(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】固定状態検査装置、固定状態検査システム、固定状態検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20241022BHJP
【FI】
G06T7/00 600
G06T7/00 650B
G06T7/00 350B
(21)【出願番号】P 2020105729
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 里奈
【審査官】菊池 伸郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0141570(KR,A)
【文献】特開2013-053875(JP,A)
【文献】特開2020-071716(JP,A)
【文献】特開2020-065330(JP,A)
【文献】特開2019-095358(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0709394(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06M 17/08
B61D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物列車
の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが
前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段と、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段と、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置を特定可能な情報である検出位置情報を生成して出力する出力手段とを備える
固定状態検査装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像とその他のフレーム画像とに基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力する
請求項1に記載の固定状態検査装置。
【請求項3】
前記フレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像を合成することによって、前記走行方向に沿った全長に亘る前記貨物列車の側部の画像を含む全体画像を示す全体画像情報を生成する画像合成手段をさらに備える
請求項2に記載の固定状態検査装置。
【請求項4】
前記出力手段は、
前記検出フレーム画像と前記全体画像とに基づいて、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する検出フレーム領域特定手段と、
前記全体画像を解析することによって、前記特定された領域に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
請求項3に記載の固定状態検査装置。
【請求項5】
前記検出フレーム領域特定手段は、前記検出フレーム画像と前記全体画像とを照合することによって、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する
請求項4に記載の固定状態検査装置。
【請求項6】
前記検出フレーム領域特定手段は、
前記複数のフレーム画像の各々が前記全体画像において占める領域を示すフレーム-領域情報を生成する領域対応付け手段と、
前記フレーム-領域情報に基づいて、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する領域特定手段とを含む
請求項4に記載の固定状態検査装置。
【請求項7】
前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像の各々が前記全体画像において占める領域を示すフレーム-領域情報を生成する領域対応付け手段と、
前記全体画像を解析することによって前記全体画像における各車両の車両番号を特定する車両番号特定手段と、
前記特定された車両番号と前記フレーム-領域情報とに基づいて、前記複数のフレーム画像の各々に示される車両の車両番号を示すフレーム-車両情報を生成する車両対応付け手段と、
前記フレーム-車両情報に基づいて、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
請求項3に記載の固定状態検査装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記フレーム画像群情報から得られた全体画像に基づいて、前記非固定状態の前記固定機構を検出する
請求項3から7のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記フレーム画像群情報から得られた全体画像に基づいて、前記非固定状態の前記固定機構を検出し、
前記出力手段は、前記全体画像を解析することによって、前記検出された固定機構を含む車両の車両番号を示す情報を、前記検出位置情報として出力する
請求項3に記載の固定状態検査装置。
【請求項10】
前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像を順次解析することによって、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
請求項3に記載の固定状態検査装置。
【請求項11】
前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像を順次解析することによって、前記複数のフレーム画像の各々に示される車両の車両番号を示すフレーム-車両情報を生成する車両対応付け手段と、
前記フレーム-車両情報に基づいて、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
請求項10に記載の固定状態検査装置。
【請求項12】
前記検出手段は、前記非固定状態の固定機構を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに前記フレーム画像群情報を入力することで、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
請求項1から11のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【請求項13】
前記検出手段は、複数の撮影環境において前記非固定状態の固定機構を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに前記フレーム画像群情報と前記撮影環境とを入力することで、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
請求項12に記載の固定状態検査装置。
【請求項14】
前記撮影環境は、撮影される時間帯、又は、撮影時の天候を基に設定される
請求項13に記載の固定状態検査装置。
【請求項15】
前記検出手段は、前記フレーム画像群情報と前記固定状態の前記固定機構を示す参照情報とを照合することによって、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
請求項1から11のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【請求項16】
前記出力手段は、前記検出フレーム画像を撮影したときの撮影条件に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置を求め、当該求めた位置を特定可能な検出位置情報を出力する
請求項1に記載の固定状態検査装置。
【請求項17】
前記撮影条件は、前記貨物列車の運行速度と、予め定められた時点から当該検出フレーム画像の撮影時点までの時間である撮影時期とを含む
請求項16に記載の固定状態検査装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の固定状態検査装置と、
前記貨物列車を撮影する撮影手段とを備え、
前記フレーム画像群取得手段は、前記フレーム画像群情報を前記撮影手段から取得する
固定状態検査システム。
【請求項19】
前記撮影手段は、前記貨物列車の側方の一方又は両方において、前記走行方向に沿って前記貨物列車に対して相対的に移動するように設けられる
請求項18に記載の固定状態検査システム。
【請求項20】
貨物列車
の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが
前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得することと、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出することと、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力することとを含む、固定状態検査方法。
【請求項21】
コンピュータを、
貨物列車
の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが
前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力する出力手段、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定状態検査装置、固定状態検査システム、固定状態検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨物列車では、多数の車両が連結され、各車両に1つ又は複数のコンテナが載せられることが多い。そして、荷物を収容したコンテナが台車から落ちないように、例えば、コンテナと台車とを固定するための緊締装置が、各コンテナに対して1つ又は複数設けられる。
【0003】
緊締装置では、例えば操作レバーを操作することで、コンテナと台車とが固定される固定状態と、コンテナを台車に対して着脱できる解除状態とを切り替えることができる。そのため、緊締装置が固定状態であるか否かは、操作レバーの状態など、緊締装置の外観から判別できることが多い。貨物列車が出発する前には通常、作業員は、緊締装置が固定状態となっていることを目視で確認する。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、貨物列車や貨物車両の外観検査、窓の施錠確認を支援する技術が開示されている。
【0005】
特許文献1には、ラインスキャンカメラの連続的な撮影により得られた画像データを繋ぎ合わせて鉄道車両の二次元の撮影画像を合成する技術が記載されている。そして、特許文献1では、当該撮影画像と同一車両の過去の正常画像とを比較することで、鉄道車両の側壁に傷が生じていたり、各種の筐体の扉が開きかけていたりするなどの異常が検出される。
【0006】
特許文献2には、窓サッシを閉塞状態にする施錠装置と、施錠装置を撮影可能な撮影ユニットと、撮影ユニットで撮影した映像データを外部の画像処理装置に送信する送信ケーブルとを備える施錠確認機能付き窓が記載されている。画像処理装置では、映像データに含まれる映像がモニタ装置に出力される。この映像に、施錠装置の把手の先端やフックの上面が映っているか否かなどによって、施錠装置の施錠が確認される。
【0007】
特許文献3には、ラインカメラで撮影した画像に基づいて、コンテナトラックに取り付けられたコンテナ上面のダメージを検出するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-095358号公報
【文献】特開2010-138567号公報
【文献】特開2002-170099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~3の技術では、上述の緊締装置のような固定機構、すなわち、コンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが切り替えられる機構が固定状態であるか否かを自動で検出する技術を開示していない。
【0010】
貨物列車では上述の通り、多数の車両が連結されることが多く、緊締装置の状態を目視で確認する作業は非常に手間である。また、目視による確認では、特に夜間や天候が悪い時などには非固定状態の緊締装置を見落とす可能性もある。緊締装置のような固定機構が非固定状態のままで走行すると危険が生じるおそれがあるため、緊締装置のような固定機構の状態を自動で検出するための技術が望まれている。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、より安全な貨物列車の運行を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る固定状態検査装置は、
貨物列車の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段と、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段と、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置を特定可能な情報である検出位置情報を生成して出力する出力手段とを備える。
【0013】
本発明の第2の観点に係る固定状態検査システムは、
上記の固定状態検査装置と、
前記貨物列車を撮影する撮影手段とを備え、
前記フレーム画像群取得手段は、前記フレーム画像群情報を前記撮影手段から取得する。
【0014】
本発明の第3の観点に係る固定状態検査方法は、
貨物列車の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得することと、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出することと、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力することとを含む。
【0015】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
貨物列車の側方を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが前記側方から視認可能に切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力する出力手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より安全な貨物列車の運行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る固定状態検査システムの構成の概要を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図4】複数のフレーム画像を合成することによって得られる全体画像の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る固定状態検査装置の物理的な構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図7】検出フレーム画像が全体画像において占める領域ARDの例を示す図である。
【
図8】全体画像SIに示される車両の車両番号を前方から順に特定することによって、検出フレーム画像が全体画像において占める領域ARDが示す車両の車両番号が特定された例を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図10】実施の形態2に係る検出フレーム領域特定部の構成を示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図13】本発明の実施の形態3に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図14】本発明の実施の形態3に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図15】全体画像SIにおける各車両の車両番号が特定された例を示す図である。
【
図16】全体画像SIにおいてフレーム画像FR1が占める領域AR1の例を示す図である。
【
図17】フレーム-車両情報の一例を示す図である。
【
図18】本発明の実施の形態4に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図19】本発明の実施の形態4に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図20】全体画像SIから非固定状態の緊締装置が検出された例を示す図である。
【
図21】全体画像SIに示される車両の車両番号を前方から順に特定することによって、検出フレーム画像が全体画像において占める領域ARDが示す車両の車両番号が特定された例を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態5に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図23】本発明の実施の形態5に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図24】本発明の実施の形態6に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図25】本発明の実施の形態6に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【
図26】本発明の実施の形態7に係る固定状態検査システムの機能的な構成を示す図である。
【
図27】本発明の実施の形態7に係る固定状態検査方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
<<実施の形態1>>
(固定状態検査システム100の機能的構成)
本発明の実施の形態1に係る固定状態検査システム100は、
図1に示すように、貨物列車101を撮影した画像に基づいて、コンテナ102に設けられる緊締装置103の状態を検査するためのシステムである。固定状態検査システム100は、カメラ104と、固定状態検査装置105と、作業員などのユーザが携帯する携帯端末106とを備える。
【0020】
カメラ104と固定状態検査装置105との間、固定状態検査装置105と携帯端末106との間は、ネットワークNTを介して通信可能に接続されている。これにより、これらの構成要素104及び105、105及び106の間では、ネットワークNTを介して情報を授受できるが、ネットワークNTを介さずに、フラッシュメモリのような可搬型の記憶媒体を介して情報を授受してもよい。
【0021】
実施の形態では、検査対象となる貨物列車101が、
図1に示すように5両編成である。先頭(1両目)の車両が集電器107を介して電力の供給を受けて貨物列車101を駆動する動力車である。2~4両目の車両の各々は、動力車から順に連結器を介して接続される車両であり、緊締装置103が設けられた台車108を有する。各台車108には、1つのコンテナ102が積載されており、緊締装置103は、コンテナ102の各々に前後2つずつ関連付けて設けられている。
【0022】
なお、このような貨物列車101の構成は一例に過ぎず、連結される車両の数や動力車の数、1つの台車108に積載されるコンテナ102の数、コンテナ102の各々に関連付けられる緊締装置103の数などは、適宜変更されてもよい。また、検査対象は、貨物列車101に限らず、1つ又は複数のコンテナを搭載した台車が連結されたトレーラなどであってもよい。
【0023】
緊締装置103の各々は、コンテナ102を台車108に固定するための装置であり、コンテナ102と台車108とを締結するための本体部109と操作レバー110とを含む。操作レバー110は、固定状態と非固定状態とを切り替えるために操作される丸棒状の部位であり、例えば前後方向の軸を中心に回転操作される。
【0024】
固定状態は、コンテナ102が台車108に固定された状態である。貨物列車101の運行中の緊締装置103は、すべて固定状態とされることが通常である。固定状態における操作レバー110は、下方へ延びるように位置づけられ、右方(
図1での紙面の手前方向)から見ると
図1の4両目前方以外の緊締装置103に示すように、概ね下方に細長い長方形をなす。
【0025】
ここで、貨物列車101の走行方向を前方、その反対方向を後方とし、貨物列車101を前方から見た場合の方向に従って上下左右を規定して説明する。ただし、これらの方向を示す用語は、説明のために用いるのであって、本願発明を限定する趣旨ではない。
【0026】
非固定状態は、固定状態とは異なる状態、すなわち、コンテナ102が台車108に固定されていない状態である。非固定状態は、コンテナ102を台車108に着脱可能な解除状態、解除状態ではないがコンテナ102が台車108に十分に固定されていない半固定状態などを含む。解除状態における操作レバー110は、右方へ延びるように位置づけられ、右方から見ると
図1の4両目前方の緊締装置103に示すように、概ね小さい丸形をなす。半固定状態では、図示しないが、右方から見ると、固定状態よりも上下方向の長さが短い長方形をなす。
【0027】
なお、実施の形態では、前後方向の軸を中心に回転操作される丸棒状の操作レバー110の例により説明するが、操作レバー110の操作方法は、これに限られず、また操作レバー110の形状なども適宜変更されてよい。
【0028】
また、実施の形態では、緊締装置103の固定状態と非固定状態とが操作レバー110の状態で判別される例により説明するが、これらの状態は、操作レバー110に限られず、緊締装置103の外観に表れていればよい。
【0029】
さらに、緊締装置103は、コンテナ102に関連付けて設けられて部材間(例えば、台車108とコンテナ102の底部との間)の固定状態と解除状態とが切り替えられる固定機構の一例である。固定機構は、例えばコンテナ102の外部から視認可能に設けられるドアと本体との間の固定状態と解除状態とを切り替える機構であってもよい。この場合、固定状態では、ドアが開閉できないように固定され、解除状態では、ドアが開閉可能であるとよい。
【0030】
カメラ104は、貨物列車101を撮影する撮影手段の一例であり、例えばコンテナを台車に対して載せたりおろしたりする車両基地に設置される。
【0031】
カメラ104は、車両基地から出発する貨物列車101の右方から、貨物列車101を撮影するように固定されている。
【0032】
貨物列車101が前方へ走行すると、貨物列車101に対して走行方向に沿って相対的に移動する。この貨物列車101をカメラ104が連続的に撮影する。これによって、複数のフレーム画像FR1~FRnが取得され、カメラ104は、複数のフレーム画像FR1~FRnを含むフレーム画像群情報を生成する。カメラ104が連続的にFR1~FRnを撮影する際の時間間隔は、貨物列車101の運行速度などに応じて適宜定められてよい。
【0033】
実施の形態では、
図2に示すように、10枚のフレーム画像FR1~FR10が取得され、フレーム画像FR1~FR10の各々を含むフレーム画像群情報が生成される例により説明する。本実施の形態に係るカメラ104は、マッチング処理などにより貨物列車101の先端を検出すると、その時点T1から撮影を開始する。そして、
図2に示すように概ね一定の時間間隔で連続的に撮影し、マッチング処理などにより貨物列車101の後端を検出すると、その時点T10で撮影を終了する。
【0034】
以下、フレーム画像FR1~FR10の各々を特に区別しない場合、単に「フレーム画像FR」などとも表記する。
【0035】
図2を参照すると分かるように、本実施の形態では、複数のフレーム画像FRは、前後方向には部分的に重複しており、前後方向に沿った全長に亘る貨物列車101の側部(本実施の形態では右側部)の全体を含む。また本実施の形態に係る複数のフレーム画像FRは、上下方向にも、貨物列車101の側部の全体を含む。
【0036】
なお、カメラ104の上下方向の撮影範囲は、緊締装置103を撮影できるように設定されれば、貨物列車101の全体を含まなくてもよい。また、緊締装置103を含むフレーム画像は、少なくとも1つあればよい。さらに、カメラ104は、貨物列車101の右方に限らず、貨物列車101の左方、左右両方など、貨物列車101に設けられた緊締装置103の状態が表れる画像を撮影できるように配置されるとよい。
【0037】
固定状態検査装置105は、フレーム画像群情報に基づいて緊締装置103の状態を検査する装置である。固定状態検査装置105は、非固定状態の緊締装置103を検出すると、当該緊締装置103の位置を特定可能な検出位置情報を出力する。
【0038】
固定状態検査装置105は機能的には、
図3に示すように、入力部121と、フレーム画像群取得部122と、検出部123と、検出フレーム保持部124と、画像合成部125と、出力部126とを備える。
【0039】
入力部121は、各種の指示、設定などのための、ユーザからの入力を受け付ける。
【0040】
フレーム画像群取得部122は、フレーム画像群情報をカメラ104から取得して保持する。詳細には、フレーム画像群取得部122は、フレーム画像を示すフレーム画像情報を取得すると、当該フレーム画像を識別するためのフレーム識別情報を当該フレーム画像情報に関連付けたフレーム画像群情報を生成して保持してもよい。例えば、フレーム識別情報は、本実施の形態の説明における各フレーム画像の参照符号である「FR1」、「FR2」、「FR3」・・・「RF10」である。
【0041】
なお、カメラ104で貨物列車101の端部を検出しない場合には、貨物列車101を含まないフレーム画像もカメラ104によって撮影されることがある。このような場合、フレーム画像群取得部122は、カメラ104から取得するフレーム画像群情報に含まれるフレーム画像から、貨物列車101を含むフレーム画像を抽出して取得するとよい。この抽出では、フレーム画像群取得部122は例えば、マッチング処理や、エッジ検出などの特徴量の検出処理などによって、貨物列車101の前端及び末尾を検出するとよい。そして、フレーム画像群取得部122は例えば、当該検出した先端及び末尾の間に撮影されたフレーム画像を抽出して取得するとよい。
【0042】
検出部123は、フレーム画像群情報に基づいて、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0043】
本実施の形態に係る検出部123は、機械学習によって学習済みの学習モデルを用いて非固定状態の緊締装置103を検出する。すなわち、検出部123は、非固定状態の緊締装置103を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルにフレーム画像群情報を入力することで、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0044】
学習時の学習モデルへのインプットデータは、固定状態と非固定状態との各状態の緊締装置103を含む画像データである。インプットデータでは、複数の種類の緊締装置の画像が採用されるとよい。そして、機械学習においては、画像データに応じた固定状態又は非固定状態を正解とする教師あり学習を行うとよい。
【0045】
さらに本実施の形態では、複数の撮影環境の各々で撮影された緊締装置103の画像を含む画像データをインプットデータとして学習することによって、複数の撮影環境のそれぞれに応じた学習モデルが準備される。すなわち、検出部123は、複数の撮影環境において非固定状態の緊締装置103を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルにフレーム画像群情報と撮影環境とを入力することで、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0046】
撮影環境は、例えば、撮影される時間帯、撮影時の天候の少なくとも1つを基に設定されるとよい。
【0047】
例えば、撮影される時間帯を基に定められる場合、撮影環境は、外が明るい「昼」と外が暗い「夜」とから構成されるとよい。この場合、「昼」と「夜」とのそれぞれで撮影された車両の画像データをインプットデータとする機械学習によって学習済みの学習モデルが準備されるとよい。「昼」は例えば、6時~17時であり、「夜」は例えば、0時~6時及び17時~24時である。
【0048】
また例えば、撮影時の天候を基に定められる場合、撮影環境は、外が明るい「晴天」と外が比較的暗い「曇天・雨天」とから構成されてもよい。さらに例えば、撮影される時間帯と撮影時の天候との組み合わせなどを基に定められてもよい。このような場合も、それぞれの撮影環境で撮影された車両の画像データをインプットデータとする機械学習によって学習済みの学習モデルが準備されるとよい。
【0049】
検出フレーム保持部124は、非固定状態の緊締装置103が検出部123によって検出されると、検出フレーム画像のフレーム識別情報を保持する。検出フレーム画像とは、検出部123によって検出された緊締装置103(すなわち、非固定状態の緊締装置103)を含むフレーム画像である。
【0050】
画像合成部125は、フレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像FR1~FR10を合成することによって、全体画像SIを示す全体画像情報を生成して保持する。全体画像SIは、その一例を
図4に示すように、走行方向に沿った全長に亘る貨物列車101の側部の画像を含む。本実施の形態に係る全体画像SIでは、上下方向にも貨物列車101の全体が含まれるが、緊締装置103を含んでいれば、上下方向には貨物列車101の一部であってもよい。
【0051】
図3を再び参照する。
出力部126は、検出フレーム画像とその他のフレーム画像とに基づいて、貨物列車101における非固定状態の緊締装置103の位置を特定可能な情報である検出位置情報を生成して、例えば作業者が携帯する携帯端末106へ出力する。検出位置情報は、例えば、何両目の車両であるか、何両目の車両の前後いずれの緊締装置103であるか、何両目の車両の前から何番目の緊締装置103であるか、などを示す。
【0052】
詳細には、出力部126は、検出フレーム領域特定部126aと、位置特定部126bとを含む。
【0053】
検出フレーム領域特定部126aは、検出フレーム画像と全体画像SIとに基づいて、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域を特定する。本実施の形態に係る検出フレーム領域特定部126aは、検出フレーム画像と全体画像SIとを照合することによって、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する。
【0054】
位置特定部126bは、全体画像SIを解析することによって、検出フレーム領域特定部126aにより特定された領域ARDに対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を検出位置情報として生成して出力する。ここで、「車両番号」は、予め定められた車両(本実施の形態では、先頭車両)から予め定められた方向(本実施の形態では、後方)へ数えて、何番目の車両であるかを示す。
【0055】
(固定状態検査システム100の物理的構成)
図5は、固定状態検査システム100の物理的な構成例を示す図である。
【0056】
カメラ104は、ラインスキャンカメラ、エリアセンサカメラなどである。携帯端末106は、タブレットPC(Personal Computer)、スマートフォンなどである。カメラ104と固定状態検査装置105との間、固定状態検査装置105と携帯端末106との間を接続するネットワークNTは、無線、有線又はこれらを組み合わせて構成される。
【0057】
固定状態検査装置105は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって実現され、バス1110、プロセッサ1120、メモリ1130、ストレージデバイス1140、ユーザインタフェース1150及びネットワークインタフェース1160を有する。
【0058】
バス1110は、プロセッサ1120、メモリ1130、ストレージデバイス1140、ユーザインタフェース1150及びネットワークインタフェース1160が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1120などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0059】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0060】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0061】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は、固定状態検査装置105の各機能部(入力部121、フレーム画像群取得部122、検出部123、検出フレーム保持部124、画像合成部125、出力部126)を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能部が実現される。また、ストレージデバイス1140は、フレーム画像群取得部122、検出フレーム保持部124、画像合成部125などにおいて情報を保持するための機能も実現する。
【0062】
ユーザインタフェース1050は、ユーザが情報を入力するためのインタフェースとしてのタッチパネル、キーボード、マウスなど、及び、ユーザに情報を提示するためのインタフェースとしての液晶パネルなどである。
【0063】
ネットワークインタフェース1060は、固定状態検査装置105をネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0064】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態1に係る固定状態検査方法について、
図6を参照して説明する。固定状態検査方法は、貨物列車101を撮影した画像に基づいて、コンテナ102に設けられる緊締装置103の状態を検査するための方法である。
【0065】
固定状態検査方法は、例えば、入力部121が撮影時の撮影環境(撮影時刻又は撮影時の天候)の入力を受け付け、固定状態検査方法の開始指示を受け付けると、開始される。貨物列車101は、例えば、開始指示が入力されるまでカメラ104よりも後方で待機し、開始指示の入力とともに走行を開始するとよい。
【0066】
カメラ104は、貨物列車101を撮影する(ステップS101)。
【0067】
詳細には、貨物列車101は、予め定められた速度で走行し、その後端がカメラ104の側方を通過すると一旦停止して、固定状態検査方法の終了を待つ。このように貨物列車101が走行する間、カメラ104が貨物列車101を撮影することによって、
図2に示すような複数のフレーム画像FR1~FR10を含むフレーム画像群情報が生成される。
【0068】
なお、カメラ104は、貨物列車101の前端から後端までの前後方向の全体を撮影できればよく、カメラ104が適宜設置されるガイドなどに沿って、貨物列車101に対して走行方向に沿って移動してもよい。
【0069】
フレーム画像群取得部122は、カメラ104からフレーム画像群情報を取得する(ステップS102)。
【0070】
このとき、フレーム画像群取得部122は、フレーム画像情報を取得すると、順次、取得したフレーム画像情報にフレーム識別情報を関連付けた情報を生成し、この生成した情報をフレーム画像群情報として保持する。
【0071】
画像合成部125は、ステップS102において取得されたフレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像FR1~FR10を合成することによって全体画像SIを生成する(ステップS103)。そして、画像合成部125は、全体画像SI示す全体画像情報を保持する。
【0072】
検出部123は、フレーム画像群情報に基づいて、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する(ステップS104)。
【0073】
詳細には、検出部123は、フレーム画像群情報に含まれるフレーム画像FR1~FR10の各々を学習モデルに入力することによって、非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0074】
このとき採用される学習モデルには、固定状態検査方法の開始前に受け付けた撮影環境に応じたものが選定される。これによって、非固定状態の緊締装置103を検出する精度をより一層向上させることが可能になる。
【0075】
例えば
図1に示すように、貨物列車101に設けられた緊締装置103のうち、4両目の車両に設けられた前方の緊締装置103が非固定状態であり、その他の緊締装置103は固定状態であったとする。
【0076】
この場合、検出部123は、フレーム画像FR7を示すフレーム画像情報を学習モデルに入力した場合に、非固定状態の緊締装置103を検出する。また、検出部123は、その他のフレーム画像FR1~6及び8~10を示すフレーム画像情報の各々を学習モデルに入力した場合に、非固定状態の緊締装置103を検出しない。
【0077】
検出フレーム保持部124は、ステップS104にて非固定状態の緊締装置103が検出されたか否かを判定する(ステップS105)。
【0078】
検出されていないと判定した場合(ステップS105;No)、検出フレーム保持部124は、固定状態検査方法を終了する。なお、この場合に、出力部126が、固定状態検査方法が終了したことを示す情報を、例えば携帯端末106へ出力してもよい。
【0079】
検出されたと判定した場合(ステップS105;Yes)、検出フレーム保持部124は、検出フレーム画像のフレーム識別情報を保持する(ステップS106)。
【0080】
ここで、検出フレーム画像は、ステップS104にて検出された非固定状態の緊締装置103を含むフレーム画像である。また、検出フレーム画像のフレーム識別情報とは、ステップS102にて、検出フレーム画像に関連付けられたフレーム識別情報である。
【0081】
例えば、検出フレーム画像がフレーム画像FR7である場合、検出フレーム保持部124は、フレーム画像FR7のフレーム識別情報、すなわち、「RF7」を示すフレーム識別情報を保持する。
【0082】
なお、ステップS104~S106では、これまで説明したように、ステップS103にて生成された全体画像SIを利用しない。そのため、ステップS103の処理は、ステップS104~S106の処理が行われる間のどこかで実行されてもよく、ステップS104~S106の処理と並行して行われてもよい。
【0083】
出力部126は、ステップS104にて検出された非固定状態の緊締装置103の、貨物列車101における位置を特定可能な情報である検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力する(ステップS107)。
【0084】
詳細には、出力処理(ステップS107)において、検出フレーム領域特定部126aは、検出フレーム画像と全体画像SIとを照合することによって、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する(ステップS107a)。
【0085】
例えば、検出フレーム画像がフレーム画像FR7である場合、検出フレーム領域特定部126aは、
図7にハッチングで示す領域ARDを特定する。ここでは例えば、フレーム画像FR7に含まれる特徴点の一致度、各画素値の類似度などにより特定されるとよい。
【0086】
位置特定部126bは、ステップS107aにて特定した領域ARDに対応する検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力する(ステップS107b)。
【0087】
詳細には、位置特定部126bは、全体画像SIを解析することによって、前方から順に車両の端部を検出し、領域ARDに含まれる車両が何両目の車両であるかを特定する。
【0088】
例えば、
図7にハッチングで示す領域ARDが特定された場合、
図8に示すように、4両目の車両を特定すると、当該車両に領域ARDが含まれる。そのため、位置特定部126bは、車両番号として「4両目」を示す検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力する。
【0089】
なお、全体画像SIをさらに詳細に解析することによって、領域ARDが4両目の車両の前方であることを特定し、「4両目の前方」を示す検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力してもよい。また、非固定状態の緊締装置103が複数検出された場合には、当該非固定状態の緊締装置103のすべての位置を特定可能な検出位置情報が特定されて出力されるとよい。
【0090】
これにより、位置特定部126bは、固定状態検査方法を終了する。
【0091】
固定状態検査方法を終了しても、携帯端末106が検出位置情報を受信しない場合、ユーザは、貨物列車101の緊締装置103がすべて固定状態であることを知ることができる。
【0092】
携帯端末106が検出位置情報を受信した場合、ユーザは、検出位置情報を基に非固定状態の緊締装置103の位置を特定することができる。すなわち、ユーザは、非固定状態の緊締装置103の位置を容易に認識することができる。
【0093】
そして、ユーザは、検出位置情報が示す車両の緊締装置103の状態を確認し、緊締装置103の緊締装置103に対して操作することによって、貨物列車101に設けられたすべての緊締装置103を固定状態にすることができる。
【0094】
例えば、検出位置情報が4両目を示す場合には、ユーザは、4両目の車両に設けられた2つの緊締装置103を確認すればよい。これら2つの緊締装置103のうち前方に設けられた方が非固定状態であることを確認した場合、ユーザは、操作レバー110を操作して、当該緊締装置103を固定状態にすればよい。
【0095】
このように、貨物列車101に設けられた緊締装置103の中から非固定状態の緊締装置103を自動的に検出し、ユーザが緊締装置103を容易に認識することができる。そして、ユーザは、非固定状態の緊締装置103を操作して固定状態にすることができる。従って、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態1について説明した。本実施の形態によれば、上述の通り、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0097】
本実施の形態によれば、機械学習によって学習済みの学習モデルを用いて非固定状態の緊締装置103を検出する。これにより、貨物列車101に設けられた緊締装置103の中から非固定状態の緊締装置103をより精度良く検出することができる。従って、より一層安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0098】
また、複数の撮影環境に応じた学習モデルを用いて非固定状態の緊締装置103を検出する。これにより、貨物列車101に設けられた緊締装置103の中から非固定状態の緊締装置103をより一層精度良く検出することができる。従って、さらに安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0099】
<<実施の形態2>>
(固定状態検査システム200の機能的構成)
本発明の実施の形態2に係る固定状態検査システム200では、
図9に示すように、固定状態検査装置205が、実施の形態1に係る出力部126に代わる出力部226を備える。この点を除いて、固定状態検査システム200では、実施の形態1に係る固定状態検査システム100と同様に構成される。
【0100】
出力部226は、実施の形態1に係る検出フレーム領域特定部126aに代わる検出フレーム領域特定部226aを含む。この点を除いて、出力部226は、実施の形態1に係る出力部126と同様に構成される。
【0101】
検出フレーム領域特定部226aは、実施の形態1に係る検出フレーム領域特定部126aと同様に、検出フレーム画像と全体画像SIとに基づいて、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する。
【0102】
本実施の形態に係る検出フレーム領域特定部226aは、フレーム領域情報に基づいて、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する。フレーム領域情報とは、フレーム画像FRの各々が全体画像SIにおいて占める領域を示す情報である。
【0103】
詳細には、
図10に示すように、検出フレーム領域特定部226aは、領域対応付け部226a_1と、領域特定部226a_2とを含む。領域対応付け部226a_1は、複数のフレーム画像FRの各々と全体画像SIとに基づいて、フレーム領域情報を生成する。領域特定部226a_2は、フレーム領域情報に基づいて、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する。
【0104】
(固定状態検査システム200の物理的構成)
固定状態検査システム200は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム100(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0105】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態2に係る固定状態検査方法について、
図11を参照して説明する。同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態1に係る固定状態検査方法の出力処理(S107)に代わる出力処理(S207)を含む。
【0106】
出力処理(S207)は、本実施の形態に特徴的なステップS207a_1及びS207a_2と、実施の形態1と同様の検出位置情報の生成・出力処理(ステップS107b)とを含む。
【0107】
フレーム領域情報生成処理(ステップS207a_1)では、領域対応付け部226a_1は、複数のフレーム画像FRの各々が全体画像SIにおいて占める領域を特定することによって、フレーム領域情報を生成する。
【0108】
【0109】
フレーム領域情報では、フレーム識別情報と、当該フレーム識別情報によって特定されるフレーム画像FRが全体画像SIにおいて占める領域を示す情報とが関連付けられている。
【0110】
図12に示す例では、領域は、矩形の4つの頂点の位置で示されている。当該位置は、例えば、全体画像SIの左下を原点として、画像SI中の貨物列車101の前後方向をX軸、上下方向をY軸とする座標系での画素位置である。
【0111】
検索フレーム領域情報生成処理(ステップS207a_2)では、領域特定部226a_2は、フレーム領域情報を参照することによって、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDを特定する。
【0112】
詳細には、領域特定部226a_2は、フレーム領域情報において、検出フレーム画像のフレーム識別情報に関連付けられた領域を、検出フレーム画像が全体画像SIにおいて占める領域ARDとして特定する。
【0113】
位置特定部126bは、ステップS207a_2にて特定された領域ARDに対応する検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力すると(ステップS107b)、固定状態検査方法を終了する。
【0114】
以上、本発明の実施の形態2について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0115】
<<実施の形態3>>
(固定状態検査システム300の機能的構成)
本発明の実施の形態1に係る固定状態検査システム300では、
図13に示すように、固定状態検査装置305が、実施の形態1に係る出力部126に代わる出力部326を備える。この点を除いて、固定状態検査システム300では、実施の形態1に係る固定状態検査システム100と同様に構成される。
【0116】
本実施の形態に係る出力部326は、実施の形態2と同様の領域対応付け部226a_1と、本実施の形態に特徴的な車両番号特定部326c、車両対応付け部326d及び位置特定部326bとを含む。
【0117】
車両番号特定部326cは、全体画像SIを解析することによって、全体画像SIにおける各車両の車両番号を特定する。
【0118】
車両対応付け部326dは、フレーム領域情報と、車両番号特定部326cによって特定された車両番号とに基づいて、フレーム-車両情報を生成する。フレーム-車両情報は、フレーム画像FRの各々に示される車両の車両番号を示す情報である。
【0119】
位置特定部326bは、フレーム-車両情報に基づいて、検出フレーム画像に示される車両の車両番号を示す検出位置情報を生成して、例えば携帯端末106へ出力する。
【0120】
(固定状態検査システム300の物理的構成)
固定状態検査システム300は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム100(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0121】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態2に係る固定状態検査方法について、
図14を参照して説明する。同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態1に係る固定状態検査方法の出力処理(ステップS107)に代わる出力処理(ステップS307)を含む。この点を除いて、本実施の形態に係る固定状態検査方法は、実施の形態1に係る固定状態検査方法と同様に構成されてよい。
【0122】
出力処理(ステップS307)は、実施の形態2と同様のフレーム領域情報生成処理(ステップS207a_1)と、本実施の形態に特徴的なステップS307c、S307d及びS307bとを含む。
【0123】
車両番号特定処理(ステップS307c)では、車両番号特定部326cは、全体画像SIを解析することによって、例えば
図15のように全体画像SIにおける各車両の車両番号を特定する。
【0124】
フレーム-車両情報生成処理(ステップS307d)では、車両対応付け部326dは、フレーム領域情報と、ステップS307cにて特定された車両番号とに基づいて、フレーム-車両情報を生成する。
【0125】
詳細には、車両対応付け部326dは、フレーム領域情報において車両識別情報の各々に関連付けられた領域が、ステップS307cにて特定された車両番号のいずれに対応するかを特定する。車両対応付け部326dは、車両識別情報と、当該車両識別情報に対して特定した車両番号とを関連付けることによって、フレーム-車両情報を生成して保持する。
【0126】
例えば、フレーム画像FR1のフレーム識別情報が「FR1」が処理対象であるとする。車両対応付け部326dは、フレーム領域情報を参照することによって、全体画像SIにおいてフレーム画像FR1が占める領域AR1を特定する。ここで特定される領域AR1は、
図16にてハッチングを付した領域である。
【0127】
車両対応付け部326dは、当該特定した領域AR1がステップS307cにて特定された車両番号のいずれに対応するかを特定する。
図16を参照すると分かるように、車両対応付け部326dは、領域AR1は1両目に対応すると特定する。
【0128】
車両対応付け部326dは、処理対象であるフレーム識別情報が「FR1」と、これに対して特定した車両番号である「1両目」とを関連付けたフレーム-車両情報を生成する。
【0129】
フレーム識別情報が「FR2」~「FR10」の各々を処理対象として、同様の処理を行う。これによって、例えば
図17に示すフレーム-車両情報が生成される。
【0130】
検出位置情報生成処理(ステップS307b)では、位置特定部326bは、検出フレーム画像のフレーム識別情報とフレーム-車両情報とに基づいて、車両番号を示す検出位置情報を生成して、例えば携帯端末106へ出力する。
【0131】
詳細には、位置特定部326bは、ステップS106にて保持されたフレーム識別情報を検出フレーム保持部124から取得する。位置特定部326bは、ステップS307dにて生成されたフレーム-識別情報において当該取得したフレーム識別情報に関連付けられた車両番号を特定する。位置特定部326bは、当該特定した車両番号を示す検出位置情報を生成して出力する。
【0132】
これにより、位置特定部326bは、固定状態検査方法を終了する。
【0133】
以上、本発明の実施の形態3について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0134】
<<実施の形態4>>
実施の形態1~3では、非固定状態の緊締装置103を検出する際に、フレーム画像の各々を個別に学習モデルに入力する例を説明した。しかし、フレーム画像群情報から得られた全体画像SIを学習モデルに入力することによって、非固定状態の緊締装置103を検出することもできる。実施の形態4~6では、全体画像SIに基づいて、非固定状態の緊締装置103を検出する例を説明する。
【0135】
(固定状態検査システム400の機能的構成)
本発明の実施の形態4に係る固定状態検査システム400は、
図18に示すように、実施の形態1と同様のカメラ104及び携帯端末106と、実施の形態1の固定状態検査装置105に代わる固定状態検査装置405とを備える。
【0136】
固定状態検査装置405は、実施の形態1と同様の入力部121、フレーム画像群取得部122及び画像合成部125と、本実施の形態に特徴的な検出部423及び出力部426とを備える。
【0137】
検出部423は、実施の形態1と同様に、フレーム画像群情報に基づいて、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。検出部423は、フレーム画像群情報から得られる全体画像SIに基づいて、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0138】
すなわち、検出部423は、全体画像SIに基づいて、非固定状態の緊締装置103を検出する。この点で、検出部423は、フレーム画像群情報に含まれるフレーム画像FRの各々に基づいて非固定状態の緊締装置103を検出する検出部123とは異なる。
【0139】
詳細には、検出部423は、非固定状態の緊締装置103を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに全体画像SIを示す情報を入力することで、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0140】
出力部426は、実施の形態1と同様に、検出フレーム画像とその他のフレーム画像とに基づいて検出位置情報を生成して、例えば携帯端末106へ出力する。
【0141】
詳細には、出力部426は、全体画像SIを解析することによって、検出部423によって検出された緊締装置103の位置を特定可能な情報を、検出位置情報として生成する。この検出位置情報は、例えば、検出部423によって検出された緊締装置103を含む車両の車両番号を示す。
【0142】
(固定状態検査システム400の物理的構成)
固定状態検査システム400は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム400(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0143】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態4に係る固定状態検査方法について、
図19を参照して説明する。同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態1と同様のステップS101~S103の処理に続けて、ステップS404、S405及びS407が行われる。
【0144】
検出処理(ステップS404)は、実施の形態1に係る検出処理S104に代わる処理である。検出処理(ステップS404)では、検出部423は、ステップS103で得られた全体画像SIに基づいて、貨物列車101において非固定状態の緊締装置103を検出する。
【0145】
例えば
図1に示すように、貨物列車101に設けられた緊締装置103のうち、4両目の車両に設けられた前方の緊締装置103が非固定状態であり、その他の緊締装置103は固定状態であったとする。
【0146】
この場合、検出部123は、全体画像SIを示す情報を学習モデルに入力すると、4両目の車両の前方に設けられた非固定状態の緊締装置103を検出し、その他の緊締装置103を非固定状態の緊締装置103として検出しない。
【0147】
その結果、例えば、
図20に示すように、全体画像SIにおいて非固定状態の緊締装置103が占める領域ARTを、非固定状態の緊締装置103として検出する。
図20では、領域ARTにハッチングを付して示している。
【0148】
検出判定処理(ステップS405)では、出力部426は、ステップS404にて非固定状態の緊締装置103が検出されたか否かを判定する。
【0149】
検出されていないと判定した場合(ステップS405;No)、出力部426は、固定状態検査方法を終了する。この場合に、出力部126は、実施の形態1と同様に、固定状態検査方法が終了したことを示す情報を、例えば携帯端末106へ出力してもよい。
【0150】
検出されたと判定した場合(ステップS405;Yes)、出力部426は、検出位置情報生成処理(ステップS407)を行う。
【0151】
ステップS407では例えば、出力部426は、全体画像SIを解析することによって、ステップS404にて検出された緊締装置103を含む車両の車両番号を示す検出位置情報を生成する。詳細には、出力部426は、全体画像SIを解析することによって、前方から順に車両の端部を検出し、領域ARTを含む車両が何両目の車両であるかを特定する。
【0152】
例えば、
図20にハッチングで示す領域ARTが特定された場合、
図21に示すように、4両目の車両を特定すると、当該車両に領域ARTが含まれる。そのため、出力部426は、車両番号として「4両目」を示す検出位置情報を生成して携帯端末106へ出力する。
【0153】
これにより、出力部426は、固定状態検査方法を終了する。
【0154】
以上、本発明の実施の形態4について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0155】
<<実施の形態5>>
(固定状態検査システム500の機能的構成)
本発明の実施の形態5に係る固定状態検査システム500は、
図22に示すように、実施の形態1と同様のカメラ104及び携帯端末106と、実施の形態1の固定状態検査装置105に代わる固定状態検査装置505とを備える。
【0156】
固定状態検査装置505は、実施の形態4の出力部426に代わる実施の形態2と同様の出力部226とを備える。また、固定状態検査装置505は、本実施の形態に特徴的な検出フレーム保持部524をさらに備える。
【0157】
これらの点を除いて、固定状態検査装置505は、実施の形態4に係る固定状態検査装置405と同様に構成されるとよい。
【0158】
検出フレーム保持部524は、非固定状態の緊締装置103が検出部423によって検出されると、複数のフレーム画像FRの各々と全体画像SIとに基づいて、検出フレーム画像を特定する。このとき、検出フレーム画像は、検出部423によって検出された緊締装置103を含むフレーム画像FRとして特定される。検出フレーム保持部524は、特定した検出フレーム画像のフレーム識別情報を保持する。
【0159】
(固定状態検査システム500の物理的構成)
固定状態検査システム500は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム100(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0160】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態5に係る固定状態検査方法について、
図23を参照して説明する。
【0161】
同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態1と同様のステップS101~S103、実施の形態4と同様のステップS404、実施の形態1と同様のステップS105の処理が行われる。本実施の形態において、検出判定処理(ステップS105)は、検出フレーム保持部124に代わる検出フレーム保持部524によって行われる。
【0162】
検出されたと判定した場合(ステップS105;Yes)、同図に示すように、検出フレーム保持部524は、検出フレーム画像のフレーム識別情報を保持する(ステップS506)。
【0163】
詳細には、検出フレーム保持部524は、複数のフレーム画像FRの各々を全体画像SIに照合し、ステップS404にて検出された領域ARTを含むフレーム画像FRを、検出フレーム画像として特定する。検出フレーム保持部524は、特定した検出フレーム画像のフレーム識別情報を保持する。
【0164】
続けて、実施の形態2と同様の出力処理(S207)が行われて、固定状態検査方法が終了する。
【0165】
以上、本発明の実施の形態5について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0166】
<<実施の形態6>>
(固定状態検査システム600の機能的構成)
本発明の実施の形態6に係る固定状態検査システム600は、
図24に示すように、実施の形態1と同様のカメラ104及び携帯端末106と、実施の形態1の固定状態検査装置105に代わる固定状態検査装置605とを備える。
【0167】
固定状態検査装置605は、実施の形態5に係る固定状態検査装置505の出力部226に代える実施の形態3と同様の出力部326を備える。この点を除いて、固定状態検査装置605は、実施の形態5に係る固定状態検査装置505と同様に構成されるとよい。
【0168】
(固定状態検査システム600の物理的構成)
固定状態検査システム600は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム100(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0169】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態6に係る固定状態検査方法について、
図25を参照して説明する。同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態5に係る固定状態検査方法における出力処理(ステップS207)に代える実施の形態3と同様の出力処理(ステップS307)が行われる。この点を除いて、本実施の形態に係る固定状態検査方法は、実施の形態5に係る固定状態検査方法と同様に構成されてよい。
【0170】
以上、本発明の実施の形態6について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0171】
<<実施の形態7>>
実施の形態1~6では、フレーム画像群情報に基づいて全体画像SIを作成し、非固定状態の緊締装置103の検出、或いは、その位置を示す検出位置情報を出力するために、全体画像SIを参照する例を説明した。しかし、全体画像SIは作成されなくてもよい。
【0172】
本実施の形態では、全体画像SIは作成することなく、非固定状態の緊締装置103を検出して、その位置を示す検出位置情報を出力する例を説明する。
【0173】
(固定状態検査システム700の機能的構成)
本発明の実施の形態7に係る固定状態検査システム700は、
図26に示すように、実施の形態1と同様のカメラ104及び携帯端末106と、実施の形態1の固定状態検査装置105に代わる固定状態検査装置705とを備える。
【0174】
固定状態検査装置705は、実施の形態1と同様の入力部121、フレーム画像群取得部122、検出部123及び検出フレーム保持部124と、本実施の形態に特徴的な出力部726とを備える。
【0175】
出力部726は、実施の形態1と同様に、検出フレーム画像とその他のフレーム画像とに基づいて検出位置情報を生成して、例えば携帯端末106へ出力する。
【0176】
詳細には、出力部726は、車両対応付け部726dと、実施の形態3と同様の位置特定部326bとを含む。車両対応付け部726dは、フレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像FRの各々に基づいて、フレーム車両情報(
図17参照)を生成する。
【0177】
(固定状態検査システム700の物理的構成)
固定状態検査システム700は物理的には、実施の形態1に係る固定状態検査システム100(
図5参照)と同様に構成されるとよい。
【0178】
(固定状態検査方法)
本発明の実施の形態2に係る固定状態検査方法について、
図27を参照して説明する。同図に示すように、本実施の形態に係る固定状態検査方法では、実施の形態1に係る固定状態検査方法の出力処理(ステップS107)に代わる出力処理(ステップS707)を含む。この点を除いて、本実施の形態に係る固定状態検査方法は、実施の形態1に係る固定状態検査方法と同様に構成されてよい。
【0179】
出力処理(ステップS707)は、本実施の形態に特徴的なステップS707dと、実施の形態3と同様の検出位置情報生成処理(ステップS307b)とを含む。
【0180】
フレーム-車両情報生成処理(ステップS707d)では、車両対応付け部726dは、
フレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像FRの各々を順次解析することによって、フレーム車両情報(
図17参照)を生成する。
【0181】
例えば、複数のフレーム画像FRの各々を、それらが撮影された順序に従って順次解析する。撮影された順序は、本実施の形態ではフレーム識別情報により判別される。なお、フレーム画像群情報がフレーム画像FRの各々に関連付けて撮影時刻を含んでもよく、この場合、複数のフレーム画像FRが撮影された順序は、その撮影時刻によって判別されてもよい。
【0182】
車両対応付け部726dは、例えば、解析対象のフレーム画像FRに含まれる車両の端部を検出し、検出される端部を順に、「1両目の前端」「1両目の後端」「2両目の前端」「2両目の後端」「3両目の前端」・・・と特定するとよい。これにより、車両対応付け部726dは、フレーム画像FRの各々に含まれる車両の車両番号を特定して、
図17に例示するようなフレーム車両情報を生成する。
【0183】
続けて、位置特定部326bは、実施の形態3と同様の検出位置情報生成処理(ステップS307b)を実行すると、固定状態検査方法を終了する。
【0184】
以上、本発明の実施の形態3について説明した。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様に、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0185】
これまで、本発明の実施の形態について説明したが、以下のように変形されてもよい。
【0186】
(変形例1)
実施の形態では、非固定状態の緊締装置103が検出された場合に、当該緊締装置103の位置(検出位置)が、当該緊締装置103を含む車両の車両番号に関連付けられる例を示したが、これに限られない。
【0187】
検出位置は、貨物列車101の予め定められた基準点(例えば、最も前方の端部)から予め定められた方向(例えば、後方)へ向かって、どの程度の距離(単位は例えば、メートル)であるかを示してもよい。また、検出位置としての車両番号は、予め定められた基準点から非固定状態の緊締装置103までの距離を、1車両の長さで除することで求められてもよい。
【0188】
このような検出位置や距離は、検出フレーム画像を撮影したときの撮影条件に基づいて、出力手段によって求められるとよい。そして、当該出力手段は、当該求めた位置を特定可能な検出位置情報を出力するとよい。
【0189】
撮影条件は、撮影時の貨物列車101の運行速度、検出フレーム画像の撮影時期などを含むとよい。撮影時期は、予め定められた時点からフレーム画像FRの撮影時点までの時間であり、固定状態検査装置によって計測される各フレーム画像FRの撮影時間に応じて特定されるとよい。運行速度は、予め設定されていてもよく、撮影終了後などに入力部121から入力されてもよい。
【0190】
(変形例2)
実施の形態では、機械学習によって学習済みの学習モデルを用いて非固定状態の緊締装置103を検出する例により説明したが、非固定状態の緊締装置103を検出する方法はこれに限られない。
【0191】
例えば、固定状態の緊締装置103を示す参照情報が予め準備されて記憶手段に保持されるとよい。そして、検出手段は、フレーム画像群情報と参照情報とを照合することによって、貨物列車101において非固定状態の固定機構を検出するとよい。
【0192】
これによっても、貨物列車101に設けられた緊締装置103の中から非固定状態の緊締装置103を自動的に検出し、ユーザが緊締装置103を容易に認識することができる。そして、ユーザは、非固定状態の緊締装置103を操作して固定状態にすることができる。従って、より安全な貨物列車の運行の実現が可能になる。
【0193】
以上、図面を参照して本発明の一実施の形態及び変形例について説明したが、これらは本発明の例示であり、これらは、適宜変更されてもよい。
【0194】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、これらの工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。これらの工程の順番は、内容的に支障のない範囲で変更されてもよい。また、上述の一実施の形態及び変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わされてもよい。
【0195】
上記の実施の形態の一手段または全手段は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
【0196】
1.貨物列車を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段と、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段と、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置を特定可能な情報である検出位置情報を生成して出力する出力手段とを備える
固定状態検査装置。
【0197】
2.前記出力手段は、前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像とその他のフレーム画像とに基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力する
上記1に記載の固定状態検査装置。
【0198】
3.前記フレーム画像群情報に含まれる複数のフレーム画像を合成することによって、前記走行方向に沿った全長に亘る前記貨物列車の側部の画像を含む全体画像を示す全体画像情報を生成する画像合成手段をさらに備える
上記2に記載の固定状態検査装置。
【0199】
4.前記出力手段は、
前記検出フレーム画像と前記全体画像とに基づいて、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する検出フレーム領域特定手段と、
前記全体画像を解析することによって、前記特定された領域に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
上記3に記載の固定状態検査装置。
【0200】
5.前記検出フレーム領域特定手段は、前記検出フレーム画像と前記全体画像とを照合することによって、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する
上記4に記載の固定状態検査装置。
【0201】
6.前記検出フレーム領域特定手段は、
前記複数のフレーム画像の各々が前記全体画像において占める領域を示すフレーム-領域情報を生成する領域対応付け手段と、
前記フレーム-領域情報に基づいて、前記検出フレーム画像が前記全体画像において占める領域を特定する領域特定手段とを含む
上記4に記載の固定状態検査装置。
【0202】
7.前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像の各々が前記全体画像において占める領域を示すフレーム-領域情報を生成する領域対応付け手段と、
前記全体画像を解析することによって前記全体画像における各車両の車両番号を特定する車両番号特定手段と、
前記特定された車両番号と前記フレーム-領域情報とに基づいて、前記複数のフレーム画像の各々に示される車両の車両番号を示すフレーム-車両情報を生成する車両対応付け手段と、
前記フレーム-車両情報に基づいて、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
上記3に記載の固定状態検査装置。
【0203】
8.前記検出手段は、前記フレーム画像群情報から得られた全体画像に基づいて、前記非固定状態の前記固定機構を検出する
上記3から7のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【0204】
9.前記検出手段は、前記フレーム画像群情報から得られた全体画像に基づいて、前記非固定状態の前記固定機構を検出し、
前記出力手段は、前記全体画像を解析することによって、前記検出された固定機構を含む車両の車両番号を示す情報を、前記検出位置情報として出力する
上記3に記載の固定状態検査装置。
【0205】
10. 前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像を順次解析することによって、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
上記3に記載の固定状態検査装置。
【0206】
11.前記出力手段は、
前記複数のフレーム画像を順次解析することによって、前記複数のフレーム画像の各々に示される車両の車両番号を示すフレーム-車両情報を生成する車両対応付け手段と、
前記フレーム-車両情報に基づいて、前記検出フレーム画像に対応する車両の車両番号を特定し、当該車両番号を示す情報を前記検出位置情報として出力する位置特定手段とを含む
上記10に記載の固定状態検査装置。
【0207】
12.前記検出手段は、前記非固定状態の固定機構を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに前記フレーム画像群情報を入力することで、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
上記1から11のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【0208】
13.前記検出手段は、複数の撮影環境において前記非固定状態の固定機構を検出するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに前記フレーム画像群情報と前記撮影環境とを入力することで、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
上記12に記載の固定状態検査装置。
【0209】
14.前記撮影環境は、撮影される時間帯、又は、撮影時の天候を基に設定される
上記13に記載の固定状態検査装置。
【0210】
15.前記検出手段は、前記フレーム画像群情報と前記固定状態の前記固定機構を示す参照情報とを照合することによって、前記貨物列車において前記非固定状態の前記固定機構を検出する
上記1から11のいずれか1項に記載の固定状態検査装置。
【0211】
16.前記出力手段は、前記検出フレーム画像を撮影したときの撮影条件に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置を求め、当該求めた位置を特定可能な検出位置情報を出力する
上記1に記載の固定状態検査装置。
【0212】
17.前記撮影条件は、前記貨物列車の運行速度と、予め定められた時点から当該検出フレーム画像の撮影時点までの時間である撮影時期とを含む
上記16に記載の固定状態検査装置。
【0213】
18.前記貨物列車を撮影する撮影手段をさらに備え、
前記フレーム画像群取得手段は、前記フレーム画像群情報を前記撮影手段から取得する
上記1から17のいずれか1項に記載の固定状態検査システム。
【0214】
19.前記撮影手段は、前記貨物列車の側方の一方又は両方において、前記走行方向に沿って前記貨物列車に対して相対的に移動するように設けられる
上記18に記載の固定状態検査システム。
【0215】
20.貨物列車を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得することと、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出することと、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力することとを含む、固定状態検査方法。
【0216】
21.コンピュータを、
貨物列車を走行方向に沿って連続的に撮影することによって得られる複数のフレーム画像を含む情報であって、当該貨物列車のコンテナに関連付けて設けられて部材間の固定状態と解除状態とが切り替えられる固定機構を少なくとも1つの前記フレーム画像に含むフレーム画像群情報を取得するフレーム画像群取得手段、
前記フレーム画像群情報に基づいて、前記貨物列車において前記固定状態とは異なる非固定状態の前記固定機構を検出する検出手段、
前記検出された固定機構を含むフレーム画像である検出フレーム画像に基づいて、前記貨物列車における前記検出された固定機構の位置に対応する検出位置情報を出力する出力手段、として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0217】
100,200,300,400,500,600,700 固定状態検査システム
101 貨物列車
102 コンテナ
103 緊締装置
104 カメラ
105,205,305,405,505,605,705 固定状態検査装置
108 台車
109 本体部
110 操作レバー
122 フレーム画像群取得部
123,423 検出部
124,524 検出フレーム保持部
125 画像合成部
126,226,326,426,726 出力部
126a,226a 検出フレーム領域特定部
126b,326b 位置特定部
226a_1 領域対応付け部
226a_2 領域特定部
326c 車両番号特定部
326d,726d 車両対応付け部