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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20241021BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241021BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 642A
G09G3/20 642C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024022355
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2023006373の分割
【原出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2024045589
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2018027890
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直史
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228531(JP,A)
【文献】特開2005-156703(JP,A)
【文献】特開2009-009039(JP,A)
【文献】特開2014-071450(JP,A)
【文献】特開2009-014933(JP,A)
【文献】特開2007-298973(JP,A)
【文献】特開2016-038425(JP,A)
【文献】特開2015-025978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0148384(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0345883(US,A1)
【文献】国際公開第2013/076774(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0052033(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0040867(KR,A)
【文献】特開2017-090712(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056497(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データ線と、
第1容量と、
前記第1容量を介して前記第1データ線に接続される第2データ線と、
第1電圧を前記第1データ線に供給する第1トランジスタと、
第2電圧を前記第2データ線に供給する第2トランジスタと、
第3電圧を前記第2データ線に供給する第3トランジスタと、
第4電圧が供給されるカソードを有する発光素子と、
第2容量と、
ソースノード及びドレインノードのうち一方前記第2容量の一方の電極に直接接続し、ソースノード及びドレインノードのうち他方が前記第2データ線に接続されることで、前記第2データ線に供給された信号電圧を前記第2容量に書き込む第4トランジスタと、
ゲートノード前記第2容量の一方の電極に直接接続し、ソースノード及びドレインノードのうち一方前記第2容量の他方の電極に直接接続し、前記第2容量に蓄積された電圧に応じた電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタのソースノード及びドレインノードのうち他方と前記発光素子のアノードとの間の接続を制御する第5トランジスタと、
ソースノード及びドレインノードのうち一方前記駆動トランジスタと前記第5トランジスタとの接続点に直接接続し、前記接続点と前記第2データ線との間の接続を制御する第6トランジスタと、
を備え、
前記第1トランジスタのゲートノードは、第1制御線に直接接続し、
前記第2トランジスタのゲートノードは、第2制御線に直接接続し、
前記第3トランジスタのゲートノードは、第3制御線に直接接続し、
前記第4トランジスタのゲートノードは、第4制御線に直接接続し、
前記第5トランジスタのゲートノードは、第5制御線に直接接続し、
前記第6トランジスタのゲートノードは、第6制御線に直接接続し、
前記駆動トランジスタ、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記第4トランジスタ、前記第5トランジスタ、及び、前記第6トランジスタは、Pチャネル型のトランジスタであ
前記第3トランジスタがオン状態である期間のうち少なくとも一部の期間、前記第6トランジスタはオン状態である、
表示装置。
【請求項2】
前記第5トランジスタのソースノード及びドレインノードのうちの一方は、前記駆動トランジスタのソースノード及びドレインノードのうちの他方に直接接続する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第5トランジスタのソースノード及びドレインノードのうちの他方は、前記発光素子の前記アノードに直接接続する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第4トランジスタのソースノード及びドレインノードのうちの他方は、前記第6トランジスタのソースノード及びドレインノードのうちの他方に直接接続する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1トランジスタは、前記第1電圧を前記第1容量の一方の電極に供給し、
前記第2トランジスタは、前記第2電圧を前記第1容量の他方の電極に供給し、
前記第3トランジスタは、前記第3電圧を前記第1容量の前記他方の電極に供給する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1トランジスタは、前記第1電圧により前記第1容量の一方の電極を初期化し、
前記第2トランジスタは、前記第2電圧により前記第1容量の他方の電極を初期化し、
前記第3トランジスタは、前記第3電圧により前記第1容量の前記他方の電極を初期化する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1電圧と前記第2電圧と前記第3電圧と前記第4電圧とは、互いに異なる電位を持つ、
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1データ線に直接接続し、導電型の異なる2つのトランジスタを並列接続することにより構成されるトランスファーゲートをさらに備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第5トランジスタと前記第2データ線との間接続制御する第7トランジスタをさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第7トランジスタのゲートノードは、第7制御線に直接接続する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第7トランジスタは、Pチャネル型のトランジスタである、請求項9又は10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1トランジスタがオン状態である期間のうち少なくとも一部の期間、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタはオフ状態である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第4トランジスタがオン状態である期間のうち少なくとも一部の期間、前記第6トランジスタはオン状態である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第4トランジスタと前記第6トランジスタとは、前記駆動トランジスタのゲートノードと前記駆動トランジスタのソースノード及びドレインノードのうち他方との間の接続を制御する、請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の分野では、発光部を含む画素が行列状(マトリクス状)に配置されて成る平面型(フラットパネル型)の表示装置が主流となっている。平面型の表示装置の一つとして、発光部に流れる電流値に応じて発光輝度が変化する、所謂、電流駆動型の電気光学素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を用いる有機EL表示装置がある。
【0003】
この有機EL表示装置に代表される平面型の表示装置にあっては、電気光学素子を駆動する駆動トランジスタのトランジスタ特性(例えば、閾値電圧)が、プロセスの変動などによって画素毎にばらつく場合がある。その駆動トランジスタの特性の補正動作を行うに当たって、駆動トランジスタのゲートノードに対する初期化電圧の書込み時間の短縮化を可能にした表示装置の技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-34861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような有機EL表示装置においては、静止画表示時に映像信号の出力を止めて低消費電力化する駆動方法が一般的になりつつある。静止画表示時に映像信号の出力を止める際に、画素回路では有機EL素子に一定の電流を供給し続ける必要があり、駆動トランジスタの動作点が変わると輝度が変化してしまう。MOSやLTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicon、低温ポリシリコン)などはリーク電流が比較的大きく、駆動トランジスタの動作点を保持するためにトランジスタの数を増やしてしまうと、狭ピッチでの画素レイアウトが困難になり、ディスプレイの高精細化の妨げになってしまう。
【0006】
そこで、本開示では、素子数を増加させず、また増加させたとしても増加を最小限に抑えつつ、トランジスタのリークによる輝度低下の抑制が可能な、新規かつ改良された表示装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、発光素子と、前記発光素子へ電流を供給する駆動トランジスタと、前記発光素子のアノードの電位を所定の電位に設定する第1リセットトランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートノードでの信号電圧の書き込みを制御する第1書込みトランジスタと、一端が前記駆動トランジスタのゲートノードに接続され、前記駆動トランジスタの閾値電圧を保持する保持容量と、前記駆動トランジスタのゲートノードと、前記第1書込みトランジスタとの間に直列に接続される第2書込みトランジスタと、を備える、画素回路が提供される。
【0008】
また本開示によれば、発光素子と、前記発光素子へ電流を供給する駆動トランジスタと、前記発光素子のアノードの電位を所定の電位に設定する第1リセットトランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートノードでの信号電圧の書き込みを制御する第1書込みトランジスタと、一端が前記駆動トランジスタのゲートノードに接続され、前記駆動トランジスタの閾値電圧を保持する保持容量と、前記駆動トランジスタのゲートノードと、前記第1書込みトランジスタとの間に直列に接続される第2書込みトランジスタと、を備える、画素回路において、発光が終了した後の第1期間において、前記第1書込みトランジスタ及び前記第2書込みトランジスタをオンにして、前記第1期間の後の第2期間において、前記駆動トランジスタの閾値電圧を補正し、前記第2期間の後の第3期間において、前記駆動トランジスタに信号電圧を書込み、前記第3期間の後の第4期間において、前記第1書込みトランジスタ及び第2書込みトランジスタをオフにして、前記駆動トランジスタを通じて前記発光素子に電流を流して前記発光素子を発光させる、画素回路の駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本開示によれば、素子数を増加させず、また増加させたとしても増加を最小限に抑えつつ、トランジスタのリークによる輝度低下の抑制が可能なことが可能な、新規かつ改良された画素回路、表示装置、画素回路の駆動方法および電子機器を提供することが出来る。
【0010】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係る表示装置100の構成例を示す説明図である。
図2】同実施の形態に係る表示装置100のより詳細な構成例を示す説明図である。
図3】画素回路の一例を示す説明図である。
図4】画素回路の一例を示す説明図である。
図5】画素回路の一例を示す説明図である。
図6】画素回路の一例を示す説明図である。
図7】画素回路の一例を示す説明図である。
図8】画素回路の一例を示す説明図である。
図9】同実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。
図10図9に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。
図11】同実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。
図12図11に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。
図13】同実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。
図14図13に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器、全般に関する説明
1.2.構成例及び動作例
2.まとめ
【0014】
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器、全般に関する説明]
本開示の表示装置は、発光部を駆動する駆動トランジスタの他に、サンプリングトランジスタ及び保持容量を有する画素回路が配置されて成る平面型(フラットパネル型)の表示装置である。平面型の表示装置としては、有機EL表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置などを例示することができる。これらの表示装置のうち、有機EL表示装置は、有機材料のエレクトロルミネッセンスを利用し、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を用いた有機EL素子を画素の発光素子(電気光学素子)として用いている。
【0015】
画素の発光部として有機EL素子を用いた有機EL表示装置は次のような特長を持っている。すなわち、有機EL素子が10V以下の印加電圧で駆動できるために、有機EL表示装置は低消費電力である。有機EL素子が自発光型の素子であるために、有機EL表示装置は、同じ平面型の表示装置である液晶表示装置に比べて、画像の視認性が高く、しかも、バックライト等の照明部材を必要としないために軽量化及び薄型化が容易である。更に、有機EL素子の応答速度が数マイクロ秒程度と非常に高速であるために、有機EL表示装置は動画表示時の残像が発生しない。
【0016】
有機EL素子は、自発光型の素子であるとともに、電流駆動型の電気光学素子である。電流駆動型の電気光学素子としては、有機EL素子の他に、無機EL素子、LED素子、半導体レーザー素子などを例示することができる。
【0017】
有機EL表示装置等の平面型の表示装置は、表示部を備える各種の電子機器において、その表示部(表示装置)として用いることができる。各種の電子機器としては、テレビジョンシステムの他、ヘッドマウントディスプレイ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム機、ノート型パーソナルコンピュータ、電子書籍等の携帯情報機器、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機等の携帯通信機器などを例示することができる。
【0018】
本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、駆動部について、駆動トランジスタのゲートノードをフローティング状態にした後ソースノードをフローティング状態にする構成とすることができる。また、駆動部について、駆動トランジスタのソースノードをフローティング状態にしたままサンプリングトランジスタによる信号電圧の書込みを行う構成とすることができる。初期化電圧については、信号電圧と異なるタイミングで信号線に供給され、信号線からサンプリングトランジスタによるサンプリングによって駆動トランジスタのゲートノードに書き込まれる構成とすることができる。
【0019】
上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、画素回路について、シリコンのような半導体上に形成する構成とすることができる。また、駆動トランジスタについて、Pチャネル型のトランジスタから成る構成とすることができる。駆動トランジスタとして、Nチャネル型のトランジスタではなく、Pチャネル型のトランジスタを用いるのは次の理由による。
【0020】
トランジスタをガラス基板のような絶縁体上ではなく、シリコンのような半導体上に形成する場合、トランジスタは、ソース/ゲート/ドレインの3端子ではなく、ソース/ゲート/ドレイン/バックゲート(ベース)の4端子となる。そして、駆動トランジスタとしてNチャネル型のトランジスタを用いた場合、バックゲート(基板)電圧が0Vとなり、駆動トランジスタの閾値電圧の画素毎のばらつきを補正する動作などに悪影響を及ぼすことになる。
【0021】
また、トランジスタの特性ばらつきは、LDD(Lightly Doped Drain)領域を持つNチャネル型のトランジスタに比べて、LDD領域を持たないPチャネル型のトランジスタの方が小さく、画素の微細化、ひいては、表示装置の高精細化を図る上で有利である。このような理由などから、シリコンのような半導体上への形成を想定した場合、駆動トランジスタとして、Nチャネル型のトランジスタではなく、Pチャネル型のトランジスタを用いるのが好ましい。
【0022】
上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、サンプリングトランジスタについても、Pチャネル型のトランジスタから成る構成とすることができる。
【0023】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、画素回路について、発光部の発光/非発光を制御する発光制御トランジスタを有する構成とすることができる。このとき、発光制御トランジスタについても、Pチャネル型のトランジスタから成る構成とすることができる。
【0024】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、保持容量について、駆動トランジスタのゲートノードとソースノードとの間に接続された構成とすることができる。また、画素回路について、駆動トランジスタのソースノードと固定電位のノードとの間に接続された補助容量を有する構成とすることができる。
【0025】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、画素回路について、駆動トランジスタのドレインノードと発光部のカソードノードとの間に接続されたスイッチングトランジスタを有する構成とすることができる。このとき、スイッチングトランジスタについても、Pチャネル型のトランジスタから成る構成とすることができる。また、駆動部について、発光部の非発光期間にスイッチングトランジスタを導通状態にする構成とすることができる。
【0026】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置、表示装置の駆動方法、及び、電子機器にあっては、駆動部は、スイッチングトランジスタを駆動する信号を、サンプリングトランジスタによる初期化電圧のサンプリングタイミングよりも前にアクティブ状態にする。そして、発光制御トランジスタを駆動する信号をアクティブ状態にした後に非アクティブ状態にする構成とすることができる。このとき、駆動部について、発光制御トランジスタを駆動する信号を非アクティブ状態にする前に、サンプリングトランジスタによる初期化電圧のサンプリングを完了する構成とすることができる。
【0027】
[1.2.構成例および動作例]
続いて、本開示の実施の形態に係る表示装置の構成例を説明する。図1は、本開示の実施の形態に係る表示装置100の構成例を示す説明図である。以下、図1を用いて本開示の実施の形態に係る表示装置100の構成例を説明する。
【0028】
画素部110は、有機EL素子その他の自発光素子がそれぞれ設けられた画素がマトリクス状に配置された構成を有する。画素部110は、マトリックス状に配置した画素に対して、走査線がライン単位で水平方向に設けられ、また走査線と直交するように信号線が列毎に設けられる。
【0029】
水平セレクタ120は、所定のサンプリングパルスを順次転送し、このサンプリングパルスで画像データを順次ラッチすることにより、この画像データを各信号線に振り分ける。また水平セレクタ120は、各信号線に振り分けた画像データをそれぞれアナログディジタル変換処理し、これにより各信号線に接続された各画素の発光輝度を時分割により示す駆動信号を生成する。水平セレクタ120は、この駆動信号を対応する信号線に出力する。
【0030】
垂直スキャナ130は、この水平セレクタ120による信号線の駆動に応動して、各画素の駆動信号を生成して走査線SCNに出力する。これにより表示装置100は、垂直スキャナ130により画素部110に配置された各画素を順次駆動し、水平セレクタ120より設定される各信号線の信号レベルで各画素を発光させ、所望の画像を画素部110で表示する。
【0031】
図2は、本開示の実施の形態に係る表示装置100のより詳細な構成例を示す説明図である。以下、図2を用いて本開示の実施の形態に係る表示装置100の構成例を説明する。
【0032】
画素部110には、赤色を表示する画素111R、緑色を表示する画素111G、青色を表示する画素111Bがマトリクス状に配置されている。
【0033】
そして垂直スキャナ130は、オートゼロスキャナ131、駆動スキャナ132及び書き込みスキャナ133を有する。それぞれのスキャナから信号が画素部110にマトリクス状に配置された画素に供給されることで、それぞれの画素に設けられるTFTのオン、オフ動作が行われる。
【0034】
画素部110に設けられる各画素は様々な形態が考えられる。例えば、3つのNチャネル型のトランジスタ及び1つのキャパシタからなる画素回路を図3に示す。図3に示した画素回路は、Nチャネル型のトランジスタT1、T2、T3と、キャパシタC1と、有機EL素子ELと、からなる画素回路である。当該画素回路の駆動の詳細については、例えば特開2008-225345号公報などに掲載されており、詳細な説明は割愛するが、トランジスタT1は、有機EL素子ELへの電流の供給のための駆動トランジスタであり、トランジスタT2は、映像信号書き込み用の書込みトランジスタであり、トランジスタT3は、有機EL素子ELの消光およびアノード電位のリセット用のリセットトランジスタである。この図3に示した画素回路は、駆動トランジスタであるトランジスタT1の閾値電圧補正(Vth補正)と、移動度のばらつきを補正する機能を有する回路である。
【0035】
昨今、主にモバイル用途のパネルなどで、静止画表示時に映像信号出力を止めることで低消費電力化する駆動方法が一般的になりつつある。つまり、静止画表示時には低周波数駆動を行う駆動方法が採られつつある。この場合、画素回路では有機EL素子に一定の電流を供給し続ける必要がある。すなわち、静止画表示時には駆動トランジスタ(図3に示した画素回路におけるトランジスタT1)の動作点が変わってはならない。酸化物TFTはリーク特性に優れておりこの駆動との相性が良い。一方、MOSやLTPSなどはリーク電流が比較的大きく、駆動トランジスタの動作点を保持する事が困難であり、静止画の表示中に輝度が低下してしまう。
【0036】
そこで、トランジスタのリーク電流を抑制するために、図3に示した画素回路におけるトランジスタT2、T3に対して、それぞれ直列にNチャネル型のトランジスタを追加する方法が考えられる。図4は、画素回路の構成例を示す説明図であり、図3に示した画素回路に、Nチャネル型のトランジスタT4、T5が追加された構成を有する画素回路である。このようにトランジスタT4、T5を追加することで、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT1のゲートと、信号Vsigが供給される信号線との間、有機EL素子ELのアノードとリセット電圧Vssを供給する信号線との間のトランジスタの数が2つになる。
【0037】
このように、書込みトランジスタ及びリセットトランジスタを、直列に2つ接続したトランジスタとすることで、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0038】
ここまではNチャネル型のトランジスタを用いて画素回路を構成する例を示したが、Pチャネル型のトランジスタを用いて画素回路を構成する場合においても、トランジスタを直列に接続することでトランジスタのリーク電流を抑制する方法を採ることができる。
【0039】
図5は、5つのPチャネル型のトランジスタ及び1つのキャパシタからなる画素回路の例を示す説明図である。図5に示した画素回路は、Pチャネル型のトランジスタT11、T12、T13、T14、T15と、キャパシタCsと、有機EL素子ELと、からなる画素回路である。また図5には、各画素の駆動の際に動作するトランジスタT16、T17、トランスファーゲートTFも示されている。
【0040】
当該画素回路の駆動の詳細については、例えば特開2015-152775号公報などに掲載されており、詳細な説明は割愛するが、トランジスタT1はゲートが信号線DSに接続されており、ドレインが有機EL素子ELのアノードに接続されており、ソースがトランジスタT2のドレインに接続されている。トランジスタT2のゲートには、トランジスタT3を介して映像信号Vsigが供給され、ソースが電源電圧VCCPに接続されている。トランジスタT3はゲートが信号線WSに接続されている。トランジスタT4はゲートが信号線AZ1に接続されている。トランジスタT5はゲートが信号線AZ2に接続されている。
【0041】
また、画素回路の駆動を高速化させるために、補正用の容量線を別途設けて、その容量線を複数画素に分割することで容量を小さくし、補正スピードを上げることを目的とした画素回路も提案されている。図6は、6つのPチャネル型のトランジスタ及び1つのキャパシタからなる画素回路の例を示す説明図である。図6に示した画素回路は、Pチャネル型のトランジスタT11~T15、T18と、有機EL素子ELと、容量素子Csと、を含んで構成される。当該画素回路の駆動の詳細については、例えば特開2016-38425号公報などに掲載されており、詳細な説明は割愛する。
【0042】
図5図6に示した画素回路における駆動トランジスタはトランジスタT12であり、図5図6に示した画素回路においても、静止画表示時には駆動トランジスタであるトランジスタT12の動作点が変わってはならない。
【0043】
そこで、図5図6に示した画素回路に対して、トランジスタを追加することでトランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制する方法を採ることができる。
【0044】
図7は、図5に示した画素回路に対してトランジスタを追加することでトランジスタのリーク電流の抑制を図った画素回路の構成例を示す説明図である。図7に示した画素回路は、図5に示した画素回路に、Pチャネル型のトランジスタT21、T22、T23を追加した構成を有している。このようにトランジスタT21、T22、T23を追加することで、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT21のゲートと、信号Vsigが供給される信号線との間、有機EL素子ELのアノードとリセット電圧Vssを供給する信号線との間、ゲートと有機EL素子ELのアノードとの間のトランジスタの数が2つになる。それぞれのトランジスタの数が増えることで、トランジスタからのリーク電流を抑制することが出来る。
【0045】
図8は、図5に示した画素回路に対してトランジスタを追加することでトランジスタのリーク電流の抑制を図った画素回路の構成例を示す説明図である。図8に示した画素回路は、図6に示した画素回路に、Pチャネル型のトランジスタT21、T22、T23を追加した構成を有している。このようにトランジスタT21、T22、T23を追加することで、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT21のゲートと容量線との間、有機EL素子ELのアノードとリセット電圧Vssを供給する信号線との間、有機EL素子ELのアノードと容量線との間のトランジスタの数が2つになり、リーク電流を抑制することが出来る。
【0046】
しかし、図4に示した画素回路では、図3に示した画素回路に比べて2つ、図7図8に示した画素回路では、図5図6に示した画素回路に比べて3つ、トランジスタが増加することになる。このように、駆動トランジスタの動作点を保持するために画素回路のトランジスタの数を増加させると、狭ピッチでの画素レイアウトが困難になり、ディスプレイの高精細化の妨げになってしまう。
【0047】
そこで本件開示者は、上述した点に鑑み、有機EL素子を用いた表示装置の画素回路において、トランジスタの数を増加させず、また増加させたとしても増加を最小限に抑えながら、リーク電流を抑制して、静止画表示時における駆動トランジスタの動作点を保持できる技術について鋭意検討を行った。その結果、本件開示者は、以下で説明するように、有機EL素子を用いた表示装置の画素回路において、トランジスタの数を増加させず、また増加させたとしても増加を最小限に抑えながら、リーク電流を抑制して、静止画表示時における駆動トランジスタの動作点を保持できる技術を考案するに至った。
【0048】
(4トランジスタ構成の画素回路)
本開示の実施の形態として、まず、3つのNチャネル型のトランジスタで構成する画素回路の例を説明する。図9は、本開示の実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。図9に示した画素回路は、Nチャネル型のトランジスタT31、T32、T33、T34と、キャパシタC31と、有機EL素子ELと、を含んで構成される。図9に示した画素回路は、図3に示した画素回路をベースとするものである。
【0049】
トランジスタT31は、有機EL素子ELへの電流の供給のための駆動トランジスタであり、トランジスタT32は、映像信号書き込み用の書込みトランジスタであり、トランジスタT33は、有機EL素子ELの消光およびアノード電位のリセット用のリセットトランジスタである。この図9に示した画素回路は、駆動トランジスタであるトランジスタT1の閾値電圧補正(Vth補正)と、移動度のばらつきを補正する機能を有する回路である。
【0050】
図9に示した画素回路は、図3に示した画素回路をベースとするものであるが、図4に示した画素回路とは異なり、図3に示した画素回路からNチャネル型のトランジスタを1つだけ追加している。図9に示した画素回路は、トランジスタT34が設けられていることで、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT31のゲートと、信号Vsig、Vss、Vofsが供給される信号線151との間、有機EL素子ELのアノードとリセット電圧Vssを供給する信号線との間のトランジスタの数が2つになる。
【0051】
このように画素回路を構成することで、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0052】
図10は、図9に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。図10を用いて図9に示した画素回路の駆動例を説明する。
【0053】
時刻t1の時点まで発光期間が継続し、時刻t1で発光期間が終了し、消光期間に入る。時刻t1になると、信号線WS1、WS2、AZがいずれもローからハイになる。信号線WS1、WS2、AZがいずれもローからハイになることで、それぞれ、トランジスタT32、T33、T34がオンとなる。トランジスタT32、T33、T34がオンとなることで、トランジスタT31のゲート電位Vgと、トランジスタT31のソース電位(有機EL素子ELのアノード電位)Vsが低下を始め、いずれも信号線151の電位VSSまで低下する。
【0054】
時刻t2の時点で消光期間が終了し、信号線AZがハイからローになる。信号線AZがローになることでトランジスタT33がオフになり、有機EL素子ELのアノードが信号線151から切り離される。
【0055】
続いて時刻t3の時点でVth補正期間が始まり、信号線151の電位がVssからVofsに上昇する。信号線151の電位がVssからVofsに上昇することでトランジスタT31のゲート電位VgがVofsまで上昇を始める。また、トランジスタT31のゲートと容量C31を介して接続されているトランジスタT31のソース電位が、信号線151の電位の上昇に伴って、VofsからトランジスタT31の閾値電圧Vthを引いた値に達するまで、徐々に上昇する。
【0056】
時刻t4の時点でVth補正期間が終了し、信号線WS1がハイからローになる。信号線AZがローになることでトランジスタT32がオフになり、トランジスタT31のゲートが信号線151から切り離される。
【0057】
時刻t4以降、信号線151の電位がVofsから映像信号の電位Vsigに変化し、その後時刻t5になると信号書き込みおよび移動補正期間に入る。時刻t5になると信号線WS1がローからハイになる。信号線AZがハイになることでトランジスタT32がオンになり、トランジスタT31のゲートが信号線151と接続される。この期間では、トランジスタT31の出力電流をキャパシタC31に負帰還することで、トランジスタT31のゲート/ソース間電圧Vgsは移動度μを反映した値となり、一定時間経過後には完全に移動度μを補正したゲート/ソース間電圧Vgsの値となる。
【0058】
これにより、トランジスタT31のゲート電位VgがVsigまで上昇を始める。また、トランジスタT31のゲートと容量C31を介して接続されているトランジスタT31のソース電位が、信号線151の電位の上昇に伴って上昇する。
【0059】
続いて時刻t6になると信号書き込みおよび移動補正期間が終了し、発光期間に入る。時刻t6になると信号線WS1、WS2がローになる。信号線WS1、WS2がローになることでトランジスタT32、T34がオフになり、トランジスタT31のゲートおよび有機EL素子ELのアノードが信号線151から切り離される。これによりトランジスタT31のゲート電位の上昇が可能となり、キャパシタC31に保持されたゲート/ソース間電圧Vgsの値を一定に保ちつつ、トランジスタT31のゲート電位Vgの上昇に連動してトランジスタT31のソース電位Vsの電位も上昇する。これにより有機EL素子ELの逆バイアス状態が解消し、トランジスタT31はゲート/ソース間電圧Vgsに応じたドレイン電流を有機EL素子ELに流す。トランジスタT31から電流が流れることにより、有機EL素子ELが発光する。なお、信号線151の電位は、発光期間における任意のタイミングでVssに低下する。
【0060】
このように、図9に示した画素回路は、トランジスタT34が設けられていても、駆動トランジスタであるトランジスタT31の閾値電圧の補正や移動度ばらつきの補正を問題なく行うことが出来る。そして図9に示した画素回路は、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0061】
(5トランジスタ構成の画素回路)
本開示の実施の形態として、続いて、5つのPチャネル型のトランジスタで構成する画素回路の例を説明する。図11は、本開示の実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。図11に示した画素回路は、Pチャネル型のトランジスタT41、T42、T43、T44、T45と、キャパシタC41と、有機EL素子ELと、を含んで構成される。図11に示した画素回路は、図4に示した画素回路をベースとするものである。また、図11には、容量素子Csigと、Pチャネル型のトランジスタT46、T47、T48が示されている。これらのトランジスタT46、T47、T48は、トランスファーゲートTFの出力電圧をシフトさせるレベルシフト回路として機能する。
【0062】
トランジスタT41はゲートが信号線DSに接続されており、ドレインが有機EL素子ELのアノードに接続されており、ソースがトランジスタT42のドレインに接続されている。トランジスタT42は駆動トランジスタである。トランジスタT42のゲートには、トランジスタT43、T44を介して映像信号Vsigが供給され、ソースが電源電圧VCCPに接続されている。トランジスタT43、T44は書込みトランジスタである。トランジスタT43はゲートが信号線WS1に接続されている。またトランジスタT43のソースは信号線161と接続されている。トランジスタT44はゲートが信号線WS2に接続されている。またトランジスタT44のソースはトランジスタT43のドレインと接続されている。トランジスタT45はゲートが信号線cmpに接続されている。
【0063】
また、トランジスタT46は、信号線161への電位Vssの供給を制御するものであり、ゲートが信号線Vg_Vssに接続されている。トランジスタT47は、信号線161への電位Vofsの供給を制御するものであり、ゲートが信号線Vg_Vofsに接続されている。トランジスタT48は、信号線161への電位Vrstの供給を制御するものであり、ゲートが信号線Vg_Vrstに接続されている。なお、Vofs>Vssであるとする。
【0064】
図11に示した画素回路は、図4に示した画素回路をベースとするものであるが、図7に示した画素回路とは異なり、図4に示した画素回路からトランジスタの数が増加していない。図11に示した画素回路は、トランジスタT43により、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT42のゲートと信号線161との間、トランジスタT42のドレインと信号線161を供給する信号線との間、駆動トランジスタであるトランジスタT42のゲートとドレインとの間のトランジスタの数が2つになる。
【0065】
このように画素回路を構成することで、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0066】
図12は、図11に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。図12を用いて図11に示した画素回路の駆動例を説明する。
【0067】
発光期間中の時刻t1の時点で、信号線Vg_Vss及び信号線Vg_Vrstがハイからローになる。信号線Vg_Vss及び信号線Vg_Vrstがハイからローになることで、それぞれ、トランジスタT46、T48がオンとなる。またこの時点では信号線DSがローであるため、トランジスタT41もオンとなっている。
【0068】
その後、時刻t2の時点で発光期間が終了し、消光時間に入る。時刻t2の時点で、信号線WS1及び信号線cmpがハイからローになる。信号線WS1及び信号線cmpがハイからローになることで、トランジスタT43、T45がオンとなる。トランジスタT43、T45がオンとなることで、トランジスタT41、T46がオンとなっていることにより、トランジスタT42のドレイン電位Vd及び有機EL素子ELのアノード電位VanodeがVssまで低下する。
【0069】
その後、時刻t3の時点で消光期間が終了し、Vth補正準備期間に入る。時刻t3の時点で、信号線DSがローからハイになり、信号線WS2がハイからローになり、信号線Vg_Vssがローからハイになり、信号線Vg_Vofsがハイからローになる。信号線DSがローからハイになることでトランジスタT41がオフになり、トランジスタT42のドレインと、有機EL素子ELのアノードとが切り離される。また信号線WS2がハイからローになることでトランジスタT44がオンになる。また信号線Vg_VssがローからハイになることでトランジスタT46がオフになる。また信号線Vg_VofsがハイからローになることでトランジスタT47がオンになる。
【0070】
これにより、トランジスタT42のゲート電位VgがVofsまで低下し、またトランジスタT42のドレイン電位VdがVofsまで上昇する。なお、トランジスタT41がオフになり、トランジスタT42のドレインと、有機EL素子ELのアノードとが切り離されているので、有機EL素子ELのアノード電位に変化はない。
【0071】
その後、時刻t4の時点でVth補正準備期間が終了し、Vth補正期間に入る。時刻t4の時点で、信号線Vg_Vofsがローからハイになる。信号線Vg_VofsがローからハイになることでトランジスタT47がオフになる。これにより、トランジスタT42のゲート電位Vg及びドレイン電位Vdが、電源電圧VCCPからトランジスタT42の閾値電圧Vthを引いた電位まで上昇する。
【0072】
その後、時刻t5の時点でVth補正期間が終了する。時刻t5の時点で信号線cmpがローからハイになる。信号線cmpがローからハイになることでトランジスタT45がオフになる。トランジスタT45がオフになることでトランジスタT42のドレインが信号線161から切り離される。
【0073】
その後、時刻t6の時点で信号書き込み期間に入る。時刻t6の時点で信号線Vg_Vrstがローからハイになる。また時刻t6の時点で信号線Vg_Vsigがハイからローになる。信号線Vg_VrstがローからハイになることでトランジスタT48がオフになる。また信号線Vg_Vsigがハイからローになることで信号線161に映像信号の信号電圧Vsigが供給される。
【0074】
この時点では、引き続いてトランジスタT45がオフになっており、トランジスタT42のドレインが信号線161から切り離されている。従って、信号線161に信号電圧Vsigが供給されると、トランジスタT42のゲート電位VgとトランジスタT42のドレイン電位Vdとの電位差が映像信号の信号電圧Vsigになるまで、トランジスタT42のゲート電位Vgが低下する。これにより、トランジスタT42に映像信号が書き込まれる。
【0075】
その後、時刻t7の時点で信号書き込み期間が終了し、発光期間に入る。時刻t7の時点で、信号線DSがハイからローになる。また時刻t7の時点で、信号線WS1、WS2がローからハイになる。また時刻t7の時点で、信号線Vg_Vsigがローからハイになる。これにより、トランジスタT41がオンになり、トランジスタT43、T44がオフになり、信号線161への映像信号の供給が停止される。トランジスタT41がオンになることで、トランジスタT42のドレイン電位Vdと、有機EL素子ELのアノード電位Vanodeとが等しくなる。トランジスタT42のドレイン電位Vdが低下することで、トランジスタT42は電流を有機EL素子ELに流す。トランジスタT42から電流が流れることにより、有機EL素子ELが発光する。
【0076】
このように、図11に示した画素回路は、図5に示した画素回路から1画素あたりのトランジスタの数を増加させることなく、駆動トランジスタであるトランジスタT42の閾値電圧の補正を問題なく行うことが出来る。そして図11に示した画素回路は、図5に示した画素回路から1画素あたりのトランジスタの数を増加させることなく、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0077】
(6トランジスタ構成の画素回路)
本開示の実施の形態として、続いて、6つのPチャネル型のトランジスタで構成する画素回路の例を説明する。図13は、本開示の実施の形態に係る画素回路の例を示す説明図である。図13に示した画素回路は、Pチャネル型のトランジスタT51、T52、T53、T54、T55、T56と、キャパシタCs1、Cs2と、有機EL素子ELと、を含んで構成される。図13に示した画素回路は、図5に示した画素回路をベースとするものである。また、図13には、Pチャネル型のトランジスタT57、T58が示されている。これらのトランジスタT57、T58は、トランスファーゲートTFの出力電圧をシフトさせるレベルシフト回路として機能する。
【0078】
トランジスタT51はゲートが信号線DSに接続されており、ドレインが有機EL素子ELのアノードに接続されており、ソースがトランジスタT52のドレインに接続されている。トランジスタT52は駆動トランジスタである。トランジスタT52のゲートには、トランジスタT53、T54、T56を介して映像信号Vsigが供給され、ソースが電源電圧VCCPに接続されている。トランジスタT53、T54は書込みトランジスタである。トランジスタT53はゲートが信号線WS1に接続されている。またトランジスタT53のソースは信号線171と接続されている。トランジスタT54はゲートが信号線WS2に接続されている。またトランジスタT54のソースはトランジスタT53のドレインと接続されている。トランジスタT55はゲートが信号線cmpに接続されている。トランジスタT56は、信号線171と容量線172との間に設けられており、ゲートが信号線Vg_RSTと接続されている。
【0079】
また、トランジスタT57は、信号線171への電位Vssの供給を制御するものであり、ゲートが信号線Vg_Vssに接続されている。トランジスタT58は、信号線171への電位Vofsの供給を制御するものであり、ゲートが信号線Vg_Vofsに接続されている。なお、Vofs>Vssであるとする。
【0080】
図13に示した画素回路は、図6に示した画素回路をベースとするものであるが、図8に示した画素回路とは異なり、図6に示した画素回路からトランジスタの数が増加していない。図13に示した画素回路は、トランジスタT53により、それぞれ、駆動トランジスタであるトランジスタT52のゲートと容量線172との間、トランジスタT52のドレインと容量線172との間、トランジスタT52のゲートとドレインとの間のトランジスタの数が2つになる。
【0081】
このように画素回路を構成することで、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0082】
図14は、図13に示した画素回路の駆動の様子を示す説明図である。図14を用いて図13に示した画素回路の駆動例を説明する。
【0083】
発光期間中の時刻t1の時点で、信号線Vg_Vss及び信号線Vg_RSTがハイからローになる。信号線Vg_Vss及び信号線Vg_RSTがハイからローになることで、それぞれ、トランジスタT57、T56がオンとなる。またこの時点では信号線DSがローであるため、トランジスタT51もオンとなっている。
【0084】
その後、時刻t2の時点で発光期間が終了し、消光時間に入る。時刻t2の時点で、信号線WS1及び信号線cmpがハイからローになる。信号線WS1及び信号線cmpがハイからローになることで、トランジスタT53、T55がオンとなる。トランジスタT53、T55がオンとなることで、トランジスタT51、T56がオンとなっていることにより、トランジスタT52のドレイン電位Vd及び有機EL素子ELのアノード電位VanodeがVssまで低下する。
【0085】
その後、時刻t3の時点で消光期間が終了し、Vth補正準備期間に入る。時刻t3の時点で、信号線DSがローからハイになり、信号線WS2がハイからローになり、信号線Vg_Vssがローからハイになり、信号線Vg_Vofsがハイからローになる。信号線DSがローからハイになることでトランジスタT51がオフになり、トランジスタT52のドレインと、有機EL素子ELのアノードとが切り離される。また信号線WS2がハイからローになることでトランジスタT54がオンになる。また信号線Vg_VssがローからハイになることでトランジスタT57がオフになる。また信号線Vg_VofsがハイからローになることでトランジスタT58がオンになる。
【0086】
これにより、トランジスタT52のゲート電位VgがVofsまで低下し、またトランジスタT52のドレイン電位VdがVofsまで上昇する。なお、トランジスタT51がオフになり、トランジスタT52のドレインと、有機EL素子ELのアノードとが切り離されているので、有機EL素子ELのアノード電位に変化はない。
【0087】
その後、時刻t4の時点でVth補正準備期間が終了し、Vth補正期間に入る。時刻t4の時点で、信号線Vg_Vofs及びVg_RSTがローからハイになる。信号線Vg_VofsがローからハイになることでトランジスタT58がオフになる。また信号線Vg_RSTがローからハイになることでトランジスタT56がオフになる。これにより、トランジスタT52のゲート電位Vg及びドレイン電位Vdが、電源電圧VCCPからトランジスタT52の閾値電圧Vthを引いた電位まで上昇する。
【0088】
その後、時刻t5の時点でVth補正期間が終了する。時刻t5の時点で信号線cmpがローからハイになる。信号線cmpがローからハイになることでトランジスタT55がオフになる。トランジスタT55がオフになることでトランジスタT52のドレインが容量線172から切り離される。
【0089】
その後、時刻t6の時点で信号書き込み期間に入る。時刻t6の時点で信号線Vg_Vsigがハイからローになる。信号線Vg_Vsigがハイからローになることで信号線171に映像信号の信号電圧Vsigが供給される。
【0090】
この時点では、引き続いてトランジスタT55がオフになっており、トランジスタT52のドレインが容量線172から切り離されている。従って、信号線171に信号電圧Vsigが供給されると、トランジスタT52のゲート電位VgとトランジスタT52のドレイン電位Vdとの電位差が映像信号の信号電圧Vsigになるまで、トランジスタT52のゲート電位Vgが低下する。これにより、トランジスタT52に映像信号が書き込まれる。
【0091】
その後、時刻t7の時点で信号書き込み期間が終了し、発光期間に入る。時刻t7の時点で、信号線DSがハイからローになる。また時刻t7の時点で、信号線WS1、WS2がローからハイになる。また時刻t7の時点で、信号線Vg_Vsigがローからハイになる。これにより、トランジスタT51がオンになり、トランジスタT53、T54がオフになり、信号線171への映像信号の供給が停止される。トランジスタT51がオンになることで、トランジスタT52のドレイン電位Vdと、有機EL素子ELのアノード電位Vanodeとが等しくなる。トランジスタT52のドレイン電位Vdが低下することで、トランジスタT52は電流を有機EL素子ELに流す。トランジスタT52から電流が流れることにより、有機EL素子ELが発光する。
【0092】
このように、図13に示した画素回路は、図6に示した画素回路から1画素あたりのトランジスタの数を増加させることなく、駆動トランジスタであるトランジスタT52の閾値電圧の補正を問題なく行うことが出来る。そして図13に示した画素回路は、図6に示した画素回路から1画素あたりのトランジスタの数を増加させることなく、駆動トランジスタのリーク電流を抑制し、静止画の表示中の輝度低下を抑制することが出来る。
【0093】
<2.まとめ>
以上説明したように本開示の実施の形態によれば、有機EL素子を用いた表示装置の画素回路において、駆動トランジスタのゲートノードと有機EL素子のアノードノードとの間を、トランジスタを介して接続し、さらに信号線などの複数画素で共有する配線との間にトランジスタを設けた画素回路が提供される。
【0094】
本開示の実施の形態に係る画素回路は、このようにトランジスタを設けることで、駆動トランジスタのゲートノードや、有機EL素子のアノードノードから、各種信号線までの間を2つのトランジスタで接続する。このようにノード間を2つのトランジスタで接続することにより、本開示の実施の形態に係る画素回路は、トランジスタの数を増加させずに、また、仮に増加させたとしても最低限の増加によって、リーク電流による各々のノードの動作点変動を抑制し、低周波数駆動時の輝度劣化を抑制することができる。
【0095】
そして、本開示の実施の形態に係る画素回路を備えた表示装置、及びそのような表示装置を備えた電子機器も同様に提供される。そのような電子機器には、テレビ、スマートフォン等の携帯電話、タブレット型携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生装置、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、腕時計型携帯端末、ウェアラブルデバイスなどがある。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0098】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
発光素子と、
前記発光素子へ電流を供給する駆動トランジスタと、
前記発光素子のアノードの電位を所定の電位に設定する第1リセットトランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲートノードでの信号電圧の書き込みを制御する第1書込みトランジスタと、
一端が前記駆動トランジスタのゲートノードに接続され、前記駆動トランジスタの閾値電圧を保持する保持容量と、
前記駆動トランジスタのゲートノードと、前記第1書込みトランジスタとの間に直列に接続される第2書込みトランジスタと、
を備える、画素回路。
(2)
前記駆動トランジスタと前記発光素子のアノードとの間の接続を制御する発光制御トランジスタをさらに備える、前記(1)に記載の画素回路。
(3)
前記信号電圧が供給される信号線と、前記駆動トランジスタの閾値電圧を補正する容量が接続される容量線との間に設けられる第2リセットトランジスタをさらに備える、前記(2)に記載の画素回路。
(4)
前記駆動トランジスタ、前記第1リセットトランジスタ、前記第1書込みトランジスタ、前記第2書込みトランジスタは、いずれもNチャネル型のトランジスタである、前記(1)~(3)のいずれかに記載の画素回路。
(5)
前記駆動トランジスタ、前記第1リセットトランジスタ、前記第1書込みトランジスタ、前記第2書込みトランジスタは、いずれもPチャネル型のトランジスタである、前記(1)~(3)のいずれかに記載の画素回路。
(6)
前記(1)~(5)のいずれかに記載の画素回路を備える、表示装置。
(7)
前記(6)に記載の表示装置を備える、電子機器。
(8)
発光素子と、
前記発光素子へ電流を供給する駆動トランジスタと、
前記発光素子のアノードの電位を所定の電位に設定する第1リセットトランジスタと、
前記駆動トランジスタのゲートノードでの信号電圧の書き込みを制御する第1書込みトランジスタと、
一端が前記駆動トランジスタのゲートノードに接続され、前記駆動トランジスタの閾値電圧を保持する保持容量と、
前記駆動トランジスタのゲートノードと、前記第1書込みトランジスタとの間に直列に接続される第2書込みトランジスタと、
を備える、画素回路において、
発光が終了した後の第1期間において、前記第1書込みトランジスタ及び前記第2書込みトランジスタをオンにして、
前記第1期間の後の第2期間において、前記駆動トランジスタの閾値電圧を補正し、
前記第2期間の後の第3期間において、前記駆動トランジスタに信号電圧を書込み、
前記第3期間の後の第4期間において、前記第1書込みトランジスタ及び第2書込みトランジスタをオフにして、前記駆動トランジスタを通じて前記発光素子に電流を流して前記発光素子を発光させる、画素回路の駆動方法。
(9)
前記第1期間において、前記第1書込みトランジスタをオンにした後に前記第2書込みトランジスタをオンにする、前記(8)に記載の画素回路の駆動方法。
(10)
前記画素回路は、前記駆動トランジスタと前記発光素子のアノードとの間の接続を制御する発光制御トランジスタをさらに備える、前記(8)または(9)に記載の画素回路の駆動方法。
(11)
前記画素回路は、前記信号電圧が供給される信号線と、前記駆動トランジスタの閾値電圧を補正する容量が接続される容量線との間に設けられる第2リセットトランジスタをさらに備える、前記(10)に記載の画素回路の駆動方法。
【符号の説明】
【0099】
100 :表示装置
110 :画素部
111B :画素
111G :画素
111R :画素
120 :水平セレクタ
130 :垂直スキャナ
131 :オートゼロスキャナ
132 :駆動スキャナ
133 :書き込みスキャナ
図1
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