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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】スライド式ドアおよび投影システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20241022BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241022BHJP
   E05F 15/73 20150101ALI20241022BHJP
【FI】
E06B9/24 C
G02F1/13 505
E05F15/73
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095428
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021188390
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋田 裕功
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実公平05-026575(JP,Y2)
【文献】特開2018-081133(JP,A)
【文献】特開2019-105680(JP,A)
【文献】特開2018-205631(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068669(JP,U)
【文献】特開2018-074314(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133032(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0157493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/92
E06B 3/04- 3/88
G02F 1/13
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口の開閉を行うスライド式ドアであって、
前記建物の前記出入口の開閉を、ドア部材をスライドさせる事によって行うドア可動部と、
前記建物側に備えられ、前記ドア可動部を、スライド可能に支持し、開閉可能とするドア支持部と、を備えており、
前記ドア支持部は、電源からの電力を前記ドア可動部に給電可能とするドア支持部側給電具を備えており、
前記ドア可動部は、透明なドア部材と、該ドア部材に積層された調光シートと、前記調光シートに給電するドア可動部側給電具と、を備えており、
前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とが、前記ドア可動部が閉まっている状態または前記ドア可動部が完全に開いている状態において、互いに電気的に接続し、前記調光シートに給電可能となり、
前記調光シートは、一対の透明導電フィルムと、前記一対の透明導電フィルム間に位置する調光層と、を備え、
各透明導電フィルムは、透明電極を含み、
前記調光層は、前記透明電極間に位置し、かつ、液晶材料を含み、
前記調光シートは、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とが互いに電気的に接続し、前記調光シートに給電されている間のみ発現する第1状態と、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とが互いに電気的に接続されていない間のみ発現する第2状態と、を有し、
前記第1状態および前記第2状態のいずれか一方が透明であり、
前記第1状態および前記第2状態の他方が不透明である事を特徴とするスライド式ドア。
【請求項2】
前記調光シートがノーマルモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が閉まっている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする請求項1に記載のスライド式ドア。
【請求項3】
前記調光シートがリバースモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が完全に開いている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする請求項1に記載のスライド式ドア。
【請求項4】
前記調光シートがノーマルモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が完全に開いている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする請求項1に記載のスライド式ドア。
【請求項5】
前記調光シートがリバースモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が閉まっている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする請求項1に記載のスライド式ドア。
【請求項6】
前記ドア可動部側給電具と前記ドア支持部側給電具が、マグネットプラグからなる事を特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のスライド式ドア。
【請求項7】
スクリーンと、投影装置と、を備えている投影システムにおいて、
前記スクリーンが、請求項2から請求項5のいずれかに記載のスライド式ドアを用いていることを特徴とする投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シートを備える事で視界を制御可能なスライド式ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物のドアとして、例えば、開閉式のドアやスライド式のドアなどが使用されている。自動開閉式のドアとしても、同様に、開閉式やスライド式のドアが使用される場合がある。また、ドアの部材としては、ガラスなどの透明な部材が使用される事もある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この様な透明な部材を用いたスライド式の自動ドア(以後、単にスライド式ドアとも記す。)はオフィスなどで多用されている。近年、この様な透明な部材を用いたスライド式ドアの視界を制御するため、透明なドア部材に調光シートを備えたスライド式ドアが使用される様になって来ている。
【0004】
調光シートは、透明樹脂フィルム上に透明電極が形成された透明導電フィルムの透明電極側を内側にした一対の透明導電フィルムの間に、電圧を印加すると光の散乱状態が変化する調光層を挟み込む事で作製された積層体からなる光デバイスの一種である。光の散乱を起こす状態では不透明になり、光の散乱を起こさない状態では透明になる。
【0005】
調光シートには、ノーマルモードの調光シートとリバースモードの調光シートがある。ノーマルモードの調光シートは、駆動電圧を印加している時に透明になり、電圧が印加されていない時に不透明になる。リバースモードの調光シートは、その逆に、駆動電圧を印加している時に不透明になり、電圧が印加されていない時に透明になる。
【0006】
この様な調光シートを備えたスライド式ドアの調光シートを駆動する為には、交流電圧(駆動電圧)を調光シートに給電する必要がある。図6は、従来のスライド式ドア1´の例を示した説明図である。スライド式ドア1´はドア可動部2を有する。ドア可動部2は、透明なドア本体を有し、当該本体に調光シートが備えられている。ドア可動部2は、調光シートの作用により透明にしたり、不透明にしたりする事が可能である。このスライド式ドア1´の調光シートには、ドア可動部側給電具4-1とドア支持部側給電具4-2を用いて給電される。
【0007】
より詳しくは、ドア可動部側給電具4-1とドア支持具側給電具4-2の間は、接続導線4-3によって電気的に接続されている。ドア支持具側給電具4-2は外部電源に接続されている。従って、外部電源からの出力を制御する事によって、調光シートの透明/不透明の制御が可能である。
【0008】
しかしながら、この様なスライド式ドア1´においては、給電具4-1、4-2および接続導線4-3がスライド式ドア1´の上部に露出しており、美観を損ねる問題がある。その為、スライド式ドア1´の上部に給電具4-1、4-2および接続導線4-3を隠すための目隠し板を配置する事によって、給電具4-1、4-2および接続導線4-3を隠蔽する場合もある。しかしながら、この様にする事でデザイン性が低下してしまう問題がある。
【0009】
さらにスライド式ドアの場合、スライド動作に伴い、接続導線4-3が戸袋に引き込まれ破断のおそれも想定しうる。そのため、更なる改良が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2002-021441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の事情に鑑み、本発明は、より安全に配慮されかつデザイン性に優れた、調光シートを備えたスライド式ドアを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するする手段として、本発明の第一の態様は、建物の出入口の開閉を行うスライド式ドアであって、
建物の出入口の開閉を、ドア部材をスライドさせる事によって行うドア可動部と、
建物側に備えられ、ドア可動部を、スライド可能に支持し、開閉可能とするドア支持部と、を備えており、
ドア支持部は、電源からの電力をドア可動部に給電可能とするドア支持部側給電具を備えており、
ドア可動部は、透明なドア部材と、該ドア部材に積層された調光シートと、調光シートに給電するドア可動部側給電具と、を備えており、
ドア支持部側給電具とドア可動部側給電具とが、ドア可動部が閉まっている状態またはドア可動部が完全に開いている状態において、互いに電気的に接続し、調光シートに給電可能となる事を特徴とするスライド式ドアである。
【0013】
また、本発明の第二の態様は、前記調光シートがノーマルモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が閉まっている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする第一の態様に記載のスライド式ドアである。
【0014】
また、本発明の第三の態様は、前記調光シートがリバースモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が完全に開いている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする第一の態様に記載のスライド式ドアである。
【0015】
また、本発明の第四の態様は、前記調光シートがノーマルモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が閉まっている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする第一の態様に記載のスライド式ドアである。
【0016】
また、本発明の第五の態様は、前記調光シートがリバースモードの調光シートであり、前記ドア支持部側給電具と前記ドア可動部側給電具とは、前記ドア可動部が閉まっている状態で電気的に接続可能となる様に、それぞれ、前記ドア支持部と前記ドア可動部の位置に備えられている事を特徴とする第一の態様に記載のスライド式ドアである。
【0017】
また、本発明の第六の態様は、前記ドア可動部側給電具と前記ドア支持部側給電具が、マグネットプラグからなる事を特徴とする。
【0018】
また、本発明の第七の態様は、スクリーンと、投影装置と、を備えている投影システムにおいて、
前記スクリーンが、第二の態様から第五の態様のいずれかに記載のスライド式ドアを用いている事を特徴とする投影システムである。
【発明の効果】
【0019】
上記構成を採ることにより、本発明は、より安全に配慮されかつデザイン性に優れた、調光シートを備えたスライド式ドアを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のノーマルモードの調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図であって、(a)はドアが閉まった状態且つ不透明である状態、(b)はドアが開いた状態且つ透明である状態、を示している。
図2】本発明のリバースモードの調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図であって、(a)はドアが閉まった状態且つ透明である状態、(b)はドアが開いた状態且つ不透明である状態、を示している。
図3】本発明のノーマルモードの調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図であって、(a)はドアが閉まった状態且つ透明である状態、(b)はドアが開いた状態且つ不透明である状態、を示している。
図4】本発明のリバースモードの調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図であって、(a)はドアが閉まった状態且つ不透明である状態、(b)はドアが開いた状態且つ透明である状態、を示している。
図5】本発明のリバースモードの調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図であって、(a)はプロジェクターのスクリーンとして使用する状態、(b)はドアが開いた状態且つ透明である状態、を示している。
図6】従来の調光シートを使用したスライド式ドアの一例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<スライド式ドア>
本発明のスライド式ドアについて、説明する。
本発明のスライド式ドアは、建物の出入口の開閉を行うスライド式ドアである。
本発明のスライド式ドアは、建物の出入口の開閉を、ドア部材をスライドさせる事によって行うドア可動部と、建物側に備えられ、ドア可動部を、スライド可能に支持し、開閉可能とするドア支持部と、を備えている。
【0022】
ドア支持部は、電源からの電力をドア可動部に給電可能とするドア支持部側給電具を備えている。
【0023】
ドア可動部は、透明なドア部材と、該ドア部材に積層された調光シートと、調光シートに給電するドア可動部側給電具と、を備えている。
【0024】
本発明のスライド式ドアにおいては、ドア支持部側給電具とドア可動部側給電具とが、ドア可動部が閉まっている状態またはドア可動部が開いている状態において、互いに電気的に接続し、調光シートに給電可能となる事が特徴である。
【0025】
以上に説明した様に、本発明のスライド式ドアによれば、スライド式ドアに備えられた調光シートに給電する給電具として、スライド式ドアのドア可動部側給電具とドア支持部側給電具を、それぞれドア可動部とドア支持部に備えている。これらの給電具は、スライド式ドアが閉まっている状態で相互に接続し、導通可能となる様に備えられているか、スライド式ドアが完全に開いている状態で相互に接続し、導通可能となる様に備えられている。この様な構成である為、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具の間を接続導線で接続していなくても、ドアが閉まっている状態およびドアが完全に開いている状態におい
て、調光シートに給電する事も、給電しない様にする事も可能である。接続導線を必要としない為、デザイン性が低下する事を回避する事ができる。
【0026】
(調光シート)
調光シートは、透明樹脂フィルム上に透明電極が形成された透明導電フィルムの透明電極側を内側にした一対の透明導電フィルムの間に、電圧を印加すると光の散乱状態が変化する調光層を挟み込む事で作製された積層体からなる光デバイスの一種である。光の散乱を起こす状態では不透明になり、光の散乱を起こさない状態では透明になる。光の散乱ではなく、光透過率が変化する調光層であっても調光機能を発揮する事は可能である。
【0027】
本発明においては、主に液晶材料を用いた調光層を使用した調光シートを想定しているが、これに限定する必要は無い。
調光シートには、ノーマルモードの調光シートとリバースモードの調光シートがある。ノーマルモードの調光シートは、駆動電圧を印加している時に透明になり、電圧が印加されていない時に不透明になる。リバースモードの調光シートは、その逆に、駆動電圧を印加している時に不透明になり、電圧が印加されていない時に透明になる。
【0028】
(ドア可動部)
スライド式ドアにおいて、ドア可動部とは、建物の開口部をドア部材によって塞いだり、逆に開けたりするドア部材である。本発明においては、透明なガラスや透明な樹脂などからなるドア部材に調光シートをほぼ全面に亘って備えたものである。スライド式ドアにおいては、板状のドア部材が建物の開口部の開口面に近接した位置を、平行に移動する事によって、建物の開口部を塞いだり、開けたりする。ドア可動部は、建物の開口部の開口面に近接した位置に沿って、平行に移動可能とする手段(図示省略)によって、建物の開口部を開閉可能に備えられている。
【0029】
その様な手段としては、特に限定する必要は無いが、例えば、建物の開口部に対応して備えられたガイドレールなどを挙げる事ができる。ガイドレールは、床面に備えられていても良いし、ドア可動部の上側に備えられていても構わない。また、その様なガイドレールに沿って、ドア可動部をモータードライブで駆動する手段を備えていても良い。更に、その様な、ドア可動部を駆動するモータードライブ機構を制御する人感センサなどや、人感センサなどのセンサからの情報に基づいてモータードライブ機構をコントロールする制御装置を備えていても良い。
【0030】
なお、ドア可動部は、透明なドア部材のほぼ全面に亘って調光シートを備えた部材であるが、調光シートには、ノーマルモードの調光シートとリバースモードの調光シートがあるが、その何れであっても構わない。用途や制御方法などに従って選択すれば良い。
【0031】
(ドア支持部)
ドア支持部は、ドア可動部を、建物に近接した位置に沿って、スライド移動可能に、支持する部材である。
一般的には、建物の出入口である開口部の周縁部に沿って備えられた部材であり、建物側に固定されており、開口部を塞ぐことができるドア可動部が、スライド移動する方向に、ドア可動部の幅の2倍程度のサイズで備えられるのが通常である。また、スライド式ドアが閉まっている時、ドア支持部は、ドア可動部と当接し、ドア可動部がそれ以上移動しない様にするストッパーとしても役割を持っている。また、スライド式ドアが開いている時にも、ドア可動部と当接し、ドア可動部がそれ以上移動しない様にするストッパーとしても役割を持っている。
【0032】
(ドア可動部側給電具)
ドア可動部側給電具は、ドア可動部に備えられた、調光シートに給電する為の給電具である。ドア可動部側給電具の一つの端は、調光シートの一方の電極に接続された電極となっている。ドア可動部側給電具のもう一つの端は、ドア支持部側給電具と接続可能な電極となっており、それらの電極は導通している。また、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具とは、互いに電気的に接続可能な電極構造を備えている。その為、給電具同士が電気的に接続した時、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具とは導通する。
【0033】
(ドア支持部側給電具)
ドア支持部側給電具は、ドア支持部に備えられた、建物側の電源装置に接続された給電具である。ドア支持部側給電具の一つの端は、建物側の電源装置に接続された電極となっている。ドア支持部側給電具のもう一つの端は、ドア可動部側給電具と接続可能な電極となっており、それらの電極は導通している。また、ドア支持部側給電具とドア可動部側給電具とは、互いに電気的に接続可能な電極構造を備えている。その為、給電具同士が電気的に接続した時、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具とは導通する。
【0034】
この様に、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具が電気的に接続した時に、電源装置からの電圧を調光シートに給電可能となる。
ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具が電気的に接続可能となる位置関係には、二つの場合がある。スライド式ドアが開いている時に電気的に接続する場合と、スライド式ドアが閉まっている時に電気的に接続する場合である。使用する調光シートが、ノーマルモードの調光シートであるか、リバースモードの調光シートであるか、スライド式ドアが閉まっている時にドア可動部を不透明にするか、透明にするか、また、スライド式ドアが開いている時にドア可動部を不透明にするか、透明にするか、によって適宜選択すれば良い。
【0035】
なお、ドア可動部側給電具とドア支持部側給電具の具体的な例としては、例えば、マグネットプラグを挙げる事ができる。マグネットプラグは、プラグとコンセントなどの雄雌関係にある一対の電極を磁石による引力によって引き付ける事によって確実に電気的な導通をとる事が可能なものである。プラグ側の電極とコンセント側の電極を磁石により密着させる事で確実な導通を得る事ができる。通常のプラグとコンセントは、コンセント側の雌型の電極に、プラグ側の雄型の電極を押し入れる形となる。その為、プラグの抜き差しが多数回になると導通の信頼性が低下する虞があるが、マグネットプラグは、プラグとコンセントを押し当て、磁石で固定する形である為、プラグの抜き差しが多数回になっても導通の信頼性が低下し難い。加えて、マグネットプラグを採用した場合、ユーザによるドアの引き具合が甘くても磁力により確実な電気的接続が担保されるという利点がある。
【0036】
(第一の実施形態)
図1は、本発明のスライド式ドアの第一の実施形態を例示する概略説明図である。
本発明の第一の実施形態におけるスライド式ドア1は、上記で説明したスライド式ドアにおいて、調光シートはノーマルモードの調光シートである。
ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、ドア可動部2-1が開いた状態で互いに電気的接続が実現される位置に、それぞれ、ドア支持部3とドア可動部2-1に備えられている。
【0037】
図1(a)は、ドア可動部2-1が閉まっている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されておらず、調光シートには給電されていない。調光シートはノーマルモードである為、給電されていない状態では光が散乱される状態となり、不透明である。
【0038】
一方、図1(b)は、ドア可動部2-1が完全に開いている状態を示している。この状
態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、電気的に接続される。その為、調光シートに給電されている。調光シートはノーマルモードである為、給電されている状態では光が散乱されない状態となり、透明となる。
【0039】
(第二の実施形態)
図2は、本発明のスライド式ドアの第二の実施形態を例示する概略説明図である。
本発明の第二の実施形態におけるスライド式ドア1-2は、上記で説明したスライド式ドアにおいて、調光シートがリバースモードの調光シートである。
ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、ドア可動部2-2が開いた状態で互いに電気的接続が実現される位置に、それぞれ、ドア支持部3とドア可動部2-2に配置されている。
【0040】
図2(a)は、ドア可動部2-2が閉まっている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されておらず、調光シートには給電されていない。調光シートはリバースモードである為、給電されていない状態では光が散乱されない状態となり、透明である。
【0041】
一方、図2(b)は、ドア可動部2-2が完全に開いている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、電気的に接続される。その為、調光シートに給電されている。調光シートはリバースモードである為、給電されている状態では光が散乱される状態となり、不透明となる。
【0042】
(第三の実施形態)
図3は、本発明のスライド式ドアの第三の実施形態を例示する概略説明図である。
本発明の第三の実施形態におけるスライド式ドア1-3は、上記で説明したスライド式ドアにおいて、調光シートがリバースモードの調光シートの場合である。
ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、ドア可動部2-1が閉まっている状態で互いに電気的接続される位置に、それぞれ、ドア支持部3とドア可動部2-1に配置されている事を特徴とするスライド式ドアである。
【0043】
図3(a)は、ドア可動部2-1が閉まっている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されており、調光シートに給電されている。調光シートはリバースモードである為、給電されている状態では光が散乱する状態となり、不透明である。
【0044】
一方、図3(b)は、ドア可動部2-1が完全に開いている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されていない。その為、各給電具4-1、4-2を介して調光シートに給電されない。調光シートはリバースモードである為、給電されていない状態では光が散乱されない状態となり、透明となる。
【0045】
(第四の実施形態)
図4は、本発明のスライド式ドアの第四の実施形態を例示する概略説明図である。
本発明の第四の実施形態におけるスライド式ドア1-4は、上記で説明したスライド式ドアにおいて、調光シートがリバースモードの調光シートの場合である。
ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、ドア可動部2-2が閉まっている状態で電気的接続される位置に、それぞれ、ドア支持部3とドア可動部2-2に配置されている。
【0046】
図4(a)は、ドア可動部2-2が閉まっている状態を示している。この状態で、ドア
支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されており、調光シートに給電されている。調光シートはリバースモードである為、給電されている状態では光が散乱する状態となり、不透明である。
【0047】
一方、図4(b)は、ドア可動部2-1が完全に開いている状態を示している。この状態で、ドア支持部側給電具4-2とドア可動部側給電具4-1とは、接続されていない。その為、調光シートに給電されない。調光シートはリバースモードである為、給電されていない状態では光が散乱されない状態となり、透明となる。
【0048】
<投影システム>
次に、本発明のスライド式ドアを投影スクリーンとして使用する投影システムについて説明する。
【0049】
図5に示す様に、本発明の投影システム1-5は、スクリーンと、投影装置5と、を備えている投影システムである。
本発明の投影システム1-5においては、スクリーンが、リバースモードの調光シートを備えたドア可動部2-2である事が特徴である。
【0050】
本発明の投影システムによれば、本発明のスライド式ドアのドア可動部が閉まっている状態で、調光シートを投影スクリーンとしても使用可能な不透明な状態にする事が可能である為、スライド式ドアのドア可動部を投影スクリーンとした投影システムを実現する事ができる。
【符号の説明】
【0051】
1、1´、1-2、1-3、1-4・・・(調光シートを備えた)スライド式ドア
1-5・・・投影システム
2・・・(調光シートを備えた)ドア可動部
2-1・・・(ノーマルモードの調光シートを備えた)ドア可動部
2-2・・・(リバースモードの調光シートを備えた)ドア可動部
3・・・ドア支持部
4・・・給電具
4-1・・・(ドア可動部側)給電具
4-2・・・(ドア支持部側)給電具
4-3・・・接続導線
5・・・投影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6