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特許7574627体温計測装置、体温計測方法、及び体温計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】体温計測装置、体温計測方法、及び体温計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20241022BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241022BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01J5/48 C
G06T7/00 660A
H04N7/18 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020196982
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085352
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中明 靖文
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】石渡 忠司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 圭二
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103786(JP,A)
【文献】特開2020-120323(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184077(WO,A1)
【文献】特開2006-174919(JP,A)
【文献】特開2018-183564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - A61B 5/01
G01J 5/00 - G01J 5/90
G03B 35/00 - G03B 37/06
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象から放射される赤外線を撮像データとして赤外線カメラから取得し、前記撮像データに基づいて前記測定対象の体温を計測する体温計測装置であって、
前記赤外線カメラのピントを調整するピント調整部と、
前記撮像データを取得する撮像データ取得部と、
前記撮像データに含まれる前記測定対象に関する前記測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定する対象情報特定部と、
前記撮像データに基づいて、前記測定対象に対する第1の体温を算出する体温算出部と、
前記第1の体温に基づいて判定対象を選択する判定対象選択部と、
前記判定対象の前記第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定する第1判定部と、
前記第1判定部において前記第1の体温が前記第1の閾値を超えていると判定された場合に、前記ピント調整部が前記判定対象の前記座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する前記撮像データに対して前記体温算出部が算出した体温である第2の体温が、第2の閾値を超えているかを判定する第2判定部と、を備える体温計測装置。
【請求項2】
前記第1の閾値の値は、前記第2の閾値の値より低い、請求項1に記載の体温計測装置。
【請求項3】
ズーム調整部をさらに備え、
前記ズーム調整部は、前記第1判定部において前記第1の体温が前記第1の閾値を超えていると判定された場合に、前記座標情報に基づいて前記判定対象の体温測定領域を拡大する、請求項1又は2に記載の体温計測装置。
【請求項4】
コンピュータによって実行される体温計測方法であって、
測定対象から放射される赤外線を撮像する赤外線カメラのピントを調整し、
前記赤外線カメラから撮像データを取得し、
前記撮像データに含まれる前記測定対象に関する前記測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定し、
前記撮像データに基づいて、前記測定対象に対する第1の体温を算出し、
前記第1の体温に基づいて判定対象を選択し、
前記判定対象の前記第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定し、
前記第1の体温が前記第1の閾値を超えていると判定された場合に、前記判定対象の前記座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する前記撮像データに対して算出した第2の体温が第2の閾値を超えているかを判定する、体温計測方法。
【請求項5】
測定対象から放射される赤外線を撮像する赤外線カメラのピントを調整するステップと、
前記赤外線カメラから撮像データを取得するステップと、
前記撮像データに含まれる前記測定対象に関する前記測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定するステップと、
前記撮像データに基づいて、前記測定対象に対する第1の体温を算出するステップと、
前記第1の体温に基づいて判定対象を選択するステップと、
前記判定対象の前記第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定するステップと、
前記第1の体温が前記第1の閾値を超えていると判定された場合に、前記判定対象の前記座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する前記撮像データに対して算出した第2の体温が第2の閾値を超えているかを判定するステップとを、コンピュータに実行させるための体温計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温計測装置、体温計測方法、及び体温計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体から放射される赤外線を測定することにより、非接触で物体の温度や人体の体温を測定する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、測定対象の物体の温度を測定するための温度測定装置が開示されている。特許文献1に開示された温度測定装置は、測定対象部位に対して照射するガイド光に基づいてピントを調整し、調整されたピントに基づいて撮像した画像により、測定対象の物体の温度を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公報第2014/185024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された温度測定装置においては、複数の人物を測定対象として温度測定を行う場合、ある特定の対象の人物に対してはピントを調整することで、正確に体温を測定できる。しかし、ピントが調整された特定の測定対象以外の他の人物に対しては、測定対象に対するピント調整が正しく行われず、測定対象の温度の測定が正確になされない場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、複数の人数の体温を正確に測定することができる体温計測装置、体温計測方法、及び体温計測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る体温計測装置は、測定対象から放射される赤外線を撮像データとして赤外線カメラから取得し、撮像データに基づいて測定対象の体温を計測する体温計測装置であって、赤外線カメラのピントを調整するピント調整部と、撮像データを取得する撮像データ取得部と、撮像データに含まれる測定対象に関する測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定する対象情報特定部と、撮像データに基づいて、測定対象に対する第1の体温を算出する体温算出部と、第1の体温に基づいて判定対象を選択する判定対象選択部と、判定対象の第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定する第1判定部と、第1判定部において第1の体温が第1の閾値を超えていると判定された場合に、ピント調整部が判定対象の座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する撮像データに対して体温算出部が算出した体温である第2の体温が、第2の閾値を超えているかを判定する第2判定部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る体温計測方法は、コンピュータによって実行される体温計測方法であって、測定対象から放射される赤外線を撮像する赤外線カメラのピントを調整し、赤外線カメラから撮像データを取得し、撮像データに含まれる測定対象に関する測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定し、撮像データに基づいて、測定対象に対する第1の体温を算出し、第1の体温に基づいて判定対象を選択し、判定対象の第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定し、第1の体温が第1の閾値を超えていると判定された場合に、判定対象の座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する撮像データに対して算出した第2の体温が第2の閾値を超えているかを判定する。
【0008】
本発明の一態様に係る体温計測プログラムは、測定対象から放射される赤外線を撮像する赤外線カメラのピントを調整するステップと、赤外線カメラから撮像データを取得するステップと、撮像データに含まれる測定対象に関する測定対象の数、及び座標情報を含む測定対象情報を特定するステップと、撮像データに基づいて、測定対象に対する第1の体温を算出するステップと、第1の体温に基づいて判定対象を選択するステップと、判定対象の第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定するステップと、第1の体温が第1の閾値を超えていると判定された場合に、判定対象の座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する撮像データに対して算出した第2の体温が第2の閾値を超えているかを判定するステップとを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定対象となる複数の人物の体温を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る体温計測装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る撮像データを説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る測定対象情報の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る体温計測装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る体温算出処理の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施形態に係る体温計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係る体温計測装置100と、カメラ30と、出力装置40とを備える体温計測システムの概略構成を示すブロック図である。体温計測システムにおいて、体温計測装置100は、カメラ30を介して取得した撮像データ121に基づいて、測定対象の体温を測定し、警告が必要か否かの判定を行い、測定及び判定の結果を出力装置40に出力する。本実施形態において、カメラ30は、赤外線カメラであり、測定対象となる物体から放射される赤外線の輝度情報を検知する。出力装置40は、例えば、ディスプレイやスピーカー等の装置である。
【0013】
体温計測装置100は、制御部110と、記憶部120と、カメラI/F130(Interface)と、出力部140とを含んで構成される。体温計測装置100は、CPU(中央処理装置、制御部110)、メモリ(記憶部120)、及び入出力部(カメラI/F130、出力部140)を備える汎用のマイクロコンピュータとして構成してもよい。この場合、マイクロコンピュータには、体温計測装置100として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされていてもよい。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、体温計測装置100が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって体温計測装置100が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0014】
カメラI/F130は、ピント調整部131と、撮像データ取得部132とを備える。ピント調整部131は、赤外線カメラの対象物に対するピントを調整する。具体的には、ピント調整部131は、カメラ30の絞り値(F値)、焦点距離等の調整により対象物に対するピントを合わせる。
【0015】
撮像データ取得部132は、赤外線カメラを介して検知された輝度情報を温度情報に変換し、温度情報の高低を0~255レベルの8ビット階調で割り当てた撮像データ121として、記憶部120に記憶する。図2に、撮像データ121を画像データとして表示した場合の一例を示す。図2に示すように、撮像データ121が0~255レベルの8ビット階調で割り当てられることにより、温度の違いが濃淡で表示される。
【0016】
制御部110は、対象情報特定部111と、体温算出部112と、判定対象選択部113と、第1判定部114と、第2判定部115と、を機能として備える。
【0017】
対象情報特定部111は、記憶部120に記憶された撮像データ121に基づいて、体温計測の対象となる人物形状を特定する。具体的には、対象情報特定部111は、撮像データ121において、所定の温度を示す領域を人物の形状であると特定する。また人物の形状の特定には、画像認識を用いてもよい。また人物の形状の特定は、特定された人数及び、撮像データ121中の位置(座標情報)が算出される。また、対象情報特定部111は、特定された人数に応じて対象人物番号を割り当てる。対象情報特定部111は、対象人物番号及び座標情報を測定対象情報122として記憶部120に格納する。
【0018】
測定対象情報122の一例を図3に示す。図3に示す例では、座標情報として、第1座標及び第2座標が取得される。第1座標及び第2座標は、測定対象の顔等の体温測定領域の座標の一部を示すものである。ここで、体温測定領域は、撮像データ121において8ビット階調の値が所定の値以上を示す領域であり、例えば人物の肌等の体温が計測可能な領域である。本実施形態において体温測定領域は、例えば図2の点線矩形で示される人物の顔を含む領域となる。また、本実施形態においては、第1座標は、体温測定領域の左上部の座標を示しており、第2座標は、体温測定領域の右下部の座標を示す。図3の対象人物番号001に対する第1座標及び第2座標の位置の例を図2に示している。すなわち、第1座標のA及びBは、それぞれ体温測定領域の左上の座標のX座標及びY座標を示す。同様に第2座標のC及びDは、それぞれ体温測定領域の右下の座標のX座標及びY座標を示す。
【0019】
体温算出部112は、対象情報特定部111で特定された対象人物に対して、体温を算出する。具体的には、体温算出部112は、肌の温度として測定された画素の平均値を算出し、図3に示す第1の体温の箇所に格納する。
【0020】
判定対象選択部113は、記憶部120に格納された測定対象情報122の中から判定対象となる人物を選択する。具体的には、第1の体温が高い順に判定対象が選択される。図3に示す例では、まず、対象人物番号003の判定対象者が選択される。その後、対象人物番号001、対象人物番号002の順に、判定対象が選択される。
【0021】
第1判定部114は、判定対象の第1の体温が第1の閾値より高いか低いかを判定する。本実施形態において第1の閾値は、判定対象となる人物の体温が高いか否かを判定するための閾値であり、例えば、36.7度の値があらかじめ設定され、記憶部120に記憶されている。
【0022】
第2判定部115は、第2の体温が、第2の閾値より高いか否かを判定する。本実施形態において、第2の体温は、第1の体温が第1の閾値より高いと判定された場合に、判定対象に対してピント調整を行い、再度取得した撮像データ121に関して測定した体温である。すなわち、第2の体温は、判定対象に対して調整されたピントに対応して取得された撮像データ121に対して算出された体温である。また、第2の閾値は、第2の体温に対して判定するための所定の値であり、第1の閾値より値は高いものとする。第2の閾値としては、例えば、37.4度の値があらかじめ設定され記憶部120に記憶されている。また、第2判定部115は、第2の体温が、第2の閾値より高い場合には、例えば図3に示す測定対象情報122の警告の欄に、警告する必要がある旨の情報を格納する(○で図示)。
【0023】
記憶部120は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の任意の記憶媒体を含む情報記憶装置で構成される。記憶部120は、上述の撮像データ121をカメラI/F130を介して取得し記憶する。また、記憶部120は、図3に示す測定対象情報122を格納する。
【0024】
出力部140は、ディスプレイ等の外部に接続された出力装置40に体温計測の結果を出力する。また、警告がある場合、すなわち測定対象情報の警告の欄に「○」が格納されている場合には、出力装置40であるディスプレイ又はスピーカーを介して警告を出力する。具体的には、出力部140は、アラート情報文字や、報知音を出力し、監視する人やシステムへ通知する。
【0025】
(体温計測装置100の処理フローの概略)
次に、体温計測装置100における体温計測に係る処理(体温計測方法)について、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートに示す体温計測装置100の一連の動作は、体温計測装置100が起動されると開始され、計測結果を出力すると処理を終了する。また、図4に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の体温計測装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0026】
ステップS401において、体温計測装置100は、体温算出処理を行う。具体的には、図5のサブルーチンで示す処理が実施される。
【0027】
図5に示す体温算出処理について説明する。ステップS501において、撮像データ取得部132は、赤外線カメラを介して、撮像データ121を取得し、記憶部120に記憶する。撮像データ121は、例えば図2に示す画像データである。
【0028】
ステップS502において、対象情報特定部111は、記憶部120に記憶された撮像データ121に基づいて、測定対象となる人物を特定し、記憶部120に測定対象情報122として記憶する。測定対象情報122は、例えば、図3に示すように、対象人物番号及び座標情報を含む。
【0029】
ステップS503において、体温算出部112は、各測定対象の体温を算出する。具体的には、体温算出部112は、撮像データ121における各測定対象の体温測定領域における値の平均値を算出することで、体温を算出する。
【0030】
ステップS504において、体温算出部112は、算出した結果を記憶部120の測定対象情報122に格納する。図4に示すフローチャートのステップS401で実施された体温算出処理の場合、ステップS503で算出された体温は、第1の体温として、図3に示す第1の体温の箇所に格納される。
【0031】
図4のフローチャートに戻り、体温計測装置100の処理フローの説明を行う。
【0032】
ステップS402において、判定対象選択部113は、判定対象を選択する。ここで判定対象とは、次に第1判定部114で第1の体温が第1の閾値より高いか否かを判定する対象である。例えば、図3に示す測定対象情報122においては、判定対象は、第1の体温の高い順に対象人物を抽出したものである。図3に示す例では、まず対象人物番号003の人物が判定対象として選択される。
【0033】
ステップS403において、第1判定部114は、判定対象となった人物の第1の体温が第1の閾値より高いか否かを判定する。第1の閾値は上述の通り、あらかじめ定められた値であり、例えば、36.7度が定められる。ステップS403において、第1判定部114は、判定対象となった人物の第1の体温が第1の閾値より高いと判定した場合(ステップS403:YES)、ステップS404に進む。一方で、ステップS403において、第1判定部114は、判定対象となった人物の第1の体温が第1の閾値以下であると判定した場合(ステップS403:NO)、ステップS408に進む。
【0034】
ステップS404において、ピント調整部131は、判定対象となっている人物にピントが合うように、カメラのピント調整を行う。ステップS404において実施されるピント調整は、判定対象となる人物の体温測定領域にピントが合うように調整される。
【0035】
ステップS405において、体温計測装置100は、体温算出処理を行う。体温算出処理は、上述の通り、図5のサブルーチンで示される処理である。ステップS405においては、ステップS404のピント調整部131で調整に従って取得した撮像データ121に基づいて体温算出処理が行われる。ステップS405において算出された体温は、図3に示す測定対象情報122の判定対象の第2の体温の欄に格納される。ステップS405において実施される体温算出処理は、ステップS401で行われる体温算出処理と、算出される体温が第1の体温か第2の体温かで異なる。また、体温算出及び体温格納が測定対象情報122に含まれる全ての人物に対して行われるか、判定対象に対してのみ行われるか、で異なる。
【0036】
ステップS406において、第2判定部115は、判定対象となった人物の第2の体温が第2の閾値より高いか否かを判定する。第2の閾値はあらかじめ定められた値であり、例えば、37.4度が定められる。すなわち、本実施形態において、第2の閾値は、上述の第1の閾値より高い値となる。なお、この第1の閾値と、第2の閾値との関係は本実施形態の態様を限定するものではない。例えば、第1の閾値と第2の閾値とが同じ値としてもよい。あるいは、第1の閾値が第2の閾値より高い構成としてもよい。
【0037】
ステップS406において、第2判定部115は、判定対象となった人物の第2の体温が第2の閾値より高いと判定した場合(ステップS406:YES)、ステップS407に進む。一方で、ステップS406において、第2判定部115は、判定対象となった人物の第2の体温が第2の閾値以下であると判定した場合(ステップS406:NO)、ステップS408に進む。
【0038】
ステップS407において、第2判定部115は、記憶部120に記憶された判定対象の人物の測定対象情報122に警告情報を記録する。例えば第2判定部115は、図3に示すように警告の欄に所定の値やフラグ等を記録する。次にステップS408に進む。
【0039】
ステップS408において、制御部110は、測定対象情報122に格納された測定対象について、全ての人数の判定が終了したか否かを判定する。例えば、図3示す例では、対象人物番号003の人物の判定処理が最初に行われ、その後、第1の体温が高い順に、対象人物番号001、及び対象人物番号002の人物に対して判定処理が行われる。ステップS408において、制御部110は、測定対象人数終了と判定した場合(ステップS408:YES)、ステップS409に進む。一方で、ステップS408において、制御部110は、全ての測定対象人数の判定が終了していないと判定した場合(ステップS408:NO)、ステップS402に戻り、次の判定対象を選択し、ステップS402からステップS408を再度実施する。
【0040】
ステップS409において、出力部140は、出力装置40に対して、体温の計測結果を出力する。具体的には、出力部140は、画像データに体温の数値情報を表示させる。ここで表示させる体温は、第2の体温の算出がなされた人物の形状に対しては、第2の体温が表示され、第2の体温の算出がなされなかった人物の形状に対しては、第1の体温が表示される。また、ステップS409においては、測定対象情報122に警告する旨の情報が格納されている場合には、警告情報(NGアラート)を合わせて出力する。
【0041】
警告情報は、例えば、ディスプレイに表示する場合には、アラート情報文字が表示される。あるいは、警告情報は、例えば、スピーカーから報知音を出力する構成としてもよい。このように、警告情報を出力することで、監視する人やシステムへ通知することが可能となる。
【0042】
以上、説明したように、第1の実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0043】
体温計測装置100は、第1判定部114において判定対象の第1の体温が第1の閾値を超えているかを判定する。さらに、体温計測装置100は、第1判定部114において第1の体温が第1の閾値を超えていると判定された場合に、ピント調整部131が判定対象の座標情報に基づいてピントを調整し、調整されたピントに対応する撮像データ121する。第2判定部115は、調整されたピントに対応する撮像データ121に基づいて算出された第2の体温が、第2の閾値を超えているかを判定する。これにより、体温計測装置100は、判定対象となる人物に対してピントを調整することで、より正確な撮像データ121を取得することが可能となる。例えば、体温の測定対象として複数の人数が存在する場合に、それぞれの判定対象の人物に対しピントを調整することで、複数の人数の体温を正確に測定することができる。
【0044】
また、第1の実施形態においては、第1判定部114が第1の閾値に基づいて、判定対象の体温が第1の閾値より高いか低いかを判定し、判定対象の体温が第1の閾値より高いと判定された判定対象に対して、第2判定部115による判定が行われる。これにより、例えば体温の測定対象が複数存在する場合に、全ての測定対象に対して、第2判定部115の判定が行われるものではなく、必要な判定対象に対してのみ第2判定部115の判定が実施されるため、体温計測の処理の効率化を図ることが可能となる。さらに、全ての測定対象に対して、第2判定部115の判定を行う必要がないため、体温計測装置100の処理削減を実現することができ、これにより体温計測装置100の消費電力の削減を図ることが可能となる。
【0045】
また、第1の実施形態において、第1の閾値の値は、第2の閾値より低い値となる。すなわち、第1の閾値の値を、第2の閾値より低い値とすることで、第1判定部114及び第2判定部115に基づいて測定対象の体温を測定するにあたり、警告が必要な測定対象の漏れを防ぐことが可能となり、測定対象の体温を正確に測定することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図6を参照して、第2の実施形態に係る体温計測装置100についての全体構成について説明する。第1の実施形態との相違点は、カメラI/F130がズーム調整部133をさらに備えることである。よって、ズーム調整部133に関する内容について説明し、その他の共通する処理については説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態のおけるズーム調整部133は、判定対象の第1の体温が第1の閾値を超えた場合に、測定対象情報122の座標情報に基づいて判定対象の体温測定領域に対してズームを行い、体温測定領域を拡大する。具体的には、図4のステップS404に示すカメラ調整において、ズーム調整が行われる。その後、ピント調整部131は、ズームされた体温測定領域に対してピント調整を行う。これにより、より正確な体温の計測が可能となる。
【0048】
また、ズーム調整部133は、ステップS402で判定された次の判定対象が第1の体温が第1の閾値を超えた場合に、測定対象情報122の座標情報に基づいて判定対象の体温測定領域に対してズームを行い、体温測定領域を拡大する。すなわち、第2の実施形態においては、第2の体温の測定に係る判定対象に対して、ズームを調整することで体温測定領域を拡大し、その拡大した体温測定領域に対してピントを調整するものである。
【0049】
以上、説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0050】
第2の実施形態においては、ズーム調整部133をさらに備え、ズーム調整部133は、第1判定部114において第1の体温が第1の閾値を超えていると判定された場合に、座標情報に基づいて判定対象の体温測定領域を拡大する。これにより、第2判定部115の判定においては、判定対象を拡大したものに対してピントが調整され、調整されたピントに基づいて撮像データ121を取得することが可能となることで、より正確な体温の測定が可能となる。
【0051】
(他の実施形態)
以上、本実施形態を説明したが、実施形態はこれらに限定されるものではなく、実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。また、さまざまな実施形態の一部又は全部を組み合わせて新たな実施形態とすることも可能である。
【0052】
上述の実施形態においては、第2判定部115において第2の体温が第2の閾値を超えた場合に、出力部140より警告を出力させる例を示したが、実施形態の構成はこれに限定されない。例えば、第1判定部114で第1の体温が第1の閾値を超えた場合において、第2判定部115では、第2の体温が第2の閾値を超えていない場合にも、警告を出力する構成としてもよい。この場合、第2判定部115での判定が必要となった場合と出力形式を異なるものとすることで、管理者はより詳細な警告情報を得ることが可能となる。
【0053】
また、上述の実施形態においては、第2判定部115において第2の体温が第2の閾値を超えた場合に、測定対象情報122に警告情報を記憶しておき、全ての測定対象の測定が終了した時点で警告を出力する構成を示したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、判定対象のうち、最初に第2判定部115において第2の体温が第2の閾値を超えた時点で警告を出力する構成としてもよい。例えば、測定対象が複数人のグループである場合に、第2判定部115での判定の結果、一人でも警告の出力が必要となった場合には、そのグループ内の全員を別の場所に移動させて、医療機器等の接触型の体温計を用いて体温を計測するなどの対応が可能となる。これにより、体温計測装置100は、グループごとの体温計測の処理を継続しつつ、警告が必要なグループには、正確な体温を測定することが可能となる。例えば、施設の入場管理等に体温計測装置100を用いる場合に、上述の一連の体温計測の効率化を図ることが可能となる。
【0054】
さらに、上述の第2の実施形態においては、第2判定部115での判定において、ズーム調整部133及びピント調整部131で調整された判定対象に対して、体温を算出し、第2の閾値と判定する例を示したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、第3判定部をさらに設け、まず、第2判定部115の判定は、第1の実施形態と同様にピント調整部131によるピント調整を行った判定対象に対して、体温を算出する。次に、第2の体温が第2の閾値を超えた対象に対して、第2の実施形態と同様に、ズーム調整部133及びピント調整部131で調整された判定対象に対して第3の体温を算出し、第3の閾値と判定する構成としてもよい。これにより、段階的に対象を絞りながらより正確な体温の測定が可能となる。
【0055】
上述した体温計測方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(体温計測プログラム)及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上述のコンピュータプログラムは、上述の記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 体温計測装置
110 制御部
111 対象情報特定部
112 体温算出部
113 判定対象選択部
114 第1判定部
115 第2判定部
120 記憶部
130 カメラI/F
131 ピント調整部
132 撮像データ取得部
133 ズーム調整部
140 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6