(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2021011172
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-08-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年8月1日に、積水ハウス株式会社が、KTVハウジング京都五条住宅展示場内のビエナ五条展示場にて公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】筒井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】柴田 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 貫治
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-117941(JP,A)
【文献】特開2015-074949(JP,A)
【文献】特開2013-253475(JP,A)
【文献】特開2020-070599(JP,A)
【文献】特開2009-155874(JP,A)
【文献】特開2002-327556(JP,A)
【文献】特開平08-144546(JP,A)
【文献】特開2021-169737(JP,A)
【文献】特開2015-096679(JP,A)
【文献】米国特許第04745719(US,A)
【文献】シャーウッド福島展示場,[online],2019年04月27日,[2024年5月21日検索],インターネット<URL:https://www.sekisuihouse.co.jp/liaison/07/7022490010/slides/n_PhotoLibrary5.jpg?20240427104058>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
E04B 1/00
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一居室と、前記第一居室に隔たりなく隣接する第二居室と、一面が壁に囲われず外部に隣接し、他の面が、高さが少なくとも二階天井高さ以上の壁に囲われ、前記第一居室及び前記第二居室にわたって隣接し、上方に開放される第一中庭と、が設けられる住宅であって、
前記第一中庭の壁に囲われず外部に隣接する面に、高さが少なくとも二階天井高さ以上の第一格子壁が設けられ、
前記第一居室と前記第一中庭との間の壁と、前記第二居室と前記第一中庭との間の壁と、に開口部が設けられ、
前記第二居室の床の高さは、前記第一居室の床の高さより低く設けられ、前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間の床の高さは、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間の床の高さより低く設けられ、前記第一居室と前記第二居室とが成す屋内段差と、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間と前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間とが成す屋外段差と、が一直線上に設けられ
、前記屋内段差と、前記屋外段差と、は同じ方向に向かって下がるように設けられることを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記第一中庭には庭石が設けられ、前記屋外段差の前記第一居室及び前記第二居室側が露出し、前記第一中庭の前記第一居室及び前記第二居室側から、前記第一中庭の前記第一居室及び前記第二居室側の反対側に広がるように、当該庭石が前記屋外段差の上に載置されることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記第一格子壁は、横に長尺な部材の枠体が間隔をあけて縦に重なり形成される横格子であり、前記枠体には、植物が載置され、前記枠体に、潅水チューブが備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項4】
前記第二居室を前記第一中庭とで挟むように前記第二居室に隣接し、四方を壁に囲われ、上方に開放される第二中庭が設けられ、前記第二居室と前記第二中庭との間の壁に、開口部が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の住宅。
【請求項5】
前記第一中庭及び前記第二中庭どちらにも面しない前記第二居室を囲う壁の前記第二居室に面する面の仕上げ材と、前記第一中庭を囲う壁の前記第一中庭に面する面の仕上げ材と、前記第二中庭を囲う壁の前記第二中庭に面する面の仕上げ材と、が同じ仕上げ材であることを特徴とする請求項4に記載の住宅。
【請求項6】
前記第一居室及び前記第二居室は、前記第一中庭を挟んで前記第一格子壁に対面する前記第一中庭の面以外の前記第一中庭の面に隣接し、前記第一居室の上階に、前記第一中庭に隣接する第三居室が設けられ、前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に、開口部が設けられ、前記第一中庭を挟んで前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に対面する前記第一中庭を囲う壁に、開口部が設けられないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の住宅。
【請求項7】
前記第一居室及び前記第二居室は、前記第一中庭を挟んで前記第一格子壁に対面する前記第一中庭の面以外の前記第一中庭の面に隣接し、前記第一居室の上階に、前記第一中庭に隣接する第三居室が設けられ、前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に、開口部が設けられ、前記第一中庭を挟んで前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に対面する前記第一中庭を囲う壁に、開口部が設けられず、前記第三居室を前記第一中庭とで挟むように前記第三居室に隣接し且つ前記第二中庭に隣接するベランダが設けられ、
前記ベランダを挟んで前記ベランダの前記第二中庭に隣接する面に対面する前記ベランダの面に、第二格子壁が設けられ、
前記ベランダを挟んで前記第三居室と前記ベランダとの間の壁に対面する前記ベランダを囲う壁には、開口部が設けられず、
前記第三居室と前記ベランダとの間の壁に、開口部が設けられることを特徴とする請求項
4に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中庭を設け、プライバシーを確保しつつも、自然豊かな暮らしを感じることを目的とした住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、二階にバルコニーと、バルコニーに隣接する共用部と、を設け、バルコニーには、高い床のスペースと、低い床のスペースと、が設けられ、共用部には、高い床のスペースと、低い床のスペースと、が設けられ、バルコニーの高い床のスペースと低い床のスペースとの段差と、共用部の高い床のスペースと低い床のスペースとの段差と、が連続することで、屋外空間と屋内空間に一体感を得ることができる住宅がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、住宅において、プライバシーを確保することが重視されるため、プライバシーを確保しつつ自然を感じることができる中庭を取り入れることがある。しかし、都会に建てられる住宅のように限られたスペースに中庭を設ける場合は、中庭の床面積が狭くなりがちであり、壁に囲われる中庭には光が入りにくく、また、屋内空間とのつながりを演出することが難しい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、プライバシーを確保しつつも、限られるスペースの中で自然を感じることをコンセプトに、中庭の空間の広がりと、中庭と屋内空間との一体感と、自然豊かな暮らしと、を感じることができる住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に掛かる住宅は、第一居室と、前記第一居室に隔たりなく隣接する第二居室と、一面が壁に囲われず外部に隣接し、他の面が、高さが少なくとも二階天井高さ以上の壁に囲われ、前記第一居室及び前記第二居室にわたって隣接し、上方に開放される第一中庭と、が設けられる住宅であって、前記第一中庭の壁に囲われず外部に隣接する面に、高さが少なくとも二階天井高さ以上の第一格子壁が設けられ、前記第一居室と前記第一中庭との間の壁と、前記第二居室と前記第一中庭との間の壁と、に開口部が設けられ、前記第二居室の床の高さは、前記第一居室の床の高さより低く設けられ、前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間の床の高さは、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間の床の高さより低く設けられ、前記第一居室と前記第二居室とが成す屋内段差と、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間と前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間とが成す屋外段差と、が一直線上に設けられることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために本発明に掛かる住宅は、第一居室と、前記第一居室に隔たりなく隣接する第二居室と、一面が壁に囲われず外部に隣接し、他の面が、高さが少なくとも二階天井高さ以上の壁に囲われ、前記第一居室及び前記第二居室にわたって隣接し、上方に開放される第一中庭と、が設けられる住宅であって、前記第一中庭の壁に囲われず外部に隣接する面に、高さが少なくとも二階天井高さ以上の第一格子壁が設けられ、前記第一居室と前記第一中庭との間の壁と、前記第二居室と前記第一中庭との間の壁と、に開口部が設けられ、前記第二居室の床の高さは、前記第一居室の床の高さより低く設けられ、前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間の床の高さは、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間の床の高さより低く設けられ、前記第一居室と前記第二居室とが成す屋内段差と、前記第一中庭の前記第一居室に隣接する空間と前記第一中庭の前記第二居室に隣接する空間とが成す屋外段差と、が一直線上に設けられ、前記屋内段差と、前記屋外段差と、は同じ方向に向かって下がるように設けられることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記第一格子壁は、横に長尺な部材の枠体が間隔をあけて縦に重なり形成される横格子であり、前記枠体には、植物が載置され、前記枠体に、潅水チューブが備えられることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記第二居室を前記第一中庭とで挟むように前記第二居室に隣接し、四方を壁に囲われ、上方に開放される第二中庭が設けられ、前記第二居室と前記第二中庭との間の壁に、開口部が設けられることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記第一中庭及び前記第二中庭どちらにも面しない前記第二居室を囲う壁の前記第二居室に面する面の仕上げ材と、前記第一中庭を囲う壁の前記第一中庭に面する面の仕上げ材と、前記第二中庭を囲う壁の前記第二中庭に面する面の仕上げ材と、が同じ仕上げ材であることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記第一居室及び前記第二居室は、前記第一中庭を挟んで前記第一格子壁に対面する前記第一中庭の面以外の前記第一中庭の面に隣接し、前記第一居室の上階に、前記第一中庭に隣接する第三居室が設けられ、前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に、開口部が設けられ、前記第一中庭を挟んで前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に対面する前記第一中庭を囲う壁に、開口部が設けられないことを特徴とする。
【0012】
さらに、前記第一居室及び前記第二居室は、前記第一中庭を挟んで前記第一格子壁に対面する前記第一中庭の面以外の前記第一中庭の面に隣接し、前記第一居室の上階に、前記第一中庭に隣接する第三居室が設けられ、前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に、開口部が設けられ、前記第一中庭を挟んで前記第三居室と前記第一中庭との間の壁に対面する前記第一中庭を囲う壁に、開口部が設けられず、前記第三居室を前記第一中庭とで挟むように前記第三居室に隣接し且つ前記第二中庭に隣接するベランダが設けられ、前記ベランダを挟んで前記ベランダの前記第二中庭に隣接する面に対面する前記ベランダの面に、第二格子壁が設けられ、前記ベランダを挟んで前記第三居室と前記ベランダとの間の壁に対面する前記ベランダを囲う壁には、開口部が設けられず、前記第三居室と前記ベランダとの間の壁に、開口部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る住宅によると、第一格子壁により、外部からの視線を遮りプライバシーを確保しつつ、第一格子壁を介して外部から第一中庭に光と、風と、を取り入れることができる。また、第一中庭に床の高さが異なる空間が設けられることで、第一中庭の空間を広く見せることができ、屋内段差と、屋外段差と、が一直線上に設けられることで、第一居室と第一中庭の第一居室に隣接する空間とに一体感を持たせることができ、第二居室と第一中庭の第二居室に隣接する空間とに一体感を持たせることができる。
【0014】
さらに、屋外段差に、載置される庭石によって、第一中庭の第一居室に隣接する空間と、第一中庭の第二居室に隣接する空間と、の区切りを判然とさせ、第一中庭の第一居室及び第二居室側から、第一中庭の第一居室及び第二居室側の反対側に広がるように庭石が載置されることで、庭石の断面が第一居室及び第二居室からよく見え、庭石が演出する自然を感じることができ、また、第一居室及び第二居室から第一中庭を眺めるときに、第一中庭の奥行きの広がりを感じることができる。
【0015】
さらに、第一格子壁の各枠体に植物が載置されることで、第一中庭の縦方向に植物による自然を演出することができ、植物によって枠体と枠体との隙間が埋められるため、外部からの視線を遮りプライバシーを確保するとともに、外部から第一格子壁を通り第一中庭に入る光は、植物によって木漏れ日となり、第一中庭に強い陽射しが入るのを防ぎ、また、潅水チューブによって水がまかれることで、第一格子壁を通り第一中庭に入る風が水に触れ、第一中庭に入る風の温度を下げることができる。
【0016】
さらに、第二居室を第一中庭と第二中庭とで挟むことで、第二居室から第一中庭と、第二中庭と、の両方の自然を感じることができ、第二居室の開放感を高めることができる。
【0017】
さらに、第二居室の第一中庭に面する壁及び第二居室の第二中庭に面する壁以外の第二居室を囲う壁と、第一中庭を囲う壁と、第二中庭を囲う壁と、の仕上げ材が同じ仕上げ材であることで、第二居室と、第一中庭と、第二中庭と、に一体感を持たせ、第二居室の空間を広く見せることができる。
【0018】
さらに、第三居室から第一中庭を眺めたときに、正面に、第一中庭を囲う、開口部が設けられない壁が設けられるため、第三居室のプライバシーを確保しつつ第一中庭の自然を感じることができる。
【0019】
さらに、ベランダは、第二格子壁から光と、風と、を取り入れることができ、第三居室は、第一中庭と、ベランダと、に挟まれ、第三居室から第一中庭と、ベランダを介して第二中庭と、の両方の自然を感じることができ、第三居室の開放感を高めつつも、第三居室からベランダを眺めたときに、正面に、ベランダを囲い、開口部が設けられない壁が設けられるため、第三居室のプライバシーが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る住宅の一階を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る住宅の二階を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る住宅の三階を示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る住宅の第一格子壁を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る住宅の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る住宅1は、三階建てで、一面が外部2に隣接する第一中庭160が設けられ、一階100及び二階200が第一中庭160を囲うように形成される住宅であり、
図1に示すように、一階100は、ダイニングとして使用される第一居室110と、第一居室110に隔たりなく隣接しリビングとして使用される第二居室120と、第一居室110及び第二居室120にわたって隣接する第一中庭160と、第一居室110を第一中庭160とで挟むように第一居室110に隔たりなく隣接するキッチン130と、キッチン130に隣接し且つ第二居室120を第一中庭160とで挟むように第二居室120に隣接する第二中庭180と、第一中庭160を第一居室110及び第二居室120とで挟むように第一中庭160に隣接する玄関140と、第一中庭160に隣接し、第二居室120と玄関140とを繋ぐ通路150と、が設けられる。
【0022】
図1に示すように、第一居室110及び第二居室120は、二階天井高さの壁401を介して、同じ方向から第一中庭160に隣接して設けられる。
図4に示すように、第二居室120の床120fが、第一居室110の床110fより一段低く設けられることで、
図1に示すように、第一居室110と、第二居室120と、の境に、壁401に向かって垂直に一直線な屋内段差125が設けられる。床110fと、床120fと、の高さの差は180mmであり、第一居室110と、第二居室120と、の天井には段差がないため、第二居室120の天井高は、第一居室110の天井高より180mm高くなる。よって、第二居室120では、空間の縦の開放感を感じながらくつろぐことができ、隔たりなく隣接する第一居室110と、第二居室120と、の繋がりに抑揚を持たせることで、家族又は客人と食事を楽しむダイニングの第一居室110と、ゆったりとくつろぐリビングの第二居室120と、というように空間の役割を意識して使用することができる。
【0023】
また、
図1に示すように、壁401の第一居室110に面する部分に、開口部である大開口窓112が設けられる。大開口窓112は、第一居室110の床110fから第一居室110の天井までの高さで、壁401の第一居室110に面する部分一面に広がる引き違い窓である。
また、壁401の第二居室120に面する部分に、開口部である大開口窓122が設けられる。大開口窓122は、第二居室120の床120fから第二居室120の天井までの高さで、壁401の第二居室120に面する部分一面に広がるはめ殺し窓である。よって、第一居室110及び第二居室120から大きく広がる大開口窓112及び大開口窓122を介して第一中庭160を眺めることができ、室内空間に居ながら屋外の開放感を感じることができる。また、第一居室110から第一中庭160に大開口窓112を通じて直接移動することができる。
【0024】
図1に示すように、第一中庭160は、第一居室110及び第二居室120に面する二階天井高さの壁401と、通路150に面する二階天井高さの壁402と、玄関140に面する二階天井高さの壁403と、の壁によって囲われ、上方に開放されるように設けられる。そして、第一中庭160は、第一中庭160の第二居室120に隣接する空間162と、アウターダイニングとして使用される第一中庭160の第一居室110に隣接する空間161と、によって構成される。
図5に示すように、空間162の床162fが、空間161の床161fより一段低く設けられることで、
図1に示すように、空間162と、空間161と、の境に、屋内段差125の延長線上に一直線である屋外段差163が設けられる。床162fと、床161fと、高さの差は、第一居室110の床110fと、第二居室120の床120fと、の高さの差と同じであり、180mmである。第一中庭160に床の高さが異なる空間を設けることで、第一中庭160に立体感を持たせ、空間を広く見せることができ、空間162の床162fを下げることで、空間161をアウターダイニングとして使用したときに、空間162を高い位置から見通すことができる。そして、屋内段差125と、屋外段差163と、が一直線上に設けられ、屋内段差125と、屋外段差163と、は同じ方向に向かって下がるように設けられることで第一居室110と、空間161と、の一体感及び第二居室120と、空間162と、の一体感が生まれ、第一居室110から眺める第一中庭160と、第二居室120から眺める第一中庭160と、に異なる印象を与えることができる。
【0025】
また、
図1に示すように、屋外段差163の上に、庭石164aが設けられる。庭石164aは、上から見ると三角形状であり、下面が屋外段差163の形に削られる天然石である。庭石164aは、空間161と空間162との行き来の妨げにならないように、屋外段差163の第一居室110及び第二居室120側が露出させるため、屋外段差163が伸びる方向の途中から、屋外段差163の第一居室110及び第二居室120側の反対側に広がるように載置される。さらに、庭石164aの上に、庭石164bが設けられる。庭石164bは、庭石164aより一回り小さく、上から見ると三角形状であり、下面が庭石164aの上面の形に削られる天然石である。庭石164bは、第一居室110及び第二居室120側から見ると、庭石164aと庭石164bとで二段の階段ができるように庭石164aの上に載置される。また、庭石164bの上面に、砂利を敷き詰められ庭木165aが植えられ、空間162に、砂利が敷き詰められ庭木165bが植えられる。屋外段差163の上に、庭石164aと庭石164bとを載置することで、空間162と、空間161と、の区切りを判然とさせ、屋外段差163の第一居室110及び第二居室120側の反対側に広がるように庭石164aと庭石164bとを載置することで、
図5に示すように、第一居室110又は第二居室120から第一中庭160を眺めるときに、庭石164aと庭石164bとの断面がよく見え、奥に広がる庭石164aと庭石164bとによって、第一中庭160に奥行きを感じることができる。そして、庭木165aと、庭木165bと、を設けることで、より自然を感じることができる。
【0026】
図1に示すように、玄関140は、第一中庭160に壁403を介して隣接し、壁403の玄関140に面する部分には、開口部が設けられない。また、玄関140と第二居室120とを繋ぐ通路150には、二階200へと繋がる階段152と、一階100、二階200及び三階300に移動できるエレベーター153と、が設けられ、壁402の通路150に面する部分には、通路150の床から通路150の天井までの高さで、壁402の通路150に面する部分一面に広がるはめ殺し窓である大開口窓151が設けられる。
【0027】
さらに、
図1に示すように、第一中庭160の壁に囲われず外部2に隣接する面に、高さが二階天井高さの第一格子壁166が設けられる。第一格子壁166は、横に長尺な部材である枠体167を一定間隔で積み重ね形成される横格子であり、第一中庭160は、第一格子壁166によって、外部2からの視線を遮断しプライバシーを確保しつつ、外部2から第一中庭160に、風と光とを取り入れることができる。
図7に示すように、枠体167は、短手方向の断面が上方に開放され、枠体167の内部に物が載置できる形状であり、各枠体167の内部に、プランターに植えられた植物168が、枠体167の開放された上面から露出するように、枠体167の長手方向に並んで敷き詰められるように載置される。そして、各枠体167に、屋外に設ける図示しない蛇口に繋がる潅水チューブ169が備えられ、潅水チューブ169に水を流すことで、植物168に水をまくことができる。これにより、第一中庭160は、植物168により自然を感じつつも、枠体167と枠体167との隙間を植物168が埋めることで、外部2からの視線を遮断しプライバシーを確保することができる。さらに、外部2から第一格子壁166を通り第一中庭160に入る光は、植物168を通して、木漏れ日となり、第一中庭160に強い陽射しが入るのを防ぐことができる。さらに、潅水チューブ169から水をまくことで、外部2から第一格子壁166を通り第一中庭160に入る風の温度を下げることができる。また、植物168は、外部2からも目視でき、住宅1の外部2を通り過ぎる人にも自然を感じさせることができる。
さらに、
図5に示すように、第一格子壁166の下方は、枠体167が設けられず、外部2に開放されるように形成される。第一格子壁166の下方を開放することで、空間161をアウターダイニングとして使用するときに、第一格子壁166による圧迫感を減少させ、第一中庭160に荷物を搬入搬出することができる。そして、第一格子壁166の外部2側に、第一格子壁166の外部2に開放される下方より高い衝立170が設けられ、衝立170によって、第一格子壁166の外部2に開放された下方の外部2からの視線を遮断することができる。
【0028】
図1に示すように、第二中庭180は、キッチン130に面する一階天井高さの壁407と、第二居室120に面する二階天井高さの壁406と、第二中庭180を挟んで壁406に対面し、キッチン130及び第二中庭180にわたって面する二階天井高さの壁404と、第二中庭180を挟んで壁407に対面し、第二居室120、通路150及び第二中庭180にわたって面し、一部が二階天井高さの壁404と、に囲われ、上方に開放されるように設けられる。そして、第二中庭180には、庭木181aと、庭木181bと、が植えられる。
また、壁406の第二居室120に面する部分に、開口部である大開口窓123と、開口部である大開口窓124と、が設けられる。大開口窓123は、第二居室120の床120fから第二居室120の天井までの高さの引き違い窓であり、大開口窓124は、第二居室120の床120fから第二居室120の天井までの高さのはめ殺し窓である。大開口窓123と、大開口窓124と、は、大開口窓123と、大開口窓124と、の2つの窓で、壁406の第二居室120に面する部分一面に広がる大きさで、
図6に示すように、第二居室120は、大開口窓122を介して、第一中庭160の自然を感じることができ、大開口窓123及び大開口窓124を介して、第二中庭180の自然を感じることができ、第二居室120は、壁402の第二居室120に面する部分一面に広がる大開口窓122と、壁406一面に広がる大開口窓123及び大開口窓124と、に囲まれることで、開放感を感じることができる。
また、第一中庭160を囲う壁401、壁402及び壁403の第一中庭160に面する面の仕上げ材と、第二中庭180を囲う壁406、壁407、壁404の第二中庭180に面する部分及び壁405の第二中庭180に面する部分の第二中庭180に面する面の仕上げ材と、第二居室120を囲う壁405の第二居室120に面する面及び壁405の通路150に面する面の仕上げ材と、が同じ仕上げ材であり、第二居室120と、第一中庭160と、第二中庭180と、に一体感を持たせ、第二居室120に空間の広がりを感じさせることができる。さらに、仕上げ材は、タイル材であり、外部2から入射する光が、第一中庭160を囲う壁の第一中庭160に面する面に反射し、第一中庭160に面する開口部から屋内空間に入り、屋内空間を明るくすることができる。同様に、外部2から入射する光が、第二中庭180を囲う壁の第二中庭180に面する面に反射し、第二中庭180に面する開口部から屋内空間に入り、屋内空間を明るくすることができる。
【0029】
図2に示すように、二階200は、第一居室110の上に位置する空間に寝室として使用される第三居室210と、キッチン130の上に位置する空間に第三居室210と隣接し且つ第二中庭180と隣接するベランダ270と、第三居室210に隣接し且つ一部が第二中庭180に隣接するウォークインクローゼット230と、ウォークインクローゼット230を第三居室210とで挟むようにウォークインクローゼット230に隣接し且つ第二中庭180に隣接する浴室240と、玄関140の上に位置する空間に第一中庭160に隣接し子供部屋又はゲストルームとして使用される第四居室220と、第三居室210と第四居室220を繋ぎ、第一中庭160を囲うようにL字に折れ曲がる通路250と、通路250の第四居室220側にトイレ260と、が設けられる。
【0030】
図2に示すように、第四居室220は、第一中庭160に壁403を介して隣接し、壁403の第四居室220に面する部分には、開口部が設けられず、壁403は、壁403の全面に開口部が設けられない。また、第三居室210と第四居室220とを繋ぐ通路250は、一階100へと繋がる階段152に重なり設けられる三階300へと繋がる階段251と、一階100、二階200及び三階300に移動できるエレベーター153と、が設けられ、壁402の通路250に面する部分に、通路250の床から通路250の天井までの高さで、壁402の通路250に面する部分一面に広がるはめ殺し窓の大開口窓252が設けられる。また、壁401の通路250に面する部分に、開口部である大開口窓253と、開口部である大開口窓254と、が設けられ、大開口窓253及び大開口窓254と、は通路250の床から通路250の天井までの高さのはめ殺し窓であり、大開口窓253と、大開口窓254と、の2つの窓で、壁401の通路250に面する部分一面に広がる大きさである。
【0031】
図2に示すように、第三居室210は、壁401の第三居室210に面する部分に、開口部である大開口窓211と、開口部である大開口窓212と、が設けられる。大開口窓211及び大開口窓212は、第三居室210の床から第三居室210の天井までの高さのはめ殺し窓であり、大開口窓211と、大開口窓212と、の2つの窓で、壁401の第三居室210に面する部分一面に広がる大きさである。第三居室210から大開口窓211と、大開口窓212と、を介して、第一中庭160を眺めることで自然を感じることができる。そして、第三居室210から第一中庭160を眺めるときに、正面に壁403が位置するが、壁403には、開口部が設けられないため、寝室として使用される第三居室210は、大開口窓211と、大開口窓212と、によって開放感を感じつつもプライバシーが確保される。そして、第三居室210とベランダ270との間の壁に、開口部である掃き出し窓213が設けられる。また、第三居室210とウォークインクローゼット230との間の壁に、出入口214が設けられ、第三居室210からウォークインクローゼット230へと移動できるようになされている。
【0032】
図2に示すように、ベランダ270は、第三居室210と、第二中庭180と、に隣接し、キッチン130の天井を床として利用する上部に屋根が設けられる外部空間であり、ベランダ270の第二中庭180側端に手摺り271が設けられ、ベランダ270の第二中庭180側の反対側端に、ベランダ270のプライバシーを確保しつつ外部2からベランダ270に風と光とを取り入れられる一階から二階天井まで高い第二格子壁272が設けられる。また、ベランダ270を挟んで、ベランダ270と第三居室210との間の壁に対面する壁は、壁404であり、壁404には開口部が設けられないため、第三居室210のプライバシーが確保され、第三居室210からベランダ270に移動し第二中庭180の自然を感じることができるようになされている。
【0033】
図2に示すように、浴室240に、洗面台241と、バス242と、が設けられ、入浴するスペースと洗面台241を使用するスペースを区切る透明な間仕切り243が設けられる。浴室240と第二中庭180との間の壁406の浴室240に面する部分に、掃き出し窓244が設けられ、洗面台241を使用しながら第二中庭180を眺めることができ、入浴しながら第二中庭180を眺めることができる。また、浴室240と通路250との間の壁に出入口246が設けられ、浴室240とウォークインクローゼット230との間の壁に、出入口245が設けられる。
【0034】
図3に示すように、三階300は、一階100及び二階200より床面積が狭く、三階300の一部は、一階100及び二階200を形成する壁より内側にセットバックし設けられる。三階300は、第一中庭160に隣接する第五居室310と、第一中庭160に隣接し第五居室310に繋がる第六居室320と、第五居室310と第六居室320とに隣接し、二階200の屋根を床として利用するバルコニー330と、が設けられる。
そして、第五居室310に、二階200に繋がる階段251と、一階100、二階200及び三階300に移動できるエレベーター153と、が設けられる。さらに、第五居室310と第一中庭160との間の壁に、第五居室310の床から第五居室310の天井までの高さで、はめ殺し窓の大開口窓311と、第五居室310の床から第五居室310の天井までの高さで、はめ殺し窓の大開口窓312と、が設けられ、第五居室310とバルコニー330との間の壁に、掃き出し窓313が設けられる。また、第六居室320は、第六居室320と第一中庭160との間の壁に、腰窓321と、腰窓322と、が設けられ、第六居室320の第一中庭160側の反対側の壁に、腰窓323と、腰窓324と、が設けられ、第六居室320とバルコニー330との間の壁に、掃き出し窓325が設けられる。そして、バルコニー330は、バルコニー330の屋内空間に面しない面を囲うように形成される手摺り331が設けられる。
【0035】
上記はあくまで本発明に係る住宅1の一実施形態を示したものであるため、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、プライバシーを確保しつつ自然を感じることができるため、自然が少ない都会等に建てられる住宅対して、好意的に採用されるものと見込まれ、住宅産業の発展に貢献できる。
【符号の説明】
【0037】
1 住宅
2 外部
110 第一居室
110f 第一居室の床
112 開口部(大開口窓)
120 第二居室
120f 第二居室の床
122 開口部(大開口窓)
123 開口部(大開口窓)
124 開口部(大開口窓)
125 屋内段差
160 第一中庭
161 第一中庭の第一居室に隣接する空間
161f 第一中庭の第一居室に隣接する空間の床
162 第一中庭の第二居室に隣接する空間
162f 第一中庭の第二居室に隣接する空間の床
163 屋外段差
164a 庭石
164b 庭石
166 第一格子壁
167 枠体
168 植物
169 潅水チューブ
180 第二中庭
200 上階(二階)
210 第三居室
211 開口部(大開口窓)
212 開口部(大開口窓)
213 開口部(掃き出し窓)
270 ベランダ
272 第二格子壁