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  • 特許-樹脂組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/16 20060101AFI20241022BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20241022BHJP
   B07B 4/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B29B9/16
B29B9/06
B07B4/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021006348
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110743
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】福島 翔子
(72)【発明者】
【氏名】森田 尉史
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-135474(JP,A)
【文献】特開平07-136591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 9/16
B29B 9/06
B07B 4/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の樹脂組成物を所定サイズに切断するペレット製造工程を有するとともに、該ペレット製造工程で発生した粉末とペレットを分離し、粉末を除去する粉末除去工程を有する樹脂組成物の製造方法であって、
前記粉末除去工程は、ペレット投入口から投入された粉末を含むペレットを、孔の開いたプレートに沿わせてペレット排出口に向けて送るとともに、プレートの反ペレット側から、空気流入口から粉末除去室内に流入された空気をプレートの孔を通して供給し、供給された空気によりペレットから粉末を除去し、除去した粉末を空気排出口から空気とともに排出する工程であり、
前記プレートの孔を通して供給する空気の供給量Q(m /min)は、ペレットの径D(mm)に対して4.4D≦Q≦8Dの範囲にあり、
前記空気排出口の相当円直径X(mm)は、ペレットの径D(mm)に対して25D≦Xの範囲にあり、
前記空気の供給方向を、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向の角度を0°として時計回りまたは反時計回りに90°以上270°以下の角度範囲内の方向に設定するとともに、
前記空気流入口からの空気の供給量よりも前記空気排出口からの空気の排出量を多くして前記粉末除去室内を陰圧にすることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記粉末除去工程が、ペレットが一段階目の孔の開いたプレートに沿って進行した後、二段階目の孔の開いたプレートに到達するまでの間に、プレート間で自由落下する工程を含む、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記粉末除去室内の4箇所以上でペレットから粉末を除去する、請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記プレートの孔の径L(mm)は、ペレットの径D(mm)に対して0.1D≦L≦0.9Dの範囲にある、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記プレートの孔の延在方向は、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向と逆行する方向の角度を0°として30°以上90°以下の角度範囲内にある、請求項1~のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物からなる、請求項1~のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂組成物が無機充填材を含有する、請求項1~のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット製造工程で発生した粉末とペレットが混在する粉粒体から、粉末を除去することを目的として、粉末除去装置を用いた粉末除去工程を有する樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に樹脂組成物は、押出機内で加熱溶融された樹脂組成物を該押出機に取り付けられたダイスによって繊維状のストランドとし、このストランドをペレタイザーにて切断してペレット形状の製品とする。このような樹脂ペレットの製造過程では、前述のペレタイザーによるストランド切断の際、ペレットと同時に粉末の樹脂が発生する。この粉末は、特に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維強化樹脂、あるいはタルク、マイカ等の充填材で強化された樹脂組成物の製造過程にて多く発生する。一方、樹脂ペレットの製造過程で生じる粉末は、静電気あるいはペレット表面の水分により、ペレットの表面に付着し、製品ペレットへ混入する。このように、製品ペレットに粉末が混入すると、この粉末により、ペレットの乾燥ラインや空送ラインが汚染され、材料の切り替えに手間が掛かる等の問題がある。また、成形加工の段階において、樹脂ペレットを射出成形機ホッパーに投入する際、ホッパー内に粉末が付着しホッパーが汚染される。また、空送ラインで成形機までペレットを送給する場合も、そのラインの配管内に粉末が付着する。このため、ペレットユーザーは、材料のコンタミネーションを防止するため、材料を切り替えるたびにラインを洗浄する必要があり、材料の切り替えに手間が掛かり、生産効率が低下するという問題があった。
【0003】
粉末除去の手法として、粒状物を粒状物投入口から流入させ、対向洗浄デッキ上に粒状物をバランス良く流入させて、洗浄デッキ下から空気を供給し、粒状物を除塵処理できる投入口構造を有する粒状物から粉塵および異物を除去する除塵装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、除去対象である長尺異物を装置の開口部に投入する際に、開口部を塞ぐ恐れがあったが、空気の流れを生かすことで、長尺異物が装置内に収まりやすくしつつ、装置内に付着するのを抑制でき、粉粒体に混入した異物を除去する異物除去装置についても知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-180493号公報
【文献】特開2015-97999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、効率的に粉末除去を行うためには、ペレットと粉末を粉末除去装置のペレット投入口に向けて送り、孔の開いたプレートに沿わせてペレット排出口に向けて送るとともに、プレートの反ペレット側から、空気流入口から粉末除去室内に流入された空気をプレートの孔を通して供給し、供給された空気によりペレットから粉末を除去し、除去した粉末を空気排出口から空気とともに排出する方法があり、その際、空気の供給量よりも空気の排出量を多くして前記粉末除去室内を陰圧にすることが効果的であることを見出した。また、効率的な粉末除去の方法として、空気の供給方向はペレットの進行方向に逆行する方向であることが重要であることも見出した。
【0007】
しかしながら、特許文献1では粉末除去室内を陰圧にすることは考慮されておらず、さらには樹脂組成物の製造方法に関する記載はなされていない。
【0008】
また、特許文献2では粉末除去室内が陰圧となっておらず、粉末除去効率に劣り、また、空気の供給方向がペレットの進行方向に順行しており、粉末が除去しきれずに、ペレット排出口から粉末が出てきてしまう問題がある。さらに、樹脂組成物の製造方法に関する記載もなされていない。
【0009】
本発明は、樹脂組成物ペレットから粉末を効率よく除去する樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)長尺の樹脂組成物を所定サイズに切断するペレット製造工程を有するとともに、該ペレット製造工程で発生した粉末とペレットを分離し、粉末を除去する粉末除去工程を有する樹脂組成物の製造方法であって、
前記粉末除去工程は、ペレット投入口から投入された粉末を含むペレットを、孔の開いたプレートに沿わせてペレット排出口に向けて送るとともに、プレートの反ペレット側から、空気流入口から粉末除去室内に流入された空気をプレートの孔を通して供給し、供給された空気によりペレットから粉末を除去し、除去した粉末を空気排出口から空気とともに排出する工程であり、
前記空気の供給方向を、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向の角度を0°として時計回りまたは反時計回りに90°以上270°以下の角度範囲内の方向に設定するとともに、
前記空気流入口からの空気の供給量よりも前記空気排出口からの空気の排出量を多くして前記粉末除去室内を陰圧にすることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(2)前記粉末除去工程が、ペレットが一段階目の孔の開いたプレートに沿って進行した後、二段階目の孔の開いたプレートに到達するまでの間に、プレート間で自由落下する工程を含む、(1)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(3)前記粉末除去室内の4箇所以上でペレットから粉末を除去する、(1)または(2)に記載の樹脂組成物の製造方法。
(4)前記プレートの孔の径L(mm)は、ペレットの径D(mm)に対して0.1D≦L≦0.9Dの範囲にある、(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(5)前記プレートの孔を通して供給する空気の供給量Q(m/min)は、ペレットの径D(mm)に対して2D≦Q≦10Dの範囲にある、(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(6)前記空気排出口の相当円直径X(mm)は、ペレットの径D(mm)に対して25D≦Xの範囲にある、(1)~(5)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(7)前記プレートの孔の延在方向は、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向と逆行する方向の角度を0°として30°以上90°以下の角度範囲内にある、(1)~(6)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(8)前記樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物からなる、(1)~(7)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(9)前記樹脂組成物が無機充填材を含有する、(1)~(8)のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気流入口からの空気の供給量よりも空気排出口からの空気の排出量を多くして粉末除去室内を陰圧にすることを特徴とし、空気の供給方向はペレットの進行方向に逆行する粉末除去装置を用いることで、効率よくペレットから粉末を除去した樹脂組成物を得ることができる。一般的に粉末除去装置には、プレートに孔をあけたパンチングプレート上で振動式や電磁式等により粉末除去を行うパンチングプレート方式や、空気の力と選別対象の重量(働く重力、浮力、遠心力)の差によって除去を行う空気式があるが、パンチングプレート方式はペレット製造工程において、粉末発生量が多い場合、パンチングプレートの目詰まりが発生し、除去したい粉末が除去できないことがある。本発明の樹脂組成物の製造方法は、ペレットに対して空気を効率的に流入させることで、ペレットから粉末を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る方法を実施するための粉末除去装置の概略縦断面図である。
図2】粉末除去効率の優劣に関する装置構成の比較を示す粉末除去装置の概略部分断面図である。
図3図1の粉末除去装置の駆動時におけるペレットおよび粉末の移送経路および気流を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について、実施の形態とともに、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、樹脂組成物ペレットの製造工程において、該樹脂組成物ペレットの製造工程で発生した粉末とペレットを分離し、粉末を除去する粉末除去工程を有する樹脂組成物の製造方法である。本発明に係る方法に用いた粉末除去装置について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、粉末除去装置の概略縦断面を示している。図1において、粉末除去装置1はペレット製造工程においてペレットとともに発生する粉末の除去を行う装置であり、図1中の2はペレット投入口、3はペレット排出口、4,5,6,7は孔の開いたプレート、8,9,10は空気流入口、11,12は空気排出口を、それぞれ示している。
【0015】
以下に詳しく説明するように、ペレット投入口2から粉末Fを含むペレットPが投入され、該ペレットPは孔の開いたプレート4,5上に落下した後、孔の開いたプレート4,5上をプレート4,5に沿って進行した後に、孔の開いたプレート6,7上に落下する。孔の開いたプレート6,7上ではプレート6,7に沿って進行し、ペレット排出口3から排出される。尚、孔の開いたプレート4,5上をプレート4,5に沿って移動する際、空気流入口8からプレート4,5の孔を通して供給される空気がペレットPに衝突する際に、ペレットPから粉末Fを取り除き、空気排出口11,12で空気および粉末Fが排出される。また、孔の開いたプレート4,5からプレート6,7上へと自由落下するペレットPは空気流入口9,10から供給される空気と衝突し、その際にペレットPから粉末Fを取り除き、空気排出口11,12で空気および粉末Fを排出する。自由落下したペレットPは孔の開いたプレート6,7上に落下した後、孔の開いたプレート6,7の上をプレート6,7に沿って進行し、空気流入口9,10からプレート6,7の孔を通して供給される空気により、ペレットPと粉末Fとに分離される。分離された粉末Fは空気とともに、空気排出口11,12から排出される。
【0016】
本発明においては、粉末除去工程において、ペレットがプレート間を移動する際に、自由落下する経路を含むことが好ましい。装置内でペレットが自由落下することにより、ペレットの進行方向に対し、供給された空気が逆行してペレットに衝突するため、ペレット周囲に付着する粉末をより効率的に除去できる。
【0017】
尚、このときの前記空気の供給方向は、図2にも示すように、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向の角度を0°として時計回りまたは反時計回りに90°以上270°以下の角度範囲内の方向に設定する。空気の供給方向がペレットの進行方向に対して、180°となるときは、空気の供給方向がペレットの進行方向に対して、完全に逆行する方向となり、最もペレットから粉末を分離することに優れる。一方で、空気の供給方向がペレットの進行方向に対して、0°となるときは、空気の供給方向がペレットの進行方向に対して、完全に順行する方向となり、ペレットから粉末を分離することに劣る。
【0018】
本発明で使用するペレットのサイズは長径が1.6mm以上、短径が1.5mm以上(ペレットの径Dとする)、長さが1.5mm以上のサイズであり、長さは短径よりも大きいものとする。除去対象である粉末は長径が1.6mm未満、ならびに短径および長さが1.5mm未満のサイズのものとする。尚、粉末は、樹脂組成物内に配合されている無機充填材(詳細は後述する。)を含むが、これに限定されず、前記長径が1.6mm未満、ならびに短径および長さが1.5mm未満のサイズのペレット片も含む。
【0019】
本発明においては、装置内の4箇所以上でペレットから粉末を除去する工程を含むことが好ましい。4箇所以上の除去工程を含むことにより、ペレット周囲に付着する粉末を複数回除去することが可能になり、粉末除去効率に優れる。
【0020】
本発明において、粉末除去装置の空気排出口の相当円直径X(mm)とペレットの径D(mm)との関係は、25D≦Xの範囲であることが好ましい。この関係を満たすことで、十分に空気を排出することができ、装置内を陰圧にすることができる。
【0021】
また、粉末除去装置の空気排出口の相当円直径Xは60mm以上であることが好ましい。60mm未満であると、空気の排出量が少なくなり、空気および粉末の除去効率に劣る。特に、空気の排出量が空気の供給量よりも少なくなると、粉末除去室内を陰圧にできずに、粉末除去効率が悪くなる。ここで、相当円直径とは真円の直径および真円以外の形状(例えば、楕円形、三角形、正方形、長方形)の面積に相当する真円の直径と定義する。相当円直径は次式1で定義され、面積Sは真円および真円以外の形状の面積が該当する。
相当円直径={4×(面積S)÷π}の正の平方根 ・・・式1
【0022】
また、本発明において、プレートの孔の径L(mm)とペレットの径D(mm)との関係は、0.1D≦L≦0.9Dの範囲であることが好ましい。この関係を満たすことで、ペレット周辺に付着する粉末を除去するのに必要な空気量を供給することができ、装置内を陰圧に保つことが可能な空気の供給量とすることができる。これにより、ペレット周辺に付着する粉末を効率的に除去することができる。
【0023】
本発明で使用する孔の開いたプレートにある孔の大きさは0.25mm以上2.3mm未満が好ましい。0.25mmより小さいと、空気の供給量が少なくなり、粉末の除去効率に劣る。2.3mm以上になると、孔から供給される空気の風速が遅くなり、ペレットに付着した粉末の除去効率が悪くなることがある。
【0024】
また、本発明において、プレートの孔を通して供給する空気の供給量Q(m/min)は、ペレットの径D(mm)に対して2D≦Q≦10Dの範囲であることが好ましい。この関係を満たすことで、ペレット周辺に付着する粉末を除去するのに必要な空気量を供給することができ、装置内を陰圧にすることができる空気の供給量とすることができる。これにより、ペレット周辺に付着する粉末を効率的に除去することができる。
【0025】
尚、本発明で空気流入口から流入する空気の供給量は5m/min以上25m/min以下が好ましい。5m/min以上であれば、ペレットから粉末を効率良く除去できる。25m/minよりも多くなると、空気排出口からの空気の排出が追い付かず、装置内が陰圧とならないおそれがある。また、流入する空気との衝突により、ペレットが孔の開いたプレートに沿って進行できずに、ペレットが孔の開いたプレート上で滞留したり、ペレット同士の衝突により、ペレットが破壊され、粉末が発生する可能性がある。また、この現象は自由落下をしているペレットにも同じく当てはまる。
【0026】
また、本発明において、プレートの孔の延在方向は、例えば図3にも示すように、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向と逆行する方向の角度を0°として、孔13の延在方向の角度θ2が30°以上90°以下の角度範囲内にあることが好ましい。この関係を満たすことで、ペレットの滞留時間が長くなり、ペレット周辺に付着する粉末を効率的に除去することができる。
【0027】
本発明の樹脂組成物の製造方法では熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のペレット製造工程に適応が可能である。
【0028】
本発明における粉末除去装置で適応が可能な熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレンジカルボキシレート樹脂、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、水添または未水添SBS樹脂(スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体)および水添または未水添SIS樹脂(スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体)、SEBS樹脂(水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが挙げられるが、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。また、混合する樹脂は必ずしも1種である必要は無く、2種以上併用して使用してもよい。また、ポリエステル系樹脂の中でも、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。また、原料の熱可塑性樹脂組成物の形状としては、ペレット状、粉体などが挙げられる。
【0029】
前記熱可塑性樹脂に含まれる添加材としては、繊維状もしくは板状、鱗片状、粒状、不定形状および破砕品状など非繊維状の充填材(無機充填材および有機充填材)が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバーや、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維やケブラーフィブリルなどの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、Eガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Hガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Aガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Cガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、天然石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、合成石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ロックウール、アルミナ水和物(ウィスカー・板状)、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、タルク、カオリン、シリカ(破砕状・球状)、石英、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、マイカ、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化アルミニウム(破砕状)、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属酸化物、水酸化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属水酸化物、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、および金属リボンなどが挙げられる。
【0030】
上記のような熱可塑性樹脂組成物には、他の付加成分を加えることもでき、付加成分はメインホッパーからの供給、サイドフィーダーからの供給、およびメインホッパーとサイドフィーダーからの分割供給の何れの供給方法でもよい。付加成分としては、例えば、離型剤、燐系抗酸化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、滴下防止剤、着色剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などを挙げることができる。本発明の効果を損なわない範囲で、付加成分を配合することができる。
【0031】
本発明における粉末除去装置で適応が可能な熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂などが挙げられる。エラストマーとしては、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、およびシリコーンゴム等が挙げられる。
【0032】
前記熱硬化性樹脂に含まれる添加材としては、繊維状もしくは板状、鱗片状、粒状、不定形状および破砕品状など非繊維状の充填材(無機充填材および有機充填材)が挙げられる。具体的には、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバーや、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維やケブラーフィブリルなどの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、Eガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Hガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Aガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、Cガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、天然石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、合成石英ガラス(板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ロックウール、アルミナ水和物(ウィスカー・板状)、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、タルク、カオリン、シリカ(破砕状・球状)、石英、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、マイカ、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化アルミニウム(破砕状)、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属酸化物、水酸化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの金属水酸化物、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、および金属リボンなどが挙げられる。
【0033】
本発明の製造方法を用いて得られた樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能である。また、射出成形や押出成形、ブロー成形、トランスファー成形などを経て様々な用途に使用可能である。例えば、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、混合弁、ポンプ部品、パイプジョイント、継手類(エルボ、チーズ、ソケットなど)、水量調節弁、減圧弁、逃がし弁、電磁弁、三方弁、サーモバルブ、湯温センサー、水量センサー、浴槽用アダプタ、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、およびケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
【実施例
【0034】
[実施例1~4][比較例1~3]
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。まず、各実施例、比較例に用いた装置と使用原料、および各実施例および比較例で得られた樹脂組成物ペレットの評価方法について説明する。
【0035】
(1)二軸押出機
二軸押出機は、芝浦機械社製TEM58SSを用いて、真空ベントの数、真空ベント間のスクリュエレメント、混練ゾーンのスクリュ構成、真空ベント口における真空度を変更して実験を行った。熱可塑性樹脂を供給するフィーダはクボタ社製のスクリュ式カセットウェイングフィーダ、添加材を供給するフィーダはクボタ社製の振動式カセットウェイングフィーダを用いた。吐出量は500kg/Hr、スクリュ回転数は450rpm、シリンダ設定温度は300℃とした。得られる熱可塑性樹脂組成物は、ペレットとして得た。なお、二軸押出機における真空ベントが2基の場合は、連続したバレルに真空ベントを設けた。
【0036】
(2)使用原料
実施例、比較例に用いた原料は以下の通りである。
熱可塑性樹脂はポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂を用いた。無機充填材としてのガラス繊維は、日本電気硝子株式会社製ガラスファイバー「ECS 03 T-760H」を用いた。ガラスファイバーの配合比率はPPS樹脂100重量部に対して、70重量部とした。
【0037】
なお、上記PPS樹脂の合成は以下のように行った。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.10モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。その後200℃まで冷却し、p-ジクロロベンゼン10.45kg(71.07モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
【0038】
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを酸素気流下、200℃で熱処理し、粉体形状の乾燥PPS樹脂を得た。得られたPPS樹脂は、溶融粘度が80Pa・s、灰分が0.16重量%であった。
【0039】
上記(1)および(2)の条件にて、PPS樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットについて、後述の表1に示す条件にて、図1に示した装置と同様の構成を有するペレトロン社製ディダスターを用いて粉末除去工程を実施した。本装置において、空気排出口の相当円直径Xは65(mm)であった。その後得られた樹脂組成物について、以下の方法により評価した結果を表1に示す。なお、表1における空気による粉末除去箇所(1)~(6)は、図1に示した箇所に相当している。
【0040】
(3)粉末残存量
各実施例および比較例により得られたPPS樹脂を用いて、粉末除去装置のペレット排出口から得られたペレットに含まれる粉末量の評価をした。粉末残存量の算出は得られたペレット250gを篩(20メッシュ、φ250mm)で1分間篩にかけて、得られた粉末の重量を測定した。
【0041】
(4)耐飛散性
各実施例および比較例により得られたPPS樹脂を用いて、粉末除去装置のペレット排出口から排出される粉末の飛散度合を測定した。飛散度合の評価は目視による確認および、粉末除去装置のペレット排出口から得られたペレットに含まれる粉末残存量の最大値で評価した。粉末残存量の最大値の算出は、得られたペレット250gを篩(20メッシュ、φ250mm)で1分間篩にかけて、得られた粉末の重量の最大値を測定した。
【0042】
各実施例および比較例における条件、評価結果をまとめて表1に示す。
表1中のペレットの進行方向と空気が流入する方向とがなす角度は、前記プレートの断面方向で見たペレットの進行方向の角度を0°として反時計回りにおける角度に相当する。
【0043】
【表1】
【符号の説明】
【0044】
1 粉末除去装置
2 ペレット投入口
3 ペレット排出口
4,5,6,7 孔の開いたプレート
8,9,10 空気流入口
11,12 空気排出口
13 孔
図1
図2
図3