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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ワーク選別搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20241021BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B65G47/91 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024017842
(22)【出願日】2024-02-08
【審査請求日】2024-05-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(72)【発明者】
【氏名】山本 玲央
(72)【発明者】
【氏名】池田 悟史
(72)【発明者】
【氏名】打越 吉弘
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-026485(JP,U)
【文献】特開平11-169799(JP,A)
【文献】特開2013-215833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 1/137
47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路の選別域を通して搬送されるワークを選別して排出域に搬送するワーク選別搬送装置であって、
装置本体と、前記装置本体に装着された搬送排出ユニットと、前記搬送排出ユニットに装着された吸着ユニットとを具備しており、
前記搬送排出ユニットは、前記装置本体に取り付けられた第1本体部と、前記第1本体部に前記選別域と前記排出域との間を移動自在に支持された第1移動ユニット部と、前記第1移動ユニット部を搬送排出方向に往復動させるための第1駆動源とを備えており、
前記吸着ユニットは、前記第1移動ユニット部に取り付けられた第2本体部と、前記第2本体部に所定方向に移動自在に支持された第2移動ユニット部と、前記第2移動ユニット部を所定方向に往復動させるための第2駆動源と、前記第2移動ユニット部に装着されて、前記ワークを吸着するメインパッドと、前記第2本体部に装着されて、前記ワークを補助吸着する補助パッドと、を備えており、
前記選別域を通して搬送される前記ワークは、前記メインパッドに吸着保持されて補助吸着位置まで移動され、前記補助吸着位置にて前記メインパッド及び前記補助パッドに吸着保持された後に前記搬送排出方向に移動されることを特徴とするワーク選別搬送装置。
【請求項2】
前記補助パッドは、複数設けられ、
前記複数の補助パッドの少なくとも一つの中心部は、前記メインパッドの軸方向に延びる中心軸方向から見て、前記メインパッドの中心部を通って前記搬送排出方向に延びる搬送排出軸線に対して一方側に配置され、
前記複数の補助パッドの他の少なくとも一つの中心部は、前記メインパッドの前記中心軸方向から見て、前記搬送排出軸線に対して他方側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項3】
前記補助パッドは、一対の補助パッドであり、
前記一対の補助パッドの中心部は、前記メインパッドの前記中心軸方向から見て、前記搬送排出軸線に対して両側にそれぞれ配置され、且つ、前記メインパッドの前記中心部を通り、前記搬送排出軸線に対して垂直横方向に延びる垂直横軸線よりも、前記搬送排出方向上流に配設されていることを特徴とする請求項2に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項4】
前記一対の補助パッドの軸方向に延びる中心軸線は、前記メインパッドの前記中心軸方向から見て、前記搬送排出軸線に向けて傾斜し、且つ、前記搬送排出方向下流に向けて傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項5】
前記一対の補助パッドの前記中心軸線は、前記メインパッドの前記中心軸方向から見て、前記垂直横軸線に対して20~60度傾斜し、且つ、前記垂直横軸線方向から見て、前記搬送排出軸線に対して70~85度傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項6】
前記メインパッドは短い蛇腹状に形成されたメイン吸着部を有し、前記一対の補助パッドは長い蛇腹状に形成された補助吸着部を有し、前記メインパッドの前記メイン吸着部の吸引口の内径は、前記一対の補助パッドの前記補助吸着部の吸引口の内径よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項7】
前記吸着ユニットに関連して衝撃を吸収するためのシリンダ型ダンパが設けられ、
前記シリンダ型ダンパのシリンダが、前記第2本体部に取り付けられ、
前記シリンダ型ダンパの出力部が、前記第2移動ユニット部に取り付けられ、
前記第2本体部に対して前記出力部が相対移動すると、前記シリンダと前記出力部の相対移動によって衝撃が緩衝されることを特徴とする請求項1に記載のワーク選別搬送装置。
【請求項8】
前記吸着ユニットの前記第2本体部には、弾性手段を介して補助パッド取付部材が取り付けられ、前記補助パッド取付部材に前記補助パッドが装着されており、前記メインパッドに吸着保持された前記ワークが前記補助吸着位置まで移動すると、前記補助パッドが前記ワークを吸着保持するとともに、前記弾性手段が弾性変形して吸着時の衝撃を吸収することを特徴とする請求項1に記載のワーク選別搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアなどによって移動されるワーク(例えば、ビンなど)を選別して搬送するワーク選別搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワークとしてのビン及び缶を選別し、選別した缶を圧縮してインゴット化する缶・ビン選別圧縮機が実用に供されている(非特許文献1参照)。この缶・ビン選別圧縮機は、ビン及び缶の選別混合物を流す第1搬送ベルト機構と、選別した缶を流す第2搬送ベルト機構と、缶を圧縮する圧縮手段とを備えている。第1搬送ベルト機構では選別作業者が配置され、この選別作業者は、搬送ベルトによって移動される選別混合物(ビン及び缶)からビンを手作業で選別する。また、第2搬送ベルト機構ではこれに関連して磁気搬送機構が付設され、スチールから形成されたスチール缶は磁気搬送機構により磁気的に吸引されて搬送される一方、アルミニウムから形成されたアルミ缶は磁気的に吸引されずにそのまま流れる。
【0003】
圧縮手段は、スチール缶を圧縮するための第1圧縮部と、アルミ缶を圧縮するための第2圧縮部を含み、磁気搬送機構により搬送されたスチール缶は第1圧縮部に送られ、この第1圧縮部にてインゴット化され、またアルミ缶はそのまま第2圧縮部に送られ、この第2圧縮部にてインゴット化される。
【0004】
このような缶・ビン選別圧縮機では、選別混合物からのビンの選別は作業者の手作業で行っていることから、煩雑な選別作業のための人手が必要となるとともに、この選別作業のための人件費がかかるという問題がある。
【0005】
このようなことから、ビンの色、形などを認識して識別するビン識別機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このビン識別機は、搬送ベルト機構によって移動されるビンの色、形などを認識して自動的に識別するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】株式会社フジテックスのWEBページに掲載されている製品「缶・びん選別圧縮機」に関する情報(https://www.fjtex.co.jp/kankyo/products/press/can/69)
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7026808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のビン識別機では、ビンを識別するための方法を開示するが、この識別方法を現実の識別装置に適用されてなく、ビンなどのワークを選別して搬送するワーク選別搬送装置の実現が望まれていた。
【0009】
本発明の目的は、選別域を通して流れるビンなどのワークを選別して排出域に搬送するワーク選別搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク選別搬送装置は、搬送経路の選別域を通して搬送されるワークを選別して排出域に搬送するワーク選別搬送装置であって、
装置本体と、前記装置本体に装着された搬送排出ユニットと、前記搬送排出ユニットに装着された吸着ユニットとを具備しており、
前記搬送排出ユニットは、前記装置本体に取り付けられた第1本体部と、前記第1本体部に前記選別域と前記排出域との間を移動自在に支持された第1移動ユニット部と、前記第1移動ユニット部を搬送排出方向に往復動させるための第1駆動源とを備えており、
前記吸着ユニットは、前記第1移動ユニット部に取り付けられた第2本体部と、前記第2本体部に所定方向に移動自在に支持された第2移動ユニット部と、前記第2移動ユニット部を所定方向に往復動させるための第2駆動源と、前記第2移動ユニット部に装着されて、前記ワークを吸着するメインパッドと、前記第2本体部に装着されて、前記ワークを補助吸着する補助パッドと、を備えており、
前記選別域を通して搬送される前記ワークは、前記メインパッドに吸着保持されて補助吸着位置まで移動され、前記補助吸着位置にて前記メインパッド及び前記補助パッドに吸着保持された後に前記搬送排出方向に移動されることを特徴とする。
【0011】
このようなワーク選別搬送装置においては、補助パッドを複数設け、複数の補助パッドの少なくとも一つの中心部を、メインパッドの軸方向に延びる中心軸方向から見て、搬送排出方向に延びる搬送排出軸線に対して一方側に配置し、それらの他の少なくとも一つの中心部を、この中心軸方向から見て搬送排出軸線に対して他方側に配置するのが好ましく、このように構成することによって、一つの補助パッドの中心部及び他の一つの補助パッドの中心部がメインパッドの中心部を通る搬送排出軸線の両側に位置するようになり、ワークを安定的に吸着保持することができる。
【0012】
また、補助パッドとして一対の補助パッドを設け、一対の補助パッドの中心部を、メインパッドの中心軸方向から見て、この搬送排出軸線に対して両側であって、且つメインパッドの中心部を通り、搬送排出軸線に対して垂直横方向に延びる垂直横軸線よりも搬送排出方向上流に配設するのが好ましい。ワークを吸着保持した状態で搬送排出方向に搬送を開始する際に、ワークの搬送排出方向上流側部が下方に移動する傾向になるが、一対の補助パッドがワークの上流側部を吸着保持して上方への移動を抑える(換言すると、その下流側部の下方への移動を抑える)ように作用し、これによって、搬送排出方向への搬送開始時におけるワークの落下を防止することができる。
【0013】
また、このようなワーク選別搬送装置では、一対の補助パッドの中心軸線を、メインパッドの中心軸方向から見て、この搬送排出軸線に向けて傾斜させ、且つ、搬送排出方向下流に向けて傾斜させるのが好ましく、このように構成することにより、例えばビンなどを搬送する場合にその大径筒状部を安定して吸着保持することができるとともに、ビンを搬送排出方向に搬送する際にも安定して吸着保持して搬送することができる。
【0014】
また、一対の補助パッドの中心軸線を、メインパッドの中心軸方向から見て、垂直横軸線に対して20~60度傾斜させ、且つこの垂直横軸線方向から見て、搬送排出軸線に対して70~85度傾斜させるのが好ましく、このように傾斜させることにより、例えばビンなどを搬送する場合にその大径筒状部をより安定的に吸着保持して搬送することができる。
【0015】
また、メインパッドは短い蛇腹状に形成されたメイン吸着部を有するので、このメイン吸着部をビンなどのワークに押し付けて確実に吸着させることができ、また一対の補助パッドは長い蛇腹状に形成された補助吸着部を有するので、ビンなどのワークの外形状に沿ってたわませて吸着させることができ、メインパッド及び一対の補助パッドでもってビンを確実に吸引保持することができる。更に、メイン吸着部の吸引口の内径は、一対の補助パッドの補助吸着部の吸引口の内径よりも小さくなっているので、このメインパッドの開口部をビンの外周面により確実に作用させることができる。
【0016】
更に、吸着ユニットに関連してシリンダ型ダンパを設け、シリンダ型ダンパのシリンダ第2本体部に取り付け、このシリンダ型ダンパの出力部を第2移動ユニット部に取り付け、第2本体部に対するシリンダ型ダンパの出力部の相対的移動が許容されるように構成するのが好ましく、このように構成することによって、ワーク(ビンなど)を吸着したとき、またワークを移動させて補助吸着位置で停止させたときに第2本体部に対して第2移動ユニット部が相対的に移動され、これによって、シリンダ型ダンパのシリンダに対して出力部が相対移動し、このシリンダと出力部の相対移動によって衝撃を緩衝することができる。
【0017】
更にまた、吸着ユニットの第2本体部に弾性手段を介して補助パッド取付部材を取り付け、この補助パッド取付部材に補助パッドを装着するのが好ましく、このように構成することによって、メインパッドに吸着保持されたワークが補助吸着位置まで移動して補助パッドに吸着保持された際に、弾性手段が弾性変形してこの吸着時の衝撃を吸収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のワーク選別搬送装置によれば、装置本体に装着された搬送排出ユニットと、この搬送排出ユニットに装着された吸着ユニットとを具備し、吸着ユニットは、搬送排出ユニットに取り付けられた第2本体部と、この第2本体部に移動自在に支持された第2移動ユニット部と、ワークを吸着するメインパッドと、ワークを補助吸着する補助パッドとを含んでいるので、メインパッド及び補助パッドによってワーク(例えば、ビン)を吸着保持して搬送排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に従うワーク選別搬送装置の一実施形態を簡略的に示す正面図。
図2図1のワーク選別搬送装置の吸着ユニットを示す斜視図。
図3図3(a)は、吸着ユニットの第2移動ユニット部がビンを吸着した状態を示す図であり、また図3(b)は、この第2移動ユニット部が上昇位置まで上昇した状態を示す図。
図4図2の吸着ユニットの吸着部を拡大して示す部分拡大図。
図5】メインパッドと補助パッドとの位置関係を説明するための側面図。
図6】メインパッドと補助パッドとの位置関係を示す平面図。
図7図7(a)は、ワークの円筒状部を吸着保持したときのメインパッドと補助パッドとの位置関係を説明するための図、図7(b)は、ワークの平面上部を吸着保持するときのメインパッドと補助パッドとの位置関係を説明するための図。
図8】ワークを選別搬送するときの動作の流れを示すフローチャート。
図9】ワーク選別搬送動作を始める時の開始状態を示す図。
図10】搬送排出ユニットを選別域まで移動させたときの状態を示す図。
図11】吸着ユニットの第2移動ユニット部を下降させてビンを吸着したときの状態を示す図。
図12】吸着ユニットの第2移動ユニット部を上昇位置まで上昇させたときの状態を示す図。
図13】搬送排出ユニットを排出域まで移動させたときの状態を示す図。
図14】排出域においてビンを排出したときの状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うワーク選別搬送装置の一実施形態について説明する。尚、この実施形態では、ワークの選別として例えば大径円筒状部を有するビンの選別に適用して説明するが、このようなビンに限定されず、平板状のもの、球状のものなどにも同様に適用することができる。
【0021】
図1及び図2において、図示のワーク選別搬送装置としてのビン選別搬送装置2は、例えば、ワーク搬送装置としてのビン搬送装置4の片側(図1において左側)に設置され、このビン搬送装置4の他側(図1において右側)の排出域Rにワーク回収装置としてのビン回収装置6が設置される。
【0022】
ビン搬送装置4は、搬送装置本体8を備え、この搬送装置本体8の上部に搬送ベルト機構10が設けられ、この搬送ベルト機構10が所定方向(図1において紙面に対して垂直な方向)に延びている。搬送ベルト機構10は、図示していないが、所定方向に間隔をおいて配設された駆動ローラ及び従動ローラを備え、駆動ローラ及び従動ローラ間に無端状搬送ベルト12が巻き掛けられている。駆動ローラ(図示せず)及び従動ローラ間(図示せず)には複数の支持ローラ14(図1においてそれらの一つを示す。)が回転自在に配設され、無端状搬送ベルト12の上走行部16は、これら支持ローラ14に支持されながら所定方向に移動される。選別すべきビンP(ワーク)などは搬送ベルト機構10の一端側に供給され、搬送ベルト12の上走行部16の移動によって所定方向に移動される。
【0023】
このように構成されているので、選別すべきビンP(ワーク)は、搬送経路を規定する搬送ベルト12の上走行部16によりこの搬送経路に沿って移動される。搬送経路の所定部位には選別域Qが設けられ、搬送経路に沿って流れるビンP(ワーク)は、後述するように、この選別域Qにてビン選別搬送装置2により選別されて排出域Rに搬送された後にビン回収装置6に排出される。
【0024】
ビン回収装置6は、例えば、上面が開放された回収容器18から構成され、この回収容器18に回収されたビンPは、その後洗浄などされた後に再利用される。尚、ビン回収装置6として回収搬送装置(図示せず)から構成するようにしてもよい。回収搬送装置は、例えばビン搬送装置4の搬送ベルト機構10と同様の回収搬送ベルト機構(図示せず)を備えるものでよく、この場合、例えば、ビン選別搬送装置2からのビンP(ワーク)は回収搬送装置の回収搬送ベルト機構の上走行部に排出され、この回収搬送ベルト機構により下流側に搬送されて再利用される。
【0025】
次に、ビン選別搬送装置2について説明する。図示のビン選別搬送装置2は、ビン搬送装置4に隣接して設置される装置本体22を備え、この装置本体22の上端部に取付支持部24が設けられ、この取付支持部24が装置本体22からビン搬送装置4の搬送経路の上方まで延びている。この取付支持部24には搬送排出ユニット26が装着され、この搬送排出ユニット26には吸着ユニット28が装着されている。
【0026】
図示の搬送排出ユニット26は、装置本体22の取付支持部24に取り付けられた第1本体部30と、この第1本体部30に移動自在に支持された第1移動ユニット部32とを備えている。第1本体部30は、例えば細長い断面矩形状部材から構成され、その一端側(基部側)の片側部(図1において下側部)が装置本体22の取付支持部24に取り付けられ、その他端側(先端側)が選別域Qを越えて排出域Rの上方まで延びている。
【0027】
この第1本体部30と第1移動ユニット部32との間には第1支持機構34が介在されている。第1支持機構34は、第1本体部30の片側部(図1において下側部)及び他側部(図1において上側部)に取り付けられた一対の第1案内支持部36を備え、一対の第1案内支持部36は、第1本体部30の一端側から他端側まで延びている。また、第1移動ユニット部32側には第1被案内部(図示せず)(第1支持機構34の一部を構成する)が設けられ、一対の被案内部が第1本体部30側の対応する第1案内支持部36に案内支持されている。
【0028】
この実施形態では、第1移動ユニット部32に、この第1移動ユニット部32を駆動するための第1駆動源としての第1電動モータ38が設けられ、この第1電動モータ38と第1本体部30との間に第1駆動機構40が配設されている。図示の第1駆動機構40はラック42及びピニオン(図示せず)から構成され、ラック42は第1本体部30の一端側から他端側まで延びており、ピニオンは第1電動モータ38の出力部に装着され、このピニオンがラック42に噛合されている。
【0029】
このように構成されているので、第1電動モータ38が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動すると、ピニオン(図示せず)がその出力部と一体的に回動し、ピニオン及びラック42の作用によって、第1移動ユニット部32が第1支持機構34の第1案内支持部36に沿って矢印44(又は矢印46)で示す方向に移動される。
【0030】
次に、吸着ユニット28について説明すると、図示の吸着ユニット28は、搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32に取り付けられた第2本体部52と、この第2本体部52に移動自在に支持された第2移動ユニット部54とを備えている。第2本体部52は細長いプレート状部材から構成され、この第2本体部52にアクチュエータユニット56のハウジング58が取り付けられ、このアクチュエータユニット56のハウジング58に移動テーブル60が移動自在に装着されている。この移動テーブル60には、ビンPを吸引保持するためのメインパッド62が装着されており、アクチュエータユニット56の移動テーブル60は第2移動ユニット部54の一部を構成し、この第2移動ユニット部54はメインパッド62を含んでおり、またこのアクチュエータユニット56のハウジング58は第2本体部52の一部を構成している。
【0031】
この実施形態では、第2本体部52側のハウジング58と第2移動ユニット部54(移動テーブル60)との間には第2支持機構64が介在されている。第2支持機構64は、第2本体部52側のハウジング58の両側部に設けられた第2案内支持部66を備え、一対の第2案内支持部66は、このハウジング58の一端部(例えば、上端部)から他端部(例えば、下端部)まで延びている。また、第2移動ユニット部54側の移動テーブル60には第2被案内部(図示せず)(第2支持機構64の一部を構成する)が設けられ、一対の第2被案内部が第2本体部30側の対応する第2案内支持部66に案内支持されている。
【0032】
この実施形態では、第2本体部52に、この第2移動ユニット部54を駆動するための第2駆動源としての第2電動モータ68が設けられ、この第2電動モータ68と第2移動ユニット部54(移動テーブル60)との間に、駆動伝達機構(図示せず)及び第2駆動機構(図示せず)が設けられている。図示していないが、駆動伝達機構は、例えば、駆動歯付きプーリ、従動歯付きプーリ及びこれらに巻き掛けられた歯付きベルトから構成することができ、第2電動モータ68の出力部に駆動歯付きプーリが取り付けられ、第2駆動機構側に従動歯付きプーリが取り付けられる。また、第2駆動機構(図示せず)は、例えばボールねじ手段(図示せず)から構成することができ、ボールねじ手段のねじ軸(図示せず)がハウジング58内に回転自在に支持され、そのナット部材(図示せず)が移動テーブル60に取り付けられ、このナット部材がねじ軸に螺合されている。
【0033】
この形態では、図2に明確に示していないが、駆動伝達機構(図示せず)がカバー部材62によって覆われ、第2駆動機構(図示せず)がシールドバンド65より覆われている。このシールドバンド65の一端側は移動テーブル60の上端部に取り付けられ、その他端側は移動テーブル60の下端部に取り付けられ、このように構成することによってシールドバンド65が無端状となり、移動テーブル60の移動に伴いシールドバンド65が第2駆動機構(図示せず)を覆った状態で移動される。
【0034】
このように構成されているので、第2電動モータ68が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動すると、駆動伝達機構(図示せず)を介して第2駆動機構のねじ軸(図示せず)が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動し、このねじ軸の回動によってナット部材及び移動テーブル60が移動し、この移動テーブル60の移動に伴い第2移動ユニット部54が矢印70(又は矢印72)で示す所定方向(又は所定方向に対して反対方向)に例えば下降(又は上昇)される。
【0035】
この実施形態では、搬送排出ユニット26に吸着ユニット28が取り付けられているが、この搬送排出ユニット26と吸着ユニット28との間に、この吸着ユニット28をビンP(ワーク)の搬送方向(即ち、搬送ベルト12の上走行部16の移動方向)に往復動させる中間移動ユニット(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、図示していないが、中間移動ユニットを中間本体部、中間移動支持部及び中間駆動源などから構成し、中間本体部(図示せず)を搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32に取り付け、中間移動支持部(図示せず)に吸着ユニット28の第2本体部52を取り付けるようにすればよい。このように構成することにより、中間駆動源(例えば、電動モータ)が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動すると、この中間駆動源からの駆動力が中間駆動伝達手段(図示せず)に伝達され、この中間駆動伝達手段を介して中間移動支持部(図示せず)が例えば上記搬送方向(又は上記搬送方向に対して反対方向)に移動され、この中間移動支持部とともに吸着ユニット28が移動される。
【0036】
この実施形態において、吸着ユニット28には、メインパッド62に加えて一対の補助パッド74が設けられ、これら3つのパッド62,74が吸着部を構成している。図2と共に図3及び図4を参照して、メインパッド62は第2移動ユニット部54に設けられ、移動テーブル60の所定方向の往復動、例えば上下動によって上下移動されるが、一対の補助パッド74は第2本体部52に設けられている。
【0037】
この形態では、移動テーブル60の下端部にL字状のブラケット76が設けられ、このブラケット76に上側のボールスプラインナット78が装着されている。また、第2本体部52の下端部には折曲された支持突部80が設けられ、この支持突部80に下側のボールスプラインナット82が装着され、かかる一対のボールスプラインナット78,82間にスプライン軸84がスライド自在に支持されている。このスプライン軸84には、連結部材86(移動部材を構成する。)が装着され、この連結部材86は、通常、スプライン軸84などの自重により移動テーブル60のブラケット76に当接した状態、即ち図3(b)に示す状態に保持されるが、例えばメインパッド62にビンP(ワーク)を吸着する際の衝撃が生じると、メインパッド62及びスプライン軸84は、図3(a)及び図4に示すように、移動テーブル60(及びブラケット76)に対して上方にスライド移動する。
【0038】
このスプライン軸84の他端部(下側のボールスプラインナット82から突出する下端部)には第1パッド取付部材88(即ち、メインパッド取付部材)が取り付けられ、この第1パッド取付部材88を介してメインパッド62が取り付けられている。この第1パッド取付部材88は、一対の端壁90と、これら端壁90を接続する3つの接続部材91とを備え、かく構成することによって、第1パッド取付部材88内に収容空間が形成し、この収容空間を利用して第1吸引接続パイプ92が収容され、その下端部が下側の端壁90に取り付けられ、このように取り付けられた第1吸引接続パイプ92の先端部にメインパッド62が装着されている。
【0039】
また、第2本体部52の支持突部80には、複数本(この例では、3本)の取付ねじ94(図4参照)を用いて第2パッド取付部材96(即ち、補助パッド取付部材)が取り付けられている。この例では、各取付ねじ94の軸部95は、第2パッド取付部材96及び第2本体部52の支持突部80に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、この支持突部80を挿通する端部の両側にナット98を装着することにより、この第2パッド取付部材96が第2本体部52に装着されている。
【0040】
各取付ねじ94には、その軸部95を被嵌してばね部材100が装着されている。このばね部材100は第2パッド取付部材96を下方(この例では、取付ねじ94の頭部97側)に弾性的に偏倚し、この第2パッド取付部材96は、図2図4に示すように、各取付ねじ94の頭部97に当接する当接位置に弾性的に保持される。これら取付ねじ94及びばね部材100は弾性手段を構成し、後述するように弾性変形して衝撃を吸収する。この第2パッド取付部材96の両側部には第2接続パイプ102が装着され、各第2接続パイプ102の先端部に第2補助パッド74が装着される。
【0041】
このように構成されているので、例えばビンPが例えば上昇して一対の補助パッド74により吸着保持されるときには、後述するように一対の補助パッド74に衝撃が加わるが、このときには、第2パッド取付部材96の上昇によるばね部材100(弾性手段)の弾性変形により衝撃を吸収することができる。尚、第2パッド取付部材96の中央部には開口104(図2参照)が形成されており、メインパッド62が装着されたスプライン軸84は、この開口104を通して下方に延びている。
【0042】
メインパッド62内に連通する第1接続パイプ92及び補助パッド74内に連通する第2接続パイプ102は、減圧ライン106を介して吸引ポンプ108(減圧源を構成する。)に連通され、この吸引ポンプ108からの吸引力が減圧ライン106を介してメインパッド62及び一対の補助パッド74内に作用し、この吸引作用によってビンP(ワーク)を吸引保持するように構成されている。
【0043】
この形態では、減圧ライン106が二つの分岐ライン、即ち第1及び第2分岐ライン105,107に分岐され、第1分岐ライン105がメインパッド62に連通され、この第1分岐ライン105に第1開閉弁V1が配設されている。また、第2分岐ライン107が一対の補助パッド74に連通され、この第2分岐ライン107に第2開閉弁V2が配設されている。
【0044】
この実施形態では、1つの吸引ポンプ(減圧源)からの吸引力をメインパッド62及び一対の補助パッド74に作用させているが、吸引力が異なる2つの吸引ポンプ(図示せず)を用い、吸引力の強い第1吸引ポンプを例えばメインパッド62に連通し、吸引力の弱い第2吸引ポンプを例えば補助パッド74に連通するようにしてもよい。
【0045】
この実施形態では、第2移動ユニット部54(具体的には、移動テーブル60のブラケット76)とメインパッド62と一体的に移動する移動部材(この形態では、スプライン軸84に取り付けられた連結部材86)との間に緩衝手段としてのシリンダ型ダンパ110が配設されている。このシリンダ型ダンパ110は、シリンダ部112と、このシリンダ部112に対して移動する出力部114とを備え、そのシリンダ部112が第2移動ユニット部54側(この例では、ブラケット76)に取り付けられ、その出力部114がメインパッド62と一体的に移動するスプライン軸84側(この例では、連結部材86)に取り付けられている。
【0046】
このように構成されているので、図3(a)及び図4に示すように、スプライン軸84(連結部材86)が移動テーブル60(ブラケット76)に対して例えば上方に移動すると、シリンダ型ダンパ110のシリンダ部112に対してその出力部114が上方に移動され、その出力部114の上方移動によりダンパ効果が得られて衝撃を抑えることができる。
【0047】
この実施形態では、図1に示すように、搬送排出ユニット26の第1本体部30に第1及び第2当接部材116,118が設けられている。第1当接部材116は、第1本体部30の一端部(この例では、装置本体22側の端部)に設けられ、この第1当接部材116に当接することによって、第1移動ユニット部32の第1当接部材を越える移動が停止する。また、第2当接部材118は、第1本体部30の他端部(この例では、ビン回収装置6側の端部)に設けられ、この第2当接部材118に当接することによって、第1移動ユニット部32の第2当接部材118を越える移動が停止する。
【0048】
次に、主として図4図6を参照して、ビンP(ワーク)を吸引するメインパッド62及び一対の補助パッド74について説明する。この実施形態では、メインパッド62は、短い蛇腹状に形成されたメイン吸着部120を有し、このメイン吸着部120は、例えば1~2つの蛇腹部を有しており、このように構成することによって、メイン吸着部120が大きく弾性変形することがなく、これによって、例えばビンPの大径円筒状部P1(ビンPの外径が大きい部分)の断面円形状の頂部付近を確実に吸着保持することができる。
【0049】
また、補助パッド74は、長い蛇腹状に形成された補助吸着部122を有し、この補助吸着部122は、例えば3~5つの蛇腹部を有している。このように構成することによって、補助吸着部122が大きく弾性変形することができ、これによって、大径円筒状部P1の外径サイズが異なる各種ビンPを吸着保持することが可能となる。
【0050】
メインパッド62及び補助パッド74については、図5に示すように、例えば、補助パッド74の補助吸着部122の吸引口の内径NRがメインパッド62のメイン吸着部120の吸引口の内径MRよりも大きく、このように構成することによって、大円筒部P1の外径サイズが異なる各種ビンPなどを確実に吸着保持することが可能となる。
【0051】
メインパッド62のメイン吸着部120及び補助パッド74の補助吸着部122の蛇腹部の大きさ及び個数並びにそれらの吸引口の内径などは、吸着するビンP(ワーク)の大きさ、形状などにより適宜設定される。メインパッド62のメイン吸着部120の形状などについては、ビンP(ワーク)の搬送状態などを考慮して設定され、また補助パッド74の補助吸着部122の形状などについては、メインパッド62と協働してビンP(ワーク)を吸着した状態などを考慮して設定される。
【0052】
このメインパッド62と一対の補助パッド74は、次のように配置するのが好ましい。メインパッド62の中心部をC1とし、補助パッド74の中心部をC2とすると、図6に示すように、一対の補助パッド74の中心部C2は、メインパッド62の中心部C1を通って矢印124で示す搬送排出方向に延びる搬送排出軸線126を基準にしてその両側に配置されるように構成するのが好ましく、このように配置することによって、メインパッド62により吸着保持したビンP(ワーク)の吸着部位の両側部位を補助パッド74でもって吸着し、このビンPを確実に吸着保持することができる。
【0053】
また、図6に示すように、一対の補助パッド74の中心部C2は、この搬送排出軸線126に対してメインパッド62の中心部C1を通って垂直横方向に延びる垂直横軸線128を基準にして、矢印124で示す搬送排出方向に見てこの垂直横軸線128よりも上流側に配置されるように構成するのが好ましい。
【0054】
ビンP(ワーク)を吸着保持した状態で搬送排出方向(矢印124で示す方向)に搬送開始する際に、ビンPの搬送排出方向下流側部が下方に下がる傾向(換言すると、搬送排出方向上流側部が上方に上がる傾向)になるが、一対の補助パッド74がこの上流側部を吸着保持して上方への移動を効果的に抑え、これによって、搬送排出方向への搬送開始時におけるビンPの落下を防ぐことができる。
【0055】
一対の補助パッド74については、更に、次のように構成するのが好ましい。図5及び図6から理解されるように、補助パッド74の軸方向に延びる中心軸線130は、メインパッド62の中心部C1を通る搬送排出軸線126側に内方に向けて傾斜しているのが好ましく、またメインパッド62の搬送排出方向下流側に向けて傾斜しているのが好ましい。このように構成することにより、一対の補助パッド74は、メインパッド62の中心部C1を通る中心軸線132側に向いて斜めに配置されるようになり、これにより、ビンPの大径円筒状部P1を確実に吸引保持することが可能となる。
【0056】
各補助パッド74の中心軸線130の内方への傾斜角度θ(図6参照)は、20~60度であるのが好ましく、この傾斜角度θは、搬送排出方向への搬送開始時におけるビンP(ワーク)の慣性が大きいときには大きくするのが望ましい。また、この中心軸線130の搬送排出方向(矢印124の方向)下流側への傾斜角度β(図5参照)は、70~85度であるのが好ましい。
【0057】
ビンP(ワーク)を確実に吸着保持するためにはメインパッド62及び一対の補助パッド74が相互に重ならないように配置することが望まれる。ここで、図7(a)を参照して、例えばビンPの大径円筒状部P1を吸着する場合において、メインパッド62と補助パッド74とが接触するときについて考える。メインパッド62の中心軸線をL1、補助パッド74の中心軸線をL2、またメインパッド62及び補助パッド74の接触部位Sとこの大径円筒状部P1の中心CCとを結ぶ軸線をL3とする。そして、ビンPの大径円筒状部P1の半径をR(mm)、メインパッド62の外径をA(mm)、補助パッド74の外径をB(mm)とすると、メインパッド62の中心軸線L1と接触部位Sを通る軸線L3との角度γ1は、
γ1=sin-1
(2R/A) ・・・(1)
となり、また補助パッド74の中心軸線L2と接触部位Sを通る軸線L3との角度γ2は、
γ2=sin-1
(2R/B) ・・・(2)
となり、メインパッド62の中心軸線L1と補助パッド74の中心軸線L2との角度γ3は、
γ3=γ1+γ2=sin-1
(2R/A)+sin-1
(2R/B) ・・・(3)
となる。従って、ビンPの大円筒状部P1における、このγ3から少し離れた部位を補助パッド74で吸着することによって、メインパッド62に干渉することなく強く吸着保持することができる。
【0058】
次に、図7(b)を参照して、例えば、ワークWの平面状部を吸着する場合について考える。メインパッド62の中心軸線をL1、補助パッド74の中心軸線をL2とし、このメインパッド62の中心軸線L1がワークWの中心を通るものとする。このときも、メインパッド62の外径をA(mm)、補助パッド74の外径をB(mm)とし、また板の中心から補助パッド74の外側までの距離をR1とすると、メインパッド62の中心軸線L1と補助パッド74の中心軸線L2との間の間隔rは、
r=R1ー(B/2) ・・・(4)
となり、この場合、ワークWのこの部位近傍を補助パッド74で吸着することによって、メインパッド62に干渉することなく強く吸着保持することができる。
【0059】
上述した実施形態では、メインパッド62と一対の補助パッド74によりワークとしてのビンPを吸着保持して搬送しているが、必ずしも一対の補助パッド74を用いる必要はなく、1つ又は3つ以上の複数の補助パッドを用いるようにしてもよい。例えば、複数の補助パッドを用いる場合、複数の補助パッドの少なくとも一つについては、その中心部がメインパッドの中心部を通って搬送排出方向に延びる搬送排出軸線を基準にしてその片側に配置されるように、また、複数の補助パッドの他の少なくとも一つについては、その中心部がこの搬送排出軸線を基準にしてその他側に配置されるようにするのが好ましく、このように配置することによって、メインパッド62及び複数の補助パッド74によって、ビンP(ワーク)を安定的に吸着保持することができる。
【0060】
このビン選別搬送装置2によるビンの選別搬送は、例えば、図8に示すフローチャートに従って行われる。主として図8図14を参照して、ビンPの選別搬送を開始するときには、搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32及び吸着ユニット28(第2本体部52及び第2移動ユニット部54)は、例えば図9に示す状態に位置している。即ち、第1移動ユニット部32(これに装着された吸着ユニット28)は、ビン回収装置6の排出域R(図1参照)の上方に位置している。
【0061】
そして、ビン搬送装置4の搬送ベルト機構10によって搬送されるビンP(ワーク)を選別して排出域Rに搬送するときには、図10に示すように、搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32(これに装着された吸着ユニット28)がビン搬送装置4の搬送経路の選別域Qの上方に移動される(ステップS1)。第1電動モータ38が所定方向に回動さ
れ、この第1電動モータ38から回動力が第1駆動機構40を介して第1移動ユニット部32に伝達され、第1移動ユニット部32及びこれに装着された吸着ユニット28が矢印44(図1及び図10参照)で示す方向に選別域Qの上方に移動される。
【0062】
このとき、図示していないが、例えば、カメラ手段(図示せず)が搬送ベルト機構10によって搬送されるビンP(ワーク)を撮像し、コントローラ(図示せず)は、この撮像情報を所要の通りに画像処理して選別すべきビンP(ワーク)を特定し、第1移動ユニット部32は、このコントローラからの選別信号に基づいて特定ビンP(特定ワーク)をピックアップする位置まで移動される。
【0063】
搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32が搬送域Qまで移動すると、図11に示すように、吸着ユニット32の第2移動ユニット部54(即ち、メインパッド62)が下降される(ステップS2)。第2電動モータ68が所定方向に回動され、この第2電動モータ68から回動力が駆動伝達機構(図示せず)及び第2駆動機構(図示せず)を介して第2移動ユニット部54に伝達され、第2移動ユニット部54(移動テーブル60、スプライン軸84及びメインパッド62など)が矢印142で示す方向に下降される。
【0064】
このとき、上述した記載から理解されるように、第2移動ユニット部54のスプライン軸84に取り付けられた連結部材86が移動テーブル60のブラケット76に当接した状態に保持されており、この当接した状態でもって、移動テーブル60の下降に伴いスプライン軸84、メインパッド62及びシリンダ型ダンパ110がこの連結部材86と一体的に下降される。
【0065】
このようにして第2移動ユニット部54の下降が開始されると、第1開閉弁V1が開状態となり、吸引ポンプ108(図4参照)からの吸引力が減圧ライン106及び第1分岐ライン105を介してメインパッド62に作用し、メインパッド62による吸引が開始される(ステップS3)。
【0066】
そして、第2移動ユニット部54のメインパッド62が選別すべきビンP(ワーク)まで下降すると、図3(a)で示すように、このメインパッド62はビンPを吸引保持する(ステップS4)。この吸着時、メインパッド62のメイン吸着部120(図4参照)がビンPの表面に当接して衝撃が生じるおそれがあるが、この衝撃が生じたときには移動テーブル60に対してメインパッド62が相対的に上昇するようになる。このように上昇すると、メインパッド62の上昇がスプライン軸84及び連結部材86を介してシリンダ型ダンパ110の出力部114に伝達され、この出力部114がそのシリンダ部112に対して相対的に上昇され、これによって、ビンPの吸着時に発生する衝撃を緩衝して確実に吸着することができる。
【0067】
メインパッド62によりビンPを吸着した後、図12に示すように、第2移動ユニット部54(即ち、メインパッド62)が上昇される(ステップS5)。第2電動モータ68が所定方向と反対方向に回動され、この第2電動モータ68から回動力が駆動伝達機構(図示せず)及び第2駆動機構(図示せず)を介して第2移動ユニット部54に伝達され、第2移動ユニット部54(ビンPを吸着した状態のメインパッド62など)が矢印144(図12参照)で示す方向に上昇される。
【0068】
このとき、第2移動ユニット部54が上昇されるので、この上昇によって連結部材86、スプライン軸84及びメインパッド62(これに吸着保持されたビンP)が上方に移動されるとともに、連結部材86に連結されたシリンダ型ダンパ110(シリンダ112及び出力部114)も上方に移動される。
【0069】
このようにして第2移動ユニット部54の上昇が開始されると、第2開閉弁V2が開状態となり、吸引ポンプ108(図4参照)の吸引力が減圧ライン106及び第2分岐ライン107を介して一対の補助パッド74に作用し、一対の補助パッド74による吸引が開始される(ステップS6)。
【0070】
尚、この実施形態では、減圧ライン106からの吸引力を別個のラインでもって制御し、この吸引力をメインパッド62及び補助パッド74に独立して作用させているが、このような構成に代えて、共通のラインでもって制御し、この吸引力をメインパッド62及び補助パッド74に同時に作用させるようにしてもよく、この場合、ステップS4におけるメインパッド62の吸着開始時と同時に一対の補助パッド74の吸着が開始される。
【0071】
このようにして第2移動ユニット部54が補助吸着位置(図1図3(b)及び図4に示す位置であって、上昇位置とも称する。)まで移動すると、図3(b)で示すように、メインパッド62に保持されたビンPが一対の補助パッド74まで上昇移動し、一対の補助パッド74はビンPを吸着保持するようになり、選別されたビンP(ワーク)はメインパッド62及び一対の補助パッド74により吸着保持される(ステップS7)。
【0072】
第2移動ユニット部54がこの補助吸着位置まで上昇して停止するときにビンPの慣性により衝撃が生じるおそれがあるが、このときの衝撃は、次のようにして緩衝される。メインパッド62に作用する衝撃については、ビンPを吸着するときと同様に、第2移動ユニット部54のメインパッド62(これに保持されたビンP)、スプライン軸84及び連結部材86が移動テーブル60(ブラケット76)に対して相対的に上昇するようになり、更にこの連結部材86を介してシリンダ型ダンパ110の出力部114がそのシリンダ部112に対して相対的に上昇するようになり、このように相対上昇することによって、メインパッド62に作用する衝撃が緩衝される。また、補助パッド74に作用する衝撃については、第2パッド取付部材96が複数(この形態では、3つ)のばね部材100(弾性手段)の弾性偏倚力に抗して上方に移動され、これらばね部材100の弾性変形によって衝撃が吸収される。
【0073】
その後、搬送排出ユニット26の第1移動ユニット部32(これに装着された吸着ユニット28)がビン回収装置6の排出域Rの上方に移動される(ステップS8)。第1電動モータ38が所定方向と反対方向に回動され、この第1電動モータ38から回動力が第1駆動機構40を介して第1移動ユニット部32に伝達され、第1移動ユニット部32及びこれに装着された吸着ユニット28が矢印46(図1及び図13参照)で示す方向(搬送排出方向124)に移動される。
【0074】
この排出域Rに向けての移動開始時には、搬送排出方向(図5及び図6において矢印124で示す方向)に見てビンP(ワーク)の下流側部が自重によって下方に下がる傾向にあり、この傾向は移動開始速度が速いほど大きくなり、このような傾向によって、ビンPが落下するおそれが生じるが、このビン選別搬送装置2ではメインパッド62及び一対の補助パッド74が上述したように配置されているので、ビンPの落下を確実に防止することができる。
【0075】
即ち、図5及び図6から理解されるように、搬送排出方向(矢印124)の移動開始時にビンP(ワーク)の下流側部が自重によって下方に下がる傾向(換言すると、その上流側部が上方に上がる傾向)にあるが、このときビンPの上流側部が一対の補助パッド74により吸着保持されていることから、このビンPの上流側部の上方への移動(換言すると、その下流側部の下方への移動)が一対の補助パッド74により抑えられてほぼ水平な状態に保たれ、これによって、移動開始時のビンPの落下を防止することができる。
【0076】
第1移動ユニット32(これに装着された吸着ユニット28)が排出域Rの上方まで移動すると、選別搬送したビンP(ワーク)の排出が行われる(ステップS9)。図14に示すように、第1及び第2開閉弁V1,V2が閉状態になり、吸引ポンプ108からの吸引作用が終了し、メインパッド62及び一対の補助パッド74によるビンPの吸引保持が解除され、これにより、吸引ユニット28により吸引搬送されたビンP(ワーク)がビン回収装置6に回収される。
【0077】
上述したビンPの選別搬送は、選別すべきビンP(ワーク)がなくなるまでステップS1~ステップS10が繰り返し遂行され、選別すべきピンPがなくなるとステップS11に進み、ビンPの選別搬送作業が終了する。
【0078】
以上、本発明に従うワーク選別搬送装置の一例としてのビン選別搬送装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0079】
2 ビン選別搬送装置
4 ビン搬送装置
6 ビン回収装置
26 搬送排出ユニット
28 吸着ユニット
30 第1本体部
32 第1移動ユニット部
52 第2本体部
54 第2移動ユニット部
62 メインパッド
74 補助パッド
84 スプライン軸
86 連結部材
88 第1パッド取付部材
96 第2パッド取付部材
108 吸引ポンプ
110 シリンダ型ダンパ
P ビン(ワーク)
Q 選別域
R 排出域




【要約】      (修正有)
【課題】選別域を通して流れるビン(ワーク)を選別して排出域に搬送するビン選別搬送装置を提供する。
【解決手段】ビンを搬送排出する搬送排出ユニットと、この搬送排出ユニットに装着された吸着ユニット28を備えたビン選別搬送装置。吸着ユニット28は、搬送排出ユニットに装着された第2本体部52と、第2本体部52に上下方向に移動自在に支持された第2移動ユニット部54を備え、第2移動ユニット部54は、ビンを吸着保持するメインパッド62とビンを補助吸着する一対の補助パッド74を含んでいる。一対の補助パッド74は、メインパッド62の搬送排出軸線を基準にしてその両側であって、且つこの搬送排出軸線に対して垂直横方向に延びるメインパッド62垂直横軸線を基準にして搬送排出方向に見てメインパッドの上流側に配設されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14