(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241022BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241022BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241022BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/00 530
H05K7/20 H
H05K5/02 P
(21)【出願番号】P 2021012560
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃治
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-098858(JP,A)
【文献】特開2016-133709(JP,A)
【文献】特開2012-145817(JP,A)
【文献】米国特許第10875731(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/00
H05K 7/20
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気導入口を有する側面カバーを有し、送風対象を収容する筐体と、
前記筐体内で前記側面カバーに対向するように配置され、空気を吸入して前記送風対象に向けて送風するファンと、を備えた画像形成装置であって、
前記ファンは、羽根車と、
前記羽根車を覆う第1壁と、前記羽根車を覆う第2壁と、前記送風対象に向けて空気を排出する排気口を有して前記羽根車を囲み、前記第1壁と前記第2壁とを接続する周壁と、を有するケーシングと、を有し、
前記羽根車は、前記第1壁と前記第2壁との間の位置にあり、
前記第2壁は、前記第1壁よりも前記側面カバーに近い位置にあり、
前記第1壁及び前記第2壁の少なくとも一方は、空気を吸入する吸気口を有し、
前記ファンと前記側面カバーとが対向する対向方向から見て、前記外気導入口は、前記吸気口と異なる位置にあ
り、
前記第1壁は前記吸気口を有し、前記第2壁は前記吸気口を有していないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対向方向から見て、前記ケーシングの一部と前記外気導入口とは、重なる位置にある請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外気導入口は、前記吸気口よりも下方に位置している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像が形成される前のシートを前記筐体内で収容するシートトレイと、
前記筐体内で前記シートトレイと前記ファンとの間に位置するフレーム部材と、を備え、
前記フレーム部材は、前記対向方向から見て前記ケーシングと重なる位置にある連通口を有し、
前記連通口は、前記フレーム部材に対して前記シートトレイ側に位置する空間と、前記フレーム部材に対して前記ファン側に位置する空間とを連通させている請求項
1乃至3
のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シートトレイにおける前記フレーム部材と対向するトレイ側壁の上端縁は、前記連通口の上端よりも高い位置にある請求項
4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記筐体内で前記ファンを保持するファン保持部を備え、
前記ファン保持部は、前記対向方向に突出して前記ケーシングの位置決め穴に嵌入する位置決め軸部と、
前記位置決め軸部から離れた位置で前記周壁に当接して前記ケーシングを前記位置決め軸部周りで位置決めする位置決め当接部と、
前記位置決め軸部及び前記位置決め当接部から離れた位置で弾性変形しつつ前記周壁に当接して前記ケーシングを前記位置決め当接部に向けて付勢する付勢部と、を有している請求項1乃至
5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
感光体、現像ローラ及び帯電器を有し、シートに画像を形成する画像形成部を備え、
前記送風対象は、前記感光体、前記現像ローラ及び前記帯電器の少なくとも1つである請求項1乃至
6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
外気導入口を有する側面カバーを有し、送風対象を収容する筐体と、
前記筐体内で前記側面カバーに対向するように配置され、空気を吸入して前記送風対象に向けて送風するファンと、を備えた画像形成装置であって、
前記ファンは、羽根車と、
前記羽根車を覆う第1壁と、前記羽根車を覆う第2壁と、前記送風対象に向けて空気を排出する排気口を有して前記羽根車を囲み、前記第1壁と前記第2壁とを接続する周壁と、を有するケーシングと、を有し、
前記羽根車は、前記第1壁と前記第2壁との間の位置にあり、
前記第2壁は、前記第1壁よりも前記側面カバーに近い位置にあり、
前記第1壁及び前記第2壁の少なくとも一方は、空気を吸入する吸気口を有し、
前記ファンと前記側面カバーとが対向する対向方向から見て、前記外気導入口は、前記吸気口と異なる位置にあり、
前記筐体内で前記ファンを保持するファン保持部を備え、
前記ファン保持部は、前記対向方向に突出して前記ケーシングの位置決め穴に嵌入する位置決め軸部と、
前記位置決め軸部から離れた位置で前記周壁に当接して前記ケーシングを前記位置決め軸部周りで位置決めする位置決め当接部と、
前記位置決め軸部及び前記位置決め当接部から離れた位置で弾性変形しつつ前記周壁に当接して前記ケーシングを前記位置決め当接部に向けて付勢する付勢部と、を有していることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の一例が開示されている。特許文献1の
図2及び
図3に示されているように、この画像形成装置は、筐体及びファンを備えている。
【0003】
筐体は、側面カバーである外装部を有している。外装部は、外気を導入するためのルーバーを有している。筐体は、画像形成ユニットを収容している。ファンは、筐体内で外装部に対向するように配置されている。ファンは、空気を吸入して画像形成ユニットに向けて送風する。
【0004】
より詳しくは、ファンは、羽根車及びケーシングを有している。ケーシングは、羽根車を覆う第1壁と、羽根車を覆う第2壁と、羽根車を囲み第1壁と第2壁とを接続する周壁と、を有している。
【0005】
羽根車は、第1壁と第2壁との間の位置にある。第2壁は、第1壁よりも外装部に近い位置にある。第2壁は、空気を吸入する吸気口を有している。第1壁は、画像形成ユニットに向けて空気を排出する排気口を有している。ファンと外装部とが対向する対向方向から見て、外気導入口は、吸気口の全体と重なる位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の画像形成装置は、ファンの羽根車の回転音が吸気口及びルーバーを介して筐体の外部に漏れ易く、その結果、ファンに起因する騒音を抑制することが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ファンに起因する騒音を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、外気導入口を有する側面カバーを有し、送風対象を収容する筐体と、
前記筐体内で前記側面カバーに対向するように配置され、空気を吸入して前記送風対象に向けて送風するファンと、を備えた画像形成装置であって、
前記ファンは、羽根車と、
前記羽根車を覆う第1壁と、前記羽根車を覆う第2壁と、前記送風対象に向けて空気を排出する排気口を有して前記羽根車を囲み、前記第1壁と前記第2壁とを接続する周壁と、を有するケーシングと、を有し、
前記羽根車は、前記第1壁と前記第2壁との間の位置にあり、
前記第2壁は、前記第1壁よりも前記側面カバーに近い位置にあり、
前記第1壁及び前記第2壁の少なくとも一方は、空気を吸入する吸気口を有し、
前記ファンと前記側面カバーとが対向する対向方向から見て、前記外気導入口は、前記吸気口と異なる位置にあることを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成装置は、対向方向から見て、外気導入口が吸気口と異なる位置にある。この構成により、ファンの羽根車の回転音は、吸気口から漏れたとしても、その漏れた回転音の大部分がケーシングや、側面カバーにおける外気導入口の周辺に遮られ易くなるので、外気導入口を介して筐体の外部に漏れ難くなる。
【0011】
したがって、本発明の画像形成装置は、ファンに起因する騒音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】筐体内における送風ファン、第1排気ファン、第2排気ファン及び送風ダクト等を示す模式斜視図である。
【
図3】画像形成部等を示す部分側面図であって、画像形成部、吸気口、送風ファン及び送風ダクトの位置関係を説明する図である。
【
図4】筐体の前部分を示す部分斜視図であって、前面カバー、プロセスカートリッジ及びシートトレイを取り外した状態を示す図である。
【
図6】フレーム部材の側面図であって、送風ファンを装着する前の状態を示す図である。
【
図7】フレーム部材の部分斜視図であって、送風ファンを装着する前の状態を示す図である。
【
図9】フレーム部材の部分側面図であって、送風ファンを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(実施例)
図1~
図5に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の具体的態様の一例である。画像形成装置1は、電子写真方式によりシートSHに画像を形成するレーザプリンタである。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体2、シートトレイ70及び画像形成部3を備えている。
【0016】
筐体2は、前面カバー2F、排出トレイ2T及び側面カバー80を有する略箱状体である。筐体2は、画像形成部3及びシートトレイ70を収容している。
【0017】
図5に示すように、シートトレイ70は、筐体2内の底部に位置している。シートトレイ70は上方が開放された略箱状体であり、画像が形成される前のシートSHを積層状態で収容している。
図1に示すように、シートトレイ70の前面は、前面カバー2Fと共に画像形成装置1の前面を構成している。
【0018】
画像形成部3は、筐体2内でシートトレイ70よりも上方に位置している。画像形成部3は、具体的構成については後で説明するが、シートトレイ70から搬送されるシートSHに画像を形成する。
【0019】
排出トレイ2Tは、筐体2の上面にある。筐体2は、画像形成部3によって画像が形成されたシートSHを支持する。
【0020】
図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は、全て
図1に対応させて表示する。また、
図1等に示すように、前後方向及び上下方向に直交する感光体軸心方向は、
図3に示すように、画像形成部3の一部を構成する感光体5の軸心が延びる方向である。
【0021】
図1に示すように、側面カバー80は、筐体2における感光体軸心方向の一方に位置し、前後方向及び上下方向に略平板状に延びている。側面カバー80は、画像形成装置1の一方の側面を構成している。
【0022】
なお、筐体2は、
図4に示すように、側面カバー80Mも有している。側面カバー80Mは、筐体2における感光体軸心方向の他方に位置し、前後方向及び上下方向に略平板状に延びている。側面カバー80Mは、画像形成装置1の他方の側面を構成している。
【0023】
図4~
図7に示すように、画像形成装置1は、フレーム部材90を有している。フレーム部材90は、筐体2内における感光体軸心方向の一方に位置している。フレーム部材90は、前後方向及び上下方向に延び、かつ複数の補強壁、リブ、凸部、穴等を有している。
【0024】
本実施例では、フレーム部材90は、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0025】
図5に示すように、フレーム部材90は、側面カバー80に覆われた状態で、側面カバー80を支持している。フレーム部材90は、感光体軸心方向と平行な対向方向DF1において側面カバー80と対向している。
【0026】
なお、画像形成装置1は、
図4に示すように、フレーム部材90Mも有している。フレーム部材90は、筐体2内における感光体軸心方向の他方に位置している。フレーム部材90Mも、前後方向及び上下方向に延び、かつ複数の補強壁、リブ、凸部、穴等を有している。フレーム部材90Mは、側面カバー80Mに覆われた状態で、側面カバー80Mを支持している。
【0027】
フレーム部材90とフレーム部材90Mとは、感光体軸心方向に延びる複数の連結部材によって連結されている。フレーム部材90とフレーム部材90Mとは、シートトレイ70を筐体2から前向きに引き出し可能に支持している。これにより、シートトレイ70は、筐体2から取り外し可能となっている。
【0028】
<画像形成部>
図3に示すように、画像形成部3は、直接転写型のカラー電子写真方式である。画像形成部3は、周知の構成であるプロセスカートリッジ7、転写ベルト6、スキャナ部8及び定着部9等を有している。
【0029】
プロセスカートリッジ7は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーに対応し、前後方向に直列する4つのカートリッジの集合体である。
【0030】
フレーム部材90とフレーム部材90Mとは、プロセスカートリッジ7を筐体2から前向きに引き出し可能に支持している。これにより、
図4に示すように、プロセスカートリッジ7は、筐体2から取り外し可能となっている。
【0031】
図3に示すように、プロセスカートリッジ7は、各色のトナーにそれぞれ対応する4組の感光体5、トナー収容部7D、現像ローラ7A、帯電器7B、クリーニングローラ7C及びイレースレーザ7E等を有している。
【0032】
各感光体5は円筒形状であり、感光体軸心周りに回転可能である。各感光体5の表面には、正帯電性の感光層が形成されている。
【0033】
各トナー収容部7Dは、対応する感光体5よりも上方かつ前方に位置している。各トナー収容部7Dは、対応する色のトナーを内部に収容している。また、各トナー収容部7Dは、それぞれの下端において、対応する現像ローラ7Aを回転可能に支持している。各現像ローラ7Aは、各トナー収容部7D内のトナーを各感光体5に供給する。
【0034】
各帯電器7Bは、対応する感光体5に上方かつ後方から対向している。各帯電器7Bは、感光体軸心方向に延びるグリッド電極により、対応する感光体5の表面を非接触で正帯電させる。
【0035】
各クリーニングローラ7Cは、対応する感光体5に後方から当接している。各クリーニングローラ7Cは、対応する感光体5に付着する余分なトナーを除去する。
【0036】
各イレースレーザ7Eは、対応するクリーニングローラ7Cよりも下方に位置して、対応する感光体5に後方から対向している。各イレースレーザ7Eは、対応する感光体5にレーザ光を照射し、その感光体5の表面に残留する電荷を消去する。
【0037】
転写ベルト6は、各感光体5に下から対向している。転写ベルト6は、シートトレイ70から搬送されるシートSHを各感光体5と共に挟持しながら循環する。
【0038】
スキャナ部8は、プロセスカートリッジ7よりも上方に配置されている。スキャナ部8は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。スキャナ部8は、上方からレーザビームを各感光体5に照射する。
【0039】
定着部9は、プロセスカートリッジ7よりも後方に位置している。定着部9は、加熱ローラ9A及び加圧ローラ9Bを有している。定着部9は、プロセスカートリッジ7の下方を通過したシートSHを加熱ローラ9Aと加圧ローラ9Bとによって挟んで加熱及び加圧する。
【0040】
画像形成部3は、以下のようにして、シートトレイ70から搬送されるシートSHに画像を形成する。各感光体5の表面は、その回転に伴って、各帯電器7Bにより一様に正帯電された後、スキャナ部8から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光体5の表面には、シートSHに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次に、各トナー収容部7Dからトナーが静電潜像に対応して各感光体5の表面に供給される。感光体5の表面上に担持されたトナーは、シートSHに転写される。そして、そのシートSHは、定着部9において加熱及び加圧されて転写された画像が熱定着した後、排出トレイ2Tに排出される。
【0041】
画像形成装置1は、感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7Bやその周辺に溜まる熱や、帯電器7Bで発生するオゾン等を除去するため、以下に説明する構成を備えている。
【0042】
感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7Bは、本発明の「送風対象」の一例である。また、感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7Bの近傍に位置する構成部品、例えば、クリーニングローラ7C及びイレースレーザ7E等も、本発明の「送風対象」の一例に含まれる。
【0043】
<外気導入口、第1導出口及び第2導出口>
図1に示すように、側面カバー80は、外気導入口81、第1導出口82及び第2導出口83を有している。外気導入口81、第1導出口82及び第2導出口83はそれぞれ、縦横格子を有する矩形状の開口であり、感光体軸心方向において側面カバー80を貫通している。
【0044】
第1導出口82は、側面カバー80における後方かつ上方の角部の近傍に位置している。第2導出口83は、側面カバー80における後方かつ下方の角部の近傍に位置している。
【0045】
外気導入口81は、側面カバー80における前方かつ下方の角部の近傍に位置している。
図3に示す外気導入口81は、画像形成部3及び転写ベルト6よりも紙面手前側、すなわち感光体軸心方向の一方に位置しているので、二点鎖線で図示している。外気導入口81は、
図3及び
図5に示すように、画像形成部3から下方に離れた位置にある。
【0046】
<第1排気ファン及び第2排気ファン>
図2に示すように、画像形成装置1は、第1排気ファン82F及び第2排気ファン83Fを備えている。第1排気ファン82F及び第2排気ファン83Fはそれぞれ、感光体軸心方向に延びる回転軸心周りに回転する羽根車を有する軸流ファンである。
【0047】
第1排気ファン82Fは、
図6に示すフレーム部材90の第1排気ファン保持部92に保持されることにより、
図2に示すように、筐体2内で第1導出口82と重なる位置にある。
【0048】
第2排気ファン83Fは、
図6に示すフレーム部材90の第2排気ファン保持部93に保持されることにより、
図2に示すように、筐体2内で第2導出口83と重なる位置にある。
【0049】
第1排気ファン82F及び第2排気ファン83Fは、筐体2内の空気を第1導出口82及び第2導出口83を経由して外部に排出し、筐体2内の後方において負圧領域を発生させる。
【0050】
<送風ファン>
図2、
図3、
図5及び
図7~
図9に示すように、画像形成装置1は、送風ファン10を備えている。送風ファン10は、本発明の「ファン」の一例である。なお、送風ファン10の形状等の説明では、
図5等に示すように送風ファン10がフレーム部材90に組み付けられた状態を基準として、前後方向、上下方向及び感光体軸心方向を用いる。
【0051】
図7及び
図8に示すように、送風ファン10は所謂シロッコファンであり、羽根車16及びケーシング15を有している。また、送風ファン10は、図示しない駆動モータ及び給電配線を有している。
【0052】
図8に示すように、羽根車16は、図示しない駆動モータの駆動軸に固定され、感光体軸心方向と平行な回転軸心X16周りに回転可能である。羽根車16は、複数の羽根を有している。各羽根は、それぞれ回転軸心X16と平行に細長く延び、かつ回転軸心X16を中心とする円筒状に並んでいる。
【0053】
ケーシング15は、第1壁11、第2壁12及び周壁13を有している。第1壁11は略円板形状であり、感光体軸心方向の他方から羽根車16を覆っている。
図7に示すように、第2壁12も略円板形状であり、感光体軸心方向の一方から羽根車16を覆っているとともに、図示しない駆動モータを保持している。つまり、羽根車16は、感光体軸心方向において、第1壁11と第2壁12との間の位置にある。
【0054】
周壁13は、回転軸心X16を中心とする略円筒形状であり、羽根車16を囲んでいる。周壁13における感光体軸心方向の他方の端縁は、第1壁11の外周縁に接続している。周壁13における感光体軸心方向の一方の端縁は、第2壁12の外周縁に接続している。
【0055】
図8に示すように、第1壁11は、吸気口11Hを有している。吸気口11Hは、回転軸心X16を中心とする丸穴である。吸気口11Hは、ケーシング15内で羽根車16の内周側に発生する低圧領域に向けて空気を吸入する。その一方、
図7に示すように、第2壁12は、吸気口を有していない。
【0056】
周壁13は、その前方かつ上方に位置する部分に排気口13Hを有している。排気口13Hは、上向きに突出する角筒形状である。排気口13Hは、ケーシング15内で羽根車16の外周側に発生する高圧領域に溜まった空気を排出する。
【0057】
周壁13は、その前方かつ下方に位置する部分に位置決め穴19を有している。位置決め穴19は、周壁13の外筒面から回転軸心X16の径外方向に突出する凸部を感光体軸心方向において貫通する丸穴である。
【0058】
<ファン保持部>
図5、
図6、
図7及び
図9に示すように、画像形成装置1は、ファン保持部95を備えている。ファン保持部95は、フレーム部材90に一体に形成されている。
【0059】
図5及び
図7に示すように、フレーム部材90は、対向方向DF1において側面カバー80の外気導入口81と対向する部分及びその上方に位置する部分である対向壁95Wを有している。
図6及び
図7に示すように、対向壁95Wは、格子状に交差する複数の補強リブを有していない。
【0060】
ファン保持部95は、対向壁95Wに一体に形成された位置決め軸部99、台座96A、96B、96C、位置決め当接部98、付勢部97及び抜け止め部96D、96Eを有している。
【0061】
位置決め軸部99は、対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に向けて突出する軸である。位置決め軸部99の突出する長さ及び外径は、位置決め穴19に嵌合する大きさに設定されている。
【0062】
台座96Aは、位置決め軸部99よりも上方に離れた位置で対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に向けて突出している。台座96Bは、位置決め軸部99よりも後方に離れた位置で対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に向けて突出している。台座96Cは、位置決め軸部99よりも上方かつ後方に離れた位置で対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に向けて突出している。
【0063】
位置決め当接部98は、台座96Aよりも上方で対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に向けて突出し、かつ上下方向に延びるリブである。
【0064】
付勢部97は、台座96Bの先端縁から感光体軸心方向の一方に向けて細長く突出し、先端が鍵爪状に曲がっている。抜け止め部96Dは、台座96Aの先端縁から感光体軸心方向の一方に向けて細長く突出し、先端が鍵爪状に曲がっている。抜け止め部96Eは、台座96Cの先端縁から感光体軸心方向の一方に向けて細長く突出し、先端が鍵爪状に曲がっている。
【0065】
付勢部97の突出する長さは、付勢部97の先端が周壁13に当接可能なように、抜け止め部96D、96Eの突出する長さよりも短く設定されている。
【0066】
組付工程において作業者が送風ファン10を
図7に示す位置から感光体軸心方向の他方に向けて移動させ、
図9に示すように、位置決め軸部99が位置決め穴19に嵌入する状態とする。
【0067】
すると、
図5に示すように、台座96A、96B、96Cは、第1壁11を対向壁95Wから感光体軸心方向の一方に離れた位置で当て止めて、対向方向DF1においてケーシング15を位置決めする。
【0068】
また、
図5及び
図9に示すように、抜け止め部96D、96Eは、鍵爪が第2壁の外周縁に係合することで、対向方向DF1においてケーシング15を抜け止めする。
【0069】
さらに、
図9に示すように、位置決め当接部98は、位置決め軸部99から上方に離れた位置で周壁13に当接してケーシング15を位置決め軸部99周りで位置決めする。
【0070】
この際、付勢部97は、位置決め軸部99及び位置決め当接部98から後方に離れた位置で弾性変形しつつ周壁13に当接して、ケーシング15を位置決め当接部98に向けて付勢力F1で付勢する。
【0071】
こうして、ファン保持部95は、
図5に示すように、筐体2内で送風ファン10を保持している。送風ファン10は、対向方向DF1において側面カバー80に対向するように配置されている。この状態で、第2壁12は、第1壁11よりも側面カバー80に近い位置にある。第1壁11の吸気口11Hは、側面カバー80とは反対側を向くように開口している。
【0072】
図3及び
図5に示すように、送風ファン10と側面カバー80とが対向する対向方向DF1から見て、外気導入口81は、吸気口11Hと異なる位置にある。より詳しくは、外気導入口81は、吸気口11Hよりも下方に位置しており、吸気口11Hの全体と重なっていない。
【0073】
対向方向DF1から見て、ケーシング15における吸気口11Hよりも下方に位置する一部と外気導入口81とは、重なる位置にある。換言すると、ケーシング15の第2壁12の下端は、外気導入口81の上端よりも下方に位置している。また、
図3に示すように、前後方向における吸気口11Hの位置は、外気導入口81と重なる位置にある。
【0074】
<連通口>
図5に示すように、フレーム部材90の対向壁95Wは、筐体2内でシートトレイ70と送風ファン10との間に位置している。
図4~
図7に示すように、対向壁95Wは、連通口91を有している。
【0075】
図6及び
図7に示すように、連通口91は、対向壁95Wにおける位置決め軸部99、台座96A、96B、96C及び位置決め当接部98に囲まれた領域に位置している。連通口91は、縦横格子を有する矩形状の開口であり、感光体軸心方向において対向壁95Wを貫通している。
【0076】
図3及び
図5に示すように、連通口91の全体は、対向方向DF1から見てケーシング15と重なる位置にある。また、連通口91の大部分は、対向方向DF1から見て吸気口11Hと重なる位置にある。
【0077】
図5に示すように、連通口91は、フレーム部材90に対してシートトレイ70側に位置する空間A2と、フレーム部材90に対して送風ファン10側に位置する空間A1とを連通させている。
【0078】
シートトレイ70におけるフレーム部材90と対向するトレイ側壁71の上端縁71Tは、連通口91の上端91Tよりも高い位置にある。
【0079】
<送風ダクト>
図5、
図6、
図7及び
図9に示すように、画像形成装置1は、送風ダクト94を備えている。送風ダクト94は、フレーム部材90に一体に形成されており、
図5に示すダクトカバー94Bによって感光体軸心方向の一方から覆われている。
【0080】
図5及び
図9に示すように、送風ダクト94の下端は、送風ファン10の排気口13Hに接続している。
図6に示すように、送風ダクト94は、下端から上向きに延びた後に向きを変えて、後向きに延びている。
【0081】
図4及び
図6に示すように、送風ダクト94は、4つのダクト出口94Hを有している。各ダクト出口94Hは、送風ダクト94における後向きに延びる部分において前後方向に並び、感光体軸心方向においてフレーム部材90を貫通している。
【0082】
図2及び
図3に示すように、プロセスカートリッジ7は、4本の流路7Rを有している。各流路7Rは、対応する帯電器7Bよりも前方かつ上方の位置で感光体軸心方向に延びている。各ダクト出口94Hは、各流路7Rにおける感光体軸心方向の一方の端部に連通している。
【0083】
図5に示すように、送風ファン10は、図示しない駆動モータが作動して羽根車16が回転することにより、外部から外気導入口81を経由して筐体2内の空間A1に導入された空気を吸気口11Hからケーシング15内に吸入する。
【0084】
この際、
図5に一例として示す矢印R1、及び
図7に一例として示す矢印R2、R3のように、外気導入口81を経由して筐体2内の空間A1に導入された空気は、ケーシング15の第2壁12及び周壁13を迂回しながら、位置決め軸部99、台座96A、96B、96C、位置決め当接部98、付勢部97及び抜け止め部96D、96Eの間の空間を進むことにより、対向壁95Wと第1壁11との間の空間にスムーズに到達できる。特に、ケーシング15の第2壁12の下端が外気導入口81と近いことから、外気導入口81から導入された空気は、ケーシング15の下方を主に通るようにして、吸気口11Hに到達する。そして、送風ファン10は、その空気を吸気口11Hからケーシング15内に吸入する。
【0085】
また、
図5に示すように、送風ファン10は、筐体2内の空間A2から連通口91を経由して空間A1に導入された空気を吸気口11Hからケーシング15内に吸入する。
【0086】
この際、シートトレイ70におけるシートSHを収容する凹部から連通口91に向かって流れる空気は、シートトレイ70のトレイ側壁71の上端縁71Tを迂回して、連通口91に到達する。
【0087】
そして、送風ファン10は、排気口13Hから送風対象である感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7B等に向けて空気を排出する。その排出された空気は、送風ダクト94に案内され、4つのダクト出口94Hを経由して4本の流路7Rに流入する。
【0088】
各流路7Rに流入した空気は、各帯電器7B、各感光体5及び各現像ローラ7A等の周辺に溜まる熱やオゾンを除去するように流れ、さらに、第1排気ファン82Fの作動によって筐体2内の後方において発生した負圧領域に引き寄せられるように流れ、粉塵フィルタ等を通過した後に、第1導出口82から筐体2の外部に排出される。
【0089】
<作用効果>
実施例の画像形成装置1は、
図3及び
図5に示すように、対向方向DF1から見て、外気導入口81が吸気口11Hと異なる位置にある。この構成により、送風ファン10の羽根車16の回転音が吸気口11Hから漏れたとしても、その漏れた回転音の大部分は、ケーシング15の第2壁12及び周壁13や、側面カバー80における外気導入口81の周辺に遮られ易くなるので、外気導入口81を介して筐体2の外部に漏れ難くなる。
【0090】
したがって、実施例の画像形成装置1は、送風ファン10に起因する騒音を抑制できる。
【0091】
また、この画像形成装置1において、対向方向DF1から見て、ケーシング15における吸気口11Hよりも下方に位置する一部と外気導入口81とは、重なる位置にある。この構成により、この画像形成装置1は、外気導入口81から吸気口11Hに至る経路長が長くなり過ぎることを抑制できる。
【0092】
さらに、この画像形成装置1において、外気導入口81は、吸気口11Hよりも下方に位置している。この構成により、この画像形成装置1は、筐体2の外部から外気導入口81を介して筐体2内に侵入した空気が上向きに進んで吸気口11Hに到達するときに、空気に含まれる塵や埃等の異物が上向きに進む空気に追従することを重力によって抑制できる。その結果、この画像形成装置1は、外気導入口81から侵入した空気に含まれる異物を筐体2の底部に落下させ易くなり、異物が吸気口11Hに到達することを抑制できる。
【0093】
また、この画像形成装置1において、
図5に示すように、第1壁11は吸気口11Hを有し、第2壁12は吸気口11Hを有していない。この構成により、送風ファン10の羽根車16の回転音が吸気口11Hから漏れたとしても、その漏れた回転音は、外気導入口81に到達するためには周壁13を必ず迂回することになる。このため、その漏れた回転音の大部分は、ケーシング15の第2壁12及び周壁13や、側面カバー80における外気導入口81の周辺に一層遮られ易くなるので、外気導入口81を介して筐体2の外部に一層漏れ難くなる。その結果、この画像形成装置1は、送風ファン10に起因する騒音を一層抑制できる。
【0094】
さらに、この画像形成装置1において、
図3及び
図5に示すように、フレーム部材90連通口91は、対向方向DF1から見てケーシング15と重なる位置にあって、フレーム部材90に対してシートトレイ70側に位置する空間A2と、フレーム部材90に対して送風ファン10側に位置する空間A1とを連通させている。この構成により、送風ファン10は、空間A2からも連通口91を介して空気を吸気できるので、送風対象である感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7B等に向けて効率良く送風できる。
【0095】
また、この画像形成装置1において、
図5に示すように、シートトレイ70のトレイ側壁71の上端縁71Tは、連通口91の上端91Tよりも高い位置にある。この構成により、シートトレイ70に収容されたシートSHに付着する紙粉等の粉塵は、空間A2から連通口91を向けて流れる空気と共に移動しようとしてもトレイ側壁71に遮られ易くなる。その結果、この画像形成装置1は、シートSHに付着する粉塵が連通口91を経由して吸気口11Hに到達することを抑制できる。
【0096】
さらに、この画像形成装置1において、
図7及び
図9に示すように、ファン保持部95の付勢部97は、位置決め軸部99及び位置決め当接部98から離れた位置で弾性変形しつつ周壁13に当接してケーシング15を位置決め当接部98に向けて付勢している。このような付勢部97により、この画像形成装置1は、ケーシング15のがたつきを抑制できる。
【0097】
また、画像形成装置1において、
図3に示すように、送風対象は、感光体5、現像ローラ7A及び帯電器7B等である。この構成により、この画像形成装置1は、送風ファン10によって、画像形成部3における熱が溜まり易い領域に送風して徐熱したり、オゾンが滞留し易い領域に送風してオゾンを除去したりすることで、画像形成部3による画像形成動作を安定して実行できる。
【0098】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0099】
実施例において、第1壁11は吸気口11Hを有し、第2壁12は吸気口11Hを有していないが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1壁及び第2壁が吸気口を有していてもよいし、第2壁が吸気口を有し、第1壁は吸気口を有していなくてもよい。
【0100】
実施例では、ファン保持部95がフレーム部材90と一体であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ファン保持部の少なくとも一部がフレーム部材と別部材であってもよく、付勢部が金属バネであってもよい。
【0101】
実施例では、フレーム部材90の対向壁95Wが連通口91を有し、送風ファン10は、シートトレイ70におけるシートSHを収容する凹部から連通口91を経由して空間A1に導入された空気を吸気口11Hからケーシング15内に吸入するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、対向壁95Wは、対向方向DF1から見て、吸入口11Hと重なる領域、又はケーシング15と重なる領域に貫通口を有さず、送風ファン10は、シートSHを収容する凹部から空気を吸入しなくてもよい。すなわち、送風ファン10は、外気導入口81からの外気を吸入するのみでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は例えば、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
1…画像形成装置、81…外気導入口、80…側面カバー
5、7A、7B…送風対象(5…感光体、7A…現像ローラ、7B…帯電器)
2…筐体、10…ファン(送風ファン)、16…羽根車
11…第1壁、12…第2壁、13H…排気口、13…周壁
15…ケーシング、11H…吸気口、DF1…対向方向
70…シートトレイ、90…フレーム部材、91…連通口
A2…フレーム部材に対してシートトレイ側に位置する空間
A1…フレーム部材に対してファン側に位置する空間
71…トレイ側壁、71T…トレイ側壁の上端縁、91T…連通口の上端
95…ファン保持部、19…位置決め穴、99…位置決め軸部
98…位置決め当接部、97…付勢部、SH…シート、3…画像形成部