の重ね合わせマーク13に対応した形状である。第1の重ね合わせマーク13と第2の重ね合わせマーク23は両方とも、それぞれ対応するウェハの誘電体層または金属層にエッチングすることによって形成されたパターンであり得る。第2の接合マーク22と第1の接合マーク12は、第1のウェハと第2のウェハの相互接合前の位置合わせを可能にする目的で設けられる。この過程で、各第2のダイ21と、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ11aとが位置合わせされ接合されて、1つの接合単位を構成する。第2のウェハ上では、隣接する第2のダイ21がダイシング領域によって離間されており、そのダイシング領域上に、第2の重ね合わせマーク23および第2の接合マーク22が配置される。第1のウェハと第2のウェハは接合後、個々の接合単位(デバイス)にダイシングされる。各接合単位(デバイス)のサイズは第2のダイとほぼ同じになる。
【0038】
好ましくは、第1のウェハ上の第1のダイ11aの2つの隣接する行はいずれも等間隔に離間され、第1のウェハ上の第1のダイ11aの2つの隣接する列もまた、いずれも等間隔に離間されている。他の実施形態では、実際のニーズに応じて、第1のウェハ上の第1のダイ11aの2つの隣接する行はいずれも個別の間隔で離間され得る。実際のニーズに応じて、第1のウェハ上の第1のダイ11aの2つの隣接する列もまた、いずれも個別の間隔で離間され得る。
【0039】
各第2のダイ21と、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ11aとが、ダイの性能面で整合している。例えば、第2のダイ21は制御ダイであり、第1のダイ11aはメモリダイである。各制御ダイと複数(≧2)のメモリダイを整合させるこの設計により、制御ダイの演算速度とメモリダイの記憶容量の整合が可能になり、記憶と演算の一体化が容易になる。複数(≧2)のメモリダイにより、記憶容量が増大しかつ読み込む/返す能力が強化された記憶手段が提供される。これにより、「記憶の壁」というボトルネックを突破し、大容量と高帯域幅が実現する。データの記憶と演算に対する需要の急増に直面して、限られた演算能力と記憶容量がチップにとって大きな問題となっている。大規模データ演算用途では、データを記憶装置から読み込んだり記憶装置に返したりが、チップの周波数に全く追いつかず、チップの性能全体に影響を及ぼす大幅な遅延が発生する。
【0040】
この実施形態では、第1のダイ11aのサイズは小さく、第2のダイ21のサイズは大きい。第1のダイ11aは、標準の単位ダイとして設計することができ、第2のダイ21は、それとの整合を考慮しながら、実際のニーズに応じたサイズにすることができる。各第2のダイ21は、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ11aと接合される。このように、ダイの1対1の対応に限定されることなく、各接合単位(デバイス)に含まれる第1のダイ11aの数を増やすことができる。第1のダイ11aについては、標準の単位ダイとして実装することにより、手を加える必要がなくなり、設計時に第2のダイと整合させるだけで済む。これにより、新製品の開発期間を大幅に短縮し、製品設計の多様性と自由度を大幅に高めることができる。
【0041】
次に、図5図9を参照して、サイズが異なる露光単位を含んでいる2つのウェハに本発明を適用した第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態における、第1のウェハ上の第1の露光単位の概略図である。図6は、第2の実施形態における、第2のウェハ上の第2の露光単位の概略図である。図7は、第2の実施形態における、互いに位置合わせされた第1のウェハと第2のウェハを示す概略図である。図8は、図7の概略部分拡大図である。図9は、図6の概略部分拡大図である。
【0042】
図5に示されているように、第1のウェハが提供され、この第1のウェハは複数の相等しい第1の露光単位を含む。各第1の露光単位は、例えば、1番目の第1の露光単位30a、2番目の第1の露光単位30bおよび3番目の第1の露光単位30cを含む。各第1の露光単位は少なくとも1つの単位配列31を含み、各単位配列31は少なくとも2つの第1のダイ31aを含む。好ましくは、第1のウェハ上の第1のダイ31aの2つの隣接する行はいずれも等間隔で離間され、第1のウェハ上の第1のダイ31aの2つの隣接する列もまた、いずれも等間隔で離間される。あるいは、他の実施形態では、実際のニーズに応じて、第1のウェハ上の第1のダイ31aの2つの隣接する行はいずれも個別の間隔で離間され得る。実際のニーズに応じて、第1のウェハ上の第1のダイ31aの2つの隣接する列もまた、いずれも個別の間隔で離間され得る。
【0043】
図6図8に示されているように、第2のウェハが提供され、この第2のウェハは複数の相等しい第2の露光単位を含む。これらの第2の露光単位には、例えば、1番目の第2の露光単位40aや、2番目の第2の露光単位40b、3番目の第2の露光単位40c、4番目の第2の露光単位40dなどが含まれる。各第2の露光単位は、少なくとも1つの第2のダイ41を含む。各第2のダイ41は、少なくとも1つの単位配列31を覆う。
【0044】
第1の露光単位と第2の露光単位はサイズが異なる。各第2のダイ41と、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ31aとが位置合わせされ接合されて、1つの接合単位を構成する。第1のウェハと第2のウェハが互いに位置合わせされ接合されると、かかる接合単位が複数形成される。各接合単位では、1つの第2のダイ41が、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ31aと位置合わせされ、性能面で整合している。各第2のダイ41がN個の第1のダイ31aを覆い、Nは2以上の整数である。例えば、Nは2、3、4、8、16、24、36、40、および48のいずれかにでき、Nの値は実際のニーズに応じてそれよりも大きくてもよく、本発明は特定のN値に限定されない。
【0045】
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、この第1の位置合わせマークは第1の重ね合わせマーク33および第1の接合マーク32を含む。上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、この第2の位置合わせマークは第2の重ね合わせマーク43および第2の接合マーク42を含む。第2のウェハ上の第2の接合マーク42の少なくとも2つは、第1のウェハ上の2つのそれぞれの第1の接合マーク32に対応する。
【0046】
第2の重ね合わせマーク43のうちの幾つかは、第1の重ね合わせマーク33のうちの幾つかに周期的にまたは一定の間隔で対応する。奇数番目の第2の露光単位内にある第2の重ね合わせマークが、その奇数番目の第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応する場合、偶数番目の第2の露光単位内にある第2の重ね合わせマークは、その偶数番目の第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応しても、しなくてもよい。同様に、偶数番目の第2の露光単位内にある第2の重ね合わせマークが、その偶数番目の第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応する場合、奇数番目の第2の露光単位内にある第2の重ね合わせマークは、その奇数番目の第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応しても、しなくてもよい。
【0047】
例えば、図7図9に示されているように、1番目の第2の露光単位40a内にある第2の重ね合わせマーク43は、その1番目の第2の露光単位40aに覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマーク33に対応する。3番目の第2の露光単位40c内にある第2の重ね合わせマーク43は、その3番目の第2の露光単位40cに覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマーク33に対応する。第2の露光単位40b内にある第2の重ね合わせマーク43は、その第2の露光単位40bに覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応しない。
【0048】
尚、この実施形態では、第2の露光単位の幾つか(例えば40bと40d)内にある第2の重ね合わせマークは、その第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある第1の重ね合わせマークに対応しないが、各第2の露光単位(例えば、40a、40b、40cおよび40d)内にある各第2のダイ41は、その第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域内にある複数の第1のダイ31aに対応して配置されるので、各ダイの性能に影響はない。第1のウェハと第2のウェハでは、それぞれのダイの実際のニーズを満たすために、露光単位のサイズがそれぞれ異なっているため、設計時は、これら2つのウェハの折り合いをつけて互いに整合させる。つまり、第2の重ね合わせマーク43のうちの幾つか(例えば40aと40cのマーク)が第1の重ね合わせマーク33のうちの幾つかに周期的にまたは一定の間隔で対応するように折り合いをつける。このようにすると、第1のウェハと第2のウェハのレイアウト設計の要求を満たしながらも、第1のウェハと第2のウェハの間の重ね合わせの位置合わせを達成することができる。
【0049】
例えば、第1の重ね合わせマーク33は、第1の露光単位の四隅の周辺にあるダイシングレーン上に配置される。第1の重ね合わせマーク33は例えば、各第1の露光単位に4つあり、環状に配置される。各第1の露光単位は、3行2列の単位配列31を含み得る。各第2の露光単位は、単位配列31のそのような列を3列覆うことができる。1番目の第2の露光単位40aは、1番目の第1の露光単位30aと2番目の第1の露光単位30bの半分とを覆うことができる。
【0050】
1番目の第2の露光単位40aでは、第2の重ね合わせマーク43が、第1の露光単位30aにある第1の重ね合わせマーク33と位置的に対応するように配置される。第2の重ね合わせマーク43の数は、例えば4つであり、環状に配置され得る。奇数番目の第2の露光単位に環状に配置された第2の重ね合わせマーク43は、その第2の露光単位に覆われる第1のウェハの領域に環状に配置されている第1の重ね合わせマーク33に対応し得る。これらの第2の重ね合わせマーク43はそれぞれ対応する第1の重ね合わせマーク33の内側に隣接するようになっており、それによって第1のウェハと第2のウェハの重ね合わせの位置合わせが可能になる。
【0051】
第2の重ね合わせマーク43のうちの幾つかが、第1の重ね合わせマーク33のうちの幾つかに周期的にまたは一定の間隔で対応する。このため、第2の重ね合わせマーク43のために、第2のウェハの対応する場所が確保(占有)され、第2のダイの全ての内部構成部品はウェハの残りの場所に配設される。
【0052】
さらに、テストブロック44が、第2のウェハの第2のダイ41内に分散され得る。テストブロック44が配置され得る位置は、第1のウェハの単位配列31同士の間の位置に対応する。テストブロック44は、プロセスを監視するために設けられ得る。
【0053】
各第2のダイ41と、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ31aとが、性能面で整合している。例えば、第2のダイ41は制御ダイであり、第1のダイ31aはメモリダイである。各制御ダイと複数(≧2)のメモリダイを整合させるこの設計により、制御ダイの演算速度とメモリダイの記憶容量の整合が可能になり、記憶と演算の一体化が容易になる。複数(≧2)のメモリダイにより、記憶容量が増大しかつ読み込む/返す能力が強化された記憶手段が提供される。これにより、「記憶の壁」というボトルネックを突破し、大容量と高帯域幅が実現する。
【0054】
この実施形態では、第1のウェハと第2のウェハとで、それぞれのダイの実際のニーズを満たすために、露光単位のサイズがそれぞれ異なっており、また、第1のダイ31aのサイズは小さく、第2のダイ41のサイズは大きい。第1のダイ31aは、標準の単位ダイとして設計することができ、第2のダイ41は、それとの整合を考慮しながら、実際のニーズに応じたサイズにすることができる。各第2のダイ41は、そのダイに覆われる2つ以上の第1のダイ31aと接合される。このように、等しいサイズのダイの1対1の対応に限定されることなく、各接合単位(デバイス)に含まれる第1のダイ31aの数を増やすことができる。さらに、第1のダイ31aについては、標準の単位ダイとして実装することにより、手を加える必要がなくなり、設計時に第2のダイと整合させるだけで済む。これにより、新製品の開発期間を大幅に短縮し、設計コストを下げ、製品の改良頻度を高め、製品設計の多様性と自由度を大幅に高めることができる。
【0055】
本発明の第1および第2の実施形態では、第1のウェハと第2のウェハのウェハレベルの接合の場合、単に、第2のウェハ上の少なくとも2つの第2の接合マークを、第1のウェハ上のそれぞれ対応する第1の接合マークと位置合わせするだけで、両ウェハの位置合わせが達成され得る。ダイレベルの接合では、ウェハをダイシングした後に各第2のダイとそのダイに覆われる第1のダイを接合する場合、各第2のダイに第2の接合マークを設け、その第2のダイに覆われる第1のダイにそれぞれ対応する第1の接合マークを設ける。
【0056】
本発明の第1および第2の実施形態では、各接合単位(デバイス)内にある、第2のダイと単位配列(1つまたは複数)との電気的接続は、2つの手法によって実現され得る。第1の手法では、第2のダイの接合面上の金属層と単位配列(1つまたは複数)の接合面上の金属層との間で、誘電体間接合と金属間接合を伴うハイブリッド接合を行う。第2の手法では、第2のダイと単位配列(1つまたは複数)を貫通してその厚さ方向に延びるシリコン貫通ビア(TSV)に、配線層を充填する。
【0057】
本発明の第1および第2の実施形態では、第1のダイ(小さいダイ)が確認/検証済みの確立されたプロセスで製造されたものであれば、それらを標準の単位ダイとみなすことができ、その第1のダイに整合するように、第2のダイ(大きいダイ)を上記実施形態のいずれかの方法に従って設計することができる。逆に、第2のダイ(大きいダイ)が確認/検証済みの確立されたプロセスで製造されたものであれば、その第2のダイに整合するように、第1のダイ(小さいダイ)を上記実施形態のいずれかの方法に従って設計することができる。これら両タイプのダイが新規に設計されたものであれば、それらを互いに整合するように上記実施形態のいずれかの方法に従って設計することができる。
【0058】
本発明は、より多くのウェハ(すなわち3つ以上のウェハ)の整合/接合設計にも適用可能である。新たに追加するウェハは、第1のウェハ上の第1のダイと整合するように設計するか、第2のウェハ上の第2のダイと整合するように設計することができる。図10は、本発明の一実施形態による3つのウェハを整合している第1の実施例を示す概略図である。図10に示されているように、ウェハを整合するための設計方法は、
第1のウェハを提供するステップであって、上記第1のウェハは単位配列51を含み、各上記単位配列51は少なくとも2つの第1のダイ51aを含む、ステップと、
第2のウェハを提供するステップであって、上記第2のウェハは第2のダイ61を含み、各上記第2のダイ61は上記単位配列51の少なくとも1つを覆い、各上記第2のダイ61と、その第2のダイに覆われる上記単位配列51内にある上記第1のダイ51aとが、性能面で整合している、ステップと、
第3のウェハを提供するステップであって、上記第3のウェハは第3のダイ71を含み、上記第1、第2および第3のウェハはこの順序で順次接合され、各第2のダイ61は第3のダイ71の少なくとも1つを覆い、各第3のダイ71と、第2のダイ61および/または第1のダイ51aとが、性能面で整合している、ステップと、
を含む。
【0059】
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。上記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、この第3の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。
【0060】
この実施形態では、第3のウェハと第2のウェハが隣接して接合され、したがって、各第2のダイ61が覆う領域内では、各第2のダイ61の一方の面が複数の第1のダイ51aに接合され、もう一方の面が複数の第3のダイ71に接合され、1対複数の自在な設計が実現する。その後さらに多くのウェハを追加することができ、各2つの隣接するウェハ(例えば、第3のウェハと第2のウェハ、第4のウェハと第3のウェハなど)を互いに整合するように設計することができる。かかる場合における、露光単位や位置合わせマーク(重ね合わせマークおよび接合マークを含む)の整合等の設計については、上述の第1のウェハと第2のウェハとの整合設計に関する説明を参照できるため、詳細な説明は省略する。この実施形態では、様々な機能を有するサイズ違いのダイ間の不整合に配慮することなく、複数のウェハを互いに接合して、接合(統合)後のダイの性能を向上させることができる。複数のウェハのこのような自在なダイ間の整合により、設計の自由度が大幅に高まる。
【0061】
図11は、本発明の実施形態による3つのウェハを整合している第2の実施例を示す概略図である。図11に示されているように、ウェハを整合するための設計方法は、
第1のウェハを提供するステップであって、上記第1のウェハは単位配列52を含み、各上記単位配列52は少なくとも2つの第1のダイ52aを含む、ステップと、
第2のウェハを提供するステップであって、上記第2のウェハは第2のダイ62を含み、各上記第2のダイ62は上記単位配列52の少なくとも1つを覆い、上記第2のダイ62と、その第2のダイに覆われる上記単位配列52内にある上記第1のダイ52aとが、性能面で整合している、ステップと、
第3のウェハを提供するステップであって、上記第3のウェハは第3のダイ72を含み、上記第2、第1および第3のウェハはこの順序で順次接合され、各第1のダイ52aは第3のダイ72の少なくとも1つを覆い、第3のダイ72と、第1のダイ52aおよび/または第2のダイ62とが、性能面で整合している、ステップと、
を含む。
【0062】
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。上記第3のウェハ上に第3の位置合わせマークが設けられ、この第3の位置合わせマークは上記第1の位置合わせマークに対応する。
【0063】
上記第2、第1、および第3のウェハは、順次接合された後、個々の接合単位(デバイス)にダイシングされる。各接合単位は、例えば第2のダイ62を1つ含む。各接合単位(デバイス)における、第2のダイ62、第1のダイ52aおよび第3のダイ72の電気的接続は、2つの手法によって実現され得る。第1の手法では、第1のダイ52aの一方の接合面上の金属層と第2のダイ62の接合面上の金属層との間で、ならびに第1のダイ52aのもう一方の接合面上の金属層と第3のダイ72の接合面上の金属層との間で、誘電体間接合と金属間接合を伴うハイブリッド接合を行う。第2の手法では、各ダイを貫通してその厚さ方向に延びるシリコン貫通ビア(TSV)に、配線層を充填する。
【0064】
この実施形態では、第3のウェハと第1のウェハが隣接して接合され、したがって、各第2のダイ62が覆う領域内では、第1のダイ52aが2つと第3のダイ72が9つ存在し、第1のダイ52aと第3のダイ72に対する複数対複数の設計が実現する。その後さらに多くのウェハを追加することができ、各2つの隣接するウェハ(例えば、第3のウェハと第1のウェハ、第4のウェハと第3のウェハなど)を互いに整合するように設計することができる。かかる場合における、露光単位や位置合わせマーク(重ね合わせマークおよび接合マークを含む)の整合等の設計については、上述の第1のウェハと第2のウェハとの整合設計に関する説明を参照できるため、詳細な説明は省略する。この実施形態では、様々な機能を有するサイズ違いのダイ間の不整合に配慮することなく、複数のウェハを互いに接合して、接合(統合)後のダイの性能を向上させることができる。複数のウェハのこのような自在なダイ間の整合により、設計の自由度が大幅に高まる。
【0065】
本発明はさらに、ウェハ接合構造であって、
第1のウェハであって、上記第1のウェハは単位配列を含み、各上記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含む、第1のウェハと、
第2のウェハであって、上記第2のウェハは第2のダイを含み、各上記第2のダイは上記単位配列の少なくとも1つを覆い、各上記第2のダイと、その第2のダイに覆われる上記単位配列内にある上記第1のダイとが、性能面で整合している、第2のウェハと、
を備え、
上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応し、
上記第2のウェハが上記第1のウェハに接合される、
ウェハ接合構造を提供する。
【0066】
具体的には、接合界面の薄膜によってもたらされるファンデルワールス力によって、第2のウェハと第1のウェハの接合が実現され得る(例えば、誘電体間接合と金属間接合を伴うハイブリッド接合の場合)。これによりウェハの統合を強化することができる。様々な機能を有する接合対象のウェハ(例えば、RFダイ、メモリダイ、制御ダイ、画像ダイなどを含むウェハ)同士を整合する設計を行うことで、性能、機能およびサイズの面で大きな利点がもたらされ得る。
【0067】
上記第1のウェハは複数の相等しい第1の露光単位を含み、各上記第1の露光単位は上記単位配列の少なくとも1つを含む。上記第2のウェハが複数の相等しい第2の露光単位を含み、各上記第2の露光単位は上記第2のダイの少なくとも1つを含む。上記第1の露光単位は、上記第2の露光単位と同じサイズであっても、あるいは異なるサイズであってもよい。上記第2のダイは例えば制御ダイであり、上記第1のダイは例えばメモリダイである。
【0068】
本発明はさらに、チップ接合構造であって、
少なくとも1つの単位配列であって、少なくとも2つの第1のダイを含む少なくとも1つの単位配列と、
少なくとも1つの第2のダイであって、上記少なくとも1つの単位配列を覆う少なくとも1つの第2のダイと、
を備え、
上記少なくとも1つの第2のダイと、その少なくとも1つの第2のダイに覆われる上記少なくとも1つの単位配列内にある上記第1のダイの少なくとも1つとが、性能面で整合しており、
上記少なくとも1つの第2のダイが、その少なくとも1つの第2のダイに覆われる上記少なくとも1つの単位配列に接合される、
チップ接合構造を提供する。
【0069】
要約すると、本発明のウェハ整合設計方法、ウェハ接合構造およびチップ接合構造では、第1のウェハが単位配列を含み、各上記単位配列は少なくとも2つの第1のダイを含み、第2のウェハが第2のダイを含み、各上記第2のダイは上記単位配列の少なくとも1つを覆う。さらに、各上記第2のダイと、その第2のダイに覆われる上記単位配列内にある上記第1のダイとが、性能面で整合しており、上記第1のウェハ上に第1の位置合わせマークが設けられ、上記第2のウェハ上に第2の位置合わせマークが設けられ、上記第1の位置合わせマークは上記第2の位置合わせマークに対応する。本発明によると、ダイの形状または面積がそれぞれ大きく異なる2つ以上のウェハを、互いに整合するように設計し、互いの接合に適したものにすることができる。これにより、第1および第2のダイの面積の有効活用が可能になり、第1および第2のダイ間の面積や性能の整合性が向上し、新製品の開発期間が大幅に短縮され、製品設計の多様性と自由度が大幅に高まる。本発明により、上下に接合されるダイが同じサイズでなければならないという要求による制限がなくなり、より柔軟なウェハまたはダイの接合(積層)が可能になり、接合製品の歩留まりが改善され、製品コストが下がる。
【0070】
本明細書に開示する各実施形態の説明は、他の実施形態との相違点に焦点を当てて、順次行っている。各実施形態の間の同一または類似の部分については、互いに参照することができる。装置の実施形態については、方法の実施形態に対応しているため、説明を比較的簡潔にしており、詳細は方法の実施形態を参照することができる。
【0071】
上記の説明は、単に本発明のいくつかの好ましい実施形態の説明であり、いかなる意味においてもその範囲を限定することを意図するものではない。上記の教示に基づいて当業者によってなされた変更および修正は全て、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 第1のウェハの露光単位、 11 単位配列、 11a 第1のダイ、 12 第1の接合マーク、 13 第1の重ね合わせマーク、 20 第2のウェハの露光単位、 21 第2のダイ、 22 第2の接合マーク、 23 第2の重ね合わせマーク、 30a 第1のウェハの1番目の露光単位、 30b 第1のウェハの2番目の露光単位、 30c 第1のウェハの3番目の露光単位、 31 単位配列、 31a 第1のダイ、 32 第1の接合マーク、 33 第1の重ね合わせマーク、 40a 第2のウェハの1番目の露光単位、 40b 第2のウェハの2番目の露光単位、 40c 第2のウェハの3番目の露光単位、 40d 第2のウェハの4番目の露光単位、 41 第2のダイ、 42 第2の接合マーク、 43 第2の重ね合わせマーク、 44 テストブロック、 51 単位配列、 51a 第1のダイ、 61 第2のダイ、 71 第3のダイ、 52 単位配列、 52a 第1のダイ、 62 第2のダイ、 72 第3のダイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11