(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】材料試験機、及び材料試験機の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/18 20060101AFI20241022BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01N3/18
G01N17/00
(21)【出願番号】P 2020149547
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊一
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-133448(JP,A)
【文献】特開2017-207473(JP,A)
【文献】特開2016-003986(JP,A)
【文献】特開平03-152441(JP,A)
【文献】特開2020-041807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0142759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0314107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00ー3/62
G01N 17/00ー17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、
前記試験片の温度を調整する恒温槽と、
前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記材料試験機本体の計測値が目標値に到達したときに、前記恒温槽の温度目標値を設定し、
前記温度目標値が設定された場合には、前記制御部は、温度検出値が前記温度目標値と一致するように前記恒温槽を制御
し、
前記材料試験は、引張試験、又は圧縮試験であり、
前記材料試験機本体の計測値は、試験力計測値、又は、伸び計測値である、
材料試験機。
【請求項2】
前記制御部は、前記材料試験機本体の動作と同期して、前記恒温槽を制御する、
請求項1に記載の材料試験機。
【請求項3】
前記材料試験機本体は、第1センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサの検出信号に基づいて、前記恒温槽を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の材料試験機。
【請求項4】
前記第1センサは、前記試験片に付与される引張力を検出するロードセルを含む、
請求項3に記載の材料試験機。
【請求項5】
前記制御部は、前記材料試験機本体と同期して、前記恒温槽の温度目標値を設定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の材料試験機。
【請求項6】
前記恒温槽は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサを備え、
前記制御部は、前記第2センサの検出信号に基づいて、前記材料試験機本体を制御する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の材料試験機。
【請求項7】
前記恒温槽は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサを備え、
前記制御部は、前記第1センサの検出信号と前記第2センサの検出信号とを対応付けて、ディスプレイに表示する、
請求項3又は請求項4に記載の材料試験機。
【請求項8】
試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、前記試験片の温度を調整する恒温槽と、を備える材料試験機の制御方法であって、
前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御し、
前記材料試験機本体の計測値が目標値に到達したときに、前記恒温槽の温度目標値を設定し、
前記温度目標値が設定された場合には、温度検出値が前記温度目標値と一致するように前記恒温槽を制御
し、
前記材料試験は、引張試験、又は圧縮試験であり、
前記材料試験機本体の計測値は、試験力計測値、又は、伸び計測値である、
材料試験機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験機、及び材料試験機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料試験機において、材料試験の対象である試験片を所定の温度に保持する恒温槽が知られている。
例えば、特許文献1に記載の材料試験機の恒温槽は、下記の構成を有する。すなわち、恒温槽には、主室と副室が設けられる。主室には、試験治具又は試験片を貫通させるための第1貫通孔が設けられると共に、前面に第1扉が配設され、内部に試験空間が形成される。そして、第1扉の上側の領域には、副室が配設される。副室には、試験片を貫通させるための第2貫通孔が設けられると共に、前面に第2扉が配設され、内部に試験空間が形成される。副室の第2扉とは逆側の背面は主室の試験空間に向けて開放されており、副室の試験空間と主室の試験空間とは連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の材料試験機では、材料試験機本体によって実行される材料試験の制御と、恒温槽の制御とは、両者の応答性が大きく相違するため、別々に実行されていた。また、両者を同期させる必要性も見出されていなかった。そこで、両者を同期させることは困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、材料試験機本体によって実行される材料試験の制御と、恒温槽の制御とを同期させることの可能な材料試験機、及び材料試験機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る材料試験機は、試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、前記試験片の温度を調整する恒温槽と、前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様に係る材料試験機の制御方法は、試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、前記試験片の温度を調整する恒温槽と、を備える材料試験機の制御方法であって、前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係る材料試験機、及び本発明の第2態様に係る材料試験機の制御方法の各々は、材料試験機本体と恒温槽とを同期して制御する。したがって、材料試験機本体によって実行される材料試験の制御と、恒温槽の制御とを同期させて実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る引張試験機の構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る制御回路ユニットの構成の一例を示す図である。
【
図3】表示装置に表示される制御条件設定画面の一例を示す画面図である。
【
図4】表示装置に表示される試験結果表示画面の一例を示す画面図である。
【
図5】本実施形態に係る制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0011】
[1.引張試験機の構成]
図1は、本実施形態に係る引張試験機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態の引張試験機1は、試験片TPに試験力Fを与えて、試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する引張試験を行う。試験力Fは、引張力である。
引張試験機1は、試験対象の材料である試験片TPに試験力Fを与えて引張試験を行う引張試験機本体2と、恒温槽6と、引張試験機本体2及び恒温槽6を制御する制御ユニット4と、を備える。
なお、引張試験機1は、「材料試験機」の一例に対応する。また、引張試験機本体2は、「材料試験機本体」の一例に対応する。
【0012】
引張試験機本体2は、テーブル26と、このテーブル26上に鉛直方向を向く状態で回転可能に立設された一対のねじ棹28、29と、これらのねじ棹28、29に沿って移動可能なクロスヘッド10と、このクロスヘッド10を移動させて試験片TPに負荷を与える負荷機構12と、ロードセル14と、を備える。ロードセル14は、試験片TPに与えられる引張荷重である試験力Fを測定し、試験力測定信号SG1を出力するセンサである。
ロードセル14は、「第1センサ」の一例に対応する。
【0013】
負荷機構12は、各ねじ棹28、29の下端部に連結されるウォーム減速機16、17と、各ウォーム減速機16、17に連結されるサーボモータ18と、ロータリエンコーダ20と、を備える。ロータリエンコーダ20は、サーボモータ18の回転量を測定し、回転量に応じたパルス数の回転測定信号SG2を制御ユニット4に出力するセンサである。
そして負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹28、29にサーボモータ18の回転を伝達し、各ねじ棹28、29が同期して回転することによって、ねじ棹28、29に沿ってクロスヘッド10が昇降する。
【0014】
クロスヘッド10には、試験片TPの上端部を把持する上つかみ具21が付設され、テーブル26には、試験片TPの下端部を把持する下つかみ具22が付設される。引張試験機本体2は、引張試験の際に、試験片TPの両端部を上つかみ具21及び下つかみ具22によって把持した状態で、制御ユニット4の制御に従って、クロスヘッド10を上昇させることによって、試験片TPに試験力Fを与える。
【0015】
試験片TPには、変位センサ15が配置される。試験片TPは、例えば、中央がくびれて形成されたダンベル型試験片が用いられる。変位センサ15は、試験片TPの1対の標点の間の距離を測定することによって、伸び計測値EDを測定し、伸び測定信号SG3を出力するセンサである。1対の標点は、試験片TPがくびれた領域の上部と下部とに配置される。
変位センサ15は、「第1センサ」の一例に対応する。
【0016】
恒温槽6は、恒温槽本体60と、ヒータ61と、温度センサ62とを備える。
恒温槽6は、試験片TPの温度を調整する。恒温槽本体60は、内部空間を有する箱状に構成され、試験片TP、ヒータ61、及び温度センサ62を収納する。
ヒータ61は、恒温槽本体60の内部空間の温度を上昇することによって、試験片TPの温度を上昇する。ヒータ61は、例えば、電熱ヒータ等で構成される。
温度センサ62は、恒温槽本体60の内部空間の温度を検出し、温度検出信号SG4を出力する。温度センサ62は、例えば、熱電対、サーミスタ等で構成される。試験片TPは、恒温槽本体60の内部空間に配置されるため、温度センサ62は、間接的に試験片TPを検出する。
温度センサ62は、「第2センサ」の一例に対応する。
【0017】
本実施形態では、恒温槽6が試験片TPの温度を調整する場合について説明するが、恒温槽6が、試験片TPの温度と、試験片TPの周囲の空気の湿度とを調整してもよい。この場合には、恒温槽6は、いわゆる、恒温恒湿槽である。また、この場合には、恒温槽6は、加湿器及び除湿器と、湿度センサとを備える。
【0018】
また、本実施形態では、恒温槽6がヒータ61を備えるが、恒温槽6が恒温槽本体60の内部空間の温度を調整可能に構成されていればよい。恒温槽6がヒータ61及び冷却器の少なくとも一方を備えればよい。また、恒温槽本体60の内部空間の温度を均一にするために、恒温槽6が、恒温槽本体60の内部空間の空気を循環させるファン等を備えてもよい。
【0019】
制御ユニット4は、統括制御装置30と、表示装置32と、試験プログラム実行装置34と、を備える。
統括制御装置30は、引張試験機本体2及び恒温槽6を中枢的に制御する装置であり、引張試験機本体2及び恒温槽6との間で信号を送受信可能に接続される。
引張試験機本体2から受信する信号は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3、及び制御や試験に要する適宜の信号等である。
恒温槽6から受信する信号は、温度センサ62が出力する温度検出信号SG4及び制御や試験に要する適宜の信号等である。
【0020】
表示装置32は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、統括制御装置30から入力される信号に基づいて各種情報を表示する装置である。
例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、伸び測定信号SG3に基づいて試験片TPの伸びの測定値である伸び計測値EDを表示装置32に表示する。また、例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、回転測定信号SG2に基づくクロスヘッド10の変位を示す変位計測値XDを表示装置32に表示する。更に、例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、温度検出信号SG4に基づいて、試験片TPの温度の検出値である温度検出値TDを表示装置32に表示する。
また、表示装置32は、制御条件を設定する制御条件設定画面700、及び、試験結果を表示する試験結果表示画面800を表示する。
制御条件設定画面700については、後述にて
図3を参照して説明し、試験結果表示画面800については、後述にて
図4を参照して説明する。
表示装置32は、「ディスプレイ」の一例に対応する。
【0021】
引張試験プログラム実行装置34は、引張試験の試験条件TC1といった各種設定パラメータの設定操作や実行指示操作などのユーザ操作を受け付け、統括制御装置30に出力する機能や、試験力計測値FDのデータを解析する機能などを備えた装置である。
【0022】
次いで、本実施形態の統括制御装置30について、更に説明する。統括制御装置30は、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
信号入出力ユニット40は、引張試験機本体2との間で信号を送受信する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、第1センサアンプ42と、第2センサアンプ45と、第3センサアンプ46と、カウンタ回路43と、サーボアンプ44と、を有する。
【0023】
第1センサアンプ42は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1を増幅して制御回路ユニット50に試験力計測値FDを出力する増幅器である。
第2センサアンプ45は、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3を増幅して制御回路ユニット50に伸び計測値EDを出力する増幅器である。
第3センサアンプ46は、温度センサ62が出力する温度検出信号SG4を増幅して制御回路ユニット50に温度検出値TDを出力する増幅器である。
カウンタ回路43は、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2のパルス数を計数し、サーボモータ18の回転量、すなわちサーボモータ18の回転によって昇降するクロスヘッド10の変位計測値XDを示す変位測定信号A3を制御回路ユニット50にデジタル信号で出力する。
サーボアンプ44は、制御回路ユニット50の制御に従って、サーボモータ18を制御する装置である。
【0024】
制御回路ユニット50は、通信部51と、フィードバック制御部52と、制御部53と、入力部56と、を備える。
制御部53は、プロセッサ54と、メモリ55と、を備える。
制御部53、プロセッサ54、及びメモリ55については、後述にて
図2を参照して説明する。
【0025】
制御回路ユニット50は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、引張試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備える。
また、制御回路ユニット50の制御部53のプロセッサ54がメモリ55又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することで、
図1に示す通信部51を実現する。
また、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1、伸び測定信号SG3及び温度検出信号SG4の各々がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1つ又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
【0026】
通信部51は、引張試験プログラム実行装置34との間で通信し、試験条件の設定や各種設定パラメータの設定値、引張試験の実行指示や中断指示などを試験プログラム実行装置34から受信する。また、通信部51は、伸び測定信号SG3に基づく伸び計測値ED、及び試験力測定信号SG1に基づく試験力計測値FDを適宜のタイミングで引張試験プログラム実行装置34に送信する。また、通信部51は、回転測定信号SG2に基づく変位計測値XDを適宜のタイミングで引張試験プログラム実行装置34に送信する。また、通信部51は、温度検出信号SG4に基づく温度検出値TDを適宜のタイミングで引張試験プログラム実行装置34に送信する。
【0027】
フィードバック制御部52は、引張試験機本体2のサーボモータ18をフィードバック制御して引張試験を実行する。フィードバック制御部52は、サーボモータ18のフィードバック制御を実行する回路である。
フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合には、フィードバック制御部52は、例えば、ロードセル14が出力する試験力計測値FDについて位置制御を実行する。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力計測値FDを試験力目標値FTに一致させるように変位計測値XDの指令値dXを演算し、当該指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力する。なお、試験力目標値FTは、試験力計測値FDの目標値を示す。
なお、「位置制御」とは、センサ等によって測定された検出値を、その目標値に一致させるように制御することを示す。
【0028】
なお、フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合について説明したが、フィードバック制御部52が速度制御を実行してもよい。「速度制御」とは、センサ等によって測定された検出値の単位時間当たりの変化量を、その目標値に一致させるように制御することを示す。
【0029】
入力部56は、ユーザからの操作入力を受け付けて、入力信号を生成し、入力信号を制御部53に出力する。入力部56は、例えば、キーボード、マウス等を備える。
【0030】
[2.制御回路ユニットの構成]
図2は、本実施形態に係る制御回路ユニット50の構成の一例を示す図である。
制御部53は、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、制御回路ユニット50の動作を制御する。制御部53は、プロセッサ54と、メモリ55と、を備える。
プロセッサ54は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。
メモリ55は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0031】
なお、制御部53は、パーソナルコンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1つ又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。また、制御部53は、例えば、タブレット端末、又はスマートフォン等で構成されてもよい。
また、制御部53は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等、プログラムされたハードウェアを備えてもよい。また、制御部53は、SoC(System-on-a-Chip)-FPGAを備えてもよい。
【0032】
[3.制御部の構成]
制御部53は、引張試験機本体2と恒温槽6とを同期して制御する。
図2に示すように、制御部53は、制御条件受付部541と、切替判定部542と、温度制御部543と、本体制御部544と、表示制御部545と、制御条件記憶部551と、を備える。
具体的には、制御部53のプロセッサ54が、メモリ55又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することによって、制御条件受付部541、切替判定部542、温度制御部543、本体制御部544、及び表示制御部545、として機能する。また、制御部53のプロセッサ54が、メモリ55又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することによって、メモリ55を、制御条件記憶部551として機能させる。
【0033】
制御条件記憶部551は、引張試験機本体2によって実行される引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2とを対応付けて記憶する。なお、引張試験の試験条件TC1と温度制御の条件TC2とは、制御条件受付部541によって受け付けられ、制御条件受付部541によって制御条件記憶部551に記憶される。
具体的には、制御条件記憶部551は、切替点PTによって分割される複数の領域ARの各々に対応付けて、引張試験の試験条件TC1と、温度制御の条件TC2とを記憶する。切替点PTは、引張試験の試験条件TC1、及び温度制御の条件TC2の少なくとも一方を変更するタイミングを示す。
領域AR及び切替点PTについては、
図3を参照して詳細に説明する。
【0034】
制御条件受付部541は、入力部56を介するユーザからの操作入力に基づいて、引張試験機本体2によって実行される引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2とを受け付ける。
具体的には、制御条件受付部541は、表示装置32に表示された制御条件設定画面700に対するユーザの操作入力に基づいて、引張試験の試験条件TC1と温度制御の条件TC2とを対応付けて受け付ける。また、制御条件受付部541は、切替点PTを受け付け、切替点PTによって分割される複数の領域ARの各々に対応付けて、引張試験の試験条件TC1と、温度制御の条件TC2とを受け付ける。
また、制御条件受付部541は、受け付けた切替点PTを制御条件記憶部551に記憶させ、複数の領域ARの各々に対応付けて、引張試験の試験条件TC1と温度制御の条件TC2とを、制御条件記憶部551に記憶させる。
制御条件設定画面700については、
図3を参照して詳細に説明する。
【0035】
切替判定部542は、制御条件記憶部551が記憶する切替点PTに到達したか否かを判定する。
【0036】
温度制御部543は、引張試験機本体2の動作と同期して、恒温槽6を制御する。温度制御部543は、例えばロードセル14が出力する試験力測定信号SG1に基づいて、恒温槽6を制御する。
温度制御部543は、例えば、引張試験機本体2の動作と同期して、恒温槽6の温度目標値TAを設定する。温度制御部543は、例えば、試験力計測値FDが試験力目標値FTに到達したときに、恒温槽6の温度目標値TAを設定する。温度目標値TAが設定された場合には、温度制御部543は、温度検出値TDが温度目標値TAと一致するようにヒータ61を制御する。
温度目標値TAは、温度制御の条件TC2の一例に対応する。
【0037】
本体制御部544は、恒温槽6と同期して引張試験機本体2の動作を制御する。本体制御部544は、例えば、温度センサ62が出力する温度検出信号SG4に基づいて、変位計測値XDの指令値dXを演算し、指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力することによってサーボモータ18を制御する。
本体制御部544は、例えば、温度検出値TDが温度目標値TAに到達するまでは、クロスヘッド10の変位計測値XDを保持するように、すなわち、変位一定制御を実行するように、サーボモータ18を制御する。
変位計測値XDは、引張試験の試験条件TC1の一例に対応する。
【0038】
表示制御部545は、ロードセル14が検出する試験力計測値FDと、温度センサ62が検出する温度検出値TDとを対応付けて表示装置32に表示する。
表示制御部545は、例えば、試験結果表示画面800を表示装置32に表示する。
試験結果表示画面800については、後述にて
図4を参照して説明する。
【0039】
[4.制御条件設定画面]
図3は、表示装置32に表示される制御条件設定画面700の一例を示す画面図である。
制御条件設定画面700は、表示制御部545によって表示装置32に表示される。また、制御条件受付部541は、制御条件設定画面700を介して、引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2とを受け付ける。
なお、
図3では、試験片TPの材質が、例えば鉄、アルミニウム等の金属である場合について説明する。
【0040】
制御条件設定画面700には、4つの領域AR、すなわち、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3、及び第4領域AR4が表示されている。また、第1領域AR1~第3領域AR3の各々に、対応付けて、引張試験の試験条件TC1と、切替点PTとが表示されている。
第4領域AR4の引張試験の試験条件TC1には、「OFF」と表示され、試験が終了することを示している。
第1領域AR1~第3領域AR3の各々を区別しない場合には、以下の説明において、領域ARと記載する場合がある。
切替点PTは、次の領域に進める条件を示す。例えば、第1領域AR1に記載された切替点PTは、第2領域AR2に進める条件を示す。また、例えば、第2領域AR2に記載された切替点PTは、第3領域AR3に進める条件を示す。また、例えば、第3領域AR3に記載された切替点PTは、試験を終了する条件を示す。
【0041】
第1領域AR1の試験条件TC1は、クロスヘッド10を1mm/minの速度で上昇することを示す。すなわち、本体制御部544は、クロスヘッド10が1mm/minの速度で上昇するように、変位計測値XDの指令値dXを演算し、指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力することによってサーボモータ18を制御する。
【0042】
第1領域AR1に記載された切替点PTは、試験力計測値FDが試験力目標値FT(ここでは、50N)に到達することを示す。すなわち、試験力計測値FDが50Nに到達するまで、クロスヘッド10が1mm/minの速度で上昇し、試験力計測値FDが50Nに到達すると、第1領域AR1の試験条件TC1から第2領域AR2の試験条件TC1に遷移する。
なお、第1領域AR1には、温度制御の条件TC2が表示されていないため、温度制御部543は、温度制御を実行しない。すなわち、ヒータ61がオフにされる。
【0043】
第2領域AR2の試験条件TC1は、クロスヘッド10が移動しないように保持することを示す。すなわち、本体制御部544は、クロスヘッド10が移動しないように、変位計測値XDの指令値dXを演算し、指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力することによってサーボモータ18を制御する。
【0044】
第2領域AR2に記載された切替点PTは、恒温槽6の温度検出値TDが温度目標値TA(ここでは、100℃)に到達することを示す。すなわち、温度制御部543は、温度検出値TDが100℃に到達するようにヒータ61を制御する。また、温度検出値TDが100℃に到達すると、第2領域AR2の試験条件TC1から第3領域AR3の試験条件TC1に遷移する。
第2領域AR2に記載された切替点PTは、温度制御の条件TC2の一例に対応する。
【0045】
第3領域AR3の試験条件TC1は、クロスヘッド10を1mm/minの速度で上昇することを示す。すなわち、本体制御部544は、クロスヘッド10が1mm/minの速度で上昇するように、変位計測値XDの指令値dXを演算し、指令値dXを示す指令信号A4をサーボアンプ44に出力することによってサーボモータ18を制御する。
【0046】
第3領域AR3に記載された切替点PTは、試験力計測値FDが試験力目標値FT(ここでは、500N)に到達することを示す。すなわち、試験力計測値FDが50Nに到達するまで、クロスヘッド10が1mm/minの速度で上昇し、試験力計測値FDが500Nに到達すると、試験が終了する。
【0047】
このようにして、引張試験機本体2によって実行される材料試験の制御と、恒温槽6の制御とを同期させることができる。
また、材料試験機1によって実行される材料試験の制御と、恒温槽6の制御とを同期して行うことによって、試験片TPを構成する材料の新たな機械的な特性の評価が可能になり、その評価結果に基づいて、新たな材料の開発が可能になる。例えば、試験片TPに試験力Fを作用させて試験片TPが変形しているときに、試験片TPの温度を変えることによって、試験片TPを構成する材料の物性が変化する場合がある。
【0048】
本実施形態では、制御条件設定画面700に、各領域ARに対応付けて、引張試験の試験条件TC1と、切替点PTとが表示されているが、制御条件設定画面700に、各領域ARに対応付けて、引張試験の試験条件TC1と、温度制御の条件TC2と、切替点PTとが表示されることが好ましい。この場合には、各領域ARにおいて、引張試験の試験条件TC1と温度制御の条件TC2とを同期させることができる。
換言すれば、制御条件設定画面700では、第1領域AR1及び第3領域AR3には、温度制御の条件TC2が表示さていないが、第1領域AR1及び第3領域AR3の各々における温度制御の条件TC2を表示することによって、温度制御の条件TC2をより明確に規定できる。
【0049】
[5.試験結果表示画面]
図4は、表示装置32に表示される試験結果表示画面800の一例を示す画面図である。試験結果表示画面800は、表示制御部545によって表示装置32に表示される。
なお、試験結果表示画面800と、
図4に示す制御条件設定画面700とは対応していない。換言すれば、試験結果表示画面800に示す試験結果は、制御条件設定画面700が示す試験条件によって実行された試験の結果ではない。
また、
図4では、試験片TPの材質が、例えば、ポリエチレン等の樹脂である場合について説明する。
【0050】
試験結果表示画面800には、グラフG1と、グラフG2とが対応付けて表示される。
グラフG1は、変位計測値XDに対応するクロスヘッド10の変位と、試験力計測値FDに対応する試験力との関係を示す。グラフG2は、変位計測値XDに対応するクロスヘッド10の変位と、温度検出値TDに対応する槽温度との関係を示す。
横軸は、変位計測値XDに対応するクロスヘッド10の変位を示し、左側の縦軸は、試験力計測値FDに対応する試験力を示し、右側の縦軸は、温度検出値TDに対応する槽温度を示す。
また、試験結果表示画面800には、変位計測値XDに対応するクロスヘッド10の変位の範囲として、第1領域PAと、第2領域PBと、第3領域PCとが設定されている。第1領域PA~第3領域PCの各々を区別しない場合には、以下の説明において、領域ARと記載する場合がある。
【0051】
第1領域PAでは、本体制御部544は、クロスヘッド10が一定速度で上昇するように、サーボモータ18を制御する。また、第1領域PAでは、温度制御部543は、恒温槽6の温度目標値TAを34℃に設定し、温度検出値TDが温度目標値TAと一致するように、ヒータ61を制御する。
【0052】
第2領域PBでは、本体制御部544は、ロードセル14が出力する試験力計測値FDが一定値(ここでは、45N)になるように、サーボモータ18を制御する。また、第2領域PBでは、温度制御部543は、恒温槽6の温度検出値TDが一定値(ここでは、33℃)になるように、ヒータ61を制御する。
【0053】
第3領域PCでは、本体制御部544は、ロードセル14が出力する試験力計測値FDが試験力目標値FT(ここでは、20N)に到達するように、サーボモータ18を制御する。また、第3領域PCでは、温度制御部543は、恒温槽6の温度目標値TAを38℃に設定し、温度検出値TDが温度目標値TAと一致するように、ヒータ61を制御する。
【0054】
このようにして、引張試験機本体2によって実行される材料試験の制御と、恒温槽6の制御とを同期させることができる。
また、試験力計測値FDに対応する試験力の変化を示すグラフG1と、恒温槽6の温度検出値TDに対応する槽温度の変化を示すグラフG2とを、対応付けて表示することによって、試験片TPを構成する材料の新たな機械的な特性の評価が可能になり、その評価結果に基づいて、新たな材料の開発が可能になる。
【0055】
[6.制御部の動作]
次に、
図5を参照して、制御部53の処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る制御部53の処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5では、制御条件記憶部551が、第1領域AR1を含む複数の領域ARの各々について、引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2と、切替点PTとを、予め対応付けて記憶している場合について説明する。
まず、ステップS101において、制御部53は、第1領域AR1における引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2と、切替点PTの条件とを制御条件記憶部551から読み出すことによって取得する。
次に、ステップS103において、本体制御部544は、第1領域AR1における引張試験の試験条件TC1に基づいて、引張試験機本体2を制御する。
次に、ステップS105において、温度制御部543は、第1領域AR1における温度制御の条件TC2に基づいて、恒温槽6を制御する。
【0056】
次に、ステップS107において、制御部53は、第1領域AR1における切替点PTに到達したか否かを判定する。
第1領域AR1における切替点PTに到達していないと制御部53が判定した場合(ステップS107;NO)には、処理がステップS103に戻る。第1領域AR1における切替点PTに到達したと制御部53が判定した場合(ステップS107;YES)には、処理がステップS109に進む。
そして、ステップS109において、次の領域ARにおける引張試験の試験条件TC1と、恒温槽6によって実行される温度制御の条件TC2と、切替点PTの条件とを制御条件記憶部551から読み出すことによって取得する。
次に、ステップS111において、本体制御部544は、ステップS109で取得された引張試験の試験条件TC1に基づいて、引張試験機本体2を制御する。
次に、ステップS113において、温度制御部543は、ステップS109で取得された温度制御の条件TC2に基づいて、恒温槽6を制御する。
【0057】
次に、ステップS115において、制御部53は、ステップS109で取得された切替点PTに到達したか否かを判定する。
ステップS109で取得された切替点PTに到達していないと制御部53が判定した場合(ステップS115;NO)には、処理がステップS111に戻る。ステップS109で取得された切替点PTに到達したと制御部53が判定した場合(ステップS115;YES)には、処理がステップS117に進む。
そして、ステップS117において、制御部53は、制御条件記憶部551に記憶された情報に基づき、試験を終了するかを判定する。
試験を終了しないと制御部53が判定した場合(ステップS117;NO)には、処理がステップS109に戻る。試験を終了すると制御部53が判定した場合(ステップS117;YES)には、試験が終了される。
【0058】
このようにして、各領域ARにおいて、引張試験機本体2によって実行される材料試験の制御と、恒温槽6の制御とを同期させることができる。
【0059】
[7.態様と効果]
上述した実施形態及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(第1項)
第1態様に関わる材料試験機は、試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、前記試験片の温度を調整する恒温槽と、前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する制御部と、を備える。
【0061】
第1項に記載の材料試験機によれば、制御部は、前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する。
したがって、材料試験機本体によって実行される材料試験の制御と、恒温槽の制御とを同期できる。
【0062】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記制御部は、前記材料試験機本体の動作と同期して、前記恒温槽を制御する。
【0063】
第2項に記載の材料試験機によれば、前記制御部は、前記材料試験機本体の動作と同期して、前記恒温槽を制御する。
したがって、材料試験機本体の動作と同期して、恒温槽を制御できる。
【0064】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の材料試験機において、前記材料試験機本体は、第1センサを備え、前記制御部は、前記第1センサの検出信号に基づいて、前記恒温槽を制御する。
【0065】
第3項に記載の材料試験機によれば、前記制御部は、前記材料試験機本体が備える前記第1センサの検出信号に基づいて、前記恒温槽を制御する。
よって、材料試験機本体が備える第1センサの検出信号に基づいて、恒温槽を制御できる。したがって、材料試験機本体が備える第1センサの検出信号と同期して、恒温槽を制御できる。
【0066】
(第4項)
第3項に記載の材料試験機において、前記材料試験は、引張試験であり、前記第1センサは、前記試験片に付与される引張力を検出するロードセルを含む。
【0067】
第4項に記載の材料試験機によれば、前記材料試験は、引張試験であり、前記第1センサは、前記試験片に付与される引張力を検出するロードセルを含む。
したがって、引張試験において、ロードセルの検出する引張力と同期して、恒温槽を制御できる。
【0068】
(第5項)
第1項から第4項のいずれか1項に記載の材料試験機において、前記制御部は、前記材料試験機本体と同期して、前記恒温槽の温度目標値を設定する。
【0069】
第5項に記載の材料試験機によれば、前記制御部は、前記材料試験機本体と同期して、前記恒温槽の温度目標値を設定する。
したがって、前記材料試験機本体と同期して、前記恒温槽の温度目標値を設定できる。
【0070】
(第6項)
第1項から第5項のいずれか1項に記載の材料試験機において、前記恒温槽は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサを備え、前記制御部は、前記第2センサの検出信号に基づいて、前記材料試験機本体を制御する。
【0071】
第6項に記載の材料試験機によれば、前記制御部は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサの検出信号に基づいて、前記材料試験機本体を制御する。
したがって、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサの検出信号と同期して、前記材料試験機本体を制御できる。
【0072】
(第7項)
第3項又は第4項に記載の材料試験機において、前記恒温槽は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサを備え、前記制御部は、前記第1センサの検出信号と前記第2センサの検出信号とを対応付けて、ディスプレイに表示する。
【0073】
第7項に記載の材料試験機によれば、前記恒温槽は、前記恒温槽内の温度を検出する第2センサを備え、前記制御部は、前記第1センサの検出信号と前記第2センサの検出信号とを対応付けて、ディスプレイに表示する。
したがって、材料試験機本体によって実行される材料試験の制御と、恒温槽の制御とが同期していることを、ユーザが視認できる。また、試験片を構成する材料の新たな機械的な特性の評価が可能になり、その評価結果に基づいて、新たな材料の開発が可能になる。
【0074】
(第8項)
第2態様に関わる材料試験機の制御方法は、試験片に対して材料試験を実行する材料試験機本体と、前記試験片の温度を調整する恒温槽と、を備える材料試験機の制御方法であって、前記材料試験機本体と前記恒温槽とを同期して制御する。
【0075】
第8項に記載の材料試験機の制御方法によれば、第1項に記載の材料試験機と同様の作用効果を奏する。
【0076】
[8.その他の実施形態]
なお、本実施形態に係る引張試験機1は、あくまでも本発明に係る材料試験機の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、材料試験機が引張試験機1である場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。材料試験機が試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行えばよい。例えば、材料試験機が、圧縮試験機、曲げ試験機、又はねじり試験機でもよい。また、例えば、材料試験機が、疲労試験機でもよい。
【0077】
また、本実施形態では、恒温槽6が試験片TPの温度を調整する場合について説明するが、恒温槽6が、試験片TPの温度と、試験片TPの周囲の空気の湿度とを調整してもよい。この場合には、恒温槽6は、いわゆる、恒温恒湿槽である。また、この場合には、恒温槽6は、加湿器及び除湿器と、湿度センサとを備える。
【0078】
また、本実施形態では、「第1センサ」がロードセル14である場合について説明したが、「第1センサ」が、例えば、変位センサ15でもよい。
【0079】
また、本実施形態では、表示制御部545は、試験結果表示画面800を表示装置32に表示するが、表示制御部545は、ロードセル14が検出する試験力計測値FD、及び、変位センサ15が検出する伸び計測値EDの少なくとも一方と、温度センサ62が検出する温度検出値TDとを対応付けて表示装置32に表示すればよい。
【0080】
また、
図1及び
図2に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0081】
また、
図5に示すフローチャートの処理単位は、制御部53の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。
図5のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0082】
また、引張試験機1の制御方法は、制御部53が備えるプロセッサ54に、引張試験機1の制御方法に対応した制御プログラムを実行させることで実現できる。また、この制御プログラムは、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、記録媒体は、制御部53が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、引張試験機1の制御方法に対応した制御プログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から制御部53に、制御プログラムをダウンロードすることで引張試験機1の制御方法を実現することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 引張試験機(材料試験機)
2 引張試験機本体(材料試験機本体)
4 制御ユニット
6 恒温槽
10 クロスヘッド
12 負荷機構
14 ロードセル(第1センサ)
15 変位センサ(第1センサ)
20 ロータリエンコーダ
21 上つかみ具
22 下つかみ具
26 テーブル
28、29 ねじ棹
30 統括制御装置
32 表示装置(ディスプレイ)
34 試験プログラム実行装置
40 信号入出力ユニット
42 第1センサアンプ
43 カウンタ回路
44 サーボアンプ
45 第2センサアンプ
46 第3センサアンプ
50 制御回路ユニット
51 通信部
52 フィードバック制御部
53 制御部
54 プロセッサ
541 制御条件受付部
542 切替判定部
543 温度制御部
544 本体制御部
545 表示制御部
55 メモリ
551 制御条件記憶部
60 恒温槽本体
61 ヒータ
62 温度センサ(第2センサ)
ED 伸び計測値
FD 試験力計測値
PT 切替点
RA 領域
RA1、PA 第1領域
RA2、PB 第2領域
RA3、PC 第3領域
SG1 試験力測定信号
SG2 回転測定信号
SG3 伸び測定信号
TA 温度目標値
TC1 引張試験の試験条件
TC2 温度制御の条件
TD 温度検出値
TP 試験片
XD 変位計測値