(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/48 20060101AFI20241022BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H04N1/48
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2021023662
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚野 俊樹
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213024(JP,A)
【文献】特開2017-103616(JP,A)
【文献】特開2018-082303(JP,A)
【文献】特開2014-093574(JP,A)
【文献】特開2020-183073(JP,A)
【文献】特開2020-107982(JP,A)
【文献】特開2010-066987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52- 2/525
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00-21/18
B41J 29/00-29/70
G06T 1/00- 1/40
G06T 3/00- 5/50
G03G 13/01
G03G 15/01
G06F 3/09- 3/12
H04N 1/00
H04N 1/40- 1/409
H04N 1/46- 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページで構成される原稿データのうち、複数の前記ページに存在する共通部を抽出する共通部抽出部と、
前記原稿データにおける前記共通部の色と、前記原稿データの前記共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色と、を対応付ける対応付け部と、
前記色の対応に基づいて、前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記共通部用の色変換パラメーターを生成する色変換パラメーター生成部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記色変換パラメーター生成部は、前記色変換パラメーターを、前記原稿データにおける前記共通部の位置に埋め込み、前記色変換パラメーターが埋め込まれた前記原稿データを、色変換を行う画像処理部に出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記色変換パラメーター生成部は、前記色変換パラメーター内の設定に関する情報を、前記原稿データにおける前記設定の適用位置に埋め込み、前記設定に関する情報と、前記色変換パラメーターとを、色変換を行う画像処理部に出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記色変換パラメーター生成部は、前記色変換パラメーターと、前記原稿データにおける前記色変換パラメーターの埋め込み先の位置の情報と、を、前記色変換パラメーターを用いて色変換を行う画像処理部に出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記色変換パラメーターを用いて色変換する画像処理部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記色変換パラメーターを前記原稿データに埋め込む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記色変換パラメーターを用いて色変換する画像処理部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記色変換パラメーターを用いて前記共通部に含まれる色の色変換を行う
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記色変換パラメーター生成部は、前記色変換パラメーターを用いた色変換、及び、前記原稿データのラスタライズを行い、前記ラスタライズされた原稿データを、前記原稿データに基づく印刷を行う画像形成部に出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記共通部抽出部は、同一の前記原稿データの色に対して異なる前記読取画像の色が対応付けられている領域が、異なる前記ページ間において存在する場合に、前記領域を固有部として抽出し、
前記
色変換パラメーター生成部は、前記色の対応に基づいて、前記固有部に適用する第2の色変換パラメーターを生成する
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
表示部に表示させる画面を構成する画面データを生成する画面データ生成部をさらに備え、
前記画面データ生成部は、前記共通部の情報を報知するとともに、前記原稿データにおける前記共通部の位置の変更を行うことを可能とする共通部報知画面を構成する画面データを生成する
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
表示部に表示させる画面を構成する画面データを生成する画面データ生成部をさらに備え、
前記画面データ生成部は、前記原稿データにおける前記固有部の位置の変更を行える固有部選択画面を構成する画面データを生成する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
表示部に表示させる画面を構成する画面データを生成する画面データ生成部をさらに備え、
前記画面データ生成部は、前記共通部と、前記共通部以外の領域との両方に同一の色が存在する場合における、優先して色再現を行うべき色を含む領域を選択可能とする優先度決定画面を構成する画面データを生成する
請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記色変換パラメーター生成部は、前記色変換パラメーターの生成において、前記色変換パラメーターの新規作成、又は、既存の前記色変換パラメーターの修正を行う
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
複数のページで構成される原稿データのうち、複数の前記ページに存在する共通部の色と前記原稿データの前記共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色とを対応付け、前記共通部の色の対応に基づいて前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記共通部用の色変換パラメーターと、
前記原稿データのうち、前記ページに存在する非共通部の色と前記原稿データの前記非共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色とを対応付け、前記非共通部の色の対応に基づいて前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記非共通部用の色変換パラメーターと、を有する
情報処理装置。
【請求項14】
複数のページで構成される原稿データのうち、複数の前記ページに存在する共通部を抽出する共通部抽出部と、
前記原稿データにおける前記共通部の色と、前記原稿データの前記共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色と、を対応付ける対応付け部と、
前記色の対応に基づいて、前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記共通部用の色変換パラメーターを生成する色変換パラメーター生成部と、を備える
情報処理システム。
【請求項15】
複数のページで構成される原稿データのうち、複数の前記ページに存在する共通部を抽出する手順と、
前記原稿データにおける前記共通部の色と、前記原稿データの前記共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色と、を対応付ける手順と、
前記色の対応に基づいて、前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記共通部用の色変換パラメーターを生成する手順と、を含む
情報処理方法。
【請求項16】
複数のページで構成される原稿データのうち、複数の前記ページに存在する共通部を抽出する手順と、
前記原稿データにおける前記共通部の色と、前記原稿データの前記共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色と、を対応付ける手順と、
前記色の対応に基づいて、前記原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための前記共通部用の色変換パラメーターを生成する手順と、をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリントショップ等の印刷会社では、原稿画像の印刷を顧客から受注する際に、顧客より、原稿画像のデータである原稿データとともに、目標とする色見本としての出力物(以下、「目標出力物」と称する)を受け取ることがある。この場合、印刷会社の担当者は、画像形成装置からの出力物における色を、目標出力物における色に合わせるために、目標出力物をスキャナー等の画像読取装置で読み取ることを行う。そして、担当者は、画像読取装置で読み取られた読取画像を用いて、原稿データへの色合わせを行う。
【0003】
原稿データへの色合わせは、例えば、原稿データを印刷用の画像データに変換する際に参照される色変換パラメーターを、修正すること等によって行われる。色変換パラメーターとしては、例えば、ICC(International Color Consortium)プロファイル等が用いられる。
【0004】
ICCプロファイルでは、CMYK表色系などのデバイス依存の色空間からL*a*b*表色系などのデバイス非依存の色空間への変換(CMYK-L*a*b*)等が定義されている。
【0005】
ところが、原稿データが複数ページで構成される場合、ページ間での原稿画像の色は同じであるにもかかわらず、目標出力物の読取画像においては、ページ間で色が異なっている場合がある。このような差は、画像形成装置の変動(ページ内ムラ、ページ間ムラ)等に起因して生じる。
【0006】
この問題を解決する技術として、特許文献1には、複数の目標出力物の読取画像から、複数の目標出力物の色再現に共通して利用できる平均的な1つのターゲットプロファイルを作成することが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いた場合、複数のページにおいて異なる画像が存在する場合にも、平均化されたターゲットプロファイルを用いた印刷が行われることにより、画像形成装置からの出力物の色も平均化されてしまう。
【0007】
特許文献2には、印刷画像データの複数のページ間で色データが同じであっても、目標出力物のスキャン画像の複数のページの色データにおいて、色データが異なる場所がある場合に、目標出力物のページごとに色変換テーブルの修正を行う技術が記載されている。特許文献2に記載の技術によれば、複数のページにおいて異なる画像が存在する場合において、画像形成装置からの出力物の色も平均化されてしまう現象が発生してしまうことを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-048900号公報
【文献】特開2019-213024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、複数ページよりなる原稿データにおいては、例えば、ヘッダー部分や背景部分、企業や商品を示すロゴなどの、各ページに共通して存在する部分(以下、「共通部」とも称する)がある場合がある。そして、共通部における色は、ページが異なっていても同じ色が再現されることが求められる。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、ページ毎に色変換テーブルが修正されてしまうため、同じ色再現が求められる共通部の色が、ページによって異なる色で再現されてしまうことが起こり得る。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、ページに関わらず同じ色再現が求められる共通部を含む原稿データの出力物において、期待される色再現が実現されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の情報処理装置は、複数のページで構成される原稿データのうち、複数のページに存在する共通部を抽出する共通部抽出部と、原稿データにおける共通部の色と、原稿データの共通部の色に対応する目標出力物を読み取った読取画像の色と、を対応付ける対応付け部と、色の対応に基づいて、原稿データの色を画像形成部が記録材に形成する画像の色に変換するための共通部用の色変換パラメーターを生成する色変換パラメーター生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の少なくとも一態様によれば、ページに関わらず同じ色再現が求められる共通部含む原稿データの出力物において、期待される色再現が実現されるようになる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図2】従来のICCプロファイル生成の手順の例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の概要を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る対応付け部による原稿データと読取画像との対応付け処理の例を示す表である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る共通部抽出部による非共通部情報抽出処理の例を示す表である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るICCプロファイル生成部によるICCプロファイルの生成例を示す表である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る共通部報知画面の構成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る非共通部選択画面の構成例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る色取得ページ選択画面の構成例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る優先度決定画面の構成例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る特色テーブルによる色変換パラメーターの定義の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
<画像形成システムの全体構成>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す画像形成システム100は、画像形成装置1と、情報処理装置2と、を含む。画像形成装置1及び情報処理装置2は、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、イーサネット(登録商標)などの規格に準拠したLAN(Local Area Network)等の通信回線である。
【0017】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置1は、情報処理装置2から、原稿データ及び印刷設定を含む印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブに含まれる印刷設定に基づいて原稿データの画像を用紙に形成し、画像が形成された用紙(記録材の一例:以下、「出力物」とも称する)を出力する。画像形成装置1は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の色を用いて、用紙に画像を形成する。
【0018】
なお、画像形成装置1は、電子写真方式プリンター、インクジェットプリンター、又はオフセット印刷機などでもよく、印刷の形式は問わない。また、画像形成装置1は、印刷処理、コピー機能、スキャン機能などの複数の機能を有する複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)であってもよい。
【0019】
画像形成装置1は、通信I/F(Interface)部11と、制御部12と、記憶部13と、操作表示部14と、画像読取部15と、画像処理部16と、画像形成部17と、を含む。
【0020】
通信I/F部11は、例えばNIC(Network Interface Card)で構成され、ネットワークNを介して接続される情報処理装置2との間で行われる、各種情報又はデータの送受信動作を制御する。
【0021】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)120と、ROM(Read Only Memory)121と、RAM(Random Access Memory)122と、を含む。
【0022】
ROM121には、本実施形態の画像形成装置1が備える各部の各機能の実現を可能とするプログラム等が格納される。RAM122は、CPU120の作業領域として使用され、RAM122には、CPU120による演算処理の途中に発生した変数やパラメーターなどが一時的に書き込まれる。CPU120は、ROM121から読み出したプログラムをRAM122に展開して実行することにより、画像形成装置1が備える各部を動作させる。
【0023】
記憶部13は、例えば、HDD(Hard disk drive)、SSD(SolD State Drive)等で構成される記憶装置である。記憶部13には、例えば、原稿データ131等が記憶される。なお、ROM121に格納されるプログラムは、記憶部13に記憶されてもよい。つまり、ROM121又は記憶部13は、画像形成装置1を動作させるコンピューターによって実行されるプログラムを格納した、コンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0024】
操作表示部14は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等で構成される表示部と、操作入力部としてのタッチセンサとが一体に形成されたタッチパネルである。操作表示部14は、タッチセンサに入力されたユーザーによる操作の内容に応じた操作信号を生成し、該操作信号を制御部12に供給する。また、操作表示部14は、印刷設定用の画面等を表示する。なお、操作入力部と表示部とは、それぞれ個別に設けられてもよい。
【0025】
画像読取部15は、発光部材と複数の光電変換素子が用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)に所定の間隔で配置されたラインセンサ、又は、光電変換素子がマトリクス状に配置されたイメージセンサ等で構成される。ラインセンサ又はイメージセンサには、CCD(Charge Coupled Device)型のセンサやCMOS(Complementary Metal OxDe Semiconductor)型(MOS型を含む)のセンサなどを使用できる。
【0026】
画像読取部15は、目標出力物に含まれる各色をそれぞれ分光的に測定し、測定値にデータ処理を施すことにより、読取画像を生成する。画像読取部15による測色値は、分光反射率(例えばRGB)の値、国際照明委員会(CIE)で定めるXYZやL*a*b*等のデバイスに依存しない表色系の値で表される。本実施形態では、画像読取部15による測色値がRGB値で示される場合を例に挙げて説明する。
【0027】
なお、画像読取部15は、画像形成装置1に外付けされるタイプのスキャナーであってもよく、インライン(用紙搬送路)に設置された自動取得型スキャナーでもよい。もしくは、デジタルスチルカメラ等の撮像装置であってもよい。
【0028】
画像処理部16は、情報処理装置2から送信された印刷ジョブに含まれる原稿データに対して、色変換、スクリーニング、ラスタライズ(Raster Image Processer)等の各種画像処理を行う。画像処理部16による色変換は、情報処理装置2から送信された色変換パラメーターを用いて行われる。本実施形態では、色変換パラメーターとして、ICCプロファイルのCMYKターゲット(ソース)プロファイルを用いる例を挙げる。なお、原稿データの色がRGB値で表現されている場合には、RGBソースプロファイルを用いることができる。
【0029】
画像形成部17は、画像処理部16によって画像処理が施された原稿データに基づいて、画像を用紙に形成し、画像が形成された用紙を出力物として出力する。
【0030】
[情報処理装置の構成]
次に、同じく
図1を参照して、情報処理装置2の制御系の構成について説明する。情報処理装置2は、例えば、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピューターで構成され、色変換パラメーターの一例としてのICCプロファイル等の各種情報を扱う。情報処理装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信I/F部23と、原稿データ入力部24と、読取画像入力部25と、対応付け部26と、共通部抽出部27と、ICCプロファイル生成部28と、画面データ生成部29と、を含む。
【0031】
制御部12は、CPU210と、ROM211と、RAM212と、を含む。ROM211には、本実施形態の情報処理装置2が備える各部の各機能の実現を可能とするプログラム等が格納される。RAM212は、CPU210の作業領域として使用され、CPU210による演算処理の途中に発生した変数やパラメーターなどが一時的に書き込まれる。CPU210は、ROM211から読み出したプログラムをRAM212に展開して実行することにより、情報処理装置2が備える各部を動作させる。
【0032】
記憶部22は、例えば、HDD、SSD等で構成される記憶装置である。記憶部22には、例えば、スキャナプロファイル221等が記憶される。スキャナプロファイル221は、RGB値とL*a*b*値との対応を示すLUT(Look Up Table)である。スキャナプロファイル221は、後述するICCプロファイル生成部28によって参照される。
【0033】
なお、ROM211に格納されるプログラムは、記憶部22に記憶されてもよい。つまり、ROM211又は記憶部22は、情報処理装置2を動作させるコンピューターによって実行されるプログラムを格納した、コンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0034】
通信I/F部23は、例えばNIC等で構成され、ネットワークNを介して接続される画像形成装置1との間で行われる、各種情報又はデータの送受信動作を制御する。例えば、通信I/F部23は、画像形成装置1から送信された原稿データ131を受信したり、ICCプロファイル生成部28で生成されたICCプロファイルや、画面データ生成部29で生成された画面データなどを、画像形成装置1に送信したりする。
【0035】
原稿データ入力部24は、画像形成装置1から送信された原稿データ131の入力を受け付けて、該原稿データ131を対応付け部26に供給する。なお、原稿データ入力部24は、画像形成装置1又は不図示のサーバー等に記憶された原稿データ131の中から、ユーザーによって選択された所定の原稿データ131を取得してもよい。
【0036】
読取画像入力部25は、画像形成装置1から送信された、目標出力物の読取画像を取得し、該読取画像を対応付け部26に供給する。目標出力物は、原稿データを印刷した出力物であり、目標の色(色合わせされるべき色)が再現された出力物(色見本)である。
【0037】
対応付け部26は、原稿データ及び読取画像のそれぞれからエッジや線などの特徴情報を抽出し、該特情情報に基づいて、原稿データ131と読取画像との位置合わせを行う。そして、位置合わせが行われた位置における原稿データ131の色と読取画像の色とを対応付ける。
【0038】
共通部抽出部27は、対応付け部26による原稿データ131と読取画像との対応付けに基づいて、原稿データ131の複数のページにおいて共通して存在する共通部の情報と、非共通部の情報と、その他領域の情報と、を抽出する。
【0039】
共通部は、2枚のページを重ねてその差分をとった場合に差が生じない領域を指し、共通部には、例えば、ヘッダー部分やロゴ部分、背景の部分などがある。非共通部(固有部の一例)は、同じ入力値(入力色)に対して、異なる出力値が対応付けられることが求められる領域である。すなわち、ページに応じた色再現が求められる領域である。その他領域は、共通部や非共通部で使用されていない色が使用されている領域である。つまり、原稿データの他のページとの対応関係等を考慮せずに色再現を行ってもよい領域である。
【0040】
ICCプロファイル生成部28(色変換パラメーター生成部の一例)は、共通部抽出部27によって抽出された情報に基づいて、ICCプロファイルを生成する。本実施形態では、ICCプロファイル生成部28は、ICCプロファイルとして、共通部に適用する共通部用ICCプロファイル(色変換パラメーターの一例)、非共通部に適用する非共通部用ICCプロファイル(第2の色変換パラメーターの一例)、及び、その他領域に適用するその他用ICCプロファイルを生成する。
【0041】
なお、ICCプロファイル生成部28は、ICCプロファイルが既に存在する場合には、対応付け部26による原稿データ131及び読取画像の対応付けの情報に基づいて、ICCプロファイルを修正する。既存のICCプロファイルは、画像形成装置1又は情報処理装置2内に記憶されていてもよく、クラウド等を介して提供される色合わせシステム内にあってもよい。
【0042】
一方、既存のICCプロファイルが存在しない場合には、ICCプロファイル生成部28は、新たにICCプロファイルを作成する。以下の説明においては、修正及び新規作成の両方を含めて「生成」という表現を使用する。そして、ICCプロファイル生成部28は、生成したICCプロファイルを、通信I/F部23を介して画像形成装置1に送信(出力)する。
【0043】
画面データ生成部29は、画像形成装置1の操作表示部14又は情報処理装置2の表示部(図示略)に表示させる画面を構成する画面データを生成して、該画面データを、通信I/F部23を介して画像形成装置1に送信(出力)する。画面データが画面データを生成する画面には、後述する共通部報知画面Sc1(
図8参照)、非共通部選択画面Sc2(
図9参照)、色取得ページ選択画面Sc3(
図10参照)、優先度決定画面Sc4(
図11参照)等がある。これらの各画面については、後述の各図を参照して詳述する。
【0044】
なお、
図1には、対応付け部26、共通部抽出部27、ICCプロファイル生成部28及び画面データ生成部29が、情報処理装置2内に設けられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。これらの各部は、画像形成装置1内に設けられてもよい。
【0045】
<ICCプロファイル生成の仕組み>
次に、
図2を参照して、従来のICCプロファイルが生成される仕組みについて説明する。
図2は、従来のICCプロファイル生成の手順の例を示す図である。
【0046】
まず、ICCプロファイルを生成する情報処理装置は、原稿データ131より色(CMYK値)を抽出し、目標出力物の読取画像から色(RGB値)を抽出する。次いで、情報処理装置は、読取画像から抽出したRGB値を、スキャナプロファイルを用いて、デバイス非依存の測色値に変換する。デバイス非依存の測色値には、例えば、L*a*b*値やXYZ値などがあるが、ここではL*a*b*値に変換する例を挙げる。
【0047】
次いで、情報処理装置は、原稿データから抽出したCMYK値と、読取画像から抽出したRGB値を変換したL*a*b*値(測色値)とを対応付けて、CMYK-L*a*b*テーブルを生成する。原稿データから抽出したCMYK値と、読取画像の測色値のL*a*b*との対応付けは、例えば、原稿データ及び読取画像における同じ位置にある色同士を対応付けることにより行われる。原稿データと読取画像との位置合わせは、例えば、原稿データ及び読取画像のそれぞれから抽出したエッジ等の特徴情報を用いて行われる。
【0048】
なお、原稿データと読取画像との位置合わせは、原稿データから抽出したCMYK値と、読取画像から抽出したRGB値とを用いて行われてもよい。また、原稿データの色がRGB値で構成される場合もあり、この場合、読取画像との位置合わせは、原稿データから抽出したRGB値と、読取画像から抽出したRGB値又は測定値のL*a*b*値とを用いて行われる。
【0049】
次いで、情報処理装置は、生成したCMYK-L*a*b*テーブルから得られる情報に基づいて、ICCプロファイルを生成(作成又は修正)する。
【0050】
<情報処理装置による情報処理方法の概要>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置2による情報処理方法の概要について説明する。
図3は、情報処理装置2による情報処理方法の概要を示す説明図である。
【0051】
図3(a)の左側には、1ページ目の原稿データPd1と、2ページ目の原稿データPd2と、3ページ目の原稿データPd3とを示す。
図3(a)の右側には、1ページ目の目標出力物の読取画像Pr1と、2ページ目の読取画像Pr2と、3ページ目の読取画像Pr3と、を示す。
【0052】
1ページ目の原稿データPd1は、向日葵の画像Pd11と、「ひまわり」という文字を含むヘッダーPd12と、「K社」という文字及びマークよりなるロゴPd13と、背景Pd14と、で構成される。
【0053】
2ページ目の原稿データPd2は、桜の画像Pd21と、「さくら」という文字を含むヘッダーPd22と、ロゴPd23と、背景Pd24と、で構成される。3ページ目の原稿データPd3は、紫陽花の画像Pd31と、「あじさい」という文字を含むヘッダーPd32と、ロゴPd33と、背景Pd34と、で構成される。
【0054】
本実施形態では、情報処理装置2のICCプロファイル生成部28は、各ページに応じた色再現が求められる非共通部に対しては、非共通部用ICCプロファイルを生成する。
図3に示す例では、非共通部は、1ページ目の向日葵の画像Pd11、2ページ目の桜の画像Pd21、3ページ目の紫陽花の画像Pd31である。ICCプロファイル生成部28は、1ページ目には1P用ICCプロファイルPfi1を生成し、2ページ目には2P用ICCプロファイルPfi2を生成し、3ページ目には3P用ICCプロファイルPfi3を生成する。
【0055】
また、ICCプロファイル生成部28は、原稿データ131の複数のページにおいて共通して存在する共通部に対しては、共通部用ICCプロファイルを生成する。
図3に示す例では、共通部は、「ひまわり」の文字を含むヘッダーPd12、「さくら」の文字を含むヘッダーPd22、「あじさい」の文字を含むヘッダーPd32、ロゴPd13~Pd33、背景Pd14~Pd34である。ICCプロファイル生成部28は、これらの共通部に適用するICCプロファイルとして、共通部用ICCプロファイルPfcを生成する。
【0056】
そして、
図3(b)に示すように、ICCプロファイル生成部28は、生成した共通部用ICCプロファイルPfcを、共通部を有する各ページにおける共通部の領域に、埋め込みプロファイルの形式で埋め込む。埋め込みプロファイルは、PDF等よりなる原稿データ131に、ICCプロファイルをバイナリデータとして直接埋め込む技術である。
図3には示していないが、ICCプロファイル生成部28は、非共通部用ICCプロファイルPfi1、Pfi2、Pfi3も、原稿データ131における該当する箇所に、埋め込みプロファイルとして埋め込む。
【0057】
そして、ICCプロファイル生成部28は、ICCプロファイル(共通部用ICCプロファイルPfc及び非共通部用ICCプロファイルPfi1、Pfi2、Pfi3)が埋め込まれた原稿データ131を、通信I/F部23(
図1参照)を介して、画像形成装置1に送信する。そして、画像形成装置1の画像処理部16は、ICCプロファイルが埋め込まれた原稿データ131を用いて、原稿データ131に含まれる色を色変換してラスタライズする。画像形成部17は、ラスタライズされた原稿データ131に基づく画像を用紙に印刷して出力物として出力する。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、画像形成装置1からの出力物において、ICCプロファイルによって定義された色が、該色が適用されるべき位置において再現されるようになる。
【0059】
なお、ICCプロファイル生成部28は、ICCプロファイルを原稿データ131に埋め込むのではなく、ICCプロファイル、及び、ICCプロファイルに設定された各色が適用される位置の情報を、画像形成装置1に送信してもよい。この場合、ICCプロファイルに設定された各名の情報を原稿データ131に埋め込む処理は、画像形成装置1によって行われる。なお、ICCプロファイル生成部28は、共通部用ICCプロファイルPfcは原稿データに埋め込み、非共通部用ICCプロファイルPfi1~Pfi3は、原稿データに埋め込むべき位置の情報とともに画像形成装置1に出力する、等の制御を行ってもよい。
【0060】
あるいは、ICCプロファイル生成部28が、ICCプロファイルに基づく原稿データ131のラスタライズ処理までを行ってもよい。この場合、画像形成装置1の画像形成部17は、ラスタライズされた原稿データ131を印刷すればよい。
【0061】
ところで、共通部抽出部27が抽出した共通部の情報(位置や大きさなど)は、ユーザーが認識している共通部と異なっていることも想定される。したがって、本実施形態では、情報処理装置2は、情報処理装置2の表示部(図示略)や画像形成装置1の操作表示部14に共通部報知画面Sc1(
図8参照)を表示させ、該画面を介して、共通部の抽出結果をユーザーに報知する。ユーザーは、共通部報知画面Sc1の表示内容を確認することにより、共通部として抽出された画像を確認し、共通部を選択し直すこともできる。共通部報知画面Sc1については、後述の
図8を参照して詳述する。
【0062】
また、共通部は原稿データ131の複数のページに渡って存在するため、共通部に適用する色は、共通部を有するそれぞれのページから抽出することが可能である。つまり、共有部を有するどのページから抽出されてもよい。したがって、本実施形態では、情報処理装置2は、情報処理装置2の表示部(図示略)や画像形成装置1の操作表示部14に、色取得ページ選択画面Sc3(
図10参照)を表示させ、該画面を介して、ユーザーに、共通部に適用したい色を有するページを選択させる。色取得ページ選択画面Sc3については、後述の
図10を参照して詳述する。
【0063】
<対応付け部による原稿データと読取画像との対応付け処理>
次に、
図4を参照して、対応付け部26による原稿データ131と読取画像との対応付け処理の例について説明する。
図4は、対応付け部26による原稿データ131と読取画像との対応付け処理の例を示す表である。
【0064】
図4には、原稿データ131から抽出されたCMYK値と、読取画像の測定値であるL*a*b*値との対応情報が、原稿データ131の各ページから抽出された各特徴情報に対応付けて示されている。
【0065】
例えば、ページ“1”の位置“(x1,y1)”にある特徴情報“f1-1”におけるCMYK値は、“22,14,11,0”であり、L*a*b*値は“95,-1.86,-1.1”であることが示されている。また、ページ“1”の位置“(x15,y25)”にある特徴情報“f1-2”におけるCMYK値は、“36,25,23,0”であり、L*a*b*値は“91.01,-3.43,-0.69”であることが示されている。
【0066】
図4の表に示されるように、対応付け部26は、原稿データ131と読取画像との対応付けを、原稿データ131の各ページから抽出された各特徴情報を対象として行う。
【0067】
<共通部抽出部による非共通部情報抽出処理>
次に、
図5を参照して、共通部抽出部27による非共通部情報抽出処理の例について説明する。
図5は、共通部抽出部27による非共通部情報抽出処理の例を示す表である。
【0068】
図5に示す表の構成は、
図4に示した表の構成と同一である。
図5(a)に示す例では、CMYK値の“22,14,11,0”に対して、ページ“1”の特徴情報“f1-1”においては、L*a*b*値の“95,-1.86,-1.1”が対応づけられていることが示されている。一方、
図5(b)に示す例では、ページ“3”の特徴情報“f3-1”においては、
図5(a)に示したCMYK値と同じCMYK値(“22,14,11,0”)に対して、L*a*b*値の“90,-1.51,-0.8”が対応づけられていることが示されている。
【0069】
この場合、共通部抽出部27は、ページ“1”の特徴情報“f1-1”及びページ“3”の特徴情報“f3-1”間において、色の矛盾が存在すると判定する。そして、共通部抽出部27は、ページ“1”の特徴情報“f1-1”及びページ“3”の特徴情報“f3-1”を、非共通部として抽出し、抽出した情報をICCプロファイル生成部28に供給する。そして、ICCプロファイル生成部28は、共通部抽出部27から供給された情報に基づいて、ページ“1”の特徴情報“f1-1”、及び、ページ“3”の特徴情報“f3-1”のそれぞれに対して、非共通部用ICCプロファイルを生成する。
【0070】
<ICCプロファイル生成部によるICCプロファイルの生成例>
次に、
図6を参照して、ICCプロファイル生成部28によるICCプロファイルの生成例について説明する。
図6は、ICCプロファイル生成部28によるICCプロファイルの生成例を示す表である。
【0071】
図6に示す表においては、入力値としての原稿データ131のCMYK値と、出力値としてのL*a*b*値との対応情報が、原稿データ131の各ページから抽出された各特徴情報に対応付けて示されている。
【0072】
図6に示す例では、ページ“1”の特徴情報“f1-1”の原稿データ131のCMYK値は、“22,14,11,0”であり、ページ“3”の特徴情報“f3-1”の原稿データ131のCMYK値も、同じ値である。しかし、ページ“1”の特徴情報“f1-1”と、ページ“3”の特徴情報“f3-1”とでは、
図5(a)及び(b)に示したように、読取画像の測色値(L*a*b*値)が異なる。したがって、ICCプロファイル生成部28は、ページ“1”の特徴情報“f1-1”と、ページ“3”の特徴情報“f3-1”と、のそれぞれに対して、個別の非共通部用ICCプロファイルを生成している。
【0073】
具体的には、ICCプロファイル生成部28は、ページ“1”の特徴情報“f1-1”には、入力値(CMYK値)の“22,14,11,0”と、出力値(L*a*b*値)の“95,-1.86,-1.1”とを対応付けた非共通部用ICCプロファイルを生成する。そして、ページ“3”の特徴情報“f3-1”には、ICCプロファイル生成部28は、入力値(CMYK値)の“22,14,11,0”と、出力値(L*a*b*値)の“90,-1.51,-0.8”とを対応付けた非共通部用ICCプロファイルを生成する。
【0074】
なお、
図6に示すICCプロファイルにおいては、説明を分かりやすくするために、出力値を、
図4、
図5に示した読取画像の測色値と同じ値としたが、実際には、CMYK-L*a*b*テーブル(
図2参照)に基づいて修正された値が設定されるものとする。
【0075】
ページ“1”の特徴情報“f1-2”も、
図6の表には示されていない他ページの特徴情報との間で色の矛盾が生じているため、ICCプロファイル生成部28は、ページ“1”の特徴情報“f1-2”に対しても、非共通部用ICCプロファイルを生成する。具体的には、入力値(CMYK値)の“36,25,23,0”と出力値(L*a*b*値)の“91.01,-3.43,-0.69”とを対応付けた非共通部用ICCプロファイルを生成する。
【0076】
ページ“1”における特徴情報“共通部1”と、ページ“2”における特徴情報“共通部1”とは、同じ入力値に対して同じ出力値が出力されることが求められる共通部である。したがって、ICCプロファイル生成部28は、特徴情報“共通部1”に対しては、特徴情報“共通部1”用の共通部用ICCプロファイルを生成する。具体的には、入力値(CMYK値)の“81,71,60,0”と、出力値(L*a*b*値)の“76.39,-0.02,-2.8”とを対応付けた共通部用ICCプロファイルを生成する。
【0077】
ページ“1”における特徴情報“共通部2”と、ページ“2”における特徴情報“共通部2”とも、同じ入力に対して同じ出力値が出力されることが求められる共通部である。したがって、ICCプロファイル生成部28は、特徴情報“共通部2”に対しては、特徴情報“共通部2”用の共通部用ICCプロファイルを生成する。具体的には、入力値(CMYK値)の“107,94,77,0”と、出力値(L*a*b*値)の“69.75,0.36,-4.1”とを対応付けた共通部用ICCプロファイルを生成する。
【0078】
ページ“4”の特徴情報“f4-1”、ページ“5”の特徴情報“f5-1”、ページ“6”の特徴情報“f6-1”は、原稿データに含まれる色が、他のページ(ページ“1”~“3”)に存在しない特徴情報である。したがって、他のページとの対応関係を考慮する必要がないため、ICCプロファイル生成部28は、従来の技術を用いてICCプロファイル(以下、「その他用ICCプロファイル」と称する)を生成すればよい。
【0079】
なお、上述したように、ページ“4”~ページ“6”の各特徴情報に含まれる色は、ページ“1”~ページ“3”のいずれにも含まれない。したがって、ICCプロファイル生成部28は、ページ“4”~ページ“6”のそれぞれに対応するその他用ICCプロファイルを、ページ“1”~“3”用のいずれかのICCプロファイル内に埋め込んでもよい。
【0080】
<情報処理装置による情報処理方法>
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置2による情報処理方法について説明する。
図7は、情報処理装置2による情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0081】
まず、情報処理装置2の原稿データ入力部24(
図1参照)は、原稿データ131を取得して色(CMYK値)を抽出する(ステップS1)。次いで、読取画像入力部25は、目標出力物の読取画像を取得して色(RGB値)を抽出する(ステップS2)。次いで、対応付け部26は、ステップS2で読取画像から抽出したRGB値を、スキャナプロファイル221(
図1参照)を用いて、L*a*b*値に変換する(ステップS3)。
【0082】
次いで、対応付け部26は、原稿画像と読取画像とを対応付ける(ステップS4)。具体的には、対応付け部26は、原稿データ及び読取画像のそれぞれから特徴情報を抽出し、該特徴情報を用いて原稿データ131の画像と読取画像との位置合わせを行い、同じ位置にあるCMYK値とL*a*b*値とを対応付ける。そして、対応付け部26は、位置合わせが行われた各特徴情報を対象として、CMYK-L*a*b*テーブル(
図3参照)を作成する。
【0083】
次いで、共通部抽出部27は、原稿データ131と読取画像とにおける色の矛盾が、ページ間において存在するか否かを判定する(ステップS5)。つまり、入力値としての同じCMYK値に対して、異なる出力値(RGB値)が対応付けられている領域が、異なるページ間において存在するか否かを判定する。ステップS5で、ページ間での色の矛盾は存在すると判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、共通部抽出部27は、該当する各ページ用の非共通部用ICCプロファイルを生成する(ステップS6)。
【0084】
次いで、共通部抽出部27は、原稿データ131を構成する各ページ間において、共通部は存在するか否かを判定する(ステップS7)。共通部は、上述したように、ロゴや背景などのような、どのページにおいても同じ色再現が求められる部分であり、異なるページ間で画像の差異がない部分である。ステップS7で、共通部は存在すると判定された場合(ステップS7がYES判定の場合)、ICCプロファイル生成部28は、共通部用ICCプロファイルを生成する(ステップS8)。ステップS8の処理後、又は、ステップS5がNO判定の場合、又は、ステップS7がNO判定の場合、ICCプロファイル生成部28は、その他用ICCプロファイルを生成する(ステップS9)。ステップS9の処理後、情報処理装置2は色調整処理を終了する。
【0085】
<共通部報知画面の構成>
次に、
図8を参照して、共通部報知画面Sc1の構成について説明する。
図8は、共通部報知画面Sc1の構成例を示す図である。共通部報知画面Sc1は、共通部抽出部27が抽出した共通部の情報を、ユーザーに報知する画面である。
【0086】
図8に示すように、共通部報知画面Sc1の情報には、「共通部が検出されました。正しく検出されている場合はOKを押下してください。修正が必要な場合は、共通部を「(破線の枠)」で選択してください。」というメッセージが表示されている。そのメッセージの下方には、向日葵の画像を含む読取画像Pr1と、桜の画像を含む読取画像Pr2と、が並べて表示されている。
【0087】
そして、読取画像Pr1におけるヘッダーPr12の周囲に破線の枠Fr11が表示され、ロゴPr13の周囲に枠Fr12が表示され、背景Pr14の周囲に枠Fr13が表示されている。また、読取画像Pr2におけるヘッダーPr22の周囲に破線の枠Fr21が表示され、ロゴPr23の周囲に枠Fr22が表示され、背景Pr24の周囲に枠Fr23が表示されている。枠Fr11~Fr13、枠Fr21~Fr23は、共通部抽出部27によって抽出された共通部の位置に表示される枠であり、ユーザーに共通部の位置を報知する役割を有する。
【0088】
読取画像の表示部分の右下側には、領域選択ボタンB1が配置され、領域選択ボタンB1の下方には、キャンセルボタンB2とOKボタンB3とが配置されている。
【0089】
領域選択ボタンB1は、破線の枠の位置や大きさの変更を可能にするボタンである。キャンセルボタンB2は、操作内容をキャンセルすることを可能にするボタンである。OKボタンは、破線の枠によって選択された領域を、共通部として決定することを可能にするボタンである。
【0090】
ユーザーは、共通部報知画面Sc1を見ることにより、共通部としてどの領域が選択されているかを確認することができるとともに、共通部として選択された領域の位置や大きさなどを修正することができる。
【0091】
なお、共通部を選択させる画面の代わりに、非共通部が選択される画面(非共通部選択画面Sc2)(
図9参照)を設け、該画面を介して選択された非共通部の情報に基づいて、共通部抽出部27(
図1)は、共通部を決定してもよい。非共通部選択画面Sc2の構成については、次の
図9を参照して詳述する。
【0092】
<非共通部選択画面の構成>
次に、
図9を参照して、非共通部選択画面Sc2(固有部選択画面の一例)の構成について説明する。
図9は、非共通部選択画面Sc2の構成例を示す図である。
【0093】
図9に示すように、非共通部選択画面Sc2の上部には、「同じ入力色(原稿データ)に対して、異なる色の見本がスキャンされました(「色付き丸印」箇所)。ページ間で共通部がある場合は、非共通部を「(破線の枠)」で選択してください。」というメッセージが表示されている。
【0094】
メッセージの下方には、向日葵の画像を含む読取画像Pr1と、桜の画像を含む読取画像Pr2と、が並べて表示されている。そして、読取画像Pr1における向日葵の画像Pr11の周囲に破線の枠Fr101が表示され、読取画像Pr2における桜の画像Pr21の周囲に、枠Fr201が表示されている。また、読取画像Pr1及び読取画像Pr2における、同じ入力値に対して異なる色がスキャンされた部分に、それぞれ色付き丸印Mk1、色付き丸印Mk2が配置されている。
【0095】
読取画像の表示部分の右側には、ページ選択ボタンB4と領域選択ボタンB1とが配置され、領域選択ボタンB1の下方には、キャンセルボタンB2とOKボタンB3とが配置されている。ページ選択ボタンB4は、画面に表示させるページを前後に送ったり、任意のページを選択したりすることを可能にするボタンである。
【0096】
ユーザーは、色付き丸印Mk1が配置された領域と、色付き丸印Mk2が配置された領域とを見比べることにより、これらの領域の色が、同一の色として再現されるべきか否かを判断することができる。また、ユーザーは、領域選択ボタンB1を押下することにより、非共通部を選択することができる。そして、ユーザーによって非共通部として選択された領域以外の領域が、共通部抽出部27によって共通部に設定される。
【0097】
<色取得ページ選択画面の構成>
次に、
図10を参照して、色取得ページ選択画面Sc3の構成について説明する。
図10は、色取得ページ選択画面Sc3の構成例を示す図である。色取得ページ選択画面Sc3は、共通部に適用したい色を有するページを、ユーザーが選択できる画面である。
【0098】
図10に示すように、色取得ページ選択画面Sc3の上部には、「共通部の色を取得するページに「(チェック)」をいれて選択してください。」というメッセージが表示されている。このメッセージの下方には、向日葵の画像を含む読取画像Pr1と、桜の画像を含む読取画像Pr2と、が並べて表示されている。また、読取画像Pr1の下には、チェックボックスCb1が配置されており、読取画像Pr2の下には、チェックボックスCb2が配置されている。読取画像の表示部分の下方には、キャンセルボタンB2と、OKボタンB3と、が配置されている。
【0099】
そして、色取得ページ選択画面Sc3のチェックボタンにチェックが入れられた方の読取画像に含まれる色が、共通部に適用される色に設定される。ユーザーは、色取得ページ選択画面Sc3を見ることによって、共通部に適用したい色を含む読取画像を確認しながら、共通部に適用したい色を有するページを選択することができる。
【0100】
ところで、上述した各画面等を介して共通部に適用する色として選択された色が、非共通部にも存在する場合がある。このような場合、共通部及び非共通部のどちらの領域に含まれる色を優先するかをユーザーが決定することにより、ユーザーの期待する色再現の実現がより適切に行われるようになる。本実施形態では、ユーザーは、優先度決定画面Sc4(
図11参照)を介して、優先して色再現を行うべき領域を選択することができる。優先度決定画面Sc4の構成については、次の
図11を参照して詳述する。
【0101】
<優先度決定画面の構成>
次に、
図11を参照して、優先度決定画面Sc4の構成について説明する。
図11は、優先度決定画面Sc4の構成例を示す図である。
図11に示すように、優先度決定画面Sc4の上部には、「共通部の色と、その他の領域の色が重複しています。どちらを優先しますか?」というメッセージが表示されている。メッセージの下方には、色の重複を含む読取画像Pr1が表示されており、読取画像Pr1において色が重複する箇所には、丸印Mk3及びMk4が表示されている。
【0102】
読取画像の表示部分の右側には、ページ優先ボタンB5と共通部優先ボタンB6とが配置され、その下方には、キャンセルボタンB2とOKボタンB3とが配置されている。
【0103】
ユーザーによってページ優先ボタンB5が押下された場合には、非共通部に含まれる色(丸印Mk4の部分の色)における色の対応関係(非共通部用ICCプロファイル)が優先される。また、ユーザーによって共通部優先ボタンB6が押下された場合には、非共通部に含まれる色(丸印Mk3の部分の色)における色の対応関係(共通部用ICCプロファイル)が優先される。
【0104】
上述した実施形態では、ICCプロファイル生成部28は、複数のページに共通して存在する共通部に適用するICCプロファイル(色変換パラメーター)として、共通部用ICCプロファイルを生成する。したがって、本実施形態によれば、ページに関わらず同じ色再現が求められる共通部を含む原稿データ131の出力物において、期待される色再現が実現される。
【0105】
また、上述した実施形態では、ICCプロファイル生成部28は、同じ原稿データ131に対して異なる読取画像の色が対応付けられた非共通部に適用するICCプロファイルとして、非共通部用ICCプロファイルを生成する。それゆえ、本実施形態によれば、ページに応じた色再現が求められる非共通部を含む原稿データ131の出力物において、期待される色再現が実現される。
【0106】
<変形例>
本発明は上述した一実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0107】
上述した実施形態では、ICCプロファイル生成部28が、共通部用ICCプロファイルを、埋め込みプロファイルとして原稿データ131の該当領域に埋め込む例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。ICCプロファイル生成部28は、共通部に適用する色変換パラメーターを、特色テーブルの形式で作成してもよい。特色テーブルとは、特色の色名と、該色名により示される特色が印刷される場合における出力値(CMYK値又はL*a*b*値等)と、が対応付けられたLUTである。
【0108】
ここで、
図12を参照して、特色テーブルによる色変換パラメーターの定義の例について説明する。
図12は、特色テーブルによる色変換パラメーターの定義の例を示す図である。
図12(a)の左側には、1ページ目の原稿データPd1、2ページ目の原稿データPd2、3ページ目の原稿データPd3を示す。
図12(a)の右側には、1ページ目の目標出力物の読取画像Pr1、2ページ目の読取画像Pr2、3ページ目の読取画像Pr3を示す。
【0109】
また、
図12(a)には、1ページ目の原稿データPd1における向日葵の画像Pd11と、1ページ目の読取画像Pr1における向日葵の画像Pd21に基づいて、1ページ用の非共通部用ICCプロファイルPfi1が生成される様子が示されている。また、2ページ目の原稿データPd2における桜の画像Pd21と、2ページ目の読取画像Pr2における桜の画像Pr21とに基づいて、2ページ用の非共通部用ICCプロファイルPfi2が生成される様子が示されている。
【0110】
さらに、
図12(a)には、原稿データPd1~Pd3の共通部と、読取画像Pr1~Pr3の共通部に含まれる色の情報と、に基づいて、共通部用特色テーブルT1が生成される様子が示されている。
【0111】
図12(b)には、共通部用特色テーブルT1内の設定に関する情報の一例である、「Common1」という特色名が、「Common1」の特色名により示される色が適用される領域に埋め込まれている様子が示されている。また、
図12(b)には、「Common2」という特色名が、原稿データPd1のロゴPd13、原稿データPd2のロゴPd23、及び、原稿データPd3のロゴPd33の各領域に埋め込まれている様子が示されている。さらに、
図12(b)には、「Common3」という特色名が、原稿データPd1の背景Pd14、原稿データPd2の背景Pd24、及び、原稿データPd3の背景Pd34の各領域に埋め込まれている様子が示されている。
【0112】
ICCプロファイル生成部28は、共通部用特色テーブルT1、及び、特色名が埋め込まれた原稿データ131を、通信I/F部23(
図1参照)を介して画像形成装置1に送信する。そして、画像形成装置1の画像処理部16は、共通部用特色テーブルT1、及び、特色名が埋め込まれた原稿データ131を用いて、原稿データ131に含まれる色を色変換する。
【0113】
もしくは、ICCプロファイル生成部28は、共通部用特色テーブルT1で定義されている特色名を原稿データ131に埋め込むのではなく、共通部用特色テーブルT1、及び、共通部用特色テーブルT1に設定された各特色が適用される位置の情報を、画像形成装置1に送信してもよい。この場合、特色名を原稿データ131に埋め込む処理は、画像形成装置1によって行われる。
【0114】
あるいは、情報処理装置2側で、共通部用特色テーブルT1に基づく原稿データ131のラスタライズ処理までを行ってもよい。この場合、画像形成装置1の画像形成部17は、ラスタライズされた原稿データ131を印刷する。
【0115】
また、上述した実施形態では、色の目標値を表すデバイス非依存色空間の表色系(色座標系)として、L*a*b*表色系を用いる例について説明したが、表色系はこれに限定されるものではない。例えば、上述した国際照明委員会が定めるXYZ表色系、Yxy表色系、L*u*v*表色系の他、HSV表色系、HLS表色系、YCbCr表色系等を用いることが可能である。
【0116】
また、例えば、上述した一実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、一実施形態例の構成の一部について、他の構成要素の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0117】
さらに、上記の各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウェアで実現してもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…画像形成装置、2…情報処理装置、15…画像読取部、16…画像処理部、17…画像形成部、24…原稿データ入力部、25…読取画像入力部、26…対応付け部、27…共通部抽出部、28…ICCプロファイル生成部、29…画面データ生成部、100…画像形成システム、Sc1…共通部報知画面、Sc2…非共通部選択画面、Sc3…色取得ページ選択画面、Sc4…優先度決定画面