(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成方法および画像形成物
(51)【国際特許分類】
D06P 5/08 20060101AFI20241022BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241022BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20241022BHJP
C09D 11/326 20140101ALI20241022BHJP
D06P 1/16 20060101ALI20241022BHJP
D06P 3/00 20060101ALI20241022BHJP
D06P 5/30 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
D06P5/08 Z
B41J2/01 501
B41M5/00 100
B41M5/00 114
B41M5/00 120
B41M5/00 134
C09D11/326
D06P1/16
D06P3/00 A
D06P5/30
(21)【出願番号】P 2020108849
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 謙
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-183770(JP,A)
【文献】特開2010-150453(JP,A)
【文献】特開2010-150454(JP,A)
【文献】国際公開第2019/232090(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/232459(WO,A1)
【文献】特開2019-099790(JP,A)
【文献】特表2020-516738(JP,A)
【文献】特開平11-158782(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00904950(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06P 5/08
B41J 2/01
B41M 5/00
C09D 11/326
D06P 1/16
D06P 3/00
D06P 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛の表面に、水と、それに分散した分散性色材とを含むインクを、インクジェット方式で付与して、色材層を形成する工程と、
前記色材層の表面に、前記色材層よりも平均厚みが薄い保護層を形成する工程と
を含み、
前記色材層の厚みは、0.3~1μmであり、
前記保護層は、無機材料または樹脂材料を含み、
前記色材層の平均厚みをt1、前記保護層の平均厚みをt2としたとき、
t2/t1が0.8以下である、
画像形成方法。
【請求項2】
前記保護層の波長400~700nmの光の透過率は、80%以上である、
請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
t2/t1は、0.7~0.8である、
請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記無機材料または樹脂材料の波長589.3nmの光の屈折率は、空気の波長589.3nmの光の屈折率よりも高く、かつ前記分散性色材の波長589.3nmの光の屈折率よりも低い、
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記無機材料または前記樹脂材料の波長589.3nmの光の屈折率は、1.7以下である、
請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記インクは、高分子分散剤とバインダ樹脂の少なくとも一方をさらに含み、
前記高分子分散剤および前記バインダ樹脂の合計含有量は、前記分散性色材の含有量に対して、質量比で1.5以下である、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記保護層は、前記無機材料を含む、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
布帛の表面に、水と、それに分散した分散性色材とを含むインクを、インクジェット方式で付与して、色材層を形成する工程と、
前記色材層の表面に、前記色材層よりも平均厚みが薄い保護層を形成する工程と
を含み、
前記保護層は、無機材料または樹脂材料を含み、
前記保護層は、気相法の薄膜形成プロセスにより形成され、
前記色材層の平均厚みをt1、前記保護層の平均厚みをt2としたとき、
t2/t1が0.8以下である、
画像形成方法。
【請求項9】
布帛の表面に、水と、それに分散した分散性色材とを含むインクを、インクジェット方式で付与して、色材層を形成する工程と、
前記色材層の表面に、前記色材層よりも平均厚みが薄い保護層を、真空蒸着法により形成する工程と
を含む、
画像形成方法。
【請求項10】
布帛と、色材層と、保護層とをこの順に有する画像形成物であって、
前記色材層は、分散性色材を含み、
前記色材層の厚みは、0.3~1μmであり、
前記保護層の平均厚みは、前記色材層の平均厚みよりも薄く、
前記保護層は、無機材料または樹脂材料を含み、
前記色材層の平均厚みをt1、前記保護層の平均厚みをt2としたとき、
t2/t1が0.8以下である、
画像形成物。
【請求項11】
前記保護層の波長400~700nmの光の透過率は、80%以上である、
請求項10に記載の画像形成物。
【請求項12】
t2/t1は、0.7~0.8である、
請求項10または11に記載の画像形成物。
【請求項13】
前記無機材料または樹脂材料の波長589.3nmの光の屈折率は、空気の波長589.3nmの光の屈折率よりも高く、かつ前記分散性色材の波長589.3nmの光の屈折率よりも低い、
請求項10~12のいずれか一項に記載の画像形成物。
【請求項14】
前記色材層は、高分子分散剤とバインダ樹脂の少なくとも一方をさらに含み、
前記高分子分散剤および前記バインダ樹脂の合計含有量は、前記分散性色材の含有量に対して、質量比で1.5以下である、
請求項10~13のいずれか一項に記載の画像形成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法および画像形成物に関する。
【背景技術】
【0002】
捺染方法として、近年では、短時間で染色でき、生産効率が高いことなどから、インクジェット方式により布帛への画像形成を行う、所謂、インクジェット捺染が広く行われている。
【0003】
インクジェット捺染では、インクの微小液滴をインクジェット記録ヘッドから吐出させ、布帛に着弾させて画像形成を行う。そのようなインクジェット捺染で使用されるインクに含まれる色材の種類には、染料や顔料が含まれる。
【0004】
染料系インクを用いたインクジェット捺染では、インクに含まれる染料が、布帛の繊維中に溶解または繊維と反応するため、繊維の風合いを損なわずに、定着性の高い画像が得られやすい。その一方で、溶解しなかった染料または反応しなかった染料を洗い流す工程が必要となる。
【0005】
そのような洗浄工程を省略する観点などから、顔料系インクを用いたインクジェット捺染が検討されている。例えば、布帛上に、顔料系インクをインクジェット方式で吐出して付着させた後、コート組成物をさらに付着させるインクジェット捺染方法が知られている(例えば特許文献1)。そして、コート組成物の塗膜のヤング率を、顔料系インクの塗膜のヤング率よりも高くすることで、摩擦堅牢性を高めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、顔料系インクを用いて得られる塗膜は、染料系インクを用いて得られる塗膜と比べて、塗膜の表面に、顔料などの分散性色材粒子による凹凸が形成されやすい。それにより、光の乱反射が起きやすく、色濃度が低下しやすいという問題があった。
【0008】
特許文献1のように、顔料系インクの塗膜(色材層)と、コート組成物の塗膜(保護層)とを有する画像形成物においても、同様の問題が生じるおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、分散性色材を含むインクを用いて得られる画像形成物における色濃度の低下を抑制可能な画像形成方法および画像形成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の画像形成方法および画像形成物に関する。
【0011】
本発明の画像形成方法は、布帛の表面に、水と、それに分散した分散性色材とを含むインクを、インクジェット方式で付与して、色材層を形成する工程と、前記色材層の表面に、前記色材層よりも平均厚みが薄い保護層を形成する工程とを含む。
【0012】
本発明の画像形成物は、布帛と、色材層と、保護層とをこの順に有する画像形成物であって、前記色材層は、分散性色材を含み、前記保護層の平均厚みは、前記色材層の平均厚みよりも薄い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分散性色材を含むインクを用いて得られる画像形成物における色濃度の低下を抑制可能な画像形成方法および画像形成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特許文献1では、色材層の厚みと保護層の厚みとの関係については何ら示されないものの;保護層の厚みは、色材層の厚みよりも厚くすることが一般的である。そのような画像形成物では、保護層を有しない場合と同様に、表面での光の乱反射による色濃度の低下が生じやすい。
【0015】
特に、顔料などの分散性色材と、高分子分散剤やバインダ樹脂とを含む色材層において、高分子分散剤やバインダ樹脂の含有割合を少なくし、分散性色材の含有割合を多くするほど、色材層の表面の凹凸が大きくなりやすい。そのため、光の乱反射による色濃度の低下がさらに生じやすい。
【0016】
これに対して本発明者らは、保護層の厚みを色材層の厚みよりも薄くすることで、色材層の色濃度を高めることができることを新たに見出した。
【0017】
このメカニズムは明らかではないが、以下のように推測される。保護層の厚みが、色材層よりも厚いと、(厚みに伴って)保護層の表面の凹凸が大きくなりやすく、色材層の表面の凹凸と重ね合わされることで、保護層の表面の凹凸がさらに大きくなりやすい。そのため、保護層の表面の凹凸で光が乱反射しやすく、色材層の色味が白っぽくなり、色濃度が低下しやすい。これに対し、保護層の厚みを、色材層の厚みよりも薄くすることで、保護層の表面の凹凸を小さくすることができる。それにより、色濃度の低下を抑制できる。以下、本発明の構成について、説明する。
【0018】
1.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、1)布帛の表面に、分散性色材と水とを含むインク(インクジェット捺染インク)を、インクジェット方式で付与して、色材層を形成する工程と、2)色材層の表面に保護層を形成する工程とを含む。
【0019】
1)の工程(色材層を形成する工程)について
まず、布帛を準備する。
【0020】
布帛を構成する繊維素材は、特に制限されないが、綿(セルロース繊維)、麻、羊毛、絹などの天然繊維や、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリエステルまたはアセテートなどの化学繊維でありうる。布帛は、これらの繊維を、織布、不織布、編布など、いずれの形態にしたものであってもよい。また、布帛は、2種類以上の繊維の混紡織布または混紡不織布などであってもよい。布帛は、前処理されていてもよい(後述の3)の工程参照)。
【0021】
次いで、布帛の表面に、インクジェット方式でインクを付与する。具体的には、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出させて、インクの液滴を付与する。
【0022】
インクは、後述するように、顔料などの分散性色材と、水とを含む水系インクである。分散性色材の分散性を高める観点から、インクは、高分子分散剤をさらに含むか、または、分散性色材として自己分散性顔料を含むことが好ましい。インクの構成の詳細については、後述する。
【0023】
そして、布帛に付与したインクを乾燥および定着させて、色材層を形成する。
【0024】
乾燥および定着は、加熱により行うことが好ましい。すなわち、乾燥方法は、特に制限されず、ヒーター、温風乾燥機、加熱ローラなどを用いた方法でありうる。中でも、温風乾燥機とヒーターを用いて、布帛の両面を加熱して乾燥させることが好ましい。
【0025】
乾燥温度は、特に制限されないが、付与したインクに含まれる水などの溶媒成分を十分に除去する観点から、110℃以上であることが好ましく、130~180℃であることがより好ましい。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、例えば0.5~10分間程度としうる。
【0026】
得られる色材層は、分散性色材と、高分子分散剤および/またはバインダ樹脂とを含む。色材層の組成は、後述するインクの固形分の組成と同じである。
【0027】
色材層の平均厚みt1は、布帛の生地の風合いを損なわない程度であればよく、特に制限されないが、例えば0.3~1.5μmであることが好ましい。色材層の平均厚みt1が0.3μm以上であると、十分な色濃度が得られやすく、1.5μm以下であると、ごわつきによる風合いの低下を抑制しやすい。同様の観点から、色材層の平均厚みt1は、0.6~1μmであることがより好ましい。
【0028】
色材層の平均厚みt1は、布帛ごと断面方向に切断し、電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
具体的には、色材層の厚みは測定場所ごとに異なるため、画像形成物の中から、主走査方向は、サンプルの両端部と中央部(例えば均一に3等した位置)、副走査方向は等間隔(例えば5cm間隔)で3点(計9点)、サンプリングする。
次いで、サンプリングした各サンプルについて、主走査方向と平行な方向に切断し、切断面における布帛に付着した色材層の厚みを、電子顕微鏡画像において、例えば10点ずつ測定し(計90点)、それらの平均値を「色材層の平均厚みt1」とする。なお、主走査方向は、通常、画像形成物(または布帛)の幅方向とする。また、断面方向に切断する際には、切断によって切断面が変形しないようにする観点から、液体窒素で冷却した状態で切断してもよい。それにより、より正確な測定が可能となる。
【0029】
2)の工程(保護層を形成する工程)について
次いで、得られた色材層上に、保護層を形成する。
【0030】
保護層は、(当該保護層を通して)色材層を視認可能とする観点から、透明であることが好ましい。具体的には、保護層の波長400~700nmの光の透過率は、80%以上であることが好ましい。透過率の測定は、厚みが既知の保護層の透過率を分光光度計で測定し、保護層の実際の厚みでの透過率に換算することにより行うことができる。
【0031】
保護層の平均厚みt2は、色材層の平均厚みt1よりも薄い。それにより、色材層の表面の凹凸に起因する保護層の表面の凹凸を少なくすることができ、光の乱反射による色濃度の低下を抑制できる。
【0032】
具体的には、色材層の平均厚みt1と保護層の平均厚みt2との比t2/t1は、0.95以下であることが好ましい。t2/t1が0.95以下であると、保護層の表面の凹凸を少なくしうるため、光の乱反射による色濃度の低下をさらに抑制しやすい。t2/t1の下限値は、特に限定されないが、保護層が摺擦により割れて表面の凹凸が増大するのを抑制しやすくする観点では、0.1以上であることが好ましい。同様の観点から、t2/t1は、0.7~0.9であることがより好ましい。保護層の平均厚みt2は、前述と同様の方法で測定することができる。
【0033】
そのような保護層は、薄膜形成プロセス(気相法)により形成された薄膜であることが好ましい。薄膜は、無機薄膜であってもよいし、樹脂薄膜であってもよい。
【0034】
無機薄膜を構成する無機材料や樹脂薄膜を構成する樹脂材料は、空気の屈折率(1.0)よりも高く、かつ色材層に含まれる分散性色材の屈折率よりも低いことが好ましい。それにより、画像形成物の表面の凹凸を低減する効果に加えて、層間の屈折率差(空気層と保護層、保護層と色材層との間の屈折率差)を小さくしうる。それにより、画像形成物の表面の光の乱反射をさらに少なくし、色濃度をさらに高めることができる。
【0035】
具体的には、無機材料や樹脂材料の波長589.3nmの光の屈折率は、1.2~1.9であることが好ましく、1.3~1.7であることがより好ましい。保護層の屈折率が上記範囲内であると、空気層と保護層の屈折率差、および、保護層と色材層との屈折率差を小さくしうるため、画像形成物の表面の光の乱反射をさらに少なくし、色濃度をさらに高めることができる。
【0036】
また、色材層に含まれる分散性色材の波長589.3nmの光の屈折率をn1、保護層に含まれる無機材料または樹脂材料の波長589.3nmの光の屈折率をn2としたとき、n1とn2の差(n1-n2)は、0.7以下であることが好ましい。
【0037】
保護層に含まれる無機材料や樹脂材料、色材層に含まれる分散性色材の屈折率は、JIS K0062:1992により測定することができる。
【0038】
無機材料は、上記のような屈折率を有するものであればよく、特に制限されないが、例えば二酸化珪素(シリカ)、一酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの金属フッ化物などが含まれる。樹脂材料は、上記のような屈折率を有するものであればよく、特に制限されないが、例えばPTFEなどのフッ素樹脂、PMMAなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂が含まれる。
【0039】
無機材料または樹脂材料の含有量は、保護層に対して80質量%以上であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましい。
【0040】
保護層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分をさらに含んでもよい。
【0041】
保護層や色材層の屈折率は、組成により調整されうる。例えば、保護層が、無機材料または樹脂材料からなる薄膜である場合、保護層の屈折率は、無機材料または樹脂材料の屈折率と同じになる。
【0042】
保護層の形成方法は、前述の通り、薄膜形成プロセス(気相法)であることが好ましい。薄膜形成方法の例には、真空蒸着法、スパッタ法、などのPVD法(物理蒸着法);プラズマCVD法などのCVD法(化学蒸着法)が含まれる。
【0043】
例えば、生産性の観点では、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法に用いる真空蒸着装置の加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれであってもよい。また、保護層の透明性を高める観点などから、蒸着の際、酸素ガスなどを吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
【0044】
本発明の画像形成方法は、必要に応じて、3)布帛を前処理する工程をさらに含んでもよい。
【0045】
3)の工程(前処理する工程)について
前処理は、布帛に前処理剤を付与して行うことができる。
【0046】
前処理剤は、布帛の表面に、インクの定着性を高めるような成分を含むものであればよく、特に制限されない。そのような成分の例には、アニオン性基(例えばカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基およびスルホン酸基など)を有する化合物、カチオン性基(例えばアミノ基や第4級アンモニウム基など)を有する化合物などが含まれる。
【0047】
カチオン性基を有する化合物の例には、多価金属塩、カチオン性基を有する樹脂(例えばカチオン性のウレタン系樹脂、カチオン性のオレフィン系樹脂など)、カチオン性界面活性剤などが含まれる。
【0048】
アニオン性基を有する化合物の例には、アニオン性基を有する樹脂(例えばペクチン酸などの植物皮類、カルボキシメチルセルロースなどの繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉などの加工澱粉、アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体などのアクリル酸を共重合成分とするアクリル系重合体)、アニオン性界面活性剤が含まれる。
【0049】
前処理剤は、必要に応じてpH調整剤、防腐剤などをさらに含んでもよい。防腐剤としては、インクの防腐剤として挙げたものと同様のものを使用できる。
【0050】
布帛に前処理剤を付与する方法は、特に制限されないが、例えばパッド法、コーティング法、スプレー法、またはインクジェット法などでありうる。
【0051】
布帛に付与された前処理剤は、温風、ホットプレート、またはヒートローラーを用いて加熱乾燥させてもよい。
【0052】
次に、本発明の画像形成方法に用いられるインクの構成について説明する。
【0053】
2.インク
インクは、分散性色材と、水とを含む。
【0054】
2-1.分散性色材
分散性色材は、特に制限されず、分散染料などの固体の染料または顔料でありうる。中でも、耐候性に優れる画像を形成しやすい観点から、顔料が好ましい。
【0055】
(顔料)
顔料は、特に限定されないが、例えばカラーインデックスに記載される下記番号の有機顔料または無機顔料でありうる。
【0056】
赤またはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36が含まれる。
【0057】
青またはシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17-1、22、27、28、29、36、60が含まれる。
【0058】
緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50が含まれる。黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193が含まれる。
【0059】
黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26が含まれる。
【0060】
顔料の市販品の例には、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF-1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS-3、5187、5108、5197、5085N、SR-5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN-EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G-550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA-1103、セイカファストエロー10GH、A-3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY-260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR-116、1531B、8060R、1547、ZAW-262、1537B、GY、4R-4016、3820、3891、ZA-215、セイカファストカーミン6B1476T-7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B-430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN-EP、4940、4973(大日精化工業製); KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製);Colortex Yellow 301、314、315、316、P-624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA-414、U263、Finecol Yellow T-13、T-05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P-625、102、H-1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、ColortexBlue516、517、518、519、A818、P-908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製);Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP-S(東洋インキ製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG-02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製);Novoperm P-HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)が含まれる。
【0061】
(自己分散性顔料)
顔料は、自己分散性顔料であってもよい。自己分散性顔料は、顔料粒子の表面を、親水性基を有する基で修飾したものであり、顔料粒子と、その表面に結合した親水性を有する基とを有する。
【0062】
親水性基の例には、カルボキシル基、スルホン酸基、およびリン含有基が含まれる。リン含有基の例には、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基が含まれる。
【0063】
自己分散性顔料の市販品の例には、Cabot社Cab-0-Jet(登録商標)200K、250C、260M、270V(スルホン酸基含有自己分散性顔料)、Cab-0-Jet(登録商標)300K(カルボン酸基含有自己分散性顔料)、Cab-0-Jet(登録商標)400K、450C、465M、470V、480V(リン酸基含有自己分散性顔料)が含まれる。
【0064】
分散性色材の含有量は、特に限定されないが、インクの粘度を上記範囲内に調整しやすく、かつ高濃度の画像を形成可能にする観点では、インクに対して1.5~15質量%であることが好ましい。分散性色材の含有量が1.5質量%以上であると、高濃度の画像を形成しやすく、15質量%以下であると、インクの粘度が高くなりすぎないため、射出安定性が損なわれにくい。分散性色材の含有量は、同様の観点から、インクに対して5~15質量%であることがより好ましい。
【0065】
2-2.他の成分
インクは、必要に応じて他の成分をさらに含みうる。他の成分の例には、水以外の溶媒や高分子分散剤、バインダ樹脂、防腐剤、pH調整剤などが含まれてもよい。
【0066】
(溶媒)
溶媒は、特に制限されないが、好ましくは水溶性有機溶剤である。水溶性有機溶剤は、水と相溶するものであれば特に制限されないが、インクを布帛の内部まで浸透させやすくする観点、インクジェット方式での射出安定性を損なわれにくくする観点では、インクが乾燥により増粘しにくいことが好ましい。したがって、インクは、沸点が200℃以上の高沸点溶媒を含むことが好ましい。
【0067】
沸点が200℃以上の高沸点溶媒は、沸点が200℃以上である水溶性有機溶剤であればよく、ポリオール類やポリアルキレンオキサイド類であることが好ましい。
【0068】
沸点が200℃以上のポリオール類の例には、1,3-ブタンジオール(沸点208℃)、1,6-ヘキサンジオール(沸点223℃)、ポリプロピレングリコールなどの2価のアルコール類;グリセリン(沸点290℃)、トリメチロールプロパン(沸点295℃)などの3価以上のアルコール類が含まれる。
【0069】
沸点が200℃以上のポリアルキレンオキサイド類の例には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点245℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点305℃)、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点256℃);およびポリプロピレングリコールなどの2価のアルコール類のエーテルや、グリセリン(沸点290℃)、ヘキサントリオールなどの3価以上のアルコール類のエーテルが含まれる。
【0070】
溶媒は、上記高沸点溶媒以外の他の溶媒をさらに含んでもよい。他の溶媒としては、前処理剤に含まれる溶媒の具体例と挙げたものと同様のものを使用できる。
【0071】
(高分子分散剤)
顔料が自己分散性顔料ではない場合、顔料を分散させやすくする観点から、インクは、高分子分散剤をさらに含むことが好ましい。
【0072】
高分子分散剤の種類は、特に制限されず、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤のいずれであってもよい。
【0073】
カチオン性分散剤が有するカチオン性基の例には、第2級アミノ基(イミノ基)、第3級アミノ基または第4級アンモニウム基などでありうる。
【0074】
そのようなカチオン性分散剤は、顔料分散体を形成しうるものであればよく、特に制限されないが、例えばカチオン性基(第3級アミノ基または第4級アンモニウム基)を有するアクリル系(共)重合体が含まれる。
【0075】
アニオン性分散剤は、カルボン酸基、リン含有基およびスルホン酸基からなる群より選ばれる親水性基を有する高分子分散剤である。
【0076】
カルボン酸基を有する高分子分散剤の例には、ポリカルボン酸またはその塩が含まれる。ポリカルボン酸の例には、アクリル酸またはその誘導体、マレイン酸またはその誘導体、イタコン酸またはその誘導体、フマル酸またはその誘導体から選ばれる単量体の(共)重合体およびこれらの塩が含まれる。
【0077】
リン含有基を有する高分子分散剤は、リン酸基またはホスホン酸基を有する高分子分散剤である。リン酸基またはホスホン酸基を有する高分子分散剤の例には、アルキルリン酸エステルまたはその塩が含まれる。
【0078】
スルホン酸基を有する高分子分散剤の例には、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸のホルマリン縮合物が含まれ、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物である。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物の例には、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウムが含まれる。
【0079】
非イオン性分散剤の例には、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが含まれる。
【0080】
高分子分散剤の含有量は、分散性色材に対して10~50質量%であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が10質量%以上であると、分散性色材の分散性を十分に高めやすく、50質量%以下であると、粘度の過剰な上昇を抑制しやすい。高分子分散剤の含有量は、同様の観点から、分散性色材に対して20~40質量%であることが好ましい。
【0081】
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂は、水溶性樹脂または樹脂粒子(水分散性樹脂)でありうる。
【0082】
バインダ樹脂の重量平均分子量は、1万以上でありうる。重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算にて測定することができる。
【0083】
ただし、布帛の生地の風合いを損なわれにくくする観点では、高分子分散剤とバインダ樹脂の含有割合は少ないことが好ましい。一方で、当該含有割合が少ないと、分散性色材の含有割合が多くなるため、色材層の表面の凹凸は大きくなりやすい。そのような場合に、本発明は特に有効となる。
【0084】
具体的には、高分子分散剤とバインダ樹脂の合計含有量の、分散性色材の含有量に対する比率は、質量比で、1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましい。
【0085】
(防腐剤、pH調整剤)
防腐剤、pH調整剤は、前処理剤に任意に含まれる防腐剤、pH調整剤の具体例として挙げたものと同様のものを使用できる。
【0086】
2-3.物性
インクの、25℃における粘度は、インクジェット方式による射出性が良好となる程度であればよく、特に制限されないが、3~20mPa・sであることが好ましく、4~12mPa・sであることがより好ましい。インクの粘度は、E型粘度計により、25℃で測定することができる。
【0087】
2-4.インクの調製
インクは、任意の方法、例えば前述の分散性色材と、水と、任意の分散剤などを混合するステップを経て製造することができる。
【0088】
3.画像形成物
本発明の画像形成方法で得られる画像形成物は、布帛と、色材層と、保護層とを有する。
【0089】
前述の通り、保護層の平均厚みt2は、色材層の平均厚みt1よりも薄い。具体的には、t2/t1が上記範囲を満たす。それにより、色材層の表面の凹凸に起因する画像形成物の表面の凹凸を少なくすることができ、光の乱反射による色濃度の低下を抑制できる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
1.インクの材料
(1)分散性色材(顔料)
Pigment Red122(波長589.3nmの光の屈折率:2.0)
【0092】
(2)高分子分散剤
スチレン・アクリル共重合体(アニオン性分散剤、重量平均分子量16000)
【0093】
(3)溶剤
エチレングリコール(沸点197.6℃)
グリセリン(沸点290℃)
プロピレングリコール(沸点188.2℃)
【0094】
<インク1~4の調製>
表1に示される成分を、表1の組成となるように混合して、インク1~4を得た。
【表1】
【0095】
2.画像形成および評価
<試験1~20、23~29>
(1)前処理
下記布帛1~3を準備した。
布帛1:ポリエステル100%の布
布帛2:綿100%の布
布帛3:綿50%とポリエステル50%との混紡布
【0096】
次いで、布帛の表面に、スチレン・アクリル酸共重合体(アニオン性前処理剤):3質量部、水:97質量部を含む前処理剤を浸漬より付与した後、絞り、乾燥させて、前処理を施した。
【0097】
(2)色材層の形成
次いで、画像形成装置として、インクジェット用ヘッド(コニカミノルタヘッド KM1024iMAE)を有するインクジェットプリンターを準備した。そして、表2または3に示されるインクを、上記インクジェット用ヘッドのノズルから吐出させて、前処理した布帛上に、得られる色材層の平均厚みが表2に示される値となるようにベタ画像を形成した。具体的には、主走査540dpi×副走査720dpiにて、ベタ画像(200mm×200mm)を形成した。dpiとは、2.54cm当たりのインク液滴(ドット)の数を表す。吐出周波数は、22.4kHzとした。
【0098】
その後、ベタ画像を形成した布帛を、ベルト搬送式乾燥機にて150℃で3分間乾燥させた。それにより、表2または3に示される平均厚みを有する色材層を得た。
【0099】
(3)保護層の形成
色材層を形成した布帛を、真空蒸着装置OTFC-1300(オプトラン社製)にセットし、表2または3に示される材料を、得られる保護層の平均厚みが表2または3に示される値となるように真空蒸着して、保護層を形成した。それにより、(前処理された)布帛/色材層/保護層を有する画像形成物を得た。
【0100】
<試験21>
保護層の形成を、スパッタリング装置NSC-15(オプトラン社製)を用いて、スパッタ法で行った以外は試験1と同様にして画像形成物を得た。
【0101】
<試験22>
保護層の形成を、プラズマCVD装置CME-200E(アルバック社製)を用いて、プラズマCVD法で行った以外は試験1と同様にして画像形成物を得た。
【0102】
<試験30、31>
まず、下記成分を混合して、保護層用組成物を調製した。
(組成物)
ウレタン樹脂:5質量部
エチレングリコール:30質量部
イオン交換水:65質量部
次いで、得られた組成物を、表2に示される方法で色材層上に付与した後、150℃で乾燥させた以外は試験1と同様にして画像形成物を得た。
【0103】
<試験32>
保護層を形成しなかった以外は試験1と同様にして画像形成物を得た。
【0104】
<厚みの測定>
試験1~32で得られた画像形成物の色材層の平均厚みt1を、それぞれ以下の方法で測定した。
具体的には、得られた画像形成物のうち、主走査方向は両端部と中央部(均一に3等した位置)、副走査方向は等間隔(5cm間隔)で3点(計9点)、サンプリングした。
そして、サンプリングした各サンプルについて、主走査方向と平行な方向に切断し、切断面における布帛に付着した色材層の厚みを、電子顕微鏡画像から10点ずつ測定し(計90点)、それらの平均値を「色材層の平均厚みt1」とした。なお、主走査方向は、画像形成物の幅方向とした。保護層の平均厚みt2も、同様の方法で測定した。
【0105】
<評価>
そして、試験1~32で得られた画像形成物について、画像の色濃度および風合いを、以下の方法で評価した。
【0106】
(色濃度)
画像形成物の色濃度は、保護層を設ける前後の濃度変化を官能的に評価した。そして、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:保護層を設ける前後で明らかな濃度向上が見込めた
○:濃度向上が確認できる
×:濃度向上が確認できないか、もしくは低下した
○以上であれば良好と判断した。
【0107】
(風合い)
得られた画像形成物と生地の風合いを手指で触って、官能的に評価した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
◎:生地本来の柔らかさを維持している
○:生地本来の柔らかさが失われ、少し硬くなっているが、生地の風合いは損なわれていない
×:生地本来よりも硬くなっており、生地の風合いが損なわれている
○以上であれば、許容範囲とした。
【0108】
試験1~20の評価結果を表2に示し、試験21~32の評価結果を表3に示す。
なお、各材料の屈折率は、JIS K0062:1992により測定した。なお、保護層の波長400~700nmでの光透過率を、分光光度計V-550(日本分光社製)により測定したところ、いずれも80%以上であった。
【0109】
【0110】
【0111】
表2および3に示されるように、保護層の平均厚みを、色材層の平均厚みよりも薄くした試験1~25の画像形成物(本発明)は、いずれも色材層表面の光の乱反射が少なく、色濃度が高いことがわかる。
【0112】
これに対し、表3に示されるように、保護層の平均厚みを、色材層の平均厚みよりも厚くした試験26~31の画像形成物(比較例)や保護層を設けなかった試験32の画像形成物は、いずれも色材層表面の光の乱反射が著しく、色濃度が低いことがわかる。
【0113】
本発明によれば、分散性色材を含むインクを用いて得られる画像形成物における色濃度の低下を抑制可能な画像形成方法および画像形成物を提供することができる。