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特許7574520空調装置の汚染を測定するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】空調装置の汚染を測定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20241022BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20241022BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 11/39 20180101ALI20241022BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20241022BHJP
【FI】
B60H1/00 103S
A61L9/14
F24F11/52
F24F11/39
F24F11/58
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022533654
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2020079771
(87)【国際公開番号】W WO2021121736
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】19217588.3
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519051322
【氏名又は名称】トゥーナップ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーバン、アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】リハ、サビーネ
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137010(JP,A)
【文献】特開2004-301423(JP,A)
【文献】特許第6587783(JP,B1)
【文献】特開2005-180830(JP,A)
【文献】特開2000-179910(JP,A)
【文献】特開2001-171338(JP,A)
【文献】特開平02-068216(JP,A)
【文献】特開2018-004351(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0068615(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
F24F 1/00-13/32
A61L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置を分析するためのシステムであって、前記システムが、
前記空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染を示す検出信号を検出するように構成された検出ユニットであり、前記検出ユニットは、前記空調装置の排気における揮発性有機化合物の濃度を測定するための汚染センサを有し、揮発性有機化合物の前記濃度が、前記蒸発器および/または前記空気フィルタの前記汚染物質のレベルを示し、前記検出ユニットは、さらに、前記空調装置の動作条件を検出するように構成される、前記検出ユニットと、
記検出された動作条件と前記空調装置の既定の動作データと比較を実行し、前記検出信号及び前記比較の結果に基づいて前記蒸発器および/または前記空気フィルタの汚染のレベルを分析するように構成された分析ユニットと、
前記蒸発器および/または前記空気フィルタの前記汚染物質での汚染の分析された前記レベルをユーザに出力するように構成された出力ユニットと
を備える、システム。
【請求項2】
前記分析ユニットが、前記汚染物質の前記分析されたレベルが前記汚染物質の予め定められたレベルを超えた場合に汚染除去信号を生成するように構成されており、
具体的には、前記出力ユニットが前記汚染除去信号を出力するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
汚染除去ユニットをさらに備え、
前記汚染除去ユニットが、前記汚染除去信号に基づいて前記蒸発器および/または前記空気フィルタを汚染除去するために前記蒸発器に結合可能である、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記汚染除去ユニットが、前記蒸発器および/または前記空気フィルタに化学的汚染除去流体を放出するための化学物質排出ノズルを有する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記汚染除去ユニットが、汚染物質の前記レベルを低減すべく前記蒸発器および/または前記空気フィルタを加熱するための、前記蒸発器および/または前記空気フィルタに結合可能な加熱素子を有する、
請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出ユニットが、汚染物質の前記レベルを測定するために前記空調装置の排気通路に結合可能である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記汚染センサが、前記排気における少なくとも8ppb、特に少なくとも6ppbの揮発性有機化合物の濃度を測定するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出ユニットが、前記空調装置の排気の流量を検出するための空気流センサを有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出ユニット、前記分析ユニットおよび/または前記出力ユニットが、データを伝送するために有線接続または無線接続されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記出力ユニットがハンドヘルドデバイス、具体的にはスマートフォンまたはタブレットコンピュータである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記空調装置が、車両、具体的には車の空調装置であり、
前記分析ユニットが前記車両の制御ユニットである、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
空調装置、具体的には車両の空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの前記汚染物質のレベルを検出、分析、および出力するための、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項13】
空調装置を分析する方法であって、前記方法が、
前記空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染を示す検出信号を検出する段階であり、前記検出する段階は、前記空調装置の排気における揮発性有機化合物の濃度を測定するための汚染センサを使用する段階を含み、揮発性有機化合物の前記濃度が、前記蒸発器および/または前記空気フィルタの前記汚染物質のレベルを示し、前記検出する段階は、さらに、前記空調装置の動作条件を検出する段階を含む、段階と、
記検出された動作条件と前記空調装置の既定の動作データと比較を実行し、前記検出信号及び前記比較の結果に基づいて前記蒸発器および/または前記空気フィルタの前記汚染物質での前記汚染のレベルを分析する段階と、
前記蒸発器および/または前記空気フィルタの前記汚染物質での汚染の分析された前記レベルをユーザに出力する段階と
を備える、方法。
【請求項14】
前記汚染物質の前記分析されたレベルが前記汚染の予め定められたレベルを超えた場合に汚染除去信号を生成する段階と、
前記汚染除去信号に基づいて前記蒸発器および/または前記空気フィルタを汚染除去する段階と、
前記蒸発器および/または前記空気フィルタを汚染除去した後に、前記汚染物質での前記汚染の前記分析されたレベルが前記汚染物質での前記汚染の予め定められたレベルを下回っているかどうか、前記汚染物質での汚染の前記レベルを分析する段階と
をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両内の空調装置を分析するためのシステムおよび方法、ならびに空調装置での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置では、R134aまたはR1234yfなどの圧縮された冷却流体が、車などの車両の内部など、閉じられた冷却エリアから熱を吸収しながらシステム内で液体から気体へと蒸発する。空調装置の蒸発器は周囲環境から冷却エリアの内部へと流れる空気流にさらされる。蒸発器を通過すると、空気流は冷却され、蒸発器の外側表面に凝縮物が発生する。蒸発器の凝縮物、したがって蒸発器の湿気が高いことにより、細菌および真菌が成長する場合がある。
【0003】
細菌および真菌は、冷却エリアの内部に影響し、冷却エリアの内部に悪臭を生じさせる恐れがある。さらに、車の内部などの冷却エリアの内部の空気の質は、車両運転者の精神の集中および判断、反応時間ならびに健康に影響を与える。
【0004】
したがって、具体的には車両の空調装置、具体的には空調装置の蒸発器は、悪臭を軽減し、空気の質を高めるために清掃されなければならない。ほとんどの場合、特に車の空調装置は、自動車修理工場での車のメンテナンス作業中に清掃され得る。
【0005】
空調装置の凝縮物を分析することによって蒸発器の汚染を測定することが知られている。具体的には、細菌および真菌の濃度が測定され得る。これは使用されるテスト機器に基づいて1時間から最大3日を必要とする場合がある。さらに、いかなる影響も与えることなく外から凝縮物を得るのは困難であり、凝縮物を得るために空調装置を部分的に分解することが必要である。さらに、空気中の揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定するガスセンサが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
具体的には空調装置の冷却空気での悪臭が生じる前に空調装置の汚染を分析するためのシステムを提供する、本発明の目的が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項に記載の、空調装置を分析するためのシステム、各システムの使用、および空調装置を分析するための方法によって解決される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、空調装置を分析するためのシステムが提示される。システムは、空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での(例えば細菌関連)汚染を示す検出信号を検出するように構成された検出ユニットと、検出信号に基づいて蒸発器の汚染のレベルを分析するように構成された分析ユニットと、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染の分析されたレベルをユーザに出力するように構成された出力ユニットとを備える。
【0009】
別の態様によれば、空調装置、具体的には車両の空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染のレベルを検出、分析、および出力するための、上に説明したシステムの使用が提示される。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、空調装置を分析する方法が提供される。方法によれば、空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での(例えば細菌関連)汚染を示す検出信号を検出する段階と、検出信号に基づいて蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染のレベルを分析する段階と、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質での汚染の分析されたレベルをユーザに出力する段階とが実行される。
【0011】
空調装置は、とりわけ、閉じられた冷却エリアから熱を吸収しながら空調装置システム内で冷却流体を液体から気体へと蒸発させる蒸発器を備える。外気から熱を吸収するために、外気は蒸発器に吹き付けられる。冷却された外気は、次いで部屋または車などの車両の内部など、冷却エリアの内部に吹き付けられる。蒸発器を通過すると、外気は冷却され、蒸発器の外側表面に凝縮物が発生する。蒸発器の凝縮物、したがって蒸発器の湿気が高いことにより、汚染物質、例えば細菌および真菌が成長する場合がある。
【0012】
さらに、空調装置システムは空気フィルタを備えることができ、これは具体的には車両のキャビン空気フィルタでもよい。空気フィルタは花粉または他の粉塵粒子などの粒子を外気からフィルタし、外気は、空気フィルタの後、さらに空調装置を通り、さらに車両のキャビンへと吹き付けられる。空気フィルタの湿気および汚染により、汚染物質、例えば細菌および真菌が成長する場合がある。
【0013】
具体的には、上に説明したシステムは、空調装置の一部でもよく、空調装置に部分的に統合されていてもよく、テストされるべき空調装置に取り外し可能に結合させることができる外部システムでもよい。したがって、各システムは携帯型でもよく、様々な空調装置に結合可能でもよい。さらに、システムのいくつかのユニットまたはシステムのすべてのユニットは空調装置に組み付けることができる。例えば、検出ユニットは外部部分でもよく、空調装置システムに、具体的には空調装置の排気チューブに着脱可能に取り付けられてもよく、分析ユニットまたは(以下に説明する)汚染除去ユニットは空調装置システムに統合されてもよい。
【0014】
例えば外気の一部のみを冷却し、さらに外気とキャビンの空気とを混合することがよりエネルギー効率的であるので、一般的な空調装置システムでは、外気以外に大量のキャビンの空気も空調装置に吸引され、そこで温度処理(加熱または冷却)される。したがって、キャビンの空気も蒸発器および空気フィルタに吹き付けられるので、キャビン内で発生する汚染物質も、検出デバイスによって検出することができる。
【0015】
汚染物質は、細菌関連汚染物質または汚染でもよい。さらに、汚染物質は、人、動物、または食品から発される、炭酸、エステル、ケト酸、有機アミン、アンモニア、チオールなどの臭気形成物である場合がある。炭酸も、プラスチック材料の放出物または蒸気である場合がある。換言すれば、汚染物質は、プラスチック材料の放出物または蒸気である炭酸を示す場合がある。例えば、車両のキャビン内のライニング部品またはカバー部品などの構成要素は、炭酸の放出物または蒸気を気化させるプラスチック材料で製作されている。悪臭が生じる場合があるので、炭酸は測定されるべき汚染物質である。
【0016】
検出ユニットは、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質、例えば細菌関連汚染または炭酸汚染を示す検出信号を検出するように構成されている。具体的には、検出ユニットは、空調装置の排気の質、ならびに汚染物質、例えば細菌関連汚染のレベル(濃度)、および/または炭酸の濃度を示す化学物質の分量を検出する。例えば、検出ユニットは各物理的パラメータおよび/または各化学的パラメータを検出し、パラメータの測定値を検出信号に変換する。物理的パラメータおよび/または化学的パラメータは、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質のレベルを示す。
【0017】
さらに、検出ユニットは、動作時間、注入された外気の温度、外気の冷却率および/または外気の湿度などの、空調装置の特定の動作条件を検出することができる。検出された動作条件に基づき、蒸発器の例えば細菌関連汚染の汚染物質のレベルを決定するために、分析ユニットは、検出された動作条件と例えばデータベースに記憶された既定の動作データとの比較を実行することができる。例えば、動作時間および外気の冷却率の測定に基づいて、細菌関連汚染のレベルを推定することができる。
【0018】
分析ユニットは検出信号を受信するために検出ユニットに結合され、検出信号に基づいて蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質のレベルを分析する。分析ユニットは、例えばCPUと、例えば各データを記憶するためのメモリとを備える。分析ユニットは、ワイヤボンドまたは無線で検出ユニットに結合されてもよい。
【0019】
出力ユニットは、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質の分析されたレベルをユーザに出力する。出力ユニットは、音響信号または視覚信号を発生させて、各分析されたレベルをユーザに出力するように構成され得る。例えば、出力ユニットは、各信号を生成するためにスピーカおよび/または画像スクリーンを備える。
【0020】
システムの各ユニットは、空調装置のエネルギー源などのエネルギー源に接続されてもよい。さらに、システムの各ユニットは、バッテリ、具体的には充電可能バッテリを備えてもよい。
【0021】
本発明のアプローチによれば、冷却されるべき空気の汚染を減少させることができるように、空調装置の蒸発器および/または空気フィルタの汚染を分析するためのシステム。本発明によるシステムを使用すると、空調装置、具体的には蒸発器または空気フィルタを、それぞれの空気の汚染が既定の閾値を超える前に洗浄および汚染除去することが可能になる。さらに、(例えば細菌または炭酸による)現在の実際の汚染が考慮され、それによって必要な空調装置の点検および汚染が必要になるので、空調装置をメンテナンスする点検間隔を柔軟にすることができる。従来のアプローチでは、空調装置は柔軟で固定的な点検間隔でメンテナンスされなければならない。したがって、汚染のレベルが依然として低い可能性があり、既定の閾値を超えていなくても、空調装置はメンテナンスおよび汚染除去される。本発明により、分析ユニットが各既定の閾値を超える汚染のレベルを分析した場合、空調装置をメンテナンスする指示を出力ユニットから受け取ることができる。したがって、空調装置をメンテナンスする不必要なコストを回避することができる。
【0022】
別の例示的な実施形態によれば、分析ユニットは、汚染物質、例えば細菌関連汚染の分析されたレベルが汚染物質の予め定められたレベル(すなわち既定の閾値)を超えた場合に、汚染除去信号を生成するように構成されている。出力ユニットは、具体的には汚染除去信号を出力するように構成されている。例えば、細菌関連汚染の既定の閾値は、冷却されるべきエリアの悪臭および悪影響が生じ得ない、汚染物質、例えば細菌関連汚染または炭酸汚染の各レベルを示す。分析ユニットは、検出信号からの細菌関連汚染の測定されたレベルと、具体的には蒸発器の汚染物質、例えば細菌関連汚染のレベルを下げるために空調装置を汚染除去する基準を示す、汚染物質、例えば細菌関連汚染の既定のレベルとを比較するように構成されている。出力ユニットは、汚染除去信号を出力するように構成されている。出力ユニットの出力は音響信号でもよく、空調装置をメンテナンスする必要性を示す視覚的シンボルでもよい。
【0023】
別の例示的な実施形態によれば、システムは汚染除去ユニットを備え、汚染除去ユニットは、汚染除去信号に基づいて蒸発器および/または空気フィルタを汚染除去するために蒸発器に結合可能である。例えば、別法として、または空調装置を汚染除去する必要性を視覚化することに加えて、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質のレベルを下げるために、汚染除去手順を実行する汚染除去ユニットなどの能動的構成要素を提供することができる。例えば、分析ユニットは、汚染除去信号を汚染除去ユニットに伝送するために、汚染除去ユニットに結合され得る。汚染除去信号を受信すると、各汚染除去タスクが汚染除去ユニットによって開始され得る。汚染除去ユニットは、化学的汚染除去流体を蒸発器に注入することにより、蒸発器および/または空気フィルタを汚染除去することができる。さらに、汚染除去ユニットは、各細菌および各真菌が除去され、または炭酸が中和されるまで、蒸発器および/または空気フィルタを加熱することができる。さらに、汚染除去ユニットは、細菌および真菌を除去するための紫外線発生源(UV発生源)を備えることができる。したがって、自動車修理工場で空調装置をメンテナンスする必要はない。
【0024】
例えば、本発明の例示的な一実施形態によれば、汚染除去ユニットは、蒸発器および/または空気フィルタに化学的汚染除去流体を放出するための化学物質排出ノズルを備える。例えば、汚染除去流体は、例えば塩素、オゾン、もしくはアルコールの化合物、または汚染物質、例えば炭酸と反応する触媒剤を含む、防かび剤、抗菌流体を含んでもよい。
【0025】
別の例示的な実施形態によれば、汚染除去ユニットは、汚染を減少させるために蒸発器および/または空気フィルタに結合可能で蒸発器および/または空気フィルタを加熱する加熱素子を備える。加熱素子は、蒸発器を70℃、具体的には90℃超または100℃超まで加熱するように適合された抵抗ヒータでもよい。
【0026】
別の例示的な実施形態によれば、検出ユニットは、汚染を測定するために空調装置の排気通路に結合可能である。例えば、検出ユニットは空気通路へと延在するセンサ素子を備える。検出ユニットは、検出ユニットを排気通路に着脱可能に固定するための固定手段を備えることができる。例えば、固定手段は、排気通路の通気グリッドに引っかけることができるフック要素を備える。さらに、例えば、固定手段は、排気通路の内部に検出ユニットをクランプするクランプ要素を備えることができる。例えば、クランプ手段は、弾性的に変形可能な広がる要素でもよい。
【0027】
別の例示的な実施形態によれば、検出ユニットは、空調装置の排気における揮発性有機化合物の濃度を測定するための汚染センサを備え、揮発性有機化合物、具体的にはイソプロパノールおよび/または炭酸などの汚染物質の濃度は、蒸発器および/または空気フィルタの細菌関連汚染や炭酸での汚染などの、汚染物質のレベルを示す。具体的には、細菌および真菌はそれぞれ少量の化学物質を発生させるので、アルコール、例えばイソプロパノールなどの揮発性有機化合物(VOC)の濃度は細菌関連汚染のレベルを示すことが分かってきている。さらに、やはり揮発性有機化合物である炭酸などの臭気形成物は、例えば車両のキャビン内のプラスチック部品によって発生する場合がある。
【0028】
汚染センサは、1つは還元可能な気体用の、1つは容易に被酸化可能な気体用の、また1つは強く被酸化可能な気体用の、複数の、例えば3つの異なる感応性層(例えばMOX層)を備えることができる。各気体成分は層の抵抗に影響を与える。したがって、感応性層のそれぞれでの抵抗の変化に基づいて、揮発性有機化合物、したがって汚染物質の濃度についての正確な結果を得ることができる。具体的には、汚染センサは、酸素と反応し得る揮発性有機化合物、すなわち酸化または還元され得るVOCを測定するように構成される。
【0029】
別の例示的な実施形態によれば、汚染センサは、排気における少なくとも8ppb(パーツ・パー・ビリオン)、具体的には少なくとも6ppbの揮発性有機化合物の濃度を測定するように構成される。したがって、少量の各揮発性有機化合物を測定することができ、したがって、細菌関連物質の汚染のレベルの正確な予測が可能である。
【0030】
別の例示的な実施形態によれば、検出ユニットは、空調装置の排気の流量を検出するための空気流センサを備える。したがって、空気流センサを提供することにより、空調装置の動作を測定することが可能になる。例えば、排気ダクト内の空気流が測定された場合、蒸発器および/または空気フィルタの汚染物質の検出が開始され得る。したがって、検出手順の手動起動を提供する必要なしに、本発明のシステムの、自己動作式で自動的な動作が提供される。
【0031】
さらに、検出ユニットは、排気の温度および湿度を経時的に測定するための温度センサおよび/または湿度センサを備えることができる。したがって、空調装置の経時的な動作を測定することができ、これも、蒸発器および/または空気フィルタでの細菌および真菌の成長を示すことができる。さらに、キャビン内のプラスチック部品からの炭酸の蒸発も示すことができる、空調装置の経時的な動作を測定することができる。
【0032】
別の例示的な実施形態によれば、検出ユニット、分析ユニット、出力ユニットおよび/または汚染除去ユニットは、データを伝送するために有線接続または無線接続されている。例えば、各ユニットは、USB(ユニバーサルシリアルバス)接続などの、標準化された、かつ/または着脱可能なケーブル接続を含んでもよい。さらに、ユニットのすべてまたはいくつかは、Bluetooth(登録商標)、WLAN、WiFi(登録商標)またはNFC(近距離無線通信)接続などの無線規格を介して、データを伝送するために接続され得る。
【0033】
別の例示的な実施形態によれば、出力ユニットはハンドヘルドデバイス、具体的にはスマートフォンまたはタブレットコンピュータである。したがって、分析ユニット、検出ユニット、および/または汚染除去ユニットは、空調装置に結合可能な独自の、またはそれぞれの別個のハウジングを備えてもよく、一方、システムのユーザは、例えば自身のスマートフォンまたはタブレットコンピュータを用いて、分析ユニット、検出ユニット、および/または汚染除去ユニットにワイヤボンドまたは無線で接続することができる。
【0034】
別の例示的な実施形態によれば、空調装置は車両、具体的には車の空調装置であり、分析ユニットは車両の制御ユニットである。換言すれば、分析ユニット、ならびに任意選択的に検出ユニット、汚染除去ユニット、および/または出力ユニットもまた、それぞれ空調装置または車両に統合され得る。分析ユニットは車両の制御ユニットの一部でもよい。さらに、出力ユニットは車両のコックピットの各スクリーンでもよい。
【0035】
さらに、方法の一態様によれば、汚染物質の分析されたレベルが細菌関連汚染の予め定められたレベルを超えた場合に汚染除去信号が生成される。次に、汚染除去信号に基づいて蒸発器および/または空気フィルタが汚染除去される。具体的には、汚染除去後、分析されたレベルが汚染の予め定められたレベルを下回ったかどうか、汚染物質のレベルが分析される。したがって、蒸発器および/または空気フィルタの汚染除去の結果を検証することができる。判定が不十分である場合、汚染の所望のレベルが実現されるまで、蒸発器および/または空気フィルタを汚染除去するさらなるステップを開始することができる。
【0036】
本発明の実施形態は異なる主題を参照して説明されてきたことに留意しなければならない。具体的には、いくつかの実施形態は装置に係る請求項を参照して説明されてきたが、一方他の実施形態は方法に係る請求項を参照して説明されてきた。しかし、そうでないことが通知されていなければ、あるタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴の間の、具体的には装置に係る請求項の特徴と方法に係る請求項の特徴との間の任意の組み合わせも本出願で開示されているものと考えられることが、上記の説明および以下の説明から当業者には推論されよう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上に定義した態様および本発明の別の態様は、以下に説明される実施形態の例から明らかになり、実施形態の例を参照して説明される。本発明は実施形態の例を参照して以下により詳細に説明されることになるが、本発明はこれら実施形態の例に限定されない。
【0038】
図1】本発明の例示的な一実施形態による、空調装置を分析するためのシステムの概略図である。
【0039】
図2】本発明の例示的な一実施形態による、車両の空調装置を分析するためのシステムの概略図である。
【0040】
図3】本発明の例示的な一実施形態による、車両の中央コンソールにマウントされた検出ユニットの概略図である。
【0041】
図4】本発明の例示的な一実施形態による、汚染除去ステップ前のセンサ測定結果の図である。
【0042】
図5】本発明の例示的な一実施形態による、汚染除去ステップ後のセンサ測定結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面の図は概略的である。異なる図において、同様の要素または同一の要素は同じ参照符号で示されていることに言及しておく。
【0044】
図1には、本発明の例示的な一実施形態による、空調装置150を分析するためのシステムの概略図が示してある。システムは、空調装置150の蒸発器151および/または空気フィルタの細菌関連汚染または炭酸汚染を示す検出信号を検出するように構成された検出ユニット101と、検出信号に基づいて、汚染物質での蒸発器151の汚染のレベルを分析するように構成された分析ユニット102と、蒸発器151および/または炭酸の汚染の分析されたレベルをユーザに出力するように構成された出力ユニット103とを備える。
【0045】
空調装置150は、とりわけ、閉じられた冷却エリアから熱を吸収しながら空調装置システム内で冷却流体を液体から気体へ蒸発させる蒸発器151を備える。外気から熱を吸収するために、外気は蒸発器151に吹き付けられる。冷却された外気は、次いで部屋または車などの車両の内部など、冷却エリアの内部に吹き付けられる。蒸発器151を通過すると、外気は冷却され、蒸発器151の外側表面に凝縮物が発生する。蒸発器151の凝縮物、したがって蒸発器151の湿気が高いことにより、細菌および真菌が成長する場合がある。
【0046】
さらに、空調装置150は空気フィルタを備えることができ、これは具体的には車両のキャビン空気フィルタでもよい。空気フィルタは花粉または他の粉塵粒子などの粒子を外気からフィルタし、外気は、空気フィルタの後、さらに空調装置150を通り、さらに車両のキャビンへと吹き付けられる。
【0047】
検出ユニット101は、蒸発器151または空気フィルタの汚染物質を示す検出信号を検出するように構成されている。具体的には、検出ユニット101は空調装置の排気の質を検出する。例えば、検出ユニット101は各物理的パラメータを検出し、パラメータの測定値を検出信号に変換する。物理的パラメータは、蒸発器151および/または空気フィルタの細菌関連汚染を示す。検出ユニット101は、空調装置150の排気における揮発性有機化合物の濃度を測定するための汚染センサを備え、揮発性有機化合物、具体的にはイソプロパノールおよび/または炭酸の濃度は、蒸発器151の細菌関連汚染のレベルを示す。具体的には、細菌および真菌はそれぞれ少量の化学物質を発生させるので、揮発性有機化合物、具体的にはイソプロパノールおよび/または炭酸の濃度は細菌関連汚染のレベルを示すことが分かっている。
【0048】
さらに、検出ユニット101は、空調装置の排気の流量を検出するための空気流センサを備えることができる。したがって、空気流センサを提供することにより、空調装置150の動作を測定することが可能になる。検出ユニット101は、排気の温度および湿度を経時的に測定するための温度センサおよび/または湿度センサも備えることができる。したがって、空調装置150の経時的な動作を測定することができ、これも、蒸発器151での細菌および真菌の成長を示すことができる。さらに、汚染物質は、プラスチック材料の放出物または蒸気である炭酸でもよく、またはそれを示してもよい。さらに、検出ユニット101は、動作時間、注入された外気の温度、外気の冷却率および/または外気の湿度などの、空調装置の特定の動作条件を検出することができる。検出された動作条件に基づき、蒸発器および/または空気フィルタの細菌関連汚染またはプラスチック材料の蒸気のレベルを決定するために、分析ユニット102は、検出された動作条件と例えばデータベースに記憶された既定の動作データとの比較を実行することができる。例えば、動作時間および外気の冷却率の測定に基づいて、細菌関連汚染のレベル、またはプラスチック材料から気化した炭酸の量を推定することができる。
【0049】
検出ユニット101、分析ユニット102および/または出力ユニット103は、データを伝送するために有線接続されている。
【0050】
分析ユニット102は、検出信号を受信するために検出ユニット101に結合されており、検出信号に基づいて、蒸発器151および/または空気フィルタの汚染物質のレベルを分析する。分析ユニット102は、例えばCPUと、例えば各データを記憶するためのメモリとを備える。分析ユニット102は、図1の例示的な実施形態ではワイヤボンドで検出ユニット101に結合されている。
【0051】
分析ユニット102は、例えば細菌関連汚染および/または炭酸の濃度を示す汚染物質の分析されたレベルが、予め定められたレベル(すなわち既定の閾値)を超えた場合に、汚染除去信号を生成するように構成されている。出力ユニット103は、汚染除去信号を出力するように構成されている。例えば、細菌関連汚染または炭酸の既定の閾値は、冷却されるべきエリアの悪臭および悪影響が生じない細菌関連汚染および/または炭酸汚染を示す。分析ユニット102は、検出信号からの測定された汚染のレベルと、細菌関連汚染の既定のレベルとを比較するように構成されており、細菌関連汚染の既定のレベルは、具体的には蒸発器151の汚染のレベルを下げるために、空調装置150を汚染除去する基準を示す。
【0052】
出力ユニット103は、蒸発器151および/または空気フィルタの汚染の分析されたレベルをユーザに出力する。出力ユニット103は、音響信号または視覚信号を発生させて、各分析されたレベルをユーザに出力するように構成され得る。図1に示されているように、出力ユニットは低汚染、中汚染、および高汚染を示すシンボルを示すことができる。
【0053】
システムは汚染除去ユニット104を備え、汚染除去ユニットは、汚染除去信号に基づいて蒸発器151を汚染除去するために、蒸発器151に結合可能である。例えば、空調装置を汚染除去する必要性を視覚化することに加えて、蒸発器151の汚染のレベルを下げるために、汚染除去手順を実行する汚染除去ユニット104などの能動的構成要素が提供される。分析ユニット102は、汚染除去信号を汚染除去ユニット104に伝送するために汚染除去ユニット104に結合される。汚染除去信号を受信すると、各汚染除去タスクが汚染除去ユニット104によって開始され得る。汚染除去ユニット104は、蒸発器151に化学的汚染除去流体を注入することにより、蒸発器151および/または空気フィルタを汚染除去することができる。さらに、汚染除去ユニット104は、各細菌および各真菌が除去され、かつ/または炭酸のレベルが減少するまで、蒸発器151を加熱することができる。汚染除去ユニット104は、蒸発器151および/または空気フィルタに化学的汚染除去流体を放出するための化学物質排出ノズル105を備える。
【0054】
検出ユニット101は、汚染を測定するために、空調装置150の排気通路107に結合されている。例えば、検出ユニット101はセンサ層を備え、排気通路107からの空気はそれに沿って流れる。検出ユニット101は、検出ユニット101を排気通路107に着脱可能に固定するための固定手段を備える。例えば、固定手段は、排気通路107の通気グリッドに引っかけることができるフック要素を備える。分析ユニット102および出力ユニット103は、各信号を伝送するために検出ユニット101に機能的に結合されている。
【0055】
さらに、システムの動作中、細菌関連汚染の分析されたレベルが予め定められた汚染物質のレベルを超えた場合に、汚染除去信号が生成される。次に、汚染除去信号に基づいて蒸発器151および/または空気フィルタが汚染除去される。具体的には、汚染除去後、汚染物質の分析されたレベルが予め定められた汚染物質のレベルを下回っているかどうか、汚染物質のレベルが分析される。したがって、蒸発器151および/または空気フィルタの汚染除去の結果を検証することができる。判定が不十分である場合、細菌関連汚染の所望のレベルが実現されるまで、蒸発器151および/または空気フィルタを汚染除去するさらなるステップを開始することができる。
【0056】
図2には、本発明の例示的な一実施形態による、車両の空調装置を分析するためのシステムの概略図が示してある。示されている例示的な実施形態では、空調装置150、具体的には蒸発器151および/または空気フィルタは、車両、具体的には車の中央コンソール201に統合されている。
【0057】
外気は、外気から熱を吸収するために蒸発器151に吹き付けられる。冷却された外気は、次いで車の内部などの冷却エリアの内部に吹き付けられる。蒸発器151を通過すると、外気は冷却され、蒸発器151の外側表面に凝縮物が発生する。蒸発器151の凝縮物、したがって蒸発器151の湿気が高いことにより、細菌および真菌が成長する場合がある。
【0058】
検出ユニット101、分析ユニット102、および汚染除去ユニット104は、車の中央コンソール201に統合されている。具体的には、検出ユニット101は、中央コンソール201の内側に形成された排気通路107に機能的に結合されかつその内部に配置されている。図2に示されているシステムは、図1の実施形態に示したものと同じ機能的ユニットを備えることができる。
【0059】
例えば、分析ユニット102は車の制御ユニット203に統合されるかまたはそれによって形成される。例えば、制御ユニット203は空調装置の動作も制御し、したがって車の内部の冷却エリアの温度を制御する。したがって、空調装置150と本発明によるシステムとの間の機能的相互作用が与えられ、独自の制御ユニット203と組み合わせられる。
【0060】
汚染の分析されたレベルが予め定められた汚染のレベル(すなわち既定の閾値)を超えた場合、分析ユニット102は汚染除去信号を生成することができる。汚染除去ユニット104は、汚染除去信号に基づいて蒸発器151を汚染除去するために、蒸発器151に結合可能である。汚染除去信号を受信すると、各汚染除去タスクが汚染除去ユニット104によって開始され得る。汚染除去ユニット104は、蒸発器151および/または空気フィルタに化学的汚染除去流体を注入することにより、蒸発器151および/または空気フィルタを汚染除去することができる。さらに、汚染除去ユニット104は、各細菌および各真菌が除去され、かつ/または炭酸の濃度が減少するまで、蒸発器を加熱することができる。汚染除去ユニット104は、蒸発器151に化学的汚染除去流体を放出するための化学物質排出ノズル105を備える。
【0061】
例えば、分析ユニット102、検出ユニット101、および汚染除去ユニット104は、示されている例ではワイヤボンドで結合されている。分析ユニット102と出力ユニット103とは、2つのユニット102、103の間でデータを伝送するために、例えばBluetoothまたはNFCを介して無線で結合されてもよい。例えば、制御ユニット203は、出力ユニット103に汚染除去信号を伝送することができる。汚染除去信号に基づき、蒸発器151の細菌関連汚染のレベルを示す各シンボルが出力ユニット103のディスプレイに示される。他方で、受信された検出信号に基づいて自動で、または手動でユーザが制御入力を行うと、出力ユニット103は、汚染除去ユニット104の汚染除去サイクルを開始するために、分析ユニット102に制御信号を伝達することができる。
【0062】
出力ユニット103は、車の中央コンソール201のディスプレイでもよい。別法として、出力ユニット103は携帯電話またはタブレットコンピュータなどのハンドヘルド機202でもよい。
【0063】
システムの各ユニット101、102、103、104は、空調装置150のエネルギー源や車両のエネルギー源などのエネルギー源にそれぞれ接続され得る。
【0064】
図3には、本発明の例示的な一実施形態による、車両の中央コンソール201にマウントされた検出ユニット101の概略図が示してある。検出ユニット101はハンドヘルド機でもよく、中央コンソール201の内部に形成された排気通路107の排気グリッド(空気孔)にクリップ留めするかまたは引っかけることができる。検出ユニット101から、センサ層は排気によってアクセス可能である。したがって、排気通路107からの空気はセンサ層に沿って流れる。1つは還元可能な気体用の、1つは容易に被酸化可能な気体用の、また1つは強く被酸化可能な気体用の、複数の、例えば3つの異なる感応性層(例えばMOX層)が提供されてもよい。各気体成分は、層の抵抗に影響を与える。したがって、感応性層のそれぞれでの抵抗の変化に基づいて、揮発性有機化合物、したがって汚染物質の濃度についての正確な結果を得ることができる。
【0065】
さらに、検出ユニット101には出力ユニット103が統合されてもよい。例えば、出力ユニット103は、空調装置150の蒸発器151および/または空気フィルタの汚染のレベルを示すディスプレイを備える。
【0066】
検出ユニット101は、USBケーブル301を介して外部の分析ユニット102に結合されてもよい。さらに、USBケーブル301は、検出ユニット101を動作させ、かつ/または充電するために使用されてもよい。
【0067】
さらに、検出ユニット101は、出力ユニット103のディスプレイを修正するための制御ボタン302を備えることができる。例えば、分析ユニット102も検出ユニット101に統合することができる。それに応じて、示されている制御ボタン302により、汚染除去ユニット104の制御が与えられ得る。例えば、各制御ボタン302を押すことにより、汚染除去サイクルを開始することができる。
【0068】
図4には、本発明の例示的な一実施形態による、汚染除去ステップ前のセンサ測定結果の図が示してある。検出ユニット101のセンダは、空調装置150の排気によってアクセス可能なセンサ層を備える。排気通路107からの空気は、センサ層に沿って流れる。センダは、1つは還元可能な気体用の、1つは容易に被酸化可能な気体用の、また1つは強く被酸化可能な気体用の、複数の、例えば3つの異なる感応性層(例えばMOX層)を備える。各気体成分は、層の抵抗に影響を与える。したがって、感応性層のそれぞれでの抵抗の変化に基づいて、揮発性有機化合物(VOC)、したがって汚染物質の濃度についての正確な結果を得ることができる。
【0069】
図4には、清掃されていない空調装置150の、空調装置150の汚染された排気が示されている。例えば、空気フィルタおよび蒸発器151が汚染されている。したがって、図では、3つの感応性層の各抵抗RS1、RS2、RS3が示されている。図から解釈され得るように、3つの感応性層のオーム抵抗RS1、RS2、RS3は、1.000.000Ωから5.800.000Ωの間である。温度tおよび流速dtは一定のままである。
【0070】
図5には、本発明の例示的な一実施形態による、汚染除去ステップ後のセンサ測定結果の図が示してある。
【0071】
図5には、汚染除去された空調装置150の、空調装置150の汚染された排気が示されている。例えば、フィルタエレメントおよびホールディングを備える空気フィルタは、フィルタエレメントを交換し、フィルタハウジングを清掃することによって汚染除去される。蒸発器151は化学剤によって清掃することができる。図から解釈され得るように、3つの感応性層のオーム抵抗RS1、RS2、RS3は、40.000Ωから380.000Ωの間に劇的に減少している。温度tおよび流速dtは一定のままである。
【0072】
したがって、減少したオーム抵抗は、汚染物質の低減を示し、例えば細菌関連汚染および/または炭酸での汚染を示す。
【0073】
用語「備える」は他の要素またはステップを除外せず、「a」または「an」は複数を除外しないことに留意されたい。また、異なる実施形態に関連付けて説明された要素は、組み合わせられてもよい。特許請求の範囲の参照符号は、特許請求の範囲に記載の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【符号の説明】
【0074】
101 検出ユニット
102 分析ユニット
103 出力ユニット
104 汚染除去ユニット
105 化学物質排出ノズル
106 加熱素子
107 排気通路
150 空調装置
151 蒸発器
201 中央コンソール
202 ハンドヘルド機
203 制御ユニット
301 USBケーブル
302 制御ボタン
図1
図2
図3
図4
図5