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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020116400
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014194
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 春
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宏人
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177760(JP,A)
【文献】特開2017-177572(JP,A)
【文献】特開2013-123883(JP,A)
【文献】特開2008-162261(JP,A)
【文献】特開2014-004741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0073205(US,A1)
【文献】特開2021-160170(JP,A)
【文献】特開2021-037722(JP,A)
【文献】特開2020-104389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備え、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され
前記第1電源回路には自然数の値nが対応付けられており、
前記第2電源回路には前記値nとは異なる自然数の値mが対応付けられており、
前記第1グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第2グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第1グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A1と、前記第2グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A2とが異なる、印刷装置。
【請求項2】
前記平均値A1と前記平均値A2との差の絶対値が1未満である請求項に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記複数のグループは、前記第2グループに対して、前記第1方向に隣接し且つ前記第1グループとは反対側に位置する第3グループをさらに含み、
前記第3グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第3グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記平均値A2は、前記平均値A1と、前記第3グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A3との間の値である請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記複数のノズルは、前記第1方向と交差する第2方向に並べられた複数のノズル列を形成し、
前記複数のノズル列の各々に含まれる各ノズルは、前記複数のグループのいずれかに属している請求項1~のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記複数のグループは、前記第1グループに対して前記第2方向の一方側に隣接する第4グループと、前記第2グループに対して前記第2方向の前記一方側に隣接する第5グループとをさらに含む請求項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1グループ及び前記第2グループを構成する複数のノズルからは第1の液体が吐出され、
前記第4グループ及び前記第5グループを構成する複数のノズルからは前記第1の液体とは異なる第2の液体が吐出される請求項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第4グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第5グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第4グループ及び前記第5グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第4グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A4と前記平均値A1との差、及び、前記第5グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A5と前記平均値A2との差は、ともに正の値、又は、ともに負の値である請求項又はに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記複数の電源回路は、前記値n及び前記値mとは異なる自然数の値lが対応付けられた第3電源回路をさらに含み、
前記第4グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第5グループは、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第3電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第4グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第5グループにおいて、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられ、且つ、前記第3電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値lが対応付けられており、
前記第4グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A4と前記平均値A1との差、及び、前記第5グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A5と前記平均値A2との差は、ともに正の値、又は、ともに負の値である請求項又はに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係を示す情報が記憶されたメモリをさらに備え、
前記情報に基づいて前記ヘッドを駆動し、印刷を行う請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記複数の電源回路の数は、前記複数のグループの数以下である請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項11】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備え、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第1グループを構成する全てのノズルから液滴を吐出することにより、前記第1方向に並ぶ第1ドット列が形成され、
前記第2グループを構成する全てのノズルから液滴を吐出することにより、前記第1方向に並ぶ第2ドット列が形成され、
前記第1ドット列の少なくとも一部分において、前記第1電源回路に対応付けられたノズルから吐出された液滴によって形成される第1のドットと、前記第2電源回路に対応付けられたノズルから吐出された液滴によって形成される第2のドットとを含む第1のパターンが、前記第1方向に0.16mm以下の周期で形成され、
前記第2ドット列の少なくとも一部分において、前記第1のドットと前記第2のドットとを含む第2のパターンが、前記第1方向に0.16mm以下の周期で形成される、印刷装置。
【請求項12】
前記第1ドット列の少なくとも一部分において、前記第1のパターンが、前記第1方向に0.1mm以下の周期で形成され、
前記第2ドット列の少なくとも一部分において、前記第2のパターンが、前記第1方向に0.1mm以下の周期で形成される請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備える印刷装置を用いた印刷方法であって、
前記ヘッドの前記複数のノズルから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され
前記第1電源回路には自然数の値nが対応付けられており、
前記第2電源回路には前記値nとは異なる自然数の値mが対応付けられており、
前記第1グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第2グループにおいて、前記第1電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値nが対応付けられ、且つ、前記第2電源回路に対応付けられた前記複数のノズルには前記値mが対応付けられており、
前記第1グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A1と、前記第2グループを構成する複数のノズルに対応付けられた値の平均値A2とが異なる、印刷方法。
【請求項14】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備える印刷装置を用いた印刷方法であって、
前記ヘッドの前記複数のノズルから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第1グループを構成する全てのノズルから液滴を吐出することにより、前記第1方向に並ぶ第1ドット列が形成され、
前記第2グループを構成する全てのノズルから液滴を吐出することにより、前記第1方向に並ぶ第2ドット列が形成され、
前記第1ドット列の少なくとも一部分において、前記第1電源回路に対応付けられたノズルから吐出された液滴によって形成される第1のドットと、前記第2電源回路に対応付けられたノズルから吐出された液滴によって形成される第2のドットとを含む第1のパターンが、前記第1方向に0.16mm以下の周期で形成され、
前記第2ドット列の少なくとも一部分において、前記第1のドットと前記第2のドットとを含む第2のパターンが、前記第1方向に0.16mm以下の周期で形成される、印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを吐出する印刷装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各ノズルに対応して設けられ、駆動信号に対応する量のインクをノズルから吐出させるアクチュエータと、各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、補正データに基づいて複数の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号をアクチュエータに出力する駆動部とを備えるインクジェットヘッド駆動装置が知られている(特許文献1参照)。このインクジェットヘッド駆動装置では、ノズルのインク吐出量特性に応じて、インクジェットヘッドのノズルが複数のグループに分類されている。そして、複数のグループ毎に駆動電圧が補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-162261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のインクジェットヘッド駆動装置では、同一グループに属する複数のノズルによって形成された複数のドットの濃度差については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、吐出特性に応じて複数のノズルが複数のグループに分類されているインクジェットヘッドを有する印刷装置において、同一グループに属する複数のノズルによって形成された複数のドットの濃度差を緩和するとともに、隣接する2つのグループにおける濃度差を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備え、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成される印刷装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含み、それぞれの出力電圧が異なる複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドとを備える印刷装置を用いた印刷方法であって、
前記ヘッドの前記複数のノズルから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成され、
前記第2グループは、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとから構成される印刷方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1及び第2の態様によれば、各電源回路の出力電圧を調整することなく、同一グループに属する複数のノズルによって形成された複数のドットの濃度差を緩和するとともに、隣接する2つのグループにおける濃度差を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の印刷装置1の要部構成の一例を示す平面図である。
図2】本実施形態のヘッド11の一例を示す底面図である。
図3】本実施形態のヘッド11が備える第2基板50と、第2基板50と接続されたフレキシブル回路基板60との構成の一例を示すブロック図である。
図4】ドライバIC27が備える回路構成の一例を示す図である。
図5】ドライバIC27が備える波形生成回路30の構成の一例を示す回路図である。
図6】本実施形態の印刷装置1を用いた印刷の流れの概要を示すフローチャートである。
図7】本実施形態の仮設定工程において複数のノズル11aを複数のグループに分類した様子を示す図である。
図8】本実施形態のヘッド11の不揮発性メモリ52に記憶される情報の一例を示す図である。
図9】(a)は本実施形態の設定調整工程において、一部のノズルに対する電源回路の対応付けを変更した状態を示す図であり、(b)は電源回路の対応付けを変更した後、ヘッド11に含まれる全ノズル11aからインク滴を吐出することにより形成されるドット列の一部を示す図である。
図10】本実施形態におけるヘッド11の一つの変形例を示す図である。
図11】本実施形態におけるヘッド11の別の変形例を示す図である。
図12】本実施形態におけるヘッド11のさらに別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置について、図1~9を参照しつつ説明する。
【0011】
図1において、シートPの搬送方向上流側を印刷装置1の前方、搬送方向下流側を印刷装置1の後方と定義する。また、シートPが搬送される面(図1の紙面と平行な面)と平行で、且つ、前記搬送方向と直交する方向をシート幅方向と定義する。なお、図1の左側が印刷装置1の左方、図1の右側が印刷装置1の右方である。さらに、シートPの搬送面と直交する方向(図1の紙面に直交する方向)を、印刷装置1の上下方向と定義する。図1において、紙面表側が上方、紙面裏側が下方である。以下では、前後左右上下を適宜使用して説明する。なお、シート幅方向は本発明の「第1方向」の一例であり、搬送方向は本発明の「第2方向」の一例である。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、筐体2と、プラテン3と、4個のラインヘッド4と、2個の搬送ローラ5A、5Bと、コントローラ7とを備える。
【0013】
プラテン3は筐体2内に平置きされている。プラテン3の上面には、シートPが載置される。4個のラインヘッド4は、プラテン3の上方に前後方向に並設されている。2個の搬送ローラ5A、5Bは、プラテン3に対して前側と後側にそれぞれ配置されている。2個の搬送ローラ5A、5Bは、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上のシートPを後方へ搬送する。なお、本実施形態では、4個のラインヘッド4を備える構成であるが、ラインヘッド4の数は4個に限定されない。
【0014】
図3に示すように、コントローラ7は第1基板71を備える。第1基板71は、FPGA(Field Programmable Gate Array)711の他に、不図示のROM(Read Only Memory)、不図示のRAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)712などを備える。コントローラ7は、パーソナルコンピュータ等の外部装置9と相互に通信が可能である。コントローラ7は、外部装置9又は印刷装置1が具備する操作部(不図示)からの指示により、当該ROMに格納されたプログラムに従って各ラインヘッド4及び搬送ローラ5A、5Bの動作を制御する。なお、FPGA711に代えてCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Microprocessor Unit)を使用してもよい。
【0015】
例えばコントローラ7は、搬送ローラ5A、5Bを駆動するモータを制御して、搬送ローラ5A、5BにシートPを搬送方向に搬送させる。また、コントローラ7は、各ラインヘッド4を制御してシートPに向けてインクを吐出させる。これにより、シートPに画像が印刷される。なお、シートPは、搬送方向の上流端を含む供給ロールと、搬送方向の下流端を含む回収ロールとからなるロール状のシートであってもよい。この場合、供給ロールは搬送方向上流側の搬送ローラ5Aに取り付けられてもよく、回収ロールは搬送方向下流側の搬送ローラ5Bに取り付けられてもよい。あるいは、シートPは、搬送方向の上流端を含む供給ロールのみを含むロール状のシートであってもよい。この場合、供給ロールは搬送方向上流側の搬送ローラ5Aに取り付けられてもよい。
【0016】
筐体2には、4個のラインヘッド4に対応して、4個のヘッド保持部8が取り付けられている。4個のヘッド保持部8は、プラテン3の上方で、且つ、搬送ローラ5A、5Bの間の位置において、前後に並設されている。各ヘッド保持部8によって、1個のラインヘッド4が保持される。
【0017】
4個のラインヘッド4はそれぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを吐出する。各ラインヘッド4には、図示しないインクタンクから、対応する1色のインクが供給される。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の各ラインヘッド4は、10個のヘッド11を備える。10個のヘッド11は、シート幅方向に沿って千鳥状に2列に配置されている。1つのラインヘッド4には1色のインクが供給されるので、当該1つのラインヘッド4に含まれる10個のヘッド11からは、当該1色のインクが吐出される。なお、本実施形態では、ラインヘッド4が10個のヘッド11を備える構成であるが、ヘッド11の数は10個に限定されない。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の各ヘッド11の底面には、112個のノズル11aが開口しており、112個のノズル11aは、シート幅方向に並べられた28列のノズル列c01~c28を形成している。そして、各ノズル列は、搬送方向及びシート幅方向に交差する方向に沿って千鳥状に並べられた4個のノズル11aにより形成されている。各ノズル11aの搬送方向の位置は、搬送方向の前方から後方に向かってr1~r4と定義されている。なお、各ヘッド11には図示しないマニホールドが2個形成されており、ノズル列r1及びr2を構成するノズル11aには、一方のマニホールドからインクが供給される。また、ノズル列r3及びr4を構成するノズル11aには、他方のマニホールドからインクが供給される。各ヘッド11における各ノズル11aの位置は、当該ノズル11aが属するノズル列と搬送方向の位置とによって、一意に特定される。なお、本実施形態では、各ヘッド11が112個のノズル11aを備える構成であるが、ノズル11aの数は112個に限定されない。また、ノズル列の数は28列に限定されず、各ノズル列に含まれるノズルの数は4個に限定されない。また、各ヘッド11に設けられるマニホールドの数は2個に限定されず、ノズル列r1~r4に対して1個のマニホールドが設けられてもよく、ノズル列r1~r4毎に1個(即ち、合計4個)のマニホールドが設けられていてもよい。
【0020】
また、各ヘッド11には、ノズル11aと同数の駆動素子111(後述)と、第2基板50及びフレキシブル回路基板60とが備えられている。本実施形態の印刷装置1は4個のラインヘッド4を備え、各ラインヘッド4は10個のヘッド11を備えるので、印刷装置1は、40個のヘッド11を備える。従って、第2基板50の数も40個となり、第2基板50と接続されたフレキシブル回路基板60の数も40個となる。図3に示すように、コントローラ7の第1基板71は、40個の第2基板50に接続される。なお図3では、便宜上、1個の第2基板50と1個のフレキシブル回路基板60のみを示している。
【0021】
第2基板50は、FPGA51、EEPROMなどの不揮発性メモリ52、D/Aコンバータ20、電源回路21~26などを備える。なお、本実施形態において、第2基板50は6個の電源回路21~26を備えているが、電源回路の数は6個には限定されない。また、フレキシブル回路基板60は、EEPROMなどの不揮発性メモリ62、ドライバIC27などを備える。
【0022】
FPGA51は、第1基板71に設けられたFPGA711の制御の下、電源回路21~26の出力電圧を設定するためのデジタルの設定信号を、D/Aコンバータ20に出力する。
【0023】
D/Aコンバータ20は、FPGA51が出力するデジタルの設定信号をアナログの設定信号に変換して電源回路21~26に出力する。
【0024】
電源回路21~26は、例えば、FET、インダクタ、抵抗、電解コンデンサ等の複数の電子部品で構成されるDC/DCコンバータとすることができる。各電源回路21~26は、設定信号で指定された出力電圧をドライバIC27に出力する。本実施形態において、電源回路21~26は全て、出力電圧が異なるように設定されている。具体的には、電源回路21の出力電圧は22V、電源回路22の出力電圧は21V、電源回路23の出力電圧は20V、電源回路24の出力電圧は19V、電源回路25の出力電圧は18V、そして、電源回路26の出力電圧は24Vである。
【0025】
ドライバIC27は、配線VDD1を介して電源回路21と接続され、配線VDD2を介して電源回路22と接続され、配線VDD3を介して電源回路23と接続され、配線VDD4を介して電源回路24と接続され、配線VDD5を介して電源回路25と接続され、配線HVDDを介して電源回路26と接続されている。なお、電源回路26は、後述の駆動素子111と配線VCOMを介して接続されている。配線HVDDと配線VCOMは、電源回路26から引き出された配線が、経路の途中で2つの配線に分岐したものである。
【0026】
電源回路21~26は、ドライバIC27の内部に形成された波形生成回路30(1)~波形生成回路30(n)(nは2以上の自然数であり、本実施形態では、ヘッド11が有する駆動素子111の数、即ち112に等しい)に接続されている。
【0027】
波形生成回路30(1)~30(n)は、各ヘッド11が備えているn個の駆動素子111にそれぞれ対応して備えられている。つまり、波形生成回路30(1)~30(n)は、各ヘッド11が備えているn個のノズル11aにそれぞれ対応して備えられている。ドライバIC27は、n本の信号線34(1)~(n)と接続されている。ドライバIC27は、n本の信号線34(1)~(n)を介して、n個の駆動素子111と接続されている。各信号線34は、駆動素子111の個別電極と接続されている。
【0028】
また、ドライバIC27は、n個の駆動素子111に対応して設けられたn個のセレクタ90(1)~90(n)を備える。各セレクタ90は、ドライバIC27の内部に形成された複数のFETなどから構成されるハードウェアの構成要素である。
【0029】
電源回路26は、駆動素子111のVCOM用電源電圧、あるいは後述のPMOSトランジスタ311~315のHVDD(ハイサイド側バックゲート電圧)として使用することができる。
【0030】
不揮発性メモリ62には、各ノズル11aを識別するノズルID、複数のノズル11aによって構成されるノズルグループ(後述)を識別するグループID、複数のノズル列を識別する列ID、ノズル11aの搬送方向の位置を識別する行IDなどが記憶されている。また、不揮発性メモリ52には、例えば図8に示されるように、n個のノズル11aと5個の電源回路21~25との対応関係、n個のノズル11aと複数のグループ(グループID)g10~g70との対応関係、n個のノズル11aと複数のノズル列(列ID)c01~c70との対応関係、n個のノズル11aと搬送方向の位置(行ID)r01~r24などが、テーブルTとして記憶されている。なお、テーブルTは不揮発性メモリ52ではなく、フレキシブル回路基板60に設けられた不揮発性メモリ62に記憶されていてもよい。
【0031】
また、ドライバIC27は、n本の制御線33(1)~33(n)及び制御線40を介してFPGA51と接続されている。制御線33(1)~(n)は、上述のn個の波形生成回路30(1)~(n)に対応して設けられた制御線である。各制御線33には、各波形生成回路30に備えられたFETを制御するための信号が伝播される。この信号に従って、波形生成回路30は、駆動素子111を駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、信号線34を介して駆動素子111に出力する。
【0032】
また、制御線40には、ドライバIC27が有するn個のセレクタ90(1)~90(n)を制御するための制御信号が伝送される。FPGA51は、n個のセレクタ90(1)~90(n)を制御することで、各信号線34に出力する駆動信号を生成するための電源回路を選択する。
【0033】
次に、ドライバIC27が備える回路構成の一例を、図4を参照しつつ説明する。図4に示されるように、ドライバIC27は、n個の波形生成回路30(1)~30(n)と、波形生成回路30(1)~30(n)にそれぞれ対応して備えられたn個のセレクタ90(1)~90(n)を備える。
【0034】
ドライバIC27は、同様の構成をノズルの数と同じn個分備えているので、以下では、代表して制御線33(1)と、信号線34(1)との間に備えられた回路構成について説明する。ドライバIC27には、制御線33(1)と信号線34(1)と間に、セレクタ90(1)と波形生成回路30(1)が形成されている。
【0035】
FPGA51からの制御線33(1)は、セレクタ90(1)と接続されている。制御線33(1)はFPGA51とセレクタ90(1)とを結ぶ経路の途中で分岐しており、制御線33(1)から分岐した制御線SB(1)は波形生成回路30(1)と接続されている。
【0036】
セレクタ90(1)と波形生成回路30(1)とは、5本の制御線S1(1)、S2(1)、S3(1)、S4(1)、及びS5(1)で接続されている。セレクタ90(1)は、FPGA51からの指示に従って、5本の制御線S1(1)、S2(1)、S3(1)、S4(1)、及びS5(1)の中から選択されるいずれか一つの制御線を、制御線33(1)と接続する。
【0037】
波形生成回路30(1)には、上述の配線VDD1~VDD5と接続される5つの配線と、配線HVDDと接続される配線と、配線GNDと接続される配線とが接続されている。
【0038】
次に、本実施形態のヘッド11が備える波形生成回路30(1)~30(n)の構成の一例について、図5を参照しつつ説明する。なお、波形生成回路30(1)~30(n)は、同様の構成を有するので、以下では、波形生成回路30(1)について説明する。波形生成回路30(1)は、5個のPMOS(P-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ311~315(図5では、2つのみ図示)、1個のNMOS(N-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ32、抵抗35などを備える。波形生成回路30(1)は、信号線34(1)を介して、駆動素子111の個別電極と接続されている。
【0039】
本実施形態の駆動素子111は、一つの圧力室に対して、個別電極と第1の定電位電極との間に挟まれる第1活性部と、個別電極と第2の定電位電極との間に挟まれる第2活性部とを備える圧電素子である。このため、駆動素子111は、キャパシタ111bと、キャパシタ111b′を備える。
【0040】
5つのPMOSトランジスタ311~315の5つのソース端子311a~315aにはそれぞれ、配線VDD1~VDD5が接続されている。NMOSトランジスタ32のソース端子32aは、グランドに接続されている。つまり、PMOSトランジスタ311は、配線VDD1を介して電源回路21と接続されている。PMOSトランジスタ312は、配線VDD2を介して電源回路22と接続されている。PMOSトランジスタ313は、配線VDD3を介して電源回路23と接続されている。PMOSトランジスタ314は、配線VDD4を介して電源回路24と接続されている。PMOSトランジスタ315は、配線VDD5を介して電源回路25と接続されている。
【0041】
PMOSトランジスタ311のゲート端子311cには、制御線S1(1)が接続されている。PMOSトランジスタ312のゲート端子312cには、制御線S2(1)が接続されている。PMOSトランジスタ313のゲート端子313cには、制御線S3(1)が接続されている。PMOSトランジスタ314のゲート端子314cには、制御線S4(1)が接続されている。PMOSトランジスタ315のゲート端子315cには、制御線S5(1)が接続されている。また、NMOSトランジスタ32のゲート端子32cには、制御線SB(1)が接続されている。
【0042】
また、5つのPMOSトランジスタ311~315のドレイン端子311b~315bは、抵抗35の一端に接続されている。また、NMOSトランジスタ32のドレイン端子32bは、抵抗35の一端に接続されている。抵抗35の他端は、駆動素子111の個別電極(キャパシタ111b′の他端及びキャパシタ111bの一端)に接続されている。駆動素子111の第1の定電位電極(キャパシタ111b′の一端)はVCOMに接続され、駆動素子111の第2の定電位電極(キャパシタ111bの他端)はグラウンドに接続されている。
【0043】
FPGA51が、制御線33(1)にローレベル(「L」)の信号を出力すると、PMOSトランジスタ311~315のうち、上述のセレクタ90(1)で選択された信号線と接続されたいずれか一つのPMOSトランジスタはオン状態となる。電源回路21~25のいずれか一つから供給される電圧によってキャパシタ111bが充電され、キャパシタ111b′が放電される。一方、FPGA51が、制御線33(1)にハイレベル(「H」)の信号を出力すると、NMOSトランジスタ32はオン状態となり、電源回路21~25のうちのいずれか一つから出力される電圧によってキャパシタ111b′が充電され、キャパシタ111bが放電される。キャパシタ111b、111b′が交互に充電及び放電を行うことによって、駆動素子111は変形し、ノズルの吐出口11aからインクが吐出される。
【0044】
すなわち、信号線34(1)には駆動素子111を駆動する駆動信号が出力される。セレクタ90(1)が、5つの制御線S1(1)~S5(1)のうちから接続する制御線を一つ選択することで、駆動信号を生成する電源回路を電源回路21~25の中から選択することができる。
【0045】
次に、本実施形態の印刷装置1を用いた印刷方法について説明する。図6に示すように、本実施形態の印刷装置1を用いた印刷方法は、主に、仮設定工程S10、テスト印刷工程S20、設定調整工程S30、及び、本印刷工程S40を含む。
【0046】
まず、仮設定工程S10では、図7に示すように、112個のノズル11aを、4列のノズル列ごとに7個のグループg10~g70に分類する。つまり、ノズル列c01~c04を構成するノズル11aを、グループg10に対応付ける。ノズル列c05~c08を構成するノズル11aを、グループg20に対応付ける。ノズル列c09~c12を構成するノズル11aを、グループg30に対応付ける。ノズル列c13~c16を構成するノズル11aを、グループg40に対応付ける。ノズル列c17~c20を構成するノズル11aを、グループg50に対応付ける。ノズル列c21~c24を構成するノズル11aを、グループg60に対応付ける。ノズル列c25~c28を構成するノズル11aを、グループg70に対応付ける。グループg10は、グループg20に隣接する。グループg30は、グループg20に対してシート幅方向に隣接し、かつ、シート幅方向においてグループg20に対してグループg10と反対側に位置する。なお、本実施形態において、電源回路21~26の数は6個であり、グループg10~g70の数である7個よりも少ないが、電源回路の数は、グループの数と同じであってもよい。
【0047】
次に、各ノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されるドットの濃度が、7個のグループ間で均一になるように、各グループに対して、電源回路21~25のいずれかを対応付ける。例えば、グループg10、g20、g60、g70を構成するノズル11aには電源回路21を対応付け、グループg30、g50を構成するノズル11aには電源回路22を対応付け、グループg40を構成するノズル11aには電源回路23を対応付ける。なお、112個のノズル11aの吐出特性は、ノズル11aの径の僅かな誤差、駆動素子111の製造誤差、製造時に発生するヘッド11内部の残留応力などの影響により、シート幅方向及び搬送方向の位置に応じて緩やかに変化している。このため、仮に全グループg10~g70を構成するノズル11aに同じ電源回路を対応付けたとしても、形成されるドットの濃度は必ずしも均一になるとは限らない。
【0048】
そして、図8に示されるように、112個のノズル11aの各々について、当該ノズル11aの位置(列ID、行ID)、当該ノズル11aが属するグループ、及び当該ノズル11aに対応付けられた電源回路に関する情報を、不揮発性メモリ52に記憶させる。なお、図8において、v01~v05はそれぞれ、電源回路21~25の識別子を表している。
【0049】
次に、テスト印刷工程S20では、仮設定工程S10で設定した、各ノズル11aと電源回路の対応付けに従って、シートPに対してテスト印刷を行う。具体的には、グループg10に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路21から電圧を供給する。グループg20に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路22から電圧を供給する。グループg30~g50に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路23から電圧を供給する。グループg60に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路24から電圧を供給する。グループg70に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路25から電圧を供給する。そして、グループg10~グループg70に含まれる112個のノズル11aからインク滴を吐出させることにより、シートPに対してテスト印刷を行う。
【0050】
次に、設定調整工程S30では、テスト印刷工程S20における印刷結果に基づいて、仮設定工程S10で設定した、各ノズル11aと電源回路の対応付けを修正する。仮設定工程S10では、グループ毎に電源回路を対応付けている。このため、シート幅方向に隣接する2つのグループにおいて、一方のグループに属するノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されるドットと、他方のグループに属するノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されるドットには、肉眼で識別できる程度の濃度差が生じる場合がある。そこで、設定調整工程S30では、ユーザが、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察し、シート幅方向に隣接する2つのグループにおいて濃度差が生じていないか判断する。そのような濃度差が生じていない(ユーザの肉眼では識別できない)場合は、仮設定工程S10における電源回路の対応付けを維持し、次の本印刷工程S40を行う。一方、そのような濃度差が生じている(ユーザの肉眼で識別できる)場合は、仮設定工程S10における電源回路の対応付けを調整する。以下、具体例に沿って説明する。
【0051】
例えば、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察した結果、図7に示すグループg10とグループg20、及び、グループg20とグループg30において濃度差が生じていると認識された場合、グループg10、グループg20、及びグループg30に含まれるノズル11aに対する、電源回路の対応付けを調整する。例えば、図9(a)に示すように、グループg10では、ノズル列r4を構成するノズル11aに対応付けられた電源回路21を、出力電圧が電源回路21の次に小さい電源回路22に変更する。グループg20では、ノズル列r3及びr4を構成するノズル11aに対応付けられた電源回路21を、電源回路22に変更する。そして、グループg30では、ノズル列r1を構成するノズル11aに対応付けられた電源回路22を、電源回路21に変更する。なお、上述したように、電源回路21~25の出力電圧は全て異なっており、電源回路21から順に小さくなっている。そこで、本実施形態では、電源回路21~25に対してそれぞれ、異なる自然数を対応付けている。例えば、電源回路21には、自然数nを対応付け、電源回路22には、自然数nと異なる自然数mを対応付け、電源回路23には、自然数nとも自然数mとも異なる自然数lを対応付けている。具体的には、電源回路21~25に対してそれぞれ、自然数1~5を対応付けている。図9(a)において、ノズル11aを示す円内の数字は、当該ノズルに対応付けられている電源回路に対応付けられた自然数を表している。また、対応付けられている電源回路の変更は、図8に示される不揮発性メモリ52に記憶されている電源回路IDを、該当するノズル11aについて書き換えることにより行われる。
【0052】
つまり、調整工程S30では、グループg10~g30のいずれも、電源回路21に対応付けられたノズル11aと、電源回路22に対応付けられたノズル11aとから構成されるように、電源回路の対応付けを調整する。具体的には、グループg10は、ノズル列r1~r3を構成する12個のノズル11aと、ノズル列r4を構成する4個のノズル11aとを含む。ノズル列r1~r3を構成する12個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r4を構成する4個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg10を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A1は1.25(=(12+8)/16)となる。
【0053】
グループg20は、ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aと、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aとを含む。ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg20を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A2は1.5(=(8+16)/16)となる。
【0054】
グループg30は、ノズル列r1を構成する4個のノズル11aと、ノズル列r2~r4を構成する12個のノズル11aとを含む。ノズル列r1を構成する4個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r2~r4を構成する12個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg30を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A3は1.75(=(4+24)/16)となる。
【0055】
そして、以上説明した調整工程S30によれば、グループg10を構成するノズル11aに対応付けられた値の平均値A1(=1.25)と、グループg20を構成するノズル11aに対応付けられた値の平均値A2(=1.5)とが異なっており、平均値A1と平均値A2との差の絶対値は1未満となっている。また、グループg20を構成するノズル11aに対応付けられた値の平均値A2(=1.5)と、グループg30を構成するノズル11aに対応付けられた値の平均値A3(=1.75)とが異なっており、平均値A2と平均値A3との差の絶対値は1未満となっている。そして、平均値A2は、平均値A1と平均値A3との間の値となっている。
【0056】
そして、本印刷工程S40では、不揮発性メモリ52に記憶されている電源回路の対応付け情報に従って、各ノズル11aに対応する駆動素子111に電圧を供給する。そして、グループg10~グループg70に含まれる112個のノズル11aからインク滴を吐出させることにより、シートPに対して印刷を行う。
【0057】
例えば、グループg10~g30に属する各ノズル11aからインク滴を吐出することにより、シートPには、図9(b)に示されるようなシート搬送方向に延びる1列のドット列が形成される。なお、図9(b)では、1つのノズル11aから吐出されたインク滴によって形成される1つのドットを、1つの円で表している。また、白抜きの円は、自然数1が対応付けられたノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されたドット(以下、「ドット1」と表記する)を表し、ハッチングが付された円は、自然数2が対応付けられたノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されたドット(以下、「ドット2」と表記する)を表している。
【0058】
図9(b)に示されるように、グループg10では、3つのドット1と、1つのドット2とによって形成されるパターン(以下、「パターン1112」と表記する)が、シート幅方向に4回繰り返し(周期的に)並んでいる。グループg20では、1つのドット1と、1つのドット2とによって形成されるパターン(以下、「パターン12」と表記する)が、シート幅方向に8回繰り返し(周期的に)並んでいる。グループg30では、1つのドット1と、3つのドット2とによって形成されるパターン(以下、「パターン1222」と表記する)が、シート幅方向に4回繰り返し(周期的に)並んでいる。本実施形態では、グループg10においてパターン1112は0.084mm周期で繰り返され、グループg20においてパターン12は0.042mm周期で繰り返され、グループg30においてパターン1222は0.084mm周期で繰り返されている。なお、出願人の実験によれば、パターンが0.16mm以下の周期で繰り返されている場合、人間の視覚では周期的に繰り返されるパターンを認識できないことが分かっているが、パターンは0.1mm以下の周期で繰り返されていることが望ましい。
【0059】
上記の具体例において、グループg10は本発明の「第1グループ」の一例であり、グループg20は本発明の「第2グループ」の一例であり、グループg30は本発明の「第3グループ」の一例である。また、仮設定工程S10において、グループg10及びg20に対応付けられた電源回路21は本発明の「第1電源回路」の一例であり、グループg30に対応付けられた電源回路22は本発明の「第2電源回路」の一例である。また、グループg10を構成する全てのノズル11aからインク滴を吐出させることによって形成されたドットの列は、本発明の「第1ドット列」の一例であり、グループg20を構成する全てのノズル11aからインク滴を吐出させることによって形成されたドットの列は、本発明の「第2ドット列」の一例である。さらに、パターン1112は、本発明の「第1のパターン」の一例であり、パターン12は、本発明の「第2のパターン」の一例である。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察した結果、シート幅方向に隣接する2つのグループにおいて濃度差が生じていると認識された場合、各グループを構成する一部のノズルにおいて、電源回路の対応付けが変更される。具体的には、各グループにおいて、一部のノズル11aに対して仮設定工程S10で対応付けた電源回路が、当該電源回路の次に出力電圧が小さい電源回路、又は、当該電源回路の次に出力電圧が大きい電源回路に変更されるこれにより、各電源回路の出力電圧を変更することなく、同一グループに属する複数のノズルによって形成された複数のドットの濃度差を緩和するとともに、シート幅方向に隣接する2つのグループにおける濃度差を緩和できる。
【0061】
また、上記実施形態によれば、シート幅方向に隣接する2つのグループにおいて、一方のグループを構成するノズル11aに対応付けられた自然数の値の平均値A1と、他方のグループを構成するノズル11aに対応付けられた自然数の値の平均値A2とが異なり、平均値A1と平均値A2の差の絶対値が1未満である。このため、各グループを構成するノズル11aに対して同一の電源回路を対応付けた場合(つまり、仮設定工程S10の場合)よりも、緻密な調整が可能となる。
【0062】
また、上記実施形態によれば、第1グループと第2グループと第3グループとがシート幅方向にこの順で隣接している場合、第2グループを構成するノズル11aに対応付けられた自然数の値の平均値A2は、第1グループを構成するノズル11aに対応付けられた自然数の値の平均値A1と、第3グループを構成するノズル11aに対応付けられた自然数の値の平均値A3との間の値である。このため、ヘッド11内の傾向的な濃度差分布を、滑らかに緩和することができる。
【0063】
さらに、上記実施形態によれば、例えば、グループg10においてパターン1112は0.084mm周期で繰り返され、グループg20においてパターン12は0.042mm周期で繰り返され、グループg30においてパターン1222は0.084mm周期で繰り返されている。つまり、各グループにおいて、パターンが0.1mm以下の周期で繰り返されている。このため、パターンが周期的に繰り返されていても、人間の視覚では濃度ムラとしては認識されない。
【0064】
以上説明した実施形態は、本発明の例示に過ぎず、適宜変形し得る。例えば、各グループにおいて、電源回路を入れ替えるノズル11aの位置及び数は、適宜変更し得る。また、上記実施形態において、グループg10ではパターン1112が4回繰り返され、グループg20ではパターン12が8回繰り返されているが、これには限られない。グループg10を構成する全てのノズルからインク滴を吐出することにより形成されるドットの列の少なくとも一部分において、パターン1112が繰り返されればよく、グループg20を構成する全てのノズルからインク滴を吐出することにより形成されるドットの列の少なくとも一部分において、パターン12が繰り返されればよい。
【0065】
上記実施形態では、各ヘッド11に含まれる112個のノズル11aが、シート幅方向に7つのグループに分けられていたが、これに限られず、さらに搬送方向に分割されていてもよい。例えば、図10に示されるように、各ヘッド11に含まれる112個のノズル11aが、さらに搬送方向にも分割されることにより、搬送方向前方側のグループg10~g70と、搬送方向後方側のグループg80~g140に分割されていてもよい。つまり、グループg10~g70はそれぞれ、グループg80~g140と、搬送方向に隣接している。この場合、シート幅方向に隣接する2つのグループだけでなく、搬送方向に隣接する2つのグループに対しても上記実施形態と同様に電源回路の対応付けを調整することにより、搬送方向に隣接する2つのグループにおける濃度差も緩和することができる。この変形例において、グループg10は本発明の「第1グループ」の一例であり、グループg20は本発明の「第2グループ」の一例であり、グループg80は本発明の「第4グループ」の一例であり、グループg90は本発明の「第5グループ」の一例である。
【0066】
また、図10に示される変形例において、グループg10は、ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aを含む。ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。この結果、グループg10を構成する8個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A1は1(=8/8)となる。グループg20は、グループg10と同様である。つまり、自然数の平均値A2は1(=8/8)となる。グループg30は、ノズル列r1を構成する4個のノズル11aと、ノズル列r2を構成する4個のノズル11aとを含む。ノズル列r1を構成する4個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r2を構成する4個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg30を構成する8個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A3は1.5(=(4+8)/8)となる。グループg80は、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aを含む。ノズル列r3を構成する4個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r4を構成する4個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg80を構成する8個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A4は1.5(=(4+8)/8)となる。グループg90は、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aを含む。ノズル列r3を構成する2個のノズルには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。ノズル列r3を構成する2個のノズル11a及びノズル列r4を構成する4個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg90を構成する8個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A5は1.75(=14/8)となる。グループg100は、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aを含む。ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg100を構成する8個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A6は2(=16/8)となる。このため、平均値A4と平均値A1との差、及び、平均値A5と平均値A2との差は、同符号(本変形例では、ともに正の値)となる。また、平均値A5と平均値A2との差、及び平均値A6と平均値A3との差も、同符号(本変形例では、ともに正の値)となる。
【0067】
また、上記実施形態では、1つのヘッド11からは1色のインクのみが吐出されたが、これには限られない。例えば、図11に示されるように、1つのヘッド11が、搬送方向に並ぶ8列のノズル列を含み、搬送方向前方側の4列のノズル列r1~r4からはブラックのインクが吐出され、搬送方向後方側の4列のノズル列r5~r8からはシアンのインクが吐出されてもよい。この場合、ヘッド11は、図示しない第1マニホールド、第2マニホールド、第3マニホールド、及び第4マニホールドを有する。2つのノズル列r1及びr2には、第1マニホールドからブラックのインクが供給される。2つのノズル列r3及びr4には、第2マニホールドからブラックのインクが供給される。2つのノズル列r5及びr6には、第3マニホールドからシアンのインクが供給される。2つのノズル列r7及びr8には、第4マニホールドからシアンのインクが供給される。そして、上記実施形態と同様に、搬送方向前方側の4列のノズル列を構成するノズル11aを、シート幅方向に7つのグループg10~g70に分け、搬送方向後方側の4列のノズル列を構成するノズル11aを、シート幅方向に7つのグループg80~g140に分けてもよい。そして、グループg10~g70に対して上記実施形態と同様に電源回路の対応付けを調整するとともに、グループg80~g140に対して上記実施形態と同様に電源回路の対応付けを調整してもよい。この変形例において、ブラックのインクは本発明の「第1の液体」の一例であり、シアンのインクは本発明の「第2の液体」の一例である。この変形例において、ブラックインクの代わりにマゼンタインクが用いられ、シアンインクの代わりにイエローインクが用いられてもよい。
【0068】
また、図11に示される変形例において、グループg10は、ノズル列r1~r3を構成する12個のノズル11aと、ノズル列r4を構成する4個のノズル11aとを含む。ノズル列r1~r3を構成する12個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r4を構成する4個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg10を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A1は1.25(=(12+8)/16)となる。グループg20は、ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aと、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aとを含む。ノズル列r1及びr2を構成する8個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r3及びr4を構成する8個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg20を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A2は1.5(=(8+16)/16)となる。グループg30は、ノズル列r1を構成する4個のノズル11aと、ノズル列r2~r4を構成する12個のノズル11aとを含む。ノズル列r1を構成する4個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けている。また、ノズル列r2~r4を構成する12個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けている。この結果、グループg30を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A3は1.75(=(4+24)/16)となる。グループg80は、ノズル列r5を構成する4個のノズル11aと、ノズル列r6~r8を構成する12個のノズル11aとを含む。ノズル列r5を構成する4個のノズル11aには、電源回路21が対応付けられているため、自然数1が対応付けられている。また、ノズル列r6~r8を構成する12個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。この結果、グループg80を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A4は1.75(=(4+24)/16)となる。グループg90は、ノズル列r5~r7を構成する12個のノズル11aと、ノズル列r8を構成する4個のノズル11aとを含む。ノズル列r5~r7を構成する12個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けられている。また、ノズル列r8を構成する4個のノズル11aには、電源回路23が対応付けられているため、自然数3が対応付けられている。この結果、グループg90を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A5は2.25(=(24+12)/16)となる。グループg100は、ノズル列r5及びr6を構成する8個のノズル11aと、ノズル列r7及びr8を構成する8個のノズル11aとを含む。ノズル列r5及びr6を構成する8個のノズル11aには、電源回路22が対応付けられているため、自然数2が対応付けている。また、ノズル列r7及びr8を構成する8個のノズル11aには、電源回路23が対応付けられているため、自然数3が対応付けられている。 この結果、グループg100を構成する16個のノズル11aに対応付けられた自然数の平均値A6は2.5(=(16+24)/16)となる。このため、平均値A4と平均値A1との差、平均値A5と平均値A2との差、及び平均値A6と平均値A3との差は同符号(本変形例では、いずれも正の値)となる。この変形例によれば、粘度などの物性が大きく異なる2つのインクを吐出可能なヘッドにおいても、シート幅方向に隣接する2つのグループにおける濃度差を緩和できる。なお、この変形例において、自然数3に対応付けられた電源回路23は、本発明の「第3電源回路」の一例である。
【0069】
上記実施形態では、仮設定工程S10において電源回路の対応付けを仮設定した後、テスト印刷工程S20においてテスト印刷を行った。そして、設定調整工程S30では、テスト印刷工程S20における印刷結果に基づいて電源回路の対応付けを調整した。しかし、これには限られない。例えば、仮設定工程S10の後、テスト印刷工程S20や設定調整工程S30を行わずに本印刷工程S40を行ってもよく、本印刷工程S40を行っている最中に、印刷結果に応じて電源回路の対応付けを調整してもよい。この場合、4つのラインヘッド4に対して搬送方向の下流側に濃度センサを設け、本印刷中に、濃度センサによってシート幅方向の複数の位置で濃度を検出してもよい。そして、シート幅方向に隣接する2つのグループにおける濃度の差が所定の閾値を超えた場合、当該2つのグループに属する一部のノズルに対して、電源回路の対応付けを変更してもよい。
【0070】
上記実施形態及び変形例において、ヘッド11には搬送方向に並ぶ複数のノズル列が形成されていたが、これには限られない。例えば、図12に示されるように、ヘッド11にはシート幅方向に沿って、1列のノズル列のみが形成されていてもよい。そして、1列のノズル列が、シート幅方向に7つのグループg10~g70に分割されていてもよい。
【0071】
上記実施形態において、印刷装置1は、印刷装置1に対して固定されたシート幅方向に長いラインヘッド4からインクを吐出する所謂ラインヘッド方式で、シートPへの印刷を行う。しかし、印刷装置1は、キャリッジによってヘッド11をシート幅方向に移動させる所謂シリアルヘッド方式で、シートPへの印刷を行ってもよい。
【0072】
上記実施形態では、印刷装置1にラインヘッド4が固定され、シートPが搬送されていたが、ラインヘッド4に対してシートPが相対的に移動していればよく、例えば、固定されたシートPに対してラインヘッド4が移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 印刷装置
4 ラインヘッド
5A,5B 搬送ローラ
7 コントローラ
11 ヘッド
11a ノズル
21~26 電源回路
27 ドライバIC
50 第2基板
51 FPGA
52 不揮発性メモリ
60 フレキシブル回路基板
62 不揮発性メモリ
71 第1基板
711 FPGA
712 EEPROM
T テーブル
図1
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図3
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図5
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図12