(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、硬化膜、遮光フィルタ、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子、及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20241022BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241022BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241022BHJP
C08F 20/30 20060101ALI20241022BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03F7/027 502
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C08F20/30
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2020192443
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】向井 綾子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 駿平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-259716(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037812(WO,A1)
【文献】特開2011-048064(JP,A)
【文献】特開2014-130338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
G03F 7/004
G02B 5/20
C08F 20/30
C08F 290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記重合性化合物(C)が、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)
、及びウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)を含み、
前記9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)が、下記一般式(1)~(3)で表される化合物のいずれか1種である、感光性着色組成物。
一般式(1)
【化1】
(一般式(1)中、R
1
、R
3
は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R
2
、R
4
は、各々独立に、アルキレン基を表し、m、nは、各々独立に1~10の整数を表す。)
一般式(2)
【化2】
(一般式(2)中、R
5
、R
6
は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
一般式(3)
【化3】
(一般式(3)中、R
7
、R
8
は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
【請求項2】
前記9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)のガラス転移温度が、200℃以上である、請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)の含有量が、前記重合性化合物(C)100質量%中、10質量%以上である、請求項1
または2に記載の感光性着色組成物
【請求項4】
前記9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)と前記ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の質量比が、80:20~20:80である、請求項
1~3のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項5】
感光性着色組成物の不揮発分中に前記重合性化合物(C)を1~60質量%含み、
前記9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)と前記ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の合計含有量が、前記重合性化合物(C)100質量%中、40質量%以上である、請求項
1~4のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項6】
前記着色剤(A)として、カーボンブラックを含み、黒色を呈する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項7】
前記着色剤(A)として、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、及び紫色有機顔料から選ばれる少なくとも2種以上の有機顔料を含み、黒色を呈する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【請求項8】
さらに、近赤外線吸収剤(G)を含む、請求項
7に記載の感光性着色組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の感光性着色組成物の硬化物である、硬化膜。
【請求項10】
請求項
9に記載の硬化膜を有する、遮光フィルタ。
【請求項11】
請求項
9に記載の硬化膜を有する、カラーフィルタ。
【請求項12】
請求項
9に記載の硬化膜を有する、画像表示装置。
【請求項13】
請求項
9に記載の硬化膜を有する、固体撮像素子。
【請求項14】
請求項
9に記載の硬化膜を有する、赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や有機エレクトロルミネッセンス等の画像表示装置に用いられるカラーフィルタには、画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリックスと呼ばれる遮光フィルタが備えられている。
また、スマートフォンやタブレット端末等の撮像ユニットに用いられるC-MOS(Complementray Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の固体撮像素子には、ノイズの発生防止や画質の向上等を目的として遮光フィルタが備えられている。
【0003】
遮光フィルタを形成するための組成物として、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材を含む組成物が知られている。例えば、特許文献1には、固体撮像素子の有効画素領域の周縁に配置される塗膜を形成し得る、平均粒子径が40nm以下である黒色着色剤及び樹脂成分を含むことを特徴とする遮光膜形成用組成物が開示されている。また、特許文献2には、光硬化性のエチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、黒色顔料、および平均1次粒子径が20~100nmの中空微粒子を含む光学素子の隔壁形成用感光性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-156801号公報
【文献】特開2011-48195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の組成物から形成した硬化膜は、優れた遮光性を有するが、画像表示装置の入光する光を反射する問題(以下、外光反射という)があった。さらに、光硬化不足によるアルカリ現像後のパターンが欠ける問題、基材からパターンが剥がれる密着性の問題、また、ポストベーク後のパターン表面にシワが発生する問題があった。
【0006】
本発明は、高い遮光性を有し、外光反射を抑制し、現像後に良好なパターン形状、及び密着性を有し、ポストベーク後のシワの発生を抑制できる感光性着色組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記重合性化合物(C)が、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)を含む感光性着色組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
上記の本発明によれば、高い遮光性を有し、外光反射を抑制し、現像後に良好なパターン形状、及び密着性を有し、ポストベーク後のシワの発生を抑制できる提供できる。また、本発明は、硬化膜、遮光フィルタ、カラーフィルタ、画像表示装置、固体撮像素子、および赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、画像表示装置の模式的断面図である。
【
図2】
図2は、固体撮像素子の模式的断面図である。
【
図3】
図3は、赤外線センサの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の感光性着色組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0011】
本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
【0012】
<感光性着色組成物>
本発明は、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び光重合開始剤(D)を含む、感光性着色組成物であって、
前記重合性化合物(C)が、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)を含む、感光性着色組成物である。
【0013】
本発明の感光性着色組成物が本発明の課題を解決できるメカニズムについて、本発明者らは、以下のように推測している。
【0014】
カーボンブラックなどの着色剤を含み、黒色を呈する感光性着色組成物は、広い波長領域にわたって高い遮光性を得ることが可能であることから広く利用されている。しかし、例えば、g線、h線、i線等の紫外線領域の光で感光性着色組成物をパターン露光する際、光が感光性着色組成物層(以下、被膜という)の内部まで届かないため、アルカリ現像時に硬化膜の欠けや剥がれなどの密着不良や、加熱処理(以下、ポストベークとも言う)での内部と表面の熱硬化収縮に差ができることで表面にシワが発生する。そのため、光学濃度が低下し遮光性が悪化する問題があった。
しかし、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)は、一分子中に芳香環を4つ有するため、π―π相互作用により分子同士がスタッキングすることで膜の密着性が向上すると考えられる。また、硬直な構造を有するため硬化時の収縮が起こりにくくシワの発生を抑制すると考えられる。さらに、膜表面に、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)が配向することで、空気層と膜間の屈折率差が小さく抑えられ、高い遮光性を維持しつつ低い反射率を実現できたと推測している。
【0015】
[着色剤(A)]
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)を含む。
【0016】
着色剤(A)は、顔料、及び染料のいずれでもよいが、耐光性、耐熱性、耐溶剤性の観点から、顔料が好ましい。
さらに、より優れた本発明の効果を有する感光性着色組成物が得られる点で、黒色を呈する着色剤(A)を含むことが好ましい。また、単独で黒色を呈しない着色剤(A)を複数組み合わせ、全体として黒色となるように調整して使用することも好ましい。
【0017】
(顔料)
顔料は、特に限定されず、公知の無機顔料、有機顔料を用いることができる。
【0018】
〔無機顔料〕
無機顔料は、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー等が挙げられる。また、黒色の無機顔料は、チタン、及びジルコニウム等の第4族の金属元素、バナジウム及びニオブ等の第5族の金属元素、コバルト、クロム、銅、マンガン、ルテニウム、鉄、ニッケル、錫、並びに銀からなる群より選ばれた1種、又は2種以上の金属元素を含有する金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸窒化物、カーボンブラック等が挙げられる。これらの無機顔料は、2種以上併用してもよく、また、遮光性を高めるために、後述する有機顔料や染料を併用してもよい。なかでも、安価、かつ少量で、高い遮光性を有する膜を形成することができるカーボンブラックがより好ましい。
【0019】
カーボンブラックは、例えば、ランプブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。なかでも、ファーネスブラックが好ましい。
【0020】
カーボンブラックの平均一次粒子径は、10~30nmが好ましく、10~20nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると、遮光性と硬化性を両立し易い。なお、平均一次粒子径は、感光性着色組成物から形成する膜の断面について、走査型電子顕微鏡の拡大画像(およそ千倍~1万倍)に表示された任意の約20個の粒子を平均して求める。なお、粒子に長軸方向および短軸方向の長さがある場合、長軸方向の長さを使用する。
【0021】
カーボンブラックの比表面積は、遮光性の観点から、100~500m2/gが好ましく、150~400m2/gがより好ましい。比表面積の測定方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、カーボンブラック表面に、ヨウ素、窒素(BET法、STSA法)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド等を吸着させ求めることができる。なかでも、窒素BET法が、好ましい。
【0022】
カーボンブラックの市販品は、例えば、三菱ケミカル社製の#30,30L,32,40,44,45,45L,47,52,650,850,900,950,960,980,1000,1000N,2300,2350,2600,2650,3230,3400,4000、MCF88、MA7,8,11,77,100,230,600、CABOT社製のBLACK PEARLS460,800,880,900,1000,4840,1300,1400,L、REGAL330,400,600等が挙げられる。
【0023】
カーボンブラックの含有量は、遮光性の観点から、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、5~30質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。
【0024】
〔有機顔料〕
有機顔料は、例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が挙げることができる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等の赤色有機顔料;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,62,64,71,73等の橙色有機顔料;
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等の黄色有機顔料;
C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等の緑色有機顔料;
C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等の青色有機顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等の紫色有機顔料;
C.I.ピグメントブラック21,30,31,32,33,34等のペリレン化合物、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報に記載されたビスベンゾフラノン化合物、特開平1-170601号公報、特開平2-34664号公報に記載されたアゾメチン化合物等の黒色有機顔料等が挙げられる。これらの中でも、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、及び紫色有機顔料から選ばれる少なくとも2種以上の有機顔料を含むことで黒色を呈する組み合わせが好ましい。
【0025】
前記黒色を呈する組み合わせは、例えば、以下の態様が挙げられる。
・ 黄色有機顔料、及び紫色有機顔料を含有する。
・ 赤色有機顔料、黄色有機顔料、及び紫色有機顔料を含有する。
・ 赤色有機顔料、黄色有機顔料、及び青色有機顔料を含有する。
・ 黄色有機顔料、青色有機顔料、及び紫色有機顔料を含有する。
・ 赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、及び紫色有機顔料を含有する。
【0026】
上記(1)の態様の具体例は、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー138,139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色有機顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(2)の態様の具体例は、赤色有機顔料としてC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、紫色有機顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(3)の態様の具体例は、赤色有機顔料としてC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー138,139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色有機顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種とを含有する態様が挙げられる。
上記(4)の態様の具体例は、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー138,139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色有機顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色有機顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(5)の態様の具体例は、赤色有機顔料としてC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる少なくとも1種と、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー138,139,185,231,233から選ばれる少なくとも1種と、青色有機顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる少なくとも1種と、紫色有機顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
【0027】
上記(1)~(5)の態様のなかでも、遮光性、反射性の観点から、上記(4)の態様が好ましい。
【0028】
上記(4)の態様のなかでも、黄色有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー139と、青色有機顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6と、紫色有機顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23とを含有することがより好ましい。
【0029】
表1に、各態様の各有機顔料の好ましい質量比(質量%)を示す。
【0030】
【0031】
(染料)
染料は、特に限定されず、公知の染料を用いることができる。
【0032】
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化した形態であってもかまわない。
【0033】
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。直接染料は、酸性染料の無機塩、または酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物を形成することが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性着色組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0034】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と造塩化する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0035】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、2種以上の染料を含み、黒色を呈するものが好ましい。
また、黒色の染料は、例えば、ピラゾールアゾ系染料、ピロメテン系染料、アニリノアゾ系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンンジリデン系染料、オキソノール系染料、ピラゾロトリアゾールアゾ系染料、ピリドンアゾ系染料、シアニン系染料、フェノチアジン系染料等が挙げられる。
【0036】
黒色の染料の具体例は、C.I.ソルベントブラック27~47等が挙げられる。
【0037】
着色剤(A)の含有量は、遮光性の観点から、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、5~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0038】
(顔料の微細化)
顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、コントラスト比の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0039】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0040】
水溶性無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2,000質量部が好ましく、300~1,000質量部がより好ましい。
【0041】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して、5~1,000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0042】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0043】
[色素誘導体(E)]
本発明の感光性着色組成物は、必要に応じて色素誘導体(E)を含有できる。色素誘導体(E)が着色剤(A)の表面に吸着することで、着色剤(A)の表面が極性を持ち、他の成分と親和し易くなることで分散性が向上する。
【0044】
色素誘導体(E)は、例えば、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する色素誘導体が挙げられる。色素誘導体(E)は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノーン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノーン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノーン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0045】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体は、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体は、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノーン系色素誘導体は、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系色素誘導体は、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体は、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体は、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体は、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体は、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体は、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体は、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体は、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基は、特開2004-307854号公報、塩基性置換基は、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報等に記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0046】
色素誘導体(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0047】
色素誘導体(E)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましい。
【0048】
[分散樹脂(F)]
本発明の感光性着色組成物は、必要に応じて分散樹脂(F)を含有できる。
分散樹脂(F)は、顔料に親和性が高い吸着基を有している。吸着基は、カチオン性基、およびアニオン性基のうち1種以上が好ましい。
【0049】
カチオン性基を有する樹脂は、例えば、カチオン性基として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニア塩基、および含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0050】
アニオン性基を有する樹脂は、例えば、アニオン性基として、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。これらの中でも顔料への吸着性の観点からカルボキシル基、リン酸基が好ましい。
【0051】
分散樹脂(F)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0052】
分散樹脂(F)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造、及び星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、グラフト構造、及びくし型構造が好ましい。
【0053】
分散樹脂(F)の市販品は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101, 103, 107, 108, 110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、またはAnti-Terra-U203,204、またはBYK-P104,P104S,220S、またはLactimon、Lactimon-WS、またはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0054】
分散樹脂(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0055】
分散樹脂(F)の含有量は、分散安定性の観点から、着色剤(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
【0056】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
本発明の感光性着色組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)を含む。
アルカリ可溶性樹脂(B)は、アルカリ現像液に溶解する樹脂であり、厚さ2μmの被膜形成時に400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂が好ましい。なお、透過率は、95%以上が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(B)は、非感光性アルカリ可溶性樹脂、感光性アルカリ可溶性樹脂に分類できる。アルカリ可溶性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基が好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂(B)は、エポキシ基やオキセタニル基等の熱硬化性基を含有できる。
【0057】
(非感光性アルカリ可溶性樹脂)
非感光性アルカリ可溶性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0058】
(感光性アルカリ可溶性樹脂)
感光性アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂である。感光性アルカリ可溶性樹脂は、例えば、以下に示す(i)又は (ii)の方法で合成する樹脂が好ましい。活性エネルギー線による硬化で樹脂は、3次元架橋して架橋密度が向上し薬品耐性が向上する。
【0059】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基含有単量体、及びその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基含有単量体を付加し、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させて感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0060】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエ-ト、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナ-ト、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラ-ト、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノア-ト、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、後述する水酸基含有単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物等のリン酸エステル基含有単量体が挙げられる。
【0062】
モノカルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0063】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解することもできる。
【0064】
また、方法(i)に似た方法として、例えば、カルボキシル基含有単量体、及びその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体のカルボキシル基の一部にエポキシ基含有単量体を付加し、感光性アルカリ可溶性樹脂を得る方法が挙げられる。
【0065】
[方法(ii)]
方法(ii)は、例えば、水酸基含有単量体、モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体の重合体を合成する。次いで、前記重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させる方法が挙げられる。
【0066】
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。これらの中でも被膜中に異物が生じ難い面で2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、光感度の面でグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0067】
イソシアネート基含有単量体は、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0068】
モノカルボキシル基含有単量体、およびその他単量体は、上述したものを使用できる。
【0069】
アルカリ可溶性樹脂(B)の合成に使用する原料は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0070】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0071】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、現像性の観点から、2,000~40,000が好ましく、3,000~300,00がより好ましく、4,000~20,000が特に好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下が好ましい。適度な重量平均分子量(Mw)により基板に対する密着性、及びアルカリ現像溶解性が向上する。
【0072】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、50~200mgKOH/gが好ましく、70~180mgKOH/gがより好ましく、90~170mgKOH/gがさらに好ましい。適度な酸価により基板に対する密着性、及びアルカリ現像溶解性が向上する。
【0073】
アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。
【0074】
[重合性化合物(C)]
(9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1))
本発明の感光性着色組成物は、重合性化合物(C)として、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)を含む。これにより、低反射で、硬化時の膜表面と内部での硬化度合いの違いによる密着性不良、ポストベークでのシワの発生を改善した硬化膜を得ることができる。
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を含有する単量体(モノマーともいう)、及びオリゴマーである。重合性不飽和基は、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
【0075】
9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)の市販品は、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300,GA-5060P,GA-2800、Miwon Specialty Chemical Co., Ltd社製のMiramer HR6060,HR6100,HR6200等が挙げられる。
【0076】
9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、密着性、シワの抑制の観点から、200℃以上であることが好ましく、200~300℃がより好ましい。
ガラス転移温度は、公知の方法を用いて測定できる。例えば、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)と光重合開始剤とを反応させた硬化膜を作製し、その硬化膜の示差走査熱量測定により測定できる。具体的には、特開2009-173646号公報の実施例2に記載の方法で測定した。
【0077】
9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)は、以下の一般式(1)~(3)で表される化合物が好ましい。
【0078】
【0079】
(一般式(1)中、R1、R3は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2、R4は、各々独立に、アルキレン基を表し、m、nは、各々独立に1~10の整数を表す。)
【0080】
【0081】
(一般式(2)中、R5、R6は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
【0082】
【0083】
(一般式(3)中、R7、R8は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
【0084】
これらの中でも、密着性の観点から、一般式(1)で表される化合物がより好ましく、下記化学式(4)で表される化合物が特に好ましい。
【0085】
【0086】
9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)の含有量は、密着性、シワの抑制、反射率の観点から、重合性化合物(C)100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましく、30~60質量%であることが特に好ましい。
【0087】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2))
本発明の感光性着色組成物は、ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)を含むことが好ましい。これにより、硬化時の膜表面と内部での硬化度合いの違いによる密着性不良、パターン形状不良、表面のシワの発生をより効果的に改善できる。
【0088】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0090】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアネートヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0091】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)は、酸基を有してもよい。酸基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。ウレタン結合および酸基を有する重合性化合物は、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
一般式(5)(H2C=C(R1)COO)m-X-(OCOCH(R1)CH2S(R2)COOH)n
一般式(5)中、R1は、水素原子又はメチル基、R2は、炭素数1~12の炭化水素基、Xは、(m+n)価の炭素数3~60のウレタン結合を有する有機基、mは2~18の整数、nは1~3の整数を示す。
【0092】
一般式(5)で表される化合物は、例えば、まず、上記多官能イソシアネート化合物と上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0093】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0094】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)は、シワの抑制の観点から、水酸基を有する(メタ)アクリレートと、脂肪族ジイソシアネートとの反応物である脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。脂肪族ジイソシアネートを使用することで、柔軟性が増し、硬化収縮を緩和することでシワをより効果的に抑制する。
【0095】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の重合性不飽和基数は、密着性、シワの抑制の観点から、3~15個が好ましく、6~12個がより好ましい。
【0096】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の市販品は、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のU-15HA、UA-160TM,1100H、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F、ダイセル・オルネクス社のEBECRY220,1290,4513,5129等が挙げられる。
【0097】
9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)とウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の質量比が、80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましい。
【0098】
そして、ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の含有量は、9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1)とウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の合計含有量が、重合性化合物(C)100質量%中、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60~90質量%が特に好ましい。
【0099】
(酸基を有する重合性化合物(C-3))
本発明の感光性着色組成物は、酸基を有する重合性化合物(C-3)を含有できる(ただし、上記(C-2)を除く)。これにより、フォトリソグラフィー法でパターン形成する際に現像残渣を抑制できる。
酸基を有する重合性化合物(C-3)の酸基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0100】
酸基を有する重合性化合物(C-3)は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げられる。
多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
ジカルボン酸類は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0101】
酸基を有する重合性化合物(C-3)の市販品は、例えば、大阪有機社製のビスコート#2500P、東亞合成社製のアロニックスM-5300,M-5400,M-5700,M-510,M-520,M-521等が挙げられる。
【0102】
(その他重合性化合物(C-4))
その他重合性化合物(C-4)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロ-ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロ-ル化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0103】
その他重合性化合物(C-4)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R526,PEG400DA,MAND,NPGDA,R-167,HX-220,R-551,R712,R-604,R-684,GPO-303,TMPTA,DPHA,DPEA-12,DPHA-2C,D-310,D-330,DPCA-20,DPCA-30,DPCA-60,DPCA-120、東亞合成社製のアロニックスM-303,M-305,M-306,M-309,M-310,M-321,M-325,M-350,M-360,M-313,M-315,M-400,M-402,M-403,M-404,M-405,M-406,M-450,M-452,M-408,M-211B,M-101A、新中村化学工業社製のNKエステルABE-300,A-DOG,A-DCP,A-BPE-4、ダイセル・オルネクス社製のEBECRY40,130,140,145等が挙げられる。
【0104】
重合性化合物(C)は単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0105】
重合性化合物(C)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1~60質量%が好ましく、5~55質量%がより好ましく、10~50質量%が特に好ましい。
【0106】
[光重合開始剤(D)]
本発明の感光性着色組成物は、光重合開始剤(D)を含む。光重合開始剤(D)を含むことで、感光性着色組成物を紫外線照射により硬化させ、硬化膜を形成することができる。
【0107】
光重合開始剤(D)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノーン、カンファ-キノーン、エチルアントラキノーン等のキノーン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0108】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 907」(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、「Omnirad 369E」(2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン)、「Omnirad 379EG」(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン)、ホスフィン系化合物として、IGM Resins社製で「Omnirad 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO」(ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製の1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE-01)、エタノーン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02)、IRGACURE OXE 04、ADEKA社製のN-1919、NCI-730、NCI-831、NCI-930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-305、TRONLY TR-PBG-309、TRONLY TR-PBG-3054等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開WO2015/036910号等に記載のオキシム系化合物も挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、オキシム系化合物が好ましい。
【0109】
光重合開始剤(D)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0110】
光重合開始剤(D)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、光硬化性、現像性の観点から、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。
【0111】
[近赤外線吸収剤(G)]
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)が2種類以上の有機顔料を含み、黒色を呈する場合、近赤外線吸収剤(G)を含有することが好ましい。これにより、可視光領域の光を遮光し、かつ、特定波長の赤外線の透過を制御することができ、可視光由来のノイズの発生を抑制する赤外線センサを作製できる。なお、近赤外線吸収剤(G)は、波長750~1,200nmの光を吸収する化合物である。
【0112】
近赤外線吸収剤(G)は、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インモニウム化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、シアニン化合物、ピロロピロ-ル化合物、スクアリリウム化合物が好ましい。
【0113】
近赤外線吸収剤(G)の中でシアニン化合物は、国際公開第WO2006/006573号、国際公開第WO2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第WO2014/208514号;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第WO2018/186490号;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報;ピロロピロ-ル化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第WO2017/135359号、国際公開第WO2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第WO2020/054718号;クロコニウム化合物は、国際公開第WO2019/021767号などに記載の化合物が挙げられる。
【0114】
近赤外線吸収剤(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0115】
近赤外線吸収剤(G)の含有量は、可視光由来のノイズの発生を抑制する観点から、着色剤(A)100質量部に対して、10~200質量部が好ましく、15~150質量部がより好ましく、20~100質量部が特に好ましい。
【0116】
[増感剤(H)]
本発明の感光性着色組成物は、増感剤(H)を含有できる。
【0117】
増感剤(H)は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリ-ルメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレ-ン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラ-ケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノーン、カンファ-キノン、エチルアンスラキノーン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノーン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノーン等が挙げられる。
【0118】
増感剤(H)の中で、チオキサントン誘導体、ミヒラ-ケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。具体的な化合物は、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノーン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノーン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が好ましい。
【0119】
増感剤(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0120】
増感剤(H)の含有量は、光重合開始剤(D)100質量部に対して、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると光硬化性、現像性が向上する。
【0121】
[熱硬化性化合物(I)]
本発明の感光性着色組成物は、熱硬化性化合物(I)を含有できる。これにより、加熱工程で熱硬化性化合物(I)が反応し、架橋密度が高まるため耐熱性が向上する。
【0122】
熱硬化性化合物(I)は、低分子化合物や、樹脂のような高分子量化合物でもよい。熱硬化性化合物(I)は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましい。
【0123】
(エポキシ化合物(I-1))
エポキシ化合物(I-1)は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノールボルナジエン、ビニルノールボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノーン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0124】
市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S等が挙げられる。
【0125】
エポキシ化合物(I-1)の含有量は、硬化膜の耐熱性の観点から着色剤(A)100質量部に対して、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。
【0126】
(オキセタン化合物(I-2))
オキセタン化合物(I-2)は、オキセタン基を有する公知の化合物である。オキセタン化合物は、1官能オキセタン化合物、2官能オキセタン化合物、3官能以上のオキセタン化合物が挙げられる。
【0127】
1官能オキセタン化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0128】
市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のOXE-10,30、東亞合成社製のOXT-101,212等が挙げられる。
【0129】
2官能オキセタン化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコ-スビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0130】
市販品は、例えば、宇部興産社製のOXBP、OXTP、東亞合成社製OXT-121,221等が挙げられる。
【0131】
3官能以上のオキセタン化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロ-ルプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0132】
オキセタン化合物(I-2)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。
【0133】
メラミン化合物は、メラミン環構造を有する化合物である。メラミン化合物は、メチロ-ル型やエーテル型の化合物が好ましく、メラミン環1個当たりのメチロ-ル基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物がより好ましい。適度にメチロ-ル基やエーテル基数を有すると過不足ない耐熱性が得やすい。
【0134】
市販品は、例えば、三和ケミカル社製の二カラックMW-30HM,MW-390,MW-100LM,MX-750LM,MW-30M,MW-30,MW-22,MS-21,MS-11,MW-24X,MS-001,MX-002,MX-730,MX-750,MX-708,MX-706,MX-042,MX-45,MX-500,MX-520,MX-43,MX-417,MX-410、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル232,235,236,238,285,300,301,303,350,370等が挙げられる。
【0135】
これらの中でもメラミン環1個当たりのメチロ-ル基、及び/又は、エーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45(いずれも三和ケミカル社製)、サイメル232,235,236,238,300,301,303,350(いずれも日本サイテックインダストリ-ズ社製)等は、架橋密度を高められる面で好ましい。
【0136】
熱硬化性化合物(I)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0137】
[硬化剤(硬化促進剤)]
本発明の感光性着色組成物は、熱硬化性化合物(I)の硬化を補助するため、硬化剤(硬化促進剤)を併用できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0138】
硬化剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0139】
硬化剤の含有量は、熱硬化性化合物(I)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0140】
[チオール系連鎖移動剤(J)]
本発明の感光性着色組成物は、チオール系連鎖移動剤(J)を含有できる。チオール系連鎖移動剤(J)は、光重合開始剤(D)と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性着色組成物の光感度が向上する。
【0141】
チオール系連鎖移動剤(J)は、チオール基(SH基)2以上有る多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0142】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオ-ルビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオ-ルビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオグリコレート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロ-ルプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0143】
チオール系連鎖移動剤(J)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0144】
チオール系連鎖移動剤(J)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、2~8質量部がより好ましい。適量含有すると光感度が向上し、硬化膜の表面にシワが発生し難くなる。
【0145】
[重合禁止剤(K)]
本発明の感光性着色組成物は、重合禁止剤(K)を含有できる。
重合禁止剤(K)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノーン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール系化合物、メチルヒドロキノーン、エチルヒドロキノーン、プロピルヒドロキノーン、t-ブチルヒドロキノーン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノーン等のアルキルヒドロキノーン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロ-ル、フロログルシン等が挙げられる。
【0146】
重合禁止剤(K)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量中が好ましい。
【0147】
[紫外線吸収剤(L)]
本発明の感光性着色組成物は、紫外線吸収剤(L)を含有できる。
紫外線吸収剤(L)は、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノーン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物等が挙げられる。
【0148】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0149】
市販品は、例えば、BASFジャパン社製のTINUVIN P,PS,234,326,329,384-2,900,928,99-2,1130、ADEKA社製のアデカスタブLA-29,LA-31RG,LA-32,LA-36、ケミプロ化成社製のKEMISORB71,73,74,79,279、大塚化学社製のRUVA-93等が挙げられる。
【0150】
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0151】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB 102、BASFジャパン社製のTINUVIN 400,405,460,477,479,1577ED、ADEKA社製のアデカスタブLA-46,LA-F70、サンケミカル社製のCYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0152】
ベンゾフェノン系化合物は、例えば、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノーン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0153】
市販品は、例えば、ケミプロ化成社製のKEMISORB 10,11,11S,12,111、シプロ化成社製のSEESORB 101,107、ADEKA社製のアデカスタブ1413、サンケミカル社製のUV-12等が挙げられる。
【0154】
サリチル酸エステル系化合物は、例えば、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。
【0155】
紫外線吸収剤(L)の含有量は、光重合開始剤(D)と紫外線吸収剤(L)との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。
【0156】
[酸化防止剤(M)]
本発明の感光性着色組成物は、酸化防止剤(M)を含有できる。酸化防止剤(M)は、感光性着色組成物中の光重合開始剤(D)や熱硬化性化合物(I)が、熱硬化やITOアニ-ル時の熱工程によって酸化する黄変を防ぐ。特に、感光性着色組成物の着色剤(A)濃度が高い場合、相対的に重合性化合物(C)の含有量が減少するため、光重合開始剤(D)の増量や、熱硬化性化合物の配合で対応すると硬化膜が黄変し易い。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による硬化膜の黄変を防止する。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0157】
酸化防止剤(M)は、例えば、ヒンダ-ドフェノール系、ヒンダ-ドアミン系、リン系、イオウ系、およびヒドロキシルアミン系の化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダ-ドフェノール系酸化防止剤、ヒンダ-ドアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0158】
ヒンダ-ドフェノール系酸化防止剤は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノーン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0159】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0160】
ヒンダ-ドアミン系酸化防止剤は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0161】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソ-ブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0162】
リン系酸化防止剤は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0163】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0164】
イオウ系酸化防止剤は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0165】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0166】
酸化防止剤(M)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0167】
酸化防止剤(M)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。適量含有すると透過率、分光特性、及び感度が向上する。
【0168】
[レベリング剤(N)]
本発明の感光性着色組成物は、レベリング剤(N)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性、及び乾燥性がより向上する。レベリング剤(N)は、例えば、シリコ-ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0169】
シリコ-ン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0170】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0171】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0172】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0173】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ-ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0174】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0175】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0176】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0177】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0178】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0179】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0180】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0181】
レベリング剤(N)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0182】
レベリング剤(N)の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。適量含有すると感光性着色組成物の塗工性と密着性のバランスがより向上する。
【0183】
[貯蔵安定剤(O)]
本発明の感光性着色組成物は、貯蔵安定剤(O)を含有できる。これにより、感光性着色組成物の経時粘度が安定化する。貯蔵安定剤(O)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0184】
貯蔵安定剤(O)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0185】
[密着向上剤(P)]
本発明の感光性着色組成物は、密着向上剤(P)を含有できる。これにより、硬化膜と基材の密着性が向上する。また、フォトリソグラフィー法で幅が狭いパターンを形成し易くなる。
【0186】
密着向上剤(P)は、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。
【0187】
密着向上剤(P)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0188】
密着向上剤(P)の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
【0189】
[有機溶剤(Q)]
本発明の感光性組成物は、有機溶剤(Q)を含有できる。
有機溶剤(Q)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオ-ル、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトールエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトールエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、顔料の分散性、アルカリ可溶樹脂の溶解性の観点から、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類が好ましい。
【0190】
有機溶剤(Q)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0191】
[感光性着色組成物の製造方法]
本発明の感光性着色組成物は、例えば、着色剤(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、及び必要に応じて色素誘導体(E)、分散樹脂(F)、有機溶剤(Q)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0192】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロ-ルミル、3本ロールミル、ボ-ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビ-ズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0193】
分散体中の着色剤(A)の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性着色組成物が得やすい。
【0194】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モ-ド、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0195】
感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の感光性着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0196】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、本発明の感光性着色組成物を用いて形成された膜を硬化して得られる。硬化膜は、パターン状の硬化膜も含む。
【0197】
[硬化膜の製造方法]
硬化膜の製造方法は、特に限定されず、例えば、基板上に感光性着色組成物を塗工し組成物の層を形成する工程(1)、前記層に、マスクを介してパターン状に露光する工程(2)、未露光部分をアルカリ現像しパターン状の硬化膜を形成する工程(3)、前記パターンを加熱処理(ポストベーク)する工程(4)を行い作製できる。
【0198】
以下、硬化膜の製造方法を詳細に説明する。
(工程(1))
組成物の層を形成する工程(1)は、感光性着色組成物を基板上に、例えば、回転塗工、ロ-ル塗工、スリット塗工、流延塗工、またはインクジェット塗工等の方法で塗工し、必要に応じてオーブン、ホットプレート等を用いて、50~120℃の温度で10~120秒乾燥(プリベーク)する。
前記基板は、例えば、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられる。シリコン基板は、例えば、表面にCCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基板上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
層の膜厚は、乾燥後0.05~10.0μmとなるように塗工することが好ましく、0.3~5μmとなるように塗工することがより好ましい。
【0199】
(工程(2))
露光工程は、工程(1)で得られた層を、例えば、ステッパ-等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより硬化膜が得られる。
露光に用いる放射線は、例えば、g線、h線、i線等の紫外線が挙げられる。
【0200】
(工程(3))
工程(2)で得られた硬化膜は、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の組成物の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の硬化膜が得られる。
現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム, 硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロ-ル、ピペリジン、1 ,8-ジアザビシクロ-〔5 .4 .0 〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。
アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
【0201】
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドール法等が挙げられる。現像温度は15~40℃ が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0202】
(工程(4))
加熱処理(ポストベーク)は、工程(3)で得られたパターン状の硬化膜を加熱により十分に硬化させる。ポストベークの加熱温度は、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。また、加熱時間は、2分間~1時間程度が好ましく、3分間~30分間程度がより好ましい。
【0203】
[硬化膜の性状]
本発明の感光性着色組成物を硬化して得られる硬化膜は、膜厚2.0μmにおける光学濃度(以下、OD値とも言う)が、1.8以上が好ましく、1.9以上がより好ましく、2.0以上が特に好ましい。なお、上限は特に限定されないが、10.0以下が好ましい。
【0204】
前記硬化膜の膜厚、光学濃度の測定方法を以下に示す。
【0205】
(膜厚の測定)
本発明の感光性着色組成物をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるようにガラス基板上に塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、250mJ/cm2で全面露光した。その後、この基板を23℃の0.04質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱(ポストベーク)して硬化膜を得た。
得られた硬化膜を、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて、任意の場所5点を測定しその平均値を膜厚とした。
なお、上記膜厚2.0μmとは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。具体的には、膜厚2.0μm±0.2μmの範囲であることを意味する。
【0206】
(光学濃度の測定)
膜厚を測定した硬化膜を、マクベス濃度計(GretagMacbeth D200-II)を用いて、任意の場所5点を測定し、その平均値を光学濃度とした。
【0207】
<遮光フィルタ>
本発明の硬化膜は、遮光フィルタに使用できる。本発明の硬化膜は、上述の通り遮光性、低反射性に優れる。なお、遮光フィルタの製造は、上記硬化膜と同様の方法で製造できる。
【0208】
<カラーフィルタ>
本発明の硬化膜は、カラーフィルタに使用できる。カラーフィルタに用いる形態は、特に制限されないが、ブラックマトリックスが好ましい。
ブラックマトリックスは、固体撮像素子、液晶表示装置等の画像表示装置の周縁部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状、及び/又はストライプ状の黒色部分や、TFT遮光のためのドット上、及び/又は線状の黒色のパターン等が挙げられる。
【0209】
カラーフィルタの製造方法は、例えば、以下の方法で製造できる。
まず、基板上に、上述の硬化膜と同様の方法でパターン状のブラックマトリックスを形成する。その後、ブラックマトリックスを設けた基板上に、赤色、緑色、青色の感光性着色組成物の塗膜を順次形成することでカラーフィルタを製造することができる。
基板は、透明基板、及び反射基板が挙げられる。透明基板は、例えば、ガラス基板が挙げられる。反射基材は、例えば、アルミ電極や金属薄膜を反射面として使用する基板が挙げられる。
【0210】
<画像表示装置>
本発明の硬化膜は、画像表示装置に使用できる。画像表示装置に用いる形態は、例えば、前記ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの形態が挙げられる。
【0211】
本発明の画像表示装置の例として、液晶表示装置について説明する。
液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタと、光源とを具備する。光源は、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられるが、本発明においては赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDを使用することが好ましい。
図1は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置10の概略断面図である。
図1に示す装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
【0212】
第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0213】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0214】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0215】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0216】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In‐Plane スイッチング)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0217】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0218】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0219】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0220】
白色LED光源は、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)や、430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)が好ましい。
【0221】
LED1は、具体的にはNSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0222】
LED2は、具体的にはNSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0223】
<固体撮像素子>
本発明の硬化膜は、固体撮像素子に使用できる。固体撮像素子に用いる形態は、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメ-ジセンサ、CMOSイメ-ジセンサ、または有機CMOSイメ-ジセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオ-ド、およびポリシリコン等からなる受光素子を有し、受光素子形成面側又は形成面の反対側に、本発明の硬化膜を有する形態が挙げられる。
図2は、本発明の硬化膜を備えた固体撮像素子の構成例を示す概略断面図である。
【0224】
図2に示すように、固体撮像装置200は、矩形状の固体撮像素子201と、固体撮像素子201の上方に保持され、この固体撮像素子201を封止する透明なカバーガラス203とを備えている。更に、このカバーガラス203上には、スペーサー104を介してレンズ層211が重ねて設けられている。レンズ層211は、支持体213とレンズ材212とで構成されている。レンズ層211の周縁領域に迷光が入射すると光の拡散によりレンズ材212での集光の効果が弱くなり、撮像部202に届く光が低減する。また、迷光によるノイズの発生も生じる。そのため、このレンズ層211の周縁領域は、本発明の硬化膜(遮光)214が設けられて遮光されている。
【0225】
固体撮像素子201は、その受光面となる撮像部202で結像した光学像を光電変換して、画像信号として出力する。この固体撮像素子201は、2枚の基板を積層した積層基板205を備えている。積層基板205は、同サイズの矩形状のチップ基板206及び回路基板207からなり、チップ基板206の裏面に回路基板207が積層されている。
【0226】
チップ基板206の表面中央部には、撮像部202が設けられている。また、撮像部202の周縁領域に迷光が入射すると、この周縁領域内の回路から暗電流(ノイズ)が発生するため、この周縁領域は、本発明の硬化膜(遮光)215が設けられて遮光されている。
【0227】
チップ基板206の表面縁部には、複数の電極パッド208が設けられている。電極パッド208は、チップ基板206の表面に設けられた図示しない信号線を介して、撮像部202に電気的に接続されている。
【0228】
回路基板207の裏面には、各電極パッド208の略下方位置にそれぞれ外部接続端子209が設けられている。各外部接続端子209は、積層基板205を垂直に貫通する貫通電極210を介して、それぞれ電極パッド208に接続されている。また、各外部接続端子209は、図示しない配線を介して、固体撮像素子201の駆動を制御する制御回路、及び、固体撮像素子201から出力される撮像信号に画像処理を施す画像処理回路等に接続されている。
【0229】
<赤外線センサ>
本発明の硬化膜は、赤外線センサに使用できる。
図3は、本発明の硬化膜を備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
図3に示す赤外線センサは300、固体撮像素子310を備える。
【0230】
固体撮像素子310上に設けられている撮像領域は、赤外線吸収フィルタ311とカラーフィルタ312とを組み合せて構成されている。
赤外線吸収フィルタ311は、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1300nmの光)を遮蔽する。
カラーフィルタ312は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0231】
赤外線透過フィルタ313と固体撮像素子310との間には、赤外線透過フィルタ313を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜314が配置されている。
赤外線透過フィルタ313は、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタであって、上述した近赤外線吸収剤(G)を含有した本発明の硬化膜が使用できる。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1300nmの光を透過させることが好ましい。
【0232】
カラーフィルタ312、及び赤外線透過フィルタ313の入射光側には、マイクロレンズ315が配置されている。マイクロレンズ315を覆うように平坦化膜316が形成されている。
【0233】
図3に示す形態では、樹脂膜314が配置されているが、樹脂膜314に代えて赤外線透過フィルタ313を形成してもよい。
【0234】
本発明の硬化膜は、赤外線吸収フィルタ311の表面の端部及び/又は側面等の遮光膜として使用できるほか、赤外線センサの装置内壁に用いれば、内部反射及び/又は受光部への意味しない光の入射を防ぎ、感度を向上させられる。
【0235】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【0236】
また、本発明の硬化膜は、着色スペーサーにも用いることができる。例えば、スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサーはこれを防止するために用いられる。着色スペーサーは、着色スペーサー用のマスクを用いる以外は上述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
【0237】
また、本発明の硬化膜は、マイクロLED(Light Emitting Diode)やマイクロOLED(Organic Light Emitting Diode)などの用途にも用いることができる。特に限定されないが、マイクロLEDおよびマイクロOLEDに使用される光学フィルタおよび光学フィルムのほか、遮光性および反射防止性を付与する部材に対して好適に用いられる。
マイクロLEDおよびマイクロOLEDの例は、特表2015-500562号公報、および特表2014-533890号公報に記載のものが挙げられる。
【0238】
また、本発明の硬化膜は、量子ドットディスプレイなどの用途にも用いることができる。特に限定されないが、量子ドットディスプレイに使用される光学フィルタおよび光学フィルムのほか、遮光性および反射防止性を付与する部材に対して好適に用いられる。
【実施例】
【0239】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
【0240】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)は、以下の通りである。
【0241】
(アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂の平均分子量)
アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットール注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0242】
(アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂の酸価)
アルカリ可溶性樹脂、及び分散樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0243】
(分散樹脂のアミン価)
分散樹脂のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0244】
<着色剤(A)の製造>
(微細化した青色有機顔料(A-1))
C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3,000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した青色有機顔料(A-1)を得た。
【0245】
(微細化した黄色有機顔料(A-2))
C.I.ピグメントイエロー139(クラリアント社製「Novoperm Yellow P-M3R」)100部、粉砕した塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した黄色有機顔料(A-2)を得た。
【0246】
(微細化した紫色有機顔料(A-3))
C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET FG-6140」)100部、粉砕した塩化ナトリウム800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化した紫色有機顔料(A-3)を得た。
【0247】
<アルカリ可溶性樹脂(B)の製造>
(アルカリ可溶性樹脂(B-1)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)を添加してアルカリ可溶性樹脂(B-1)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
【0248】
(アルカリ可溶性樹脂(B-2)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、樹脂溶液を得た。次に得られた樹脂溶液に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-2)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
【0249】
(アルカリ可溶性樹脂(B-3)溶液)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換しアクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノーン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-3)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
【0250】
(アルカリ可溶性樹脂(B-4)溶液)
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、PGMAc40部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール8部、PGMAc32部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽にPGMAc395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。3時間110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル70部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMAc150部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-4)溶液を得た。樹脂の重量平均分子量は18,000、不揮発分当たりの酸価は2mgKOH/gであった。
【0251】
(アルカリ可溶性樹脂(B-5)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロ-トおよび窒素導入管を備えたフラスコに、PGMAc333部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5部(0.40モル)、グリシジルメタクリレート71.1部(0.50モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)22.0部(0.10モル)および、PGMAc164部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロ-トから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、メタクリル酸43.0部[0.5モル、(本反応に用いたグリシジルメタクリレートのグリシジル基に対して100モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノーン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け不揮発分酸価が1mgKOH/gとなったところで反応を終了した。次に、テトラヒドロフタル無水フタル酸60.9部(0.40モル)、トリエチルアミン0.8部を加え、120℃で3.5時間反応させ酸価80mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-5)溶液を調製した。質量平均分子量(Mw)は12,000であった。
【0252】
(アルカリ可溶性樹脂(B-6)溶液)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロ-トおよび窒素導入管を備えたフラスコに、PGMAc182部を導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5部(0.40モル)、メタクリル酸43.0部(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)22.0部(0.10モル)およびPGMAc136部からなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6部を添加した溶液を滴下ロ-トから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5部[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部およびハイドロキノーン0.145部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、酸価が79mgKOH/gの感光性透明樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、感光性透明樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した感光性透明樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してアルカリ可溶性樹脂(B-6)溶液を調製した。質量平均分子量(Mw)は13,000であった。
【0253】
<ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2)の製造>
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2-1))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からヘキサメチレンジイソシアネート64部とPGMAc64部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、重合性不飽和基数10の脂肪族ウレタンアクリレート溶液を得た。
【0254】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2-2))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた4口フラスコに、トリメチロールプロパン5.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート18.8部、ペンタエリスリトールトリアクリレート51.3部、PGMAc75.1部、p―メトキシフェノール0.02部、次いで触媒としてジオクチル錫0.12部を仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、重合性不飽和基数9の脂肪族ウレタンアクリレート溶液を得た。
【0255】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2-3))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からヘキサメチレンジイソシアネート64部とPGMAc64部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。ついで、メルカプトプロピオン酸21部、4-メトキシフェノール0.6部を仕込み、50~60℃の温度で6時間反応させた。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、酸基を有する重合性不飽和基数9の脂肪族ウレタンアクリレート溶液を得た。
【0256】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2-4))
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた5口フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート400部、PGMAc100部、N,N-ジメチルベンジルアミン0.5部を仕込み、70℃に昇温し、滴下管からヘキサメチレンジイソシアネート109部とPGMAc109部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、50~70℃の温度で8時間反応させ、IRにより2180cm-1のイソシアネートの吸収の消失を確認した。不揮発分が50質量%となるようにPGMAcを添加し、重合性不飽和基数6の脂肪族ウレタンアクリレート溶液を得た。
【0257】
<分散樹脂(F)の製造>
(分散樹脂(F-1)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分が30%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500の分散樹脂(F-1)溶液を得た。
【0258】
(分散樹脂(F-2)溶液)
冷却管、滴下ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた500mL丸底4口セパラブルフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)250質量部及び開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール5.81質量部を、滴下ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm-クロロベンゾエートの1モル/Lアセトニトリル溶液0.5質量部を、シリンジを用いて注入し、親溶剤性を有するブロック用モノマーのメタクリル酸2-ヒドロキシエチル19.7質量部、メタクリル酸2-エチルヘキシル7.5質量部、メタクリル酸n-ブチル12.9質量部、メタクリル酸ベンジル10.7質量部、メタクリル酸メチル30.9質量部を、滴下ロートを用いて60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、色材吸着機能ブロック用モノマーであるジメチルアミノプロピルメタクリルアミド18.3質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体THF溶液はヘキサン中で再沈殿させ、濾過、真空乾燥により精製を行った。
続いて、100mL丸底フラスコ中でPGMAc35質量部に、得られたブロック共重合体15.0質量部を溶解させ、塩形成成分であるフェニルホスフィン酸1.1質量部(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに対し、0.5モル等量)加え、反応温度30℃で20時間攪拌し、PGMAcを添加して調整し、不揮発分30%の分散樹脂(F-2)溶液を得た。
【0259】
<近赤外線吸収剤(G)の製造>
(近赤外線吸収剤(G-1))
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流した。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノールおよびアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、下記化学式(6)で表される近赤外線吸収剤(G-1)を得た。得られた近赤外線吸収剤(G-1)50部、塩化ナトリウム500部、ジエチレングリコール60部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃ で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃ に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過および水洗をして塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、微細化した近赤外線吸収剤(G-1)を得た。
【0260】
【0261】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、黒色の分散体1を作製した。有機溶剤(Q-1)は、PGMAcである。
カーボンブラック(三菱ケミカル社製#850) :15.0部
分散樹脂(F-1)溶液 :20.0部
下記色素誘導体(E-1) :1.0部
有機溶剤(Q-1) :64.0部
【0262】
三菱ケミカル社製#850は、平均一次粒子径17nm、比表面積220m2/gのカーボンブラックである。
【0263】
【0264】
(分散体2)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、黒色の分散体2を作製した。
微細化した青色有機顔料(A-1) :8.75部
微細化した黄色有機顔料(A-2) :8.75部
微細化した紫色有機顔料(A-3) :7.5部
分散樹脂(F-1)溶液 :23.0部
下記色素誘導体(E-2) :1.5部
有機溶剤(Q-1) :50.5部
【0265】
色素誘導体(E-2)
【0266】
【0267】
(分散体3)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビ-ズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体3を作製した。
近赤外線吸収剤(G-1) :25.0部
アルカリ可溶性樹脂(B-6)溶液 :35.0部
分散樹脂(F-4)溶液 :15.0部
有機溶剤(Q-1) :25.0部
【0268】
<感光性着色組成物の製造>
[実施例1]
(感光性着色組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性着色組成物1を得た。
分散体1 :25.0部
アルカリ可溶性樹脂(B)溶液 :40.0部
重合性化合物(C-1-1) :4.0部
重合性化合物(C-4-1) :6.0部
光重合開始剤(D-1) :0.5部
エポキシ化合物(I-1) :1.0部
チオール系連鎖移動剤(J) :0.1部
重合禁止剤(K) :0.01部
紫外線吸収剤(L) :0.1部
酸化防止剤(M) :0.1部
レベリング剤(N) :1.0部
貯蔵安定剤(O) :0.2部
有機溶剤(Q) :21.99部
【0269】
[実施例2~31、比較例1~4]
(感光性組成物2~35)
実施例1の感光性着色組成物1を、表2-1~表2-4に記載した原料、量に変えた以外は、実施例1と同様にして感光性着色組成物2~35を作製した。なお、実施例1~31の感光性着色組成物から形成した被膜に十分な遮光性を有することを目視で確認した。なお、本明細書で実施例1~12および29は、参考例である。
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
表2-1~表2-4に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0275】
[アルカリ可溶性樹脂(B)溶液]
アルカリ可溶性樹脂(B-2)~(B-6)溶液をそれぞれ同量にて混合し、アルカリ可溶性樹脂(B)溶液とした。
【0276】
[重合性化合物(C)]
(9,9-ビスアリールフルオレン構造を有する重合性化合物(C-1))
C-1-1:OGSOL EA-0200(大阪ガスケミカル社製、化学式(4)で表されるTg211℃の化合物、不揮発分100%)
C-1-2:OGSOL EA-0300(大阪ガスケミカル社製、一般式(1)中、R1及びR3が水素原子、R2及びR4がエチレン基、m+n=20であるTg17℃の化合物、不揮発分100%)
C-1-3:OGSOL GA-5060P(大阪ガスケミカル社製、一般式(2)中、R5及びR6が水素原子であるTg228℃の化合物、不揮発分100%)
C-1-4:OGSOL GA-2800(大阪ガスケミカル社製、一般式(3)中、R7及びR8が水素原子であるTg7℃の化合物、不揮発分100%)
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C-2))
C-2-5:EBECRY220(ダイセル・オルネクス社製、重合性不飽和基6個の芳香族ウレタンアクリレート、不揮発分100%)
C-2-6:EBECRY4513(ダイセル・オルネクス社製、重合性不飽和基3個の脂肪族ウレタンアクリレート、不揮発分100%)
C-2-7:U-15HA(新中村化学工業社製、重合性不飽和基15個の脂肪族ウレタンアクリレート、不揮発分100%)
(酸基を有する重合性化合物(C-3))
C-3-1:アロニックスM-520(東亞合成社製、不揮発分100%)
(その他重合性化合物(C-4))
C-4-1:KAYARAD DPHA(日本化薬社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、不揮発分100%)
C-4-2:NKエステルABE-300(新中村化学工業社製、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、不揮発分100%)
C-4-3:EBECRY130(ダイセル・オルネクス社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、不揮発分100%)
【0277】
[光重合開始剤(D)]
D-1:アデカクルーズNCI-831(ADEKA社製)
D-2:イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製)
D-3:イルガキュア907(BASFジャパン社製)
【0278】
[増感剤(H)]
H-1:カヤキュアDETX-S(日本化薬社製)
H-2:CHEMARK DEABP(Chemark Chemical社製)
以上、(H-1)、(H-2)をそれぞれ同量にて混合し、増感剤(H)とした。
【0279】
[エポキシ化合物(I-1)]
I-1-1:EHPE-3150(ダイセル社製)
I-1-2: デナコールEX611(ナガセケムテックス社製)
I-1-3:イソシアヌル酸トリグリシジル
以上、(I-1-1)~(I-1-3)をそれぞれ同量混合し、エポキシ化合物(I-1)とした。
【0280】
[チオール系連鎖移動剤(J)]
J-1:トリメチロ-ルエタントリス(3-メルカプトブチレート)
J-2:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
J-3:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
J-4:トリメチロ-ルプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
J-5:トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
以上、(J-1)~(J-5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(J)とした。
【0281】
[重合禁止剤(K)]
K-1:4-メチルカテコール
K-2:メチルヒドロキノン
K-3:t-ブチルヒドロキノン
以上、(K-1)~(K-3)をそれぞれ同量にて混合し、重合禁止剤(K)とした。
【0282】
[紫外線吸収剤(L)]
L-1:TINUVIN400(BASFジャパン社製)
L-2: TINUVIN900(BASFジャパン社製)
以上、(L-1)、(L-2)をそれぞれ同量にて混合し、紫外線吸収剤(L)とした。
【0283】
[酸化防止剤(M)]
M-1:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
M-2:3,3'-チオジプロパン酸ジオクタデシル
M-3:トリス[2,4-ジ-(t)-ブチルフェニル]ホスフィン
M-4:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
M-5:サリチル酸p-オクチルフェニル
以上、(M-1)~(M-5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(M)とした。
【0284】
[レベリング剤(N)]
N-1:BYK-330(ビックケミー社製)
N-2:メガファックF-551(DIC社製)
以上、(N-1)、(N-2)をそれぞれ1部混合し、PGMAc98部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(N)とした。
【0285】
[貯蔵安定剤(O)]
O-1:2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール
O-2:トリフェニルホスフィン
以上、(O-1)、(O-2)をそれぞれ同量にて混合し、貯蔵安定剤(O)とした。
【0286】
[有機溶剤(Q) ]
Q-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30部
Q-2:シクロヘキサノン 30部
Q-3:3-エトキシプロピオン酸エチル 10部
Q-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
Q-5:シクロヘキサノールアセテート 10部
Q-6:ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(Q-1)~(Q-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、有機溶剤(Q)とした。
【0287】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物について、光学濃度、反射率、密着性、パターン形状、及び表面シワの評価を下記の方法で行った。評価結果を表3に示す。
【0288】
[光学濃度(OD値)評価]
得られた感光性着色組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥後、超高圧水銀ランプを用い、250mJ/cm2で全面露光した。その後、その後、この基板を23℃の有機アルカリ現像液(NMD-3 東京応化工業社製)を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱(ポストベーク)して硬化膜を得た。得られた硬化膜の光学濃度(OD値)を、マクベス濃度計(GretagMacbeth D200-II)により測定した。評価基準は、以下の通りであり、2以上が実用可能である。
3:OD値が2.0以上
2:OD値が1.8以上、2.0未満
1:OD値が1.8未満
【0289】
[反射率評価]
光学濃度測定で作成した硬化膜を、コニカミノルタ社製の測色計CM-2002(測定条件:C光源、視野角2°)を用いて、等色関数Yの反射率(SCI値、及びSCE値)を測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
なお、SCI値とは、Specular Component Includeの略で、全反射率の値である。SCE値とは、Specular Component Excludeの略で、全反射率より正反射光成分を除いた値である。
5:SCI値が3.0未満で、SCE値が0.15未満
4:SCI値が3.0以上、3.5未満で、SCE値が0.15以上、0.2未満
3:SCI値が3.5以上、4.0未満で、SCE値が0.2以上、0.25未満
2:SCI値が4.0以上、4.5未満で、SCE値が0.25以上、0.3未満
1:SCI値が4.5以上で、SCE値が0.3以上
【0290】
[密着性評価]
得られた感光性着色組成物を、スピンコート法により縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、乾燥後の膜厚が2.0μmとなるように塗工し、70℃1分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、高圧水銀灯を用い、100μm幅(ピッチ200μm)および10μm幅(ピッチ20μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、250mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃の有機アルカリ現像液(NMD-3 東京応化工業社製)を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で30分間加熱し密着性評価用基板を得た。スプレー現像は、それぞれの感光性着色組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを適正現像時間とした。
密着性評価用基板のパターンのうち幅6~25μmの細線パターンについて、光学顕微鏡で観察し、残存した細線パターンの最小線幅を確認した。
5:10μm以下の細線が残存している。
4:15μm以下の細線が残存している。
3:20μm以下の細線が残存している。
2:25μm以下の細線が残存している。
1:細線が残存していない。
【0291】
[パターン形状評価]
密着性評価で作成した基板を、Nikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて、10箇所のストライプパターンの線幅の最大と最小部分を測定しその平均を求めることで評価を行った。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:線幅の最大値と最小値の差が0.5μm未満
4:線幅の最大値と最小値の差が0.5μm以上、1.0m未満
3:線幅の最大値と最小値の差が1.0μm以上、1.5m未満
2:線幅の最大値と最小値の差が1.5μm以上、2.0m未満
1:線幅の最大値と最小値の差が2.0μm以上
【0292】
[表面シワ評価]
密着性評価で作成した基板を、光学顕微鏡(オリンパス光学社製「BX-51」、倍率:200倍)を用いて、パターン表面を観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:パターンの表面にシワが全く観察されない。
4:パターンの表面にごく僅かにシワが観察される。
3:パターンの表面に僅かにシワが観察される。
2:パターンの表面にシワが観察される。
1:パターンの表面に酷くシワが観察される。
【0293】
【符号の説明】
【0294】
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶
200 固体撮像装置
201 固体撮像素子
202 撮像部
203 カバーガラス
204 スペーサー
205 積層基板
206 チップ基板
207 回路基板
208 電極パット
209 外部接続端子
210 貫通電極
211 レンズ層
212 レンズ材
213 支持体
214 硬化膜(遮光)
215 硬化膜(遮光)
300 赤外線センサ
310 固体撮像素子
311 赤外線吸収フィルタ
312 カラーフィルタ
313 赤外線吸収透過フィルタ
314 樹脂膜
315 マイクロレンズ
316 平坦膜