(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】転写シート及び転写シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B44C 1/17 20060101AFI20241022BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B44C1/17 E
B44C1/17 G
B32B27/00 E
(21)【出願番号】P 2020115050
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】原田 千穂
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006565(JP,A)
【文献】特開2018-058266(JP,A)
【文献】特開2015-193249(JP,A)
【文献】特開2009-137219(JP,A)
【文献】特開平11-034593(JP,A)
【文献】特開昭58-051180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/165-1/175
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの表面に、被転写材における発泡を抑制する抑制インキを含む絵柄模様層が、剥離可能に設けられた転写シートであって、
前記基材シートの裏面には、前記絵柄模様層への吸湿を防止するための吸湿防止層を設けていることを特徴とする転写シート。
【請求項2】
前記吸湿防止層は、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項
1に記載の転写シート。
【請求項3】
前記吸湿防止層は、アクリル塩酢ビ系樹脂ないし色インキを用いて塗布形成されたベタ印刷層からなる層であること特徴とする請求項
1に記載の転写シート。
【請求項4】
前記アクリル塩酢ビ系樹脂ないし色インキの塗布量は、0.5g/m
2以上3.0g/m
2以下であることを特徴とする請求項
3に記載の転写シート。
【請求項5】
前記基材シートの裏面と、前記基材シートと前記絵柄模様層との間と、前記絵柄模様層の表面との3箇所のうち、前記基材シートの裏面にのみ前記吸湿防止層が設けられていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の転写シート。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の転写シートの製造方法であって、
前記吸湿防止層として、前記基材シートの裏面に、樹脂フィルムをラミネートすることを特徴とする転写シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の転写シートの製造方法であって、
前記吸湿防止層として、前記基材シートの裏面に、アクリル塩酢ビ系樹脂ないし色インキをベタ印刷することを特徴とする転写シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材等に用いる化粧シートの表面に、絵柄模様等を形成する転写シートに関し、より詳しくは被転写材における発泡を部分的に抑制する抑制インキ仕様であり、抑制インキへの吸湿を防止する吸湿防止層を設けた転写シート及びその転写シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抑制インキ仕様の転写紙が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-22373号公報
【文献】特開2015-193249号公報
【文献】特開平11-267407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の抑制インキ仕様の転写紙では、夏季の高温高湿環境下だと抑制効果が弱まってしまうという問題点があった。
これは、抑制インキに含まれる抑制剤が水分子と反応する事が要因である(特許文献3参照)。
本発明は、上記のような点に着目したもので、抑制インキへの吸湿を防止する吸湿防止層を基材シートの裏面に設けることで、長期保存に対しても安定した効果を発揮することが可能な転写シートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る転写シートは、基材シートの表面に、被転写材における発泡を抑制する抑制インキを含む絵柄模様層が、剥離可能に設けられた転写シートであって、前記基材シートの裏面には、前記絵柄模様層への吸湿を防止するための吸湿防止層を設けていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る転写シートは、前記吸湿防止層として、前記基材シートの裏面に、樹脂フィルムをラミネートすることを特徴とする。
【0006】
本発明の一態様に係る転写シートは、前記吸湿防止層として、前記基材シートの裏面に、ベタ用インキを用いてベタ印刷することを特徴とする。
本発明の一態様に係る転写シートは、前記ベタ用インキの塗布量が、0.5g/m2以上3.0g/m2以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る転写シートは、前記基材シートの裏面と、前記基材シートと前記絵柄模様層との間と、前記絵柄模様層の表面との3箇所のうち、前記基材シートの裏面にのみ前記吸湿防止層が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、長期保存に対しても安定した効果を発揮することが可能な転写シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係わる転写シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態に係わる転写シート10)
図1中、10は、実施形態に係わる転写シート10であり、図示しないが、キッチンや洗面所、トイレなどの水回り用床材(化粧用材)である被転写材の表面に、絵柄模様等を形成するのに用いられる。
転写シート10は、次の層から形成されている。
なお、次の(1)~(3)については後述する。
(1)基材シート20(離型紙)
(2)絵柄模様層30
(3)吸湿防止層40
【0010】
(基材シート20)
基材シート20は、例えば離型紙である。
基材シート20は、「紙」のほか、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、或いは紙とオレフィン系樹脂とを積層した積層体や、紙とポリエステル系樹脂シートとを積層した積層体でも良い。
本実施形態に係る基材シート20としては、紙とオレフィン系樹脂とを積層した積層体を好適に用いることができる。
【0011】
オレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などの各種樹脂を1種又は2種以上混合したものを、単層或いは複数組み合わせた積層構造として用いることができる。
後述する実施例に即して説明すると、紙の両面にポリプロピレン樹脂をラミネートしたものを基材シート20としている。
基材シート20の表面である印刷面は、グロス仕上げのものを使用したが、マット仕上げでも構わない。
また、基材シート20の裏面はマット仕上げのものを使用したが、グロス仕上げでも構わない。
【0012】
(絵柄模様層30)
絵柄模様層30は、
図1に示すように、基材シート20の表面である印刷面に設けられ、被転写材における発泡を抑制する抑制インキを含むものである。
絵柄模様層30は、
図1に示すように、次の層から形成されている。
(1)絵柄用インキ部31
絵柄用インキ部31は、色インキより構成されている。
(2)発泡抑制インキ部32
発泡抑制インキ部32は、隣接する絵柄用インキ部31の間に形成され、抑制インキより構成されている。
【0013】
(抑制インキや印刷インキ)
抑制インキは、従来公知の発泡抑制剤を任意に用いることができ、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系やアミノトリアゾール類などのトリアゾール系化合物、無水トリメリット酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸などを例示することができ、中でもトリアゾール系化合物を好適に用いることができる。
さらに、好ましくは、アミノトリアゾール類であることが望ましい。
【0014】
抑制インキを含む発泡抑制インキ部32は、バインダ樹脂として、例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、アクリル系樹脂類、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂など樹脂類を適宜選択して、単独あるいは混合物や共重合体などの複合物として用いることができる。
さらに、発泡抑制インキ部32には、タック性を切るための体質顔料や各種安定剤などを適宜添加することができ、体質顔料としては、例えばシリカなどを好適に用いることができる。
【0015】
絵柄模様層30は、例えば住宅、店舗等の建築物や、電車、自動車等の車輌、飛行機、船舶等の内装材や外装材、床材等の表面を化粧するための化粧柄や、模様、彩色、木目柄、コルク柄、石目柄、タイル柄、目地、木目導管柄等の任意の絵柄を設けることができる。
このような絵柄模様層30は、従来公知の印刷インキであれば、何れも用いることができ、印刷インキの顔料としては、例えばイソインドリノンイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタンなどを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0016】
また、印刷インキに用いられるバインダ樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂などの各種樹脂を適宜任意に選定して単独あるいは混合物、共重合体などの複合物として用いることができる。
また、絵柄模様層30には、選定したバインダ樹脂に応じて、各種硬化剤、触媒、安定剤、開始剤などの添加剤が加えられてあっても何ら問題はない。
上述のような発泡抑制インキ部32並びに絵柄模様層30は、グラビア印刷をはじめ、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷などの従来公知の印刷技術を適宜選定して設けることができる。
【0017】
(吸湿防止層40)
吸湿防止層40は、
図1に示すように、基材シート20の裏面に設けられ、絵柄模様層30への吸湿を防止するためのものである。
すなわち、吸湿防止層40は、基材シート20の裏面と、基材シート20と絵柄模様層30との間と、絵柄模様層30の表面との3箇所のうち、基材シート20の裏面にのみ設けられている。
吸湿防止層40は、次の二つの方式がある。
なお、次の(1)及び(2)については後述する。
(1)ラミネート方式
(2)ベタ印刷方式
【0018】
(ラミネート方式)
ラミネート方式は、基材シート20の裏面に、樹脂フィルムをラミネートし、樹脂フィルムにより基材シート20を介して、絵柄模様層30への吸湿を抑制するものである。
樹脂フィルムとして、例えばPP樹脂によりラミネートを施している。樹脂フィルムは、PP等のオレフィン系の樹脂に限定することなく、PET等のポリエステル系等のフィルムでも良い。
樹脂フィルムの厚みは15μmとしているが、基材シート20の裏面が露出しなければ良く、15μm未満の厚さでも構わない。樹脂フィルムの厚みとしては、3μm以上25μm以下であり、15μmが望ましい。
【0019】
(ラミネート方式の作用)
ラミネート方式では、吸湿防止層40がないものと比較すると、吸湿の抑制効果を発揮する期間は確実に延びており、4倍以上の効果期間の延長が可能となった。
また、ラミネート方式では、樹脂フィルムに使用する樹脂や、その厚みを変更した場合にも、抑制効果の発揮期間が長くなった。
【0020】
(ベタ印刷方式)
ベタ印刷方式は、基材シート20の裏面に、ベタ用インキを用いてベタ印刷した層を設け、ベタ印刷して形成したベタ印刷層により、基材シート20を介して、絵柄模様層30への吸湿を抑制するものである。
ベタ印刷は、インキと同様のアクリル塩酢ビ系樹脂、ないしは色インキ(以下、単に「インキ」或いは「ベタ用インキ」という。)を用いてベタ刷りする。
ベタ印刷の回数、塗布量に関して様々な条件で印刷することができる。
ベタ用インキの塗布量は、例えば0.5g/m2以上3.0g/m2以下であり、0.5g/m2以上1.5g/m2以下が望ましい。0.5g/m2未満の塗布量では、吸湿防止層40がないものと比較すると、僅かに抑制効果の発揮期間が長いが、著しい改善には至らない。
また、ベタ印刷として、例えばグラビア印刷を用いたが、これに限定されることなく、フレキソ印刷、オフセット印刷、インキジェット印刷等の印刷方法でも設けることができる。
【0021】
インキ濃度が100%の色又は100%の色同士の掛け合わせで塗りつぶした部分のことを「ベタ」といい、「ベタ印刷」とは先に説明した色での印刷を指し、インキで印刷が覆い尽くされる状態になり、隙間なくインキで覆われる。
印刷用のインキは、CMYKの4色もしくは特定の色を表現するために調合されたDIC(特色)で構成されるが、以下のようなカラーは、「ベタ」に該当する。
(1)C100%のカラー(CMYK単色の100%)
(2)C100%+M100%のカラー(CMYK100%同士の組み合わせ)
(3)DIC 100%のカラー(特色インキ100%)
(4)CMYKが全て100%の掛け合わせ(総ベタ)
【0022】
(ベタ印刷方式の作用)
ベタ印刷方式では、吸湿防止層40がないものと比較すると、吸湿の抑制効果を発揮する期間は確実に延びており、4倍以上の効果期間の延長が可能となった。
また、ベタ印刷方式では、ベタ用インキの塗布量を変更した場合、例えば0.5~1.5g/m2の塗布量では、吸湿防止層40がないものと比較すると、抑制効果の発揮期間が長くなった。
【実施例】
【0023】
以下に、本発明に係る転写シートの実施例A~G、並びに比較例A~Dについて説明する。なお、本発明は、下記の実施例A~Gに限定されるものではない。
【0024】
(実施例A)
実施例Aは、下記の材料と手順とで作成した。
基材シートには、ポリプロピレン樹脂のラミネートを両面に施した紙を用意した。
基材シートの表面である印刷面は、グロス仕上げのものを使用したが、マット仕上げでも構わない。
基材シートの裏面は、マット仕上げのものを使用したが、グロス仕上げでも構わない。
絵柄模様層は、絵柄印刷により作られる。
実施例Aでは、ラミネート方式を採用し、吸湿防止層として裏面にラミネート(PP樹脂厚さ15μm)を行ったものを使用した。
【0025】
(実施例B)
実施例Bは、ラミネート方式を採用し、吸湿防止層として裏面にラミネート(PET樹脂厚さ12μm)を行ったものを使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
(実施例C)
実施例Cは、ラミネート方式を採用し、吸湿防止層として裏面にラミネート(PP樹脂厚さ5μm)を使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
(実施例D)
実施例Dは、ラミネート方式を採用し、吸湿防止層として裏面にラミネート(PP樹脂厚さ21μm)を使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
【0026】
(実施例E)
実施例Eは、ベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に3g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
基材シートの裏面には、吸湿防止層としてインキと同様の塩化ビニルと酢酸ビニルをベタ刷りする。
なお、ベタ刷りに用いるベタ版の線数は150線が標準であり、狙いはドライ塗布量3g/m2である。
(実施例F)
実施例Fは、ベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に1.5g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
(実施例G)
実施例Fは、ベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に0.5g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
【0027】
(比較例A)
比較例Aは、吸湿防止層を設けないものであり、片面ラミネート紙を使用し、グロス仕上げのものを使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
(比較例B)
比較例Bは、ベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に0.4g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、かつ比較例Aと同様の片面ラミネート紙を使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
【0028】
(比較例C)
比較例Cでは、比較例Bと同様にベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に0.1g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、かつ比較例Aと同様の片面ラミネート紙を使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
(比較例D)
比較例Dでは、比較例Bと同様にベタ印刷方式を採用し、吸湿防止層として裏面に30g/m2として狙いのベタ印刷を施したものを使用し、かつ比較例Aと同様の片面ラミネート紙を使用し、それ以外は実施例Aと同じである。
【0029】
(評価方法及び評価基準)
実施例及び比較例に記載の抑制インキ仕様転写紙を40℃、90%環境下で保管し、経時でサンプルを取り出す。
取り出したサンプルは、転写機を用いてPVC発泡層へ熱転写させる(I)。
その後、原紙(離型紙)を剥離し、(I)の上に均一にゾルコートを塗布する。
【0030】
220℃のオーブンに2分入れ発泡させたシート(以下、「評価シート」という。)を、以下の方法にて評価した。
手触り感評価:官能試験にて評価した。
評価は10人の試験員で行った。
評価基準は、良いとした人「0人・・・×」、「1~6人・・・△」、「7~9人・・・○」、「10人・・・◎」とした。
40℃、90%での促進試験は、週間経過状態で常温保管の2カ月経過状態に相当する。
8週間経過時点で「◎」又は「〇」のものを、合格基準とした。それ以外の「△」又は「×」のものを、「不合格」とした。
【0031】
(評価結果)
壁紙の評価結果は、次の表1の通りである。
【表1】
【0032】
(実施例A~G及び比較例A~D)
実施例A~G及び比較例A~Dの計11枚の評価シートのうち、8週間経過時点で、「合格」だったものは、実施例A~Gの7枚の評価シートだけである。
残る比較例A~Dの計4枚の評価シートは、8週間経過時点で、すべて「不合格」であった。
【0033】
なお、比較例Dは、生産安定性に問題があったため「評価不可」し、「不合格」とした。すなわち、30g/m2の塗布量では、巻き取り時に印刷面とのインキ密着による剥離が起きたため、評価できなかった。
比較例A~Dのうち、比較例Aは、吸湿防止層を設けなかったことが原因と推測できる。比較例Bは、「0.4g/m2」で塗布量が少なすぎたものと推測できる。比較例Cは、「0.1g/m2」で、塗布量が少なすぎたものと推測できる。
【0034】
また、実施例A~Gの7枚の評価シートのうち、実施例A~Dの4枚の評価シートは、「10週間」経過時点で、「合格」だった。
実施例A~Dの4枚の評価シートは、すべてラミネート方式を採用したものであった。このため、ラミネート方式は、ベタ印刷方式と比較し、保存期間の長期化が可能であることが推測できる。
実施例A~Dの4枚の評価シートのうち、実施例Cを除く実施例A、B、Dの3枚の評価シートは、「12週間」経過時点で、「合格」だった。
実施例Cのラミネート(PP樹脂厚さ5μm)であるのに対し、実施例Aのラミネート(PP樹脂厚さ15μm)、実施例Cのラミネート(PET樹脂厚さ12μm)、実施例Dのラミネート(PP樹脂厚さ21μm)であることから、保存期間の長期化という意味では、樹脂厚さが厚い方が有利であることが推測できる。
【0035】
また、実施例Aと実施例Bとを比較すると、PP樹脂とPET樹脂とが相違するが、評価結果を比較する限り、いずれの樹脂もラミネート方式に適しているものと推測できる。
ベタ印刷方式のインクの塗布量は、実施例Gの「0.5g/m2」を下限とし、実施例Eの「3g/m2」を上限と推測できる。
【符号の説明】
【0036】
10 転写シート
20 基材シート
30 絵柄模様層
31 絵柄用インキ部
32 発泡抑制インキ部
40 吸湿防止層