(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ブラスト加工装置及びブラスト加工方法
(51)【国際特許分類】
B24C 5/02 20060101AFI20241022BHJP
B24C 3/12 20060101ALI20241022BHJP
B24C 7/00 20060101ALI20241022BHJP
B24C 1/04 20060101ALI20241022BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20241022BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B24C5/02 C
B24C3/12
B24C7/00 D
B24C1/04 F
B24C5/02 A
H05K3/00 M
B26F3/00 S
B26F3/00 G
(21)【出願番号】P 2020174852
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2020013557
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】神田 真治
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062101(WO,A1)
【文献】特開2001-038625(JP,A)
【文献】特開2003-260666(JP,A)
【文献】特開2000-117639(JP,A)
【文献】特開2001-259555(JP,A)
【文献】特開2009-078334(JP,A)
【文献】特開2017-042854(JP,A)
【文献】実開昭58-048626(JP,U)
【文献】特開昭58-216828(JP,A)
【文献】特開平07-285668(JP,A)
【文献】特開2010-280036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 3/00 - 11/00
H05K 3/00
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨材を圧縮空気と共に被加工物の表面に噴射する複数のノズルと、前記研磨材を前記複数のノズルに分配する分配機構とを有するノズルユニットと、
前記研磨材を内部に貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された前記研磨材を前記ノズルユニットに供給する供給部と、
前記複数のノズル及び前記被加工物の少なくとも一方を移動させて前記複数のノズルと前記被加工物との相対位置を変更する移動部と、
を備え、
前記分配機構は、
前記研磨材をエアロゾル状に分散する分散室を内部に画成する分散部材と、
前記供給部と前記分散室とを連結し、前記供給部の前記研磨材を前記分散室に供給する導入管と、
前記複数のノズルと前記分散室とを連結し、前記分散室のエアロゾル状の研磨材を前記複数のノズルに供給する導出管と、
を含み、
前記分散部材には、前記導入管に連通する導入口と、前記導出管に連通する導出口と、が設けられ、
前記導入口に対向する前記分散室の天面は円形であり、
前記導出管は、前記天面の外縁近傍に配置され、
前記導出口は、前記天面の中央を囲むように円環状に配置され、
前記天面と直交する方向における前記天面と前記導入口との間の距離は、前記天面の直径の1/5以上1/2以下であり、
前記導入管は、前記分散部材と連結される直線部を含む円管であり、
前記直線部の長さは、前記直線部における前記導入管の内径の5倍以上である、
ブラスト加工装置。
【請求項2】
前記移動部の動作を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記被加工物の表面と平行な第1方向に沿って、前記複数のノズル及び前記被加工物の少なくとも一方を移動させる第1走査と、
前記第1方向と直交し前記被加工物の表面と平行な第2方向に沿って、前記複数のノズル及び前記被加工物の少なくとも一方を移動させる第2走査と、
を交互に実施するように前記移動部を制御し、
前記第2走査における移動距離は、前記複数のノズルに設けられる噴射口の直径以下であり、
前記複数のノズルは、前記第2方向において連接するように並んで設けられる、請求項1に記載のブラスト加工装置。
【請求項3】
前記貯留部に圧縮空気を供給し前記貯留部の内部を加圧して、前記研磨材を前記ノズルユニットに押出する加圧用導管を更に備える、
請求項1又は2に記載のブラスト加工装置。
【請求項4】
前記被加工物であるプリント基板材料を準備する工程と、
前記プリント基板材料の一方の面に、φ25μm以上φ80μm以下の開口が設けられたレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層を含む前記プリント基板材料の前記一方の面に前記研磨材を噴射し、前記レジスト層の開口を介して前記プリント基板材料に貫通孔を形成する工程と、
を備え、
前記レジスト層の開口の径dに対する前記貫通孔の深さhの比h/dが0.8以上2.0以下である、請求項1~3の何れか一項に記載のブラスト加工装置によるブラスト加工方法。
【請求項5】
前記レジスト層の開口の径Dbに対する前記貫通孔の径Daの比Da/Dbが0.84以上0.94以下である、請求項4に記載のブラスト加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラスト加工装置及びブラスト加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気と共に研磨材をノズルから噴射することで、被加工物に穴や溝といった深いスペースを形成するブラスト加工方法が知られている。このようなブラスト加工方法では、マスクパターンが形成されたドライフィルムを被加工物上に形成し、ノズルから研磨材を噴射してドライフィルムから露出する領域を被加工物から除去することによって、被加工物にスペースを形成する。
【0003】
ブラスト加工方法において、特にプリント基板を被加工物とする場合など、非常に微細な加工を行う場合では、スペースに加工精度が求められる。加工精度を有するスペースを形成するための技術として、ビアホール(スペース)が形成された多列型基板の製造方法である、特許文献1に記載のブラスト加工方法が知られている。特許文献1には、マスクパターンが形成されたドライフィルムを被加工物の表裏両面に貼付し、被加工物の表裏両面からブラスト加工を行うブラスト加工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のブラスト加工では、マスクパターンが一致するようにドライフィルムを精度よく裏表両面に貼付する必要があり、更に加工の途中で被加工物を反転させるため、加工時間が長くなるおそれがある。
【0006】
以上を鑑み、加工時間を短縮できる、ブラスト加工装置及びブラスト加工方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、ブラスト加工装置である。ブラスト加工装置は、ノズルユニットと、貯留部と、供給部と、移動部とを備える。ノズルユニットは、複数のノズル及び分配機構を有する。複数のノズルは、研磨材を圧縮空気と共に被加工物の表面に噴射する。分配機構は、研磨材を複数のノズルに分配する。貯留部は、研磨材を内部に貯留する。供給部は、貯留部に貯留された研磨材をノズルユニットに供給する。移動部は、複数のノズル及び被加工物の少なくとも一方を移動させて複数のノズルと被加工物との相対位置を変更する。
【0008】
このブラスト加工装置では、研磨材が分配機構によって複数のノズルに分配される。被加工物の表面は、複数のノズルのそれぞれから研磨材を噴射される。複数のノズルが並行して研磨材を被加工物の表面に噴射するため、このブラスト加工装置は、複数のノズルを備えないブラスト加工装置と比べて、加工時間を短縮できる。
【0009】
本開示の一実施形態では、分配機構は、分散部材と、導入管と、導出管とを有してもよい。分散部材は、研磨材をエアロゾル状に分散する分散室を内部に画成してもよい。導入管は、供給部と分散室とを連結し、供給部の研磨材を分散室に供給してもよい。導出管は、複数のノズルと分散室とを連結し、分散室のエアロゾル状の研磨材を複数のノズルに供給してもよい。このブラスト加工装置は、分散室において研磨材がエアロゾル状に分散するため、複数のノズルに研磨材を均等に供給することができる。
【0010】
本開示の一実施形態では、分散部材には、導入管に連通する導入口と、導出管に連通する導出口とが設けられてもよい。導入口に対向する分散室の天面は円形であり、導出口は、天面の中央を囲むように円環状に配置されてもよい。このブラスト加工装置は、天面の中央から円環状に配置された導出口に向けて、エアロゾル状の研磨材を均一に分散することができる。
【0011】
本開示の一実施形態では、天面と直交する方向における天面と導入口との間の距離は、天面の直径の1/5以上1/2以下であってもよい。このブラスト加工装置は、分散室の高さである天面と導入口との間の距離を所定の範囲に設定することで、分散室内でのエアロゾル状の研磨材の偏り(即ち、導出される研磨材の量の導出口毎の偏り)を抑制することができる。
【0012】
本開示の一実施形態では、導入管は、分散部材と連結される直線部を含む円管であってもよい。直線部の長さは、直線部における導入管の内径の5倍以上であってもよい。このブラスト加工装置は、導入管の直線部において、圧縮空気による研磨材の流れが整流されるため、エアロゾル状の研磨材の均一な分散を促進することができる。
【0013】
本開示の一実施形態では、ブラスト加工装置は、移動部の動作を制御する制御部を更に備えてもよい。制御部は、第1走査と、第2走査とを交互に実施するように移動部を制御してもよい。第1走査では、制御部は、被加工物の表面と平行な第1方向に沿って、複数のノズル及び被加工物の少なくとも一方を移動させてもよい。第2走査では、制御部は、第1方向と直交し被加工物の表面と平行な第2方向に沿って、複数のノズル及び被加工物の少なくとも一方を移動させてもよい。第2走査における移動距離は、複数のノズルに設けられる噴射口の直径以下であってもよい。複数のノズルは、第2方向において連接するように並んで設けられてもよい。複数のノズルをこのような配置にすることで、被加工物の表面において研磨材が噴射される位置が重ならないため、このブラスト加工装置は、被加工物の表面の全体を効率的にブラスト加工することができる。
【0014】
本開示の一実施形態では、ブラスト加工装置は、加圧用導管を更に備えてもよい。加圧用導管は、貯留部に圧縮空気を供給し貯留部の内部を加圧して、研磨材を供給部に押出してもよい。このブラスト加工装置は、加圧用導管によって貯留部から研磨材を加圧して押出することで、研磨材と共に噴射される圧縮空気の圧力損失を抑制し、ブラスト加工の加工能力を向上することができる。
【0015】
本開示の他の側面に係るブラスト加工方法は、以下の(1)~(3)の工程を備える。
(1)被加工物であるプリント基板材料を準備する工程。
(2)プリント基板材料の一方の面に、φ25μm以上φ80μm以下の開口が設けられたレジスト層を形成する工程。
(3)レジスト層を含むプリント基板材料の一方の面に研磨材を噴射し、レジスト層の開口を介してプリント基板材料に、レジスト層の開口の径dに対する貫通孔の深さhの比h/dが0.8以上2.0以下である貫通孔を形成する工程。
【0016】
このブラスト加工方法は、レジスト層の開口を上記範囲に設定することで、高いアスペクト比(h/d)を持つ貫通孔を形成することができる。
【0017】
本開示の一実施形態では、レジスト層の開口の径Dbに対する貫通孔の径Daの比Da/Dbが0.84以上0.94以下であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る技術は、加工時間を短縮できるブラスト加工装置及びブラスト加工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るブラスト加工装置を示す全体断面図である。
【
図5】移動部によるノズルと被加工物との相対的な移動による走査軌跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、特に断りのない限り図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。
【0021】
(ブラスト加工装置)
図1は、実施形態に係るブラスト加工装置を示す全体断面図である。ブラスト加工装置1は、供給部2によって供給された定量の研磨材3を噴射する装置である。ブラスト加工装置1は、研磨材3を被加工物4の表面に噴射することで、切断、溝加工、穴あけ加工などの切削加工方法の1つであるブラスト加工を行う。研磨材3は、例えば、アルミナ粉末、銑鉄グリット、鋳型グリットなどである。被加工物4は、例えば、セラミック材料、ガラス材料などの硬脆材料、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)材料などの難切削材料、又はプリント基板材料、などが挙げられる。プリント基板材料は、絶縁材料又はガラスエポキシ基板に導電性薄膜が形成された基材である。
【0022】
ブラスト加工装置1は、供給部2と、加工部5と、選別部6と、集塵部7と、制御部9と、を備える。ブラスト加工装置1は、供給部2を介して供給された研磨材3を、加工部5にて圧縮空気と共に固気二相流として被加工物4の表面に向けて噴射し、ブラスト加工を行う。ブラスト加工装置1は、加工部5において噴射された研磨材3を回収し再使用する。加工部5にて被加工物4のブラスト加工を行う際、使用された研磨材3を含む粉粒体8が生じる。粉粒体8は、例えば、再使用可能な研磨材3、破砕や摩耗によって再使用不可能なサイズとなった研磨材3及び被加工物4の切削粉を含む。ブラスト加工装置1は、粉粒体8を加工部5から選別部6に移送する。ブラスト加工装置1は、粉粒体8のうち、再使用可能な研磨材3を選別部6から供給部2に移送し、噴射する。ブラスト加工装置1は、再使用不可能な研磨材3及び切削粉を選別部6から集塵部7に送り、集積する。
【0023】
(供給部)
図1に示される供給部2は、貯留部10と、充填部20と、ローラ30と、駆動部40と、取出部50と、を備える。貯留部10は、内部に研磨材3を貯留する。貯留部10には、圧縮空気を供給する加圧用導管73が連結され、貯留部10の内部は圧縮空気により加圧されている。
【0024】
充填部20は、貯留部10の下方に連結されている。充填部20の下方には、ローラ30と、駆動部40と、取出部50の一部とを収容する筐体が連結される。ローラ30は、円柱形状であり、円形である両側面の中心には、回転軸(図示せず)が接続されている。また、ローラ30の表面には、回転軸と平行する方向に、複数本の溝が等間隔で形成されている。駆動部40はローラ30を、回転軸を軸心に回転させるための機構である。取出部50は、ローラ30の溝の一部を覆うように形成された、圧縮空気の流路である。取出部50には、圧縮空気を供給する管路(図示せず)が連結される。
【0025】
貯留部10において貯留された研磨材3は、充填部20に移送される。そして、研磨材3は、圧縮空気による押圧力によってローラ30の溝に充填される。駆動部40の作動によりローラ30が回転するので、全ての溝に対して研磨材3が連続的に充填される。ローラ30の回転によって充填部20から取出部50に到達した研磨材3は、圧縮空気により溝からノズルユニットUに押出される。その後、研磨材3は、ノズルユニットUを介して、ノズル502に供給される。
【0026】
(加工部)
加工部5は、被加工物4のブラスト加工を行う。加工部5は、ケース501、ノズルユニットU、加工台503及び移動部Mを有する。ケース501の内部には加工室509が画成される。
【0027】
ノズルユニットUは、分配機構550と、複数のノズル502と、を有する。複数のノズル502は、例えば、加工室509内の上部に配置される。複数のノズル502は、被加工物4の表面に直交するZ軸に沿って延在し、それぞれの噴射口が被加工物4の表面と対向する。複数のノズル502は、研磨材3を圧縮空気と共に、被加工物4の表面に噴射する。複数のノズル502は、研磨材3を圧縮空気との混合流体(固気二相流)としてそれぞれの噴射口から噴射する。複数のノズル502それぞれの噴射口は円形である。複数のノズル502は、X軸に沿って並んで設けられる(
図4参照)。なお、X軸の負方向が後述する送り方向である。
【0028】
分配機構550は、
図2及び
図3に示されるように、導入管551、分散部材552及び複数の導出管553、を有する。分散部材552の内部には、分散室552Sが画成される。導入管551は、一端が供給部2に連結されており、他端が分散室552Sに連結されている。分散部材552には、導入管551に連通する導入口551Hが設けられる。複数の導出管553の個数は、複数のノズル502の個数と同一である。複数の導出管553それぞれは、一端が複数のノズル502のうちの1つに連結されており、他端が分散室552Sに連結されている。分散部材552には、複数の導出管553それぞれに対応して導出口553Hが設けられる。
【0029】
研磨材3は、圧縮空気の気流によって取出部50からノズルユニットUの導入管551に押し出される。導入管551に押出された研磨材3を含む気流は、導入管551を通過し、分散室552Sに供給される。導入管551は、分散室552Sと連結される直線部551Sを含んでもよい。直線部551Sを、所定の長さの直線状の円管とすることで、研磨材3を含む気流は、分散室552Sに供給される前に整流される。即ち、研磨材3を含む気流において、研磨材3の分散が促進される。例えば、直線部551Sの鉛直方向(Z軸方向)に沿った管長を、直線部551Sにおける導入管551の内径の5倍以上、好ましくは10倍以上としてもよい。直線部551Sの長さを適切に設定することで、研磨材3を効率よく分散できる。
【0030】
分散室552Sは、導入管551から供給された研磨材3を、均一になるように分散する。分散室552Sは、研磨材3をエアロゾル状にして分散する。導入口551Hに対向する分散室552Sの天面552Aは、円形である。ここで、導入口551Hと天面552Aとの間の距離(高さH)によってエアロゾルの濃度の均一性が損なわれたり、複数のノズル502において研磨材3を噴射する際の圧力が損なわれたりする。エアロゾルの濃度の均一性を保ち、且つ複数のノズル502における研磨材3の噴射圧力に影響を与えないように、高さHを天面の直径D1の1/5以上1/2以下に設定してもよい。
【0031】
複数の導出口553Hは、分散部材552の天面552Aの中央を囲むように円環状に配置される。導入口551Hから供給された研磨材3は、導入口551Hと対向する円形の天面552Aに突き当たりエアロゾル状に分散する。エアロゾル状の研磨材3は、円形の天面552Aの中央から外縁に向かって均一に分散する。エアロゾル状に分散する研磨材3は、複数の導出口553Hからホースを介して複数のノズル502に各々圧出され、複数のノズル502によって噴射される。複数の導出口553Hは、複数のノズル502のそれぞれに対して均等に研磨材3を圧出されるように配置され得る。一例として、導出管553は、天面552Aの外縁近傍に等間隔で同心状に配置される。
【0032】
移動部Mは、被加工物4と複数のノズル502との相対位置を変更する駆動部である。移動部Mは、被加工物4を移動させてもよく、複数のノズル502を移動させてもよく、被加工物4及び複数のノズル502の双方を移動させてもよい。本実施形態では、移動部Mとしてノズル駆動部504及び被加工物駆動部505を有し、複数のノズル502及び被加工物4の双方を移動させた構成について説明する。
【0033】
加工台503は、被加工物4を載置させる台である。加工台503は、加工室509内に配置される。
図4に示されるように、加工台503は、複数のノズル502の研磨材3の噴射方向において、被加工物4を載置する面が複数のノズル502の延在方向(Z軸方向)に直交するように被加工物駆動部505上に載置される。被加工物4を載置する加工台503の面は、被加工物4を吸着する面であってもよい。
【0034】
ノズル駆動部504は、ケース501の上部に配置される。ノズル駆動部504は、複数のノズル502と接続される。ノズル駆動部504は、複数のノズル502による研磨材3の噴射領域と被加工物4とが相対移動するように複数のノズル502を移動させる。被加工物駆動部505は、ケース501の下部に配置される。被加工物駆動部505は、加工台503の下面と接続される。被加工物駆動部505は、複数のノズル502による研磨材3の噴射領域と被加工物4とが相対移動するように、被加工物4が載置された加工台503を移動させる。被加工物駆動部505は、例えばX-Yステージなどの駆動機構である。ノズル駆動部504及び被加工物駆動部505の相対的な移動による軌跡(走査軌跡)は、制御部9によって制御される。
【0035】
制御部9は、移動部Mの動作を制御する。制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(ReadOnly Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、及び通信装置などを有する汎用コンピュータで構成される。制御部9は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)やDSP(DigitalSignal Processor)などのモーションコントローラであってもよい。制御部9は、ブラスト加工装置1の全体を制御するハードウェアであってもよい。
【0036】
図5は、被加工物4及び複数のノズル502の相対的な移動による、被加工物4の表面に平行な方向における軌跡(走査軌跡)を示す模式図である。走査軌跡はX軸方向及びX軸方向に直交するY軸方向に沿ったジグザグ形状を示す。制御部9は、被加工物4及び複数のノズル502がこのような走査軌跡を描くように移動部Mの動作を制御する。同図の走査軌跡に基づいて説明する。最初に、複数のノズル502のうち、X軸の最も正方向に配置されたノズル502Aの噴射領域と、走査軌跡上の始点Sと、が重なるように、被加工物4と複数のノズル502の相対的な位置が調整される。始点Sは、走査軌跡において、X軸の最も正方向かつY軸の最も負方向の位置に設けられる。この場合、他のノズルはX軸の負方向に連接するように並ぶため、他のノズルの噴射領域は、始点Sから見てX軸の負方向に配置される他の始点(図示せず)に重なる。以下では、ノズル502Aの噴射領域を「噴射領域」として説明する。
【0037】
まず、噴射領域が始点Sから被加工物4の表面と平行なY軸方向(第1方向)に沿って移動するように、制御部9は、被加工物駆動部505の動作を制御する(第1走査)。具体的には、被加工物4をY軸の負方向に沿って移動させる。次いで、噴射領域が、Y軸の負方向における端に到達したら、Y軸方向に直交し被加工物4の表面と平行なX軸方向(第2方向)に沿って噴射領域が移動するように、制御部9は、ノズル駆動部504の動作を制御する(第2走査)。具体的には、複数のノズル502をX軸の負方向(本明細書では送り方向とも記す)に沿って移動させる。次いで、噴射領域がY軸方向に沿って移動するように、制御部9は、被加工物駆動部505の動作を制御する。具体的には、被加工物4をY軸の正方向に沿って移動させる。噴射領域が第1方向における上側の端に到達したら、送り方向に沿って噴射領域が移動するように、制御部9は、ノズル駆動部504の動作を制御する。この動作を交互に繰り返すことで、走査軌跡が描かれる。ここで、ノズル502Aから噴射された固気二相流は速度分布を有しており、ノズル502Aからの位置に応じて研磨力に差が生じている。送り方向の移動距離はこの研磨力の差異を勘案して設定される。送り方向の移動距離は、例えば0を含まずノズル502Aの噴射口の直径以下としてもよい。
【0038】
(選別部)
選別部6は、加工部5における被加工物4のブラスト加工過程で生じた粉粒体8を回収する。選別部6は、粉粒体8のうち、再使用可能な研磨材3を後述の貯留部10に送る。選別部6は、粉粒体8のうち、再使用不可能な研磨材3、被加工物4が剥離して生じた切削粉などを後述の集塵機702に送る。選別部6は、回収導管601、及び分級部602を有する。回収導管601は、一端を加工部5と接続し、他端を分級部602と接続する管である。回収導管601は、粉粒体8を後述の集塵機702が発生させる気流に乗せて加工部5から選別部6の分級部602へ送る。
【0039】
分級部602は、その上部が後述の集塵導管701と連通している。分級部602は、下部において、貯留部10と連通している。分級部602は、例えば、すり鉢状の中空の構造である。分級部602は、回収導管601から送られてきた粉粒体8を、再使用可能な研磨材3と、再使用不可能な研磨材3及び切削粉とに分級する。分級部602は、例えば、サイクロンである。
【0040】
粉粒体8は、例えば、分級部602内で旋回する。粉粒体8のうち、再使用可能な研磨材3は、再使用不可能な研磨材3及び切削粉と比較して重い。比較的重い粒子である再使用可能な研磨材3は、旋回速度が減速する際に重力により分級部602下部に落下し集積する。圧縮空気が貯留部10の内部に流入せず、分級部602と貯留部10の間の弁が開放され、貯留部10と分級部602とが連通している場合、分級部602下部に集積した再使用可能な研磨材3は、供給部2の貯留部10に送られる。比較的軽い粒子である再使用不可能な研磨材3及び切削粉は、分級部602上部に接続している後述の集塵導管701に送られる。
【0041】
(集塵部)
集塵部7は、選別部6で回収された再使用不可能な研磨材3及び切削粉を集積する。集塵部7は、集塵導管701及び集塵機702を有する。集塵導管701は、一端を分級部602に接続し、他端を集塵機702に接続する管である。集塵導管701は、分級部602から再使用不可能な研磨材3及び切削粉を集塵機702に送る。
【0042】
集塵機702は、集塵導管701から送られてきた再使用不可能な研磨材3及び切削粉を集積する。集塵機702は、不図示の吸引力発生源及びフィルタを有する。吸引力発生源を作動させることで、集塵機702に連通する加工室509、回収導管601、分級部602、及び集塵導管701内において、集塵機702へ向けて気流が発生する。吸引力発生源の作動により、集塵導管701から送られてきた再使用不可能な研磨材3及び切削粉は、空気と共に集塵機702内に吸引される。集塵機702内おいて、フィルタは、集塵導管701と吸引力発生源との経路に配置される。フィルタは、再使用不可能な研磨材3及び切削粉を捕集する。フィルタによって、空気のみが吸引力発生源に移送される。捕集された再使用不可能な研磨材3及び切削粉は、フィルタを取り外すことで回収することができる。
【0043】
(ブラスト加工装置の工程)
ブラスト加工装置1によるブラスト加工工程について説明する。ここでは、プリント基板材料を被加工物4として、ビアホールやスルーホールを形成するための貫通孔を形成するブラスト加工を例に説明する。プリント基板は、ポリイミドやポリエステルなどの絶縁体シート及びガラスエポキシ基板の表面に銅などの導体箔を貼付して作製される。
図6は、実施形態に係るブラスト加工装置1の全体工程を示すフローチャートである。
【0044】
まず、被加工物4の準備工程(工程S1)が行われる。工程S1では、被加工物4の表面にマスクパターンが形成される。具体的には、被加工物4が加温され、加温された被加工物4(の表面)にラミネート機によってマスク材が貼り付けられる。そして、マスク材を貼り付けられた被加工物4が露光機に配置される。露光機において、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いてパターン原版の位置が被加工物4に合わせられ、露光される。その後、露光された被加工物4が現像機に配置される。現像機において、被加工物4を回転させながら現像液を吹き付けることによって、レジスト層のマスクパターンが形成される。ここで、レジスト層は、加工目的の孔に対応する少なくともφ25μm以上φ80μm以下の開口が設けられる。
【0045】
続いて、ブラスト加工装置1の準備工程(工程S2)が行われる。工程S2では、ノズル駆動部504における複数のノズル502と被加工物4との距離、複数のノズル502における研磨材3の噴射圧力、などを調整する。噴射圧力の調整は、まず、ホースを介して圧縮空気が複数のノズル502に供給される。次いで、圧力弁を操作することによって研磨材3の噴射圧力が所定の圧力に調整される。噴射圧力の調整後、圧縮空気の供給が停止される。
【0046】
また、工程S2では、制御部9が移動部Mの動作パターンを設定する。動作パターンは、複数のノズル502の走査軌跡及び移動速度や走査回数等を含む。動作パターンを示す設定情報が制御部9の記憶装置に記憶される。
【0047】
これらの調整を終了した後、研磨材3が供給部2の貯留部10に投入される。噴射量に応じた量の研磨材3が投入される。
【0048】
続いて、次に、被加工物4のセット工程(S3)が行われる。工程S3では、被加工物4は、加工室509に設けられた観察窓を通じて加工台503の複数のノズル502に対向する面上に載置される。
【0049】
次いで、ブラスト加工工程(S4)が行われる。工程S4では、まず、圧縮空気が、加圧用導管73を通じて、貯留部10に供給される。次に、貯留部10の内部に圧縮空気が供給されることで、貯留部10の内部が加圧され、貯留部10と分級部602の間の弁が閉塞する。これにより、貯留部10が密封される。次に、研磨材3は、圧縮空気により貯留部10内で加圧され、充填部20に移動する。次に、研磨材3は、圧縮空気による押圧力によってローラ30の溝に充填される。研磨材3は、貯留部10及び充填部20を通じて圧縮空気により加圧されることで、溝ごとに密に充填される。次に、ローラ30は、制御部9により設定された速度で駆動部40の動力により回転する。次に、溝に充填された研磨材3は、回動処理(S21)におけるローラ30の回転により、取出部50の位置まで移動し、流路が形成される。次に、管路から供給される圧縮空気が、流路に供給される。圧縮空気は、溝の延在方向と平行な方向に気流を生起する。圧縮空気により生じた気流により、溝に充填された研磨材3は、ノズルユニットUに押出される。
【0050】
ノズルユニットUに圧縮空気と共に押出された研磨材3は、ノズルユニットUの分配機構550に向かう。分配機構550の導入管551に供給された研磨材3は、導入管551を通過する際に整流され、初期の分散が行われる。分散部材552に供給された研磨材3は、分散室552Sでエアロゾル状に分散される。分散された研磨材3は、圧縮空気と共に導出管553より圧出される。
【0051】
導出管553より圧出された研磨材3は、ホースを介して複数のノズル502まで供給される。被加工物4は、研磨材3を圧縮空気と共に複数のノズル502から混合流体として噴射されることで、ブラスト加工される。準備工程(S3)で設定された走査軌跡、走査速度、走査回数、等に基づき、被加工物駆動部505は、被加工物駆動部505上の被加工物4及び加工台503を複数のノズル502に対して相対的に移動させる。被加工物4は、制御部9に設定された走査軌跡に基づき加工される。ここで、複数のノズル502はX軸方向に沿って連接するように並んで設けられているので、1本のノズルを配置した場合に比べて走査回数を少なく設定できる。また、1本のノズルを配置した場合や、複数のノズルをY軸方向に沿って連接するように並んで設けた場合に比べて、送り方向の移動距離を短く設定することができる。即ち、走査回数が少なくなり、且つ送り方向の移動距離が短くなることで、レジスト層に対して研磨材3が過剰に衝突することを減少できる。その結果、レジスト層へのダメージを減少できる。このため、レジスト層の開口部(孔)より露出した被加工物4の表面に対して効率的に切削加工を行うことができるので、精度よく貫通孔を形成できる。レジスト層のダメージが大きいと、孔が貫通する前にレジスト層の開口部が破損する。一実施形態のブラスト加工装置1によってブラスト加工することで、アスペクト比(レジスト層の開口部の径dに対する貫通孔の深さhの比であるh/d)が0.8以上2.0以下の貫通孔を形成することできる。
【0052】
一実施形態のブラスト加工装置1では、複数のノズル502の噴射口を円形とし、各々の複数のノズル502が配置される間隔を調整することで、噴射流全体として速度分布のバラツキが小さい、幅広い加工を行うことできる噴射流を得ることができる。ノズルの噴射口を、一実施形態のブラスト加工装置1と同じ加工幅の噴射流となるように矩形にした場合、噴射流の速度分布はバラツキが大きい。その結果、一実施形態のブラスト加工装置1に比べて、噴射流の速度分布のバラツキが大きいブラスト加工装置では、走査回数を多くする、もしくは送り方向への移動距離を短くする必要がある。従って、一実施形態のブラスト加工装置1の方が精度よくブラスト加工を行うことができる。一実施形態のブラスト加工装置1によって加工することで、レジスト層に形成された開口部の径Dbに対する被加工物4の表面に形成された貫通孔の径Daの比であるDa/Dbが、0.84以上0.94以下の孔を形成することができる。
【0053】
設定された走査及び加工が完了した場合、複数のノズル502から噴射される研磨材3及び圧縮空気を停止する。
【0054】
また、ブラスト加工工程(S4)では、集塵工程も行われる。集塵工程は、集塵機702は、加工室509、回収導管601、分級部602、及び集塵導管701の内部において、集塵機702に向かって粉粒体8及び空気が吸引される気流を発生させる。集塵機702が作動することで生じる気流によって、加工室509内で生じた粉粒体8は、加工室509、回収導管601、分級部602の順に移動する。分級部602における分級によって、再使用可能な研磨材3は、貯留部10に、再使用不可能な研磨材3及び切削粉は、集塵導管701を通じて集塵機702に、それぞれ回収される。
【0055】
最後に、被加工物回収工程(S5)が行われる。工程S5では、被加工物4は、ケース501の観察窓を通じて、加工台503の面上から回収される。
【0056】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更できる。また、上記実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることができる。
【0057】
(実施形態の効果)
以上、本実施形態に係るブラスト加工装置1によれば、複数の複数のノズル502を走査軌跡における送り方向に沿って連接するように並んで設けることで、幅広い噴射領域を得ることができる。分配機構550を有することで、複数の複数のノズル502に対して均等に研磨材3を供給することができるので、全ての複数のノズル502は同一の加工能力を有することができる。その結果、被加工物4と衝突するエリアにおいて、速度分布の小さい噴射流(即ち、加工能力のバラツキが小さい噴射領域)を得ることができる。
【0058】
ブラスト加工装置1が複数のノズル502を備えているので、被加工物4に対して研磨材3が噴射される時間を短縮することができる。従って、加工時間の短縮と、被加工物4へのダメージの軽減と、を両立することができる。また、単一の貯留部10から供給された研磨材3を複数のノズル502に対して均等に分配できる分配機構550を備えているので、全体の加工精度が向上する。
【0059】
分配機構550は、導入管551、分散部材552、導出管553、の順に連結された構成とすることで、簡便な構造ですべてのノズルに対して略同一の加工能力を与えることができる。分散部材552の分散室552Sの天面552Aを円形とし、導出管を天面552Aの中央を囲むように円環状に配置することで、分散室552Sで均一な濃度のエアロゾル状態に分散された研磨材3を全ての複数のノズル502に供給することができる。分散室552Sは、高さを天面552Aの直径の1/5以上1/2以下とすることで、優れた分散効果を得ることができる。また、導入管551において分散室552Sに連結される直線部551Sを管長が内径の5倍以上である円管とすることで、研磨材3を初期分散した状態で分散部材552に導入することができる。
【0060】
速度分布の小さい噴射流が得られるので、被加工物4を複数のノズル502に対して相対的に移動させ走査軌跡を描く回数を少なくできたり、送り方向への移動距離(0を含まず複数のノズル502の噴射口の直径以下)を長くできたりする。その結果、被加工物4に対して研磨材3が過剰に衝突するのを減少させることができるので、被加工物4に与えるダメージを減少させることができる。
【0061】
貯留部10を加圧し、供給部2を介して研磨材3を、分配機構550に向かう導入管551に押出する構成とすることで、圧縮空気の圧力損失を低減することができる。その結果、加工能力を向上させることができるので、被加工物4をノズルに対して相対的に移動させ走査軌跡を描く回数を少なくできる。また、研磨材3による加工能力が高いので、研磨材3を被加工物4に接触させる時間を短くすることができるので、加工時間の短縮と、被加工物4へのダメージの軽減と、を両立することができる。
【0062】
複数のノズル502は、X軸方向に沿って連接するように並んで設けられている。このように複数のノズル502を配置することで、加工時間の短縮と、被加工物4へのダメージの軽減と、を両立することができる。
【0063】
ブラスト加工装置1は、加工時間の短縮と、被加工物4へのダメージの軽減と、を両立することができる。穴加工や溝加工を行う場合には被加工物4にレジスト層を設けるが、ブラスト加工装置1は、このレジスト層に対するダメージを軽減することができる。例えば、被加工物4の一例であるプリント基板材料にスルーホールやビアホールなどの貫通孔を開口させるブラスト加工を行う場合、レジスト層へのダメージを軽減できることにより、精度の高いブラスト加工を行うことができる。即ち、本実施形態に係るブラスト加工装置1によりブラスト加工することで、開口部がφ25以上φ80μm以下のように極めて小径のレジストパターンが形成されている場合でも、アスペクト比(h/d)が0.8以上2.0以下と、通常のブラスト加工では達成するのが困難な精度での加工が可能となる。また、レジスト層に形成された開口部の径Dbに対する被加工物4に形成された貫通孔の径Daの比であるDa/Dbが0.84以上0.94以下と、通常のブラスト加工では達成するのが困難な精度での加工が可能となる。
【0064】
本実施形態に係るブラスト加工装置1およびブラスト加工方法によれば、上述のような精度の高い加工を、片側からのみ研磨材3を噴射することで行うことができる。また、スペースの垂直性を改善することができる。特に、微細な穴であるビアホールまたはスルーホールを形成するための孔を形成するのに好適に適用である。
【0065】
(変形例)
実施形態中の分散部材552は、円柱形状だけでなく、円錐形状や円錐台形状としてもよい。これらの形状は、導入部から底面に向かって連続的に拡径する形状であるので、より均等な濃度のエアロゾルとなるように研磨材3を分散することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…ブラスト加工装置、2…供給部、3…研磨材、4…被加工物、5…加工部、6…選別部、7…集塵部、8…粉粒体、9…制御部、10…貯留部、20…充填部、30…ローラ、40…駆動部、50…取出部、73…加圧用導管、501…ケース、502…ノズル、503…加工台、504…ノズル駆動部、505…被加工物駆動部、509…加工室、550…分配機構、551…導入管、551S…直線部、552…分散部材、552A…天面、553…導出管、601…回収導管、602…分級部、701…集塵導管、702…集塵機、U…ノズルユニット、M…移動部。