(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】ジベル孔貫通判定システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241021BHJP
E04C 5/02 20060101ALI20241021BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20241021BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20241021BHJP
【FI】
G06F30/13
E04C5/02 ESW
E04G21/12 105Z
G06F30/20
(21)【出願番号】P 2024085139
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】木村 士温
(72)【発明者】
【氏名】秦 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】堀越 直樹
(72)【発明者】
【氏名】正司 明夫
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-031673(JP,A)
【文献】特開2021-127620(JP,A)
【文献】特開2019-185712(JP,A)
【文献】特開2016-045741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
E04C 5/02
E04G 21/12
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート内の鉄筋の位置を示す鉄筋情報と、前記コンクリートに設けるジベル孔の大きさを示すジベル孔情報と、前記ジベル孔のかぶり距離に関するかぶり情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記鉄筋の軸方向のジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとに基づく距離を間に有する、前記軸方向と垂直な二つの平面を示す平面情報を抽出する抽出手段と、
前記取得手段により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記軸方向と垂直な方向の前記
ジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとに基づく距離を範囲とする範囲情報を設定する設定手段と、
前記抽出手段により抽出された平面情報と前記設定手段により設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる前記鉄筋の有無を判定する判定手段とを備えること
を特徴とするジベル孔貫通判定システム。
【請求項2】
前記抽出手段により抽出された平面情報と前記設定手段により設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる鉄筋と、前記平面との交点を示す交点情報を算出する算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のジベル孔貫通判定システム。
【請求項3】
前記判定手段は、下記の(1)式に示すs
1、s
2、s
3、s
4、t
1、t
2、t
3、及びt
4の符号に基づいて、前記鉄筋の有無を判定すること
を特徴とする請求項1に記載のジベル孔貫通判定システム。
【数1】
【請求項4】
コンクリート内の鉄筋の位置を示す鉄筋情報と、前記コンクリートに設けるジベル孔の大きさを示すジベル孔情報と、前記ジベル孔のかぶり距離に関するかぶり情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記鉄筋の軸方向のジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとに基づく距離を間に有する、前記軸方向と垂直な二つの平面を示す平面情報を抽出する抽出ステップと、
前記取得ステップにより取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記軸方向と垂直な方向の前記
ジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとに基づく距離を範囲とする範囲情報を設定する設定ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された平面情報と前記設定ステップにより設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる前記鉄筋の有無を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするジベル孔貫通判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジベル孔貫通判定システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリートのズレ耐久を向上させるために、ジベルが設けられる。このジベルを設けるためのジベル孔をコンクリートに設計するために、例えば特許文献1に示すようなコンクリートに設ける孔の位置を特定するコンクリート部材の情報管理装置が必要とされている。
【0003】
特許文献1の開示技術によれば、建築物における鉄筋関連要素を有するコンクリート部材の情報を管理するための装置であって、前記コンクリート部材の管理対象箇所における鉄筋関連要素の位置を特定する位置情報を格納する位置情報格納手段と、前記管理対象箇所における鉄筋関連要素の管理条件を特定する条件情報を格納する条件情報格納手段と、前記位置情報格納手段に格納された位置情報と、前記条件情報格納手段に格納された条件情報とに基づいて、前記管理対象箇所における鉄筋関連要素を管理するための管理情報を生成する管理情報生成手段と、前記管理情報生成手段にて生成された管理情報を出力する出力手段と、を備えているコンクリート部材の情報管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、コンクリートに設ける孔としてジベル孔を扱うことを想定しておらず、例えばジベル孔の大きさとジベル孔のかぶり距離を考慮した切断範囲を設定することを考慮していない。このため、特許文献1の開示技術では、適切な範囲を自動的に設定することができないため、自動的に高精度にジベル孔の設定内の鉄筋の有無を判定することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、自動的に高精度にジベル孔の空間内の鉄筋の有無を判定することが可能なジベル孔貫通判定システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係るジベル孔貫通判定システムは、コンクリート内の鉄筋の位置を示す鉄筋情報と、前記コンクリートに設けるジベル孔の大きさを示すジベル孔情報と、前記ジベル孔のかぶり距離に関するかぶり情報とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記鉄筋の軸方向のジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとの距離を間に有する、前記軸方向と垂直な二つの平面を示す平面情報を抽出する抽出手段と、前記取得手段により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記軸方向と垂直な方向の前記ジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとの距離を範囲とする範囲情報を設定する設定手段と、前記抽出手段により抽出された平面情報と前記設定手段により設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる前記鉄筋の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係るジベル孔貫通判定システムは、第1発明において、前記抽出手段により抽出された平面情報と前記設定手段により設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる鉄筋と、前記平面との交点を示す交点情報を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係るジベル孔貫通判定システムは、第1発明において、前記判定手段は、下記の(1)式に示すs
1、s
2、s
3、s
4、t
1、t
2、t
3、及びt
4の符号に基づいて、前記鉄筋の有無を判定することを特徴とする。
【数1】
【0010】
第4発明に係るジベル孔貫通判定プログラムは、コンクリート内の鉄筋の位置を示す鉄筋情報と、前記コンクリートに設けるジベル孔の大きさを示すジベル孔情報と、前記ジベル孔のかぶり距離に関するかぶり情報とを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記鉄筋の軸方向のジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとの距離を間に有する、前記軸方向と垂直な二つの平面を示す平面情報を抽出する抽出ステップと、前記取得ステップにより取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、前記軸方向と垂直な方向の前記ジベル孔の大きさと前記ジベル孔のかぶりとの距離を範囲とする範囲情報を設定する設定ステップと、前記抽出ステップにより抽出された平面情報と前記設定ステップにより設定された範囲情報とに基づく空間に含まれる前記鉄筋の有無を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明~第4発明によれば、本発明のジベル孔貫通判定システム及びジベル孔貫通判定プログラムは、鉄筋の軸方向のジベル孔の大きさとジベル孔のかぶりとに基づく距離を間に有する、軸方向と垂直な二つの平面を抽出し、孔の大きさ及びジベル孔のかぶりとに基づく距離を範囲とする切断範囲を設定し、平面と切断範囲とからなる空間に含まれる鉄筋の有無を判定する。これにより、ジベル孔の大きさとジベル孔のかぶり距離とを考慮した切断範囲を設定することが可能となる。このため、自動的に高精度に範囲内の鉄筋の有無を判定することができる。
【0012】
第2発明によれば、本発明のジベル孔貫通判定システムは、平面と切断範囲とからなる空間に含まれる鉄筋と、平面との交点を示す交点情報を算出する。これにより、自動的に交点の座標等を算出することが可能となる。
【0013】
第3発明によれば、本発明のジベル孔貫通判定システムはs1、s2、s3、s4、t1、t2、t3、及びt4の符号に基づいて、鉄筋の有無を判定する。これにより、例えば(1)式におけるs1、s2、s3、s4、t1、t2、t3、及びt4のいずれかの符号が正になった場合に鉄筋と平面の交点が範囲内にあることを判定することが可能となるため、より高精度に鉄筋の有無を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における3次元仮想空間上のコンクリートの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置の機能の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定システムの動作のフローチャートの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における平面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した実施形態におけるジベル孔貫通判定システムの一例について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、ジベル孔貫通判定システム100の構成の一例を示す模式図である。ジベル孔貫通判定システム100は、例えば
図1に示すように、ジベル孔貫通判定装置1と、サーバ3と、ユーザ端末2とが公共通信網4を介して接続される。また、ジベル孔貫通判定システム100は、ジベル孔貫通判定装置1のみを備えていてもよい。また、ジベル孔貫通判定システム100は、図示しないカメラ等を備えていてもよい。
【0017】
サーバ3は、ジベル孔貫通判定装置1等から送信された各種データを記憶する記憶媒体である。また、サーバ3は、必要に応じて記憶した各種データをジベル孔貫通判定装置1、及びユーザ端末2に送信する。サーバ3は、例えばジベル孔貫通判定装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよく、例えばジベル孔貫通判定装置1の代わりに少なくとも一部の処理を行ってもよい。
【0018】
公共通信網4は、例えばジベル孔貫通判定装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。公共通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、公共通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。ユーザ端末2は、例えばジベル孔貫通判定システム100を用いたサービスのユーザ等が保有し、公共通信網4を介してジベル孔貫通判定装置1と接続される。ユーザ端末2は、例えばデータベースを生成する電子機器を示してもよい。ユーザ端末2は、例えばパーソナルコンピュータや、タブレット端末等の電子機器が用いられる。ユーザ端末2は、例えばジベル孔貫通判定装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。ユーザ端末2は、ユーザに算出結果を提示できる図示しないディスプレイ、又はスピーカを備えていてもよい。
【0019】
ジベル孔貫通判定装置1は、入力された各種情報に基づいて、それぞれ処理を行う。ジベル孔貫通判定装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよい。
【0020】
ジベル孔貫通判定装置1は、
図2に示すように、3次元仮想空間上の設けられたコンクリート5に設けるジベル孔20の切断範囲からなる空間Hに含まれる鉄筋21の有無を判定する。ジベル孔20は、例えば鉄鋼ジベル等を設けるための孔である。
【0021】
次に、
図3、4を参照して、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置1の一例を説明する。
図3は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置1の構成の一例を示す模式図であり、
図4は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0022】
ジベル孔貫通判定装置1は、例えば
図3に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。CPU101と、ROM102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とは、内部バス110により接続される。
【0023】
CPU101は、ジベル孔貫通判定装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、各種情報が保存される。保存部104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やSDカード、miniSDカード等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えばジベル孔貫通判定装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0024】
I/F105は、公共通信網4を介して各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、ジベル孔貫通判定装置1を利用するユーザ等は、入力部108を介して、各種情報又はジベル孔貫通判定装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又はジベル孔貫通判定装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0025】
保存部104は、例えば公共通信網4を介して送信された、又は入力部108を介して入力された各種情報が記憶されるほか、各種処理に用いられるアルゴリズム、プログラム等が記憶される。
【0026】
表示部109は、各種情報を表示する。表示部109は、例えば算出結果、画像等を表示する。
【0027】
図4は、ジベル孔貫通判定装置1の機能の一例を示す模式図である。ジベル孔貫通判定装置1は、取得部11と、取得部11に接続された抽出部12と、抽出部12に接続された設定部13と、設定部13に接続された判定部14と、判定部14に接続された算出部15とを備える。なお、
図4に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0028】
取得部11は、
図2に示すようにコンクリート5の鉄筋21の位置を示す鉄筋情報、ジベル孔20の大きさに関するジベル孔情報、ジベル孔20のかぶり距離に関するかぶり情報等の各種情報を取得する。取得部11は、例えば図示しないカメラが撮像した画像やサーバ3から送信された情報を、公共通信網4を介して取得し、取得した画像に基づいて各種情報取得してもよい。また、取得部11は、入力部108を介して入力された情報を取得してもよい。なお、取得部11が各種情報を取得する頻度、及び周期は、任意である。取得部11は、例えば3次元仮想空間上のコンクリート5の形状や大きさ、座標等の情報から抽出した情報を取得してもよい。
【0029】
抽出部12は、取得部11により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、鉄筋21の軸方向yのジベル孔20の大きさと鉄筋21のかぶりとに基づく距離を間に有する、軸方向yと垂直な二つの平面F、Gを示す平面情報を抽出する。
【0030】
設定部13は、取得部11により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、軸方向yと垂直な方向xのジベル孔20の大きさ及び鉄筋21のかぶりとに基づく距離を範囲Wとする範囲情報を設定する。
【0031】
判定部14は、抽出部12により抽出された平面情報と、設定部13により設定された範囲情報と、に基づく空間Hに含まれる鉄筋21の有無を判定する。
【0032】
算出部15は、抽出部12により抽出された平面情報と、設定部13により設定された範囲情報と、に基づく空間Hに含まれる鉄筋21と、平面F、Gとの交点C、Nを示す交点情報を算出する。
【0033】
次に、本実施形態におけるジベル孔貫通判定システム100の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態におけるジベル孔貫通判定システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、ステップS11において、取得部11は、
図2に示すように、コンクリート5の鉄筋21の位置を示す鉄筋情報と、コンクリート5に設けるジベル孔20の大きさに関するジベル孔情報とジベル孔20のかぶり距離に関するかぶり情報とを取得する。また、取得部11は、例えばサーバ3に記憶されている各種情報を、公共通信網4を介して取得してもよい。鉄筋情報は、鉄筋21の座標、径の大きさ、長さ、及び軸方向y等を示す情報である。ジベル孔情報は、ジベル孔20の大きさを示す情報である。ジベル孔情報は、例えばジベル孔20の垂直方向xの径J1と、軸方向yの径K1のそれぞれの径の大きさを含んでもよい。かぶり情報は、ジベル孔20の周りに設けられるかぶりの距離等の情報を示す。かぶり情報は、例えば垂直方向xのかぶり距離J2と、軸方向yのかぶり距離K2の情報が含まれてもよい。また、かぶり情報は、例えば垂直方向xのかぶり距離J2の2倍の距離と、軸方向yのかぶり距離K2の2倍の距離との情報であってもよい。ジベル孔20は、立方体、円柱等の任意の立体形状であってもよい。
【0035】
次に、ステップS12において、抽出部12は、ステップS11により取得部11により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、鉄筋21の軸方向yのジベル孔20の大きさとジベル孔20のかぶりとに基づく距離を間に有する、軸方向yと垂直な二つの平面G、Fを抽出する。平面G、Fは、例えば軸方向yと垂直な平面であり、ジベル孔20の中心を中間とし、軸方向yの距離がK1+2K2だけ離れている。抽出部12は、例えばジベル孔の中心から軸方向yに0.5K1+K2だけ離れた点を含む軸方向yに垂直な平面を平面Gとし、ジベル孔の中心から軸方向yと反対方向に0.5K1+K2だけ離れた点を含む軸方向yに垂直な平面を平面Fとして抽出する。また、ステップS12において、抽出部12は、任意の位置にジベル孔20の中心を設定してもよい。
【0036】
次に、ステップS13において、設定部13は、ステップS11により取得部11により取得されたジベル孔情報とかぶり情報とに基づいて、軸方向yと垂直な方向である垂直方向xのジベル孔20の大きさJ1及びジベル孔20のかぶりとに基づく距離J2を範囲Wとする切断範囲を設定する。設定部13は、例えばジベル孔の中心を中間とする距離がJ1+2J2の範囲Wを切断範囲として設定してもよい。
【0037】
次に、ステップS14において、判定部14は、ステップS12により抽出された平面G、FとステップS13により設定された範囲Wとからなる空間Hに含まれる鉄筋21の有無を判定する。判定部14は、例えば各ベクトルV上の点Pから各ベクトルU上の点QへのベクトルPQと各ベクトルVの内積及び各ベクトルUの内積が0となる場合の点P、点Qを求めてもよい。かかる場合、判定部14は、
図6に示すように、例えば下記の(1)式に示すs
1、s
2、s
3、s
4、t
1、t
2、t
3、及びt
4の符号に基づいて、鉄筋21の有無を判定する。ステップS14において、判定部14は、(1)式に示すs
1、s
2、s
3、s
4、t
1、t
2、t
3、及びt
4のうちの何れか符号が正である場合、鉄筋21が空間Hに含まれると判定し、符号が全て負の場合、鉄筋21が空間Hに含まれないと判定する。また、かかる場合、ベクトルの長さが0とならないように、ベクトル長を持つ垂線ベクトルを何れかに加えてもよい。これにより、計算処理過程にて、分母が0となることがなくなるため、処理を簡易的にすることが可能となる。
【数2】
【0038】
次に、ステップS15において、算出部15は、平面F、Gと空間Hに含まれる鉄筋21との交点C、Nを示す交点情報を算出する。交点情報は、ステップS14により空間Hに含まれると判定された鉄筋21と平面F、Gとの交点C、N座標等を示す情報である。算出部15は、例えば鉄筋情報に含まれる鉄筋21の位置と平面情報に含まれる平面F、Gの位置に基づいて、交点情報を算出してもよい。また、ステップS15において、算出部15は、鉄筋21の切断範囲を決定してもよい。かかる場合、算出部15は、平面F、G、又は空間Hに含まれる部分の鉄筋21を切断してもよい。
【0039】
これにより、本実施形態におけるジベル孔貫通判定装置1の動作が終了する。ジベル孔貫通判定システム100は、二つの平面F、Gを抽出し、範囲Wを設定し、平面F、Gと範囲Wとからなる空間Hに含まれる鉄筋21の有無を判定する。これにより、ジベル孔20の大きさとかぶり距離を考慮した切断範囲を設定することが可能となる。このため、自動的に高精度に範囲内の鉄筋の有無を判定することができる。
【0040】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 :ジベル孔貫通判定装置
2 :ユーザ端末
3 :サーバ
4 :公共通信網
5 :コンクリート
10 :筐体
11 :取得部
12 :抽出部
13 :設定部
14 :判定部
15 :算出部
20 :ジベル孔
21 :鉄筋
100 :ジベル孔貫通判定システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
【要約】
【課題】折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することができる折り曲げ鉄筋交点算出システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】折り曲げ鉄筋交点算出システムは、湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得手段と、前記断面取得手段により取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出手段と、前記中心軸取得手段により取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2