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特許7574461家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステム
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  • 特許-家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステム 図1
  • 特許-家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステム
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20241021BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20241021BHJP
   F24D 3/08 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
F24D17/00 F
F24H1/18 H
F24D3/08 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023547451
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022004411
(87)【国際公開番号】W WO2022172867
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】21156224.4
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】キルシュナー,ティモ
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2629020(EP,A2)
【文献】特開2012-229895(JP,A)
【文献】オーストリア国特許発明第400629(AT,B)
【文献】特開2012-107793(JP,A)
【文献】特開2008-232462(JP,A)
【文献】特開2005-207651(JP,A)
【文献】特開2008-267790(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2295889(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 1/00 - 19/10
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステム(100)であって、 熱源から熱を取得するための熱生成器(1)であって、生成器出口ポート(1.1)と生成器戻りポート(1.2)とを有する熱生成器と、
加熱供給ポート(3.1)と加熱戻りポート(3.2)を有するセントラルヒーティング回路(3)と、
タンク(16)であって、前記タンク(16)の底部部分における入口ポート(7)と上部ポート(8)と下部ポート(9)とを有し、熱蓄積流体である流体を収容しており、前記入口ポート(7)が前記熱蓄積流体(15)を前記タンク(16)に供給するタンク(16)と
を備え、
前記熱生成器(1)と前記セントラルヒーティング回路(3)と前記タンク(16)とは、
前記流体(15)が前記熱生成器(1)から前記セントラルヒーティング回路(3)および前記タンク(16)のうちの少なくとも一方を通って前記熱生成器(1)へと戻るよう流れることができるように、直列に流体連通状態で接続されており、
前記システム(100)は、
前記加熱供給ポート(3.1)と前記加熱戻りポート(3.2)とに流体連通状態で接続されるとともに、選択的に前記流体に前記セントラルヒーティング回路(3)を迂回させるかまたは前記セントラルヒーティング回路(3)を流れさせる第1三方向弁(4)と、
前記第1三方向弁(4)と前記生成器戻りポート(1.2)と前記入口ポート(7)とに流体連通状態で接続されるとともに、選択的に前記流体に前記タンク(16)を迂回させるかまたは前記入口ポート(7)を介して前記タンク(16)を流れさせる第2三方向弁(6)と、
前記上部ポート(8)と前記下部ポート(9)と前記生成器戻りポート(1.2)とに流体連通状態で接続されるとともに、前記上部ポート(8)および前記下部ポート(9)を前記生成器戻りポート(1.2)へと流れるそれぞれの前記流体の相対的な割合を設定する第3三方向弁(10)と
をさらに備える、
システム(100)。
【請求項2】
前記入口ポート(7)は、成層パイプ(7.1)を有する、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記第1三方向弁(4)は、選択的に前記流体の一部に前記セントラルヒーティング回路(3)を迂回させかつ一部に前記セントラルヒーティング回路(3)を流れさせる、請求項1または2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記第2三方向弁(6)は、選択的に前記流体の一部に前記タンク(16)を迂回させかつ一部に前記タンク(16)を流れさせる、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記第3三方向弁(10)は、前記上部ポート(8)からの比較的熱い熱蓄積流体と前記下部ポート(9)からの比較的冷たい熱蓄積流体とを混合することによって、前記タンク(16)から前記熱生成器(1)へと供給される前記熱蓄積流体(15)の温度を設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記熱生成器(1)から前記セントラルヒーティング回路(3)および前記タンク(16)の少なくとも1つを介して前記熱生成器(1)へと流れるよう前記流体を駆動するポンプ(5)をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記熱蓄積流体を加熱する電気加熱器(2)を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記電気加熱器(2)は、前記熱生成器(1)から前記セントラルヒーティング回路(3)へと流れる前記熱蓄積流体を追加的に加熱するよう、前記生成器出口(1.1)の下流側にかつ加熱供給ポート(3.1)の上流側に配置される、請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記熱蓄積流体(15)から前記家庭用温水へと熱を転送する熱交換器(13,17)をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記熱交換器は、前記タンク(16)内の前記熱蓄積流体(15)に浸漬される熱交換器コイル(17)を備える、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記熱交換器は、前記タンク(16)の外部にプレート熱交換器(13)を備えており、
前記プレート熱交換器(13)は、前記上部ポート(8)から前記プレート熱交換器(13)を通り、前記下部ポート(9)を介して前記タンク(16)へと戻るように前記流体(15)が流れることができるよう、前記タンク(16)の前記上部ポート(8)と前記タンク(16)の前記下部ポート(9)とに流体連通状態で接続される、請求項9または10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記プレート熱交換器(13)を通って流れるように前記熱蓄積流体(15)を駆動する熱交換器ポンプ(14)をさらに備える、請求項11に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源から熱を得るための熱生成器と、セントラルヒーティング回路と、入口ポートと上部ポートと下部ポートとを有するとともに熱蓄積流体を収容するタンクとを備える家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の加熱システムは、従来技術として、例えば欧州特許出願公開第2629020号明細書から知られている。この従来技術のデバイスでは、建物を暖房するシステムが、熱蓄積流体を収容するタンクを有している。通常は、また本発明でも、水が、熱蓄積流体として用いられる。なお、他の流体を用いることもできる。
【0003】
タンク内の熱蓄積流体(例えば水)は、異なる温度の層として層構造を形成する傾向にある。したがって、タンク内の熱蓄積流体の温度は、タンクの底部の比較的低い温度から上部の比較的高い温度へと、多かれ少なかれ連続的に変化する。この層構造は、成層と呼ばれており、このため、熱蓄積流体が同時に単一の平均温度となることはなく、比較的幅広い温度範囲を有することになる。
【0004】
上述した公報の従来技術のデバイスにおいては、熱蓄積流体は、熱交換器を流れる流体を加熱する加熱サポートとして機能する。なお、熱交換器は、熱蓄積流体内に垂直姿勢で浸漬されるとともに、タンクの上部から底部へと向かって相当な距離にわたって延設される。したがって、熱交換器内にあってタンクの上部部分において加熱されてその後タンクの上部から底部へと向かって熱交換器のコイルを流れる相当の流体によって、タンク内の成層は崩れ、これにより、タンクの下部部分の熱蓄積流体が加熱される。こうして、熱は、実際上、タンクの底部へと運ばれ、その結果、内部加熱損失となる。加熱された流体がタンクの上部部分から底部部分へと熱交換器のコイルを通って運ばれ、熱い熱蓄積流体と冷たい熱蓄積流体とを混ぜることと同じとなるからである。
【0005】
また、この構成の熱交換器は、上述した状況で用いるには最適ではない。異なる成層レベルの水の温度が熱交換器内のフロー温度と同じかまたは低い場合、コイル内の流体の加熱サポートのための熱交換器の熱交換面の機能は低下する。言い換えれば、熱交換器は、その長さの一部では実際上機能しなくなる。すなわち、周囲の熱蓄積流体の温度は、タンクにおいて加熱すべき熱交換器内の流体のフロー温度と同じかまたは低くなる。したがって、熱蓄積流体が蓄積流体の成層によって加熱されない場合、熱をタンク内の熱蓄積流体へと伝導する効率の低下が見られることになる。
【0006】
現在の一般的な傾向は、住宅のエネルギー消費を低減する対策をとる方向にある。特に、春や秋には、セントラルヒーティング(中央暖房)による住宅のための熱への要求は非常に限定的であるがゼロでない。この結果、オン/オフが繰り返されるサイクルでの加熱システムの運転は、一年のうちの相当な期間で、非効率的であると言える。特に、システムの「オン」状態と「オフ」状態との間でのスイッチグは、熱生成器または一般的な熱源の効率の低下を招く。
【0007】
また、上述したデバイスは、加熱回路で可能な限り冷たい戻り流体の熱エネルギーを利用することができない。戻り流体の可能な限り冷たい温度はタンクの上部部分における熱蓄積流体の温度よりも通常低いであろうから、戻り流体が熱蓄積流体の上部部分を冷やしてしまうことになろう。したがって、戻り流体がタンクの底部部分における熱蓄積流体よりもまだ暖かい場合には、熱エネルギーを戻り流体から熱蓄積流体へと伝導する運転モードは全く用いられない。
【0008】
上述のデバイスのさらなる欠点は、比較的温度が高い熱蓄積流体つまり湯(ホット・ウォーター)を用いる霜取り運転が比較的非効率的であることにある。このことは、結局、家庭用給湯(ドメスティック・ホット・ウォーター(DHW))といった熱い飲用水用途のための熱蓄積流体の量の減少を意味する。これらの用途では、通常、最高温度の熱蓄積流体を必要とするからである。通常、加熱回路はこのような場合のためのものではない。
【0009】
さらなる結果として、従来技術の構成の欠点は、流体が住宅を暖房するようセントラルヒーティング回路に供給される暖房モードにおいては、流体がDHWモードよりも低い温度でなければならないことにある。したがって、暖房モードで運転中のときには同時にDHWを加熱することができない。
【0010】
したがって、既知の概念によってすでに加熱システムが比較的効率的となり環境にやさしい構成となっていたとしても、既知の概念には改良の余地がある。
【0011】
特開2004―294019号公報にはポンプや配管の一部を加熱用熱交換器と共用して、貯湯タンク内の水の予熱を行うことができる電気式水加熱装置が開示されている。貯湯タンクの下部には、浴槽内の水を導入して熱交換を行う熱回収用熱交換器が設けられている。加熱用第1熱交換器の導入パイプと熱回収用第二熱交換器の導入パイプはそれぞれ、浴槽の導出パイプに接続される。加熱用熱交換器の導出パイプおよび熱回収用熱交換器の導出パイプはそれぞれ浴槽の導入パイプに接続されており、選択バルブが浴槽の導出パイプの流路を加熱用熱交換器と熱回収用熱交換器との間で選択的に切り替えるよう設けられている。しかしながら、この構成もまた、欧州特許出願公開第2629020A2号明細書に関して上述した欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のことから、本発明は、家庭用温水およびセントラルヒーティングのための熱を、特に熱生成器と組み合わせて、生成する既知のシステムの効率を如何に向上させるかという課題を解決すること目的とする。
【0013】
この課題は、請求項1に記載の家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するシステムによって解決できる。本発明の特徴および態様は、従属クレームにかかるものである。
【0014】
本発明では、生成器出口ポートと生成器戻りポートとを有する、熱源から熱を取得するための熱生成器を備えるシステムを提供する。システムは、さらに、セントラルヒーティング回路と、タンクと、好ましくは家庭用温水を暖める手段と、を備える。セントラルヒーティング回路は、加熱供給ポートと加熱戻りポートとを有する。タンクは、入口ポートと上部ポートと下部ポートとを有する。入口ポートは、タンクの底部部分に、例えばタンクの底部にまたはタンクの底部の近傍に接続されるとともに熱蓄積流体である流体をタンクへ供給する。タンクは、その流体を収容する。流体が熱生成器からセントラルヒーティング回路およびタンクのうちの少なくとも一方を通って熱生成器へと戻るよう流れることができるように、熱生成器とセントラルヒーティング回路とタンクとは直列に流体連通状態で接続されている。本発明では、システムはさらに、第1三方向弁と第2三方向弁と第3三方向弁とを備える。第1三方向弁は、加熱供給ポートと加熱戻りポートとに流体連通状態で接続されるとともに、選択的に流体にセントラルヒーティング回路を迂回させるかまたはセントラルヒーティング回路を流れさせるよう構成される。第2三方向弁は、第1三方向弁と生成器戻りポートと入口ポートとに流体連通状態で接続されるとともに、選択的に流体にタンクを迂回させるかまたは入口ポートを介してタンクを流れさせるよう構成される。第3三方向弁は、タンクの上部ポートとタンクの下部ポートと生成器戻りポートとに流体連通状態で接続されるとともに、上部ポートおよび下部ポートを生成器戻りポートへと流れるそれぞれの流体の相対的な割合を設定するよう構成される。
【0015】
こうして、タンク内へと底部の近傍から流体が導入されるようセントラルヒーティングの戻り流(リターンフロー)を案内できるので、伝熱の損失と結びつきうる熱交換器の使用が必ずしも行われる必要がなく戻された流体に残された熱エネルギーを100%再利用することができる。言い換えれば、例えば熱交換面の機能の低下によって最適ではない(ノン・オプティモ(non-Optimo))熱交換が行われることを完全に回避できる。むしろ、流体が直接タンクに加えられるので、流体に含まれる熱エネルギーを完全に用いることができる。
【0016】
上記の構成においては、冷たい液体がタンクへと底部の近傍から加えられる場合、タンクにおける成層を維持しながら、タンクの下部を低温の流体に対する緩衝領域(バッファ・ボリューム)として用いることができる。熱エネルギーは栓から出て行く水に伝導されるので、冷たい流体はタンクへと底部の近傍から戻るだけである。結果として、非常に冷たい流体をタンクから引き出し熱生成器に供給することができ、これにより熱生成器における温度差が大きくなるので熱生成器の効率を向上できる。結果として、さらに、可能な限り冷たい流体が熱生成器に供給されるので、繰り返しによる影響(サイクリング・エフェクト)を、つまり「オン」状態と「オフ」状態との間の切り換えサイクルを低減できる。システムにおいて利用可能な熱を生成する動作状態に熱生成器をより長い時間維持できるからである。
【0017】
言い換えれば、タンクの下部を、動作時間をつまり結合状態を長くするための緩衝器(バッファ)として用いることができ、熱生成器の非動作時間をより長くすることができ、オン段階とオフ段階との間の切り換え数をある期間では問題にならない程度に少なくでき、したがって、熱生成器の効率を向上できる。熱生成器をオンまたはオフにしたままにする時間は、湯の要求に応じてさらにはタンクの大きさに応じて変わるが、本発明により、タンクの底部部分の近傍に冷たい戻り流体がタンクに供給されない構成と比較してこの時間を長くすることができる。
【0018】
さらに、本構成では、異なる温度レベルにあるタンクの熱蓄積流体に蓄積される熱エネルギーを用いることができるので、熱蓄積流体の熱をセントラルヒーティング用途と家庭用給湯用途とに同時に用いなくてよい。
【0019】
さらに、この構成により、タンク内の熱蓄積流体の予熱ができ、これにより、家庭用温水型(モールド)と比較した場合に、より高い効率の熱生成を行うことができる。より低い温度では、熱生成器がより高い効率で動作できるからである。本構成では、タンク内の熱蓄積流体が予熱されるので、家庭用温水のために使用可能な熱の容量もまた間接的に増加する。例えば、家庭用給湯用途の設定点まで予熱された流体を瞬時に加熱するよう、タンクの上部部分の熱蓄積流体のみを加熱することができる。
【0020】
流体をより高い温度に加熱することは、低い温度範囲での加熱プロセスと比較して効率の低下が懸念されるので、本発明は、本当に必要な場合にのみこの比較的非効率的なステップを必要とし、よりいっそう効果的な動作を優先的に用い、全体的には従来技術よりも効率的である。
【0021】
この後者のプロセスは、少なくとも2つの方法で実行できる。1つでは、セントラルヒーティング回路を通ってセントラルヒーティング回路から流体が循環する循環速度を低減することができ、このことは、セントラルヒーティング回路に伝導する熱エネルギーがより少なくなることを意味し、この場合には、流体の温度が一定に保持される。循環速度を低減して、同時に流体の温度を高くした場合も、同じ熱エネルギーがセントラルヒーティング回路に伝導される。他方、家庭用温水の設定点へとさらに加熱するには、もちろんタンクの上部部分からの流体のみを用いることができる。
【0022】
本発明によって、加熱プロセスの効率を向上できる。特に、家庭用温水の予熱と、さらにはタンク内にある温度が比較的低い流体の熱の緩衝(バッファリング)と、が可能となり、加熱の効率に関して好ましくないサイクリング・エフェクトを回避することができる。
【0023】
熱蓄積流体を高温の流体だけなく低温の流体の熱エネルギーのためのバッファとしても用いることができるので、春や秋でもオン-オフサイクルを多用することを回避することができる。この効果により、本システムの効率を従来技術のシステムに対して向上できる。全負荷でより長い時間動作できるという熱生成器のより効果的な利用性があるからである。
【0024】
また、霜取り運転をより高い効率で行うことができる。霜取りには、流体の温度がセントラルヒーティング回路を凍結させないよう凍結レベルを十分超える限りにおいて、高温流体を用いる必要はないが、それでも霜取り運転を効果的に行うことができる。霜取りは、セントラルヒーティング回路を加熱することを意味せず、セントラルヒーティング回路の凍結を排除することを意味するので、流体に必要な温度は加熱動作のための温度よりもかなり低い。本発明により、例えば、タンクの上部部分の高温熱蓄積流体の熱エネルギーを浪費しないために比較的低い温度レベルを霜取りのための流体に用いることによって、より効率的に霜取りを行うことができる。むしろ、タンクの底部部分の熱蓄積流体の温度に対応する温度レベルでも、霜取りには十分であり、タンクの上部におけるより高い温度レベルの熱エネルギーを用いる必要はない。
【0025】
好ましい実施形態では、入口ポートは、例えば、成層パイプ(成層管(ストラティフィケーション・チューブ)、成層化管(ストラティファイヤー・チューブ)、ストラティファイヤー・パイプまたは入口ストラティファイヤーとしても知られる)を有する。したがって、入口成層パイプを介して熱蓄積流体をタンクへと供給するときにタンク内の成層は崩れない。加熱回路から戻ってタンクに供給される流体は、タンクに供給される流体の比重にできるだけ近い比重のタンク内の流体がある垂直位置でタンクに入るからである。このため、比重は温度と比例しているので、温度混合による内部損失を低減できる。さらに、冷たい新たな水の供給を、タンクへと、栓から出されるための最も低い温度の冷たい流体が収容されている底部部分の近傍に接続することができる。冷たい水の供給は、好ましくは成層パイプには接続されない。
【0026】
この構成により、セントラルヒーティング回路から戻る水を、タンクへとタンク内の流体の成層が維持される垂直レベルに直接導入することができる。その効果によって熱生成器が家庭用温水を再加熱するよう動作する前に、収容される家庭用温水容量は間接的に増加する。成層パイプにより、加熱された流体の流れは、タンクの上部領域に直接供給され、高温流体をその上部領域から取り出すことができ、流体の平均温度を上げるためにタンク内の流体の全てを加熱するが必要ない。
【0027】
好ましくは、第1三方向弁は、選択的に流体の一部にセントラルヒーティング回路を迂回させかつ一部にセントラルヒーティング回路を流れさせるよう構成される。
【0028】
こうして、流体にセントラルヒーティング回路を完全に迂回させるかまたはセントラルヒーティング回路を完全に流れさせるだけでなく、部分的に迂回させるとともに流れさせることができるというさらなる融通性(フレキシビリティ)が達成される。これにより、熱蓄積流体のなかから用いるまたは迂回させる熱エネルギーの量を微調整することができる。さらに、システムの他の構成部品(特に熱生成器)を通る流体の循環をより微細に調整することができる。なお、第1三方向弁を、流体にセントラルヒーティング回路を完全に迂回させるかまたはセントラルヒーティング回路を完全に流れさせるようにのみ構成することもできる。
【0029】
好ましい実施形態では、第2三方向弁は、選択的に流体の一部にタンクを迂回させかつ一部にタンクを流れさせるよう構成される。
【0030】
こうして、流体にタンクを完全に迂回させるかまたはタンクを完全に流れさせるだけでなく、部分的に迂回させるとともに流れさせることができるというさらなる融通性(フレキシビリティ)が達成される。これにより、熱蓄積流体を介してタンクにバッファするまたは取り出す熱エネルギーの量を微調整することができる。なお、第2三方向弁を、流体にタンクを完全に迂回させるかまたはタンクを完全に流れさせるようにのみ構成することもできる。
【0031】
好ましくは、第3三方向弁は、上部ポートからの比較的熱い熱蓄積流体と下部ポートからの比較的冷たい熱蓄積流体とを混合することによって、タンクから熱生成器へと供給される熱蓄積流体の温度を設定するよう構成される。
【0032】
この構成により、熱蓄積流体に蓄積される熱エネルギーを、所望の温度へと加熱するよう最大限効率的に用いることができる。第一に、タンク内の成層が維持される。第二に、例えば、セントラルヒーティングのための(つまり比較的低い温度の)熱であるか、または家庭用温水のための(すなわち比較的高い温度の)熱が必要であるかに応じて、熱生成器をより高いまたはより低い制御入口温度で動作することができるよう、熱生成器の動作を最適化できる。熱蓄積流体を、上部部分からまたは底部部分からのみそれぞれ取り出すだけでなく、上部部分からのものと底部部分からのものとの2つの混合としても取り出すことができるので、上部部分の流体の温度と底部部分の流体の温度との間の温度を用いることもできる。
【0033】
例えば流体がタンクの上部領域において40℃を超える温度に達するよう、上述の混合の結果得られる温度の流体を用いることができる。一般的な熱生成器は、内部を流れる流体に5℃の温度差を加えることができるだけである。冷たい水だけが熱生成器に供給される場合には、タンク内の流体を選択的にかつ部分的に特に高い温度に加熱することができない。むしろ、温水(ホット・ウォーター)を利用可能とする前に、タンク全体をつまりタンク内のすべての流体を、最も冷たい流体から加熱する必要がある。一方、熱い流体のみがタンクから熱生成器へと供給される場合、温水のみがさらに加熱されるので、その結果、熱生成器によって提供される熱の使用が非効率的となる。
【0034】
なお、このような混合を第3三方向弁によって行わず、上部または下部ポートのみを用いて熱生成器に供給することもできる。
【0035】
システムのさらなる好ましい実施態様は、熱生成器からセントラルヒーティング回路およびタンクの少なくとも一つを介して熱生成器へと流体が流れるよう駆動するように構成されるポンプを備える。このようなポンプは、システムを通って循環する、特にシステムのそれぞれの要素へと向かって循環する熱蓄積流体の量を制御するのに役立つという点で、有用である。このようなポンプは、システムの動作に役立つが、その動作は必ずしも必要とするものではない。しかしながら、ポンプを用いることにより、システムを通る流体のフロースピード(流れる速度)を精度よく調整して、これにより伝達する熱の量を精度よく制御できる。このポンプに加えてまたは代替的に、タンクまたはセントラルヒーティング回路を通る流体の流れを選択的に駆動するための一つ以上のポンプを備えることもできる。
【0036】
また、第1三方弁と第2三方弁のそれぞれの設定に応じて、ポンプは、流体にセントラルヒーティング回路またはタンクを通ることなく、熱生成器から熱生成器へと戻るようにのみを循環させることもできる。しかしながら、通常、熱生成器において流体に加えられる熱エネルギーは、セントラルヒーティングユニットもしくはタンク、またはその両方において用いられる。
【0037】
好ましい実施形態では、システムはさらに、熱蓄積流体を加熱するよう構成される電気加熱器を備える。このような電気加熱器を、例えば、特に家庭用給湯用途において、熱生成器が流体を所望の温度に加熱することができない場合に、さらなる熱源として用いることができる。この好ましい実施態様では、熱生成器を主に用いるが、供給される熱エネルギーを電気加熱器によって補完できる。
【0038】
特に好ましい実施態様では、熱生成器からセントラルヒーティング回路へと流れる熱蓄積流体を追加的に加熱するよう、電気加熱器は、生成器出口の下流側にかつ加熱供給ポートの上流側に配置される。この位置は電気加熱器に最適である。特に効率的である比較的低い温度範囲で熱生成器が動作できるとともに、流体に供給される熱エネルギーの最後の部分のみが電気加熱器によって供給されるからである。全体として、この思想により熱生成器を最大限に利用できる。熱生成器が動作する温度レベルが、補完的な電気エネルギーを最小限に抑えて利用できる温度レベルであるからである。代替的または追加的に、タンクから取り出される家庭用温水を電気加熱器によって加熱し、そしてセントラルヒーティング回路のための流体を熱生成器によって加熱できるようにのみするために、電気加熱器をタンク内部に配置することもできる。
【0039】
好ましくは、システムは、熱蓄積流体から家庭用温水へと熱を転送する熱交換器を備える。
【0040】
熱蓄積媒体から家庭用温水へと熱を伝導する熱交換器を、タンク内部または外部に配置することができ、熱蓄積流体を一方に家庭用温水を他方に分離することができる。これにより、飲料水が満たすべき要件に関わらず熱蓄積流体を選択でき、飲料水には認められていない成分または添加物を熱蓄積流体に含めることができる。したがって、より広範な流体を熱蓄積流体として用いることができ、このことはシステムの保守や損耗の点から特に有用である。
【0041】
好ましい実施態様では、熱交換器は、タンク内の熱蓄積流体に浸漬される熱交換器コイルを備える。こうして、熱蓄積流体と熱交換器を通って流れる流体との間でよく制御された状態で熱エネルギーを伝達することができるとともに、既知の一般的な装置を利用することができる。さらに、外部熱交換器とは対照的に、タンクが熱交換器コイルを収容するのに十分に大きさである限り、熱交換器のための空間を大きくする必要がほとんどない。さらに、熱を交換するために熱交換器コイルに熱蓄積流体を能動的に送るよう駆動する必要がない。
【0042】
代替としてまたは上述の実施形態に加えて、熱交換器は、好ましくは、家庭用温水熱交換器を、特にプレート熱交換器を備えるが、また他のタイプの熱交換器をこの家庭用温水熱交換器として、タンクの外側で使用することもできる。流体が上部ポートから家庭用温水熱交換器を通りそして下部ポートを介してタンクへと戻るよう流れることができるよう、家庭用温水熱交換器は、タンクの上部ポートとタンクの下部ポートとに流体連通状態で接続される。
【0043】
タンクの外部に熱交換器を備えることで、熱交換器を建物内に配置する際の融通性が高まるとともに、タンクの大きさを最小限とすることができる。さらに、熱交換器の寸法を、したがって熱交換容量を、タンクの大きさと密接に対応させる必要がないので、システム全体の融通性を高めることができる。
【0044】
家庭用温水熱生成器を通って熱蓄積流体が流れるよう駆動するように構成される任意選択的な熱交換器ポンプによって、熱交換器を通る熱エネルギーを運ぶよう流れる熱蓄積流体の量を、つまり熱交換器内で家庭用温水へと伝導する熱の量を、より精度よく制御することができる。
【0045】
本発明のさらなる利点は、特許請求の範囲における全請求項および図面ならびに好ましい実施形態に関する以下の説明から明らかとなろう。例えば、本発明のさらなる利点は、自然冷却機能である。タンクの底部部分の熱蓄積媒体が栓を開けることによって冷却されるときに、例えば夏に、周辺が比較的暖かいときに、ヒーティングが設置されている住宅に冷たい流水を提供すよう用いることができる。これらの状況で住宅に冷たい流水を提供することにより、結果として住宅から暖かい戻り流が得られ、その後その暖かい戻り流によりタンクの底部部分の熱蓄積媒体が加熱される。また、この効果を、通常には冷却機能を有していない熱生成器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】家庭用温水およびセントラルヒーティングのための熱を生成するための好ましいシステムの第一実施態様を示す。
図2】家庭用温水およびセントラルヒーティングのための熱を生成するための好ましいシステムの第二実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、家庭用温水またはセントラルヒーティングのための熱を生成するための好ましいシステム100の第一実施態様を示す。システム100は、熱生成器1と、セントラルヒーティング回路3と、熱蓄積流体15である流体を保持するタンク16と、を備える。熱生成器1は、生成器熱交換器1.3を介して熱エネルギーを供給する。そしてまた、生成器熱交換器1.3は、生成器出口ポート1.1と生成器戻りポート1.2とを備える。加熱される流体は、生成器出口ポート1.1を通じて送出される。加熱されるまた場合によっては冷却される流体を、生成器戻りポート1.2を通じて、生成器熱交換器1.3は受け取る、したがって熱生成器1は間接的に、加熱されるまた場合によっては冷却される流体を受け取る。
【0048】
セントラルヒーティング回路3は、加熱供給ポート3.1と加熱戻りポート3.2とを備える。流体は、加熱供給ポート3.1を介してセントラルヒーティング回路3へと供給され、加熱戻りポート3.2を介してセントラルヒーティング回路3から出ていく。タンク16は、入口ポート7と上部ポート8と下部ポート9とを有する。入口ポート7は、熱蓄積流体15をタンク16へと供給するよう構成され、タンクの底部にまたは近傍に接続することができ、そして例示の実施形態においては成層パイプ7.1を備えている。
【0049】
システム100は、さらに、例えば流体が生成器熱交換器1.3によって十分に加熱されない場合に熱エネルギーを流体に加えるために、生成器出口ポート1.1の下流側にかつ加熱供給ポート3.1の上流側に電気加熱器2を備える。熱生成器1を用いる方が、電気加熱器2を用いるよりも、システム100による環境への配慮の点で、通常好ましいので、電気加熱器2は、流体を加熱する主に補完的な手段として備えられる。なお、電気加熱器2を熱生成器1のバックアップとしても、もちろん用いることができる。
【0050】
第1三方向弁4は、加熱供給ポート3.1と加熱戻りポート3.2とに流体連通状態で接続されるとともに、選択的に流体にセントラルヒーティング回路3を迂回させるかまたはセントラルヒーティング回路3を流れさせるよう配置される。言い換えれば、熱生成器1からの流体が熱エネルギーを、セントラルヒーティング回路3へとまたはシステム100の他の部分へと伝導できるように、第1三方向弁4を設定することができる。
【0051】
流体にセントラルヒーティング回路3を迂回させるか、または部分的にセントラルヒーティング回路を迂回させるよう第1三方向弁4が設定される場合、流体は、第1三方向弁4だけでなくタンク16の入口ポート7にも流体連通状態で接続されている循環ポンプ5を介して、案内され、一方では、戻り線(リターンライン)によって流体を生成器戻りポート1.2を介して熱生成器1へとより具体的には生成器熱交換器1.3へと戻らせる。
【0052】
例えば、第2三方向弁6における流体の温度が低い場合、かつ/またはセントラルヒーティング回路3において必要とされる熱エネルギーの量が大きい場合、熱エネルギーを供給すべき熱生成器1に生成器戻りポート1.2と生成器熱交換器1.3とを介して流体を直接戻すことが好ましいこともある。その流体を、その後生成器出口ポート1.1を介して任意選択的に電気加熱器2を介してセントラルヒーティング回路3へと戻すことができ、これにより、熱エネルギーをセントラルヒーティング回路3へ運ぶことができる。
【0053】
温度調節のためのおよび/またはタンク16を迂回するためのバルブである第2三方向弁6が、入口ポート7を介して流体を完全にまたは部分的にタンク16へと供給するよう設定されている場合、流体はタンク16へと、入口ポート7と、図1の好ましい実施態様においてはタンク16に流体を供給する好適な手段として用いられる成層パイプ7.1と、を介して入る。タンク16内の熱蓄積流体15は、特定の温度分布を、すなわち、タンク16の底部の低温から上部の高温までの異なる温度の層を有する。熱蓄積流体15のこの層状の分布は、一般に「成層」と呼ばれている。成層パイプ7.1を用いることによって、タンク16に加えられる流体を垂直方向に沿ってタンク16内で、その温度に対応する垂直位置で、送出することができる。言い換えれば、特定温度の流体は、成層パイプ7.1を通って、タンク16に加えられた流体と同様な温度にある流体の層の垂直位置に対応する垂直位置に送出される。
【0054】
このようにして、タンク16内の流体15の成層を維持することができる。これにより、混合プロセスによる内部損失およびその結果としてのタンク16の熱エネルギーの損失を低減できる。さらに、流体を、上部ポート8と下部ポート9との間にどこかのレベルに加えることができる。
【0055】
一方、タンク16内からの流体15は、上部ポート8または下部ポート9を通ってシステム100の他の部分に供給される。このことは、タンク16から取り出される流体がタンク16の最も熱い流体かまたは最も冷たい流体かであることを意味する。ひとつの結果として、これにより、タンク16内の流体15で最も熱い部分であり上部ポート8を介してシステムに供給される、タンク16の上部部分の流体を選択的に加熱することができる。このように、熱生成器1から効率的に熱エネルギーを加えることができる。これにより、熱生成器1は、通常、一定量の熱エネルギーを加えるだけで、流体の温度を一定量例えば、5℃高くすることができる。可能な限り早く高温流体に達するために、例えば、高温の水を栓から出すことが必要な場合、上部ポート8を介してタンク16の上部部分の流体を引き出すことによって用いることができ、この流体を生成器熱交換器1.3において任意選択的にさらに電気加熱器2によって加熱することができ、その流体にセントラルヒーティング回路3を迂回させて、成層パイプ7.1を通るようタンク16に戻し、これにより、特にタンク16の上部部分だけを加熱することができる。
【0056】
上部ポート8の下流側に、同様に下部ポート9の下流側に、図1の第一実施態様のシステム100は、上部ポート8と下部ポート9と互いを接続するとともに熱生成器1の生成器熱交換器1.3の生成器戻りポート1.2と接続されるバルブである第3三方向弁10を備える。この第3三方向弁10によって、上部ポート8または下部ポート9を通ってタンク16から取り出されたタンク16内からの熱蓄積流体15の混合が可能となる。上部ポート8によって、成層による、タンク16内の流体15の最も温度が高い流体15のみを送出でき、下部ポート9によってタンク16内の流体15のうち最も低い温度の流体15のみを送出できるので、第3三方向弁10によってタンク16内の最も温度が高い流体15と最も低い温度の流体15との間の任意の温度を得ることができる。これにより、特に熱蓄積流体15を加熱でき、タンク16に成層パイプ7.1を通じて特定温度の流体を供給できる。
【0057】
上記に加えて、図1の実施形態は、さらに、家庭用温水、特に新しい水または飲料水を暖める手段として、タンク16の外部に配置される熱交換器ではあるが熱い流体を受け入れるための上部ポート8と冷たい流体をタンク16に戻すための下部ポート9とに接続されている熱交換器であるプレート熱交換器13を備える。
【0058】
流体を循環させるよう駆動するために、熱交換器ポンプ14が備えられる。家庭用温水入口11は、プレート熱交換器13の外側にあり、プレート熱交換器13内で加熱される家庭用水または新しい水を供給する。そして、家庭用温水出口12によって、加熱された家庭用温水が、つまりプレート熱交換器13内で熱が加えられた家庭用温水が、温水としてシャワーなどの目的の用途へと導出される。図1に示すプレート熱交換器13の代替として、他のタイプの熱交換器をタンク16の外部で用いることもできる。
【0059】
図2は、家庭用温水およびセントラルヒーティングのための熱を生成するための好ましいシステム100の第二実施態様を示す。基本的に、図1に示し先に説明したすべて要素は、第二実施形態においても同様であり、同じ参照符号を付し、繰り返し説明しないが、その説明は第一実施形態の上記説明を参照されたい。
【0060】
第一実施形態の代替として、第一実施形態では、プレート熱交換器13として説明した家庭用温水を加熱するための熱交換器は、第二実施形態では、タンク16内の熱蓄積流体15に浸漬される熱交換器コイル17として実現されている。言い換えれば、家庭用温水を加熱するための、つまり家庭用温水を生成するための熱交換器は、第二実施形態においては、タンク16内の熱交換器コイル17によって実現される。こうして、第一実施態様のプレート熱交換器13のような外部熱交換器を必要とせず、家庭用温水を加熱することができる。一方、第二実施形態では、熱交換器コイル17を収容するのにタンク16を十分な大きさとする必要がある。
【符号の説明】
【0061】
1 熱生成器
1.1 生成器出口ポート
1.2 生成器戻りポート
1.3 生成器熱交換器
2 電気加熱器
3 セントラルヒーティング回路
3.1 加熱供給ポート
3.2 加熱戻りポート
4 第1三方向弁
5 循環ポンプ
6 第2三方向弁
7 入口ポート
7.1 成層パイプ
8 上部ポート
9 下部ポート
10 第3三方向弁
11 家庭用温水入口
12 家庭用温水出口
13 プレート熱交換器
14 熱交換器ポンプ
15 熱蓄積流体
16 タンク
17 熱交換器コイル
100 システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【文献】欧州特許出願公開第2629020号明細書
【0063】
【文献】特開2004-294019号明細書
図1
図2