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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報読取装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241022BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241022BHJP
   B41J 29/38 20060101ALN20241022BHJP
   B41J 21/00 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
H04N1/00 567H
H04N1/00 838
G03G21/00 386
G03G21/00 370
B41J29/38 201
B41J21/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020167759
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059881
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前後 武志
(72)【発明者】
【氏名】三原 顕
(72)【発明者】
【氏名】藤田 護
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-110689(JP,A)
【文献】特開昭59-093465(JP,A)
【文献】特開平06-250568(JP,A)
【文献】特開2009-199476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取元記録媒体を読み取る読取部と、
前記読取元記録媒体に付加されている、前記読取元記録媒体に機密情報が含まれていることを意味する被検知物に関する情報を入手する情報入手部と、
前記読取部が読み取った内容を用いて画像を形成する画像形成部と、
前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれている場合、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体に被検知物を付加するとともに、前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれており、かつ前記読取元記録媒体に被検知物が付加されていない場合、前記読取元記録媒体にも前記被検知物を付加する被検知物付加部と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記情報入手部は、前記読取元記録媒体に対して前記被検知物を非接触により検出することで前記被検知物に関する情報を入手する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報入手部は、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料で形成された前記被検知物を検出する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報入手部は、揮発性のある材料で形成された前記被検知物を検出する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記情報入手部は、磁力を発する材料で形成された前記被検知物を検出する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記情報入手部は、操作者の入力により前記被検知物に関する情報を入手する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記情報入手部が前記被検知物に関する情報を入手した場合に前記読取部が読み取った前記読取元記録媒体が前記被検知物を含むことを提示する提示部をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記提示部は、前記被検知物に関する情報を提示する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記被検知物付加部は、前記読取元記録媒体に含まれる機密情報の機密度合いに応じて前記記録媒体に付加する被検知物を選択する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記被検知物付加部は、磁力を発する材料、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料又は揮発性のある材料の少なくともいずれかを前記機密度合いに応じて選択し、被検知物として前記記録媒体に付加する、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれておらず、かつ前記読取元記録媒体に被検知物が付加されている場合、前記被検知物付加部は、前記記録媒体に被検知物を付加しない、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれている場合に機能の実行を制御する機能制御部をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、予め定められた条件を有する用紙以外の用紙に対しては、印字を行えないようにしたプリンタ装置であって、用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送されてきた用紙が、予め定められた条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、制御手段に制御され、搬送されてきた用紙上に情報をプリント出力する印字手段と、前記判定手段による判定結果が前記条件を満たしていると判定された場合に、前記印字手段に対して印字を許可する信号を送信する制御手段と、を備えていることを特徴とするプリンタ装置の発明が開示されている。
【0003】
特許文献2には、用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部から出力された用紙を対象として、当該用紙に形成された画像を読み取る印刷画像読取部と、前記印刷画像読取部が読み取った画像と、予め設定された出力禁止画像とを比較して、前記画像形成部から出力された用紙についての出力許否を判定する印刷画像判定部と、前記印刷画像判定部の判定結果に基づいて、前記画像形成部から出力された用紙に対する出力動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、出力不許可が判定された場合に実行する出力動作を、出力許可が判定された場合に実行する出力動作とは異ならせることを特徴とする画像形成装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-81748号公報
【文献】特開2014-113775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機密情報を紙等の記録媒体に印刷する際に、記録媒体に被検知物を付加することで、機密情報が印刷された記録媒体であることが、被検知物の検知により検出可能となる。しかし、情報が印刷された紙等の記録媒体を読み取る際に、読取元の記録媒体に被検知物が存在するかを検知しないと、機密情報が印刷されているにも関わらず被検知物が付加されていない場合に、その読取元の記録媒体に対して被検知物を付加できない。
【0006】
本発明は、読取元の記録媒体への被検知物に関する情報を読み取り時に入手できる読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る読取装置は、読取元記録媒体を読み取る読取部と、前記読取元記録媒体に付加されている被検知物に関する情報を入手する情報入手部と、を備える。
【0008】
本発明の第2態様に係る読取装置は、第1態様に係る読取装置であって、前記情報入手部は、前記読取元記録媒体に対して前記被検知物を非接触により検出することで前記被検知物に関する情報を入手する。
【0009】
本発明の第3態様に係る読取装置は、第2態様に係る読取装置であって、前記情報入手部は、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料で形成された前記被検知物を検出する。
【0010】
本発明の第4態様に係る読取装置は、第2態様に係る読取装置であって、前記情報入手部は、揮発性のある材料で形成された前記被検知物を検出する。
【0011】
本発明の第5態様に係る読取装置は、第2態様に係る読取装置であって、前記情報入手部は、磁力を発する材料で形成された前記被検知物を検出する。
【0012】
本発明の第6態様に係る読取装置は、第1態様に係る読取装置であって、前記情報入手部は、操作者の入力により前記被検知物に関する情報を入手する。
【0013】
本発明の第7態様に係る読取装置は、第1態様に係る読取装置であって、前記情報入手部が前記被検知物に関する情報を入手した場合に前記読取部が読み取った前記読取元記録媒体が前記被検知物を含むことを提示する提示部をさらに備える。
【0014】
本発明の第8態様に係る読取装置は、第7態様に係る読取装置であって、前記提示部は、前記被検知物に関する情報を提示する。
【0015】
本発明の第9態様に係る画像形成装置は、第1態様~第8態様のいずれかの読取装置と、前記読取部が読み取った内容を用いて画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0016】
本発明の第10態様に係る画像形成装置は、第9態様に係る画像形成装置であって、前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれている場合、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体に被検知物を付加する被検知物付加部をさらに備える。
【0017】
本発明の第11態様に係る画像形成装置は、第10態様に係る画像形成装置であって、前記被検知物付加部は、前記読取元記録媒体に含まれる機密情報の機密度合いに応じて前記記録媒体に付加する被検知物を選択する。
【0018】
本発明の第12態様に係る画像形成装置は、第11態様に係る画像形成装置であって、前記被検知物付加部は、磁力を発する材料、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料又は揮発性のある材料の少なくともいずれかを前記機密度合いに応じて選択し、被検知物として前記記録媒体に付加する。
【0019】
本発明の第13態様に係る画像形成装置は、第10態様に係る画像形成装置であって、前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれており、かつ前記読取元記録媒体に被検知物が付加されていない場合、前記被検知物付加部は、前記読取元記録媒体に被検知物を付加する。
【0020】
本発明の第14態様に係る画像形成装置は、第10態様に係る画像形成装置であって、前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれておらず、かつ前記読取元記録媒体に被検知物が付加されている場合、前記被検知物付加部は、前記記録媒体に被検知物を付加しない。
【0021】
本発明の第15態様に係る画像形成装置は、第9態様に係る画像形成装置であって、前記読取部が読み取った内容に機密情報が含まれている場合に機能の実行を制御する機能制御部をさらに備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1態様によれば、読取元記録媒体に付加される被検知物に関する情報を読取元記録媒体の読み取り時に入手できる。
【0023】
本発明の第2態様によれば、読取元記録媒体への被検知物に関する情報を読取元記録媒体から非接触で入手できる。
【0024】
本発明の第3態様によれば、電波の吸収の有無により読取元記録媒体の被検知物の存在を検出できる。
【0025】
本発明の第4態様によれば、ガスの存在により読取元記録媒体の被検知物の存在を検出できる。
【0026】
本発明の第5態様によれば、磁界の検知により読取元記録媒体の被検知物の存在を検出できる。
【0027】
本発明の第6態様によれば、読取元記録媒体に被検知物が存在するかどうかを操作者の操作に基づいて入手できる。
【0028】
本発明の第7態様によれば、読取元記録媒体が特殊な記録媒体であることを通知できる。
【0029】
本発明の第8態様によれば、読取元記録媒体が、どのような材料が付加された記録媒体であるかを通知できる。
【0030】
本発明の第9態様によれば、読取元記録媒体に被検知物が存在するかどうかを読み取り時に入手し、読取元記録媒体の内容で画像を形成できる。
【0031】
本発明の第10態様によれば、機密情報を含む情報が形成された記録媒体の検出が可能となる。
【0032】
本発明の第11態様によれば、機密度合いに応じて適切な被検知物を記録媒体に付加できる。
【0033】
本発明の第12態様によれば、機密度合いに応じて適切な材料を記録媒体に付加できる。
【0034】
本発明の第13態様によれば、機密情報を含んだ情報が形成された読取元記録媒体に被検知物が無ければ、読取元記録媒体に被検知物を付加できる。
【0035】
本発明の第14態様によれば、読取元記録媒体に被検知物があっても、読取元記録媒体から読み取った内容に機密情報が含まれていなければ、読取元記録媒体をそのままの状態とすることができる。
【0036】
本発明の第15態様によれば、読取元記録媒体から読み取った内容に機密情報が含まれていれば、実行する機能の内容をコントロールできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体を説明する断面図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】画像形成装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】画像形成装置による機密情報処理の流れを示すフローチャートである。
図5】画像形成装置による機密情報処理の概要を説明する図である。
図6】画像形成装置による機密情報処理の概要を説明する図である。
図7】画像形成装置による機密情報処理の概要を説明する図である。
図8】画像形成装置による機密情報処理の概要を説明する図である。
図9】原稿に磁力を発する材料が付着されている状態の例を断面図で示す図である。
図10】情報入手部の一例として機能するセンサの構成例を示す図である。
図11】情報入手部の一例として機能する検知装置の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付加している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体を説明する断面図である。
【0040】
図1において、画像形成装置Uは、上面に透明な原稿台PG、いわゆる、プラテンガラスを有する画像形成装置本体の一例としてのデジタル式の複写機本体U1と、前記プラテンガラスPG上に着脱自在に装着される自動原稿搬送装置U2とを備えている。
【0041】
前記自動原稿搬送装置U2は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1を有している。原稿Giは、読取元記録媒体の一例である。前記原稿給紙部TG1に載置された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置、すなわち、原稿搬送部材の一例としてのプラテンロールGR1の圧接位置を通過して、原稿排出部材GR2により原稿排紙部TG2に排出されるように構成されている。
【0042】
前記複写機本体U1は、前記プラテンガラスPGを有する画像読取装置の一例としてのスキャナ部U1aおよび画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1bを有している。
【0043】
前記スキャナ部U1aは、読取り基準位置に配置された露光系位置検出部材、いわゆる露光系レジセンサSp、および露光光学系Aを有している。
【0044】
前記露光光学系Aは、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は読取り基準位置に停止している。
【0045】
前記自動原稿搬送装置U2を使用して複写を行う自動原稿搬送動作の場合は、前記露光光学系Aは読取り基準位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の複写位置を順次通過する各原稿Giを露光する。
【0046】
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う手動原稿配置動作の場合、露光光学系Aは移動しながらプラテンガラスPG上の原稿Giを露光走査する。
【0047】
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを通って固体撮像素子CCD上に収束される。前記固体撮像素子CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光を電気信号に変換する。
【0048】
画像処理部IPSは、前記固体撮像素子CCDから入力された読取画像信号をデジタルの画像書込信号に変換してプリンタ部U1bの書込駆動信号出力装置DLに出力する。
【0049】
プリンタ部U1bの制御部Cにより動作タイミングを制御される前記書込駆動信号出力装置DLは、入力された画像データに応じた書込駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。
【0050】
前記潜像書込装置ROSの下方に配置された被清掃体の一例としての像保持体PRは、回転する。前記像保持体PR表面は、帯電領域Q0において帯電器の一例としての帯電ロールCRにより帯電された後、潜像書込位置Q1において前記潜像書込装置ROSの潜像書込光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。前記静電潜像が形成された像保持体PR表面は回転移動して現像領域Q2、転写領域Q4を順次通過する。
【0051】
前記現像領域Q2において前記静電潜像を現像する現像器Dは、現像剤を現像ロールR0により現像領域Q2に搬送し、前記現像領域Q2を通過する像保持体PR上の静電潜像を可視像の一例としてのトナー像Tnに現像する。
【0052】
前記転写領域Q4において前記像保持体PRに対向する転写器の一例としての転写ロールTRは、像保持体PR表面のトナー像Tnを媒体の一例としてのシートSに転写する部材であり、現像器Dで使用される現像用のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が電源回路Eから供給される。前記帯電ロールCRに印加する帯電電圧、現像ロールR0に印加する現像電圧、転写ロールTRに印加する転写電圧等の印加電圧、後述の定着装置Fの加熱ロールのヒータを加熱するヒータ電源等を有する電源回路Eは前記制御部Cにより制御される。
【0053】
複写機本体U1の下部には、給紙容器の一例としての第1給紙トレイTR1および第2給紙トレイTR2が上下に並んで配置されている。
【0054】
前記第1給紙トレイTR1および第2給紙トレイTR2の右端部の上端部には用紙取出部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されており、前記ピックアップロールRpにより取り出されたシートSは、さばき部材Rsに搬送される。
【0055】
前記さばき部材Rsは、互いに圧接する給紙部材の一例としてのフィードローラRs1および分離部材の一例としてのリタードロールRs2を有している。前記ニップ部に搬送されたシートは給紙部材Rsにより1枚ずつ分離されて、媒体搬送路の一例としてのシート搬送路SH1に搬送される。
【0056】
シート搬送路SH1には、正逆回転可能な搬送部材の一例としての搬送ロールRbが配置されている。シート搬送路SH1に搬送された前記シートSは正逆回転可能な搬送ロールRbにより、上方の転写前シート搬送路SH2に搬送される。
【0057】
転写前シート搬送路SH2に搬送されたシートSは、搬送ロールRaにより転写領域搬送時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。
【0058】
また、手差し給紙部の一例としての手差し給紙トレイTR0から給紙されたシートSもレジロールRrに搬送される。
【0059】
前記レジロールRrに搬送されたシートSは、前記像保持体PR上のトナー像Tnが転写領域Q4に移動するのにタイミングを合わせて、転写前媒体案内部材の一例としての転写前シートガイドSG1から転写領域Q4に搬送される。
【0060】
前記像保持体PR表面に現像されたトナー像Tnは、前記転写領域Q4において、転写ロールTRによりシートSに転写される。転写後、像保持体PR表面は、清掃器の一例としてのクリーナCL1によりクリーニングされて付着物の一例としての残留トナーが除去され、前記帯電ロールCRにより再帯電される。
【0061】
前記像保持体PR、帯電ロールCR、潜像書込装置ROS、現像器D等によりトナー像形成装置G(PR+CR+ROS+D)が構成されている。
【0062】
前記転写領域Q4のシート搬送方向下流側には、前記転写領域Q4でトナー像Tnが記録された記録済シートSを定着領域Q5に搬送する転写後シート搬送路SH3が設けられている。前記転写領域Q4において転写ロールTRによりトナー像が転写された前記シートSは、像保持体PR表面から剥離され、前記転写後シート搬送路SH3の転写後媒体案内部材の一例としてのシートガイドSG2により案内され、転写後媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ベルトBHにより、定着装置Fに搬送される。
【0063】
定着装置Fは、内部に熱源としてのヒータを有する加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。定着装置Fに搬送されたシートSは、前記加熱ロールFhと加圧ロールFpとの圧接領域により構成される定着領域Q5を通過する際に、トナー像が加熱定着されてから、シート排出路SH4を通って媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに搬送される。
【0064】
前記シート排出路SH4には、前記定着装置Fの下流側に搬送路切替部材の一例としての切替ゲートGT1が配置されている。切替ゲートGT1は、前記定着装置Fを通過したシートSの搬送方向を前記排紙トレイTRh側またはシート反転接続路SH5のいずれかの方向に切り替える。シート反転用接続路SH5は、前記シート排出路SH4の上流端、すなわち、定着装置Fの下流側部分と前記上下方向シート搬送路SH1とを接続する。
【0065】
両面複写の場合、1面目のトナー像が記録された片面記録済シートSは、前記切替ゲートGT1によりシート反転接続路SH5に搬送され、搬送方向規制部材の一例としてのマイラーゲートGT2を通って、正逆回転搬送ロールRbの逆回転によりシート反転路SH6に搬送される。シート反転路SH6に搬送されたシートSは、正逆回転搬送ロールRbの正回転により、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックされ、表裏が反転した状態で転写領域Q4に再送される。
【0066】
前記符号SH1~SH6により示された要素により媒体搬送路の一例としてのシート搬送路SHが構成されている。
【0067】
前記シート搬送路SHおよびシート搬送路SHに配置されたシート搬送機能を有するローラRa,Rb,Rr等により媒体搬送装置の一例としてのシート搬送装置USが構成されている。
【0068】
図1に示した画像形成装置Uは、情報入手部100a、被検知物付加部200a、200bを備える。情報入手部100a及び被検知物付加部200aは、自動原稿搬送装置U2の内部に備えられている。被検知物付加部200bは、プリンタ部U1bの内部に備えられている。情報入手部100aは、原稿Giの読み取りを行い、原稿Giに被検知物が付加されていることを検知した場合に、原稿Giに付加されている被検知物に関する情報を入手する。被検知物は、原稿Giが通常の紙とは異なる媒体であることを画像形成装置Uに検知させる物質である。被検知物は、例えば、原稿Giの表面に付着されて、非接触によって存在の検知が可能な物質で構成される。
【0069】
非接触によって存在の検知が可能な物質としては、例えば揮発性材料がある。揮発性材料が原稿Giの表面に付着されていることで、原稿Giからは揮発性ガスが発生する。原稿Giから発生した揮発性ガスを情報入手部100aが検知することで、情報入手部100aは、揮発性材料が原稿Giに付着されていることを被検知物に関する情報として入手できる。
【0070】
非接触によって存在の検知が可能な物質としては、例えば電波を反射又は吸収する材料がある。電波を反射又は吸収する材料として、周波数1GHz以上5THz以下の電波の少なくとも一部を反射又は吸収する材料が用いられる。電波を反射又は吸収する材料として、任意の導電性材料、誘電性材料、磁性材料が用いられてもよい。電波を反射又は吸収する材料が原稿Giの表面に付着されていることで、情報入手部100aは、電波の反射状況から電波を反射又は吸収する材料が原稿Giに付着されていることを、被検知物に関する情報として入手できる。
【0071】
また、非接触によって存在の検知が可能な物質としては、例えば磁力を発する材料がある。原稿Giに磁力を発する材料、例えば磁性体が原稿Giの表面に付着されていれば、情報入手部100aは、磁力を検知することで、磁力を発する材料が原稿Giに付着されていることを被検知物に関する情報として入手できる。
【0072】
図9は、原稿Giに磁力を発する材料が付着されている状態の例を断面図で示す図である。図9では、原稿Giの表面に、粘着剤又は接着剤などによって構造物600が付着されている。構造物600は、例えば、磁性体600Aと、磁性体600Aの周りを覆う保護層600Bと、を備えている。このように、原稿Giの表面に磁力を発する材料が付着されていることで、磁気センサによる原稿Giの検知が可能となる。
【0073】
このように、被検知物として原稿Giに付加される物質は様々である。従って、情報入手部100aは、原稿Giに付加された被検知物を検知できるセンサを備える。原稿Giに揮発性ガスが付着されるのであれば、情報入手部100aはガスを検知できるガスセンサを備える。また、原稿Giに電波を反射又は吸収する材料が付着されるのであれば、情報入手部100aは、電波を発信する送信アンテナ及び電波を受信する受信アンテナをセンサとして備える。また、原稿Giに磁力を発する材料が付着されるのであれば、情報入手部100aは、磁力を検知する磁気センサをセンサとして備える。磁気センサには、例えば、コイル、ホール素子、磁気抵抗効果素子等の磁気を検知できるデバイスが用いられ得る。
【0074】
情報入手部100aの具体例を説明する。図10は、情報入手部100aの一例として機能するセンサ156の構成例を示す図である。図10に示したセンサ156は、金属酸化物式のガスセンサである。センサ156は、ケース170と、ケース170に設けられた支持部172と、支持部172に支持されたプレート174と、プレート174に設けられた複数の電極176、178と、を備えている。支持部172は、シリコンで構成されている。プレート174は、定められた温度に加熱される。さらに、センサ156は、プレート174上に電極176、178を覆うように設けられた金属酸化物層180と、電極176、178との間の抵抗値を測定する抵抗測定部182と、を備えている。
【0075】
センサ156では、例えば、空気中の酸素が金属酸化物層180の電子を捕捉し、金属酸化物層180の表面にマイナスイオンOとなって吸着する。金属酸化物層180付近に還元性ガスが存在すると、金属酸化物層180の表面のマイナスイオンOが還元性ガスと反応し(例えば、還元性ガスの水素と反応することで水となり)、金属酸化物層180中で電子Eが移動可能となる。これにより、抵抗測定部182で測定される抵抗値が変化する。例えば、原稿Giから発生する揮発性ガスの濃度が高い場合、揮発性ガスの少なくとも一部が金属酸化物層180の表面のマイナスイオンOと反応することで、金属酸化物層180中の電子Eが増加する。このため、抵抗測定部182で電極176、178との間の抵抗値を測定することで、原稿Giに付加されたガスを検知することが可能となる。
【0076】
情報入手部100aの別の具体例を説明する。図11は、情報入手部100aの一例として機能する検知装置418の具体例を示す図である。検知装置418は、電波を発信する送信アンテナ420と、電波を受信する受信アンテナ422と、を備えている。送信アンテナ420と受信アンテナ422とは、原稿Giが通過する位置を挟んで両側に配置されている。送信アンテナ420と受信アンテナ422とは、例えば、原稿Giの搬送路の両側に設けられている。
【0077】
検知装置418では、送信アンテナ420は、周波数1GHz以上5THz以下の電波を印刷物に対して発信する。受信アンテナ422は、送信アンテナ420から発信された電波を受信することで、電波の反射又は吸収を検知する。本発明の実施形態の一例では、送信アンテナ420から発信する電波は、ミリ波である。送信アンテナ420及び受信アンテナ422は、複数設けてもよく、また、複数の送信アンテナ420及び受信アンテナ422を異なる平面上に設けてもよい。また、検知装置418では、受信アンテナ422に代えて、原稿Giに対して電波を発信する送信アンテナ420と同じ側に、電波を受信する受信アンテナ424が配置されてもよい。
【0078】
検知装置418は、送信アンテナ420が電波を発信し、受信アンテナ422が電波を受信することで、原稿Giに機密レベルが高い画像が形成されていることを検知することができる。すなわち、原稿Giの表面に通常の画像400だけでなく、検知用画像402を形成することによって、検知装置418は、原稿Giの検知用画像402を送信アンテナ420及び受信アンテナ422により非接触で検知できる。原稿Giに検知用画像402が形成されている場合、電波のほとんどは原稿Giの画像400が形成された部位を通過する(すなわち、透過する)が、電波の少なくとも一部が検知用画像402で反射又は吸収される。図11に示す例では、検知用画像402は、電波の少なくとも一部を反射する検知用画像である。この場合、送信アンテナ420から発信された電波のほとんどは、原稿Giに画像400が形成されている部位を通過するが、電波の少なくとも一部は、検知用画像402で反射される。これにより、受信アンテナ422で取得される受信イメージ434は、原稿Giのうち検知用画像402の部分434Aが抜けたイメージとなる。このため、受信アンテナ422で検知用画像402が形成された原稿Giを検知することが可能である。
【0079】
被検知物付加部200aは、原稿Giに機密情報に該当する情報が印刷されており、且つ、情報入手部100aが被検知物に関する情報を入手できなかった場合に、原稿Giに被検知物を付加する。被検知物付加部200aは、原稿Giに機密情報に該当する情報が印刷されており、且つ、情報入手部100aが被検知物に関する情報を入手できた場合には、原稿Giに被検知物を付加しない。また、被検知物付加部200aは、原稿Giに機密情報に該当する情報が印刷されていなければ、原稿Giに被検知物を付加しない。
【0080】
原稿Giに機密情報に該当する情報が印刷されているかどうかは、固体撮像素子CCDから入力された読取画像信号をOCR(Optical Character Recognition)を用いて解析することによって判断される。原稿Giに機密情報が印刷されているかどうかは、例えば、所定のキーワードの有無、予め登録された機密画像の有無、単語又はフォーマットの類似性、正規表現による電話番号等の検出などによって行われうる。
【0081】
被検知物付加部200bは、原稿Giに機密情報が印刷されていた場合に、搬送されてきたシートSに被検知物を付加する。また、被検知物付加部200bは、原稿Giに機密情報が印刷されていなければ、原稿Giに被検知物を付加しない。
【0082】
被検知物付加部200a、200bは、原稿Gi及びシートSの表面に、非接触によって存在の検知が可能な物質を被検知物として付加する。例えば、被検知物付加部200a、200bは、原稿Gi及びシートSに揮発性材料を被検知物として付加する。原稿Gi及びシートSに付加される揮発性材料は、揮発した状態で人にとって無臭であること、又は揮発した状態で人の臭覚で認識できない濃度であることが好ましい。人にとって無臭の揮発性材料として、例えば、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物などが挙げられる。これらの有機化合物として、例えば、アルコール類、グリコール類、又はグリコールエーテル類などが挙げられる。
【0083】
無臭の揮発性材料としては、例えば、グリコール類としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。アルコール類としてグリセリンなどが挙げられる。グリコールエーテル類としては、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。その他エーテル基およびアルコール基をもつものとして、tert-ブチルセロソルブ、ソルフィットなどが挙げられる。
【0084】
無臭であることの評価方法は、6段階臭気強度尺度を用いることができる。6段階臭気強度尺度では、尺度0または1を無臭とする。評価は臭気判定士の資格を持つものが行うことが望ましい。尺度0または1となる濃度が、人間が嗅覚で検知できない濃度である。また、既知の安全性評価で安全であることが確認されている揮発性材料を使用することが望ましい。
【0085】
本実施形態の被検知物を構成する材料は、2種類以上の有機化合物を含有していてもよい。2種類以上の有機化合物を含有することで、例えば、被検知物付加部200a、200bで各々の有機化合物の特徴を付加することも可能である。例えば、揮発性ガスの発生時間を持続させるために、揮発速度の異なる2種類以上の有機化合物を含有してもよい。
【0086】
図1に示したように、画像形成装置Uは、情報入手部100aによって原稿Giに付加された被検知物を検知するが、原稿Giをプリンタ部U1bに搬送し、情報入手部100bによって原稿Giに付加された被検知物を検知してもよい。また、第1給紙トレイTR1および第2給紙トレイTR2から搬送されるシートSにも予め被検知物が付加される場合も考えられる。従って、情報入手部100cによってシートSに付加された被検知物を検知してもよい。また、スキャナ部U1aの内部に情報入手部100eを設け、スキャナ部U1aの内部に備えられた情報入手部100eによって原稿Giに付加された被検知物を検知してもよい。
【0087】
また、図1に示したように、画像形成装置Uは、被検知物付加部200cによってシートSに被検知物を付加するが、被検知物付加部200b又は200dによってシートSに被検知物を付加してもよい。また、スキャナ部U1aの内部に被検知物付加部200eを設け、スキャナ部U1aの内部に備えられた被検知物付加部200eによって原稿Giに被検知物を付加してもよい。
【0088】
図2は、画像形成装置Uのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0089】
図2に示すように、画像形成装置Uは、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0090】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、原稿Giへの機密情報の印刷の有無を検出し、機密情報の有無に応じて原稿Gi又はシートに被検知物を付加させる機密情報処理プログラムが格納されている。
【0091】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0092】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0093】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0094】
通信インタフェース17は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0095】
上記の機密情報処理プログラムを実行する際に、画像形成装置Uは、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。画像形成装置Uが実現する機能構成について説明する。
【0096】
次に、画像形成装置Uの機能構成について説明する。
【0097】
図3は、画像形成装置Uの機能構成の例を示すブロック図である。
【0098】
図3に示すように、画像形成装置Uは、機能構成として、情報入手部100、読取部110、提示部120、機能制御部130及び被検知物付加部200を有する。
【0099】
情報入手部100は、上述したように、読取部110が読み取った原稿Giに被検知物が付加されていることを検知した場合に、原稿Giに付加されている被検知物に関する情報を入手する。被検知物は、原稿Giの表面に付着されて、非接触によって存在の検知が可能な物質で構成される。
【0100】
読取部110は、原稿Giの読み取りを行う。読取部110は、読み取った原稿Giに、機密情報に該当する内容が印刷されているかどうか判断する。読取部110が読み取った原稿Giに、機密情報に該当する内容が印刷されていれば、被検知物付加部200が、被検知物が付加されていない原稿Gi及びシートSに被検知物を付加する。読取部110は、原稿Giに機密情報が印刷されているかどうかを、例えば、所定のキーワードの有無、予め登録された機密画像の有無、単語又はフォーマットの類似性、正規表現による電話番号等の検出などによって判断する。
【0101】
提示部120は、情報入手部100が入手した被検知物に関する情報を提示する。例えば、原稿Giに被検知物が付加されていれば、提示部120は、原稿Giに被検知物が付加されている旨、及び、付加されている被検知物の内容を提示する。
【0102】
機能制御部130は、読取部110が読み取った内容に機密情報が含まれている場合に、画像形成装置Uの機能の実行を制御する。例えば、機能制御部130は、読取部110が読み取った内容に機密情報が含まれている場合、画像形成装置Uが備えている機能の一部を制限したり、特定の処理が実行されるように機能を制御したりする。機能制御部130が行う利用制御の例としては、印刷機能の禁止、ファクシミリ機能の禁止、スキャン機能の禁止、原稿Giの排紙トレイへの移動等があるが、これらの制御に限定されるものでは無い。
【0103】
被検知物付加部200は、原稿Gi及びシートSの表面に、非接触によって存在の検知が可能な物質を被検知物として付加する。情報入手部100が検知可能な被検知物と、被検知物付加部200が付加する被検知物とは、同一の物質であってもよく、異なる物質であってもよい。
【0104】
被検知物付加部200は、原稿Gi及びシートSに被検知物を付加することができればよく、画像形成方式は限定されない。被検知物付加部200は、例えば、電子写真方式、インクジェットなどの液滴吐出方式、スタンプ方式、塗布方式、又はシルク印刷方式などの画像形成方式から選択可能である。
【0105】
被検知物付加部200は、原稿Gi及びシートSに被検知物を付加する際に、原稿Gi及びシートSの表面の少なくとも一部に被検知物を付加すればよい。
【0106】
上述したように、原稿Giに被検知物が付加されているかどうか、及び、原稿Giに機密情報に該当する内容が印刷されているかどうかで、被検知物付加部200によって原稿Giに被検知物を付加するかどうかが制御される。
【0107】
被検知物付加部200は、原稿Giの機密度合いに応じて、付加する被検知物を選択してもよい。被検知物付加部200は、例えば、原稿Giの機密度合いに応じて、磁力を発する材料、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料又は揮発性のある材料の少なくともいずれかを、被検知物として付加してもよい。具体的には、原稿Giの機密度合いが複数のレベルで規定されている場合、被検知物付加部200は、最も高い機密度合いの原稿Giには、磁力を発する材料を付加してもよい。そして、被検知物付加部200は、機密度合いの高さが上から2番目である原稿Giには、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料又は揮発性のある材料の少なくともいずれかを付加してもよい。磁力を発する材料は、他の材料と比較して検知精度が良いからである。このように、原稿Giの機密度合いに応じて、付加する被検知物を選択することで、原稿Giの検出精度は、原稿Giの機密度合いに応じた検出精度となる。
【0108】
被検知物付加部200は、原稿Giの機密度合いの高さに応じて、複数種類の材料を被検知物として付加してもよい。具体的には、原稿Giの機密度合いが複数のレベルで規定されている場合、被検知物付加部200は、最も高い機密度合いの原稿Giには、複数種類の材料を被検知物として付加してもよい。そして、被検知物付加部200は、機密度合いの高さが上から2番目である原稿Giには、1種類の材料のみを被検知物として付加してもよい。複数種類の材料が被検知物として付加されることで、1種類の材料が被検知物として付加される場合と比較して、原稿Giに付加された被検知物の検出精度を高めることができる。
【0109】
次に、画像形成装置Uの作用について説明する。
【0110】
図4は、画像形成装置Uによる機密情報処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から機密情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、機密情報処理が行なわれる。
【0111】
画像形成装置Uのスキャナ部U1aが原稿Giを読み取る際に、CPU11は、原稿Giに被検知物が存在しているかどうかを確認する(ステップS101)。
【0112】
ステップS101に続いて、CPU11は、読み取った原稿Giに被検知物が有るかどうか判定する(ステップS102)。
【0113】
ステップS102の判定の結果、原稿Giに被検知物が有った場合は(ステップS102;Yes)、CPU11は、読み取った原稿Giの機密度が高いかどうか判定する(ステップS103)。CPU11は、原稿Giの機密度が高いかどうかを、機密情報に該当する内容が含まれているかどうかで判断する。CPU11は、原稿Giに機密情報が印刷されているかどうかを、例えば、所定のキーワードの有無、予め登録された機密画像の有無、単語又はフォーマットの類似性、正規表現による電話番号等の検出などによって判断する。CPU11は、原稿Giに機密情報に該当する内容が含まれていれば機密度が高いと判定し、原稿Giに機密情報に該当する内容が含まれていなければ機密度が高くないと判定する。
【0114】
ステップS103の判定の結果、原稿Giの機密度が高ければ(ステップS103;Yes)、CPU11は、原稿Giは機密性があると判断する(ステップS104)。一方、ステップS103の判定の結果、原稿Giの機密度が高くなければ(ステップS103;No)、CPU11は、原稿Giは機密性がないと判断する(ステップS105)。
【0115】
ステップS102の判定の結果、原稿Giに被検知物が有ったので、CPU11は、画像形成装置Uに対する利用制御を行う(ステップS106)。画像形成装置Uに対する利用制御とは、例えば、画像形成装置Uが備えている機能の一部を制限したり、特定の処理が実行されるように機能を制御したりするものである。CPU11が行う利用制御の例としては、印刷機能の禁止、ファクシミリ機能の禁止、スキャン機能の禁止、原稿Giの排紙トレイへの移動等があるが、これらの制御に限定されるものでは無い。
【0116】
ステップS106に続いて、CPU11は、原稿Giへの被検知物の付加を行わず(ステップS107)、被検知物付加部200に対し、複写先の原稿であるシートSへ被検知物を付加させる(ステップS108)。なお、CPU11は、原稿Giに被検知物が有り、且つ原稿Giの機密度が高い場合は、シートSへの複写を行わないという制御を行ってもよい。
【0117】
ステップS102の判定の結果、原稿Giに被検知物がなかった場合は(ステップS102;No)、CPU11は、読み取った原稿Giの機密度が高いかどうか判定する(ステップS109)。
【0118】
ステップS109の判定の結果、原稿Giの機密度が高ければ(ステップS109;Yes)、CPU11は、原稿Giは機密性があると判断する(ステップS110)。そして、CPU11は画像形成装置Uに対する利用制御を行う(ステップS111)。原稿Giの機密度が高かったにも関わらず、原稿Giに被検知物が付加されていなかったが、原稿Giの機密度が高いので、CPU11は、被検知物付加部200に対し、原稿Giに被検知物を付加させる(ステップS112)。さらに、CPU11は、被検知物付加部200に対し、複写先の原稿であるシートSへ被検知物を付加させる(ステップS113)。
【0119】
一方、ステップS109の判定の結果、原稿Giの機密度が高くなければ(ステップS109;No)、CPU11は、原稿Giは機密性がないと判断する(ステップS114)。そして、CPU11は画像形成装置Uに対する利用制御を行わずに、画像形成装置Uを通常利用させる(ステップS115)。ステップS115に続いて、CPU11は、原稿Giに被検知物が付加されておらず、且つ、原稿Giの機密度が高くないので、CPU11は、原稿Giへの被検知物の付加を行わない(ステップS116)。さらに、CPU11は、原稿Giに被検知物が付加されておらず、且つ、原稿Giの機密度が高くないので、複写先の原稿であるシートSへ被検知物を付加しない(ステップS117)。
【0120】
CPU11は、図4に示した一連の処理を実行することで、記録媒体への機密情報の存在を検知できる。さらに、CPU11は、図4に示した一連の処理を実行することで、記録媒体に機密性があるかどうかで、複写先の記録媒体への被検知物の付加の有無を決定できる。
【0121】
図面を参照しながら、画像形成装置Uによる機密情報処理の概要を説明する。
【0122】
図5は、画像形成装置Uによる機密情報処理の概要を説明する図である。図5に示したのは、被検知物F1が付加された特殊紙であって、機密情報S1が印刷された原稿Giを画像形成装置Uで複写する場合の例である。
【0123】
原稿Giに被検知物F1が付加されていれば、画像形成装置Uは、原稿Giの複写時に、シートSに被検知物F1を付加して出力する。原稿Giの複写時に、シートSに被検知物F1を付加して出力することで、画像形成装置Uは複写元の原稿Giと同等の機密性をシートSに与えることが出来る。
【0124】
図6は、画像形成装置Uによる機密情報処理の概要を説明する図である。図6に示したのは、被検知物F1が付加されていない普通紙であって、機密情報S1が印刷された原稿Giを画像形成装置Uで複写する場合の例である。
【0125】
原稿Giに被検知物F1が付加されていないが、原稿Giに機密情報S1が印刷されていれば、画像形成装置Uは、原稿Giの複写時に、シートSに被検知物F1を付加して出力するだけでなく、原稿Giにも被検知物F1を付加する。原稿Giの複写時に、シートSだけでなく、原稿Giにも被検知物F1を付加して出力することで、画像形成装置Uは複写元の原稿Giの機密性を高めることが出来る。
【0126】
図7は、画像形成装置Uによる機密情報処理の概要を説明する図である。図7に示したのは、被検知物F1が付加されていない普通紙であって、機密情報に該当する情報が印刷されていない原稿Giを画像形成装置Uで複写する場合の例である。
【0127】
原稿Giに被検知物F1が付加されておらず、且つ、原稿Giに機密情報S1が印刷されていなければ、画像形成装置Uは、原稿Giの内容をそのままシートSに複写する。そして、画像形成装置Uは、原稿GiにもシートSにも被検知物を付加しない。
【0128】
図8は、画像形成装置Uによる機密情報処理の概要を説明する図である。図8に示したのは、被検知物F1が付加されている特殊紙であって、機密情報に該当する情報が印刷されていない原稿Giを画像形成装置Uで複写する場合の例である。
【0129】
原稿Giに被検知物F1が付加されているが、原稿Giに機密情報S1が印刷されていなければ、画像形成装置Uは、原稿Giの内容をそのままシートSに複写する。そして、画像形成装置Uは、シートSに被検知物を付加しない。
【0130】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置Uは、原稿Giへの被検知物の付加の有無と、原稿Giに印刷されている内容と、に基づいて、原稿Giへの被検知物の付加、及び、原稿Giの内容を複写するシートへの被検知物の付加について制御できる。本実施形態に係る画像形成装置Uは、機密情報が原稿Giに印刷されているが、被検知物が原稿Giに付加されていなければ、原稿Giに被検知物を付加することができる。
【0131】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した機密情報処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、機密情報処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0132】
また、上記各実施形態では、機密情報処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0133】
U 画像形成装置
100 情報入手部
110 読取部
120 提示部
200 被検知物付加部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11