(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2020135863
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-05-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月1日に、積水ハウス株式会社が、株式会社テレビ熊本におけるTKU住宅展示場のウェブサイトにて公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】前原 和美
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045663(JP,A)
【文献】実開昭57-015862(JP,U)
【文献】特開2000-192628(JP,A)
【文献】特開2019-148100(JP,A)
【文献】特開2014-224344(JP,A)
【文献】特開2000-073511(JP,A)
【文献】特開平07-034680(JP,A)
【文献】米国特許第06244003(US,B1)
【文献】特開2020-105698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアに設けら
れ、第4階段によって前記フロアと繋がるスキップフロアである小上がりと、
前記小上がりに隣接するように設けられる小下がりと、
前記小下がりの下フロアから立ち上がる壁と、
前記小下がりの上に配置されて前記壁に沿うように前記小上がりから上階に亘る第1階段と、
前記フロアから前記小下がりに亘る第2階段と、を備え、
前記第2階段は、前記小下がりに対して前記第1階段と反対側の位置に設けられ、前記第2階段の下る方向が前記第1階段の上り方向の反対方向となるように構成され、
前記小上がりは、前記小下がりを介して前記壁から離れるステージフロア部と、前記壁と前記ステージフロア部との間に配置されて前記ステージフロア部よりも一段高い段差部とを備え、
前記第1階段は、前記段差部から前記上階に亘るように設けられ、
平面視において、前記小下がりの前記下フロア全体の上方領域が前記ステージフロア部の領域と境界を形成する部分において、前記ステージフロア部には
第1手摺が設けら
れ、
前記第4階段は、前記第2階段の隣に設けられ、
前記第2階段と前記第4階段との間には前記第1手摺から連続して延びる第2手摺が設けられる
建築物。
【請求項2】
前記フロアから前記小上がりに亘る第3階段をさらに備え、
前記第3階段は、前記ステージフロア部に対して前記段差部と反対側の位置に設けられる
請求項
1に記載の建築物。
【請求項3】
前記壁を第1壁と定義し、前記第1壁と異なる第2壁をさらに備え、
前記第2壁は、前記小下がりおよび前記小上がりを含む空間に対して前記第2階段と反対側に配置され、前記第1壁と交差するように設けられる
請求項
2に記載の建築物。
【請求項4】
収容家具をさらに備え、
前記収容家具は、前記ステージフロア部に対して前記第1壁と反対側の位置に配置され、
前記収容家具は、前記ステージフロア部よりも高く、かつ、1000mm以下の高さに構成される
請求項
3に記載の建築物。
【請求項5】
前記収容家具を第1収容家具と定義して、さらに第2収容家具を備え、
前記第2収容家具は、前記小上がりに対して前記第2壁と反対側に配置され、
前記第2収容家具は、天井または天井の梁に接触するように構成される
請求項
4に記載の建築物。
【請求項6】
前記壁において前記小下がり側の壁面には、前記小下がりの長手方向に亘るように台が取り付けられる
請求項
1~5のいずれか一項に記載の建築物。
【請求項7】
前記台には、蛇口および手洗ボウルが設けられる
請求項
6に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物内の空間を有効活用する建築物が開示されている。同文献では、下階と上階とを繋ぐ階段において、階段の踊り場と略同じ高さに中間床部が設けられる。中間床部の下に部屋が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、階段下の空間は、物置になることが多く、人が活用するスペースとしては有効活用されていない実情がある。そこで、階段下の空間を活用し易い建築物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物は、フロアに設けられる小上がりと、前記小上がりに隣接するように設けられる小下がりと、前記小下がりの下フロアから立ち上がる壁と、前記小下がりの上に配置されて前記壁に沿うように前記小上がりから上階に亘る第1階段と、前記フロアから前記小下がりに亘る第2階段と、を備え、前記第2階段は、前記小下がりに対して前記第1階段と反対側の位置に設けられ、前記第2階段の下る方向が前記第1階段の上り方向の反対方向となるように構成される。
【0006】
この構成によれば、上階にわたる第1階段が小上がりに設けられることによって、第1階段の第1段の位置が、フロアよりも高い位置に配置される。さらに、第1階段の下には、小下がりが設けられる。これにより、第1階段下の空間が高くなる。そして、第2階段が、小下がりに対して第1階段と反対側の位置に設けられて、第2階段の下る方向が第1階段の上り方向の反対方向となるように構成されることによって、小下がりの出入りが行い易くなる。このようにして、第1階段下の空間を活用し易くできる。
【0007】
(2)上記(1)の建築物において、前記小上がりは、前記小下がりを介して前記壁から離れるステージフロア部と、前記壁と前記ステージフロア部との間に配置されて前記ステージフロア部よりも一段高い段差部とを備え、前記第1階段は、前記段差部から前記上階に亘るように設けられる。この構成によれば、第1階段の第1段の位置をさらに高い位置に配置できる。これによって、第1階段下の空間をさらに高くできる。
【0008】
(3)上記(2)の建築物において、前記フロアから前記小上がりに亘る第3階段をさらに備え、前記第3階段は、前記ステージフロア部に対して前記段差部と反対側の位置に設けられる。この構成によれば、第3階段が、第1階段が設けられる段差部から離れたところに設けられることによって、第1階段と第3階段とが段差部を介して繋がるように設けられる場合に比べて、第1階段の存在による圧迫感を軽減できる。
【0009】
(4)上記(3)の建築物において、前記壁を第1壁と定義し、前記第1壁と異なる第2壁をさらに備え、前記第2壁は、前記小下がりおよび前記小上がりを含む空間に対して前記第2階段と反対側に配置され、前記第1壁と交差するように設けられる。この構成によれば、第1壁と第2壁とによって、小下がりおよび小上がりを含む空間を1つにまとまった室内空間に構成できる。
【0010】
(5)上記(4)の建築物において、収容家具をさらに備え、前記収容家具は、前記ステージフロア部に対して前記第1壁と反対側の位置に配置され、前記収容家具は、前記ステージフロア部よりも高く、かつ、1000mm以下の高さに構成される。この構成によれば、ステージフロア部を含む空間を収容家具側に開放した空間にすることが出来る。
【0011】
(6)上記(5)の建築物において、前記収容家具を第1収容家具と定義して、さらに第2収容家具を備え、前記第2収容家具は、前記小上がりに対して前記第2壁と反対側に配置され、前記第2収容家具は、天井または天井の梁に接触するように構成される。この構成によれば、小上がりを含む空間を利便性が高い室内空間に構成できる。
【0012】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの建築物において、前記壁において前記小下がり側の壁面には、前記小下がりの長手方向に亘るように台が取り付けられる。この構成によれば、小下がりを含む空間の利便性を高めることができる。
【0013】
(8)上記(7)の建築物において、前記台には、蛇口および手洗ボウルが設けられる。この構成によれば、小下がりを含む空間において、水を使うことができる。
【発明の効果】
【0014】
上記建築物は、階段下の空間を活用し易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】建築物において、小上がりおよび小下がりを含む部分の平面図。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う第2リビングの断面図。
【
図4】
図2の矢印A方向からみた第2リビングの図。
【
図5】
図2のV-V線に沿う第2リビングの断面図。
【
図6】
図2の矢印B方向からみた第2リビングの側面図。
【
図7】建築物において、小下がりおよび第1階段を含む部分の斜視図。
【
図9】
図8のIX-IX線に沿う小下がりを含む空間の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図7を参照して、建築物について説明する。
建築物1は、居住空間を有する。建築物1の一例は、戸建ての住宅、または集合住宅である。建築物1は、基準の階と、基準の階の上に設けられる上階とを有する。基準の階は、1階でもよいし、地階でもよいし、2階であってもよい。建築物1は、3階以上の建物であってもよい。本実施形態の建築物1は、2階建ての住宅である。
【0017】
図1に示されるように、建築物1は、1階にフロア2を有する。例えば、フロア2は、LDK領域3と、作業室領域4と、洗面領域5とを含む。LDK領域3は、第1リビング6、第2リビング7、ダイニング8、および、キッチン9を含む。一例では、第1リビング6は、ダイニング8および第2リビング7に隣接する。ダイニング8は、第1リビング6およびキッチン9に隣接する。キッチン9は、ダイニング8および第2リビング7に隣接する。第2リビング7は、キッチン9および第1リビング6に隣接する。洗面領域5は、LDK領域3の入口10を基準位置として、LDK領域3の奥に設けられる。作業室領域4は、LDK領域3の隣に設けられる。本実施形態では、第1リビング6、ダイニング8、キッチン9、作業室領域4、および、洗面領域5は、共通のフラットなフロア2を有する。
【0018】
建築物1は、小上がり20および小下がり60を備える。建築物1は、小上がり20から上階(本実施形態では、2階)に亘る第1階段41を備える。さらに、建築物1は、フロア2から小下がり60に亘る第2階段42を備える。
【0019】
フロア2と小上がり20との間には、フロア2から小上がり20に亘るように第3階段43が設けられる。加えて、フロア2と小上がり20との間には、フロア2から小上がり20に亘るように第4階段44が設けられる。
【0020】
本実施形態では、小上がり20は、1階のフロア2に設けられる。小上がり20は、第2リビング7に設けられる。小上がり20は、小下がり60を介して第1壁31(後述参照)から離れるステージフロア部21と、ステージフロア部21よりも一段高い段差部23とを備える。
【0021】
図2に示されるように、例えば、ステージフロア部21の上フロア22は、平面視で、概ね矩形に構成される。ステージフロア部21は、第1壁31に平行に配置される。ステージフロア部21は、第1リビング6と雰囲気が異なる空間として構成されてもよい。例えば、ステージフロア部21は、くつろぎのスペースとして構成されてもよいし、子供の遊び場として構成されてもよい。ステージフロア部21において、小下がり60側に手摺26が設けられてもよい。
【0022】
図5に示されるように、ステージフロア部21において、第1リビング6側(
図5において左側)には第1収容家具51が配置される段部24が設けられる。また、ステージフロア部21において、小下がり60側の側面には、棚54を収容できる凹部25が設けられる。
【0023】
図2に示されるように、段差部23は、第1壁31とステージフロア部21との間に配置される。段差部23は、小下がり60に下りていく場合において小下がり60の奥に配置される。本実施形態では、段差部23は、第1壁31と第2壁32とが交差する部分に配置される。段差部23の幅WAは、第1階段41の幅WBよりも大きい。段差部23は、ステージフロア部21よりも高い位置に配置される(
図3参照)。
【0024】
図2に示されるように、建築物1は、第1壁31を備える。本実施形態では、建築物1は、さらに、第2壁32を備える。
図3に示されるように、第1壁31は、小下がり60の下フロア62から立ち上がる。第1壁31は、内壁であってもよいし、外壁であってもよい。一例では、第1壁31は、第2リビング7と第2リビング7よりも奥に配置される洗面領域5とを仕切る壁として構成される(
図1参照)。洗面領域5には、洗面室や浴室が設けられる。第1壁31は、1階の天井まで延びる。
【0025】
図2に示されるように、第2壁32は、小下がり60および小上がり20を含む空間に対して第2階段42と反対側に配置される。第2壁32は、第1壁31と交差するように設けられる。第2壁32は、段差部23、ステージフロア部21、および第3階段43に亘るように設けられる。一例では、第2壁32は、第2リビング7と作業室領域4とを仕切る壁として構成される(
図1参照)。第2壁32は、1階の天井まで延びる。
【0026】
図3に示されるように、第1階段41は、小下がり60の上に配置されて第1壁31に沿って小上がり20から2階に亘るように設けられる。第1壁31に向かって第1階段41を見た場合に、第1階段41は、第2壁32から遠ざかって上がっていくように構成される。第1階段41下の空間SAは、第2壁32から遠ざかるに従って徐々に高くなる。第1階段41下の空間SAは、小下がり60の第2階段42付近において最も高くなる。
【0027】
好ましくは、第1階段41の第1段41aは、段差部23の中央部に配置される。第1段41aは、第1階段41を上る場合の初段として定義される。本実施形態では、第1階段41の第3段以降の段が小下がり60の上に配置される。これによって、第1階段41下の空間SAが広がる。第1階段41の蹴込板41bは半透明であってもよい。これにより、第1階段41の蹴込板41bから光が漏れるようになり、第1階段41の裏面の影を薄くでき、第1階段41下の空間SAが薄暗くなることを抑制できる。
【0028】
図3に示されるように、第2階段42は、小下がり60に対して第1階段41と反対側の位置に設けられる。本実施形態では、第2階段42は、第2リビング7においてキッチン9側に設けられる(
図1参照)。第2階段42は、第1壁31に沿うように設けられる。第2階段42は、第2階段42を下る方向が第1階段41の上り方向の反対方向となるように構成される。
【0029】
図2に示されるように、第3階段43は、ステージフロア部21に対して段差部23と反対側の位置に設けられる。第3階段43は、第2壁32に沿うように設けられる。本実施形態では、第3階段43によって、第1リビング6と第2リビング7とが繋がる(
図1参照)。
【0030】
図6に示されるように、第4階段44は、第2階段42の隣に設けられる。第2階段42と第4階段44との間には手摺45または壁が設けられてもよい。本実施形態では、キッチン9から第2階段42を通って小下がり60に入ることができる(
図1参照)。また、キッチン9から第4階段44を取って小上がり20の上がることができる。
【0031】
建築物1は、第1収容家具51、第2収容家具52および第3収容家具53をさらに備える。
図2に示されるように、第1収容家具51は、ステージフロア部21に対して第1壁31と反対側の位置に配置される。一例では、第1収容家具51は、床置き型の空気調和機が収容する家具として構成される。第1収容家具51は、ステージフロア部21よりも高く、かつ。天井よりも低い。好ましくは、第1収容家具51は、フロア2からの高さが1000mm以下となるように構成される。
【0032】
図4に示されるように、第1収容家具51の高さを制限することによって、第1リビング6側から第2リビング7内を見ることが出来る。第1リビング6の空間と第2リビング7の空間とが壁によって隔てられることなく繋がるため、全体として広い空間が構成される。
【0033】
図5は、
図2のV-V線に沿う第2リビング7の断面図である。
図5に示されるように、第1収容家具51の一部は、デスク55に構成されてもよい。デスク55のデスク板55aは、小上がり20側に突き出る。デスク板55aの下側には、脚を入れることが出来る空間SBが形成される。本実施形態では、小上がり20の端に座ってデスク55を使用できる。
【0034】
第2収容家具52は、小上がり20に対して第2壁32と反対側に配置される(
図2参照)。第2収容家具52は、第2リビング7とキッチン9とを仕切るように構成される。一例では、第2収容家具52は、本や置物を収容する家具として構成される。
【0035】
図6に示されるように、第2収容家具52は、1階の天井または天井の梁12に接触するように構成される。本実施形態では、第2収容家具52は、梁12に接触するように構成される。
【0036】
図5および
図6に示されるように、第2収容家具52は、両面使用に構成されてもよい。具体的には、第2収容家具52は、キッチン9側に開口する複数の第1収容凹部52aと、第2リビング7側に開口する複数の第2収容凹部52bとを有する。
【0037】
図2に示されるように、第3収容家具53は、小上がり20の角部に配置される。第3収容家具53は、第1収容家具51と第2収容家具52とに接触するように構成される。第3収容家具53は、1階の天井または天井の梁12に接触するように構成される。本実施形態では、第3収容家具53は、1階の梁12に接触するように構成される。
【0038】
図2および
図5を参照して小下がり60について説明する。
図2に示されるように、小下がり60は、小上がり20に隣接するように設けられる。本実施形態では、小下がり60は、小上がり20と第1壁31との間に挟まれるように構成される。小下がり60は、第1壁31に沿うように延びる。小下がり60の奥行長さは、2000mm以上に設定される。一例では、小下がり60の奥行長さは、2700mmに設定される。本実施形態では、小下がり60の奥行長さは、第1壁31に沿って、第2階段42を降りるときの最初の蹴込板から小下がり60の突き当りまでの長さと定義される。本実施形態では、小下がり60の突き当りは、段差部23の側面である。
【0039】
上述のように、小下がり60の上には、第1階段41が配置される。上述のように、第1階段41は、第2壁32から遠ざかるに従って徐々に高くなる。加えて、上述のように第2階段42は、小下がり60に対して第1階段41と反対側の位置に設けられ、かつ、第2階段42の下る方向が第1階段41の上り方向の反対方向となるように構成される。
【0040】
小下がり60の下フロア62からステージフロア部21の上フロア22までの高さHA(
図5参照)は、900mm以上に設定される。好ましくは、小下がり60の下フロア62からステージフロア部21の上フロア22までの高さHAは、1000mm以下に設定される。フロア2からステージフロア部21の上フロア22までの高さHBは、500mm以上600mm以下であることが好ましい。上述のように、第1階段41は、小上がり20に設けられる。このように、第1階段41がフロア2から高い位置に設けられること、および、第1階段41の下に小下がり60が設けられることによって、第1階段41下の空間SAの高さが900mm以上に確保される。
【0041】
第1階段41の傾きが36度であり、小下がり60の奥行が2700mmあり、小下がり60の下フロア62からステージフロア部21の上フロア22までの高さHAが900mmである場合、第1階段41下において第1壁31に沿う方向で小下がり60の第2階段42から1500mmまでの範囲の空間は、高さが1700mm以上の空間となる。このように、大人が立って利用できる空間が構成される。
【0042】
第1壁31において小下がり60側の壁面には、小下がり60の長手方向に亘るように台63が取り付けられる。台63には、蛇口64および手洗ボウル65が設けられる。第1壁31において小下がり60側の壁面には、食器、酒、または食べ物を収容できる棚66が設けられてもよい。
【0043】
図7を参照して、本実施形態の作用を説明する。
階段下の空間は、従来、物置として使用されることが多い。本実施形態では、階段下に小下がり60を設ける。さらに、小下がり60に隣接するように小上がり20が設けられる。第1階段41は、小上がり20に設けられ、小下がり60から立ち上がる第1壁31に沿うように設けられる。このような構成によって、第1階段41下の空間SAは、高さ方向に拡大できる。また、小下がり60を含む空間は、第1壁31と小上がり20とによって挟まれ、かつ、小上がり20側に開放される。このように、第1階段41下には、人が十分に入ることが出来る高さがあり、部分的に開放された個室が形成される。また、フロア2から小下がり60に亘るように構成される第2階段42は、上述のように、小下がり60に対して第1階段41と反対側の位置に設けられ、第2階段42の下る方向が第1階段41の上り方向の反対方向となるように構成される。この構造のため、第2階段42から第1階段41までの高さは、第2階段42を下りるに従って大きく変化しない。このように、小下がり60の入口付近の空間高さは、人が入り易いように確保されている。
【0044】
本実施形態の効果を説明する。
(1)建築物1は、小上がり20と、小上がり20に隣接するように設けられる小下がり60と、小下がり60の下フロア62から立ち上がる第1壁31と、第1階段41と、第2階段42とを備える。第1階段41は、小下がり60の上に配置されて第1壁31に沿うように小上がり20から上階に亘るように構成される。第2階段42は、フロア2から小下がり60に亘るように構成される。第2階段42は、小下がり60に対して第1階段41と反対側の位置に設けられ、第2階段42の下る方向が第1階段41の上り方向の反対方向となるように構成される。
【0045】
この構成によれば、上階にわたる第1階段41が小上がり20に設けられることによって、第1階段41の第1段41aの位置が、フロア2よりも高い位置に配置される。さらに、第1階段41の下には、小下がり60が設けられる。これにより、第1階段41下の空間SAが高くなる。そして、第2階段42が、小下がり60に対して第1階段41と反対側の位置に設けられて、第2階段42の下る方向が第1階段41の上り方向の反対方向となるように構成されることによって、小下がり60の出入りが行い易くなる。このようにして、第1階段41下の空間SAを活用し易くできる。
【0046】
(2)第1階段41は、小上がり20の段差部23から上階に亘るように設けられる。
この構成によれば、第1階段41の第1段41aの位置をさらに高い位置に配置できる。これによって、第1階段41下の空間SAをさらに高くできる。
【0047】
(3)フロア2から小上がり20に亘る第3階段43は、ステージフロア部21に対して段差部23と反対側の位置に設けられる。
第3階段43が、第1階段41が設けられる段差部23から離れたところに設けられることによって、第1階段41と第3階段43とが段差部23を介して繋がるように設けられる場合に比べて、第1階段41の存在による圧迫感を軽減できる。
【0048】
(4)第2壁32は、小下がり60および小上がり20を含む空間に対して第2階段42と反対側に配置され、第1壁31と交差するように設けられる。
この構成によれば、第1壁31と第2壁32とによって、小下がり60および小上がり20を含む空間を1つにまとまった室内空間に構成できる。
【0049】
(5)第1収容家具51は、ステージフロア部21に対して第1壁31と反対側の位置に配置される。第1収容家具51は、ステージフロア部21よりも高く、かつ、1000mm以下の高さに構成される。この構成によれば、ステージフロア部21を含む空間を第1収容家具51側に開放した空間にすることが出来る。本実施形態では、第2リビング7を第1リビング6側に開放した空間にすることが出来る。
【0050】
(6)第2収容家具52は、小上がり20に対して第2壁32と反対側に配置され、天井または天井の梁12に接触するように構成される。この構成によれば、小上がり20を含む空間を利便性が高い室内空間に構成できる。
【0051】
(7)第1壁31において小下がり60側の壁面には、小下がり60の長手方向に亘るように台63が取り付けられる。この構成によれば、小下がり60を含む空間の利便性を高めることができる。
【0052】
(8)台63には、蛇口64および手洗ボウル65が設けられる。この構成によれば、小下がり60を含む空間において、水を使うことができる。例えば、ジュース、コーヒー、カクテル等を作ることができる。
【0053】
(9)小下がり60の下フロア62から小上がり20のステージフロア部21の上フロア22までの高さHAは、900mm以上に設定される。この構成によれば、第1階段41の第1段41aを小下がり60の下フロア62から900mm以上の高さの位置に配置できる。
【0054】
<変形例>
上記実施形態は、建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物1は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0055】
図8および
図9に示されるように、小下がり60には、追加の台71が設けられてもよい。追加の台71は、小下がり60において第2階段42の反対側の奥に配置される。本実施形態では、追加の台71は、段差部23に接するように設けられる。追加の台71には、蛇口72および手洗ボウル73が設けられる。この構成によれば、第1壁31に沿うように設けられた台63について、テーブルとして使用できる範囲を広げることが出来る。
【符号の説明】
【0056】
HA…高さ
HB…高さ
SA…空間
SB…空間
1…建築物
2…フロア
12…梁
20…小上がり
21…ステージフロア部
23…段差部
31…第1壁
32…第2壁
41…第1階段
42…第2階段
43…第3階段
51…第1収容家具
52…第2収容家具
60…小下がり
62…下フロア
63,71…台
64,72…蛇口
65,73…手洗ボウル