(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-18
(45)【発行日】2024-10-28
(54)【発明の名称】端末装置、基地局装置、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/24 20090101AFI20241021BHJP
H04W 8/24 20090101ALI20241021BHJP
H04W 72/231 20230101ALI20241021BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20241021BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20241021BHJP
【FI】
H04W52/24
H04W8/24
H04W72/231
H04W72/0446
H04W72/0453
(21)【出願番号】P 2024515238
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2022017717
(87)【国際公開番号】W WO2023199433
(87)【国際公開日】2023-10-19
【審査請求日】2024-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】木原 賢一
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/070380(WO,A1)
【文献】特開2014-075823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、
前記基地局装置との間で無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続状態にあるときに、該基地局装置から、RRCシグナリングを介して、前記端末装置の最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を受信する受信部と、
前記送信電力情報に基づいて、送信電力値及び送信デューティ比を制御する送信制御部と、
前記送信電力値及び前記送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式を用いて前記基地局装置への上りリンクの送信を行う送信部と、を備
え、
前記送信電力情報は、前記端末装置の前記最大送信電力値の使用の可否を示す使用可否情報を含み、
前記送信制御部は、前記使用可否情報に基づいて、前記送信電力値及び前記送信デューティ比を制御する、
端末装置。
【請求項2】
前記送信電力情報は、前記送信電力値を示す送信電力値情報を含む、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記RRC接続状態にあるときに、前記端末装置のパワークラスを示す
パワークラス情報を前記基地局装置に送信する、
請求項1
又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
端末装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記端末装置との間で無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続状態にあるときに、該端末装置のパワークラスを示すパワークラス情報を取得する取得部と、
前記パワークラス情報と、前記端末装置との間の無線通信の品質を示す無線通信品質情報とに基づいて、前記端末装置の最大送信電力値を決定する決定部と、
RRCシグナリングを介して、前記決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を前記端末装置に送信する送信部と、を備える、
基地局装置。
【請求項5】
所定の周波数帯を用いて前記端末装置との間で接続状態にあり、
前記決定部は、前記パワークラス情報及び前記無線通信品質情報と、前記所定の周波数帯における無線リソースに関する無線リソース情報とに基づいて、前記端末装置の最大送信電力値を決定する、
請求項
4に記載の基地局装置。
【請求項6】
基地局装置と無線通信を行う端末装置に使用される無線通信方法であって、
前記基地局装置との間で無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続状態にあるときに、該基地局装置から、RRCシグナリングを介して、前記端末装置の最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を受信することと、
前記送信電力情報に基づいて、送信電力値及び送信デューティ比を制御することと、
前記送信電力値及び前記送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式を用いて前記基地局装置への上りリンクの送信を行うことと、を含
み、
前記送信電力情報は、前記端末装置の前記最大送信電力値の使用の可否を示す使用可否情報を含み、
前記御部することは、前記使用可否情報に基づいて、前記送信電力値及び前記送信デューティ比を制御することを含む、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、基地局装置、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)において、第5世代(5G:Fifth Generation)のセルラー通信システムに向けた新しい無線アクセス技術であるNR(New Radio)の検討が行われている。NRは、第4世代のセルラー通信システムであるLTE(Long Term Evolution)-Advancedよりも、多種多様なサービスを実現可能とするための技術として検討されている。例えば、NRでは高速・大容量通信を実現するeMBB(enhanced Mobile Broad Band)、超高信頼・低遅延通信を実現するURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)、及びIoT(Internet of Things)デバイスの多数同時接続を実現するmMTC(massive Machine Type Communication)といった、用途の異なる利用シナリオが実現要件として定められている。
【0003】
近年、例えばパワークラス2(PC2)やパワークラス1.5(PC1.5)等、従来と比較して送信電力の最大値(上限値)の高いハイパワー端末装置(HPUE: High Power User Equipment)が導入されてきている。そのため、NRにおいても、このようなハイパワー端末装置との通信制御方式が検討されている。(非特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】3GPP規格書「TS 38.101-1 V17.4.0 (2021-12)」
【文献】3GPP規格書「TS 38.861 V17.0.0 (2021-09)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、端末装置の送信電力値は、SAR(Specific Absorption Rate)による規制を受けることになる。周波数分割複信方式に従って送信する場合、SAR規制を満たすために、デューティ比を制限しつつ、送信電力を高める必要がある。
【0006】
しかしながら、基地局装置及び端末装置の状況によっては、たとえハイパワー端末装置であっても、デューティ比を抑えて送信電力を高くするより、従来の送信電力のまま、高いデューティ比を維持する方が、スループットを向上できる端末装置が存在したり、無線通信システム全体の通信データ量を増加できる状況が存在したりする。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、状況に応じてスループットを向上させることのできる端末装置、基地局装置、及び無線通信方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る端末装置は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、基地局装置との間で接続状態にあるときに、該基地局装置から端末装置の最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を受信する受信部と、送信電力情報に基づいて、送信電力値及び送信デューティ比を制御する送信制御部と、送信電力値及び送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式を用いて基地局装置への上りリンクの送信を行う送信部と、を備える。
【0009】
本発明の一側面に係る基地局装置は、端末装置と無線通信を行う基地局装置であって、端末装置との間で接続状態にあるときに、該端末装置のパワークラスを示すパワークラス情報を取得する取得部と、パワークラス情報と、端末装置との間の無線通信の品質を示す無線通信品質情報とに基づいて、端末装置の最大送信電力値を決定する決定部と、決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を端末装置に送信する送信部と、を備える。
【0010】
本発明の一側面に係る無線通信方法は、基地局装置と無線通信を行う端末装置に使用される無線通信方法であって、基地局装置との間で接続状態にあるときに、該基地局装置から端末装置の最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を受信することと、送信電力情報に基づいて、送信電力値及び送信デューティ比を制御することと、送信電力値及び送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式を用いて基地局装置への上りリンクの送信を行うことと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、状況に応じてスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態における無線通信システムの概略構成の一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態における端末装置及び基地局装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の具体例における無線通信システムを示す構成図である。
【
図4】
図4は、一実施形態における端末装置がFDDを用いて基地局装置と無線通信を行う際の無線フレームの一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、一実施形態における端末装置がFDDを用いて基地局装置と無線通信を行う際の無線フレームの他の例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、一実施形態における端末装置の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。
【
図7】
図7は、一実施形態における基地局装置の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。
【
図8】
図8は、一実施形態における無線通信システムが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。
【
図9】
図9は、一実施形態における無線通信システムが行う処理手順の他の例を説明するためのタイムチャートである。
【
図10】
図10は、一実施形態における端末装置が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、一実施形態における基地局装置が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0014】
まず、
図1を参照しつつ、一実施形態に従う無線通信システムの概略構成について説明する。
図1は、第1実施形態における無線通信システム100の概略構成の一例を示す構成図である。
【0015】
図1に示すように、無線通信システム100は、端末装置10-1から端末装置10-mと、基地局装置50-1から基地局装置50-nと、コアネットワーク装置90と、を含んで構成される。
【0016】
無線通信システム100は、例えばNRを対象とする無線通信システムである。なお、本発明は、少なくとも端末装置と基地局装置とを備える無線通信システムであれば適用可能であり、NRを対象とするものに限定されない。例えば、本発明はLTEやLTE-Advancedに対しても適用可能である。また、無線通信システムの一部にNRを用いる無線通信システムにおいても適用可能である。以降において、LTEとLTE-AdvancedのことをE-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)ともいうが、その意味は同じである。基地局装置が形成するエリア(カバーエリア)をセルといい、E-UTRA及びNRは、複数セルにより構築されるセルラー通信システムである。本実施形態に係る無線通信システムは、TDD(Time Division Duplex)とFDD(Frequency Division Duplex)のどちらの方式を適用しても良く、セルごとに異なる方式が適用されてもよい。
【0017】
端末装置10-1から端末装置10-mは、それぞれ、基地局装置50-1から基地局装置50-nのいずれか1つと無線接続する。また、端末装置10-1から端末装置10-mのそれぞれは、基地局装置50-1から基地局装置50-nのうちの2つ以上と同時に無線接続してもよい。基地局装置50-1から基地局装置50-nは、それぞれ、E-UTRA、あるいはNRを用いることができる。例えば、基地局装置50-1がNRを使用し、基地局装置50-nがE-UTRAを使用してもよいし、その逆でもよい。E-UTRAにおける基地局装置をeNB(evolved NodeB)、NRにおける基地局装置をgNB(g-NodeB)という。以降において、基地局装置と記載した場合はeNBとgNBとの両方を含む意味である。また、E-UTRA及びNRにおける端末装置をUE(User Equipment)という。NRにおける基地局装置gNBは、その使用する周波数帯の帯域幅の一部(BWP: BandWidth part)を用いて端末装置と接続してもよい。以降において、セルと記載した場合はBWPを含むものとする。
【0018】
なお、
図1には、m台(mは2以上の整数)の端末装置として、端末装置10-1から端末装置10-mを図示している。以下の説明において、これらm台の端末装置を区別することなく説明する場合には、符号の一部を省略して、単に「端末装置10」という。また、
図1には、n台(nは2以上の整数)の基地局装置として、基地局装置50-1から基地局装置50-nを図示している。以下の説明において、これらn台の基地局装置を区別することなく説明する場合には、符号の一部を省略して、単に「基地局装置50」という。
【0019】
端末装置10は、例えば、基地局装置50とセル単位で接続され、複数のセルを用いた接続、例えばキャリアアグリゲーションされてもよい。端末装置10が複数の基地局装置を介して接続される場合、つまり、デュアルコネクティビティの場合、初期接続される基地局装置をマスターノード(MN: Master Node)、追加で接続される基地局装置をセカンダリノード(SN: Secondary Node)という。基地局装置間は、基地局インターフェースにより接続されている。また、基地局装置50とコアネットワーク装置90とは、コアインターフェースにより接続されている。基地局インターフェースは、ハンドオーバーや基地局装置間の連携動作に必要な制御信号をやり取りするためなどに使用される。
【0020】
コアネットワーク装置90は、例えば、基地局装置50を配下に持ち、基地局装置間の負荷制御や、端末装置10の呼び出し(ページング)、位置登録などの移動制御を主に取り扱う。NRでは、コアネットワーク装置90において、制御プレーン(C-plane)の機能群として、モビリティを管理するAMF(Access and Mobility Management Function)、セッションを管理するSMF(Session Management Function)とを規定している。E-UTRAでは、AMFに対応するMME(Mobility Management Entity)を規定している。
【0021】
なお、
図1では、コアネットワーク装置90が1つの装置で構成される例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、コアネットワーク装置は、サーバー、ゲートウェイ等を含み、複数の装置で構成されていてもよい。
【0022】
端末装置10と基地局装置50とは、無線リソース制御(RRC: Radio Resource Control)層において、RRCメッセージを送受信し、セッション処理(接続シーケンスともいう)を進める。セッション処理を進めると、端末装置10は、アイドル状態(RRC Idle)から、基地局装置50への接続状態(RRC Connected)に変わる。アイドル状態は、端末装置10の待ち受け状態に相当する。
【0023】
また、端末装置10と基地局装置50は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層において、MAC制御要素(MAC CE: MAC Control Element)を送受信する。RRCメッセージは、RRC PDU(Protocol Data Unit)として送信され、マッピングされる論理チャネルとして、共通制御チャネル(CCCH: Common Control Channel)、個別制御チャネル(DCCH: Dedicated Control Channel)、ページング制御チャネル(PCCH: Paging Control Channel)、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH: Broadcast Control Channel)、又は、マルチキャスト制御チャネル(MCCH: Multicast Control Channel)が用いられる。MAC CEは、MAC PDU(又は、MACsubPDU)として送信される。MAC subPDUは、MAC層におけるサービスデータユニット(SDU: Service Data Unit)に、例えば8ビットのヘッダーを加えたものに等しく、MAC PDUは、一つ以上のMAC subPDUを含む。
【0024】
本実施形態に関わる物理チャネルおよび物理シグナルについて説明する。本発明の実施形態に関わる物理チャネルのうち、物理報知チャネル(PBCH: Physical Broadcast Channel)、プライマリ同期信号(PSS: Primary Synchronization Signal)、セカンダリ同期信号(SSS: Secondary Synchronization Signal)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access Channel)、及び物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control Channel)について以下に説明する。なお、実施形態に係る無線通信システムにおいて、他に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control Channel)、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared Channel)、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared Channel)、サウンディング参照信号(SRS: Sounding Reference Signal)、復調参照信号(DMRS: Demodulation Reference Signal)が少なくとも存在するが、詳細な説明を省略する。
【0025】
<物理報知チャネル(PBCH)>
物理報知チャネル(PBCH)は、基地局装置から端末装置に対して送信され、基地局装置の配下のセルにおける共通パラメータ(システムインフォメーション)を通知するために使用される。システムインフォメーションは、更にマスターインフォメーションブロック(MIB: Master Information Block)とシステムインフォメーションブロック(SIB: System Information Block)に分類される。なお、システムインフォメーションブロックは、更にSIB1、SIB2、・・・のように細分化されて送信される。システムインフォメーションはセルに接続するために必要な情報が含まれており、例えばMIBにはシステムフレーム番号やセルへのキャンプオン可否を示す情報等が含まれている。また、SIB1には、セルの品質を計算するためのパラメータ(セル選択パラメータ)、セル共通のチャネル情報(ランダムアクセス制御情報、PUCCH制御情報、PUSCH制御情報)、その他のシステムインフォメーションのスケジューリング情報などが含まれている。また、物理報知チャネル(PBCH)は、同期信号ブロック(SSB: Synchronization Signal Block(あるいはSS/PBSH))として、プライマリ同期信号(PSS)及びセカンダリ同期信号(SSS)から構成される同期信号とセットとなって周期的に送信される。端末装置10は、同期信号ブロック(SSB)を受信することによって、セル識別子(セルID)情報や受信タイミングの取得に加え、当該セルの信号の品質を測定することができる。
【0026】
物理報知チャネル(PBCH)等によって通知されるシステムインフォメーションは、「システム報知情報」又は「報知情報」とも呼ばれる。また、セルにキャンプオンするとは、端末装置がセル選択(cell selection)及び/又はセル再選択(cell reselection)を完了し、当該端末装置がシステム報知情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態になることをいう。端末装置は、キャンプオンしたセルを形成する基地局装置との間で、前述したRRC接続を確立する。
【0027】
<プライマリ同期信号(PSS)>
プライマリ同期信号(PSS)は、端末装置が基地局装置の下り信号の受信シンボルタイミング及び周波数に同期するために使用される。プライマリ同期信号(PSS)は、端末装置が基地局装置のセルを検出する手順(以下、「セルサーチ手順」ともいう)において、最初に検出を試みる信号である。プライマリ同期信号(PSS)は、物理セルIDに基づいて、「0」~「2」の3通りの信号が繰り返し利用される。なお、物理セルIDは、物理的なセルの識別子であり、E-UTRAでは504通りのIDが使用され、NRでは1008通りのIDが使用される。
【0028】
<セカンダリ同期信号(SSS)>
セカンダリ同期信号(SSS)は、端末装置が基地局装置の物理IDを検出するために使用される。具体的には、セカンダリ同期信号(SSS)は、端末装置がセルサーチ手順において、物理セルIDを検出するための信号である。セカンダリ同期信号(SSS)は、物理セルIDに基づいて、E-UTRAでは「0」~「167」の168通り、NRでは「0」から「335」までの336通りの信号が繰り返し利用される。
【0029】
<物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)>
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、端末装置10が、ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置50に送信するために用いられる。物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、一般的に端末装置10と基地局装置50との間で上りリンク同期が確立していない状態において使用され、送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス)や上りリンクの無線リソース要求に用いられる。ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な無線リソースを示す情報は、報知情報やRRCメッセージを用いて端末に送信される。
【0030】
<物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)>
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、端末装置10に対し、下りリンク制御情報(DCI: Downlink Control Information)を通知するために基地局装置50から送信される。下りリンク制御情報は、端末装置10が使用可能な上りリンクの無線リソース情報(上りリンクグラント(UL grant))、又は、下りリンクの無線リソース情報(下りリンクグラント(DL grant))を含む。下りリンクグラントは、物理下りリンク共有データチャネル(PDSCH)のスケジューリングを示す情報である。上りリンクグラントは、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)のスケジューリングを示す情報である。物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)がランダムアクセスプリアンブルの応答として送信される場合、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)によって示される物理下りリンク共有データチャネル(PDSCH)はランダムアクセスレスポンスであり、ランダムアクセスプリアンブルのインデックス情報、送信タイミング調整情報、上りリンクグラントなどが含まれる。
【0031】
<ハードウェア構成>
次に、
図2を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置及び基地局装置のハードウェア構成について説明する。
図2は、一実施形態における端末装置10及び基地局装置50のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0032】
図2に示すように、端末装置10及び基地局装置50は、それぞれ、例えば、プロセッサ21、メモリ22、記憶装置23、通信装置24、入力装置25、出力装置26、及びアンテナ27を備える。
【0033】
プロセッサ21は、端末装置10又は基地局装置50の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、APU(Accelerated Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等の集積回路を含んで構成される。
【0034】
メモリ22及び記憶装置23は、それぞれ、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。記憶装置23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0035】
通信装置24は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行うように構成されている。通信装置24は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール等を含んで構成される。また、通信装置24には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んで構成されていてもよい。
【0036】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A(Digital to Analog)変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナ27から送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナ27から受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D(Analog to Digital)変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0037】
入力装置25は、ユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置25は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、及び/又はマイク等を含んで構成される。
【0038】
出力装置26は、情報を出力するように構成されている。出力装置26は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示装置、及び/又はスピーカ等を含んで構成される。
【0039】
アンテナ27は、1つ又は複数の所定の周波数帯で、電波(電磁波)を放射(輻射)及び受波できるように構成されている。アンテナ27は、指向性のない、つまり、無指向性を有するものであってもよい。無指向性のアンテナ27は、水平面内、垂直面内、又は水平面ない及び垂直面内の両方において、360度全ての方向からの利得がほぼ同等である。
【0040】
なお、アンテナ27は、1本である場合に限定されるものではない。基地局装置50が複数本のアンテナを備える場合、例えば、送信用アンテナと受信用アンテナとに分けてもよい。また、複数本のアンテナを送信用アンテナと受信用アンテナとに分ける場合、少なくとも一方が複数本のアンテナを含んでいてもよい。なお、基地局装置50が複数本の送受信用アンテナ又は送信用アンテナを備える場合、後述するビームフォーミングの技術を利用することができる。
【0041】
また、端末装置10及び基地局装置50は、図示を省略するが、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、方位センサ、重力センサ、温度センサ、加速度センサ等の各種のセンサ、指紋、網膜、虹彩、顔、声紋等の各種の生体認証機能、カメラ、マイク、スピーカ、ライト等の各種のデバイス、接続端子を含む入出力インターフェース等のうち、少なくとも1つをさらに備えていてもよい。
【0042】
<無線通信システムの具体例>
次に、
図3を参照しつつ、一実施形態に従う無線通信システムの具体例について説明する。
図3は、一実施形態の具体例における無線通信システム100Aを示す構成図である。なお、
図3では、無線通信システム100Aが備えるコアネットワーク装置90の描画を省略している。
【0043】
図3に示すように、無線通信システム100Aは、1つの基地局装置50-1と、2つの端末装置10-1,10-2とを含んで構成される。基地局装置50-1は、例えば半径数百メートルから十数キロメートルのカバレッジエリアを有するセルC1を形成する。基地局装置50-1は、自己が形成するセル内に存在(「在圏」ともいう)する端末装置10-1,10-2との間で無線通信を行い、端末装置10-1,10-2に移動体通信サービスを提供しようとする。
【0044】
端末装置10-1,10-2は、同一又は略同一の端末装置である。
図3に示す例では、端末装置10-1が基地局装置50-1のセルC1におけるエッジ付近に位置しているのに対し、端末装置10-1が基地局装置50-1の近くに位置している。端末装置10-1,10-2は、それぞれ、従来よりも高出力、つまり、最大送信電力値の高い端末装置である。具体的には、端末装置10-1,10-2は、それぞれ、例えばパワークラス2(PC2)であり、最大送信電力値が26dBmである。
【0045】
近年、端末装置10-1,10-2のようなハイパワー端末装置(HPUE)が導入されており、
図3に示す無線通信システム100Aにおいて、セルC1のカバレッジエリアの拡大や、基地局装置50-1と端末装置10-1,10-2との間の無線通信におけるスループットの向上等が期待されている。
【0046】
一方、各国の法令、規則により、所定周波数の電波を発する無線設備は、人体に近接して使用する場合、当該無線設備から発射される電波の人体における比吸収率(「SAR(Specific Absorption Rate)」ともいう)が、所定の値を満たすことが義務付けられている。例えば局所SARの場合、人が電波にさらされたときに任意の10g当たりの組織において6分間に吸収されるエネルギー量の時間平均の値である基準値が規定されている。そのため、ハイパワー端末装置は、このSARの規制を満たす範囲内で、送信電力を高めることができる。
【0047】
また、基地局装置と端末装置との双方向通信では、上りチャネルと下りチャネルの上下回線を実現する方法として、複信技術(「デュープレックス技術」ともいう)が知られている。一般に、複信技術は、時分割複信(TDD: Time Division Duplex)(以下、「TDD」という)と、周波数分割複信(FDD: Frequency Division Duplex)(以下、「FDD」という)との2つの方式に大別される。
【0048】
ここで、
図4及び
図5を参照しつつ、一実施形態に従う無線通信システムのFDDを用いる無線フレームについて説明する。
図4は、一実施形態における端末装置10-1,10-2がFDDを用いて基地局装置50-1と無線通信を行う際の無線フレームの一例を説明するための図である。
図5は、一実施形態における端末装置10-1,10-2がFDDを用いて基地局装置50-1と無線通信を行う際の無線フレームの他の例を説明するための図である。
【0049】
図4に示すように、FDDは、上りチャネルと下りチャネルとが互いに異なる周波数であり、上りと下りを同時に伝送することが可能となっている。NRでは、無線フレームは、時間軸方向の長さが10msであり、10個のサブフレームから構成されている。各サブフレームは、時間軸方向の長さが1msであり、1個又は複数のスロット(図示省略)から構成されている。
【0050】
前述したSARによる規制を満たす限り、FDDでは、
図4に示すように、各無線フレームにおけるデューティ比(「時間率」ともいう)が1(100%)の伝送が可能である。
【0051】
これに対し、
図5に示すように、上りチャネルにおいて、送信電力を例えば2倍にすると、SARによる規制を満たすために、各無線フレームのデューティ比を例えば1/2に制限する必要が生じる。すなわち、各無線フレームにおいて、意図的に送信しないサブフレームを設定する制御を行うことになる。
【0052】
このように、SAR規制を満たすために、FDDでは、デューティ比を制限しつつ、送信電力を高める必要がある。そのため、基地局装置及び端末装置の状況によっては、たとえハイパワー端末装置であっても、デューティ比を抑えて送信電力を高くするより、従来の送信電力のまま、高いデューティ比を維持する方が、スループットを向上できる端末装置が存在したり、無線通信システム全体の通信データ量を増加できる状況が存在したりする。
【0053】
<機能ブロック構成>
(端末装置)
次に、
図6を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置の機能ブロック構成について説明する。
図6は、一実施形態における端末装置10の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。なお、
図6は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すためのものであり、端末装置10が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0054】
図6に示すように、端末装置10は、機能ブロックとして、受信部11と、送信制御部12と、送信部13と、を備える。
【0055】
受信部11は、基地局装置50との間で接続状態にあるときに、当該基地局装置50から問合せを受信するように構成されている。
【0056】
より詳細には、受信部11は、基地局装置50との間で接続状態にあるときに、当該基地局装置50からケイパビリティ情報の問合せを受信するように構成されている。
【0057】
具体的には、基地局装置50は、例えば半径数百メートルから十数キロメートルのカバレッジエリアを有するセルを形成している。基地局装置50は、自己が形成するセル内に存在(「在圏」ともいう)する端末装置10との間で無線通信を行い、端末装置に移動体通信サービスを提供しようとする。
【0058】
端末装置10は、基地局装置50との間で無線通信を行うために、セルを選択する。なお、本明細書において、セルの選択及びセルを選択することは、前述したセル選択(cell selection)及びセル再選択(cell reselection)の少なくとも一方を意味する。セルの選択が完了し、端末装置10がシステム報知情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態になると、端末装置10は、当該セルにキャンプオンしたことになる。よって、端末装置10は、キャンプオンしたセルを形成する基地局装置50との間で、RRC接続を確立することが可能となる。RRC接続が完了すると、端末装置10は、キャンプオンしたセルを形成する基地局装置50への接続状態(RRC Connected)になり、データの送信及び受信、つまり、データの上り通信及び下り通信が可能となる。ここで、基地局装置50のセルに所定の周波数帯が割り当てられている場合、端末装置10は、所定の周波数帯を用いて基地局装置50との間で接続状態(RRC Connected)にあるといえる。
【0059】
所定の周波数帯は、一例としてNRで利用される周波数範囲である。NRで利用される周波数範囲は、FR1(Frequency Range 1)とFR2(Frequency Range 2)との2つに分類される。FR2は、30GHz近辺から100GHz程度の周波数範囲であり、3GPPでは24250MHzから52600MHzの周波数範囲が規定されている。FR2を用いた無線通信では、アンテナ配置や筐体構造等を考慮する必要があり、端末装置10のパワークラスと端末タイプとが対応する形式で要求条件が規定されている。FR1は、3GPPにおいて410MHz以上7125MHz以下の周波数範囲が規定されている。
【0060】
ケイパビリティ情報の問合せは、端末装置10に自己のケイパビリティ情報について通知(返信)を求める要求である。基地局装置50からの問合せは、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを端末装置10に送信することによって、行われる。
【0061】
ケイパビリティ情報は、無線通信に関して規定されている様々な機能のうち、端末装置10自身が対応又はサポートする機能を示す情報である。端末装置10自身が対応又はサポートする機能は、言い換えれば、端末装置10が実行可能な機能である。
【0062】
ケイパビリティ情報には、端末装置10にその機能が実装されていること、及び、その機能に対して規定された要求条件を満たしていること、を表すパラメータの情報が設定される。
【0063】
具体的には、LTEにおけるケイパビリティ情報は、LTEの端末装置カテゴリ、LTEのサポートバンド又はLTEとLTEのサポートバンド組み合わせのリスト等のパラメータの情報を含んでいる。また、NRにおけるケイパビリティ情報は、NRの端末装置カテゴリ、サポートされる物理パラメータセット、NRのサポートバンド及びLTEとNRのサポートバンド組み合わせのリスト、スタンドアロンで通信するための機能をサポートするか否かを示すパラメータ、DC(Dual Connectivity)をサポートするか否かを示すパラメータ等の情報を含んでいる。
【0064】
また、受信部11は、基地局装置50との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに、当該基地局装置50から端末装置10の最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を受信するように構成されている。端末装置10の最大送信電力値は、前述したパワークラスによって分類されている。例えば、パワークラス1.5(以下、「PC1.5」ともいう)では、最大送信電力値が29dBmであり、パワークラス2(以下、「PC2」ともいう)では、最大送信電力値が26dBmであり、パワークラス3(以下、「PC3」ともいう)では、最大送信電力値が23dBmである。
【0065】
送信電力情報は、端末装置10の最大送信電力値の使用の可否を示す使用可否情報を含んでいる。使用可否情報には、例えば、使用可能を表す“1”、又は、使用不可を表す“0”が格納される。使用可否情報が使用不可を示す場合、端末装置10がハイパワー端末装置(HPUE)であっても、当該端末装置10の最大送信電力値の使用が制限される。
【0066】
また、送信電力情報は、使用可否情報に加えて、又は、使用可否情報に代えて、送信電力値を示す送信電力値情報を含んでいてもよい。さらに、送信電力情報は、送信電力値情報に加えて、送信デューティ比を示す送信デューティ比情報を含んでいてもよい。例えば、送信電力値情報が26dBmであるときに送信デューティ比情報は0.5(50%)であり、送信電力値情報が23dBmであるときに送信デューティ比情報は1(100%)である。なお、送信電力値が指定されると、送信デューティ比は、例えばSARによる規制に基づいて、算出することが可能となる。よって、送信電力値情報及び送信デューティ比情報のうち、少なくとも送信電力値情報を含んでいれば、送信電力情報から送信電力値及び送信デューティ比を求めることができる。
【0067】
送信制御部12は、送信電力情報に基づいて、送信電力値及び送信デューティ比を制御するように構成されている。送信制御部12が制御する送信電力値及び送信デューティ比は、FDDを用いる上りリンクの送信に関するものである。
【0068】
送信部13は、送信制御部12によって制御された送信電力値及び送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式(FDD)を用いて基地局装置50への上りリンクの送信を行うように構成されている。
【0069】
このように、送信電力情報に基づいて送信電力値及び送信デューティ比が制御され、制御された送信電力値及び送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式(FDD)を用いて基地局装置50への上りリンクの送信が行われる。これにより、基地局装置50との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに受信された送信電力情報に基づくことで、例えば当該端末装置10の通信品質や接続状態(RRC Connected)である基地局装置50が形成するセルの無線リソースの空き容量等に応じて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値及び送信デューティ比を変更する等の制御が可能となる。従って、状況に応じて制御された送信電力値及びデューティ比に従い、FDDを用いて上りリンクの送信を行うことができ、スループットを向上させることができる。
【0070】
また、送信電力情報は、端末装置10の最大送信電力値の使用の可否を示す使用可否情報を含む。これにより、当該使用可否情報に基づいて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値及び送信デューティ比を、容易に切り替えることができる。
【0071】
また、送信電力情報は、送信電力値を示す送信電力値情報を含む。これにより、当該送信電力値情報に基づいて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値及び送信デューティ比を、容易に設定することができる。
【0072】
送信部13は、基地局装置50との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに、端末装置10のパワークラスを示すパワークラス情報を基地局装置50に送信するように構成されている。これにより、例えば、基地局装置50においてパワークラス情報に基づいて設定された送信電力情報を、当該基地局装置50から受信することが可能となる。
【0073】
より詳細には、送信部13は、端末装置10のパワークラスを示すパワークラス情報をケイパビリティ情報に含め、基地局装置50に送信する。具体的には、送信部13は、パワークラス情報をケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含めて、接続状態(RRC Connected)の基地局装置50に送信する。
【0074】
このように、パワークラス情報をケイパビリティ情報に含めて基地局装置50に送信することにより、端末装置10がサポートする無線通信に関する機能と端末装置10が有するパワークラス情報とを、基地局装置50に容易に通知することができる。
【0075】
なお、パワークラス情報は、ケイパビリティ情報に含めて送信される場合に限定されるものでない。例えば、送信部13は、パワークラス情報自体を基地局装置50に送信してもよい。
【0076】
なお、受信部11及び送信部13は、例えばアンテナ27及び通信装置24により実現されてもよいし、通信装置24に加えてプロセッサ21が記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。送信制御部12は、プロセッサ21が、記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0077】
(基地局装置)
次に、
図7を参照しつつ、一実施形態に従う基地局装置の機能ブロック構成について説明する。
図7は、一実施形態における基地局装置50の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。なお、
図7は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すためのものであり、基地局装置50が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0078】
図7に示すように、基地局装置50は、機能ブロックとして、取得部51と、決定部52と、送信部53と、を備える。
【0079】
取得部51は、端末装置10との間で接続状態にあるときに、当該端末装置10のパワークラスを示すパワークラス情報を取得するように構成されている。パワークラス情報の取得は、通常、端末装置10から送信されるパワークラス情報を受信することで行われる。また、接続状態の端末装置10が、例えば、隣接する基地局装置50のセルからハンドオーバーされてきた場合、取得部51は、隣接する基地局装置50から当該端末装置10のパワークラス情報を受信して取得することもある。
【0080】
より詳細には、取得部51は、端末装置10との間で接続状態にあるときに、ケイパビリティ情報の問合せを当該端末装置10に送信するように構成されている。
【0081】
具体的には、前述したように、基地局装置50のセルに所定の周波数帯が割り当てられており、端末装置10が当該セルにキャンプオンしてRRC接続が完了すると、基地局装置50は、所定の周波数帯を用いて端末装置10との間で接続状態(RRC Connected)になる。この状態の間に、取得部51は、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを、接続状態(RRC Connected)の端末装置10に送信する。これにより、端末装置10からの応答であるケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを受信することで、当該ケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含まれるパワークラス情報を取得することできる。
【0082】
決定部52は、取得されたパワークラス情報と、端末装置10との間の無線通信の品質を示す無線通信品質情報とに基づいて、端末装置10の最大送信電力値を決定するように構成されている。決定部52は、無線通信品質情報を、例えば接続状態(RRC Connected)の端末装置10から受信する。
【0083】
無線通信品質情報は、例えば、端末装置10における基地局装置50によって形成されたセルの受信電力を示すRSRP(Reference Signal Received Power)又はRSSI(Received Signal Strength Indication)等を含む。また、無線通信品質情報は、例えば、端末装置10における基地局装置50によって形成されたセルの受信電力品質を示すRSRQ(Reference Signal Received Quality)又はSINR(Signal to Interference Noise Ratio)等を含んでいてもよい。
【0084】
ここで、前述したように、当該端末装置10がハイパワー端末装置(HPUE)であったとしても、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信において、端末装置10が有する最大送信電力値の使用が適しているとは限らない。端末装置10の最大送信電力値の使用が適している状況として、例えば、次のようなケースが考えられる。すなわち、接続状態(RRC Connected)の端末装置10がセルのエッジに位置していないケース、接続状態(RRC Connected)の端末装置10が受信する電波状態がよいケース、基地局装置50のセルにおける無線リソースの自由度が高いケース、具体的には、基地局装置50配下のトラフィック量が相対的に少ないケース等が挙げられる。セルの無線リソースは、端末装置10と接続状態(RRC Connected)にある同じ所定の周波数帯における無線リソースを意味している。よって、キャリアアグリゲーション技術やデュアルコネクティビティ技術等を用いる他の周波数帯の無線リソースは、セルの無線リソースに含まれない。
【0085】
よって、決定部52は、パワークラス情報及び無線通信品質情報に基づいて、前述したような状況であるか否かを判定し、当該状況に該当する場合に端末装置10に最大送信電力値を使用させ、当該状況に該当しない場合に端末装置10に最大送信電力値を制限するように、端末装置10の最大送信電力値を決定する。
【0086】
送信部53は、決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報を接続状態(RRC Connected)の端末装置に送信するように構成されている。
【0087】
具体的には、送信部53は、送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを、接続状態(RRC Connected)の端末装置10に送信する。送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを受信した端末装置10は、前述したように、当該送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージに基づいて送信電力値及び送信デューティ比を制御し、制御された送信電力値及び送信デューティ比に基づいて周波数分割複信方式(FDD)を用いて基地局装置50への上りリンクの送信を行う。
【0088】
このように、パワークラス情報と無線通信品質情報とに基づいて端末装置10の最大送信電力値が決定され、決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報が、接続状態(RRC Connected)の端末装置に送信される。これにより、端末装置10との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに受信されたパワークラス情報と無線通信品質情報とに基づくことで、例えば当該端末装置10ハイパワー端末装置(HPUE)であるときに、通信品質等に応じて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値の最大値(上限値)を決定することが可能となる。従って、端末装置10は、状況に応じた決定された最大送信電力値に基づいて、FDDを用いて上りリンクの送信を行うことができ、スループットを向上させることができる。
【0089】
また、決定部52は、パワークラス情報及び無線通信品質情報と、所定の周波数帯における無線リソースに関する無線リソース情報とに基づいて、端末装置10の最大送信電力値を決定するように構成されている。ここで、基地局装置50は、自己のセル、つまり、所定の周波数帯を用いて端末装置10との間で(RRC Connected)にある。これにより、所定の周波数帯における無線リソースの空き容量等に応じて、端末装置10の送信電力の最大値(上限値)を決定することが可能となる。
【0090】
なお、取得部51及び送信部53は、例えば通信装置24により実現されてもよいし、通信装置24に加えてプロセッサ21が記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。決定部52は、プロセッサ21が、記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USBメモリ、又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0091】
<処理手順>
次に、
図8及び
図9を参照しつつ、一実施形態に従う無線通信システムが行う処理手順について説明する。
図8は、一実施形態における無線通信システム100Aが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。
図9は、一実施形態における無線通信システム100Aが行う処理手順の他の例を説明するためのタイムチャートである。なお、
図8では、説明の簡略化のため、
図3に示す無線通信システム100Aの処理手順のうち、基地局装置50-1と端末装置10-1との間の処理手順について説明し、基地局装置50-1と端末装置10-2との間の処理手順及び基地局装置50とコアネットワーク装置90との間の処理手順については、その説明を省略する。同様に、
図9では、説明の簡略化のため、
図3に示す無線通信システム100Aの処理手順のうち、基地局装置50-1と端末装置10-2との間の処理手順について説明し、基地局装置50-1と端末装置10-1との間の処理手順及び基地局装置50とコアネットワーク装置90との間の処理手順については、その説明を省略する。また、
図8では、端末装置10-1を「UE」と、基地局装置50-1を「gNB」とも表記し、
図9では、端末装置10-2を「UE」と、基地局装置50-1を「gNB」とも表記する。
【0092】
(端末装置と基地局装置との処理手順の一例)
図8に示す例の説明では、あらかじめ、次の処理が行われているものとする。すなわち、基地局装置50-1は、周辺の端末装置に、同期信号を周期的に送信しており、端末装置10-1は、この同期信号によってあらかじめ同期しており、かつ、基地局装置50-1から参照情報を受信している。また、基地局装置50-1は、物理報知チャネル(PBCH)等によって、マスターインフォメーションブロック(MIB)及びシステムインフォメーションブロック(SIB)の少なくとも一方を含む報知情報を端末装置10-1に送信し、端末装置10-1は、この報知情報に含まれる情報に基づいて、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行い、基地局装置50-1が形成するセルにキャンプオンしている。
【0093】
図8に示すように、端末装置10-1において、例えば上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生すると、端末装置10は、基地局装置50-1との間で、RRC接続の確立を含むランダムアクセスを行う(S101)。ステップS101のランダムアクセスの結果、端末装置10-1と基地局装置50-1との間にRRC接続が確立されると、端末装置10-1は、アイドル状態(RRC Idle)から接続状態(RRC Connected)に変化する。
【0094】
基地局装置50-1において、端末装置10-1との間のRRC接続が完了すると、送信部53は、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを端末装置10に送信する(S102)。
【0095】
端末装置10-1において、受信部11は、ステップS102で送信されたケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを受信し、送信部13は、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージに含まれる要求に応じて、端末装置10-1自身のパワークラス情報をケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含めて、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを送信した基地局装置である基地局装置50-1に送信する(S103)。
【0096】
また、端末装置10-1は、基地局装置50-1からあらかじめ受信した参照信号に基づいて、基地局装置50-1との間の無線通信の品質を測定しており、送信部13は、当該品質を示す無線通信品質情報を基地局装置50-1に送信する(S104)。
【0097】
基地局装置50-1において、決定部52は、ステップS103で端末装置10-1から送信されたケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを受信するとともに、ステップS104で端末装置10-1から送信された無線通信品質情報を受信し、ケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含まれるパワークラス情報と、無線通信品質情報とに基づいて、端末装置10-1の最大送信電力値を決定する(S105)。
【0098】
次に、送信部53は、ステップS105で決定した最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを、ケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを送信した端末装置である端末装置10-1に送信する(S106)。
図8に示す例では、ステップS106で送信される送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージは、使用可否情報を含んでおり、当該使用可否情報に使用不可を表す“0”が格納されている。
【0099】
端末装置10-1において、受信部11は、基地局装置50-1から送信された送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを受信し、送信制御部12は、受信した送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージに基づいて、FDDを用いる上りリンクの送信における送信電力値及びデューティ比を制御する(S107)。
図8に示す例では、使用可否情報に“0”が格納されているので、送信制御部12は、パワークラス2(PC2)が使用不可であり、パワークラス3(PC3)を設定するように送信電力値及びデューティ比を制御する。その結果、例えば、送信電力値は23dBmに設定され、デューティ比は1(100%)に設定される。これにより、
図3に示すセルC1のエッジ付近に位置する端末装置10-1において、FDDを用いる上りリンクの送信におけるハイパワーの使用を制限することができる。
【0100】
そして、送信部13は、ステップS107で制御された送信電力値及びデューティ比に従い、FDDを用いて上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)を基地局装置50-1に送信する(S108)。
【0101】
(端末装置と基地局装置との処理手順の他の例)
図9に示す例の説明では、あらかじめ、次の処理が行われているものとする。すなわち、基地局装置50-1は、周辺の端末装置に、同期信号を周期的に送信しており、端末装置10-2は、この同期信号によってあらかじめ同期しており、かつ、基地局装置50-1から参照情報を受信している。また、基地局装置50-1は、物理報知チャネル(PBCH)等によって、マスターインフォメーションブロック(MIB)及びシステムインフォメーションブロック(SIB)の少なくとも一方を含む報知情報を端末装置10-2に送信し、端末装置10-2は、この報知情報に含まれる情報に基づいて、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行い、基地局装置50-1が形成するセルにキャンプオンしている。
【0102】
なお、
図9に示すステップS151からステップS155は、前述した
図8に示すステップS101からステップS105と同一又は略同一であるため、各ステップの説明を省略する。
【0103】
図9に示すように、基地局装置50-1において、ステップS155で最大送信電力値を決定した後、送信部53は、当該最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを、ケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを送信した端末装置である端末装置10-2に送信する(S156)。
図8に示す例では、ステップS106で送信される送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージは、使用可否情報を含んでおり、当該使用可否情報に使用可能を表す“1”が格納されている。
【0104】
端末装置10-2において、送信制御部12は、受信した送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージに基づいて、FDDを用いる上りリンクの送信における送信電力値及びデューティ比を制御する(S157)。
図9に示す例では、使用可否情報に“1”が格納されているので、送信制御部12は、パワークラス2(PC2)を設定するように送信電力値及びデューティ比を制御する。その結果、例えば、送信電力値は26dBmに設定され、デューティ比は0.5(50%)に設定される。これにより、
図3に示すセルC1のエッジ付近ではなく、基地局装置50-1の近くに位置する端末装置10-2において、FDDを用いる上りリンクの送信におけるハイパワーの使用を可能にすることができる。
【0105】
そして、送信部13は、ステップS157で制御された送信電力値及びデューティ比に従い、FDDを用いて上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)を基地局装置50-1に送信する(S158)。
【0106】
このように、基地局装置50-1において、接続状態(RRC Connected)の端末装置10-1,10-2に送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを送信することにより、端末装置10-1,10-2ごとに、FDDを用いる上りリンクの送信における送信電力値及びデューティ比を制御することが可能となる。
【0107】
本実施形態では、
図8及び
図9において、RRC接続の確立の直後に、最大送信電力値を決定して送信電力定情報を送信する例を示したが、これに限定されるものではない。基地局装置50-1は、例えば、セルC1における在圏数、通信データ量、無線リソース等の変化に伴い、最大送信電力値を決定して送信電力定情報を送信してもよい。
【0108】
また、送信電力定情報に含まれる使用可否情報について、使用不可を表す“0”から使用可能を表す“1”に変更する場合の基準と、使用可能を表す“1”から使用不可を表す“0”に変更する際の基準とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0109】
次に、
図10及び
図11を参照しつつ、一実施形態に従う端末装置及び基地局装置が行う処理手順について説明する。
図10は、一実施形態における端末装置10が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図11は、一実施形態における基地局装置50が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0110】
以下の説明では、あらかじめ、端末装置10と基地局装置50との間でRRC接続が完了し、所定の周波数帯を用いて接続状態(RRC Connected)にあるものとする。
【0111】
(端末装置の処理手順)
基地局装置50からケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを受信すると、
図10に示すように、送信部13は、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージに含まれる要求に応じて、自己のパワークラス情報をケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含めて、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを送信元である基地局装置50に送信する(S201)。
【0112】
次に、端末装置10は、基地局装置50-1からあらかじめ受信した参照信号に基づいて、基地局装置50との間の無線通信の品質を測定し、送信部13は、無線通信品質情報を基地局装置50に送信する(S202)。
【0113】
次に、受信部11は、基地局装置50-1から送信された送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを受信する(S203)。この送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージには、使用可否情報が含まれている。
【0114】
次に、送信制御部12は、ステップS203で受信した送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージに含まれる使用可否情報が、“1”であるか否かを判定する(S204)。
【0115】
ステップS204の判定の結果、使用可否情報が“1”である場合、端末装置10が有する最大送信電力値の使用が許可されていると考えられる。よって、送信制御部12は、FDDを用いる上りリンクの送信における送信電力値及びデューティ比を制御し、パワークラス2(PC2)を設定する(S205)。パワークラス2(PC2)の設定は、例えば、送信電力値が26dBmであり、デューティ比が0.5(50%)である。
【0116】
ステップS204の判定の結果、使用可否情報が“1”以外、例えば“0”である場合、端末装置10が有する最大送信電力値の使用が制限されていると考えられる。よって、送信制御部12は、FDDを用いる上りリンクの送信における送信電力値及びデューティ比を制御し、パワークラス3(PC3)を設定する(S206)。パワークラス3(PC3)の設定は、例えば、送信電力値が23dBmであり、デューティ比が1(100%)である。
【0117】
ステップS205又はステップS206の後、送信部13は、設定されたパワークラスの送信電力値及びデューティ比に従い、FDDを用いて基地局装置50への上りリンクの送信を行う(S207)。
【0118】
(基地局装置の処理手順)
図11に示すように、送信部53は、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージを端末装置10に送信する(S251)。
【0119】
その後、取得部51は、パワークラス情報を含むケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを、ケイパビリティ情報の問合せ(UECapabilityEnquiry)メッセージの送信先である端末装置10から受信する(S252)。
【0120】
次に、決定部52は、端末装置10から送信される無線通信品質情報を受信する(S253)。そして、決定部52は、ステップS252で受信したケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージに含まれるパワークラス情報と、ステップS253で受信した無線通信品質情報とに基づいて、端末装置10の最大送信電力値を決定する(S254)。
【0121】
次に、送信部53は、ステップS254で決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報(RRCReconfiguration)メッセージを、ケイパビリティ情報(UECapabilityInformation)メッセージを送信元である端末装置10に送信する(S255)。
【0122】
なお、本実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0123】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本実施形態の端末装置10及び無線通信方法によれば、送信電力情報に基づいて送信電力値及び送信デューティ比が制御され、制御された送信電力値及び送信デューティ比に基づいて、周波数分割複信方式(FDD)を用いて基地局装置50への上りリンクの送信が行われる。これにより、基地局装置50との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに受信された送信電力情報に基づくことで、例えば当該端末装置10の通信品質や接続状態(RRC Connected)である基地局装置50が形成するセルの無線リソースの空き容量等に応じて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値及び送信デューティ比を変更する等の制御が可能となる。従って、状況に応じて制御された送信電力値及びデューティ比に従い、FDDを用いて上りリンクの送信を行うことができ、スループットを向上させることができる。そのため、本実施形態に係る技術は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0124】
また、本実施形態の基地局装置50によれば、パワークラス情報と無線通信品質情報とに基づいて端末装置10の最大送信電力値が決定され、決定された最大送信電力値に関する情報を含む送信電力情報が、接続状態(RRC Connected)の端末装置に送信される。これにより、端末装置10との間で接続状態(RRC Connected)にあるときに受信されたパワークラス情報と無線通信品質情報とに基づくことで、例えば当該端末装置10ハイパワー端末装置(HPUE)であるときに、通信品質等に応じて、周波数分割複信方式(FDD)を用いる上りリンクの送信における送信電力値の最大値(上限値)を決定することが可能となる。従って、端末装置10は、状況に応じた決定された最大送信電力値に基づいて、FDDを用いて上りリンクの送信を行うことができ、スループットを向上させることができる。
【0125】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。すなわち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0126】
10,10-1,10-2,10-m…端末装置、11…受信部、12…送信制御部、13…送信部、21…プロセッサ、22…メモリ、23…記憶装置、24…通信装置、25…入力装置、26…出力装置、27…アンテナ、50,50-1,50-n…基地局装置、51…取得部、52…決定部、53…送信部、90…コアネットワーク装置、100…無線通信システム。