(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2020162191
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 宏典
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025662(JP,A)
【文献】特開平05-188831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00-13/34
G03G 15/00-15/36
G03G 21/00-21/20
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向面部および前記対向面部上の用紙を含む被検出物に向けて投光し、前記被検出物で反射した反射光を受光し、前記反射光の光量に応じた電気信号を出力する反射型の光電センサーと、
前記光電センサーの出力に応じて前記対向面部上における前記用紙の有無を判定する制御部であって、前記光電センサーの出力の閾値として、前記対向面部上に前記用紙が存在しないと判定する第1の閾値と、前記対向面部上に前記用紙が存在すると判定する第2の閾値と、を記憶し、前記光電センサーの出力が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間となる場合に前記対向面部に前記反射光の光量を
増加させる汚染が生じていると判定する制御部と、
ハウジングに開閉可能に取り付けられ、前記対向面部または前記光電センサーが設けられたカバーと、を備え
、
前記制御部は、前記光電センサーの出力が前記第1の閾値を挟んで前記第2の閾値とは反対側で、且つ前記第1の閾値から所定範囲外となった場合に前記カバーが完全に閉じられていない半開き状態であると判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
情報を表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記対向面部に汚染が生じていると判定した場合に前記対向面部のメンテナンスが必要であることを示す情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対向面部を清掃する清掃部を更に備え、
前記制御部は、前記対向面部に汚染が生じていると判定した場合に前記対向面部の清掃を前記清掃部に実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
情報を表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記カバーが前記半開き状態であると判定した場合に前記カバーが完全に閉じられていないことを示す情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿が原稿紙通路を通過する間にターゲットガラスの下方に配置された読取り装置で原稿を読み取る装置が知られている(特許文献1)。この装置では、原稿の代わりにクリーニングシートが原稿紙通路を通過することで、ターゲットガラス(原稿紙通路)がクリーニングされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した技術では、ターゲットガラス(原稿紙通路)に対するクリーニングの時期を知ることはできなかった。したがって、上記した技術では、原稿の読取不良や原稿の搬送不良が発生した後でなければクリーニング作業を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、清掃等のメンテナンスを行う時期を検出することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、対向面部および前記対向面部上の用紙を含む被検出物に向けて投光し、前記被検出物で反射した反射光を受光し、前記反射光の光量に応じた電気信号を出力する反射型の光電センサーと、前記光電センサーの出力に応じて前記対向面部上における前記用紙の有無を判定する制御部であって、前記光電センサーの出力の閾値として、前記対向面部上に前記用紙が存在しないと判定する第1の閾値と、前記対向面部上に前記用紙が存在すると判定する第2の閾値と、を記憶し、前記光電センサーの出力が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間となる場合に前記対向面部に前記反射光の光量を増加させる汚染が生じていると判定する制御部と、を備えた。
【0007】
この場合、情報を表示する表示部を更に備え、前記制御部は、前記対向面部に汚染が生じていると判定した場合に前記対向面部のメンテナンスが必要であることを示す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
この場合、前記対向面部を清掃する清掃部を更に備え、前記制御部は、前記対向面部に汚染が生じていると判定した場合に前記対向面部の清掃を前記清掃部に実行させてもよい。
【0009】
この場合、ハウジングに開閉可能に取り付けられ、前記対向面部または前記光電センサーが設けられたカバーを更に備え、前記制御部は、前記光電センサーの出力が前記第1の閾値を挟んで前記第2の閾値とは反対側で、且つ前記第1の閾値から所定範囲外となった場合に前記カバーが完全に閉じられていない半開き状態であると判定してもよい。
【0010】
この場合、情報を表示する表示部を更に備え、前記制御部は、前記カバーが前記半開き状態であると判定した場合に前記カバーが完全に閉じられていないことを示す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、清掃等のメンテナンスを行う時期を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御部等を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の右側の一部を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の第1の搬送経路の下流側を拡大して示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の第1の搬送経路の下流側(用紙の搬送中)を拡大して示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の光電センサーの出力を示すグラフである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のジャム検出方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態の第1変形例に係る画像形成装置の制御部等を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態の第1変形例に係る画像形成装置のジャム検出方法を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態の第2変形例に係る画像形成装置の制御部等を示すブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態の第2変形例に係る画像形成装置の右側の一部であってカバーの半開き状態を説明する断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態の第2変形例に係る画像形成装置の第1の搬送経路の下流側であってカバーの半開き状態を説明する断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態の第2変形例に係る画像形成装置の光電センサーの出力を示すグラフである。
【
図14】本発明の一実施形態の第3変形例に係る画像形成装置の光電センサーの出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面に示すL、R、U、Dは左、右、上、下を示し、これらの図面では紙面手の手前を「前」としている。また、本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置の概要]
図1ないし
図3を参照して、画像形成装置1について説明する。
図1は画像形成装置1の内部構造を示す概略図(正面図)である。
図2は画像形成装置1の制御部20等を示すブロック図である。
図3は画像形成装置1の右側の一部を示す断面図である。
【0015】
画像形成装置1は、インク滴を吐出して用紙Pに画像を形成するインクジェット式のカラープリンターである。
図1に示すように、画像形成装置1は、各種機器が収容された箱型形状のハウジング2を備えている。ハウジング2の下部には用紙Pがセットされる給紙カセット3Aが収容され、ハウジング2の右側面には用紙Pが手差しでセットされる手差しトレイ3Bが設置されている。ハウジング2の左側面の上側には、画像形成済みの用紙Pが積載される排紙トレイ4が設置されている。
【0016】
ハウジング2内の右側部には、給紙カセット3Aからハウジング2の略中央に位置する画像形成部12に向けて用紙Pを搬送するための第1の搬送経路6が形成されている。第1の搬送経路6の上流には給紙部10Aが設けられ、第1の搬送経路6の下流にはレジストローラー11が設けられている。また、第1の搬送経路6の下流は手差しトレイ3Bの給紙経路5に連なり、給紙経路5には給紙部10Bが設けられている。給紙部10Aは給紙カセット3Aのシート束から用紙Pを取り出す機能を有し、給紙部10Bは手差しトレイ3Bのシート束から用紙Pを取り出す機能を有している。
【0017】
画像形成部12には、インク滴を吐出する複数(例えば4つ)のラインヘッド13が搭載されている。各々のラインヘッド13には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクに対応した複数の吐出ヘッド13Aが搭載されている。各々の吐出ヘッド13Aは、複数の吐出ノズル(図示せず)が開口したノズル面(図示せず)を有し、吐出ノズルからインク(液体)を吐出する。なお、各々の吐出ヘッド13Aはチューブ(図示せず)を介して各色のインクを収容したインクパック(図示せず)に連通しており、インクパックから吐出ヘッド13Aにインクが供給される。
【0018】
搬送ベルト14は、画像形成部12の下方に設置された複数の張架ローラー14Aに掛け渡されている。搬送ベルト14には多数の貫通穴(図示せず)が形成されており、搬送ベルト14の内側には画像形成部12に対向する位置で搬送ベルト14の貫通穴に負圧を生じさせる吸引部14Bが設置されている。画像形成部12の左側(搬送方向の下流側)には、用紙Pを挟みながら搬送することで用紙Pのカールを矯正するデカール装置15が設置されている。
【0019】
ハウジング2内の左側部には、デカール装置15から排紙トレイ4に向けて用紙Pを搬送する第2の搬送経路7が形成されている。第2の搬送経路7の中間には分岐部材9が設けられており、第2の搬送経路7の下流には排紙部16が設けられている。分岐部材9は、用紙Pの排出先を排紙トレイ4と後述する第3の搬送経路8に切り替える。排紙部16は、画像形成済みの用紙Pを排紙トレイ4に排出する機能を有している。
【0020】
ハウジング2内の上部には、第2の搬送経路7の途中の分岐部材9からレジストローラー11に用紙Pを搬送するための第3の搬送経路8が形成されている。第3の搬送経路8の途中には、用紙Pを表裏反転させる反転部17が設けられている。
【0021】
なお、第1~第3の搬送経路6~8には、用紙Pを搬送するために複数の搬送ローラー対18が設けられている。搬送ローラー対18の一方はモーター等から駆動力を受けて回転駆動される駆動ローラーであり、搬送ローラー対18の他方は駆動ローラーの回転に伴って回転する従動ローラーである(図示せず)。搬送ローラー対18は、用紙Pを挟んで回転することで、第1~第3の搬送経路6~8の下流側に向かって用紙Pを搬送する。
【0022】
画像形成装置1には、ユーザー等に対して様々な情報を表示する表示部19が設けられている。表示部19は、例えば、ハウジング2の前側の右上部に取り付けられている。表示部19は、所謂タッチパネルであって、情報(文字列や絵図等)を表示するための表示装置であると共に、ユーザー等が画面に触れることで情報を入力したり選択したりする入力装置でもある。また、表示部19の周囲には、ボタン等の入力部が設けられている(図示せず)。なお、表示部19は、タッチパネルに限らず、液晶ディスプレイ等であってもよい。
【0023】
画像形成装置1(ハウジング2の内部)には、様々な制御対象機器を適宜制御するための制御部20が設けられている。
図2に示すように、制御部20は、演算処理部21と、記憶部22と、インターフェース部23と、を有している。演算処理部21、記憶部22およびインターフェース部23は、互いに電気的に接続されている。
【0024】
演算処理部21は、記憶部22に記憶されたプログラムやデータに従って各種の演算処理を実行するプロセッサーである。記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、半導体ドライブ等の補助記憶装置を含んでいる。記憶部22には、画像形成装置1で利用されるプログラムやデータが記憶(格納)される。インターフェース部23には、画像形成部12や表示部19等、多数の制御対象機器が電気的に接続されている。また、インターフェース部23には、例えば、パーソナルコンピューター等の外部端末がネットワーク等を介して接続されている(図示せず)。なお、制御部20は、プログラム等を実行するプロセッサー等に代えて、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0025】
[画像形成処理]
ここで、
図1を参照して、画像形成装置1による画像形成処理について説明する。制御部20は、様々な制御対象機器を適宜制御し、以下のように画像形成処理を実行する。
【0026】
給紙部10A、10Bは、給紙カセット3Aまたは手差しトレイ3Bから取り出した用紙Pを第1の搬送経路6または給紙経路5に送り出す。レジストローラー11は、印刷前(片面印刷用)の用紙Pを一時的に塞き止めてスキュー補正し、ラインヘッド13からのインク滴の吐出タイミングに合わせて、印刷前の用紙Pを搬送ベルト14上へ送り出す。用紙Pは、搬送ベルト14上に吸着され、走行する搬送ベルト14によって下流側へと搬送される。画像形成部12(ラインヘッド13)は、搬送ベルト14上の用紙Pにインク滴を吐出し、フルカラーの画像を形成する(印刷する)。画像形成部12の下方を通過した用紙Pは、搬送ベルト14への吸着が解除され、デカール装置15に送られる。デカール装置15は、用紙Pに生じたカールを矯正する。
【0027】
片面印刷を実行した場合、分岐部材9は、第2の搬送経路7を開き、第3の搬送経路8を閉じる。片面印刷された用紙Pは、第2の搬送経路7を通って排紙トレイ4に排出される。
【0028】
両面印刷を実行した場合、分岐部材9は、第2の搬送経路7を閉じ、第3の搬送経路8を開く。片面印刷された用紙Pは、第3の搬送経路8に進入し、反転部17で表裏反転され、再びレジストローラー11に向けて搬送される。その後、上記した片面印刷時と同様の順序で用紙Pの裏面に画像が形成され、両面印刷された用紙Pは、カール矯正され、排紙トレイ4に排出される。
【0029】
[ジャム処理するための構造]
ところで、搬送中の用紙Pが第1~第3の搬送経路6~8の途中で詰まる(ジャムを起こす)ことがある。ハウジング2には、第1~第3の搬送経路6~8で詰まった用紙Pを取り除くためのドア等が開閉可能に設けられている。
【0030】
図1に示すように、ドア等の一例として、ハウジング2の右側面には、第1の搬送経路6または第3の搬送経路8で詰まった用紙Pを取り除くためのカバー30が開閉可能に取り付けられている。カバー30は、下端部に水平方向に設けられた回動軸31を中心に回動する。カバー30およびハウジング2には閉じられたカバー30を固定するためのロック構造(図示せず)が設けられ、カバー30にはロックを解除するためのレバー(図示せず)が設けられている。ユーザーは、レバーを引いてロックを解除し、閉じられたカバー30を回動軸31周りに回動させて開き、第1の搬送経路6および第3の搬送経路8を開放し、ジャムを起こした用紙Pを取り除く(ジャム処理を行う)。
【0031】
図3に示すように、カバー30の内面には、第1の搬送経路6および第3の搬送経路8の一部を構成する対向搬送部材6B,8Bが設けられている。対向搬送部材6B,8Bは、カバー30を閉じた状態でハウジング2の内部に設けられた本体側搬送部材6A,8Aに隙間を挟んで対向する。本体側搬送部材6A,8Aと対向搬送部材6B,8Bとの間にできた隙間が第1および第3の搬送経路6,8となる。なお、例えば、本体側搬送部材6A,8Aには搬送ローラー対18の駆動ローラーが支持され、対向搬送部材6B,8Bには搬送ローラー対18の従動ローラーが支持されている。
【0032】
[ジャム検出部]
画像形成装置1には、第1~第3の搬送経路6~8や搬送ベルト14上で用紙Pが詰まったこと(ジャム)を検出するジャム検出部35が設けられている。以下、
図1ないし
図6を参照して、ジャム検出部35について説明する。
図4は第1の搬送経路6の下流側を拡大して示す断面図である。
図5は第1の搬送経路6の下流側(用紙Pの搬送中)を拡大して示す断面図である。
図6は光電センサー36の出力を示すグラフである。
【0033】
図2に示すように、ジャム検出部35は、複数の光電センサー36と制御部20とで構成されている。なお、複数の光電センサー36は略同一構造であるため、以下の説明では、主に、第1の搬送経路6の下流側に設けられた1つの光電センサー36について説明する。また、
図2では、1つの光電センサー36のみを図示している。
【0034】
<光電センサー>
図1に示すように、複数の光電センサー36は、第1~第3の搬送経路6~8の適所(例えば、搬送ローラー対18の近傍)に設けられている。また、複数の光電センサー36は、画像形成部12の搬送方向の上流側と下流側とにおいて搬送ベルト14に対向する位置に設けられている。光電センサー36は、アナログ-デジタル変換回路(図示せず)を介してインターフェース部23に電気的に接続されている(
図2参照)。光電センサー36は、被検出物に向けて投光し、被検出物で反射した反射光を受光し、反射光の光量に応じた電気信号(電圧)を出力する。具体的には、光電センサー36は、光を出射する投光部36Aと反射光を受光する受光部36Bとを有し(
図4参照)、反射光の光量(受光量)の増減に応じて変化する電圧を出力する反射型のアナログセンサーである。光電センサー36は、受光量(反射光の光量)の増加に伴って電圧を減少させる(
図6参照)。つまり、光電センサー36の出力(電圧)の増減は、受光量(反射光の光量)の増減に反比例する。
【0035】
本明細書において、「被検出物」とは、対向面部および対向面部上の用紙Pを含んでいる。また、本明細書において、「対向面部」とは、搬送ベルト14(
図1参照)および第1~第3の搬送経路6~8の適所に設けられた複数の経路対向面部37(
図3参照)を含んでいる。なお、本明細書では、説明の便宜のため、搬送ベルト14と経路対向面部37とをまとめて表現する場合には「経路対向面部37等」と呼ぶこととする。
【0036】
図3に示すように、複数の経路対向面部37は、それぞれ、光電センサー36に対向する位置に設けられている。各々の経路対向面部37は、第1~第3の搬送経路6~8を構成する部材に形成され、光電センサー36の投光部36Aや受光部36Bに略平行となる平面を有している。なお、カバー30の対向搬送部材6B,8Bには、一部の経路対向面部37が設けられ、対向搬送部材6B,8Bに対向する本体側搬送部材6A,8Aには、一部の光電センサー36が設けられている。
【0037】
搬送ベルト14や経路対向面部37は、光の反射を抑える加工が施されている。例えば、搬送ベルト14は、光の反射を抑えるように暗色で着色されている(図示せず)。また、例えば、経路対向面部37の平面には不織布等が貼付されている(図示せず)。なお、経路対向面部37の平面は、搬送ベルト14と同様に、暗色で着色されてもよい。
【0038】
なお、画像形成部12の上流側と下流側とに光電センサー36が設けられていたが、これに限らず、光電センサー36は画像形成部12の上流側と下流側のいずれか一方のみに設けられてもよい。また、光電センサー36は、搬送方向に隣り合うラインヘッド13どうしの間に設けられてもよい(図示せず)。また、光電センサー36は、第1~第3の搬送経路6~8に少なくとも1つ設けられていればよい。
【0039】
<制御部>
制御部20は、光電センサー36の出力に応じて経路対向面部37等の上における用紙Pの有無を判定する。制御部20の記憶部22には、光電センサー36の出力の閾値が記憶されている。具体的には、
図2に示すように、記憶部22は、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在しないと判定する第1の閾値T1と、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在すると判定する第2の閾値T2と、を記憶(格納)している。第1の閾値T1は、第2の閾値T2よりも高い値に設定されている(
図6参照)。なお、本明細書において、「経路対向面部37等の上(対向面部上)」に用紙Pが存在する(しない)等との表現は、現実に用紙Pが経路対向面部37等の上方に存在する(しない)ことを意味すると共に、用紙Pが下方や側方から経路対向面部37を覆うように対向する(しない)ことも含む意味である。
【0040】
制御部20は、光電センサー36から出力された電気信号(電圧)と記憶部22に格納された各種閾値T1,T2とを比較して用紙Pの有無を判定する判定部24を有している。判定部24は、制御部20の機能として提供されるものであり、記憶部22に記憶されたプログラムやデータに従って演算処理部21が演算処理を実行することによって実現される。
【0041】
[光電センサーの出力]
例えば、
図4に示すように、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在しない場合、光電センサー36の投光部36Aから出射された光は経路対向面部37等で反射し、その反射光は光電センサー36の受光部36Bに入射する。経路対向面部37等は光を反射し難くなっているため、反射光の光量は非常に小さくなる。したがって、光電センサー36は、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在しないことを示す第1の閾値T1以上の電圧を出力する(
図6に示す実線参照)。なお、
図6では、説明の便宜のため、光電センサー36の出力(電圧)を直線で示しているが、実際には、光電センサー36はアナログセンサーであるため、光電センサー36の出力は不規則に振動する波形となる。
【0042】
一方、
図5に示すように、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在する場合、光電センサー36の投光部36Aから出射された光は用紙Pで反射し、その反射光は光電センサー36の受光部36Bに入射する。用紙Pは経路対向面部37等よりも光を反射し易いため、このときの反射光は経路対向面部37等で反射した場合の反射光よりも大きな光量となる。したがって、光電センサー36は、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在することを示す第2の閾値T2以下の電圧を出力する(
図6に示す実線参照)。なお、判定部24は、第2の閾値T2以下の電圧の出力後から計測した時間が所定時間を経過したかを判定し、所定時間が経過した後にも第2の閾値T2以下の電圧が出力されている場合にジャムが発生していると判定する。また、時間を計測するタイマー機能は、制御部20の機能として提供される。また、ジャム判定用の所定時間は、予め設定され、記憶部22に記憶されている。
【0043】
ところで、画像形成処理を繰り返すと、搬送ベルト14や経路対向面部37が紙粉やインク等で汚れ、経路対向面部37等での反射光の光量が増加し、光電センサー36の出力が低下することがある(
図6の白抜き矢印参照)。すると、
図6に二点鎖線で示すように、光電センサー36は、第1の閾値T1よりも低く、第2の閾値T2よりも高い電圧を出力することがある。判定部24は、光電センサー36の出力が第1の閾値T1と第2の閾値T2との間となる場合に経路対向面部37等に反射光の光量を
増加させる汚染が生じていると判定する。すなわち、第1の閾値T1と第2の閾値T2とに挟まれた範囲の値は、経路対向面部37等のメンテナンスが必要になったことを示す閾値を含んでいる。なお、経路対向面部37等のメンテナンスとは、例えば、経路対向面部37等の清掃や経路対向面部37等の交換等である。
【0044】
[ジャム検出方法]
次に、
図7を参照して、ジャム検出部35を用いたジャム検出方法(ジャム検出処理)の一例について説明する。
図7はジャム検出方法を示すフローチャートである。なお、制御部20は、画像形成処理と並行してジャム検出方法(ジャム検出処理)を実行する。また、制御部20は、全ての光電センサー36の出力に対してジャム検出処理を実行するが、以下の説明では、1つの光電センサー36の出力に対するジャム検出処理について説明する。
【0045】
まず、制御部20は、光電センサー36から出力される電圧(電気信号)を受信する(S1)。光電センサー36からの電気信号は、アナログ-デジタル変換(A/D変換)されて記憶部22や演算処理部21のキャッシュメモリー等に記憶される。なお、制御部20は、画像形成処理の開始から終了までの間、所定の時間間隔で光電センサー36から電気信号を受信し続ける。
【0046】
次に、判定部24は、記憶された電気信号と第1の閾値T1とを比較する(S2)。当該電気信号(電圧)が第1の閾値T1以上である場合(S2でYES)、判定部24は搬送ベルト14や第1~第3の搬送経路6~8に用紙Pが存在しないと判定し、光電センサー36の出力の受信(S1)に戻る。
【0047】
一方、当該電気信号が第1の閾値T1未満である場合(S2でNO)、判定部24は当該電気信号と第2の閾値T2とを比較する(S3)。当該電気信号(電圧)が第2の閾値T2以下である場合(S3でYES)、判定部24は、時間の計測を開始し、計測した時間(Tp)が所定時間(T)を経過したか否かを判定する(S4)。計測した時間(Tp)が所定時間(T)を経過していない場合(Tp≦T(S4でNO))、光電センサー36の出力の受信(S1)に戻り、再び上記したS2、S3の判定を実行する。
【0048】
一方、計測した時間(Tp)が所定時間(T)を経過した場合(Tp>T(S4でYES))、判定部24は、当該光電センサー36の周辺においてジャムが発生したと判定し、その判定結果を記憶部22に記憶する。制御部20は、画像形成処理を直ちに停止(中断)させ(S5)、ジャムの発生およびジャムの発生位置等を示す情報(文字列や絵図等)を表示部19に表示させる(S6)。
【0049】
ユーザーは、表示部19に表示された情報を参考にし、カバー30等のハウジング2に設けられたドアを開き、詰まった用紙Pを除去する(ジャム処理を行う)。なお、制御部20は、ハウジング2のドアの開閉検知や光電センサー36の出力結果等に基づいてジャム処理が行われたことを判定し、記憶部22に記憶されたジャム発生の判定結果を削除し、表示部19の表示を通常表示に戻し、中断された画像形成処理を再開する。
【0050】
光電センサー36からの電気信号と第2の閾値T2とを比較(S3)に戻って、当該電気信号(電圧)が第1の閾値T1未満、且つ第2の閾値T2を越える場合(S3でNO)、判定部24は経路対向面部37等に汚染が生じていると判定し、その判定結果を記憶部22に記憶する。制御部20は、経路対向面部37等のメンテナンスが必要であることを示す情報(文字列や絵図等)を表示部19に表示させる(S7)。なお、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定した場合、制御部20は、画像形成処理を中断しないが、画像形成処理を中断するようにしてもよい。また、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定した場合、制御部20は、新規の画像形成処理の実行を禁止しないが、新規の画像形成処理を禁止するようにしてもよい。
【0051】
ユーザーは、表示部19に表示された情報を参考にし、カバー30等のハウジング2に設けられたドアを開き、搬送ベルト14や経路対向面部37の清掃等のメンテナンスを行う。なお、制御部20は、ハウジング2のドアの開閉検知や光電センサー36の出力結果等に基づいてメンテナンスが行われたことを判定し、記憶部22に記憶された汚染発生の判定結果を削除し、表示部19の表示を通常表示に戻す。
【0052】
また、ユーザーが清掃を行った後も、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定される場合、制御部20は、経路対向面部37等を交換する必要があることを示す情報を表示部19に表示させる。なお、経路対向面部37等を交換作業は、専門の作業者によって行われることが好ましい。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1によれば、経路対向面部37等上に用紙Pが存在しないにも関わらず光電センサー36の出力が第1の閾値T1よりも低くなったことを検出することで、経路対向面部37等が紙粉やインク等で汚れていると推定することができる。これにより、経路対向面部37等の清掃を行う時期を検出することができる。その結果、紙詰まり(ジャム)等、画像形成装置1を停止させるような不具合が発生する前に、経路対向面部37等の清掃等のメンテナンスを行うことができる。また、ジャムが発生していないにも関わらず、誤ってジャムを検出してしまうこと(誤検知)を抑制することができる。さらに、ジャム検出用の光電センサー36を、経路対向面部37等の汚染検出に兼用することができる。これにより、経路対向面部37等の汚染を検出する専用のセンサーを別途設ける場合に比べて、経路対向面部37等の周辺の構造を簡素化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、経路対向面部37等が汚染されて清掃等のメンテナンスを必要としていることを、表示部19を通じてユーザー等に知らせることができる。これにより、ユーザー等は、ジャム等が発生する前に、経路対向面部37等の清掃等を行うことができる。
【0055】
[変形例]
次に、
図8ないし
図14を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の変形例について説明する。
図8は第1変形例に係る画像形成装置1の制御部20等を示すブロック図である。
図9は第1変形例に係る画像形成装置1のジャム検出方法を示すフローチャートである。
図10は第2変形例に係る画像形成装置1の制御部20等を示すブロック図である。
図11は第2変形例に係る画像形成装置1の右側の一部であってカバー30の半開き状態を説明する断面図である。
図12は第2変形例に係る画像形成装置1の第1の搬送経路6の下流側であってカバー30の半開き状態を説明する断面図である。
図13は第2変形例に係る画像形成装置1の光電センサー36の出力を示すグラフである。
図14は第3変形例に係る画像形成装置1の光電センサー36の出力を示すグラフである。なお、以下の変形例の説明では、上記した本実施形態に係る画像形成装置1と同一または対応する構成(工程)については同一の符号を付し、同一または対応する構成(工程)の説明は省略する。
【0056】
<第1変形例>
上記した本実施形態に係る画像形成装置1では、ユーザーが手作業で経路対向面部37等を清掃していた。これに対し、第1変形例に係る画像形成装置1は、例えば、経路対向面部37等を清掃する清掃部40を更に備えている(
図8参照)。
【0057】
清掃部40は、搬送ベルト14の表面や経路対向面部37の平面に接触する清掃部材と、清掃部材を回転または往復直線移動させる駆動部と、を有している(図示せず)。清掃部材は、例えば、外周部がウェスやブラシで構成された清掃ローラーであってもよいし、弾性変形するブレードであってもよい(図示せず)。駆動部は、電動モーターやソレノイド等の駆動源と、駆動源と清掃部材とを連結するギア列やカム等の動力伝達機構と、を有している(図示せず)。駆動部は、制御部20(インターフェース部23)に電気的に接続され、制御部20によって制御されながら作動する。例えば、駆動部は、清掃ローラーを経路対向面部37等に接触する位置まで移動させ、清掃ローラーを軸周りに回転させる。他にも、駆動部は、ブレードを経路対向面部37等に接触する位置まで移動させ、ブレードを往復直線移動させる。このようにして、搬送ベルト14の表面や経路対向面部37の平面に付着した紙粉やインク等の汚れが除去される。
【0058】
図9に示すように、ジャム検出方法(ジャム検出処理)において、判定部24は経路対向面部37等に汚染が生じていると判定した場合(S3でNO)、その判定結果を記憶部22に記憶する。制御部20は、経路対向面部37等のメンテナンスが必要であることを示す情報を表示部19に表示させ(S7)、画像形成処理の終了を待つ(S8でNO)。画像形成処理が終了した場合(S8でYES)。制御部20は、経路対向面部37等の清掃を清掃部40に実行させる(S9)。なお、制御部20は、清掃部40による清掃が終了した後、記憶部22に記憶された汚染発生の判定結果を削除し、表示部19の表示を通常表示に戻す。また、清掃部40が清掃を行った後も、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定される場合、制御部20は、経路対向面部37等を交換する必要があることを示す情報を表示部19に表示させる。
【0059】
以上説明した本実施形態の第1変形例に係る画像形成装置1によれば、清掃部40によって自動で経路対向面部37等の清掃を行うことができる。これにより、ユーザーが手作業で清掃作業を行う手間を省略することができる。
【0060】
なお、制御部20は、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定した場合に、清掃部40による清掃とユーザーの手作業による清掃のいずれかを選択させるボタン等を表示部19に表示させてもよい(図示せず)。
【0061】
なお、第1変形例に係る画像形成装置1では、清掃部40が経路対向面部37等に接触しながら動くことで清掃を行っていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、清掃部は、空気を圧縮する圧空源と、経路対向面部37等に圧縮空気を吹き付けるノズルと、を有していてもよい(図示せず)。清掃部が経路対向面部37等に空気を吹き付けることで、経路対向面部37等に付着した汚れを落としてもよい。
【0062】
<第2変形例>
第2変形例に係る画像形成装置1は、カバー30の対向搬送部材6B,8Bに設けられた経路対向面部37の少なくともいずれか1つと、この経路対向面部37に対向した光電センサー36とによって、カバー30の半開き状態を検出する構成となっている。カバー30の半開き状態とは、所謂半ドア状態であって、カバー30がハウジング2の側面を閉じて開放不能な状態であるが、完全に閉じられていない状態(
図11参照)を意味する。
図11および
図12では、一例として、第1の搬送経路6の下流側に設けた光電センサー36と経路対向面部37とでカバー30の半開き状態を検出する構成となっている。
【0063】
図10に示すように、制御部20の記憶部22には、第1の閾値T1および第2の閾値T2に加えて、第3の閾値T3が記憶されている。第3の閾値T3は、第1の閾値T1よりも高い値に設定されている(
図13参照)。換言すれば、第3の閾値T3は、第1の閾値T1を挟んで第2の閾値T2とは反対側で、且つ第1の閾値T1から所定範囲外となる値に設定されている。第3の閾値T3は、カバー30が半開き状態であると判定するための閾値である。
【0064】
経路対向面部37等の上に用紙Pが存在せず、カバー30が半開き状態である場合(
図11参照)、カバー30が完全に閉じている場合に比べて、光電センサー36と経路対向面部37との距離が僅かに長くなる(
図12参照)。
図12に示す二点鎖線は、カバー30を完全に閉じた場合における経路対向面部37の位置である。したがって、カバー30が完全に閉じている場合よりも、経路対向面部37等で反射した反射光は弱くなり(光量減少)、
図13に示すように、光電センサー36は第1の閾値T1よりも高く設定された第3の閾値T3を超える電圧を出力する。制御部20の判定部24は、第3の閾値T3を越えた場合にカバー30が開き状態であると判定する。なお、光電センサー36の出力が第1の閾値T1以上、第3の閾値T3以下である場合に、判定部24は経路対向面部37等の上に用紙Pが存在しないと判定する。
【0065】
制御部20は画像形成処理を実行する前に光電センサー36から電気信号(電圧)を受信し、当該電気信号が第3の閾値T3を越えている場合、判定部24は、カバー30が半開き状態であると判定する。この場合、制御部20は、画像形成処理を実行せず、カバー30が完全に閉じられていないことを示す情報を表示部19に表示させる。ユーザーは、表示部19に表示された情報を参考にし、半開きになったカバー30を完全に閉じる。
【0066】
なお、制御部20は、当該電気信号が第1の閾値T1以上、第3の閾値T3以下である場合に画像形成処理を実行し、画像形成処理と並行して上記したジャム検出方法(ジャム検出処理)を実行する。原則として、画像形成処理の実行中にカバー30が開かれることはないため、ジャム検出処理が実行されている間は、光電センサー36からの電気信号が第3の閾値T3を越えることはない。
【0067】
以上説明した本実施形態の第2変形例に係る画像形成装置1によれば、ジャム検出および経路対向面部37の汚染検出を行うための光電センサー36を、カバー30の半開き検出に兼用することができる。これにより、カバー30の半開きを検出する専用のセンサーを別途設ける場合に比べて、カバー30の周辺の構造を簡素化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
また、第2変形例に係る画像形成装置1によれば、カバー30が適正に閉じられていないことを、表示部19を通じてユーザー等に知らせることができる。これにより、ユーザー等は、半開きになっているカバー30を適正に閉じることができる。
【0069】
なお、第2変形例に係る画像形成装置1の特徴は、第1変形例に係る画像形成装置1に適用されてもよい。
【0070】
<第3変形例>
上記した本実施形態(第1~第2変形例を含む。)に係る画像形成装置1では、光電センサー36の出力(電圧)が受光量(反射光の光量)に反比例して増減していたが、本発明はこれに限定されない。
図14に示すように、出力(電圧)が受光量(反射光の光量)に比例して増減するような光電センサー36を採用してもよい(第3変形例)。すなわち、光電センサー36は、受光量(反射光の光量)の増加に伴って出力(電圧)を増加させる仕様であってもよい。この仕様では、第1の閾値T1は、第2の閾値T2よりも低い値に設定される。そして、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在しない場合に光電センサー36は第1の閾値T1以下の電圧を出力し、経路対向面部37等の上に用紙Pが存在する場合に光電センサー36は第2の閾値T2以上の電圧を出力する。また、光電センサー36が第1の閾値T1よりも高く、第2の閾値T2よりも低い電圧を出力した場合、判定部24は、経路対向面部37等に汚染が生じていると判定する。また、第3の閾値T3は、第1の閾値T1よりも低い値に設定されている(図示せず)。
【0071】
なお、本実施形態(第1~第3変形例を含む。以下同じ。)の説明において示したジャム検出方法(ジャム検出処理)は一例であり、矛盾の無い範囲で各工程(各手順)の順序を入れ替えてもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー30がハウジング2の右側面に設けられていたが、これに限らず、ハウジング2の左側面、前側面、後側面、上面等にカバーが開閉可能に設けられてもよい(図示せず)。これらのカバーが第1~第3の搬送経路6~8のいずれかを構成し、これらのカバーに経路対向面部37が設けられている場合には、光電センサー36の出力結果からカバーの半開き状態を検出することもできる。
【0073】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー30の対向搬送部材6B,8Bに経路対向面部37が設けられ、本体側搬送部材6A,8Aに光電センサー36が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。これとは逆に、カバー30の対向搬送部材6B,8Bに光電センサー36が設けられ、本体側搬送部材6A,8Aに経路対向面部37が設けられてもよい(図示せず)。
【0074】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、ジャムの発生、経路対向面部37等の汚染およびカバー30の半開き等の情報(警告)が表示部19に表示されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成装置1にスピーカー(図示せず)を設け、制御部20は、上記した情報を表示部19に表示することに加えて、上記した情報に対応する警告音や音声をスピーカーから流す制御を実行してもよい。
【0075】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、カバー30の回動軸31がハウジング2の下部で水平方向に設けられていたが、これに限らず、回動軸31は、ハウジング2(カバー30)の左右方向の何れか一方で垂直方向に設けられてもよい(図示せず)。
【0076】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンターであったが、これに限らず、モノクロプリンター、コピー機、ファクシミリ等であってもよい。また、画像形成装置1は、インクジェット式のプリンターであったが、これに限らず、電子写真式の画像形成装置(プリンター、コピー機、ファクシミリ等)であってもよく、経路対向面部37が紙粉やトナー等で汚れたことを検出するようにしてもよい(図示せず)。
【0077】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施態様に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成装置
2 ハウジング
14 搬送ベルト(対向面部)
18 制御部
19 表示部
30 カバー
36 光電センサー
37 経路対向面部(対向面部)
40 清掃部
P 用紙
T1 第1の閾値
T2 第2の閾値