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特許7574576ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜および有機EL表示装置
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  • 特許-ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜および有機EL表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜および有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/033 20060101AFI20241022BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241022BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241022BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20241022BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20241022BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20241022BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/004 505
G03F7/004 504
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
C08F220/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020143190
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038599
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相原 涼介
(72)【発明者】
【氏名】石川 暁宏
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046790(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0026569(KR,A)
【文献】特開2019-179111(JP,A)
【文献】特開2018-060136(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125870(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/159458(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/203905(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/033
G03F 7/004
H10K 59/10
H10K 50/10
H05B 33/02
H05B 33/12
H05B 33/22
C08F 220/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、着色顔料(D)有機溶剤(E)および、側鎖に3級アミノ基を有する一般式(5)で表される繰り返し単位と、カルボキシ基を有する繰り返し単位と、エチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を有する、樹脂(F)を含むネガ型感光性樹脂組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
(一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、lは0~4の整数を表し、mは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、nは0~4の整数を表し、oは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。Rは、炭素数1~5のアルキル基を表す。また、pは1~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R10は単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。
一般式(5)中、R 11 は水素原子またはメチル基を表し、R 12 は単結合または炭素数1~5のアルキル基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。R 13 、R 14 はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、アルコキシ基、炭素数3~6の脂環式炭化水素または炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表す。
【請求項2】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)の全繰り返し単位100モル%に対する、一般式(1)で表される繰り返し単位、および一般式(2)で表される繰り返し単位のモル比率の合計量M1が30モル%以上、70モル%未満である請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)の全繰り返し単位100モル%に対する、一般式(1)で表される繰り返し単位および一般式(2)で表される繰り返し単位のモル比率の合計量と一般式(3)で表される繰り返し単位および一般式(4)で表される繰り返し単位のモル比率の合計量をそれぞれM1とM2としたとき、M1/M2が0.4~1.5である請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)が一般式(1)の繰り返し単位を有する請求項1~3のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)のRが単結合である請求項1~4のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
【請求項7】
請求項に記載の硬化膜を具備する有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ感光性樹脂組成物、硬化膜および有機EL用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットPCおよびテレビなどの薄型表示装置において、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」)表示装置を用いた製品が多く開発されている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置は、発光素子の光取り出し側に酸化インジウムスズ(以下、「ITO」)などの透明電極を有し、発光素子の光取り出しでない側にマグネシウムと銀の合金などの金属電極を有する。また、発光素子の画素間を分割するため、透明電極と金属電極との層間に画素分割層という絶縁層が形成される。
【0004】
近年、画素分割層に遮光性を付与することで、太陽光などの外光反射を低減し、有機EL表示装置の視認性およびコントラストを向上させる試みがなされている。その具体例として、黒色染料または黒色顔料を用いたポジ型感光性樹脂組成物(例えば、特許文献1、2参照)や、ポリイミド及び/またはポリベンゾオキサゾールを用いたネガ型黒色感光性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6689434号公報
【文献】国際公開第2017-069172号
【文献】特開2019-023728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2のような、ポジ型黒色感光性樹脂組成物では黒色材が露光波長を吸収するため、高い遮光性と感度を両立することが困難であり、単位膜厚当たりのOD値は0.5程度が上限であった。一方、上記特許文献3のようなネガ型黒色感光性樹脂組成物においては高い遮光性と感度を両立することが可能であるが、特に高精細ディスプレイ用途で要求される10μm以下のホールパターン加工においてはマスク設計幅に対する、ホールパターンの形成幅の差の絶対値(以下、マスクバイアスと呼ぶ場合がある)が大きくなりすぎて、所望のパターンを形成することが困難であった。さらに、ネガ型黒色感光性樹脂組成物の硬化膜を有機EL表示装置に用いた場合、未反応成分が残存し、有機EL表示装置の長期信頼性が悪化する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、着色顔料(D)および有機溶剤(E)を含むネガ型感光性樹脂組成物。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】
一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、lは0~4の整数を表し、mは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、nは0~4の整数を表し、oは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。Rは、炭素数1~5のアルキル基を表す。また、pは1~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R10は単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。
【発明の効果】
【0013】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物によれば、高い遮光性と感度を両立しながら、マスクバイアスが小さく、その硬化膜を有機EL表示装置に用いた時の長期信頼性が高いネガ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例における有機EL表示装置の作製手順の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂(A)、ラジカル重合性化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、着色顔料(D)および有機溶剤(E)を含むネガ型感光性樹脂組成物である。
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
一般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、lは0~4の整数を表し、mは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基もしくはアルコキシ基、アシル基を表す。また、nは0~4の整数を表し、oは1~4の整数を表す。なお、Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
【0021】
一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。Rは、炭素数1~5のアルキル基を表す。また、pは1~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。Rが2個以上存在する場合、これらのRは相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
一般式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、R10は単結合または炭素数1~5のアルキレン基または、炭素原子数1~5、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。
【0022】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、一般式(1)および/または一般式(2)と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を含むアルカリ可溶性樹脂(A)(以下、(A)成分と呼ぶ場合がある。)を含有する。
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
(A)成分は、一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を構成するモノマと一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を構成するモノマを共重合することで得ることができる。前記共重合の方法としては、例えば特開平5-19467号公報記載の方法などが挙げられるが、公知の方法を使用することができる。
一般式(1)で表される繰り返し単位を構成するモノマとしては、具体的には4―ヒドロキシフェニルメタクリレート(以下、PQMA)、(4―ヒドロキシフェニル)メチルメタクリレート、(4―ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート(以下、PEMA)、(4―ヒドロキシフェニル)プロピルメタクリレートなどが挙げられる。
【0028】
一般式(2)で表される繰り返し単位を構成するモノマとしては、具体的には、2―ヒドロキシスチレン、3―ヒドロキシスチレン、4―ヒドロキシスチレン、2,4―ジヒドロキシスチレン、2,6―ジヒドロキシスチレン、2,4,6―トリヒドロキシスチレン、2,3,4,5―テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2―ヒドロキシ―α―メチルスチレン、3-ヒドロキシ―α―メチルスチレン、4―ヒドロキシ―α―メチルスチレン、1―(2―ヒドロキシフェニル)プロピレン、1―(3―ヒドロキシフェニル)プロピレン又は1―(4―ヒドロキシフェニル)プロピレンが挙げられる。
【0029】
(A)成分が、一般式(1)および/または一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することにより、(A)成分はラジカル連鎖反応を抑制する効果を発現し、ネガ型感光性樹脂組成物のマスクバイアスが小さくなり、狙い設計通りのパターンが形成できるが、これらの中でも、(A)成分が、一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。また、一般式(1)中のRが単結合であることがより好ましい。
【0030】
また、一般式(3)で表される繰り返し単位を構成するモノマとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル(以下、GMAという場合がある。)、4―ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(以下、4HBAGEという場合がある)、(3―エチルオキセタン―3―イル)メチルアクリレート、(3―メチルオキセタン―3―イル)メチルアクリレート、(3―エチルオキセタン―3―イル)メチルメタクリレート、(3―メチルオキセタン―3―イル)メチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロ―2H―ピラン―2―イルアクリラートなどが挙げられるが、メタクリル酸グリシジルであることが好ましい。
【0031】
また、一般式(4)で表される繰り返し単位を構成するモノマとしては、3,4―エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、3,4―エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4―エポキシシクロヘキシルエチルメタアクリレート、3,4―エポキシシクロヘキシルエチルアクリレートなどが挙げられるが、3,4―エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートであることが好ましい。
【0032】
(A)成分が、一般式(3)および/または一般式(4)で表される繰り返し単位を含有することにより、ネガ型感光性樹脂組成物をパターン加工後に熱硬化させる工程において架橋密度が向上し、長期信頼性に優れた有機EL表示装置を得ることができる。
【0033】
(A)成分の全繰り返し単位100モル%に対する、一般式(1)で表される繰り返し単位、および一般式(2)で表される繰り返し単位のモル比率の合計量と一般式(3)で表される繰り返し単位、および一般式(4)で表される繰り返し単位のモル比率の合計量をそれぞれM1とM2としたとき、M1が30モル%以上70モル%未満とすることが好ましい。M1をこの範囲とすることでネガ型感光性樹脂組成物のマスクバイアス低減と高感度化を両立することができる。
また、M1/M2の比率は、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性および、マスクバイアスを極小化させる観点から0.4以上が好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。一方、M1/M2の比率は、有機EL表示装置の長期信頼性の観点から1.5以下であることが好ましい。
【0034】
(A)成分は、さらに必要に応じて任意の(メタ)アクリルモノマを単量体として共重合することができる。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、クロトン酸、2―カルボキシエチルアクリレートオリゴマー、2―カルボキシエチルメタクリレートオリゴマーなどのカルボキシ基を有する単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t―ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2―エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n―ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t―ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2―エチルヘキシル、などのアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルあるいはそれらの(フルオロ)アルキルエステル単量体、スチレン、α―メチルスチレン、4―ビニルトルエン及びその構造異性体、4―メトキシスチレン及びその構造異性体、4―ブトキシスチレン及びその構造異性体、4―tert―ブトキシスチレン及びその構造異性体、4―ビニルビフェニル、2―ビニルナフタレン及びその構造異性体、9―ビニルアントラセン、9―ビニルカルバゾールなどの芳香環を有する不飽和単量体を含んでもよい。
【0035】
ネガ型感光性樹脂組成物中における(A)成分の含有量は、マスクバイアスを極小化させる観点から、ネガ型感光性樹脂組成物中の溶剤以外の成分の合計100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、(A)成分の含有量は、露光時の感度向上の観点から、ネガ型感光性樹脂組成物中の溶剤以外の成分の合計100重量部に対して、60重量部以下が好ましく、50重量部以下が好ましい。
【0036】
ネガ型感光性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物(B)(以下、(B)成分と呼ぶ場合がある。)を含有する。ここで、溶剤とは有機溶剤(E)と水のことを指す。
【0037】
(B)成分が有するラジカル重合性基としては、露光時の感度向上の観点から、アクリル基、メタクリル基が好ましく、これらを2種有してもよい。(B)成分としては、ラジカル重合性基を2つ以上有する化合物が好ましい。かかる(B)成分としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6―ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレート、フルオレンジアクリレート系オリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6―ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2―ビス[4―(3-アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス[4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]メタン、ビス[4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルホン、ビス[4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]エーテル、4,4’ ―ビス[4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]シクロヘキサン、9,9―ビス[4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9―ビス[3―メチル―4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9―ビス[3―クロロ―4―(3―アクリロキシ―2―ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジメタアクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。感度をより向上させる観点から、ラジカル重合性基を3つ以上有する化合物がより好ましく、ラジカル重合性基を5つ以上有する化合物がより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0038】
ネガ型感光性樹脂組成物中における(B)成分の含有量は、露光時の感度向上の観点から、(A)成分と(B)成分の合計含有量100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、15重量部以上がより好ましい。一方、(B)成分の含有量は、加熱焼成工程におけるリフロー性の観点から、(A)アルカリ可溶性樹脂と(B)ラジカル重合性化合物の合計含有量100重量部に対して、80重量部以下が好ましく、60重量部以下が好ましい。
【0039】
ネガ型感光性樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤(C)(以下、(C)成分と呼ぶ場合がある。)を含有する。
【0040】
(C)成分は、露光によって結合開裂および/または反応してラジカルを発生する化合物を指す。例えば、カルバゾール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、α―アミノアルキルフェノン系光重合開始剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、後述する露光工程において、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)からなる混合線に対する感度が高いことから、カルバゾール系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
【0041】
ネガ型感光性樹脂組成物中における(C)成分の含有量は、露光に対する感度向上の観点から、(B)ラジカル重合性化合物の含有量100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。一方、(C)成分の含有量は、細線加工性の観点から、(B)ラジカル重合性化合物の含有量100重量部に対して、60重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。
【0042】
ネガ型感光性樹脂組成物は、着色顔料(D)(以下、(D)成分と呼ぶ場合がある。)を含有する。
【0043】
(D)成分としては、電子情報材料の分野で一般的に用いられる、有機顔料、無機顔料を用いることができる。有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ若しくはポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン若しくは無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン若しくはビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料又は金属錯体系顔料などが挙げられる。
【0044】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット又はコバルトバイオレットなどが挙げられる。
【0045】
赤色の顔料としては、例えば、ピグメントレッド9,48,97,122,123,144,149,166,168,177,179,180,192,209,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240又は254などが挙げられる(数値はいずれもカラーインデックス(以下、「CI」ナンバー))。
【0046】
オレンジ色の顔料としては、例えば、ピグメントオレンジ13,36,38,43,51,55,59,61,64,65又は71が挙げられる。
【0047】
黄色の顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12,13,17,20,24,83,86,93,95,109,110,117,125,129,137,138,139,147,148,150,153,154,166,168又は185などが挙げられる(数値はいずれもCIナンバー)。
【0048】
紫色の顔料としては、例えば、ピグメントバイオレット19,23,29,30,32,37,40又は50などが挙げられる(数値はいずれもCIナンバー)。
【0049】
青色の顔料としては、例えば、ピグメントブルー15,15:3,15:4,15:6,22,60又は64などが挙げられる(数値はいずれもCIナンバー)。
【0050】
緑色の顔料としては、例えば、ピグメントグリーン7,10,36又は58などが挙げられる(数値はいずれもCIナンバー)。
【0051】
黒色の顔料としては、例えば、黒色有機顔料、混色有機顔料又は無機顔料等が挙げられる。黒色有機顔料としては、例えば、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、又はベンゾフラノン顔料(特表2012-515233号公報記載)が挙げられる。
【0052】
これら着色顔料を組み合わせることにより、所望の光学特性を持ったネガ型感光性樹脂組成物を得ることもできるが、単位重量当たりの可視光遮光性と絶縁性の観点から、ベンゾフラノン顔料を含むことが好ましい。
【0053】
ネガ型感光性樹脂組成物中における(D)成分の含有量は、単位膜厚当たりの遮光性の観点から、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。一方、(D)成分の含有量は、露光時の感度向上および細線加工性の観点から、ネガ型感光性樹脂組成物100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。
【0054】
ネガ型感光性樹脂組成物は、有機溶剤(E)(以下、(E)成分と呼ぶ場合がある。)を含有する。
【0055】
(E)成分としては、例えば、エーテル類、アセテート類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アミド類、アルコール類などが挙げられる。
【0056】
エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3―メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。エステル類としては、例えば、2―ヒドロキシプロピオン酸メチル、2―ヒドロキシプロピオン酸エチル、2―ヒドロキシ―2―メチルプロピオン酸エチル、3―メトキシプロピオン酸メチル、3―メトキシプロピオン酸エチル、3―メトキシブチルアセテート、酢酸エチル、酢酸n―プロピル、酢酸n―ブチル、等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2―ヘプタノン、3―ヘプタノン等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。アミド類としては、例えば、N―メチルピロリドン、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4―メチル―2―ペンタノール、3―メチル―2―ブタノール、3―メチル―3―メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、パターニング後に低温焼成を行う場合においても溶剤が揮発しやすいことから、1気圧における沸点は170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。
【0057】
ネガ型感光性樹脂組成物は、さらに側鎖に3級アミノ基を有する一般式(5)で表される繰り返し単位と、カルボキシ基を有する繰り返し単位と、エチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を有する、樹脂(F)(以下、(F)成分と呼ぶ場合がある。)を含有してもよい。
【0058】
【化13】
【0059】
一般式(5)中、R11は水素原子またはメチル基を表し、R12は単結合または炭素数1~5のアルキル基または、炭素原子数1~5かつ酸素原子数1のアルキレンエーテル基を表す。R13、R14はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基、アルコキシ基、炭素数3~6の脂環式炭化水素または炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表す。
【0060】
一般式(5)で表される繰り返し単位を構成するモノマとしては、具体的には、アクリル酸―2―ジメチルアミノエチル、アクリル酸―2-ジエチルアミノエチル、アクリル酸―2-ジプロピルアミノエチル、アクリル酸―2―ジフェニルアミノエチル、アクリル酸―2―ジベンジルアミノエチル、メタクリル酸―2―ジメチルアミノエチル、メタクリル酸―2―ジエチルアミノエチル、メタクリル酸―2―ジプロピルアミノエチル、メタクリル酸―2―ジフェニルアミノエチル、メタクリル酸―2―ベンジルアミノエチルなどが挙げられ、これらのモノマは単独で使用しても、2種以上使用してもよい。一般式(5)で表される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂を含むことにより、着色顔料表面に3級アミノ基が吸着し、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性をより向上させることができる。
【0061】
カルボキシ基を有する繰り返し単位を構成するモノマは、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水フタル酸、クロトン酸、2―カルボキシエチルアクリレートオリゴマー、2―カルボキシエルメタクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
【0062】
(F)成分を合成する方法としては、一般式(5)で表される構造単位、カルボキシ基含有単位を重合した後、さらに公知のエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を導入する方法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体を共重合した(メタ)アクリル共重体に、グリシジル基含有重合性不飽和単量体を付加反応させる方法などが挙げられる。この場合、共重合させるカルボキシル基含有不飽和単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸などが、グリシジル含有不飽和単量体としてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどが例示できる。これらのアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
【0063】
(F)成分の酸価は、50~120mgKOH/gであることが好ましく、この範囲とすることで着色顔料分散安定性とアルカリ現像液の溶解性を両立することができる。また、塩基価としては、5~70mmol/100gであることが好ましく、この範囲とすることでアルカリ現像液への溶解性を維持しながら、着色顔料分散安定性を向上させることができる。なお、塩基価は(F)成分100gを中和するのに要した過塩素酸のmol数と定義する。
【0064】
(F)成分の含有量は、着色顔料分散安定性の観点から、(A)成分と(F)成分の合計100重量部に対して5重量部以上が好ましい。一方、(F)成分の含有量は、マスクバイアスを極小化する点から、(A)成分と(F)成分の合計100重量部に対して50重量部以下であることが好ましい。
【0065】
ネガ型感光性樹脂組成物は、必要に応じて基板との濡れ性を向上させたり、感光性樹脂膜の膜厚均一性を向上させたりする目的で界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は市販の化合物を用いることができ、具体的にはシリコーン系界面活性剤としては、東レダウコーニングシ4リコーン社のSHシリーズ、SDシリーズ、STシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越シリコーン社のKPシリーズ、日本油脂社のディスフォームシリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、大日本インキ工業社の“メガファック(登録商標)”シリーズ、住友スリーエム社のフロラードシリーズ、旭硝子社の“サーフロン(登録商標)”シリーズ、“アサヒガード(登録商標)”シリーズ、新秋田化成社のEFシリーズ、オムノヴァ・ソルーション社のポリフォックスシリーズなどが挙げられ、アクリル系および/またはメタクリル系の重合物からなる界面活性剤としては、共栄社化学社のポリフローシリーズ、楠本化成社の“ディスパロン(登録商標)”シリーズなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
界面活性剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物100重量部に対して0.0001重量部以上1重量部以下が好ましい。
【0067】
ネガ型感光性樹脂組成物は、高分子分散剤を含有してもよい。高分子分散剤とは、着色顔料表面への化学的結合または吸着作用を有する親和性基と、親溶媒性を有する高分子鎖または基とを併せ持つものをいい、エチレン性不飽和基を含有しない点で(F)成分とは異なる。高分子分散剤はエチレン性不飽和基を有していないため、多量に添加すると目的の感光性能を悪化させる懸念があり、分散安定性、感光性能を加味して適正な添加量とすることが望ましい。高分子分散剤は、後述の湿式メディア分散処理において、着色顔料の分散媒への濡れ性を向上させて遮光材の解凝集を促進し、立体障害および/または静電反発効果により粒度および粘度を安定化させ、さらに、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵時あるいは塗布時の色分離の発生を抑制する効果を奏する。
【0068】
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤、カルボジイミド系分散剤などが挙げられる。着色顔料分散の長期保存安定性を向上させるため、これらの中でもアミノ基を有する高分子分散剤が好ましい。
【0069】
ネガ型感光性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、分散機を用いて(A)成分、(B)成分、および(C)を含む溶液中に直接(D)成分を分散させる方法、分散機を用いて(A)成分中に(D)成分を分散させて着色分散液を作製し、その後着色分散液と(B)成分、(C)成分を混合する方法などが挙げられる。
【0070】
分散機としては、例えば、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなどが挙げられる。これらの中でも、分散効率化および微分散化の観点から、ビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどが挙げられる。ビーズミルのビーズとしては、例えば、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズなどが挙げられる。ビーズミルのビーズ径は、0.03~1.0mmが好ましい。(A)成分の一次粒子径および一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が小さい場合には、0.03~0.10mmの微小な分散ビーズが好ましい。
【0071】
この場合、微小なビーズと分散液とを分離することが可能な、遠心分離方式によるセパレーターを有するビーズミルが好ましい。一方で、サブミクロン程度の粗大な粒子を含有する(D)成分を分散させる場合には、十分な粉砕力が得られるため、ビーズ径が0.10mm以上のビーズが好ましい。なお、ビーズ径は、顕微鏡観察により無作為に選択した100個のビーズについて、円相当径を測定し、その数平均値を求めることにより算出することができる。
【0072】
本発明の硬化膜は、前記ネガ型感光性樹脂組成物を硬化したものである。
ネガ感光性樹脂組成物を硬化する方法としては光硬化と加熱硬化が挙げられる。具体的には後述する光硬化と加熱硬化の両方を行うことが好ましい。
【0073】
ネガ型感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜の製造方法について以下に説明する。
【0074】
硬化膜の製造方法は、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布し感光性樹脂膜を形成する工程、前記感光性樹脂膜を乾燥する工程、前記感光性樹脂膜を露光する工程、露光された感光性樹脂膜を現像する工程、および加熱硬化をする工程を含む。
硬化膜を製造する具体的な方法としては、例えば特開2019-023728号公報記載の方法などが挙げられるが、公知の方法により製造することができる。
【0075】
本発明の有機EL表示装置は前記硬化膜を具備する。
有機EL表示装置は、少なくとも基板、第一電極、第二電極、発光画素、平坦化層および画素分割層を有する。マトリックス状に形成された複数の画素を有するアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が好ましい。アクティブマトリックス型の表示装置は、ガラスなどの基板上に、発光画素を有し、発光画素および発光画素以外の部位の下部を覆うように設けられた平坦化層を有する。さらに、平坦化層上に、少なくとも発光画素の下部を覆うように設けられた第一電極と、少なくとも発光画素の上部を覆うように設けられた第二電極を有する。また、アクティブマトリックス型の表示装置は発光画素間を分割するために、絶縁性の画素分割層を有し、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、画素分割層に好適に用いることができる。
【0076】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、高精細かつ開口部に残渣を生じないパターンが形成可能であるため、固体撮像素子やマイクロLED、ミニLED表示装置向けの着色隔壁、液晶表示装置用のカラーフィルターに用いられるブラックマトリクスおよびブラックカラムスペーサーにも用いることができる。
【実施例
【0077】
以下に本発明を実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
【0078】
<評価方法>
[分子量]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー(株)の試験装置)を使用し、キャリアーをテトラヒドロフラン、分子量スタンダードとしてポリスチレンを用いて測定した重量平均分子量(Mw)の値とする。
【0079】
[感度]
各実施例および比較例により得られたネガ型感光性樹脂組成物を、ITO基板上に、ミカサ(株)製スピンナー(MS-A150)を用いて、その感光性樹脂膜のOD値が1.5となるように塗布し、感光性樹脂膜を100℃のホットプレート上で2分間加熱乾燥した。この感光性樹脂膜に対して、ユニオン光学(株)製マスクアライナー(PEM-6M)を用い、HOYA(株)製ネガマスク(ストライプ設計線幅10μm)を介して、高圧水銀灯を光源として500mJ/cmを最大露光量とし、10mJ/cmごとに露光量を下げて露光し、2.38重量%TMAH水溶液のアルカリ現像液で60秒間現像することでパターニング基板を得た。次に、得られたパターニング基板を熱風オーブン中230℃で60分間焼成して硬化膜を得た。
【0080】
得られたネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を光学顕微鏡にて観察し、硬化膜が剥がれなく形成できた最低露光量(mJ/cm)を感度とした。
[遮光性]
各実施例および比較例により得られたネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜のうち、パターン形成できた最小露光量における硬化膜のOD値をX-rite 361T(visual)densitometerを用いて入射光および透過光それぞれの強度を測定し、以下の式(3)より算出した。
【0081】
OD値=log10(I/I) ・・・ 式(3)
:入射光強度
I:透過光強度
また、接触式の膜厚計DEKTAK150((株)アルバック製)を用いて硬化膜の膜厚を測定し、OD値/膜厚を計算することにより各硬化膜1μmあたりの遮光性を評価した。
【0082】
[マスクバイアス]
各実施例および比較例により得られたネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜のうち、パターン形成できた最小露光量におけるマスク開口幅10μmストライプパターンの開口幅を光学顕微鏡で測長し、マスク設計値と硬化膜の開口幅の差の絶対値が小さいほどマスクバイアスが小さく良好であると判定した。
【0083】
評価
A:マスクバイアス1.0μm未満
B:マスクバイアス1.0μm以上2.0μm未満
C:マスクバイアス2.0μm以上3.0μm未満
D:マスクバイアス3.0μm以上。
【0084】
[保存安定性]
実施例および比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物の初期感度と、23℃で7日間静置したあとの感度を、初期感度と同様の方法で評価した。初期感度に対する経時後の感度の比である感度変化率(%)が小さいほうが、ネガ型感光性樹脂組成物としての安定性に優れていると判断した。
【0085】
評価
A:感度変化率120%未満
B:感度変化率120%以上、150%未満
C:感度変化率150%以上、200%未満
D:感度変化率200%以上。
【0086】
[有機EL表示装置の長期信頼性評価]
各実施例および比較例で得られたネガ型感光性樹脂組成物を用いた有機EL表示装置の作製手順の概略図を図1に示す。まず、38mm×46mmの無アルカリガラス基板1に、ITO透明導電膜10nmをスパッタ法により基板全面に形成し、第一電極(透明電極)2としてエッチングした。また同時に、第二電極を取り出すための補助電極3も形成した。得られた基板をセミコクリーン56(商品名、フルウチ化学(株)製)で10分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。次にこの基板全面に、ネガ型感光性樹脂組成物(PB-1)をスピンコート法により塗布し、100℃のホットプレート上で2分間プリベークした。この膜にフォトマスクを介して高圧水銀灯を光源として各ネガ型感光性樹脂組成物の最小露光量で露光した後、2.38重量%TMAH水溶液で現像し、不要な部分を溶解させ、純水でリンスした。得られた樹脂パターンを、熱風オーブン中230℃で60分間加熱処理した。このようにして、幅70μm、長さ260μmの開口部が幅方向にピッチ155μm、長さ方向にピッチ465μmで配置され、それぞれの開口部が第一電極を露出せしめる形状の絶縁層4を、基板有効エリアに限定して形成した。このようにして、1辺が16mmの四角形である基板有効エリアに絶縁層開口率25%の絶縁層を形成した。絶縁層の厚さは約1.0μmであった。
【0087】
次に、前処理として窒素プラズマ処理を行った後、真空蒸着法により発光層を含む有機EL層5を形成した。なお、蒸着時の真空度は1×10-3Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、正孔注入層として化合物(HT-1)を10nm、正孔輸送層として化合物(HT-2)を50nm蒸着した。次に発光層に、ホスト材料としての化合物(GH-1)とドーパント材料としての化合物(GD-1)を、ドープ濃度が10%になるようにして40nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として化合物(ET-1)と化合物(LiQ)を体積比1:1で40nmの厚さに積層した。有機EL層で用いた化合物の構造を以下に示す。
【0088】
【化14】
【0089】
次に、化合物(LiQ)を2nm蒸着した後、MgおよびAgを体積比10:1で10nm蒸着して第二電極(非透明電極)6とした。最後に、低湿窒素雰囲気下でキャップ状ガラス板を、エポキシ樹脂系接着剤を用いて接着することで封止をし、1枚の基板上に1辺が5mmの四角形であるトップエミッション方式の有機EL表示装置を4つ作製した。なお、ここで言う膜厚は水晶発振式膜厚モニターにおける表示値である。
作製した有機EL表示装置を、発光面を上にして80℃に加熱したホットプレートに載せ、波長365nm、照度0.6kmW/cmのUV光を照射した。照射直後(0時間)、1000時間経過後に、有機EL表示装置0.625mAの直流駆動により発光させ、発光画素の面積に対する発光部の面積率(画素発光面積率)を測定した。この評価方法による1000時間経過後の画素発光面積率として、80%以上であれば長期信頼性が優れていると言え、90%以上であればより好ましい。
【0090】
評価
A:画素発光面積率 95%以上
B:画素発光面積率 90%以上、95%未満
C:画素発光面積率 80%以上、90%未満
D:画素発光面積率 80%未満。
【0091】
<製造例>
(合成例1:アルカリ可溶性樹脂A-1)
4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(昭和電工株式会社製「PQMA」)33.40g、及びGMA6.66gをPGMEA100.0g中に、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬株式会社製)3.66gを、PGMEA15.0gにそれぞれ完全に溶解させた。得られた2つの溶液を、300mLの3つ口型フラスコ中、窒素ガス雰囲気下で85℃に加熱したPGMEA45.0gに同時に2時間かけて滴下し、滴下完了後85℃で3時間反応させることで、PQMA/GMA=80/20のアルカリ可溶性樹脂A-1の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8800であった。
【0092】
(合成例2:アルカリ可溶性樹脂A-2)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を29.80g、GMAの量を10.20gとすることで、PQMA/GMA=70/30のアルカリ可溶性樹脂A-2の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8500であった。
【0093】
(合成例3:アルカリ可溶性樹脂A-3)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を26.10g、GMAの量を13.90gとすることで、PQMA/GMA=60/40のアルカリ可溶性樹脂A-3の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8600であった。
【0094】
(合成例4:アルカリ可溶性樹脂A-4)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を18.20g、GMAの量を21.80gとすることで、PQMA/GMA=40/60のアルカリ可溶性樹脂A-4の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8300であった。
【0095】
(合成例5:アルカリ可溶性樹脂A-5)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を16.11g、GMAの量を23.89gとすることで、PQMA/GMA=35/65のアルカリ可溶性樹脂A-5の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8100であった。
【0096】
(合成例6:アルカリ可溶性樹脂A-6)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を13.97g、GMAの量を26.03gとすることで、PQMA/GMA=30/70のアルカリ可溶性樹脂A-6の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8400であった。
【0097】
(合成例7:アルカリ可溶性樹脂A-7)
合成例1と同様の方法で投入するPQMAの量を9.54g、GMAの量を30.46gとすることで、PQMA/GMA=20/80のアルカリ可溶性樹脂A-7の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8400であった。
【0098】
(合成例8:アルカリ可溶性樹脂A-8)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をPQMAの代わりにPEMAを用い、PEMAの量を10.64g、GMAの量を29.36gとすることで、PEMA/GMA=20/80のアルカリ可溶性樹脂A-8の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8800であった。
【0099】
(合成例9:アルカリ可溶性樹脂A-9)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をPQMAの代わりに4-ヒドロキシスチレンを用い、4-ヒドロキシスチレンの量を6.97g、GMAの量を33.03gとすることで、4-ヒドロキシスチレン/GMA=20/80のアルカリ可溶性樹脂A-9の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は9000であった。
【0100】
(合成例10:アルカリ可溶性樹脂A-10)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をGMAの代わりに4HBAGEを用い、PQMAの量を14.90g、4HBAGEの量を25.10gとすることで、PQMA/4HBAGE=40/60のアルカリ可溶性樹脂A-10の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8100であった。
【0101】
(合成例11:アルカリ可溶性樹脂A-11)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をGMAの代わりに(3―エチルオキセタン―3―イル)メチルメタクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、OXE-30)を用い、PQMAの量を17.08g、OXE-30の量を22.92gとすることで、PQMA/OXE-30=40/60のアルカリ可溶性樹脂A-11の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は9200であった。
【0102】
(合成例12:アルカリ可溶性樹脂A-12)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をPQMA40.00gのみとすることで、PQMA=100のアルカリ可溶性樹脂A-12の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は7500であった。
【0103】
(合成例13:アルカリ可溶性樹脂A-13)
合成例1と同様の方法で投入するモノマの種類をGMA40.00gのみとすることで、GMA=100のアルカリ可溶性樹脂A-13の固形分20重量%溶液を得た。得られた反応物の重量平均分子量は8800であった。
【0104】
(合成例14:3級アミノ基およびエチレン性不飽和基含有樹脂(F-1))
PGMEA400.0gを攪拌装置、温度計、還流冷却機、滴下用ポンプを備えた耐圧容器に仕込み反応容器内を窒素で満たした後90℃まで昇温を行い、メタクリル酸―2―ジメチルアミノエチル2.0g、メタクリル酸メチル31.0g、メタクリル酸―2―エチルヘキシル20.0g、スチレン30.0g、メタクリル酸を17.0g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.0g、ノルマルドデシルメルカプタン3.0gを混合したものを滴下用ポンプにて3時間かけて滴下して共重合を行った。その後、反応容器内を空気で置換してGMA10.0gを滴下用ポンプにて1時間かけて滴下して付加反応させ、さらに2時間容器内を攪拌した。その結果、塩基価11mmol/100g、酸価73mgKOH/g、重量平均分子量7000の特性値を有する固形分濃度20重量%の3級アミノ基およびエチレン性不飽和基含有樹脂(F-1)溶液が得られた。
【0105】
(合成例15:(A)成分にも(F)成分にも該当しない樹脂(DP-1))
文献(特許第3120476号公報;実施例1)記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(重量比30/40/30)を合成後、40重量部のGMAを付加させ、精製水で再沈、濾過、乾燥することにより、重量平均分子量(Mw)10,000、酸価110(mgKOH/g)のアクリル共重合体(DP-1)を得た。
【0106】
(製造例1 着色顔料分散液(DB-1)の製造)
着色顔料としてIrgaphor Black S0100CF(BASF社製)600g、3級アミノ基を有する樹脂(F-1)の20重量%PGMEA溶液を468.5g、高分子分散剤として、特開2020-070352号公報の合成例2に記載のアミン価20mgKOH/gの分散剤56.3g及び1875.2gのPGMEAをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。0.10mmφジルコニアビーズを70体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した(株)広島メタル&マシナリー製分散機ウルトラアペックスミルに、得られた予備分散液を供給し、回転速度10m/sで3時間分散を行い、固形分濃度25重量%、着色顔料/樹脂(重量)=80/20の着色顔料分散液(DB-1)を得た。
【0107】
(製造例2 着色顔料分散液(DB-2)の製造)
樹脂(DP-1)の20重量%PGMEA溶液を用いた以外はDB-1と同様の製造方法にて固形分濃度25重量%、着色顔料/樹脂(重量)=80/20の着色顔料分散液(DB-2)を得た。
【0108】
(実施例1)
180.9gの着色顔料分散液(DB-1)に、アルカリ可溶性樹脂(A-1)の20重量%PGMEA溶液を284.3g、光重合開始剤としてアデカアークルズ(登録商標)NCI-831を5.3g、ラジカル重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を42.4g、シリコーン系界面活性剤“BYK”(登録商標)333(ビックケミー社製)0.2g、PGMEA486.9gを添加して、全固形分濃度15重量%、着色顔料/樹脂(重量比)=25/75のネガ型感光性樹脂組成物(PB-1)を得た。さらに得られたネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜と、その硬化膜を具備する有機EL表示装置を前述の方法に従って作成した。
【0109】
(実施例2~11)
実施例1と同様の方法で、投入するアルカリ可溶性樹脂としてそれぞれA-2~A-10を用いることで、ネガ型感光性樹脂組成物(PB-2)~(PB-11)とその硬化膜およびその硬化膜を具備する有機EL表示装置を得た。
【0110】
(実施例12)
実施例1と同様の方法で、投入する着色顔料分散液としてDB-2、アルカリ可溶性樹脂としてA-4を用いることでネガ型感光性樹脂組成物(PB-12)とその硬化膜およびその硬化膜を有する有機EL表示装置を得た。
【0111】
(比較例1~3)
実施例12と同様の方法で、投入するアルカリ可溶性樹脂としてそれぞれA-12、A-13およびDP-1を用いることで、ネガ型感光性樹脂組成物(PB-13)~(PB-15)とその硬化膜およびこれらを絶縁層に用いた有機EL表示装置を得た。
各実施例および比較例の組成について表1に示し、その評価結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
実施例のネガ型感光性樹脂組成物は、高い遮光性と感度を両立しながら、微細パターン加工時のマスクバイアスが小さいことに加えて、ネガ型感光性樹脂組成物としての保存安定性に優れ、その硬化膜を用いた有機EL表示装置の長期信頼性が優れる結果となった。
一方で、比較例のネガ型感光性樹脂組成物は、一般式(1)のホモポリマーを含む比較例1は、マスクバイアスは良好なものの、その硬化膜を用いた有機EL表示装置の長期信頼性が劣り、一般式(3)のホモポリマーを含む比較例2はネガ型感光性樹脂組成物としての保存安定性に劣り、マスクバイアスが大きく、狙いのパターン寸法で加工することができない結果となった。また、一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を含まない比較例3では保存安定性、マスクバイアス、有機EL表示装置の長期信頼性すべてにおいて実施例よりも劣る結果となった。
【符号の説明】
【0115】
1:無アルカリガラス基板
2:第一電極(透明電極)
3:補助電極
4:絶縁層
5:有機EL層
6:第二電極(非透明電極)
図1