(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】印刷物販売システム、販売用端末、印刷物販売システムにおけるアプリケーション起動方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241022BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241022BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 365
G06F3/12 322
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020186395
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】横山 亜紗実
(72)【発明者】
【氏名】中村 昴大
(72)【発明者】
【氏名】柿原 昇
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大輔
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219807(JP,A)
【文献】特開2017-108384(JP,A)
【文献】特開2009-003487(JP,A)
【文献】特開2017-045243(JP,A)
【文献】特開2005-038009(JP,A)
【文献】特開2005-018322(JP,A)
【文献】特開2014-239282(JP,A)
【文献】特開2018-006896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
G06Q50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の注文を受け付ける販売用端末と、前記印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとがネットワークを介して通信接続される印刷物販売システムであって、
前記販売用端末は、
前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段と、
前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶する記憶手段と、
前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段と、
前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力
して前記プリンタに印刷させる出力手段と、
前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段と、
前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワード
とを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段と、
を備えることを特徴とする印刷物販売システム。
【請求項2】
前記印刷物プリント用アプリケーションは、
前記起動手段による起動時に前記サーバにアクセスし、前記販売用画像を取得するための認証情報を取得し、取得した認証情報を用いて前記販売用画像を前記サーバからダウンロードすることを特徴とする請求項1に記載の印刷物販売システム。
【請求項3】
前記印刷物プリント用アプリケーションは、
更に所定時間間隔で前記サーバにアクセスし、前記認証情報を用いて前記販売用画像を前記サーバからダウンロードすることを特徴とする請求項2に記載の印刷物販売システム。
【請求項4】
前記販売用端末は、
前記プリンタとの接続が切断された際に、前記記憶手段に記憶されている前記販売用画像、前記認証情報、顧客の個人情報、及びその他の秘匿な情報を削除するとともに、前記印刷物プリント用アプリケーションを停止する制御手段を更に備えることを特徴とする
請求項2に記載の印刷物販売システム。
【請求項5】
前記出力手段は、前記ワンタイムパスワードをコード化して前記プリンタに印刷させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷物販売システム。
【請求項6】
前記ワンタイムパスワードは前記販売用端末により生成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷物販売システム。
【請求項7】
前記ワンタイムパスワードは前記サーバにより生成され、前記販売用端末に送信されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷物販売システム。
【請求項8】
前記販売用端末は持ち運び可能なタブレット端末であることを特徴とする請求項1に記載の印刷物販売システム。
【請求項9】
印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとネットワークを介して通信接続され、印刷物の注文を受け付ける販売用端末であって、
前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段と、
前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶する記憶手段と、
前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段と、
前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力
して前記プリンタに印刷させる出力手段と、
前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段と、
前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワード
とを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段と、
を備えることを特徴とする販売用端末。
【請求項10】
印刷物の注文を受け付ける販売用端末と、前記印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとがネットワークを介して通信接続される印刷物販売システムにおけるアプリケーション起動方法であって、
前記販売用端末が、
前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信するステップと、
前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶するステップと、
前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するステップと、
前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力
して前記プリンタに印刷させるステップと、
前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るステップと、
前記読み取ったワンタイムパスワードと前記発行されたワンタイムパスワード
とを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動するステップと、
を含むことを特徴とするアプリケーション起動方法。
【請求項11】
印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとネットワークを介して通信接続されたコンピュータを、
印刷物の注文を受け付ける販売用端末であって、
前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段、
前記接続可能なプリンタとして予め記憶部に記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段、
前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力
して前記プリンタに印刷させる出力手段、
前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段、
前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワード
とを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段、
を備える販売用端末として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物販売システム、販売用端末、印刷物販売システムにおけるアプリケーション起動方法、及びプログラムに関し、詳細には写真等の印刷物の無人販売におけるセキュリティ対策に関する。
【背景技術】
【0002】
野球等のスポーツ観戦会場やイベント会場において、試合やイベントの当日にカメラマンが撮影した写真を会場でプリントし、即日販売するサービス(ライブフォトサービス)が提供されている。このサービスの利用者は多く、売り場での行列や会場の閉館時間までに購入できない等の課題がある。そこで、会場の各所に無人の写真販売端末を導入することが検討されている。無人の写真販売システムとしては、例えば、非特許文献1に示すようなセルフ写真プリント装置が提供されている。非特許文献1のセルフ写真プリント装置は、店舗等での常時設置を想定した据え置き型の装置であり、データ等を保存する端末(コンピュータ)やプリンタ装置等が板金で覆われ、筐体の開け閉めが簡単にできないように配慮されている。また装置は重量があり、会場への設置や撤去が困難なものであった。
【0003】
上述のライブフォトサービスを様々な試合会場やイベント会場で実施するためには、省スペースかつ設置や撤去が簡単に行えるシステム構成とすることが要望される。しかし、設置や撤去が簡単に行えると、悪意を持った者による端末の盗難が懸念されるため、上述の据え置き型セルフ写真プリント装置にはない新たなセキュリティ対策が必要とされる。
【0004】
プリンタの不正使用を防止するための対策として、例えば特許文献1、2に示すような技術が提案されている。特許文献1のプリンタはワンタイムパスワードによる認証処理をサーバとの間で実行し、ワンタイムパスワードによる認証結果が成功の場合に外部機器からダウンロードしたコマンドを所定時間有効化するというものである。また、特許文献2では、携帯端末からプリンタに対しプリント指示を行う場合に、携帯端末によってプリンタに表示されるプリンタIDやワンタイムパスワードを撮影し、撮影画像とともに印刷ジョブを管理サーバに送信して登録し、プリンタは管理サーバに登録されたジョブとともに登録されたワンタイムパスワードを取得して認証を行い、認証成功した場合に取得したジョブを実行するシステムについて記載されている。これにより携帯端末がプリンタの目の前に存在すれば印刷が実行可能になり、プリンタの目の前に存在しない端末からの印刷を防いで不正な印刷の発生を抑制することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-042586号公報
【文献】特開2011-198017号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】" PrintRush(登録商標)"、[online]、令和2年10月31日検索]、インターネット、<URL: https://www.dnpphoto.jp/products/printrush/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献に記載されるプリンタの不正使用への対策に加え、端末の不正な持ち出しについてはより万全の対策が必要である。例えば、端末内に保存されたコンテンツ画像(例えば、野球選手の販売用画像データ)が盗まれ、個人のSNS等にアップロードされて拡散されてしまうとサービス提供業者は大きな被害を負う。また、端末内のサーバへの接続情報が悪用されると、サーバへの大量アクセスによる攻撃やサーバ内の画像の盗難被害も懸念される。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、端末の盗難や不正使用による被害を最小限に抑えつつ、省スペースかつ設置や撤去を簡単に行うことが可能な印刷物販売システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するための第1の発明は、印刷物の注文を受け付ける販売用端末と、前記印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとがネットワークを介して通信接続される印刷物販売システムであって、前記販売用端末は、前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段と、前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶する記憶手段と、前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段と、前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力して前記プリンタに印刷させる出力手段と、前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段と、前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワードとを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段と、を備えることを特徴とする印刷物販売システムである。
【0010】
第1の発明によれば、販売用端末は、接続可能なプリンタの情報を予め記憶しており、接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行してプリンタに出力する。そしてワンタイムパスワードを用いた認証後に印刷物プリント用アプリケーションを起動する。これにより、予め接続可能なプリンタとして登録されたプリンタ以外のプリンタに販売用端末を接続してもワンタイムパスワードは発行されず、販売用端末の印刷物プリント用アプリケーションを起動することができない。そのため、万が一、販売用端末が盗まれたとしても、その不正使用を防ぐことができる。
【0011】
第1の発明において、前記印刷物プリント用アプリケーションは、前記起動手段による起動時に前記サーバにアクセスし、前記販売用画像を取得するための認証情報を取得し、取得した認証情報を用いて前記販売用画像を前記サーバからダウンロードすることを特徴とする。これにより、印刷物プリント用アプリケーションを起動した際にサーバから認証情報を取得し、取得した認証情報を用いて販売用画像をサーバからダウンロードする。そのため、万が一、販売用端末が盗まれても販売用画像をサーバからダウンロードすることができない。従って、商品である販売用画像を守ることができる。
【0012】
前記印刷物プリント用アプリケーションは、更に所定時間間隔で前記サーバにアクセスし、前記認証情報を用いて前記販売用画像を前記サーバからダウンロードすることが望ましい。これにより、販売用画像を所定時間間隔でダウンロードすることができるため、試合やイベントの開催中に販売する画像を増やすことができる。ライブフォトサービスに好適なシステムを提供できる。
【0013】
また、前記販売用端末は、前記プリンタとの接続が切断された際に、前記記憶手段に記憶されている前記販売用画像、前記認証情報、顧客の個人情報、及びその他の秘匿な情報を削除するとともに、前記印刷物プリント用アプリケーションを停止する制御手段を更に備えることが望ましい。これにより、販売用端末が盗まれても、端末内の秘匿なデータ(販売用画像、認証情報、顧客の個人情報等)が削除され、印刷物プリント用アプリケーションが停止されているため、盗難の被害が端末の紛失にとどまり、データの拡散や不正利用、サーバへの攻撃といった被害を抑制できる。
【0014】
前記出力手段は、前記ワンタイムパスワードをコード化して前記プリンタに印刷させる。これによりプリンタから印刷されたコードを読み取って認証処理を行うことができる。
【0015】
前記ワンタイムパスワードは前記販売用端末により生成される。或いは、前記ワンタイムパスワードは前記サーバにより生成され、前記販売用端末に送信されるようにしてもよい。
【0016】
前記販売用端末は持ち運び可能なタブレット端末であることが望ましい。これにより、当該印刷物販売システムの設置や撤去が容易となり利便性が向上する。
【0017】
第2の発明は、印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとネットワークを介して通信接続され、印刷物の注文を受け付ける販売用端末であって、前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段と、前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶する記憶手段と、前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段と、前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力して前記プリンタに印刷させる出力手段と、前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段と、前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワードとを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段と、を備えることを特徴とする販売用端末である。
【0018】
第2の発明により、第1の発明の印刷物販売システムにおける販売用端末を提供できる。
【0019】
第3の発明は、印刷物の注文を受け付ける販売用端末と、前記印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとがネットワークを介して通信接続される印刷物販売システムにおけるアプリケーション起動方法であって、前記販売用端末が、前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信するステップと、前記接続可能なプリンタの情報を予め記憶するステップと、前記接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するステップと、前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力して前記プリンタに印刷させるステップと、前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るステップと、前記読み取ったワンタイムパスワードと前記発行されたワンタイムパスワードとを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動するステップと、を含むことを特徴とするアプリケーション起動方法である。
【0020】
第3の発明によれば、販売用端末は、接続可能なプリンタの情報を予め記憶し、接続可能なプリンタとして予め記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行してプリンタに出力する。そしてワンタイムパスワードを用いた認証後に印刷物プリント用アプリケーションを起動する。これにより、予め接続可能なプリンタとして登録されたプリンタ以外のプリンタに販売用端末を接続してもワンタイムパスワードは発行されず、販売用端末の印刷物プリント用アプリケーションを起動することができない。そのため、販売用端末の不正使用を防ぐことができる。
【0021】
第4の発明は、印刷物の画像データである販売用画像を管理するサーバとネットワークを介して通信接続されたコンピュータを、印刷物の注文を受け付ける販売用端末であって、前記販売用端末の端末IDに紐付く、前記販売用端末と接続可能なプリンタの情報を前記サーバから受信する受信手段、前記接続可能なプリンタとして予め記憶部に記憶されたプリンタの接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行するワンタイムパスワード発行手段、前記ワンタイムパスワードを前記プリンタに出力して前記プリンタに印刷させる出力手段、前記プリンタにより印刷されたワンタイムパスワードを読み取るワンタイムパスワード読取手段、前記読み取ったワンタイムパスワードと前記ワンタイムパスワード発行手段により発行されたワンタイムパスワードとを照合し、一致した場合は認証成功として印刷物プリント用アプリケーションを起動する起動手段、を備える販売用端末として機能させるためのプログラムである。
【0022】
第4の発明により、コンピュータを第1及び第2の発明の販売用端末として機能させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、端末の盗難や不正使用による被害を最小限に抑えつつ、省スペースかつ設置や撤去を簡単に行うことが可能な印刷物販売システム等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】(a)端末情報311のデータ構成、(b)プリンタ情報312のデータ構成、(c)プリンタ登録情報313のデータ構成の例を示す図
【
図12】販売用端末2の記憶部202に記憶されるデータの例を示す図
【
図14】初期設定工程における処理の流れを示すフローチャート
【
図15】会場設置工程における処理の流れを示すフローチャート
【
図16】注文工程における処理の流れを示すフローチャート
【
図17】撤去工程における処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の実施形態に係る印刷物販売システム1の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の印刷物販売システム1は、サーバ3、販売用端末2、及び利用者端末5がネットワーク6を介して通信接続されて構成される。販売用端末2は写真等の印刷物の販売会場に設置される端末であり、持ち運び可能なタブレット端末等により構成される。販売用端末2には所定のプリンタ4が接続可能となっている。プリンタ4も販売会場に設置される。販売用端末2及びプリンタ4の設置個数は1会場につき複数でもよい。サーバ3は、印刷物販売システム1において販売する印刷物の元となる画像データ(販売用画像322)を記憶・管理するとともに、販売会場に設置される販売用端末2やプリンタ4の管理、及び決済情報の管理を行うコンピュータである。サーバ3は、1つのコンピュータで構成してもよいし、機能毎にそれぞれ別のコンピュータで構成してもよい。利用者端末5は、印刷物販売システム1を利用して印刷物を購入する購入者(利用者)が決済処理を行うための端末であり、利用者が所持するスマートフォン等である。利用者端末5はインターネットブラウザを搭載している。
【0027】
まず、サーバ3の構成について説明する。
図2はサーバ3のハードウェア構成を示す図であり、
図3はサーバ3の機能構成を示す図である。
図2に示すように、サーバ3は、制御部301、記憶部302、通信制御部303、入力部304、表示部305、及び周辺機器I/F部306等をバス307等により接続して構成したコンピュータにより実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0028】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス307を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。制御部301は、上記プログラムを読み出して実行することにより、サーバ3の各手段として機能する。
【0029】
記憶部302は、例えば、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部302には制御部301が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティングシステム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。また、サーバ3の記憶部302には、
図3に示すように、端末情報311、プリンタ情報312、プリンタ登録情報313、画像管理情報321、販売用画像322、注文履歴情報331、決済情報332、及びユーザ情報333等のデータが記憶される。これらのデータの詳細については後述する。
【0030】
通信制御部303は、通信制御装置及び通信ポート等を有し、ネットワーク6等との通信を制御する。ネットワーク6は、LAN(Local Area Network)や、より広域に通信接続されたWAN(Wide
Area Network)、またはインターネット等の公衆の通信回線、基地局等を含む。ネットワーク6は有線、無線を問わない。サーバ3はネットワーク6を介して販売会場に設置された販売用端末2や利用者端末5と通信接続し、各種のデータを送受信する。
【0031】
入力部304は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等のポインティング・デバイス、テンキー等の入力装置であり、データを制御部301へ入力する。
【0032】
表示部305は、例えば液晶パネル、CRTモニタ等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部301の制御により入力された表示情報をディスプレイ装置上に表示させる。なお、入力部304及び表示部305は、表示画面にタッチパネル等の入力装置を一体的に設けたタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0033】
周辺機器I/F(インタフェース)部306は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部306を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部306は、USB等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
バス307は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0034】
図3に示すようにサーバ3は、端末・プリンタ情報管理部31、画像管理部32、決済処理部33等の機能部を有する。端末・プリンタ情報管理部31、画像管理部32、及び決済処理部33はそれぞれ別のコンピュータで構成されてもよいし、1つのコンピュータに搭載されてもよい。サーバ3には、コンピュータを端末・プリンタ情報管理部31、画像管理部32、決済処理部33として機能させるための各アプリケーションプログラムがインストールされ、サーバ3の制御部301がそれらのアプリケーションプログラムに従って処理を実行することでサーバ3を端末・プリンタ情報管理部31、画像管理部32、決済処理部33として機能させることができる。
【0035】
端末・プリンタ情報管理部31は、印刷物販売システム1で使用される販売用端末2の管理情報である端末情報311、プリンタ4の管理情報であるプリンタ情報312、販売用端末2とプリンタ4との組み合わせが登録されたプリンタ登録情報313を管理する。端末情報311、プリンタ情報312、及びプリンタ登録情報313はサーバ3の記憶部302に記憶される。また、これらの情報に基づいて、接続可能なプリンタ4の情報が各販売用端末2にそれぞれ登録される。
【0036】
端末情報311は、
図4(a)に示すように、販売用端末2の端末ID(端末名)と各販売用端末2を一意に特定する情報である端末識別情報とが紐づけて記憶される。端末識別情報は、例えば、macアドレスやSIMカードの固有番号等である。
【0037】
プリンタ情報312は、
図4(b)に示すように、プリンタ4のプリンタID(プリンタ名)と各プリンタ4を一意に特定する情報であるプリンタ識別情報とが紐づけて記憶される。プリンタ識別情報は例えば、macアドレス等である。
【0038】
プリンタ登録情報313は、販売用端末2と、その販売用端末2に接続可能なプリンタ4との組み合わせを予め登録した情報である。プリンタ登録情報313は、
図4(c)に示すように、販売用端末2の端末IDと接続可能なプリンタ4のプリンタIDとが紐づけて記憶される。
図4(c)の例では、販売用端末2aは、プリンタ4a、4bと接続可能であり、販売用端末2bは、プリンタ4cと接続可能であり、販売用端末2cは、プリンタ4a、4cと接続可能であることが登録されている。
【0039】
サーバ3の端末・プリンタ情報管理部31は、端末情報311、プリンタ情報312、及びプリンタ登録情報313の登録処理を初期設定工程(販売用端末2やプリンタ4が販売会場に設置される前)において行う。初期設定工程では、販売用端末2に接続可能なプリンタ4の情報が登録される。具体的には、販売用端末2がサーバ3にアクセスして接続可能なプリンタ4の情報取得を要求すると、サーバ3はプリンタ登録情報313に基づいてその販売用端末2に接続可能なプリンタ4のプリンタ情報312(プリンタID及びプリンタ識別情報)を送信する。例えば、販売用端末2aから接続可能なプリンタ4の情報取得が要求された場合は、接続可能なプリンタ4としてプリンタ登録情報313に登録されているプリンタ4aとプリンタ4bのプリンタ情報312を返送する。
【0040】
画像管理部32は、印刷物販売システム1で販売される印刷物の原画像データである販売用画像322を記憶するとともに、販売用画像322の管理情報である画像管理情報321を記憶する。画像管理情報321及び販売用画像322は、サーバ3の記憶部302に記憶される。
【0041】
画像管理情報321には、
図5に示すように、画像配信先とする販売用端末2と画像の保存先(画像フォルダ)との組み合わせが記憶される。
図5の例では、販売用端末2aに配信する販売用画像322の保存先はフォルダAとし、販売用端末2bに配信する販売用画像322の保存先はフォルダBとし、販売用端末2cに配信する販売用画像322の保存先はフォルダCとすることが定められている。フォルダA、B、Cはいずれもサーバ3の記憶部302に設けられる記憶領域である。
【0042】
販売用画像322は、印刷物販売システム1で販売される印刷物の原画像データであり、画像処理端末(不図示)等で販売用に処理された画像がサーバ3にアップロードされる。サーバ3の制御部301は、画像処理端末からアップロードされた画像データに、
図6に示すように画像IDや印刷物番号(販売時に使用される写真番号)等の付加情報を付加して、所定の画像保存先に保存する。販売用画像322の保存先は、
図5に示す画像管理情報321によって管理される。例えば、イベントで撮影された写真を即時販売するライブフォトサービスの場合、イベントの進行中に販売用画像322が随時サーバ3にアップロードされ、画像保存先に保存される。
【0043】
決済処理部33は、
図3に示すように、注文履歴情報331、決済情報332、及びユーザ情報333等を管理し、決済に関する処理を行う。注文履歴情報331は、販売用端末2にて受け付けた注文の履歴を記録した情報であり、
図7に示すように、各注文の注文識別番号、注文日時、及び決済情報ID等が記録される。決済情報IDは、各注文の決済情報332が生成された際に発行される識別情報である。決済情報332は、
図8に示すように決済情報ID、支払い金額、決済用URL、支払い完了フラグ等が記憶される。決済用URLは、利用者がオンライン決済を行うための決済サイトのURLであり、注文毎に決済処理部33により生成され、販売用端末2に通知される。決済処理は、利用者のスマートフォン等の端末(利用者端末5)と決済処理部33との間で決済サイトを介して行われる。支払い完了フラグは、未決済の場合に「0」、決済が完了した場合に「1」の値がセットされる。決済処理部33は、支払い(決済処理)が完了すると、決済情報332の支払い完了フラグの値を「1」に更新するとともに、販売用端末2に対してプリント指示を送信する。
【0044】
ユーザ情報333は、印刷物販売システム1の利用者(ユーザ)に関する情報であり、
図9に示すように、ユーザID、氏名、メールアドレス、住所等の個人情報やポイント情報(不図示)が記憶される。ポイント情報は、印刷物販売システム1における印刷物の注文回数や注文量等に応じて付与されるポイントが累積して記憶される。
【0045】
次に、販売用端末2について説明する。
図10は販売用端末2のハードウェア構成を示す図であり、
図11は販売用端末2の機能構成を示す図である。
図10に示すように、販売用端末2は、例えば制御部201、記憶部202、通信制御部203、タッチパネルディスプレイ204、カメラ205、及び周辺機器I/F部206等をバス207等により接続して構成したタブレット端末により実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0046】
制御部201、記憶部202、通信制御部203、及び周辺機器I/F部206の構成は、サーバ3の制御部301、記憶部302、通信制御部303、及び周辺機器I/F部306と略同様である。なお、販売用端末2の通信制御部203は、ネットワーク6への通信のみならず、プリンタ4と通信接続するための無線LAN(Wi-Fi)やBluetooth(登録商標)等を備える。なお、販売用端末2とプリンタ4との接続は、無線接続でも有線接続でもよい。
【0047】
タッチパネルディスプレイ204は、液晶パネル等のディスプレイ(表示部)にタッチパネル(入力部)を一体的に設けた装置である。タッチパネルディスプレイ204は、制御部201の制御により入力された表示用データをディスプレイに表示させるとともに、タッチパネルへの操作により入力されたデータを制御部201へ入力する。
【0048】
カメラ205は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を用いたカメラであり、撮影した画像を制御部201に入力する。
【0049】
プリンタ4は、販売用画像322を所定の用紙に印刷する装置であり、販売用端末2の周辺機器I/F部206または通信制御部203を介して販売用端末2と接続される。プリンタ4の方式や設置台数等は特に問わない。本発明において、プリンタ4を接続可能な販売用端末2は初期設定によって予め登録されている。すなわち、予め登録されていないプリンタは販売用端末2に接続できない。そのため、万が一、販売用端末2が盗み出されても、その販売用端末2を一般のプリンタと接続することはできない。
【0050】
図11を参照して、販売用端末2の機能構成について説明する。
販売用端末2は、
図11に示すように、ワンタイムパスワード発行部21、ワンタイムパスワード出力部22、ワンタイムパスワード読取部23、印刷物プリント用アプリケーション起動部24、印刷物プリント用アプリケーション25、及びプリンタ切断時処理部26等の機能部を備える。
【0051】
販売用端末2には、コンピュータをワンタイムパスワード発行部21、ワンタイムパスワード出力部22、ワンタイムパスワード読取部23、印刷物プリント用アプリケーション起動部24、及びプリンタ切断時処理部26として機能させるための各アプリケーションプログラム、及び印刷物プリント用アプリケーション25が初期設定により予めインストールされている。販売用端末2の制御部201がそれらのアプリケーションプログラムに従った処理を実行することで、ワンタイムパスワード発行部21、ワンタイムパスワード出力部22、ワンタイムパスワード読取部23、印刷物プリント用アプリケーション起動部24、及びプリンタ切断時処理部26の機能を実現する。
【0052】
販売用端末2の記憶部202には、接続可能なプリンタ4の情報(接続可能として登録されたプリンタ4のプリンタ情報312)が初期設定により予め記憶される。
図12は、販売用端末2の記憶部202に記憶されるデータを示す図である。
図12に示すように、記憶部202には、各種アプリケーション221(コンピュータをワンタイムパスワード発行部21として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード出力部22として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード読取部23として機能させるためのアプリケーション、印刷物プリント用アプリケーション起動部24として機能させるためのアプリケーション、プリンタ切断時処理部26として機能させるためのアプリケーション、及び印刷物プリント用アプリケーション25を含む)、及びプリンタ情報222(接続可能として登録されたプリンタ4のプリンタ情報312)が予め登録される。また、後述する処理により取得するAPIキー(画像ダウンロード用認証情報)223や販売用画像224、注文情報225、注文履歴情報226、ユーザ情報227、及びログ228等が記憶部202に記憶される。
【0053】
ワンタイムパスワード発行部21は、接続可能なプリンタとして予め登録されたプリンタ4の接続を認識すると、ワンタイムパスワードを発行する。ワンタイムパスワードとは、有効期限付きのパスワードであり、例えば、パスワードの値「****」に有効期限(発行時刻+N時間;N>0)を付加したデータである。パスワードの値はプリンタ4の接続の都度ランダムに生成され、RAMに保持される。
【0054】
ワンタイムパスワード出力部22は、ワンタイムパスワード発行部21により発行されたワンタイムパスワードをQRコード(登録商標)等のコードに変換し、接続されたプリンタ4に印刷させる。プリンタ4によるQRコード(ワンタイムパスワード)の印刷は、例えば会場スタッフがプリントボタンを押下することで開始される。
【0055】
ワンタイムパスワード読取部23は、プリンタ4から印刷出力されたQRコード(ワンタイムパスワード)を読み取る。例えば、販売用端末2のカメラ205を印刷されたQRコードにかざすことにより、QRコード(ワンタイムパスワード)が読み取られる。
【0056】
印刷物プリント用アプリケーション起動部24は、ワンタイムパスワードによる認証処理を行い、認証成功した場合に、印刷物プリント用アプリケーション25を起動する。すなわち、ワンタイムパスワード読取部23により読み取ったワンタイムパスワードと、ワンタイムパスワード発行部21が生成しRAMに保持したワンタイムパスワードとを照合し、一致すれば認証成功として印刷物プリント用アプリケーション25を起動する。認証失敗した場合は、印刷物プリント用アプリケーション25を起動せず、再度ワンタイムパスワード(QRコード)の読取りを要求する。所定回数、認証が失敗した場合は、発行されたワンタイムパスワードを無効とし、プリンタ4の接続を切断する。
【0057】
印刷物プリント用アプリケーション25は、販売される印刷物の注文受付や印刷処理を実行するためのアプリケーションプログラムであり、画像ダウンロード用認証情報取得部251、画像ダウンロード部252、注文受付部253、プリント処理部254等の機能部を含む。すなわち、制御部201が印刷物プリント用アプリケーション25を実行することにより、販売用端末2を画像ダウンロード用認証情報取得部251、画像ダウンロード部252、注文受付部253、プリント処理部254として機能させることができる。
【0058】
画像ダウンロード用認証情報取得部251は、印刷物プリント用アプリケーション起動部24により印刷物プリント用アプリケーション25が起動されると、サーバ3にアクセスし、サーバアプリケーションに接続する。そして印刷物の印刷や販売用画像322の取得(ダウンロード)を行うための認証情報(APIキー223)の取得をサーバ3に要求し、サーバ3からAPIキー223を取得する。取得したAPIキー223はRAMまたは記憶部202に記憶される。
【0059】
画像ダウンロード部252は、サーバ3から取得したAPIキー223を用いて販売用画像322の取得をサーバ3に要求し、サーバ3の所定の画像フォルダ内の販売用画像322をダウンロードする。画像ダウンロード部252による画像のダウンロードは、印刷物プリント用アプリケーション25の起動時と、その後、数分に1回など所定の時間間隔で定期的に行うものとする。これより、イベント中に撮影された画像を順次取得して、即時販売することができる。
【0060】
注文受付部253は、注文受付画面をタッチパネルディスプレイ204に表示して注文(画像の選択、数量の入力)を受け付ける。注文受付部253は、注文内容に基づいて支払い金額を算出し、タッチパネルディスプレイ204に表示する。注文内容が確定されると、ユーザIDやポイントカード番号の入力、決済方法等の入力を受け付け、当該注文の注文情報225を生成する。その後、注文情報225に付与した注文識別番号と支払い金額の情報を、注文日時とともにサーバ3に送信する。また、注文受付部253は、注文識別番号及び注文日時と、サーバ3から通知された決済情報IDとを紐づけた注文履歴情報226を生成し、販売用端末2の記憶部202に記録する。
【0061】
図13は、注文情報225の一例を示す図である。
図13に示すように、注文情報225には、注文者のユーザID、注文毎に付与される注文識別番号、注文内容に応じた支払い金額、決済方法、及び注文の内容(印刷物番号及び数量)が記録される。
【0062】
注文履歴情報226は、
図7に示す注文履歴情報331と同様のデータであり、注文情報225に付された注文識別番号と注文日時、及びサーバ3から通知された決済情報IDが紐づけて記録されたデータである。
【0063】
販売用端末2の注文受付部253は、注文識別番号や支払い金額等をサーバ3に送信した後にサーバ3から送信される決済処理用URLを受信すると、その決済処理用URLのコード(QRコード等)をタッチパネルディスプレイ204に表示する。利用者は利用者端末5でQRコードを読み取り、インターネットブラウザで決済処理用URLにアクセスすることにより、当該注文の決済処理を行うための専用の決済サイトにアクセスできる。また、利用者が決済サイトで決済を完了すると、決済サイトからサーバ3に決済完了の通知が送られ、サーバ3は販売用端末2にその注文のプリント指示を送信する。
【0064】
販売用端末2のプリント処理部254は、サーバ3からプリント指示を受信すると、接続されたプリンタ4に対し注文内容に応じたプリント指示を送信する。プリンタ4はプリント指示に従って印刷物を印刷する。その後、注文者は印刷された印刷物を受け取ることができる。
【0065】
プリンタ切断時処理部26は、プリンタ4との接続が切断された際に、記憶部202に記憶されている販売用画像224、画像ダウンロード用認証情報(APIキー)223、顧客の個人情報(ユーザ情報227)、及びその他の秘匿な情報(注文情報225、注文履歴情報226、印刷物プリントのログ228等)を削除するとともに、印刷物プリント用アプリケーション25を停止する。プリンタ4との接続が切断されるのは、撤去作業時のみならず販売会場から販売用端末2が持ち出される場合を含む。販売用端末2内のデータを削除することで、販売用画像224や画像ダウンロード用認証情報(APIキー)223、顧客の個人情報(ユーザ情報227)等が盗まれたり不正に使用されたりすることを防ぐことができる。
【0066】
次に、
図14~
図17を参照して印刷物販売システム1において実行される処理について説明する。本実施形態では、イベント会場で撮影された写真(印刷物)を販売するサービスに本発明の印刷物販売システム1を利用する例について説明する。
【0067】
まず
図14を参照して初期設定工程について説明する。初期設定工程は、販売用端末2やプリンタ4を販売会場で使用する前に行われる設定作業である。
【0068】
図14に示すように、販売用端末2の制御部201は、まず、各種アプリケーションプログラムのインストールを行う(ステップS101)。具体的には、コンピュータをワンタイムパスワード発行部21として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード出力部22として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード読取部23として機能させるためのアプリケーション、印刷物プリント用アプリケーション起動部24として機能させるためのアプリケーション、プリンタ切断時処理部26として機能させるためのアプリケーション、及び印刷物プリント用アプリケーション25のインストールを行う。
【0069】
一方、サーバ3(端末・プリンタ情報管理部31)は、販売用端末2の登録処理(ステップS102)、プリンタ4の登録処理(ステップS103)、販売用端末2とプリンタ4の組み合わせの登録処理(ステップS104)を行う。販売用端末2の登録処理により
図4(a)に示す端末情報311がサーバ3の記憶部302に登録され、プリンタ4の登録処理により
図4(b)に示すプリンタ情報312がサーバ3の記憶部302に登録され、販売用端末2とプリンタ4の組み合わせの登録処理により
図4(c)に示すプリンタ登録情報313がサーバ3の記憶部302に登録される。
【0070】
販売用端末2は、各種アプリケーションのインストールが完了すると、サーバ3に対して接続可能なプリンタ4の情報を要求する(ステップS105)。サーバ3は販売用端末2からの要求を受信すると(ステップS106)、記憶部302のプリンタ登録情報313を参照して要求元の販売用端末2に接続可能なプリンタ4のプリンタIDを取得し、取得したプリンタID及びプリンタIDに紐づけられたプリンタ識別情報(プリンタ情報312)を販売用端末2に送信する(ステップS107)。販売用端末2は、サーバ3から接続可能なプリンタ4のプリンタ情報312を取得する(ステップS108)。販売用端末2は接続されたプリンタ4と通信接続してプリンタ4を認識(認証完了)する(ステップS109)。以上の処理により、納品前(会場設置前)の初期設定作業が完了する。
【0071】
次に、
図15を参照して会場設置工程について説明する。
図15に示すように、サーバ3(画像管理部32)は、画像処理端末(不図示)から販売用画像322がアップロードされると、それらの販売用画像322を画像配信先の販売用端末2毎にフォルダ分けして登録する(ステップS201)。販売用画像322の保存先フォルダは、予め画像管理情報321に設定されている。
【0072】
販売会場に販売用端末2とプリンタ4が搬入されると、会場スタッフにより販売用端末2とプリンタ4との接続作業が行われる(ステップS202)。ステップS202において、予め設定された接続可能な組み合わせ(プリンタ登録情報313に登録された組み合わせ)で販売用端末2とプリンタ4とが接続されない場合は、販売用端末2はプリンタ4を認識しないものとする。正しい組み合わせで販売用端末2とプリンタ4とが接続された場合は、販売用端末2はプリンタ4の接続を認識し、ワンタイムパスワード発行部21によりワンタイムパスワードを発行する(ステップS203)。未登録のプリンタが販売用端末2に接続されてもワンタイムパスワードは発行されない。
【0073】
なお、ワンタイムパスワード発行部21は
図11に示すように販売用端末2側に設けてもよいし、サーバ3側に設けてもよい(
図3のワンタイムパスワード発行部314)。サーバ3側にワンタイムパスワード発行部314を設ける場合は、販売用端末2がプリンタ4を認識すると、サーバ3に対してワンタイムパスワードの発行を要求する。サーバ3のワンタイムパスワード発行部314は販売用端末2からの要求に応答してワンタイムパスワードを生成・発行し、販売用端末2に送信する。販売用端末2はサーバ3で発行されたワンタイムパスワードを受信してRAMに保持する。また、販売用画像322を取得(ダウンロード)するための認証情報(APIキー)223は可変とすることが望ましい。例えば、ワンタイムパスワードと連動させてAPIキー223を可変とする。或いは、ワンタイムパスワードの一部にAPIキー223を含める。
【0074】
販売用端末2のワンタイムパスワード出力部22は、ステップS203で発行したワンタイムパスワードをQRコード等のコードに変換し(ステップS204)、会場スタッフによる操作に応じて、接続されているプリンタ4からQRコードを印刷出力させる(ステップS205)。なお、ワンタイムパスワードは必ずしもコード化する必要はなく、文字列をそのまま印刷するようにしてもよい。
【0075】
会場スタッフは販売用端末2のカメラ205を印刷されたQRコード(ワンタイムパスワード)にかざし、読み取らせる(ステップS206)。販売用端末2の制御部201は、ステップS206で読み取ったワンタイムパスワードがステップS203で発行されたワンタイムパスワードと一致するか否かを判断し、一致する場合は、認証成功として印刷物プリント用アプリケーション25を起動する(ステップS207)。ステップS206で読み取ったワンタイムパスワードとステップS203で発行されたワンタイムパスワードとが一致しない場合は認証失敗であり、印刷物プリント用アプリケーション25の起動を行わず、再度ワンタイムパスワードの読取りを要求する。所定の回数、認証失敗した場合は、ステップS203で発行されたワンタイムパスワードを無効とし、プリンタ4の接続を切断する。
【0076】
ステップS207の処理により印刷物プリント用アプリケーション25が起動されると、販売用端末2はサーバ3にアクセスし、サーバアプリケーションに接続する(ステップS208)。そして印刷物の印刷や販売用画像322の取得(ダウンロード)を行うために必要な認証情報(APIキー223)の取得をサーバ3に要求する(ステップS209)。サーバ3は、販売用端末2からAPIキー223の取得要求を受信すると(ステップS210)、APIキー223を販売用端末2に送信する(ステップS211)。販売用端末2はサーバ3から送信されたAPIキー223を受信し、記憶部202に記憶する(ステップS212)。
【0077】
販売用端末2は、サーバ3から取得したAPIキー223を用いて販売用画像322の取得(ダウンロード)をサーバ3に要求する(ステップS213)。サーバ3は、販売用端末2から販売用画像322のダウンロード要求を受信すると(ステップS214)、要求元の販売用端末2の端末IDを確認し(ステップS215)、画像管理情報321に基づいて販売用端末2に配信する画像が保存された画像フォルダを認識し、該当する画像フォルダ内の販売用画像322を販売用端末2に送信する(ステップS216)。販売用端末2は、サーバ3から販売用画像322(224)をダウンロードし、記憶部202に記憶する(ステップS217)。以上の処理により、販売前の会場設置作業及び販売用画像322(224)の準備(ダウンロード)作業が終了する。
【0078】
上述の初期設定工程及び会場設置工程はスタッフが操作しながら実行されるものであるが、次の注文工程は利用者(注文者)が販売用端末2の操作を行う。
図16を参照して注文工程について説明する。販売用端末2は、上述の初期設定工程及び会場設置工程により、印刷物プリント用アプリケーション25が起動された状態となっている。制御部201は印刷物プリント用アプリケーション25に従って処理を実行する。
【0079】
販売用端末2の制御部201は、タッチパネルディスプレイ204へのタッチ操作を検知すると注文受付画面を表示し(ステップS301)、注文(画像の選択や数量の入力)を受け付ける。注文受付画面には、例えば、記憶部202に記憶されている販売用画像224(サーバ3からダウンロードした販売用画像322)のサムネイル画像や画像選択欄、数量入力欄等が設けられる。また、注文者のユーザ情報(氏名、メールアドレス、住所等)を入力するための入力フォームや決済方法の入力欄が設けられる。なお、注文者が事前に印刷物販売システム1の利用者登録を行っており、ユーザID(会員番号等)が付与されている場合は、入力フォームにユーザID及びユーザ認証用パスワードを入力することでユーザ情報(氏名、メールアドレス、住所等)の入力を省略できる。
【0080】
利用者により画像が選択され、数量が入力されると(ステップS302)、制御部201は注文内容の合計額(支払い金額)を算出し、表示する(ステップS303)。利用者により、注文内容や支払い金額が確認されると制御部201は、注文内容を確定する(ステップS304)。ステップS304において、制御部201は注文識別番号を発行し、注文情報225(
図13)を生成、記憶するとともに、注文履歴情報226に注文識別番号、注文日時等を登録する。この段階で、注文情報225にはユーザID(またはユーザ情報)、注文識別番号、支払い金額、注文内容(選択された画像の印刷物番号とその数量)、及び決済方法が格納される。販売用端末2は注文情報225の注文識別番号や支払い金額を注文日時とともにサーバ3に送信する(ステップS305)。
【0081】
サーバ3は、販売用端末2から注文識別番号や支払い金額の情報を受理すると(ステップS306)、決済サーバ(決済処理部33)に注文識別番号や支払い金額の情報を通知する(ステップS307)。決済サーバ(決済処理部33)は注文識別番号や支払い金額の情報を受理すると(ステップS308)、決済情報IDを発行し、注文識別番号と紐づけて注文履歴情報331に格納する。また決済サーバ(決済処理部33)は、決済情報IDと支払い金額とを紐づけた決済情報332(
図8)を生成し、決済専用の決済処理用URLをサーバ3に通知する(ステップS309)。決済処理用URLは決済情報332に格納され、決済情報332の支払完了フラグは「0」に設定される。サーバ3は決済処理用URLをQRコード等のコードに変換し、販売用端末2に送信する(ステップS310)。
【0082】
販売用端末2は、サーバ3から決済処理用URLのQRコード(決済用コード)を受信するとタッチパネルディスプレイ204に表示する(ステップS311)。このとき販売用端末2は、「QRコードをスマートフォンで読み取ってください」といったメッセージを表示してもよい。
【0083】
利用者は、販売用端末2に表示された決済用コードを利用者端末5で読取り、利用者端末5のインターネットブラウザを用いて決済処理用URLで指定される決済サイトにアクセスする(ステップS312)。
【0084】
利用者は利用者端末5でアクセスした決済サイトでオンライン決済処理を行う(ステップS313)。決済処理が完了すると、決済サーバ(決済処理部33)は決済が完了した旨の通知をサーバ3に送る(ステップS314)。
【0085】
サーバ3は、決済完了通知を受信すると(ステップS315)、決済情報332の支払完了フラグを「1」にセットして決済の完了を登録する(ステップS316)。そしてサーバ3は決済が完了した注文の注文識別番号とともにプリント指示を販売用端末2に送信する(ステップS317)。
【0086】
販売用端末2は、注文識別番号及びプリント指示をサーバ3から受信すると(ステップS318)、注文識別番号に紐づけられた注文情報225を読み出し、プリンタ4に注文された印刷物の販売用画像224を送信し(ステップS319)、注文内容にしたがって印刷処理を実行させる(ステップS320)。
【0087】
以上の注文工程の処理により、注文に応じた印刷物がプリンタ4から印刷される。利用者はプリンタ4から出力された印刷物を受取ることができる。なお、注文工程ではプリンタ4で印刷できない商品(大判サイズ、マグカップ等のグッズ)についても販売用端末2から注文を受け付けるようにしてもよい。その場合、販売用端末2は配送先住所の入力を受け付け、注文識別番号や支払い金額等とともにサーバ3に送信する。サーバ3(決済サーバ)はステップS305~ステップS316の処理と同様に決済処理を行い、決済が完了すると、所定の印刷工場に商品の印刷及び配送を発注する。
【0088】
次に、
図17を参照して撤去工程について説明する。販売用端末2は、上述の初期設定工程、会場設置工程、注文工程を経て、印刷物プリント用アプリケーション25が起動された状態となっており、APIキー223や販売用画像224、注文情報225、注文履歴情報226、ユーザ情報227、ログ228等のデータが記憶部202に記憶された状態となっている。
【0089】
販売が終了し、撤去作業を行う際、会場スタッフにより販売用端末2とプリンタ4との通信が切断される。販売用端末2の制御部201(プリンタ切断時処理部26)は、販売用端末2とプリンタ4との通信接続が切断されると(ステップS401)、販売用端末2に記憶されている所定のデータを削除し(ステップS402)、印刷物プリント用アプリケーション25を停止する(ステップS403)。削除するデータは、上述の処理で取得したAPIキー223や販売用画像224、注文情報225、注文履歴情報226、ユーザ情報227、ログ228等のデータである。なお、販売用端末2と接続可能なプリンタ4の情報や予めインストールされているアプリケーション(コンピュータをワンタイムパスワード発行部21として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード出力部22として機能させるためのアプリケーション、ワンタイムパスワード読取部23として機能させるためのアプリケーション、印刷物プリント用アプリケーション起動部24として機能させるためのアプリケーション、プリンタ切断時処理部26として機能させるためのアプリケーション、及び印刷物プリント用アプリケーション25)については削除しないものとする。データの削除及び印刷物プリント用アプリケーション25の停止後、会場スタッフは販売用端末2及びプリンタ4の電源を切り、片付ける。
【0090】
図17の撤去工程の処理は撤去作業時のみならず、例えば販売用端末2が無断で持ち出される場合にも実行される。これにより、万が一、販売用端末2が盗まれても、販売用端末2内に記憶した販売用画像224、個人情報、認証情報等のデータの漏えいを防ぐことができる。すなわち盗難による被害が端末一台の価値にとどまり、商品である画像の盗難や悪用、SNS等での不正な拡散、サーバ3への不正アクセス等を防ぎ、被害を最小限に抑えることができる。
【0091】
以上説明したように、本発明に係る印刷物販売システム1によれば、販売用端末2毎に接続可能なプリンタ4を登録しておき、プリンタ4と販売用端末2とを接続した時にワンタイムパスワードによる認証を行うため、販売用端末2を持ち出しても家庭用プリンタ等と接続することができず、利用者または運営者による不正利用を防ぐことができる。また、プリンタ4と接続していない時には販売用端末2内に販売用画像や認証情報、個人情報等の秘匿なデータを保持しないため、端末の盗難による被害を最小限に抑えることができる。従って、設置や撤去が簡単なタブレット端末等を販売用端末2として使用するために利便性を損ねることなく、セキュリティ対策を行うことができる。
【0092】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0093】
1・・・・・・・・・・印刷物販売システム
2・・・・・・・・・・販売用端末
3・・・・・・・・・・サーバ
4・・・・・・・・・・プリンタ
5・・・・・・・・・・利用者端末
6・・・・・・・・・・ネットワーク
21・・・・・・・・・ワンタイムパスワード発行部
22・・・・・・・・・ワンタイムパスワード出力部
23・・・・・・・・・ワンタイムパスワード読取部
24・・・・・・・・・印刷物プリント用アプリケーション起動部
25・・・・・・・・・印刷物プリント用アプリケーション
26・・・・・・・・・プリンタ切断時処理部
31・・・・・・・・・端末・プリンタ情報管理部
32・・・・・・・・・画像管理部
33・・・・・・・・・決済処理部(決済サーバ)
221・・・・・・・・アプリケーション
222・・・・・・・・プリンタ情報
223・・・・・・・・APIキー(画像ダウンロード用認証情報)
224・・・・・・・・販売用画像
225・・・・・・・・注文情報
226・・・・・・・・注文履歴情報
227・・・・・・・・ユーザ情報
228・・・・・・・・ログ
251・・・・・・・・画像ダウンロード用認証情報取得部
252・・・・・・・・画像ダウンロード部
253・・・・・・・・注文受付部
254・・・・・・・・プリント処理部
311・・・・・・・・端末情報
312・・・・・・・・プリンタ情報
313・・・・・・・・プリンタ登録情報
314・・・・・・・・ワンタイムパスワード発行部
321・・・・・・・・画像管理情報
322・・・・・・・・販売用画像
331・・・・・・・・注文履歴情報
332・・・・・・・・決済情報
333・・・・・・・・ユーザ情報