(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】切断装置、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/20 20060101AFI20241022BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20241022BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20241022BHJP
B26D 5/10 20060101ALI20241022BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B26D7/20
B41J11/70
B26D1/06 Z
B26D5/10
B26D3/08 Z
(21)【出願番号】P 2020201611
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章太
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩光
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261069(JP,A)
【文献】特開2005-224924(JP,A)
【文献】特開2002-346970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0136584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20
B41J 11/70
B26D 1/06
B26D 5/10
B26D 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を切断するためのカッタ刃を保持して移動可能なカッタホルダと、
前記カッタホルダと対向する位置に設けられ、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でフルカットするフルカット位置と、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でハーフカットするハーフカット位置との間で移動する切断台と、
ユーザ操作可能であり、前記カッタホルダと接触して前記カッタホルダを移動させるカットレバーと、
ユーザ操作可能であり、前記切断台と接触して前記切断台を移動させる切断台レバーと
を備え、
前記カットレバーのみがユーザ操作された場合、前記ハーフカット位置にある前記切断台と、前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をハーフカットし、
前記カットレバー及び前記切断台レバーがユーザ操作された場合、前記切断台レバーにより前記フルカット位置に移動した前記切断台と、前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をフルカットする
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記切断対象物を収容する収容部を内部に有し、且つ、前記収容部に連通する開口部が所定方向の一方側に設けられた筐体を備え、
前記カットレバーは前記切断台レバーに対して前記所定方向の他方側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記カットレバーのみがユーザ操作されると、前記カットレバーと前記切断台レバーとを連動させず、前記切断台レバーのみがユーザ操作されると、
前記カットレバーと前記切断台レバーとを連動させる連動部を備え、
前記切断台レバーのみがユーザ操作された場合、前記切断台レバーにより前記フルカット位置に移動した前記切断台と、前記連動部により前記切断台レバーに連動した前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をフルカットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記カッタ刃の刃先は、所定の刃先方向に延び、
前記カッタ刃の前記刃先方向の両端部は、前記ハーフカット位置及び前記フルカット位置に配置された前記切断台の前記刃先方向の両端部よりも外側に配置されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断台は、
前記ハーフカット位置から前記フルカット位置に向けて、前記カッタホルダの移動方向と交差する第1移動方向に移動し、
前記切断台は、
前記カッタ刃と対向し且つ前記第1移動方向と交差する対向壁と、
前記対向壁に設けられ、前記対向壁に対して前記カッタホルダが配置される側と反対側に延び、前記第1移動方向と交差する交差壁と、
を備え、
前記対向壁に対して前記カッタホルダが配置される側と反対側、且つ、前記交差壁に対して前記第1移動方向側に配置される支持部を更に備え、
前記支持部は、
前記切断台が前記第1移動方向に移動することに応じ、前記切断台に対して前記第1移動方向と反対方向である第2移動方向に相対移動し、前記対向壁及び前記交差壁に押し付けられる
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の切断装置。
【請求項6】
前記ハーフカット位置から前記フルカット位置に向けて前記切断台を移動させる保持体を備え、
前記切断台は、
前記カッタ刃の刃先の延びる方向における中央で前記保持体に接触する接触部を有し、
前記保持体からの力を前記接触部で受けて移動する
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の切断装置。
【請求項7】
所定の延伸方向に延び、前記切断台を移動させるための保持体を備え、
前記切断台は、前記保持体が挿入される挿入部を備え、
前記切断台が前記保持体に対して前記延伸方向の一方側に移動することにより、前記挿入部に前記保持体が挿入され、
前記切断台は、
前記挿入部に前記保持体が挿入された状態で、前記保持体に対して前記延伸方向と直交する直交方向の一方側に対向する壁面のうち、前記挿入部よりも前記延伸方向の一方側の部分に、前記延伸方向に対して傾斜した第1傾斜部を有し、
前記第1傾斜部に沿って前記延伸方向の一方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の一方側に対して前記直交方向の一方側に傾くことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の切断装置。
【請求項8】
前記切断台は、
前記第1傾斜部よりも前記延伸方向の他方側の部分に、前記保持体と接触して荷重を受けることが可能な第1荷重部を有することを特徴とする請求項7に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1荷重部に沿って前記延伸方向の他方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の他方側に対して前記直交方向の一方側に傾くことを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
前記第1傾斜部は、
前記保持体と接触せず荷重を受けないことを特徴とする請求項7から9の何れかに記載の切断装置。
【請求項11】
前記保持体は、
前記挿入部に前記保持体が挿入された状態で、前記切断台に対して前記直交方向の他方側に対向する部分のうち、前記挿入部よりも前記延伸方向の一方側の部分に、前記延伸方向に対して傾斜した第2傾斜部を有し、
前記第2傾斜部に沿って前記延伸方向の一方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の一方側に対して前記直交方向の一方側に傾く
ことを特徴とする請求項7から10の何れかに記載の切断装置。
【請求項12】
前記保持体は、
前記第2傾斜部よりも前記延伸方向の他方側の部分に、前記挿入部と接触して荷重を与えることが可能な第2荷重部を有することを特徴とする請求項11に記載の切断装置。
【請求項13】
前記第2荷重部に沿って前記延伸方向の他方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の他方側に対して前記直交方向の一方側に傾くことを特徴とする請求項12に記載の切断装置。
【請求項14】
前記第2傾斜部は、
前記切断台と接触せず荷重を与えないことを特徴とする請求項11から13の何れかに記載の切断装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れかに記載の切断装置により、印刷された前記切断対象物を切断する印刷装置であって、
前記切断対象物を収容する収容部と、
前記収容部を開閉可能なカバーと
前記切断対象物に印刷を行う印刷部と
を備え、
前記カバーは、
前記収容部を閉塞した状態で前記切断台に向けて突出した突出部を有し、
前記突出部と前記切断台との間に隙間が形成されたことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び切断装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ、ラベル及びチューブなどの切断対象物を切断する切断装置と印刷装置とが知られている。例えば、特許文献1に開示される切断装置では、モータを駆動することによって、可動刃と切断台部は協働してラベル紙を切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記切断装置では、可動刃を動かすためのモータを備えるため、切断装置の重量が増大する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、軽量化を実現することが可能な切断装置、及び切断装置を備えた印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る切断装置は、切断対象物を切断するためのカッタ刃を保持して移動可能なカッタホルダと、前記カッタホルダと対向する位置に設けられ、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でフルカットするフルカット位置と、前記切断対象物を前記カッタ刃との協働でハーフカットするハーフカット位置との間で移動する切断台と、ユーザ操作可能であり、前記カッタホルダと接触して前記カッタホルダを移動させるカットレバーと、ユーザ操作可能であり、前記切断台と接触して前記切断台を移動させる切断台レバーとを備え、前記カットレバーのみがユーザ操作された場合、前記ハーフカット位置にある前記切断台と、前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をハーフカットし、前記カットレバー及び前記切断台レバーがユーザ操作された場合、前記切断台レバーにより前記フルカット位置に移動した前記切断台と、前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をフルカットすることを特徴とする。
【0007】
切断装置は、カットレバーと切断台レバーが操作されることによって、切断対象物をフルカット又はハーフカットする。この場合、切断装置は、カッタ刃を移動させるためのモータが搭載れる場合に比べて軽量化を実現できる。
【0008】
第1態様において、前記切断対象物を収容する収容部を内部に有し、且つ、前記収容部に連通する開口部が所定方向の一方側に設けられた筐体を備え、前記カットレバーは前記切断台レバーに対して前記所定方向の他方側に配置されてもよい。切断装置のユーザは、はじめに切断対象物をハーフカットする場合におけるカットレバーの操作と、次に切断対象物をフルカットする場合における切断台レバーの操作とを、直感的に区別して行うことができる。
【0009】
第1態様において、前記カットレバーのみがユーザ操作されると、前記カットレバーと前記切断台レバーとを連動させず、前記切断台レバーのみがユーザ操作されると、前記切断台レバーと前記切断台レバーとを連動させる連動部を備え、前記切断台レバーのみがユーザ操作された場合、前記切断台レバーにより前記フルカット位置に移動した前記切断台と、前記連動部により前記切断台レバーに連動した前記カットレバーにより移動した前記カッタホルダの前記カッタ刃とが協働して前記切断対象物をフルカットしてもよい。ユーザは、カットレバーと切断台レバーとの両方の操作を要せず、切断台レバーのみの操作により切断対象物をフルカットできる。
【0010】
第1態様において、前記カッタ刃の刃先は、所定の刃先方向に延び、前記カッタ刃の前記刃先方向の両端部は、前記ハーフカット位置及び前記フルカット位置に配置された前記切断台の前記刃先方向の両端部よりも外側に配置されてもよい。切断装置は、カッタ刃の刃先方向の両端部に歪み等が生じている場合でも、カッタ刃と切断台との協働により切断対象物を適切にカットできる。
【0011】
第1態様において、前記切断台は、前記ハーフカット位置から前記フルカット位置に向けて、前記カッタホルダの移動方向と交差する第1移動方向に移動し、前記切断台は、前記カッタ刃と対向し且つ前記第1移動方向と交差する対向壁と、前記対向壁に設けられ、前記対向壁に対して前記カッタホルダが配置される側と反対側に延び、前記第1移動方向と交差する交差壁と、を備え、前記対向壁に対して前記カッタホルダが配置される側と反対側、且つ、前記交差壁に対して前記第1移動方向側に配置される支持部を更に備え、前記支持部は、前記切断台が前記第1移動方向に移動することに応じ、前記切断台に対して前記第1移動方向と反対方向である第2移動方向に相対移動し、前記対向壁及び前記交差壁に押し付けられてもよい。切断装置は、切断台の対向壁及び交差壁に対して支持部を第2移動方向に押し付ける。これにより、切断対象物をカットする時にカッタ刃から切断台に作用する力に応じて切断台がずれることを抑制できる。従って切断装置は、切断対象物を適切に切断できる。
【0012】
第1態様において、前記ハーフカット位置から前記フルカット位置に向けて前記切断台を移動させる保持体を備え、前記切断台は、前記カッタ刃の刃先の延びる方向における中央で前記保持体に接触する接触部を有し、前記保持体からの力を前記接触部で受けて移動してもよい。切断装置は、切断台が保持体から力を受けて移動するときに、刃先の延びる方向において歪が生じる可能性を軽減できる。従って切断装置は、切断対象物を適切に切断できる。
【0013】
第1態様において、所定の延伸方向に延び、前記切断台を移動させるための保持体を備え、前記切断台は、前記保持体が挿入される挿入部を備え、前記切断台が前記保持体に対して前記延伸方向の一方側に移動することにより、前記挿入部に前記保持体が挿入され、前記切断台は、前記挿入部に前記保持体が挿入された状態で、前記保持体に対して前記延伸方向と直交する直交方向の一方側に対向する壁面のうち、前記挿入部よりも前記延伸方向の一方側の部分に、前記延伸方向に対して傾斜した第1傾斜部を有し、前記第1傾斜部に沿って前記延伸方向の一方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の一方側に対して前記直交方向の一方側に傾いてもよい。切断装置は、保持体に対する切断台の装着を容易化できる。
【0014】
第1態様において、前記切断台は、前記第1傾斜部よりも前記延伸方向の他方側の部分に、前記保持体と接触して荷重を受けることが可能な第1荷重部を有してもよい。切断装置は、切断台の移動時に挿入部から保持体が脱離することを、第1荷重部により抑制できる。
【0015】
第1態様において、前記第1荷重部に沿って前記延伸方向の他方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の他方側に対して前記直交方向の一方側に傾いてもよい。切断装置は、切断台の挿入部から保持体が脱離することを、第1荷重部により更に適切に抑制できる。
【0016】
第1態様において、前記第1傾斜部は、前記保持体と接触せず荷重を受けなくてもよい。切断装置は、切断台の挿入部から保持体が脱離することを抑制できる。
【0017】
第1態様において、前記保持体は、前記挿入部に前記保持体が挿入された状態で、前記切断台に対して前記直交方向の他方側に対向する部分のうち、前記挿入部よりも前記延伸方向の一方側の部分に、前記延伸方向に対して傾斜した第2傾斜部を有し、前記第2傾斜部に沿って前記延伸方向の一方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の一方側に対して前記直交方向の一方側に傾いてもよい。切断装置は、保持体に対する切断台の装着を容易化できる。
【0018】
第1態様において、前記保持体は、前記第2傾斜部よりも前記延伸方向の他方側の部分に、前記挿入部と接触して荷重を与えることが可能な第2荷重部を有してもよい。切断装置は、切断台の移動時に挿入部から保持体が脱離することを、第2荷重部により抑制できる。
【0019】
第1態様において、前記第2荷重部に沿って前記延伸方向の他方側の端部に向かう方向が、前記延伸方向の他方側に対して前記直交方向の一方側に傾いてもよい。切断装置は、切断台の挿入部から保持体が脱離することを、第2荷重部により更に適切に抑制できる。
【0020】
第1態様において、前記第2傾斜部は、前記切断台と接触せず荷重を与えなくてもよい。切断装置は、切断台の挿入部から保持体が脱離することを、第2傾斜部により抑制できる。
【0021】
本発明の第2態様に係る印刷装置は、第1態様に係る切断装置により、印刷された前記切断対象物を切断する印刷装置であって、前記切断対象物を収容する収容部と、前記収容部を開閉可能なカバーと前記切断対象物に印刷を行う印刷部とを備え、前記カバーは、前記収容部を閉塞した状態で前記切断台に向けて突出した突出部を有し、前記突出部と前記切断台との間に隙間が形成されたことを特徴とする。第2態様に係る印刷装置は、突出部により切断台が収容部から脱離することを防止すると同時に、切断台の移動が突出部により妨げられることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】印刷装置1とカセット9の分解斜視図である。
【
図3】収容部2とカセット9の内部構造を示す底面図である。
【
図4】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット待機位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)を右斜め下方から視た斜視図である。
【
図5】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット待機位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)を右斜め上方から視た斜視図である。
【
図6】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット待機位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)の正面図である。
【
図7】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット待機位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)の上面図である。
【
図8】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)を右斜め下方から視た斜視図である。
【
図9】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)の正面図である。
【
図10】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット切断位置)を右斜め下方から視た斜視図である。
【
図11】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット切断位置)の正面図である。
【
図12】支持部26から切断台4Aを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図13】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット待機位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)の断面図である。
【
図14】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット待機位置)の断面図である。
【
図15】切断装置1E(カットレバー5:ハーフカット切断位置、切断台レバー6:フルカット切断位置)の断面図である。
【
図17】
図3のA-A線を矢印方向から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例である印刷装置1について説明する。以下の方向に関する説明では、図面において矢印によって示す上下、左右、前後を使用する。
【0024】
<印刷装置1の概要>
図1に示すように、印刷装置1は、筐体1A、操作部1B、表示部1C、カバー1D、切断装置1E(
図4等参照)を備える。筐体1Aは平面視で略正方形形状である。操作部1Bは、筐体1Aの前側且つ上下方向略中央よりも下側に設けられる。操作部1Bは、ユーザ操作による各種の情報の入力を受付可能である。ユーザ操作は、ユーザが直接的に触って操作をすることである。表示部1Cは、筐体1Aの前側且つ操作部1Bよりも上側の位置に設けられ、各種の情報を表示可能である。
図2に示すように、筐体1Aの後側に開口部12が設けられる。開口部12は、カセット9が収容される収容部2に連通する。
図1に示すように、板状に形成されたカバー1Dは、収容部2(
図2参照)を開閉する。
【0025】
図2に示すように、収容部2には、ヘッドホルダ21、テープ駆動軸22A、リボン巻取軸22B、駆動モータ(図示略)、及び補助軸22Cが設けられる。ヘッドホルダ21は、収容部2の右部から後方に立設する。ヘッドホルダ21の右面には、印刷ヘッド21A(
図3参照)が設けられる。印刷ヘッド21Aは、前後方向に並んだ複数の発熱体を含むサーマルヘッドである。テープ駆動軸22Aはヘッドホルダ21の上側に設けられ、リボン巻取軸22Bはヘッドホルダ21の左側に設けられる。テープ駆動軸22Aとリボン巻取軸22Bはいずれも、前後方向を軸方向として回転可能である。駆動モータは、テープ駆動軸22Aとリボン巻取軸22Bに駆動連結する。従って、駆動モータが駆動することに応じて、テープ駆動軸22Aとリボン巻取軸22Bは互いに連動して回転する。補助軸22Cは、前後方向を軸線方向とし、テープ駆動軸22Aとリボン巻取軸22Bよりも左側で固定される。
【0026】
図3に示すように、収容部2の右側には、上下方向に延びるプラテンホルダ23が設けられる。プラテンホルダ23の下端部は、前後方向に延びる軸23Aによって揺動可能に支持される。プラテンホルダ23は、プラテンローラ23Bと搬送ローラ23Cを支持する。プラテンローラ23Bと搬送ローラ23Cはいずれも、前後方向を軸方向として回転可能である。プラテンローラ23Bは印刷ヘッド21Aに右側から対向する。搬送ローラ23Cはテープ駆動軸22Aに右側から対向する。プラテンホルダ23は、軸23Aを中心に、近接位置(
図3参照)と離隔位置(図示略)との間を揺動する。プラテンホルダ23が近接位置にある場合、プラテンローラ23B及び搬送ローラ23Cは、夫々、印刷ヘッド21A及びテープ駆動軸22Aに対して近接する。プラテンホルダ23が離隔位置にある場合、プラテンローラ23B及び搬送ローラ23Cは、夫々、印刷ヘッド21A及びテープ駆動軸22Aに対して右方に離隔する。なお、プラテンホルダ23が離隔位置から近接位置に揺動することに応じて、プラテンローラ23Bは、駆動モータと駆動連結した状態に切り替わる。プラテンホルダ23は、カバー1D(
図1参照)が収容部2を閉塞することに伴って、離隔位置から近接位置に揺動する。以下、プラテンホルダ23が近接位置にある状態において、プラテンローラ23Bと印刷ヘッド21Aとの間の位置を、「印刷位置」をいう。
【0027】
図2に示すように、収容部2には、ラミネートタイプのカセット9が装着可能である。カセット9はケース90を備える。ケース90は箱状であり、テープ駆動ローラ91、支持孔92A~92D、及び排出部93を有する。テープ駆動ローラ91は、ケース90の右上角部において前後方向に延びる円筒体であり、ケース90によって回転可能に支持される。カセット9が収容部2に装着されるとき、テープ駆動ローラ91の内側には、テープ駆動軸22Aが挿入される。
【0028】
支持孔92Aはケース90を前後方向に貫通し、第1テープスプール96Aを回転可能に支持する。第1テープスプール96Aには、透明フィルムテープ99Aが巻かれた第1テープロール97Aが設けられる。第1テープロール97Aが前後方向を軸方向として第1テープスプール96Aと共に回転することで、透明フィルムテープ99Aは第1テープロール97Aから繰り出される。
【0029】
支持孔92Bはケース90を前後方向に貫通し、第2テープスプール96Bを回転可能に支持する。第2テープスプール96Bには、両面粘着テープ99Bが巻かれた第2テープロール97Bが設けられる。両面粘着テープ99Bは、片面に剥離紙が貼着された両面テープである。第2テープロール97Bが前後方向を軸方向として第2テープスプール96Bと共に回転することで、両面粘着テープ99Bは第2テープロール97Bから繰り出される。両面粘着テープ99Bはテープ駆動ローラ91に接続される。カセット9が収容部2に装着されるとき、支持孔92Bの内側には、補助軸22Cが挿入される。
【0030】
支持孔92Cはケース90を前後方向に貫通し、リボンスプール96Cを回転可能に支持する。リボンスプール96Cには、未使用のインクリボン99Cが巻かれたリボンロール97Cが設けられる。リボンロール97Cが前後方向を軸方向としてリボンスプール96Cと共に回転することで、インクリボン99Cはリボンロール97Cから繰り出される。
【0031】
支持孔92Dは、ケース90を前後方向に貫通し、リボン巻取スプール96Dを回転可能に支持する。リボン巻取スプール96Dは、使用済みのインクリボン99Cが巻かれたリボン巻取ロール97Dが設けられる。リボン巻取ロール97Dが前後方向を軸方向としてリボン巻取スプール96Dと共に回転することで、インクリボン99Cは、リボン巻取ロール97Dに巻き取られる。カセット9が収容部2に装着されるとき、支持孔92Dの内側には、リボン巻取軸22Bが挿入される。排出部93は、テープ駆動ローラ91の右上側で上下方向に開口する開口部である。
【0032】
ケース90には、ヘッド開口94Aが設けられる。ヘッド開口94Aは、ヘッドホルダ21が挿入可能な開口部であり、ケース90の右部を前後方向に貫通する。ケース90のうちヘッド開口94Aの右側で上下方向に延びる部位は、アーム部94Bである。アーム部94Bの上端には、第1テープガイド95Aが設けられる。第1テープガイド95Aは、右側から順に配置される透明フィルムテープ99Aとインクリボン99Cが排出される開口部である。第1テープガイド95Aから排出される透明フィルムテープ99Aとインクリボン99Cはヘッド開口94Aを通過し、カセット9に設けられた第2テープガイド95Bに至る。第2テープガイド95Bは、ヘッド開口94Aとテープ駆動ローラ91との間に設けられた開口部である。第2テープガイド95Bとテープ駆動ローラ91との間において、インクリボン99Cは、透明フィルムテープ99Aから左方に向けて分離して、リボン巻取ロール97Dに接続される。以下、インクリボン99Cが透明フィルムテープ99Aから分離する位置を、「剥離位置」という。
【0033】
剥離位置よりも上側にある透明フィルムテープ99Aは、テープ駆動ローラ91と接続して、両面粘着テープ99Bの右端面に重ね合わせられる。以下、互いに重ね合わせられた透明フィルムテープ99Aと両面粘着テープ99Bを切断対象物99ともいう。本例の切断対象物99は、前後方向を幅方向とするテープである。切断対象物99の厚みは、一例として100μmである。
【0034】
<切断装置1E>
図3に示すように、切断装置1Eはテープ駆動軸22Aよりも上側に設けられる。
図4に示すように、切断装置1Eは、受部10A、カッタ部10B、レバー部10Cを備える。切断装置1Eは、受部10Aの切断台4Aと、カッタ部10Bのカッタ刃30(
図9等参照)との協働によって、切断対象物99に対して切断動作を実行する。切断動作は、レバー部10Cに対するユーザ操作により実行される。切断動作は、ハーフカットとフルカットを含む。フルカットは、切断装置1Eのカッタ刃30の刃先が延びる方向である刃先方向に沿って、切断対象物99を完全に2つに切り離す切断動作である。刃先方向は前後方向と一致する。ハーフカットは、切断対象物99の一部に切れ込みが形成され、2つに切り離されない切断動作である。
【0035】
<カッタ部10B>
カッタ部10Bは、後述の受部10Aと協働して切断対象物99を切断する。
図4、
図8、
図10に示すように、カッタ部10Bは、箱部材31、カッタホルダ32、及び、カッタバネ(図示略)を備える。箱部材31は左方に向けて開口する。箱部材31の右端部の前後中央部には、上下方向と右方とに開口する開口孔31Aが設けられる。カッタホルダ32は、箱部材31の内側において左右動可能に設けられる。カッタホルダ32の左端部は、切断対象物99を切断するためのカッタ刃30(
図8、
図10参照)を保持する。カッタ刃30は、上下方向に厚みを有する板状であり、その左端部には前後方向に延びる刃が形成される。カッタ刃30は、カッタホルダ32と共に左右動可能である。カッタホルダ32が可動範囲の右端にある場合、カッタ刃30は箱部材31内に収容される(
図4参照)。カッタホルダ32が可動範囲の左端にある場合、カッタ刃30は箱部材31から左方に突出する(
図8、
図10参照)。
図8、
図10に示すように、カッタ刃30の刃先方向(前後方向)の長さを、L30と表記する。
【0036】
以下、
図4に示すように、箱部材31に収容された状態におけるカッタ刃30の位置を、「退避位置」という。カッタ刃30は、退避位置にある状態で切断対象物99から離隔し、接触不可能となる。
図8、
図10に示すように、箱部材31から左方に突出した状態におけるカッタ刃30の位置を、「カット位置」という。カッタ刃30は、カット位置にある状態で切断対象物99と接触する。非図示のカッタバネは、箱部材31の内部に設けられる。カッタバネは、カッタ刃30がカット位置にある状態から退避位置にある状態に向けて、カッタホルダ32を付勢する。
【0037】
<レバー部10C>
レバー部10Cは、ユーザ操作を受け付けてカッタ部10B及び後述の受部10Aを駆動する。
図4に示すように、レバー部10Cは、カットレバー5、切断台レバー6を備える。カットレバー5及び切断台レバー6は、前後方向に並ぶ。カットレバー5は、切断台レバー6に対して前側に位置する。カットレバー5、切断台レバー6は、筐体1A(
図1参照)の内部にて、前後方向に延びるレバー軸100(
図6参照)に揺動可能に支持される。ユーザ操作により、カットレバー5及び切断台レバー6は夫々揺動する。
図4~
図7は、ユーザ操作が行われていない状態のカットレバー5及び切断台レバー6の夫々の位置を示す。以下、特に説明のない限り、ユーザ操作が行われていない状態(
図4~
図7参照)を前提として印刷装置1の各方向(前後方向、左右方向、上下方向)をカットレバー5及び切断台レバー6にも適用し、形状等を説明する。
【0038】
図4~
図7に示すように、カットレバー5は、筒状部50(
図5、
図7参照)、操作部51(
図4、
図5、
図7参照)、突出部52(
図4、
図6参照)、及び延設部53(
図4、
図6、
図7参照)を備える。操作部51はユーザ操作が可能な部位である。操作部51は、筐体1Aの右上部に設けられた開口部11(
図1、
図2参照)から右上方へ突出する。操作部51の左端部に筒状部50が設けられる。筒状部50は円筒状を有する。筒状部50の内部に、後述する切断台レバー6の架設部63B(
図13~
図15参照)、及びレバー軸100(
図6参照)が挿通される。筒状部50はレバー軸100に対して回転可能である。操作部51は、筒状部50を介してレバー軸100に揺動可能に支持される。突出部52は、操作部51の後面に設けられ、後方に突出する。突出部52は、左斜め下方に延びる進入部52Aを備える。延設部53は、操作部51の右下の角から左斜め下方に延びる。
【0039】
非図示のカットレバーバネは、レバー軸100に設けられた捩りバネである。カットレバーバネは、カットレバー5を、後方から視た状態で時計回り方向(矢印C51(
図4参照)の向き)に付勢する。カットレバーバネの付勢力に応じて矢印C51の向きに最も揺動したカットレバー5の位置を、「ハーフカット待機位置」という。
図8に示すように、ユーザ操作によりカットレバー5の操作部51が操作された場合、カットレバー5は、カットレバーバネの付勢力に抗して矢印C51の向きと反対向き(矢印C52の向き)に揺動する。カットレバーバネの付勢力に抗して矢印C52の向きに最も揺動したカットレバー5の位置を、「ハーフカット切断位置」という。
【0040】
図4~
図7に示すように、切断台レバー6は、操作部61、接触部62(
図13~
図15参照)、及び延設部63(
図5、
図7参照)を備える。操作部61は、ユーザ操作が可能な部位である。操作部61は、カットレバー5の操作部51の後方に位置する。操作部61は、カットレバー5の操作部51と同様、筐体1Aの開口部11(
図1、
図2参照)から右上方に向けて突出する。操作部61は、平面視において操作部51と略同一形状である。接触部62は、操作部61の前面に設けられ、前方に突出する。接触部62は、カットレバー5の突出部52と接触可能である。以下、突出部52及び接触部62を総称して、「連動部10D」という場合がある。
【0041】
図5に示すように、操作部61の左端部に延設部63が設けられる。延設部63は、円板部63A、架設部63B(
図13~
図15参照)、及び腕部63Cを有する。円板部63Aは、操作部61の左端部から左方に向けて、カットレバー5の筒状部50の上面に沿って延びる。円板部63Aの中心に、円形の孔が形成される。架設部63Bは円筒状を有し、上下方向に延びる貫通孔を有する。架設部63Bは、円板部63Aの前面から、カットレバー5の筒状部50の内部を通って前方に延びる。架設部63Bの前端部は、カットレバー5の筒状部50に対して前方に突出する。架設部63Bの貫通孔は、円板部63Aの孔に連通する。架設部63Bの貫通孔にはレバー軸100(
図6参照)が挿通される。架設部63Bはレバー軸100に対して回転可能である。操作部61は、円板部63A及び架設部63Bを介してレバー軸100に揺動可能に支持される。
図6に示すように、腕部63Cは、架設部63Bの前端部から左方に向けて延びる。腕部63Cには、前後方向に貫通する孔631が形成される。
【0042】
非図示の切断台レバーバネは、レバー軸100に設けられた捩りバネである。切断台レバーバネは、切断台レバー6を、後方から視た状態で時計回り方向(矢印C61(
図4、
図8参照)の向き)に付勢する。切断台レバーバネの付勢力に応じて矢印C61の向きに最も揺動した切断台レバー6の位置を、「フルカット待機位置」という。
図10に示すように、ユーザ操作により切断台レバー6の操作部61が操作された場合、切断台レバー6は、切断台レバーバネの付勢力に抗して矢印C61の向きと反対向き(矢印C62の向き)に揺動する。切断台レバーバネの付勢力に抗して矢印C62の向きに最も揺動した切断台レバー6の位置を、「フルカット切断位置」という。
【0043】
なお、切断台レバー6の操作部61に対するユーザ操作が行われた場合、切断台レバー6の接触部62はカットレバー5の突出部52に接触し、カットレバー5に対して矢印C52の向きの力を作用させる。これにより、カットレバー5は、切断台レバー6に連動して矢印C52の向きに揺動する。つまり、切断台レバー6のみに対するユーザ操作によって切断台レバー6がフルカット待機位置からフルカット切断位置まで移動する場合、同時に、カットレバー5も連動してハーフカット待機位置からハーフカット切断位置まで移動する(
図10参照)。一方、カットレバー5のみに対するユーザ操作によってカットレバー5がハーフカット待機位置からハーフカット切断位置まで移動する場合、切断台レバー6は連動して移動せず、フルカット待機位置のまま維持される(
図8参照)。
【0044】
カットレバー5がハーフカット待機位置(
図4参照)からハーフカット切断位置(
図8、
図10参照)まで移動する過程で、カットレバー5の進入部52Aは、カッタ部10Bの箱部材31に設けられた開口孔31Aに進入する。この時、箱部材31の内部のカッタホルダ32は進入部52Aから力を受け、カッタ刃30を退避位置からカット位置まで左方に移動させる。
図8、
図10に示すように、カット位置に配置されたカッタ刃30は、箱部材31から左方に突出する。
【0045】
<受部10A>
受部10Aは、カッタ部10Bと協働して切断対象物99をフルカットするか又はハーフカットするかを、レバー部10Cに対するユーザ操作に応じて切り替える。
図4~
図7に示すように、受部10Aは、切断台4A及び回転部材4Bを備える。切断台4Aは前後方向に延びる略直方体状であり、カッタホルダ32の左方に対向して配置される。
図12に示すように、切断台4Aは箱状を有し、壁部40U、40S、40B、40R、40Lを有する。壁部40U、40S、40B、40R、40Lは各々、切断台4Aの上側、下側、後側、右側、左側の壁部に対応する。壁部40Rは左右方向と直交し、カッタホルダ32の左方に配置される。壁部40Uは、壁部40Rの上端部に連結する。壁部40Sは、壁部40Rの下端部に連結する。壁部40U、40Sは、各々、カッタホルダ32が設けられる側と反対側(左側)に延びる。壁部40Uは上下方向と直交する。壁部40Sは、上下方向と直交する方向に対して傾斜する。切断台4Aの壁部40U、40S間の間隔は、右方に向かうに従って大きくなる(
図13~
図15参照)。切断台4Aの前端部には、前方に向けて開口する開口40Aが設けられる。開口40Aは、壁部40U、40S、40B、40R、40Lで囲まれた内部空間40C(
図13~
図15参照)に連通する。
【0046】
切断台4Aは、筐体1Aの収容部2に設けられた板状の支持部26により、移動可能に支持される。支持部26は上下方向と直交し、収容部2の底部から後方に延びる。支持部26は、切断台4Aの開口40Aに前側から挿入され、内部空間40C内に配置される。支持部26の位置は、壁部40Rに対してカッタホルダ32が配置される側と反対側である。支持部26の左右方向の長さは、切断台4Aの内部空間40Cの左右方向の長さと略同一である(
図13~
図15参照)。切断台4Aは、支持部26に対して着脱可能である。例えばユーザは、印刷装置1の使用に応じて切断台4Aが劣化した場合、別の切断台4Aに交換することが可能である。
【0047】
図13~
図15に示すように、壁部40Uの左端部近傍に、内部空間40Cの内側に向けて突出する凸部401が設けられる。壁部40Sの左端部近傍に、内部空間40Cの内側に向けて突出する凸部402が設けられる。凸部401、402間の上下方向の間隔は、支持部26の厚さと略同一である。凸部401、402は、内部空間40Cに配置された支持部26の左端部を上下方向から挟持する。壁部40Uの右端部近傍に、内部空間40Cの内側に向けて突出する凸部403が設けられる。壁部40Sの右端部近傍に、内部空間40Cの内側に向けて突出する凸部404が設けられる。凸部403、404間の上下方向の間隔は、支持部26の厚さよりも大きい。
図13、
図14に示すように、切断台4Aの右端部は、支持部26の上面に凸部403が接触するまで下方に移動可能である。又、
図15に示すように、切断台4Aの右端部は、支持部26の下面に凸部404が接触するまで上方に移動可能である。従って切断台4Aは、凸部401、402により支持部26を挟持する左端部を中心として、右端部を上下方向に揺動可能となる。
【0048】
以下、
図13、
図14に示すように、凸部403が支持部26に接触する位置まで揺動した状態、即ち、後方から視た状態で反時計回り方向に最も揺動した状態における切断台4Aの位置を、「ハーフカット位置」という。
図15に示すように、凸部404が支持部26に接触する位置まで揺動した状態、即ち、後方から視た状態で時計回り方向に最も揺動した状態における切断台4Aの位置を、「フルカット位置」という。
【0049】
図12~
図15に示すように、切断台4Aの壁部40Uに接触部41が設けられる。接触部41は、夫々が板状の接触部41A、41B、41Cを含む。接触部41Aは左右方向と直交し、壁部40Uの右端部から上方に向けて延びる。接触部41Aの前後方向の長さは、壁部40Uの上下方向の長さの略半分である。接触部41Bは、接触部41Aの左面のうち上端近傍から、左斜め下方に延びる。接触部41Bの前後方向の長さは、接触部41Aの前後方向の長さの略1/3である。接触部41Cは、接触部41Bの左端部から下方に延び、壁部40Uに接続する。接触部41Cの前後方向の長さは、接触部41Bの前後方向の長さと同一である。接触部41A、41B、41Cで囲まれた部分を、「挿入部410」という。壁部40U、及び接触部41A、41B、41Cの夫々の前後方向の中央の位置は一致する。このため接触部41は、前後方向において切断台4Aの中央に配置される。
【0050】
図4に示すように、切断台4Aの壁部40Rは、第1部分421及び第2部分422を備える。第1部分421及び第2部分422は、カッタ刃30(
図8、
図10参照)と協働して切断対象物99を挟むための部位である。第1部分421と第2部分422は、上下方向において異なる位置に配置される。第1部分421は、第2部分422に対して下側に位置する。第1部分421及び第2部分422の夫々の前後方向の長さは略等しく、切断台4Aの前後方向の長さと一致する。切断台4Aの前後方向の長さを、L40と表記する。
図8、
図10に示すように、長さL40は、カッタ刃30の刃先方向(前後方向)の長さL30よりも小さい。
【0051】
ハーフカット位置(
図8参照)及びフルカット位置(
図10参照)に切断台4Aが配置された状態において、切断台4Aの前端部よりも前側にカッタ刃30の前端部が突出し、且つ、切断台4Aの後端部よりも後側にカッタ刃30の後端部が突出する。つまり、ハーフカット位置(
図8参照)及びフルカット位置(
図10参照)に配置された切断台4Aの前後方向両端部よりも外側に、カッタ刃30の前後方向の両端部が位置する。
【0052】
第1部分421は樹脂材料によって形成されており、表面は平面状に形成される。第2部分422は、金属材料によって形成され、平面部422Aと一対の突出部422Bを含む。平面部422Aの表面は平面状に形成される。一対の突出部422Bは、第2部分422の前後方向両端部から右方に突出する。一対の突出部422Bは、平面部421Aの前後両端部に配置され、前後方向に離隔する。各突出部422Bの平面部422Aに対する突出量は、約50μmである。一対の突出部422Bの前後方向における最短の距離は、切断対象物99の前後方向の長さ(以下、「切断対象物99の幅」という。)よりも大きい。
【0053】
図4~
図7に示すように、回転部材4Bは、筐体1Aの内部で固定される軸27によって回転可能に支持される。軸27は
前後方向に延びる。回転部材4Bは、基部46、円筒部47、保持体48(
図5~
図7参照)、及びバネ49を備える。
【0054】
基部46は、後述の円筒部47及び保持体48を支持する基台として機能する。基部46は、ベース板460(
図5、
図6参照)、及び当接板46A、46B(
図5、
図6参照)を備える。ベース板460は、前後方向と平行であり、切断台4Aよりも前側に設けられる。当接板46A、46Bは、ベース板460の後面から後方に向けて延び、夫々上下方向と直交する。当接板46Aは、ベース板460の下端部に設けられ、ベース板460の左右方向両端部に亘って左右方向に延びる。当接板46Aは、切断台4Aの壁部40U(
図12参照)よりも上方に位置する。当接板46Aは、ベース板460の上端部に設けられ、ベース板460の左端部から右方に延びる。当接板46Bの右端部にフック461が設けられる。
【0055】
円筒部47は、基部46の左端部に設けられ、ベース板460の後面から後方に向けて延びる。円筒部47の内部に軸27が前側から挿通される。円筒部47が軸27に対して回転可能に支持されることにより、回転部材4Bは軸27を中心として回転可能となる。バネ49は捩りバネである。バネ49のコイル部は円筒部47に巻回され、バネ49の一端部は基部46のフック461に保持される。バネ49は、後方から視た状態で回転部材4Bを時計回り方向に付勢する。
【0056】
保持体48は略円柱状を有し、基部46のベース板460から後方に向けて延びる。切断台4Aの装着時、保持体48に対して切断台4Aが前方に移動し、接触部41A、41B、41Cで囲まれた挿入部410に保持体48が下方から挿入される。保持体48は、挿入部410の内壁を構成する接触部41B、41C、及び壁部40Uの一部と接触する。なお接触部41は、前後方向において切断台4Aの中央に配置される。このため接触部41は、切断台4Aにおける前後方向の中央において保持体48と接触することになる。
【0057】
図6、
図9に示すように、切断台レバー6がフルカット待機位置に配置された状態で、切断台レバー6の腕部63Cの左端部は、当接板46Aの上面に上方から当接する。このため、バネ49の付勢力による回転部材4Bの回転は、腕部63Cが当接板46Aに当接することで抑制される。この状態で保持体48は、切断台4Aの壁部40U及び接触部41に接触して切断台4Aを下方に付勢する。この時、
図13、
図14に示すように、支持部26に凸部403が押し付けられ、切断台4Aはハーフカット位置に配置される。又、
図4、
図8に示すように、切断台4Aがハーフカット位置に配置された状態で、カッタホルダ32のカッタ刃30の左方に切断台4Aの第2部分422が対向する。
【0058】
一方、切断台レバー6がフルカット待機位置からフルカット切断位置まで移動する過程で、切断台レバー6の腕部63Cの左端部は上方に移動する。
図11に示すように、腕部63Cの当接板46Aに対して上方に離隔する。このため回転部材4Bは、バネ49の付勢力により回転する。保持体48は、回転部材4Bの回転に応じて上方に移動する。切断台4Aは、保持体48から受ける力を接触部41で受けて揺動し、支持部26に凸部404が押し付けられる。切断台4Aは、ハーフカット位置からフルカット位置まで移動する。又、
図10に示すように、切断台4Aがフルカット位置に配置された状態で、カッタホルダ32のカッタ刃30の左方に切断台4Aの第1部分421が対向する。
【0059】
図16に示すように、ハーフカット位置からフルカット位置まで移動する切断台4Aの移動方向を、第1移動方向Y11という。ハーフカット位置からフルカット位置まで切断台4Aが移動する時に、支持部26は切断台4Aに対して相対移動する方向を、第2移動方向Y12という。第1移動方向Y11と第2移動方向Y12とは互いに反対向きとなる。カッタホルダ32と共に移動するカッタ刃30の移動方向を、カッタ刃移動方向Y13(
図16参照)という。
【0060】
第1移動方向Y11は、左斜め上方に向かう向きである。第2移動方向Y12は、右斜め下方に向かう向きである。カッタ刃移動方向Y13は、左右方向と一致する。つまり、第1移動方向Y11及び第2移動方向Y12は、何れもカッタ刃移動方向Y13と交差する。又、ハーフカット位置からフルカット位置まで切断台4Aが第1移動方向Y11に移動する場合、支持部26は切断台4Aに対して第2移動方向Y12に相対移動することになり、切断台4Aの壁部40R、40Sに対して支持部26の右下の角部が押し付けられる。
【0061】
図17に示すように、切断台4Aの壁部40Uは、挿入部410に保持体48が挿入された状態で、保持体48に対して下方に対向する。壁部40Uは、第1傾斜部44A、第1荷重部44B、及び第1接触部44Cを有する。第1傾斜部44Aは、壁部40Uのうち挿入部410よりも前側の部分に対応する。第1接触部44Cは、壁部40Uのうち挿入部410よりも後側の部分の一部に対応する。第1荷重部44Bは、壁部40Uのうち第1傾斜部44Aよりも後側、且つ、第1接触部44Cよりも前側の部分に対応する。第1荷重部44Bは、上下方向において挿入部410と重複し、挿入部410の内部に配置される。第1傾斜部44A、第1荷重部44B、及び第1接触部44Cは、この順番で前方から後方に向けて配列される。
【0062】
第1傾斜部44Aは、前後方向に対して傾斜する。より詳細には、第1傾斜部44Aでは、第1荷重部44Bに隣接する後端部442から前端部441に向かう方向が、前斜め下方を向く。言い換えれば、第1傾斜部44Aに沿って後端部442から前端部441に向かう方向が、前方に対して下方に傾く。第1傾斜部44Aと保持体48とは、切断台4A及び保持体48の位置関係に関わらず、常に上下方向に離隔する。このため第1傾斜部44Aは、保持体48が移動する場合でも保持体48から荷重を受けない。
【0063】
第1荷重部44Bは、第1傾斜部44Aよりも上方に突出し、切断台4Aがハーフカット位置にある状態で保持体48の第2荷重部45B(後述)と接触する。第1荷重部44Bは保持体48から直接荷重を受け、切断台4Aをハーフカット位置で保持する。第1荷重部44Bでは、第1傾斜部44Aに隣接する前端部443から、第1接触部44Cに隣接する後端部444に向かう方向が、後斜め下方を向く。言い換えれば、第1荷重部44Bに沿って前端部443から後端部444に向かう方向が、後方に対して下方に傾く。
【0064】
第1接触部44Cは、第1荷重部44Bよりも下方に位置し、後述する保持体48の第2接触部45Cに下方から接触する。
【0065】
保持体48は、挿入部410に挿入された状態で、切断台4Aに対して上方に対向する部分に、第2傾斜部45A、第2荷重部45B、及び第2接触部45Cを有する。第2傾斜部45Aは、保持体48のうち挿入部410よりも前側の部分に対応する。第2接触部45Cは、保持体48のうち挿入部410よりも後側の部分の一部に対応する。第2荷重部45Bは、保持体48のうち第2傾斜部45Aよりも後側、且つ、第2接触部45Cよりも前側の部分に対応する。第2荷重部45Bは、上下方向において挿入部410と重複し、挿入部410の内部に配置される。第2傾斜部45A、第2荷重部45B、及び第2接触部45Cは、この順番で前方から後方に向けて配列される。
【0066】
第2傾斜部45Aは、切断台4Aの第1傾斜部44Aに対して上方に対向する部分を含む。第2傾斜部45Aは、前後方向に対して傾斜する。より詳細には、第2傾斜部45Aでは、第2荷重部45Bに隣接する後端部452から前端部451に向かう方向が、前斜め下方を向く。言い換えれば、第2傾斜部45Aに沿って後端部452から前端部451に向かう方向が、前方に対して下方に傾く。第2傾斜部45Aと、切断台4Aの第1傾斜部44Aとは、切断台4A及び保持体48の位置関係に関わらず、常に上下方向に離隔する。このため第2傾斜部45Aは、保持体48が移動する場合であっても切断台4Aに荷重を与えない。
【0067】
第2荷重部45Bは、切断台4Aがハーフカット位置にある状態で切断台4Aの第1荷重部44Bと接触する。第2荷重部45Bは切断台4Aに直接荷重を与え、切断台4Aをハーフカット位置で保持する。第2荷重部45Bでは、第2傾斜部45Aに隣接する前端部453から、第2接触部45Cに隣接する後端部454に向かう方向が、後斜め後方を向く。言い換えれば、第2荷重部45Bに沿って前端部453から後端部454に向かう方向が、後方に対して下方に傾く。
【0068】
第2接触部45Cは、第2荷重部45Bよりも下方に突出し、切断台4Aの第1接触部44Cと接触する。
【0069】
カバー1Dは、内面に突出部10Fを有する。突出部10Fは、収容部2を閉塞した状態において、支持部26に装着された状態の切断台4Aに向けて前方に突出する。突出部10Fは、切断台4Aが収容部2の支持部26から脱離することを防止するために設けられる。突出部10Fの先端と切断台4Aとは前後方向に離隔し、間に隙間が形成される。
【0070】
<動作説明(印刷動作)>
図2に示すように、カバー1D(
図1参照)が開かれた状態で、プラテンホルダ23は離隔位置にある。この状態で、ユーザが収容部2にカセット9を装着すると、リボン巻取スプール96Dにリボン巻取軸22Bが挿入される。同時に、テープ駆動ローラ91にテープ駆動軸22Aが挿入され、ヘッド開口94Aにヘッドホルダ21が挿入される。透明フィルムテープ99A、インクリボン99C、及び両面粘着テープ99Bは、前後方向を幅方向とする姿勢で配置される。
【0071】
カバー1Dが閉じられると、プラテンホルダ23が離隔位置から近接位置まで揺動する。これにより、
図3に示すように、プラテンローラ23Bは、インクリボン99Cと透明フィルムテープ99Aを重ね合わせて印刷ヘッド21Aに押圧する。搬送ローラ23Cは、両面粘着テープ99Bと透明フィルムテープ99Aをテープ駆動ローラ91に押圧する。
【0072】
ユーザが操作部1Bに印刷開始の指示を入力すると、印刷装置1は駆動モータを駆動する。駆動モータの駆動に伴って、テープ駆動軸22A、プラテンローラ23B、及びリボン巻取軸22Bは回転駆動する。テープ駆動ローラ91はテープ駆動軸22Aと共に回転駆動し、搬送ローラ23Cはテープ駆動ローラ91に追従して回転する。これにより、印刷装置1は、両面粘着テープ99B、透明フィルムテープ99A、及びインクリボン99Cを搬送する。両面粘着テープ99Bは、第2テープロール97Bから繰り出される。また、透明フィルムテープ99Aは第1テープロール97Aから繰り出される。同時に、インクリボン99Cは、リボンロール97Cから繰り出される。繰り出された透明フィルムテープ99Aとインクリボン99Cは、駆動モータの駆動に伴って、第1テープガイド95Aから排出されて印刷位置に向かう。
【0073】
印刷装置1は印刷ヘッド21Aを発熱させることで、インクリボン99Cに含まれるインクを透明フィルムテープ99Aに転写する。これにより、印刷位置にある透明フィルムテープ99Aにキャラクタが印刷される。透明フィルムテープ99Aと使用済みのインクリボン99Cは、プラテンローラ23Bとリボン巻取軸22Bの回転によって、第2テープガイド95Bに向けて搬送される。第2テープガイド95Bに進入したインクリボン99Cが剥離位置において透明フィルムテープ99Aから分離することで、インクリボン99Cに含まれていたインクはインクリボン99Cから剥離する。剥離位置を通過した使用済みのインクリボン99Cは、リボン巻取軸22Bと共に回転するリボン巻取ロール97Dによって巻き取られる。剥離位置を通過した印刷済みの透明フィルムテープ99Aは、搬送ローラ23Cとテープ駆動ローラ91との回転によって第2テープガイド95Bに向かう。
【0074】
第2テープガイド95Bを通過した透明フィルムテープ99Aは、テープ駆動ローラ91と搬送ローラ23Cの間において、両面粘着テープ99Bの片面と貼り付けられる。これにより、切断対象物99が形成される。切断対象物99は排出部93に搬送される。排出部93を通過した切断対象物99は、切断装置1Eを経由して、筐体1Aの上側へ排出される。印刷装置1は、駆動モータと印刷ヘッド21Aの駆動を停止し、印刷動作を終了する。その後、例えばユーザにより操作部1Bを介して印刷開始指示が再び入力された場合、印刷装置1は、上記の印刷動作を繰り返す。
【0075】
<動作説明(ハーフカット)>
ハーフカットは、一例として各印刷動作が実行される度に実行される。カットレバー5のみがユーザ操作される。カットレバー5は、非図示のカットレバーバネの付勢力に抗って、ハーフカット待機位置(
図4、
図6参照)からハーフカット切断位置(
図8、
図9参照)まで移動する(矢印C52、
図8参照)。この時、カットレバー5の進入部52Aは、カッタ部10Bの箱部材31に設けられた開口孔31Aに進入し、カッタホルダ32と接触する。進入部52Aは、カッタバネの付勢力に抗ってカッタホルダ32を移動させる。これによりカッタホルダ32は、カッタ刃30を退避位置(
図4参照)からカット位置(
図8参照)まで左方に移動させる。
【0076】
なお、カットレバー5のみユーザ操作された場合、切断台レバー6は移動せず、フルカット待機位置のまま維持される。このため
図14に示すように、切断台4Aはハーフカット位置に配置された状態となる。この場合、
図8、
図14に示すように、カッタホルダ32のカッタ刃30の左方には、切断台4Aの第2部分422が対向する。
【0077】
カッタホルダ32と共に移動するカッタ刃30は、第2部分422との間で切断対象物99を挟む。カッタ刃30は、切断対象物99を左方に押し込みながら、第2部分422の一対の突出部422Bに接触する。この時、カッタ刃30は第2部分422の平面部422Aに到達しないので、切断対象物99は厚さ方向の一部分のみに切れ込みが形成される。以上のようにカッタ刃30と切断台4Aとが協働することにより、切断対象物99はハーフカットされる。
【0078】
切断対象物99のハーフカットの終了後、カットレバー5に対するユーザ操作が解除される。カットレバー5は、カットレバーバネの付勢力によってハーフカット切断位置からハーフカット待機位置まで移動する(矢印C51、
図4参照)。カットレバー5の進入部52Aは、カッタ部10Bの箱部材31に設けられた開口孔31Aから脱離される。このためカッタホルダ32は、カッタバネの付勢力によって移動し、カッタ刃30をカット位置(
図8参照)から退避位置(
図4参照)まで右方に移動させる。カッタ刃30は、箱部材31内に収容される。
【0079】
<動作説明(フルカット)>
フルカットは、一例として、各印刷動作とハーフカットとが繰り返し実行された後、実行される。切断台レバー6のみがユーザ操作される。切断台レバー6は、非図示の切断台レバーバネの付勢力に抗って、フルカット待機位置(
図4、
図6参照)からフルカット切断位置(
図10、
図11参照)まで移動する(矢印C62、
図10参照)。又、切断台レバー6の移動に応じ、回転部材4Bもバネ49の付勢力により回転する。切断台4Aは、回転部材4Bの保持体48の移動に応じて荷重を受け、ハーフカット位置(
図13参照)からフルカット位置(
図15参照)まで移動する。つまり、切断台レバー6は、回転部材4Bを介して切断台4Aと間接的に接触し、切断台4Aをハーフカット位置からフルカット位置まで移動させる。この場合、
図10、
図15に示すように、カッタホルダ32のカッタ刃30の左方には、切断台4Aの第1部分421が対向する。
【0080】
又、切断台レバー6の移動に応じ、切断台レバー6の接触部62がカットレバー5の突出部52に接触し、ハーフカットバネの付勢力に抗ってカットレバー5をハーフカット待機位置からハーフカット切断位置まで移動させる。つまり、切断台レバー6のみユーザ操作がされることにより、切断台レバー6及びカットレバー5は、連動部10Dにより連動して移動する。この時、カットレバー5の進入部52Aは、カッタ部10Bの箱部材31に設けられた開口孔31Aに進入し、カッタホルダ32を移動させる。これによりカッタホルダ32は、カッタ刃30を退避位置(
図4参照)からカット位置(
図10参照)まで左方に移動させる。
【0081】
カッタホルダ32と共に移動するカッタ刃30は、切断台4Aの第1部分421との間で切断対象物99を挟む。カッタ刃30は、切断対象物99を左方に押し込みながら、第1部分421に接触する。この時、カッタ刃30は第1部分421に到達し、切断対象物99は厚さ方向全体に切れ込みが形成され、切り離される。以上のようにカッタ刃30と切断台4Aとが協働することにより、切断対象物99はフルカットされる。
【0082】
切断対象物99のフルカットの終了後、切断台レバー6に対するユーザ操作が解除される。切断台レバー6は、切断台レバーバネの付勢力によってフルカット切断位置からフルカット待機位置まで移動する(矢印C61、
図4参照)。又、切断台レバー6の移動に伴い、回転部材4Bがバネ49の付勢力に抗って回転する。これにより、切断台4Aはフルカット位置(
図15参照)からハーフカット位置(
図13参照)まで移動する。
【0083】
又、切断台レバー6の移動に応じ、切断台レバー6の接触部62はカットレバー5の突出部52から離隔する。カットレバー5は、ハーフカットバネの付勢力によってハーフカット切断位置からハーフカット待機位置まで移動する。カットレバー5の進入部52Aは、カッタ部10Bの箱部材31に設けられた開口孔31Aから脱離される。このためカッタホルダ32は、カッタバネの付勢力によって移動し、カッタ刃30をカット位置(
図10参照)から退避位置(
図4参照)まで右方に移動させる。カッタ刃30は、箱部材31内に収容される。
【0084】
<本実施形態の作用、効果>
印刷装置1は、カットレバー5のみがユーザ操作された場合、ハーフカット位置にある切断台4Aと、カットレバー5により移動したカッタホルダ32のカッタ刃30とが協働して切断対象物99をハーフカットする(
図8、
図14参照)。一方、印刷装置1は、切断台レバー6のみがユーザ操作された場合、切断台レバー6によりフルカット位置に移動した切断台4Aと、カットレバー5により移動したカッタホルダ32のカッタ刃30とが協働して切断対象物99をフルカットする(
図10、
図15参照)。このためユーザは、カットレバー5と切断台レバー6へのユーザ操作によって、切断対象物99をフルカット又はハーフカットできる。このように印刷装置1は、カッタ刃30を移動させるためのモータを用いずに切断対象物99をハーフカット又はフルカットできるので、モータが搭載される場合に比べて軽量化を実現できる。
【0085】
印刷装置1において、カットレバー5は切断台レバー6に対して前側に配置される。このためユーザは、はじめに切断対象物99をハーフカットするために、前側にあるカットレバー5を操作し、次に切断対象物99をフルカットするために、後側にある切断台レバー6を操作する。つまり、ユーザは、前側から後側に向けて順番にレバーを操作することによって、ハーフカット、フルカットの順で切断対象物99をカットできる。従ってユーザは、カットレバー及び切断台レバーの操作を、直感的に区別して行うことができる。
【0086】
印刷装置1において、カットレバー5のみがユーザ操作された場合、カットレバー5と切断台レバー6とは連動しない。一方、印刷装置1は、切断台レバー6のみがユーザ操作された場合、連動部10Dによってカットレバー5と切断台レバー6とが連動する。そして、切断台レバー6によりフルカット位置に移動した切断台4Aと、連動部10Dにより連動するカットレバー5により移動するカッタ刃30とにより、切断対象物99をフルカットする。このためユーザは、カットレバー5と切断台レバー6との両方の操作を要せず、切断台レバー6のみの操作により切断対象物99をフルカットできる。
【0087】
カッタ刃30の前後方向の両端部は、ハーフカット位置(
図8参照)及びフルカット位置(
図10参照)に配置された切断台4Aの前後方向両端部よりも外側に位置する。これにより印刷装置1は、カッタ刃30の刃先方向の両端部に歪み等が生じている場合でも、カッタ刃30と切断台4Aとの協働により切断対象物99を適切にカットできる。
【0088】
ハーフカット位置からフルカット位置まで切断台4Aが第1移動方向Y11に移動する場合、支持部26は切断台4Aに対して第2移動方向Y12に相対移動し、切断台4Aの壁部40R、40Sに対して支持部26の右下の角部が押し付けられる。これにより印刷装置1は、切断対象物99をカットする時にカッタ刃30から切断台4Aに作用する力に応じて切断台4Aがずれることを、支持部26により抑制できる。従って印刷装置1は、切断対象物99を適切に切断できる。
【0089】
切断台4Aは、保持体48から受ける力を接触部41で受けて揺動する。ここで接触部41は、前後方向において切断台4Aの中央に配置される。このため印刷装置1は、切断台4Aが保持体48から力を受けて揺動するときに、カッタ刃30の刃先方向において歪が生じる可能性を軽減できる。従って印刷装置1は、切断対象物99を適切に切断できる。
【0090】
切断台4Aの壁部40Uのうち第1傾斜部44Aに沿って後端部442から前端部441に向かう方向は、前方に対して下方に傾く。又、保持体48のうち第2傾斜部45Aに沿って後端部452から前端部451に向かう方向は、前方に対して下方に傾く。この場合、切断台4Aの装着時、前方に向けて移動する切断台4Aの挿入部410に対し、保持体48を挿入し易くできる。従って印刷装置1は、保持体48に対する切断台4Aの装着を容易化できる。
【0091】
切断台4Aの壁部40Uのうち第1荷重部44Bに沿って前端部443から後端部444に向かう方向は、後方に対して下方に傾く。又、保持体48のうち第2荷重部45Bに沿って前端部453から後端部454に向かう方向は、後方に対して下方に傾く。この場合、切断台4Aの壁部40Uに保持体48が上方から押し付けられた状態で、切断台4Aには前向きの力が作用する。この向きは、切断台4Aが移動して挿入部410から保持体48が脱離する向き(後向き)と反対向きとなる。このため印刷装置1は、挿入部410から保持体48が脱離することを、第1荷重部44B及び第2荷重部45Bにより抑制できる。
【0092】
切断台4Aの第1傾斜部44Aと、保持体48の第2傾斜部45Aとが接触して保持体48から切断台4Aに荷重が作用した場合、切断台4Aの挿入部410から保持体48が脱離する向き(後向き)の力が作用することになり、好ましくない。これに対し、印刷装置1では、切断台4A及び保持体48の位置関係に関わらず、第1傾斜部44Aと第2傾斜部45Aとは常に上下方向に離隔する。従って印刷装置1は、切断台4Aの挿入部410から保持体48が脱離することを、第1傾斜部44A及び第2傾斜部45Aが離隔することにより抑制できる。
【0093】
切断台4Aの第1荷重部44Bと、保持体48の第2荷重部45Bとは、切断台4Aがハーフカット位置にある状態で互いに接触する。なお、この状態で保持体48から切断台4Aに荷重が作用した場合、切断台4Aの挿入部410に保持体48が挿入される向き(前向き)の力が作用することになる。従って印刷装置1は、切断台4Aの挿入部410から保持体が脱離することを、第1荷重部44Bと第2荷重部45Bとが接触することにより抑制できる。
【0094】
カバー1Dは突出部10Fを有する。突出部10Fは、切断台4Aが収容部2の支持部26から脱離することを防止する。又、突出部10Fと切断台4Aとの間に隙間を形成させることにより、切断台4Aの移動が突出部10Fにより妨げられることを防止できる。
【0095】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。切断装置1Eは、印刷装置1に設けられる場合に限定されず、切断対象物99をカットする他の装置に設けられていてもよい。又、切断装置1Eは、切断対象物99をカットする専用装置であってもよい。
【0096】
表示部1Cと収容部2とは、印刷装置1の筐体1Aの同一側に配置されていてもよい。この場合、カットレバー5は切断台レバー6に対して、表示部1C及び収容部2が設けられた側に配置されてもよい。カットレバー5は、切断台レバー6に対して後側に配置されてもよい。印刷装置1は、連動部10D(突出部52及び接触部62)を有さなくてもよい。この場合、カットレバー5と切断台レバー6とが同時にユーザ操作されることで、切断対象物99のフルカットが実現されてもよい。
【0097】
カッタ刃30の前後方向の長さL30と、切断台4Aの前後方向の長さL40とは同一であってもよい。この場合、カッタ刃30及び切断台4Aの夫々の前後方向の両端部の位置が一致してもよい。
【0098】
切断台4Aがハーフカット位置からフルカット位置に移動する場合の移動方向は、上方向と一致してもよい。この場合、支持部26は、切断台4Aの壁部40Sにのみ押し付けられ、壁部40Rには押し付けられなくてもよい。更にこの場合、ハーフカット位置からフルカット位置に移動した後の切断台4Aに左方向の付勢力を作用させてもよい。この力によって、支持部26を壁部40Rに押し付けてもよい。
【0099】
切断台4Aの接触部41は、切断台4Aの前後方向の全域に亘って設けられてもよい。又は、切断台4Aの接触部41は、切断台4Aの前後方向両端部に設けられ、前後方向中央部に設けられなくてもよい。接触部41は、保持体48に係合可能な形状を有してもよい。この場合、接触部41は、保持体48に対して常に接触した状態が維持されてもよい。
【0100】
切断台4Aの第1傾斜部44A、及び、保持体48の第2傾斜部45Aの少なくとも一方は、前後方向と平行に延びてもよい。特に、切断台4Aの第1傾斜部44Aのみ前方に対して傾斜し、保持体48の第2傾斜部45Aは前後方向と平行でもよい。切断台4Aの第1荷重部44B、及び、保持体48の第2荷重部45Bの少なくとも一方は、前後方向と平行に延びてもよい。切断台4Aの第1傾斜部44Aと、保持体48の第2傾斜部45Aとは、切断台4Aがハーフカット位置にある状態で接触してもよい。切断台4Aの第1荷重部44Bと、保持体48の第2荷重部45Bとは、切断台4Aがハーフカット位置にある状態で接触しなくてもよい。
【0101】
カバー1Dの突出部10Fの先端と切断台4Aとは接触してもよい。カバー1Dに突出部10Fは設けられなくてもよい。
【0102】
<その他>
壁部40Rは、本発明の「対向壁」の一例である。壁部40Sは、本発明の「交差壁」の一例である。印刷ヘッド21Aは、本発明の「印刷部」の一例である。
【符号の説明】
【0103】
1 :印刷装置
1D :カバー
1E :切断装置
2 :収容部
4A :切断台
5 :カットレバー
6 :切断台レバー
9 :カセット
10D :連動部
10F :突出部
21A :印刷ヘッド
26 :支持部
30 :カッタ刃
32 :カッタホルダ
40R、40S、40U :壁部
41、41A、41B、41C :接触部
44A :第1傾斜部
44C :第1荷重部
45A :第2傾斜部
45C :第2荷重部
48 :保持体
52A :進入部
62 :接触部
99 :切断対象物
410 :挿入部