(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】作業機及び作業機の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25D 17/04 20060101AFI20241022BHJP
B25D 17/24 20060101ALI20241022BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B25D17/04
B25D17/24
B25F5/02
(21)【出願番号】P 2020207305
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智志
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272511(JP,A)
【文献】特開2006-142425(JP,A)
【文献】特開2005-138239(JP,A)
【文献】特開2014-080738(JP,A)
【文献】特開2018-153876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/00 - 17/32
B25F 5/00 - 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭がハウジングによって構成された作業機であって、
前記ハウジングは、
第1方向に延びる先端工具が取り付けられると共に、モータを収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられたハンドルと、
弾性変形可能に構成され、前記ハンドルに一体に形成されると共に、前記本体ハウジングに組付けられて、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する連結部と、
を含んで構成され、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とするときに、前記ハンドルは、前記第3方向に分割された一対のハンドル部材によって構成され、
前記連結部は、一対の前記ハンドル部材の各々に一体に形成されており、前記一対のハンドル部材が互いに組み付けられることで、前記連結部同士が前記第3方向に突き合わせられている作業機。
【請求項2】
前記連結部には、前記第1方向において前記本体ハウジングと係合する係合部が形成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記本体ハウジングは、基端部と、前記第1方向と交差する方向に前記基端部から突出して前記係合部と係合する係合片を含み、
前記係合部は、前記係合片を前記第1方向に挟み込む係合溝を含む請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記ハンドルの前記本体ハウジングに対する前記第1方向の一方側への移動を規制する規制機構が設けられており、
前記規制機構は、
前記本体ハウジング及び前記ハンドルの一方に設けられ、前記第1方向に延在された規制孔を有するストッパ部と、
前記本体ハウジング及び前記ハンドルの他方に設けられ、前記規制孔に挿入され前記規制孔の前記第1方向の端部に配置されたストッパピンと、
を有している請求項1~請求項3の何れか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記本体ハウジングには、前記モータの駆動力を先端工具に伝達するための伝達機構を収容するインナケースが設けられ、
前記ストッパ部が、前記インナケースに一体に形成されており、
前記ストッパピンが、前記ハンドルに設けられている請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ストッパ部及び前記ストッパピンが金属製である請求項4又は請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記連結部は、前記第1方向を軸方向とする筒状で且つ蛇腹状に形成されている請求項4~請求項6の何れか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記規制機構が、前記連結部の内部に配置されている請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記ハンドルは、前記第2方向に延在されており、
前記連結部が前記ハンドルの長手方向一端部に設けられており、
前記ハンドルの長手方向他端部が、前記第3方向を軸方向として前記本体ハウジングに回転可能に連結されている請求項1~請求項8の何れか1項に記載の作業機。
【請求項10】
外郭がハウジングによって構成された作業機であって、
前記ハウジングは、
第1方向に延びる先端工具が取り付けられると共に、モータを収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられたハンドルと、
弾性変形可能に構成され、前記ハンドルに一体に形成されると共に、前記本体ハウジングに組付けられて、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する連結部と、
を含んで構成され、
前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とするときに、前記ハンドルは、前記第3方向に分割された一対のハンドル部材によって構成され、
一方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部には、他方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部側へ突出した嵌合部が形成され、
他方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部には、前記嵌合部と嵌合される被嵌合部が形成されている作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機及び作業機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工材に対して打撃力を付与して孔あけ加工等を施すハンマやハンマドリル等の作業機では、モータを収容する本体ハウジングと、作業者が把持するハンドルと、の間に振動低減機構が設けられている(例えば、下記特許文献1参照)。この振動低減機構では、一般に、ハンドルと本体ハウジングとの間に介在するスプリング等の弾性体を含み、ハンドルを本体ハウジングに相対移動可能に連結している。作業機の作動時には、前方側への押付力をハンドルに付与することで、ハンドルが本体ハウジング側へ移動すると共に、先端工具が加工材を押し付ける。そして、作業機の作動時に生じる振動を弾性体によって吸収して、当該振動のハンドルへの伝達が抑制される。これにより、作業機の作業性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記作業機では、振動低減機構を有さない構成と比較して、ハンドルと本体ハウジングとの間に弾性体等の部材を追加する必要がある。このため、作業機全体のコストアップを招く可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、コストアップを抑制しつつ作業性を向上できる作業機及び作業機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、外郭がハウジングによって構成された作業機であって、前記ハウジングは、第1方向に延びる先端工具が取り付けられると共に、モータを収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングに設けられたハンドルと、弾性変形可能に構成され、前記ハンドルに一体に形成されると共に、前記本体ハウジングに組付けられて、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する連結部と、を含んで構成され、前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とするときに、前記ハンドルは、前記第3方向に分割された一対のハンドル部材によって構成され、前記連結部は、一対の前記ハンドル部材の各々に一体に形成されており、前記一対のハンドル部材が互いに組み付けられることで、前記連結部同士が前記第3方向に突き合わせられている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連結部には、前記第1方向において前記本体ハウジングと係合する係合部が形成されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングは、基端部と、前記第1方向と交差する方向に前記基端部から突出して前記係合部と係合する係合片を含み、前記係合部は、前記係合片を前記第1方向に挟み込む係合溝を含む作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングには、前記ハンドルの前記本体ハウジングに対する前記第1方向の一方側への移動を規制する規制機構が設けられており、前記規制機構は、前記本体ハウジング及び前記ハンドルの一方に設けられ、前記第1方向に延在された規制孔を有するストッパ部と、前記本体ハウジング及び前記ハンドルの他方に設けられ、前記規制孔に挿入され前記規制孔の前記第1方向の端部に配置されたストッパピンと、を有している作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングには、前記モータの駆動力を先端工具に伝達するための伝達機構を収容するインナケースが設けられ、前記ストッパ部が、前記インナケースに一体に形成されており、前記ストッパピンが、前記ハンドルに設けられている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ストッパ部及び前記ストッパピンが金属製である作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連結部は、前記第1方向を軸方向とする筒状で且つ蛇腹状に形成されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記規制機構が、前記連結部の内部に配置されている作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルは、前記第2方向に延在されており、前記連結部が前記ハンドルの長手方向一端部に設けられており、前記ハンドルの長手方向他端部が、前記第3方向を軸方向として前記本体ハウジングに回転可能に連結されている作業機である。
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、外郭がハウジングによって構成された作業機であって、前記ハウジングは、第1方向に延びる先端工具が取り付けられると共に、モータを収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングに設けられたハンドルと、弾性変形可能に構成され、前記ハンドルに一体に形成されると共に、前記本体ハウジングに組付けられて、前記ハンドルを前記本体ハウジングに第1方向に相対移動可能に連結する連結部と、を含んで構成され、前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とするときに、前記ハンドルは、前記第3方向に分割された一対のハンドル部材によって構成され、一方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部には、他方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部側へ突出した嵌合部が形成され、他方の前記ハンドル部材に設けられた前記連結部には、前記嵌合部と嵌合される被嵌合部が形成されている作業機である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、コストアップを抑制しつつ作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態に係るハンマを示す右側から見た縦断面図である。
【
図2】
図1に示されるハンマのハンドルが押込位置に移動した状態を示す縦断面図である。
【
図3】(A)
図1に示されるハンマの上側連結機構部を拡大して示す縦断面図(
図1のA部拡大図)であり、(B)は、(A)に示される本体ハウジングの取付部を示す後側から見た断面図((A)の3B-3B線断面図)である。
【
図4】(A)は、
図1に示されるハンマのハンドルにおける樹脂層の成形を説明するための説明図であり、(B)は、ハンドルにおけるエラストマ層の成形を説明するための説明図である。
【
図5】
図1に示されるハンマのハンドルの上端部の本体ハウジングへの組付けを説明するための上側から見た説明図である。
【
図6】
図3(A)に示される被取付部の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図3(A)に示される上側連結機構部の変形例を示す
図3(A)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「作業機」としてのハンマ10について説明する。ハンマ10は、被加工物に対して打撃力を付与して孔あけ加工等を施す工具として構成されている。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマ10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、前後方向が本発明の「第1方向」に対応し、上下方向が本発明の「第2方向」に対応し、左右方向が本発明の「第3方向」に対応する。
【0022】
図1~
図3に示されるように、ハンマ10は、ハウジング12と、ハウジング12内に収容された、インナケース40と、モータ44と、モータ44の駆動力を先端工具Tへ伝達する伝達機構50と、を含んで構成されている。以下、ハンマ10の各構成について説明する。
【0023】
(ハウジング12について)
ハウジング12は、中空状に形成されて、ハンマ10の外郭を構成している。ハウジング12は、本体ハウジング13と、本体ハウジング13の後側(前後方向一方側)に配置されたハンドル20と、を有している。本体ハウジング13は、右側から見た側面視で、略逆L字形状に形成されている。ハンドル20は、上下方向に延在されており、ハンドル20の下端部が前側へ若干突出している。
【0024】
そして、ハンドル20の上端部及び下端部が、後述する防振機構70によって本体ハウジング13に連結されて、ハンドル20が本体ハウジング13に対して前後方向に相対移動可能に構成されている。具体的には、ハンドル20は、初期位置(
図1に示される位置)と、初期位置から前側へ移動した押込位置(
図2に示される位置)と、の間を移動可能に構成されている。なお、以下の説明では、ハンドル20が初期位置に配置された状態として説明する。
【0025】
(本体ハウジング13について)
本体ハウジング13は、本体ハウジング13の上部を構成する第1本体ハウジング部14と、本体ハウジング13の下部を構成する第2本体ハウジング部17と、を含んで構成されている。第1本体ハウジング部14は、後述するインナケース40及び伝達機構50を収容するためのハウジング部として構成されると共に、前後方向を軸方向とした略筒状に形成されている。より詳しくは、第1本体ハウジング部14は、第1本体ハウジング部14の上部を構成するクランクカバー15と、第1本体ハウジング部14の下部を構成するシリンダカバー16と、を含んで構成されており、クランクカバー15がシリンダカバー16に着脱可能に組付けられている。
【0026】
図3(A)及び(B)に示されるように、第1本体ハウジング部14の後端部は、後述する防振機構70の防振連結部82を取付けるための取付部14Aとして構成されており、取付部14Aは、後側から見て、左右方向を長手方向とする略矩形リング状に形成されている。取付部14Aの上部(クランクカバー15により構成された部分)は、第1取付部14A1として構成され、取付部14Aの下部(シリンダカバー16により構成された部分)は、第2取付部14A2として構成されており、第1取付部14A1の下端部と第2取付部14A2の上端部とが上下に突き合わされている。
【0027】
第2取付部14A2には、係合片14A3(広義には、被係合部として把握される要素である)が形成されている。係合片14A3は、前後方向を板厚方向として第2取付部14A2から取付部14Aの径方向内側(内部側)へ突出している。係合片14A3は、第2取付部14A2における左右の側部及び下部に形成されており、後側から見て、上側へ開放された略U字形状に形成されている。なお、
図3(B)では、便宜上、後述する防振連結部82の被取付部82Aを図示省略している。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、第2本体ハウジング部17は、後述するモータ44を収容するためのハウジング部として構成されている。より詳しくは、第2本体ハウジング部17は、上下方向を軸方向とする略筒状のモータハウジング18と、第2本体ハウジング部17の下端部を構成するテールカバー19と、を含んで構成されており、固定ネジSCによって、テールカバー19がモータハウジング18に締結固定されている。そして、第2本体ハウジング部17が、第1本体ハウジング部14の後端部の下側に配置されて、第1本体ハウジング部14に接続されている。第2本体ハウジング部17の下端部には、後側へ突出したロア連結部17Aが形成されている。
【0029】
(ハンドル20について)
ハンドル20は、2色成形によって形成されて、樹脂材によって構成された樹脂層20Aと、エラストマによって構成されたエラストマ層20Bと、の2層構造になっている。具体的には、エラストマ層20Bが、樹脂層20Aの表面を被覆している。また、ハンドル20は、左右方向に2分割されており、2分割されたハンドル部材22を互いに組付けることでハンドル20が形成されている。
【0030】
ハンドル20の上下方向中間部は、作業者が把持する把持部20Cとして構成されている。把持部20Cの上側には、トリガ24が設けられており、トリガ24の後側には、スイッチ機構26が設けられている。スイッチ機構26は、トリガ24によって操作されるスイッチ(図示省略)を有している。当該スイッチは、制御部28に電気的に接続されて、トリガ24の操作状態に応じた出力信号を制御部28に出力する構成になっている。
【0031】
ハンドル20の下端部には、電源コード30が設けられており、電源コード30は、ハンドル20から下側へ延出して、商用電源に接続可能に構成されている。電源コード30は、制御部28に電気的に接続されており、電源コード30を介して商用電源から制御部28に電力が供給される構成になっている。
【0032】
(インナケース40について)
インナケース40は、金属製であり、第1本体ハウジング部14内に収容されて、第1本体ハウジング部14に組付けられている。インナケース40の後部は、クランクケース部40Aとして構成されており、クランクケース部40Aは、上下方向を軸方向とする略段付円筒状に形成されている。クランクケース部40Aの上側の開口部は、クランクカバー15によって閉塞されている。インナケース40の前部は、シリンダケース部40Bとして構成されており、シリンダケース部40Bは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、クランクケース部40Aの上部と接続されている。クランクケース部40Aの下側には、ケースカバー42が設けられており、クランクケース部40Aの下側の開口部がケースカバー42によって閉塞されている。
【0033】
(モータ44について)
モータ44は、3相のブラシレスモータとして構成されて、モータハウジング18内に収容されている。モータ44は、上下方向を軸方向とする駆動軸44Aと、駆動軸44Aに固定された略円筒状のロータ44Bと、ロータ44Bの径方向外側に配置された略円筒状のステータ44Cと、を含んで構成されている。駆動軸44Aの下端部は、軸受46に回転可能に支持されており、軸受46は、モータハウジング18に保持されている。駆動軸44Aの上端側の部分は、軸受48に回転可能に支持されており、軸受46は、ケースカバー42に保持されている。駆動軸44Aの上端部には、モータ側ギヤ44A1が形成されており、モータ側ギヤ44A1は、クランクケース部40A内に配置されている。モータ44は、制御部28に電気的に接続されており、制御部28の制御によって駆動するようになっている。
【0034】
(伝達機構50について)
伝達機構50は、クランク機構部51と、打撃力付与機構部60と、を含んで構成されている。クランク機構部51は、回転軸52と、クランクギヤ54と、クランクプレート55と、を有している。回転軸52は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成され、クランクケース部40A内に収容されている。回転軸52の上端部は、クランクケース部40Aに保持された軸受53に回転可能に支持され、回転軸52の下端部が、ケースカバー42に回転可能に支持されている。
【0035】
クランクギヤ54は、上下方向を厚み方向とする略円環板状に形成されている。そして、回転軸52の下端部がクランクギヤ54の中央部に嵌入されて、クランクギヤ54が回転軸52に一体回転可能に固定されている。クランクギヤ54の外周部にはギヤ部が形成されており、当該ギヤ部が、モータ44のモータ側ギヤ44A1に噛合されている。クランクプレート55は、上下方向を板厚方向とする略円板状に形成されて、回転軸52の上端部に一体回転可能に固定されている。クランクプレート55には、上側へ突出したクランク軸55Aが設けられており、クランク軸55Aは、回転軸52の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【0036】
打撃力付与機構部60は、シリンダ61と、ピストン62と、打撃子65と、中間子66と、を含んで構成されている。打撃力付与機構部60には、前後方向に延びる先端工具Tが取付けられて、先端工具Tが本体ハウジング13の前端部から前側へ突出している。シリンダ61は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。シリンダ61は、シリンダケース部40B内に収容されて、シリンダケース部40Bに支持されている。
【0037】
ピストン62は、後側へ開放された略有底円筒状に形成されて、シリンダ61の後部内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。また、ピストン62には、上下方向を軸方向とするピストン連結軸63が設けられている。ピストン連結軸63には、前後方向に延在されたピストンアーム64の前端部が回転可能に連結されており、ピストンアーム64の後端部が、クランク軸55Aに回転可能に連結されている。これにより、モータ44の駆動力が、クランク機構部51及びピストンアーム64によってピストン62に伝達されて、ピストン62が前後方向に往復移動する構成になっている。
【0038】
打撃子65は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ピストン62の前側において、シリンダ61の内部に前後方向に相対移動可能に挿入されている。そして、シリンダ61内におけるピストン62と打撃子65との間の空間が、空気室61Aとして構成されている。
【0039】
中間子66は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、シリンダ61の前端部内に前後方向に相対移動可能に挿入されている。また、中間子66は、打撃子65の前側に隣接して配置されている。これにより、ピストン62が前側へ移動して空気室61A内の圧力が上昇することで、打撃子65及び中間子66が前側へ移動して、前後方向に沿った打撃力が先端工具Tに付与される構成になっている。
【0040】
(防振機構70について)
防振機構70は、ハンドル20の下端部を本体ハウジング13に連結するヒンジ機構部72と、ハンドル20の上端部を本体ハウジング13に連結する上側連結機構部80と、を有している。
【0041】
(ヒンジ機構部72について)
ヒンジ機構部72は、ハンドル20の下端部に設けられたヒンジ軸74と、第2本体ハウジング部17のロア連結部17Aに設けられたヒンジ連結部76と、を含んで構成されている。ヒンジ軸74は、左右方向を軸方向とし且つ断面トラック形状に形成されて、ハンドル20と一体回転可能に構成されている。ヒンジ連結部76は、ロア連結部17Aから後側へ突出して、ハンドル20の下端部内に配置されている。ヒンジ連結部76には、連結孔76Aが左右方向に貫通形成されており、連結孔76Aは、ヒンジ軸74と相似形をなす略トラック形状に形成されている。そして、ヒンジ軸74が連結孔76A内に相対回転可能に挿入されている。
【0042】
連結孔76Aには、上下一対の抉り部76Bが形成されている。抉り部76Bは、連結孔76Aの上後端部と下前端部に形成されて、右側から見てヒンジ軸74の時計回りの回転を許容するように連結孔76Aの外周部を抉っている。これにより、ハンドル20が、ヒンジ軸74の軸回りに所定の角度範囲で回転可能に連結されている。そして、ハンマ10の作業時には、ハンドル20を前側へ押し込んで、先端工具Tを被加工物に押し当てる。このため、ハンドル20が初期位置から押込位置に回転し、ハンドル20の上端部が、本体ハウジング13に接近するように構成されている。
【0043】
(上側連結機構部80について)
図3(A)及び(B)にも示されるように、上側連結機構部80は、連結部としての防振連結部82と、初期位置におけるハンドル20の後側へ移動を規制するための規制機構84と、を含んで構成されている。
【0044】
(防振連結部82について)
防振連結部82は、ハンドル20のエラストマ層20Bによって構成されている。すなわち、防振連結部82は、ハンドル20と一体に形成されると共に、弾性変形可能に構成されている。防振連結部82は、ハンドル20の上端部において、ハンドル20から前側へ突出している。具体的には、防振連結部82は、本体ハウジング13の取付部14Aに対応して、前後方向を軸方向とする筒状に形成されている。
【0045】
防振連結部82の前端部は、取付部14Aに組付けられる被取付部82Aとして構成されている。被取付部82Aは、側断面視で略クランク状に形成されて、防振連結部82の周方向に沿って延在されている。具体的には、被取付部82Aは、防振連結部82の周方向から見て、防振連結部82の径方向内側へ一段下がると共に、前側へ突出している。被取付部82Aには、取付部14Aの係合片14A3に対応する位置において、係合部としての係合溝82Bが形成されている。係合溝82Bは、被取付部82Aの周方向から見て、被取付部82Aの径方向外側へ開放された溝状に形成されると共に、被取付部82Aの周方向に沿って延在されている。係合溝82Bは、被取付部82Aの左側面、右側面、及び下面に形成されている(
図3、5参照)。
【0046】
そして、防振連結部82の本体ハウジング13への取付状態では、被取付部82Aの上部が、本体ハウジング13における取付部14Aの第1取付部14A1の内周面に沿って配置されると共に、後述するストッパ部86及び第1取付部14A1によって上下方向に挟み込まれている。換言すると、被取付部82Aの上部が、クランクカバー15の後端部によって、上側及び左右方向両側から覆われている。また、被取付部82Aの下部及び左右方向両側では、取付部14Aの係合片14A3が、被取付部82Aの係合溝82B内に配置されて、防振連結部82が、本体ハウジング13に前後方向に係合する構成になっている。換言すると、被取付部82Aの下部において係合片14A3が上方に向かって係合溝82Bに挿入され、被取付部82Aの左側面において係合片14A3が右側に向かって係合溝82Bに挿入され、被取付部82Aの右側面において係合片14A3が左側に向かって係合溝82Bに挿入される。さらに、防振連結部82の本体ハウジング13への取付状態では、被取付部82Aの下部が、係合片14A3及びクランクケース部40Aによって前後方向に挟み込まれている。
【0047】
また、防振連結部82は、蛇腹状に形成されている。すなわち、防振連結部82は、側断面視で、凹凸状に形成されている。具体的には、防振連結部82には、防振連結部82の径方向外側へ開放され且つ防振連結部82の周方向全周に亘って延在された2箇所の蛇腹凹部82Cが形成されており、蛇腹凹部82Cが防振連結部82の前部及び後部にそれぞれ設けられている。これにより、ハンマ10の作業時にハンドル20が本体ハウジング13側へ移動すると、防振連結部82が、蛇腹凹部82Cを起点に変形すると共に、前後方向に折り重ねられた状態に変形する(
図2参照)。これにより、防振連結部82によって、ハンマ10の作業時に生じる振動を吸収して、当該振動のハンドル20への伝達を抑制するようになっている。
【0048】
なお、前述のように、ハンドル20は、左右方向に分割されたハンドル部材22により構成されている。このため、防振連結部82は、左右のハンドル部材22にそれぞれ形成されており、ハンドル部材22に形成された防振連結部82同士が左右方向に突き合わされている。
【0049】
(規制機構84について)
規制機構84は、ストッパ部86と、ストッパピン88と、を含んで構成されている。ストッパ部86は、上下方向を厚み方向とする略矩形ブロック状に形成されて、インナケース40のクランクケース部40Aから後側へ突出している。すなわち、ストッパ部86は、本体ハウジング13に設けられた金属製のインナケース40に一体に形成されている。また、ストッパ部86は、防振連結部82の内部を挿通しており、ストッパ部86の後端部が、ハンドル20の上端部内に配置されている。
【0050】
ストッパ部86の後部には、規制孔86Aが左右方向に貫通形成されている。規制孔86Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されている。
【0051】
ストッパピン88は、金属製であり、左右方向を軸方向とする円柱状に形成されている。ストッパピン88の左右方向両端部は、ハンドル20に形成された固定ボス20Dに嵌入されて、ハンドル20に固定されている。また、ストッパピン88は、規制孔86A内に前後方向に相対移動可能に挿入されると共に、規制孔86Aの後端部(一端部)に配置されている。これにより、初期位置におけるハンドル20の本体ハウジング13に対する後側への相対移動が規制される構成になっている。一方、ハンドル20の押込位置では、ストッパピン88が規制孔86Aの前後方向中間部に配置されるように、規制孔86Aの前後方向の長さが設定されている。また、ストッパピン88の直径は、規制孔86Aの幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。このため、ハンドル20が初期位置と押込位置との間を移動するときには、規制機構84によってハンドル20をガイドするように構成されている。
【0052】
(作用効果)
次に、ハンマ10の製造方法を説明しつつ、本実施の形態の作用効果を説明する。
【0053】
ハンマ10の製造では、ハウジング12における本体ハウジング13及びハンドル20をそれぞれ成形する。具体的には、本体ハウジング13を構成するクランクカバー15、シリンダカバー16、モータハウジング18、及びテールカバー19を、射出成形によって形成する。
【0054】
一方、ハンドル20の製造では、左右のハンドル部材22を成形する。ハンドル部材22の成形では、
図4(A)に示されるように、ハンドル部材22の樹脂層20Aを成形するための金型100のコア型102とキャビティ型104との間に樹脂材を充填させ、樹脂層20Aを成形する。次に、樹脂層20Aにエラストマ層20Bを一体に形成する。すなわち、ハンドル20に防振連結部82を一体に形成する。具体的には、
図4(B)に示されるように、ハンドル部材22のエラストマ層20B及び防振連結部82を成形するための金型110に樹脂層20Aをセットする。このときには、金型110のキャビティ型114が、樹脂層20Aの表面側に配置され、金型110のコア型112が樹脂層20Aに隣接して配置され、コア型112及び樹脂層20Aとキャビティ型114との間に隙間が形成される。そして、当該隙間にエラストマを充填させて、エラストマ層20B及び防振連結部82を形成する。これにより、防振連結部82がハンドル20に一体に形成される(第1工程)。
【0055】
そして、モータハウジング18にモータ44を組付けると共に、固定ネジSCによってテールカバー19をモータハウジング18に締結固定する。また、伝達機構50を収容したインナケース40をケースカバー42に組付けると共に、シリンダカバー16及びクランクカバー15をインナケース40に組付ける。これにより、モータ44及び伝達機構50を収容した本体ハウジング13がユニット化される。
【0056】
次に、防振機構70によって、ハンドル20を、ユニット化された本体ハウジング13に組付ける。具体的には、ハンドル20の左右のハンドル部材22を左右方向に突き合わせて、ハンドル部材22同士を締結固定する。このとき、ハンドル20の下端部において、ヒンジ軸74をヒンジ連結部76の連結孔76A内に挿入して、ハンドル20の下端部を本体ハウジング13の下端部にヒンジ結合する。
【0057】
また、
図5に示されるように、左右のハンドル部材22を左右方向に突き合わせることで、筒状の防振連結部82が形成される(
図5では、左側のハンドル部材22のみを図示している)。このときには、防振連結部82の径方向内側(内部)に、ストッパ部86が配置される。さらに、このときには、ハンドル20のストッパピン88をストッパ部86の規制孔86A内に挿入させると共に、ストッパピン88の端部をハンドル20の固定ボス20Dに嵌入させてハンドル20に固定させる。これにより、ストッパピン88とストッパ部86とが相対移動可能に連結される。
【0058】
さらに、本体ハウジング13の第2取付部14A2を、防振連結部82における被取付部82Aの係合溝82B内に挿入させて、第2取付部14A2を被取付部82Aに連結させる。また、被取付部82Aの上部を、本体ハウジング13のクランクカバー15とストッパ部86との間に嵌め込んで、被取付部82Aの上部を本体ハウジング13に組付ける(第2工程)。これにより、防振連結部82によってハンドル20の上端部が本体ハウジング13に連結される。
【0059】
なお、上記の説明では、ユニット化した本体ハウジング13に防振連結部82を組付けているが、クランクカバー15を取外した状態の本体ハウジング13に防振連結部82を組付けて、その後に、クランクカバー15をシリンダカバー16に組付けてもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態のハンマ10によれば、ハンマ10の外郭を構成するハウジング12が、モータ44を収容する本体ハウジング13と、本体ハウジング13の後側に配置されたハンドル20と、を含んで構成されている。ここで、ハンドル20には、防振連結部82が一体に形成されており、防振連結部82は弾性変形可能に構成されている。また、防振連結部82の被取付部82Aが本体ハウジング13の取付部14Aに組付けられている。これにより、ハンマ10の作動時の振動を防振連結部82によって吸収しつつ、ハンマ10のコストアップを抑制できる。
【0061】
比較例として、防振連結部が、ハンドルと、本体ハウジングと、に一体に形成されるハンマを考える(以下、このハンマを比較例のハンマという)。この場合には、ハンドルの樹脂層及び本体ハウジングを、防振連結部及びエラストマ層を成形性するための金型にセットして、防振連結部及びエラストマ層を形成する必要がある。このため、比較例のハンマでは、防振連結部及びエラストマ層を成形性するための金型が比較的大型化する。これにより、ハウジングのコストアップを招く可能性がある。
【0062】
これに対して、本実施の形態のハンマ10では、上述のように、弾性変形可能に構成された防振連結部82がハンドル20に一体に形成されており、防振連結部82の被取付部82Aが本体ハウジング13の取付部14Aに組付けられている。このため、上記比較例のハンマと比べて、防振連結部82を成形性するための金型を小型化することができる。このため、ハウジング12のコストアップを抑制できると共に、ひいては、ハンマ10のコストアップを抑制できる。以上により、ハンマ10の作業性を向上しつつ、コストアップを抑制できる。
【0063】
また、防振機構70は、初期位置におけるハンドル20の後側への移動を規制する規制機構84を有している。規制機構84は、本体ハウジング13に設けられ且つ規制孔86Aを有するストッパ部86と、ハンドル20に設けられ且つ規制孔86A内に挿入されたストッパピン88と、を含んで構成されている。そして、ハンドル20の初期位置では、ストッパピン88が規制孔86Aの後端部に配置されている。これにより、簡易な構成で、初期位置におけるハンドル20の後側への移動を規制することができる。すなわち、防振連結部82の過度な引張変形を、簡易な規制機構84によって抑制することができる。
【0064】
しかも、ストッパ部86が、伝達機構50を収容するインナケース40のクランクケース部40Aに一体に形成されている。これにより、伝達機構50を収容するインナケース40を活用して、ストッパ部86を本体ハウジング13に設けることができる。このため、ストッパ部86をクランクケース部40Aと別体に構成する場合と比べて、部品点数及び作業工数を削減することができる。したがって、ハンマ10のコストアップを効果的に抑制できる。
【0065】
また、防振連結部82の前後方向中間部には、2箇所の蛇腹凹部82Cが形成されており、防振連結部82が、前後方向を軸方向とする筒状で且つ蛇腹状に形成されている。このため、防振連結部82が初期位置から押込位置に変形するときには、蛇腹凹部82Cを起点に変形させることができる。これにより、防振連結部82を安定して変形させることができる。
【0066】
また、規制機構84は、防振連結部82の内部に配置されている。これにより、規制機構84を防振連結部82によって視認不能に構成することができると共に、規制機構84に対する防塵性能を防振連結部82によって確保することができる。
【0067】
また、ハンドル20の上端部は、防振連結部82によって本体ハウジング13に連結されており、ハンドル20の下端部は、左右方向を軸方向とするヒンジ軸74によって本体ハウジング13に回転可能に連結されている。これにより、ハンドル20に対する本体ハウジング13の支持性能をヒンジ機構部72によって確保しつつ、ハンマ10の作動時におけるハンドル20への振動伝達を、防振連結部82によって低減することができる。
【0068】
また、防振連結部82における被取付部82Aには、被取付部82Aの径方向外側へ開放された係合溝82Bが形成されており、本体ハウジング13における取付部14Aの係合片14A3が係合溝82Bに挿入されて、係合片14A3及び被取付部82Aが前後方向に係合している。これにより、防振連結部82の本体ハウジング13への組付状態を良好に維持することができる。
【0069】
また、被取付部82Aの下部が、本体ハウジング13の係合片14A3及びインナケース40のクランクケース部40Aによって前後方向に挟み込まれている。これにより、防振連結部82の本体ハウジング13への組付状態を一層良好に維持することができる。
【0070】
また、本体ハウジング13では、クランクカバー15がシリンダカバー16に着脱可能に組付けられている。具体的には、クランクカバー15がシリンダカバー16に対して上側へ取外し可能に構成されている。そして、クランクカバー15の第1取付部14A1によって防振連結部82の被取付部82Aの上部を上側から覆って、第1取付部14A1及びストッパ部86によって被取付部82Aの上部を上下方向に挟み込んでいる。これにより、例えば、クランクカバー15をシリンダカバー16に対して上側へ取外して、伝達機構50に対するメンテナンスを行うことができる。このとき、クランクカバー15と防振連結部82とは、前後方向に係合していないため、クランクカバー15を容易に着脱することができる。したがって、ハンマ10のメンテナンス性を向上することができる。
【0071】
また、規制機構84におけるストッパ部86及びストッパピン88は、金属製である。規制機構84の強度を高くできると共に、耐久性を向上することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、規制機構84において、ストッパ部86が本体ハウジング13に設けられ、ストッパピン88がハンドル20に設けられているが、ストッパ部86をハンドル20に設けて、ストッパピン88を本体ハウジング13に設けてもよい。この場合には、ストッパ部86の規制孔86Aの前端部にストッパピン88を設けてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、クランクカバー15と防振連結部82の被取付部82Aの上部とが、前後方向に係合していない構成であるが、クランクカバー15及び防振連結部82を前後に係合する構成にしてもよい。この場合には、例えば、側断面視で第1取付部14A1を下側へ屈曲させて、第1取付部14A1を挿入させる係合溝を被取付部82Aの上部に形成してもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、左右のハンドル部材22を左右方向に突き合わせることで、筒状の防振連結部82が形成されているが、ハンドル部材22に形成された防振連結部82同士を連結する機構を防振連結部82に形成してもよい。例えば、
図6に示されるように、一方の防振連結部82に嵌合部としての嵌合片82Dを形成し、他方の防振連結部82に嵌合片82Dが嵌入される被嵌合部としての嵌合溝82Eを形成してもよい。これにより、ハンドル部材22に形成された防振連結部82同士を良好に連結することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、上側連結機構部80の防振連結部82が、ハンドル20に一体に形成されており、防振連結部82の被取付部82Aが、本体ハウジング13の取付部14Aに組付けられている。これに代えて、防振連結部82を、本体ハウジング13に一体に形成すると共に、ハンドル20に組付ける構成にしてもよい。例えば、
図7に示されるように、2色成形によって、本体ハウジング13のクランクカバー15及びシリンダカバー16にエラストマ層13Aを形成する。そして、防振連結部82の上部を、クランクカバー15のエラストマ層13Aによって形成し、防振連結部82の下部を、シリンダカバー16のエラストマ層13Aによって形成すると共に、防振連結部82を本体ハウジング13から後側へ突出させる。また、ハンドル20の上端部における後端部を、取付部14Aとして構成し、取付部14Aの下部に係合片14A3を形成する。そして、防振連結部82の後端部の被取付部82Aを取付部14Aに組付けると共に、係合片14A3を被取付部82Aの係合溝82B内に挿入させる。これにより、防振連結部82が、ハンドル20に前後方向に係合した状態で組付けられる。
【0076】
また、本実施の形態では、防振機構70をハンマ10に適用しているが、防振機構70を、他の作業機に適用してもよい。例えば、図示は省略するが、先端工具に回転力及び打撃力を付与する作業機としてのハンマドリルに防振機構70を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 ハンマ(作業機)
12 ハウジング
13 本体ハウジング
14A3 係合片
20 ハンドル
22 ハンドル部材
40 インナケース
44 モータ
50 伝達機構
82 防振連結部(連結部)
82B 係合溝(係合部)
82D 嵌合片(嵌合部)
82E 嵌合溝(被嵌合部)
84 規制機構
86 ストッパ部
86A 規制孔
88 ストッパピン
T 先端工具